説明

粘土質石膏

本発明は、櫛型ポリマーを含有する粘土質石膏組成物を処理する能力を改善するための第1、第2、及び第3アルキルアミン、並びに第4アルキルアンモニウム化合物から選択される添加剤の使用に関する。本発明はまた、粘土質石膏組成物、分散剤、粘土質石膏組成物、及び石膏組成物から製造できる成形部品を製造するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、櫛型ポリマーを含有する粘土質石膏組成物のワーカビリティを改善するための第1、第2、及び第3アルキルアミン、並びに第4アルキルアンモニウム化合物から選択される添加剤の使用に関する。本発明はまた、粘土質石膏組成物、分散剤、粘土質石膏組成物、及び石膏組成物から製造できる成形体を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石膏は、多くの用途に用いられる重要な建築材料である。例えば、石膏調製物は、乾式壁体の製造、コンパウンドのスパックリング、壁のしっくい塗り、又は床プラスタの製造に用いられる。石膏は硫酸カルシウムと同義語である。この石膏は、製造方法に応じて、結晶水の含有量及び結晶形状が異なる種々の変化物に於いて発生することができる。
【0003】
技術的に、石膏の特性は、加熱(か焼)して部分的に又は完全に除去された結晶水を水の添加後にさらに吸収させ且つ同時に凝結させることによって使用される。凝結に必要であるよりも多くの水がワーカビリティのために必要とされるので、過剰な水(65%まで)が再び除去されなければならない。こうした湿潤した石膏組成物は成形することができる。
【0004】
石膏の処理では、含水量を低下させる必要性がある。凝結した石膏は、これにより多孔度がより低く且つより安定である。含水量がより低ければ、より短い乾燥プロセスで十分である。
【0005】
従来技術によれば、水の減少は、石膏に「液化剤」を添加することによって達成される。ポリマー、特にペンダント鎖がエステル基、アミド基、及び/又はエーテル基によってバックボーン鎖に結合される櫛型ポリマーが適している。石膏組成物へのこうした櫛型ポリマーの添加により、処理に必要な粘度を得るために必要とされる水の量が減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2009/068899
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術では、粘土質石膏が石膏成分として用いられるときには、櫛型ポリマーは液化剤として効果的ではない又はほんの少々にしか効果的ではないという問題が存在する。粘土を含有しない石膏に櫛型ポリマーを添加すると、粘度が減少し、結果として水性石膏組成物のワーカビリティが増加する。この挙動は、粘土質石膏にはほとんど又はまったく存在しない。櫛型ポリマーは、したがって、粘土質石膏組成物に所望の液化作用をもたらさない。
【0008】
この問題を解決するために、櫛型ポリマー以外に、粘土に対し特定の親和性を有する塩基性の水溶性ポリマーを添加することが、特許WO2009/068899で提案された。この方法は、櫛型ポリマーに加えて、さらに複雑なポリマーが石膏組成物に添加されなければならないという欠点を呈する。特別なポリマーは製造するのに割高であり、その結果、費用が高くつく。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、粘土質石膏組成物を液化させるために簡単且つ効率的な方法を利用できるようにする問題に基づいている。このために用いられる添加剤及び組成物は、簡単且つ費用効果良く入手可能であるべきであり、且つ効率的な液化をもたらすべきである。特に、櫛型ポリマーを液化作用を達成するためだけの少ない投入量で用いることを可能にする添加剤が調製されるべきである。さらに、石膏組成物が有機ポリマーの高い割合を呈することは、これが構造の、結果として製品の特性の変化を招く可能性があるので、避けられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】液化剤の作用に対する粘土含有量の影響を判定するために、一連の試験を行った結果を示す図である。この実験では本発明に係る添加剤は含まれなかった。石膏スラリーは、増加する割合の粘土(硫酸カルシウムの総重量に対して0〜2wt.%のベントナイト)及び一定の含有量の櫛型KP−1ポリマー(硫酸カルシウムの総重量に対して0.2wt.%)と共に作製し、流動を測定した。結果を図1に示す。粘土含有量の増加と共に液化剤の作用が明らかに減少する。
【図2】一連の測定において粘土含有量が同じである状態で(1wt.%のベントナイト)櫛型KP−1ポリマーの割合を増加させた結果を示す図である。この実験では本発明に係る添加剤は含まれなかった。結果を図2に示す。非粘土質石膏と比較できる程度までの液化作用を得るには、明らかに増加された量の櫛型ポリマーを(約5倍多く)添加しなければならない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の目的は、エステル基、アミド基、及び/又はエーテル基によってバックボーン鎖に結合されるペンダント鎖を呈する少なくとも1つの櫛型ポリマーを含有する粘土質石膏組成物のワーカビリティを改善するための、適用可能な場合にそれぞれが少なくとも1つのヒドロキシ基及び/又はエーテル基を呈する第1、第2、又は第3アルキルアミン、並びに第4アルキルアンモニウム化合物から選択される添加剤の使用である。
【0012】
「粘土質石膏化合物のワーカビリティを改善するための」という表現は、本発明との関係では、特に粘土質石膏組成物の液化として理解されるべきである。本発明に従って用いられる添加剤は、特に、粘土質石膏組成物中に存在する櫛型ポリマーのうちの少なくとも1つの液化作用の改善を可能にする。
【0013】
まだ凝結されていない粘土質石膏組成物及び/又は流動可能な粘土質石膏組成物が、粘土質石膏組成物である。
【0014】
好ましくはアルキルアミン、特にモノアミン、ジアミン、又はトリアミンを、本発明に係る添加剤として用いることができる。
【0015】
添加剤は、特定の実施形態では、少なくとも1つのヒドロキシ基及び/又は少なくとも1つのエーテル基を呈する。例えば、化合物は、それぞれ、1つ又は複数のヒドロキシ基及び/又は1つ又は複数のエーテル基を呈することができる。好ましい実施形態では、化合物は複数のエーテル基を呈する。
【0016】
驚いたことに、粘土質石膏組成物への添加剤の本発明に係る添加によって、その中に含有される櫛型ポリマーが良好な液化作用を達成することを達成することができる。また、WO2009/068899で開示されるように付加的に塩基性の水溶性ポリマーを用いることは必要とされない。好ましい実施形態では、WO2009/068899に係るさらなる塩基性の水溶性ポリマー、特にポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール誘導体、又はデンプン添加剤は使用されない。しかしながら、こうしたポリマーの使用は、根本的には可能である。
【0017】
本発明に係る使用により、粘土質石膏組成物は、特に延長されたワーカビリティを示す。これは、少なくとも1つの櫛型ポリマーを伴う粘土質石膏組成物が、特に水及び添加剤の添加後に、特に添加剤を含有しない組成物と比べて、又は従来の液化剤のような他の添加剤に対応する部分を含有する組成物と比較して、比較的より長時間にわたって依然としてワーカブルなままであることを意味する。
【0018】
本発明の好ましい実施形態では、アルキルアミンは、モノ−アミン、ジアミン、又はトリアミンである。好ましくは、モノアミンは、アミノ基がアルキル鎖の炭素原子で末端置換されるもの(α−アミン)である。好ましいジアミンは、両方のアミノ基が直鎖アルキル鎖の両方の末端炭素原子で置換されるもの(α−、Ω−ジアミン)である。
【0019】
好ましい実施形態では、第1アミンが用いられ、これは同時に第1アルコールである。置換基の両方は、α位、Ω位とすることができる。本発明に係る第1、第2、及び第3アルキルアミン、並びに第4アルキルアンモニウム化合物を伴う好ましい実施形態では、アルキル基は枝分かれ鎖ではなく直鎖のアルキル基である。
【0020】
アルキルアミンは、あらゆる公知の形態で本発明に従って用いることができる。塩基性アミンでは、プロトン化された形態と脱プロトン化された形態との間で平衡が存在することが当業者には公知である。アミンが酸性溶液中に存在する限り、それらはしたがってアンモニウム化合物のpH値に対応する部分を呈する。アミンはまた、金属錯体の構成成分として用いることができる。アミンは複数のアミノ基で金属錯体を形成することが知られている。例えば、銅(II)エチレンジアミン水酸化物のような銅アミン錯体を本発明に従って用いることができる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、アルキルアミンは、R1−NH、R2−NH−R2’、及びNH−R3−NHから選択され、式中、R1、R2、及びR2’は、互いに独立して1〜200個の炭素原子をもつアルキル基であり、R3は、1〜150個の炭素原子をもつアルキル基である。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、R1、R2、及びR2’は、互いに独立して30〜150個の炭素原子をもつアルキル基であり、R3は、20〜120個の炭素原子をもつアルキル基である。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、アルキルアミンは、ポリエーテルアミン、特にポリエーテルモノアミン、又はポリエーテルジアミンである。
【0024】
好ましいポリエーテルアミンは、エーテル基を含む脂肪族モノアミン、特にポリオキシアルキレンモノアミンである。これらは、例えば、Jeffamine(登録商標)(Huntsmanから)という名称で入手可能である。特に、適切なポリオキシアルキレンモノアミンは、Jeffamine(登録商標)M−600、Jeffamine(登録商標)M−1000、Jeffamine(登録商標)M−2005、及びJeffamine(登録商標)M−2070である。
【0025】
さらに好ましいポリエーテルアミンは、エーテル基を含む脂肪族ジアミン、例えばビス−(2−アミノエチル)エーテル;3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジアミン;4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン;4,7−ジオキサデカン−2,9−ジアミン;4,9−ジオキサドデカン−1,12−ジアミン;5,8−ジオキサドデカン−3,10−ジアミン及びこれらのジアミンのより高級のオリゴマー;例えば350〜5200の範囲内の分子量をもつビス−(3−アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン及び他のポリテトラヒドロフランジアミン並びにポリオキシアルキレンジアミンである。後者は、ポリオキシアルキレンジオールのアミノ化からの典型的な生成物を表し、例えば、(Huntsmanから)Jeffamine(登録商標)という名称で、(BASFから)ポリエーテルアミンという名称で、又は(Nitroilから)PC Amine(登録商標)という名称で入手可能である。特に適切なポリオキシアルキレンジアミンは、Jeffamine(登録商標)D−230、Jeffamine(登録商標)D−400、Jeffamine(登録商標)D−2000、Jeffamine(登録商標)D−4000、Jeffamine(登録商標)XTJ−511、Jeffamine(登録商標)ED−600、Jeffamine(登録商標)ED−900、Jeffamine(登録商標)ED−2003、Jeffamine(登録商標)XTJ−568、Jeffamine(登録商標)XTJ−569、Jeffamine(登録商標)XTJ−523、Jeffamine(登録商標)XTJ−536、Jeffamine(登録商標)XTJ−542、Jeffamine(登録商標)XTJ−559、Jeffamine(登録商標)EDR−104、Jeffamine(登録商標)EDR−148、Jeffamine(登録商標)EDR−176;ポリエーテルアミンD230、ポリエーテル−アミンD400、及びポリエーテルアミンD2000;PC Amine(登録商標)DA250、PC Amine(登録商標)DA400、PC Amine(登録商標)DA650、及びPC Amine(登録商標)DA2000である。
【0026】
本発明のさらに好ましい実施形態では、アルキルアミンは、イミン基を呈し、且つ例えば(BASFから)Lupasol(登録商標)という名称で入手可能なアルキルアミンである。イミン基を呈する特に適切なアルキルアミンは、Lupasol(登録商標)FC、Lupasol(登録商標)G10、Lupasol(登録商標)G20、Lupasol(登録商標)G35、Lupasol(登録商標)G100、及びLupasol(登録商標)G500である。
【0027】
添加剤は、200〜4000、好ましくは300〜2500の分子量を呈するのが特に好ましい。添加剤は、これにより典型的に揮発性がより低く又はまったく揮発性ではなく、且つまたより軽い悪臭公害をもたらす。
【0028】
本発明によれば、石膏組成物は、エステル基、アミド基、及び/又はエーテル基によってバックボーン鎖に結合されるペンダント鎖を呈する少なくとも1つの櫛型ポリマーを含有する。「呈する」とは、本明細書では、少なくとも1つのエステル基、アミド基、又はエーテル基に加えて、さらに異なるそのペンダント鎖が含まれる場合があることを意味する。櫛型ポリマーは、例えば全てのペンダント鎖における官能基、長さ、又は部分に関して異なる、種々のペンダント鎖の組合せをしばしば呈する。こうした櫛型ポリマーは従来技術では公知である。
【0029】
適切な櫛型ポリマーは、一方では、エーテル基によって直鎖ポリマー構造に結合されるペンダント鎖を呈するものである。エーテル基によって直鎖ポリマー構造に結合されるペンダント鎖は、ビニルエーテル又はアリルエーテルの重合によって得ることができる。こうした櫛型ポリマーは、例えば、WO2006/133933A2で説明され、その内容が参照により本明細書に含まれる。
【0030】
特に、ビニルエーテル又はアリルエーテルは式(II)を呈する。
【化1】

【0031】
ここで、R’はHを表し、若しくは1〜20個の炭素原子をもつ脂肪族炭化水素基又は5〜8個の炭素原子をもつ脂環式炭化水素基、若しくは必要な場合には6〜14個の炭素原子をもつ置換されたアリール基を表す。R’’はH又はメチル基を表し、R’’’は置換されていない又は置換されたアリール基、特にフェニル基を表す。加えて、pは0又は1を表し、m及びnは、互いに独立してそれぞれ2、3、又は4を表し、x及びy及びzは互いに独立してそれぞれ0〜350の範囲内の値を表す。式(II)中のs5、s6、及びs7として示される部分構造要素の順序は、ここで、交互に、ブロック状に、又は不規則に配列することができる。
【0032】
式(II)では、1つのビニル基は、ポリマーの一方の側の末端基として表される。しかしながら、一実施形態では、ビニル基は、重合反応中に鎖切断反応で反応して飽和基を形成するので含まれない。代替的に、末端ビニル基は重合後の反応で除去され又は修飾されることがある。
【0033】
好ましい実施形態では、櫛型ポリマーは、ビニルエーテル又はアリルエーテルと無水マレイン酸、マレイン酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリルアミド、及びアクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーとのコポリマーである。
【0034】
粘土質石膏組成物において、櫛型ポリマーがビニルエーテルと無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸、及びアクリルアミドからなる群から選択されるコモノマーとのコポリマーであるときに、驚くほど良好な液化作用が達成されることが示されている。
【0035】
粘土質石膏組成物において、ビニルエーテル又はアリルエーテル、特にビニルエーテルが500〜10,000g/mol、特に1000〜5000g/molの分子量を呈するときに、驚くほど良好な液化作用が達成されることがさらに示されている。
【0036】
粘土質石膏組成物における液化作用は、櫛型ポリマーがビニルエーテルと少なくとも1つのコモノマーとのコポリマーであり、且つビニルエーテルとコモノマーとのモル比が1〜10:1、好ましくは3〜8:1であるのがさらに好ましい。
【0037】
前述の櫛型ポリマーとして適切であり且つ櫛型ポリマーとして好ましいのは、他方では、エステル基又はアミド基によって直鎖ポリマー構造に結合されるペンダント鎖をもつ櫛型ポリマーである。本発明の好ましい実施形態では、櫛型ポリマーは式(I)のコポリマーである。
【化2】

【0038】
ここで、Mは、互いに独立してH、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、二価又は三価の金属イオン、アンモニウムイオン、又は有機アンモニウム基を表す。本明細書での「互いに独立して」とは、それぞれ、置換基が同じ部分内で異なるものを意味する可能性があることを意味する。したがって、例えば、式(I)のコポリマーは、カルボン酸(carbonic acid)基とカルボン酸ナトリウム基を同時に呈することができ、すなわち、この場合のMに対して、HとNaは互いに独立していることを意味する。
【0039】
一方では、それにMイオンが結合されるカルボキシレートを含み、他方では、多価Mイオンの電荷が対イオンによって釣り合いを取られなければならないことが当業者には明白である。
【0040】
加えて、置換基Rは、互いに独立して水素又はメチル基を表す。
【0041】
さらに、置換基Rは、互いに独立して−[AO]−Rを表す。置換基Rは、互いに独立して1〜20個の炭素原子をもつアルキル基、シクロアルキル基、又はアルキルアリール基、若しくは−[AO]−Rを表す。置換基Aは、いずれの場合にも、互いに独立して、C〜Cアルキレン基を表し、RはC〜C20アルキル基、シクロヘキシル基、又はアルキルアリール基を表し、一方、qは、2〜250、特に8〜200、特に好ましくは11〜150の値を表す。
【0042】
さらに、置換基Rは、互いに独立して−NH、−NR、−ORNRを表す。ここで、R及びRは、互いに独立してC〜C20アルキル基、シクロアルキル基、又はアルキルアリール基、又はアリール基を表し、若しくはヒドロキシアルキル基を表し、若しくはアセトキシエチル基(CH−CO−O−CH−CH−)、又はヒドロキシイソ−プロピル基(HO−CH(CH)−CH−)、又はアセトキシイソプロピル基(CH−CO−O−CH(CH)−CH−)を表し、或いはR及びRは、モルホリン環又はイミダゾリン環を構築するためにその一部が窒素である環を一緒に形成する。
【0043】
加えて、置換基R及びRは、それぞれ互いに独立してC〜C20アルキル基、シクロアルキル基、アルキルアリール基、又はアリール基、若しくはヒドロキシアルキル基を表す。
【0044】
式(II)中のs1、s2、s3、及びs4として示される部分構造要素の順序は、ここで、交互に、ブロック状に、又は不規則に配列することができる。
【0045】
最後に、添え字a、b、c、及びdは、構造単位s1、s2、s3、及びs4のモル比を表す。これらの構造要素は、a+b+c+d=1という条件で、互いに対して、
a/b/c/d=(0.1〜0.9)/(0.1〜0.9)/(0〜0.8)/(0〜0.3)、
特にa/b/c/d=(0.1〜0.9)/(0.1〜0.9)/(0〜0.5)/(0〜0.1)、
好ましくはa/b/c/d=(0.1〜0.9)/(0.1〜0.9)/(0〜0.3)/(0〜0.06)
の比を有する。c+dの和は、好ましくは0よりも大きい。
【0046】
粘土質石膏組成物において、式(I)中のRが水素を表すときに、驚くほど良好な液化作用が達成されることが示されている。さらに、構造単位s2、s3、及びs4の500〜10,000g/mol、特に1000〜5000g/molの分子量が、粘土質石膏組成物における液化作用にプラスの影響を及ぼす。
【0047】
驚いたことに、a/(b+c+d)=1〜10、特に3〜8の比が、粘土質石膏組成物における液化作用に有利に影響を及ぼすことがさらに見出されている。
【0048】
本発明の好ましい実施形態では、櫛状ポリマーは、5000から500,000までの間、特に10,000から200,000までの間、又は20,000から150,000までの間の分子量を呈する。
【0049】
式(I)では、ポリマーの2つの端がアステリスクでマークされる。櫛型ポリマーは、鎖切断反応がどのようにして起こるか、どの原材料が用いられるか、及びポリマーが残りの末端ビニル基が反応する後続の反応を受けるかどうかに応じて、バックボーン鎖の端で異なる基によって修飾することができる。特定の実施形態では、末端基は、互いに独立してH、メチル、又はビニルから選択されることになる。
【0050】
式(I)の櫛型ポリマーを製造するための方法は公知である。合成は、一方では、対応するモノマーのフリーラジカル重合によって発生することができ、又は他方では、ポリカルボン酸(polycarbonic acid)の所謂ポリマー類似反応(polymer−analogous reaction)によって発生するができる。ポリマー類似反応では、式(IV)のポリカルボン酸(polycarbonic acid)は、対応するアルコール及び/又はアミンでエステル化され又はアミド化され、次いで、必要があれば(基Mのタイプに応じて、例えば、金属水酸化物又はアンモニアで)中和され又は部分的に中和される。ポリマー類似反応は、例えば、EP1138697B1の7頁20行目〜8頁50行目及びその実施例で又はEP1061089B1の4頁54行目〜5頁38行目及びその実施例で説明される。
【0051】
適切な櫛型ポリマーは、例えば、Sika社によって「Viscocrete」の商標で販売されるものである。
【0052】
本発明の目的はまた、
(a)上記の少なくとも1つの櫛型ポリマーと、
(b)上記の少なくとも1つの添加剤と、
(c)粘土質石膏と、
を含有する粘土質石膏組成物である。
【0053】
本発明に係る石膏組成物は、好ましくは、
(a)0.1〜5wt.%、特に0.5〜3wt.%の櫛型ポリマーと、
(b)0.01〜2wt.%、特に0.05〜0.5wt.%の添加剤と、
(c)15〜99.5wt.%、特に50〜99wt.%の粘土質石膏と、
を含有する。
【0054】
本発明によれば、混和物は、成形体にさらに処理するのに適する「石膏組成物」という用語で表わされる。その上、石膏組成物は、依然として大部分は乾燥したもの又は既に水と混和されたものとすることができる。石膏組成物は、完全に又は部分的に凝結することができる。石膏は、混和物の中に粒子の形態又は細かく分割された形態で存在する。
【0055】
本発明によれば、「石膏」は、石膏又はそれらの混和物のあらゆる公知の変化物の中に存在することができる。石膏は、特に、硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム−α−半水和物、硫酸カルシウム−β−半水和物、又は無水硫酸カルシウム、及びそれらの混和物から選択される。
【0056】
好ましい実施形態では、石膏は、硫酸カルシウム−β−半水和物である。硫酸カルシウム−β−半水和物に基づく石膏組成物は、好ましくは乾式壁体の製造に用いられる。好ましくは、石膏組成物は、バインダの総重量に対して少なくとも70wt.%の硫酸カルシウム−β−半水和物を含み、より一層好ましいのは少なくとも90wt.%の硫酸カルシウム−β−半水和物である。
【0057】
本発明に係る石膏組成物は粘土質である。一般に、石膏は2つの異なるタイプで工業的に得られる。1つのタイプでは、石膏は、化学プロセスの、例えば煙道ガスの脱硫の副産物としての純硫酸カルシウムとして多かれ少なかれ得ることができる。別のタイプでは、石膏は、天然産出から得られる。しかしながら、天然石膏は、純硫酸カルシウムから構成されないが、産出源に応じて他の鉱物の不純物を含有し、それに起因して組成が変化する。天然石膏は、多かれ少なかれ高い割合の粘土をしばしば含有する。これは、一般にフィロケイ酸塩である粘土鉱物を含有し、他の有機材料又は無機材料を含有することがある。本発明の実施形態では、少なくとも0.2wt.%、少なくとも0.5wt.%、又は少なくとも1wt.%の粘土を含有する粘土質石膏が用いられる。例えば、0.1〜20又は0.5〜10wt.%の粘土を含むことができる。
【0058】
本発明に係る石膏組成物は、総重量に対して少なくとも15wt.%、好ましくは少なくとも50wt.%、より一層好ましくは少なくとも70wt.%、又は少なくとも95wt.%の粘土質石膏を含有する。本発明に係る粘土質石膏組成物は、水を含有しないことがあり、又は0.5、1、又は5wt.%未満の水を含有することがある。しかしながら、10、20、50、又は80wt.%までの水を含有することもある。本発明に係る粘土質石膏組成物中の添加剤(b)の割合は、好ましい実施形態では、0.02から2wt.%までの間、特に0.01から1wt.%までの間である。さらに好ましい実施形態では、添加剤の含有量は、0.05から0.5wt.%までの間又は0.1から0.4wt.%までの間である。好ましい使用では、石膏組成物はセメントを含有しない。組成物は、特に、バインダとして排他的に又は主として硫酸カルシウム、特に80wt.%より多くの又は95wt.%より多くの硫酸カルシウムを含有する石膏組成物であるように理解される。
【0059】
好ましい実施形態では、櫛型ポリマー/添加剤の比は、5:1から1:5までの間、特に2:1から1:2までの間である。
【0060】
本発明によれば、添加剤と関連して櫛型ポリマーを用いることによって、できるだけ低い水の割合を達成することが好ましく、これによりワーカビリティが保証されなければならない。
【0061】
石膏組成物は、粘土質石膏以外に、さらなるバインダを含有することができる。例えば、セメント、特にポルトランドセメント又はアルミナ耐火セメント、並びにそれらのそれぞれと、フライアッシュ、シリカフューム、スラグ、鋳物砂、及び石灰、特に石灰岩フィラー及び生石灰との混和物のような石膏以外の他の水硬性凝結物質が、「バインダ」という用語の範疇に入る。
【0062】
石膏組成物は、他の混合物、例えばファイバ、他の液化剤、例えばリグノスルホン酸塩、スルホン化ナフタレン−ホルムアルデヒド縮合物、スルホン化メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、又はポリカルボキシレートエーテル(PCE);促進剤、遅延剤、デンプン、糖類、シリコン、収縮低減剤、消泡剤、発泡剤、染料、pH調整剤、フィラー、防火剤、又は他の一般的な混合物を含有することができる。
【0063】
石膏組成物はまた、他のポリマーを含有することができる。例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン、ブタジエン、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、ビニルエステル、及び塩化ビニルからなる群から選択されたモノマーから作製されるホモ−又はコポリマーを含むことができる。
【0064】
特に好ましいのは、櫛型ポリマー、硫酸カルシウム−β−半水和物、及び少なくとも1つの促進剤、並びに乾式壁体の製造では普通である他の混合物を含む混和物を含有するバインダである。
【0065】
本発明の目的はまた、
(a)上記の少なくとも1つの櫛型ポリマーと、
(b)上記のように選択される少なくとも1つの添加剤と、
を含有する粘土質石膏組成物のための分散剤である。
【0066】
本発明の好ましい実施形態では、分散剤は、
(a)1〜95wt.%、特に5〜50wt.%の櫛型ポリマーと、
(b)0.5〜60wt.%、特に5〜40wt.%の添加剤と、
(d)0〜98.5wt.%、特に10〜90wt.%の水と、
を含有する。
【0067】
本発明によれば、組成物は、同時に石膏組成物のワーカビリティを改善するように働く「分散剤」として一般に示される。分散剤は、例えば、固体又は液体混合物、特に水性溶液又は分散液とすることができる。
【0068】
分散剤は、さらなる成分を含有することができる。例は、建築材料化学では一般的な溶媒又は添加剤、特に界面活性剤、熱及び光に対する安定剤、染料、消泡剤、促進剤、遅延剤、及び発泡剤である。分散剤が液体混合物である限り、これは20〜98wt.%又は50〜95wt.%の水を含有する。
【0069】
好ましい実施形態では、分散剤はポリマー分散液である。こうしたポリマー分散液は、櫛型ポリマーと水以外に、他の混合物、例えば粘度調整剤、分散剤、パイロジェニック又はコロイド二酸化ケイ素、リン酸、殺生物薬、殺真菌薬、硫酸カルシウム、又はアモルファス酸化アルミニウムを含有することができる。
【0070】
本発明の目的はまた、粘土質石膏組成物のワーカビリティを改善するための本発明に係る分散剤の使用である。
【0071】
本発明の目的はまた、
(i)上述の成分(a)、(b)、及び(c)を調製するステップと、
(ii)前述の成分を、適用可能な場合に粘土質を含む石膏組成物に対するさらなる添加剤と混和するステップと、
を含む、本発明に係る粘土質石膏組成物を製造するための方法である。
【0072】
本発明によれば、櫛型ポリマー(a)及び/又は添加剤(b)は、固体形態又は液体形態で別々に添加され又は予め混和される。
【0073】
櫛型ポリマー及び/又は添加剤は、固体凝集状態、所謂乾式混和物の石膏組成物の成分とすることができる。こうした組成物は、より長時間の貯蔵において安定とすることができ、典型的にバッグに詰められ又はサイロに貯蔵される。こうした乾式混和物は、より長い貯蔵時間の後であっても使用可能であり、良好な流動性を呈する。本発明に係る添加剤は、同様にこうした乾式混和物の成分とすることができる。
【0074】
添加剤及び/又は櫛型ポリマーはまた、水の添加中、添加の直前、又は添加の直後のいずれかに石膏組成物に添加することができる。水性溶液又は分散液の形態の添加剤及び/又は櫛型ポリマーの添加は、ここでは特に練混ぜ水として又は練混ぜ水の一部として特に適切であるように示されている。櫛型ポリマーの水性溶液又は分散液の製造は、例えば、櫛型ポリマーの製造中に又はその後の櫛型ポリマーと水との混和中に水を添加することによって行われる。典型的に、櫛型ポリマーの割合は、水性溶液又は分散液の重量に対して10〜90重量%、特に20〜50wt.%の量である。
【0075】
本発明の好ましい実施形態では、粘土質石膏(c)と櫛形のポリマー(a)とを含有する石膏組成物の乾式混和物が最初に作製される。添加剤(b)は、後の時点で、例えば水と混和される時点でのみ添加される。本発明によれば、添加剤を処理の直前にのみ添加するのが有利な場合がある。このようにして、アミンは、長期貯蔵中に望ましくない副反応を起こさないようにすることができ、アミンは、より長期間にわたって望ましくない悪臭を生じないようにすることができる。
【0076】
本発明の好ましい実施形態では、本発明に係る石膏組成物の製造の前に石膏の粘土含有量が最初に判定される。定量化は、例えば、リートベルト法を用いることができるX線回折(XRD)によって行うことができる。次いで、例えば標準との比較によって、どれだけ添加剤が添加されなければならないかを判定することができる。
【0077】
本発明の目的はまた、
(iii)付加的に水を呈する、本発明に係る粘土質石膏組成物を調製するステップと、
(iv)成形体を成形するステップと、
(v)成形体を硬化するステップと、
を含む、石膏成形体の製造方法である。
【0078】
本発明によれば、「成形体」は、三次元範囲を呈する任意の硬化された物体を意味する。成形体の硬化は、炉の中又は空気中での乾燥によって起こる。
【0079】
本発明に係る成形体は、持ち運びできる物体、例えば乾式壁体又は彫刻とすることができる。しかしながら、成形体はまた、充填材又はコーティング、例えば石膏プラスタ、床仕上げ材、又は床用プラスタ、若しくはスパックリング・コンパウンドの分布及び硬化の結果として例えばキャビティ又はジョイントの充填材をもたらす任意の製品とすることができる。
【0080】
本発明の目的はまた、本発明に係る方法に従って得ることができる、特に、乾式壁体、床用プラスタ、壁用プラスタ、彫刻、又はキャビティの充填材の形態の、石膏成形体である。
【0081】
驚いたことに、櫛型ポリマーとの関連での粘土質石膏組成物への本発明に係る添加剤の添加は、本発明に係る問題を解決する。非常に少量の、例えば0.01〜0.2wt.%の添加剤の添加であっても、櫛型ポリマーが純石膏と比較できる液化作用を現すことを達成することができる。したがって、粘土質石膏組成物中の本発明に係る添加剤に起因して、非粘土質の石膏組成物の場合とは対照的に、液化剤としての櫛型ポリマーの割合が増加することを防ぐことができる。これは、例えば、使用される櫛型ポリマーの量の10から150%(重量/重量)までの間に対応する添加剤量で達成される。より低分子量のアミン及びアンモニウム化合物は簡単に入手可能であり、且つ費用効果が高いので、簡単且つしたがって費用効果の高い方法が粘土質石膏組成物の液化のために利用可能となる。
【0082】
実施例
実施例を用いて本発明をここで詳細に明示する。
使用した櫛型ポリマー(KP)及び添加剤
【表1】

【0083】
表1に提示されるポリマーKP−1及びKP−2は、公知のタイプ及び方法に従ってそれぞれ対応するアルコール及びアミンとのKP−1の場合にはポリアクリル酸からの及びKP−2の場合にはポリメタクリル酸からのポリマー類似反応によって作製した。ポリマー類似反応の詳細は、例えば、EP1138697B1の7頁20行目〜8頁50行目及びその実施例で又はEP1061089B1の4頁54行目〜5頁38行目及びその実施例で開示される。
【0084】
石膏スラリーの製造と流動挙動の特徴付け
石膏スラリーのスランプ(ABM)、固化の始まり(VB)、及び固化の終わり(VE)を以下のように判定した。最初に、140gの水を櫛型ポリマー(液化剤)及び添加剤と混和した。これに関する量は、硫酸カルシウムの量に対する櫛型ポリマー又は液化剤に関して前もって設定した。比較試験では、対応する混合物及び/又は櫛型ポリマーを共に分与した。次いで、200gの硫酸カルシウム−β−半水和物及び0.2gの硫酸カルシウム二水和物を水の中に15秒以内で振り掛け、石膏スラリーを15秒間排水(drain)させた。次いで、これを手で30秒間集中的に撹拌した。直径50mm及び高さ51mmのミニコーンに充填し、75秒後に、スランプ(ABM)をミリメートルで判定した。
【0085】
このようにして形成された石膏ケークの直径を、流動がもう観測されなくなるまで測定した。単位がmmの直径をスランプとして表した。固化の始まりと固化の終わりは、DIN EN13279−2に従うナイフ切断法及び親指で押す方法によって判定した。固化の始まり(VB)は、石膏ケークを通したナイフ切断後に、刃先がもはや一緒に走らなくなるときに到達する。固化の終わり(VE)は、約5kgの指の圧力で、石膏ケークからもう水が出なくなったときに起こる。
【0086】
粘土含有量を正確に且つ再現可能に設定するために、純硫酸カルシウムを設定量の粘土と混和させる。石膏としての硫酸カルシウム二水和物と一緒に硫酸カルシウム−β−半水和物を使用し、ベントナイト(Sigma−Aldrich Chemie GmbH、スイス)を添加した。
【0087】
比較実施例
液化剤の作用に対する粘土含有量の影響を判定するために、一連の試験を行った。この実験では本発明に係る添加剤は含まれなかった。石膏スラリーは、増加する割合の粘土(硫酸カルシウムの総重量に対して0〜2wt.%のベントナイト)及び一定の含有量の櫛型KP−1ポリマー(硫酸カルシウムの総重量に対して0.2wt.%)と共に作製し、流動を測定した。結果を図1に示す。粘土含有量の増加と共に液化剤の作用が明らかに減少する。
【0088】
一連の測定において粘土含有量が同じである状態で(1wt.%のベントナイト)櫛型KP−1ポリマーの割合を増加させた。この実験では本発明に係る添加剤は含まれなかった。結果を図2に示す。非粘土質石膏と比較できる程度までの液化作用を得るには、明らかに増加された量の櫛型ポリマーを(約5倍多く)添加しなければならない。
【0089】
実施例1〜5
添加剤として増加する割合のジプロピルアミンと共に本発明に従って石膏スラリーを製造し、特性を測定した。結果を表2にまとめる。実施例1及び実施例2は比較実施例である。
【表2】

【0090】
結果は、0.05wt.%の少量の添加剤であっても、流動の著しい改善をもたらすこと、及び流動はより高濃度の添加剤でさらに改善できることを示す。流動は、0.2wt.%の添加剤の添加により、粘土分なしの比較できる石膏の流動をさらに上回る。
【0091】
実施例6〜13
石膏スラリーを上記で説明したように作製した。成分及び量的割合は表3で与えられる。表3からの結果を表4に示す。実施例6及び実施例7は比較実施例である。
【表3】

【表4】

【0092】
結果は、本発明の添加剤により、流動及びワーカビリティを明らかに改善できることを示す。さらに、実施例6〜13では2つの異なる櫛型ポリマーを用いた。KP−1は、式(I)の櫛型ポリマーであり、この式(I)中のRは水素を表す。KP−2は、式(I)の櫛型ポリマーであり、この式(I)中のRはメチルを表す。
【0093】
結果は、本発明の添加剤により、KP−1の場合に、KP−2とは対照的に、流動及び処理時間のより大きな改善が得られることを示す。
【0094】
実施例14〜25
添加剤として異なるタイプ及び割合のポリエーテルアミンと共に石膏スラリーを作製し、特性を測定した。成分及び量的割合は表5で与えられる。表5からの結果を表6に示す。実施例14及び実施例15は比較実施例である。
【表5】

【表6】

【0095】
結果は、添加剤として0.05wt.%の少量のポリエーテルアミンであっても、流動の著しい改善をもたらすこと、及びより高濃度の添加剤で流動をさらに改善できることを示す。流動は、実施例25での0.05wt.%の添加剤の添加により、粘土部分なしの比較できる石膏(実施例14)の流動に同等に対応する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステル基、アミド基、及び/又はエーテル基によってバックボーン鎖に結合されるペンダント鎖を呈する少なくとも1つの櫛型ポリマーを含有する粘土質石膏組成物のワーカビリティを改善するための、必要な場合にはそれぞれが少なくとも1つのヒドロキシ基及び/又はエーテル基を呈する第1、第2、及び第3アルキルアミン、並びに第4アルキルアンモニウム化合物から選択される添加剤の使用。
【請求項2】
前記アルキルアミンが、モノアミン、ジアミン、又はトリアミンである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記アルキルアミンがR1−NH、R2−NH−R2’、及びNH−R3−NHから選択され、
式中、R1、R2、及びR2’が、互いに独立して1〜200個の炭素原子をもつアルキル基であり、
R3が、1〜150個の炭素原子をもつアルキル基である、
上記請求項のうちの少なくとも一項に記載の使用。
【請求項4】
R1、R2、及びR2’が、互いに独立して30〜150個の炭素原子をもつアルキル基であり、
R3が、20〜120個の炭素原子をもつアルキル基である、上記請求項のうちの少なくとも一項に記載の使用。
【請求項5】
前記アルキルアミンが、ポリエーテルアミン、特にポリエーテルモノアミン、又はポリエーテルジアミンである、上記請求項のうちの少なくとも一項に記載の使用。
【請求項6】
前記櫛型ポリマーが、ビニルエーテル又はアリルエーテルと無水マレイン酸、マレイン酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリルアミド、及びアクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーとのコポリマー、好ましくはビニルエーテルと無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸、及びアクリルアミドからなる群から選択されるコモノマーとのコポリマーである、上記請求項のうちの少なくとも一項に記載の使用。
【請求項7】
前記櫛型ポリマーが、ビニルエーテルと少なくとも1つのコモノマーとのコポリマーであり、ビニルエーテルとコモノマーとのモル比が1〜10:1である、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記櫛型ポリマーが式(I)のコポリマーであり、
【化1】

ここで、
Mは、互いに独立してH、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、二価又は三価の金属イオン、アンモニウムイオン、又は有機アンモニウム基を表し、
Rは、式(I)中の他のR基から独立して、水素又はメチル基を表し、
は、互いに独立して−[AO]−Rを表し、
は、互いに独立して1〜20個の炭素原子をもつアルキル基、シクロアルキル基、又はアルキルアリール基、又は−[AO]−Rを表し、
この場合、AはC〜Cアルキレン基を表し、Rは、C〜C20アルキル基、シクロヘキシル基、若しくはアルキルアリール基を表し、
q=2〜250であり、
は、互いに独立して−NH、−NR、−ORNRを表し、
この場合、R及びRは、互いに独立して、C〜C20アルキル基、シクロアルキル基、もしくはアルキルアリール基、もしくはアリール基を表し、又はヒドロキシアルキル基を表し、又はアセトキシエチルもしくはヒドロキシイソプロピルもしくはアセトキシイソプロピル基を表し、
或いはR及びRは、モルホリン環又はイミダゾリン環を構築するためにその一部が窒素である環を一緒に形成し、
この場合、RはC〜Cアルキレン基を表し、
及びRは、それぞれ互いに独立してC〜C20アルキル基、シクロアルキル基、アルキルアリール基、アリール基、又はヒドロキシアルキル基を表し、
式中、a、b、c、及びdは、構造単位s1、s2、s3、及びs4のモル比を表し、
a+b+c+d=1という条件で、互いに対して、a/b/c/d=(0.1〜0.9)/(0.1〜0.9)/(0〜0.8)/(0〜0.3)である、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記式(I)中のRが水素を表す、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記式(I)において、前記比が、a/(b+c+d)=1〜10、特に3〜8である、請求項8又は請求項9に記載の使用。
【請求項11】
(a)上記請求項のうちのいずれか一項に記載の少なくとも1つの櫛型ポリマーと、
(b)上記請求項のうちのいずれか一項に記載の少なくとも1つの添加剤と、
(c)粘土質石膏と、
を含有する粘土質石膏組成物。
【請求項12】
(a)0.1〜5wt.%の櫛型ポリマーと、
(b)0.01〜2wt.%の添加剤と、
(c)15〜99.5wt.%の粘土質石膏と、
を含有する請求項11に記載の粘土質石膏組成物。
【請求項13】
(a)上記請求項のうちのいずれか一項に記載の少なくとも1つの櫛型ポリマーと、
(b)上記請求項のうちのいずれか一項に記載の少なくとも1つの添加剤と、
を含有する粘土質石膏組成物のための分散剤。
【請求項14】
(a)1〜95wt.%の櫛型ポリマーと、
(b)0.5〜60wt.%の添加剤と、
(c)0〜95wt.%の水と、
を含有する請求項13に記載の分散剤A。
【請求項15】
粘土質石膏組成物のワーカビリティを改善するための請求項13又は請求項14のいずれか一項に記載の分散剤の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−515660(P2013−515660A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545221(P2012−545221)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069583
【国際公開番号】WO2011/076612
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】