説明

糖化蛋白形成阻害剤

【課題】
糸球体疾患の予防及び/又は治療剤、特に糖尿病性腎症の予防及び/又は治療用の医薬として有用な、新規なAGE形成阻害剤を提供すること。
【解決手段】
次の一般式(1)
【化1】


(式中、X、Yは互いに独立して水素原子、C1−6アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基を示し、R、R は互いに独立して水素原子、C1−6アルキル基、又はC1−6アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基で置換されていてもよいC6−10アリール基又はC7−11アラルキル基を示し、Rは水素原子又はC1−6アルキル基を示す)で表される化合物又はそれらの溶媒和物を有効成分とするAGE形成阻害剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は糸球体病変における不可逆的蛋白修飾による糖尿病性腎症の発症又は進展に対する予防及び/又は治療に有用な薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、本邦では糖尿病患者、糖尿病が疑われる患者及び糖尿病予備群が約2千万人存在するといわれている。糖尿病を起因とした合併症のうち、糖尿病性腎症の発症率は年々増加の推移をたどり、すでに慢性糸球体腎炎の発症率を上回り第一位となっている。
【0003】
糖尿病性腎症が発症した場合における最大の問題点は、末期腎不全即ち透析への移行率が、非常に高いことにある。また、糖尿病性腎症による透析への移行は医療費高騰等の社会的に大きな問題となっている。そこで、糖尿病性腎症に関わる治療剤、または予防を期待できる薬剤が強く望まれている。
【0004】
糖尿病性腎症の成因には、(1)遺伝的素因をはじめとして、(2)糸球体血行動態変化、(3)グリケーションの亢進やカルボニル・酸化ストレスにより生じた糖化最終産物(Advanced Glycation End Products(以下、「AGE」と称する))の蓄積、(4)Protein Kinase Cの活性化や、(5)ポリオール代謝の亢進など、様々な因子の関与が考えられている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5)。
【0005】
現在、糖尿病性腎症の治療現場では、糸球体血行動態の改善を主目的としたアンジオテンシン変換酵素阻害剤(以下、「ACE阻害剤」と称する)やアンジオテンシンIIの1型受容体拮抗剤(以下、「ARB」と称する)が汎用されており、基礎のみならず臨床的なevidenceが報告されている(非特許文献6、非特許文献7)。しかしながら、これらの多くは血圧降下剤として認可されており、糖尿病性腎症の治療剤としての認可はほとんどなされていない。単に、糖尿病性腎症の患者の多くは高血圧であることから、これらが汎用されているに過ぎない。なお、ACE阻害剤のタナトリル錠(塩酸イミダプリル)はI型糖尿病性腎症の治療剤として初めて認可されたものの、糖尿病性腎症に対する治療または予防的作用を有する薬剤はほとんどなく、新規な薬剤の登場が切望されている。
【0006】
そこで次の糖尿病性腎症の治療剤として、AGE形成阻害剤が注目を浴びている。AGEで修飾されたタンパクは腎循環動態、腎糸球体基底膜の濾過機構等、多数の腎機能に悪影響を及ぼし、また、AGE自身がメサンギウム細胞等の腎構成細胞に多数存在するAGE関連受容体(例えば、Receptor for AGE:RAGE)に作用して、サイトカインや増殖因子等の障害因子を産生させることが報告されている(非特許文献8)。従って、AGEの形成を抑制することは、糖尿病性腎症の進展抑制に繋がると考えられる。
【0007】
アミノグアニジンは、反応性カルボニル化合物(3−デオキシグルコソン、メチルグリオキサールなど)の捕捉作用、酸素ラジカル(特に、ヒドロキシラジカル)の捕捉作用および金属キレート形成作用により、AGEの形成を阻害すると考えられており、AGE阻害に基づく糖尿病性腎症の治療剤として、最初に本格的な研究がなされた化合物である。しかし、これはすでに臨床治験も終了したが、いまだ実用化には至っていない。(非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11)。
【0008】
また、その他のAGE形成阻害剤としてはアミノグアニジンの誘導体であるOPB−9195、LR−90、ALT−946、天然化合物及びその類縁体であるチアミン(ビタミンB)、チアミンピロリン酸、ベンフォチアミンなど幾つかの化合物が知られている(非特許文献12)が、いずれも実用化には至っていない。
【0009】
【非特許文献1】Cooper,ME.et al.;Lancet,352,213−219,1998
【非特許文献2】槙野博史;糖尿病性腎症 発症・進展機序と治療:80−121,1999年;診断と治療社
【非特許文献3】Bohlender, J.et al.;Am. J. Physiol. Renal Physiol.,289,F645−F659,2005
【非特許文献4】D, Jay.et al.;Free Radical Biology & Medicine,40,183−192,2006
【非特許文献5】Vinik, A.;Expert Opin. Investig. Drugs,14(12),1547−1559,2005
【非特許文献6】Masakuni,N.et al.;Jpn. J. Pharmacol.,85:416−422,2001
【非特許文献7】Rossing, K.et al.;Diabetes Care.,28(9):2106−2112,2005
【非特許文献8】Locatelli, F.et al.;Nephrol.Dial.Transplant.,18(9):1716−25,2003
【非特許文献9】Price,DL.et al.;J. Biol. Chem.,276,48967−48972,2001
【非特許文献10】Abdel−Rahman, E.et al.;Expert Opin. Investig. Drugs.,11(4):565−574,2002
【非特許文献11】Mark E.et al.;Current Diabetes Reports.,4:441−446,2004
【非特許文献12】今泉勉 ほか;AGEs研究の最前線:209−217,2004年;メディカルレビュー社
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、新規なAGE形成阻害剤を提供することにある。AGE形成阻害剤は糸球体病変における不可逆的蛋白修飾による糖尿病性腎症の発症および進展に対する予防又は治療に有用である。また、原疾患が糖尿病性腎症と診断されていない患者であっても、慢性糸球体腎炎や高血圧性腎症などの糸球体疾患により透析移行している患者の多くは血漿中のAGEが著しく増加しているという周知の事実から、AGE形成阻害剤は糖尿病性腎症のみならず、慢性糸球体腎炎や高血圧性腎症なども含めた糸球体疾患に対する予防又は治療に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記実情に鑑み、本発明者らは、AGE形成阻害作用を持つ化合物を探索した結果、下記一般式(1)で表される化合物が、AGEの一種であるペントシジンを指標にしたin vitro系での阻害試験において、アミノグアニジンと比較して、強いAGE形成阻害作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、
【化1】


(式中、X、Yは互いに独立して水素原子、C1−6アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基を示し、R、Rは互いに独立して水素原子、C1−6アルキル基、又はC1−6アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基で置換されていてもよいC6−10アリール基又はC7−11アラルキル基を示し、Rは水素原子又はC1−6アルキル基を示す)で表される化合物又はそれらの溶媒和物を有効成分とするAGE形成阻害剤を提供するものである。
また、本発明は、AGE形成阻害作用を有する一般式(1)で表される化合物又はそれらの溶媒和物を提供するものである(但し、
(1R,3R,4S,7R,8R,11R)-8-(4-クロロフェニル)-4-メチル-3,11-ジフェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オン、
(1R,3R,4S,7R,8S,11R)-8-(4-クロロフェニル)-4-メチル-3,11-ジフェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オン 、
(1R,3R,4S,7R,8R,11R)-4-メチル-8-(4-ニトロフェニル)-3,11-ジフェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オン、
(1R,3R,4S,7R,8S,11R)-4-メチル-8-(4-ニトロフェニル)-3,11-ジフェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オン、
(1R,3R,4S,7R,8R,11R)-4-メチル-8-(3-ニトロフェニル)- 3,11-ジフェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オン、
(1R,3R,4S,7R,8S,11R)-4-メチル-8-(3-ニトロフェニル)- 3,11-ジフェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オン、
(1R,3R,4S,7R,8R,11R)-4-メチル-3,8,11-トリフェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オン、
(1R,3R,4S,7R,8R,11R)-4-メチル-8-(4-メチルフェニル)- 3,11-ジフェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オン、
(1S,3S,4R,7S,8S,11S)-4-メチル-8-(4-ニトロフェニル)-3,11-ジフェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オン、及び
(1S,3S,4R,7S,8R,11S)-4-メチル-8-(4-ニトロフェニル)-3,11-ジフェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オンを除く)。
【0013】
また、本発明は、一般式(1)で表されるAGE形成阻害剤を有効成分とする糸球体疾患の予防または治療剤を提供するものである。
さらに、本発明は、一般式(1)で表されるAGE形成阻害剤を有効成分とする糖尿病性腎症の予防または治療剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一般式(1)で表される化合物又はそれらの溶媒和物は、優れたAGE形成阻害作用を有し、糸球体疾患の予防及び/又は治療剤、特に糖尿病性腎症の予防及び/又は治療剤として有用である。
【0015】
実施例に記載するとおり、血液透析患者の血漿を用い、アミノグアニジンまたは各被検薬物を添加した評価において、各被検薬物は、アミノグアニジンと比べ、優れたAGE形成阻害活性を示した。即ち、血液透析患者の血漿を用い、37℃、7日間、アミノグアニジンまたは各被検薬物を添加した系において認められた主要なAGEの一種であるペントシジンの生成に対して、各被検薬物の添加は、いずれもアミノグアニジン添加に比べ、強いペントシジン生成抑制作用を示した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
上記一般式(1)中、置換基X、Y、R、R及びRについて説明する。
X、Yは互いに独立して、水素原子、C1−6アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基を示す。ここで、「C1−6アルキル基」は直鎖又は分枝鎖のアルキル基、あるいはC3−6シクロアルキル基である。これらの例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、メチル基が特に好ましい。「ハロゲン原子」については、例えばフッ素原子、塩素原子,臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子が特に好ましい。X、Yの置換位置に関しては2位、3位、4位であり、特に制限はないが、3位および4位が特に好ましい。
【0017】
、Rは互いに独立して、水素原子、C1−6アルキル基、C6−10アリール基又はC7−11アラルキル基を示し、C−C10アリール基又はC7−11アラルキル基はC1−6アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基で置換されていてもよい。ここで、「C1−6アルキル基」及び「ハロゲン原子」はX,Yにおいて定義したものと同義であり、C1−6アルキル基としてはメチル基が特に好ましい。「C1−6アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基で置換されていてもよいC6−10アリール基又はC7−11アラルキル基」は、たとえば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−ニトロフェニル基、4−クロロフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、ベンジル基、4−ニトロベンジル基、3−クロロベンジル基、ナフチルメチル基等が挙げられ、フェニル基が特に好ましい。
3は水素原子又はC1−6アルキル基を示す。「C1−6アルキル基」はX,Yにおいて定義したものと同義であり、メチル基やイソプロピル基が特に好ましい。
【0018】
本発明の一般式(1)で表される具体的な化合物としては、
(1R,3R,4S,7R,8R,11R)-8-(4-クロロフェニル)-4-メチル-3,11-ジフェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オン、
(1R,4S,7R,8R,11R)-4-イソプロピル-3,3-ジメチル-8-(4-メチルフェニル)-11-フェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オン、
(1R,4S,7R,8R,11R)-8-(4-クロロフェニル)-4-イソプロピル-3,3-ジメチル-11-フェニル-2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン、
(1R,4S,7R,8R,11R)-4-イソプロピル-3,3-ジメチル-8-(3-ニトロフェニル)-11-フェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オン、
(1R,4S,7R,8R,11R)-4-イソプロピル-3,3-ジメチル-8-(4-ニトロフェニル)-11-フェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オン及び
(1R,4S,7R,8S,11R)-4-イソプロピル-3,3-ジメチル-8-(3-ニトロフェニル)-11-フェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オン
を挙げることができる。
【0019】
これらのうち特に好ましい化合物としては、
(1R,3R,4S,7R,8R,11R)-8-(4-クロロフェニル)-4-メチル-3,11-ジフェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オン、及び
(1R,4S,7R,8R,11R)-4-イソプロピル-3,3-ジメチル-8-(4-ニトロフェニル)-11-フェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オン
を挙げることができる。
【0020】
一般式(1)で表される化合物の溶媒和物としては、水和物等が挙げられる。
また、一般式(1)で表される化合物としては、不斉炭素に基づく全ての光学異性体及びそれらの混合物が包含される。
【0021】
本発明の一般式(1)で表される化合物は、下記反応式に示される非特許文献記載の方法(J. Chem. Soc. Perkin Trans.I 1985, 2361−2367. Tetrahedron Lett., 2003, 44(6), 1129-1132.Tetrahedron Lett., 2005, 46(42), 7155-7158. Tetrahedron Lett., 2006, 47 (7), 1153-1156. Angew. Chem. Int. Ed. 2003,42,2889‐2891. Chem. Eur. J. 2006,12,3896−3904.)、あるいは類似の方法により製造することが出来る。
【化2】

【0022】
すなわち、1,2置換または非置換2−アミノエタノール(2)に二硫化炭素を反応させることにより、4,5置換または非置換1,3−オキサゾリジン−2−チオン誘導体(3)を得、(3)に置換または非置換シンナモイルクロリド(4)を反応させることにより、3−シンナモイル−1,3−オキサゾリジン−2−チオン誘導体(5)を得ることができる。これにBF・EtOの存在下、置換または非置換ベンズアルデヒド(6)を反応させることにより化合物(1)を製造することができる。
【0023】
式(1)で表される化合物のうち新規化合物の絶対配置は、文献(Chem. Eur. J. 2006, 12, 3896−3904)に記載のX線構造解析により構造決定された化合物である(1R,3R,4S,7R,8R,11R)-8-(3-ニトロフェニル)-4-メチル-3,11-ジフェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オンの絶対配置をもとに、NMRスペクトルおよびNOE(核オーバーハウザー効果)を測定し、これらのデータの比較により決定することができる。
【0024】
本発明の一般式(1)で表される化合物は、上記の方法によって得られるが、さらに必要に応じて再結晶法、カラムクロマトグラフィー等の通常の精製手段を用いて精製することができる。また必要に応じて、常法によって前記した所望の溶媒和物にすることもできる。
【0025】
本発明の医薬組成物は、一般式(1)で表される化合物又はそれらの溶媒和物を含有するものであって、単独で用いてよいが、通常は薬学的に許容される担体、添加物等を配合して使用される。医薬組成物の投与形態は、特に限定されず、治療目的に応じて適宜選択できる。斯かる剤形としては、例えば、散剤、顆粒剤、細粒剤、ドライシロップ剤、錠剤、カプセル剤、注射剤等を挙げることができる。
【0026】
これらの製剤は、その剤形に応じて製剤学上使用される賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤等の医薬品添加物と適宜混合、希釈又は溶解し、常法に従い製造することができる。
【0027】
例えば、散剤の場合は、必須成分のほかに、必要に応じて適当な賦形剤、滑沢剤等を加えよく混和して調製すればよい。錠剤の場合は、必要に応じて適当な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等を加え、常法に従い打錠して調製すればよい。また錠剤は必要に応じてコーティングを施し、フィルムコート錠、糖衣錠等にすることができる。
【0028】
また、注射剤の場合は、液剤(無菌水又は非水溶液)、乳剤及び懸濁剤の形態とすることができる。これらに用いられる非水担体、希釈剤、溶媒又はビヒクルとしては、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、オレイン酸エチル等の注射可能な有機酸エステルが挙げられる。また、該組成物には防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤等の補助剤を適宜配合することができる。
【0029】
本発明の一般式(1)で表される化合物の投与量は年齢、体重、症状、投与形態及び投与回数等によって異なるが、通常は成人に対して1日1〜1000mgを、1回又は数回に分けて経口投与又は非経口投与するのが好ましい。
【実施例】
【0030】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0031】
実施例1
(1R,4S,7R,8S,11R)-4-イソプロピル-3,3-ジメチル-8-(4-メチルフェニル)-11-フェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オンの製造
アルゴン雰囲気下、(4S)-3-[(E)-シンナモイル]-4-イソプロピル-5,5-ジメチル-1,3-オキサゾリジン-2−チオン(304mg, 1.0mmol)と4-メチルベンズアルデヒド(60.1mg,0.5mmol)を無水ジクロロメタン(1.6mL)に溶解後、−40℃に冷却した。反応溶液にBF・EtO (196mL, 1.5mmol)を加えて同温度にて24時間攪拌の後、氷水冷却下に飽和NaHCO溶液 (10mL)を加えて、ジクロロメタンで抽出した。有機層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣を分取薄層クロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル = 5/1, v/v) により精製し、得られた結晶性残渣をジクロロメタンとヘキサンの混液で再結晶した。また非結晶性残渣はリサイクルHPLCで精製した。
無色結晶(CH2Cl2/hexane)、収率71%。
融点:170.3−170.8 ℃.
[α]D26 = −70.3(C = 1.0 in CHCl3).
1H NMR(400 MHz, CDCl3): δ= 0.81 (d, J = 6.8 Hz, 3 H; -CHMe2), 0.98 (d, J = 6.8 Hz, 3 H; -CHMe2), 1.53 (d, J= 2.9 Hz, 6 H; 3-Me), 2.01-2.09 (m, 1 H; -CHMe2), 3.66 (d, J = 3.4 Hz, 1 H; 7-H), 3.89 (d, J = 3.9 Hz, 1 H; 4-H), 5.13 (d, J = 3.9 Hz, 1 H; 11-H), 5.32 (s, 1 H; 8-H), 7.16 (d, J = 7.8Hz, 2H; ArH) 7.23-7.35 (m, 5 H; ArH), 7.51 (d, J= 7.8 Hz, 2 H; ArH).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ= 18.9 (q), 21.1 (q), 21.7 (q), 23.4 (q), 30.2 (q), 49.9 (d), 52.5 (d), 69.0 (d), 78.7 (d), 89.0 (s), 114.1 (s), 126.3 (d), 127.6 (d), 127.7 (d), 128.5 (d), 129.4 (d), 135.5 (s), 138.4 (s), 139.1 (s), 166.0 (s).
IR(KBr): ν= 1693 cm-1(C=O).
MS(EI): m/z(%): 423(25)[M+], 145(100).
元素分析:
計算値[C25H29NO3S(423.57)]
C,70.89; H,6.90; N,3.31
実測値
C,70.82; H,6.78; N,3.38.
【0032】
実施例1と同様にして、対応する置換ベンズアルデヒドを用いることにより、実施例2から実施例5の化合物を製造した。
【0033】
実施例2
(1R,4S,7R,8R,11R)-8-(4-クロロフェニル)-4-イソプロピル-3,3-ジメチル-11-フェニル-2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オンの製造
無色油状物、収率4%。
[α]D20 = +80.0(C = 0.1 in CHCl3).
1H NMR(400 MHz, CDCl3): δ = 1.02 (d, J = 7.1 Hz, 3 H; -CHMe2), 1.15 (d, J = 7.1 Hz, 3 H; -CHMe2), 1.50 (s, 3 H; 5-Me), 1.55 (s, 3 H; 5-Me), 2.08-2.17 (m, 1 H; -CHMe2), 3.42 (t, J = 2.7 Hz, 1 H; 6-H), 3.96 (d, J = 3.9 Hz, 1 H; 4-H), 4.44 (d, J = 2.7 Hz, 1 H; 11-H), 5.37 (d, J = 2.7 Hz, 1 H; 8-H), 7.21-7.29 (m, 5 H; ArH), 7.43 (d, J = 8.3 Hz, 2 H; ArH), 7.58 (d, J = 8.3 Hz, 2 H; ArH).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 19.3 (q), 22.1 (q), 23.1 (q), 30.0 (q), 30.1 (d), 42.2 (d), 52.5 (d), 69.4 (d), 76.3 (d), 89.3 (s), 114.4 (s), 127.1 (d), 127.5 (d), 127.8 (d), 128.7 (d), 129.0 (d), 134.3 (s), 135.5 (s), 139.3 (s), 167.6 (s).
IR(NaCl): ν = 1698 cm-1(C=O).
MS(EI): m/z(%): 443(30)[M+],165(100).
HRMS(EI): calcd for C24H26ClNO3S[M+]: 443.1322,found: 443.1331.
【0034】
実施例3
(1R,4S,7R,8R,11R)-4-イソプロピル-3,3-ジメチル-8-(3-ニトロフェニル)-11-フェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オンの製造
白色結晶性粉末(CH2Cl2/hexane)、収率16%。
融点:79.5-80.0 ℃.
[α]D24 = −74.6 (C = 2.0 in CHCl3).
1H NMR(400 MHz, CDCl3): δ = 0.98 (d, J = 6.8 Hz, 3 H; -CHMe2), 1.12 (d, J = 6.8 Hz, 3 H; -CHMe2), 1.50 (s, 3 H; 3-Me), 1.55 (s, 3 H; 3-Me), 2.07-2.14 (m, 1 H; -CHMe2), 3.54 (t, J = 2.9 Hz, 1 H; 7-H), 3.96 (d, J = 3.9 Hz, 1 H; 4-H), 4.34 (d, J = 2.9 Hz, 1 H; 11-H), 5.47 (d, J= 2.9 Hz, 1 H; 8-H), 7.20-7.29 (m, 5 H; ArH), 7.64 (t, J= 7.8 Hz, 1 H; ArH), 7.98 (d, J = 7.8 Hz, 1 H; ArH), 8.24 (d, J = 7.8 Hz, 1 H; ArH), 8.52 (s, 1 H; ArH).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 19.2 (q), 22.1 (q), 23.1 (q), 30.0 (q), 30.1 (d), 42.3 (d), 52.0 (d), 69.5 (d), 75.9 (d), 89.4 (s), 114.4 (s), 121.0 (d), 123.5 (d), 127.4 (d), 127.9 (d), 128.7 (d), 129.9 (d), 131.7 (d), 138.9 (s), 139.5 (s), 148.7 (s), 167.1 (s).
IR(KBr): ν = 1699(C=O), 1531(NO2), 1396cm-1(NO2).
MS(EI): m/z(%): 454(5)[M+], 131(100).
元素分析:
計算値[C24H26N2O5S (454.15)]
C,63.42; H,5.77; N,6.16
実測値
C,63.27; H,5.89; N,6.04.
【0035】
実施例4
(1R,4S,7R,8R,11R)-4-イソプロピル-3,3-ジメチル-8-(4-ニトロフェニル)-11-フェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オンの製造
白色固体、収率15%。
融点: 153.0-154.0 ℃.
[α]D24 = −106.2(C = 0.5 in CHCl3).
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 1.01 (d, J = 7.1 Hz, 3 H; -CHMe2), 1.15 (d, J = 7.1 Hz, 3 H; -CHMe2), 1.52 (s, 3 H; 3-Me), 1.57 (s, 3H; 3-Me), 2.09-2.17 (m, 1 H; -CHMe2), 3.53 (t, J = 2.9 Hz, 1 H; 7-H), 3.97 (d, J = 3.9 Hz, 1 H; 4-H), 4.33 (d, J = 2.9 Hz, 1H; 11-H), 5.47 (d, J = 2.9 Hz, 1 H; 8-H), 7.20-7.29 (m, 4 H; ArH), 7.85 (d, J = 8.8 Hz, 2 H; ArH).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 19.2 (q), 22.1 (q), 23.1 (q), 30.0 (q), 31.1 (d), 42.4 (d), 52.1 (d), 69.6 (d), 76.1 (d), 89.6 (s), 114.4 (s), 124.0 (d), 126.8 (d), 127.4 (d), 128.0 (d), 128.8 (d), 138.9 (s), 144.5 (s), 148.0 (s), 167.1 (s).
IR(KBr): ν = 1701(C=O), 1523(NO2), 1347cm-1(NO2).
MS(EI): m/z(%): 454(27)[M+], 122(100)
元素分析:
計算値[C24H26N2O5S (454.54)].
C,63.42; H,5.77; N,6.16
実測値
C,63.22; H,5.81; N,6.07.
【0036】
実施例5
(1R,4S,7R,8S,11R)-4-イソプロピル-3,3-ジメチル-8-(3-ニトロフェニル)-11-フェニル-2,9-ジオキサ-10-チア-5-アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン-6-オンの製造
白色針状晶(CH2Cl2/hexane)、収率75%。
融点:195.0-195.5℃.
[α]D24 = −78.2 (C = 1.0 in CHCl3).
1H NMR(400 MHz, CDCl3): δ = 0.81 (d, J = 6.8 Hz, 3 H; -CHMe2), 0.98 (d, J = 6.8 Hz, 3 H; -CHMe2), 1.56 (s, 3 H; 3-Me), 1.58 (s, 3 H; 3-Me), 2.03-2.11 (m, 1 H; -CHMe2), 3.71 (d, J = 3.4 Hz, 1 H; 7-H), 3.91 (d, J = 3.9 Hz, 1 H; 4-H), 5.17 (d, J = 3.9 Hz, 1 H; 11-H), 5.48 (s, 1 H; 8-H), 7.29 (d, J = 7.3 Hz, 1 H; ArH), 7.35 (t, J = 7.3 Hz, 1 H; ArH), 7.51 (d, J = 7.3 Hz, 1 H; ArH), 7.57 (t, J = 7.8 Hz, 2 H; ArH), 7.70 (d, J = 8.8 Hz, 2H; ArH), 8.20 (d, J = 7.8 Hz, 1 H; ArH).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ = 18.8 (q), 21.7 (q), 23.4 (q), 29.7 (d), 30.1 (q), 49.5 (d), 52.7 (d), 69.3 (d), 77.5 (d), 89.4 (s), 114.4 (s), 121.6 (d), 123.5 (d), 128.0 (d), 128.7 (d), 128.9 (s), 129.9 (d), 132.0 (d), 138.5 (s), 140.7 (s), 148.4 (s), 165.5 (s).
IR(KBr): ν = 1688(C=O), 1535(NO2), 1348cm-1(NO2).
MS(EI): m/z(%): 454(3)[M+], 436(100).
元素分析:
計算値[C24H26N2O5S(454.15)]
C,63.42; H,5.77; N,6.16
実測値
C,63.32; H,5.77; N,6.13.
【0037】
実施例6
血液透析患者の血漿を用いてのAGE形成阻害作用
血液透析患者の血漿中AGE(指標:ペントシジン)の測定はMiyataらの報告に従って実施した(Miyata,T.et al:J Am Soc Nephrol,13,2478−2487,2002)。血液透析患者の血漿0.9mLをアミノグアニジンまたは各被検薬物の存在下(添加量は0.1mL)で、37℃で7日間反応した。アミノグアニジンおよび各被検薬物の最終濃度は5.0mMとした。なお、アミノグアニジンまたは各被検薬物はジメチルスルフォキシド(DMSO)に溶解して使用した。DMSOの最終濃度は反応溶液1mL中、反応時における酸化反応に影響しない10%とした。7日間の反応後に、アミノグアニジンまたは各被検薬物を添加した血漿中のペントシジンの濃度を以下に示す方法で測定した。
【0038】
反応溶液0.05mLに等量の10%トリクロロ酢酸(以下、「TCA」と称する)を加え、5000×g、5分間遠心した。上清を除去し、沈殿物を5%TCA 0.3mLで洗い、その後凍結乾燥し乾燥させた。次いで、窒素条件下で110℃、16時間6N塩酸 0.1mL添加し、乾燥物を加水分解した。引き続き、5N水酸化ナトリウム 0.1mLと0.5Mリン酸緩衝液(pH7.4) 0.2mLを添加し中和した。中和溶液は、口径0.5μmのフイルターをとおし、リン酸緩衝液で希釈し、ペントシジン測定用サンプルを調整した。ペントシジン濃度の測定はMiyataらの方法に従って実施した。
【0039】
表1に、各被検薬物によるペントシジン形成阻害強度を、アミノグアニジンによる形成阻害強度を1.0とした場合における相対値として表した(形成阻害強度はコントロール群を対照においた。コントロール群にはDMSOのみ添加した)。
相対値=(被検薬物の形成阻害率)÷(アミノグアニジンの形成阻害率)
アミノグアニジンおよび各被検薬物の反応中における最終濃度は5.0mMに固定した。
【0040】
各被検薬物の相対値は、それぞれ3.09、1.94、2.46、1.82、3.52及び1.15と算出され、いずれもアミノグアニジンによるペントシジン形成阻害強度よりも大きかった。以上から、一般式(1)で表される本発明の化合物は、アミノグアニジンよりも強力なAGE形成阻害作用を有し、さらに強力な治療剤としての可能性が本実験結果より明らかとなった。
【0041】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(1)
【化1】


(式中、X、Yは互いに独立して水素原子、C1−6アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基を示し、R、Rは互いに独立して水素原子、C1−6アルキル基、又はC1−6アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基で置換されていてもよいC6−10アリール基又はC7−11アラルキル基を示し、Rは水素原子又はC1−6アルキル基を示す)で表される化合物又はそれらの溶媒和物を有効成分とするAGE形成阻害剤。
【請求項2】
請求項1において、
(1R,3R,4S,7R,8R,11R)−8−(4−クロロフェニル)−4−メチル−3,11−ジフェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン、
(1R,4S,7R,8S,11R)−4−イソプロピル−3,3−ジメチル−8−(4−メチルフェニル)−11−フェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン、
(1R,4S,7R,8R,11R)−8−(4−クロロフェニル)−4−イソプロピル−3,3−ジメチル−11−フェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン、
(1R,4S,7R,8R,11R)−4−イソプロピル−3,3−ジメチル−8−(3−ニトロフェニル)−11−フェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン、
(1R,4S,7R,8R,11R)−4−イソプロピル−3,3−ジメチル−8−(4−ニトロフェニル)−11−フェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン、
(1R,4S,7R,8S,11R)−4−イソプロピル−3,3−ジメチル−8−(3−ニトロフェニル)−11−フェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン又はそれらの溶媒和物を有効成分とするAGE形成阻害剤。
【請求項3】
請求項1において、
(1R,3R,4S,7R,8R,11R)−8−(4−クロロフェニル)−4−メチル−3,11−ジフェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン、
(1R,4S,7R,8R,11R)−4−イソプロピル−3,3−ジメチル−8−(4−ニトロフェニル)−11−フェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン、
又はそれらの溶媒和物を有効成分とするAGE形成阻害剤。
【請求項4】
次の一般式(1)
【化2】



(式中、X、Yは互いに独立して水素原子、C1−6アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基を示し、R、Rは互いに独立して水素原子、C1−6アルキル基、又はC1−6アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基で置換されていてもよいC6−10アリール基又はC7−11アラルキル基を示し、Rは水素原子又はC1−6アルキル基を示す)で表される化合物又はそれらの溶媒和物。但し、
(1R,3R,4S,7R,8R,11R)−8−(4−クロロフェニル)−4−メチル−3,11−ジフェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン、
(1R,3R,4S,7R,8S,11R)−8−(4−クロロフェニル)−4−メチル−3,11−ジフェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン 、
(1R,3R,4S,7R,8R,11R)−4−メチル−8−(4−ニトロフェニル)−3,11−ジフェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン、
(1R,3R,4S,7R,8S,11R)−4−メチル−8−(4−ニトロフェニル)−3,11−ジフェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン、
(1R,3R,4S,7R,8R,11R)−4−メチル−8−(3−ニトロフェニル)−3,11−ジフェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン、
(1R,3R,4S,7R,8S,11R)−4−メチル−8−(3−ニトロフェニル)−3,11−ジフェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン、
(1R,3R,4S,7R,8R,11R)−4−メチル−3,8,11−トリフェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン、
(1R,3R,4S,7R,8R,11R)−4−メチル−8−(4−メチルフェニル)−3,11−ジフェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン、
(1S,3S,4R,7S,8S,11S)−4−メチル−8−(4−ニトロフェニル)−3,11−ジフェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン、及び
(1S,3S,4R,7S,8R,11S)−4−メチル−8−(4−ニトロフェニル)−3,11−ジフェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オンを除く。
【請求項5】
請求項4において、
(1R,4S,7R,8S,11R)−4−イソプロピル−3,3−ジメチル−8−(4−メチルフェニル)−11−フェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン、
(1R,4S,7R,8R,11R)−8−(4−クロロフェニル)−4−イソプロピル−3,3−ジメチル−11−フェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン、
(1R,4S,7R,8R,11R)−4−イソプロピル−3,3−ジメチル−8−(3−ニトロフェニル)−11−フェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン、
(1R,4S,7R,8R,11R)−4−イソプロピル−3,3−ジメチル−8−(4−ニトロフェニル)−11−フェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オン、又は
(1R,4S,7R,8S,11R)−4−イソプロピル−3,3−ジメチル−8−(3−ニトロフェニル)−11−フェニル−2,9−ジオキサ−10−チア−5−アザトリシクロ[5.2.2.01.5]ウンデカン−6−オンである化合物又はそれらの溶媒和物。
【請求項6】
請求項1記載のAGE形成阻害剤を有効成分とする糸球体疾患の予防及び/又は治療剤。
【請求項7】
糸球体疾患が、糖尿病性腎症である請求項6記載の予防及び/又は治療剤。

【公開番号】特開2008−7431(P2008−7431A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−177379(P2006−177379)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【Fターム(参考)】