説明

粘着フィルム用梱包箱、粘着フィルムの梱包方法、粘着フィルム梱包セット、及び粘着フィルム梱包セットの製造方法

【課題】、基材の間からの粘着層のはみ出しを防止できる粘着フィルム用梱包箱、粘着フィルムの梱包方法、粘着フィルム梱包セット、及び粘着フィルム梱包セットの製造方法を提供する。
【解決手段】この粘着フィルム用梱包箱2では、本体部11の第1の壁部11aに粘着フィルム3の主面の形状に対応した第1の緩衝部材14が設けられている。この第1の緩衝部材14によって粘着フィルム3の主面にかかる圧力が緩和され、粘着フィルム3が保護される。また、第1の緩衝部材14に形成された切抜部14aにより、粘着フィルム3における粘着層21の角部21a付近が第1の緩衝部材14に直接当たることを防止できるので、粘着層21が第1の基材22及び第2の基材23の角部からはみ出すことを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着フィルム用梱包箱、粘着フィルムの梱包方法、粘着フィルム梱包セット、及び粘着フィルム梱包セットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、携帯ゲーム機、デジタルカメラ、カーナビゲーション、携帯用小型パソコン、携帯情報端末(PDA)等の液晶表示装置において、タッチパネルが搭載されるようになってきた。このような液晶表示装置(以下、タッチパネル式ディスプレイという場合もある)の場合には、保護パネル、タッチパネル、及び液晶パネルがこの順で積層された積層構造となっており、保護パネルとタッチパネルとの間、タッチパネルと液晶パネルとの間に透明な粘着フィルムを介在させる場合がある。このような粘着フィルムは、ディスプレイの輝度や鮮明さの向上に寄与するほか、衝撃吸収材としての機能も有しているため、ディスプレイの構成に欠かせない要素となってきている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−83491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した粘着フィルムは、製品としては、剥離可能な基材で粘着層の両面を挟んだ状態で取り扱われることが一般的である。また、保管・運搬に際しては、接触等の衝撃から保護するため、粘着フィルムを梱包箱に梱包しておくことが好ましい。
【0005】
しかしながら、梱包箱に複数の粘着フィルムを積層した状態で収容すると、粘着フィルム自体の重さによって下層の粘着フィルムに圧力がかかり、粘着層が基材の間からはみ出してしまうおそれがある。そこで、梱包箱に複数の粘着フィルムを立てた状態で並べることが考えられるが、この場合においても、粘着フィルムにおける粘着層の角部付近が梱包箱の内壁に当たると、粘着層が基材の間からはみ出してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、基材の間からの粘着層のはみ出しを防止できる粘着フィルム用梱包箱、粘着フィルムの梱包方法、粘着フィルム梱包セット、及び粘着フィルム梱包セットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決のため、本発明に係る粘着フィルム用梱包箱は、基材と粘着層とを含んで構成される粘着フィルムを梱包する粘着フィルム用梱包箱であって、粘着フィルムが収容される本体部と、本体部を開閉させる蓋部と、を備え、本体部は、収容される粘着フィルムの主面に対向する第1の壁部と、第1の壁部と交差する第2の壁部とを有し、第1の壁部の内側には、粘着フィルムの主面の形状に対応した第1の緩衝部材が設けられ、第1の緩衝部材には、第1の壁部の法線方向から見て、粘着フィルムの少なくとも粘着層の角部に重なるように切抜部又は切欠部が形成されていることを特徴としている。
【0008】
この粘着フィルム用梱包箱では、本体部の第1の壁部に粘着フィルムの主面の形状に対応した第1の緩衝部材が設けられている。この第1の緩衝部材によって粘着フィルムの主面にかかる圧力が緩和され、粘着フィルムが保護される。また、第1の緩衝部材に形成された切抜部又は切欠部により、粘着フィルムにおける粘着層の角部付近が第1の緩衝部材に直接当たることを防止できるので、粘着層が基材の角部からはみ出すことを防止できる。
【0009】
また、蓋部は、閉じた状態において第1の壁部と対向する第3の壁部を有し、第3の壁部には、粘着フィルムの主面の形状に対応した第2の緩衝部材が設けられ、第2の緩衝部材には、蓋部を閉じたときに、第3の壁部の法線方向から見て、粘着フィルムの少なくとも粘着層の角部に重なるように切抜部又は切欠部が形成されていることが好ましい。この場合、第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材によって粘着フィルムの主面にかかる圧力が緩和され、粘着フィルムが保護される。また、第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材に形成された切抜部又は切欠部により、粘着フィルムにおける粘着層の角部付近が第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材に直接当たることを防止できるので、粘着層が基材の角部からはみ出すことを防止できる。
【0010】
また、本発明に係る粘着フィルムの梱包方法は、上記粘着フィルム用梱包箱の本体部内に粘着フィルムを収容し、粘着フィルムにおける少なくとも粘着層の角部が第1の緩衝部材の切抜部又は切欠部に重なるように粘着フィルムを第1の緩衝部材に当接させた状態で蓋部を閉じて封止することを特徴としている。
【0011】
この粘着フィルムの梱包方法では、第1の緩衝部材によって粘着フィルムの主面にかかる圧力が緩和され、粘着フィルムが保護される。また、第1の緩衝部材に形成された切抜部又は切欠部により、粘着フィルムにおける粘着層の角部付近が第1の緩衝部材に直接当たることを防止できるので、粘着層が基材の角部からはみ出すことを防止できる。
【0012】
また、本発明に係る粘着フィルムの梱包方法は、上記粘着フィルム用梱包箱の本体部内に粘着フィルムを収容し、粘着フィルムにおける少なくとも粘着層の角部が第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材の切抜部又は切欠部に重なるように粘着フィルムを第1の緩衝部材と第2の緩衝部材とで挟んだ状態で蓋部を閉じて封止することを特徴としている。
【0013】
この粘着フィルムの梱包方法では、第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材によって粘着フィルムの主面にかかる圧力が緩和され、粘着フィルムが保護される。また、第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材に形成された切抜部又は切欠部により、粘着フィルムにおける粘着層の角部付近が第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材に直接当たることを防止できるので、粘着層が基材の角部からはみ出すことを防止できる。
【0014】
また、本発明に係る粘着フィルム梱包セットは、基材と粘着層とを含んで構成される粘着フィルムを粘着フィルム用梱包箱に梱包してなる粘着フィルム梱包セットであって、粘着フィルム用梱包箱は、粘着フィルムが収容された本体部と、本体部を開閉させる蓋部と、を備え、本体部は、粘着フィルムの主面に対向する第1の壁部と、第1の壁部と交差する第2の壁部とを有し、第1の壁部の内側には、粘着フィルムの主面の形状に対応すると共に隅部に切抜部又は切欠部が形成された第1の緩衝部材が設けられ、粘着フィルムは、第1の壁部の法線方向から見て、少なくとも粘着層の角部が切抜部又は切欠部に重なるように第1の緩衝部材に当接した状態で本体部内に収容されていることを特徴としている。
【0015】
この粘着フィルム梱包セットでは、本体部の第1の壁部に粘着フィルムの主面の形状に対応した第1の緩衝部材が設けられている。この第1の緩衝部材によって粘着フィルムの主面にかかる圧力が緩和され、粘着フィルムが保護される。また、第1の緩衝部材に形成された切抜部又は切欠部により、粘着フィルムにおける粘着層の角部付近が第1の緩衝部材に直接当たることを防止できるので、粘着層が基材の角部からはみ出すことを防止できる。
【0016】
また、蓋部は、閉じた状態において第1の壁部と対向する第3の壁部を有し、第3の壁部には、粘着フィルムの主面の形状に対応すると共に隅部に切抜部又は切欠部が形成された第2の緩衝部材が設けられ、粘着フィルムは、蓋部を閉じたときに、第3の壁部の法線方向から見て、少なくとも粘着層の角部が切抜部又は切欠部に重なるように第2の緩衝部材に当接した状態で本体部内に収容されていることが好ましい。この場合、第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材によって粘着フィルムの主面にかかる圧力が緩和され、粘着フィルムが保護される。また、第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材に形成された切抜部又は切欠部により、粘着フィルムにおける粘着層の角部付近が第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材に直接当たることを防止できるので、粘着層が基材の角部からはみ出すことを防止できる。
【0017】
また、本発明に係る粘着フィルム梱包セットの製造方法は、上記粘着フィルム用梱包箱の本体部内に粘着フィルムを収容し、粘着フィルムにおける少なくとも粘着層の角部が第1の緩衝部材の切抜部又は切欠部に重なるように粘着フィルムを第1の緩衝部材に当接させた状態で蓋部を閉じて封止することを特徴としている。
【0018】
この粘着フィルム梱包セットの製造方法では、第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材によって粘着フィルムの主面にかかる圧力が緩和され、粘着フィルムが保護される。また、第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材に形成された切抜部又は切欠部により、粘着フィルムにおける粘着層の角部付近が第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材に直接当たることを防止できるので、粘着層が基材の角部からはみ出すことを防止できる。
【0019】
また、本発明に係る粘着フィルム梱包セットの製造方法は、上記粘着フィルム用梱包箱の本体部内に粘着フィルムを収容し、粘着フィルムにおける少なくとも粘着層の角部が第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材の切抜部又は切欠部に重なるように粘着フィルムを第1の緩衝部材と第2の緩衝部材とで挟んだ状態で蓋部を閉じて封止することを特徴としている。
【0020】
この粘着フィルム梱包セットの製造方法では、第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材によって粘着フィルムの主面にかかる圧力が緩和され、粘着フィルムが保護される。また、第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材に形成された切抜部又は切欠部により、粘着フィルムにおける粘着層の角部付近が第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材に直接当たることを防止できるので、粘着層が基材の角部からはみ出すことを防止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、粘着フィルムにおいて、基材の間からの粘着層のはみ出しを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る粘着フィルム梱包セットの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示した粘着フィルム梱包セットを蓋部が開いた状態で示す斜視図である。
【図3】図2の状態から本体部内の粘着フィルムを除いて示す斜視図である。
【図4】粘着フィルムの層構成の一例を示す図である。
【図5】保形部材の作用を示す要部拡大図である。
【図6】第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材と粘着フィルムとの位置関係を示す図である。
【図7】第1の緩衝部材及び第2の緩衝部材の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る粘着フィルム用梱包箱、粘着フィルムの梱包方法、粘着フィルム梱包セット、及び粘着フィルム梱包セットの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明に係る粘着フィルム梱包セットの一実施形態を示す斜視図である。また、図2は、図1に示した粘着フィルム梱包セットを蓋部が開いた状態で示す斜視図であり、図3は、図2の状態から本体部内の粘着フィルムを除いて示す斜視図である。
【0025】
図1〜図3に示すように、粘着フィルム梱包セット1は、例えば50枚程度の粘着フィルム3を粘着フィルム用梱包箱2に梱包することによって構成されている。粘着フィルム用梱包箱2は、粘着フィルム3が収容される本体部11と、本体部11を開閉させる蓋部12とを備えている。本体部11と蓋部12とは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどの有機材料などの材料によって一体的に形成され、蓋部12を閉じた状態では全体として略直方体形状をなしている。なお、本体部11と蓋部12とは、箱の強度の観点からは、ポリエチレン、ポリプロピレンを用いて形成することが好ましい。
【0026】
本体部11は、図2及び図3に示すように、収容される粘着フィルム3の主面に対向する第1の壁部11aと、第1の壁部11aと交差する第2の壁部11bとを有している。第1の壁部11aは、粘着フィルム3の寸法に対して十分大きな寸法の矩形状をなし、第2の壁部11bは、第1の壁部11aの各辺に第1の壁部11aと直交して設けられている。そして、第1の壁部11aと第2の壁部11bとで囲まれる空間が、本体部11における粘着フィルム3の収容空間Sとなっている。
【0027】
ここで、第2の壁部11bのうち、第1の壁部11aの一方の短辺から延びる第2の壁部11bの内側には、図3に示すように、収容空間Sに収容される粘着フィルム3の形状を保つための保形部材13が設けられている。保形部材13は、例えば面ファスナーなどのように、可撓性を有するフック状の突起部13a(図5参照)が無数に配列されてなる部材である。突起部13aの高さは、例えば0.1mm〜10mm程度であることが好ましく、0.5mm〜2.0mm程度であることがより好ましい。なお、突起部13aの形状は、フック状に限られず、直線状やループ状などであってもよい。
【0028】
この保形部材13は、粘着フィルム3の短辺側の縁部の長さと略同等の長さで第2の壁部11bの内側に延在している。また、保形部材13の幅は、収容される粘着フィルム3の枚数に応じて適宜設定され、好ましくは、収容される粘着フィルム3を重ねたときの厚さに対して十分に大きな幅となるように設定される。本実施形態では、例えば第2の壁部11bの内寸の幅と同一になっている。
【0029】
また、第1の壁部11aの内側には、図3に示すように、粘着フィルム3の主面の形状に対応した長方形状の第1の緩衝部材14が設けられている。第1の緩衝部材14は、例えばポリウレタン、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、発泡ポリエチレン、発泡スチロール、段ボールなどの材料によって形成されている。本実施形態では、ポリウレタンが特に好ましい。また、第1の緩衝部材14の厚さは、1mm〜20mm程度であることが好ましく、3mm〜15mm程度であることがより好ましい。第1の緩衝部材14の四隅には、斜辺が中央側を向くようにして直角三角形状の切抜部14aがそれぞれ形成されている。
【0030】
切抜部14aの寸法は、粘着フィルム3の角部に対して十分に大きいものであればよく、斜辺を除く2辺の長さは、例えば10mm〜99.5mmの範囲から適宜選択される。本実施形態では、斜辺を除く2辺の長さは、いずれも約45mmとなっている。
【0031】
蓋部12は、図2及び図3に示すように、閉じた状態において第1の壁部と対向する第3の壁部12aを有している。第3の壁部12aの縁部には、屈曲可能なフラップ12bが設けられている。フラップ12bは、例えば蓋部12を閉じた状態で本体部11の第2の壁部11bの外側に沿うようになっている。また、第3の壁部12aの内側には、粘着フィルム3の主面の形状に対応した長方形状の第2の緩衝部材15が設けられている。
【0032】
第2の緩衝部材15は、第1の緩衝部材14と同様に、例えばポリウレタン、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、発泡ポリエチレン、発泡スチロール、段ボールなどの材料によって形成されている。本実施形態ではポリウレタンが特に好ましい。また、第2の緩衝部材15の厚さは、1mm〜20mm程度であることが好ましく、3mm〜15mm程度であることがより好ましい。第2の緩衝部材15の四隅には、斜辺が中央側を向くようにして直角三角形状の切抜部15aがそれぞれ形成されている。なお、本実施形態では、第1の緩衝部材14と第2の緩衝部材15とは同一であるが、これに限られるものではない。
【0033】
粘着フィルム3は、例えば携帯端末用のタッチパネル式ディスプレイにおいて、保護パネルとタッチパネルとの間、タッチパネルと液晶パネルとの間に配置される透明なフィルムである。粘着フィルム3は、図4に示すように、粘着層21と、粘着層21の一面側に設けられた第1の基材22と、粘着層21の他面側に設けられた第2の基材23とを備えている。
【0034】
粘着フィルム3の平面形状は、適用されるディスプレイの平面形状に応じて適宜設計されるが、面積が150cm〜2000cmの範囲内であれば特に制限はない。本実施形態の粘着フィルム3は、長辺が50mm以上500mm以下、短辺が30mm以上400mm以下の長方形であるが、長辺が100mm以上300mm以下、短辺が80mm以上280mm以下の長方形状である場合、特に本発明の効果が顕著に発揮される。また、粘着層21の厚さは、例えば100μm〜500μm程度となっている。
【0035】
粘着層21は、25℃における貯蔵弾性率が1.0×10〜1×10Pa程度であり、特に、貯蔵弾性率が1.0×10〜5×10Pa程度であることがより好適である。この貯蔵弾性率は、厚さ0.5mmの粘着フィルム3の試料を作製し、動的粘弾性測定装置(例えばReometric Scientific RSA II:測定周波数1Hz:シェアサンドイッチモード)で測定できる。
【0036】
粘着層21は、例えば、(A)アクリル酸系誘導体ポリマ、(B)アクリル酸系誘導体、(C)重合開始剤等の粘着剤組成物によって形成される。
【0037】
(A)アクリル酸系誘導体ポリマーは、(B)アクリル酸系誘導体を重合させて得られるものであり、その重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したもの)が10,000以上1,000,000以下であるものが好ましい。アクリル酸系誘導体ポリマーは、アクリル酸系誘導体以外のモノマーを併用して重合させて得られるポリマーであってもよい。
【0038】
(B)アクリル酸系誘導体は、アクリル酸又はメタクリル酸、それらの誘導体等がある。具体的には、重合性不飽和結合を分子内に1個有する、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキル、ベンジルメタアクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート、(ジエチレングリコールエチルエーテル)の(メタ)アクリル酸エステル、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルの(メタ)アクリル酸エステル、ポリアルキレングリコールアリールエーテルの(メタ)アクリル酸エステル、脂環式基を有する(メタ)アクリル酸エステル、フッ素化アルキルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、グリセロールメタクリレート、グリセロールアクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。これらは、単独又は2種類以上を併用することができる。
【0039】
上記の重合性不飽和結合を分子内に1個有するモノマーと共に、重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマーを使用することができる。このようなモノマーとしては、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタン結合を有するジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
なお、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
【0041】
(C)重合開始剤は、光重合開始剤を使用することができ、ケトン系、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイン系、アシルフォスフィンオキサイド系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩等の公知の材料から選ぶことができる。これらの中でも特に、1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のケトン系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物が透明性及び硬化性の観点から好ましい。
【0042】
また、粘着層21は、可視光領域(波長:380〜780nm)の透過率が90%以上であることが好ましい。粘着フィルム3の作製は、例えば、第1の基材22上に粘着剤組成物を任意の膜厚で塗工して粘着層21を形成し、第1の基材23を粘着層上に積層し、次いで任意の大きさに裁断することで得られる。粘着層21を形成した後、紫外線等の活性光線を照射してもよい。
【0043】
第1の基材22は、例えばポリエチレンテレフタラートなどの有機材料によって形成されている。また、第1の基材22の厚さは、例えば50μm〜200μm程度となっている。第2の基材23は、第1の基材22と同様に、例えばポリエチレンテレフタラートなどの有機材料によって形成されている。また、第2の基材23の厚さは、例えば50μm〜200μm程度となっている。
【0044】
第1の基材22及び第2の基材23は、粘着層21との剥離強度を調節する目的で、少なくとも一方の表面が離型処理されていてもよい。また、第1の基材22又は第2の基材23において、粘着層21と接している面の反対面には、接着剤等を介して第3の基材が更に積層されていてもよい。
【0045】
なお、第1の基材22と粘着層21との剥離強度は、第2の基材23と粘着層21との剥離強度に比べて高くなっており、第2の基材23は第1の基材22に比べて粘着層21から剥がし易くなっている。また、第1の基材22及び第2の基材23の縁部は、粘着層21の縁部よりも外側に1mm〜30mm程度張り出しており、粘着層21を保護するほか、第1の基材22及び第2の基材23を粘着層21から剥がす際のつまみ部としても機能する。
【0046】
この粘着フィルム3を粘着フィルム用梱包箱2に梱包する場合、粘着フィルム3の一方の短辺側が保形部材13側を向くように、本体部11内に粘着フィルム3を収容する。次に、蓋部12を閉じてテープ16等で封止し、保形部材13が設けられた第2の壁部11bが本体部11の底部となるように、粘着フィルム用梱包箱2の姿勢を調整する(図1参照)。
【0047】
このとき、図5に示すように、本体部11の収容空間S内では、立てて並んだ状態となった粘着フィルム3の下側の縁部が全体にわたって保形部材13の可撓性の突起部13aによって挟持される。これにより、粘着フィルム3の下側部分が本体部11の内壁に当たって湾曲することが抑制され、粘着層21が第1の基材22及び第2の基材23の間からはみ出してしまうことを防止できる。本実施形態では、保形部材13が粘着フィルム3の短辺側の縁部の長さと略同等の長さで延在しているので、収容空間S内に粘着フィルム3を収容した際に特に位置決めを行わなくても、粘着フィルム3の下側の縁部が突起部13aによって挟持される。
【0048】
また、粘着フィルム用梱包箱2では、本体部11における第1の壁部11aの内側に第1の緩衝部材14が設けられ、蓋部12における第3の壁部12aの内側に第2の緩衝部材15が設けられている。これにより、蓋部12を閉じたときに、本体部11内に収容された粘着フィルム3の両面が第1の緩衝部材14及び第2の緩衝部材15によって挟まれ、粘着フィルム3の保護が図られる。
【0049】
また、第1の緩衝部材14及び第2の緩衝部材15の四隅には、斜辺が中央側を向くようにして直角三角形状の切抜部14a,15aがそれぞれ形成されている。この切抜部14a,15aは、図6に示すように、蓋部12を閉じた場合に、第1の壁部11aの法線方向及び第3の壁部12aの法線方向から見て、粘着フィルム3の粘着層21の全ての角部21aに重なるように位置することとなる。これにより、粘着フィルム3における粘着層21の角部21a付近が第1の緩衝部材14及び第2の緩衝部材15に直接当たることを防止できるので、特に粘着層21のはみ出しが生じ易い角部21aの保護が図られる。
【0050】
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、第2の壁部11bのうち、第1の壁部11aの一方の短辺から延びる第2の壁部11bの内側に保形部材13を設けているが、第1の壁部11aの他方の短辺から延びる第2の壁部11bの内側に保形部材13を更に設けてもよく、第1の壁部11aの長辺から延びる第2の壁部11bの内側に保形部材13を更に設けてもよい。
【0051】
さらに、保形部材13は、必ずしも粘着フィルム3の短辺側の縁部の長さと略同等の長さで延在している必要はなく、当接する粘着フィルム3の辺の長さの略半分以上の長さがあれば保形効果を十分に発揮できる。この場合、保形部材13は、粘着フィルム3の辺の略中央部分に対応して配置されることが好ましい。また、保形部材13は、複数に分離して配置してもよい。例えば、粘着フィルム3の辺の両端2箇所、或いは両端2箇所と略中央の計3箇所に対応して配置してもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、第1の緩衝部材14及び第2の緩衝部材15に直角三角形状の切抜部14a,15aを形成しているが、切抜部14a,15aの形状は直角三角形状に限られず、矩形、円形、その他の形状であってもよい。また、図7(a)に示すように、切抜部14a,15a同士を直線状の切抜部14b,15b同士で連結し、粘着フィルム3の縁部の全体が第1の緩衝部材14及び第2の緩衝部材15に直接当たらないようにしてもよい。一方、切抜部14a,15aを設ける代わりに、図7(b)に示すように、第1の緩衝部材14及び第2の緩衝部材15の4隅に直角三角形状の切欠部14c,15cを形成してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…粘着フィルム梱包セット、2…粘着フィルム用梱包箱、3…粘着フィルム、11…本体部、11a…第1の壁部、11b…第2の壁部、12…蓋部、12a…第3の壁部、14…第1の緩衝部材、14a,14b…切抜部、14c…切欠部、15…第2の緩衝部材、15a,15b…切抜部、15c…切欠部、21…粘着層、21a…角部、22…第1の基材、23…第2の基材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と粘着層とを含んで構成される粘着フィルムを梱包する粘着フィルム用梱包箱であって、
前記粘着フィルムが収容される本体部と、
前記本体部を開閉させる蓋部と、を備え、
前記本体部は、収容される粘着フィルムの主面に対向する第1の壁部と、前記第1の壁部と交差する第2の壁部とを有し、
前記第1の壁部の内側には、前記粘着フィルムの主面の形状に対応した第1の緩衝部材が設けられ、
前記第1の緩衝部材には、前記第1の壁部の法線方向から見て、前記粘着フィルムの少なくとも前記粘着層の角部に重なるように切抜部又は切欠部が形成されていることを特徴とする粘着フィルム用梱包箱。
【請求項2】
前記蓋部は、閉じた状態において前記第1の壁部と対向する第3の壁部を有し、
前記第3の壁部には、前記粘着フィルムの主面の形状に対応した第2の緩衝部材が設けられ、
前記第2の緩衝部材には、前記蓋部を閉じたときに、前記第3の壁部の法線方向から見て、前記粘着フィルムの少なくとも前記粘着層の角部に重なるように切抜部又は切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の粘着フィルム用梱包箱。
【請求項3】
請求項1記載の粘着フィルム用梱包箱の前記本体部内に粘着フィルムを収容し、前記粘着フィルムにおける少なくとも粘着層の角部が前記第1の緩衝部材の前記切抜部又は前記切欠部に重なるように前記粘着フィルムを前記第1の緩衝部材に当接させた状態で前記蓋部を閉じて封止することを特徴とする粘着フィルムの梱包方法。
【請求項4】
請求項2記載の粘着フィルム用梱包箱の前記本体部内に粘着フィルムを収容し、前記粘着フィルムにおける少なくとも粘着層の角部が前記第1の緩衝部材及び前記第2の緩衝部材の前記切抜部又は前記切欠部に重なるように前記粘着フィルムを前記第1の緩衝部材と前記第2の緩衝部材とで挟んだ状態で前記蓋部を閉じて封止することを特徴とする粘着フィルムの梱包方法。
【請求項5】
基材と粘着層とを含んで構成される粘着フィルムを粘着フィルム用梱包箱に梱包してなる粘着フィルム梱包セットであって、
前記粘着フィルム用梱包箱は、
前記粘着フィルムが収容された本体部と、
前記本体部を開閉させる蓋部と、を備え、
前記本体部は、前記粘着フィルムの主面に対向する第1の壁部と、前記第1の壁部と交差する第2の壁部とを有し、
前記第1の壁部の内側には、前記粘着フィルムの主面の形状に対応すると共に隅部に切抜部又は切欠部が形成された第1の緩衝部材が設けられ、
前記粘着フィルムは、前記第1の壁部の法線方向から見て、少なくとも前記粘着層の角部が前記切抜部又は前記切欠部に重なるように前記第1の緩衝部材に当接した状態で前記本体部内に収容されていることを特徴とする粘着フィルム梱包セット。
【請求項6】
前記蓋部は、閉じた状態において前記第1の壁部と対向する第3の壁部を有し、
前記第3の壁部には、前記粘着フィルムの主面の形状に対応すると共に隅部に切抜部又は切欠部が形成された第2の緩衝部材が設けられ、
前記粘着フィルムは、前記蓋部を閉じたときに、前記第3の壁部の法線方向から見て、少なくとも前記粘着層の角部が前記切抜部又は前記切欠部に重なるように前記第2の緩衝部材に当接した状態で前記本体部内に収容されていることを特徴とする請求項5記載の粘着フィルム梱包セット。
【請求項7】
請求項1記載の粘着フィルム用梱包箱の前記本体部内に粘着フィルムを収容し、前記粘着フィルムにおける少なくとも粘着層の角部が前記第1の緩衝部材の前記切抜部又は前記切欠部に重なるように前記粘着フィルムを前記第1の緩衝部材に当接させた状態で前記蓋部を閉じて封止することを特徴とする粘着フィルム梱包セットの製造方法。
【請求項8】
請求項2記載の粘着フィルム用梱包箱の前記本体部内に粘着フィルムを収容し、前記粘着フィルムにおける少なくとも粘着層の角部が前記第1の緩衝部材及び前記第2の緩衝部材の前記切抜部又は前記切欠部に重なるように前記粘着フィルムを前記第1の緩衝部材と前記第2の緩衝部材とで挟んだ状態で前記蓋部を閉じて封止することを特徴とする粘着フィルム梱包セットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−39928(P2013−39928A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176300(P2011−176300)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】