説明

粗製のマトリックスにおける核酸の検出

粗製のマトリックスを、標的核酸種についての等温核酸増幅反応の成分と接触させ、それによって混合物を提供する工程;その混合物を、等温核酸増幅反応が進行するために十分な条件下でインキュベートし、それによって産物を提供する工程;および標的核酸種の指標が、その産物に存在するか否かを決定する工程を含む方法。本開示は、少なくとも部分的には、核酸抽出および/または精製を行わずに、様々な病原生物を、粗製のマトリックスにおいて検出し得るという発見に基づく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2009年9月25日に出願された米国特許出願第61/245,758号への優先権を主張し、上記米国特許出願の全容は、参照によって本明細書に援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、粗製のマトリックスにおける、増幅法による核酸の検出に関連する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
等温増幅法は、数分の間に、微量レベルから、非常に高くそして検出可能なレベルまで、特異的な方式で核酸標的を増幅し得る。そのような等温法、例えばリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)は、核酸に基づく診断の適用を、ポイントオブケアテストならびにフィールドおよび消費者テストのような、新たな領域に拡大し得る。その技術の等温および広い温度範囲は、使用者が複雑な電力を必要とする器具使用を回避することを可能にし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(概要)
本開示は、少なくとも部分的には、核酸抽出および/または精製を行わずに、様々な病原生物を、粗製のマトリックスにおいて検出し得るという発見に基づく。核酸抽出および/または精製を行わずに粗製のマトリックスを使用することは、上記で記載した等温核酸増幅法の利点に、簡単なサンプル調製の利点を加え得る。いくつかの場合には、アルカリ溶解または溶解酵素処理のような簡単な処理が、検出のために十分である。他のいくつかの場合には、その生物の標的核酸配列を、従来の溶解溶液でサンプルを前処理することをなんら必要とせずに、高い感度で検出し得る。代わりに、サンプルを等温増幅反応に接触させることが、その生物を高い感度で検出するために十分である。
【0005】
1つの局面において、本開示は、粗製のマトリックスを、標的核酸種のための等温核酸増幅反応の成分と接触させて、それによって混合物を提供すること;その混合物を、等温核酸増幅反応が進行するために十分な条件下でインキュベートして、それによって産物を提供すること;およびその標的核酸種の指標が、その産物に存在するか否かを決定することを含む方法を特色とする。
【0006】
別の局面において、本開示は、粗製のマトリックスを、標的核酸種のための核酸増幅反応の成分と接触させて、それによって混合物を提供すること;核酸増幅反応が進行することを可能にするために十分な時間にわたり、その混合物の温度を95℃未満(例えば90℃未満、85℃未満、80℃未満、75℃未満、70℃未満、65℃未満、60℃未満、55℃未満、50℃未満、45℃未満、または40℃未満)に維持して、それによって産物を提供すること;およびその標的核酸種の指標が、その産物に存在するか否かを決定することを含む方法を特色とする。
【0007】
別の局面において、本開示は、粗製のマトリックスを、標的核酸種のための核酸増幅反応の成分と接触させて、それによって混合物を提供すること;核酸増幅反応が進行することを可能にするために十分な時間にわたり、その混合物のセ氏目盛り温度を30%未満(例えば25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、または5%未満)または20℃未満(例えば15℃未満、10℃未満、5℃未満、2℃未満、または1℃未満)変化させて、それによって産物を提供すること;およびその標的核酸種の指標が、その産物に存在するか否かを決定することを含む方法を特色とする。
【0008】
別の局面において、本開示は、混合物の等温反応を実施して産物を提供すること(その混合物は粗製のマトリックスおよび標的核酸種のための核酸増幅反応の成分を含む);およびその標的核酸種の指標が、その産物に存在するか否かを決定することを含む方法を特色とする。
【0009】
別の局面において、本開示は、最高で80℃(例えば最高で75℃、最高で70℃、最高で65℃、最高で60℃、最高で55℃、最高で50℃、最高で45℃、または最高で40℃)の温度で混合物を反応させて産物を提供すること(その混合物は粗製のマトリックスおよび標的核酸種のための核酸増幅反応の成分を含む);およびその標的核酸種の指標が、その産物に存在するか否かを決定することを含む方法を特色とする。
【0010】
別の局面で、本開示は、その混合物のセ氏目盛り温度を最大30%(例えば最大25%、最大20%、最大15%、最大10%、または最大5%)または最大20℃(例えば最大15℃、最大10℃、最大5℃、最大2℃、または最大1℃)変化させる間、混合物を反応させて産物を提供すること(その混合物は粗製のマトリックスおよび標的核酸種のための核酸増幅反応の成分を含む);およびその標的核酸種の指標が、その産物に存在するか否かを決定することを含む方法を特色とする。
【0011】
上記の局面のいくつかの実施態様において、その粗製のマトリックスは、生物学的サンプル、例えば血液、尿、唾液、痰、リンパ液、血漿、射精液、肺吸引物、および脳脊髄液の少なくとも1つを含む。いくつかの実施態様において、その生物学的サンプルは、喉スワブ、鼻スワブ、膣スワブ、または直腸スワブから選択される、少なくとも1つのサンプルを含む。いくつかの実施態様において、その生物学的サンプルは、生検サンプルを含む。
【0012】
上記の局面のいくつかの実施態様において、その粗製のマトリックスを、溶解処理に供さない。
【0013】
上記の局面のいくつかの実施態様において、その粗製のマトリックスを、カオトロピック剤、界面活性剤、溶解酵素調製物で処理しない。
【0014】
上記の局面のいくつかの実施態様において、その粗製のマトリックスを、高温(例えば80℃以上、85℃以上、90℃以上、または95℃以上)温度処理工程に供さない。
【0015】
上記の局面のいくつかの実施態様において、その粗製のマトリックスを、溶解処理に供さず、そしてその標的核酸種は、ブドウ球菌(例えばS.aureusまたはメチシリン耐性S.aureus(MRSA))の核酸である。
【0016】
上記の局面のいくつかの実施態様において、その粗製のマトリックスを、溶解処理に供さず、そしてその標的核酸種は、マイコプラズマの核酸である。
【0017】
上記の局面のいくつかの実施態様において、その粗製のマトリックスを、溶解処理に供し得る。例えば、その粗製のマトリックスを、界面活性剤および/またはバクテリオファージ溶解素(例えば連鎖球菌Cバクテリオファージ溶解素(PlyC))のような溶解酵素で処理する。
【0018】
上記の局面のいくつかの実施態様において、その粗製のマトリックスを、溶解処理に供し、そしてその標的核酸種は、連鎖球菌(例えばA群連鎖球菌またはB群連鎖球菌)の核酸である。
【0019】
上記の局面のいくつかの実施態様において、その粗製のマトリックスを、溶解処理に供し、そしてその標的核酸種は、サルモネラ(例えばS.typhimurium)の核酸である。
【0020】
上記の局面のいくつかの実施態様において、その標的核酸は細菌の核酸、例えばChlamydia trachomatis、Neisseria gonorrhea、A群連鎖球菌、B群連鎖球菌、Clostridium difficile、Escherichia coli、Mycobacterium tuberculosis、Helicobacter pylori、Gardnerella vaginalis、Mycoplasma hominis、モビルンカス種、プレボテラ種、およびポルフィロモナス種から選択される細菌由来、または本明細書中で記載される別の細菌由来である。
【0021】
上記の局面のいくつかの実施態様において、その標的核酸は、哺乳動物の核酸であり、例えば核酸は腫瘍細胞と関連している。
【0022】
上記の局面のいくつかの実施態様において、その標的核酸は、ウイルスの核酸であり、例えばHIV、インフルエンザウイルス、またはデングウイルス由来、または本明細書中で記載される別のウイルス由来である。
【0023】
上記の局面のいくつかの実施態様において、その標的核酸は、真菌の核酸であり、例えばCandida albicans、または本明細書中で記載される別の真菌由来である。
【0024】
上記の局面のいくつかの実施態様において、その標的核酸は、原生動物の核酸であり、例えばトリコモナスまたは本明細書中で記載される別の原生動物由来である。
【0025】
上記の局面のいくつかの実施態様において、その等温核酸増幅反応は、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅である。いくつかの実施態様において、その等温核酸増幅反応は、転写媒介増幅、核酸配列に基づく増幅、RNAのシグナル媒介増幅、鎖置換増幅、ローリングサークル型増幅、DNAのループ媒介等温増幅、等温多重置換増幅、ヘリカーゼ依存性増幅、シングルプライマー等温増幅法、環状ヘリカーゼ依存性増幅、またはニッキングおよび伸長増幅反応である。
【0026】
上記の局面のいくつかの実施態様において、その反応の条件は、ポリエチレングリコール(PEG)を、例えば1%より高い濃度で含む。
【0027】
別の局面において、本開示は、特異的DNAまたはRNA種を検出する方法を特色とし、ここではサンプルを、カオトロピック剤、界面活性剤による事前の溶解処理を行わずに、高温温度処理工程を行わずに、または溶解酵素調製物無しで、反応再水和緩衝液または水和反応系に接触させ、そして検出可能なレベルまで増幅する。いくつかの実施態様において、その標的核酸種は、Staphylococcus aureusまたはMRSAのゲノムDNAを含む。いくつかの実施態様において、その増幅方法は、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)法である。いくつかの実施態様において、ポリエチレングリコールが、再水和緩衝液または完全に再水和した増幅環境に、1%より高い濃度で含まれる。
【0028】
別の局面において、本開示は、等温核酸増幅反応の成分;および溶解酵素を含むキットを特色とする。等温核酸増幅反応の成分は、例えばリコンビナーゼを含み得る。いくつかの実施態様において、その溶解酵素は、バクテリオファージ溶解素、例えば連鎖球菌Cバクテリオファージ溶解素(PlyC)を含む。
【0029】
別の局面において、本開示は、等温核酸増幅反応の成分;および側方流動またはマイクロ流体デバイス(例えば反応産物の検出のための)を含むキットを特色とする。等温核酸増幅反応の成分は、例えばリコンビナーゼを含み得る。
【0030】
別の局面において、本開示は、等温核酸増幅反応の成分;およびスワブ(例えば生物学的サンプルを得るための)を含むキットを特色とする。等温核酸増幅反応の成分は、例えばリコンビナーゼを含み得る。
【0031】
上記のキットのいずれかのいくつかの実施態様において、そのキットは核酸精製または抽出のための試薬、例えばカオトロピック剤および/または核酸結合媒質(nucleic acid−binding medium)を含まない。
【0032】
本明細書中で使用される場合、「粗製のマトリックス」は、生物学的供給源由来の核酸を含むマトリックスであり、ここでそのマトリックスは、核酸抽出および/または精製に供していない。いくつかの実施態様において、その生物学的供給源は、細胞および/または生物学的サンプル(例えば患者由来)および/または環境サンプルを含む。その細胞および/または生物学的サンプルおよび/または環境サンプルは、溶解されていない場合があり、または溶解工程に供され得る。
【0033】
他に定義されなければ、本明細書中で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中で記載されたものと同様のまたは等価な方法および材料を、本発明の実施または試験において使用し得るが、適当な方法および材料を下記で記載する。本明細書中で述べられた全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、その全体が参考により組み込まれる。対立する場合、定義を含む本明細書が優先する。それに加えて、その材料、方法、および実施例は単なる説明であり、そして制限することを意図しない。
【0034】
本発明の他の特徴および利点が、以下の詳細な説明および請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1A−Bは、溶解無し(1A)またはアルカリ溶解後(1B)の、10,000、1000、および100cfuにおけるS.typhimuriumの検出を示す線グラフである。
【図2】図2は、溶解無し(溶解無し)、ムタノリシンおよびリゾチームで処理(ML/LZ)、PlyCで処理(PLYC)、またはムタノリシン、リゾチーム、およびPlyCで処理(ML/LZ/PLYC)した、StrepAの検出を示す線グラフである。
【図3】図3は、0、1、2、または3ユニットのリソスタフィンで処理した患者サンプルにおけるS.aureusの検出を示す線グラフである。
【図4】図4は、45分間沸騰させたか(沸騰)、リソスタフィンで処理し、そして5分間沸騰させたか(リソスタフィン)、または室温で45分間、水中でインキュベートした患者サンプル中のS.aureusの検出を示す線グラフである。サンプルを、50または1000コピーの標的核酸を含むポジティブコントロールと比較した。
【図5】図5は、溶解されていない(溶解されていない)、またはリソスタフィンで溶解させ、そして抽出した(浄化)患者サンプル中のS.aureusの検出を示す線グラフである。サンプルを、50または1000コピーの標的核酸を含むポジティブコントロールと比較した。
【図6】図6は、約10(10細菌)または約100(100細菌)の生物を有する、溶解されていないメチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)サンプルの検出を示す線グラフである。サンプルを、50コピーの標的核酸(50コピーのPCT産物)を有するポジティブコントロールまたはネガティブコントロールとしての水(NTC)と比較した。
【図7】図7は、50、100、または1000cfuの溶解されていないマイコプラズマまたは培地コントロールの検出を示す線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(詳細な説明)
本開示は、核酸標的の検出のための、粗製のマトリックスにおける核酸の等温増幅の方法を提供する。
【0037】
いくつかの実施態様において、粗製のマトリックスを、標的核酸種のための等温核酸増幅反応(例えばRPA)の成分と接触させて、混合物を提供する。次いでその混合物を、増幅反応が進行し、そして産物を産生するために十分な条件下でインキュベートし、その産物を評価して標的核酸種の指標が存在するか否かを決定する。標的核酸種の指標がその産物中に見出される場合、その標的核酸種がもとの粗製のマトリックスに存在したことを推測し得る。
【0038】
いくつかの実施態様において、その粗製のマトリックスは、生物学的サンプル、例えば植物または動物被験体から得たサンプルを含む。本明細書中で使用される場合、生物学的サンプルは、細胞、組織(例えば肺、肝臓および腎臓)、骨髄吸引物、体液(例えば血液、血液の誘導体および画分(血清またはバフィーコートなど)、尿、リンパ液、涙、前立腺液、脳脊髄液、気管吸引物、痰、膿、鼻咽頭吸引物、口腔咽頭吸引物、唾液)、目スワブ、頸部スワブ、膣スワブ、直腸スワブ、便および便懸濁物を含むがこれに限らない、被験者における核酸の検出のために有用なあらゆる臨床サンプルを含む。他の適当なサンプルは、中耳液、気管支肺胞洗浄物、気管吸引物、痰、鼻咽頭吸引物、口腔咽頭吸引物、または唾液から得られたサンプルを含む。特定の実施態様において、その生物学的サンプルを、動物被験体から得る。そのようなサンプルを得るための標準的な技術が利用可能である。例えば、Schlugerら、J.Exp.Med.176:1327−33(1992);Bigbyら、Am.Rev.Respir.Dis.133:515−18(1986);Kovacsら、NEJM 318:589−93(1988);およびOgnibeneら、Am.Rev.Respir.Dis.129:929−32(1984)を参照のこと。
【0039】
いくつかの実施態様において、その粗製のマトリックスは、環境サンプル、例えば表面サンプル(例えば拭き取りまたはバキューム(vacuuming)によって得る)、空気サンプル、または水サンプルを含む。
【0040】
いくつかの実施態様において、その粗製のマトリックスは、単離された細胞、例えば動物、細菌、真菌(例えば酵母)、または植物細胞、および/またはウイルスを含む。単離細胞を、培養する細胞の型に適当な、従来の方法および条件を用いて培養し得る。
【0041】
その粗製のマトリックスを、実質的にそのまま核酸増幅成分と接触させることができ、または核酸抽出および/または精製を含まない、1つまたはそれ以上の前処理工程に供することができる。いくつかの実施態様において、その粗製のマトリックスを、例えば界面活性剤および/または溶解酵素調製物による溶解に供する。いくつかの実施態様において、その粗製のマトリックスを、カオトロピック剤、界面活性剤、または溶解酵素調製物による処理に供さず、およびその粗製のマトリックスを高温(例えば80℃より高い、85℃より高い、90℃より高い、または95℃より高い)に供さない。上記の条件のいずれかまたは全ての下で、その粗製のマトリックスに存在する標的核酸は、等温核酸増幅機構に利用でき、増幅が起こり得る。
【0042】
例えばリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、転写媒介増幅、核酸配列に基づく増幅、RNAのシグナル媒介増幅技術、鎖置換増幅、ローリングサークル型増幅、DNAのループ媒介等温増幅、等温多重置換増幅、ヘリカーゼ依存性増幅、シングルプライマー等温増幅、環状ヘリカーゼ依存性増幅、ならびにニッキングおよび伸長増幅反応を含む、多くの核酸増幅技術が公知である(US2009/0017453を参照のこと)。ポリメラーゼ連鎖反応は、最も広く知られた方法であるが、核酸鎖の分離を引き起こすために温度サイクルの使用が必要である点で異なる。これらおよび他の増幅方法が、例えばVanNessら、PNAS 2003、第100巻第8号、4504−4509頁;Tanら、Anal.Chem.2005、77、7984−7992;Lizardら、Nature Biotech.1998、6、1197−1202;Notomiら、NAR 2000、28、12、e63;およびKurnら、Clin.Chem.2005、51:10、1973−1981において議論される。これらの一般的な増幅技術に関する他の参考文献は、例えば米国特許第7,112,423号;同5,455,166号;同5,712,124号;同5,744,311号;同5,916,779号;同5,556,751号;同5,733,733号;同5,834,202号;同5,354,668号;同5,591,609号;同5,614,389号;同5,942,391号;および米国特許公開番号US20030082590;US20030138800;US20040058378;およびUS20060154286を含む。上記の文書は全て、本明細書中で参考として組み込まれる。
【0043】
RPAは、核酸の等温増幅の1つの例示的な方法である。RPAは、リコンビナーゼとして公知である酵素を利用し、それは2本鎖DNA中の相同的な配列とオリゴヌクレオチドプライマーを対にし得る。この方法において、DNA合成は、サンプルDNA中の規定された点に向けられる。2つの遺伝子特異的プライマーを使用して、標的配列が存在する場合、指数的な増幅反応が開始される。その反応は迅速に進行し、そして20〜40分程度の短い間に、わずか少数の標的コピーから検出可能なレベルまでの特異的な増幅を引き起こす。RPA法は、例えばUS7,270,981;US7,399,590;US7,777,958;US7,435,561;US2009/0029421;およびPCT/US2010/037611において開示され、それらは全て本明細書中で参考として組み込まれる。
【0044】
RPA反応は、系の組換えエレメントの活性を支持するために必要なタンパク質および他の因子、ならびに相補的な基質と対になったオリゴヌクレオチドの3’末端からのDNA合成を支持するために必要なタンパク質および他の因子の両方のブレンドを含む。その組換え系の重要なタンパク質成分は、リコンビナーゼ自体であり、それは原核生物、ウイルス、または真核生物起源由来であり得る。しかし、さらに、その反応において進行中の様々な交換トランザクション(transaction)の間に核酸を安定化させるために、1本鎖DNA結合タンパク質の必要性が存在する。具体的に、多くの基質は性質として、依然として部分的に2本鎖であるので、鎖置換性質を有するポリメラーゼが必要である。その反応が微量レベルの核酸から増幅できるいくつかの実施態様において、クラウディング剤(crowding agent)(例えばポリエチレングリコール)およびローディングタンパク質の使用を含むインビトロ条件を使用し得る。バクテリオファージT4UvsXリコンビナーゼ、バクテリオファージT4UvsYローディング剤、バクテリオファージT4gp32およびBacillus subtilisポリメラーゼIラージフラグメントを含む例示的な系が報告された。
【0045】
等温増幅反応の成分を、溶液および/または乾燥(例えば凍結乾燥)形式で提供し得る。1つまたはそれ以上の成分が乾燥形式で提供される場合、再懸濁または再構成緩衝液も使用し得る。
【0046】
増幅反応の特定の型に基づいて、その反応混合物は、緩衝液、塩、ヌクレオチド、および反応が進行するために必要な他の成分を含み得る。その反応混合物を、反応に適当な特定の温度でインキュベートし得る。いくつかの実施態様において、その温度を80℃以下、例えば70℃以下、60℃以下、50℃以下、40℃以下、37℃以下、または30℃以下に維持する。いくつかの実施態様において、その反応混合物を室温に維持する。いくつかの実施態様において、その混合物のセ氏目盛り温度は、反応時間を通して、25%未満(例えば20%未満、15%未満、10%未満、または5%未満)変化するか、および/またはその混合物の温度は、反応時間を通して、15℃未満(例えば10℃未満、5℃未満、2℃未満、または1℃未満)変化する。
【0047】
その標的核酸は、動物(例えばヒト)、植物、真菌(例えば酵母)、原生動物、細菌、またはウイルス種に存在する核酸であり得る。例えば、その標的核酸は、目的の生物のゲノムに(例えば染色体に)、または染色体外の核酸に存在し得る。いくつかの実施態様において、その標的核酸は、RNA、例えばmRNAである。特定の実施態様において、その標的核酸は、目的の生物に特異的である。すなわち、その標的核酸は、他の生物において見出されないか、または目的の生物に類似の生物において見出されない。
【0048】
その標的核酸は、細菌、例えばグラム陽性またはグラム陰性細菌に存在し得る。例示的な細菌種は、アシネトバクター種株ATCC5459、Acinetobacter calcoaceticus、Aerococcus viridans、Bacteroides fragilis、Bordetella pertussis、Bordetella parapertussis、Campylobacter jejuni、Clostridium difficile、Clostridium perfringens、コリネバクテリウム種、Chlamydia pneumoniae、Chlamydia trachomatis、Citrobacter freundii、Enterobacter aerogenes、Enterococcus gallinarum、Enterococcus faecium、Enterobacter faecalis(例えばATCC29212)、Escherichia coli(例えばATCC25927)、Gardnerella vaginalis、Helicobacter pylori、Haemophilus influenzae(例えばATCC49247)、Klebsiella pneumoniae、Legionella pneumophila(例えばATCC33495)、Listeria monocytogenes(例えばATCC7648)、ミクロコッカス種株ATCC14396、Moraxella catarrhalis、Mycobacterium kansasii、Mycobacterium gordonae、Mycobacterium fortuitum、Mycoplasma pneumoniae、Mycoplasma hominis、Neisseria meningitis(例えばATCC6250)、Neisseria gonorrhoeae、Oligella urethralis、Pasteurella multocida、Pseudomonas aeruginosa(例えばATCC10145)、Propionibacterium acnes、Proteus mirabilis、Proteus vulgaris、サルモネラ種株ATCC31194、Salmonella typhimurium、Serratia marcescens(例えばATCC8101)、Staphylococcus aureus(例えばATCC25923)、Staphylococcus epidermidis(例えばATCC12228)、Staphylococcus lugdunensis、Staphylococcus saprophyticus、Streptococcus pneumoniae(例えばATCC49619)、Streptococcus pyogenes、Streptococcus agalactiae(例えばATCC13813)、Treponema palliduma、緑色連鎖球菌群(例えばATCC10556)、Bacillus anthracis、Bacillus cereus、Francisella philomiragia(GAO1−2810)、Francisella tularensis(LVSB)、Yersinia pseudotuberculosis(PB1/+)、Yersinia enterocolitica、O:9血清型、またはYersinia pestis(P14−)を含む。いくつかの実施態様において、その標的核酸は、アシネトバクター、アエロコッカス、バクテロイデス、ボルデテラ、カンピロバクター、クロストリジウム、コリネバクテリウム、クラミジア、シトロバクター、エンテロバクター、エンテロコッカス、エシェリキア、ヘリコバクター、ヘモフィルス、クレブシエラ、レジオネラ、リステリア、ミクロコッカス、モビルンカス(Mobilincus)、モラクセラ、マイコバクテリウム、マイコプラズマ、ナイセリア、オリゲラ、パスツレラ、プレボテラ、ポルフィロモナス、シュードモナス、プロピオニバクテリウム、プロテウス、サルモネラ、セラチア、ブドウ球菌、連鎖球菌、トレポネーマ、バチルス、フランシセラ、またはエルシニアから選択される細菌属の種に存在する。いくつかの実施態様において、その標的核酸は、A群連鎖球菌またはB群連鎖球菌において見出される。
【0049】
例示的なクラミジア標的核酸は、クラミジア潜在プラスミドにおいて見出される配列を含む。
【0050】
例示的なM.tuberculosis標的核酸は、IS6110(US5,731,150を参照のこと)および/またはIS1081(Bahadorら、2005、Res.J.Agr.Biol.Sci.1:142−145を参照のこと)において見出される配列を含む。
【0051】
例示的なN.gonorrhea標的核酸は、NGO0469(Piekarowiczら、2007、BMC Microbiol.7:66を参照のこと)およびNGO0470において見出される配列を含む。
【0052】
例示的なA群連鎖球菌標的配列は、Spy1258(Liuら、2005、Res.Microbiol.156:564−567を参照のこと)、Spy0193、lytA、psaA、およびply(US2010/0234245を参照のこと)において見出される配列を含む。
【0053】
例示的なB群連鎖球菌標的核酸は、cfb遺伝子(Podbielskiら、1994、Med.Microbiol.Immunol.183:239−256を参照のこと)において見出される配列を含む。
【0054】
いくつかの実施態様において、その標的核酸は、ウイルスの核酸である。例えば、そのウイルスの核酸を、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、インフルエンザウイルス、またはデングウイルスにおいて見出し得る。例示的なHIV標的核酸は、Pol領域において見出される配列を含む。
【0055】
いくつかの実施態様において、その標的核酸は、原生動物の核酸である。例えば、その原生動物の核酸を、プラスモジウム種、リーシュマニア種、ガンビアトリパノソーマ、ローデシアトリパノソーマ、クルーズトリパノソーマ、エントアメーバ種、トキソプラズマ種、膣トリコモナス、およびGiardia duodenalisにおいて見出し得る。
【0056】
いくつかの実施態様において、その標的核酸は、哺乳動物(例えばヒト)核酸である。例えば、その哺乳動物の核酸を、循環腫瘍細胞、上皮細胞、または線維芽細胞において見出し得る。
【0057】
いくつかの実施態様において、その標的核酸は、真菌(例えば酵母)核酸である。例えば、その真菌の核酸を、カンジダ種(例えばCandida albicans)において見出し得る。
【0058】
増幅産物の検出は、典型的には、その標的核酸に対応する増幅産物に十分相補的であり、かつハイブリダイズする、標識プローブの使用を含む。従って、増幅産物の存在、量、および/または同一性を、増幅産物に相補的な、蛍光標識プローブのような標識プローブをハイブリダイズすることによって検出し得る。いくつかの実施態様において、目的の標的核酸配列の検出は、等温増幅法および標識プローブを組み合わせて使用して、産物をリアルタイムで測定することを含む。別の実施態様において、目的の増幅標的核酸配列の検出は、増幅した標的核酸を膜のような固体支持体へ移すこと、およびその膜を、増幅標的核酸配列に相補的なプローブ、例えば標識プローブでプロービングすることを含む。さらに別の実施態様において、目的の増幅標的核酸配列の検出は、アドレス可能な(addressable)位置を有する所与のアレイに並べられている、その増幅標的核酸に相補的なプローブへの、標識増幅標的核酸のハイブリダイゼーションを含む。
【0059】
典型的には、増幅反応において1つまたはそれ以上のプライマーを利用する。標的核酸の増幅は、標的核酸を、標的核酸にハイブリダイズし、その増幅を指示し得る1つまたはそれ以上のプライマーに接触させることを含む。いくつかの実施態様において、そのサンプルを、前向きおよび逆向きプライマー(それらはどちらも標的核酸にハイブリダイズする)を含むプライマーのペアと接触させる。
【0060】
リアルタイム増幅は、エンドポイントの検出と対照的に、増幅産物の産生の指標として反応の間に放出された蛍光をモニターする。いくつかの系において、反応のリアルタイムの進行を見ることができる。典型的には、リアルタイム法は、蛍光リポーターの検出を含む。典型的には、その蛍光リポーターのシグナルは、反応における増幅産物の量と正比例して増加する。各サイクルにおける蛍光発光の量を記録することによって、指数期の間の増幅反応をモニターすることができ、ここで増幅産物の量の最初の有意な増加は、標的鋳型の最初の量と関連する。核酸標的の開始コピー数が多いほど、蛍光の有意な増加がより早く観察される。
【0061】
いくつかの実施態様において、その蛍光標識プローブは、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、またはサンプルの蛍光発光波長の変化(リアルタイムでDNAプローブの増幅標的核酸に対するハイブリダイゼーションを検出する方法として)に依存する。例えば、異なるプローブにおける蛍光発生標識間で(例えばHybProbesを用いて)、または同じプローブにおけるフルオロフォアと非蛍光消光剤との間で(例えば分子ビーコンまたはTAQMAN(登録商標)プローブを用いて)起こるFRETは、目的のDNA配列に特異的にハイブリダイズしたプローブを同定し得、そしてこの方法においてサンプル中の標的核酸の存在、および/または量を検出し得る。いくつかの実施態様において、増幅産物を同定するために使用される蛍光標識DNAプローブは、スペクトルが違う発光波長を有し、従って例えば複数の反応において、同じ反応チューブ内でそれらを区別することを可能にする。例えば、複数の反応は、2つまたはそれ以上の標的核酸(コントロール核酸のような別の核酸でも)の増幅産物の同時検出を可能にする。
【0062】
いくつかの実施態様において、標的核酸に特異的なプローブを、同位体または非同位体標識のいずれかで検出可能に標識する;代替の実施態様において、増幅標的核酸を標識する。そのプローブを、標的核酸種の指標として検出し得る(例えば、標的核酸種の増幅産物)。非同位体標識は、例えば蛍光もしくは発光分子、または酵素、補助因子、酵素基質、またはハプテンを含み得る。そのプローブを、RNA、DNA、または両方の混合物の、1本鎖または2本鎖調製物とインキュベートし、そしてハイブリダイゼーションを決定し得る。いくつかの実施例において、そのハイブリダイゼーションは、例えば標識プローブからのシグナルの増加または減少のような、シグナルの検出可能な変化を引き起こす。従って、ハイブリダイゼーションの検出は、ハイブリダイゼーション前の標識からのシグナルと比較して、ハイブリダイゼーション中または後の標識プローブからのシグナルにおける変化を検出することを含む。
【0063】
いくつかの方法において、その増幅産物を、フローストリップを用いて検出し得る。いくつかの実施態様において、1つの検出可能な標識は色を生じ、そして2番目の標識は固定化した抗体によって認識されるエピトープである。両方の標識を有する産物は、固定化抗体に結合し、そしてその固定化抗体の位置で色を生じる。この検出方法に基づくアッセイは、例えばフローストリップ(ディップスティック)であり得、これを等温増幅反応全体に適用し得る。陽性の増幅は、標的核酸種の増幅の指標として、フローストリップにバンドを生じ、一方陰性の増幅は、色のバンドを生じない。
【0064】
いくつかの実施態様において、標的核酸の量(例えばコピー数)を、本明細書中で開示した方法を用いておおよそ定量化し得る。例えば、既知の量の標的核酸を、並行する反応において増幅し得、そしてサンプルから得られた増幅産物の量を、並行する反応において得られた増幅産物の量と比較し得る。いくつかの実施態様において、いくつかの既知の量の標的核酸を、複数の並行する反応において増幅し得、そしてサンプルから得られた増幅産物の量を、並行する反応において得られた増幅産物の量と比較し得る。サンプル中の標的核酸が、並行する反応における標的核酸と同様に、反応成分にとって利用可能であると仮定して、サンプル中の標的核酸の量を、これらの方法を用いておおよそ定量化し得る。
【0065】
本明細書中で開示された方法の反応成分を、標的核酸の検出において使用するためのキットの形式で供給し得る。そのようなキットにおいて、適当な量の1つまたはそれ以上の反応成分が、1つまたはそれ以上の容器で提供されるか、または支持層上に保持される。標的核酸に特異的な核酸プローブおよび/またはプライマーも提供され得る。その反応成分、核酸プローブ、および/またはプライマーを、例えば水溶液に懸濁することができ、またはそれらは、凍結乾燥(freeze−dried)もしくは凍結乾燥(lyophilized)粉末、ペレット、またはビーズであり得る。その成分等が供給される容器は、供給される形式を保持し得るあらゆる従来の容器、例えば、微量遠心管(microfuge tube)、アンプル、もしくはボトル、またはマイクロ流体デバイス、側方流動、もしくは他の同様なデバイスのような一体型試験デバイスであり得る。そのキットは、標的核酸の検出において使用するために、標識または非標識核酸プローブのいずれかを含み得る。いくつかの実施態様において、そのキットはさらに、本明細書中で記載した方法、例えば核酸抽出および/または精製を行わずに粗製のマトリックスを用いる方法において、その成分を使用するための説明書を含み得る。
【0066】
いくつかの適用において、個々の、典型的には使い捨てのチューブまたは等価な容器において、前もって測定した単回使用量で、1つまたはそれ以上の反応成分を提供し得る。そのような準備を用いて、標的核酸の存在に関して試験するサンプルを、個々のチューブに加え得、そして増幅を直接行い得る。
【0067】
キットにおいて供給される成分の量は、任意の適当な量であり得、そしてその製品が向けられる標的の市場に依存し得る。適当な量を決定するための一般的なガイドラインを、Innisら、Sambrookら、およびAusubelらにおいて見出し得る。
【実施例】
【0068】
(実施例1.粗製のマトリックスにおける細菌の検出)
粗製のサンプルにおいて核酸を増幅する能力を調査した。Salmonella typhimuriumを、LBブロスで増殖させた。指数期中期の培養物を、1μl中100、1000、または10,000cfuに希釈した。そのサンプルを2.5μlの0.2 NaOH、0.1%のTritonX−100と5分間混合し、続いて1μlの1M酢酸で中和することによって、その希釈した培養物を溶解した。コントロール培養物(溶解無し)を、増幅のために再懸濁緩衝液と混合した。200コピーのinvA PCR産物を、ポジティブコントロールとして使用し、そしてLB培地をネガティブコントロールとして使用した。各サンプルに、それぞれ3.5μlの前向きおよび逆向き増幅プライマー(INVAF2、ccgtggtccagtttatcgttattaccaaaggt、配列番号1およびINVAR2、ccctttccagtacgcttcgccgttcgcgcgcg、配列番号2)の6μM溶液、8.5μlの20%PEG35K、2.5μlの酢酸マグネシウム(280mM)、凍結乾燥反応ペレット(1.25μgのクレアチンキナーゼ、23μgのUvsX、5μgのUvsY、24.25μgのGp32、6.65μgのExoIII、14.65μgのPolI、PEG35000(最終濃度5.5%w/v)、Tris pH8.3(最終濃度50mM)、DTT(最終濃度5mM)、ホスホクレアチン(最終濃度50mM)、ATP(最終濃度2.5mM)、トレハロース(最終濃度5.7%w/v)、およびdNTP(それぞれ最終濃度300mM)を含む)、検出プローブattttctctggatggtatgcccggtaaacagaQgHgFattgatgccgatt(Q=BHQ−1−dT;H=THF;F=フルオレセイン−dT;3’=ビオチン−TEG(15原子トリエチレングリコールスペーサー);配列番号3)を加え、さらに水を50μlの全反応容積まで加えた。溶解したサンプルにおいて、S.typhimuriumを細胞の数に依存して、全てのサンプルで検出した(図1B)。1000cfuによるシグナル強度は、200コピーで使用したコントロール標的DNAより非常に強く、一方100cfuのサンプルは、コントロールよりわずかに弱かった。このデータは、全てではないにしても、ほとんどの細菌がその処理によって溶解し、そしてそのDNAが増幅反応において、鋳型としての作用に関して、完全に利用可能であったことを強く示唆する。溶解工程の非存在下で(図1A)、10,000cfuを用いた場合に1つの例で標的の増幅を検出したが(おそらくめったにない溶解による偶然のゲノムDNAの混入による)、他ではなかった。この実施例は、直接的なアルカリ溶解後に、増殖培地から高感度で細菌を直接検出し得ることを示す。
【0069】
(実施例2.単純な溶解後の唾液における細菌の検出)
この実施例は、核酸抽出の必要無しに検出し得る、別の標的およびサンプルを示す。この実験において、連鎖球菌A遺伝子の検出のために開発したプライマーおよびプローブ
【0070】
【化1】

を使用して、唾液サンプルから直接StrepAを検出する能力を調査した。SterpAを有することが公知である多くの個体から唾液をプールし、そして唾液の1000cfu/mlの標的コピー数で使用した。20μlの唾液(1000cfu/ml)を、1μlの0.1%TrironX−100、およびa)水、b)1μlのムタノリシン(50U/μl)および0.5μlのリゾチーム(100mg/ml)、c)2μlのPlyC(2.2mg/ml)(Nelsonら、2006、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、103:10765−70)、またはd)ムタノリシン、リゾチームおよびPlyC(bおよびcと同じ量)と混合した。上記反応物を、100μlの容積であること以外は実施例1と同様に調製した。サンプルを、StrepAに対して溶解効果を有することが公知であるPlyC酵素とインキュベートした場合、StrepAを、唾液中で直接検出できた(図2)。これは、反応物の5分の1(100μlの最終反応容積中20μl)が唾液からなる場合でもあてはまり、そしてこの場合、反応物中に約50の微生物のみを含み得る。この実施例は、20%の唾液を含む粗製のマトリックス中で、核酸精製無しでも、RPAはすぐれた感度および堅調な動態を提供し得ることを示す。
【0071】
(実施例3.溶解されていないサンプルにおける細菌の検出)
S.aureus nuc遺伝子を検出するために開発したプライマーおよびプローブを用いて、Staphylococcus aureus(S.aureus)を検出した。公知のStaphylococcus aureusキャリアの鼻孔前方からサンプルを採取するために、フロックスワブ(Copan♯503CS01)を用いた。そのスワブを、500μlの再懸濁緩衝液に浸し、そして次いで廃棄した。このスワブ液の46.5μlのアリコートを、1μlの0、1、2、および3ユニットのリソスタフィンに加えた。次いで47.5μlのスワブ液/リソスタフィンを、実施例1で記載したような、凍結乾燥「nuc」RPA反応物を再懸濁するために使用し、そして反応物は、プライマー
【0072】
【化2】

ここでR=Tamra dT、H=THFまたはD−スペーサー(脱塩基部位を模倣)、Q=BlackHoleQuencher2 dT、3’=ビオチン−TEG、配列番号9)も含んだ。2.5μlの280mM MgAcを、各反応物に、反応を開始させるために同時に加えた。反応を38℃で20分間行い、サンプルを4分後ボルテックスすることによって撹拌した。驚くべきことに、最も強いシグナルは、サンプルにリソスタフィンを全く加えなかった場合に観察された(図3)。リソスタフィンの添加は、全シグナル強度のわずかな抑制を引き起こしたかもしれない。この実施例は、ある状況では、溶解は必ずしも増幅のために必要ではない場合があることを示す。
【0073】
(実施例4.増幅反応のために熱処理は必ずしも必要でない)
公知のS.aureusキャリアの鼻孔前方からサンプルを採取するために、フロックスワブ(Copan♯516CS01)を用いた。そのスワブを、350μlの水に浸し、そして次いで廃棄した。次いでそのスワブ液を混合し、そして99μlの3ロットのアリコートに分けた。2つのアリコートに1.65μlの水を加え、そして3番目に1.65μlのリソスタフィン(43ユニット/μl)を加えた。水を加えたアリコートを、45分間沸騰させるか、または室温で45分間放置した。リソスタフィンアリコートを、37℃で40分間加熱し、そして次いで5分間沸騰させて任意のヌクレアーゼを破壊した。91.5μlの各アリコートを、27μlの20%PEG、9μlのnucForwardPrimer10(配列番号7)、9μlのnucReversePrimer6(配列番号8)および3μlのnucプローブ1(配列番号9)に加えて、反応混合物を作製した。次いで2連で、46.5μlの各反応混合物を、実施例1で記載したような凍結乾燥Primer Free RPA反応物を再懸濁するために使用した。2.5μlの280mM MgAcを、各反応物に反応を開始させるために同時に加えた。反応を38℃で20分間行い、サンプルを4分後にボルテックスすることによって撹拌した。同じプライマーおよびプローブならびに公知のコピー数のnucPCR産物を用いた2つのポジティブコントロール反応も行った。興味深いことに、この場合、最も強いシグナルは、沸騰にも、リソスタフィン処理に続く沸騰にも供さなかったサンプルで見出された(図4)。この場合、おそらくDNAの損傷または何らかの阻害成分の放出のために、沸騰行為は実際に、全体的感度を低下させた。さらに、短い沸騰の前にリソスタフィンと共にいくらかの時間インキュベートすることは、さらに感度を低下させた。沸騰のみの場合、開始の時間は溶解されていないサンプルと同様であり、このことは、利用可能なコピー数は同じであるが、おそらく最終的な蛍光シグナルの強度を抑える何らかのインヒビターが放出されたことを示す。リソスタフィン前処理の場合は、さらに、シグナルが遅く、おそらくインキュベーションの間のDNA分解のために、利用可能な標的コピー数が減少したことを示唆する。まとめて考えると、これらのデータは、サンプルをRPA反応物に入れたときに、ほとんどまたは全ての潜在的な標的DNAがRPA試薬にとって利用可能であり、そしてどちらかといえば、加熱または酵素による予備的溶解は、利用可能なコピー数を減少させるか、または望ましくないインヒビターを放出するだけであることを示す。この実施例はさらに、RPAは、最初の変性を必要とする他の技術と比較して、生物学的サンプルにおいてS.aureusを直接検出するために適当な技術であり得ることを示す。
【0074】
(実施例5.増幅反応のために、DNAの精製は必ずしも必要でない)
公知のS.aureusキャリアの鼻孔前方からサンプルを採取するために、フロックスワブ(Copan♯516CS01)を用いた。そのスワブを、300μlの水に浸し、そして次いで廃棄した。次いでそのスワブ液を混合し、そして100μlの2ロットのアリコートに分けた。最初のアリコートに2μlのリソスタフィン(43ユニット/μl)を加え、2番目のロットはそのままにした。リソスタフィンアリコートを、37℃で45分間加熱し、そして次いで5分間沸騰させて任意のヌクレアーゼを破壊した。3μgのヒトゲノムDNA(キャリアDNA)を、溶解させたスワブ液に加え、そして次いで全てのDNAをQIAgen’s Dneasy Miniプロトコールを用いて抽出し、そして100μlの水に溶出した。30.5μlの溶解されていないアリコートおよび溶解アリコートを、9μlの20%PEG、3μlのnucForwardPrimer10(配列番号7)、3μlのnucReversePrimer6(配列番号8)および1μlのnucプローブ1(配列番号9)に加えて、反応混合物を作製した。次いで46.5μlの各反応混合物を、実施例1で記載したような凍結乾燥Primer Free RPA反応物を再懸濁するために使用した。2.5μlの280mM MgAcを、各反応物に、反応を開始させるために同時に加えた。その反応を38℃で20分間行い、サンプルを4分後にボルテックスすることによって撹拌した。同じプライマーおよびプローブならびに公知のコピー数のnucPCR産物を用いた2連のポジティブコントロール反応も行った。精製および溶出したDNAは、溶解されていない/未処理サンプルと同様に機能した(わずかに遅い開始であり、低いコピー数を示すが)(図5)。浄化工程が、沸騰単独で示された不十分な増幅曲線を排除したので、このことは、沸騰がS.aureusからインヒビターを放出し得、それを続いて浄化プロトコールによって除去し得ることを示唆する。しかし、以前の実験において示されたように、RPA反応においてサンプルを直接使用する場合、この損傷試薬には単純に遭遇せず、同時に標的DNAは完全に利用可能なようである。なぜならば、DNA抽出後の遅い開始によって示されるように、処理をした場合にコピー数が減少するようであるからである。
【0075】
(実施例6.溶解されていない細胞における核酸の検出)
Quality Control for Molecular Diagnosticsパネル由来の、不活性化メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)を希釈し、そして公知の量でRPA反応物に直接加えた。27.5μlの水、1μlのDNA/細菌/HO、9μlの20%PEG、
【0076】
【化3】

ここでf=Fam dT、x=THFまたはD−スペーサー(脱塩基部位を模倣)、b=BHQ1 dT、および3’=ビオチン−TEG、配列番号15)(全て1.6μMで)を用いて、実施例1で記載したような凍結乾燥Primer Free RPA反応物を再懸濁した。2.5μlの280mM MgAcを、各反応物に反応を開始させるために同時に加えた。反応を38℃で20分間行い、サンプルを4分後にボルテックスすることによって撹拌した。100個の細菌標的が含まれる場合に、標的核酸は常に検出され、そして10個の細菌標的が含まれる場合には散発的に検出された(図6)。これらのデータは、サンプル中のほとんどまたは全ての潜在的なDNA標的が利用可能であるという考えと一致する。実際、100個の標的からのシグナルは、50コピーの鋳型コントロールよりも早く開始し、そして10コピーはわずかに遅く開始し、従って全ての標的が利用可能であったようである。1つの10標的サンプルの失敗は、抽出無しでの、任意の標的の存在または不在に影響を与える細菌の凝集のため、またはnucに関するこのRPAテストの全体的なカットオフ感度が約10コピーであるためであり得る。
【0077】
(実施例7.溶解無しでのマイコプラズマの核酸の検出)
図7は、任意の最初の溶解処理無しでの、別の細菌標的の直接検出を示す。この場合、ブタマイコプラズマを検出するために開発されたプライマーおよびプローブ
【0078】
【化4】

を用いて、それらがマイコプラズマを検出する能力を評価した。アガロースに存在する(力価測定された(titred))、熱不活性化マイコプラズマMEVTW61を、Mycoplasma Experience UKから得た。フロックスワブを使用して、サンプルを採取し、それをRPA再水和緩衝液中に直接浸した。その緩衝液を1000、100および50cfuのマイコプラズマに希釈し、そして特異的なマイコプラズマ標的を増幅するために構成した、実施例1で記載したようなRPA反応物を再水和するために使用した。反応環境に入れた人工的なプラスミド配列を標的とする、別の蛍光チャネルで測定した内部コントロールをこの実験に含めた。全ての場合において、そして50cfuの感度に下げても、そのテストはブタマイコプラズマ配列を効率的に検出し得た(図7)。
【0079】
(実施例8.M.tuberculosisの検出)
患者においてM.tuberculosisの存在を試験するために、患者から痰サンプルを得て、それを再懸濁緩衝液と混合する。その混合物をそのまま使用するか、または溶解に供する。その混合物を、RPA反応に供し、IS6110(US5,731,150を参照のこと)および/またはIS1081(Bahadorら、2005、Res.J.Agr.Biol.Sci.1:142−145を参照のこと)に対応する核酸種を増幅する。IS6110またはIS1081に対応する増幅産物の検出は、患者サンプルにおけるM.tuberculosisの存在を示す。
【0080】
(実施例9.A群連鎖球菌の検出)
患者においてA群連鎖球菌の存在を試験するために、患者から喉スワブまたは唾液サンプルを得て、それを再懸濁緩衝液と混合する。その混合物をそのまま使用するか、または溶解に供する。その混合物を、RPA反応に供し、Spy1258(Liuら、2005、Res.Microbiol.156:564−567を参照のこと)および/またはSpy0193に対応する核酸種を増幅する。Spy1258またはSpy0193に対応する増幅産物の検出は、患者サンプルにおけるA群連鎖球菌の存在を示す。
【0081】
(実施例10.N.gonorrheaの検出)
患者においてN.gonorrheaの存在を試験するために、患者から膣スワブまたは尿サンプルを得て、それを再懸濁緩衝液と混合する。その混合物をそのまま使用するか、または溶解に供する。その混合物を、RPA反応に供し、NGO0469(Piekarowiczら、2007、BMC Microbiol.7:66を参照のこと)および/またはNGO0470に対応する核酸種を増幅する。NGO0469またはNGO0470に対応する増幅産物の検出は、患者サンプルにおけるN.gonorrheaの存在を示す。
【0082】
(実施例11.クラミジアの検出)
患者においてクラミジアの存在を試験するために、患者から膣スワブまたは尿サンプルを得て、それを再懸濁緩衝液と混合する。その混合物をそのまま使用するか、または溶解に供する。その混合物を、RPA反応に供し、クラミジア潜在プラスミド(Hattら、1988、Nucleic Acids Res.16:4053−67を参照のこと)に対応する核酸種を増幅する。潜在プラスミドに対応する増幅産物の検出は、患者サンプルにおけるクラミジアの存在を示す。
【0083】
(実施例12.B群連鎖球菌の検出)
患者においてB群連鎖球菌の存在を試験するために、患者から膣または直腸スワブを得て、それを再懸濁緩衝液と混合する。その混合物をそのまま使用するか、または溶解に供する。その混合物を、RPA反応に供し、cfb遺伝子(Podbielskiら、1994、Med.Microbiol.Immunol.183:239−256を参照のこと)に対応する核酸種を増幅する。cfb遺伝子に対応する増幅産物の検出は、患者サンプルにおけるB群連鎖球菌の存在を示す。
【0084】
(実施例13.HIVの検出)
患者においてHIVの存在を試験するために、患者から血液サンプル(例えば全血またはバフィーコート)を得て、それを再懸濁緩衝液と混合する。その混合物をそのまま使用するか、または溶解に供する。その混合物を、RPA反応に供し、Pol領域に対応する核酸種を増幅する。Pol領域に対応する増幅産物の検出は、患者サンプルにおけるHIVの存在を示す。
【0085】
(他の実施態様)
本発明の多くの実施態様が記載された。それにもかかわらず、本発明の精神および範囲から離れることなく、様々な修飾を行い得ることが理解される。よって、他の実施態様が、以下の特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗製のマトリックスを、標的核酸種のための等温核酸増幅反応の成分と接触させて、混合物を提供する工程;
該混合物を、該等温核酸増幅反応が進行するために十分な条件下でインキュベートして、産物を提供する工程;および
該標的核酸種の指標が、該産物に存在するか否かを決定する工程
を含む、方法。
【請求項2】
粗製のマトリックスを、標的核酸種のための核酸増幅反応の成分と接触させて、混合物を提供する工程;
該核酸増幅反応が進行することを可能にするために十分な時間にわたり、該混合物の温度を80℃未満に維持して、産物を提供する工程;および
該標的核酸種の指標が、該産物に存在するか否かを決定する工程
を含む、方法。
【請求項3】
粗製のマトリックスを、標的核酸種のための核酸増幅反応の成分と接触させて、混合物を提供する工程;
該核酸増幅反応が進行することを可能にするために十分な時間にわたり、該混合物のセ氏目盛り温度を25%未満または15℃未満変化させて、産物を提供する工程;および
該標的核酸種の指標が、該産物に存在するか否かを決定する工程
を含む、方法。
【請求項4】
混合物の等温反応を実施して産物を提供する工程であって、該混合物は粗製のマトリックスおよび標的核酸種のための核酸増幅反応の成分を含む、工程;および
該標的核酸種の指標が、該産物に存在するか否かを決定する工程
を含む、方法。
【請求項5】
最高で80℃の温度で混合物を反応させて産物を提供する工程であって、該混合物は粗製のマトリックスおよび標的核酸種のための核酸増幅反応の成分を含む、工程;および
該標的核酸種の指標が、該産物に存在するか否かを決定する工程
を含む、方法。
【請求項6】
混合物のセ氏目盛り温度を最大25%または最大15℃変化させる間、該混合物を反応させて産物を提供する工程であって、該混合物は粗製のマトリックスおよび標的核酸種のための核酸増幅反応の成分を含む、工程;および
該標的核酸種の指標が、該産物に存在するか否かを決定する工程
を含む、方法。
【請求項7】
前記粗製のマトリックスが、生物学的サンプルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記生物学的サンプルが、血液、尿、唾液、痰、リンパ液、血漿、射精液、肺吸引物、および脳脊髄液からなる群より選択される少なくとも1つのサンプルを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記生物学的サンプルが、喉スワブ、鼻スワブ、膣スワブ、または直腸スワブからなる群より選択される少なくとも1つのサンプルを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記生物学的サンプルが、生検サンプルを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記粗製のマトリックスが、溶解処理に供されない、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記粗製のマトリックスが、カオトロピック剤、界面活性剤、または溶解酵素調製物で処理されない、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記粗製のマトリックスが、高温温度処理工程に供されない、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記標的核酸種が、ブドウ球菌の核酸である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ブドウ球菌が、S.aureusである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記S.aureusが、メチシリン耐性S.aureus(MRSA)である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記標的核酸種が、マイコプラズマの核酸である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記粗製のマトリックスが、溶解処理に供される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記溶解処理が、前記粗製のマトリックスを界面活性剤で処理する工程を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記溶解処理が、前記粗製のマトリックスを溶解酵素で処理する工程を含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記溶解酵素が、PlyCである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記標的核酸種が、連鎖球菌の核酸である、請求項1〜10および18〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記連鎖球菌が、A群連鎖球菌(Strep A)である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記標的核酸種が、サルモネラの核酸である、請求項1〜10および18〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記サルモネラが、S.typhimuriumである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記標的核酸が、細菌の核酸である、請求項1〜13および18〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記細菌が、Chlamydia trachomatis、Neisseria gonorrhea、A群連鎖球菌、B群連鎖球菌、Clostridium difficile、Escherichia coli、Mycobacterium tuberculosis、Helicobacter pylori、Gardnerella vaginalis、Mycoplasma hominis、モビルンカス種、プレボテラ種、およびポルフィロモナス種からなる群より選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記標的核酸が、哺乳動物の核酸である、請求項1〜13および18〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記標的核酸が、腫瘍細胞と関連している、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記標的核酸が、ウイルスの核酸である、請求項1〜13および18〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記ウイルスが、HIV、インフルエンザウイルス、およびデングウイルスからなる群より選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記標的核酸が、真菌の核酸である、請求項1〜13および18〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記真菌が、Candida albicansである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記標的核酸が、原生動物の核酸である、請求項1〜13および18〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記原生動物が、トリコモナスである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記等温核酸増幅反応が、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅である、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記等温核酸増幅反応が、転写媒介増幅、核酸配列に基づく増幅、RNAのシグナル媒介増幅、鎖置換増幅、ローリングサークル型増幅、DNAのループ媒介等温増幅、等温多重置換増幅、ヘリカーゼ依存性増幅、シングルプライマー等温増幅法、環状ヘリカーゼ依存性増幅、ならびにニッキングおよび伸長増幅反応からなる群より選択される、請求項1〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記反応の条件が、ポリエチレングリコール(PEG)を含む、請求項1〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
PEGが、1%より高い濃度で前記反応の条件中に存在する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
特異的DNA種または特異的RNA種を検出するための方法であって、サンプルを、カオトロピック剤、界面活性剤による事前の溶解処理を行わずに、高温温度処理工程を行わずに、または溶解酵素調製物無しで、反応再水和緩衝液または水和反応系に接触させ、そして検出可能なレベルまで増幅させる、方法。
【請求項41】
前記標的核酸種が、Staphylococcus aureusまたはMRSAのゲノムDNAを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記増幅の方法が、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)法である、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
ポリエチレングリコールが、前記再水和緩衝液または完全に再水和した増幅環境に1%より高い濃度で含まれる、請求項40または41に記載の方法。
【請求項44】
等温核酸増幅反応の成分;および
溶解酵素
を含む、キット。
【請求項45】
前記等温核酸増幅反応の成分が、リコンビナーゼを含む、請求項44に記載のキット。
【請求項46】
前記溶解酵素が、バクテリオファージ溶解素を含む、請求項44または45に記載のキット。
【請求項47】
前記バクテリオファージ溶解素が、連鎖球菌Cバクテリオファージ溶解素(PlyC)を含む、請求項46に記載のキット。
【請求項48】
等温核酸増幅反応の成分;および
側方流動デバイス
を含む、キット。
【請求項49】
前記等温核酸増幅反応の成分が、リコンビナーゼを含む、請求項48に記載のキット。
【請求項50】
等温核酸増幅反応の成分;および
スワブ
を含む、キット。
【請求項51】
前記等温核酸増幅反応の成分が、リコンビナーゼを含む、請求項50に記載のキット。
【請求項52】
核酸精製または抽出のための試薬を含まない、請求項44〜51のいずれか一項に記載のキット。
【請求項53】
核酸精製または抽出のための前記試薬が、カオトロピック剤を含む、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
請求項44〜53のいずれか一項に記載のキットであって、核酸精製または抽出の工程を行わずに、等温核酸増幅の方法において該キットを使用するための説明書をさらに含む、キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−505723(P2013−505723A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531056(P2012−531056)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/050151
【国際公開番号】WO2011/038197
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(512051941)アリーア サン ディエゴ, インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】