説明

粒子状物質検出装置

【課題】測定感度の高い粒子状物質検出装置を提供する。
【解決手段】本発明の粒子状物質検出装置100は、板状の素子基材11、素子基材11に配設された一対の計測電極12a,12bを備え、それぞれの計測電極12a,12bは、平面的に配列された複数の櫛歯部13と、各計測電極12a,12bの複数の櫛歯部13をその一端で連結する櫛骨部14とを有する櫛歯状の電極であり、それぞれの計測電極12a,12bの櫛歯部13が、隙間を空けて相互にかみ合わされるように配置されてなり、且つ、少なくとも一方の計測電極12の櫛骨部14は、誘電体からなる櫛骨被覆部15によって被覆されている。この粒子状物質検出装置100は、一対の計測電極12a,12b及びその周囲に粒子状物質を付着させ、一対の計測電極12a,12b間の電気的特性の変化を測定することにより粒子状物質の検出を行うものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子状物質検出装置に関する。さらに詳しくは、測定感度が高く、且つ粒子状物質の付着による検出部が飽和してしまうまでの期間を長くすることが可能な粒子状物質検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
煙道排ガスやディーゼルエンジン排ガスには煤等の粒子状物質(Particulate Matter:PM)が含まれており、大気汚染の原因になっていた。これらを除去するために、セラミック等で作製されたフィルタ(ディーゼルパティキュレートフィルタ:DPF)が広く用いられている。セラミック製のDPFは、長期間の使用が可能であるが、熱劣化等によりクラックや溶損等の欠陥が発生することがあり、微量ではあるが粒子状物質が漏れる可能性がある。このような欠陥が発生した場合には、その欠陥の発生を即座に検知し、装置の異常を認識することが、大気汚染防止の観点から極めて重要である。
【0003】
このような欠陥の発生を検知する方法として、DPFの下流側に粒子状物質検出装置を設ける方法がある(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
例えば、特許文献1に記載された粒子状物質検出装置は、一方の端部に一の貫通孔が形成された一方向に長い検出装置本体と、この貫通孔を形成する壁の内部に埋設され、誘電体で覆われた少なくとも一対の電極とを備えたものであり、上記貫通孔内に流入する流体に含有される荷電された粒子状物質、又は一対の電極に電圧を印加することにより貫通孔内に生じる放電により荷電された、上記貫通孔内に流入する流体に含有される粒子状物質を、この貫通孔の壁面に電気的に吸着させることが可能であり、貫通孔を形成する壁の電気的な特性の変化を測定することにより貫通孔の壁面に吸着された粒子状物質の質量を検出することが可能なものである。
【0005】
このように、従来の粒子状物質検出装置においては、測定対象ガス中に含まれる粒子状物質を、センサである一対の電極及びその周囲に付着させ、当該一対の電極間の電気的な特性の変化を測定することにより、測定対象ガス中の粒子状物質を検出することが行われている。
【0006】
そして、例えば、特許文献2の図5に示すように、上記測定用のセンサである一対の電極としては、それぞれ複数に分岐をされ、分岐をした後で対向しており、複数の対向部分が存在するように構成された電極が提案されている。このような電極を用いることによって、例えば、一対の電極間の電気的特性として静電容量を測定する場合に、その測定感度を向上させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−186278号公報
【特許文献2】特開2010−32488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来の粒子状物質検出装置は、検出部に粒子状物質が過剰に付着すると、検出部が粒子状物質によって飽和してしまい、測定感度が得られなくなるため、定期的に検出部に付着した粒子状物質を除去(例えば、燃焼除去)して再生する必要があるが、従来の検出装置は、特に、上述したような櫛歯状の電極を検出部とした場合には、この検出部が飽和してしまうまでの期間が短いという問題があった。このため、装置の再生を頻繁に行うことが必要であったり、また、装置の再生時には粒子状物質の検出ができないため、検出装置によって検出されない期間が多くなってしまったりするということがある。
【0009】
また、電極間の間隔を広げることにより、上記飽和までの期間を長くすることは可能であるが、この場合には、検出装置の測定感度が低下してしまう。特に、排ガス中の粒子状物質の除去に関する規制は世界的に強化される傾向にあり、より高感度に粒子状物質の検出を行うことが可能な検出装置の開発が要望されている。
【0010】
このように、検出部が飽和してしまうまでの期間を長くすることと、測定感度を向上させることとは、二律背反の関係にあり、従来の粒子状物質検出装置においては、両者を両立させることは極めて困難であった。
【0011】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、測定感度が高く、且つ粒子状物質の付着による検出部が飽和してしまうまでの期間を長くすることが可能な粒子状物質検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意検討した結果、測定対象ガスの流れ方向に対して垂直方向に各櫛歯が延びるように、且つ、測定対象ガスの流入側における櫛歯部の間隔よりも、測定対象ガスの流出側における櫛歯部の間隔が大きくなるように構成することにより、測定感度を高く維持したまま、検出部が飽和してしまうまでの期間を長くすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明によれば、以下に示す粒子状物質検出装置が提供される。
【0013】
[1] 板状の素子基材、前記素子基材に配設された一対の計測電極、前記一対の計測電極の間における電気的特性の測定をする特性測定手段、及び前記特性測定手段で測定をされた電気的特性の変化量に基づいて前記一対の計測電極及びその周囲に集塵された粒子状物質の量を求める粒子状物質量算出手段、を備え、一対の前記計測電極を構成するそれぞれの計測電極は、平面的に配列された複数の櫛歯部と、各前記計測電極の前記複数の櫛歯部をその一端で連結する櫛骨部とを有する櫛歯状の電極であり、複数の前記櫛歯部は、測定対象ガスの流れ方向に対して垂直方向に各櫛歯が延びるように、且つ、前記測定対象ガスの流入側における一方の前記計測電極の前記櫛歯部と他方の前記計測電極の前記櫛歯部との相互の間隔よりも、前記測定対象ガスの流出側における一方の前記計測電極の前記櫛歯部と他方の前記計測電極の前記櫛歯部との相互の間隔が大きくなるように、前記素子基材に配設されてなる粒子状物質検出装置。
【0014】
[2] 前記測定対象ガスの流入側の一の領域における前記櫛歯部相互の間隔よりも、前記一の領域よりも前記測定対象ガスの流出側の他の領域における前記櫛歯部相互の間隔が大であり、流入側の前記一の領域から流出側の前記他の領域に向けて、前記櫛歯部相互の間隔が各領域毎に段階的に増大するように構成されてなる前記[1]に記載の粒子状物質検出装置。
【0015】
[3] 一方の前記計測電極の前記櫛歯部と他方の前記計測電極の前記櫛歯部との相互の間隔の少なくとも一部が、前記測定対象ガスの流入側から流出側に向けて漸増するように構成されてなる前記[1]又は[2]に記載の粒子状物質検出装置。
【0016】
[4] 前記測定対象ガスの流入側における一方の前記計測電極の前記櫛歯部と他方の前記計測電極の前記櫛歯部との相互の間隔に対して、前記測定対象ガスの流出側における一方の前記計測電極の前記櫛歯部と他方の前記計測電極の前記櫛歯部との相互の間隔が1.5〜10倍である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の粒子状物質検出装置。
【0017】
[5] 少なくとも一方の前記計測電極の前記櫛骨部は、誘電体からなる櫛骨被覆部によって被覆されている前記[1]〜[4]のいずれかに記載の粒子状物質検出装置。
【0018】
[6] 前記一対の計測電極の表面の少なくとも一部が、前記櫛骨被覆部よりも厚さが薄い誘電体からなる電極保護膜によって被覆されている前記[5]に記載の粒子状物質検出装置。
【0019】
[7] 前記素子基材が、一方の端部に少なくとも一の貫通孔が形成された一方向に長い装置本体であり、且つ、前記一対の計測電極の前記櫛歯部が、前記貫通孔を形成する一方の壁の内側面又は内部に配置され、前記一対の計測電極の前記櫛骨部は、前記貫通孔を形成する壁のうちの、前記櫛歯部が配設される壁から起立する壁の配設位置まで延びて配置されている前記[1]〜[4]のいずれかに記載の粒子状物質検出装置。
【発明の効果】
【0020】
本願の請求項1に係る発明の粒子状物質検出装置は、測定対象ガスの流れ方向に対して垂直方向に各櫛歯が延びるように、且つ、測定対象ガスの流入側における一方の計測電極の櫛歯部と他方の計測電極の櫛歯部との相互の間隔よりも、測定対象ガスの流出側における一方の計測電極の櫛歯部と他方の計測電極の櫛歯部との相互の間隔が大きくなるように構成されていることから、測定感度が高く、且つ粒子状物質の付着による検出部が飽和してしまうまでの期間を長くすることができる。
【0021】
即ち、測定対象ガスの流入側においては、櫛歯部の相互の間隔が比較的狭くなり、粒子状物質が櫛歯部上に付着した場合に、電気的特性の変化を良好に検知することができる。一方、測定対象ガスの流出側においては、櫛歯部の相互の間隔が相対的に広くなるため、粒子状物質の付着による検出部が飽和してしまうまでの期間を長くすることができる。より具体的には、粒子状物質を検出する初期の段階においては、測定対象ガスの流入側の領域にて測定感度の高い検出を実現するとともに、流入側の領域が粒子状物質によって飽和してしまい、測定感度が得られ難くなったとしても、比較的櫛歯の間隔が広い流出側の領域にて継続的に検出を行うことができ、従来の粒子状物質検出装置と比較して、検出装置の再生の間隔をより長くすることができる。
【0022】
即ち、粒子状物質は、測定対象ガスの流れの上流部(即ち、流入側)より付着する傾向がある。その間、下流部(即ち、下流側)は上流部より漏れて流れてくる上流部より少量の粒子状物質が付着しているが、櫛歯の間隔が上流部より広く設定されているため電気的特性の変化として捉えることができない。その後、上流部の粒子状物質の付着が飽和すると下流部への流入が増えるが、それまでの間に上流部から漏れ流れてくる粒子状物質で下流部の付着量が増えているため、下流部で粒子状物質の変化を電気的特性として検出することが可能となる。このように下流部の粒子状物質検出感度をあえて低く設定することにより、粒子状物質の付着特性を利用してより断続的に粒子状物質の検出を行うことが可能となる。
【0023】
なお、検出部が「飽和する」とは、通常、検出部を構成する櫛歯部の表面に粒子状物質が付着した場合、電気的特性の変化量と、付着した粒子状物質の量とは、比例関係が成り立つものであるが、粒子状物質が大量に付着した際に、電気的特性の変化が小さくなり、測定感度が得られなくなる状態のことをいう。例えば、上記電気的特性の変化量と粒子状物質の量とで検量線を作成した場合に、電気的特性の変化量が頭打ちになる状態が、上記検出部が飽和した状態である。
【0024】
また、本願の請求項2に係る発明の粒子状物質検出装置においては、櫛歯部の間隔の少なくとも一部が、測定対象ガスの流入側の一の領域から流出側の他の領域に向けて、各領域毎に段階的に増大するように構成されているため、粒子状物質を検出する初期から段階的に順次検出面が移行するように測定を行うことが可能となり、各領域(即ち、段階的に増大する各領域)にて安定した粒子状物質の検出を行うことができる。
【0025】
また、本願の請求項3に係る発明の粒子状物質検出装置においては、櫛歯部の間隔が、測定対象ガスの流入側から流出側に向けて漸増するように構成されているため、流入側の領域から実際の検出面が流出側に向けて移動するように測定を行うことが可能となり、より安定した粒子状物質の検出を行うことができる。
【0026】
本願の請求項4に係る発明の粒子状物質検出装置においては、流入側の領域が飽和した後、流入側の領域以外の領域を検出面として良好に用いることができる。例えば、流入側の櫛歯部の間隔に対して、流出側の櫛歯部の間隔が1.5倍未満であると、流入側と流出側との差が小さく、検出面全体が比較的均等に飽和してしまうことがあり、上記間隔が10倍を超えると、櫛歯部の間隔の差が大き過ぎて、流入側から流出側に向けての円滑の検出面の移行が困難になることがある。
【0027】
また、本願の請求項5に係る発明の粒子状物質検出装置においては、少なくとも一方の計測電極の櫛骨部を、誘電体からなる櫛骨被覆部によって被覆することによって、櫛骨被覆部によって被覆した部位を実質的な検出面から除外し、良好な粒子状物質の検出が可能となる。即ち、本発明においては、測定対象ガスの流れ方向に対して、流入側よりも流出側の櫛歯部相互の間隔を大きくするものであるが、測定精度を向上させる観点からは、測定対象ガスの流れ方向に対して垂直方向の各領域(即ち、計測初期の段階で測定対象ガスの流入側が主として検出面として用いられる場合においては、この流入側の領域)における一対の計測電極相互の間隔はある程度一定であることが好ましい。しかしながら、櫛歯部と櫛骨部とがかみ合う部分の間隔は、櫛歯部同士の間隔と異なってしまうため、櫛骨部(より具体的には、櫛骨部と櫛歯部との隙間)によって、検出装置の測定精度が相対的に低下してしまうことがある。このため、上記のような測定精度を低下させる要因となり得る櫛骨部を被覆して、検出面から除外することによって、上記した請求項1に係る発明の効果を奏しつつ、更に測定精度を向上させることが可能となる。また、このような櫛骨被覆部を両方の計測電極の櫛骨部に設けることによって、二つの櫛骨被覆部の間に測定対象ガスを流すことができ、良好なガス流れを実現することができる。
【0028】
また、本願の請求項6に係る発明の粒子状物質検出装置においては、櫛骨被覆部よりも厚さが薄い電極保護膜によって電極の一部を被覆するため、計測電極の腐食を良好に防止することができる。
【0029】
また、本願の請求項7に係る発明の粒子状物質検出装置においては、測定対象ガスの良好なガス流れを実現することができるとともに、上記した櫛骨被覆部を、貫通孔を形成する壁の一部によって形成することができるため、検出装置の構成を簡便なものとすることができる。なお、本願の請求項1〜7に係る発明は、上記[1]〜[7]に記載された発明である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1A】本発明の粒子状物質検出装置の一の実施形態を模式的に示す平面図である。
【図1B】図1Aに示す粒子状物質検出装置の一対の計測電極が配設された部位を拡大した拡大平面図である。
【図2】本発明の粒子状物質検出装置の他の実施形態における一対の計測電極が配設された部位を拡大した拡大平面図である。
【図3】本発明の粒子状物質検出装置の更に他の実施形態における一対の計測電極が配設された部位を拡大した拡大平面図である。
【図4】本発明の粒子状物質検出装置の更に他の実施形態における一対の計測電極が配設された部位を拡大した拡大平面図である。
【図5】本発明の粒子状物質検出装置の更に他の実施形態における一対の計測電極が配設された部位を拡大した拡大平面図である。
【図6A】本発明の粒子状物質検出装置の更に他の実施形態を模式的に示す正面図である。
【図6B】図6Aに示す粒子状物質検出装置の一方の側面を示す側面図である。
【図6C】図6Aに示す粒子状物質検出装置の他方の側面を示す側面図である。
【図6D】図6Aに示す粒子状物質検出装置の背面図である。
【図7】図6BのA−A’断面を示す模式図である。
【図8】図7のB−B’断面を示す模式図である。
【図9】図7のC−C’断面を示す模式図である。
【図10】図7のD−D’断面を示す模式図である。
【図11】図7のE−E’断面を示す模式図である。
【図12】図7のF−F’断面を示す模式図である。
【図13】粒子状物質検出装置によって測定された静電容量の変化量ΔC([pF])と、粒子状物質量の濃度[mg/m]との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための形態を具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0032】
[1]粒子状物質検出装置:
本発明の粒子状物質検出装置の一の実施形態は、図1A及び図1Bに示すように、板状の素子基材11、この素子基材11に配設された一対の計測電極12(12a,12b)、一対の計測電極12a,12bの間における電気的特性の測定をする特性測定手段20、及び特性測定手段20で測定をされた電気的特性の変化量に基づいて一対の計測電極12a,12b及びその周囲に集塵された粒子状物質の量を求める粒子状物質量算出手段21、を備えた粒子状物質検出装置100である。
【0033】
ここで、図1Aは、本発明の粒子状物質検出装置の一の実施形態を模式的に示す平面図であり、図1Bは、図1Aに示す粒子状物質検出装置の一対の計測電極が配設された部位を拡大した拡大平面図である。図1A及び図1Bに示す粒子状物質検出装置100においては、一方向に長い板状の素子基材11の一方の先端側に、一対の計測電極12a,12bが配置され、この計測電極12a,12bから延びる計測配線16によって、素子基材11の他方の端部に配置された特性測定手段20及び粒子状物質量算出手段21と計測電極12a,12bとが電気的に接続されている。
【0034】
本実施形態の粒子状物質検出装置100は、測定対象ガスに含有される粒子状物質を、一対の計測電極12a,12b及びその周囲に付着(集塵)させ、一対の計測電極12a,12b間における電気的特性の変化を特性測定手段20によって測定し、更に、この特性測定手段20で測定をされた電気的特性の変化量に基づいて粒子状物質量算出手段21によって集塵させた粒子状物質の量(例えば、質量)を求めることができる。これにより、本実施形態の粒子状物質検出装置100は、排ガス等の測定対象ガスが通過する流路内に設置して用いることにより、測定対象ガス中に含有される粒子状物質を検出することができる。
【0035】
そして、本実施形態の粒子状物質検出装置100の一対の計測電極12を構成するそれぞれの計測電極12a,12bは、平面的に配列された複数の櫛歯部13と、各計測電極12a,12bの複数の櫛歯部13をその一端で連結する櫛骨部14とを有する櫛歯状の電極であり、それぞれの計測電極12a,12bの櫛歯部13が、隙間を空けて相互にかみ合わされるように配置されている。このように構成することによって、一対の計測電極12a,12bの対向配置された部分を長く(広く)とることができ、より正確な測定値を得ることができる。
【0036】
また、上記したように、櫛歯状の計測電極を用いることによって、電極間の間隔(特に、上流側の櫛歯部の間隔)を狭くすることが容易になり、測定感度を向上させることができる。例えば、測定する電気的特性が静電容量の場合には、電極間の間隔を狭くすることで、粒子状物質が電極間に付着した場合の変化を高精度に読み取ることができ、検出装置の測定感度を向上させることができる。
【0037】
但し、上記のように櫛歯部分の間隔を狭くして感度を向上させた場合には、粒子状物質の付着による検出部の飽和までの期間が短くなってしまい、装置の再生を頻繁に行うことが必要になる。このため、図1A及び図1Bに示すように、本実施形態の粒子状物質検出装置100においては、複数の櫛歯部13が、測定対象ガスの流れ方向G1に対して垂直方向に各櫛歯が延びるように、且つ、測定対象ガスの流入側18における一方の計測電極12aの櫛歯部13と他方の計測電極12bの櫛歯部13との相互の間隔P1よりも、測定対象ガスの流出側19における一方の計測電極12aの櫛歯部13と他方の計測電極12bの櫛歯部13との相互の間隔P2が大きくなるように、素子基材11に配設されている。このように構成することによって、測定感度が高く、且つ粒子状物質の付着による検出部が飽和してしまうまでの期間を長くすることができる。
【0038】
即ち、測定対象ガスの流入側においては、櫛歯部の相互の間隔が比較的狭くなり(間隔P1)、粒子状物質が櫛歯部上に付着した場合に、電気的特性の変化を良好に検知することができる。一方、測定対象ガスの流出側においては、櫛歯部の相互の間隔が相対的に広くなるため(間隔P2)、粒子状物質の付着による検出部が飽和してしまうまでの期間を長くすることができる。即ち、粒子状物質を検出する初期の段階においては、測定対象ガスの流入側の領域にて測定感度の高い検出を実現するとともに、流入側の領域が粒子状物質によって飽和してしまい、測定感度が得られ難くなったとしても、比較的櫛歯の間隔が広い流出側の領域にて継続的に検出を行うことができ、従来の粒子状物質検出装置と比較して、検出装置の再生の間隔をより長くすることができる。
【0039】
即ち、粒子状物質は、測定対象ガスの流れの上流部(即ち、流入側)より付着する傾向がある。その間、下流部(即ち、下流側)は上流部より漏れて流れてくる上流部より少量の粒子状物質が付着しているが、櫛歯の間隔が上流部より広く設定されているため電気的特性の変化として捉えることができない。その後、上流部の粒子状物質の付着が飽和すると下流部への流入が増えるが、それまでの間に上流部から漏れ流れてくる粒子状物質で下流部の付着量が増えているため、下流部で粒子状物質の変化を電気的特性として検出することが可能となる。このように下流部の粒子状物質検出感度をあえて低く設定することにより、粒子状物質の付着特性を利用してより断続的に粒子状物質の検出を行うことが可能となる。
【0040】
なお、本実施形態の粒子状物質検出装置100においては、複数の櫛歯部13が、測定対象ガスの流れ方向G1に対して垂直方向に各櫛歯が延びるように配置されたものであるが、各櫛歯の延びる方向は、対象ガスの流れ方向G1に対して正確に90°(即ち、正確に垂直)でなくともよい。即ち、上述したように、櫛歯の噛み合わせ部分によって構成される検出部分が、測定対象ガスの流入側から流出側に向けて移行するように構成可能なものであれば、各櫛歯の延びる方向が、上記垂直方向から多少ずれて配置されていてもよい。例えば、各櫛歯が延びる方向は、測定対象ガスの流れ方向G1に対して70°〜110°程度であることが好ましい。
【0041】
なお、図1A及び図1Bに示す粒子状物質検出装置100においては、一方の計測電極12aの櫛歯部13と他方の計測電極12bの櫛歯部13との相互の間隔が、測定対象ガスの流入側18から流出側19に向けて漸増するように構成されてなる場合の例を示しているが、例えば、図2に示すように、測定対象ガスの流入側18の一の領域から流出側19の他の領域に向けて、一方の計測電極12aの櫛歯部13と他方の計測電極12bの櫛歯部13との相互の間隔が、各領域毎に段階的に増大するように構成されて粒子状物質検出装置101であってもよい。ここで、図2は、本発明の粒子状物質検出装置の他の実施形態における一対の計測電極が配設された部位を拡大した拡大平面図である。
【0042】
図1Bに示すように、櫛歯部13の間隔が、測定対象ガスの流入側18から流出側19に向けて漸増する場合には、流入側18から、実際の検出面が流出側19に向けて移動するように測定を行うことが可能となり、より安定した粒子状物質の検出を行うことができる。一方、図2に示すように、櫛歯部13の間隔が、測定対象ガスの流入側18の一の領域から流出側19の他の領域に向けて段階的に増大する場合には、粒子状物質を検出する初期から段階的に順次検出面が移行するように測定を行うことが可能となり、段階的に増大する各領域にて、高感度及び高精度に粒子状物質の検出を行うことができる。なお、例えば、測定対象ガスの流入側から流出側に向けて、一部の領域にて櫛歯部の間隔が段階的に増大し、且つ、別の領域にて櫛歯部の間隔が漸増するように構成されていてもよい。
【0043】
また、図2においては、流入側18と流出側19とで、2段階の領域で櫛歯部13の間隔が変化する場合の例を示しているが、例えば、2段階以上、例えば、3段階や4段階の領域で段階的に増大するように構成されてなるものであってもよい。例えば、図3は、櫛歯部13の間隔が、測定対象ガスの流入側18から流出側19に向けて3段階の領域で増大した粒子状物質検出装置102の例を示す。ここで、図3は、本発明の粒子状物質検出装置の更に他の実施形態における一対の計測電極が配設された部位を拡大した拡大平面図である。
【0044】
また、本実施形態の粒子状物質検出装置は、例えば、図1A及び図1Bに示すように、測定対象ガスの流入側18における一方の計測電極12aの櫛歯部13と他方の計測電極12bの櫛歯部13との相互の間隔P1に対して、測定対象ガスの流出側19における一方の計測電極12aの櫛歯部13と他方の計測電極12bの櫛歯部13との相互の間隔P2が1.5〜10倍であることが好ましく、2〜5倍であることが更に好ましく、2〜3倍であることが特に好ましい。
【0045】
このように構成することによって、流入側18の領域が飽和した後、流入側18の領域以外の領域を検出面として良好に用いることができる。即ち、流出側19に向かって検出面を良好に移行させることができる。なお、例えば、流入側18の櫛歯部13の間隔P1に対して、流出側19の櫛歯部13の間隔P2が1.5倍未満であると、流入側18と流出側19との差が小さく、検出面全体が比較的均等に飽和してしまうことがあり、間隔P2が10倍を超えると、櫛歯部の間隔の差(即ち、流入側18と流出側19との差)が大き過ぎて、流入側18から流出側19に向けての円滑の検出面の移行が困難になることがある。
【0046】
また、本実施形態の粒子状物質検出装置は、例えば、少なくとも一方の計測電極の櫛骨部が、誘電体からなる櫛骨被覆部によって被覆されているものであってもよい。このように、少なくとも一方の計測電極の櫛骨部を、誘電体からなる櫛骨被覆部によって被覆することによって、櫛骨被覆部によって被覆した部位を実質的な検出面から除外し、より良好な粒子状物質の検出が可能となる。
【0047】
即ち、本実施形態の粒子状物質検出装置においては、測定対象ガスの流れ方向に対して、流入側よりも流出側の櫛歯部相互の間隔を大きくするものであるが、測定精度を向上させる観点からは、測定対象ガスの流れ方向に対して垂直方向の各領域(即ち、計測初期の段階で測定対象ガスの流入側が主として検出面として用いられる場合においては、この流入側の領域)における一対の計測電極相互の間隔はある程度一定であることが好ましい。しかしながら、櫛歯部と櫛骨部とがかみ合う部分の間隔は、櫛歯部同士の間隔と異なってしまうため、櫛骨部(より具体的には、櫛骨部と櫛歯部との隙間)によって、検出装置の測定精度が相対的に低下してしまうことがある。
【0048】
このため、上記のような測定精度を低下させる要因となり得る櫛骨部を被覆して、検出面から除外することによって、本発明の効果を奏しつつ、更に測定精度を向上させることが可能となる。また、このような櫛骨被覆部を、両方の計測電極の櫛骨部に設けることによって、二つの櫛骨被覆部の間に測定対象ガスの流路を形成することができ、良好なガス流れを実現することができる。
【0049】
例えば、図4に示す粒子状物質検出装置103は、一方の計測電極12の櫛骨部14を、誘電体からなる櫛骨被覆部15によって被覆した場合の例を示している。このような粒子状物質検出装置103は、一対の計測電極12相互の間隔が不均一になる、一方の計測電極12の櫛骨部14と他方の計測電極12の櫛歯部13との隙間を櫛骨被覆部15にて隠して、電極相互の間隔が狭い櫛歯部13のかみ合わされた部位を検出面として有効に活用することが可能となる。ここで、図4は、本発明の粒子状物質検出装置の更に他の実施形態における一対の計測電極が配設された部位を拡大した拡大平面図である。
【0050】
なお、櫛骨被覆部は、少なくとも一方の計測電極の櫛骨部を被覆するものであればよいが、例えば、櫛骨被覆部が、一方の計測電極(例えば、計測電極12a)の櫛骨部14とともに、隙間を空けて相互にかみ合わされるように配置された他方の計測電極(例えば、計測電極12b)の櫛歯部13の先端部分を被覆していることが好ましい。また、櫛骨被覆部15は、隙間を空けて相互にかみ合わされるように配置された他方の計測電極12bの櫛歯部13の先端部分に当接するように、一方の計測電極12aの櫛骨部14を被覆しているものであってもよい。このように構成することによって、測定対象ガスの流れ方向に対して垂直に検出面を仮想的に分割した場合に、計測電極間の間隔を大きく不均一にする櫛骨部が櫛骨被覆部によって被覆されるため、各領域(即ち、上記仮想的に分割した各領域)において櫛歯部の間隔が揃うことなり、高精度の測定が可能となる。
【0051】
櫛骨被覆部は、被覆した櫛骨部を検出面から実質的に除外することができるような厚さの誘電体からなる被膜である。即ち、櫛骨被覆部としては、その表面に粒子状物質が付着した場合に、一対の計測電極の一部を構成する櫛骨部において、付着した粒子状物質によって計測される電気的特性に変化が現れないような、或いは、仮に電気的特性の変化が検出されるとしても極めて小さく、測定値に対する影響がほとんど無い、例えば、電気的特性の変化量全体の0.1%以下となるような被膜であることが好ましい。
【0052】
誘電体からなる櫛骨被覆部の材質については特に制限はないが、例えば、アルミナ、コージェライト、ムライト、ガラス、ジルコニア、マグネシア、及びチタニアからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。中でも、アルミナを好適に用いることができる。
【0053】
また、本実施形態の粒子状物質検出装置においては、一対の計測電極の表面の少なくとも一部が、上記櫛骨被覆部よりも厚さが薄い誘電体からなる電極保護膜によって被覆されているものであってもよい。このように構成することによって、計測電極の腐食を良好に防止することができる。例えば、図5に示す粒子状物質検出装置104は、一対の計測電極12a,12bの表面を、誘電体からなる電極保護膜22によって被覆した場合の例を示している。ここで、ここで、図5は、本発明の粒子状物質検出装置の更に他の実施形態における一対の計測電極が配設された部位を拡大した拡大平面図である。
【0054】
電極保護膜22は、その表面に粒子状物質が付着した場合に、被覆された一対の計測電極12a,12b間にて測定される電気的特性の変化を読み取ることができる程度の厚さに構成された、一対の計測電極を保護する保護膜である。電極保護膜22の厚さについては、上記櫛骨被覆部よりも薄いものであれば特に制限はないが、例えば、5〜200μmであることが好ましく、10〜100μmであることが更に好ましく、20〜50μmであることが特に好ましい。例えば、5μm未満の保護膜は、その作製が困難であるとともに、保護膜としての機能が十分に発揮されないことがあり、一方、200μm超であると、保護膜が厚すぎて、保護膜により測定感度が低下してしまうことがある。なお、一対の計測電極を、素子基材の内部に配置することによって、一対の計測電極の表面を覆う素子基材により、上記電極保護膜を形成してもよい。
【0055】
このような電極保護膜は、特に限定されることはないが、例えば、アルミナ、コージェライト、ムライト、ガラス、ジルコニア、マグネシア、及びチタニアからなる群より選択される少なくとも一種を用いて形成することができる。
【0056】
上記電極保護膜や櫛骨被覆部は、上述したようなセラミックをテープ状に成形したセラミックグリーンシートを用いて形成することができる。例えば、計測電極の櫛骨部を被覆することが可能な形状にセラミックグリーンシートを成形し、このセラミックグリーンシートを、対向配置された一対の計測電極の表面に配置することによって、特定形状の櫛骨被覆部を形成することができる。
【0057】
また、これまでに説明した粒子状物質検出装置としては、一方向に長い板状の素子基材の一方の表面に、一対の計測電極が配置された場合の例を示しているが、素子基材の形状は、上記形状に限定されることはなく、その表面又は内部に一対の計測電極を配置し、一対の計測電極が配置された部分を、測定対象ガスの流路内に設置することによって粒子状物質の検出を行うことが可能なものであればよい。
【0058】
例えば、素子基材としては、図6A〜図6C、及び図7に示すように、一方の端部31aに少なくとも一の貫通孔(空洞)32が形成された一方向に長い装置本体31(素子基材)であってもよい。このような装置本体31を用いる場合には、一対の計測電極12a,12bが、上記貫通孔32を形成する一方の壁の内側面又は内部に配設される。この際、図10に示すように、一対の計測電極12a,12bは、測定対象ガスの流入側(即ち、貫通孔32の入口側(図6A参照))における一方の計測電極12aの櫛歯部13と他方の計測電極12bの櫛歯部13との相互の間隔よりも、測定対象ガスの流出側(即ち、貫通孔32の出口側)における一方の計測電極12aの櫛歯部13と他方の計測電極12bの櫛歯部13との相互の間隔が大きくなるように構成される。
【0059】
図6A〜図6C、及び図7に示す粒子状物質検出装置105は、貫通孔32内に流入するガスに含有される粒子状物質を、貫通孔32の壁面に電気的に吸着させ、上記一対の計測電極12a,12bによって、貫通孔32を形成する壁の電気的な特性の変化を測定し、貫通孔32の壁面に吸着された粒子状物質の質量を検出することが可能である。これにより、本実施形態の粒子状物質検出装置105は、貫通孔32内に排ガス等を通過させて、排ガス中に含有される粒子状物質を検出することができる。
【0060】
このような粒子状物質検出装置105は、DPF等の下流側を流れる排ガスに含有される全ての粒子状物質を直接測定するのではなく、貫通孔32内に流入した粒子状物質を測定し、この測定値に基づいて、排ガス全体の粒子状物質量を概算することができる。これにより、従来の検査方法では検知することが不可能であった、微量の粒子状物質の測定を行うことが可能となる。
【0061】
また、このような粒子状物質検出装置105は、上述したように排ガスの全量を測定するものではないため、粒子状物質検出装置105を小型化することができ、狭いスペースに設置することが可能となる。更に、このような小型化に伴って、粒子状物質検出装置105を安価に製造することができる。
【0062】
また、DPF等の下流側を流れる排ガスの全流量が高流量の場合でも、その排ガス(即ち、排ガスに含まれる粒子状物質)の一部だけを貫通孔32内に導入するため、貫通孔32内の粒子状物質を効果的に荷電することができ、誤差の少ない測定値を得ることができる。
【0063】
なお、図7〜図12に示すように、この粒子状物質検出装置105は、貫通孔32を形成する壁の内部に、一対の計測電極12a,12bの埋設位置よりも貫通孔32を形成する壁の外側に埋設された少なくとも一対の集塵電極41,42を備えている。この集塵電極41,42に電圧を印加することより、貫通孔32内に流入するガスに含有される粒子状物質を、貫通孔32の壁面に電気的に吸着させることができる。
【0064】
また、一対の計測電極12a,12bからは、それぞれ装置本体31の他方の端部31bに向かって一対の計測配線16a,16bが延設されており、一対の計測取出端子17a,17bと電気的に接続されている。また、一対の集塵電極41,42は、集塵配線41b,42bを介して、集塵取出端子41a,42aと電気的に接続されている。なお、図6A〜図12に示す粒子状物質検出装置105は、上記各取出端子から配線を介して、図示しない特性測定手段及び粒子状物質量算出手段と電気的に接続されており、一対の計測電極12a,12bによって測定される電気的特性により粒子状物質の検出を行うものである。
【0065】
ここで、図6Aは、本発明の粒子状物質検出装置の更に他の実施形態を模式的に示す正面図であり、図6Bは、図6Aに示す粒子状物質検出装置の一方の側面を示す側面図であり、図6Cは、図6Aに示す粒子状物質検出装置の他方の側面を示す側面図であり、図6Dは、図6Aに示す粒子状物質検出装置の背面図である。また、図7は、図6BのA−A’断面を示す模式図である。また、図8は、図7のB−B’断面を示す模式図であり、図9は、図7のC−C’断面を示す模式図であり、図10は、図7のD−D’断面を示す模式図であり、図11は、図7のE−E’断面を示す模式図であり、図12は、図7のF−F’断面を示す模式図である。
【0066】
図7及び図10に示すように、本実施形態の粒子状物質検出装置105においては、一対の計測電極12a,12bが、貫通孔32が貫通する方向に対して、計測電極12a,12bの櫛歯部13の櫛歯の延びる方向が直交するように配設されていることが好ましい。更に、一対の計測電極12a,12bの櫛骨部14は、貫通孔32を形成する壁のうちの、櫛歯部13が配設される壁から起立する壁の配設位置まで延びて配置されている。即ち、櫛歯部13の各櫛歯の延びる方向において、貫通孔32の形成位置よりも、櫛歯部13を連結する櫛骨部14が外側にまで延設されており、貫通孔32内には、実質的に櫛歯部13のみが配置されている。
【0067】
このように構成することによって、貫通孔32を形成する壁(具体的には、上記櫛歯部13が配設される壁から起立する壁)によって、上述した櫛骨部を被覆する櫛骨被覆部(図7における櫛骨被覆部15)が形成されるため、より高精度の計測を行うことができる。
【0068】
以下、本実施形態の粒子状物質検出装置について、図6A〜図12に示す粒子状物質検出装置105を例に、更に詳細に説明する。
【0069】
[2]粒子状物質検出装置の構成:
図6A〜図6D、及び図7〜図12に示す粒子状物質検出装置105は、一方の端部31aに少なくとも一の貫通孔(空洞)32が形成された一方向に長い装置本体31(素子基材)と、貫通孔32を形成する一方の壁の内側面又は内部に配設された少なくとも一対の計測電極12a,12bと、貫通孔32を形成する対向するそれぞれの壁の内部に、且つ、一対の計測電極12a,12bの埋設位置よりも貫通孔32を形成する壁の外側に埋設され、誘電体で覆われた少なくとも一対の集塵電極41,42と、を備え、排ガス中に含まれる粒子状物質を検出するための粒子状物質検出装置105である。なお、上記集塵電極によって貫通孔内に電界を発生させることにより、貫通孔を通過する気体中に含まれる粒子状物質を、貫通孔を形成する壁の壁面に吸着させることができる。また、この粒子状物質検出装置105は、装置に付着した粒子状物質を燃焼除去するための加熱部13を更に有している。
【0070】
[2−1]装置本体(素子基材):
装置本体は、一方の端部に少なくとも一の貫通孔が形成された一方向に長く構成された、粒子状物質検出装置の基体となる部位である。装置本体は誘電体から構成されており、この貫通孔を形成する対向するそれぞれの壁の内部には少なくとも一対の集塵電極が配置されており、この一対の集塵電極に電圧を印加することにより貫通孔内に電界を発生させることができる。
【0071】
装置本体を構成する誘電体は、例えば、アルミナ、コージェライト、ムライト、ガラス、ジルコニア、マグネシア、及びチタニアからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。中でも、アルミナを好適に用いることができる。このような誘電体からなる装置本体の内部に集塵電極を埋設することにより、誘電体に覆われた集塵電極を形成することが可能となる。そして、粒子状物質検出装置が、優れた耐熱性、耐絶縁破壊特性等を有するものとなる。ここで、「誘電体」とは、導電性よりも誘電性が優位である物質で、直流電圧に対して絶縁体として振舞う物質のことをいう。
【0072】
なお、「装置本体の一方の端部」というときは、装置本体の一方の先端部分31cから、装置本体31の全長の50%の長さに相当する位置までの範囲をいう。また、「装置本体の他方の端部」というときは、装置本体の他方の先端部分31dから、装置本体31の全長の50%の長さに相当する位置までの範囲をいう。なお、装置本体の一方の端部は、好ましくは、装置本体の一方の先端部分31cから、装置本体31の全長の40%の長さに相当する位置までの範囲であり、更に好ましくは、30%の長さに相当する範囲である。また、装置本体の他方の端部は、好ましくは、装置本体の他方の先端部分31dから、装置本体31の全長の40%の長さに相当する位置までの範囲であり、更に好ましくは、30%の長さに相当する範囲である。装置本体31の一方の端部31aと他方の端部31bとの間の位置とは、装置本体31から、上記一方の端部31aと他方の端部31bの範囲を除いた部分ということになる(図6A〜図6D参照)。
【0073】
図6A〜図6Dに示す粒子状物質検出装置105において、装置本体31は、一方向に長く形成され、その長手方向の長さは、特に限定されないが、排ガス配管に挿入したときに排ガス中の粒子状物質を効率よくサンプリングできる長さであることが好ましい。
【0074】
また、装置本体31の厚さ(「装置本体の長手方向」及び「ガスの流通方向」の両方に垂直な方向(厚さ方向)における長さ)は、特に限定されないが、例えば、0.5〜3mm程度が好ましい。ここで、「装置本体31の厚さ」というときは、上記厚さ方向において最も厚い部分の厚さをいう。また、装置本体31の、貫通孔32にガスが流通するときの流通方向における長さ(ガス流通方向の長さ)は、特に限定されないが、例えば、2〜20mm程度が好ましい。そして、装置本体31の長手方向長さは、装置本体31の厚さの10〜100倍であることが好ましく、装置本体31のガス流通方向の長さの3〜100倍であることが好ましい。
【0075】
装置本体31の形状は、図6A〜図6Dに示すように、長手方向に直交する断面形状が長方形の板状であってもよいし、図示は省略するが、当該断面形状が円形、楕円形等の棒状であってもよい。また、一方向に長い形状であれば、その他の形状であってもよい。
【0076】
粒子状物質検出装置105において、貫通孔32の形状、及び大きさは特に限定されず、排ガスを通過させ、粒子状物質の量を測定できるものであればよい。例えば、貫通孔32の、検出装置本体の長手方向における長さは、2〜20mm程度が好ましい。また、貫通孔32の、集塵電極41,42で挟まれる部分の幅(検出装置本体の長手方向、及びガスの流通方向の両方に垂直な方向における長さ)は、3〜30mm程度が好ましい。
【0077】
なお、貫通孔32の大きさを上記範囲とすることにより、粒子状物質を含む排ガスを貫通孔32内に十分に流通させることができ、更に、集塵電極41,42で発生する電界により貫通孔32内に粒子状物質を効果的に吸着させることが可能となる。
【0078】
装置本体31は、複数のテープ状セラミック(セラミックシート)が積層されてなるものであることが好ましい。これにより、複数のテープ状セラミックを、それぞれの間に各電極、配線等を挟みながら積層して粒子状物質検出装置を作製することができるため、粒子状物質検出装置を効率的に製造することが可能となる。
【0079】
[2−2]計測電極:
計測電極は、貫通孔を形成する一方の壁の内側面又は内部に少なくとも一対配置されたものであり、集塵電極によって貫通孔の壁面に粒子状物質を電気的に吸着させることにより生じる、貫通孔を形成する壁の電気的特性の変化に基づいて、排気系を通過する排ガスに含まれる粒子状物質を検出するための電極である。
【0080】
本実施形態の粒子状物質検出装置105に用いられる一対の計測電極12a,12bは、平面的に配列された複数の櫛歯部13と、各計測電極12a,12bの複数の櫛歯部13をその一端で連結する櫛骨部14とを有する櫛歯状の電極であり、それぞれの計測電極12a,12bの櫛歯部13が、隙間を空けて相互にかみ合わされるように配置されている。
【0081】
更に、本実施形態の粒子状物質検出装置105に用いられる一対の計測電極12a,12bは、測定対象ガスの流入側18(即ち、貫通孔32の入口側)における一方の計測電極12aの櫛歯部13と他方の計測電極12bの櫛歯部13との相互の間隔よりも、測定対象ガスの流出側19(即ち、貫通孔32の出口側)における一方の計測電極12aの櫛歯部13と他方の計測電極12bの櫛歯部13との相互の間隔が大きくなるように構成されている。なお、櫛歯部13bの間隔は、流入側の一の領域から流出側の他の領域に向けて、各領域毎に段階的に増大するように構成されていてもよいし、流入側から流出側に向けて漸増するように構成されていてもよい。
【0082】
計測電極(櫛歯部13及び櫛骨部14)の厚さは特に限定されず、例えば、5〜30μmであることが好ましい。また、計測電極の材質としては、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等を挙げることができる。
【0083】
計測電極を構成する櫛歯部の幅については特に制限はないが、例えば、30〜400μmであることが好ましく、50〜300μmであることが更に好ましく、80〜250μmであることが特に好ましい。また、各計測電極に配置される櫛歯部の本数についても制限はないが、例えば、少なくとも各3本以上であることが好ましく、3〜20本であることが更に好ましく、4〜8本であることが特に好ましい。このように構成することによって、より高精度の粒子状物質の検出を行うことができる。
【0084】
隣接する一方の計測電極の櫛歯部と、他方の計測電極の櫛歯部との間隔(即ち、櫛歯部が相互にかみ合わされるように配置される間隔)は、例えば、流入側における最も狭い間隔としては、30〜300μmであることが好ましく、40〜200μmであることが更に好ましく、80〜150μmであることが特に好ましい。一方、流出側における最も広い間隔としては、50〜1500μmであることが好ましく、80〜1000μmであることが更に好ましく、150〜500μmであることが特に好ましい。このように構成することによって、測定対象ガスの流れ方向に、検出面を順次良好に移行させることができ、粒子状物質の付着による検出部が飽和してしまうまでの期間を長くすることができる。
【0085】
また、粒子状物質検出装置105の一対の計測電極12a,12bは、計測配線16a,16bを介して、装置本体31の他方の端部31bに、それぞれの計測取出端子17a,17b(以下、単に「取出端子17a,17b」ということがある)を有している。この計測取出端子17a,17bは、特性測定手段20及び粒子状物質量算出手段21(図1A参照)と電気的に接続されており、一対の計測電極12a,12bによって計測される電気的特性の変化に基づいて、粒子状物質の検出が行われる。
【0086】
なお、このように、一対の計測電極12a,12bの取出端子17a,17bを、装置本体31の他方の端部31bに配設することにより、貫通孔32が配設される部分(即ち、一方の端部31a)と取出端子17a,17bとの間隔を大きくとることができるため、貫通孔32等が配設される一方の端部31aだけを高温の排ガスが流通する配管内に挿入し、取出端子17a,17bが配設されている他方の端部31b側を配管から外に出した状態にすることが可能となる。取出端子17a,17bを高温にすると、粒子状物質の検出精度が低下し、安定した検出が行い難くなることがあったり、長期にわたって使用した場合に電気端子と外部に接続するためのハーネスとの接点不良が発生し測定不能になったりすることがあるため、取出端子17a,17bを配管の外に出し、高温に曝されない状態とすることにより、精度の高い、安定した粒子状物質の検出を行うことが可能となる。
【0087】
装置本体31の他方の端部31bに配設された取出端子17a,17bは、図6Bに示すように、装置本体31の他方の端部31bの側面に、長手方向に延びるように配置されていることが好ましい。なお、図6Bにおいては、装置本体31の他方の端部31bは、幅が狭くなっているが、他方の端部31bの幅は、このように狭くなっていてもよいし、狭くなっていなくてもよい。取出端子17a,17bの形状及び大きさは、特に限定されるものではないが、例えば、幅0.1〜2.0mm、長さ0.5〜20mmの帯状であることが好ましい。取出端子17a,17bの材質としては、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)等を挙げることができる。
【0088】
[2−3]集塵電極:
集塵電極は、貫通孔を形成する対向するそれぞれの壁の内部に、且つ、上記一対の計測電極の埋設位置よりも貫通孔を形成する壁の外側に埋設され、装置本体を構成する誘電体で覆われた電極である。このような集塵電極41,42間に所定の電圧を印加することにより、貫通孔32内に電界を発生させることができる。
【0089】
集塵電極は、貫通孔を形成する壁の内部に埋設され、貫通孔32内に電界を発生させることができるものであれば、その形状については特に制限はない。本実施形態の粒子状物質検出装置105においては、集塵電極の一方の電極が、図8に示すように、一対の計測電極12a,12bが配置された壁と貫通孔32を隔てて反対側の壁の内部に配置された(図7参照)、高電圧が印加される高電圧集塵電極41であり、また、集塵電極の他方の電極が、図11に示すように、一対の計測電極12a,12bが配置された壁と同一側の壁の内部に配置された(図7参照)、接地された接地集塵電極42である。それぞれの集塵電極の厚さは特に限定されず、例えば、5〜30μmであることが好ましい。また、集塵電極の材質としては、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等を挙げることができる。
【0090】
集塵電極41,42の形状及び大きさは、特に限定されるものではなく、貫通孔32内に電界を発生させることが可能であればよい。例えば、形状としては、長方形、円形、長円形等を挙げることができる。また、集塵電極41,42の大きさは、例えば、貫通孔32の、側面から見たときの面積の70%以上であることが好ましい。
【0091】
例えば、図8においては、高電圧集塵電極41が、貫通孔と略同じ大きさに形成された場合の例を示している。この高電圧集塵電極41には、装置本体31の長手方向に延びる集塵配線41b(以下、単に「配線」ということがある)が接続されており、配線41bが、その先端(電極41に接続されていない側の先端)部分で、図6Bに示す集塵取出端子41a(以下、単に「取出端子」ということがある)に層間接続(ビア接続)されている。配線41bの幅は、特に限定されず、例えば、0.2〜1mm程度が好ましい。また、配線41bの厚さは、特に限定されず、例えば、5〜30μm程度が好ましい。また、配線41bの材質としては、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等を挙げることができる。
【0092】
なお、一対の集塵電極の両方の取出端子を、装置本体の他方の端部に配設してもよいが、図6A〜図6Dに示すように、接地された集塵電極(接地集塵電極42)の取出端子42a(集塵取出端子)を装置本体31の他方の端部31bに配設し、高電圧集塵電極31の取出端子41aを、装置本体31の一方の端部31aと他方の端部31bとの間の位置に配設することが好ましい。これにより、接地集塵電極42の取出端子42aと、高電圧集塵電極41の取出端子41aとを、間隔を開けて配設することができる。このため、一対の集塵電極41,42間に電圧を印加するために、取出端子41aと取出端子42aとの間に電圧を印加したときに、装置本体31の表面に沿面放電が生じることを有効に防止することができる。
【0093】
粒子状物質検出装置105においては、取出端子41aと取出端子42aとの間の距離が、5〜100mmであることが好ましく、10〜70mmであることが更に好ましい。5mmより短いと沿面放電による短絡がし易くなることがある。一方、100mmより長いと、取出端子41aが配管の外に位置するように、粒子状物質検出装置105の装置本体31を配管等に装着したときに、装置本体31の配管の外側に突き出る部分が長くなりすぎ、装置本体31を狭い空間に取り付けることが難しくなることがある。
【0094】
また、装置本体31の一方の端部31aと他方の端部31bとの間の位置に配設した取出端子31aと、貫通孔32との間の距離は、10mm以上であることが好ましく、20mm以上であることが更に好ましい。10mmより短いと、粒子状物質検出装置105を、貫通孔32の部分が配管内に挿入されるように、配管に装着したときに、配管内を流通する高温の排ガスの熱が取出端子41aに影響を及ぼし易くなることがある。
【0095】
高電圧集塵電極41の取出端子41aの形状及び大きさは、特に限定されるものではない。例えば、幅0.5〜3mm、長さ0.5〜3mmの四角形等の多角形状であることが好ましいが、円形、楕円形、レーストラック形状、その他の形状等であってもよい。取出端子41aの材質としては、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ステンレス、コバール等を挙げることができる。
【0096】
高電圧集塵電極41と貫通孔32との間の距離、及び接地集塵電極42と貫通孔32との間の距離は、50〜500μmであることが好ましく、100〜300μmであることが更に好ましい。このような範囲とすることにより、効果的に貫通孔内に電界を生じさせることができる。各集塵電極41,42と、貫通孔32との間の距離は、各集塵電極41,42を覆う誘電体の、貫通孔32に面する部分の厚さということになる。
【0097】
集塵電極により発生する電界の条件としては、ギャップ(一対の集塵電極相互間の距離)やガス温度によって変わるが50〜200kV/cmが好ましい。
【0098】
粒子状物質検出装置105は、貫通孔32内に流入する流体(即ち、排ガス)に含有される粒子状物質を、貫通孔32の壁面に電気的に吸着させ、粒子状物質を吸着させたことによる電気的特性の変化を読み取り、排ガス中に含まれる粒子状物質を検出するものである。排ガス中の粒子状物質が、貫通孔32内に流入する前から既に荷電されている場合には、貫通孔32内に発生させた電界によって粒子状物質を吸着させる。一方、粒子状物質が荷電されていない場合には、貫通孔32内に発生させた電界によって粒子状物質を荷電し、貫通孔32の壁面に荷電した粒子状物質を電気的に吸着させる。
【0099】
[2−4]特性測定手段及び粒子状物質量算出手段:
特性測定手段及び粒子状物質量算出手段は、一対の計測電極間の電気的特性を検出するためのものである。具体的には、例えば、測定する電気的特性が静電容量である場合には、アジレント・テクノロジー社製のLCRメータ4263B等を用いることができる。なお、特性測定手段及び粒子状物質量算出手段は、一対の電極間の電気的特性を測定することによって粒子状物質の検出を行う従来公知の粒子状物質検出装置に用いられる各手段を用いることができる。
【0100】
図6A〜図6Dに示す粒子状物質検出装置105においては、計測電極12a,12bの取出端子と、特性測定手段20及び粒子状物質量算出手段21(図1A参照)とが電気的に接続されており、計測電極12a,12bの電気的特性を検出することができるように構成されている。
【0101】
[2−5]加熱部:
図7及び図12に示す粒子状物質検出装置105は、貫通孔32の壁面(装置本体31の側面に並行する壁面)に沿うようにして装置本体31の内部に配設(埋設)された加熱部43を備えている。この加熱部43によって装置を加熱することにより、貫通孔32を形成する壁に吸着された粒子状物質を加熱酸化させることができる(即ち、装置を再生することができる)。また、粒子状物質の質量測定時等において、貫通孔32の内部空間を所望の温度に調節し、貫通孔32を形成する壁の電気的な特性の変化を安定的に測定するための温調を行うことができる。
【0102】
加熱部43は、幅広のフィルム状であってもよいが、図12に示すように、線状の金属材料を、波状に配置し、先端部分でU−ターンするように配置したものであることが好ましい。このような形状にすることにより、貫通孔内部を均一に加熱し、装置本体31や一対の計測電極12a,12bに付着した粒子状物質を除去することができる。
【0103】
加熱部43の材質としては、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等を挙げることができる。加熱部43は、貫通孔32の壁面に沿うようにして装置本体31の内部に埋設されることが好ましいが、図12に示すように、貫通孔32が配置されている位置だけでなく、更に装置本体31の他方の端部31b側に延びるように形成されていてもよい。これにより、貫通孔内部と貫通孔付近との温度差を小さくでき、急加熱しても素子(検出装置本体)の破損が起きにくいという利点がある。加熱部により、貫通孔の内部空間の温度を650℃まで上昇できることが好ましい。
【0104】
また、図12においては、二本の配線によって二つの加熱部43が形成された場合の例を示しているが、加熱部は一つであってもよいし、三つ以上の複数であってもよい。また、図示は省略するが、貫通孔が形成される両側の壁に、それぞれ加熱部が配置されていてもよい。即ち、加熱部の配置及び数は、捕集した粒子状物質の酸化除去や、温度調節等の目的を達成するために必要な配置及び数とすることができる。
【0105】
また、図12に示す加熱部43は、加熱配線43b(以下、単に「配線43b」ということがある)に接続され、それぞれの配線43bは、図6Cに示すように、各取出端子43a(加熱取出端子)に層間接続されている。加熱部43の取出端子43aも、計測電極12a,12bの取出端子17a,17bの場合と同様に、装置本体31の一方の端部31a側が加熱されたときの熱の影響を回避するために、装置本体31の他方の端部31bに配設されることが好ましい。図6Dにおいては、四つの取出端子43aが、装置本体31の他方の側面側に、四本が並ぶように配置されているが、取出端子43aの配置は、このような配置に限定されるものではない。
【0106】
[3]粒子状物質検出装置の製造方法:
次に、本実施形態の粒子状物質検出装置の製造方法について、図6A〜図6Dに示す粒子状物質検出装置105を製造する方法を例に説明する。なお、本発明の粒子状物質検出装置を製造する方法については、以下の製造方法に限定されるものではない。
【0107】
[3−1]成形原料の調製:
まず、装置本体31(素子基材)を製造するための成形原料を調製する。具体的には、例えば、アルミナ、コージェライト化原料、ムライト、ガラス、ジルコニア、マグネシア、及びチタニアからなる群より選択される少なくとも一種のセラミック原料(誘電体原料)と、成形原料として使用する他の成分とを混合し、スラリー状の成形原料を調製する。セラミック原料(誘電体原料)としては、上記原料が好ましいが、これに限定されるものではない。他の原料としては、バインダー、可塑剤、分散剤、分散媒等を使用することが好ましい。
【0108】
バインダーとしては、特に限定されるものではないが、水系バインダー、非水系バインダーのどちらでもよく、水系バインダーとしてはメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド等を好適に使用でき、非水系バインダーとしてはポリビニルブチラール、アクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等を好適に使用することができる。アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等を挙げることができる。
【0109】
バインダーの添加量は、誘電体原料100質量部に対して、3〜20質量部であることが好ましく、6〜17質量部であることが更に好ましい。このようなバインダー含有量とすることにより、スラリー状の成形原料を成形してグリーンシートを成形したとき、及び、乾燥、焼成したときに、クラック等の発生を防止することが可能となる。
【0110】
可塑剤としては、グリセリン、ポリエチレングリコール、ジブチルフタレート、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル等を使用することができる。
【0111】
可塑剤の添加量は、バインダー添加量100質量部に対して、30〜70質量部であることが好ましく、45〜55質量部であることが更に好ましい。70質量部より多いと、グリーンシートが柔らかくなりすぎ、シートを加工する工程において変形しやすくなることがあり、30質量部より少ないと、グリーンシートが硬くなりすぎ、曲げただけでクラックが入るなどハンドリング性が悪くなることがある。
【0112】
分散剤としては、水系ではアニオン系界面活性剤、ワックスエマルジョン、ピリジン等を使用することができ、非水系では脂肪酸、リン酸エステル、合成界面活性剤等を使用することができる。
【0113】
分散剤は、誘電体原料100質量部に対して、0.5〜3質量部であることが好ましく、1〜2質量部であることが更に好ましい。0.5質量部より少ないと、誘電体原料の分散性が低下することがあり、グリーンシートにクラック等が生じることがある。3質量部より多いと、誘電体原料の分散性は変わらずに焼成時の不純物を増やすことになる。
【0114】
分散媒としては、水等を使用することができる。分散媒は、誘電体原料100質量部に対して、50〜200質量部であることが好ましく、75〜150質量部であることが更に好ましい。
【0115】
上記各原料をアルミナ製ポット及びアルミナ玉石を用いて十分に混合してグリーンシート製作用のスラリー状の成形原料を作製する。また、これらの材料を、モノボールによりボールミル混合して作製してもよい。
【0116】
次に、得られたグリーンシート製作用のスラリー状の成形原料を、減圧下で撹拌して脱泡し、さらに所定の粘度となるように調製する。成形原料の調製において得られるスラリー状の成形原料の粘度は、2.0〜6.0Pa・sであることが好ましく、3.0〜5.0Pa・sであることが更に好ましく、3.5〜4.5Pa・sであることが特に好ましい。粘度範囲をこのように調整すると、スラリーをシート状に成形し易くなるため好ましい。スラリー粘度は、高過ぎても低過ぎても成形し難くなることがある。なお、スラリーの粘度は、B型粘度計で測定した値である。
【0117】
[3−2]成形加工:
次に、上記方法により得られたスラリー状の成形原料をテープ状に成形加工して、一方向に長いグリーンシートを作製する。成形加工方法は、成形原料をシート状に成形してグリーンシートを形成することができれば特に限定されず、ドクターブレード法、プレス成形法、圧延法、カレンダーロール法等の公知の方法を使用することができる。このとき、グリーンシートを積層したときに貫通孔が形成されるように、貫通孔形成用のグリーンシートを作製する。製造するグリーンシートの厚さは、50〜800μmであることが好ましい。
【0118】
得られたグリーンシートの表面に各電極(一対の計測電極及び集塵電極)、配線、加熱部、及び取出端子を配設する。図6A〜図6Dに示す粒子状物質検出装置105を作製する際には、図8〜図12に示されるように、各電極、配線、加熱部、及び取出端子が所定の位置に配設されるように、グリーンシートの対応する位置に各電極、配線、加熱部、及び取出端子を印刷することが好ましい。特に、計測電極を形成(例えば、印刷)する場合には、測定対象ガスの流入側における一方の計測電極の櫛歯部と他方の計測電極の櫛歯部との相互の間隔よりも、測定対象ガスの流出側における一方の計測電極の櫛歯部と他方の計測電極の櫛歯部との相互の間隔が大きくなるように形成する。
【0119】
各電極、配線、加熱部、及び取出端子を形成(印刷)するための導体ペーストは、各電極、配線等のそれぞれの形成に必要なそれぞれの材質に合わせて、金、銀、白金、ニッケル、モリブデン、及びタングステンからなる群より選択される少なくとも一種を含有する粉末に、バインダー及びテルピネオール等の溶剤を加え、トリロールミル等を用いて十分に混錬して調製することができる。このようにして形成した、各電極、配線等の形成に必要な材質を含有するそれぞれの導体ペーストを、グリーンシートの表面にスクリーン印刷等を用いて印刷して、所定の形状の各電極、配線、加熱部、及び取出端子を形成する。
【0120】
更に具体的には、複数のグリーンシートを作製し、それらのなかの二つのグリーンシートについて、それぞれの一方の面に集塵電極を配設し、配設したそれぞれの集塵電極に対して必要に応じて配線を配設して、集塵電極配設グリーンシートを二つ形成する。
【0121】
更に、他の一つのグリーンシートについて、装置本体の貫通孔が形成される位置に、一対の計測電極の櫛歯部を配設して、計測電極配設グリーンシートを形成する。なお、この際、それぞれの計測電極から検出装置本体の他方の端部に向かって延びる一対の計測配線を配設する。
【0122】
更に、計測電極配設グリーンシートと重ねたときに、計測電極の櫛歯部と重なる位置に貫通孔が形成されるような切断部を形成して切断部形成グリーンシートを形成する。
【0123】
更に、別の他の一つのグリーンシートについて、少なくとも貫通孔が形成される位置に、加熱部を配設して、加熱部配設グリーンシートを形成する。この加熱部配設グリーンシートについても、装置本体の他方の端部に向かって延びる配線を配設する。
【0124】
その後、二つの集塵電極配設グリーンシートのそれぞれに、他の電極等が配設されていないグリーンシートを重ねて集塵電極及び配線をグリーンシートで覆った状態として、集塵電極埋設グリーンシートとする。そして、二つの集塵電極埋設グリーンシートで計測電極配設グリーンシート及び切断部形成グリーンシートを挟むように積層し、更に、その外側に加熱部配設グリーンシートを積層して、二つの集塵電極で切断部を挟んだ状態のグリーンシート積層体を形成する。
【0125】
上記複数のグリーンシートの積層は、同時に行ってもよいし、例えば、集塵電極埋設グリーンシートをまず作製してから、他のグリーンシートと積層してもよい。積層は加圧しながら行うことが好ましい。
【0126】
上記本発明の粒子状物質検出装置の製造方法は、複数のグリーンシートに所望の電極等を配設して、電極等を配設したグリーンシートを積層し、乾燥、焼成して粒子状物質検出装置を製造するため、効率的に本発明の粒子状物質検出装置を製造することができる。
【0127】
[3−3]焼成:
次に、グリーンシート積層体を乾燥、焼成して、粒子状物質検出装置を得る。更に具体的には、得られた、グリーンシート積層体を60〜150℃で乾燥し、1200〜1600℃で焼成して粒子状物質検出装置を作製する。グリーンシートが有機バインダーを含有する場合には、焼成の前に、400〜800℃で脱脂することが好ましい。
【実施例】
【0128】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0129】
(実施例1)
(成形原料の調製)
アルミナを誘電体原料として使用し、バインダーとしてポリビニルブチラール、可塑剤としてフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、分散剤としてソルビタントリオレエートを使用し、分散媒として有機溶剤(キシレン:ブタノール=6:4(質量比))を使用し、これらをアルミナ製ポットに入れて混合し、グリーンシート製作用のスラリー状の成形原料を作製した。各原料の使用量は、アルミナ100質量部に対して、バインダー7質量部、可塑剤3.5質量部、分散剤1.5質量部、有機溶剤100質量部とした。
【0130】
次に、得られたグリーンシート製作用のスラリー状の成形原料を、減圧下で撹拌して脱泡し、粘度4Pa・sとなるように調製した。スラリーの粘度は、B型粘度計で測定した。
【0131】
(成形加工)
次に、上記方法により得られたスラリー状の成形原料をドクターブレード法を用いてシート状に成形加工した。この際、グリーンシートを積層したときに貫通孔が形成されるように、切断部形成グリーンシートも作製した。グリーンシートの厚さは、250μmとした。
【0132】
得られたグリーンシートの表面に、図7〜図12に示されるような一対の計測電極、集塵電極、各配線、及び各取出端子を形成した。配設する各電極、配線、及び取付端子を形成するための導体ペーストは、白金粉末に、溶剤として2−エチルヘキサノール、バインダーとしてポリビニルブチラール、可塑剤としてフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、分散剤としてソルビタントリオレエート、グリーンシートの共生地としてアルミナ、焼結助剤としてガラスフリットを加え、らいかい機及びトリロールミルを用いて十分に混錬して調製した(質量比で、白金:アルミナ:ガラスフリット:2−エチルヘキサノール:ポリビニルブチラール:フタル酸ジ−2−エチルヘキシル:ソルビタントリオレエート=80:15:5:50:7:3.5:1)。
【0133】
また、加熱部を形成するための導体ペーストは、タングステン粉末に、溶剤として2−エチルヘキサノール、バインダーとしてポリビニルブチラール、可塑剤としてフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、分散剤としてソルビタントリオレエート、グリーンシートの共生地としてアルミナ、焼結助剤としてガラスフリットを加え、らいかい機及びトリロールミルを用いて十分に混錬して調製した(質量比で、タングステン:アルミナ:ガラスフリット:2−エチルヘキサノール:ポリビニルブチラール:フタル酸ジ−2−エチルヘキシル:ソルビタントリオレエート=75.5:15:5:50:7:3.5:1)。
【0134】
各電極、接地電極、各配線、各取り出し端子、及び加熱部の形成は、上記の方法によって得られた各ペーストを用いて、スクリーン印刷により行った。実施例1においては、各計測電極を、幅100μm、長さ8mmの5本の櫛歯部が、その一端で、幅200μm、長さ3.5mm櫛骨部によって連結されたものとした。なお、最も流入側に位置する隣接する櫛歯部相互の間隔は、100μmであり、流出側に向けて、櫛歯部相互の間隔が、20μmずつ漸増するように構成した。即ち、流入側から2番目の櫛歯部の間隔が120μmとなり、最終的に、最も流出側の櫛歯部の間隔が260μmとなる。
【0135】
各電極等を配設したグリーンシートの積層は、グリーンシートを加熱可能な一軸プレス機を用いて加圧積層し、グリーンシート積層体からなる粒子状物質検出装置の未焼成体を得た。
【0136】
(焼成)
得られた、グリーンシート積層体を120℃で乾燥し、1500℃で焼成して粒子状物質検出装置を作製した。得られた粒子状物質検出装置は、0.7cm×0.2cm×12cmの直方体において、他方の端部が、図6Bに示すように細くなった形状であった。細くなった他方の端部は、幅4.25cm、長さ1.2cmであった。
【0137】
(粒子状物質検出装置の作製)
得られた粒子状物質検出装置に、特性測定手段及び粒子状物質量算出手段としてのアジレント・テクノロジー社製のLCRメータ4263Bを電気的に接続し、一対の計測電極間の静電容量を測定することによって、粒子状物質の検出を行えるようにした。
【0138】
(粒子状物質の測定)
このようにして得られた実施例1の粒子状物質検出装置を用いて、粒子状物質の検出を行った。具体的には、粒子状物質(煤)の濃度を1mg/mとして2分測定して、その静電容量の変化量を測定し、その後、粒子状物質(煤)の濃度を、順次、1mg/mずつ増加させて、濃度が12mg/mになるまで、それぞれ静電容量の変化を測定した。
【0139】
なお、同時に、排ガス中の粒子状物質量(煤)の濃度[mg/m]は、スモークメータ(AVL社製、商品名:型式4158)により測定した。実施例1の粒子状物質検出装置によって測定された静電容量の変化量ΔC([pF])と、粒子状物質量の濃度[mg/m]との関係を図13に示す。図13は、実施例1の粒子状物質検出装置によって測定された静電容量の変化量ΔC([pF])と、粒子状物質量の濃度[mg/m]との関係を示すグラフであり、横軸が粒子状物質量の濃度[mg/m]、縦軸が静電容量の変化量ΔC([pF])を示す。
【0140】
(実施例2)
流入側から櫛歯部が相互に5本ずつかみ合わさる部分の間隔を、それぞれ100μmとし、流出側の残りの櫛歯部が相互に5本ずつかみ合わさる部分の間隔を、それぞれ200μmとして計測電極を形成した以外は、実施例1と同様にして実施例2の粒子状物質検出装置を作製した。
【0141】
(比較例1)
流入側から流出側にかけて、それぞれの櫛歯部の間隔が100μmとなるように(即ち、櫛歯部の間隔が一定となるように)計測電極を形成した以外は、実施例1と同様にして比較例1の粒子状物質検出装置を作製した。
【0142】
得られた実施例2及び比較例1の粒子状物質検出装置を用いて、実施例1と同様の方法によって粒子状物質の測定を行った。実施例2及び比較例1の粒子状物質検出装置によって測定された静電容量の変化量ΔC([pF])と、粒子状物質量の濃度[mg/m]との関係を図13に示す。
【0143】
(結果)
図13に示すように、実施例1及び2の粒子状物質検出装置は、高濃度の粒子状物質を検出する場合においても、継続的に良好な測定を行うことができた。一方、比較例1においては、粒子状物質(煤)の濃度が3mg/mを超えた付近で、粒子状物質(煤)によって検出部(櫛歯部)が飽和し、更に粒子状物質が付着しても、電気的特性がほとんど変化しないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明の粒子状物質検出装置は、DPFの欠陥の発生を即座に検知し、装置の異常を認識するために好適に利用することができ、これにより大気汚染の防止に貢献することができる。
【符号の説明】
【0145】
11:素子基材、12:一対の計測電極、12a,12b:計測電極、13:櫛歯部、14:櫛骨部、15:櫛骨被覆部、16,16a,16b:計測配線、17a,17b:計測取出端子、18:流入側、19:流出側、20:特性測定手段、21:粒子状物質量算出手段、22:電極保護膜、31:装置本体、31a:一方の端部、31b:他方の端部、31c:一方の先端部分、31d:他方の先端部分、32:貫通孔、41:集塵電極(高電圧集塵電極)、42:集塵電極(接地集塵電極)、41a,42a:集塵取出端子、41b,42b:集塵配線、43:加熱部、43a:加熱取出端子、43b:加熱配線、100,101,102,103,104,105:粒子状物質検出装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の素子基材、前記素子基材に配設された一対の計測電極、前記一対の計測電極の間における電気的特性の測定をする特性測定手段、及び前記特性測定手段で測定をされた電気的特性の変化量に基づいて前記一対の計測電極及びその周囲に集塵された粒子状物質の量を求める粒子状物質量算出手段、を備え、
一対の前記計測電極を構成するそれぞれの計測電極は、平面的に配列された複数の櫛歯部と、各前記計測電極の前記複数の櫛歯部をその一端で連結する櫛骨部とを有する櫛歯状の電極であり、
複数の前記櫛歯部は、測定対象ガスの流れ方向に対して垂直方向に各櫛歯が延びるように、且つ、前記測定対象ガスの流入側における一方の前記計測電極の前記櫛歯部と他方の前記計測電極の前記櫛歯部との相互の間隔よりも、前記測定対象ガスの流出側における一方の前記計測電極の前記櫛歯部と他方の前記計測電極の前記櫛歯部との相互の間隔が大きくなるように、前記素子基材に配設されてなる粒子状物質検出装置。
【請求項2】
前記測定対象ガスの流入側の一の領域における前記櫛歯部相互の間隔よりも、前記一の領域よりも前記測定対象ガスの流出側の他の領域における前記櫛歯部相互の間隔が大であり、流入側の前記一の領域から流出側の前記他の領域に向けて、前記櫛歯部相互の間隔が各領域毎に段階的に増大するように構成されてなる請求項1に記載の粒子状物質検出装置。
【請求項3】
一方の前記計測電極の前記櫛歯部と他方の前記計測電極の前記櫛歯部との相互の間隔の少なくとも一部が、前記測定対象ガスの流入側から流出側に向けて漸増するように構成されてなる請求項1又は2に記載の粒子状物質検出装置。
【請求項4】
前記測定対象ガスの流入側における一方の前記計測電極の前記櫛歯部と他方の前記計測電極の前記櫛歯部との相互の間隔に対して、前記測定対象ガスの流出側における一方の前記計測電極の前記櫛歯部と他方の前記計測電極の前記櫛歯部との相互の間隔が1.5〜10倍である請求項1〜3のいずれか一項に記載の粒子状物質検出装置。
【請求項5】
少なくとも一方の前記計測電極の前記櫛骨部は、誘電体からなる櫛骨被覆部によって被覆されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の粒子状物質検出装置。
【請求項6】
前記一対の計測電極の表面の少なくとも一部が、前記櫛骨被覆部よりも厚さが薄い誘電体からなる電極保護膜によって被覆されている請求項5に記載の粒子状物質検出装置。
【請求項7】
前記素子基材が、一方の端部に少なくとも一の貫通孔が形成された一方向に長い装置本体であり、且つ、
前記一対の計測電極の前記櫛歯部が、前記貫通孔を形成する一方の壁の内側面又は内部に配置され、前記一対の計測電極の前記櫛骨部は、前記貫通孔を形成する壁のうちの、前記櫛歯部が配設される壁から起立する壁の配設位置まで延びて配置されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の粒子状物質検出装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−47597(P2012−47597A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189926(P2010−189926)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】