説明

粘着テープ又はシートの製造方法

【課題】 末端シリル基ポリマーを用いた粘着剤層を形成させた粘着テープ又はシートにおいて、被着材に貼付後剥離した際に被着材に糊残りせず、なおかつ剥離後も良好な粘着力を維持し、再度貼付接着することが可能な粘着テープ又はシート及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 主鎖又は側鎖にウレタン結合及び/又は尿素結合を持ち、末端に加水分解性シリル基を含有する特定末端シリル基ポリマーと粘着付与樹脂とを均一に混合して、混合物を得る。この混合物に、末端シリル基ポリマーの硬化触媒を添加して、撹拌して全体に均一に混合されてなる粘着剤前駆体を得る。この粘着剤前駆体を、テープ基材又はシート基材の表面に塗布する。その後、粘着剤前駆体中の末端シリル基ポリマーを硬化させることにより、粘着剤前駆体を三次元網目構造を持つ粘着剤層とする。以上のようにして、粘着テープ又はシートを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープ又はシートの製造方法に関し、特に、被着材に貼付後剥離した際に被着材に糊残りせず、なおかつ剥離後も良好な粘着力を維持し、再度貼付接着することが可能な粘着テープ又はシートの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、粘着テープ又はシートは様々な分野で使用されている。その中でも、例えば仮止め等の一時的な貼付や位置直しが要求される用途において、粘着テープ又はシートに必要とされる性能の一つに再剥離性が挙げられる。
ここで、一般に再剥離性とは、粘着テープ又はシートを被着材に貼付した後、一定時間経過した後にも被着材表面に糊残りすることなく、すなわち粘着剤層の凝集破壊を生ずることなく、剥離することができる性能をいう。
【0003】
例えば、特許文献1には、表面基材に粘着剤層を形成してなる再剥離性粘着シートにおいて、粘着剤層が、アルキル基の炭素数4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位を主成分として含むと共にカルボキシル基含有不飽和単量体単位を0.1〜2.0質量%含む(メタ)アクリル酸エステル共重合体のエマルション[A]、カルボキシル基含有不飽和単量体単位を含むアルカリ可溶性またはアルカリ膨潤性(メタ)アクリル酸共重合体のエマルション[B]および架橋剤[C]を必須成分として含む水分散型粘着剤組成物から形成され、かつ、該粘着剤層のテトラヒドロフランを溶媒にした際のゲル分率が65〜95質量%であることを特徴とする再剥離性粘着シートが開示されている。また、特許文献2には、基材フィルムの片面又は両面にポリシロキサン成分を2〜50重量%含有するシロキサン変性ポリウレタン樹脂から成る付着層が設けられていることを特徴とする容易に剥離することができ、さらに繰り返し付着させることができる付着シートが開示されている。
【0004】
一方、近年、粘着剤層として末端シリル基ポリマーを使用したものが提案されている(特許文献3及び4)。末端シリル基ポリマーとは、末端に加水分解性シリル基が結合されてなるポリマーであり、硬化させることにより、三次元網目構造となるものである。この硬化物が粘着付与樹脂と共働して優れた粘着力を発揮するため、近年、粘着剤層としての使用が提案されているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−73920号公報
【特許文献2】特開平11−80678号公報
【特許文献3】再公表特許WO2005/73333公報
【特許文献4】特開昭59−71377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、末端シリル基ポリマーを用いた粘着剤層を形成させた粘着テープ又はシートにおいて、被着材に貼付後剥離した際に被着材に糊残りせず、なおかつ剥離後も良好な粘着力を維持し、再度貼付接着することが可能な粘着テープ又はシート及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、末端シリル基ポリマーを用いた粘着剤層の研究開発を進めるうち、粘着付与樹脂の配合量を特定範囲とすることで、被着材に貼付後剥離した際に被着材に糊残りせず再剥離性を有することを見出した。さらに検証すると、この粘着テープ又はシートは剥離後も良好な粘着力を維持し、再度貼付することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
ここで、再剥離型粘着テープ又はシートと再剥離再接着型粘着テープ又はシートとは、剥離後に被着体に再度接着しうるか否かの点で相違する。すなわち、前者は被着体に糊残りなしに剥離しやすい粘着テープ又はシートのことであり、剥離後に再度使用して被着体に接着するものではない。これに対して、後者は被着体に糊残りなしに剥離しやすく、かつ、剥離後に再度使用して被着体に接着するものである。また、本発明における「再接着性を有する」とは上記の通り剥離した粘着テープ又はシートを再度被着材に貼付接着することが可能であり、なおかつその際に当初と同等以上の粘着力(接着強さ)を維持することを指す。
【0009】
本発明の課題解決手段は、末端シリル基ポリマーとして特定のものを採用し、粘着付与樹脂の配合量を特定範囲としたものである。すなわち、本発明は、主鎖又は側鎖にウレタン結合及び/又は尿素結合を持ち、末端に下記一般的(1)で表される加水分解性シリル基を含有する末端シリル基ポリマー100質量部と、粘着付与樹脂10質量部未満と、末端シリル基ポリマーの硬化触媒0.01〜10質量部とを均一に混合した粘着剤前駆体を、テープ基材又はシート基材の表面に塗布した後、該末端シリル基ポリマーを硬化させることにより、該粘着剤前駆体を粘着剤層とすることを特徴とする粘着テープ又はシートの製造方法に関するものである。
【化1】

(式中、Xはヒドロキシ基又はアルコキシ基を表し、Rは炭素数1〜20のアルキル基を表し、nは0、1又は2を表す。)
【0010】
本発明で用いる末端シリル基ポリマー(以下、「特定末端シリル基ポリマー」という。)は、公知のものであって、特許第3317353号公報、特許第3030020号公報、特許第3343604号公報、特表2004−518801号公報、特表2004−536957号公報及び特表2005−501146号公報に記載されているものである。特定末端シリル基ポリマーは、特許文献3及び4に記載されている末端シリル基ポリマーと対比して、分子末端に一般式(1)で表される加水分解性シリル基を持つ点では共通しているが、主鎖又は側鎖中に、ウレタン結合及び/又は尿素結合が導入されている点で異なる。ウレタン結合及び/又は尿素結合が導入されていない特許文献1及び2に記載されている末端シリル基ポリマーは、フッ素系化合物の存在下で十分な硬化が図れないので好ましくない。すなわち、この末端シリル基ポリマーは、フッ素系化合物の存在下で硬化によって十分な三次元網目構造が実現しにくく、得られる粘着剤層が流動しやすくなるので好ましくない。なお、主鎖又は側鎖に導入されているウレタン結合及び/又は尿素結合における活性水素は、有機基で置換されていてもよい。したがって、本発明においては、アロファネート結合もウレタン結合の範疇に属するし、ビュレット結合も尿素結合の範疇に属する。
【0011】
特定末端シリル基ポリマーの末端を構成する加水分解性シリル基は、一般式(1)において、nが1であるのが好ましい。すなわち、末端に二つの加水分解性基を持っていることが好ましい。nが0のものは末端に三つの加水分解性基を持っているが、このような特定末端シリル基ポリマーは、nが1のものに比べて、硬化後における三次元網目構造が緻密になって粘着剤層が硬くなり、テープ基材又はシート基材の曲げ等に対する追随性に劣る傾向がある。また、nが2のものは末端に一つの加水分解性基しか持っていないため、硬化後における三次元網目構造が不十分となり、粘着剤層が軟らかくなり過ぎる傾向がある。また、このことから分かるように、粘着剤層に所望の硬さや柔らかさを実現するには、nが0、1又は2のものを所定割合で混合して調整すればよい。特定末端シリル基ポリマーの主鎖には、ウレタン結合及び/又は尿素結合が導入されているが、主鎖の主体としては、ポリオキシプロピレンやポリオキシエチレンの如きポリオキシアルキレンであるのが好ましい。主鎖の主体がポリオキシアルキレンであると、得られる粘着剤層に適度な柔らかさを発現しやすくなるからである。
【0012】
本発明においては、特定末端シリル基ポリマーと他の末端シリル基ポリマーとが混合されていてもよい。たとえば、特定末端シリル基ポリマーと、特許文献3及び4に記載されたようなウレタン結合及び/又は尿素結合が導入されていない末端シリル基ポリマーとを混合してもよい。
【0013】
本発明で用いる粘着付与樹脂としては、粘着剤を得る際に用いられる公知の粘着付与樹脂が用いられる。たとえば、ロジン、重合ロジン、水添ロジン、ロジンエステル、ロジンフェノール樹脂等のロジン系樹脂;テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂等のテルペン系樹脂;脂肪族石油樹脂;芳香族系石油樹脂;芳香族系水添石油樹脂、ジシクロペンタジエン系水添石油樹脂、脂肪族系水添石油樹脂等の各種水添石油樹脂;クマロンインデン樹脂;スチレン系樹脂;マレイン酸系樹脂;アルキルフェノール樹脂;キシレン樹脂等を用いることができる。特に、本発明においてはスチレン系樹脂を用いるのが好ましい。
【0014】
本発明で用いる末端シリル基ポリマーの硬化触媒としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、チタン系触媒、スズ系触媒、ジルコニウム系触媒、アルミニウム系触媒、ビスマス系触媒、三フッ化ホウ素及び/又はその錯体、フッ素化剤及びフッ素系無機酸のアルカリ金属塩よりなる群から選ばれたフッ素系化合物、等が挙げられるがこれに限定されるものではない。
粘着剤層の耐熱性を得たい場合には、三フッ化ホウ素及び/又はその錯体、フッ素化剤及びフッ素系無機酸のアルカリ金属塩よりなる群から選ばれたフッ素系化合物を用いるのが好ましい。
【0015】
本発明で用いるフッ素系化合物としては、三フッ化ホウ素及び/又はその錯体、フッ素化剤又はフッ素系無機酸のアルカリ金属塩を単独で又は混合して用いることができる。これらのフッ素系化合物を粘着剤前駆体中に、特定末端シリル基ポリマーと共存させておくと、触媒的作用によって三次元網目構造を持つ粘着剤層を速やかに形成させることができると共に、粘着剤層の耐熱性を向上させることができる。なお、これらのフッ素系化合物は、粘着剤層中に当初の構造の状態で又は当初の構造が変性された状態で、残存する。
【0016】
三フッ化ホウ素(BF)は常温で気体であり、取り扱いに注意を要するが、本発明で使用することができる。三フッ化ホウ素の錯体は、取り扱いが容易であるため、本発明で用いるのにより適している。三フッ化ホウ素の錯体としては、アミン錯体、アルコール錯体、エーテル錯体、チオール錯体、スルフィド錯体、カルボン酸錯体、水錯体等が用いられる。三フッ化ホウ素の錯体の中では、安定性に優れ且つ触媒的作用に優れたアミン錯体を用いるのが、特に好ましい。
【0017】
三フッ化ホウ素のアミン錯体に用いられるアミン化合物としては、アンモニア、モノエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、アニリン、モルホリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、グアニジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、N−メチル−3,3′−イミノビス(プロピルアミン)、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、ペンタエチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、1,9−ジアミノノナン、ATU(3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン)、CTUグアナミン、ドデカン酸ジヒドラジド、ヘキサメチレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ジアニシジン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジエチルジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、トリジンベース、m−トルイレンジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、メラミン、1,3−ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、N−(3−アミノプロピル)−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、サンテクノケミカル社製ジェファーミン等の複数の第一級アミノ基を有する化合物、ピペラジン、シス−2,6−ジメチルピペラジン、シス−2,5−ジメチルピペラジン、2−メチルピペラジン、N,N′−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、2−アミノメチルピペリジン、4−アミノメチルピペリジン、1,3−ジ−(4−ピペリジル)−プロパン、4−アミノプロピルアニリン、ホモピペラジン、N,N′−ジフェニルチオ尿素、N,N′−ジエチルチオ尿素、N−メチル−1,3−プロパンジアミン等の複数の第二級アミノ基を有する化合物、更に、メチルアミノプロピルアミン、エチルアミノプロピルアミン、エチルアミノエチルアミン、ラウリルアミノプロピルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−アミノプロピルピペラジン、3−アミノピロリジン、1−o−トリルビグアニド、2−アミノメチルピペラジン、N−アミノプロピルアニリン、エチルアミンエチルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、ラウリルアミノプロピルアミン、2−アミノメチルピペリジン、4−アミノメチルピペリジン、式 HN(CNH)H(n≒5)で表わされる化合物(商品名:ポリエイト、東ソー社製)、N−アルキルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ピリジン、N−アルキルピペリジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン等の複環状第三級アミン化合物、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−3−[アミノ(ジプロピレンオキシ)]アミノプロピルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−11−アミノウンデシルトリエトキシシラン等のアミノシラン化合物が用いられる。また、三フッ化ホウ素のアミン錯体は市販されており、本発明ではそれらを用いることもできる。市販品としては、エアプロダクツジャパン株式会社製のアンカー1040、アンカー1115、アンカー1170、アンカー1222、BAK1171等が用いられる。
【0018】
フッ素化剤としては、フッ素アニオンを活性種とする求核的フッ素化剤と、電子欠乏性のフッ素原子を活性種とする求電子的フッ素化剤の二種が存在するが、本発明においては、いずれのフッ素化剤も用いることができる。求核的フッ素化剤としては、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−ジエチルアミノプロパン等の1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−ジアルキルアミノプロパン系化合物、トリエチルアミントリスヒドロフルオライド等のトリアルキルアミントリスヒドロフルオライド系化合物、ジエチルアミノサルファートリフルオライド等のジアルキルアミノサルファートリフルオライド系化合物等が用いられる。求電子的フッ素化剤としては、ビス(テトラフルオロホウ酸)N,N′−ジフルオロ−2,2′−ビピリジニウム塩化合物、トリフルオロメタンスルホン酸N−フルオロピリジニウム塩化合物等のN−フルオロピリジニウム塩系化合物;ビス(テトラフルオロホウ酸)4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン塩等の4−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン系化合物;N−フルオロビス(フェニルスルホニル)アミン等のN−フルオロビス(スルホニル)アミン系化合物等が用いられる。上記したフッ素化剤の中でも、1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−ジエチルアミノプロパン系化合物が液状化合物である上、入手が容易なため特に好ましい。
【0019】
フッ素系無機酸のアルカリ金属塩としては、ヘキサフルオロアンチモン酸ナトリウム、ヘキサフルオロアンチモン酸カリウム、ヘキサフルオロヒ酸ナトリウム、ヘキサフルオロヒ酸カリウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム、ペンタフルオロヒドロキソアンチモン酸ナトリウム、ペンタフルオロヒドロキソアンチモン酸カリウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ホウ酸ナトリウム、トリフルオロ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、トリフルオロ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸カリウム、ジフルオロビス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、ジフルオロビス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸カリウム等が用いられる。これらの中でも、フッ素性無機酸としては、テトラフルオロホウ酸又はヘキサフルオロリン酸を用いるのが好ましい。また、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム又はカリウムであるのが好ましい。
【0020】
フッ素系化合物以外の末端シリル基ポリマーの硬化触媒としては、市販品を用いることもできる。このような硬化触媒としては、ナーセムアルミニウム、ナーセムクロム、ナーセム第一コバルト、ナーセム第二コバルト、ナーセム銅、ナーセム第二鉄、ナーセムニッケル、ナーセムバナジル、ナーセム亜鉛、ナーセムインジウム、ナーセムマグネシウム、ナーセムマンガン、ナーセムイットリウム、ナーセムセリウム、ナーセムストロンチウム、ナーセムパラジウム、ナーセムバリウム、ナーセムモリブデニル、ナーセムランタン、ナーセムジルコニウム、ナーセムチタン、ナフテックスCoシリーズ、ニッカオクチックスCoシリーズ、ナフテックスMnシリーズ、ニッカオクチックスMnシリーズ、ナフテックスZnシリーズ、ニッカオクチックスZnシリーズ、ナフテックスCaシリーズ、ニッカオクチックスCaシリーズ、ナフテックスKシリーズ、ニッカオクチックスKシリーズ、ニッカオクチックスBiシリーズ、ネオデカン酸Biシリーズ、プキャットシリーズ、PAシリーズ、ナフテックスZrシリーズ、ニッカオクチックスZrシリーズ、ナフテックスFeシリーズ、ニッカオクチックスFeシリーズ、ナフテックスMgシリーズ、ナフテックスLiシリーズ、ナフテックスCuシリーズ、ナフテックスBaシリーズ、ニッカオクチックス・レアースシリーズ、ニッカオクチックスNiシリーズ等(以上、日本化学産業社製商品名)、オルガチックスZA−40、オルガチックスZA−65、オルガチックスZC−150、オルガチックスZC−540、オルガチックスZC−570、オルガチックスZC−580、オルガチックスZC−700、オルガチックスZB−320、オルガチックスTA−10、オルガチックスTA−25、オルガチックスTA−22、オルガチックスTA−30、オルガチックスTC−100、オルガチックスTC−401、オルガチックスTC−200、オルガチックスTC−750、オルガチックスTPHS等(以上、マツモトファインケミカル社製商品名)、SNAPCURE3020、SNAPCURE3030、VERTEC NPZ等(以上、ジョンソン・マッセイ社製商品名)、ネオスタンU−303、ネオスタンU−600、ネオスタンU−660、ネオスタンU−700等(以上、日東化成社製商品名)、ケンリアクトNZ01、ケンリアクトNZ33、ケンリアクトNZ39等(以上、ケンリッチ社製商品名)、アルミニウムエトキサイド、AIPD、PADM、AMD、ASBD、ALCH、ALCH−TR、アルミキレートM、アルミキレートD、アルミキレートA、アルゴマー、アルゴマー800AF、アルゴマー1000SF、プレンアクトALM等(以上、川研ファインケミカル社製商品名)、A−1、B−1、TOT、TOG、T−50、T−60、A−10、B−2、B−4、B−7、B−10、TBSTA、DPSTA−25、S−151、S−152、S−181等(以上、日本曹達社製商品名)、オクトープシリーズ、ケロープシリーズ、オリープシリーズ、アセトープシリーズ、ケミホープシリーズ等(ホープ製薬社製商品名)等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0021】
上記した特定末端シリル基ポリマーと粘着付与樹脂と末端シリル基ポリマーの硬化触媒とを均一に混合して、粘着剤前駆体を得る。一般的に、粘着剤前駆体は、特定末端シリル基ポリマーと粘着付与樹脂とを均一に混合して混合物を得た後に、末端シリル基ポリマーの硬化触媒を添加混合し、撹拌して全体を均一に混合して得るのが好ましい。すなわち、末端シリル基ポリマーの硬化触媒を最後に添加混合して粘着剤前駆体を得るのが好ましい。この理由は、硬化触媒は特定末端シリル基ポリマーに対して触媒的作用を及ぼすため、当初から混合すると粘着剤前駆体をテープ基材又はシート基材の表面に塗布する前に硬化する恐れが生じるからである。なお、特定末端シリル基ポリマーと粘着付与樹脂とを均一に混合する場合、両者の相溶性が不十分な場合等においては、有機溶剤を使用してもよい。有機溶剤としては、エタノール等のアルコール類、酢酸エチル、トルエン、メチルシクロヘキサン等が用いられる。また、特定末端シリル基ポリマーと粘着付与樹脂の相溶性が良好な場合や塗工可能な粘度である場合には、有機溶剤を使用しなくてもよい。
【0022】
粘着付与樹脂は、特定末端シリル基ポリマー100質量部に対して、10質量部未満配合される。粘着付与樹脂の配合量が10質量部を超えると、粘着力(接着強さ)が強すぎて特に大面積に貼り付けたとき等には剥離する際に容易に剥離しづらくなる。なお、粘着付与樹脂の配合量としては0質量部(すなわち粘着付与樹脂を配合しない)でも本発明の効果を奏するが、より好ましくは0.1質量部以上配合するとよい。また、末端シリル基ポリマーの硬化触媒は、特定末端シリル基ポリマー100質量部に対して、0.01〜10質量部配合される。末端シリル基ポリマーの硬化触媒の配合量が0.01質量部未満であると、触媒的作用が不十分となり、三次元網目構造を持つ粘着剤層を形成しにくくなるので、好ましくない。また、末端シリル基ポリマーの硬化触媒の配合量が10質量部を超えると、触媒的作用が過剰となり、粘着剤前駆体を得る際に硬化する恐れがあるので、好ましくない。
【0023】
粘着剤前駆体には、その他に以下のような化合物乃至物質を添加混合しておいてもよい。たとえば、シランカップリング剤、老化防止剤、充填剤、可塑剤、無水シリカ、アマイドワックス等の揺変剤、酸化カルシウム等の脱水剤、イソパラフィン等の希釈剤、水酸化アルミニウム、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤等の難燃剤、シリコーンアルコキシオリゴマー,アクリルオリゴマー等の機能性オリゴマー、顔料、エチルシリケート、プロピルシリケート、ブチルシリケート等のシリケート化合物及びそのオリゴマー、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、乾性油等を添加混合しておいてもよい。
【0024】
任意の添加剤であるシランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、(アミノメチル)トリメトキシシラン、(アミノメチル)メチルジメトキシシラン、(アミノメチル)トリエトキシシラン、(アミノメチル)メチルジエトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルメチルジメトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルメチルジエトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルトリエトキシシラン、4−アミノ−3,3−ジメチルブチルメチルジエトキシシラン等が用いられる。
【0025】
任意の添加剤である老化防止剤としては、ラジカル連鎖開始阻止剤(ヒドラジド系、アミド系等)、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系等)、クエンチャー(有機ニッケル系等)、ラジカル捕捉剤としてHALS(ヒンダードアミン系等)、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系、セミヒンダードフェノール系等)、過酸化物分解剤としてリン系酸化防止剤(ホスファイト系、ホスホナイト系等)、イオウ系酸化防止剤(チオエーテル系等)等が用いられる。市販品の老化防止剤としては、旭電化工業社製のアデカスタブシリーズ;クラリアントジャパン社製のホスタノックスシリーズ、ホスタビンシリーズ、サンデュボアシリーズ、ホスタスタットシリーズ;三共ライフテック社製のサノールシリーズ;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のチヌビンシリーズ、イルガフォスシリーズ、イルガノックスシリーズ、キマソーブシリーズ等が用いられる。
【0026】
任意の添加剤である充填剤としては、炭酸カルシウム系、各種処理炭酸カルシウム系、炭酸マグネシウム系、有機高分子系、クレー系、タルク系、シリカ系、フュームドシリカ系、ガラスバルーン系、プラスチックバルーン系、水酸化アルミニウム系、水酸化マグネシウム系等の充填剤が用いられる。
【0027】
任意の添加剤である可塑剤としては、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケート、コハク酸イソデシル等の非芳香族二塩基酸エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル等の脂肪族エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;トリメリット酸エステル類;ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン類;ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリル、ポリクロロプレン等の炭化水素系重合体;塩素化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル等の炭化水素系油;プロセスオイル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールとこれらポリエーテルポリオールの水酸基をエステル基、エーテル基等に変換した誘導体等のポリエーテル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類;セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の2塩基酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコールから得られるポリエステル系可塑剤類;アクリル系可塑剤を始めとするビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体類等が用いられる。これらの中でも、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールとこれらポリエーテルポリオールの水酸基をエステル基、エーテル基等に変換した誘導体等のポリエーテル類等のポリオキシアルキレン系重合体も、フタル酸エステル類を用いるのが好ましい。
【0028】
以上のようにして粘着剤前駆体を得た後、これをテープ基材又はシート基材の表面に塗布する。テープ基材又はシート基材としては、アルミニウム箔等の金属箔よりなるものや、ポリエステル等の合成樹脂製フィルムよりなるものが用いられる。また、不織布や紙、布等の繊維材料でもよい。特に、アルミニウム箔又は耐熱性ポリエステルフィルムを用いるのが好ましい。粘着剤前駆体は、テープ基材又はシート基材の一方表面に塗布されてもよいし、両表面に塗布されてもよい。後者の場合は、両面粘着テープ又はシートとなる。また、粘着剤前駆体の塗布方法は、従来公知の方法を採用でき、たとえばナイフコーター法やロールコーター法等を用いることができる。さらに、粘着剤前駆体の塗布厚も従来と同様であり、5〜200μm程度である。
【0029】
粘着剤前駆体をテープ基材又はシート基材の表面に塗布した後、粘着剤前駆体に含まれている特定末端シリル基ポリマーを硬化させる。特定末端シリル基ポリマー同士は、水分の存在下で縮合して三次元網目構造となって硬化するから、塗布後の粘着剤前駆体を水蒸気等の水分の存在下に置けばよい。具体的には、大気中に置けば、水蒸気の存在下に置くことになる。また、粘着剤前駆体中には有機溶剤等が含まれている場合があるので、これらを蒸発させるために、80℃以上の温度に加熱するのが一般的である。したがって、一般的に、粘着剤前駆体をテープ基材又はシート基材の表面に塗布した後、大気中で加熱することにより、粘着剤層を形成することができ、粘着テープ又は粘着シートが得られる。
【0030】
以上のような方法で得られた粘着テープ又は粘着シートは、従来使用されている各種用途に用いられるが、特に、仮止め等の一時的な貼付や位置直しが要求される用途における粘着テープ又はシートとして用いられる。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る方法で得られた粘着テープ又は粘着シートの粘着剤層は、特定末端シリル基ポリマーが硬化して三次元網目構造となったマトリックス中に、特定量の粘着付与樹脂が存在することになる。これによって、被着材に貼付後剥離した際に被着材に糊残りせず、なおかつ剥離後も良好な粘着力を維持し、再度貼付接着することが可能な粘着テープ又はシートが得られるという効果を奏する。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本発明は、特定末端シリル基ポリマーと粘着付与樹脂と末端シリル基ポリマーの硬化触媒とを特定配合比で混合した粘着剤前駆体を硬化させてなる粘着剤層は、被着材に貼付後剥離した際に被着材に糊残りせず、なおかつ剥離後も良好な粘着力を維持し、再度貼付接着することが可能な粘着テープ又はシートが得られるとの知見に基づくものとして、解釈されるべきである。
【0033】
[実施例1]
〔特定末端シリル基ポリマーの合成〕
反応容器に、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランを206質量部、アクリル酸メチルを172質量部仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で10時間反応させることで、シリル化剤となるシラン化合物を得た。
一方、別の反応容器にPML S4015(ポリオキシプロピレンジオール、分子量15000:旭硝子社製)1000質量部、イソホロンジイソシアネート24.6質量部(NCO/OH比=1.7)及びジブチルスズジラウレート0.05質量部を仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、85℃で7時間反応させて、主鎖の主体がポリオキシプロピレンで、主鎖中にウレタン結合が導入されたウレタンプレポリマーを得た。
このウレタンプレポリマー1000質量部に、上記シラン化合物42.1質量部を添加し、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら80℃で1時間反応させることで、特定末端シリル基ポリマーを得た。IRでイソシアネート基の吸収(2265cm−1)の消失より反応の進行を確認した。
この特定末端シリル基ポリマーは、一般的(1)で表される加水分解性シリル基として二つのメトキシ基を有し、主鎖の主体がポリオキシプロピレンで、主鎖にウレタン結合が導入されてなるものである。
【0034】
〔粘着シートの製造〕
上記特定末端シリル基ポリマー100質量部に、溶媒として酢酸エチル20質量部と、粘着付与樹脂としてスチレン系樹脂(三井化学社製、商品名「FTR8100」)9.5質量部を添加混合し、均一に撹拌して、混合物を得た。
この混合物130質量部に、硬化触媒である三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体(三フッ化ホウ素として59質量%含有)を1.0質量部、老化防止剤(チバ社製、商品名「イルガノックス1010」)を2質量部及び脱水剤(信越化学工業社製、商品名「KBM1003」)を1質量部添加し、十分に撹拌し均一に混合して、粘着剤前駆体を得た。
この粘着剤前駆体を、シート本体である厚さ25μmのポリエステルフィルムの裏面に、塗布厚が90μm程度となるようにナイフコーター法で塗布した。その後、120℃で5分間、大気中で加熱した後、室温で15分間放置し、さらにその後40℃で1週間熟成することにより、特定末端シリル基ポリマーを硬化させると共に、酢酸エチル及び水分を蒸発させて、再剥離再接着性粘着剤層を得た。これにより、シート本体の裏面に再剥離再接着性粘着剤層が積層されてなる再剥離再接着型粘着シートが得られた。
【0035】
[実施例2]
粘着付与樹脂の添加量を0.5質量部に変更する他は、実施例1と同一の方法により粘着シートを得た。
【0036】
[実施例3]
粘着付与樹脂を用いない他は、実施例1と同一の方法により粘着シートを得た。
【0037】
[比較例1]
粘着付与樹脂の添加量を40質量部に変更し、かつ、酢酸エチルの添加量を25質量部に変更する他は、実施例1と同一の方法により粘着シートを得た。
【0038】
[比較例2]
実施例1で使用したシート本体裏面に、アクリル溶剤型粘着剤(日本合成化学社製、商品名「コーポニール N−4105」)を塗布厚が90μm程度となるようにナイフコーターで塗布して、粘着シートを得た。
【0039】
実施例1〜3及び比較例1、2で得られた粘着シートの再剥離再接着性を以下の方法で評価した。そして、その結果を表1に示した。
[初期接着強さ]
被着体である硬質塩化ビニル板に粘着シートを貼着し、23℃で3日間養生した後に、被着体以外は、JIS Z 0237 10.4 180度引きはがし粘着力の測定に記載の方法に準拠して初期接着強さ(N/20mm)を測定した。
[汚染後の接着強さ]
粘着剤層全面に、シリチン粉末[ホフマンミネラル社〔独〕製「シリチンV85」(平均粒径3μm)]をまぶして手で圧締し、再剥離再接着性粘着剤層を汚染する。5分間放置した後、再剥離再接着性粘着剤層全面に水を供給しながら、ウレタンスポンジで擦ってシリチン粉末を落として洗浄する。その後、10分間60℃の雰囲気下で乾燥する。そして再度、被着体である硬質塩化ビニル板に再剥離再接着型粘着シートを貼着し、23℃で3日間養生した後に、被着体以外は、JIS Z 0237 10.4 180度引きはがし粘着力の測定に記載の方法に準拠して接着強さ(N/20mm)を測定した。なお、汚染−洗浄−乾燥を1回行ったものを、汚染後の接着強さ(1回)とし、汚染−洗浄−乾燥を2回行ったものを、汚染後の接着強さ(2回)とし、以下、これを5回まで行った。この汚染−洗浄−乾燥をn回行った後の接着強さは、被着体からn回剥離した後に、再剥離再接着性粘着剤層を洗浄及び乾燥し、被着体に再貼着させた場合の接着強さとよく相関している。

【0040】
[表1]
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
汚 染 後 の 接 着 強 さ
――――――――――――――――――――
初期接着強さ 1回 2回 3回 4回 5回
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例1 4.8 5.0 5.4 5.7 6.0 5.5
実施例2 4.3 4.6 5.2 5.1 5.3 4.9
実施例3 4.2 4.9 5.3 5.2 4.8 4.6
比較例1 10.4 8.0 7.5 7.6 7.0 7.4
比較例2 11.6 9.0 8.5 6.6 6.0 5.5
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【0041】
表1の結果から、初期接着強さを100%とし、初期接着強さに対して汚染後の接着強
さが何%になっているかを計算すると、以下のとおりである。すなわち、実施例1では104〜125%、実施例2では107〜123%、実施例3では110〜126%となっている。一方、比較例1では67〜77%、比較例2では47〜78%となっている。なお、初期接着強さ及び汚染後の接着強さの測定時において、破壊は被着体と再剥離再接着性粘着剤層の界面で起こり、被着体に糊残りしなかった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係る粘着テープ又はシートの製造方法は、例えば仮止め等の一時的な貼付や位置直しが要求される従来公知の用途において、被着材に貼付後剥離した際に被着材に糊残りせず、なおかつ剥離後も良好な粘着力を維持し、再度貼付接着することが可能な粘着テープ又はシートとして用いることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
主鎖又は側鎖にウレタン結合及び/又は尿素結合を持ち、末端に下記一般的(1)で表される加水分解性シリル基を含有する末端シリル基ポリマー100質量部と、粘着付与樹脂10質量部未満と、末端シリル基ポリマーの硬化触媒0.01〜10質量部とを均一に混合した粘着剤前駆体を、テープ基材又はシート基材の表面に塗布した後、該末端シリル基ポリマーを硬化させることにより、該粘着剤前駆体を粘着剤層とすることを特徴とする粘着テープ又はシートの製造方法。
【化1】

(式中、Xはヒドロキシ基又はアルコキシ基を表し、Rは炭素数1〜20のアルキル基を表し、nは0,1又は2を表す。)
【請求項2】
末端シリル基ポリマーと粘着付与樹脂とを均一に混合した混合物に、末端シリル基ポリマーの硬化触媒を添加混合して粘着剤前駆体を得る請求項1記載の粘着テープ又はシートの製造方法。
【請求項3】
主鎖の主体がポリオキシアルキレンである末端シリル基ポリマーを用いる請求項1記載の粘着テープ又はシートの製造方法。
【請求項4】
一般式(1)中のnが1である請求項1記載の粘着テープ又はシートの製造方法。
【請求項5】
粘着付与樹脂としてスチレン系樹脂を用いる請求項1記載の粘着テープ又はシートの製造方法。
【請求項6】
末端シリル基ポリマーの硬化触媒が、三フッ化ホウ素及び/又はその錯体、フッ素化剤及びフッ素系無機酸のアルカリ金属塩よりなる群から選ばれたフッ素系化合物である請求項1記載の粘着テープ又はシートの製造方法。
【請求項7】
テープ基材又はシート基材の表面に請求項1記載の粘着剤層が積層されてなる粘着テープ又はシート。


【公開番号】特開2011−6630(P2011−6630A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153534(P2009−153534)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000105648)コニシ株式会社 (217)
【Fターム(参考)】