説明

精神神経系障害の治療のための、医薬組成物並びにD−アミノ酸及び抗酸化物を利用する方法

本発明は、ビタミンE、ビタミンC、グルタチオンまたはこの前駆体からなる群から選択される抗酸化物と組合せて、D−アミノ酸を含んでなる経口投与のための医薬組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精神神経系障害を治療するための医薬組成物及び当該組成物を利用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
D−セリンは、天然に存在するアミノ酸であり、精神神経系障害の治療に有効であることと知られるが、げっ歯類へ投与された場合には、腎毒性を生じるかもしれないアミノ酸の1つのクラスである。脳では、D−セリンはN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)型グルタミン酸の調節物質(modulator)として機能する。D−セリンまたはNMDA神経伝達の欠乏は、統合失調症、アルツハイマー病、注意欠陥過活動性障害、自閉症、うつ病、及び運動性疾患を含む多発性精神神経系障害の病態生理の一因であるかもしれない(Javitt 2000; Tsai 2001)。従って、1mg〜100gの用量でのD−セリンの経口投与がこれらの疾患のための新規治療として機能するかもしれないことと提唱されてきた。D−セリン及び類似するD−アミノ酸の臨床上の使用は、げっ歯動物種で、特にラットで観察されてきた腎毒性に関する問題によって潜在的に制限されている。従って、D−セリンと一緒に経口で投与される場合に、腎毒性を防止する化合物が必要である。
【0003】
ラットで腎損傷を誘発するD−セリンの能力は、Kaltenbach等(1979)によって概説される。D−セリン誘発の腎毒性は、少なくとも1942年から実証され、当時ラットで胃管の側に投与されたDL−セリンの有害な作用がタンパク質及びビタミンBが欠乏する合成物質上で維持したことが注目された。それに続く研究では、ストックダイエット(stock diet)かまたはビタミンBが欠乏した食餌にセリンを添加した場合に、腎皮質及び髄質の接合部で観察される急性腎臓壊死が、100mgのDL−セリンの投与によって誘発されることが実証された。100gあたり5mgのD−セリンほどの少量の用量で確実に、病変が常時生成された。徹底的な研究にもかかわらず、経口投与されたD−セリンが腎毒性を誘発するメカニズムは依然として活発に研究が行われている分野である。
【0004】
D−セリン及び他の関連するアミノ酸によって誘発される腎毒性は、経口のまたは静脈内投与の後にラットの腎臓の尿細管の線状断片の壊死等の皮髄の病変を特徴とする。腎毒性の重症度は、クレアチニン及びBUNの血清レベルの評価によって測定することができる(Orozco-lbarra et al 2007)。同様の腎毒性はD−2,3−アミノプロピオン酸(DAPA)を含むD−セリンと構造的に同類の化合物によって誘発されうる(Kaltenbach et al 1979)。
【0005】
Wachstein等は、Kaltenbach等によって論じられたように、経口投与されたDL−セリン(100mg)の効果を逆転させる様々な化合物の能力を研究した(Kaltenbach et al 1982)。全ての場合において、試験化合物は皮下に或いは筋肉内に投与された。これらの研究により、ラットにおいてDL−メチオニンまたはグルタチオン(GSH)をD−セリンと同時に注入する場合に腎毒性を防止するので、DL−セリンの腎臓への毒性効果がこれらによって阻害され得ることが示された。毒性の部分的なまたは全体的な防止を示す他の化合物には、グリシン、DL−トレオニン、グリコール酸及び乳酸ナトリウムが含まれる。しかしながら、以下の他の化合物は、比較的無効であり、これらにはL−システイン、チオグリコール酸ナトリウム、2,3ジチオプロパノール(BAL)、DL−α−アラニン、L−ヒスチジン、L−アルギニン、DL−バリン、酪酸、D−グルコース、塩化ナトリウム、及び酢酸ナトリウムが含有される。これらの化合物の有益な効果は、D−異性体の尿細管再吸収の抑制によるものであると仮定された。
【0006】
その後の研究で、D−アラニン、D−トレオニン、D−ホモセリン、DL−α−メチルセリン、β−ヒドロキシ−DL−ロイシン、及びα−アミノイソ酪酸の顕著な防止効果が実証された。Wachsteinなどの場合では、D−セリンの投与に先立って、全ての化合物は注射によって投与された(Kaltenbach et al 1982)。最近になり、α−アミノイソ酪酸(AIB)の防止効果が確認されている。この化合物がD−セリンの尿細管細胞内への摂取を阻害し、その結果、この腎臓への毒性作用を制限していると仮定されている(Krug et al 2007)。
【0007】
一般的に、D−セリンの腎臓への毒性作用は、活性酸素種、例えば過酸化物等を解離するD−アミノ酸オキシダーゼ(DAAO)による代謝に起因すると考えられている(Krug et al 2007; Maekawa et al 2005; Williams and Lock 2005)。この理論は、DAAOに欠けるラットではD−セリンは腎毒性がなく(Maekawa et al 2005)、そしてD−セリンと等モルのグルタチオンの腎内注入によって(Krug et al 2007)または多量用量の安息香酸ナトリウムの腹腔内投与によって毒性が阻害され得る、という見解によって支持されている(Williams and Lock 2005)。しかしながら、D−セリンの注入後に、ラットの腎臓で増加される活性酸素種または過酸化物マーカーの検出に失敗したこの理論は、最近の研究によって疑われている。さらに、抗酸化作用を有する化合物の中にD−セリンの腎毒性を防止できなかったものがある(Orozco-lbarra et al 2007)。従って、腎毒性に関しては酸化ストレス単独では不十分なモデルかもしれない、ということをこの文献から結論付けることができるだけでなく、この文献はまた、実際に一定の抗酸化物がD−アミノ酸と一緒に投与された場合に腎毒性の危険性を低減することについて効果的であるという、本発明の発見とは明らかに離れた教示を構成する。
【発明の概要】
【0008】
従って、本発明は、化合物N−アセチルシステイン及びL−システインを含む経口投与されたグルタチオン(GSH)の前駆体が、アミノ酸D−セリンによって誘発される腎毒性を防止するという発見に由来する。本発明は、腎毒性の危険性を最小限に抑えるD−セリンまたは同様のアミノ酸の経口投与に関する方法を提供する。従ってこの製剤は、精神神経系または他の医学的疾患のための薬剤として、D−セリンまたは他のアミノ酸の単独使用において、重要な、臨床上有用な改良を示す。
【0009】
一般的に、D−アミノ酸、そして特にD−セリンは、統合失調症、運動性疾患、認知機能障害、記憶障害及び注意障害を含む様々な精神神経系疾患において、適当な治療法と考えられている。しかしながら、これらの化合物の臨床状況における使用は、腎毒性によって潜在的に制限されている。動物の研究において、静脈内または腹腔内のグルタチオン投与が、D−セリンによって誘発される毒性を制限することが示されている。しかしながら、非経口経路の投与は臨床治療には適さず、代替的アプローチが必要である。経口のNAC投与は広く、特にアセトアミノフェン投与後に使用されている肝毒性のための治療であり(Amirzadeh and McCotter 2002; Betten et al 2007)、大抵の場合静脈内NACと同様に効果的である(Kanter 2006)。しかしながら、経口NACまたは他のグルタチオン前駆体は、各種の造影剤を含む薬剤及び化学療法によって誘発される腎毒性について効果的な治療であることは示されていない。D−セリンの腎毒性に対抗するかもしれない治療の徹底的な研究にもかかわらず、経口のNACまたは他のグルタチオン前駆体はヒトまたは動物モデルにおいてD−セリン誘発腎毒性に対して以前に調べられていない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明には、この中の及びこの後の実施例で見られるように、NAC及びL−システインの組合せ(群B及びC)の方が、いずれかの薬剤単独のもの(群D及びE)よりも優れていることを示す証拠がある。今回示す併用治療の使用を以前に示した者はおらず、そして認められる相乗効果は予想外の発見である。
【0011】
さらに、出願人が判断できる限りにおいて、一般的発明を導く当該研究は、L−システインとの組合せでのNACを評価するための最初の研究であった。しかしながら、本実施例で認められるNAC及びL−システイン双方の有効性は、Dilger及びBaker(2007)によって仮定されたような、NACはL−システインを門脈循環に供給することにより大きく機能する、という考えと一致する。
【0012】
より詳細には、本発明によれば、今回、ビタミンE、ビタミンC、グルタチオンまたはこの前駆体からなる群から選択される抗酸化物と組合される、D−アミノ酸を含んでなる経口投与のための医薬組成物が提供される。
本発明の好適な実施形態では、D−アミノ酸がD−セリン、D−アラニン、D−システイン、D−ホモシステイン、またはD−トレオニンからなる群から選択される。
【0013】
本発明の好適な実施形態では、抗酸化物はグルタチオンまたはこの前駆体である。
本発明の他の好適な実施形態では、グルタチオン前駆体はL−システインまたはN−アセチル−L−システイン及びこれらのラセミ体或いはこれらの組合せからなる群から選択される。
本発明の他の好適な実施形態では、抗酸化物はビタミンEであり、一方で他の好適な実施形態では抗酸化物はビタミンCである。
好適には、D−アミノ酸及び抗酸化物は1:10〜10:1の間のモル比で存在する。
【0014】
本発明の他の態様では、上に定義する医薬組成物を投与することを含んでなる、減弱されたNMDAの神経伝達によって特徴付けられる精神神経系障害を治療するための方法が供される。
本発明の好適な実施形態では、精神神経系障害は統合失調症、統合失調症様障害、精神障害NOS、または統合失調症の前駆症状である。
本発明の好適な実施形態では、精神神経系障害はアルツハイマー病である。
本発明はまた、減弱されたNMDAの神経伝達を特徴とする精神神経系障害を患者で治療するための方法を供し、当該方法は、精神神経系障害に罹患していると診断された患者に、ビタミンE、ビタミンC、グルタチオンまたはこの前駆体からなる群から選択される抗酸化物と組合され、治療効果のある量のD−アミノ酸を含んでなる経口医薬組成物を投与することを含んでなる。
【0015】
グルタチオン前駆体として機能しそして肝臓を保護する、経口で活性を有する化合物が記載されてきた。特に、N−アセチルシステイン(NAC)は、アセトアミノフェン-誘発の肝毒性の治療用に(Atkuri et al 2007)、そしてまたグルタチオン欠乏症を治療するために現在認可されているグルタチオンプロドラッグである。NACはまた、多様な薬剤、特に静脈内造影剤によって誘発される腎毒性のための潜在的な治療として評価されてきた(Stacul et al 2006)。しかしながら、現在のところ、D−セリンまたは他の潜在的に腎毒性のある薬剤に反応して、腎臓への酸化障害を防止する経口治療は知られていない。
【0016】
静脈内に投与されるNACの腎毒性に対する有効性は繰り返し示されてきたにもかかわらず(Briguori et al 2007; Recio-Mayoral et al 2007)、経口でNACを使用する同様の研究では、静脈内造影に起因する腎毒性の遮断のための水和のみを超える利点は確認されていない(Azmus et al 2005; Goldenberg et al 2004; Lawlor et al 2007; Sandhu et al 2006; Shalansky et al 2005)。静脈内のNACは効果的であったにもかかわらず、ラットでの以前の研究においてもまた、シスプラチンによって誘発される実験的な腎毒性に対する経口でのNACの有益な効果は確認されていない(Dickey et al 2007)。さらに、ラットでの急性のまたは慢性の経口投与の後の腎臓のNACレベルは増加しないことが、そしてNAC単独は酸化ストレスを悪化させるかもしれないことが以前に報告されている(Arfsten et al 2007)。他のシステインプロドラッグもまた無効であることが示されている(Li et al 2002)。しかしながら、注目すべきことに今日まで、インビボ(in vivo)においてD−セリン誘発の腎毒性への、経口投与されたグルタチオン前駆体の効果、あるいは組合されて投与されるN−アセチルシステイン及び他のグルタチオン前駆体の効果、を調査した研究はない。
【0017】
本発明はさらに、D−アミノ酸誘発の腎毒性のための前治療とは、D−セリン誘発の腎毒性の軽減のためにN−アセチルシステイン及びL−システインの静脈内投与よりもむしろ経口投与が使用され、そして個々の前駆体単独の投与よりもむしろグルタチオン前駆体の組合せが利用される、という点で識別される。この分野において60年以上研究がされているにもかかわらず、先の研究で経口のグルタチオン前駆体または他の抗酸化物、例えばビタミンEまたはビタミンC等の、D−アミノ酸誘発の毒性に対する使用を調べたものはない。
【0018】
本発明は、経口のD−アミノ酸のヒトへの投与が認容される場合に腎毒性のリスク軽減を有し有効である。D−アミノ酸、特にD−セリンは、精神神経系障害の治療のために効果的であることが証明されている。従って、本発明は精神神経系障害のための改良された方法を提供する。本発明の他の特徴及び効果は、以下の詳細な説明及び請求項から明らかとなる。
【0019】
定義
ここで使用する用語アミノ酸は、アミノ酸はアミン及びカルボキシル官能基どちらも含む分子であることを意味する。生化学では、この用語は一般式H2NCHRCOOHを有するαアミノ酸を示し、式中Rは有機置換基である。αアミノ酸において、アミノ及びカルボキシレート基は同一の炭素に結合し、この炭素はα炭素と呼ばれる。αアミノ酸は様々に相違し、式中側鎖(R基)はこれらのα炭素に結合する。これらは、サイズの点で、単にグリシン中の水素原子から、アラニン中のメチル基を含め、トリプトファン中の大きな複素環基まで変化することができる。
【0020】
ここで使用する用語抗酸化物は、他の分子の酸化を遅らせるまたは防止することができる分子を意味する。酸化は、物質から酸化剤へ電子を移動する化学反応である。酸化反応は、細胞を損傷する連鎖反応を開始する、フリーラジカルを産生する可能性がある。抗酸化物は、フリーラジカル中間体を除去することによってこれらの連鎖反応を終結し、そしてこれら自体が酸化されることによって他の酸化反応を抑制する。抗酸化物の例としては、グルタチオン、ビタミンC及びビタミンEを含む。用語ビタミンCは、L−アスコルビン酸及び関連分子を意味する。用語ビタミンEは、栄養上ビタミンE活性を有する2種類の分子(トコフェロール及びトコトリエノール)に関する一般名を意味する。
【0021】
ここで使用する用語「精神神経系障害」は、減弱されたNMDAの受容体介在性の神経伝達の病態生理学的な成分を有する疾患を意味する。このような疾患の例には、統合失調症、アルツハイマー病、自閉症、うつ病、良性健忘症、幼児期学習障害、閉鎖性頭部外傷、及び注意欠陥障害が含まれる。
【0022】
ここで使用する用語「統合失調症」は、少なくとも以下の2つを含む精神疾患を意味する: 妄想、幻覚、まとまりのない会話、酷く解体した行動若しくは緊張病性行動、または陰性症状。ここで使用する用語「統合失調症様障害」は、次の2つの相違点を除いて統合失調症の症状と一致する、精神疾患を意味する: 疾病の全持続時間(前駆期、活動期、及び残遺期を含む)が、少なくとも1ヶ月以上6ヶ月未満であり、そして疾病のある期間に社会的機能障害または職業上機能障害は(おそらく生じるにもかかわらず)必須ではない。ここで使用する用語「精神障害NOS」は、精神障害であってしかしながら統合失調症または統合失調症様障害の基準を満たしていない精神障害を含んでなる精神疾患を意味する。DSM−IV診断基準を使用しながら、患者に、統合失調症、統合失調症様障害または精神障害NOSであると診断することができる(APA, 1994, Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (Fourth Edition), Washington, D.C.)。用語「統合失調症の前駆症状」は、減弱された形で統合失調症の症状が現れ、つまり統合失調症のための数多くの診断基準は存在しない状態を意味する。
【0023】
ここで使用する用語「アルツハイマー病」は、中年後期の記憶喪失、混乱及び失見当識の初期、及び典型的に5〜10年以内に死に至ることが認められる、進行性の精神機能の低下を意味する。病理上、アルツハイマー病は、細胞内神経原線維の肥大、膠着反応、及び歪曲、神経原線維のもつれ、並びにアミロイドコア(amyloid core)を有する顆粒状または線維状の銀親和性(argentophilic)腫瘤で構成される老人斑を特徴とすることができる。アルツハイマー病を診断するための方法は、当技術分野で周知である。例えば、米国国立神経疾患及び伝達障害研究所並びに脳卒中-アルツハイマー病及びアルツハイマー病並びに関連疾患協会(NINCDS-ADRDA)の診断基準は、アルツハイマー病を診断するために使用することができる(McKhann et al., 1984, Neurology 34:939-944)。
【0024】
患者の認知機能は、アルツハイマー病評価尺度認知機能下位尺度によって評価することができる(ADAS-cog; Rosen et al., 1984, Am. J. Psychiatry 141 :1356- 1364)。
【0025】
ここで使用する用語「自閉症」は、病的な自己陶酔、社会性不全(social failure)、言語発達遅滞、及び常同行動を特徴とする精神の内向性状態を意味する。DSM−IV診断基準を使用して、患者に自閉症に罹患していると診断することができる。
【0026】
ここで使用する用語「うつ病」は、持続的な悲愴気分または活動への興味喪失を含む臨床的な症候群を示し、これは治療しない場合には少なくとも2週間持続する。DSM−IV診断基準はうつ病に罹患していると患者を診断するために使用することができる。
【0027】
ここで使用する用語「良性健忘症」は、一旦登録した、学習した、及び記録に蓄積した情報を思い出すまたは想起することができない軽度の傾向を意味する(例えば、どこに自分の鍵を置いたか或いは自分の車を駐車したかを思い出すことができないこと)。良性健忘症は、典型的には40才以降に発症し、そして標準的な評価、例えばウェクスラー記録検査等の手段によって認知することができる(Russell, 1975, J. Consult Clin. Psychol. 43:800-809)。
【0028】
ここで使用する用語「幼児期学習障害」は、一定の子供が経験する低下した学習能力を意味する。このような学習障害は、DSM−IV診断基準を使用することによって診断することができる。
【0029】
ここで使用する用語「閉鎖性頭部損傷」は、頭部損傷または心的外傷後の、症状が認知及び記憶障害を特徴とすることができる臨床症状を意味する。このような症状は、DSM−IVに従って「全身病状に起因する健忘障害」と診断することができる。
【0030】
ここで使用する用語「注意欠陥障害」は、幼児に最も通常生じる疾患でありそして増大した運動活性及び減少した注意持続時間を特徴とすることができる疾患を意味する。DSM−IV診断基準は、注意欠陥障害を診断するために使用することができる。
【0031】
ここで使用する用語「D−セリン」及び「D−アラニン」は、アミノ酸のセリン及びアラニンのD異性体をそれぞれ意味する。これらのアミノ酸はL異性体よりもD異性体の方が、タンパク質中に自然に見られない。
ここで使用する用語「腎毒性(nephrotoxicity)」或いは「腎毒性(renal toxicity)」は、腎臓への薬物誘発の障害そして、特に、尿細管の壊死を意味する。このような損傷は、アミノグリコシド、シスプラチン、静脈内の造影剤、及びD−アミノ酸を含む多くの腎毒性薬剤のいずれかによって生じるかもしれない。
【0032】
ここで使用する用語「医薬品治療」は、いずれかの薬理活性のある薬剤、栄養製品、微量栄養素、或いは精神神経系障害の症状を緩和するために使用される、現在認可されているかまたはされていない他の薬剤を意味する。このような治療は、数日間、数週間、数ヶ月間、数年間または個人の生涯を通じて単回投与でまたは反復投与で使用することができる。
【0033】
ここで使用する用語「グルタチオン」及び「GSH」は、アミノ酸L−システイン、L−グルタミン酸及びグリシンを含んでなるトリペプチドを意味する。これは、システインのアミン基及びグルタミン酸側鎖のカルボキシル基間の独特のペプチド結合を含有する。これはまず、化合物γ−グルタミルシステインを形成するために、L−グルタミン酸及びL−システインの結合によって合成され、その後、グルタチオントリペプチドを形成するために、グリシンをγ−グルタミルシステインのC−末端へ付加する。N−アセチルシステイン(NAC)は、米国で医薬的用途のために認可されているアミノ酸L−システインのN−アセチル化型である。用語「グルタチオン前駆体」は、グルタチオン合成に関与するアミノ酸または中間体、或いはこのような薬剤と容易に相互変化する化合物を意味する。
【0034】
これから、本発明の態様を十分に理解しそして真価を認めることができるように、以下の実施例において一定の好適な実施形態と関連して本発明を記載するが、本発明をこれらの特定の実施形態に限定することを意図するものではない。それとは逆に、添付の請求項によって定義付けられる本発明の範囲内に含むことができるあらゆる代替、変更及び等価物を網羅することを意図する。従って、当然のことながら、この特徴は、実施例によってそして本発明の好適な実施形態の例示的な考察の目的のためだけに示され、そして本発明の製剤方法並びに趣旨及び概念的な態様の最も有用でかつ容易に理解される記載と考えられるものを提供するために提示するので、好適な実施形態を含む以下の実施例はこの発明の実施を説明するのに役立つであろう。
【実施例】
【0035】
以下の実施例は、経口投与されたグルタチオン前駆体が、経口投与されたD−セリンの腎臓への毒性作用を最小限に抑えるためにどのように使用され得るのかを説明する。対象はスプラーグドーリーラット(Sprague Dawley rats)からなり、D−セリンの腎臓への毒性作用に対して敏感なことが知られている。ラットを、各々4匹のオス及び4匹のメスである5つの別個の群に分けた。群は標準飼料に加え、経口胃管栄養法による以下の処置を施した:
【0036】
群A: D−セリン単独;
群B: 4:3:1の割合で、D−セリン、L−システイン及びN−アセチルシステイン;
群C: 2:1:1の割合で、D−セリン、L−システイン及びN−アセチルシステイン;
群D: 1:0:1の割合で、D−セリン、L−システイン及びN−アセチルシステイン;
及び群E: 1:1:0の割合で、D−セリン、L−システイン及びN−アセチルシステイン。
【0037】
さらに、コントロール群には標準飼料のみ与えた。化合物A、B、C、D及びEを、用量50mg/kg、100mg/kg、200mg/kg及び400mg/kg 体重 及び用量容積5ml/kg で単回の経口胃管栄養法によって投与した。個々の用量の効果を50mg/kgを始めとする逐次的方法で調べた。用量レベルを4用量まで3日ごとに倍増させた(50mg、100mg、200mg及び400mg)。
【0038】
実験中、いずれの群でも著しく高い死亡率は認められなかった。実験終了まで全ての動物が生存した。さらに、全ての動物で用量400mg/kgまで臨床的異常がなかった。
腎毒性を2つの方法で評価した: 1つ目、クレアチニンレベルによって、そして2つ目、剖検での病理組織診断によって。
【0039】
D−セリン処置の間のクレアチニンレベルを表1に示す。慢性処置の間、コントロール群及びD−セリン単独の群いずれもクレアチニンレベルで著しい増加を示し、これは群B及びCと同様であるが、群D(D-セリン + N-アセチルシステイン)及びE(D-セリン + L-システイン)では著しい増加を示さなかった。全ての実験群(群B-E)に関して、併用処置での処置中のクレアチニンの増加度は、D−セリン単独処置中よりも著しく少なかった。さらに、群D及びEどちらに関しても、クレアチニンレベルの増加度は、コントロール群に関するものよりも顕著に小さかった。処置中のクレアチニン増加度は、群D及びEで小さく、そしてこれらの2つの処置間で顕著な差はなかった。この実験結果は、単独または組合せでのL−システイン及びNACが、D−セリン処置単独によって見られるクレアチニン増加レベルを顕著に低下させることを示す。
【0040】
【表1】

【0041】
D−セリン単独或いはL−システインまたはN−アセチルシステインとの組合せでのD−セリンの潜在的な腎臓への毒性作用はまた、剖検での組織病理学検査によって評価した。コントロール動物の腎臓切片と比較した場合に、この実験における腎臓切片から初期の尿細管ネフローゼ変化、特に髄質及び皮髄境界部の尿細管構造に関与するこれらの変化の特徴が示され、試験化合物によって誘発される初期の腎毒性変化を示している。各化合物の尿細管ネフローゼの平均重症度を表2に示し、D−セリン単独の群は1.91の平均ネフローゼ度(軽度)を示している。D−セリン及びL−システインのみの組合せ(群D)またはD−セリン及びN−アセチルシステインのみの組合せ(群E)でのネフローゼ度は、D−セリン単独(群A)よりもわずかに高いだけにもかかわらず、D−セリン、L−システイン及びN−アセチルシステインの4:3:1(群B)及び2:1 :1(群C)の組合せはどちらもD−セリン単独と比較してネフローゼ度の減少を示した。
【0042】
要約すると、これらの発見は、D−セリン: L−システイン: N−アセチルシステインの2:1:1の割合により、クレアチニン上昇の減少、及び腎毒性対D−セリン単独の組織病理学的な少ない証拠もまた生じ、従ってこの割合のものは好ましい経口製剤であることを示す。他の組合せもまたいずれのアッセイでも顕著な劣等性はなく、クレアチニンか或いは水腎症のアッセイで優位性を示し、従ってこの発明の実施形態としても使用し得る。
【0043】
【表2】

【0044】
詳細な説明
本発明は、経口で活性を有する抗酸化物と組合せてD−アミノ酸を含有する組成物を含んでなる、D−アミノ酸での経口治療の間に、腎毒性の危険性を軽減するための方法を記載する。本発明はまた、NMDA受容体を経由した神経伝達の欠如を有する精神神経系障害に罹患している、と診断されD−セリンの治療が望ましいかもしれない患者を治療するための改善された方法を記載する。本発明は、D−セリンでの治療の間の腎毒性の危険性、或いは他の精神神経系疾病を軽減する効果を有する。
【0045】
本発明の治療方法は、精神神経系障害があると診断された患者への、経口医薬組成物の投与を伴い、組成物は治療効果のある量の(i)D−セリンを含むがこれに限定されないD−アミノ酸、及び(ii)グルタチオン、N−アセチルシステイン、L−システインまたはグルタチオン前駆体を含むがこれに限定されない、経口で効果のある抗酸化物、を含有する。D−アミノ酸、グルタチオン及びグルタチオン前駆体は市販されている(例えば、Sigma Chemicals, St. Louis, MO)。
【0046】
主として、この発明では、抗酸化物はD−アミノ酸と10:1〜1:10のモル比で与えられ、好適な実施形態は比率4:1〜1:1を有する。主として、D−アミノ酸は用量1g/d〜100g/dで与えられる。従って、本発明の典型的な実施は、8gのD−セリン及び2gのN−アセチルシステイン、L−システインまたはこれらの組合せからなる製剤を1日に1〜3回に分けた用量で投与することであろう。本発明の全ての方法において、グルタチオンまたはグルタチオン前駆体は抗酸化物のビタミンEまたはビタミンCと組合せるまたは取り替えることができる。
【0047】
本発明の全ての方法において、NAC、L−システインまたは他のNAC前駆体と組合されたD−アミノ酸の適当な用量は、疾患の改善または抑制の兆候について患者をモニターすること、並びに所望の治療の用量及び/又は頻度を増加または減少することによって、医薬分野の当業者によって容易に決定することができる。
【0048】
医薬組成物は、静脈内また筋内以外の、例えば経口、経粘膜(例えば、経鼻の、膣内の、等)、肺、経皮、眼性、バッカル、または舌下等のいずれかの経路、またはこれらの組合せによって患者に投与することができる。経口投与のための固体組成物は、好適な担体または賦形剤、例えばコーンスターチ、ゼラチン、ラクトース、スクロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、二リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、脂質、アルギン酸、または制御された持続放出用成分等を含有することができる。使用することができる崩壊剤には、微結晶性セルロース、コーンスターチ、グリコール酸でん粉ナトリウム及びアルギン酸が含有されるが、これらに限定されない。使用できる錠剤の結合剤には、アカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、デンプン、及びエチルセルロースが含有されるが、これらに限定されない。
【0049】
水または他の水性媒体中で調製される、経口投与のための液状組成物には、溶液、エマルジョン、シロップ、及びエリキシル剤が含まれるが、これらには活性化合物と一緒に、湿潤剤、甘味料、着色剤、及び香味料が含有される。様々な液体及び粉体組成物は、治療される患者の肺の中への吸入のために、慣習的な方法によって調整することができる。
あるいは、医薬組成物を、チューイングガム、棒付キャンディー等として製剤化することができる。
【0050】
本発明は上述の具体的な実施形態の詳細に限定されず、そして本発明はこれらの本質的な特性から逸脱することなく他の特定の形態で具現化してよく、従って本実施形態及び実施例は、あらゆる点で上述の記載よりもむしろ添付の請求項についてされる実例的であり且つ限定的でない言及としてみなされることが望まれ、従って請求項の等価物の意味及び範囲内で生じる全ての変更はこれらに包含されることを意味することは、当業者にとって明らかであるだろう。
【0051】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビタミンE、ビタミンC、グルタチオンまたはこれらの前駆体からなる群から選択される抗酸化物と組合せて、D−アミノ酸を含んでなる経口投与のための医薬組成物。
【請求項2】
前記D−アミノ酸が、D−セリン、D−アラニン、D−システイン、D−ホモシステイン、またはD−トレオニンからなる群から選択される、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記抗酸化物がグルタチオンまたはこの前駆体である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記グルタチオン前駆体が、L−システインまたはN−アセチル−L−システイン及びこれらのラセミ体或いはこれらの組合せからなる群から選択される、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記抗酸化物がビタミンEである、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記抗酸化物がビタミンCである、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記D−アミノ酸及び抗酸化物が1:10〜10:1の間のモル比で存在する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項8】
減弱されたNMDA神経伝達を特徴とする精神神経系障害を治療するための方法であって、請求項1記載の医薬組成物を投与することを含んでなる方法。
【請求項9】
前記精神神経系障害が、統合失調症、統合失調症様障害、精神障害NOS、または統合失調症の前駆症状である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記精神神経系障害がアルツハイマー病である、請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記精神神経系障害が自閉症である、請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記精神神経系障害がうつ病である、請求項8記載の方法。
【請求項13】
前記精神神経系障害が良性健忘症である、請求項8記載の方法。
【請求項14】
前記精神神経系障害が幼児期学習障害である、請求項8記載の方法。
【請求項15】
前記精神神経系障害が注意欠陥障害である、請求項8記載の方法。
【請求項16】
前記精神神経系障害が閉鎖性頭部外傷である、請求項8記載の方法。
【請求項17】
前記精神神経系障害が運動性疾患である、請求項8記載の方法。
【請求項18】
前記運動性疾患がパーキンソン病、ハンチントン舞踏病、ウィルソン病、トゥレット症候群、チック障害、または強迫性障害である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
患者における、減弱されたNMDA神経伝達を特徴とする精神神経系障害を治療するための方法であって、ビタミンE、ビタミンC、グルタチオンまたはこの前駆体からなる群から選択される抗酸化物と組合された、D−アミノ酸の治療上有効量を含んでなる経口医薬組成物を、精神神経系障害に罹患していると診断された患者へ投与することを含んでなる方法。

【公表番号】特表2011−509286(P2011−509286A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541882(P2010−541882)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際出願番号】PCT/IL2009/000008
【国際公開番号】WO2009/087615
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(510191137)アミノ アシッド ソリューションズ インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】