説明

粒状洗剤組成物およびその製造方法

【課題】 良好な香気を有し、且つ、その香気の安定性に優れた粒状洗剤組成物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 マグネシウムを含有する金属酸化物および金属水酸化物の少なくとも一方と、アルキレンオキサイド付加物と、香料とを含み、前記アルキレンオキサイド付加物が、アルキレンオキサイド付加モル数の異なる複数の分子種を含む混合物であって、前記アルキレンオキサイド付加物において、最も多く存在する分子種のアルキレンオキサイド付加モル数をnMAXとしたとき、nMAXが1以上の整数であり、且つ、エチレンオキシド付加モル数が(nMAX−2)〜(nMAX+2)の範囲である分子種の占める割合が50質量%以上である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルキレンオキサイド付加物を含有する粒状洗剤組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】粒状洗剤組成物として、アルコールまたはエステルなどにアルキレンオキサイドを付加したアルキレンオキサイド付加物を配合したものが各種提案されている。アルキレンオキサイド付加物は、洗浄力が水の硬度の影響を受け難く、生分解性が良好であり、安全性に優れるなどの特長を有している。
【0003】しかしながら、アルキレンオキサイド付加物は、一般に、アルコールなどの未反応物に由来した不快臭を有している。そのため、これを配合した粒状洗剤組成物は、溶解時に不快臭を発生させるという問題があった。この問題を解決する手段として、粒状洗剤組成物に香料を配合することによって、アルキレンオキサイド付加物の不快臭をマスキングすることが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の粒状洗剤組成物においては、アルキレンオキサイド付加物の不快臭が強いため、これを香料の配合によって十分にマスキングすることは困難であるという問題があった。また、従来の粒状洗剤組成物においては、その保存中に香料が劣化するため、長期間にわたって香気を持続させることが困難であった。
【0005】本発明は、良好な香気を有し、且つ、その香気の安定性に優れた粒状洗剤組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明の粒状洗剤組成物は、マグネシウム含有金属酸化物およびマグネシウム含有金属水酸化物の少なくとも一方と、アルキレンオキサイド付加物と、香料とを含み、前記アルキレンオキサイド付加物が、アルキレンオキサイド付加モル数の異なる複数の分子種を含む混合物であり、前記アルキレンオキサイド付加物において、下記式(I)で表されるナロー度が50質量%以上である。
【0007】
【数2】


【0008】前記式(I)において、nMAXは、前記アルキレンオキサイド付加物において最も多く存在する分子種の付加モル数であって、1以上の整数であり、Yiは、前記アルキレンオキサイド付加物において付加モル数がiである分子種の占める質量%である。
【0009】また、前記ナロー度は、好ましくは55質量%以上であり、更に好ましくは60質量%以上である。
【0010】また、前記アルキレンオキサイド付加物において最も多く存在する分子種の質量%(すなわち、YnMAX)は、10質量%を超え、好ましくは12質量%以上、更に好ましくは14質量%以上である。
【0011】このように、本発明の粒状洗剤組成物を構成するアルキレンオキサイド付加物は、狭い付加モル分布を有しているため、その未反応物に由来する不快臭が少ない。従って、香料の配合によって不快臭が十分にマスキングされ、良好な香気を有する粒状洗剤組成物とすることができる。加えて、マグネシウム含有金属酸化物およびマグネシウム含有金属水酸化物の少なくとも一方を添加することにより、香料の劣化が抑制されるため、粒状洗剤組成物の香気の安定性を向上させることができる。更に、粒状洗剤組成物の白度が向上するという利点をも有している。
【0012】次に、本発明の第1の粒状洗剤組成物の製造方法は、マグネシウム含有金属酸化物およびマグネシウム含有金属水酸化物の少なくとも一方とアルキレンオキサイド付加物とを含む混合物を得る工程と、前記混合物を香料および洗剤原料とともに造粒する工程とを含む。
【0013】前記第1の製造方法においては、マグネシウム含有金属酸化物およびマグネシウム含有金属水酸化物の少なくとも一方を触媒として用いて、有機化合物とアルキレンオキサイドとを反応させることにより、前記アルキレンオキサイド付加物を得る工程を含むことが好ましい。更には、前記アルキレンオキサイド付加物が、アルキレンオキサイド付加モル数の異なる複数の分子種を含む混合物であって、前記式(I)で表されるナロー度が50質量%以上であることが好ましい。
【0014】このような製造方法によれば、前述した本発明の粒状洗剤組成物を得ることができる。
【0015】また、本発明の第2の粒状洗剤組成物の製造方法は、マグネシウム含有金属酸化物およびマグネシウム含有金属水酸化物の少なくとも一方を触媒として用いて、有機化合物とアルキレンオキサイドとを反応させることにより、アルキレンオキサイド付加物と前記触媒とを含む反応組成物を得る工程と、前記触媒を残存させた状態で前記反応組成物を香料および洗剤原料とともに造粒する工程とを含む。
【0016】このような製造方法によっても、本発明の粒状洗剤組成物を製造することができる。また、この製造方法においては、アルキレンオキサイド付加反応後に反応組成物から触媒を分離することなく、この触媒をそのまま粒状洗剤組成物を構成する成分として使用するため、触媒分離操作が不要である。従って、生産性向上、価格低下および廃棄物削減を実現することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の粒状洗剤組成物に含まれるアルキレンオキサイド付加物は、例えば、特定の触媒の存在下において、有機化合物にアルキレンオキサイドを付加することにより得られる。
【0018】前記有機化合物は、アルコキシル化され得るものであれば、特に限定するものではない。例えば、アルコール類、フェノール類、ポリオール類、カルボン酸類、エステル類、チオール類、アミン類およびこれらの混合物が挙げられる。これらのなかで、アルコール類およびエステル類が好ましい。
【0019】アルコール類としては、例えば、炭素数が2〜30、好ましくは6〜24、更に好ましくは12〜18の飽和または不飽和アルコールなどが挙げられる。特に、第一級および第二級アルコールが好ましく、第一級アルコールが更に好ましい。
【0020】フェノール類としては、例えば、モノ、ジまたはトリアルキルフェノールが挙げられる。特に、炭素数4〜12のアルキル基を有するモノ、ジまたはトリアルキルフェノールが好ましい。
【0021】ポリオール類としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトールなどが好ましい。ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールの場合、その平均重合度は、例えば2〜2000、好ましくは4〜500、更に好ましくは10〜200である。
【0022】カルボン酸類としては、例えば、炭素数が8〜22、好ましくは10〜20、更に好ましくは12〜18の飽和または不飽和の脂肪酸およびその混合物などが挙げられる。特に、カプリル酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミスチリン酸、オレイン酸、ステアリン酸およびその混合物が好ましい。このような脂肪酸は、例えば、ヤシ油、パーム油、パーム核油、大豆油、ひまわり油、菜種油、魚脂油の分解により得ることができる。また、エステル類としては、例えば、前記カルボン酸を炭素数1〜4のアルキル基でエステル化したものが挙げられる。
【0023】アミン類としては、例えば、炭素数が8〜44、好ましくは10〜22、更に好ましくは12〜18の飽和または不飽和のアルキル基を有する脂肪族アミンなどが挙げられる。特に、第一級脂肪族アミンが好ましい。
【0024】前記アルキレンオキサイドは、炭素数2〜8のアルキレンオキサイドであることが好ましい。特に、炭素数2〜4のアルキレンオキサイド、すなわちエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドおよびブチレンオキサイドが好ましい。
【0025】触媒としては、マグネシウムを含む金属酸化物および金属水酸化物の少なくとも一方を使用することができる。好ましくは、マグネシウムとアルミニウムとを含む複合酸化物および複合水酸化物の少なくとも一方を使用することができる。この場合、マグネシウムとアルミニウムとの原子数比は、Al/(Mg+Al)で表示して、例えば0.1〜0.7、好ましくは0.3〜0.6、更に好ましくは0.4〜0.5である。
【0026】更に、前記触媒は、マグネシウムおよびアルミニウムに加えて、更に、6A、7Aおよび8族から選ばれる少なくとも1種の金属(以下、「第3の金属」という。)を含むことが好ましい。第3の金属としては、例えば、Fe、Ni、Cr、Mn、Ti、B、Ga、Ce、MoおよびZrが挙げられる。これらのなかで、Fe、Cr、Mnが好ましく、Mnが特に好ましい。第3の金属の含有量は、触媒中の全金属に対する原子比で、例えば0.01〜0.5、好ましくは0.05〜0.3、更に好ましくは0.1〜0.25である。
【0027】前記触媒は、例えば、含浸法、共沈法などの方法を利用して調製することができる。以下に、共沈法を利用した前記触媒の調製方法の一例について説明する。
【0028】まず、各金属のイオンを含む混合水溶液を調製し、この混合水溶液に沈殿剤を添加する。混合水溶液は、例えば、各金属の硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、塩化物などの金属化合物を含む水溶液を混合することにより調製できる。また、沈殿剤としては、例えば、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩またはその混合物を使用することができる。
【0029】沈殿剤の添加により析出した沈殿物を水洗し乾燥した後、これを焼成することによって触媒が得られる。焼成温度は、例えば300〜1000℃、好ましくは600〜900℃、更に好ましくは700〜900℃である。また、焼成時間は、例えば0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間、更に好ましくは2〜4時間である。また、焼成は、不活性ガス雰囲気で実施されることが好ましく、窒素雰囲気で実施されることが更に好ましい。
【0030】前記有機化合物と前記アルキレンオキサイドとの反応は、特に限定されるものではないが、例えば、次のような反応条件で実施することができる。
【0031】反応温度は、例えば80〜230℃、好ましくは120〜200℃、更に好ましくは160〜180℃である。反応圧力は、反応温度などにより適宜決定されるが、例えば0.1〜4MPa、好ましくは0.2〜1MPa、更に好ましくは0.2〜0.8MPaである。反応時間は、例えば1〜20時間、好ましくは1〜10時間、更に好ましくは1〜5時間である。また、反応後、例えば0.1〜5時間、好ましくは0.5〜4時間、更に好ましくは0.5〜3時間熟成することが好ましい。
【0032】また、触媒の使用量は、反応に供される有機化合物とアルキレンオキサイドとの比などにより適宜決定されるが、有機化合物量に対して、例えば0.01〜10質量%、好ましくは0.03〜5質量%、更に好ましくは0.05〜3質量%である。
【0033】具体的な反応操作の一例を説明すると、まず、オートクレイブ内に被付加原料である有機化合物と触媒とを仕込む。このとき、反応に供される有機化合物が脂肪酸エステルである場合は、KOHなどのアルカリ物質を、前記触媒1gに対して、例えば7〜8×10-4mol添加することが好ましい。続いて、オートクレイブ内を窒素で置換した後、所定の温度および圧力条件下でアルキレンオキサイドを導入して反応させる。
【0034】この反応により得られる反応組成物には、アルキレンオキサイド付加物および触媒が含まれている。触媒は、アルキレンオキサイド付加物から分離せずに、本発明の粒状洗剤組成物を構成するマグネシウム含有金属酸化物および金属水酸化物として、そのまま使用することが好ましい。また、触媒は、濾過などの方法によってアルキレンオキサイド付加物から分離してもよいが、この場合は、アルキレンオキサイド付加物に改めてマグネシウム含有金属酸化物および金属水酸化物の少なくとも一方を添加する。
【0035】アルキレンオキサイド付加物の配合量は、粒状洗剤組成物全体に対して、例えば0.1〜40質量%、好ましくは0.2〜35質量%、更に好ましくは0.25〜30質量%である。
【0036】本発明の粒状洗剤組成物に含まれるマグネシウム含有金属酸化物およびマグネシウム含有金属水酸化物は、その組成などについて特に限定するものではない。好ましくは、アルキレンオキサイド付加物を合成するための触媒として例示したような金属酸化物または金属水酸化物である。
【0037】また、マグネシウム含有金属酸化物およびマグネシウム含有金属水酸化物の合計配合量は、粒状洗剤組成物全体に対して、例えば0.000001〜3.5質量%、好ましくは0.000002〜3質量%である。
【0038】本発明の粒状洗剤組成物に含まれる香料は、特に限定されるものではなく、例えば、脂肪族アルコール類、芳香族アルコール類、フェノール類、エステル類、脂肪族アルデヒド類、芳香族アルデヒド類およびその他の炭化水素類などを使用することができる。これらのなかでも、次に挙げるような香料が、本発明の粒状洗剤組成物において香気劣化が特に抑制されるため、好ましい。
【0039】脂肪族アルコール類としては、例えば、炭素数7〜15、好ましくは炭素数7〜14、更に好ましくは炭素数7〜13の脂肪族アルコールが挙げられる。具体例としては、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ジメチルオクタノール、ヒドロキシシトロネロール、テトラヒドロリナロール、ファルネソール、ネロリドール、サンタロール、セドロール、ベチベノール、α−テルピネロール、1−メントール、ボルネオールなどが挙げられる。このなかで、リナロール、ゲラニオール、シトロネロールが好ましい。
【0040】芳香族アルコール類としては、例えば、炭素数6〜11、好ましくは炭素数7〜11、更に好ましくは炭素数7〜10の芳香族アルコールが挙げられる。具体例としては、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、β−フェニルプロピルアルコール、シンナミルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、ジメチルフェニルカルビノールなどが挙げられる。このなかで、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、β−フェニルプロピルアルコールが好ましい。
【0041】フェノール類としては、例えば、チモール、カルバクロール、オイゲノール、イソオイゲノールなどが挙げられる。
【0042】エステル類としては、例えば、炭素数8〜17、好ましくは炭素数9〜15、更に好ましくは炭素数9〜12のギ酸エステルおよび酢酸エステルが挙げられる。具体例としては、ギ酸ゲラニル、ギ酸ベンジル、ギ酸フェニルエチル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、酢酸ボルニル、酢酸テルピニル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸フェニルプロピル、酢酸セドリル、酢酸−p−t−ブチルヘキシルなどが挙げられる。このなかで、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチルが好ましい。
【0043】脂肪族アルデヒド類としては、例えば、炭素数8〜14、好ましくは炭素数9〜13、更に好ましくは炭素数9〜12の脂肪族アルデヒドが挙げられる。具体例としては、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、シトロネラール、シトラール、n−ウンデシルアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、ドデシルアルデヒド、n−ヘキサデシルアルデヒドなどが挙げられる。このなかで、n−デシルアルデヒド、シトロネラール、シトラールが好ましい。
【0044】芳香族アルデヒド類としては、例えば、炭素数7〜15、好ましくは炭素数8〜15、更に好ましくは炭素数9〜15の芳香族アルデヒドが挙げられる。具体例としては、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、シンナムアルデヒド、α−アミルシンナムアルデヒド、α−ヘキシルシンナムアルデヒド、シクラメンアルデヒド、リリーアルデヒドなどが挙げられる。このなかで、α−アミルシンナムアルデヒド、α−ヘキシルシンナムアルデヒドが好ましい。
【0045】その他の香料としては、例えば、炭素数10〜15、好ましくは炭素数10〜14、更に好ましくは炭素数10〜13の炭化水素類が挙げられる。具体例としては、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、テルピノレン、β−カリオフィレインなどが挙げられる。このなかでも、β−ピネン、リモネン、テルピノレンが好ましい。
【0046】香料の配合量は、粒状洗剤組成物全体に対して、例えば0.001〜1質量%、好ましくは0.01〜0.8質量%、更に好ましくは0.05〜0.5質量%である。
【0047】本発明の粒状洗剤組成物は、更に、その他の洗剤原料(以下、「任意成分」という。)を含有していてもよい。このような成分としては、例えば、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、洗剤ビルダー、吸油性担体、粘土鉱物、蛍光剤、酵素、漂白剤、帯電防止剤、表面改質剤、再汚染防止剤、増量剤、還元剤および色素などが挙げられる。
【0048】陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩およびアルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩およびアルケニルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩およびアルケニルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、並びに、これらの混合物が挙げられる。
【0049】両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系界面活性剤、アミドベタイン系界面活性剤などが挙げられる。
【0050】これらの界面活性剤の配合量は、粒状洗剤組成物中に含まれる界面活性剤(アルキレンオキサイド付加物を含む。)の合計配合量が、粒状洗剤組成物全体に対して、例えば10〜60質量%、好ましくは15〜50質量%、更に好ましくは20〜45質量%となるように調整される。
【0051】洗剤ビルダーとしては、例えば、アルカリビルダーおよびキレートビルダーを使用することができる。アルカリビルダーとしては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムおよび炭酸ナトリウムカリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、並びに、珪酸ナトリウムおよび珪酸カリウムなどのアルカリ金属珪酸塩などが挙げられる。また、キレートビルダーとしては、例えば、アルミノ珪酸塩、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体、イミノカルボン酸およびその塩、エチレンジアミン四酢酸などが挙げられる。
【0052】また、洗剤ビルダーの配合量は、粒状洗剤組成物全体に対して、例えば10〜90質量%、好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%である。
【0053】吸油性担体としては、吸油量が、例えば80ml/100g以上、好ましくは100〜600ml/100g、更に好ましくは150〜600ml/100gである物質を使用することができる。ここで「吸油量」とは、JIS K5101に記載の方法により測定される量である。
【0054】このような吸油性担体としては、例えば、珪酸塩化合物、炭酸塩化合物などが挙げられる。珪酸塩化合物としては、例えば、トクシールN(商品名;トクヤマ社製)、ニップシールNS−K(商品名;日本シリカ社製)およびサイリシア#310(商品名;富士シリシア化学社製)などの無定形含水非晶質珪酸、シルデックスH−52(商品名;旭硝子社製)などの球状多孔質含水非晶質珪酸、アエロジル#300(商品名;日本アエロジル社製)などの無定形無水非晶質珪酸、フローライトR(商品名;トクヤマ社製)などの花弁状含水非晶質珪酸カルシウム、ゾノトライト(商品名;宇部化学社製)などの針状含水非晶質珪酸カルシウム、非晶質アルミノケイ酸塩並びに珪酸マグネシウムなどが挙げられる。また、炭酸塩化合物としては、例えば、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムが挙げられる。その他の化合物としては、例えば、パインフローS(商品名;松谷化学社製)などの加工澱粉、スピネル、コーディエライトおよびムライトなどが挙げられる。これらの吸油性担体は、1種を単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
【0055】また、吸油性担体の配合量は、粒状洗剤組成物全体に対して、例えば0.1〜25質量%、好ましくは0.5〜20質量%、更に好ましくは1〜15質量%である。
【0056】粘土鉱物としては、例えば、スメクタイト群に属する粘土鉱物を使用することができる。また、粘土鉱物の吸油量は、例えば80ml/100g未満、好ましくは30〜70ml/100g、更に好ましくは35〜65ml/100gである。更に、粘土鉱物の嵩密度は、例えば0.1g/cm3以上、好ましくは0.2〜1.5g/cm3、更に好ましくは0.3〜1.5g/cm3である。
【0057】このような粘土鉱物としては、例えば、モンモリロライト、ナンロトナイト、バイデライトおよびパイロフィライトなどのジオクタヘドラルスメクタイト、並びに、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイトおよびタルクなどのトリオクタヘドラルスメクタイトなどが挙げられる。
【0058】また、粘土鉱物の配合量は、粒状洗剤組成物全体に対して、例えば0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、更に好ましくは1〜10重量%である。
【0059】蛍光剤としては、例えば、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸誘導体、ビス(スルホスチル)ビフェニル塩などが挙げられる。
【0060】酵素としては、例えば、リパーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼなどが挙げられる。
【0061】漂白剤としては、例えば、過炭酸塩、過硼酸塩などが挙げられる。
【0062】帯電防止剤としては、例えば、ジアルキル型4級アンモニウム塩などの陽イオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0063】表面改質剤としては、例えば、微粉炭酸カルシウム、微粉ゼオライト、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
【0064】再汚染防止剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体などが挙げられる。
【0065】増量剤としては、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0066】還元剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウムなどが挙げられる。
【0067】更に、本発明の粒状洗剤組成物は、その表面が粉末被覆剤によって被覆されていてもよい。粉末被覆剤としては、例えば、炭酸ナトリウムおよび炭酸カルシウムなどの炭酸塩、非晶質シリカ、ケイ酸カルシウムおよびケイ酸マグネシウムなどのケイ酸塩、ゼオライトなどのアルミノケイ酸塩などを使用することができる。
【0068】本発明の粒状洗剤組成物は、特に限定するものではないが、平均粒径が、例えば300〜3000μm、好ましくは350〜2000μm、更に好ましくは400〜1000μmである。また、その嵩密度は、例えば0.7g/ml以上、好ましくは0.8〜1.2g/mlである。
【0069】次に、本発明の粒状洗剤組成物の製造方法について説明する。
【0070】まず、前述したように、特定の触媒の存在下において有機化合物とアルキレンオキサイドとを反応させて、アルキレンオキサイド付加物を合成する。
【0071】続いて、得られたアルキレンオキサイド付加物と、マグネシウム含有金属酸化物およびマグネシウム含有金属水酸化物の少なくとも一方とを含む混合物を調製する。この工程においては、前述したように、アルキレンオキサイド付加物の合成で得られる反応組成物から触媒を除去しないで、この反応組成物をそのまま前記混合物として使用することが好ましい。また、前記アルキレンオキサイド付加物に対して、改めてマグネシウム含有金属酸化物およびマグネシウム含有金属水酸化物の少なくとも一方を添加し、前記混合物とすることも可能である。
【0072】続いて、前記混合物および香料と、必要に応じて任意成分とを含む造粒物を調製する。この造粒物は、例えば、前記混合物を造粒した後、得られた造粒物に香料を噴霧する方法、または、前記混合物に香料を添加した後、これを造粒する方法などにより調製できる。また、任意成分を添加する場合であれば、その任意成分(界面活性剤など)を造粒した後、得られた造粒物に前記混合物および香料を噴霧してもよい。
【0073】造粒方法は特に限定するものではないが、例えば、次のような三通りの方法を採用することができる。
【0074】第一の方法は、被造粒成分を混練して固形物とした後、これを粉砕する、粉砕造粒法である。混練は、例えば、ニーダー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機などを用いて行われる。混練温度は、例えば30〜60℃、好ましくは35〜55℃、更に好ましくは40〜50℃である。また、混練時間は、例えば0.2〜2分間、好ましくは0.5〜1分間である。粉砕は、例えば、カッターミルなどのせん断式粉砕機を用いて行われる。このとき、粉砕機に、例えば、結晶質アルミノ珪酸ナトリウムなどの粉砕助剤を導入してもよい。粉砕温度は、例えば5〜30℃、好ましくは10〜25℃、更に好ましくは10〜20℃である。また、粉砕時間は、例えば1〜30秒間、好ましくは3〜30秒間である。
【0075】第二の方法は、被造粒成分を、槽内に回転翼を備えた攪拌機に導入して造粒する、攪拌造粒法である。攪拌機としては、例えば、ハイスピードミキサー、シュギミキサー、レーディゲミキサーなどが用いられる。攪拌温度は、例えば20〜60℃、好ましくは30〜50℃、更に好ましくは35〜50℃である。また、攪拌時間は、例えば1〜10分間、好ましくは2〜8分間である。
【0076】第三の方法は、被造粒成分を、回転円板、回転円筒または回転頭切円錐などの回転装置内に導入して造粒する、転動造粒法である。この場合、処理温度は、例えば10〜60℃、好ましくは15〜50℃、更に好ましくは20〜50℃である。また、処理時間は、例えば1〜60分間、好ましくは5〜30分間である。
【0077】更に、得られた造粒物は、必要に応じて粉末被覆剤で被覆してもよい。被覆方法としては、例えば、回転ドラム内に前記造粒物を粉末被覆剤とを導入する方法が採用できる。また、粉砕造粒法において、粉砕を粉末被覆剤の存在下で行うことによっても、造粒物の被覆を実現することができる。また、攪拌造粒法においては、造粒終了付近で攪拌機に粉末被覆剤を導入することによっても、造粒物の被覆を実現することができる。
【0078】
【実施例】以下、本発明について、実施例および比較例を用いて説明する。実施例および比較例に使用した原料は、次の通りである。
【0079】[1]マグネシウム含有酸化物または水酸化物(1)マグネシウム含有酸化物A協和化学社製「キョーワード300(商品名)」を、窒素雰囲気下において800℃で3時間焼成した。以下、得られた焼成物を「マグネシウム含有酸化物A」という。
(2)マグネシウム含有水酸化物B協和化学社製「キョーワード1000(商品名)」
(3)マグネシウム含有酸化物C協和化学社製「キョーワード2000(商品名)」
【0080】[2]アルキレンオキサイド付加物(1)アルキレンオキサイド付加物AAオートクレーブ内に、前記マグネシウム含有酸化物Aを0.4gと、ラウリルアルコール400gとを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換した後、攪拌しながら昇温した。次いで、温度を180℃、圧力を0.3MPaに維持しながらエチレンオキサイド521gを導入して付加反応を行い、アルキレンオキサイド付加物と前記マグネシウム含有酸化物Aとを含む反応組成物を得た。以下、上記反応により得られた反応組成物を「組成物AA」といい、これに含まれるアルキレンオキサイド付加物を「アルキレンオキサイド付加物AA」という。
【0081】(2)アルキレンオキサイド付加物ABマグネシウム含有酸化物Aに代えてマグネシウム含有水酸化物Bを使用したこと以外は、上記アルキレンオキサイド付加物Aの合成と同様にして、反応を行った。以下、上記反応により得られた反応組成物を「組成物AB」といい、これに含まれるアルキレンオキサイド付加物を「アルキレンオキサイド付加物AB」という。
【0082】(3)アルキレンオキサイド付加物ACマグネシウム含有酸化物Aに代えてマグネシウム含有酸化物Cを使用したこと以外は、上記アルキレンオキサイド付加物Aの合成と同様にして、反応を行った。以下、上記反応により得られた反応組成物を「組成物AC」といい、これに含まれるアルキレンオキサイド付加物を「アルキレンオキサイド付加物AC」という。
【0083】(4)アルキレンオキサイド付加物Bオートクレーブ内に、前記マグネシウム含有酸化物Aを1.2gと、ラウリン酸メチル400gと、40%KOH水溶液を0.12gとを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換した後、攪拌しながら昇温した。次いで、温度を180℃、圧力を0.3MPaに維持しながら、エチレンオキサイド494gを導入して付加反応を行い、アルキレンオキサイド付加物と前記マグネシウム含有酸化物Aとを含む反応組成物を得た。以下、上記反応により得られた反応組成物を「組成物BA」といい、これに含まれるアルキレンオキサイド付加物を「アルキレンオキサイド付加物B」という。
【0084】(3)アルキレンオキサイド付加物Cライオン化学社製「AAL(商品名)」
【0085】(4)アルキレンオキサイド付加物Dライオン化学社製「AAEP15030(商品名)」
【0086】表1に、前記各アルキレンオキサイド(AO)付加物の構造式と、その付加モル分布におけるナロー度とを示す。なお、ナロー度は、前記式(I)で表される値である。
【0087】
[表1]
AO付加物 構造式 ナロー度[質量%] AA C12H25(CH2CH2O)5.5H 90 AB C12H25(CH2CH2O)5.5H 90 AC C12H25(CH2CH2O)5.5H 90 B C11H23CO(CH2CH2 O)6OCH3 70 C C13H27(CH2CH2O)12H 40 D C13H27(CH2CH2O)15(CH(CH3)CH2O)3H 35* * エチレンオキサイド付加モル分布におけるナロー度である。
【0088】[3]香料表2に示す組成を有するものである。
【0089】
[表2]
成分 配合量 (質量部) 3,7-シ゛メチル-1,6-オクタシ゛エン-3-オール 80 3,7-シ゛メチル-1,6-オクタシ゛エン-3-イル-アセテート 60 3,7-シ゛メチル-6-オクテン-1-オール 40 β-フェニルエチルアルコール 50 p-tert-フ゛チル-α-メチルヒト゛ロキシシンナミックアルテ゛ヒト゛ 70 α-メチル-p-イソフ゜ロヒ゜ルフェニルフ゜ロヒ゜オンアルテ゛ヒト゛ 60 α-n-アミルシンナミックアルテ゛ヒト゛ 20 α-n-ヘキシルシンナミックアルテ゛ヒト゛ 60 7-アセチル-1,1,3,4,4,6-ヘキサメチルテトラヒト゛ロナフタレン 80 3-(5,5,6-トリメチル-ノルハ゛ルナン-2-イル)シクロヘキサン-1-オール 20 ヘ゛ルトフィックス 30 2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロヘ゜ンテ-1-イル)-2-フ゛タン-1-オール10% 10 α,α-シ゛メチル-p-エチルヒト゛ロキシシンナミックアルテ゛ヒト゛ 40 2,4-シ゛メチル-3-シクロヘキセン-1-カルホ゛キシアウテ゛ヒト゛ 10 cis-3-ヘキセノール 10 2-trans-3,7-シ゛メチル-2,6-オクタシ゛エン-1-オール 30 n-テ゛シルアルテ゛ヒト゛ 5 10-ウンテ゛セン-1-アールメチルノニルアセトアルテ゛ヒト゛ 5 4-(4-ヒト゛ロキシ-4-メチルヘ゜ンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルホ゛キシアルテ゛ヒト゛ 30 ナフタレン-2-アセチル-1,2,3,4,6,7,8-オクタヒト゛ロ-2,3,8,8-テトラメチル 30 5-(2-メチレン-6,6-シ゛メチルシクロヘキシル)-4ヘ゜ンタン-3-オン 50 2-メトキシ-4-フ゜ロヘ゜ニルフェノール 20 アリルシクロヘキサンフ゜ロヒ゜オネート 10 6,7-シ゛ヒト゛ロ-1,1,2,3,3-ヘ゜ンタメチル-4(5H)-インタ゛ノン 5 p-フ゜ロヘ゜ニルフェニルメチルエーテルメチル-2-アミノヘ゛ンソ゛エートレモンオイル 30 オレンシ゛オイル 20 ラハ゛ンシ゛ンオイル 20 ハ゜チュリオイル 10 3,7-シ゛メチル-2,6-オクタシ゛エナール 30 メチルシ゛ヒト゛ロシ゛ャスモネート 50
【0090】[4]任意成分(1)ゼオライト:結晶性アルミノケイ酸ナトリウム(水沢化学工業社製「シルトンB(商品名)」)
(2)炭酸ナトリウム:(旭硝子社製)
(3)炭酸カリウム:(旭硝子社製)
(4)α−SF:アルファスルホ脂肪酸メチルエステルナトリウム塩(C14:C16=18:82)(ライオン社製)
(5)石鹸:パルミチン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムおよびTMD(C10〜C20のエステル系化合物)の1:3:1(重量比)混合物(ライオン社製)
(6)亜硫曹:亜硫酸ナトリウム(神州化学社製)
(7)粘土鉱物:モンモリロナイト(SUD CHEMIE社製「ラウンドロジル(商品名)」)
(8)酵素:リパーゼ/プロテアーゼ/セルラーゼ/アルカラーゼ=1/1/1/1混合物(9)蛍光剤:4,4’−ビス(2−スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム(チバスペシャリティケミカルズ社製「チノパールCBS−X(商品名)」)
【0091】(実施例1)前記組成物AAと任意成分とを、連続ニーダー(栗本鐵工所株式会社製「KRC−4型(商品名)」;以下同じ。)に投入して混練した後、押出機(不二パウダル株式会社製「ペレッターダブル(商品名)」;以下同じ。)で押出し、ペレットを調製した。次に、前記ペレットを粉砕助剤の共存下で、粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「フィッツミル(商品名)」;以下同じ。)を用いて破砕した。得られた造粒物に香料を噴霧した後、粉末被覆剤で被覆し、粒状洗剤組成物を得た。
【0092】(実施例2)組成物AAに代えて組成物ABを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粒状洗剤組成物を得た。
【0093】(実施例3)組成物AAに代えて組成物ACを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粒状洗剤組成物を得た。
【0094】(実施例4)任意成分をレーディゲミキサー(マツボー株式会社製「M−20型(商品名)」)に投入し、30秒間混合した。続いて、前記組成物BAを、同ミキサーに90秒間で投入して造粒した後、10分間圧密化を行った。得られた造粒物に香料を噴霧した後、粉末被覆剤で被覆し、粒状洗剤組成物を得た。
【0095】(実施例5)前記組成物AAからマグネシウム含有酸化物Aの一部を除去したこと以外は、実施例1と同様にして造粒物を得た。得られた造粒物に、香料および前記アルキレンオキサイド付加物Dを噴霧した後、粉末被覆剤で被覆し、粒状洗剤組成物を得た。
【0096】(実施例6)前記アルキレンオキサイド付加物Cと任意成分とを、連続ニーダーに投入して混練した後、押出機で押出し、ペレットを調製した。次に、前記ペレットを粉砕助剤の共存下で、粉砕機を用いて破砕した。得られた造粒物に、前記組成物AAと香料とを噴霧した後、粉末被覆剤で被覆し、粒状洗剤組成物を得た。
【0097】(実施例7)前記組成物ABからマグネシウム含有水酸化物Bの一部を除去した。この組成物ABに新たにマグネシウム含有水酸化物Bを添加し、任意成分とともに、連続ニーダーに投入して混練した後、押出機で押出してペレットを調製した。次に、前記ペレットを粉砕助剤の共存下で、粉砕機を用いて破砕した。得られた造粒物に香料を噴霧した後、これを粉末被覆剤で被覆して、粒状洗剤組成物を得た。
【0098】(実施例8)前記組成物ACからマグネシウム含有酸化物Cの一部を除去した。この組成物ACに新たにマグネシウム含有酸化物Cを添加し、任意成分とともに、連続ニーダーに投入して混練した後、押出機で押出してペレットを調製した。次に、前記ペレットを粉砕助剤の共存下で、粉砕機を用いて破砕した。得られた造粒物に香料を噴霧した後、これを粉末被覆剤で被覆して、粒状洗剤組成物を得た。
【0099】(比較例1)前記組成物AAを濾過し、前記アルキレンオキサイド付加物Aと前記マグネシウム含有酸化物Aを分離した。このアルキレンオキサイド付加物Aと任意成分とを連続ニーダーに投入して混練した後、押出機で押出し、ペレットを調製した。前記ペレットを粉砕助剤の共存下で、粉砕機を用いて破砕した。得られた造粒物に香料を噴霧した後、粉末被覆剤で被覆し、粒状洗剤組成物を得た。
【0100】(比較例2および3)前記アルキレンオキサイド付加物CおよびDと、マグネシウム含有酸化物Aと、任意成分とを連続ニーダーに投入して混練した後、押出機で押出してペレットを調製した。次に、前記ペレットを粉砕助剤の共存下で、粉砕機を用いて破砕した。得られた造粒物に香料を噴霧した後、これを粉末被覆剤で被覆して、粒状洗剤組成物を得た。
【0101】前記実施例および前記比較例で得られた粒状洗剤組成物について、平均粒径および嵩密度を測定し、香気安定性および白色度を評価した。結果を、粒状洗剤組成物の組成とともに、表3および表4に示す。なお、各特性の評価方法は次の通りである。
【0102】(香気安定性)口の直径が30mmである30mlガラス容器に、粒状洗剤組成物を80%充填し密閉する。10〜15分後にガラス容器の蓋を開け、その香気を下記の基準により評価した。なお、香気は、低級アルコールおよび低級脂肪酸などに起因する不快臭を感じさせる場合を「悪い」と判断した。
◎:極めて良好○:良好△:少し悪い×:極めて悪い
【0103】(白色度)粒状洗剤組成物のb値をハンター白色度計で測定した。このb値に基づいて、下記の基準により白色度を評価した。
◎: 白色度極めて良好(b値が3未満)
○: 白色度良好(b値が3以上6未満)
×: 白色度不良(b値が6以上)
【0104】
[表3]
実施例 1 2 3 4 5 6 成分[質量%]
アルキレンオキサイト゛付加物 AA 20 − − − 0.5 1 AB − 20 − − − − AC − − 20 − − − B − − − 20 − − C − − − − − 2 D − − − − 2 − Mg含有(水)酸化物 A 1 − − 1.4 0.0000015 0.05 B − 1 − − − − C − − 1 − − − 香料 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 任意成分 セ゛オライト 30 30 30 30 25 25 炭酸Na 30 30 30 30 30 30 炭酸K 3 3 3 3 5 5 α−SF − − − − 15 15 石鹸 3 3 3 3 10 10 亜硫曹 1 1 1 1 2 2 モンモリロナイト 8 8 8 8 − − 少量成分* Bla Bla Bla Bla Bla Bla 平均粒径[μm] 670 630 670 650 690 650嵩密度[g/ml] 0.83 0.88 0.87 0.85 0.89 0.81香気安定性 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎白色度 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ *少量成分:酵素、蛍光剤、水分および不純物
【0105】
[表4]
実施例 比較例 7 8 1 2 3 成分[質量%]
アルキレンオキサイト゛付加物 AA − − 20 − − AB 20 − − − − AC − 20 − − − B − − − − − C − − − 18 18 D − − − 2 2 Mg含有(水)酸化物 A − − − 1.9 1.9 B 1.9 − − − − C − 1.9 − − − 香料 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 任意成分 セ゛オライト 30 30 30 30 30 炭酸Na 30 30 30 30 30 炭酸K 3 3 3 3 3 α−SF − − − − − 石鹸 3 3 3 3 3 亜硫曹 1 1 1 1 1 モンモリロナイト 8 8 8 8 8 少量成分* Bla Bla Bla Bla Bla 平均粒径[μm] 680 620 710 690 700嵩密度[g/ml] 0.82 0.84 0.78 0.82 0.81香気安定性 ◎ ◎ × × ×白色度 ◎ ◎ × × × *少量成分:酵素、蛍光剤、水分および不純物
【0106】表3および表4から明らかなように、本発明の粒状洗剤組成物である実施例1〜8は、いずれも優れた香気安定性および白色度を示した。それに対して、マグネシウム含有金属酸化物または金属水酸化物を含まない比較例1は、香気安定性および白色度が劣っていることが確認できた。また、アルキレンオキサイド付加物のナロー度が50質量%未満である比較例2および3においても、香気安定性および白色度が劣っていることが確認できた。
【0107】
【発明の効果】以上のように、本発明の粒状洗剤組成物は、良好な香気を有し、且つ、その香気の安定性にも優れ、しかも白色度に優れている。従って、本発明の粒状洗剤組成物は、長期間に渡り快適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 マグネシウム含有金属酸化物およびマグネシウム含有金属水酸化物の少なくとも一方と、アルキレンオキサイド付加物と、香料とを含み、前記アルキレンオキサイド付加物が、アルキレンオキサイド付加モル数の異なる複数の分子種を含む混合物であり、前記アルキレンオキサイド付加物において、下記式(I)で表されるナロー度が50質量%以上である粒状洗剤組成物。
【数1】


(式中、nMAXは、前記アルキレンオキサイド付加物において最も多く存在する分子種の付加モル数であって、1以上の整数であり、Yiは、前記アルキレンオキサイド付加物において付加モル数がiである分子種の占める質量%である。)
【請求項2】 マグネシウム含有金属酸化物およびマグネシウム含有金属水酸化物の少なくとも一方を触媒として用いて、有機化合物とアルキレンオキサイドとを反応させることにより、アルキレンオキサイド付加物を得る工程と、マグネシウム含有金属酸化物およびマグネシウム含有金属水酸化物の少なくとも一方と前記アルキレンオキサイド付加物とを含む混合物を得る工程と、前記混合物を香料および洗剤原料とともに造粒する工程とを含む粒状洗剤組成物の製造方法。
【請求項3】 マグネシウム含有金属酸化物およびマグネシウム含有金属水酸化物の少なくとも一方を触媒として用いて、有機化合物とアルキレンオキサイドとを反応させることにより、アルキレンオキサイド付加物と前記触媒とを含む反応組成物を得る工程と、前記触媒を残存させた状態で前記反応組成物を香料および洗剤原料とともに造粒する工程とを含む粒状洗剤組成物の製造方法。
【請求項4】 前記触媒が、更に、アルミニウムを含有する請求項2または3に記載の粒状洗剤組成物の製造方法。
【請求項5】 前記触媒におけるマグネシウムとアルミニウムとの原子数比が、Al/(Mg+Al)で表示した場合、0.1〜0.7である請求項4に記載の粒状洗剤組成物の製造方法。
【請求項6】 前記触媒が、更に、6A、7Aおよび8族から選ばれる少なくとも1種の金属を含有する請求項4または5に記載の粒状洗剤組成物の製造方法。

【公開番号】特開2001−342490(P2001−342490A)
【公開日】平成13年12月14日(2001.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−163317(P2000−163317)
【出願日】平成12年5月31日(2000.5.31)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】