説明

粘着性物質処理用ローリングミル

本発明は、粘着性物質を処理するための、特に、バインダ内に懸濁した固体粒子を粉末状に粉砕して均一に分配するためのローリングミル及び処理方法に関する。ローリングミルは、長手方向軸を中心に回転可能に設けられた少なくとも二つのローラを有する。第一ローラの回転軸が固定されて設けられ、第二ローラの回転軸が移動可能に設けられている。さらに、ローリングミルは、少なくとも一方のローラを他方のローラに対して押圧するための少なくとも一つのプレス装置を備え、ローラ上の処理された粘着性物質の層厚さの値を測定するための少なくとも一つの層厚さセンサ装置が設けられている。ローリングミルの作動中、層厚さセンサは、ローラ上の処理された粘着性物質の層厚さの値を記録する。層厚さの値の記録は、連続的に実行され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着性物質を処理するためのローリングミルに関し、特に、バインダ内にある固体粒子を粉末状に砕いて均一に分配するためのローリングミルに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなローリングミルは、少なくとも二つのローラを有する。これらのローラは、それらの長手方向軸を中心に回転可能に設けられている。第一ローラの長手方向軸は固定されて設けられ、第二ローラの長手方向軸は移動可能に設けられている。さらに、ローリングミルは、少なくとも一つのローラを、他のローラに対して押すための少なくとも一つのプレス装置を有する。
【0003】
この種の従来のローリングミルにおいて、ローラニップで生じる製品のせん断処置のための重要な処理パラメータは、成形圧力(ライン圧力)、各ローラ表面の各温度及びローラニップにおけるニップ幅である。
【0004】
ローラ表面の温度はバインダの粘度に影響を及ぼし、ニップ幅は、表面速度に設定差がある時のローラニップにおけるせん断率に強い影響を及ぼす。回転ローラ間のせん断率と、内部に粒子が懸濁しているバインダの粘度とは、懸濁粒子の粉砕及び分配の成果に重大な影響を及ぼす。
【0005】
これらの設定に精通している、このようなローリングミルのオペレータは、通常、結果として得られる製品特性にも精通している。
【0006】
一般的に、このようなローリングミルのオペレータは、良好な製品特性、即ち、バインダに懸濁した固体粒子の良好な粉砕及び均一分配を得ることを目的としている。
【0007】
しかし、製品の品質の均一性に影響を及ぼすローリングミル動作パラメータ、特に、ニップ幅(ニップ)の正確な再現性を保証するのは困難なままである。通常、ローラの長手方向両端部に配置した設定装置(「クロック」)を使用してニップ幅の設定を再現することは、時間の経過に伴ってローラが磨耗し、ローリングミルの長い運転期間に亘って一定のニップ幅を確保するためには、常に、設定装置による新しい設定を余儀なくされるため困難である。また、温度によってローラやローラミルの他の部品が膨張し、その結果、機械公差やニップ幅が時間の経過に伴って変化するので、これによっても再現性は正確に得られない。
【発明の開示】
【0008】
従って、本発明の目的は、粘着性物質を処理するためのローラミルにおける動作パラメータ、特に、ニップ幅の監視を可能な限り簡単に、かつ、再現可能にできるようにすることにある。
【0009】
この目的は、請求項1の冒頭に記載されたローリングミルにおいて、本発明によるローリングミルのローラに、少なくとも一つの層厚さセンサ装置(layer thickness sensor device)を装備することによって達成される。前記センサ装置は、ローラ上にある処理される粘着性塊体の層厚さの値を測定する。驚くことに、粒度分布のライトエンド(right end)と、ローリングミルの各ローラ上の各層厚みとの間に相互関係があることが示された。
【0010】
本発明によるローリングミルでは、層厚さセンサ装置は、好ましくは、層厚さの測定値を表示するディスプレイ装置に接続される。結果的に、オペレータは、何時でも、ローリングミルの瞬間層厚さを読み取ることができる。必要に応じて、オペレータは、手動ニップ設定及び他のローリングミルパラメータを、直ちに正確に直すことができ、例えば、製品の品質を特に表す層厚みを所望の値に戻すことができる。
【0011】
これにより、層厚さ測定を介したオンライン品質制御が可能になる。
【0012】
本発明によるローリングミルにおいては、層厚さセンサ装置は、最適には、測定データを処理するための測定データ処理装置に接続される。有利には、処理される測定データは、ローリングミル作動中に測定される。この方法で得られる動作パラメータプロトコルは、様々な原材料を最適に処理するためのモデリングのために評価され作成され得る。これにより、様々なジョブ処理のための、より分かり易く、かつ、再現可能な、学習プロセスを設計することが可能になる。モデリング処理においては、特別な処理パラメータコンビネーションと、最終製品パラメータコンビネーションとが、相互に関連付けされる。最適で可能な製品品質を得るように、言い換えれば、要求される製品パラメータにできるだけ近い製品パラメータを有する製品を得るように、処理パラメータをどのようにして変更するかをオペレータに教える詳細なルール、言い換えれば、ルールパケットが、ここで作り出される。これらのルールは、ファジィロジックやニューラルネットワークのような知的ソフトウェア技術、又は、幾つかの他の知的ソフトウェア技術の組み合わせでプログラムされ得る。これにより、熟練したローリングミルオペレータの動作、特に、オペレータの能力をシミュレートして学習することが可能になる。
【0013】
測定データ処理装置に加えて、本発明によるローリングミルには、好ましくは、制御装置が設けられる。ローリングミルの制御装置は、好ましくは、ローリングミルの動作パラメータの少なくとも一つのパラメータを制御し得る。これにより、少なくとも部分的に自動化された本発明によるローリングミルの動作によって、作業中にローリングミルオペレータを補助することが可能になる。
【0014】
少なくとも一つの動作パラメータは、以下のパラメータの一つであり得る。
・製品フィードトラフ内の材料充填レベル
・少なくとも一つのローラと他のローラとの間の接触圧力
・ローラ温度
・ローラ速度
・ローラ間ニップ幅
【0015】
また、本発明によるローリングミルは、デュアルローリングミルでもあり得る。
【0016】
特に好ましくは、本発明によるローリングミルは、第一ローラ、第二ローラ及び第三ローラを備えたトリプルローリングミルである。このようなトリプルローリングミルは、特に、バインダ内に懸濁した固体粒子を粉末状に砕いて均一に分配するのに適している。ここでは、バインダ内で粒子を可能な限り均一に分配するために、最初に、第一ニップ内でミキシング処理が行われ、さらに、主として、それら粒子を粉末状に砕くために、第二ニップ内で粒子に力が及ぼされる(分散効果)。
【0017】
制御装置は、好ましくは、トリプルローリングミルの少なくとも一つの動作パラメータを示すことができ、ここでは、動作パラメータは、以下のパラメータの少なくとも一つであることが最も好ましい。
・製品フィードトラフ内の材料充填レベル
・第一ローラと第二ローラとの間の接触圧力
・第三ローラと第二ローラとの間の接触圧力
・第一ローラ温度
・第二ローラ温度
・第三ローラ温度
・第一ローラ速度
・第二ローラ速度
・第三ローラ速度
・第一ローラと第二ローラとの間のニップ幅
・第二ローラと第三ローラとの間のニップ幅
【0018】
これらのパラメータの少なくとも幾つかが、上述のルール又はルールパケットのために作られる。
【0019】
本発明によるローリングミルの特に有利な実施例では、層厚さセンサ装置が、それに割り当てられたローラの表面の共焦点センサ(confocal sensor)を有する。
【0020】
共焦点センサは、間隔測定のために共焦点測定原理(多角的焦点ポイントの原理)に従って動作する。ここでは、幾つかの離散周波数又は一つの連続周波数スペクトルを持った光が、色収差を持つ第一光学システム(レンズ構造体)を介して測定表面上で焦点合わせされる。第一光学システムは、好ましくは、幾つかのレンズを有し、制御された色収差を得る。言い換えれば、第一光学システムの焦点は、入射光の各周波数又は波長のために、レンズ構造体の一つ主平面(又は複数の主平面)から様々な距離を有する。結果として、各周波数又は波長は、その焦点に割り当てられることができ、光線の平行な又は所定の発散光線束として第一光学システムに当たる各周波数又は波長は、その距離で、各イメージ平面(image plane)にあるポイントでイメージ化される。距離を測定している間、このセンサは、測定面上で正確に焦点合わせされた周波数(又は波長又はライトカラー)を作る。測定面上の光のこのポイントで反射した光は、第二光学システムを介して、又は、反対方向の第一光学システムを介して、必要に応じて、付加的なミラー構造体を経由して、好ましくは、部分的に半透明なミラー構造体を経由して、光感応センサ要素上で色収差なしにイメージ化される。このセンサ要素は、この光のイメージ化ポイントの各ライトカラーを認識する。この方法で識別されたセンサ要素上のポイントのライトカラーによって、第一光学システムからの測定面の距離を測定することが可能になる。
【0021】
ローラ表面が共焦点センサに対して一定値をとると仮定すると、製品層表面と、共焦点センサによって測定される共焦点センサとの間の距離の変化は、製品の層の厚さの変化に対応する。
【0022】
本発明によるローリングミルの他の有利な実施例では、層厚みセンサ装置は、それに割り当てられたローラの表面上に容量センサを有し、この場合、ローラは、好ましくは、金属ローラである。
【0023】
容量センサは、容量原理(capacitive principle)に従って動作する。センサは、センサ電極と金属表面との間に電気容量が確立するように金属ローラの表面の近くに配置され、その値は、センサ電極とローラ表面との間にある非導電性材料(誘電材料)のタイプに依存する。容量値は、誘電材料として作用し、かつローラ表面に接着している製品層による影響を受ける。従って、製品の層厚さの変化は、センサとローラ表面との間の電気容量の特徴的な変化をもたらす。通常、それはローラ表面及びセンサ電極上の一定量の電力から発生する。従って、電気容量の変化、ここでは、製品層厚さの変化は、ローラ表面とセンサ表面との間に印加される電圧の変化から測定される。この電圧は、便利に測定され得る。
【0024】
二つの有利な実施例の各々において、層厚さセンサ装置は、好ましくは、ローラの表面上にある付加的な誘導センサを有し、この誘導センサは、共焦点センサ及び/又は容量センサに堅固に接続される。
【0025】
誘導センサは、誘導原理に従って動作し、ここでは、コイルのインダクタンスの変化が測定される。この目的のために、コイルが、交流電源に接続され回路を形成する。二つのコイル端の間の交流電圧を測定している間、交流電圧の大きさの変化によって、インダクタンスの対応する変化を推測することが可能になる。
【0026】
第一の変形例では、強磁性体材料、具体的には、軟鉄で形成されたコアを有するコイル(インダクタ)が、強磁性体材料で形成されたローラ、具体的には、スチール製ローラの表面の近くに配置される。このコアの一方の端部が、第一コイル端から突出し、コアの第二の端部が第二コイル端から突出する。コイルから突出する二つのコイルコア端部は、ローラ表面の近くに配置される。コイル(インダクタ)のインダクタンスは、コイル又はそのコアを貫通する磁束に依存する。仮に、各コイルコアとローラ表面との間の間隔、即ち、エアギャップが変化すると、コイルを貫通する磁束(コイルコアによって形成された磁気回路を貫通する環状磁束、コイルに向けられたローラ表面領域及び二つのエアギャップ)もそのように変わる
【0027】
第二の変形例では、その両端部がローラ表面に向けられたコイルが、導電性材料で形成されたローラ、具体的にはスチール製ローラの表面の近くに配置される。コイルは、導電性ローラ表面に渦電流を引き起こし、コイルに作用してそのインダクタンスを変化させる交番磁界を発生する。ローラが非強磁性体導電性材料から成る場合、コイルは減衰され、それによって、そのインダクタンスは低下される。ローラが、強磁性体導電性材料から成る場合、コイルは、逆向きに減衰され、それによって、インダクタンスは高くなる。コイルは、好ましくは、らせん巻きを有するフラットコイルであり、具体的には、非導電性フィルム材料上にらせん巻きがプリントされたコイルである。
【0028】
誘導センサから成る距離測定装置は、好ましくは、共焦点センサ及び/又は容量センサから成る層厚さ測定装置と平行に整列される。他の方法のうちで、これは、誘導センサのコイルと容量センサの電極とを同軸上に配置することによって、又は誘導線さのコイルと共焦点センサの色収差光学システム(第一光学システム)と同軸上に配置することによって達成され得る。
【0029】
他の特に有利な実施例では、層厚さセンサ装置は、ローラの表面上にNIRセンサを有する。
【0030】
この種のセンサは、特に、非導電性表面を有し、特に、セラミック材料から成るローラ上の材料の層厚さを測定するのに極めて適している。
【0031】
ローリングミルのローラが、好ましくは、セラミック材料から成るか、又は、ローラが、金属で形成されたコアをセラミック材料でコートしたものから成る。このような構造において、製品層内に十分に入るか、又は、製品層を貫通するNIR信号は、製品の層粒子によって主として反射される一方、同時に、実質的に非導電性のセラミック層によっては反射されない。
【0032】
この測定原理は、近赤外線(NIR、ほぼ1〜30μm)が、幾つかの波長の浸入度を有するという事実に基づいている。結果的に、ローラミルの複数のローラ上、特に第三ローラ上のバインダ又はポリマーマトリックス中の色素粒子又は他の個体粒子を分散させている間の典型的な層厚さは、NIR波によって実質的に完全に貫通され得る。製品層の個別分子(バインダ分子及び色素分子)によって反射されるNR光は、反射NIR光の全強度に付加され、従って、層の厚さに比例し、層を形成する材料の組成(レシピ)が動作中に一定のままであり、バインダマトリックスにおける固体の一定の部分に部分的に対応する。NIR層厚さセンサは、好ましくは、そのローラが金属ではなくセラミック材料で形成されており、従って、(少なくとも電子に対して)電気的に非伝導である本発明によるローリングミル内で使用される。非伝導材料から成るローラでは、容量センサ及び誘導センサの使用が実質的に不可能である。
【0033】
本発明によるローリングミルにおける上述した全てのセンサは、非接触である。
【0034】
製品表面からの距離
共焦点センサが、製品表面からの距離を測定する。上述したように、共焦点センサは、変化するスペクトル色を有する光スペクトルを放射する光源と、光収差を持った光学システムとを使用する。
共焦点センサの代わりとして、三角測量センサを使用することもでき、これは、好ましくは、単色レーザビームを使用する。
【0035】
製品層の厚さ
容量センサが、製品層の厚さを測定する。
容量センサの代わりとして、NIRセンサをこの目的のために使用することもでき、これは、まさに容量センサのように層厚さを直接測定することができる。
【0036】
金属ローラ表面からの距離
誘導センサは、金属ローラ表面からの距離を測定する。
本発明の目的は、請求項19の方法を使用することによって達成される。ここでは、本発明によるローリングミルが、粘着性材料を処理するために用いられ、特に、バインダ内に懸濁した固体粒子を粉末状にして均一に分配するために用いられ、層厚さセンサが、ローラ上で処理される粘着性材料の層厚さの値を測定する。
層厚さは、好ましくは、連続的に測定される。
層厚さセンサは、好ましくは、制御装置又は調整装置に、材料の層厚さの最新の測定値を供給する。
【0037】
本発明によるローリングミルの使用を伴う本発明による方法の有利な実施例では、測定された製品の層厚さが、制御処理における出力変数として用いられ、以下のパラメータの少なくとも一つが入力変数として用いられる。
・製品フィードトラフ内の材料充填レベル
・少なくとも一つのローラと他のローラとの間の接触圧力
・ローラ温度
・ローラ速度
・ローラ間のニップ幅
【0038】
本発明によるローリングミルの使用を伴う本発明による方法の他の有利な実施例では、測定された製品の層厚さが、制御処理中の出力変数として用いられ、以下のパラメータの少なくとも一つが入力変数として用いられる。
・製品フィードトラフ内の材料充填レベル
・第一ローラと第二ローラとの間の接触圧力
・第三ローラと第二ローラとの間の接触圧力
・第一ローラ温度
・第二ローラ温度
・第三ローラ温度
・第一ローラ速度
・第二ローラ速度
・第三ローラ速度
・第一ローラと第二ローラとの間のニップ幅
・第二ローラと第三ローラとの間のニップ幅
【0039】
本発明による方法を実行している間、調整処理は、連続的に実際の層厚さを測定し、測定した厚さを参照変数としての所望の層厚さと比較し、この比較の関数に従って、少なくとも一つの動作パラメータを制御された一つ又は複数の変数に合わせて変更することによって、それを所望の層厚さに近づけることを含む。
【0040】
本発明による方法では、層厚さは、一方で0.1mmの最大値に、他方で1μmの最小値に調整され得る。層厚さは、好ましくは、1μm〜0.1mmの範囲内に調整される。良好な分散結果が、この層厚さの範囲内で得られ得る。
【0041】
層厚さのためのこれらの限界条件に加えて、他の重要なパラメータのための限界条件が規定され得る。
【0042】
好ましくは、各ローラに対して、個別の温度枠(最小及び最大温度)が規定される。
【0043】
好ましくは、各ニップに対して、個別の圧力枠(最小及び最大接触圧力)が規定される。
【0044】
本発明によるローリングミルの使用を伴う本発明による方法の特に好ましい実施例では、以下の手順が付随する。
【0045】
・誘導センサが、層厚さセンサ装置の基準線と、ローラの金属接触面または金属面との間の距離を測定する。
・共焦点センサ及び/又は容量センサが、層厚さセンサ装置の基準線と、ローラ上の材料フィルムの表面との間の第二の距離を測定する。
・材料フィルムの層厚さが、第一距離及び第二距離に由来する差を用いて測定される。
【0046】
この手順では、ローラ表面からの距離(誘導センサ)と、製品表面からの距離(共焦点センサ、三角測量センサ又は容量センサ)との両方を測定し、ローリングミルにおける機械的及び幾何学的変化、例えば、ローラの膨張、ローラの振動、ローラの磨耗等による距離の変化を補償するという利点を提供する。このような減法を用いる方法により、このような生じる可能性がある任意の距離の変化と無関係に層厚さの値を得ることができる。
【0047】
層厚さセンサ装置は、好ましくは、ローリングミルの第三ローラに固定され、製品の層厚さが第三ローラ上で測定される。
【0048】
説明/定義
入力変数:入力変数は出力変数を制御する。
出力変数:出力変数は入力変数によって制御される。
参照変数:この場合、参照変数は、所望の層厚さである。
【0049】
オンライン層厚さ測定が、以下の手順で可能になる。
(1)オペレータが、所望の製品純度(fineness)を設定し、トリプルローリングミルの調整装置が、層厚さが所望の製品純度に対応するまで、接触圧とローラ温度を介してローリングミルの調整をし始める。その後、ローリングミルは、自動的に生産モードに切り替わる。必要に応じて、修正された製品承認が、これの最後に実行され得る。この目的のために第三ローラ上にリムーバルスクリューが用いられる。完全に自動化された動作が可能になる。加えて、生産及び試験(品質制御)の両方での人員削減が考えられる。
(2)オペレータは、層厚さ測定装置を介して層厚さを調整することによって、より簡単に、ローラ間を所望のニップ幅に設定することができる。オペレータは、ディスプレイされた第三ローラ上の実際の層厚さを見て、接触圧、ローラ温度及び必要に応じて機械的ギャップ設定を手動で変更することによって実際の層厚さを修正することができる。
(3)本発明による実験用ローリングミル及び本発明による生産用ローリングミルにおいて同一の層厚さを調整することによって、スケールアップが容易になる。
(4)オンライン測定データの測定が、恒久的で再現可能な品質の制御を可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸を中心に回転可能に設けられた少なくとも二つのローラを有する、粘着性物質を処理するための、特に、バインダ内に懸濁した固体粒子を粉末状に粉砕して均一に分配するためのローリングミルであって、
第一ローラの回転軸が固定されて設けられ、
第二ローラの回転軸が移動可能に設けられ、
少なくとも一方のローラを他方のローラに対して押圧するための少なくとも一つのプレス装置を備えた
ローリングミルにおいて、
ローラに、ローラ上の処理された粘着性物質の層厚さの値を測定するための少なくとも一つの層厚さセンサ装置が設けられている
ことを特徴とするローリングミル。
【請求項2】
層厚さセンサ装置が、層厚さの測定値をディスプレイするためのディスプレイ装置に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載のローリングミル。
【請求項3】
層厚さセンサ装置が、測定した測定データを処理するための測定データ処理装置に接続されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のローリングミル。
【請求項4】
制御装置を備えている
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のローリングミル。
【請求項5】
調整装置を備えている
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のローリングミル。
【請求項6】
制御装置が、ローリングミルの少なくとも一つの動作パラメータを制御し得る
ことを特徴とする請求項4又は5に記載のローリングミル。
【請求項7】
動作パラメータが、
・製品フィードトラフ内の材料充填レベル
・少なくとも一つのローラと他のローラとの間の接触圧力
・ローラ温度
・ローラ速度
・ローラ間ニップ幅
の少なくとも一つである
ことを特徴とする請求項6に記載のローリングミル。
【請求項8】
デュアルローリングミルである
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のローリングミル。
【請求項9】
第一ローラ、第二ローラ及び第三ローラを備えたトリプルローリングミルである
ことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のローリングミル。
【請求項10】
制御装置が、トリプルローリングミルの少なくとも一つの動作パラメータを制御し得る
ことを特徴とする請求項9に記載のローリングミル。
【請求項11】
動作パラメータが、
・製品フィードトラフ内の材料充填レベル
・第一ローラと第二ローラとの間の接触圧力
・第三ローラと第二ローラとの間の接触圧力
・第一ローラ温度
・第二ローラ温度
・第三ローラ温度
・第一ローラ速度
・第二ローラ速度
・第三ローラ速度
・第一ローラと第二ローラとの間のニップ幅
・第二ローラと第三ローラとの間のニップ幅
の少なくとも一つである
ことを特徴とする請求項10に記載のローリングミル。
【請求項12】
層厚さセンサ装置が、ローラの表面上に共焦点センサを有する
ことを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載のローリングミル。
【請求項13】
層厚さセンサ装置が、ローラの表面上に容量センサを有する
ことを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載のローリングミル。
【請求項14】
層厚さセンサ装置が、ローラの表面上に誘導センサを有し、該センサが、共焦点センサ及び/又は容量センサに堅固に接続されている
ことを特徴とする請求項12又は13に記載のローリングミル。
【請求項15】
誘導センサから成る距離測定装置が、共焦点センサ及び/又は容量センサから成る層厚さ測定装置に平行に整列されている
ことを特徴とする請求項14に記載のローリングミル。
【請求項16】
層厚さセンサ装置が、ローラの表面上にNIRセンサを有する
ことを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載のローリングミル。
【請求項17】
ローラがセラミック材料から成る
ことを特徴とする請求項1〜16の何れか一項、好ましくは、請求項16に記載のローリングミル。
【請求項18】
ローラが、金属で形成され、かつ、セラミック材料でコートされたコアを有する
ことを特徴とする請求項1〜16の何れか一項に記載のローリングミル。
【請求項19】
請求項1〜18の何れか一項に記載のローリングミルを使用して、
粘着性物質を処理するための、特に、バインダ内に懸濁した固体粒子を粉末状に粉砕して均一に分配するための方法であって、
層厚さセンサが、ローラ上の処理された粘着性物質の厚さの値を測定する
ことを特徴とする粘着性物質処理方法。
【請求項20】
層厚さが、連続的に測定される
ことを特徴とする請求項19に記載の処理方法。
【請求項21】
層厚さセンサ装置が、測定した現在の材料の層厚さを制御装置又は調整装置で利用可能にする
ことを特徴とする請求項19又は20に記載の処理方法。
【請求項22】
制御処理中、検出した製品の層厚さが出力変数であり、
入力変数が
・製品フィードトラフ内の材料充填レベル
・少なくとも一つのローラと他のローラとの間の接触圧力
・ローラ温度
・ローラ速度
・ローラ間ニップ幅
の少なくとも一つである
ことを特徴とする、特に、請求項7に記載のローリングミルを使用する請求項21に記載の処理方法。
【請求項23】
制御処理中、検出した製品の層厚さが出力変数であり、
入力変数が、
・製品フィードトラフ内の材料充填レベル
・第一ローラと第二ローラとの間の接触圧力
・第三ローラと第二ローラとの間の接触圧力
・第一ローラ温度
・第二ローラ温度
・第三ローラ温度
・第一ローラ速度
・第二ローラ速度
・第三ローラ速度
・第一ローラと第二ローラとの間のニップ幅
・第二ローラと第三ローラとの間のニップ幅
の少なくとも一つである
ことを特徴とする、特に、請求項11に記載のローリングミルを使用する請求項21に記載の処理方法。
【請求項24】
調整処理が、連続的に、実際の層厚さを測定し、測定した厚さを参照変数としての所望の層厚さと比較し、この比較の関数に従って、少なくとも一つの動作パラメータを操作された一つ又は複数の変数に合わせて変更することによって、それを所望の層厚さに近づけることを含む
ことを特徴とする請求項19〜23の何れか一項にきさいの処理方法。
【請求項25】
層厚さが、0.1mmの最大値に調整される
ことを特徴とする請求項19〜24の何れか一項に記載の処理方法。
【請求項26】
層厚さが、1μmの最小値に調整される
ことを特徴とする請求項19〜25の何れか一項に記載の処理方法。
【請求項27】
層厚さが、1μm〜0.1mmの範囲内で調整される
ことを特徴とする請求項19〜26の何れか一項に記載の処理方法。
【請求項28】
・誘導センサが、層厚さセンサ装置の基準線と、ローラの金属接触面又は金属面との間の距離を測定し、
・共焦点センサ及び/又は容量センサが、層厚さセンサ装置の基準線と、ローラ上の材料フィルムの表面との間の第二の距離を測定し、
・材料フィルムの層厚さが、第一距離及び第二距離に由来する差を用いて測定される
ことを特徴とする請求項14又は15に記載のローリングミルを使用する請求項19〜27の何れか一項に記載の処理方法。

【公表番号】特表2009−534169(P2009−534169A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505695(P2009−505695)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000161
【国際公開番号】WO2007/121596
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(502273074)ビユーラア アクチエンゲゼルシヤフト (5)
【Fターム(参考)】