説明

粘液様の組成物およびその使用

本発明は、ポリアミノプロピルビグアニドなどのカチオン性の多量体抗菌剤、およびヒアルロネート、アルギナート、カルボキシメチルセルロース、コンドロイチン硫酸またはこれらの混合物など、アニオン性ポリマーのマグネシウム複合体、カルシウム複合体またはマグネシウム/カルシウム複合体を含む粘液様の点眼液に関する。特定の実施形態では、この溶液は、界面活性剤、好ましくはポリソルベート20、粘度改質剤、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロース、等張化剤および緩衝液などのなどの追加成分を含む。この溶液は、眼の粘膜などの粘膜と生体適合性があり、粘膜に投与する場合、刺激が非常に少ないだけでなく、効果的な消毒薬となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘液様の組成物であって、アニオン性高分子物質のマグネシウム複合体、カルシウム複合体またはマグネシウム/カルシウム複合体、特にヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、アルギナートおよび/またはコンドロイチン硫酸とポリアミノプロピルビグアニドなどのカチオン性高分子抗菌剤とを組み合わせたものであり、実質的にカチオン性高分子抗菌剤の抗菌物質としての有効性に影響を与えずに、前記組成物の刺激を少なくし、粘膜との生体適合性を与えた、組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒアルロン酸およびカルボキシメチルセルロースなどのアニオン性ポリマーは、その保湿性および滑沢性が知られている。こうした特性は一般に、眼の粘膜などの粘膜の刺激を低減する。またカチオン性抗菌剤も点眼液に含めると有益であることが知られている。しかしながら、この2種類の成分は、1つの溶液中で適合するものとして理解されていなかった。
【0003】
カチオン性抗菌消毒剤は、ある種のアニオン性物質の存在下でその有効性が低下することが明らかにされていた。たとえば、特許文献1には、ポリアミノプロピルビグアニドおよび他の非酸化性の消毒薬(典型的にはカチオン性物質)をカルボキシメチルセルロースおよび/または負に帯電した他の様々な物質と組み合わせると、微生物の細胞壁を含む細胞壁を損傷する能力がなくなることが教示されている。ポリアミノプロピルビグアニドまたは他の非酸化性の消毒薬が中和されると、粘膜(すなわち、眼)の刺激が緩和されるものの、中和により抗菌物質としての有効性も同時に消失することになる。
【0004】
同様に、Romeoらの特許文献2には、生体高分子ヒアルロン酸の提案された製造プロセスにおいてヒアルロン酸を沈殿させ、精製するイオンペア剤としての塩化セチルピリジニウムの使用が教示されている。したがって、この場合の塩化セチルピリジニウムはヒアルロン酸の存在下でその抗菌活性を維持しているか、あるいは、カルボキシメチルセルロースは直感に反するものと考えられる。一方、PowellおよびHuthは最近、アニオン性ポリマーと、抗菌剤の活性を維持したカチオン性の単量体または二量体抗菌剤とを含む点眼液を調製することができた。特許文献3。カチオン性高分子抗菌剤が考察されたことは特記される。しかしながら、こうした抗菌剤を含む組成物は提唱されておらず、示唆された著者らは、抗菌活性を失わずにこうした組成物を調製することができなかったか、あるいは、抗菌活性を失わずにこうした組成物を調製することができないと考えていたことが示唆される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】U.S. Pat. No. 5,858,346
【特許文献2】U.S. Pat. No. 5,559,104
【特許文献3】U.S. Pat. Appl. No. 11/271,448
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、カチオン性の多量体抗菌剤、およびアニオン性ポリマーのマグネシウム複合体、カルシウム複合体またはマグネシウム/カルシウム複合体を含む粘液様の溶液に関する。好ましい実施形態では、カチオン性の多量体抗菌剤はポリアミノプロピルビグアニドまたはその許容される塩であるか、あるいは、アニオン性ポリマーはヒアルロネート、アルギナート、カルボキシメチルセルロース、コンドロイチン硫酸およびこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましい実施形態では、アニオン性ポリマーは分子量が約70,000〜約4百万ダルトンである。他の実施形態では、カチオン性の多量体抗菌剤は約0.001〜約0.01%w/vの範囲の量で存在するか、あるいは、アニオン性ポリマーのマグネシウム複合体、カルシウム複合体またはマグネシウム/カルシウム複合体は、約0.01〜約0.25%w/vの範囲の量で存在する。本発明の粘液様の溶液は、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される約0.01〜約0.2%の範囲の粘度改質剤、約0.01〜約1%w/vの範囲の量の界面活性剤、約0.01〜約0.25%w/vの範囲の量の緩衝液または約0.001〜約1%w/vの範囲の量の等張化剤など1種または複数種の追加成分を含んでもよい。好ましい界面活性剤はポリソルベート20であり、約0.01〜約1%w/vの範囲の量で含ませる。
【0007】
本発明の他の実施形態は、約0.0001〜約0.0005%w/vの範囲の量のカチオン性の多量体抗菌剤、および約0.01〜約0.25%w/vの範囲の量のアニオン性ポリマーのマグネシウム複合体、カルシウム複合体またはマグネシウム/カルシウム複合体を含む点眼液に関する。好ましい実施形態では、カチオン性の多量体抗菌剤はポリアミノプロピルビグアニドまたはその許容される塩であるか、あるいは、アニオン性ポリマーはヒアルロネート、アルギナート、カルボキシメチルセルロース、コンドロイチン硫酸およびこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましい実施形態では、アニオン性ポリマーは分子量が約70,000〜約4百万ダルトンである。本発明の点眼液は、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される約0.01〜約0.2%の範囲の量の粘度改質剤、約0.01〜約1%w/vの範囲の量の界面活性剤、約0.01〜約0.25%w/vの範囲の量の緩衝液または約0.001〜約1%w/vの範囲の量の等張化剤など1種または複数種の追加成分を含んでもよい。好ましい界面活性剤はポリソルベート20であり、約0.01〜約1%w/vの範囲の量で含ませる。
【0008】
本発明の点眼液のより具体的な実施形態は、約0.0001〜約0.0005%w/vの範囲の量のポリアミノプロピルビグアニド、約0.01〜約0.25%w/vの範囲の量のアニオン性ポリマーのマグネシウム複合体、カルシウム複合体またはマグネシウム/カルシウム複合体、約0.01〜約0.2%w/vの範囲の量の粘度改質剤、約0.01〜約1%w/vの範囲の量のポリソルベート20および約0.001〜約1%w/vの範囲の量の等張化剤を含む溶液である。この点眼液は、約0.01〜約0.25%w/vの範囲の量の緩衝液をさらに含んでもよい。より好ましい実施形態では、アニオン性ポリマーは分子量が約70,000〜約4百万ダルトンである。最も好ましいアニオン性ポリマーはヒアルロネートである。より具体的な実施形態では、粘度改質剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、等張化剤は塩化ナトリウムまたは塩化ナトリウムと塩化カリウムとの混合物である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
負に帯電した高分子物質とカチオン性の多量体抗菌剤との複合体を含む新規な粘液様の溶液と、その使用方法および調製方法とについて記載する。本発明による溶液は、効果的なコンタクトレンズの消毒用組成物、レンズの洗浄液組成物、レンズ包装用溶液組成物、保湿剤(rewetter)および涙液(tears)などの点眼薬の点眼液として、あるいは、眼への活性物質の局所送達のためのビヒクルとして使用することができる。この組成物を用いると、眼刺激が低減される。さらに、この組成物は、従来技術の組成物と異なり、レンズと生体適合性があり、ソフトコンタクトレンズを変色させない。本発明の組成物において抗菌剤の有効性は維持される。本発明の組成物は、被検体(subject)の他の粘膜に接触するワイプ、溶液および滑沢用製品に使用することもできる。本発明の組成物は、保湿目的でも、滑沢目的でも、洗浄目的でも、あるいは消毒目的でも使用することができ、さらに後者の粘膜に、あるいは、後者の粘膜を経由して活性物質を送達するビヒクルとして機能することもできる。
【0010】
マグネシウムイオンまたはカルシウムイオンの存在下で超分子複合体を形成するある種のアニオン性高分子物質は、カチオン性の多量体抗菌剤の濃度(w/v)がアニオン性ポリマーよりも少なくとも約10倍低ければ、眼刺激が非常に少なく、かつポリアミノプロピルビグアニドなどのカチオン性の多量体抗菌剤を不活化しないことが発見されている。本発明の溶液に使用されるアニオン性高分子物質として、ヒアルロネート、アルギナート、カルボキシメチルセルロース、コンドロイチン硫酸およびこれらの混合物が挙げられる。
【0011】
本発明の組成物は、典型的な緩衝系、界面活性剤、等張化剤および粘度改質剤など、粘液様の眼科用組成物の典型的な添加剤との適合性がある。
【0012】
一実施形態では、本発明の組成物は、ヒアルロネート、アルギナート、カルボキシメチルセルロース、コンドロイチン硫酸またはこれらの混合物など少なくとも1種のアニオン性高分子物質と、ポリアミノプロピルビグアニドまたはその許容される塩など少なくとも1種のカチオン性の多量体抗菌剤との複合体を含む。
【0013】
好ましい実施形態では、この組成物は、特定の濃度範囲の前記カチオン性の多量体抗菌剤、好ましくはポリアミノプロピルビグアニドまたはその許容される塩と、水溶性のアニオン性高分子物質の前記複合体とからなる。カチオン性の多量体抗菌剤の典型的な濃度範囲は、汎用溶液で約0.001%〜約0.01%w/v、点眼液で約0.0001〜約0.0005%w/vである。複合型アニオン性高分子物質の範囲は約0.01%〜約0.25%w/vである。好ましくは、アニオン性高分子物質は分子量が約70’000〜約4百万ダルトンである。
【0014】
より好ましい実施形態では、本発明の粘液様または眼科用組成物は、ポリアミノプロピルビグアニドまたはボラート塩などのその許容される塩、およびヒアルロネートのマグネシウム複合体、カルシウム複合体またはマグネシウム/カルシウム(任意の比率)複合体からなる。
【0015】
本発明の組成物は典型的には緩衝液成分を含む。本組成物は、使用目的に適合したpHであればよく、多くの場合は約5〜9である。ボラート、シトラート、アセタート、ヒスチジン、トリス、ビス−トリスおよび同種のもの、ならびにこれらの混合物など様々な従来の緩衝液を使用してもよい。ボラート緩衝液は、ホウ酸およびホウ酸ナトリウムまたはホウ酸カリウムなどのその塩を含む。また、溶液中でホウ酸またはホウ酸塩を生成する四ホウ酸カリウムまたはメタホウ酸カリウムを使用してもよい。さらにホウ酸ナトリウム十水和物などの水和塩を使用してもよい。加えて上記の緩衝液の有機対イオンを使用しても構わない。緩衝液の濃度は一般に約0.01〜0.25%w/vの範囲である。
【0016】
緩衝液の種類および量については、物理化学的特性および保存安定性、抗菌物質の有効性、緩衝能および同種の因子など組成物がその機能性基準を満たすように選択する。さらに緩衝液は、眼などの標的粘膜、および組成物と一緒に使用することになる任意のコンタクトレンズとの適合性があるpHを与えるように選択する。一般に、眼科用組成物のpHはヒト涙液(tears)に近く、たとえばpH約7.45が非常に有用であるが、約5〜約9、一層好ましくは約6.5〜約8.5、さらに一層好ましくは約7.0〜約8.0といったより広いpH範囲も許容される。こうしたpH値および範囲は一般に、他の粘膜への投与を意図した粘液様の組成物にも適用される。
【0017】
本粘液様の組成物の浸透圧モル濃度は、等張化剤により組成物の使用目的に適合した値に調整してもよい。たとえば、本発明の点眼液の浸透圧モル濃度はおよそ、約0.9w/v%の塩化ナトリウム水と同等である通常の涙液(tear fluid)の浸透圧くらいに調整してもよい。好適な張度調整剤として、以下に限定されるものではないが、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムのクロリド塩;デキストロース;グリセロール;プロピレングリコール;マンニトール;ソルビトールおよび同種のもの;およびこれらの混合物が挙げられる。好ましい等張化剤は、塩化ナトリウムまたは塩化ナトリウムと塩化カリウムとの組み合わせである。
【0018】
等張化剤は典型的には約0.001〜約1%w/vの範囲の量で使用される。こうした量は、生理学的に許容される張度を与えるのに有用であることが明らかになっている。好ましくは、等張化剤は、150〜450mOsm/kg、一層好ましくは約220〜約350mOsm/kg、最も好ましくは約270〜約310mOsm/kgの最終浸透圧値を与える量で使用される。
【0019】
本発明の組成物、特にレンズ消毒組成物、レンズ洗浄溶液、またはレンズ包装用溶液組成物としての使用を意図している本発明の組成物には、1種または複数種の界面活性剤をさらに補充してもよい。こうした界面活性剤は、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、またはこれらの組み合わせからなるブロックコポリマーを含んでもよい。本発明の組成物に加えるのに好ましい界面活性剤はポリソルベート20である。こうした界面活性剤を加えると、レンズの処理中に実質的に組成物の抗菌活性に影響を与えることなくレンズが効果的に洗浄される。組成物中の界面活性剤の濃度は典型的には約0.01〜約1%w/vの範囲である。
【0020】
本発明の組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロースポリマー、グリセロール、カルボマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アルギナート、カラゲナン、ガウア、カラヤ、アガロース、ローカストビーン、トラガントおよびキサンタンガムなど、1種または複数種の粘度改質剤をさらに含んでもよい。こうした粘度改質成分は典型的には、本組成物に所望の滑沢作用を与えるのに効果的な量で使用する。こうした粘度改質剤の濃度は典型的には、約0.01〜0.2%w/vである。好ましい粘度改質剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースである。
【0021】
点眼液として使用するのに好ましい本発明の組成物は、約0.0001〜約0.0005%w/vの範囲の量のポリアミノプロピルビグアニド、約0.01〜約0.25%w/vの範囲の量のアニオン性ポリマーのマグネシウム複合体、カルシウム複合体またはマグネシウム/カルシウム複合体、約0.01〜約0.2%w/vの範囲の量の粘度改質剤、約0.01〜約1%w/vの範囲の量のポリソルベート20、および約0.001〜約1%w/vの範囲の量の等張化剤を含む。最も好ましい点眼液は、緩衝液、好ましくはボラート緩衝液をさらに含む。この最も好ましい点眼液の場合、アニオン性ポリマーは、好ましくは分子量約70’000〜約4百万ダルトンのヒアルロネート、粘度改質剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース、さらに等張化剤(toniciy agent)は塩化ナトリウムまたは塩化ナトリウムおよび塩化カリウムの組み合わせである。
【0022】
本明細書に記載の点眼液を使用する方法は、本発明の範囲内であると見なされる。本発明の粘液様の組成物は、ワイプ、溶液、滑沢用製品、および被検体(subject)の他の粘膜と接触する同種のものに使用してもよい。この組成物は、保湿、滑沢、洗浄および/または消毒に役立ち得る。この組成物はさらに、原薬を粘膜にまたは粘膜を経由して送達する、原薬の非刺激性で防腐または殺菌作用のあるキャリアとして使用することもできる。点眼液として使用する場合、この組成物はコンタクトレンズの消毒用組成物、レンズの洗浄液組成物、レンズ包装用溶液組成物、または保湿剤(rewetter)および涙液(tears)などのなどの点眼薬として使用してもよい。この組成物は、眼刺激が非常に少なく、コンタクトレンズとの生体適合性がある。このアニオン性およびカチオン性高分子化合物は、レンズのマトリックスに浸透しないことが知られている。この化合物は、従来技術の組成物と異なり、特にシリコーンハイドロゲルレンズのソフトコンタクトレンズを変色させない。
【0023】
以下の例により本発明をさらに詳述する。各例は当業者への説明を目的として記載するものであり、本請求項に記載されているような本発明の範囲を限定的することを意図するものではない。したがって、本発明は、記載された例に限定されるものと解釈してはならず、むしろ本明細書に記載された教示内容により明らかになるあらゆる変更を包含するものと解釈すべきである。
【実施例】
【0024】
本発明の組成物の成分
本発明の粘液様の組成物の成分はすべて、商業的供給源から購入できる。ポリアミノプロピルビグアニドは、Thor Specialties,Inc.(Trumbull,Connecticut,USA)から入手することができる。他の成分はすべて、たとえば、Sigma−Aldrich Fluka(Buchs,Switzerland)から入手可能である。
【0025】
実施例1
アニオン性ポリマーのカルシウム/マグネシウム塩の存在下でのポリアミノプロピルビグアニドの抗菌活性
処方:0.1%ヒアルロン酸(A)または0.15%カルボキシメチルセルロース(B)または0.05%アルギナート(C);0.01%ポリアミノプロピルビグアニド;0.02%塩化カルシウム;0.02%塩化マグネシウム;0.1%ホウ酸水素ナトリウム;pH7.2。
【0026】
様々な微生物を並列培養したものを処方A、BまたはCに24時間接触させるか、あるいは、それぞれの増殖培地でさらにインキュベートした。チャレンジ時間の終了時に細菌数(1ml当たり)を測定した。
【0027】
【表1】

【0028】
実施例2
一般的な粘液様の滑沢剤/保湿軟膏の処方
0.01%ヒアルロン酸ナトリウム、0.005%ポリアミノプロピルビグアニド、0.025%塩化カルシウム、0.2%HPMC、10%グリセロール;0.5%ホウ酸水素ナトリウムを混合して水溶液を調製する。溶液はpH7.2に調整する。
【0029】
実施例3
コンタクトレンズ用多目的溶液の処方
0.1%ヒアルロン酸ナトリウム、0.00025%ポリアミノプロピルビグアニド、0.02%塩化カルシウム、0.02%塩化マグネシウム、0.1%HPMC、0.025%ポリソルベート20、0.3%塩化ナトリウム、0.2%ホウ酸水素ナトリウムを混合して水溶液を調製する。溶液はpH7.2に調整する。
【0030】
実施例4
ドライアイ用軟膏の処方
0.2%ヒアルロン酸ナトリウム、0.0003%ポリアミノプロピルビグアニド、0.025%塩化カルシウム、0.15%HPMC、0.2%塩化ナトリウム、0.3%ホウ酸水素ナトリウムを混合して水溶液を調製する。溶液はpH7.0に調整する。
【0031】
実施例5
緑内障用軟膏の処方
0.25%マレイン酸チモロール((−)−1−(tert−ブチルアミノ)−3−[(4−モルホリノ−1,2,5−チアジアゾール−3−イル)オキシ]−2−プロパノールマレアート(1:1)(塩))、0.25%ヒアルロン酸ナトリウム、0.0002%ポリアミノプロピルビグアニド-ボラート、0.4%塩化ナトリウム、0.026%塩化カルシウム、0.1%ホウ酸水素ナトリウムを混合して水溶液を調製する。溶液はpH6.5に調整する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン性の多量体抗菌剤、およびアニオン性ポリマーのマグネシウム複合体、カルシウム複合体またはマグネシウム/カルシウム複合体を含む、粘液様の溶液。
【請求項2】
前記多量体抗菌剤はポリアミノプロピルビグアニドまたはその許容される塩である、請求項1に記載の粘液様の溶液。
【請求項3】
前記アニオン性ポリマーはヒアルロネート、アルギナート、カルボキシメチルセルロース、コンドロイチン硫酸およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜2に記載の粘液様の溶液。
【請求項4】
前記カチオン性の多量体抗菌剤は約0.001〜約0.01%w/vの範囲の量で存在する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘液様の溶液。
【請求項5】
前記アニオン性ポリマーのマグネシウム複合体、カルシウム複合体またはマグネシウム/カルシウム複合体は約0.01〜約0.25%w/vの範囲の量で存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘液様の溶液。
【請求項6】
前記アニオン性ポリマーは分子量が約70,000〜約4百万ダルトンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘液様の溶液。
【請求項7】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される約0.01〜約0.2%w/vの範囲の量の粘度改質剤をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粘液様の溶液。
【請求項8】
約0.01〜約1%w/vの範囲の量の界面活性剤をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の粘液様の溶液。
【請求項9】
約0.01〜約1%w/vの範囲の量のポリソルベート20をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の粘液様の溶液。
【請求項10】
約0.01〜約0.25%w/vの範囲の量の緩衝液をさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の粘液様の溶液。
【請求項11】
約0.001〜約1%w/vの範囲の量の等張化剤をさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の粘液様の溶液。
【請求項12】
約0.0001〜約0.0005%w/vの範囲の量のカチオン性の多量体抗菌剤、および約0.01〜約0.25%w/vの範囲の量のアニオン性ポリマーのマグネシウム複合体、カルシウム複合体またはマグネシウム/カルシウム複合体を含む、点眼液。
【請求項13】
前記カチオン性の多量体抗菌剤はポリアミノプロピルビグアニドまたはその許容される塩である、請求項12に記載の点眼液。
【請求項14】
前記アニオン性ポリマーは分子量が約70,000〜約4百万ダルトンである、請求項12〜13に記載の点眼液。
【請求項15】
前記アニオン性ポリマーはヒアルロネート、アルギナート、カルボキシメチルセルロース、コンドロイチン硫酸およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12〜14に記載の点眼液。
【請求項16】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される約0.01〜約0.2%w/vの範囲の量の粘度改質剤をさらに含む、請求項12〜15に記載の点眼液。
【請求項17】
約0.01〜約1%w/vの範囲の量の界面活性剤をさらに含む、請求項12〜16に記載の点眼液。
【請求項18】
約0.01〜約1%w/vの範囲の量のポリソルベート20をさらに含む、請求項12〜17に記載の点眼液。
【請求項19】
約0.01〜約0.25%w/vの範囲の量の緩衝液をさらに含む、請求項12〜18に記載の点眼液。
【請求項20】
約0.001〜約1%w/vの範囲の量の等張化剤をさらに含む、請求項12〜19に記載の点眼液。
【請求項21】
約0.0001〜約0.0005%w/vの範囲の量のポリアミノプロピルビグアニド、約0.01〜約0.25%w/vの範囲の量のアニオン性ポリマーのマグネシウム複合体、カルシウム複合体またはマグネシウム/カルシウム複合体、約0.01〜約0.2%w/vの範囲の量の粘度改質剤、約0.01〜約1%w/vの範囲の量のポリソルベート20および約0.001〜約1%w/vの範囲の量の等張化剤を含む、点眼液。
【請求項22】
約0.01〜約0.25%w/vの範囲の量の緩衝液をさらに含む、請求項21に記載の点眼液。
【請求項23】
前記アニオン性ポリマーは分子量が約70,000〜約4百万ダルトンである、請求項21〜22に記載の点眼液。
【請求項24】
前記アニオン性ポリマーはヒアルロネートである、請求項21〜23に記載の点眼液。
【請求項25】
前記粘度改質剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、前記等張化剤は塩化ナトリウムまたは塩化ナトリウムと塩化カリウムとの混合物である、請求項21〜24に記載の点眼液。

【公表番号】特表2012−504594(P2012−504594A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529646(P2011−529646)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【国際出願番号】PCT/IB2009/006972
【国際公開番号】WO2010/038129
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(507389761)ヒェーミシェス・インスティトゥート・シェーファー・アクチェンゲゼルシャフト (4)
【氏名又は名称原語表記】CHEMISCHES INSTITUT SCHAEFER AG
【Fターム(参考)】