説明

精算システム

【課題】 客に対してより多くの利益を提供することを可能とするとともに、効率的に客数を増加させ、さらに時間帯や曜日による売上高や客数の格差を解消することができる精算システムを提供すること。
【解決手段】 入力装置と、記憶装置とを有する精算システムであって、精算時に、客単価データと来店日時データとが対応付けられた売上データを生成し、それに基づいて、所定の時間帯ごとの来店動向を示す来店動向データを生成し、値引き券の使用を要求する指示が上記入力装置に入力された時刻に対応する来店動向データが示す来店動向が予め定められた値引き条件を満たす場合、上記値引き券に予め定められた値引き値より大きい値引き値に基づいて、精算を行うことを特徴とする精算システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小売店等で顧客に対し値引等のサービスを提供するために用いられる精算システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の小売店、又は、ファストフード等の外食店等(以下、店舗ともいう)は、所謂値引券を、サービスとして顧客に配布することがある。顧客は、来店時に値引券を提示することによって通常の場合よりも安い価格で商品を購入することができる。
このような値引券の配布は、顧客の来店意欲を高め、客数を増加させることを目的に行われる。
【0003】
しかしながら、このような値引券を配布した場合、配布した直後に一時的に客数が増加しても、継続的な客数増には繋がりにくいという問題があった。また、値引券の回収という顧客の情報を獲得することができる絶好の機会を、店舗が充分に活用することができないという問題があった。
【0004】
このような問題を解決すべく、従来、例えば、配布先の顧客に関するデータが印刷され得るクーポン等を備えた郵送用シートが存在する(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の郵送用シートによれば、顧客が提示したクーポンからデータを読み取ることにより、顧客データの収集が可能になるため、店舗は、顧客データを活用して継続的な客数増を図ることができる。また、顧客のポイントカードがクーポン券発行機に装填された日時を顧客の来店状況データとして記憶し、来店状況データに基づいて月間来店回数別等に顧客を集計するシステムが存在する(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−36757号公報
【特許文献2】特開2000−76552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、店舗においては、通常、一日又は一週間の中で、常に同程度の数の顧客がコンスタントに来店するということは殆ど無く、多数の顧客が来店する時間帯又は曜日(以下、繁忙時ともいう)と、少数の顧客しか来店しない時間帯又は曜日(以下、閑散時ともいう)とが存在することが一般的である。
店舗経営者が店舗の客数を増加させようとする場合、繁忙時の客数をさらに増加させようとすると、店舗の売り場面積の拡大や店舗人員の増加が必要となる為、多額の投資が必要となる。従って、閑散時の客数を増加させる方が、低コストでの客数増を達成することができる。また、繁忙時と閑散時との間の客数差を縮めることにより、無駄な人員配置を減らし、店舗運営の効率を向上させるとともに、顧客に提供するサービスや商品の質を安定させることができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の郵送用シートによれば、継続的な客数増を図ることができるものの、時間帯間の客数の格差を縮めることができないという問題があった。
また、特許文献2に記載のシステムによれば、来店状況データに基づいて、繁忙時や閑散時がどの時間帯なのかを把握することは可能であるが、直接的にその動向に変化をもたらすことができないという問題があった。
【0007】
また、値引券を配布する場合、その値引額又は値引率(以下、値引額等ともいう)は、使用する時間帯や曜日によらず一定であるため、値引額等にあまり高い数値を設定すると、店舗の利益を圧迫してしまうおそれがあった。しかし、値引額等が低ければ、顧客の来店意欲は然程高まらないという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、客に対してより多くの利益を提供することを可能とするとともに、効率的に客数を増加させ、さらに時間帯や曜日による売上高や客数の格差を解消することができる精算システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は、以下のようなものを提供する。
(1) ユーザによって操作される入力装置と、記憶装置とを有する精算システムであって、
精算時に、客単価データと来店日時データとが対応付けられた売上データを生成し、上記記憶装置内の売上データファイルに格納する手段と、
上記売上データファイルに格納された売上データに基づいて、所定の時間帯ごとの来店動向を示す来店動向データを生成し、上記記憶装置内に記憶する手段と、
値引券の使用を要求する指示が上記入力装置に入力された指示入力時刻に対応する来店動向データが示す来店動向が予め定められた値引条件を満たしている場合に、上記値引券に予め定められた値引値より大きい値引値を設定する一方、上記来店動向データが示す来店動向が上記値引条件を満たさない場合には、上記値引券に予め定められた値引値を設定する値引値設定手段と、
上記値引値設定手段により設定された値引値に基づいて、精算を行う精算手段と
を備えたことを特徴とする精算システム。
【0010】
(1)の発明によれば、値引券の使用を要求する指示が入力装置に入力されたとき、指示入力時刻に対応する来店動向データが示す来店動向(例えば売上高や客数)が、予め定められた値引条件(例えば、売上高が所定額以下であること、客数が所定数以下であること)を満たす場合には、値引券に予め定められた値引値(例えば、値引率や値引額)より大きい値引値を設定する。従って、指示入力時刻が、客数の少ない時間帯に属していたり、売上高の少ない時間帯に属していたりする場合には、他の時間帯に値引券が使用された場合よりも、値引する金額が多くなるため、客の満足度を高めることができる。さらに、客に対して多額の値引を期待させることができ、通常では売上高や客数の少ない時間帯に客が来店するように促すことができる。それによって、効率的に客数を増加させ、さらに時間帯や曜日による売上高や客数の格差を解消することが可能となる。また、閑散時に限定して値引額等を高めることで、客は値引額等の増加に対してお値打ち感を感じ、しかも一律に値引額等を増加させる場合よりも、店舗は利益を減らさずにすむことが可能になる。
【0011】
さらに本発明は、以下のようなものを提供する。
(2) 上記(1)の精算システムであって、
画像の表示が可能な表示装置を有し、
上記値引値設定手段により設定された値引値により生じる利益額を示す画像を、上記表示装置に表示する表示制御手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
(2)の発明によれば、通常よりも多額の値引がなされたこと、及び、それにより得られた利益の額を客が会計時に明確に知ることができ、再度同じ時間帯に来店しようという意欲を、客により強く持ってもらうことができる。
【0013】
さらに本発明は、以下のようなものを提供する。
(3) 上記(1)の精算システムであって、
レシートの印刷が可能な印刷装置を有し、
上記値引値設定手段により設定された値引値により生じる利益額を示すレシートを、上記印刷装置により印刷する印刷制御手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
(3)の発明によれば、通常よりも多額の値引がなされたこと、及び、それにより得られた利益の額を、店舗を後にした後でも、レシートを見ることで何時でも確認することができ、再度同じ時間帯に来店しようという意欲を、客により強く持ってもらうことができる。
【0015】
さらに本発明は、以下のようなものを提供する。
(4) 上記(1)〜(3)のいずれか1の精算システムであって、
上記来店動向データが示す来店動向は、所定の時間帯ごとの売上高であり、上記値引条件は、上記指示入力時刻に対応する来店動向データが示す時間帯の売上高が所定額以下であることを特徴とする。
【0016】
(4)の発明によれば、通常よりも値引の額を多くするか否かは、その時間帯の売上高の多寡によって決定される。従って、客に対して売上高の少ない時間帯に来店するように促すことが可能であり、時間帯や曜日による売上高の格差を解消することができる。
【0017】
さらに本発明は、以下のようなものを提供する。
(5) 上記(1)〜(3)のいずれか1の精算システムであって、
上記来店動向データが示す来店動向は、所定の時間帯ごとの来客数であり、上記値引条件は、上記指示入力時刻に対応する来店動向データが示す時間帯の来客数が所定数以下であることを特徴とする。
【0018】
(5)の発明によれば、通常よりも値引の額を多くするか否かは、その時間帯の客数の多寡によって決定される。従って、客に対して来客数の少ない時間帯に来店するようにし促すことが可能であり、時間帯や曜日による来客数の格差を解消することができる。
【0019】
さらに本発明は、以下のようなものを提供する。
(6) 上記(1)〜(5)のいずれか1の精算システムであって、
上記来店動向データが示す来店動向が上記値引条件を満たす時間帯が表示された値引券を出力する出力手段を備えたことを特徴とする。
【0020】
(6)の発明によれば、その時点での来店動向を反映させて、通常よりも多額の値引が行われる時間帯が表示された値引券(例えば、所謂クーポン券や電子クーポン)を出力することができる。従って、来店動向が変化した場合に、値引券に表示される時間帯の内容を自動的に変化させることができる。また、通常よりも多額の値引が行われる時間帯が値引券に具体的に表示されるため、客に対して、その時間帯に来店するように、より強く促すことができる。
【0021】
さらに本発明は、以下のようなものを提供する。
(7) 上記(6)の精算システムであって、
上記出力手段は、上記来店動向データが示す来店動向が上記値引条件を満たすときに設定される値引値が表示された値引券を出力することを特徴とする。
【0022】
(7)の発明によれば、その時点での来店動向を反映させて、通常よりも多額の値引が行われる時間帯における値引値が表示された値引券を、出力することができる。従って、来店動向が変化した場合に、値引券に表示される値引値を自動的に変化させることができる。また、通常よりも多額の値引が行われる時間帯における値引値が値引券に具体的に表示されるため、客に対して、通常よりも多額の値引が行われる時間帯に来店するように、さらに強く促すことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、客に対してより多くの利益を提供することを可能とするとともに、効率的に客数を増加させ、さらに時間帯や曜日による売上高や客数の格差を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
以下においては、本発明の好適な実施形態として、本発明の精算システムをスーパーマーケットに適用した場合について説明することとする。
【0025】
図1は、本発明に係る精算システムのネットワーク構成を模式的に示す図である。
精算システム1は、店舗(スーパーマーケット)Sに設置された2台のPOSレジスタ10と、店舗Sに設置された店舗PC21とを備えている。2台のPOSレジスタ10と店舗PC21とは通信回線30を介して接続されている。
【0026】
POSレジスタ10は、精算処理を行うときに用いられる装置であり、店舗Sの店員により操作される。本実施形態において、店舗Sの店員は、本発明におけるユーザに該当する。客は、店舗S内に陳列された商品のなかから、購入したい商品を選んで、POSレジスタ10が設置されたカウンタに持参する。店員は、客が持参した商品に付されたバーコードをPOSレジスタ10に入力する作業を行う。POSレジスタ10は、入力されたバーコードに基づいて代金を算出し、精算を行う。POSレジスタ10は、精算処理を行うごとに、売上高、会計日時等のデータを、店舗PC21に送信する。店舗PC21は、各POSレジスタ10から受信したデータを集計する。
【0027】
精算システム1においては、POSレジスタ10と店舗PC21とが通信回線30を介して接続されている場合について説明するが、POSレジスタ10と店舗PC21とは、無線により互いにデータの送受信を行うように構成されていてもよい。
【0028】
図2は、図1に示したPOSレジスタ10を模式的に示す斜視図である。
POSレジスタ10は、POS本体11と、レジスタ本体12と、キャッシュドロア19と、クーポン券発行機20とを備えている。POS本体11は、精算処理や店舗PC21とのデータの送受信の制御動作を行う装置である。POS本体11の上部には、レジスタ本体12が載置されている。レジスタ本体12の上面手前側には、操作キー15が設けられている。操作キー15は、会計操作等を行うときに店員(ユーザ)により押下されることにより、必要な情報が入力される。操作キー15には、店員が数値情報を入力するときに用いられるテンキー、商品入力が完了した際に店員によって操作される小計キー、値引処理等が完了した際に店員によって操作される合計キー等が含まれる。操作キー15は、本発明における入力装置に相当するものである。
【0029】
レジスタ本体12の右側上部には、店員用液晶表示装置13が立設されていて、その画面は、店員側(図中、手前側)を向いている。また、レジスタ本体12の右側上部には、店員用液晶表示装置13と背中合わせに、客用液晶表示装置14が設けられている。
店員用液晶表示装置13及び客用液晶表示装置14は、会計操作等が行われるときに、当該会計に関する各種の情報を表示する。店員用液晶表示装置13及び客用液晶表示装置14は、本発明における表示装置に相当するものである。
【0030】
レジスタ本体12には、バーコードスキャナ16が接続されている。バーコードスキャナ16は、商品に付されたバーコードを読み取るためのものである。店舗Sに陳列される各商品には、品目ごとに、重複しないコードナンバーが予め設定されており、商品の包装容器には、該商品のコードナンバーに対応したバーコードが印刷されたシールが貼られている。バーコードスキャナ16は、商品に付されたバーコードに光を照射し、その反射光を捉え、バーコードの黒白をデジタル信号に変換することにより、商品に付されたバーコードを読み取る。
【0031】
操作キー15の右隣には、磁気カードリーダ17が設けられている。磁気カードリーダ17の溝の内部には磁気ストライプからの磁界を読み取る機能を持つ磁気ヘッドが設けられており、この磁気ヘッドの上を磁気式クレジットカードの磁気ストライプが接触しながらスライドされることで、磁気カードリーダ17は磁気式クレジットカードの磁気ストライプに記録されている情報を読み取る。読み取られた情報は通信回線31を介してカード会社の情報処理装置に出力され、該情報処理装置において認証及び決済が行われる。
【0032】
操作キー15の奥側には、レシートプリンタ18が設けられている。レシートプリンタ18は、レシートの出力を行う装置である。印字方法としては、特に限定されるものではなく、感熱式、ドット式等を挙げることができる。出力されるレシートには、購入された商品の名称、単価、購入個数、小計金額、合計代金、客からの預かり金額、釣銭金額等が表示される。また、クーポン券が使用された場合、出力されるレシートには、値引額が表示される。レシートプリンタ18は、本発明に係る印刷装置に相当するものである。
【0033】
キャッシュドロア19は、その中に現金等が収納されるものである。キャッシュドロア19は、POS本体11からの開放信号によりロック機構が解除され、スプリングの弾性でドロアを押し出して開放する機能を有する。
【0034】
クーポン券発行機20は、クーポン券を出力するときに用いられる。印字方法としては、特に限定されるものではなく、感熱式、ドット式等を挙げることができる。出力されるクーポン券には、値引額、有効期限等の他、通常よりも多額の値引が行われる時間帯及び該時間帯における値引値が表示される。クーポン券発行機20は、本発明における出力手段として機能するものである。
【0035】
図3は、図2に示したPOSレジスタ10の内部構成を示すブロック図である。
POSレジスタ10が備えるPOS本体11は、CPU11a、RAM11b、ROM11c、及び通信用I/F(インターフェイス)11dを備えている。CPU11aは、RAM11b、ROM11c及び通信用I/F11dと接続されている。
【0036】
CPU11aは、ROM11cに記憶されたプログラムを読み出して実行し、会計処理や店舗PC21とのデータの送受信の制御動作を行う。ROM11cには、会計処理を制御するためのプログラム等が記憶される。RAM11bは、CPU11aによる演算結果や処理結果等を示すデータを一時的に記憶する。また、RAM11bは、クーポン券が使用された際に通常よりも多額の値引が行われる時間帯とその時間帯における値引値とを示すデータを一時的に記憶する。さらに、RAM11bは、商品マスタを記憶している。商品マスタには、店舗Sに陳列される各商品のコードナンバーや価格等がデータとして格納されている。通信用I/F11dは、CPU11aが店舗PC21とのデータの送受信を行うためのものであり、CPU11aは、通信用I/F11dにより、通信回線30を介して、店舗PC21とのデータの送受信を行う。
【0037】
POS本体11には、操作キー15、バーコードスキャナ16及び磁気カードリーダ17が接続されている。操作キー15は、押下されると、夫々のキーに割り当てられた所定の検出信号をCPU11aに送信する。バーコードスキャナ16は、商品等に貼り付けられたバーコードの情報を読み取り、読み取った情報をCPU11aに送信する。磁気カードリーダ17は、磁気式クレジットカードの磁気ストライプに記録されている情報を読み取り、読み取った情報をCPU11aに送信する。
【0038】
POS本体11には、店員用液晶表示装置13、客用液晶表示装置14、レシートプリンタ18、キャッシュドロア19及びクーポン券発行機20が接続されている。店員用液晶表示装置13は、CPU11aから信号を受信すると、その信号に応じた内容の文字や画像を、画面上に表示する。客用液晶表示装置14は、CPU11aから信号を受信すると、その信号に応じた内容の文字や画像を、画面上に表示する。レシートプリンタ18は、CPU11aから信号を受信すると、その信号に応じた内容の文字や画像を、感熱紙であるレシート用紙に出力する。キャッシュドロア19は、CPU11aから開放信号を受信すると、ロック機構を解除し、ドロアを開放する。クーポン券発行機20は、操作キー15に含まれる所定のキーが押下された際にCPU11aから出力される信号を受信すると、上記信号に基づいて、クーポン券の出力を行う。なお、上記信号には、通常よりも多額の値引が行われる時間体及び該時間帯における値引値を示すデータが含まれている。また、上記データは、POS本体11のRAM11cに記憶されている。
【0039】
図4は、図1に示した店舗PC21の内部構成を示すブロック図である。
店舗PC21は、CPU21a、RAM21b、ROM21c、通信用I/F21d及びHD(ハードディスク)21eを備えている。CPU21aは、RAM21b、ROM21c、通信用I/F21d及びHD21eと接続されている。
【0040】
CPU21aは、ROM21c又はHD21eに記憶されているプログラムを読み出して実行し、各種の処理を実行する。ROM21cには、これらの処理を実行するためのプログラム等が記憶される。RAM21bは、CPU21aによる演算結果や処理結果等を示すデータを一時的に記憶する。通信用I/F21dは、CPU21aが各POSレジスタ10とのデータの送受信を行うためのものであり、CPU21aは、通信用I/F21dにより、通信回線30を介して、各POSレジスタ10とのデータの送受信を行う。
【0041】
HD21eは、CPU21aにより実行されるプログラムを記憶する。また、HD21eは、繁閑度判断テーブル(図5参照)、繁閑度別値引値テーブル(図6参照)、売上データファイル(図7参照)、来店動向データ(図8及び図9参照)及び時間帯別値引値データ(図10参照)を記憶する。HD21eは、本発明における記憶装置に相当するものである。
【0042】
図5は、繁閑度判断テーブルの一例を示す図である。
繁閑度判断テーブルは、HD21eに記憶されているテーブルである。繁閑度判断テーブルは、通常よりも多額の値引が行われる時間帯を決定するときに、営業時間1時間あたりの客数を基に、その時間帯の繁忙や閑散の度合いを判断する基準となる。
【0043】
繁閑度判断テーブルにおいては、繁閑度と、営業時間1時間あたりの客数の下限値及び上限値とが対応付けられている。繁閑度“A”には、下限値“0”及び上限値“99”が対応付けられている。従って、客数が0〜99人である時間帯は、繁閑度“A”に該当することになる。繁閑度“B”には、下限値“100”及び上限値“149”が対応付けられている。従って、客数が100〜149人である時間帯は、繁閑度“B”に該当することになる。繁閑度“C”には、下限値“150”が対応付けられている。 従って、客数が150人以上である時間帯は、繁閑度“C”に該当することになる。
【0044】
図6は、繁閑度別値引値テーブルの一例を示す図である。
繁閑度別値引値テーブルは、HD21eに記憶されているテーブルである。繁閑度別値引値テーブルでは、図5に示した繁閑度毎に値引値が設定されている。
繁閑度“A”には、値引値“200円”が対応付けられている。
繁閑度“B”には、値引値“250円”が対応付けられている。
繁閑度“C”には、値引値“300円”が対応付けられている。
【0045】
なお、繁閑度“A”に対応付けられた値引値“200円”が、値引券に予め定められた値引値である。従って、繁閑度が“A”である時間帯には、値引券に予め定められた値引値が設定されることになる。
また、繁閑度“B”に対応付けられた値引値“250円”は、値引値に予め定められた値引値より大きい値引値である。従って、繁閑度が“B”である時間帯には、値引券に予め定められた値引値より大きい値引値が設定されることになる。
また、繁閑度“C”に対応付けられた値引値“300円”は、値引値に予め定められた値引値より大きい値引値である。従って、繁閑度が“C”である時間帯には、値引値に予め定められた値引値より大きい値引値が設定されることになる。
【0046】
精算システム1において、営業時間1時間あたりの客数が100〜149人であることは、本発明における値引条件に相当する。営業時間1時間あたりの客数が、この値引条件を満たしている場合には、値引券に予め定められた値引値“200円”より大きい値引値“250円”が設定される。
精算システム1において、営業時間1時間あたりの客数が150人以上であることも、本発明における値引条件に相当する。営業時間1時間あたりの客数が、この値引条件を満たしている場合には、値引券に予め定められた値引値“200円”より大きい値引値“300円”が設定される。
【0047】
本発明においては、精算システム1のように、複数の値引条件が設定されていて、各値引条件に、異なる値引値が設定されていることが望ましい。
複数の値引条件と各値引条件に対応する値引値とが設定されているため、客の来店動向に応じて細かく値引値を設定することが可能であり、時間帯や曜日による売上高の格差を効率よく解消することができるからである。
このようにする場合、複数の値引条件の夫々は、来店動向を示す1種類の変数(本実施形態では、営業時間1時間あたりの客数)に対して段階的に定められた数値範囲(本実施形態では、100〜149人、150人以上)を満たすことであり、各値引条件に定められた値引値は、当該数値範囲に応じて段階的に定められていることが望ましい。
値引条件と値引額とを段階的に設定することにより、客数の少ない時間帯に、より大きい値引値を設定することができるため、時間帯や曜日による売上高の格差をより効率よく解消することができるからである。
【0048】
本発明においては、ユーザが値引条件を任意に設定し得るように構成されていることが望ましい。また、本実施形態では、値引条件が2段階に設定されている場合について説明するが、本発明において、値引条件が段階的に設定される場合、その段階数は、特に限定されるものではない。
【0049】
図7は、売上データファイルの一例を示す図である。
売上データファイルは、店舗PC21のHD21eに記憶されている。売上データファイルには、売上データと、各売上データに付される識別番号とが対応付けられて格納される。売上データは、日付、曜日及び時刻を示す来店日時データと、客単価データとからなる。
【0050】
店舗S内の各POSレジスタ10は、精算処理を実行すると、その都度、精算金額を示すデータを含む信号を通信用I/F11dにより、通信回線30を介して、店舗PC21に送信する。店舗PC21のCPU21aは、各POSレジスタ10から上記信号を受信すると、上記信号に基づいて客単価データを生成するとともに、上記信号の受信時刻に基づいて、その日付、曜日及び時刻を示す来店日時データを生成することにより、上記客単価データと上記来店日時データとが対応付けられた売上データを生成する。そして、その売上データを、HD21e内の売上データファイルに格納する。
【0051】
図8は、来店動向データ(時間帯別客数動向データ)の一例を示す図である。
この来店動向データは、HD21eに記憶されていて、曜日、時間帯及び客数の各項目からなる。この来店動向データは、図7に示した売上データファイルに含まれる所定の売上データ(例えば、過去数週間の売上データ)を基に、各時間帯の客数を示したものである。
【0052】
図9は、来店動向データ(時間帯別売上高動向データ)の一例を示す図である。
この来店動向データは、HD21eに記憶されていて、曜日、時間帯及び客数の各項目からなる。この来店動向データは、図7に示した売上データファイルに含まれる所定の売上データ(例えば、過去数週間の売上データ)を基に、各時間帯の客数を示したものである。
【0053】
図10は、時間帯別値引値データの一例を示す図である。
時間帯別値引値データは、時間帯別客数動向データ(図8参照)と、繁閑度判断テーブル(図5参照)及び繁閑度別値引値テーブル(図6参照)とに基づいて決定された時間帯毎の値引値を示すデータである。時間帯別値引値データは、HD21eに記憶される。例えば、図8に示した時間帯別客数動向データでは、月曜日9時台の客数の動向は、1時間あたり20名となっている。1時間あたりの客数が20名の場合、図5に示した繁閑度判断テーブルと照合すると、繁閑度はAとなる。したがって、月曜日9時台の繁閑度はAとなる。さらに、図6の繁閑度別値引値テーブルと照合すると、繁閑度がAの時間帯の値引値は200円である。したがって、月曜日9時台の値引値は200円となる。
【0054】
店舗PC21のCPU21aは、この時間帯別値引値データを更新すると、店舗S内の各POSレジスタ10に対し、最新の時間帯別値引値データを送信する。各POSレジスタ10のCPU11aは、最新の時間帯別値引値データを受信すると、それをRAM11cに記憶する。
【0055】
図11は、POSレジスタによって行われる会計処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
POSレジスタ10で会計処理を行うときのルーチンを示すフローチャートである。
処理開始時点で、POSレジスタ10は会計処理を行っていない待機状態である。まずCPU11aは、操作キー15によって、担当者入力が行われたか否かを判断する(ステップS10)。担当者入力とは、会計処理を開始するときに、誰がレジ操作を行うのかを入力する処理のことである。行われていない場合には、待機状態が継続しているものと判断し、ステップS10に戻る。行われた場合には、これから開始する会計の小計金額を0に設定し(ステップS11)、ステップS12に進む。
ステップS12では、操作キー15の中の小計キーが押下されたか否かを判断する。小計キーは、客が購入しようとしている商品の入力が全て完了したときに押下されるキーである。押下された場合にはステップS15に進む。押下されていない場合にはステップS13に進む。ステップS13では、バーコードスキャナ16が商品のバーコードを読み取ったか否かを判断する。読み取った場合には、その商品の代金の額を、RAM11c内に一時的に記憶されている小計金額に加算し(ステップS14)、ステップS12に戻る。読み取っていない場合にはステップS12に戻る。
【0056】
ステップS15では、操作キー15の中のクーポン券キーが押下されたか否かを判断する。クーポン券キーは、クーポン券による値引処理が行われる場合に押下されるキーである。押下された場合にはステップS17に進む。押下されていない場合にはステップS16に進む。ステップS16では、操作キー15の中の合計キーが押下されたか否かを判断する。合計キーは、値引処理を行わずに、小計額をそのまま合計代金として計算するときに押下されるキーである。押下された場合にはステップS19に進む。押下されていない場合にはステップS15に戻る。ステップS17では、CPU11aは、RAM11cに記憶されている時間帯別値引値データ(図10参照)を参照し、本値引処理において適用される値引値を検索することにより、値引値を設定する。
この処理において、CPU11aは、値引券の使用を要求する旨の指示が操作キー15(入力装置)に入力された時刻に対応する来店動向データ(図8参照)が示す客数が、予め定められた値引条件(図5参照)を満たしている場合(繁閑度が“B”又は“C”である場合)に、値引券に予め定められた値引値(200円)より大きい値引値(250円又は300円)を設定する。その一方で、CPU11aは、値引券の使用を要求する旨の指示が操作キー15に入力された時刻に対応する来店動向データが示す客数が、予め定められた値引条件を満たさない場合(繁閑度が“A”である場合)に、値引券に予め定められた値引値(200円)を設定する。このとき、CPU11aは、値引値設定手段として機能する。
【0057】
その後、検索された値引値を小計額から減算し、その数値を合計代金とする(ステップS18)。その後ステップS19に進む。
【0058】
ステップS19では、ここまでの商品のバーコード入力及び値引処理によって計算された合計代金を、店員用液晶表示装置13及び客用液晶表示装置14に表示させる。このとき、値引処理が実行されている場合には、値引された金額も併せて表示させる。また、会計が行われた時間帯が、上述した時間帯別値引値データにおいて最も低い金額の値引を行う時間帯以外であった場合には、値引額と共に、通常時と比べていくら利益が出たか、即ち、最も低い金額の値引を行う時間帯に設定された値引額と比較したときの差額がいくらであるかを、値引額と共に表示させる。こうすることにより、特に値引値が高い時間帯の場合、通常よりも多額の値引がなされたこと、及び、それにより得られた利益の額を客に知らせ、再度同じ時間帯に来店しようという意欲を客により強く持ってもらうことができる。
ステップS19の処理を実行するとき、CPU11aは、店員用液晶表示装置13及び客用液晶表示装置14(表示装置)に、ステップS17において設定された値引値により生じる利益額を示す画像を表示する表示制御手段として機能する。
その後、ステップS20に進む。
【0059】
ステップS20では、操作キー15の中のクレジットカードキーが押下されたか否かを判断する。クレジットカードキーは、会計を現金ではなくクレジットカードで行う場合に押下されるキーである。押下された場合にはステップS21に進む。押下されていない場合にはステップS22に進む。
【0060】
ステップS21では、磁気カードリーダ17にクレジットカードが通されたかどうかを判断する。クレジットカードが通された場合には、クレジットカードの磁気ストライプに記録されている情報を読み取り、CPU11aに送信する。その後、CPU11aとカード会社との通信によって、認証及び決済が行われる。それが完了したら、ステップS23に進む。クレジットカードが通されていない場合には、ステップS21に戻る。
【0061】
ステップS22では、客からの預かり金の入力が行われたか否かを判断する。客からの預かり金の入力とは、客からの預かり金の額が操作キー15のテンキーで入力され、その後操作キー15の合計キーが押下されることを指す。入力が行われた場合にはステップS23に進む。行われていない場合にはステップS20に戻る。ステップS20〜S21の処理を実行するとき、CPU11aは、ステップS17において設定された値引値に基づいて、精算を行う精算手段として機能する。
【0062】
ステップS23では、会計の内容を店員用液晶表示装置13及び客用液晶表示装置14に表示させる。会計の内容とは、現金で会計を行った場合には釣銭の金額、クレジットカードで会計を行った場合には正常に認証及び決済が行われた旨等である。その後ステップS24に進む。
【0063】
ステップS24では、会計の明細を印字したレシートを、レシートプリンタ18に出力させる。会計の明細とは、購入された商品の名称、単価、購入個数、小計金額、値引額、合計代金、客からの預かり金額、釣銭金額等である。
また、会計が行われた時間帯が、上述した時間帯別値引値データにおいて最も低い金額の値引を行う時間帯以外であった場合には、値引額と共に、通常時と比べていくら利益が出たか、即ち、最も低い金額の値引を行う時間帯に設定された値引額と比較したときの差額がいくらであるかを、値引額と共に印字させる。こうすることにより、通常よりも多額の値引がなされたこと、及び、それにより得られた利益の額を、客が店舗を後にした後でもレシートを見ることで何時でも確認することができるようにし、再度同じ時間帯に来店しようという意欲をより強く持ってもらうことができる。ステップS24の処理を実行するとき、CPU11aは、レシートプリンタ18(印刷装置)により、ステップS17において設定された値引値により生じる利益額を示すレシートを印刷する印刷制御手段として機能する。レシート出力後、ステップS25に進む。
【0064】
ステップS25では、精算金額を示すデータを含む信号を通信用I/F11dにより、通信回線30を介して、店舗PC21に送信する。ステップS25の処理の後、本サブルーチンを終了する。
【0065】
図12は、店舗PCによって行われる時間帯別値引値更新処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
ステップS31では、店舗PC21のCPU21aは、図11のステップS25おいてPOSレジスタ10から送信された信号に基づいて、客単価データを生成するとともに、上記信号の受信時刻に基づいて、その日時、曜日及び時刻を示す来店日時データを生成することにより、上記客単価データと上記来店日時データとが対応付けられた売上データを生成し、上記売上データをHD21e内の売上データファイルに格納する(ステップS31)。このとき、CPU21aは、精算時に、客単価データと来店日時データとが対応付けられた売上データを生成し、HD21e内の売上データファイル(図7参照)に格納する手段として機能する。
【0066】
次に、CPU21aは、ステップS31において新たに追加した売上データに基づいて、図8に示した来店動向データ(時間帯別客数動向データ)の再計算を行う。続いて、CPU21aは、ステップS31において新たに追加した売上データに基づいて、図9に示した来店動向データ(時間帯別売上高動向データ)の再計算を行う。このとき、CPU21aは、売上データファイル(図7参照)に格納された売上データに基づいて、所定の時間帯ごとの来店動向を示す来店動向データを生成し、HD21e(記憶装置)内に記憶する手段として機能する。
【0067】
次に、CPU21aは、ステップS32において再計算された来店動向データ(時間帯別客数動向データ)に基づいて、繁閑度判断テーブル(図5参照)を参照し、時間帯別値引値データ(図10参照)に含まれる繁閑度の値を再計算する(ステップS34)。次に、CPU21aは、ステップS34において再計算された時間帯別値引値データに含まれる繁閑度の値に基づいて、繁閑度別値引値テーブル(図6参照)を参照し、時間帯別値引値データ(図10参照)に含まれる値引値の値を再計算する(ステップS35)。次に、CPU21aは、ステップS34〜S35における処理結果に基づいて、時間帯別値引値データ(図10参照)を更新する(ステップS36)。
【0068】
ステップS37では、更新された時間帯別値引値データを、店舗内の全てのPOSレジスタ10に送信する。
【0069】
図13は、POSレジスタによって行われるクーポン券出力処理のサブルーチンを示すフローチャートである。まず、CPU11aは、操作キー15に含まれる券発行ボタンが押下されたか否かを判断する(ステップS41)。押下されていないと判断した場合、ステップS41に処理を戻す。
【0070】
ステップS41において、券発行ボタンが押下されたと判断した場合、CPU11aは、RAM11cに記憶されている時間帯別値引値データ(図10参照)を抽出する(ステップS42)。次に、CPU11aは、ステップS42において抽出した時間帯別値引値データを、クーポン券発行機20に送信し、クーポン券発行機20により、クーポン券を発行する処理を行う(ステップS43)。クーポン券発行機20は、値引額、有効期限、及び、通常よりも多額の値引が行われる時間帯を表示するクーポン券を印刷する。通常よりも多額の値引が行われる時間帯とは、図10の時間帯別値引値データにおいて最も低い金額の値引を行う時間帯以外の時間帯のことである。通常よりも多額の値引が行われる時間帯を文字で列記する方法もあるが、クーポン券の使用者にとってのわかり易さを考え、曜日を縦軸に、時刻を横軸にした升目を券の中に描き、値引の額ごとに異なる模様を、夫々の升の中に描くものとする。さらに、券の中には、通常よりも多額の値引が行われる時間帯における値引値を印字するものとする。このとき、クーポン券発行機20は、出力手段として機能する。
【0071】
ただし、通常よりも多額の値引が行われる時間帯は、客の来店動向によって変化していく可能性があるため、クーポン券を出力した時点とクーポン券を利用する時点とでは、通常よりも多額の値引が行われる時間帯が異なっている可能性がある。そのため、クーポン券には、券に記載されている通りの値引が行われない可能性があることを記載することする。上述した説明のクーポン券の一例を、図14に示す。
【0072】
本実施形態では、会計処理時に商品入力を行う方法として、商品に貼付されたバーコードを、POSレジスタ10のユーザがバーコードスキャナ16を用いて読み取ることとして説明したが、本発明は、この例に限定されるものではなく、例えばバーコードとバーコードスキャナの代わりに2次元コードと2次元コードスキャナを用いてもよい。また、POSレジスタ10のユーザが、操作キー15を押下することによって入力してもよい。
【0073】
本実施形態では、会計処理時に担当者入力を行う方法として、操作キー15を押下することとして説明したが、本発明は、この例に限定されるものではなく、例えば店員の名札等に一人ひとり異なるバーコードが印字されており、そのバーコードをバーコードスキャナ16を用いて読み取ることとしてもよい。
【0074】
本実施形態では、クレジットカードによる会計を行う方法として、磁気カードリーダ17が磁気式クレジットカードの磁気ストライプに記録されている情報を読み取ることとしたが、本発明は、この例に限定されるものではなく、ICチップが埋め込まれたICカードを、ICカードリーダを用いて読み取ることとしてもよい。また、本実施形態では、POSレジスタ10にクレジットカードによる会計を行う機能が搭載されているものとして説明したが、本発明は、この例に限定されるものではなく、POSレジスタ10に接続されたCAT(信用照会端末)や、インプリンタ等を用いてクレジットカード会計を行うこととしてもよい。勿論、クレジットカードによる会計を実施していなくてもよい。
【0075】
本実施形態では、会計操作等に用いるテンキー、小計キー、合計キー等を、操作キー15の中のキーとして説明したが、本発明は、この例に限定されるものではなく、例えば、店員用液晶表示装置13上にタッチパネル機能を有し、画面上に上述したテンキー、小計キー、合計キー等の役割を持った領域を設定しておいて、ユーザがこの領域に指で触れることで、操作キー15を押下するのと同じ効果を発生させることとしてもよい。
【0076】
本実施形態では、繁閑度判断テーブル、繁閑度値引値テーブル、売上データ、時間帯別客数動向データ、時間帯別売上高動向データ、時間帯別値引値データ等のデータを、店舗内の各POSレジスタ10に接続された店舗PC21の中に記憶するものとして説明したが、本発明は、この例に限定されるものではない。例えば、店舗PC21が存在せず、店舗内に存在する複数台のPOSレジスタ10が相互に通信回線によって接続されており、そのうち1台のPOS本体11が、上述した説明の中で店舗PC21が担っていた役割を代わりに果たすこととしてもよい。また、店舗内に1台だけPOSレジスタ10が存在し、POS本体11が上述した説明の中で店舗PC21が担っていた役割を代わりに果たすこととしてもよい。さらに、複数の店舗からなる所謂チェーン店で本発明が実施され、図15のように各店舗の店舗PC21が本部サーバ40に接続されており、上述した説明の中で店舗PC21が担っていた役割を、本部サーバ40が一括して果たすものとしてもよい。
【0077】
本実施形態では、クーポン券はクーポン券発行機20から出力されるものとしたが、本発明は、この例に限定されるものではなく、例えば、レシートプリンタ18から、レシート用紙に印字され、出力されることとしてもよい。
【0078】
本実施形態では、クーポン券は、ユーザがクーポン券発行機20に設けられた券発行ボタンを押下することで出力されることとしたが、本発明は、この例に限定されるものではなく、例えば、一定の金額以上の会計が発生した場合や特定の商品の購入があった場合に、自動的にクーポン券が出力されることとしてもよい。
【0079】
本実施形態では、クーポン券は店舗で出力され、客に渡されるものとして説明したが、本発明は、この例に限定されるものではなく、インターネット上でクーポン券の画像が公開され、それを客が各自印刷して出力されることとしてもよい。また、客に電子メールで所謂クーポンデータが送信され、それを客が各自印刷して出力したり、携帯電話の場合は客が画面を店員に見せたりすることで、クーポン券の利用が成立することとしてもよい。
また、本実施形態では、客が店舗に足を運び、店舗で会計処理を行うこととして説明したが、本発明は、この例に限定されるものではなく、図16のように、インターネット上に販売者の商品販売用のwebサイトが存在し、客がそのwebサイト内で所定の手続きを行うことによって売買が行われるオンラインショッピングであってもよい。このようにする場合、販売店サーバ50が、上述した店舗PC21が担っていた役割を担うことになる。その場合、上述したような形でクーポンデータが販売者から客に送信され、客が商品購入時にそのクーポンデータを販売者に対して送信する等の方法を取るものとする。また、端末60は、本発明における入力装置を有することになる。端末60としては、例えば、携帯電話機や、汎用PCを挙げることができる。
【0080】
本実施形態では、クーポン券を出力した時点とクーポン券を利用する時点とで、通常よりも多額の値引が行われる時間帯が異なっていた場合、クーポン券を利用する時点での時間帯別値引値データを基に値引値が決定されるものとして説明したが、本発明は、この例に限定されるものではなく、クーポン券を出力した時点での時間帯別値引値データを基に値引値が決定されるものとしてもよい。この場合、RAM11cに記憶されている時間帯別値引値データは既に最新の状態に更新されているため、ユーザが、クーポン券に記載されている内容を基に、操作キー15等を用いて値引値を入力するものとする。
【0081】
本実施形態では、来店動向データが、営業時間1時間あたりの客数を示すデータである場合について説明したが、本発明において、来店動向データは、この例に限定されるものではない。来店動向データとしては、例えば、営業時間1時間あたりの売上高を示すデータであってもよい。また、本発明における所定の時間帯とは、必ずしも、営業時間1時間である必要はなく、適宜設定することが可能である。また、来店動向データが、所定の時間帯ごとの客数と売上高とを示すデータであり、所定の条件が、客数と売上高とに関するものであってもよい。また、値引値は、必ずしも、値引額である必要はなく、値引率であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係る精算システムの一例を模式的に示すネットワーク構成図である。
【図2】図1に示したPOSレジスタを模式的に示す斜視図である。
【図3】図2に示したPOSレジスタの内部構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示した店舗PCの内部構成を示すブロック図である。
【図5】繁閑度判断テーブルの一例を示す図である。
【図6】繁閑度別値引値テーブルの一例を示す図である。
【図7】売上データの一例を示す図である。
【図8】来店動向データ(時間帯別客数動向データ)の一例を示す図である。
【図9】来店動向データ(時間帯別売上高動向データ)の一例を示す図である。
【図10】時間帯別値引値データを示す表である。
【図11】POSレジスタによって行われる会計処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図12】店舗PCによって行われる時間帯別値引値更新処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図13】POSレジスタによって行われるクーポン券出力処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図14】クーポン券の一例を模式的に示す正面図である。
【図15】本発明に係る精算システムの他の一例を模式的に示すネットワーク構成図である。
【図16】本発明に係る精算システムの他の一例を模式的に示すネットワーク構成図である。
【符号の説明】
【0083】
1 精算システム
10 POSレジスタ
11 POS本体
12 レジスタ本体
13 店員用液晶表示装置
14 客用液晶表示装置
15 操作キー
16 バーコードスキャナ
17 カードリーダ
18 レシートプリンタ
19 キャッシュドロア
20 クーポン券発行機
21 店舗PC
30 通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって操作される入力装置と、記憶装置とを有する精算システムであって、
精算時に、客単価データと来店日時データとが対応付けられた売上データを生成し、前記記憶装置内の売上データファイルに格納する手段と、
前記売上データファイルに格納された売上データに基づいて、所定の時間帯ごとの来店動向を示す来店動向データを生成し、前記記憶装置内に記憶する手段と、
値引き券の使用を要求する指示が前記入力装置に入力された指示入力時刻に対応する来店動向データが示す来店動向が予め定められた値引き条件を満たしている場合に、前記値引き券に予め定められた値引値より大きい値引値を設定する一方、前記来店動向データが示す来店動向が前記値引き条件を満たさない場合には、前記値引き券に予め定められた値引値を設定する値引値設定手段と、
前記値引値設定手段により設定された値引値に基づいて、精算を行う精算手段と
を備えたことを特徴とする精算システム。
【請求項2】
画像の表示が可能な表示装置を有し、
前記値引値設定手段により設定された値引値により生じる利益額を示す画像を、前記表示装置に表示する表示制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の精算システム。
【請求項3】
レシートの印刷が可能な印刷装置を有し、
前記値引値設定手段により設定された値引値により生じる利益額を示すレシートを、前記印刷装置により印刷する印刷制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の精算システム。
【請求項4】
前記来店動向データが示す来店動向は、所定の時間帯ごとの売上額であり、前記値引き条件は、前記指示入力時刻に対応する来店動向データが示す時間帯の売上額が所定額以下であることを特徴とする請求項1〜3に記載の精算システム。
【請求項5】
前記来店動向データが示す来店動向は、所定の時間帯ごとの来客数であり、前記値引き条件は、前記指示入力時刻に対応する来店動向データが示す時間帯の来客数が所定数以下であることを特徴とする請求項1〜3に記載の精算システム。
【請求項6】
前記来店動向データが示す来店動向が前記値引き条件を満たす時間帯が表示された値引き券を出力する出力手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の精算システム。
【請求項7】
前記出力手段は、前記来店動向データが示す来店動向が前記値引き条件を満たすときに設定される値引値が表示された値引き券を出力することを特徴とする請求項6に記載の精算システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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