説明

糖コーティングおよびその方法

本発明は、固体製剤(例えばタブレット、丸薬、顆粒および粒体)のコーティングに用いるのに適した糖コーティング組成物を提供する。このようなコーティングを用いる方法および上記組成物でコーティングした固体投与体も提供される。いくつかの実施形態では、上記方法は共役エストロゲンとプロゲスチン(例えば酢酸メドロキシプロゲステロン)とを含む糖コーティング済みタブレットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して薬剤の分野に向けられている。本発明は特に、固体製剤(例えばタブレット、丸薬、顆粒および粒体)のコーティングに用いるのに適した糖コーティング組成物に関する。このようなコーティングを用いる方法および上記組成物でコーティングした固体投与体も提供される。いくつかの実施形態では、上記方法は共役エストロゲンとプロゲスチン(例えば酢酸メドロキシプロゲステロン)とを含む糖コーティング済みタブレットを提供する。
【背景技術】
【0002】
糖コーティングは何十年もの間に亘って広く知られており、今も菓子業界で多く利用されている。残念なことに糖コーティングは複数の工程を含む単調なプロセスであり、職人の技術を使えるかどうかに大いに依存している。そのため薬品業界はこの失われたプロセスを薬剤の開発にあまり利用していない。しかし新しい処理技術によって、個人の技術に頼らざるを得ない要因であった、糖コーティングのいくつかの局面が改善され、糖コーティングは再び薬品業界の選択肢として利用されている。このように糖コーティングは、現代的なフィルムコーティング手順と異なり、例えば処理時間が長いなどの不利な点を有するにもかかわらず今日までコーティング手順としての重要性を維持してきた。
【0003】
従来、糖コーティングは中実の回転式ステンレス鋼製パンで行われてきた。しかしプロセスの近代化に伴って薬剤の糖コーティングでは、長いコーティングサイクル中にタブレットに付着するスクロースの結晶量を減らすために、中実のパンに代えて穿孔付きパンを使うようになった。穿孔付きパンは、パン内に敷き詰められたタブレットに、より効率的に空気を送ることを可能にし、それによりタブレットがより綺麗になり且つ処理時間が短くなるという利点があることも示されている。
【0004】
糖コーティングプロセスは、密閉、サブコーティングなどの様々な工程からなる。サブコーティングは必要に応じて行われ、最終的なコーティングおよび/またはカラーコーティングを行う前に縁を丸み付けするための不活性充填とも考えられている。従来であれば、表面に色を付けるため、および色付け段階で表面を綺麗に仕上げる最終段階のプロセスとして、平滑化工程も用いられる。第1の工程は密閉工程であり、シェラックなどの樹脂のアルコール溶液を付与することを含む。タブレットの全表面を覆うために十分なコーティングを、敷き詰められたタブレットに付与する。タルクまたは硫酸カルシウムを用いて、タブレットがパンに付着するのを防止する。重量増加のほとんどは次の工程であるサブコーティング工程で起こる。サブコーティング工程は不活性充填工程としても知られている。活性なオーバーコートを望む場合は、ここでコーティング懸濁液に活性薬剤を添加する追加の工程を導入することができる。R.J.Barcombに付与された米国特許第5,547,948号、第5,759,576号および第5,759,577号を参照のこと。この工程は、相互作用を起こす2つの活性物質を分割するため(一方をタブレットコア内に入れ、他方をコーティング内に入れる)、または活性成分をコートから即座に放出させるために行われ得る。タブレットの見栄えを良くするために、カラーコーティング工程に水溶性の染料または非水溶性のレーキを組み込んでもよい。最後に、有機溶媒(例えばミネラルスピリット)中に分散している蝋(例えばカルナバ蝋)を研磨パン内でコーティング済みタブレットに付与して、タブレットに最終的な光沢を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の糖コーティングの欠点の1つは、オーバーコートのために表面を均一かつ平滑にするために、サブコーティング段階すなわち不活性充填段階を経る必要があることである。タブレットの形状が非常に重要な役割を担う。上記段階は、ほぼ円形のタブレットの場合はそれほど重要ではないかもしれないが、縁のあるタブレットには必要であった。丸くて深い凹部を有するタブレットは卵形のタブレットよりもはるかにコーティングし易いが、実際には懸濁特性に依存する。この手順は時間がかかり単調であることが多い。
【0006】
糖コーティングで困難な別の点は、コーティングにひび割れが起こる傾向があることである。ひび割れについて考えられる理由は、コーティングの機械的強度の低さ、コアとコーティングとの間の熱膨張特性または水分膨張特性の差、および圧縮後のコアの弾性回復が過剰であることを含む。コーティングの機械的強度の低さは可塑化または結合剤が不適切であること、または着色が過剰であることによって、よりひどくなる。
【0007】
従来の糖コーティングの不利な点に取り組む、改良された糖コーティングおよびその調製プロセスが必要であることがわかる。本発明はこれらの目的および他の目的に向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、タブレットなどを糖コーティングするための組成物およびプロセスであって、サブコーティングまたは不活性充填段階の必要性を取り除くことによってオーバーコート用の均一で平滑な表面を提供しタブレットコア上に直接コーティングを行うことを可能にする組成物およびプロセスを提供する。従って本発明のプロセスは従来の糖コーティングプロセスよりも経済的かつ効率的である。本発明のプロセスの別の利点は、コーティング済みタブレットのひび割れが減少することである。
【0009】
本発明はさらに、本明細書に記載の組成物によるコーティングを含む固体投与体を提供する。従って本発明によると、コア材料と、その上に堆積された少なくとも1つのコーティングとを含む固体投与体であって、前記コーティングが、
約30重量%から約95重量%の少なくとも1つの糖と、
約0.3重量%から約0.8重量%の少なくとも1つの希釈剤/結合剤と、
約0.28重量%から約0.4重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、
約4重量%から約6重量%の少なくとも1つの結合剤と、
必要に応じて約5重量%までの量の少なくとも1つの可塑剤と、
必要に応じて約3重量%までの量の滑沢剤と、
必要に応じて約10重量%までの量の治療薬と、
を含む固体投与体が提供される。
【0010】
いくつかのさらなる実施形態では、前記コーティングが、
約70重量%から約95重量%の少なくとも1つの糖と、
約0.3重量%から約0.8重量%の少なくとも1つの希釈剤/結合剤と、
約0.28重量%から約0.4重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、
約4重量%から約6重量%の少なくとも1つの結合剤と、
必要に応じて約0.5重量%から約1.5重量%の少なくとも1つの可塑剤と、
必要に応じて約1重量%までの量の滑沢剤と、
必要に応じて約5重量%までの量の治療薬と、
を含むか、これらからなる。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記コーティングにおいて、前記結合剤の重量パーセントと前記希釈剤/結合剤の重量パーセントとの割合が、約8:1から約12:1、または約10:1である。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記コーティングにおいて、前記結合剤の重量パーセントと前記界面活性剤の重量パーセントとの割合が、約12:1から約20:1、または約15:1から約18:1、または約16:1から約17:1である。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記コーティングにおいて、前記希釈剤/結合剤の重量パーセントと前記界面活性剤の重量パーセントとの割合が、約1.2:1から約2:1、または約1.5:1から約1.8:1である。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記コーティングにおいて、前記結合剤の重量パーセントと前記界面活性剤の重量パーセントと前記希釈剤/結合剤の重量パーセントとの割合が、約10:0.6:1である。
【0015】
いくつかのさらなる実施形態では、前記コーティングが、
約87重量%から約94重量%の少なくとも1つの糖と、
約0.4重量%から約0.6重量%の少なくとも1つの希釈剤/結合剤と、
約0.28重量%から約0.32重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、
約4重量%から約6重量%の少なくとも1つの結合剤と、
約0.5重量%から約1.5重量%の少なくとも1つの可塑剤と、
必要に応じて約1重量%までの量の滑沢剤と、
必要に応じて約5重量%までの量の治療薬と、
を含むか、これらからなる。
【0016】
いくつかのこのような実施形態では、前記コーティングにおいて、前記結合剤の重量パーセントと前記希釈剤/結合剤の重量パーセントとの割合が、約8:1から約12:1、または約10:1である。
【0017】
いくつかのさらなるこのような実施形態では、前記コーティングにおいて、前記結合剤の重量パーセントと前記界面活性剤の重量パーセントとの割合が、約12.5:1から約20:1、または約15:1から約18:1、または約16:1から約17:1である。
【0018】
いくつかのさらなるこのような実施形態では、前記コーティングにおいて、前記希釈剤/結合剤の重量パーセントと前記界面活性剤の重量パーセントとの割合が、約1.25:1から約2:1、または約1.5:1から約1.8:1である。
【0019】
いくつかのさらなるこのような実施形態では、前記コーティングにおいて、前記結合剤の重量パーセントと前記界面活性剤の重量パーセントと前記希釈剤/結合剤の重量パーセントとの割合が、約10:0.6:1である。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記コーティング中に前記可塑剤と前記滑沢剤と前記治療薬とが存在している。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記コア材料が共役エストロゲンを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記投与体が、1以上の追加のコーティング、例えばカラーコーティングおよび/または研磨コーティングをさらに含む。
【0023】
いくつかの実施形態では本発明は、本発明の投与体を調製するのに有用な水性組成物を提供する。いくつかの実施形態では、前記水性組成物が固体成分と水とを含む。いくつかの実施形態では、前記固体成分が、
前記固体成分の約30重量%から約95重量%の量の少なくとも1つの糖と、
前記固体成分の約0.3重量%から約0.8重量%の量の少なくとも1つの希釈剤/結合剤と、
前記固体成分の約0.28重量%から約0.4重量%の量の少なくとも1つの界面活性剤と、
前記固体成分の約4重量%から約6重量%の量の少なくとも1つの結合剤と、
必要に応じて、前記固体成分の約5重量%までの量の少なくとも1つの可塑剤と、
必要に応じて、前記固体成分の約3重量%までの量の少なくとも1つの滑沢剤と、
必要に応じて、前記固体成分の約10重量%までの量の治療薬と、
を含むか、これらからなり、水が前記水性組成物の約30重量%から約50重量%の量で存在する。
【0024】
いくつかのさらなる実施形態では、前記固体組成物が、
約70重量%から約95重量%の量の前記糖と、
約0.3重量%から約0.8重量%の前記希釈剤/結合剤と、
約0.28重量%から約0.4重量%の前記界面活性剤と、
約4重量%から約6重量%の前記結合剤と、
必要に応じて、約0.5重量%から約1.5重量%の前記可塑剤と、
必要に応じて、約1重量%までの前記滑沢剤と、
必要に応じて、約5重量%までの前記治療薬と、
を含むか、これらからなる。
【0025】
いくつかのさらなる実施形態では、前記固体組成物が、
約87重量%から約94重量%の量の前記糖と、
約0.4重量%から約0.6重量%の前記希釈剤/結合剤と、
約0.28重量%から約0.32重量%の前記界面活性剤と、
約4重量%から約6重量%の前記結合剤と、
約0.5重量%から約1.5重量%の前記可塑剤と、
必要に応じて、約1重量%までの前記滑沢剤と、
必要に応じて、約5重量%までの前記治療薬と、
を含むか、これらからなる。
【0026】
本発明の投与体および水性組成物の固体成分のいくつかの実施形態では、前記糖がスクロースを含むか、これからなり、前記希釈剤/結合剤が微結晶セルロースを含むか、これからなり、前記界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムを含むか、これからなり、前記結合剤がポリビニルピロリドンを含むか、これからなる。いくつかのこのような実施形態では、前記可塑剤が存在する場合、前記可塑剤がポリエチレングリコールを含むか、これからなり、前記滑沢剤が存在する場合、前記滑沢剤がシリカを含むか、これからなり、前記治療薬が存在する場合、前記治療薬がプロゲスチン、例えば酢酸メドロキシプロゲステロンを含むか、これからなる。
【0027】
いくつかの実施形態では、本発明の水性組成物の固体成分において、前記結合剤の重量パーセントと前記界面活性剤の重量パーセントと前記結合剤の重量パーセントの割合が上記の通りである。
【0028】
本発明はさらに、固体投与体を調製するプロセスを提供する。いくつかの実施形態ではプロセスは、本発明の水性組成物でコア材料をコーティングすることを含む。いくつかの実施形態ではプロセスはさらに、前記コーティング済みのコア材料に1以上の追加のコート(例えば、カラーコート、研磨コート、またはカラーコートおよび研磨コートの両方)を付与することを含む。
【0029】
本発明の投与体の各々のいくつかの実施形態では、コア材料が少なくとも1つの治療薬を含む。いくつかの実施形態では、エストロゲンは共役エストロゲンである。いくつかの実施形態では、固体投与体のコーティングは、プロゲスチン、例えば酢酸メドロキシプロゲステロンを含む。
【0030】
本発明はさらに、本明細書に記載のプロセスによる生成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、本発明による投与体を調製する際に容易に使用可能なバッフルを組み込んだバッフル設計およびコーティングパンを示す。
【図2】図2は、本発明による投与体を調製する際に容易に使用可能なバッフルを組み込んだバッフル設計およびコーティングパンを示す。
【図3】図3は、本発明による投与体を調製する際に容易に使用可能なバッフルを組み込んだバッフル設計およびコーティングパンを示す。
【図4】図4は、本発明による投与体を調製する際に容易に使用可能なバッフルを組み込んだバッフル設計およびコーティングパンを示す。
【図5】図5は、本発明による投与体を調製する際に容易に使用可能なバッフルを組み込んだバッフル設計およびコーティングパンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書では濃度、量、パーセンテージおよび他の数値データを範囲として表記または提示することがある。これらの範囲は便宜上および簡略化のために用いるにすぎず、従ってこれらの範囲は、範囲の限度として明示的に示された数値のみならず、各数値およびサブ範囲が明示的に示されている場合は、その範囲に含まれる個々の数値またはサブ範囲の各々を含むというように柔軟に解釈すべきことが理解されるべきである。
【0033】
説明すると、「約1重量%から約10重量%」という濃度範囲は、約1重量%から約10重量%という明示的に記載された濃度のみならず、この範囲に含まれる個々の濃度およびサブ範囲を含むと解釈すべきである。従って例えば2重量%、5重量%および8重量%などの個々の濃度、並びに1重量%から3重量%、5重量%から9重量%などのサブ範囲もこの数値範囲に含まれる。単一の数値のみを記載した範囲にも同じ原則が当てはまる。
【0034】
同様に、「約10重量%未満」または「約5重量%まで」など、片方の限度が示されていない範囲も、上記に詳細に記載したような値および範囲のすべてを含むと解釈すべきである。さらに、片方の限度が示されていない範囲によって明示的に示されていない限度には機能的限度が存在し得ること、そしてこのような限度は明示的に示されていなくても本出願の開示内容の一部として元々含まれていること、が理解される。このような解釈は、記載する範囲または特性の広さにかかわらず適用すべきである。
【0035】
いくつかの実施形態では本発明は、コア材料と、その上に堆積された少なくとも1つのコーティングとを含む固体投与体を提供する。いくつかの実施形態では、前記コーティングが、
約30重量%から約95重量%の少なくとも1つの糖と、
約0.3重量%から約0.8重量%の少なくとも1つの希釈剤/結合剤と、
約0.28重量%から約0.4重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、
約4重量%から約6重量%の少なくとも1つの結合剤と、
必要に応じて約5重量%までの量の少なくとも1つの可塑剤と、
必要に応じて約3重量%までの量の滑沢剤と、
必要に応じて約10重量%までの量の治療薬と、
を含むか、これらからなる。
【0036】
いくつかのさらなる実施形態では、前記コーティングが、
約70重量%から約95重量%の少なくとも1つの糖と、
約0.3重量%から約0.8重量%の少なくとも1つの希釈剤/結合剤と、
約0.28重量%から約0.4重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、
約4重量%から約6重量%の少なくとも1つの結合剤と、
必要に応じて約0.5重量%から約1.5重量%の少なくとも1つの可塑剤と、
必要に応じて約1重量%までの量の滑沢剤と、
必要に応じて約5重量%までの量の治療薬と、
を含むか、これらからなる。
【0037】
いくつかの実施形態では、前記コーティングにおいて、前記結合剤の重量パーセントと前記希釈剤/結合剤の重量パーセントとの割合が、約8:1から約12:1、好ましくは約10:1である。
【0038】
いくつかのさらなる好ましい実施形態では、前記コーティングにおいて、前記結合剤の重量パーセントと前記界面活性剤の重量パーセントとの割合が、約12:1から約20:1、好ましくは約15:1から約18:1、より好ましくは約16:1から約17:1である。
【0039】
いくつかの実施形態では、前記コーティングにおいて、前記希釈剤/結合剤の重量パーセントと前記界面活性剤の重量パーセントとの割合が、約1.2:1から約2:1、好ましくは約1.5:1から約1.8:1である。
【0040】
いくつかの好ましい実施形態では、前記コーティングにおいて、前記結合剤の重量パーセントと前記界面活性剤の重量パーセントと前記希釈剤/結合剤の重量パーセントとの割合が、約10:0.6:1である。
【0041】
いくつかのさらなる実施形態では、前記コーティングが、
約87重量%から約94重量%の少なくとも1つの糖と、
約0.4重量%から約0.6重量%の少なくとも1つの希釈剤/結合剤と、
約0.28重量%から約0.32重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、
約4重量%から約6重量%の少なくとも1つの結合剤と、
約0.5重量%から約1.5重量%の少なくとも1つの可塑剤と、
必要に応じて約1重量%までの量の滑沢剤と、
必要に応じて約5重量%までの量の治療薬と、
を含むか、これらからなる。
【0042】
いくつかのこのような実施形態では、前記コーティングにおいて、前記結合剤の重量パーセントと前記希釈剤/結合剤の重量パーセントとの割合が、好ましくは約8:1から約12:1、好ましくは約10:1である。
【0043】
いくつかのさらなるこのような実施形態では、前記コーティングにおいて、前記結合剤の重量パーセントと前記界面活性剤の重量パーセントとの割合が、好ましくは約12.5:1から約20:1、好ましくは約15:1から約18:1、好ましくは約16:1から約17:1である。
【0044】
いくつかのさらなるこのような実施形態では、前記コーティングにおいて、前記希釈剤/結合剤の重量パーセントと前記界面活性剤の重量パーセントとの割合が、好ましくは約1.25:1から約2:1、好ましくは約1.5:1から約1.8:1である。
【0045】
上記投与体の各々のいくつかの好ましい実施形態では、前記コーティングにおいて、前記結合剤の重量パーセントと前記界面活性剤の重量パーセントと前記希釈剤/結合剤の重量パーセントとの割合が、約10:0.6:1である。
【0046】
いくつかの実施形態では本発明は、コア材料とその上に堆積された少なくとも1つのコーティングとを含む固体投与体であって、前記コーティングが、
約87重量%から約94重量%の少なくとも1つの糖と、
約0.4重量%から約0.6重量%の微結晶セルロースと、
約0.28重量%から約0.32重量%のラウリル硫酸ナトリウムと、
約4重量%から約6重量%のポリビニルピロリドンと、
約0.5重量%から約1.5重量%の少なくとも1つの可塑剤と、
必要に応じて、約1重量%までの量の滑沢剤と、
約5重量%までの量の酢酸メドロキシプロゲステロンと、
を含むか、これらからなり、
前記コア材料が共役エストロゲンを含む、固体投与体を提供する。いくつかのこのような実施形態では、前記糖がスクロースを含むか、これからなる。いくつかのさらなるこのような実施形態では、前記糖がスクロースを含むか、これからなり、前記可塑剤がポリエチレングリコールを含むか、これからなり、前記結合剤がポビドンK25を含むか、これからなる。いくつかのさらなるこのような実施形態では、前記結合剤の重量パーセントと前記界面活性剤の重量パーセントと前記希釈剤/結合剤の重量パーセントとの割合が、約10:0.6:1である。
【0047】
本発明の組成物は、固体投与体を生成するコア材料をコーティングするために用いるのに特に適している。用語「コア材料」は任意のタブレット、カプレット、粒子、マイクロ粒子、微粒子、ペレット、丸薬、コア、粉体、顆粒、小顆粒、小塊、種、小粒、球、結晶、ビーズ、塊、およびこれらの混合体などを指す。典型的には好ましいコア材料は、何らかの動きを含む系において効果的にコーティングできるほど物理的かつ化学的に十分安定した形態(例えば穿孔付きコーティングパン内のタブレットなど)で存在する。
【0048】
好ましい実施形態では、コア材料はタブレットの形態で存在する。本明細書において用語「タブレット」は、治療薬を含み、適切な希釈剤を含んでも含まなくてもよく、圧縮法または成形法(例えば当業者に周知の方法)のいずれかによって調製された固体薬剤投与体を指す。タブレットを形成するに適切な方法は例えば、Edward M Rudnickら、「Oral Solid Dosage Forms」(経口固体投与体)(Remington:The Science and Practice of Pharmacy(薬学の科学と実務)、第20版、第45章、Alfonso R.Gennaro編、Philadelphia College of Pharmacy and Science(Philadelphi,PA)(2000))に記載されいる。この文献はその全体を参考のため本明細書に援用する。いくつかの好ましい実施形態では、コア材料は圧縮法によって形成されるタブレットである。
【0049】
最も頻繁にはコア材料は、少なくとも1つの治療薬と少なくとも1つの薬学的に受容可能な賦形剤とを含む。本明細書において用語「治療薬」は、インビボで治療的生物学的効果をもたらすことができる物質を指す。治療薬は中性であってもよいし、正または負の電荷を帯びていてもよい。適切な薬剤の例は特に、診断薬、薬品、薬剤、合成有機分子、タンパク質、ペプチド、ビタミンおよびステロイドを含む。本明細書において用語「薬学的に受容可能」は、本発明の組成物中に用いられた場合(組成物が経口で投与された場合を含む)に患者に対して概して毒性でも有害でもない材料を指す。本明細書において用語「患者」は、ほ乳類を含む動物を指し、好ましくはヒトである。本明細書において用語「賦形剤」は、容積を提供する、満足のいく処理および圧縮特性を与える、溶解率の制御を助ける、および/またはコア材料に追加の望ましい物理的特性を与える成分を指す。賦形剤に含まれるのは例えば、当業者に周知の希釈剤、結合剤、滑剤および崩壊剤であり、例えば、Handbook of Pharmaceutical Excipients(薬学賦形剤ハンドブック)、American Pharmaceutical Association,Washington,D.C.およびThe Pharmaceutical Society of Great Britain,London,England(1986)に記載されているようなものである。上記文献はその全体を参考のため本明細書に援用する。適切な賦形剤は例えば、セルロース材料(例えばヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース、微結晶セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース並びにこれらの誘導体および塩);他の有機化合物(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、タルク、ラクトースおよびその他の糖(上記したようなもの)、アカシア、デキストリン、アルギン酸、エチルセルロース樹脂、ゼラチン、グアルガム、メチルセルロース、予備ゲル化されたデンプン、アルギン酸ナトリウム、デンプン、ゼイン、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリド−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、および酢酸エチル−メタクリル酸共重合体);可塑剤(例えば、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール重合体、セバシン酸ジブチル、アセチル化モノグリセリド、フタル酸ジエチル、トリアセチン、三酢酸グリセリル、クエン酸アセチルトリエチル、およびクエン酸トリエチル);並びに滑剤(例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、水素化植物油、ラウリル硫酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸ナトリウムと酢酸ナトリウムとの混合物、塩化ナトリウム、ロイシン、およびカルナバ蝋(登録商標)4000)を含む。
【0050】
コア材料には広範囲の治療薬を用いることができる。治療薬の具体的な例は、アセトアゾルアミド、アセトヘキサミド、アクリバスチン、アラトロフロキサシン、アルブテロール、アルクロフェナク、アロキシプリン、アルプロスタジル、アモジアキン、アムホテリシン、アミロバルビタール、アスピリン、アトルバスタチン、アトバクオン、バクロフェン、バルビタール、ベナゼプリル、ベザフィブラート、ブロムフェナク、ブメタニド、ブトバルビタール、カンデサルタン、カプサイシン、カプトプリル、セファゾリン、セレコキシブ、セファドリン、セファレキシン、セリバスタチン、セトリジン(cetrizine)、クロラムブシル、クロロチアジド、クロルプロパミド、クロルタリドン、シノキサシン、シプロフロキサシン、クリノフィブラート、クロキサシリン、クロモグリカート、クロモリン、ダントロレン、ジクロロフェン、ジクロフェナク、ジクロキサシリン、ジクマロール、ジフルニサル、ジメンヒドリナート、ジバルプロエクス、ドキュセート、ドロナビノール、エノキシモン、エナラプリル、エノキサシン、エンロフロキサシン、エパルレスタット、エポサルタン、必須脂肪酸、エストラムスチン、エタクリン酸、エトトイン、エトドラク、エトポシド、フェンブフェン、フェノプロフェン、フェキソフェナジン、フルコナゾール、フルルビプロフェン、フルバスタチン、フォシノプリル、フォスフェニトイン、フマギリン、フロセミド、ガバペンチン、ゲムフィブロジル、グリクラジド、グリピジド、グリベンクラミド、グリブライド、グリメピリド、グレパフロキサシン、イブフェナク、イブプロフェン、イミペネム、インドメタシン、イルベサルタン、イソトレチノイン、ケトプロフェン、ケトロラク、ラモトリジン、レボフロキサシン、リシノプリル、ロメフロキサシン、ロサルタン、ロバスタチン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メサラミン、メトトレキサート、メトラゾン、モンテルカスト、ナリジクス酸、ナプロキセン、ナタマイシン、ニメスリド、ニトロフラントイン、非必須脂肪酸、ノルフロキサシン、ナイスタチン、オフロキサシン、オキサシリン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、ペニシリン、ペントバルビタール、ペルフロキサシン、フェノバルビタール、フェニトイン、ピオグリタゾン、ピロキシカム、プラミペキソール、プランルカスト、プラバスタチン、プロベネシド、プロブコール、プロポフォール、プロピルチオウラシル、キナプリル、ラベプラゾール、レパグリニド、リファムピン、リファペンチン、スパルフロキサシン、スルファベンズアミド、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファドキシン、スルファメラジン、スルファメトキサゾール、スルファフラゾール、スルファピリジン、スルファサラジン、スリンダク、スルファサラジン(sulphasalazine)、スルチアム、テルミサルタン、テニポシド、テルブタリン、テトラヒドロカンナビノール、チロフィバン、トラザミド、トルブタミド、トルカポン、トルメチン、トレチノイン、トログリタゾン、トロバフロキサシン、ウンデセン酸、ウルソデオキシコール酸、バルプロ酸、バルサルタン、バンコマイシン、ベルテポルフィン、ビガバトリン、ビタミンK−S(II)、およびザフィルルカストを含むがこれらに限られない。追加の治療薬は、アバカビル、アセブトロール、アクリバスチン、アラトロフロキサシン、アルブテノール、アルベンダゾール、アルフェンタニル、アルプラゾラム、アルプレノロール、アマンタジン、アミロライド、アミノグルテチミド、アミオダロン、アミトリプチリン、アムロジピン、アモジアキン、アモキサピン、アンフェタミン、アムホテリシン、アンプレナビル、アムリノン、アムサクリン、アポモルフィン、アステミゾール、アテノロール、アトロピン、アザチオプリン、アゼラスチン、アジスロマイシン、バクロフェン、ベネタミン、ベニジピン、ベンズヘキソール、ベンズニダゾール、ベンズトロピン、ビペリデン、ビサコジル、ビサントレン、ブロマゼパム、ブロモクリプチン、ブロムペリドール、ブロムフェニラミン、ブロチゾラム、ブプロピオン、ブテナフィン、ブトコナゾール、カンベンダゾール、カンプトテシン、カルビノキサミン、セファドリン、セファレキシン、セトリジン(cetrizine)、シンナリジン、クロラムブシル、クロルフェニラミン、クロルプログアニル、クロルジアゼポキシド、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロロキン、シメチジン、シプロフロキサシン、シサプリド、シタロプラム、クラリスロマイシン、クレマスチン、クレミゾール、クレンブテロール、クロファジミン、クロミフェン、クロナゼパム、クロピドグレル、クロザピン、クロチアゼパム、クロトリマゾール、コデイン、シクリジン、シプロヘプタジン、ダカルバジン、ダロジピン、デコキナート、デラビルジン、デメクロサイクリン、デキサンフェタミン、デクスクロルフェニラミン、デクスフェンフルラミン、ジアモルフィン、ジアゼパム、ジエチルプロピオン、ジヒドロコデイン、ジヒドロエルゴタミン、ジルチアゼム、ジメンヒドリナート、ジフェンヒドラミン、ジフェノキシレート、ジフェニルイミダゾール、ジフェニルピラリン、ジピリダモール、ジリスロマイシン、ジソピラミド、ドラセトロン、ドンペリドン、ドネペジル、ドキサゾシン、ドキシサイクリン、ドロペリドール、エコナゾール、エファビレンツ、エリプチシン、エナラプリル、エノキサシン、エンロフロキサシン、エペリゾン、エフェドリン、エルゴタミン、エリスロマイシン、エタンブトール、エチオナミド、エトプロパジン、エトペリドン、ファモチジン、フェロジピン、フェンベンダゾール、フェンフルラミン、フェノルドパム、フェンタニル、フェキソフェナジン、フレカイニド、フルシトシン、フルナリジン、フルニトラゼパム、フルオプロマジン、フルオキセチン、フルフェンチキソール、デカン酸フルフェンチキソール、フルフェナジン、デカン酸フルフェナジン、フルラゼパム、フルリスロマイシン、フロバトリプタン、ガバペンチン、グラニセトロン、グレパフロキサシン、グアナベンズ、ハロファントリン、ハロペリドール、ヒオスシアミン、イミペネム、インジナビル、イリノテカン、イソキサゾール、イスラジピン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ケトチフェン、ラベタロール、ラミブジン、ラノスプラゾール、レフルノミド、レボフロキサシン、リシノプリル、ロメフロキサシン、ロペラミド、ロラタジン、ロラゼパム、ロルメタゼパム、リスリド、メパクリン、マプロチリン、マジンドール、メベンダゾール、メクリジン、メダゼパム、メフロキン、メロニカム(meotazinol)、メプタジノール、メルカプトプリン、メサラミン、メソリダジン、メトホルミン、メタドン、メタカロン、メチルフェニデート、メチルフェノバルビタール、メチセルジド、メトクロプラミド、メトプロロール、メトロニダゾール、ミアンセリン、ミコナゾール、ミダゾラム、ミグリトール、ミノキシジル、ミトマイシン、ミトキサントロン、モダフィニル、モリンドン、モンテルカスト、モルフィン、モキシフロキサシン、ナドロール、ナルブフィン、ナラトリプタン、ナタマイシン、ネファゾドン、ネルフィナビル、ネビラピン、ニカルジピン、ニコチン、ニフェジピン、ニモジピン、ニモラゾール、ニソルジピン、ニトラゼパム、ニトロフラゾン、ニザチジン、ノルフロキサシン、ノルトリプチリン、ナイスタチン、オフロキサシン、オランザピン、オメプラゾール、オンダンセトロン、オミダゾール、オキサムニキン、オキサンテル、オキサトミド、オキサゼパム、オキシフェンダゾール、オキシコンザノール、オキシプレノロール、オキシブチニン、オキシフェンシクリミン、パロキセチン、ペンタゾシン、ペントキシフィリン、ペルクロルペラジン、ペルフロキサシン、ペルフェナジン、フェンベンザミン、フェニラミン、フェノキシベンザミン、フェンテミン、フィゾスチグミン、ピモジド、ピンドロール、ピゾチフェン、プラミペキソール、プランルカスト、プラジカンテル、プラゾシン、プロカルバジン、プロクロルペラジン、プログアニル、プロプラノロール、偽エフェドリン、ピランテル、ピリメタミン、クエチアピン、キニジン、キニン、ラロキシフェン、ラニチジン、レミフェンタニル、レパグリニド、レセルピン、リコベンダゾール、リファブチン、リファムピン、リファペンチン、リマンタジン、リスペリドン、リトナビル、リザトリプタン、ロピニロール、ロシグリタゾン、ロキサチジン、ロキシスロマイシン、サルブタモール、サキナビル、セレギリン、セルトラリン、シブトラミン、シルデナフィル、スパルフロキサシン、スピラマイシン、スタブジン、スフェンタニル、スルコナゾール、スルファサラジン、スルピリド、スマトリプタン、タクリン、タモキシフェン、タムスロシン、テマゼパム、テラゾシン、テルビナフィン、テルブタリン、テルコナゾール、テルフェナジン、テトラミゾール、チアベンダゾール、チオグアニン、チオリダジン、チアガビン、チクロピジン、チモロール、チニダゾール、チオコナゾール、チロフィバン、チザニジン、トルテロジン、トポテカン、トレミフェン、トラマドール、トラゾドン、トリアムテレン、トリアゾラム、トリフルオペラジン、トリメトプリム、トリミプラミン、トロメタミン、トロピカミド、トロバフロキサシン、バンコマイシン、ベンラファキシン、ビガバトリン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビタミンK5、ビタミンK6、ビタミンK7、ザフィルルカスト、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、およびゾピクロンを含む。無論上記したように、上記の治療薬のいずれがコーティング組成物に含まれていてもよく、或いはコーティング組成物に関して上記したいずれの治療薬がコア材料に含まれていてもよい。
【0051】
コア材料は一定期間に亘って持続して送達すべき治療薬を送達するように設計してもよい。以下はこのような治療薬の代表的なものである:炎症抑制剤、解熱剤、鎮痙剤または鎮痛剤(例えば、インドメタシン、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム、コデイン、イブプロフェン、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、メピリゾール、アスピリン、エテンザミド、アセトアミノフェン、アミノピリン、フェナセチン、臭化ブチルスコポラミン、モルフィン、エトミドリン、ペンタゾシン、フェノプロフェンカルシウム、ナプロキセン、セレクキシプ(selecxip)、バルデクキシプ(valdecxip)、およびトラマドール)、抗リウマチ薬(例えば、エトドラク)、抗結核薬(例えば、イソニアジド、および塩酸エタンブトール)、心血管治療薬(例えば、二硝酸イソソルビド、ニトログリセリン、ニフェジピン、塩酸バルニジピン、塩酸ニカルジピン、ジピリダモール、アムリノン、塩酸インデノロール、塩酸ヒドララジン、メチルドパ、フロセミド、スピロノラクトン、硝酸グアネチジン、レセルピン、塩酸アモスラロール、リシノプリル、メトプロロール、ピロカルピン、およびタルセチン(talcetin))、精神病治療薬(例えば、塩酸クロルプロマジン、塩酸アミトリプチリン、ネモナプリド、ハロペリドール、塩酸モペロン、ペルフェナジン、ジアゼパム、ロラゼパム、クロロジアゼポキシド、アジナゾラム、アルプラゾラム、メチルフェニデート、ミルナシプラン、ペロキセチン、リスペリドン、およびバルプロ酸ナトリウム)、抗嘔吐薬(例えば、メトクロプラミド、塩酸ラモセトロン、塩酸グラニセトロン、塩酸オンダンセトロン、および塩酸アザセトロン)、抗ヒスタミン薬(例えば、マレイン酸クロルフェニラミン、および塩酸ジフェンヒドラミン)、ビタミン(例えば、硝酸チアミン、酢酸トコフェロール、シコチアミン、リン酸ピリドキサール、コバルナミド(cobarnamide)、アスコルチン酸(ascortic acid)、およびニコチンアミド)、抗痛風薬(例えば、アロプリノール、コルヒチン、およびプロベネシド)、抗パーキンソン病薬(例えば、レボドパ、およびセレグリン)、鎮痛剤および催眠薬(例えば、アモバルビタール、ブロムラリルウレア(bromuralyl urea)、ミダゾラム、および水酸化クロラル)、抗新生物薬(例えば、フルオロウラシル、カルモフール、塩酸アクラルビジン(acralvidine hydrochloride)、シクロホスファミド、およびチオデーパ)、抗アレルギー薬(例えば、偽エフェドリン、およびテルフェナジン)、充血除去薬(例えば、フェニルプロパノラミン、およびエフェドリン)、糖尿病薬(例えば、アセトヘキサミド、インシュリン、トルブタミド、デスモプレシン、およびグリピジド)、利尿薬(例えば、ヒドロクロロチアジド、ポリチアジド、およびトリアムテレン)、気管支拡張薬(例えば、アミノフィリン、フマル酸フォルモテロール、およびテオフィリン)、鎮咳薬(例えば、リン酸コデイン、ノスカピン、リン酸ジモルファン、およびデキストロメトルファン)、抗不整脈薬(例えば、硝酸キニジン、ジギトキシン、塩酸プロパフェノン、およびプロカインアミド)、局部麻酔薬(例えば、アミノ安息香酸エチル、リドカイン、および塩酸ジブカイン)、抗痙攣薬(例えば、フェニトイン、エトスクシミド、およびプリミドン)、合成糖質コルチコイド(例えば、ヒドロフルチゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、およびベタメタゾン)、抗潰瘍薬(例えば、ファモチジン、塩酸ラニチジン、シメチジン、スクラルファート、スルピリド、テプレノン、プラウノトール、5−アミノサリチル酸、スルファサラジン、オメプラゾール、およびランソプラゾール)、中枢神経系薬(例えば、インデロキサジン、イデベノン、塩酸チアプリド、ビフェメランヒドロシド、およびカルシウムホモパントテナート)、抗高リポ蛋白血症薬(例えば、プラバスタチンナトリウム、シンバスタチン、ロバスタチン、およびアトルバスタチン)、抗生物質(例えば、塩酸アンピシリン、フタリルスルファセタミド、セフォテタン、およびジョサマイシン)、BPH治療薬(例えば、塩酸タムスロシン、メシル酸ドキサゾシン、および塩酸テラゾシン)、子宮運動性に影響を与える薬剤(例えば、ブラニルカスト(branylcast)、ザフィルカスト、アルブテロール、アムブロキソール、ブデソニド、およびレプロテロール)、プロスタグランジンI誘導体の末梢循環改善薬(例えば、ベラプロストナトリウム、抗凝固剤、血圧低下剤、心不全治療薬、糖尿病の様々な合併症の治療に用いられる薬、消化性潰瘍治療薬、皮膚潰瘍治療薬、高脂血症の治療に用いられる薬、早産防止薬など。治療薬は遊離形態で用いてもよいし、薬学的に受容可能な塩として用いてもよい。さらにコア材料中には治療薬は単独で存在してもよいし、2つ以上の組み合わせで存在してもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、コア材料中の治療薬は共役エストロゲンを含む。本明細書において「共役エストロゲン」(CE)は、天然の共役エストロゲンと合成共役エストロゲンとを含む。合成共役エストロゲンは例えば、米国薬局方(USP23)に記載された化合物および当業者が共役エストロゲンであると考える他のエストロゲンである。さらに「共役エストロゲン」は、これらの化合物のエステル(例えば、硫酸塩エステル)、これらの化合物の塩(例えば、ナトリウム塩)、これらの化合物の塩のエステル(例えば、硫酸塩エステルのナトリウム塩)、および当該分野で公知の他の誘導体を指す。いくつかの具体的な例としては、17−アルファ−およびベータ−ジヒドロエキリン、エキレニン、17−アルファおよびベータ−ジヒドロエキレニン、エストロン、17−ベータ−エストラジオール、およびこれらの硫酸ナトリウムエステルが挙げられる。
【0053】
CEは典型的にはエストロゲン成分(例えばエストロンおよびエキリン)の混合物であるが、コア材料はこのような混合物を利用するように処方されてもよいし、選択された又は個々のエストロゲン成分のみを含むように処方されてもよい。これらのCEはもともと合成であってもよいし、天然であってもよい。合成により生成されたエストロゲンの例は特に、エストロン硫酸ナトリウム、エキリン硫酸ナトリウム、17α−ジヒドロエキリン硫酸ナトリウム、17β−ジヒドロエキリン硫酸ナトリウム、17α−エストラジオール硫酸ナトリウム、17β−エストラジオール硫酸ナトリウム、エキレニン硫酸ナトリウム、17α−ジヒドロエキレニン硫酸ナトリウム、17β−ジヒドロエキレニン硫酸ナトリウム、エストロピペート、およびエチニルエストラジオールを含む。参考のため本明細書に援用する米国特許第5,210,081号に記載されている8,9−ジヒドロエストロンのアルカリ金属塩および8,9−ジヒドロエストロン硫酸エステルのアルカリ金属塩も用いることができる。天然のCEは通常、妊娠中の雌馬の尿から入手し、その後処理し、安定化してもよい。このようなプロセスの例は、米国特許第2,565,115号および第2,720,483号に記載されており、これらの文献を参考のため本明細書に援用する。
【0054】
多くのCE品は市販されている。これらのうち好ましいものは、プレマリン(登録商標)(Wyeth、Madison,NJ)として知られている天然のCE品である。合成エストロゲンから調製された別の市販CE品は、Cenestin(登録商標)(Duramed Pharmaceuticals,Inc.、Cincinnati,Ohio)である。コア材料中に含まれる具体的なCEの量は、具体的な治療効果を達成するに必要な量であればいずれの量であってもよく、示された具体的な処置およびタブレットに含まれる具体的なCEに依存して変化し得る。しかし概して、タブレットに含まれるCEの量は、約0.1mgCE/投与体から約5.0mgCE/投与体の範囲であり得、約0.3mgCE/1投与体から約2mgCE/投与体の範囲が好ましい。いくつかの実施形態では、CEの投与量は約0.3mgCE/投与体、約0.45mgCE/投与体、約0.625mgCE/投与体、約0.9mgCE/投与体、または約1.25mgCE/投与体からである。別の見方をすると、CE/投与体の量は、固体投与体の全重量に対して、あるいは乾燥重量に対して、約0.05重量%から約1.0重量%の範囲であり得、約0.1重量%から約0.3重量%の量が好ましい。
【0055】
いくつかの実施形態では、本発明は上記したように、コア材料をコーティングするために用いるに適した組成物に向けられている。組成物は、溶媒(好ましくは水)と固体成分とを含み、固体成分は必要に応じて治療薬を含んでもよい。好ましくは、組成物は水性懸濁液という形態にあり、これは約30重量%から約98重量%の水と約2重量%から約70重量%の固体成分とを化合することにより得られる。ある実施形態では、組成物は、約30重量%から約50重量%の水と、約50重量%から約70重量%の固体成分とを含む。1つのこのような実施形態では、組成物は、約40重量%の水と約60重量%の固体成分とを含む。
【0056】
本発明の水性組成物は特に、本発明の投与体を調製するのに有用である。投与体は、上記のコア材料と、本発明の水性組成物でコアをコーティングすることによって提供される、コア材料上のコートとを含み得る。従って本明細書の記載では、本発明の水性組成物の固体成分の組成は、本発明の投与体中のコア材料のコーティングの組成を反映している。
【0057】
固体成分は特に、1以上の糖を含む。本明細書において用語「糖」は、任意のタイプの単純な炭水化物を含む。単純な炭水化物とは、例えばモノサッカリドまたはジサッカリドであり、天然源から精製された天然入手されたものであってもよいし、人工的に生産されたものであってもよい。単純な炭水化物は、スクロース、マルトース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、マンニトール、ラクトース、トレハロース、ラクツロース、レブロース、ラフィノース、リボース、およびキシロースを含むがこれらに限られない。本明細書において用語「糖」はさらに、固体投与体の調製の当業者に広く知られている様々な「糖代替物」を含む。糖代替物は例えば、多価アルコール(「糖アルコール」または水素化サッカリドと呼ばれることもある;例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、およびエリスリトール)、並びに多価アルコールの糖誘導体(例えば、マルチトール、ラクチトール、イソマルト、およびポリアルジトール)を含む。従って用語「糖」は包括的に、これらの具体的化合物および本明細書に明示的に記載されていない他の化合物を含むと解釈されるべきである。ある実施形態では、本発明の組成物の固体成分は、少なくとも1つの糖、すなわちモノサッカリドまたはジサッカリド(例えば、スクロース、デキストロース、マルトース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ラクトース)を含む。いくつかのこのような実施形態では、糖はスクロースである。
【0058】
概して固体成分は、約30重量%から約95重量%の糖を含む。さらに他の実施形態では固体成分は約70重量%から約95重量%の糖を含む。さらに他の実施形態では固体成分は約87重量%から約94重量%の糖を含む。さらに他の実施形態では固体成分は約91重量%の糖を含む。
【0059】
固体成分はさらに希釈剤/結合剤を含む。本明細書において用語「希釈剤/結合剤」は、薬剤中で希釈剤として、結合剤として、または希釈剤と結合剤の両方として機能することが知られている化合物を意味することを意図している。1つの好ましい希釈剤/結合剤は、微結晶セルロースである。他の適した希釈剤/結合剤は、他のセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、粉末セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシメチルプロピルセルロース(HPMC))、並びに薬剤投与体中で希釈剤および結合剤として機能することが知られている他の物質(例えば、アルギン酸、酸化ポリエチレン、アルギン酸ナトリウム、マルトデキストリン、予備ゲル化されたデンプン、ゼイン、アカシアガム、グアルガム、カルボマー、およびデンプン)を含む。いくつかの実施形態では、希釈剤/結合剤は糖中にあってもよいが、この場合この糖は、本発明のコーティングの糖成分として用いられる糖と同じであってはならない。希釈剤/結合剤は概して、約0.3重量%から約0.8重量%の量で固体成分中に存在する。いくつかの実施形態では希釈剤/結合剤は、約0.4重量%から約0.6重量%の量で存在する。いくつかの好ましい実施形態では希釈剤/結合剤は、固体成分の約0.5重量%の量で存在する。
【0060】
希釈剤/結合剤は本発明のコーティング中では、薬剤中の希釈剤の典型的な使用と比べると比較的少量で用いられる。このような量の希釈剤/結合剤は本明細書に記載する量の界面活性剤および結合剤と共に用いられた場合、例えば外見、ひび割れの減少、溶解特性という点で本発明のコーティングに重要な利点をもたらすことが本発明によって発見された。
【0061】
固体成分はさらに界面活性剤を含む。界面活性剤は、当該分野で有用であることが知られているものから選択されてもよく、これらは例えば、金属アルキル硫酸塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油誘導体、ドクサートナトリウム、脂肪酸の糖エステル、脂肪酸のグリセリド、脂肪酸のアルカリ塩、ポリエチレン−プロピレングリコール共重合体、ホスファチジルコリン、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ドクサートナトリウム、ソルビタンエステル、および乳化ワックスを含む。いくつかの好ましい実施形態では界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムを含むか、これからなる。
【0062】
界面活性剤は概して、約0.28重量%から約0.4重量%の量で固体成分中に存在する。いくつかの実施形態では界面活性剤は、約0.28重量%から約0.32重量%の量で存在する。いくつかの好ましい実施形態では界面活性剤は、固体成分の約0.3重量%の量で存在する。
【0063】
固体成分はさらに、少なくとも1つの結合剤を含む。結合剤は、薬剤投与体中で結合剤として機能することが知られている様々な物質のいずれであってもよいが、希釈剤/結合剤と結合剤とが同じであってはならない。適切な結合剤は、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、予備ゲル化されたデンプン、純デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、およびカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む。いくつかの好ましい実施形態では結合剤は、ポリビニルピロリドン(例えばポビドンK25)を含むか、これからなる。
【0064】
結合剤は概して、約4重量%から約6重量%の量で固体成分中に存在する。いくつかの好ましい実施形態では結合剤は、固体成分の約5重量%の量で存在する。
【0065】
組成物の固体成分はさらに必要に応じて1以上の可塑剤を含んでもよい。適切な可塑剤はこの場合も当該分野で周知のものであり、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ポリエチレングリコール(PEG)重合体、セバシン酸ジブチル、アセチル化モノグリセリド、フタル酸ジエチル、トリアセチン、三酢酸グリセリル、クエン酸アセチルトリエチル、およびクエン酸トリエチルを含む。ある実施形態ではPEG重合体が用いられる。このような重合体は、PEG100からPEG4000などとして平均分子量のグレード別に市販されている。いくつかの好ましい実施形態では可塑剤はPEG400を含むか、これからなる。他の適切な可塑剤は、フタル酸ジブチル、クエン酸トリブチル、フタル酸ジメチル、ピロリドン、DBS(セバシン酸ジブチル)、DBP(フタル酸ジブチル)、DEP(フタル酸ジエチル)、DMP(フタル酸ジメチル)、PVAP(酢酸フタル酸ポリビニル)、TEC(クエン酸トリエチル)、TBC(クエン酸トリブチル)、グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、ソルビトール、鉱油、トリエタノールアミン、トリアセチン、ステアリン酸、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、およびデキストリンを含む。可塑剤が存在する場合、可塑剤は概して約5重量%の量で固体成分中に用いられる。いくつかの実施形態では可塑剤は、約0.5重量%から約1.5重量%の量で存在する。いくつかの好ましい実施形態では可塑剤は、固体成分の約1重量%の量で存在する。
【0066】
組成物の固体成分はさらに必要に応じて1以上の滑沢剤を含んでもよい。適切な滑沢剤はこの場合も当該分野で周知のものであり、例えば、シリカ、二塩基リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、二酸化シリコン、二酸化シリコンエアロゲル、含水珪酸マグネシウムカルシウム(タルク)、三珪酸マグネシウム、および珪酸マグネシウムを含む。いくつかの好ましい実施形態では滑沢剤は、シリカ(例えばCab−O−Sil(登録商標))を含むか、これからなる。滑沢剤が存在する場合、滑沢剤は概して約3重量%までの量で固体成分中に存在する。いくつかの実施形態では滑沢剤は、約1重量%までの量で存在する。いくつかの好ましい実施形態では滑沢剤は、固体成分の約0.5重量%の量で存在する。
【0067】
組成物の固体成分はさらに必要に応じて1以上の治療薬を含んでもよい。治療薬は上記したもののいずれでもよい。本発明を限定しない一実施例では固体成分は1以上のホルモンステロイドを含んでもよい。ホルモンステロイドは例えば、酢酸メドロキシプロゲステロン、レボノルゲストレル、ゲストデン、メドロゲストン、エストラジオール、エストリオール、エチニルエストラジオール、メストラノール、エストロン、ジエネストロール、ヘキセストロール、ジエチルスチルベストロール、プロゲステロン、デソゲストレル、ノルゲスチマート、ヒドロキシプロゲステロン、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルゲストレル、酢酸メゲストロール、メチルテストステロン、エチルエストレノール、メタンジエノン、オキサンドロロン、トリメゲストン、ジオノゲスト(dionogest)などである。さらに典型的なステロイド機能を有していてもよいし有していなくてもよい組織選択性プロゲステロンおよび/またはプロゲステロン拮抗剤が組成物中に存在してもよい。これらは、RU−486(ミフェプリストン)、ZK 98 299(オナプリストン)、ZK−137316(Schering AG,Berlin)、ZK−230211(Schering AG,Berlin)、およびHRP−2000(17−アセトキシ−[11β−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)]−19−ノルプレグナ−4,9−ジエン−3,20−ジオン)を含むがこれらに限られない。所望であれば、エストロゲンステロイドおよびプロゲストーゲンステロイドを組み合わせて用いてもよい。
【0068】
上記のコーティング組成物に加えて本発明はさらに、コア材料と、その上に堆積された少なくとも1つのコーティングとを含む固体投与体にも向けられている。上記各要素は上述した。ある実施形態では、投与体はコーティング済みタブレットである。いくつかの実施形態では固体投与体は、約30重量%から約70重量%のコア材料と、約30重量%から約70重量%のコーティングとを含み、さらなる実施形態では、約40重量%から約60重量%のコア材料と、約40重量%から約60重量%のコーティングとを含む。固体投与体はさらに必要に応じて1以上の追加のコート、例えば本明細書に記載のさらなる糖コーティングを含んでもよく、これは上記のコーティング上、またはコアと上記コーティングとの間のいずれかに設けられる。固体投与体はさらに、1以上のカラーコートおよび/または研磨コートを含んでもよい。いくつかの実施形態では、カラーコートは投与体の約0.5重量%から約15重量%を構成し、および/または研磨コートは投与体の約0.01重量%から約5重量%を構成する。
【0069】
コアまたは糖コーティング中には上記の治療薬のいずれを用いてもよい。いくつかの好ましい実施形態では、本発明は、コア材料中に共役エストロゲン(例えばラクトースによる共役エストロゲンの乾燥状態)を用い、糖コーティング中にプロゲスチン(例えば酢酸メドロキシプロゲステロン)を用いるコーティング済みタブレットを提供する。ある実施形態では、共役エストロゲンは約0.1mgCE/投与体から約5.0mgCE/投与体または約0.3mgCE/投与体から約2mgCE/投与体の量で存在する。いくつかの実施形態では、CEの量は約0.3mgCE/投与体、約0.45mgCE/投与体、約0.625mgCE/投与体、約0.9mgCE/投与体、約1.25mgCE/投与体、または約2.5mgCE/投与体からである。好ましくはCEは、本明細書に記載するコーティング組成物でコーティング可能なタブレットコア中に、固体投与体の全重量に対して約30重量%から約75重量%の量で存在し、これによりコーティング済みタブレットが生成される。上記のように必要に応じてカラーコートおよび/または研磨コートを付与してもよい。
【0070】
結合剤(例えばポリビニルピロリドン)の量および希釈剤/結合剤(例えば微結晶セルロース)の割合を制御することが、投与体の特性(例えば処理特性、外見特性、および溶解特性)という面で重要な利点を提供するということが本発明によって判明した。上記特性に対するさらなる向上を含む追加の利点は、コーティング組成物中に用いられる界面活性剤の量を制御することによってもたらされる。従っていくつかの好ましい実施形態では、コーティングにおいて、結合剤の重量パーセントと希釈剤/結合剤の重量パーセントとの割合が、約8:1から約12:1、または約10:1である。いくつかのさらなる実施形態では、コーティングにおいて、結合剤の重量パーセントと界面活性剤の重量パーセントとの割合が、約12:1から約20:1、または約15:1から約18:1、または約16:1から約17:1である。いくつかのさらなる実施形態では、コーティングにおいて、希釈剤/結合剤の重量パーセントと界面活性剤の重量パーセントとの割合が、約1.2:1から約2:1、または約1.5:1から約1.8:1である。いくつかのさらなる実施形態では、コーティングにおいて、結合剤の重量パーセントと界面活性剤の重量パーセントと希釈剤/結合剤の重量パーセントとの割合が、約10:0.6:1である。
【0071】
いくつかの実施形態では、上記実施形態のいずれかに記載したか又はその組み合わせである固体投与体のコーティングにおいて、
糖がスクロースを含み、
希釈剤/結合剤が微結晶セルロースを含み、
界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムを含み、
結合剤がポリビニルピロリドンを含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、上記実施形態のいずれかに記載したか又はその組み合わせである固体投与体のコーティングにおいて、
糖がスクロースを含み、
希釈剤/結合剤が微結晶セルロースを含み、
界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムを含み、
結合剤がポリビニルピロリドンを含み、
可塑剤が存在する場合、可塑剤がポリエチレングリコールを含み、
滑沢剤が存在する場合、滑沢剤がシリカを含み、
治療薬が存在する場合、治療薬が酢酸メドロキシプロゲステロンを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、固体投与体の治療薬はプロゲスチンを含む。いくつかの実施形態では、固体投与体の治療薬は酢酸メドロキシプロゲステロンを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、固体成分中に可塑剤と滑沢剤と治療薬とが存在している。
【0075】
いくつかの実施形態では、固体投与体はさらにカラーコーティングを含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、上記実施形態のいずれかに記載したか又はその組み合わせである水性組成物の固体成分において、
糖がスクロースを含み、
希釈剤/結合剤が微結晶セルロースを含み、
界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムを含み、
結合剤がポリビニルピロリドンを含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、上記実施形態のいずれかに記載したか又はその組み合わせである水性組成物の固体成分において、
糖がスクロースを含み、
希釈剤/結合剤が微結晶セルロースを含み、
界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムを含み、
結合剤がポリビニルピロリドンを含み、
可塑剤が存在する場合、可塑剤がポリエチレングリコールを含み、
滑沢剤が存在する場合、滑沢剤がシリカを含み、
治療薬が存在する場合、治療薬が酢酸メドロキシプロゲステロンを含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、水性組成物の治療薬はプロゲスチンを含む。いくつかの実施形態では、水性組成物の治療薬は酢酸メドロキシプロゲステロンを含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、固体成分中に可塑剤と滑沢剤と治療薬とが存在している。
【0080】
本発明の1つの利点は、当該分野で公知の様々なプロセスによって調製された広範囲のタブレットコアを本発明のコーティング組成物で容易にコーティングしてコーティング済みタブレットコアを提供できることである。従っていくつかの実施形態では本発明は、タブレットコアを提供する工程と、例えば上記のようにコアに糖コーティング組成物を噴霧することによって付与する工程とを含むプロセスに向けられている。
【0081】
ある実施形態では、従来の糖コーティング方法で典型的に用いられる密閉層を介入させる必要なく、タブレットコアに直接糖コーティング組成物を堆積する。しかし所望であれば、糖コーティング組成物を付与する前に、密閉層(例えばシェラックおよび当業者に公知の他の物質)をタブレットコアに付与してもよい。いくつかの実施形態では糖コーティング組成物は、上記したような治療薬(例えば酢酸メドロキシプロゲステロン)を含み、糖コートを含む非治療薬を先に付与したり密閉層を介入させたりすることなく、タブレットコアに直接堆積される。
【0082】
本発明のプロセスはさらに、カラーコートおよび/または研磨コートを糖コートに噴霧する工程を含んでもよい。このような工程は必要に応じて行われ、すべてのコーティング工程は単一のコーティングパン内で実施してもよいし、順に実施してもよい。さらにロゴ、商標、文言、またはシンボルなどを必要に応じて印刷する工程が本発明のプロセスに含まれてもよい。印刷は当業者に周知の方法のいずれによって行ってもよい。
【0083】
従って本発明のプロセスは、タブレットコアを提供する工程と、コーティングパン(例えば、糖コーティングの付与で通常用いられる穿孔付きコーティングパン、例えばサイドベンツが付いた穿孔付きパン)にタブレットコアを載置する工程と、その後本明細書に記載の糖コーティング組成物をタブレットコアに噴霧する工程とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、噴霧は、付与したコーティングが所望の重量になるまでコーティング組成物を1回ごとに増量しながら噴霧することによって行う。任意の所望のカラーコートまたは研磨コートを提供するために同様の手順を用いてもよい。タブレットをコーティングする噴霧技術は当業者に周知であり、例えばStuart C. Porter、「Coating of Pharmaceutical Dosage Forms」(薬剤投与体のコーティング)、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(薬学の科学と実務)、第20版、第46章、Alfonso R.Gennaro編、Philadelphia College of Pharmacy and Science(Philadelphia,PA)(2000)に記載されている。この文献はその全体を参考のため本明細書に援用する。
【0084】
本発明はさらに、このようなプロセスによる生産物に向けられており、生産物は例えば、コーティング済みタブレットコア、または上記のように1以上の追加のカラーコートおよび/または研磨コートを有する上記コーティング済みタブレットコアを含む。
【0085】
本発明のプロセスは、当該分野で公知の従来の糖コーティング技術よりもはるかに簡素であり、労力がかからず、オペレータの技術に対する依存度が低い。さらに糖コーティング組成物で用いられる成分のユニークな組み合わせのために、本発明のプロセスによって生成されるコーティング済みタブレットは、吸湿性の高いタブレットコアが用いられた場合でも、非常に堅く耐久性があり、ひび割れに対して抵抗力が強い。いくつかの実施形態では、本発明の糖コーティング組成物でコーティングされた複数のタブレットコアのうち、ひび割れを有するものは6%未満である。さらなるこのような実施形態では、ひび割れのパーセンテージは約1から約5パーセントであり、さらなる実施形態では1パーセント未満である。さらにコーティングは、タブレットコアからの臭いの放出を防止し、空気中の物質がタブレットコア内の治療薬に達して劣化させることを防止する優良なバリアを提供する。従って本明細書に記載するコーティング組成物およびプロセスは、強い臭いを有する治療薬または他の材料(例えば硫黄含有組成物)をコア材料中に用いる固体投与体を調製するのに特に適している。
【0086】
本発明を具体的実施例によって、より詳細に説明する。以下の実施例は本発明を説明するために提供されるものであり、決して本発明を限定するものではない。当業者であれば、実質的に同一の結果をもたらすために変更または改変可能な様々な重要でないパラメータを容易に認識する。
【0087】
実施例
実施例1
プレマリン/MPA(0.45/1.5mg)でコーティングしたタブレットの調製
以下の手順に従って、共役エストロゲン(プレマリン(登録商標)、0.45mg)を含むタブレットコア材料を、酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)を含む水性コーティング懸濁液(固体60%、水40%)でコーティングすることによりコーティング済みタブレットを調製した。コーティング済みタブレット毎に1.5mgのMPAを提供するようにした。その後コーティング済みタブレットをカラーコーティング懸濁液でコーティングしてカラーコーティングを提供し、その後さらに研磨懸濁液でコーティングして研磨コートを提供した。コーティング懸濁液、カラーコーティング懸濁液、および研磨懸濁液の組成を以下の表1に示す。
【0088】
【表1】

【0089】
コーティング装置
3つの異なるタイプのパンを用いた。Colton 12”パン、Compu−Lab 19”パン、およびCompu−Lab 24”パンである。パンの速度は、12”パンでは15〜20rpmに設定し、19”パンでは10〜12rpmに設定し、24”パンでは12−20rpmに設定した。12”Coltonパンにはバッフルを含ませなかった。19”および24”パンにはバッフルを含ませ、これによりタブレットの効率的な混合が可能となった。
【0090】
さらなる手順では、プロセスをスケールアップさせて、製造スケールのバッチをコーティングするのに用いられるGCX−1000パン(Glatt Air Technologies製、内径40”)内で行った。
【0091】
その後、上記に示すように二酸化チタンを含む色付き懸濁液を用いて充填タブレットを色付けした。
【0092】
MPAコーティング懸濁液の調製
以下の工程を用いてMPAコーティング懸濁液を調製した。
1.適切なサイズの被覆した容器に精製した水を加えた。高剪断ミキサーで混合しながら水を65℃±5℃まで加熱しスクロースを加えた。混合物を65℃まで再加熱し、すべてのスクロースが溶けるまで混合した。
【0093】
2.上記溶液を40〜40℃まで冷却した。高剪断ミキサーを用いて、ポリエチレングリコール、ポビドンK25、微結晶セルロースおよびCab−O−Silを渦にゆっくりと加えた。完全に懸濁されるまで賦形剤を混合した。高剪断ミキサーを用いて懸濁液をさらに1分間、必要に応じて1回以上混合し、完全に混合したことを確認した。
【0094】
3.上記懸濁液を高剪断ミキサーで混合しながら35〜39℃まで冷却し、ラウリル硫酸ナトリウムおよびMPAをゆっくりと加えた。付与プロセス全体を通じてタンクの温度を35℃から39℃に維持しながら、低剪断ミキサーを用いて懸濁液を混合し続けた。
【0095】
Comp−U−Lab Coltonコーターを用いたMPAコーティング懸濁液の付与
1.予め選択したサイズの(12、19および24インチのパンを用いた)穿孔付き(Colton設計の場合は中実パン)コーティングパンに適量のヒドロゲルプレマリンタブレットコアをロードした。
【0096】
2.入口の温度を40℃に設定し、流入空気を75cfmに設定した。露点11℃、排気温度35℃で、タブレットを約30℃まで予備加熱した。Colton条件を手動で設定した。
【0097】
3.タブレットの平均重量増加が106mgになるまで、パンを予め選択したrpm(パンのサイズに依存する)で回転させながら、MPAコーティング懸濁液を注射器(および/または測定器)で1回ごとに増量しながら注入した。注入する毎に180〜330秒間回転させ(空気はコーティングパンを介して通らない)、その後60〜180秒間乾燥させた。
【0098】
色付きコーティング懸濁液の調製
1.適切なサイズの被覆した容器に精製した水を加えた。高剪断ミキサーで混合しながら水を65℃±5℃まで加熱しスクロースを加えた。懸濁液を65℃まで再加熱し、すべてのスクロースが溶けるまで攪拌を続けた。
【0099】
2.ポビドンおよび二酸化チタンを加えた。高剪断ミキサーを用いて懸濁液を混合し、懸濁液が均質になったことを確認した。
【0100】
3.Cab−O−Silを加えた。高剪断ミキサーを用いて懸濁液を混合して、均質な懸濁液を生成した。
【0101】
4.懸濁液を35〜39℃まで冷却した。付与プロセス全体を通じてタンクの温度を35℃から39℃に維持しながら、低剪断ミキサーを用いて混合し続けた。
【0102】
カラーコーティング懸濁液の付与
1.Comp−U−Labコーターに取り付けた24”穿孔付きコーティングパンに、適量のプレマリン/MPA充填タブレットをロードした。
【0103】
2.入口の温度を40℃に設定し、流入空気を75cfmに設定した。露点11℃、排気温度35℃で、タブレットを約30℃まで予備加熱した。
【0104】
3.タブレットの平均重量増加が25mgになるまで、パンを約18rpmで回転させながら、カラーコーティング懸濁液を1回ごとに増量しながら注入した。注入する毎に180〜330秒間回転させ(空気はコーティングパンを介して通らない)、その後60〜180秒間乾燥させた。
【0105】
研磨コーティングの調製と付与
1.ミネラルスピリット(無臭)中にカルナバ蝋、NF、#120を激しく攪拌して懸濁することにより、研磨コーティング懸濁液を調製した。
【0106】
2.回転するタブレットに研磨懸濁液を付与し、満足のいく光沢が得られるまで回転を続けた。
【0107】
溶解度の研究
0.54%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)水溶液900mLを含み、75rpmで回転するパドルを備えた装置で溶解度を判定した。溶解媒体の濾過済みサンプルを特定の時点で採取した。逆相高速液体クロマトグラフィーによって活性物質の放出を判定した。
【0108】
重量ばらつき
充填プロセス中に所定の重量増加時点で約150個のタブレットのサンプルを採取した。Mocon Automatic Balance Analysisテスター(Modern Controls,Inc.、Minneapolis,MN)を用いて1000個のタブレットの重量増加を評価した。
【0109】
完全性および溶媒透過性(ひび割れ)
完全性テスト
100個のタブレットを、プレキシガラス管(37deg±2degで、内径1インチ×36インチ)に沿って1Lのステンレス鋼製ビーカー(同じ角度で保持)まで下方に摺動させた。この工程をさらに4回繰り返した。同じタブレットを溶媒透過性テストにも用いた。
【0110】
溶媒透過性テスト
100個のタブレットを適切な容器内に載置し、十分な量の染料溶液(酢酸エチル中に溶解させたD&C Green #6)を加えてタブレットを覆った。その後容器を密閉し18〜24時間放置した。特定の期間後、タブレットを染料溶液から取り出し、透明な酢酸エチルで数回水洗することにより過剰分の染料を除去した。タブレットを周囲温度(室温)で乾燥させた。その後ひび割れを示したタブレットの数を観察により決定した。
【0111】
外見
目視または1組の拡大鏡下で100個のタブレットの外見を判定して表面異常がないかどうかを観察した。
【0112】
結果
微結晶セルロース(MCC)のレベルを変えることにより活性物質の溶解プロファイルにどのような影響があるかを調べるために実験を複数回行った。表2は、各バッチの糖コーティング中のMCCの濃度を示す。バッチ1から4の糖コーティング中の二酸化シリコンの量はそれぞれ0%、0.5%、0%および1%であった。各バッチの糖コーティング中のポビドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)およびラウリル硫酸ナトリウム(SLS)の濃度はそれぞれ5%、1%および0%に維持した。糖コーティング中のスクロースの量は、所望の固体レベルを維持するために表1の量から調整した。
【0113】
表2からわかるように、微結晶セルロースの量が0.8%MCC(微結晶セルロース)から5.0%MCCに増加するにつれて、活性物質の溶解プロファイルは減少した、すなわち遅くなった。ポビドンの量は全バッチにおいて常に5%に維持した。
【0114】
【表2】

【0115】
PVPおよびMCCの濃度を変えることによりコーティング済み薬剤のひび割れおよび外見にどのような影響があるかを調べるために第2の実験を複数回行った。表3および表4は、糖コーティング中のPVPおよびMCCの相対的濃度を示す。糖コーティング中のPEGの量は、バッチ15では0.1%であり他のバッチでは1%であった。糖コーティング中の二酸化シリコンの量は、バッチ5では0%であり他のバッチでは0.5%であった。MPAの量は、バッチ5〜9では1.5%、バッチ10では0.75%、バッチ11〜12では1.1%、バッチ13〜15では1.3%であった。いずれのバッチにもSLSは添加しなかった。スクロースの量は所望の固体レベルを維持するために適宜調製した。
【0116】
表3からわかるように、PVPの量が5%から7%に増加すると、すべてのバッチでひび割れが0%となった。5%のPVPを含むバッチでは7%のPVPを含むバッチに比べてタブレットの外見が良好であった。7%のPVPを含むバッチでは、タブレットはピンホールを有するように見えた。
【0117】
【表3】

【0118】
表4からわかるように、PVPおよび微結晶セルロースの割合は、ひび割れを減少させて投与体の適切な放出特性を得るために重要である。
【0119】
【表4】

【0120】
バッチ8、10、11および12では、ひび割れは少ないがPVPのパーセンテージが高いことが処理上問題となった。5%のPVP(Kollidon K25)と0.5%の微結晶セルロースとを含む薬剤はひび割れ、溶解度および外見の面で良好な結果を示し、好ましい。
【0121】
表4のバッチ14は良好な結果を示した(外見は優れており、ひび割れはない)が、表5に参考として示す市販品の溶解特性には匹敵しなかった。
【0122】
【表5】

【0123】
糖コーティング中のSLSおよびMCCの影響を調べるために、さらなる実験を数回行った。各バッチの糖コーティング中のPVP、PEGおよび二酸化シリコンの濃度はそれぞれ5%、1%および0.5%に維持した。バッチ14、17、18および19の糖コーティング中のMPA濃度はそれぞれ1.3%、1.5%、1.5%および1.1%であった。スクロースの量は所望の固体レベルを維持するために調整した。所望の外見および溶解特性を得るために、MCCをバッチ14の2%からバッチ18および19の0.5%まで減少させて溶解プロファイルが増加するようにした。PVPはバッチ14、17、18および19で一定(5%)に維持した。所望の溶解特性をさらに得るために、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を薬剤に導入してMPAの放出を補助した。ラウリル硫酸ナトリウムの初期濃度をバッチ18の0.25%からバッチ19の0.3%まで増加させると、活性物質の溶解度の望ましい増加が得られた。溶解プロファイルを、酢酸メドロキシプロゲステロンを含む市販のバッチ(参考)のそれと比較したところ、0.3%のSLSを含むバッチが満足のいく結果を出したことが判明した。
【0124】
5%のPVP、0.5%の微結晶セルロース、1%のポリエチレングリコール、0.5%のCab−O−Sil、および0.3%のSLSを含み固体含有量が60%の薬剤を調製したところ、市販品に似た溶解プロファイルを示した。この薬剤は最長6ヶ月間に亘って条件(25℃/60%RHおよび40℃/75%RH)下で安定していた。
【0125】
Glatt GCX−1000中の薬剤のスケールアップ
スケールアップした場合に生成品に何らかの影響があるかどうかを評価するために、Glatt GCX−1000コーター(パンのサイズ:40”)を用いて投与体を調製した。手順は、コーティング懸濁液の付与を除いて、より小さいパンについて上記したものと同じであった。コーティング懸濁液は以下のように付与した。
【0126】
GCX−1000にスケールアップした場合のMPAコーティング懸濁液の付与
1.GCX−1000コーターに約166,666のヒドロゲルプレマリン(登録商標)タブレットコアをロードした。
【0127】
2.入口の温度を35℃に設定し、流入空気を250cfmに設定した。露点12℃、排気温度30℃で、タブレットを約30℃まで予備加熱した。
【0128】
3.ブーム上に等距離に2個のグラコガン(Graco:パーツ番号948−864)を取り付けた。グラコガンに液圧式ノズル(スプレー式11001−SSチップ)を取り付け、グラコポンプ(ピストンポンプ)を懸濁液供給ラインに連結した。敷き詰められたタブレット全体を覆う扇形噴射を得るために、懸濁液噴射圧を80〜100psiに調整した。タブレットの平均重量増加が106mgになるまで、パンを10rpmで回転させ、MPAコーティング懸濁液を1回ごとに増量させながら噴射させた。注入する毎に180〜300秒間回転させ(空気はコーティングパンを介して通らない)、その後60〜180秒間乾燥させた。
【0129】
プロセスの再生可能性およびロバスト性を比較するために2つのバッチを調製した。この研究では、GCX−1000パンは4個のバッフルと、液圧ノズルを備えた2個の糖コーティングガンからなっていた。これを以下により詳細に説明する。溶解プロファイルおよび重量ばらつきを比較してプロセスの再生可能性を決定した。溶解度テストは、最終的な研磨済みタブレットに対して行った。重量ばらつきテストは、充填プロセス中に所定の重量増加段階で行った。バッチは、溶解度に関して参考の製品に匹敵する結果を示すことが判明した。
【0130】
コーティングプロセス中の重量ばらつきを決定するために、3つのバッチを調製した。重量ばらつきは10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%および100%の重量増加段階でテストした。3つのバッチすべてで最終的な重量ばらつきは3.5%未満であった。
【0131】
以上のデータは、プロセスがロバストで再生可能性を有することを示している。
【0132】
本研究で用いたバッフル/コーティングパンの設計
本発明ではいずれのコーティングパンおよびバッフル設計を用いてもよいが、図1〜図5は本明細書に記載の、Comp−U−Labコーターを用いた研究(実施例2)およびGCX−1000を用いたスケールアップした研究で用いたコーティングパンおよびバッフルの設計を示す。2006年11月7日出願の米国仮特許出願シリアル番号60/864,726(発明の名称:「糖コーティングプロセスおよびそのためのバッフル」)をも参照のこと。上記文献を参考のため本明細書に援用する。
【0133】
図1を参照すると、バッフル(10)は第1の面(20)と第2の面(30)とを有する。第1の面(20)は、3つの縁、すなわち上縁(22)と底縁(24)と側縁(26)とを有する。第1の面(20)の上縁(22)と底縁(24)とが収束して、第1の面(20)の側縁(26)に対して遠位にある第1の側先端部(28)を形成している。いくつかの実施形態では、第1の面(20)は平坦または平面状であり湾曲していない。
【0134】
さらに図1を参照すると、第2の面(30)もまた3つの縁、すなわち上縁(32)と底縁(34)と側縁(36)とを有する。第2の面(30)の上縁(32)と底縁(34)とが収束して、第2の面(30)の側縁(36)に対して遠位にある第2の側先端部(38)を形成している。いくつかの実施形態では、第2の面(30)は側縁(36)から第2の側先端部(38)にかけて凸状に湾曲している。
【0135】
さらに図1を参照すると、第1の面(20)と第2の面(30)とはそれぞれの上縁(22)および(32)で接合し、第1の側先端部(28)と第2の側先端部(38)とが収束して、単一のバッフルユニット(10)を形成している。いくつかの実施形態では、面(20)および(30)の接合は、当該分野で通常用いられる1以上の締結具(図示せず)によって達成可能である。締結具は例えば、ボルト、ねじ、ヒンジ、リベットなどの機械的締結具であってもよい。締結具はさらに、糊、エポキシなどの化学剤を含んでもよい。あるいは第1の面(20)および第2の面(30)によって形成される接合はシームレスであってもよい。従っていくつかの実施形態では、第1および第2の面(20)および(30)は単一の一体ユニットとして製造することができる。
【0136】
図2を参照すると、第1のおよび第2の面(20)および(30)の接合は、約45°以上、約50°以上、約55°以上、約60°以上、約65°以上、約70°以上、約775°以上、約80°以上、または約85°以上の内角(40)を形成している。さらに第1および第2の面(20)および(30)によって形成される内角(40)は、約120°以下、約115°以下、約110°以下、約105°以下、約100°以下、または約95°以下である。いくつかの実施形態では、内角は約90°である。上記において用語「約」は±1°を意味する。図1を参照するといくつかの実施形態では、第1の側先端部(28)および/または第2の側先端部(38)から上縁(22)および/または(32)に沿ったバッフルの長さは、少なくとも約6インチ、少なくとも約8インチ、少なくとも約10インチ、少なくとも約12インチ、少なくとも約14インチ、少なくとも約16インチ、少なくとも約18インチ、少なくとも約20インチ、少なくとも約24インチまたはそれ以上である。いくつかの実施形態では、第1の側先端部(28)および/または第2の側先端部(38)から上縁(22)および/または(32)に沿ったバッフルの長さは、第1の側先端部(28)と第2の側先端部(38)との収束部と円筒部表面(52)の端部との間の間隔が以下のようになるように選択されている。
【0137】
さらに図2を参照すると、バッフル(10)の高さは約1インチから約8インチ、約5インチから約8インチ、約7インチから約8インチ、または約2インチから約4インチである。本明細書において、バッフルの高さは側縁(26)と側縁(36)との交差点と表面点との間の距離である。本明細書において、表面点とは、バッフルが何らかの表面(例えば図4を参照のこと)上に置かれた場合の表面上の点であって、側縁(26)が表面と交差する点と側縁(36)が表面と交差する点との間の中間点である。図3を参照すると、いくつかの実施形態では、バッフル(10)の高さは約3インチである。いくつかの実施形態では、バッフル(10)の高さは約6.5インチである。さらにバッフル(10)の長さは、コーティングパン(50)の円筒部表面(52)の幅よりも、約1/16インチ以上、約1/2インチ以上、または約1インチ以上であって且つ約4インチ以下、約3インチ以下、または約2インチ以下だけ短い。従ってバッフル(10)の単一の先端部とコーティングパン(50)の円筒部表面(52)の縁との間には間隔があく。上記において用語「約」は±1/4インチを意味する。
【0138】
バッフル(10)の面(20)および(30)には穿孔があってもなくてもよく、薬剤をコーティングするのに適していればいずれの材料で形成されてもよい。用いられる材料は例えばステンレス鋼、プラスチック、ガラスファイバ、テフロン(登録商標)などであるが、これらに限られない。いくつかの実施形態では、面(20)および(30)の表面は平滑である。
【0139】
いくつかの実施形態では本発明は、コーティングパン(50)を提供する。図3を参照すると、コーティングパン(50)は、薬剤を受け取る円筒部表面(52)と、円筒部表面(52)の一端と接する外方壁(54)と、円筒部表面(52)の他端と接する内方壁(56)と、上記したような少なくとも1つのバッフル(10)とを含む。図4を参照すると、バッフル(10)の面(20)および(30)の側縁(26)および(36)はコーティングパン(50)の内方壁(56)または外方壁(54)と接している。バッフル(10)を形成する面(20)および(30)の底縁(24)および(34)は、コーティングパン(50)の円筒部表面(52)に接している。コーティングパン(50)は少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、または少なくとも6個のバッフル(10)を含んでもよい。バッフル(10)は、当業者に公知の任意の手段(例えば上記の手段を含む)でコーティングパン(50)に締結されてもよい。
【0140】
いくつかの実施形態では、第1の側先端部(28)と第2の側先端部(38)との収束部によって形成された、少なくとも1つのバッフル(10)の先端部は円筒部表面(52)の幅方向全体には延びていない。図4を参照すると、これにより第1の側先端部(28)と第2の側先端部(38)との収束部と円筒部表面(52)の端部との間に間隔があいている。いくつかの実施形態では、第1の側先端部(28)と第2の側先端部(38)との収束部によって形成された、いずれのバッフル(10)の先端部も円筒部表面(52)の幅方向全体には延びていない。
【0141】
いくつかの実施形態では、第1の側先端部(28)と第2の側先端部(38)との収束部と円筒部表面(52)の端部との間の間隔は、第1の側先端部(28)および/または第2の側先端部(38)から上縁(22)および/または(32)に沿ったバッフルの長さの約2%から約50%、約2%から約30%、約2%から約20%、約2%から約15%、約10%から約15%、約12%から約13%、または約2%から約10%である。いくつかの実施形態では、この間隔は上記長さの約12.5%である。
【0142】
2個以上のバッフル(10)がコーティングパン(50)内にある場合、いくつかの実施形態では、バッフル(10)のうち少なくとも2個が互いに逆方向に向けられる。図3を参照すると、2個のバッフル(10)のうち一方のバッフル(10)の側縁(26)および(36)がコーティングパン(50)の内方壁(56)に接し、他方のバッフル(10)の側縁(26)および(36)がコーティングパン(50)の外方壁(54)に接するように向けられている。この向きを図4および図5にも示す。
【0143】
いくつかの実施形態では、図4に示すように、バッフル(10)の平坦面(20)がコーティングパン(50)の円筒部表面(52)に対して直交するようになっている。他の実施形態では、バッフル(10)の平坦面(20)がコーティングパン(50)の円筒部表面(52)に対していずれの所望の角度をなしていてもよい。
【0144】
いくつかの実施形態では本発明は、上記のコーティングパン(50)を含むコーティング装置(図示せず)を提供する。コーティング装置は当業者には周知であり市販されている。適切なコーティング装置は、24”Comp−U−Labコーター(Thomas Engineering,Inc.,Hoffman Estates,IL)を含むがこれに限られない。
【0145】
バッフルは、標準的なバッフル製造方法で準備することができる。例えば、コーティングパン(50)の輪郭を用いてバッフル(10)のテンプレート(例えば、厚紙、木、プラスチック製のテンプレート)を作成してもよい。バッフル材料(例えば上記のいずれの材料でもよい)を切断してテンプレートに従った形状にしてもよい。いくつかの実施形態では、旋盤を用いてバッフル(10)を形作ってもよい。バッフル(10)は任意の手段でコーティングパン(50)に締結することができる。いくつかの実施形態では、既存の穿孔付きの土台の穴を介してバッフル(10)をコーティングパン(50)にねじ止めする。
【0146】
実施例2
コーティング組成物
図1〜図5に示すバッフルを用いた薬剤のコーティングの実施例
サイズ0.412インチ×0.225インチ×0.034インチの卵形両凸型ヒドロゲルベースのプレマリンタブレットを用いてコーティングを試した。タブレットは0.375%の共役エストロゲンと、15%の微結晶セルロース(Avicel PH101)と、48.51%の乾燥ラクトース単水和物スプレーと、27.5%のHPMC K100M CRと0.25%のステアリン酸マグネシウムとを含み、平均重量120mgであり、関連標準偏差は0.5〜1.4%の範囲であった。タブレットコアの堅さは7から10scuの範囲であった。
【0147】
コーティングした薬剤のいくつかの特性を観察し監視した。これらの特性は例えば、物理的外見、ひび割れた糖コーティングのパーセンテージ、重量ばらつき(様々な重量増加における)、および得られたタブレット中のMPAの含有量均一性を含む。
【0148】
【表6】

【0149】
【表7】

【0150】
【表8】

【0151】
製造プロセス
MPAフィラー懸濁液の調製
以下の工程を用いてMPAフィラー懸濁液を調製した。
1)適切なサイズの被覆した容器内で精製した水を加える。高剪断ミキサーで混合しながら水を65℃±5℃まで加熱しスクロースを加える。65℃まで再加熱する。すべてのスクロースが溶けるまで混合する。
【0152】
2)上記溶液を40〜40℃まで冷却する。高剪断ミキサーを用いて、ポリエチレングリコール、ポビドンK25、微結晶セルロースおよびCab−O−Silを渦にゆっくりと加える。高剪断ミキサーを用いて、上記溶液をさらに1分間混合する。
【0153】
3)上記懸濁液を高剪断ミキサーで混合しながら35〜39℃まで冷却し、ラウリル硫酸ナトリウムおよびMPAをゆっくりと加える。
【0154】
4)付与プロセス全体を通じてタンクの温度を35℃から39℃に維持しながら、低剪断ミキサーを用いて混合し続ける。
【0155】
Comp−U−Labコーターを用いた場合のMPAフィラー懸濁液の付与
1)様々な設計のバッフルを備えた24”穿孔付きコーティングパンに約33,333のヒドロゲルプレマリンタブレットコアをロードする。
【0156】
2)入口の温度を40℃に設定し、流入空気を75cfmに設定する。露点11℃、排気温度35℃で、タブレットを約30℃まで予備加熱する。
【0157】
3)タブレットの平均重量増加が106mgになるまで、パンを18rpmで回転させながら、MPAフィラー懸濁液を1回ごとに増量しながら注射器で注入する。注入する毎に180〜330秒間回転させ(空気はコーティングパンを介して通らない)、その後60〜180秒間乾燥させる。
【0158】
GCX−1000にスケールアップした場合のMPAフィラー懸濁液の付与
1)様々な設計のバッフルを備えたGCX−1000コーターに約166,666ヒドロゲルプレマリンタブレットコアをロードする。
【0159】
2)入口の温度を35℃に設定し、流入空気を250cfmに設定する。露点12℃、排気温度30℃で、タブレットを約30℃まで予備加熱する。
【0160】
3)ブーム上に等距離に2個のグラコガンを取り付ける。グラコガンに液圧式ノズル(スプレー式11001SSチップ)を取り付ける。グラコポンプ(ピストンポンプ)を懸濁液供給ラインに連結する。敷き詰められたタブレット全体を覆う扇形噴射を得るために、懸濁液噴射圧を80〜100psiに調整し、タブレットの平均重量増加が106mgになるまで、MPAフィラー懸濁液を1回ごとに増量しながら噴射させる。注入する毎に180〜300秒間回転させ(空気はコーティングパンを介して通らない)、その後60〜180秒間乾燥させる。
【0161】
色付き懸濁液の調製
1)適切なサイズの被覆した容器内で精製した水を加える。高剪断ミキサーで混合しながら水を65℃±5℃まで加熱しスクロースを加える。65℃まで再加熱する。すべてのスクロースが溶けるまで混合を続ける。
【0162】
2)ポビドンおよび二酸化チタンを加える。高剪断ミキサーを用いて混合し、懸濁液が均質になったことを確認する。
【0163】
3)Cab−O−Silを加え、高剪断ミキサーを用いて混合して、均質な懸濁液を生成する。
【0164】
4)懸濁液を35〜39℃まで冷却する。
【0165】
5)付与プロセス全体を通じてタンクの温度を35℃から39℃に維持しながら、低剪断ミキサーを用いて混合し続ける。
【0166】
色付き懸濁液の付与
1)専用に設計されたバッフルを備えたComp−U−Labコーターに取り付けた24”穿孔付きコーティングパンに、約33,333プレマリン/MPA充填タブレットをロードする。
【0167】
2)入口の温度を40℃に設定し、流入空気を75cfmに設定する。露点11℃、排気温度35℃で、タブレットを約30℃まで予備加熱する。
【0168】
3)タブレットの平均重量増加が25mgになるまで、パンを18rpmで回転させながら、色付き懸濁液を1回ごとに増量しながら注入する。注入する毎に180〜330秒間回転させ(空気はコーティングパンを介して通らない)、その後60〜180秒間乾燥させる。
【0169】
研磨剤の調製と付与
1)ミネラルスピリット(無臭)中にカルナバ蝋、NF、#120を激しく攪拌して懸濁することにより、研磨懸濁液を調製する。
【0170】
2)回転するタブレットに研磨懸濁液を付与する。満足のいく光沢が得られるまで回転を続ける。
【0171】
物理的外見の評価とタブレットのひび割れパーセンテージ
タブレットの物理的外見を、目視または拡大鏡でコーティング中のタブレットの表面異常を観察することによって調べた。ほとんどの場合、糖コーティングはタブレットの外見を向上させるために行われる。得られる色および研磨プロセスの質は基板フィラーコーティングの均一性に大きく依存する。従って充填タブレットがひび割れたり欠けたりしていないことを確かめることが重要である。
【0172】
様々なバッフルを用いて製造したバッチの物理的外見とひび割れたタブレットのパーセンテージとを評価した。結果を表9に示す。本発明のコーティングと図1から図5のバッフルとを用いてコーティングしたタブレットでは、綺麗な外見のタブレットが生成され、タブレットのひび割れパーセンテージも低かった。
【0173】
タブレットのひび割れを調べるため、コーティング済みタブレットを管に沿ってステンレス鋼製ビーカーまで下方に摺動させた。このプロセスを4回繰り返した。その後、糖コーティングしたものに対してひび割れパーセンテージを調べた。結果を上記表9に示す。
【0174】
【表9】

【0175】
本出願は2006年11月7日出願の米国仮特許出願シリアル番号60/864,718に基づく優先権を主張する。上記米国仮特許出願はその全体を参考のため本明細書に援用する。
【0176】
本文献で引用した又は記載した特許、特許出願、および書籍を含む刊行物の各々はその全体を参考のため本明細書に援用する。本明細書に記載のものに加え、本発明の様々な変更が上記の記載から当業者には明らかである。このような変更もまた添付の請求の範囲の範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア材料と、その上に堆積された少なくとも1つのコーティングとを含む固体投与体であって、前記コーティングが、
約30重量%から約95重量%の少なくとも1つの糖と、
約0.3重量%から約0.8重量%の少なくとも1つの希釈剤/結合剤と、
約0.28重量%から約0.4重量%の少なくとも1つの界面活性剤と、
約4重量%から約6重量%の少なくとも1つの結合剤と、
必要に応じて約5重量%までの量の少なくとも1つの可塑剤と、
必要に応じて約3重量%までの量の滑沢剤と、
必要に応じて約10重量%までの量の治療薬と、
を含む固体投与体。
【請求項2】
前記希釈剤/結合剤と前記結合剤とが同一でない、請求項1に記載の固体投与体。
【請求項3】
前記コーティングが、約70重量%から約95重量%の少なくとも1つの糖を含む、請求項1または2に記載の固体投与体。
【請求項4】
前記コーティングが、約87重量%から約94重量%の少なくとも1つの糖を含む、請求項3に記載の固体投与体。
【請求項5】
前記コーティングが、約0.4重量%から約0.6重量%の少なくとも1つの希釈剤/結合剤を含む、請求項1から4のいずれかひとつに記載の固体投与体。
【請求項6】
前記コーティングが、約0.28重量%から約0.32重量%の少なくとも1つの界面活性剤を含む、請求項1から5のいずれかひとつに記載の固体投与体。
【請求項7】
前記コーティングが、約0.5重量%から約1.5重量%の少なくとも1つの可塑剤を含む、請求項1から6のいずれかひとつに記載の固体投与体。
【請求項8】
前記コーティングが、約1重量%までの滑沢剤を含む、請求項1から7のいずれかひとつに記載の固体投与体。
【請求項9】
前記コーティングが、約0.5重量%までの滑沢剤を含む、請求項1から8のいずれかひとつに記載の固体投与体。
【請求項10】
前記コーティングにおいて、前記結合剤の重量パーセントと前記希釈剤/結合剤の重量パーセントとの割合が、約8:1から約12:1である、請求項1から9のいずれかひとつに記載の固体投与体。
【請求項11】
前記コーティングにおいて、前記結合剤の重量パーセントと前記希釈剤/結合剤の重量パーセントとの割合が、約10:1である、請求項10に記載の固体投与体。
【請求項12】
前記コーティングにおいて、前記結合剤の重量パーセントと前記界面活性剤の重量パーセントとの割合が、約12:1から約20:1である、請求項1から11のいずれかひとつに記載の固体投与体。
【請求項13】
前記コーティングにおいて、前記結合剤の重量パーセントと前記界面活性剤の重量パーセントとの割合が、約15:1から約18:1である、請求項12に記載の固体投与体。
【請求項14】
前記コーティングにおいて、前記結合剤の重量パーセントと前記界面活性剤の重量パーセントとの割合が、約16:1から約17:1である、請求項13に記載の固体投与体。
【請求項15】
前記コーティングにおいて、前記希釈剤/結合剤の重量パーセントと前記界面活性剤の重量パーセントとの割合が、約1.2:1から約2:1である、請求項1から14のいずれかひとつに記載の固体投与体。
【請求項16】
前記コーティングにおいて、前記希釈剤/結合剤の重量パーセントと前記界面活性剤の重量パーセントとの割合が、約1.5:1から約1.8:1である、請求項15に記載の固体投与体。
【請求項17】
前記コーティングにおいて、前記結合剤の重量パーセントと前記界面活性剤の重量パーセントと前記希釈剤/結合剤の重量パーセントとの割合が、約10:0.6:1である、請求項1から16のいずれかひとつに記載の固体投与体。
【請求項18】
前記コーティング中に前記可塑剤と前記滑沢剤と前記治療薬とが存在している、請求項1から17のいずれかひとつに記載の固体投与体。
【請求項19】
前記コーティングにおいて前記糖がスクロースを含む、請求項1から18のいずれかひとつに記載の固体投与体。
【請求項20】
前記コーティングにおいて前記希釈剤/結合剤が微結晶セルロースを含む、請求項1から19のいずれかひとつに記載の固体投与体。
【請求項21】
前記コーティングにおいて前記界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムを含む、請求項1から20のいずれかひとつに記載の固体投与体。
【請求項22】
前記コーティングにおいて前記結合剤がポリビニルピロリドンを含む、請求項1から21のいずれかひとつに記載の固体投与体。
【請求項23】
前記コーティングにおいて前記可塑剤が存在する場合、前記可塑剤がポリエチレングリコールを含む、請求項1から22のいずれかひとつに記載の固体投与体。
【請求項24】
前記コーティングにおいて前記滑沢剤が存在する場合、前記滑沢剤がシリカを含む、請求項1から23のいずれかひとつに記載の固体投与体。
【請求項25】
前記コーティングにおいて前記治療薬が存在する場合、前記治療薬がプロゲスチンを含む、請求項1から24のいずれかひとつに記載の固体投与体。
【請求項26】
前記コーティングにおいて前記治療薬が存在する場合、前記治療薬が酢酸メドロキシプロゲステロンを含む、請求項1から24のいずれかひとつに記載の固体投与体。
【請求項27】
前記コア材料が共役エストロゲンを含む、請求項1から25のいずれかひとつに記載の固体投与体。
【請求項28】
カラーコーティングをさらに含む、請求項1から26のいずれかひとつに記載の固体投与体。
【請求項29】
水と固体成分とを含む水性組成物であって、前記固体成分が、
前記固体成分の約30重量%から約95重量%の量の少なくとも1つの糖と、
前記固体成分の約0.3重量%から約0.8重量%の量の少なくとも1つの希釈剤/結合剤と、
前記固体成分の約0.28重量%から約0.4重量%の量の少なくとも1つの界面活性剤と、
前記固体成分の約4重量%から約6重量%の量の少なくとも1つの結合剤と、
必要に応じて、前記固体成分の約5重量%までの量の少なくとも1つの可塑剤と、
必要に応じて、前記固体成分の約3重量%までの量の少なくとも1つの滑沢剤と、
必要に応じて、前記固体成分の約10重量%までの量の治療薬と、を含み、
前記水が、水性組成物の重量の約30%から約50%を構成する、水性組成物。
【請求項30】
前記固体成分が、約70重量%から約95重量%の前記糖を含む、請求項29に記載の水性組成物。
【請求項31】
前記固体成分が、約87重量%から約94重量%の前記糖を含む、請求項29に記載の水性組成物。
【請求項32】
前記固体成分が、約0.3重量%から約0.8重量%の前記希釈剤/結合剤を含む、請求項29から31のいずれかひとつに記載の水性組成物。
【請求項33】
前記固体成分が、約0.4重量%から約0.6重量%の前記希釈剤/結合剤を含む、請求項29から31のいずれかひとつに記載の水性組成物。
【請求項34】
前記固体成分が、約0.28重量%から約0.4重量%の前記界面活性剤を含む、請求項29から33のいずれかひとつに記載の水性組成物。
【請求項35】
前記固体成分が、約0.28重量%から約0.32重量%の前記界面活性剤を含む、請求項29から33のいずれかひとつに記載の水性組成物。
【請求項36】
前記固体成分が、約4重量%から約6重量%の前記結合剤を含む、請求項29から35のいずれかひとつに記載の水性組成物。
【請求項37】
前記固体成分が必要に応じて、約0.5重量%から約1.5重量%の前記可塑剤を含む、請求項29から36のいずれかひとつに記載の水性組成物。
【請求項38】
前記固体成分が必要に応じて、約1重量%までの前記滑沢剤を含む、請求項29から37のいずれかひとつに記載の水性組成物。
【請求項39】
前記固体成分が必要に応じて、約5重量%までの前記治療薬を含む、請求項29から38のいずれかひとつに記載の水性組成物。
【請求項40】
前記固体成分が含む前記糖がスクロースを含む、請求項29から39のいずれかひとつに記載の水性組成物。
【請求項41】
前記固体成分が含む前記希釈剤/結合剤が微結晶セルロースを含む、請求項29から40のいずれかひとつに記載の水性組成物。
【請求項42】
前記固体成分が含む前記界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムを含む、請求項29から41のいずれかひとつに記載の水性組成物。
【請求項43】
前記固体成分が含む前記結合剤がポリビニルピロリドンを含む、請求項29から42のいずれかひとつに記載の水性組成物。
【請求項44】
前記固体成分が含む治療薬がプロゲスチンを含む、請求項29から43のいずれかひとつに記載の水性組成物。
【請求項45】
前記固体成分が前記治療薬を含む場合、前記治療薬が酢酸メドロキシプロゲステロンを含む、請求項29から44のいずれかひとつに記載の水性組成物。
【請求項46】
前記固体成分中に前記可塑剤と前記滑沢剤と前記治療薬とが存在している、請求項29から45のいずれかひとつに記載の水性組成物。
【請求項47】
固体投与体を調製する方法であって、請求項29から46のいずれかひとつに記載の水性組成物でコア材料をコーティングする工程を含む、方法。
【請求項48】
カラーコート、研磨コート、またはカラーコートと研磨コートとの両方をコーティング済みコア材料に付与する工程をさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
請求項47または48に記載の方法による生成物。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−509350(P2010−509350A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536419(P2009−536419)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/083632
【国際公開番号】WO2008/058074
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(591011502)ワイス エルエルシー (573)
【Fターム(参考)】