説明

精製シリコン結晶を提供する酸洗使用

シリコンが溶媒金属から結晶化される、シリコンを精製するための方法が開示される。当該方法は、シリコン、溶媒金属、および不純物を含有する溶融液を提供するステップと、第1のシリコン結晶および第1の母液を形成するように溶融液を冷却するステップと、第1の母液から第1のシリコン結晶を分離するステップと、第1のシリコン結晶を、第1の母液を溶解させる化合物と接触させるステップと、洗浄液から洗浄された結晶を分離するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第60/951,374号(2007年7月23日出願)および同第60/952,732号(2007年7月30日出願)の優先権の利益を主張し、これらの出願は、本明細書に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
シリコン中の不純物量を減少させるために、例えば、ゾーンメルティング、シランガス蒸留、ガス注入、酸浸出、スラッギング、および方向性凝固を含む、多くの異なる方法および装置が記述されてきた。しかしながら、ホウ素、リン、チタン、鉄、およびその他の元素を要求される純度まで除去するには、大変な困難および/または高価な処理段階を伴う既知のプロセスを用いるしかない。
【0003】
現在シリコンは、典型的には、トリクロロシラン等の例外的に純粋な気化しやすい化合物の還元および/または熱分解を伴うプロセスを用いて精製されている。このプロセスは、太陽電池等への応用のために要求される純度よりも高い純度を有するシリコンを生成する、非常に高価かつ資本集約的な方法である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、シリコンを精製する方法、および比較的精製されたシリコンを得るための方法を提供する。本明細書に記載される方法は、商業的な量(例えば、少なくとも約240kg)の精製されたシリコンを、比較的費用効率の高い様式で、効率的に提供することができる。本明細書に記載される方法は、少なくとも約100トン/年の精製されたシリコンを、比較的費用効率の高い方式で、効率的に提供することができる。また、本明細書に記載される方法は、約24〜約94時間、典型的には、約72時間以内に実行することができる。本明細書に記載される方法によって得られる比較的精製されたシリコン結晶は、ソーラーグレードのシリコンを提供するように、その後さらに精製することができる。
【0005】
本発明は、シリコンを精製するための方法であって、(a)シリコンと、銅、錫、亜鉛、アンチモン、銀、ビスマス、アルミニウム、カドミウム、ガリウム、インジウム、マグネシウム、鉛、それらの合金、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される溶媒金属とから、第1の溶融液を形成するステップと、(b)ドロスおよび第2の溶融液を提供するように、第1の溶融液を第1のガスと接触させるステップと、(c)ドロスと第2の溶融液とを分離するステップと、(d)第1のシリコン結晶および第1の母液を形成するように、第2の溶融液を冷却するステップと、(e)第1のシリコン結晶と第1の母液とを分離するステップと、(f)洗浄されたシリコン結晶および使用済みの酸を提供するように、第1のシリコン結晶を、溶媒金属を溶解させることができる酸、塩基、アルコール、または化学物質と接触させるステップと、(g)洗浄されたシリコン結晶と使用済みの酸とを分離するステップとを含む、方法を提供する。
【0006】
また、本発明は、シリコンを精製するための方法にも関連する。該方法は、(a)シリコンおよびアルミニウムから第1の溶融液を形成するステップと、(b)ドロスおよび第2の溶融液を提供するように、第1の溶融液を第1のガスと接触させるステップと、(c)ドロスと第2の溶融液とを分離するステップと、(d)第1のシリコン結晶および第1の母液を形成するように、第2の溶融液を冷却するステップと、(e)第1のシリコン結晶と第1の母液とを分離するステップと、(f)第1のシリコン結晶を溶媒金属で溶融させて、ステップ(a)〜(e)を繰り返すステップと、(g)洗浄されたシリコン結晶および使用済みの酸を提供するように、第1のシリコン結晶を、溶媒金属を溶解することができる酸、塩基、アルコール、または化学物質と接触させるステップと、(h)精製されたシリコン結晶を提供するのに十分である、洗浄されたシリコン結晶と使用済みの酸とを分離するステップと、(i)シリコン溶融物を提供するのに十分である、精製されたシリコン結晶を溶融させるステップと、(j)シリコン溶融物を第2のガスと接触させるステップと、(k)シリコン溶融物を方向性をもって凝固させるステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の実施形態は、以下の説明および実施形態等を示す添付の図面を参照することにより、最も良く理解されるであろう。本明細書に含まれる図の番号付スキームは、図中の所与の参照番号の頭にくる数字が、その図の番号と関連している。参照番号は、同じ要素に対しては、異なる図を通して共通である。
【図1】図1は、ガスと接触させることを含むシリコンを精製する方法、精製されたシリコンを得るための方法、および精製されたシリコン結晶、精製された粒状シリコン、シリコン塊および/または精製されたシリコンインゴットを得るための方法を示す、ブロックフロー図である。
【図2】図2は、シリコンを精製する方法、精製されたシリコンを得るための方法、および精製されたシリコン結晶、精製された粒状シリコン、シリコン塊および/または精製されたシリコンインゴットを得るための方法を示す、ブロックフロー図である。
【図3】図3A−Bは、本発明の方法を実施するために有用である、例示的な装置システムの図である。
【図4】図4は、第1のガスおよび第2のガスと接触させることを含むシリコンを精製する方法、精製されたシリコンを得るための方法、および精製されたシリコン結晶、精製された粒状シリコン、シリコン塊および/または精製されたシリコンインゴットを得るための方法を示す、ブロックフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の特定の請求項を詳細に参照するが、その実施例は付随する構造および式に示される。本発明は、列挙された請求項と併せて説明されるが、それらは、本発明をそれらの請求項に制限することを意図するものではないことを理解されたい。むしろ、本発明は、請求項に規定される本発明の範囲内に含まれることができるすべての代替物、変形例、等価物を包含することを意図している。
【0009】
本明細書における「一実施形態」、「実施形態」、「例示的実施形態」等などの言及は、記載される実施形態が、特定の特徴、構造、または特性を含んでもよいが、すべての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、または特性を含んでもよいというわけではないことを意味している。また、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性がある実施形態と関連して記載される場合、明示的に記載されていてもまたはいなくても、その他の実施形態と関連してそのような特徴、構造、または特性に影響するのは、当業者の知識の範囲内であると考えられる。
【0010】
本発明は、シリコンを生成する方法、および精製したシリコンを得るための方法に関連する。シリコンを生成する方法、および精製したシリコンを得るための方法を説明する際、他に記載のない限り、以下の用語は以下の意味を持つものとする。
【0011】
(定義)
他に記載のない限り、本明細書において用いられる場合、以下の用語および表現は以下の意味を有することが意図される。
【0012】
本明細書に記載される製造の方法において、時間的または操作上の順序が明示的に述べられている場合を除いて、ステップは、本発明の主旨から逸脱することなく、いずれの順序でも実行することができる。第1のステップが行われ、その他のいくつかのステップがその後に続いて、行われるという主旨の請求項における記述は、ある順序がその他のステップ内にさらに記述されていない限り、第1のステップはその他のいずれのステップよりも前に行われるが、その他のステップはいずれの適切な順序で行われてもよいということを意味すると捉えられるべきである。例えば、「ステップA、ステップB、ステップC、ステップD、およびステップE」と列挙する請求要素は、ステップAが最初に実行され、ステップEが最後に実行され、ステップB、C、およびDはステップAとEの間にいずれの順序で実行されてもよく、その順序も請求されたプロセスの文言上の範囲内であることを意味すると解釈されるものとする。
【0013】
さらに、請求表現が、それらは別々に実行されるべきであると明示的に述べていない限り、指定されたステップは同時に行われてもよい。例えば、「Xを行う」という請求されたステップと、「Yを行う」という請求されたステップとが、1つの操作内に同時に実施されてもよく、その結果生じるプロセスも請求されたプロセスの文言上の範囲内となる。
【0014】
本明細書で用いられる場合、「複数」は、2以上、例えば2、3、4、または5を指す。
【0015】
本明細書で用いられる場合、「精製」は、対象となる化学物質の外来性または汚染物質からの物理的分離を指す。
【0016】
本明細書で用いられる場合、「接触」は、触れる行為、接触すること、または密接な近接性を指す。
【0017】
本明細書で用いられる場合、「結晶化」は、溶液からある物質の結晶(結晶体材料)を形成するプロセスを含む。該プロセスは、結晶を形成するように、供給流を冷却することによって、または所望される生成物の溶解度を低下させる沈殿剤を添加することによって、大概は極度に純粋な形態で液体供給流から生成物を分離する。その後、純粋な固体結晶は、濾過または遠心分離によって残りの液体から分離される。
【0018】
本明細書で用いられる場合、「結晶質」は、固体における通常の、原子の幾何学的配置を含む。
【0019】
本明細書で用いられる場合、「デカント」または「デカンテーション」は、堆積物または沈殿物を残して液体を捨てることにより、その堆積物または沈殿物から液体を分離することを含む。
【0020】
本明細書で用いられる場合、「濾過(filtering)」または「濾過(filtration)」は、固体を保持して液体を通過させる、セラミックまたは金属膜等の多孔シートに供給流を通過させることにより、液体から固体を分離するための機械的方法を指す。これは、例えば、ストレーナを使用して重力によって、または圧力もしくは真空(吸引)によって、達成することができる。濾過することにより、液体から堆積物または沈殿物を効率的に分離する。
【0021】
本明細書で用いられる場合、「分離」は、別の物質からある物質を除去するプロセス(例えば、混合物から固体または液体を除去すること)を指す。該プロセスは、例えば、混合物をデカントする、混合物から1つ以上の液体をすくい取る、混合物を遠心分離にかける、混合物から固体を濾過する、またはそれらの組み合わせ等、当業者に既知であるいずれの技法を用いて行われてもよい。
【0022】
本明細書で用いられる場合、「濾過」は、フィルタに液体を通過させることによって混合物から固体を除去することで、フィルタ上に固体を懸濁させるプロセスを指す。
【0023】
本明細書で用いられる場合、「デカント」とは、堆積物を乱すことなく液体を捨てるプロセス、または堆積物の乱れを最小限に留めて液体を捨てるプロセスを指す。
【0024】
本明細書で用いられる場合、「遠心分離」は、例えば、混合物から固体のように、混合物の分離のために求心力の使用を伴うプロセスを指す。遠心分離は、沈殿物が容器の側面または底面に、より迅速かつ完全に集まるように、容器上の有効重力を増加する。すると堆積物を乱すことなく、すばやく容器から溶液(「上清」)をデカントすることができる。遠心分離の速度は、試料に適用される加速度によって特定され、典型的には、毎分回転数(RPM)で測定される。遠心分離における粒子の沈降速度は、粒子のサイズおよび形状、遠心加速度、存在する固体の体積分率、粒子と液体の密度の差、粘度の関数である。
【0025】
本明細書で用いられる場合、「すくい取る」は、1つ以上の液体が混合物の上に浮遊している場合に、その混合物から1つ以上の液体、固体、またはそれらの組み合わせを除去するプロセスを指す。
【0026】
本明細書で用いられる場合、「撹拌」は、乱流力を用いて、混合物を動かすプロセスを指す。撹拌に適した方法には、例えば、かき混ぜる、混合する、および振とうすることを含む。
【0027】
本明細書で用いられる場合、「沈殿」は、固体物質(例えば、結晶)を溶液から分離する原因となるプロセスを指す。沈殿には、例えば、結晶化を含んでもよい。
【0028】
本明細書で用いられる場合、「母液」は、液対中に固体を含む溶液の混合物から、固体(例えば、結晶が)が除去された後で得られた固体または液体を指す。したがって、母液は、これらの固体を多量に含まない。
【0029】
本明細書で用いられる場合、「シリコン」は、記号Siおよび元素番号14を有する化学元素を指す。
【0030】
本明細書で用いられる場合、「原料シリコン」は、精製されるべきシリコンの量を含有する混合物または化合物を指す。原料シリコンは、治金グレードであってもまたはなくてもよい。
【0031】
本明細書で用いられる場合、「治金グレードのシリコン」は、比較的純粋な(例えば、少なくとも約95.0wt%)シリコンを指す。
【0032】
本明細書で用いられる場合、「溶融物」は、溶融された物質であり、溶融とは、固体物質を液体に変化する時点(融点と称される)まで加熱するプロセスである。
【0033】
本明細書で用いられる場合、「溶媒金属」は、加熱されるとシリコンを効率的に溶解させることができ、その結果として溶融液を生じさせる、1つ以上の金属、またはそれらの合金を指す。適切な例示的な溶媒金属には、例えば、銅、錫、亜鉛、アンチモン、銀、ビスマス、アルミニウム、カドミウム、ガリウム、インジウム、マグネシウム、鉛、それらの合金、およびそれらの組み合わせを含む。
【0034】
本明細書で用いられる場合、「合金」は、そのうちの少なくとも1つは金属であり、得られる材料が金属特性を有する、2つ以上の元素の均一混合物を指す。得られる金属物質は、通常その構成要素とは異なる(時には非常に異なる)特性を有する。
【0035】
本明細書で用いられる場合、「液相線」は、それ以上では所与の物質が液相において安定している相図上の線を指す。最も一般的には、この線は遷移温度を表す。液相線は、物質に依存して、直線であってもよいか、または曲線であってもよい。液相線は、合金を含む固溶体等の2成分系に適用されることが最も多い。液相線は固相線と対比していてもよい。液相線および固相線は、必ずしも1列に並んだり、重なったりしているわけではなく、液相線と固相線との間にギャップが存在する場合、そのギャップ内では物質は液体または固体のどちらとしても安定していない。
【0036】
本明細書で用いられる場合、「固相線」は、それ以下のでは所与の物質が固相において安定している相図上の線を指す。最も一般的には、この線は遷移温度を表す。固相線は、物質に依存して、直線であってもよいか、または曲線であってもよい。液相線は、合金を含む固溶体等の2成分系に適用されることが最も多い。固相線は液相線と対比していてもよい。固相線と液相線は、必ずしも1列に並んだり、重なったりしているわけではない。固相線と液相線との間にギャップが存在する場合、そのギャップ内では物質は固体または液体のどちらとしても安定しておらず、その場合は、例えば、オリビン(苦土かんらん石−鉄かんらん石)系である。
【0037】
本明細書で用いられる場合、「発生させる」または「ガスを発生させる」とは、液体または固体が化学反応または分解を起こして、ある条件下(典型的には、高温)でガスを放出するプロセスを指す。
【0038】
本明細書で用いられる場合、「ドロス」は、溶融金属浴に浮遊している固形不純物の塊を指す。通常は、錫、鉛、亜鉛、またはアルミニウム等融点の低い金属または合金を溶融する際に、または該金属(複数を含む)の酸化によって生じる。ドロスは、例えば、表面からすくい取ることによって、除去することができる。ある金属では、塩フラックスを加えてドロスを分離することもできる。ドロスは固体であるという点で、合金上に浮遊する(粘性のある)液体であるスラグとは区別される。
【0039】
本明細書で用いられる場合、「スラグ」は、金属を精製するための製錬用の鉱石の副産物を指す。これらは、金属酸化物の混合物であると見なされてもよいが、金属硫化物および金属原子を元素形態で含有する。スラグは、一般的に、金属製錬における廃棄物除去機構として使用される。自然の状態では、鉄、銅、鉛、アルミニウム、およびその他の金属等の金属の鉱石は、酸化されていることおよび他の金属のケイ酸塩と混合されていることが多く、不純な状態で発見される。製錬中に鉱石が高温に暴露されると、これらの不純物が溶融金属から分離されて、除去することができる。除去された化合物が集積したものがスラグである。
【0040】
本明細書で用いられる場合、「不活性ガス」は、通常の状況下において反応性ではないガス、またはガスの組み合わせを指す。希ガスとは異なり、不活性ガスは必ずしも元素ガスではなく、分子ガスであることが多い。希ガスのように、その非反応性の傾向は原子価によるものであり、最も外側の電子殻はすべての不活性ガスにおいて完結している。例示的な不活性ガスには、例えば、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、および窒素(N)を含む。
【0041】
本明細書で用いられる場合、「回転式脱気装置」は、脱気シャフト、インペラブロック、およびカップリングを含む、溶融金属から不純物を除去するための装置である。シャフトは、好ましくは、その中をガスが通過できるように空洞である。インペラブロックは脱気シャフトに接続されており、典型的には、耐熱材料で形成され、ブロックが回転している時に溶融金属を変位させる少なくとも1つの金属移動用の凹部を有する。ブロックは、好ましくは、脱気シャフトの空洞部分と連通する少なくとも1つのガス注入口と、それぞれの金属移動用の凹部内に形成されたガス放出開口部を含む。それぞれのガス放出開口部は、ガス注入口のうちの1つと連通している。カップリングは、脱気シャフトを駆動シャフトに接続し、2つ以上のカップリング部材で形成される。溶融金属中に小さな気泡を作るその他の方法には、多孔性プラグ、ランス、またはチューブを通してガスを注入することを含む。
【0042】
本明細書で用いられる場合、「渦」は、閉じた流線を有するか、回転するか、しばしば乱れている、流れ(または任意のらせん状の運動)を指す。中心の周りを急速に旋回する媒体または塊の形状が渦を形成する。円を描くように流れる。
【0043】
本明細書で用いられる場合、「方向性をもって凝固する」は、凝固が起こっている部分に、溶融供給金属が断続的に使用可能となるように金属の冷却中に温度勾配をかけることによる、溶融金属の凝固を指す。正しい測定を用いることによって、金属が凝固するにつれて、液体金属と固体金属との境界の界面が、追加の供給金属の源へと近づき、凝固が始まった領域からは離れるように移動する。方向性凝固は、精製プロセスとして用いることができる。ほとんどの不純物は、凝固中は固体相よりも液体相においてより可溶性であるので、凝固した前面部に不純物が「押されて」、完成した鋳物の大部分が原料よりも低い濃度の不純物を有するようになり、一方で、最後に凝固した金属には不純物が混入される。この最後の金属部分は廃棄またはリサイクルすることができる。特定の金属から特定の不純物を除去することにおける方向性凝固の適合性は、Scheilの式によって説明されるように、当該金属中の不純物の分配係数に依存する。方向性凝固は、太陽電池向けの多結晶シリコンの生成において、精製ステップとして用いられることが多い。方向性凝固プロセスの例は、チョクラルスキー(Cz)、浮遊帯(Fz)、熱交換法(HEM)、ブリッジマン、帯域精製、電磁鋳造(EMC)、水平ブリッジマン等である。
【0044】
本明細書で用いられる場合、「太陽電池」は、太陽エネルギーを光電効果によって直接電気エネルギーに変換するデバイスを指す。該デバイスは、主として半導体、典型的には、シリコンから製造することができる。
【0045】
本明細書で用いられる場合、「シリコンソーラーウエハ」は、太陽電池の基板または基礎を形成する、高度に精製されたシリコン(単結晶または多結晶のいずれか)の薄片を指す。
【0046】
本明細書で用いられる場合、「回転炉」は、電気的に加熱可能か、ガスもしくはオイルで加熱可能か、または二元燃料で燃焼可能な、炉システムを指す。それは、空気を制御できるように密閉可能な、回旋する(典型的には、円筒形)加熱ゾーンから成る。生成物およびスラッギング剤(複数を含む)の回転作用と回転炉内の空気とが、高度な温度均一性およびガス−固体の接触を引き起こす。これによって、より均質な生成物、加工時間の短縮、および生産速度の向上がもたらされる。炉内ですべての材料とガスが密接に接触することで、いずれの化学反応または物理反応も確実に完了するまで行われる。
【0047】
本明細書で用いられる場合、「スラッギング」は、溶融物から1つ以上の元素不純物を除去する目的で、シリコン等の溶融金属に、特定の酸化物および/または塩、あるいはその他の不溶性物質を添加する行為を指す。金属の精製において用いられる技法である。
【0048】
本明細書で用いられる場合、「ガス注入」とは、ガスが確実に溶融浴と最大限に接触するように、ガス(酸素、水蒸気、水素等)を溶融金属浴(シリコン等)に注入する行為を指す。この接触の目的は、溶融物中の不純物をガスと反応させて、比較的不純物のない溶融浴を生じる溶融物から分離する新しい化合物を形成することである。
【0049】
本明細書で用いられる場合、「真空処理」は、溶融金属よりも大きな蒸気圧を持つ不純物を除去する目的で、密閉した容器内で、シリコン等の溶融金属浴に大気圧未満の圧力をかける行為を指す。
【0050】
「ソーラーパネル」という用語は、電力を発生させるために用いられる太陽電池の集合体である、光起電性モジュールを指す。すべての場合において、パネルは、典型的には、平坦であり、様々な高さおよび幅で入手可能である。アレイは光起電性(PV)モジュールの集合体であり、パネルは、設計目的によって、並列または直列のいずれかで接続することができる。ソーラーパネルは、典型的には、住宅用、商業用、工業用、および準工業用の用途に利用される。
【0051】
本明細書で用いられる場合、「mm」はミリメートルを意味し、「ppm」は100万分の1を意味し、「℃」は摂氏温度を意味し、「wt%」は重量パーセントを意味し、「hr」は時間を意味し、「kg」はキログラムを意味し、「ppmwt%」は100万分の1重量パーセントを指す。
【0052】
図1を参照すると、シリコンを精製する方法、および精製されたシリコンを取得するための方法が提供される。図2を参照すると、本発明の方法を実施するために有用である例示的な装置システムが提供される。
【0053】
簡潔に述べると、第1の溶融液(104)は、原料シリコン(102)および溶媒金属(103)から形成される。第1の溶融液(104)は、第2の溶融液(108)およびドロス(110)を提供するように、第1のガス(106)に接触させられる。ドロス(110)は除去され得る。第2の溶融液(108)は、第1のシリコン結晶(114)および第1の母液(116)を提供するように冷却される。第1の母液(116)は第1のシリコン結晶(114)から分離することができる。第1のシリコン結晶(114)は、以下に説明するように、再利用(117)することができるか、または、洗浄されたシリコン結晶(121)および使用済みの酸(123)を提供するように、溶媒金属を溶解、消化できる、または好ましくはそれと反応することができる酸、塩基、アルコール、または化学物質(119)と接触させることができる。精製されたシリコン結晶(127)を提供するために、洗浄されたシリコン結晶(121)と使用済みの酸(123)とを分離(125)することができる。
【0054】
上記のように、第1の溶融液(104)は、原料シリコン(102)および溶媒金属(103)から形成される。好ましくは、第1の溶融液(104)は、多量のスラッシュが存在せず、完全に溶融しているべきである。代替として、第1の溶融液(104)は、多量のスラッシュを含んでもよい。
【0055】
一実施例では、第2の溶融液(108)をドロス(110)から分離した後に、第2の溶融液(108)が第2の炉等の第2の容器に移されてもよい。別の実施例では、第1のシリコン結晶(114)を分離した後に、第1の母液(116)が炉等の第2または第3の容器に移されてもよい。第2またはそれに続く容器を利用することにより、より高い純度が達成され得る。溶融液または母液を移す際には、前の容器に多量の汚染物質が残存する可能性があるため、分離または濾過ステップとしての役目を果たす。
【0056】
選択的に、第1の溶融液(104)を形成する前に、原料シリコン(102)が前処理されてもよい。前処理には、スラッギング、ガス注入、プラズマトーチ、真空処理、またはこれらのいくつかの組み合わせを含んでもよい。前処理は、誘導炉、電気抵抗炉もしくは回転炉、またはそれらの組み合わせにおいて行われてもよい。加えてまたは代替として、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、カルシウム(Ca)、ハフニウム(Hf)、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)、またはこれらのいくつかの組み合わせが、原料シリコン(102)に添加されてもよい。添加は、ガスと接触させる前、ガスと接触させた後、または、例えば、ガス導入ステップが用いられない場合は、第1の溶融液(104)に対して行われてもよい。前処理は、原料シリコン(102)におけるホウ素およびリン濃度を低下させることができる。代替として、二酸化ケイ素およびアルミニウムの他に、原料シリコン(102)が炉に加えられてもよく、シリコンとアルミニウムの混合物を提供する。酸化アルミニウムのドロスが形成される可能性がある。
【0057】
再利用する場合(117)は、溶媒金属(103)を用いて、第1のシリコン結晶(114)を加熱または溶融させ、第1の溶融液(104)として再導入することが可能である。例えば、結晶(114)は、シリコン結晶約20%とアルミニウム約80%、シリコン結晶約50%とアルミニウム50%、またはシリコン約60%とアルミニウム約40%の比率で、溶融金属を用いて溶融されてもよい。アルミニウム合金が使用されてもよい。
【0058】
いずれの適切な原料シリコン(102)が用いられてもよい。例えば、治金グレードのシリコンまたはアルミニウム製錬所グレードのシリコン(例えば、553、441、2202、1502、1101等)を、原料シリコン(102)として用いることができる。また、用いられる原料シリコン(102)は、多量の(例えば、約10.0ppmwt%を上回るか、約50.0ppmwt%を上回るか、または約100ppmwt%を上回る)リンおよびホウ素等の不純物を含んでいてもよい。例えば、原料シリコン(102)は、約95wt%から約99.9wt%までの純度であってもよい。より具体的には、原料シリコン(102)は、約5ppmwt%から約15ppmwt%までのホウ素および約30ppmwt%から約60ppmwt%までのリンを含み得る。特定の一実施形態では、用いられる原料シリコン(102)は、前回の精製で得られた第1のシリコン結晶(114)であってもよい。
【0059】
溶媒金属(103)は、加熱されると効率的にシリコンを溶解し、溶融液を生じさせることができる、任意の適切な金属、金属の組み合わせ、またはそれらの合金を含んでもよい。適切な例示的溶媒金属(103)には、例えば、銅、錫、亜鉛、アンチモン、銀、ビスマス、アルミニウム、カドミウム、ガリウム、インジウム、マグネシウム、鉛、それらの合金、およびそれらの組み合わせを含む。1つの特定の溶媒金属(103)は、アルミニウム、またはそれらの合金である。
【0060】
原料シリコン(102)および溶媒金属(103)は、第1の溶融液(104)が効率的に形成され得る限り、それぞれがいずれの適切な量または比率で存在してもよい。例えば、原料シリコン(102)は約20wt%から約60wt%までで用いられてもよく、アルミニウム、またはその合金は、溶媒金属(103)として、約40wt%から約80wt%までで用いられてもよい。より具体的には、原料シリコン(102)は第1の溶融液(104)の約40%、アルミニウムは約60%であってもよい。
【0061】
上記のように、第1の溶融液(104)は、第2の溶融液(108)およびドロス(110)を提供するように、第1のガス(106)と接触させられる。特定の論理に束縛されるものではないが、第1のガス(106)が、気泡の表面(202)と第1の溶融液(104)とのぬれ角を変化させると考えられる。これにより、望ましくない包有物または沈殿物を気泡の表面に粘着させて、それらを溶融物の表面まで引き上げ、ドロス(110)中に残すことができる。さらに、ガス(106)は、反応して第1の溶融液(104)から塩(例えば、MgCl、CaCl SrCl、およびNaCl)を形成することが可能であり、該塩は表面に移動して、ドロス(110)とともに除去することができる。具体的には、包有物または沈殿物は、第1のガス(106)の気泡(202)に付着することにより、第2の溶融液(108)の表面まで引き上げられ、そこでドロス(110)として除去することができる。したがって、より大きな気泡と比べて比較的大きな表面積対体積比を有する比較的小さな気泡(202)が、本発明において特に適している。小さな気泡(202)は、例えば、約1mm〜約5mmのサイズであってもよい。
【0062】
用いられる第1のガス(106)は、第1の溶融液(104)を含有する容器に直接導入することができる。そのような状況では、塩素(Cl)、酸素(O)、窒素(N)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、水素(H)、六フッ化硫黄(SF)、ホスゲン(COCl)、四塩化炭素(CCl)、水蒸気(HO)、酸素(O)、二酸化炭素(CO)、一酸化炭素(CO)、四塩化ケイ素(SiCl)、および四フッ化ケイ素(SiF4)のうちの少なくとも1つが、第1の溶融液(104)を含有する容器に直接導入されてもよい。第1のガスは、1回より多く導入または接触されてもよい。例えば、酸素の後に塩素が導入されてもよい。代替として、用いられる第1のガス(106)は、第1のガス(106)を効率的に発生させる前駆物質として、第1の溶融液(104)を含有する容器に導入することができる。前駆物質自体は、固体または液体または塩フラックスであってもよい。例えば、第1のガスは、効率的に第1のガスを発生させるように、第1の溶融液を液体、固体、またはその組み合わせと接触させることによって形成することができる。典型的には、第1の溶融液(104)が比較的高温下にある場合、液体または固体の前駆物質が、化学反応または分解を起こして第1のガス(106)を放出する。
【0063】
特定の一実施形態では、第1のガス(106)は100wt%の塩素(Cl)を含む。別の特定の実施形態では、第1のガス(106)は塩素(Cl)および窒素(N)を含む。別の特定の実施形態では、第1のガス(106)は塩素(Cl)および窒素(N)を、例えば、約1:4まで、約1:6まで、または約1:10までの比率で含む。第1のガス(106)は、例えば、約30%の塩素と約70%の窒素、約15%の塩素と約85%の窒素、または約5%の塩素と約95%の窒素を含んでもよい。
【0064】
一実施形態では、第1の溶融液(104)は、回転式脱気装置(204)を用いて第1のガス(106)に接触してもよい。回転式脱気装置(204)は、第1のガス(106)を第1の溶融液(104)に効率的に導入することができる。また、回転式脱気装置(204)は、第1のガス(106)が第1の溶融液(104)に導入されている間に、第1の溶融液(104)を効率よく撹拌する(例えば、かき混ぜる)ことができ、比較的小さな気泡を作る。気泡は、例えば、約1mmから約5mmまでであってもよい。
【0065】
次に、例えば、スキマーを用いて、第2の溶融液(108)からドロス(110)を除去することができる。典型的には、ドロス(110)は、第2の溶融液(108)の表面に位置する白色、灰色、または黒色の粉末であり、母液と混合された酸化物を含む半個体状ドロスであってもよい。第2の溶融液(108)は、セラミック発泡体フィルタ、濾床、濾床内でのケーク濾過、またはガラス繊維布等を用いて、包有物(例えば、二ホウ化チタン包有物)または沈殿物を濾過することができる。濾過は、前処理の一環として原料シリコン(102)に加えられた任意の要素をも除去することができる。随意的な一実施形態では、回転式脱気装置(204)は、第2の溶融液(108)中のドロス(110)を効率的に混合することができる第2の溶融液(108)の渦を作ることができる。そのような実施形態では、渦が酸素に接触して追加のドロス(110)を提供する。
【0066】
一実施形態では、第1の溶融液(104)は、第1のガス(106)と接触させる前に冷却されてもよい。具体的には、第1の溶融液(104)は、第1のガス(106)と接触させる前に、液相温度をやや上回るまで(例えば、液相温度を約50℃上回る範囲内)、または、液相温度と固相温度との間の温度まで冷却されてもよい。望ましい温度は、混合物中のシリコンと溶媒金属の比率に依存する。
【0067】
一実施形態では、第2の溶融液(108)は、第1の溶融液(104)が第1のガス(106)と接触させられた後、かつ、ドロス(110)と第2の溶融液(108)とが分離される前に、加熱することができる。具体的には、第2の溶融液(108)は、第1の溶融液(104)が第1のガス(106)と接触させられた後、かつ、ドロス(110)と第2の溶融液(108)とが分離される前に、液相温度より高い温度で加熱されてもよい。より具体的には、第2の溶融液(108)は、第1の溶融液(104)が第1のガス(106)と接触させられた後、かつ、ドロス(110)と第2の溶融液(108)とが分離される前に、液相温度を約20℃上回る範囲内で加熱されてもよい。
【0068】
上記のように、第2の溶融液(108)は、第1のシリコン結晶(114)および第1の母液(116)を提供するように冷却される(112)。一実施形態では、第2の溶融液(108)は、第2の溶融液(108)を撹拌している間に冷却(112)されてもよい。特定の論理に拘束されるものではないが、冷却中に(112)撹拌することにより、歪ませ難く、比較的高純度の比較的小さなシリコン結晶(114)を提供することができると考えられる。少量を混合することによって、約1mm(厚み)×約3mm(幅)×約3mm(長さ)のシリコン結晶(114)を提供することができる。
【0069】
さらに、第1のシリコン結晶(114)が第1の母液(116)中に得られるならば、第2の溶融液(108)は、任意の適切かつ妥当な温度まで冷却(112)されてもよい。具体的には、第2の溶融液(108)は、固相温度に近いがそれを上回る温度(例えば、固相温度を約100℃上回る範囲か、固相温度を約125℃上回る範囲か、または固相温度を約150℃上回る範囲)まで冷却(112)されてもよい。より具体的には、第2の溶融液(108)は、固相温度を上回り、かつ液相温度を下回る温度まで冷却(112)することができる。所望される温度は、シリコン対溶媒金属の比率、および混合物に加えられる前処理要素の種類と量に依存する。
【0070】
第1のシリコン結晶(114)が第1の母液(116)中に許容できる純度で得られる限り、第2の溶融液(108)は、任意の適切な速度で冷却(112)されてもよい。第1のシリコン結晶(114)が第1の母液(116)中に得られる限り、第2の溶融液(108)は、任意の適切かつ妥当な期間にわたって冷却(112)されてもよい。例えば、第2の溶融液(108)は、少なくとも約1時間、少なくとも約8時間、または少なくとも約24時間の期間にわたって冷却(112)されてもよい。
【0071】
一実施形態では、第1のシリコン結晶(114)と第1の母液(116)とを分離することができる。分離は、いずれの適切かつ妥当な様式において実行され得る。例えば、第1の母液(116)を第1のシリコン結晶(114)から洗い流すことによって、分離を実行することができる。代替として、分離は遠心分離を用いて実行されてもよい。図2(b)を見ると分かるように、第1のシリコン結晶(114)に圧力をかけて分離を支援するために、ストレーナ(115)が利用されてもよい。
【0072】
特定の一実施形態では、得られた第1のシリコン結晶(114)は、後続する精製において第2の溶融液(108)の一部として利用または再利用(117)することができる。この再利用またはリサイクリング(117)は、要求される純度レベルを有する第2の溶融液(108)を提供するように、複数回(例えば、2、3、4、または5回)実行されてもよい。そのような実施形態では、後続する第2の溶融液(108)を形成する前に、アルミニウム(Al)が第1のシリコン結晶(114)に加えられてもよい。
【0073】
第1のシリコン結晶(114)は、任意の適切かつ有効な技法を用いて、第1の母液(116)から分離することができる。第1のシリコン結晶(114)は、洗浄されたシリコン結晶(121)および使用済みの酸(123)を提供するために、溶媒金属を溶解することができる酸、塩基、アルコール、または化学物質と接触させられる。洗浄されたシリコン結晶(121)および使用済みの酸(123)は、精製されたシリコン結晶を提供するように分離することができる。使用済みの酸(123)は、存在する任意の使用済みの酸だけでなく、溶媒金属を溶解、消化、または好ましくは、それと反応するために使用された塩基、アルコールまたは化学物質も指す。使用済みの酸は、第1のシリコン結晶(114)と接触した後に存在する、そのような1つ以上の物質を指す。
【0074】
酸は、塩酸(HCl)、硝酸(HNO)、硫酸(HSO)、フッ酸(HF)、酢酸、水、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。酸は8モルの酸および水を含んでもよい。例えば、8モルの酸は、約95%(v)の塩酸(HCl)および約5%(v)の硝酸(HNO)、硫酸(HSO)、フッ酸(HF)、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。アルカリ等の用いられる塩基は、酸化ナトリウム(NaOH)および水酸化カリウム(KOH)を含んでもよい。洗浄されたシリコン結晶は、誘導結合プラズマ発光分析計(ICPOES)を用いて測定されるように、約800ppm(wt)から約2,000ppm(wt)までのアルミニウム(Al)を含んでもよい。
【0075】
図2を参照すると、シリコンを精製する方法、および精製されたシリコンを得るための方法が提供される。簡潔に述べると、第1の溶融液(104)は、原料シリコン(102)および溶媒金属(103)から形成される。第1の溶融液(104)は、第1のシリコン結晶(114)および第1の母液(116)を提供するように冷却される。第1のシリコン結晶(114)は、以下に説明するように、再利用(117)することができるか、または、洗浄されたシリコン結晶(121)および使用済みの酸(123)を提供するために、アルミニウムを効率的に溶解または消化することができる酸、塩基、アルコールまたは化学物質(119)と接触させることができる。精製されたシリコン結晶(127)を提供するために、洗浄されたシリコン結晶(121)と使用済みの酸(123)とを分離(125)することができる。
【0076】
上記のように、第1の溶融液(104)は、第1のシリコン結晶(114)および第1の母液(116)を提供するように冷却(112)される。一実施形態では、第1の溶融液(104)は撹拌中に冷却(112)される。特定の論理に拘束されるものではないが、冷却中に(112)撹拌することにより、歪ませ難く、比較的高純度の比較的小さなシリコン結晶(114)を提供することができると考えられる。少量を混合することによって、約1mm(厚み)×約3mm(幅)×約3mm(長さ)のシリコン結晶(114)を提供することができる。結晶を混合しない場合は、約1mm(厚み)×約15mm(幅)×約15mm(長さ)まで、または約2mm(厚み)×約60mm(幅)×約60mm(長さ)までのサイズであってもよい。
【0077】
また、第1のシリコン結晶(114)が第1の母液(116)中に得られる限り、第1の溶融液(104)は、いずれの適切かつ妥当な温度まで冷却(112)されてもよい。より具体的には、第1の溶融液(104)は、固相温度を上回り、かつ液相温度を下回る温度まで冷却(112)することができる。
【0078】
第1のシリコン結晶(114)が第1の母液(116)中に得られる限り、第1の溶融液(104)は、任意の適切かつ妥当な速度で冷却(112)されてもよい。第1のシリコン結晶(114)が第1の母液(116)中に得られる限り、第1の溶融液(104)は、任意の適切かつ妥当な期間にわたって冷却(112)されてもよい。例えば、第1の溶融液(104)は、少なくとも約1時間、少なくとも約8時間、または少なくとも約24時間の期間にわたって冷却(112)することができる。
【0079】
一実施形態では、第1のシリコン結晶(114)と第1の母液(116)とを分離することができる。分離は、任意の適切かつ妥当な様式において実行されてもよい。例えば、第1の母液(116)を第1のシリコン結晶(114)から洗い流すことによって、分離を実行することができる。代替として、分離は遠心分離を用いて実行されてもよい。代替として、分離は遠心分離を用いて実行されてもよい。図2(b)を見ると分かるように、第1のシリコン結晶(114)に圧力をかけて分離を支援するために、ストレーナ(115)が利用されてもよい。
【0080】
特定の一実施形態では、得られた第1のシリコン結晶(114)は、後続する精製において第1の溶融液(104)の一部として利用または再利用(117)することができる。この再利用またはリサイクリング(117)は、要求される純度レベルを有する第1の溶融液(104)を提供するように、複数回(例えば、2、3、4または5回)実行されてもよい。そのような実施形態では、後続する第1の溶融液(104)を形成する前に、アルミニウム(Al)が第1のシリコン結晶(114)に選択的に加えられてもよい。
【0081】
第1のシリコン結晶(114)は、任意の適切かつ有効な技法を用いて、第1の母液(116)から分離することができる。第1のシリコン結晶(114)は、洗浄されたシリコン結晶(121)および使用済みの酸(123)を提供するために、酸と接触させられる。洗浄されたシリコン結晶(121)と使用済みの酸(123)とは、精製されたシリコン結晶を提供するように分離することができる。
【0082】
上記方法のうちのいずれが用いられたかにかかわらず、精製されたシリコン結晶が得られると、溶融シリコンを提供するために、結晶を炉内で溶融することができる。続いて、溶融シリコンは、実質的に純粋なO(例えば、99.5%のO)等のガスと接触させられ、その後選択的に濾過されてもよい。シリコンは、シリコンインゴットを提供するために方向性をもって凝固することができる。インゴットの上部は、切る、折る、または部分的に溶融しているインゴットの上部を捨てること等によって、選択的に除去されてもよい。シリコンは、ガス注入(例えば、水、水素、アルゴン、または酸素を使用)、スラッギング、プラズマトーチまたは真空処理等によって、後処理されてもよい。後処理は、ホウ素、アルミニウムおよびリン濃度を低下させるために、誘導炉、電気抵抗炉、回転炉、またはそれらの組み合わせにおいて行われてもよい。ガス注入は、例えば、回転式脱気装置、ランスまたは炉内で多孔性プラグを用いて行うことができる。選択的に、多結晶インゴットまたは単結晶ブールを提供するように、シリコンを方向性をもって凝固させてもよい。方向性凝固は、複数回繰り返すことができる。
【0083】
図4を参照すると、以下のステップを含むシリコンを精製するための方法の一実施例が示されている。原料シリコン(102)およびアルミニウム等の溶媒金属(103)から第1の溶融液(104)を形成するステップ、ドロス(110)および第2の溶融液(108)を提供するように第1の溶融液(104)を第1のガス(106)と接触させるステップ、ドロスと第2の溶融液(108)とを分離するステップ、第1のシリコン結晶(114)および第1の母液(116)を形成するように第2の溶融液を冷却(112)するステップ、および第1のシリコン結晶と第1の母液とを分離するステップ。第1のシリコン結晶(114)は、別の第1の溶融液(104)を形成するために、溶媒金属(103)で溶融することにより再利用(117)することができるか、または、第2の溶融液(108)を形成するために、溶媒金属(103)で溶融させてガスと接触させることができる。また当該方法は、第1のシリコン結晶を溶媒金属で溶融させ、上記ステップを繰り返すことを任意選択的に含む。
【0084】
第1のシリコン結晶(114)は、洗浄されたシリコン結晶(121)および使用済みの酸(123)を提供するために、アルミニウムまたは溶媒金属(119)を溶解することができる酸、塩基、アルコールまたは化学物質と接触させてもよい。洗浄されたシリコン結晶(121)は、精製されたシリコン結晶(127)を提供するのに十分である、使用済みの酸(123)から分離(125)することができる。精製されたシリコン結晶(127)は、その後シリコン溶融物(131)を形成するように溶融(129)されてもよい。酸素等の第2のガス(133)がシリコン溶融物(131)と接触してもよい。第2のガスと接触したシリコン溶融物135は、ポリシリコン(139)を形成するために、続いて、方向性をもって凝固(137)することができる。
【0085】
一実施形態では、第1のシリコン結晶(114)を、酸と接触させる前に、約1mm〜約mmまたはそれより小さな粒に粉砕する。
【0086】
酸浸出後の例示的なGDMS検査からの分析結果をppm(wt)単位で次に示す。
【0087】
【表1】

酸浸出および以下のステップ、
(a)シリコンと、銅、錫、亜鉛、アンチモン、銀、ビスマス、アルミニウム、カドミウム、ガリウム、インジウム、マグネシウム、鉛、それらの合金、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される溶媒金属とから、第1の溶融液を形成するステップと、
(b)ドロスおよび第2の溶融液を提供するように、第1の溶融液を第1のガスと接触させるステップと、
(c)ドロスと第2の溶融液とを分離するステップと、
(d)第1のシリコン結晶および第1の母液を形成するように、前記第2の溶融液を冷却するステップと、
(e)第1のシリコン結晶と第1の母液とを分離するステップ
を繰り返した後の例示的なGDMS検査の分析結果(ppm(wt))は、
【0088】
【表2】

である。
【0089】
本明細書に記載される方法は、商業的な量(例えば、少なくとも約240kg)の精製されたシリコンを、比較的費用効率の高い様式で、かつ、比較的短期間(例えば、約24〜94時間以内)に、効率的に提供することができる。本明細書に記載される方法は、少なくとも約100トン/年の精製されたシリコンを、比較的費用効率の高い様式で、かつ、比較的短期間(例えば、約24〜94時間以内)に、効率的に提供することができる。得られた比較的純粋なシリコンは、ソーラーパネル、太陽電池、ウエハまたは集積回路を提供するために、さらに処理することができる。
【0090】
得られる比較的純粋なシリコンは、リチウム(Li)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、リン(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、塩素(Cl)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、および銅(Cu)のうちの少なくとも1つを含む、周期表のすべての元素が取り除かれることができる。本発明の実施形態は、以下のうちのいずれか1つ以上を、それぞれ約15ppm未満で含む比較的純粋なシリコンを提供することができる。リチウム(Li)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、リン(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、塩素(Cl)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)。および銅(Cu)。より具体的には、得られた比較的純粋なシリコンは、以下のうちのいずれか1つ以上を、それぞれ約5ppm未満で含んでもよい:鉄(Fe)およびアルミニウム(Al)。また、得られた比較的純粋なシリコンは、以下のうちのいずれか1つ以上を、それぞれ約1ppm未満で含んでもよい。リチウム(Li)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、リン(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、塩素(Cl)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、およびアルミニウム(Al)。
【0091】
上記ステップのいずれも、高純度の難処理物質において実行することができる。難処理物質は低濃度のホウ素およびリンを含んでいてもよい。難処理物質は、例えば、シリカ、または65〜85%のシリカと融合されてもよい。上で使用されたいずれの容器(例えば、坩堝)も、例えば、石英、融合シリカ、黒鉛、Si、またはSiCで製造されても、または内側を覆われていてもよい。容器は、低濃度のPおよびBを用いた高純度モールド洗浄(コーティング)をされてもよい。
【0092】
(実施例1)
金属シリコン40%と一次アルミニウム60%との混合物950lbを溶融させ、炉内で975℃まで加熱した。アルミニウム−カルシウムのマスター合金を使用して、0.25lbのCaを上記溶融物に加えた。溶融物の表面からドロスをすくい取った。温度を950℃まで下げ、回転式脱気装置を介して、3時間かけて溶融混合物に85%Nと15%Clとのガスを注入し、続いて、100%のNガスを15分かけて注入した。30分ごとに溶融物の表面からドロスをすくい取った。混合物を1000℃まで加熱した。溶融混合物を新しい炉に注ぎ入れ、8時間かけて750℃まで温度を下げた。続いて、溶融母液を炉から注ぎ出し、残りのシリコン結晶/薄片を炉から掻き出して集めた。続いて、シリコン薄片/結晶を、炉内で50:50wt%の比率でアルミニウムと溶融させた。ガス注入、ドロス除去および結晶成長工程を繰り返した。続いて、薄片を8wt%のHCl+水の溶液に入れ、72時間かけてアルミニウムを薄片から溶出させた。続いて、酸から薄片を濾過して乾燥させた。続いて、乾燥した薄片を炉内で溶融させた。溶融してから、ランスを介して、3時間かけて溶融シリコンに99.5%のOを注入した。ドロスまたはスラグを炉からすくい取り、溶融シリコンを炉に注ぎ入れ、該シリコンを下から上へと方向性をもって凝固させた。シリコンインゴットの上部を切り取り、残りのシリコンを、ニューハンプシャー州メリマック所在のGT Solar社製GT−DSS240炉内で溶融させ、該シリコンを方向性をもって凝固させた。得られたポリシリコンは、GDMSによる測定の結果、0.79〜1.1ppmwのホウ素濃度および0.27〜1.1ppmwの間のPを有し、その他の金属は1ppmw未満であった。
【0093】
(実施例2)
金属シリコン40%と一次アルミニウム60%との混合物950lbを溶融させ、炉内で975℃まで加熱した。アルミニウム−カルシウムのマスター合金を使用して、1lbのCaを上記溶融物に加えた。溶融物の表面からドロスをすくい取った。温度を950℃まで下げ、回転式脱気装置を介して、3時間かけて溶融混合物に85%Nと15%Clとのガスを注入し、続いて、100%のNガスを15分かけて注入した。混合物を975℃まで加熱し、溶融物の表面からドロスをすくい取った。溶融混合物を新しい炉に注ぎ入れ、8時間かけて750℃まで温度を下げた。続いて、溶融母液を炉から注ぎ出し、残りのシリコン結晶/薄片を炉から掻き出して集めた。アルミニウム母液は、アルミニウム鋳物を創るために、その後、鋳造業界に販売することができる。これらの薄片を、続いて、アルミニウムと50:50wt%の比率で、炉内で溶融させた。ガス注入、ドロス除去および結晶成長工程を繰り返した。続いて、薄片を8wt%のHCl+水の溶液に入れ、48時間かけてアルミニウムを薄片から溶出させた。続いて、酸から薄片を濾過して乾燥させた。続いて、乾燥した薄片をGT−DSS240炉内で溶融させた。シリコンインゴットの上部を切り取り、残りのシリコンを、先程と同様にニューハンプシャー州メリマック所在のGT Solar社製GT−DSS240GT炉内で溶融させ、該シリコンを方向性をもって凝固させた。得られたポリシリコンは、GDMSによる測定の結果、0.85〜1.1ppmwのホウ素濃度および0.41〜1.1ppmwの間のPを有し、その他の金属は1ppmw未満であった。
【0094】
(実施例3)
金属シリコン40%と一次アルミニウム60%との混合物950lbを溶融させ、炉内で975℃まで加熱した。溶融物の表面からドロスをすくい取った。溶融混合物を新しい炉に注ぎ入れ、2時間かけて750℃まで温度を下げた。続いて、溶融母液を炉から注ぎ出し、残りのシリコン結晶/薄片を炉から掻き出して集めた。続いて、成長した薄片を8wt%のHCl+水の溶液に入れ、48時間かけてアルミニウムを薄片から溶出させた。続いて、酸から薄片を濾過して乾燥させた。続いて、乾燥した薄片を炉内で溶融させた。溶融してから、ランスを介して、3時間かけて溶融シリコンに99.5%のOを注入した。ドロスまたはスラグを炉からすくい取り、溶融シリコンを炉に注ぎ入れ、該シリコンを下から上へと方向性をもって凝固させた。シリコンインゴットの上部を切り取り、残りのシリコンをGT Solar社のDSS240炉内で溶融させ、該シリコンを方向性をもって凝固させた。
【0095】
(実施例4)
金属シリコン40%と一次アルミニウム60%との混合物950lbを溶融させ、炉内で975℃まで加熱した。溶融物の表面からドロスをすくい取った。温度を950℃まで下げ、回転式脱気装置を介して、3時間かけて溶融混合物に85%Nと15%Clとのガスを注入し、続いて、100%のNガスを15分かけて注入した。混合物を975℃まで加熱し、溶融物の表面からドロスをすくい取った。溶融混合物を新しい炉に注ぎ入れ、8時間かけて750℃まで温度を下げた。続いて、溶融母液を炉から注ぎ出し、残りのシリコン結晶/薄片を炉から掻き出して集めた。続いて、成長した薄片を8wt%のHCl+水の溶液に入れ、72時間かけてアルミニウムを薄片から溶出させた。続いて、酸から薄片を濾過して乾燥させた。続いて、乾燥した薄片を炉内で溶融させた。溶融してから、ランスを介して、3時間かけて溶融シリコンに99.5%のOを注入した。ドロスまたはスラグを炉からすくい取り、溶融シリコンを炉に注ぎ入れ、該シリコンを下から上へと方向性をもって凝固させた。シリコンインゴットの上部を切り取り、残りのシリコンをDSS240炉内で溶融させ、該シリコンを方向性をもって凝固させた。得られたポリシリコンは、GT−GDMSによる測定の結果、1.2〜1.8ppmwのホウ素濃度および0.5〜2.0ppmwのPを有し、その他の金属は1ppmw未満であった。
【0096】
(実施例5)
金属シリコン30%と一次アルミニウム70%との混合物950lbを溶融させ、炉内で850℃まで加熱した。チタンアルミニウムのマスター合金を加えることにより、1lbのチタンおよび1lbのジルコニウムを溶融物に加えた。溶融物の表面からドロスをすくい取った。温度を800℃まで下げ、回転式脱気装置を介して、4時間かけて溶融混合物に95%Nと5%Clとのガスを注入し、続いて、100%のNガスを15分かけて注入した。溶融物の表面からドロスをすくい取った。セラミック発泡体フィルタを通して、溶融混合物を新しい炉に注ぎ入れ、8時間かけて690℃まで温度を下げた。続いて、溶融母液を炉から注ぎ出し、残りのシリコン結晶/薄片を炉から掻き出して集めた。続いて、成長した薄片を8wt%のHCl+水の溶液に入れ、48時間かけてアルミニウムを薄片から溶出させた。続いて、酸から薄片を濾過して乾燥させた。続いて、乾燥した薄片を炉内で溶融させた。溶融してから、ランスを介して、3時間かけて溶融シリコンに99.5%のOを注入した。ドロスまたはスラグを炉からすくい取り、セラミック発泡体フィルタを通して、溶融シリコンを炉に注ぎ入れ、該シリコンを下から上へと方向性をもって凝固させた。シリコンインゴットを壊して塊にし、最も凍結しにくいシリコンを除去した。
【0097】
(実施例6)
治金グレードのシリコンを炉内で溶融させ、ランスを介して、3時間かけて溶融シリコンにAr、HOおよびHガスの混合物を注入した。続いて、金属シリコン40%および一次アルミニウム60%の組成になるまでアルミニウムを加え、炉内で975℃まで加熱した。溶融物の表面からドロスをすくい取った。温度を950℃まで下げ、回転式脱気装置を介して、3時間かけて溶融混合物に85%Nと15%Clとのガスを注入し、続いて、100%のNガスを15分かけて注入した。混合物を975℃まで加熱し、溶融物の表面からドロスをすくい取った。溶融混合物を新しい炉に注ぎ入れ、8時間かけて750℃まで温度を下げた。続いて、溶融母液を炉から注ぎ出し、残りのシリコン結晶/薄片を炉から掻き出して集めた。続いて、成長した薄片を8wt%のHCl+水の溶液に入れ、48時間かけてアルミニウムを薄片から溶出させた。続いて、酸から薄片を濾過して乾燥させた。続いて、乾燥した薄片を炉内で溶融させた。溶融してから、ランスを介して、3時間かけて溶融シリコンに99.5%のOを注入した。ガスを注入している間に、SiO、NaSiO、およびCaOからなるスラグを溶融シリコンの表面に加えた。溶融シリコンにおける誘導炉の流れを用いて、スラグを表面下に引き寄せた。ドロスまたはスラグを炉からすくい取り、溶融シリコンを炉に注ぎ入れ、該シリコンを下から上へと方向性をもって凝固させた。シリコンインゴットの上部を切り取り、残りのシリコンを再溶融させ、続いて、方向性凝固路に注ぎ戻し、再び下から上へと方向性をもって凝固させた。その後、上部を切り取った。
【0098】
(実施例7)
金属シリコン40%と一次アルミニウム60%の混合物950lbとを溶融させ、炉内で975℃まで加熱した。溶融物の表面からドロスをすくい取った。温度を950℃まで下げ、回転式脱気装置を介して、3時間かけて溶融混合物に85%Nと15%Clとのガスを注入し、続いて、100%のNガスを15分かけて注入した。混合物を975℃まで加熱し、溶融物の表面からドロスをすくい取った。溶融混合物を新しい炉に注ぎ入れ、8時間かけて750℃まで温度を下げた。続いて、溶融母液を炉から注ぎ出し、第2の炉に注ぎいれた。残りのシリコン結晶/薄片を第1の炉から掻き出して集めた。第2の炉の中の母液を、第2の炉の中で650℃まで冷却した後、第2の母液を注ぎ出し、続いて、第2の炉から薄片/結晶を掻き出して集めた。これにより、1回の加熱から作ることのできる薄片の量が増加する。続いて、成長した薄片を8wt%のHCl+水の溶液に入れ、48時間かけてアルミニウムを薄片から溶出させた。続いて、酸から薄片を濾過して乾燥させた。続いて、乾燥した薄片を炉内で溶融させた。溶融してから、ランスを介して、4時間かけて溶融シリコンに空気を注入した。ドロスまたはスラグを炉からすくい取り、溶融シリコンを炉に注ぎ入れ、該シリコンを下から上へと方向性をもって凝固させた。シリコンインゴットの上部を切り取り、残りのシリコンをGT Solar社のDSS240炉内で溶融させ、該シリコンを方向性をもって凝固させた。
【0099】
(実施形態)
1.
シリコンを精製するための方法であって、
(a)原料シリコン、ならびに、銅、錫、亜鉛、アンチモン、銀、ビスマス、アルミニウム、カドミウム、ガリウム、インジウム、マグネシウム、鉛、それらの合金、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される溶媒金属から、第1の溶融液を形成することと、
(b)ドロスおよび第2の溶融液を提供するために、該第1の溶融液を第1のガスと接触させることと、
(c)該ドロスと該第2の溶融液とを分離することと、
(d)第1のシリコン結晶および第1の母液を形成するために、該第2の溶融液を冷却することと、
(e)該第1のシリコン結晶と該第1の母液とを分離することと、
(f)洗浄されたシリコン結晶および使用済みの酸を提供するために、該第1のシリコン結晶を、該溶媒金属を溶解させることができる酸、塩基、アルコール、または化学物質と接触させることと、
(g)該洗浄されたシリコン結晶と該使用済みの酸とを分離することと
を含む、方法。
2.
第1の溶融液を形成する前に、スラッギング、ガス注入、プラズマトーチ、真空処理、またはそれらの組み合わせによって、原料シリコンを前処理することをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
3.
第1の溶融液を形成する前に、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、カルシウム(Ca)、ハフニウム(Hf)、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)またはそれらの組み合わせを前記原料シリコンに添加することをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
4.
前記第1のガスと接触させることは、小さな気泡を提供する、実施形態1に記載の方法。
5.
前記第2の溶融液を濾過することをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
6.
ステップ(a)において、前記第1の溶融液は、液相温度を超えて加熱することにより形成される、実施形態1に記載の方法。
7.
ステップ(a)において、冶金グレードのシリコンは、60ppmwを下回るリン濃度および15ppmwを下回るホウ素濃度で用いられる、実施形態1に記載の方法。
8.
ステップ(a)において、シリコンは約20wt%から約60wt%までにおいて用いられる、実施形態1に記載の方法。
9.
ステップ(a)において、アルミニウムまたはその合金は、約40wt%から約80wt%までにおいて、前記溶媒金属として用いられる、実施形態1に記載の方法。
10.
ステップ(b)は、前記第1の溶融液を撹拌している間に実行される、実施形態1に記載の方法。
11.
ステップ(b)は、回転式脱気装置を用いて実行される、実施形態1に記載の方法。
12.
ステップ(a)の後であってステップ(b)の前に、前記第1の溶融液は、前記液相温度を下回るまで冷却される、実施形態1に記載の方法。
13.
ステップ(a)の後であってステップ(b)の前に、前記第1の溶融液は、前記液相温度をわずかに上回るまで冷却される、実施形態1に記載の方法。
14.
ステップ(c)において、前記ドロスは、前記第2の溶融液の表面から除去される、実施形態1に記載の方法。
15.
ステップ(c)の後に、前記第2の溶融液は、第2の容器に移される、実施形態1に記載の方法。
16.
ステップ(d)において、前記第2の溶融液は、固相温度を上回り、かつ、前記液相温度を下回るまで冷却される、実施形態1に記載の方法。
17.
ステップ(d)は、前記第2の溶融液を撹拌している間に実行される、実施形態1に記載の方法。
18.
ステップ(e)は、前記第1のシリコン結晶から前記第1の母液を洗い流すことによって実行される、実施形態1に記載の方法。
19.
ステップ(e)の後であってステップ(f)の前に、ステップ(a)〜(e)を繰り返す、実施形態1に記載の方法。
20.
ステップ(e)の後であってステップ(f)の前に、ステップ(a)、(c)、(d)、および(e)を繰り返す、実施形態1に記載の方法。
21.
ステップ(g)における前記分離することは、ストレーナを用いて実行される、実施形態1に記載の方法。
22.
ステップ(a)〜(g)のうちの少なくとも1つは、複数回実行される、実施形態1に記載の方法。
23.
ステップ(a)〜(g)の各々は、独立して複数回実行される、実施形態1に記載の方法。
24.
前記第1のシリコン結晶は、約85wt%から約98wt%までのシリコンを含む、実施形態1に記載の方法。
25.
前記洗浄されたシリコン結晶は、約800ppm(wt)から約2,000ppm(wt)までのアルミニウム(Al)を含む、実施形態1に記載の方法。
26.
前記シリコンは、リチウム(Li)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、リン(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、塩素(Cl)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、および銅(Cu)のうちの少なくとも1つを取り除かれる、実施形態1〜25のうちのいずれか1項に記載の方法。
27.
前記洗浄されたシリコン結晶は、約9ppm(wt)未満のリン(P)と、約3ppm(wt)未満のホウ素(B)とを含む、実施形態1に記載の方法。
28.
前記洗浄されたシリコン結晶は、約4ppm(wt)未満のリン(P)と、約2ppm(wt)未満のホウ素(B)とを含む、実施形態18〜19のうちのいずれか一項に記載の方法。
29.
少なくとも約100トン/年の前記洗浄されたシリコン結晶が得られる、実施形態1〜28のうちのいずれか一項に記載の方法。
30.
前記方法は、約24時間未満で実行される、実施形態1〜29のうちのいずれか一項に記載の方法。
31.
太陽電池、ソーラーパネル、ウエハ、または集積回路を提供するのに十分である前記洗浄された結晶を加工することをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
32.
前記洗浄されたシリコン結晶を前記加工することは、
(a)真空処理と、
(b)スラグ処理と、
(c)酸素、水、水素、およびアルゴンのうちの1つ以上を用いたガス注入と、
(d)方向性凝固と、
(e)該洗浄されたシリコン結晶を、シラン/シーメンスのガスプロセス用の原料として利用することと
のうちの少なくとも1つを含む、実施形態31に記載の方法。
33.
前記洗浄されたシリコン結晶を精製することをさらに含み、それにより、ソーラーパネルグレードのシリコンを提供するために他のシリコンと混合されるソーラーグレードのシリコンを提供する、実施形態1〜32のうちのいずれか1項に記載の方法。
34.
シリコンを精製するための方法であって、
(a)原料シリコン、ならびに銅、錫、亜鉛、アンチモン、銀、ビスマス、アルミニウム、カドミウム、ガリウム、インジウム、マグネシウム、鉛、それらの合金、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される溶媒金属から第1の溶融液を形成することと、
(b)第1のシリコン結晶および第1の母液を形成するために、該第1の溶融液を冷却することと、
(c)該第1のシリコン結晶と該第1の母液とを分離することと、
(d)洗浄されたシリコン結晶および使用済みの酸を提供するために、該第1のシリコン結晶を、アルミニウムを溶解させる酸、塩基、アルコール、または化学物質と接触させることと、
(e)該洗浄されたシリコン結晶と該使用済みの酸とを分離することと
を含む、方法。
35.
ステップ(a)において、前記第1の溶融液は、液相温度を超えて加熱することにより形成される、実施形態34に記載の方法。
36.
ステップ(a)において、金属グレードのシリコンは、60ppmwを下回るリン濃度および15ppmwを下回るホウ素濃度で用いられる、実施形態34に記載の方法。
37.
ステップ(a)において、シリコンは約20wt%から約60wt%までにおいて用いられる、実施形態34に記載の方法。
38.
ステップ(a)において、アルミニウム、またはその合金は、前記溶媒金属として、約40wt%から約80wt%までにおいて用いられる、実施形態34に記載の方法。
39.
ステップ(b)において、前記第2の溶融液は、固相温度をやや上回り、かつ、液相温度を下回るまで冷却される、実施形態34に記載の方法。
40.
ステップ(c)は、前記第1のシリコン結晶から前記第1の母液を洗い流すことによって実行される、実施形態34に記載の方法。
41.
アルミニウムは、前記第1のシリコン結晶と接触させられ、後続の第2の溶融液を提供するために溶融される、実施形態34に記載の方法。
42.
ステップ(e)における前記分離することは、ストレーナを用いて実行される、実施形態34に記載の方法。
43.
ステップ(a)〜(e)のうちの少なくとも1つは、複数回実行される、実施形態34に記載の方法。
44.
ステップ(a)〜(e)の各々は、独立して複数回実行される、実施形態34に記載の方法。
45.
前記第1のシリコン結晶は、約85wt%から約99wt%までのシリコンを含む、実施形態34に記載の方法。
46.
前記洗浄されたシリコン結晶は、約500ppm(wt)から約2,000ppm(wt)までのアルミニウム(Al)を含む、実施形態34に記載の方法。
47.
前記シリコンは、リチウム(Li)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、リン(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、塩素(Cl)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)および銅(Cu)のうちの少なくとも1つを取り除かれる、実施形態1〜46のうちのいずれか1項に記載の方法。
48.
前記洗浄されたシリコンは、約15ppm(wt)未満のリン(P)と、約5ppm(wt)未満のホウ素(B)とを含む、実施形態34に記載の方法。
49.
少なくとも約100トン/年の前記洗浄されたシリコン結晶が得られる、実施形態1〜48のうちのいずれか一項に記載の方法。
50.
前記方法は約24時間未満の間に実行される、実施形態1〜49のうちのいずれか1項に記載の方法。
51.
前記洗浄されたシリコン結晶を精製することをさらに含み、それにより、ソーラーパネルグレードのシリコンを提供するために他のシリコンと混合されるソーラーグレードのシリコンを提供する、実施形態34〜50のうちのいずれか1項に記載の方法。
52.
前記洗浄されたシリコン結晶を精製するステップをさらに含み、それにより、ソーラーパネルグレードのシリコンを提供するために他のシリコンと混合されるソーラーグレードのシリコンを提供する、実施形態1〜51のうちのいずれか1項に記載の方法。
53.
ソーラーグレードのシリコンを提供するために前記洗浄されたシリコン結晶を精製することは、
(a)真空処理と、
(b)スラグ処理と、
(c)酸素、水、水素、またはアルゴンのうちの1つ以上を用いたガス注入と、
(d)方向性凝固と、
(e)該洗浄されたシリコン結晶をシラン/シーメンスのガスプロセス用の原料として利用することと
のうちの少なくとも1つを含む、実施形態52に記載の方法。
54.
シリコンを精製するための方法であって、
(a)原料シリコンおよびアルミニウムから第1の溶融液を形成することと、
(b)ドロスおよび第2の溶融液を提供するために、該第1の溶融液を第1のガスと接触させることと、
(c)該ドロスと該第2の溶融液とを分離することと、
(d)第1のシリコン結晶および第1の母液を形成するために、該第2の溶融液を冷却することと、
(e)該第1のシリコン結晶と該第1の母液とを分離することと、
(f)選択的に、該第1のシリコン結晶を溶媒金属によって溶融させて、ステップ(a)〜(e)を繰り返すことと、
(g)洗浄されたシリコン結晶および使用済みの酸を提供するために、該第1のシリコン結晶を、該溶媒金属を溶解することができる酸、塩基、アルコール、または化学物質と接触させることと、
(h)精製されたシリコン結晶を提供するのに十分である該洗浄されたシリコン結晶と該使用済みの酸とを分離することと、
(i)シリコン溶融物を提供するのに十分である、該精製されたシリコン結晶を溶融させることと、
(j)該シリコン溶融物を第2のガスと接触させることと、
(k)該シリコン溶融物を方向性をもって凝固させることと
を含む、方法。
55.
インゴットが産生される、実施形態54に記載の方法。
56.
前記インゴットの上部を除去することをさらに含む、実施形態55に記載の方法。
57.
前記除去することは、部分的に溶融されたインゴットの上部を洗い流すことを含む、実施形態56に記載の方法。
58.
多結晶インゴットまたは単結晶ブールを形成するのに十分である、前記インゴットまたはブールを方向性をもって凝固させることをさらに含む、実施形態55に記載の方法。
59.
前記第2のガスは、酸素または酸素と不活性ガスとの混合物を含む、実施形態54に記載の方法。
60.
前記第1のガスは、塩素または塩素と不活性ガスとの混合物を含む、実施形態54に記載の方法。
61.
前記第2の溶融液を濾過することをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
62.
前記シリコン溶融物を濾過することをさらに含む、実施形態54に記載の方法。
【0100】
(本発明の方法)
本明細書に記載される方法の各々は、化学、冶金学、および材質科学の分野における当業者に公知である任意の適用可能な技法を用いても実行することができる。
【0101】
すべての出版物、特許、および特許出願は、参照することによって本明細書に組み込まれる。上記の明細書では、本発明の特定の好ましい実施形態に関して記載し、また、多くの詳細を例示目的で述べてきたが、本発明はさらなる実施形態が可能であり、本明細書に記載した詳細のうちのいくつかは、本発明の基本原理から逸脱することなく大幅に変更することが可能であることが、当業者には明白であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンを精製するための方法であって、
(a)原料シリコン、ならびに、銅、錫、亜鉛、アンチモン、銀、ビスマス、アルミニウム、カドミウム、ガリウム、インジウム、マグネシウム、鉛、それらの合金、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される溶媒金属から、第1の溶融液を形成することと、
(b)ドロスおよび第2の溶融液を提供するために、該第1の溶融液を第1のガスと接触させることと、
(c)該ドロスと該第2の溶融液とを分離することと、
(d)第1のシリコン結晶および第1の母液を形成するために、該第2の溶融液を冷却することと、
(e)該第1のシリコン結晶と該第1の母液とを分離することと、
(f)洗浄されたシリコン結晶および使用済みの酸を提供するために、該第1のシリコン結晶を、該溶媒金属を溶解させることができる酸、塩基、アルコール、または化学物質と接触させることと、
(g)該洗浄されたシリコン結晶と該使用済みの酸とを分離することと
を含む、方法。
【請求項2】
第1の溶融液を形成する前に、スラッギング、ガス注入、プラズマトーチ、真空処理、またはそれらの組み合わせによって、原料シリコンを前処理することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の溶融液を形成する前に、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、カルシウム(Ca)、ハフニウム(Hf)、マグネシウム(Mg)、ストロンチウム(Sr)またはそれらの組み合わせを前記原料シリコンに添加することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のガスと接触させることは、小さな気泡を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の溶融液を濾過することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(a)において、前記第1の溶融液は、液相温度を超えて加熱することにより形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(a)において、冶金グレードのシリコンは、60ppmwを下回るリン濃度および15ppmwを下回るホウ素濃度で用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(a)において、シリコンは約20wt%から約60wt%までにおいて用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(a)において、アルミニウムまたはその合金は、約40wt%から約80wt%までにおいて、前記溶媒金属として用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(b)は、前記第1の溶融液を撹拌している間に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(b)は、回転式脱気装置を用いて実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(a)の後であってステップ(b)の前に、前記第1の溶融液は、前記液相温度を下回るまで冷却される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(a)の後であってステップ(b)の前に、前記第1の溶融液は、前記液相温度をわずかに上回るまで冷却される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(c)において、前記ドロスは、前記第2の溶融液の表面から除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(c)の後に、前記第2の溶融液は、第2の容器に移される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(d)において、前記第2の溶融液は、固相温度を上回り、かつ、前記液相温度を下回るまで冷却される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(d)は、前記第2の溶融液を撹拌している間に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(e)は、前記第1のシリコン結晶から前記第1の母液を洗い流すことによって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(e)の後であってステップ(f)の前に、ステップ(a)〜(e)を繰り返す、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
ステップ(e)の後であってステップ(f)の前に、ステップ(a)、(c)、(d)、および(e)を繰り返す、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(g)における前記分離することは、ストレーナを用いて実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
ステップ(a)〜(g)のうちの少なくとも1つは、複数回実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
ステップ(a)〜(g)の各々は、独立して複数回実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のシリコン結晶は、約85wt%から約98wt%までのシリコンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記洗浄されたシリコン結晶は、約800ppm(wt)から約2,000ppm(wt)までのアルミニウム(Al)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記シリコンは、リチウム(Li)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、リン(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、塩素(Cl)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、および銅(Cu)のうちの少なくとも1つを取り除かれる、請求項1〜25のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記洗浄されたシリコン結晶は、約9ppm(wt)未満のリン(P)と、約3ppm(wt)未満のホウ素(B)とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記洗浄されたシリコン結晶は、約4ppm(wt)未満のリン(P)と、約2ppm(wt)未満のホウ素(B)とを含む、請求項18〜19のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも約100トン/年の前記洗浄されたシリコン結晶が得られる、請求項1〜28のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記方法は、約24時間未満で実行される、請求項1〜29のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
太陽電池、ソーラーパネル、ウエハ、または集積回路を提供するのに十分である前記洗浄された結晶を加工することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記洗浄されたシリコン結晶を前記加工することは、
(a)真空処理と、
(b)スラグ処理と、
(c)酸素、水、水素、およびアルゴンのうちの1つ以上を用いたガス注入と、
(d)方向性凝固と、
(e)該洗浄されたシリコン結晶を、シラン/シーメンスのガスプロセス用の原料として利用することと
のうちの少なくとも1つを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記洗浄されたシリコン結晶を精製することをさらに含み、それにより、ソーラーパネルグレードのシリコンを提供するために他のシリコンと混合されるソーラーグレードのシリコンを提供する、請求項1〜32のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
シリコンを精製するための方法であって、
(a)原料シリコン、ならびに銅、錫、亜鉛、アンチモン、銀、ビスマス、アルミニウム、カドミウム、ガリウム、インジウム、マグネシウム、鉛、それらの合金、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される溶媒金属から第1の溶融液を形成することと、
(b)第1のシリコン結晶および第1の母液を形成するために、該第1の溶融液を冷却することと、
(c)該第1のシリコン結晶と該第1の母液とを分離することと、
(d)洗浄されたシリコン結晶および使用済みの酸を提供するために、該第1のシリコン結晶を、アルミニウムを溶解させる酸、塩基、アルコール、または化学物質と接触させることと、
(e)該洗浄されたシリコン結晶と該使用済みの酸とを分離することと
を含む、方法。
【請求項35】
ステップ(a)において、前記第1の溶融液は、液相温度を超えて加熱することにより形成される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ステップ(a)において、金属グレードのシリコンは、60ppmwを下回るリン濃度および15ppmwを下回るホウ素濃度で用いられる、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
ステップ(a)において、シリコンは約20wt%から約60wt%までにおいて用いられる、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
ステップ(a)において、アルミニウム、またはその合金は、前記溶媒金属として、約40wt%から約80wt%までにおいて用いられる、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
ステップ(b)において、前記第2の溶融液は、固相温度をやや上回り、かつ、液相温度を下回るまで冷却される、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
ステップ(c)は、前記第1のシリコン結晶から前記第1の母液を洗い流すことによって実行される、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
アルミニウムは、前記第1のシリコン結晶と接触させられ、後続の第2の溶融液を提供するために溶融される、請求項34に記載の方法。
【請求項42】
ステップ(e)における前記分離することは、ストレーナを用いて実行される、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
ステップ(a)〜(e)のうちの少なくとも1つは、複数回実行される、請求項34に記載の方法。
【請求項44】
ステップ(a)〜(e)の各々は、独立して複数回実行される、請求項34に記載の方法。
【請求項45】
前記第1のシリコン結晶は、約85wt%から約99wt%までのシリコンを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項46】
前記洗浄されたシリコン結晶は、約500ppm(wt)から約2,000ppm(wt)までのアルミニウム(Al)を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項47】
前記シリコンは、リチウム(Li)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、リン(P)、硫黄(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、塩素(Cl)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)および銅(Cu)のうちの少なくとも1つを取り除かれる、請求項1〜46のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記洗浄されたシリコンは、約15ppm(wt)未満のリン(P)と、約5ppm(wt)未満のホウ素(B)とを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項49】
少なくとも約100トン/年の前記洗浄されたシリコン結晶が得られる、請求項1〜48のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記方法は約24時間未満の間に実行される、請求項1〜49のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記洗浄されたシリコン結晶を精製することをさらに含み、それにより、ソーラーパネルグレードのシリコンを提供するために他のシリコンと混合されるソーラーグレードのシリコンを提供する、請求項34〜50のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記洗浄されたシリコン結晶を精製するステップをさらに含み、それにより、ソーラーパネルグレードのシリコンを提供するために他のシリコンと混合されるソーラーグレードのシリコンを提供する、請求項1〜51のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
ソーラーグレードのシリコンを提供するために前記洗浄されたシリコン結晶を精製することは、
(a)真空処理と、
(b)スラグ処理と、
(c)酸素、水、水素、またはアルゴンのうちの1つ以上を用いたガス注入と、
(d)方向性凝固と、
(e)該洗浄されたシリコン結晶をシラン/シーメンスのガスプロセス用の原料として利用することと
のうちの少なくとも1つを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
シリコンを精製するための方法であって、
(a)原料シリコンおよびアルミニウムから第1の溶融液を形成することと、
(b)ドロスおよび第2の溶融液を提供するために、該第1の溶融液を第1のガスと接触させることと、
(c)該ドロスと該第2の溶融液とを分離することと、
(d)第1のシリコン結晶および第1の母液を形成するために、該第2の溶融液を冷却することと、
(e)該第1のシリコン結晶と該第1の母液とを分離することと、
(f)選択的に、該第1のシリコン結晶を溶媒金属によって溶融させて、ステップ(a)〜(e)を繰り返すことと、
(g)洗浄されたシリコン結晶および使用済みの酸を提供するために、該第1のシリコン結晶を、該溶媒金属を溶解することができる酸、塩基、アルコール、または化学物質と接触させることと、
(h)精製されたシリコン結晶を提供するのに十分である該洗浄されたシリコン結晶と該使用済みの酸とを分離することと、
(i)シリコン溶融物を提供するのに十分である、該精製されたシリコン結晶を溶融させることと、
(j)該シリコン溶融物を第2のガスと接触させることと、
(k)該シリコン溶融物を方向性をもって凝固させることと
を含む、方法。
【請求項55】
インゴットが産生される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記インゴットの上部を除去することをさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記除去することは、部分的に溶融されたインゴットの上部を洗い流すことを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
多結晶インゴットまたは単結晶ブールを形成するのに十分である、前記インゴットまたはブールを方向性をもって凝固させることをさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記第2のガスは、酸素または酸素と不活性ガスとの混合物を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
前記第1のガスは、塩素または塩素と不活性ガスとの混合物を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項61】
前記第2の溶融液を濾過することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項62】
前記シリコン溶融物を濾過することをさらに含む、請求項54に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−534180(P2010−534180A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517239(P2010−517239)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【国際出願番号】PCT/CA2008/001345
【国際公開番号】WO2009/012583
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(510021834)6エヌ シリコン インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】