説明

糊塗布装置

【課題】 糊ガンと糊タンクを一体に着脱できる糊塗布装置の提供
【解決手段】 糊塗布装置1は、気体を気体噴射孔18から噴射させることでノズル孔16の開口付近に負圧を生じさせ、この負圧によってノズル孔16から吐出してきた糊を外部へ噴霧する糊ガン10を備える。また糊塗布装置1は、糊塗布ユニット2と、糊塗布ユニット2が着脱自在に装着されるベースブロック50と、を備え、糊塗布ユニット2は糊ガン10、糊を貯留する糊タンク25、これら糊ガン10及び糊タンク25を一体に保持するユニット保持部材30、及び糊タンク25内の糊を糊ガン10へ供給するための糊供給路40を含む構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、製品の包装工程において包装紙の糊付けに用いられる糊塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の糊塗布装置として、例えば特許文献1に開示されたものがある。
特許文献1の糊塗布装置は、商品の自動包装工程における適所に糊付ガンが設置してあり、糊容器に貯留してある糊をポンプで圧送して糊付ガンの内部に供給し、糊付ガンの噴射ノズルから包装紙に向けて糊を噴射する。
この種の従来の糊塗布装置においては、糊容器は糊付ガンから遠く離れた位置に設置してあり、長尺な糊供給管を経由して糊容器から糊付ガンへ糊が供給される構成となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−125162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、上述した構成の糊塗布装置では、糊付ガンの交換やメンテナンスに際して、まず糊付ガンから糊供給管を取り外す必要がある。このとき、糊供給管内に残存していた糊が糊供給管からこぼれ落ち、周囲を汚損するおそれがあった。また、従来は定期的に供給管の内部も洗浄しなければならなかった。しかし、長尺な糊供給管は、洗浄に多大は労力がかかり煩雑であるため、現場からはかかる労力の軽減を図りたいとの切実な要望が寄せられていた。
しかも、糊付ガンの交換に際して、煩雑な糊供給管の着脱作業が必要となることから、交換に時間がかかり装置の運転効率が低下する一因となっていた。
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであって、糊ガンと糊タンクを一体に着脱でき、メンテナンス性に優れた糊塗布装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するために、本発明は、糊吐出用のノズル孔を有するとともに、当該ノズル孔の外縁周囲に気体噴射孔が形成してあり、気体供給源から供給される気体を内部に取り込み気体噴射孔から噴射させることでノズル孔の開口付近に負圧を生じさせ、当該負圧によってノズル孔から吐出してきた糊を、気体噴射孔から噴射する気体にのせて外部へ噴霧するノズルと、気体によりノズル孔を開放動作するニードルを有する糊ガンを備えた糊塗布装置であって、
糊ガン、糊を貯留する糊タンク、これら糊ガン及び糊タンクを一体に保持するユニット保持部材、及びノズル孔の開口付近に生じる負圧に伴う吸引力をもって糊タンク内の糊を糊ガンへ供給する糊供給路の各構成要素を含む糊塗布ユニットと、
糊塗布ユニットが着脱自在に装着されるベースブロックと、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、糊塗布ユニットに含まれる糊ガン、糊タンクを、ベースブロックから一体に着脱することができる。これにより本糊塗布装置をメンテナンス等する場合は、ベースブロックから糊塗布ユニットを簡単に取り外してメンテナンスすることができる。また、糊塗布ユニットを取り外して搬送する際に、糊ガンから糊供給路を外す必要がないため、糊供給路内の糊が漏出して周囲を汚損するおそれがない。さらに、糊供給路は、糊タンクに貯留されている糊を糊ガンからの吸引力によって供給する長さに設定してあるので、糊を糊タンクから糊ガンに途切れることなく供給することが可能となる。
【0008】
また、ユニット保持部材は、糊ガンを取り付けるための糊ガン取付部と、ベースブロックへ装着するための装着部が形成された糊ガン取付ブロックと、この糊ガン取付ブロックに固定され糊タンクを着脱自在に保持するタンク保持部材とを含み、
更に、糊ガン取付ブロックの内部には、装着部から糊ガン取付部にかけて貫通する気体導入路と、一端に糊供給路が接続され他端が糊ガン取付部に開口し、当該糊ガン取付部を介して糊ガン内のノズル孔に連通する糊導入路と、が形成されており、
ベースブロックには、糊ガン取付ブロックの装着部が装着される被装着部が形成されており、更にこのベースブロックの内部には、一端が気体供給管を介して気体供給源に接続され他端が被装着部に開口する気体中継路が形成されており、被装着部を介して、当該気体中継路が気体導入路と連通する構成とすることができる。
【0009】
このようにユニット保持部材は、糊ガン取付ブロックの装着部をベースブロックの被装着部に装着することで、同ブロックに取り付けた糊ガン、及びタンク保持部材を介して保持する糊タンクを一体に着脱自在とする。また、糊ガンと糊ガン取付ブロックとの取り付けによって糊ガンの気体噴射孔に気体導入路が連通し、糊ガン取付ブロックとベースブロックの装着によって、気体導入路に気体中継路が連通することで、気体供給管からの気体を安定的に気体噴射孔に供給することが可能となる。
【0010】
また、糊ガンは、ニードルを駆動する気体が充填されるシリンダ室を備えており、
気体導入路として、糊ガン取付部を介して、糊ガン内の気体噴射孔に連通する噴霧用気体導入路と、糊ガン内のシリンダ室に連通するニードル制御用気体導入路と、
気体中継路として、被装着部を介して、噴霧用気体導入路に連通する噴霧用気体中継路と、ニードル制御用気体導入路に連通するニードル制御用気体中継路と、
さらに、気体供給管として、噴霧用気体中継路の一端に接続される噴霧用気体供給管と、
ニードル制御用気体中継路の一端に接続されるニードル制御用気体供給管と、を備えた構成とすることができる。
【0011】
かかる構成によれば、糊ガンに供給される気体は、気体供給源から噴霧用気体供給管、噴霧用気体中継路、噴霧用気体導入路を介して、気体噴射孔から噴射される気体と、同じく気体供給源からニードル制御用気体供給管、ニードル制御用気体中継路、ニードル制御用気体導入路を介して、シリンダ室に供給される気体と、に分けることができる。これにより、気体噴射孔から噴射される気体とニードルを駆動する気体の供給タイミングを自由に設定することができる。
よって、例えば、ニードルがノズル孔を開放する前に気体噴射孔から気体を噴射し始め、ニードルがノズル孔を閉塞した後に気体の噴射を停止する構成とすることができ、糊の噴霧開始直後や噴霧停止前において、糊のかすれや飛び散りを防ぐとこができ、綺麗に糊を塗布することができる。
【0012】
さらに、糊ガン取付ブロックの装着部とこの装着部が装着されるベースブロックの被装着部との間には、気体導入路と気体中継路とを繋ぐ相互接続部が形成してあり、
この相互接続部を囲むようにして配設される弾性シール部材と、当該弾性シール部材を圧縮した状態で被装着部への装着部の装着状態を保持する連結具と、を備えることができる。
【0013】
このように糊ガン取付ブロックの装着部とベースブロックの被装着部との間にある相互接続部の周囲に弾性シール部材を配設し、連結具によってこの弾性シール部材を圧縮した状態で両ブロックを装着することで、気体導入路と気体中継路間の隙間がなくなり、気体供給源から供給された気体を漏らさずに通過させることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明によれば、糊ガンと糊タンクを一体に着脱でき、メンテナンス性に優れた糊塗布装置の提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る糊塗布装置を備えた上包み包装装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る糊塗布装置の全体構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る糊塗布装置の糊塗布ユニットと、ベースブロックを示す分解斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る糊塗布装置の糊塗布ユニットと、ベースブロックを示す投影図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は上面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る糊塗布装置の糊ガンの先端を示す断面図であり、(a)は糊ガンを背面側から見た斜視図、(b)はニードル弁の閉塞状態を示す糊ガン先端の断面図、(c)はニードル弁の開放状態を示す糊ガン先端の断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る糊塗布装置の糊ガン取付ブロックを示す投影図であり、(a)は上面図、(b)正面図、(c)はAA線断面図、(d)はBB線断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る糊塗布装置のベースブロックを示す投影図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る糊塗布装置を備えた上包み包装装置の全体構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の糊塗布装置1は、包装紙200によって被包装品Aを上包みし、包装品Bを形成する上包み包装装置100に配設されている。この上包み包装装置100は、包装紙200により被包装品Aの胴部を胴巻きする胴巻部110と、フラップ201を形成するフラップ形成部120と、形成したフラップ201を折り込むフラップ折込部130と、を備えている。糊塗布装置1は、胴巻部110において、包装紙200の一端部に糊を塗布する装置として一台設置されるとともに、フラップ折込部130において、両側部に形成されたフラップ201に糊を塗布する装置として二台設置される。
【0017】
胴巻部110には、被包装品A及び包装紙200が間欠的に供給される。被包装品Aは、コンベアー等により所定の位置まで搬送された後、エレベータによって上方向に持ち上げられる。また、包装紙200は、所定の搬送経路を介してエレベータの駆動経路に交差する位置に搬送される。糊塗布装置1は、この包装紙200の搬送経路に設置してあり、包装紙200の搬送にともなって包装紙面の一端部に糊を塗布する。交差位置に搬送された包装紙200は、被包装品Aの上方向への持ち上げによって胴部に巻かれて、糊が塗布された一端部と他端部が重ね合わされる。このとき、塗布してあった糊によって両端部が接着されることで、包装紙の胴巻きが完了する。
【0018】
フラップ形成部120には、包装紙200が胴巻きされて、両側部に筒状の耳部202が突出した被包装品Aが搬送される。フラップ形成部120は、この耳部202を前後方向に折り込むことで、被包装品Aの両側部の上下に台形状のフラップ201を形成する。
【0019】
フラップ折込部130には、上記のフラップ201が形成された被包装品Aが搬送される。フラップ折込部130は、まず両側部の上下にあるフラップ201のうち下側のフラップ201aを被包装品の側面に向かって折り込む。その後、上側のフラップ201bに対して糊を塗布する。二台の糊塗布装置1は、この上側のフラップ201bに糊を塗布する装置として被包装品Aの搬送経路を挟んで対向するように設置されている。上側のフラップ201bに糊を塗布した後は、被包装品Aを上方向に持ち上げることで、上側のフラップ201bを側面に折り込むことができ、これにより包装品Bが完成する。
【0020】
図2は、本実施形態に係る糊塗布装置の全体構成を示す斜視図であり、図3は、糊塗布装置の糊塗布ユニットと、ベースブロックを示す分解斜視図であり、同じく図4(a)は正面図、図4(b)は側面図、図4(c)は上面図である。
図2乃至図4に示すように、本実施形態の糊塗布装置1は、糊塗布ユニット2と、ベースブロック50と、を備えており、この糊塗布ユニット2がベースブロック50に着脱自在に装着される。糊塗布ユニット2は、糊ガン10、糊を貯留する糊タンク25、これら糊ガン10及び糊タンク25を一体に保持するユニット保持部材30、ノズル孔の開口付近に生じる負圧に伴う吸引力をもって前記糊タンク内の糊を前記糊ガンへ供給する糊供給路40の各構成を含んでいる。
【0021】
図5は、本実施形態に係る糊塗布装置の糊ガンを示す図であり、(a)は糊ガンを背面側から見た斜視図、(b)はニードル弁の閉塞状態を示す糊ガン先端の断面図、(c)はニードル弁の開放状態を示す糊ガン先端の断面図である。
糊塗布ユニット2の糊ガン10は、先端から気体(本実施形態では空気)とともに糊を噴霧し、包装紙200に糊を塗布する機能を有している。この糊ガン10は、図2乃至図5に示すように、糊ガン本体11及びキャップ部材12によって構成されている。
【0022】
糊ガン本体11は、軸方向に延びる中空部15を内部に備えており、先端には中空部15に貫通する糊吐出用のノズル孔16が形成されている。また糊ガン本体11は、後端側に有底筒状のシリンダ室と、このシリンダ室を受け部とした圧縮コイルばね(ともに図示せず)とを備えている。さらに糊ガン本体10は、背面側中間部がユニット保持部材30に取付可能な取付面19として形成されており、この取付面19には、糊供給孔20、噴霧用気体供給孔21、ニードル制御用気体供給孔22が穿設されている(図5(a)参照)。
【0023】
糊ガン本体11の中空部15内には、液状の糊が糊タンク25から糊供給孔20を介して供給される。また中空部15には、軸方向へ移動自在に支持されたニードル17が挿入されている。
【0024】
ニードル17は、中空部15を延びる丸棒状の部材であり、先端部にニードル弁17aが形成されている。ニードル17は、中空部15に待機した状態において、後端側がシリンダ室にある圧縮コイルばねに当接して、ノズル孔16方向に弾力的に付勢される。これによりニードル弁17aがノズル孔16に挿入され、糊の吐出を防止する(図5(b)参照)。一方、シリンダ室にはニードル17を駆動する気体(本実施形態では空気)がニードル制御用気体供給孔22を介して供給される。ニードル17は、この空気圧によって後端方向に押されて、圧縮コイルばねの付勢力に抗して後端方向へ移動する。これによりニードル弁17aがノズル孔16を開放し、中空部15に供給された糊の吐出を可能にする(図5(c)参照)。
【0025】
キャップ部材12は、糊ガン本体11の先端部外周を覆うように装着する部材であり、このキャップ部材12とノズル孔16の外周部との間には断面環状の気体噴射孔18が形成される。キャップ部材12と糊ガン本体11は、組み立て状態において相互間に気体流路18aを形成し、この気体流路18aは噴霧用気体供給孔21を介して供給される気体を気体噴射孔18まで案内する。
【0026】
気体噴射孔18は、気体を一定の収束角をもって噴射させ、ノズル孔16の開口付近が負圧となるように形成されている。糊ガン10は、この負圧によってノズル孔16から吐出してきた糊を、気体噴射孔18から噴射する気体にのせて外部へ噴霧する構成となっている。
【0027】
一方、糊塗布ユニット2のユニット保持部材30は、図2乃至図4に示すように、前面に糊ガン10を取り付けるための糊ガン取付部32が形成された糊ガン取付ブロック31と、この糊ガン取付ブロック31に固定され糊タンク25を着脱自在に保持するタンク保持部材39とを含んでいる。糊塗布ユニット2は、この糊ガン取付ブロック31に対し、糊ガン10が取り付けられるとともにタンク保持部材39を介して糊タンク25が保持されることで、同ユニットを一体に移動させることができる。
なお、糊ガン取付ブロック31の上面には取っ手33が設けられており、糊塗布ユニット2を片手で容易に持ち運ぶことができるようになっている。
【0028】
以下、このユニット保持部材30を構成する糊ガン取付ブロック31、タンク保持部材39、及び糊塗布ユニット2の糊供給路40について説明する。
図6は、本実施形態に係る糊塗布装置の糊ガン取付ブロックを示す投影図であり、(a)は上面図、(b)正面図、(c)はAA線断面図、(d)はBB線断面図である。
図6に示すように、糊ガン取付ブロック31は、下端面に装着部34が形成されており、この装着部34はベースブロック50の被装着部51に着脱自在に装着される。この装着部34には、円形に切り欠いた接続凹部35が二つ形成されており、後述する被装着部51のコネクタ58及び弾性シール部材59が挿入される。糊塗布ユニット2は、この糊ガン取付ブロック31の装着部34をベースブロック50の被装着部51に装着することで、同ユニットを一体に着脱自在としている。
【0029】
糊ガン取付部32の所定位置には糊ガン取付孔32aが形成されている。糊ガン10を取り付ける場合は、この糊ガン取付孔32aに糊ガン本体11の取付面19に穿設したタップ孔23を対向させ、ねじ(図示せず)によって螺合する。
【0030】
また、糊ガン取付ブロック31の内部には、糊導入路36と、気体導入路(噴霧用気体導入路37、ニードル制御用気体導入路38)とが形成されている。糊導入路36は、図6(d)に示すように、糊ガン取付ブロック31の上面に形成した糊供給路接続孔36aから、糊ガン取付部32に形成した糊排出孔36bにかけて貫通している。噴霧用気体導入路37は、図6(c)に示すように、装着部34の一方の接続凹部35に形成した噴霧用気体導入孔37aから、糊ガン取付部32に形成した噴霧用気体排出孔37bにかけて貫通している。ニードル制御用気体導入路38は、他方の接続凹部35に形成したニードル制御用気体導入孔38aから、糊ガン取付部32に形成したニードル制御用気体排出孔38bにかけて貫通している。
【0031】
ここで、糊排出孔36b、噴霧用気体排出孔37b、ニードル制御用気体排出孔38bは、糊ガン本体11の取付面19に形成した糊供給孔20、噴霧用気体供給孔21、ニードル制御用供給孔22に、それぞれ対向する位置に形成されている。したがって、糊ガン取付部32に糊ガン10を取り付けた状態では、糊導入路36が糊ガン本体11のノズル孔16まで連通し、噴霧用気体導入路37が気体噴射孔18まで連通し、ニードル制御用気体導入路38がシリンダ室まで連通する構成となっている。
なお、糊ガン本体11と取付ブロック31の間にはパッキン(図示せず)等が挟まれ、このパッキンは糊排出孔36bと糊供給孔20間、噴霧用気体排出孔37bと噴霧用気体供給孔21間、ニードル制御用気体排出孔38bとニードル制御用供給孔22間の接目から糊や気体が漏れることを防止する。
また、図6中の噴霧用気体導入路37及びニードル制御用気体導入路38は、糊ガン取付ブロック31の側面にも開口しているが、これは加工上の穴であり、使用状態においてはこの開口を閉塞する止め栓がそれぞれ挿入される。
【0032】
タンク保持部材39は、図4に示すように、糊ガン取付ブロック31の側面にねじ止めされるねじ止め部39aと、このねじ止め部39aから屈曲し水平方向に延出した受け部39bと、を備える。内部に糊を貯留した糊タンク25はこの延出した受け部39bの上面に支持される。
【0033】
図2乃至図4に示すように、糊供給路40は、糊ガン取付ブロック31と糊タンク25を繋ぐ樹脂製の管路であり、ノズル孔16の開口付近に生じる負圧に伴う吸引力をもって糊タンク25から糊をノズル孔16内へ供給可能な長さに設定されている。この糊供給路40は、一端が糊タンク25の奥内に挿入され、他端が糊ガン取付ブロック31上面に形成した糊供給路接続孔36aに接続される。
【0034】
これにより、糊塗布ユニット2は、糊タンク25に貯留されている糊を、糊ガン10からの吸引力により糊供給路40を介して途切れることなく供給することができる。よって糊塗布装置1は、特許文献1のように、糊と気体を混合して糊ガンに供給するためポンプ等を設ける必要がなく、装置の製造コスト等を軽減することができる。また、従来より糊供給路40の長さが短いため、洗浄等を容易に行うことができ、メンテナンスにかかる時間を短縮することができる。
【0035】
次に、上述した糊塗布ユニット2が装着されるベースブロック50について説明する。
図7は、本実施形態に係る糊塗布装置のベースブロックを示す投影図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は上面図である。
糊塗布装置1のベースブロック50は、糊塗布ユニット2を支持する基台にあたり、上述した上包み包装装置100の胴巻部110に一台、フラップ折込部130に二台、それぞれ糊を塗布する位置に設置される(図1参照)。糊塗布ユニット2はこれらのベースブロック50に対して一台ずつ装着される。図7に示すように、ベースブロック50の側面には固定部材52が取り付けられ、この固定部材52が各工程の所定位置にあるフレーム(図示せず)にねじ止めされる。
【0036】
このベースブロック50の内部には、上下方向に貫通する二本の気体中継路(噴霧用気体中継路53、ニードル制御用気体中継路54)が形成されている。噴霧用気体中継路53及びニードル制御用気体中継路54は、ベースブロック50の下端面の開口部にエア配管継手55がそれぞれ設けられており、このエア配管継手55には気体供給管(噴霧用気体供給管56、ニードル制御用気体供給管57)がそれぞれ接続される。
【0037】
これら噴霧用気体供給管56及びニードル制御用気体供給管57は、図1に示すように、上包み包装装置100に設置した気体供給源140に接続している。気体供給源140は、胴巻部110に設置した一台のベースブロック50、フラップ折込部130に設置した二台のベースブロック50から、噴霧用気体供給管56及びニードル制御用気体供給管57がそれぞれ接続され、各供給管56、57に圧縮した気体(本実施形態では空気)を供給する構成となっている。また各供給管56、57にはバルブ(図1中の噴霧用バルブ56a、ニードル制御用バルブ57a)が設けてあり、設定されたタイミングに従って気体の供給開始と供給停止が操作される。
【0038】
再び図7に戻って、ベースブロック50の上端面には、ノズル取付ブロック31の装着部34が装着される被装着部51が形成されている。この被装着部51には、各気体中継路53、54に接続する気密性を有したコネクタ(相互接続部)58がそれぞれ設けられている。各コネクタ58は中央位置に各気体中継路53、54の連結孔(噴霧用気体連結孔53a、ニードル制御用気体連結孔54a)が形成されている。これら噴霧用気体連結孔53a及びニードル制御用気体連結孔54aは、装着部34を被装着部51に装着した状態において、噴霧用気体導入孔37a及びニードル制御用気体導入孔38aに対向する。
【0039】
また、コネクタ58には各連結孔53a、54aの周囲を囲むように弾性シール部材59が設けられている。弾性シール部材59は、装着部34を被装着部51に装着した状態において、装着部34に形成された接続凹部35の平坦面に当接する。さらに、装着部34と被装着部51の装着状態は、連結具60によって弾性シール部材59を圧縮した状態で保持される。
【0040】
この連結具60は、糊ガン取付ブロック31とベースブロック50の両側面に設けられている。本実施形態の連結具60は、図4に示すように、糊ガン取付ブロック31の側面に設けたフック61及び係合爪62と、このフック61及び係合爪62に対応してベースブロック50の側面に設けたクリップ63及び係合凹部64によって構成されている。
【0041】
糊ガン取付ブロック31をベースブロック50に装着するときは、まず糊ガン取付ブロック31の一側面にある係合爪62を係合凹部64に引っ掛ける。そして、この引っ掛かり部を支点として糊ガン取付ブロック31の他側面をベースブロック50に押圧して、他側面にあるクリップ63をフック61に引っ掛けて、係止位置まで引いて係止する。これにより装着部34と被装着部51は、弾性シール部材59を圧縮した状態で装着状態を保持する。
このように弾性シール部材59を用いることで、装着部34と被装着部51は、噴霧用気体導入路37と噴霧用気体中継路53間、及びニードル制御用気体導入路38とニードル制御用気体中経路54間、の隙間をなくして装着され、噴霧用気体供給管56及びニードル制御用気体供給管57から供給する気体を漏らさずに通過させることができる。
【0042】
装着部34を被装着部51に装着した状態では、噴霧用気体導入路37と噴霧用気体中継路53が連通し、同時にニードル制御用気体導入路38とニードル制御用気体中継路54が連通する。したがって、気体噴射孔18から噴射される気体は、気体供給源140から供給されると、噴霧用気体供給管56、ベースブロック50の噴霧用気体中継路53、糊ガン取付ブロック31の噴霧用気体導入路37を通って、糊ガン10の噴霧用気体供給孔21に入り、糊ガン10内の気体流路18aを介して気体噴射孔18から噴射される。一方、ニードル17の移動を制御する気体は、気体供給源140から供給されると、ニードル制御用気体供給管57、ベースブロック50のニードル制御用気体中継路54、糊ガン取付ブロック31のニードル制御用気体導入路38を通って、糊ガン10のニードル制御用気体供給孔22に入り、シリンダ室に供給されてニードル17を後端方向に移動させる。
【0043】
糊塗布装置1は、上記のように気体噴射孔18から噴射する気体を供給するルートと、ニードル弁17aを駆動する気体を供給するルートを別々に備えることで、気体の供給タイミングを自由に設定することができる。
よって、ニードル弁17aがノズル孔16を開放する前に気体噴射孔18から気体を噴射し始め、ニードル弁17aがノズル孔16を閉塞した後に気体の噴射を停止する構成とすることができ、糊の噴霧開始直後や噴霧停止前において、糊のかすれや飛び散りを防ぐとこができ、綺麗に糊を塗布することができる。
【0044】
以上のように、糊塗布装置1は、糊ガン10、糊タンク25等を含む糊塗布ユニット2がベースブロック50に着脱自在となっていることで、メンテナンスに際して煩雑な着脱作業を必要としなくなる。すなわち糊塗布装置1をメンテナンスする場合は、糊塗布ユニット2を設置位置にあるベースブロック50から容易に取り外して持ち運ぶことができ、メンテナンス後はベースブロック50に容易に取り付けることができるため、メンテナンス性に優れる。
【0045】
また、糊塗布装置1は、糊を、糊タンク25から糊供給路40、糊ガン取付ブロック31の糊導入路36を介して、糊ガン10の中空部15に供給する構成である。これら各構成は糊塗布ユニット2として一体に着脱することができるため、取り外しにおいて糊をこぼすことがなく、周囲を汚損せずに綺麗に取り外すことができる。
【0046】
なお、糊塗布ユニット2をもう一台用意しておくことで、装置稼働中に一方の糊塗布ユニット2に糊が詰まる等のメンテナンスの必要が生じた場合でも、もう一台の糊塗布ユニット2に交換することで、上包み包装装置100の停止時間を短くできる。
【0047】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例及び応用例を適用することができる。例えば、連結具60は、雄ねじと雌ねじを用いて螺合させることで、弾性シール部材59を圧縮した状態で糊ガン取付ブロック31とベースブロック50を装着することもできる。
【符号の説明】
【0048】
1:糊塗布装置、2:糊塗布ユニット、
10:糊ガン、11:糊ガン本体、12:キャップ部材、15:中空部、16:ノズル孔、17:ニードル、17a:ニードル弁、18:気体噴射孔、18a:気体流路、19:取付面、
20:糊供給孔、21:噴霧用気体供給孔、22:ニードル制御用気体供給孔、23:タップ孔、25:糊タンク、
30:ユニット保持部材、31:糊ガン取付ブロック、32:糊ガン取付部、32a:糊ガン取付孔、33:取っ手、34:装着部、35:接続凹部、36:糊導入路、36a:糊供給路接続孔、36b:糊排出孔、37:噴霧用気体導入路、37a:噴霧用気体導入孔、37b:噴霧用気体排出孔、38:ニードル制御用気体導入路、38a:ニードル制御用気体導入孔、38b:ニードル制御用気体排出孔、39:タンク保持部材、39a:ねじ止め部、39b:受け部、
40:糊供給路、
50:ベースブロック、51:被装着部、52:固定部材、53:噴霧用気体中継路、53a:噴霧用気体連結孔、54:ニードル制御用気体中継路、54a:ニードル制御用気体連結孔、55:エア配管継手、56:噴霧用気体供給管、56a:噴霧用バルブ、57:ニードル制御用気体供給管、57a:ニードル制御用バルブ、58:コネクタ、59:弾性シール部材、
60:連結具、61:フック、62:係合爪、63:クリップ、64:係合凹部
100:上包み包装装置、110:胴巻部、120:フラップ形成部、130:フラップ折込部、140:気体供給源、
200:包装紙、201:フラップ、202:耳部、
A:被包装品、B:包装品、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
糊吐出用のノズル孔を有するとともに、当該ノズル孔の外縁周囲に気体噴射孔が形成してあり、気体供給源から供給される気体を内部に取り込み前記気体噴射孔から噴射させることで前記ノズル孔の開口付近に負圧を生じさせ、当該負圧によって前記ノズル孔から吐出してきた糊を、前記気体噴射孔から噴射する気体にのせて外部へ噴霧するノズルと、気体により前記ノズル孔を開放動作するニードルを有する糊ガンを備えた糊塗布装置であって、
前記糊ガン、糊を貯留する糊タンク、これら糊ガン及び糊タンクを一体に保持するユニット保持部材、及び前記ノズル孔の開口付近に生じる負圧に伴う吸引力をもって前記糊タンク内の糊を前記糊ガンへ供給する糊供給路の各構成要素を含む糊塗布ユニットと、
前記糊塗布ユニットが着脱自在に装着されるベースブロックと、
を備えたことを特徴とする糊塗布装置。
【請求項2】
前記ユニット保持部材は、前記糊ガンを取り付けるための糊ガン取付部と、前記ベースブロックへ装着するための装着部が形成された糊ガン取付ブロックと、この糊ガン取付ブロックに固定され前記糊タンクを着脱自在に保持するタンク保持部材とを含み、
更に、前記糊ガン取付ブロックの内部には、前記装着部から前記糊ガン取付部にかけて貫通する気体導入路と、一端に前記糊供給路が接続され他端が前記糊ガン取付部に開口し、当該糊ガン取付部を介して前記糊ガン内のノズル孔に連通する糊導入路と、が形成されており、
前記ベースブロックには、前記糊ガン取付ブロックの装着部が装着される被装着部が形成されており、更にこのベースブロックの内部には、一端が気体供給管を介して前記気体供給源に接続され他端が前記被装着部に開口する気体中継路が形成されており、前記被装着部を介して、当該気体中継路が前記気体導入路と連通する構成であることを特徴とする請求項1の糊塗布装置。
【請求項3】
前記糊ガンは、前記ニードルを駆動する気体が充填されるシリンダ室を備えており、
前記気体導入路として、前記糊ガン取付部を介して、前記糊ガン内の気体噴射孔に連通する噴霧用気体導入路と、前記糊ガン内のシリンダ室に連通するニードル制御用気体導入路と、
前記気体中継路として、前記被装着部を介して、前記噴霧用気体導入路に連通する噴霧用気体中継路と、前記ニードル制御用気体導入路に連通する前記ニードル制御用気体中継路と、
さらに、気体供給管として、前記噴霧用気体中継路の一端に接続される噴霧用気体供給管と、前記ニードル制御用気体中継路の一端に接続されるニードル制御用気体供給管と、
を備えたことを特徴とする請求項2の糊塗布装置。
【請求項4】
前記糊ガン取付ブロックの装着部とこの装着部が装着される前記ベースブロックの被装着部との間には、前記気体導入路と気体中継路とを繋ぐ相互接続部が形成してあり、
この相互接続部を囲むようにして配設される弾性シール部材と、当該弾性シール部材を圧縮した状態で前記被装着部への装着部の装着状態を保持する連結具と、を備えることを特徴とする請求項2又は3の糊塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−221130(P2010−221130A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71294(P2009−71294)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】