説明

糖尿病のための11β−HSD1阻害剤としてのテトラヒドロシンノリン

式(I)(式中、A及びR〜Rは、請求項1に示された意義を有する)で示される化合物並びに薬学的に許容しうるその塩及びエステルを、医薬組成物の形態で用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、11β−HSD1阻害剤(T2D)として有用な新規なテトラヒドロシンノリン誘導体に関する。
【0002】
本発明は、詳細には、式(I):
【0003】
【化1】

【0004】
(式中、
Aは、CR又は−CH−CH−であり;
は、水素又はアルキルであり;
は、水素又はアルキルであり;
は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、置換アリール、1H−ピラゾリル又は置換1H−ピラゾリルであり、ここで、置換アリールは、アルキル、ハロゲン及びハロアルキルから独立して選択される置換基1〜3個で置換されているアリールであり、そして置換1H−ピラゾリルは、アルキル及びアリールから独立して選択される置換基1〜3個で置換されている1H−ピラゾリルであり;
は、水素もしくはメチルであり;
は、水素もしくはメチルであるか;又は
とRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチルもしくはシクロペンチルを形成しているが、
但し、RとRが、両者とも同時に水素又は両者とも同時にメチルである場合、Rは、(1−メチルシクロプロピル)メチルである)で示される化合物、並びに薬学的に許容しうるその塩及びエステルに関する。
【0005】
グルココルチコイド(ヒトではコルチゾール、マウス及びラットではコルチコステロン)は、多くの代謝及び恒常性プロセスを調節し、ストレス応答の不可欠な成分を形成するアドレノコルチコステロイドの重要な種類の一つである。グルココルチコイドは、細胞内グルココルチコイド受容体、そして一部の組織ではミネラロコルチコイド受容体を介して作用し、両者は核転写因子である。グルココルチコイドの標的組織での作用は、循環するステロイド濃度及び受容体の細胞内発現に依存するだけでなく、グルココルチコイドが活性形態の受容体に接近する度合いを大きく左右する細胞内酵素にも依存する。11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β−HSD)は、主要な活性型11−ヒドロキシグルココルチコイド(ヒトではコルチゾール)とそれらの不活性型11−ケト代謝産物(ヒトではコルチゾン)との相互変換を触媒する。
【0006】
酵素11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β−HSD1)は、不活性型グルココルチコイドを活性型グルココルチコイドに相互変換することにより、細胞内アゴニスト濃度の局所的調整と、これによる標的組織中のコルチコステロイド受容体の活性化において重要な役割を演じる。F. Hoffmann及びLa Rocheによって行われた近年の研究において、インスリン抵抗性又は代謝変化に関連しうる遺伝子発現の特異的変化を同定するために、痩身男性と肥満男性の間の遺伝子発現の差異を、遺伝子アレイ技術を利用して分析した。この研究により、11β−HSD1のmRNAが、肥満対象の脂肪組織において約2倍量アップレギュレートされることが明らかとなった。その上、マウスの脂肪細胞における11β−HSD1の過剰発現が、内臓肥満及びシンドロームX様表現型をもたらした(Masuzaki H. et al., Science. 2001 Dec 7;294(5549);2166-70)。まとめると、これらのデータから、肥満の誘発並びにグルコース恒常性及び脂質パラメータの障害における11β−HSD1の重要な役割が、非常に強く裏づけられる。こうして、この酵素の選択的阻害により、2型糖尿病患者の血中グルコースレベルが低下し、高値の脂質パラメータが正常化し、そして/又は肥満対象の体重が減少する可能性がある。
【0007】
ヒトにおける11β−HSD1阻害が、有益な効果を有しうるという最初の薬理学的指摘は、カルベノキソロン(11β−HSD1及び関連の酵素11β−HSD2の両方を阻害する抗潰瘍剤)を用いることにより得られた。カルベノキソロンでの処置でインスリン感受性が上昇したことから、11β−HSD1の阻害が、細胞内コルチゾールレベルを低下させ、それによりその有害作用の一部を最小限に抑える可能性が示された(Walker et al., 1995, J. Clin. Endocrinol. Metab. 80, 31155-3159)。
【0008】
11β−HSD1は、肝臓、脂肪組織、血管平滑筋、膵臓及び脳をはじめとする多くの組織で発現されている。その活性は、NADP(H)に依存し、そしてそれは、基質への親和力が比較的低い(11β−HSD2との比較)。組織ホモジネート中の11β−HSD1は、精製されると双方向性となり、11β−デヒドロゲナーゼ反応と11β−リダクターゼ反応の両方を示し、デヒドロゲナーゼ活性の方が安定性が大きい(P.M.Stewart and Z. S. Krozowski, Vitam. Horm. 57(1999)、pp249-324)。しかし酵素活性をインタクト細胞でテストすると、不活性11−ケト型から活性型グルココルチコイドを再生させる11β−リダクターゼ活性が主に存在する。そのようなグルココルチコイド再生は、効果的な細胞内グルココルチコイドレベルを増加させ、それによりグルココルチコイド活性を増幅させる。この細胞内コルチゾール濃度の上昇により、肝臓グルコース産生、脂肪細胞の分化及びインスリン抵抗性を上昇させることができる。
【0009】
11β−HSD1の阻害は、典型的なシンドロームX/糖尿病関連症候群を低減するだけでなく、安全でなければならず、そして重大な副作用を伴なってはならない。非特異的阻害剤カルベノキソロンを用いた研究から、特異的11β−HSD1阻害剤の開発の重要性が明らかとなった。11β−HSD2酵素の阻害は、忍容性が低く、血圧の上昇を引き起こす。これに対して、11β−HSD1ノックアウトマウスが健常であること、そして肥満又はストレスにより誘発される高血糖に抵抗性があることが見出されたことから、11β−HSD1の阻害は、忍容性が十分に高いはずである(Kotelevtsev Y. et al., Proc Natl Acad Sci USA、1997 Dec 23;94(26):14924-9)。同様にこれらのマウスは、飢餓状態では、糖新生に関与する不可欠な肝臓酵素の活性を減弱した。加えてこれらのマウスは、改善された脂質及びリポタンパク質プロファイルを有することから、HSD1の阻害が、非常に有効かつ安全である可能性が示唆される。近年の報告では、11β−HSD1阻害剤が、高血圧の低下(Masuzaki H. et al.,J Clin Invest. 2003 July;112(1):83-90; Rauz S.et al., QJM.2003 July;96(7):481-90)、認知の改善(Sandeep TC et al., Proc Natl Acad Sci USA、2004 Apr. 27;101(17):6734-9)、又はアルツハイマー関連の欠損症の改善に有益となる可能性も示された。まとめると、11β−HSD1阻害は、糖尿病、肥満症及び他の疾患の症状を処置するのに安全かつ有効なアプローチとなる可能性がある。
【0010】
式(I)で示される化合物並びにその薬学的に許容しうる塩及びエステルは、新規であり、そして重要な薬理学的性質を有する。詳細にはそれらは、11β−HSD1阻害剤(T2D)であり、そしてそれらは、関連の11β−HSD2酵素への選択性を示す。それゆえ、特異的な11β−HSD1阻害剤(T2D)である該化合物は、例えば、標的組織(肝臓、脂肪組織)中の活性型グルココルチコイド(コルチゾール)の局所濃度を調整することにより、2型糖尿病患者の血糖値を低下させ、そして脂質パラメータを正常化させるアプローチを提示する。
【0011】
本発明の化合物は、代謝障害、肥満症、脂質代謝異常症及び/又は糖尿病、詳細にはII型糖尿病の予防及び/又は治療に用いることができる。
【0012】
本発明の化合物は、更に、高眼圧症、認知症、高血圧症、アルツハイマー病及び/又は神経変性症の予防及び/又は治療に用いることができる。
【0013】
更に本発明の化合物は、詳細には局所使用により、創傷治癒を促すのに用いることができる。その上、本発明の化合物は、認知障害の改善、詳細には加齢により生じた障害の改善、及び記憶の改善に用いることができる。
【0014】
本発明の目的は、式(I)で示される化合物、その前述の塩及びエステルそのもの、及び治療活性物質としてのその使用、前記化合物、中間体、及び医薬組成物の製造方法、前記化合物、その薬学的に許容しうる塩及びエステルを含む医薬、疾病の予防及び/又は治療、特に、摂食障害、肥満症、脂質代謝異常症及び/又は糖尿病、詳細にはII型糖尿病の治療又は予防のための前記化合物、そのエステル及び塩の使用、並びに代謝障害、肥満症、脂質代謝異常症及び/又は糖尿病、詳細にはII型糖尿病の治療又は予防用の医薬を製造するための前記化合物、その塩及びエステルの使用である。
【0015】
本発明の化合物は、更に、PPAR(α、γ及びδ)アゴニスト、DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)、DPPIV阻害剤、インスリン及び/又はリパーゼ阻害剤、詳細にはオーリスタットと併用することができる。
【0016】
本明細書において、用語「アルキル」は、単独又は組み合わせて用いられ、炭素原子を1〜8個含む直鎖又は分岐鎖アルキル基、好ましくは炭素原子を1〜6個含む直鎖又は分岐鎖アルキル基、特に好ましくは炭素原子を1〜5個含む直鎖又は分岐鎖アルキル基を表す。直鎖及び分岐鎖C1〜C8アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチルの異性体、ヘキシルの異性体、ヘプチルの異性体、及びオクチルの異性体であり、好ましくはメチル、2,2−ジメチルプロピル及びtert−ブチルである。
【0017】
用語「シクロアルキル」は、単独又は組み合わせて用いられ、炭素原子を3〜8個含むシクロアルキル環、そして好ましくは炭素原子を3〜6個含むシクロアルキル環を表す。C3〜C8シクロアルキルの例は、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、ジメチルシクロプロピル、シクロブチル、メチルシクロブチル、シクロペンチル、メチル−シクロペンチル、シクロヘキシル、メチル−シクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルである。好ましいシクロアルキルは、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、特に1−メチル−シクロプロピルが好ましい。
【0018】
用語「アリール」は、単独又は組み合わせて用いられ、それぞれが、ハロゲン、ハロアルキル及びアルキルから独立して選択される置換基1個以上、好ましくは1、2又は3個を場合により有するフェニル又はナフチル基、好ましくはフェニル基を表す。例は、メチル、フッ素、塩素及びトリフルオロメチルから独立して選択される置換基1〜3個、好ましくは1又は2個で場合により置換されているフェニルである。
【0019】
例えばハロアルキルのような、用語「ハロゲン」は、単独又は組み合わせて用いられ、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を表し、好ましくはフッ素又は塩素を表す。
【0020】
用語「薬学的に許容しうる塩」は、遊離塩基又は遊離酸の生物学的有効性及び性質を保持し、生物学的又は他に関しても不適切でないその塩を指す。その塩は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など、好ましくは塩酸)、及び有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、N−アセチルシステインなど)で形成される。加えてこれらの塩は、無機塩基又は有機塩基を遊離酸に添加することにより生成してもよい。無機塩基から得られる塩としては、非限定的に、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。有機塩基から得られる塩としては、非限定的に、第一級、第二級及び第三級アミン、天然の置換アミンをはじめとする置換アミン、環式アミン、並びに塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リシン、アルギニン、N−エチルピペリジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂などの塩が挙げられる。式(I)で示される化合物は、両性イオンの形態で存在することもできる。式(I)で示される化合物の特に好ましい薬学的に許容しうる塩は、塩酸塩である。
【0021】
式(I)で示される化合物は、溶媒和、例えば水和させることもできる。溶媒和は、製造過程の途中で行ってもよく、又は、例えば最初は無水の式(I)で示される化合物が吸湿することにより溶媒和させてもよい(水和)。用語「薬学的に許容しうる塩」は、生理学的に許容しうる溶媒和物も包含する。
【0022】
「薬学的に許容しうるエステル」は、一般式(I)で示される化合物が、官能基が誘導体化されて誘導体を提供し、それがインビボで親化合物に戻りうることを意味する。そのような化合物の例としては、生理学的に許容しえて代謝により変化し易いエステル誘導体、例えば、メトキシメチルエステル、メチルチオメチルエステル及びピバロイルオキシメチルエステルが挙げられる。加えて、一般式(I)で示される化合物の生理学的に許容しうる等価体は、代謝により変化し易いエステルと同様に、インビボで一般式(I)で示される親化合物を生成することができ、本発明の範囲に含まれる。
【0023】
式(I)で示される化合物は、複数の不斉中心を含むことができ、そして光学的に純粋な鏡像異性体、鏡像異性体混合物、例えば、ラセミ体、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体混合物、ジアステレオ異性体のラセミ体、又はジアステレオ異性体のラセミ体の混合物の形態で存在することができる。
【0024】
用語「不斉炭素原子」は、4個の異なる置換基を有する炭素原子を意味する。Cahn-Ingold-Prelog順位則によれば、不斉炭素原子は、「R」又は「S」配置をとることができる。
【0025】
好ましいのは、式(I)で示される化合物、及び薬学的に許容しうるその塩であり、特に式(I)で示される化合物が好ましい。
【0026】
特に好ましいのは、Rが、水素又はメチルである、式(I)で示される化合物である。
【0027】
同じく好ましいのは、Rが、水素又はメチルである、式(I)で示される化合物である。
【0028】
更に、好ましいのは、R及びRが、両者とも同時に水素、又は両者とも同時にメチルである、式(I)で示される化合物である。
【0029】
好ましいのは、RとRが、それらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロプロピル又はシクロペンチルを形成している、式(I)で示される化合物である。
【0030】
特に好ましいのは、RとRが、それらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロプロピルを形成している、式(I)で示される化合物である。
【0031】
更に好ましいのは、RとRが、それらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロブチルを形成している、式(I)で示される化合物である。
【0032】
同じく好ましいのは、RとRが、それらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロペンチルを形成している、式(I)で示される化合物である。
【0033】
更に、好ましいのは、Aが、−CH−CH−である、式(I)で示される化合物である。
【0034】
その上、好ましいのは、Rが、水素又はメチルである、式(I)で示される化合物であり、特にRが、水素である、式(I)で示される化合物が好ましい。
【0035】
が、水素又はメチルである、式(I)で示される化合物も、好ましい。特に好ましいのは、Rが、水素である、式(I)で示される化合物である。
【0036】
好ましいのは、Rが、アルキル、シクロアルキル又はシクロアルキル−アルキルである、式(I)で示される化合物である。
【0037】
同じく好ましいのは、Rが、ジメチルプロピル、tert−ブチル、シクロプロピル、メチルシクロプロピル又は(メチルシクロプロピル)メチルである、式(I)で示される化合物である。
【0038】
更に好ましいのは、Rが、2,2−ジメチルプロピル、tert−ブチル、シクロプロピル、1−メチルシクロプロピル又は(1−メチルシクロプロピル)メチルである、式(I)で示される化合物である。
【0039】
好ましいのは、Rが、フェニル、置換フェニル、1H−ピラゾリル又は置換1H−ピラゾリルであり、ここで、置換フェニルが、アルキル、ハロゲン及びハロアルキルから独立して選択される置換基1〜3個で置換されているフェニルであり、そして置換1H−ピラゾリルが、アルキル及びフェニルから独立して選択される置換基1〜3個で置換されている1H−ピラゾリルである、式(I)で示される化合物である。
【0040】
が、フェニル、置換フェニル、1H−ピラゾリル又は置換1H−ピラゾリルであり、ここで、置換フェニルが、メチル、フッ素、塩素及びトリフルオロメチルから独立して選択される置換基1〜3個で置換されているフェニルであり、そして置換1H−ピラゾリルが、メチル、tert−ブチル及びフェニルから独立して選択される置換基1〜3個で置換されている1H−ピラゾリルである、式(I)で示される化合物も、好ましい。
【0041】
更に好ましいのは、Rが、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、置換アリール、1H−ピラゾリル又は置換1H−ピラゾリルであり、ここで、置換アリールが、メチル、フッ素、塩素及びトリフルオロメチルから独立して選択される置換基1〜3個で置換されているアリールであり、そして置換1H−ピラゾリルが、メチル、tert−ブチル及びフェニルから独立して選択される置換基1〜3個で置換されている1H−ピラゾリルである、式(I)で示される化合物である。
【0042】
好ましいのは、Rが、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、フェニル、置換フェニル、1H−ピラゾリル又は置換1H−ピラゾリルであり、ここで、置換フェニルが、アルキル、ハロゲン及びハロアルキルから独立して選択される置換基1〜3個で置換されているフェニルであり、そして置換1H−ピラゾリルが、アルキル及びフェニルから独立して選択される置換基1〜3個で置換されている1H−ピラゾリルである、式(I)で示される化合物である。
【0043】
同じく好ましいのは、Rが、ジメチルプロピル、tert-ブチル、シクロプロピル、メチルシクロプロピル、(メチルシクロプロピル)メチル、フェニル、置換フェニル、1H−ピラゾリル又は置換1H−ピラゾリルであり、ここで、置換フェニルが、メチル、フッ素、塩素及びトリフルオロメチルから独立して選択される置換基1〜3個で置換されているフェニルであり、そして置換1H−ピラゾリルが、メチル、tert−ブチル及びフェニルから独立して選択される置換基1〜3個で置換されている1H−ピラゾリルである、式(I)で示される化合物である。
【0044】
好ましいのは、Rが、ジメチルプロピル、tert-ブチル、シクロプロピル、メチルシクロプロピル、(メチルシクロプロピル)メチル、フェニル、メチルで置換されているフェニル、トリフルオロメチルで置換されているフェニル、フルオロ及びトリフルオロメチルで置換されているフェニル、クロロ及びトリフルオロメチルで置換されているフェニル、クロロ及びフルオロで置換されているフェニル、メチル及びフェニルで置換されている1H−ピラゾリル又はtert-ブチル及びメチルで置換されている1H−ピラゾリルである、式(I)で示される化合物である。
【0045】
が、2,2−ジメチルプロピル、tert-ブチル、1−メチルシクロプロピル、(1−メチルシクロプロピル)メチル、シクロプロピル、(トリフルオロメチル)フェニル、フルオロ−(トリフルオロメチル)フェニル、クロロ−(トリフルオロメチル)フェニル、5−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル、1−tert−ブチル−5−メチル−1H−ピラゾール−4−イル、クロロ−フルオロフェニル又はメチルフェニルである、式(I)で示される化合物も、好ましい。
【0046】
同じく好ましいのは、式(Ia):
【0047】
【化2】

【0048】
(式中、A、R、R及びRは、先に定義されたとおりである)で示される化合物である。(Ia)において、Cahn-Ingold-Prelog順位則によれば、不斉炭素1は、(S)配置を有し、そして不斉炭素2は、(R)配置を有する。
【0049】
式(Ib):
【0050】
【化3】

【0051】
(式中、A、R、R及びRは、先に定義されたとおりである)で示される化合物も、好ましい。(Ib)において、Cahn-Ingold-Prelog順位則によれば、不斉炭素1は、(R)配置を有し、そして不斉炭素2は、(S)配置を有する。
【0052】
好ましいのは、
(5’RS,8’SR)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’R,8’S)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’S,8’R)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−tert−ブチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’R,8’S)−3’−tert−ブチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’S,8’R)−3’−tert−ブチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−(1−メチルシクロプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−シクロプロピル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’R,8’S)−3’−シクロプロピル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’S,8’R)−3’−シクロプロピル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−シクロプロピル−4’−メチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
3−シクロプロピル−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン;
3−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン;
3−(2,2−ジメチルプロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン;
3−tert−ブチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン;
(5’RS,8’SR)−3’−(1−メチルシクロプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−tert−ブチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−シクロプロピル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5RS,8SR)−9,9−ジメチル−3−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−メタノシンノリン;
(5R,8S)−8,9,9−トリメチル−3−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−メタノシンノリン;
(5RS,8SR)−3−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−メタノシンノリン;
(5’RS,8’SR)−3’−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−(5−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−(1−tert−ブチル−5−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−[5−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
3−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン;
(5’RS,8’SR)−3’−(2−メチルフェニル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−(2−メチルフェニル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−(5−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−(1−tert−ブチル−5−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];及び
(5’RS,8’SR)−3’−[5−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
から選択される式(I)で示される化合物である。
【0053】
特に好ましいのは、
(5’RS,8’SR)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’R,8’S)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’S,8’R)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−tert−ブチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’R,8’S)−3’−tert−ブチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’S,8’R)−3’−tert−ブチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−(1−メチルシクロプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−シクロプロピル−4’−メチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
3−シクロプロピル−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン;
3−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン;
3−(2,2−ジメチルプロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン;及び
3−tert−ブチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン
から選択される式(I)で示される化合物である。
【0054】
本発明の式(I)で示される化合物の製造は、連続的又は収束的な合成経路で実施してもよい。本発明の合成を、以下のスキームに示す。反応及び得られた生成物の精製を実施するのに必要な技能は、当業者に公知である。以下の方法の説明で用いられる置換基及び指数は、先に示された意義を有する。
【0055】
一般に式(I)で示される化合物は、式(II)で示される化合物をヒドラジンで処理することにより、容易に得られるが、異なる反応条件(例えば、(II)を、トルエン中、p−トルエンスルホン酸などの酸の存在下で、ヒドラジン一水和物と共に加熱すること、(ii)(II)及びヒドラジン一水和物を、水/酢酸混合物中、還流温度で加熱すること、(iii)(II)及びヒドラジン一水和物を、エタノールなどの溶媒中、トリエチルアミンなどの塩基の存在下、還流温度で加熱すること)を利用して縮合反応を実施することができる。
【0056】
異なる条件の適用は、用いられた各出発原料に依存し、それは実験項部分に概説されている。(II)型の化合物の二重結合の幾何学的配置は、EもしくはZ、又はEとZとの混合となる可能性がある。二重結合の幾何学的配置とは別に、先に概説された最も適切な反応条件を選択することにより、実験項部分に例示されたとおり、それらを(I)に変換することができる。
【0057】
【化4】

【0058】
スキーム1で出発原料として用いられた(II)型の化合物は、スキーム2に要約されたとおり製造することができる。
【0059】
つまり、Horner-Emmons(又はWittig- Horner)反応により式(III)で示される1,2−ジケトンを式(IV)で示されるホスホネートと反応させると、これにより式(II)で示される化合物が生成される。用いられうる条件は、例えば、(i)還流条件下、溶媒としてtert−ブタノール中で塩基としてカリウムtert−ブトキシド、又は(ii)溶媒としてTHF中で塩基としてNaHを0℃で用いることである。
【0060】
式(II)で示される化合物の二重結合の幾何学的配置は、R、R、R基及び反応条件に応じて、E、Z、又はEとZとの混合となる可能性がある。ほとんどの場合、混合物が得られ、これらをクロマトグラフィーにより分離することができ、又は環形成反応で混合物として用いることができた。二重結合の立体化学は、式(II)で示される化合物のNMRにより決定できる。(IV)型のホスホネートの代わりに、対応するα−ハロケトン類似体を用いて、Reformatsky反応を実施した後、水の脱離を行うことも可能である(このタイプの反応の例について:Huang, J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1, 1989, 2397)。
【0061】
が、アルキルである、式(III)で示される化合物では、立体障害によりRに隣接するカルボニル基の反応性が低いため、好ましくは式(II)で示される化合物が、主生成物として得られる。混合物が得られる場合、これらは、クロマトグラフィーにより容易に分離することができ、そして更に適宜処理することができる。
【0062】
【化5】

【0063】
式(IV)で示されるホスホネートは、文献で公知であるか、又は標準的手順により製造することができる。化合物(IV)を製造する例は、アルキルホスホン酸ジメチルエステルを、溶媒としてTHF中、N−ブチルリチウムなどの塩基で−78℃で処理し、次にカルボン酸アルキルと反応させて、(IV)を得ることからなる。あるいは、メチルホスホン酸ジメチルエステル(R=H)(your ad in is ok)をその反応で用い、次のアルキル化工程でRを導入し、(IV)(R=H)を塩基(例えば、カリウムt−ブトキシド又はN−ブチルリチウム又は炭酸カリウム)の存在下で、アルキル化試薬(R−hal)と反応させることができる(類似の反応について:B. Kirschberger, Synthesis, 1986, 11, 926)。
【0064】
スキーム2で用いられた1,2−ジケトン(III)は、市販されるか、文献で公知であるか、又は当該技術分野で公知の方法を組み合わせることにより製造することができる(スキーム3)。ジケトン(III)を製造する好ましい方法は、対応するモノケトン(V)を酢酸中、還流温度でSeOにより酸化することからなる。あるいはその変換は、まず、(V)を亜硝酸アルキルと反応させて対応するオキシムを生成させ、続いてオキシムを式(III)で示される化合物に加水分解することにより実施することができる(一般的方法について:B. E. Love et al. Synth. Communications; 1999; 16; 2831)。
【0065】
【化6】

【0066】
が、H(add in is ok)である、式IIで示される化合物を製造する別の方法は、スキーム4により、式(V)で示されるケトンを式(VI)で示される化合物と反応させることからなる。その反応は、交差アルドール反応を介してMukaiyama(J. Am. Chem. Soc., 1974, 96, 7503)により記載された方法と同様にして達成することができ、つまり四塩化チタンの存在下で、(V)を最初に生成するシリルエノールエーテルを経由して式(IV)で示されるホルミルカルボニルと反応させて、カップリング主生成物の脱水の後に、RがH(is ok)である(II)を得る。化合物(VI)は、市販されるか、又は文献に記載された方法と同様に、例えば、対応するメチルケトンを用いたSeOの酸化により製造するか(文献の例として:K. C. Joshi、Heterocycles, 1981, 16, 1545)、又はα−ハロケトンを用いたSwern酸化(例として:D. Swern, Synthesis, 1981, 165)から製造する。
【0067】
【化7】

【0068】
式(I)で示される化合物を製造する更に別の方法は、スキーム5に概説されており、それは、式(VII)で示される1,4−ジケトンを先に議論された条件下でヒドラジンと反応させて、式(VIII)で示されるジヒドロピリダジンを得ることからなる(複数の可能な異性体のうちの1種を図示)。その後、これらを、例えばPd/活性炭又は別の酸化剤(例えば、Br)を用いて芳香族化して(類似の手順について:Baumgarten, J. Am. Chem. Soc. 1958, 80, 6609)、式(I)で示される化合物を得ることができる。式(VII)で示される1,4−ジケトンは、合成ビルディングブロックとして広く使用されており、それらを製造するための数多くの方法が、文献で公知である(例えば:Corey, J. Am. Chem. Soc. 1969, 91, 4926; Katritzky, J. Org. Chem. 1991, 56, 6917)。これらの化合物を製造するための最近の例は、A. Babaにより発表された手順(J. Org. Chem, 1997, 62, 8282)を用いることであり、それは、ケトン(V)をまず対応するスズエノラートに変換し、触媒量のZnClの存在下でα−ハロケトン(IX)と反応させることからなる。
【0069】
【化8】

【0070】
式(I)で示される化合物の製造方法が、本発明の目的の一つである。
【0071】
特に好ましいのは、以下の工程の一つ:
a)式(IIa)もしくは(IIb):
【0072】
【化9】

【0073】
で示される化合物をヒドラジンの存在下で反応させて、式(I)で示される化合物を得る工程;又は
b)式(VIII):
【0074】
【化10】

【0075】
(式中、A、R、R及びRは、先に定義されたとおりである)で示される化合物を酸化剤の存在下で反応させて、式(I)で示される化合物を得る工程、
を含む、式(I)で示される化合物の製造方法である。
【0076】
治療活性物質として用いられる先に記載された式(I)で示される化合物は、本発明の更なる目的である。
【0077】
同じく本発明の目的の一つは、酵素11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1(11β−HSD1)が関連する障害により誘発される疾病の予防及び治療用の医薬を製造するための、先に記載された式(I)で示される化合物である。
【0078】
同様に本発明の目的の一つは、先に記載された式(I)で示される化合物、及び治療上不活性な担体を含む医薬組成物である。
【0079】
本発明の更に好ましい実施態様は、糖尿病、肥満症、摂食障害又は脂質代謝異常症の治療又は予防用の医薬を製造するための、先に記載された式(I)で示される化合物の使用である。
【0080】
本発明の更に好ましい目的は、糖尿病、肥満症、摂食障害又は脂質代謝異常症の治療又は予防用の医薬として使用される、式(I)で示される化合物である。
【0081】
特に好ましいのは、II型糖尿病の治療又は予防用の医薬を製造するための、先に記載された式(I)で示される化合物の使用である。
【0082】
特に好ましいのは、II型糖尿病の治療又は予防用の医薬として使用される式(I)で示される化合物である。
【0083】
本発明の更なる目的は、任意の上記方法により製造される、先に記載された式(I)で示される化合物を含む。
【0084】
同じく本発明の目的の一つは、先に記載された式(I)で示される化合物を有効量投与することを含む、糖尿病、肥満症、摂食障害及び脂質代謝異常症の治療又は予防の方法である。
【0085】
特に好ましいのは、先に記載された式(I)で示される化合物を有効量投与することを含む、II型糖尿病の治療又は予防の方法である。
【0086】
アッセイ手順
一過性発現及び部分精製
【0087】
ヒト11β−HSD1タンパク質をコードするcDNAを、発現ベクターpcDNA3(Stratagene)にクローニングした。この構築物(詳細については、Alex Odermatt et al.; J Biol Chem., 1999, Vol. 274, Issue 40, 28762-28770参照)を用い、リポフェクタミン(Lipofectamine)を使用してタンパク質をHEK293細胞(ATCC番号:CRL−1573、Graham, F. L., Smiley, J., Russell, W. C., Nairn, R.;(1977)に記載)で一過性に発現させた。トランスフェクションの48時間後に、細胞を氷冷PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で2回洗浄した。PBS中の細胞懸濁液1容量に、氷冷した溶解緩衝液(50mM トリス pH7.5;1mM EDTA;100mM NaCl)2容量を添加した。細胞をPotter型ホモジナイズ(20回)により溶解した。得られたホモジネートをチップ式超音波装置で超音波処理して(10%出力;30秒を2回)、低速遠心分離(9000gで10分間、4℃)により清澄化させた。ミクロソーム画分を高速遠心分離(110,000gで60分間)により回収した。得られたペレットを保存緩衝液(20mM トリス pH7.5;1mM EDTA;10%グリセロール)に再懸濁させて、遠心分離を繰り返し行った。得られたミクロソーム画分を含むペレットを、保存緩衝液に再度取り、アリコットを使用するまで液体窒素で凍結貯蔵した。
【0088】
11β−HSD1を発現する安定した細胞系の作製
ヒト11β−HSD1の一過性発現に用いたものと同じ構築物を用いて、そのタンパク質を安定発現する細胞株も作製した。簡潔に説明すると、Lipofectamine試薬(Gibco BRL)を用いて、製造業者の使用説明書に従い、(HEK293)細胞を11β−HSD1構築物でトランスフェクションした。トランスフェクションの2日後に、ジェネティシン選択(0.8mg/ml)を開始して、複数の安定したクローンを単離した。一つのクローンを、更に薬理学的評価に使用した。
【0089】
ミクロソームアッセイ
ヒト11β−HSD1を一過性発現するHEK293細胞(詳細は前記を参照)から単離されたミクロソームを、異なる濃度の試験物質と共にアッセイ緩衝液(100mM NaCl;1mM EDTA;1mM EGTA;1mM MgCl;250mM ショ糖;20mM トリス pH7.4;50〜200nM コルチゾン、及び1mM NADPH)中でインキュベーションした。37℃で60分間インキュベーションした後、80℃に加熱(5分間)して阻害剤カルベノキソロン(1μM)を添加することにより、アッセイを停止させた。このアッセイで生成されたコルチゾールの量を、市販のELISAに基づくコルチゾール検出キット(Assay Design, Inc.から販売)を用いて測定した。そのIC50値(例えば、コルチゾールの生成を50%低下させる濃度)により、阻害剤を特性評価した。
【0090】
細胞アッセイ
インタクト細胞における阻害剤の効果を測定するために、ヒト11β−HSD1(前記を参照)を安定発現するHEK293細胞を、96穴プレート中、DMEMで培養した。最初は阻害剤を、そして60分後にコルチゾンを細胞に添加した。5%CO2雰囲気下、37℃で60分間インキュベーションした後、培地の一部を取り出して、コルチゾンからコルチゾールへの変換を、市販のELISAキット(Assay Design, Inc.から販売)を用いて測定した。
【0091】
本発明の代表的な化合物を試験化合物として用いたミクロソームアッセイで得られた結果を、以下の表に示す。
【0092】
【表1】



【0093】
上述の化合物は、1nM未満のIC50値を有する。好ましい化合物は、0.1nM〜0.001nMのIC50値を有する。より好ましい化合物は、0.06nM〜0.001nMのIC50値を有する。
【0094】
式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容しうる塩及びエステルは、医薬として(例えば、医薬製剤の形態で)使用することができる。医薬製剤は、例えば経口的(例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の形態)、経鼻的(例えば、鼻腔スプレーの形態)又は直腸的(例えば、坐剤の形態)のように体内に投与することができる。しかし、投与は、例えば筋肉内又は静脈内(例えば、注射剤の形態)のように非経口的に実施することもできる。
【0095】
式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容しうる塩及びエステルは、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤の製造のために、薬学的に不活性な無機又は有機佐剤と共に加工することができる。乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などは、例えば、錠剤、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤用の佐剤として使用することができる。
【0096】
軟ゼラチンカプセル剤に適切な佐剤は、例えば、植物性油、ロウ、脂肪、半固体物質及び液体ポリオールなどである。
【0097】
液剤及びシロップ剤の製造に適切な佐剤は、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖、ブドウ糖などである。
【0098】
注射剤に適切な佐剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール及び植物油である。
【0099】
坐剤に適切な佐剤は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半固体又は液体ポリオールなどである。
【0100】
更に、医薬製剤は、保存料、可溶化剤、粘度上昇物質、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、香味料、浸透圧を変えるための塩、緩衝剤、マスキング剤又は酸化防止剤を含有することができる。それらは、その他の治療上有用な物質も更に含有することができる。
【0101】
本発明によると、式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容しうる塩は、関節炎、心臓血管疾患、糖尿病、腎不全、とりわけ摂食障害及び肥満症の予防及び治療のために使用することができる。用量は、広い範囲で変化させることができ、当然ながら各特定の症例における個々の要件に適合させることができる。一般に、経口投与の場合、例えば、同じ用量を含む、好ましくは1〜3個の個別用量に分割されている、体重1kg当たり約0.1mg〜20mg、好ましくは体重1kg当たり約0.5mg〜4mg(例えば、一人あたり約300mg)の一日量が適切であるべきである。しかし、必要性が示される場合、示された上限を超えることができることが明らかである。
【0102】
本発明が実施例により下記で説明されているが、これは制限的ではない。
【0103】
実施例
実施例1
(5’RS,8’SR)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
工程A]:(4,4−ジメチル−2−オキソ−ペンチル)−ホスホン酸ジメチルエステル
THF(50ml)中のメチル−ホスホン酸ジメチルエステル(9.53g)の溶液を、アルゴン雰囲気下、−65℃に冷却し、反応混合物の温度を−65℃より低く保持しながら、ヘキサン中のN−ブチルリチウムの1.6M溶液48mlを滴下して処理した。15分間の撹拌後、3,3−ジメチル−酪酸メチルエステル(THF 5ml中5g)をゆっくりと加え、混合物を30分間撹拌した(反応温度を−65℃より低く保持した)。反応混合物を0℃に温めて、1N HCl水溶液でクエンチし、次にAcOEtと水で分液した。層を分離し、有機層を水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、4,4−ジメチル−2−オキソ−ペンチル)−ホスホン酸ジメチルエステル(9.21g)を明黄色の液体として得た。MS(ESI):223.2(MH)。
【0104】
工程B]:スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2,3−ジオン
酢酸38ml中のスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2−オン(rac)8.6g(synthesis: N. J. Turro, JACS, 1980, 102, 6056)の溶液を、室温にてSeO(16.15g)で処理し、次に懸濁液を12時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、濾過し、フィルターケーキを酢酸エチルで洗浄した。濾液を3N NaOH水溶液で塩基性化し、さらにAcOEtを加えた。層を分離し、有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt:100%→90%)により精製して、スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2,3−ジオン(2.5g)を黄色の固体として得た。MS(ESI):168(M+NH4)
【0105】
工程C]:(3E)−3−(4,4−ジメチル−2−オキソペンチリデン)スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2−オン及び(3Z)−3−(4,4−ジメチル−2−オキソペンチリデン)スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2−オン
THF(40ml)中の(4,4−ジメチル−2−オキソ−ペンチル)−ホスホン酸ジメチルエステル(1.249g)の溶液を、アルゴン雰囲気下、0℃に冷却し、水素化ナトリウム(0.268g)を4回に分けて加えた。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2,3−ジオン(1.023g)をTHF(30ml)に溶解し、次に反応混合物に滴下した。次に混合物を、0℃で更に15分間(TLC分析により反応が終了するまで)撹拌した。反応混合物を水/3N HClとAcOEtで分液し、層を分離し、有機層を飽和NaCl水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、溶離剤としてヘプタン/AcOEt:100%→95%を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、(3E)−3−(4,4−ジメチル−2−オキソペンチリデン)スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2−オン(0.284g)及び(3Z)−3−(4,4−ジメチル−2−オキソペンチリデン)スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2−オン(0.287g)をそれぞれ黄色の油状物として得て、それらをそのまま次の工程に使用した。E/Z異性体比の決定はNMRにより行った。
【0106】
工程D]:(5’RS,8’SR)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
エタノール(15ml)中の(3E)−3−(4,4−ジメチル−2−オキソペンチリデン)スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2−オン(0.284g)の溶液を、室温にて、ヒドラジン一水和物(0.237g)及びトリエチルアミン(0.234g)で処理し、次に混合物を12時間加熱還流した(油浴温度:105℃)。反応混合物を水とAcOEtで分液した。次に層を分離し、合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt:100%→65%)により精製して、(5’RS,8’SR)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン](0.188g)を明黄色の固体として得た。MS(ESI):243.1(MH)。
【0107】
上記と同じ反応条件下で、(3Z)−3−(4,4−ジメチル−2−オキソペンチリデン)スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2−オン(0.287g)を、所望の化合物(5’RS,8’SR)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン](0.191g)に変換した。
【0108】
実施例1a、b
(5’R,8’S)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]及び(5’S,8’R)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
実施例1の化合物を、溶離剤としてヘプタン/イソプロパノール:95/2を用いるキラルカラムChiralpak ADを使用する分取HPLCに付して、光学的に純粋な形態の2個の鏡像異性体を白色の固体として得た。
【0109】
以下の化合物を、実施例1、工程A]〜D]に従って調製した:
【0110】
実施例2
(5’RS,8’SR)−3’−tert−ブチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
オフホワイトの固体 MS(ESI):229.0(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2,3−ジオン、(3,3−ジメチル−2−オキソ−ブチル)−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0111】
実施例2a、b
(5’R,8’S)−3’−tert−ブチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]及び(5’S,8’R)−3’−tert−ブチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
実施例2の化合物を、溶離剤としてヘプタン/イソプロパノール:95/2を用いるキラルカラムChiralpak ADを使用する分取HPLCに付して、光学的に純粋な形態の2個の鏡像異性体を白色の固体として得た。
【0112】
実施例3
(5’RS,8’SR)−3’−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
明黄色の固体 MS(ESI):241.1(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2,3−ジオン、[3−(1−メチル−シクロプロピル)−2−オキソ−プロピル]−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0113】
出発物質の調製:
3.1)3−(1−メチル−シクロプロピル)−2−オキソ−プロピル]−ホスホン酸ジメチルエステルの調製:
これを、実施例1、工程A]に従って、メチル−ホスホン酸ジメチルエステル(7.44g)、N−ブチルリチウム(1.6M,37.5ml)及び(1−メチル−シクロプロピル)−酢酸エチルエステル(4.266g)から、溶離剤としてヘプタン/AcOEt:60→40%を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、明黄色の液体(2.4g)として調製した。
【0114】
3.2)(1−メチル−シクロプロピル)−酢酸エチルエステルの調製:
ジエチルエーテル(20ml)に懸濁したZn−Cuカップル(10.726g)を、アルゴン雰囲気下、室温にて、CH(14.86g)及び3−メチル−ブタ−3−エン酸エチルエステル(3.9g)で処理し、密閉反応バイアル中、60℃で20時間加熱した。次に混合物を室温に冷却し、AcOEt(50ml)を加え、反応混合物を濾過した。フィルターケーキをAcOEtで洗浄し、合わせた濾液を水(125ml)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、次に濃縮した(40mbarの減圧下)。これにより、所望の(1−メチル−シクロプロピル)−酢酸エチルエステル(4.4g)を褐色の液体として得たが、それは実質的に純粋であり(NMRによる)、そのまま次の反応工程に使用した。
【0115】
実施例4
(5’RS,8’SR)−3’−(1−メチルシクロプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
明黄色の固体 MS(ESI):227.0(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2,3−ジオン、[2−(1−メチル−シクロプロピル)−2−オキソ−エチル]−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0116】
実施例5
(5’RS,8’SR)−3’−シクロプロピル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
明黄色の粘性油状物 MS(ESI):213.0(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2,3−ジオン、(2−シクロプロピル−2−オキソ−エチル)−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0117】
実施例5a、b
(5’R,8’S)−3’−シクロプロピル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]及び(5’S,8’R)−3’−シクロプロピル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
実施例5の化合物を、溶離剤としてヘプタン/イソプロパノール:95/5を用いるキラルカラムChiralpak ADを使用する分取HPLCに付して、光学的に純粋な形態の2個の鏡像異性体を白色の固体として得た。
【0118】
実施例6
(5’RS,8’SR)−3’−シクロプロピル−4’−メチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
明黄色の油状物 MS(ESI):227.2(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2,3−ジオン、(2−シクロプロピル−1−メチル−2−オキソ−エチル)−ホスホン酸ジエチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0119】
実施例7
3−シクロプロピル−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン
白色の固体 MS(ESI):201.1(MH)。ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3−ジオン、(2−シクロプロピル−2−オキソ−エチル)−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0120】
出発物質の調製
7.1)ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3−ジオンの調製
実施例1の工程B]と同様にして、酢酸(8ml)中、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−オン1.416g(synthesis: JOC., 1993, 58, 7622)、SeO(2.218g)から、130℃で12時間加熱し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt 100→75%)により精製して、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3−ジオン(0.396g)を黄色の固体として得た。MS(ESI):156(M+NH4)
【0121】
実施例8
3−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン
明黄色の固体 MS(ESI):229.2(MH)。ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3−ジオン、[3−(1−メチル−シクロプロピル)−2−オキソ−プロピル]−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0122】
実施例9
3−(2,2−ジメチルプロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン
白色の固体 MS(ESI):231.1(MH)。ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3−ジオン、(4,4−ジメチル−2−オキソ−ペンチル)−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0123】
実施例10
3−tert−ブチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン
白色の固体 MS(ESI):217.1(MH)。ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3−ジオン、(3,3−ジメチル−2−オキソ−ブチル)−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0124】
実施例11
(5’RS,8’SR)−3’−(1−メチルシクロプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
明黄色の固体 MS(ESI):255.2.1(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロペンタン]−2,3−ジオン、2−(1−メチル−シクロプロピル)−2−オキソ−エチル]−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0125】
出発物質の調製:
11.1)スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロペンタン]−2−オンの調製
エタノール(15ml)中のビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−オン−7−スピロ−1’−シクロペンタン(1.063g)(synthesis: A.P. Marchand et al, JOC, 1985, 50, 396)の溶液を10%Pd/C(35mg)で処理し、次に大気圧下、室温で12時間水素化した。触媒を濾過により除去し、濾液を減圧下(30℃、85bar)で濃縮して、所望のスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロペンタン]−2−オン(1.05g)を無色の油状物として得たが、それは実質的に純粋であり、そのまま次の工程に使用した。
【0126】
11.2)スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロペンタン]−2,3−ジオンの調製
実施例1の工程B]に記載のとおり、酢酸(5ml)中、スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロペンタン]−2−オン1.05g、SeO(1.56g)から、120℃で12時間加熱し、粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ヘプタン/AcOEt 100→90%)により精製して、スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロペンタン]−2,3−ジオン(0.88g)を黄色の固体として得た。MS(ESI):196.2(M+NH4)
【0127】
実施例12
(5’RS,8’SR)−3’−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
オフホワイトの固体 MS(ESI):269.1(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロペンタン]−2,3−ジオン、[3−(1−メチル−シクロプロピル)−2−オキソ−プロピル]−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0128】
実施例13
(5’RS,8’SR)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
オフホワイトの固体 MS(ESI):271.1(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロペンタン]−2,3−ジオン、(4,4−ジメチル−2−オキソ−ペンチル)−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0129】
実施例14
(5’RS,8’SR)−3’−tert−ブチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
オフホワイトの固体 MS(ESI):257.1(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロペンタン]−2,3−ジオン、(3,3−ジメチル−2−オキソ−ブチル)−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0130】
実施例15
(5’RS,8’SR)−3’−シクロプロピル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
オフホワイトの油状物 MS(ESI):241.2(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロペンタン]−2,3−ジオン、(2−シクロプロピル−2−オキソ−エチル)−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0131】
実施例16
(5RS,8SR)−9,9−ジメチル−3−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−メタノシンノリン
明黄色の固体 MS(ESI):243.1(MH)。7,7−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジオン(R. F. Childs et al., J. Am. Chem. Soc.; 1980; 102; 4159)、[3−(1−メチル−シクロプロピル)−2−オキソ−プロピル]−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0132】
実施例17
(5R,8S)−8,9,9−トリメチル−3−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−メタノシンノリン
明黄色の固体 MS(ESI):257.1(MH)。(1S,4R)−1,7,7−トリメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジオン(市販)、[3−(1−メチル−シクロプロピル)−2−オキソ−プロピル]−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0133】
実施例18
(5RS,8SR)−3−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−メタノシンノリン
明黄色の固体 MS(ESI):215.2(MH)。(1S,4R)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジオン(M. Hanack et al, Justus Liebigs Annalen der Chemie; 1973; 1557)、[3−(1−メチル−シクロプロピル)−2−オキソ−プロピル]−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0134】
実施例19
(5’RS,8’SR)−3’−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
オフホワイトの固体 MS(ESI):335.1(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2,3−ジオン、[2−(4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−2−オキソ−エチル]−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0135】
実施例20
(5’RS,8’SR)−3’−(5−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
黄色の泡状物 MS(ESI):329.1(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2,3−ジオン、[2−(5−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)−2−オキソ−エチル]−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0136】
実施例21
(5’RS,8’SR)−3’−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
黄色の固体 MS(ESI):301.1(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2,3−ジオン、[2−(2−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−エチル]−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0137】
実施例22
(5’RS,8’SR)−3’−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
明黄色の固体 MS(ESI):317.1(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2,3−ジオン、2−オキソ−2−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−エチル]−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0138】
実施例23
(5’RS,8’SR)−3’−(1−tert−ブチル−5−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
黄色の固体 MS(ESI):309.2(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2,3−ジオン、[2−(1−tert−ブチル−5−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−2−オキソ−エチル]−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0139】
実施例24
(5’RS,8’SR)−3’−[5−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
黄色の無定形固体 MS(ESI):351.1(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2,3−ジオン、[2−(5−クロロ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−2−オキソ−エチル]−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0140】
実施例25
3−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン
白色の固体 MS(ESI):323.1(MH)。ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3−ジオン、[2−(4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−2−オキソ−エチル]−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0141】
実施例26
(5’RS,8’SR)−3’−(2−メチルフェニル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
明黄色の油状物 MS(ESI):363.0(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロプロパン]−2,3−ジオン、(2−オキソ−2−o−トリル−エチル)−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0142】
実施例27
(5’RS,8’SR)−3’−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
オフホワイトの固体 MS(ESI):363.2(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロペンタン]−2,3−ジオン、[2−(4−フルオロ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−2−オキソ−エチル]−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0143】
実施例28
(5’RS,8’SR)−3’−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
オフホワイトの固体 MS(ESI):329.1(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロペンタン]−2,3−ジオン、[2−(2−クロロ−4−フルオロ−フェニル)−2−オキソ−エチル]−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0144】
実施例29
(5’RS,8’SR)−3’−(2−メチルフェニル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
オフホワイトの固体 MS(ESI):291.0(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロペンタン]−2,3−ジオン、(2−オキソ−2−o−トリル−エチル)−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0145】
実施例30
(5’RS,8’SR)−3’−(5−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
明白色の固体 MS(ESI):357.2(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロペンタン]−2,3−ジオン、[2−(5−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)−2−オキソ−エチル]−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0146】
実施例31
(5’RS,8’SR)−3’−(1−tert−ブチル−5−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
黄色の固体 MS(ESI):337.2(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロペンタン]−2,3−ジオン[2−(1−tert−ブチル−5−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−2−オキソ−エチル]−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0147】
実施例32
(5’RS,8’SR)−3’−[5−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
黄色の無定形固体 MS(ESI):379.1(MH)。スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7,1’−シクロペンタン]−2,3−ジオン、[2−(5−クロロ−2−トリフルオロメチル−フェニル)−2−オキソ−エチル]−ホスホン酸ジメチルエステル、ヒドラジン一水和物から調製した。
【0148】
実施例A
式(I)の化合物は、それ自体公知の方法により、下記の組成の錠剤を製造する活性成分として使用することができる:
1錠当たり
活性成分 200mg
微晶質セルロース 155mg
トウモロコシデンプン 25mg
タルク 25mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 20mg
425mg
【0149】
実施例B
式(I)の化合物は、それ自体公知の方法により、下記の組成のカプセル剤を製造する活性成分として使用することができる:
1カプセル当たり
活性成分 100.0mg
トウモロコシデンプン 20.0mg
乳糖 95.0mg
タルク 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
220.0mg

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化11】


(式中、
Aは、CR又は−CH−CH−であり;
は、水素又はアルキルであり;
は、水素又はアルキルであり;
は、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、アリール、置換アリール、1H−ピラゾリル又は置換1H−ピラゾリルであり、ここで、置換アリールは、アルキル、ハロゲン及びハロアルキルから独立して選択される置換基1〜3個で置換されているアリールであり、そして置換1H−ピラゾリルは、アルキル及びアリールから独立して選択される置換基1〜3個で置換されている1H−ピラゾリルであり;
は、水素もしくはメチルであり;
は、水素もしくはメチルであるか;又は
とRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロプロピル、シクロブチルもしくはシクロペンチルを形成しているが、
但し、RとRが、両者とも同時に水素又は両者とも同時にメチルである場合、Rは、(1−メチルシクロプロピル)メチルである)で示される化合物、並びに薬学的に許容しうるその塩及びエステル。
【請求項2】
Aが、CRであり、そしてRとRが、それらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロプロピルを形成している、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Aが、−CH−CH−である、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
が、水素又はメチルである、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
が、水素又はメチルである、請求項1〜4のいずれか1項記載の化合物。
【請求項6】
が、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル−アルキル、フェニル、置換フェニル、1H−ピラゾリル又は置換1H−ピラゾリルであり、ここで、置換フェニルが、アルキル、ハロゲン及びハロアルキルから独立して選択される置換基1〜3個で置換されているフェニルであり、そして置換1H−ピラゾリルが、アルキル及びフェニルから独立して選択される置換基1〜3個で置換されている1H−ピラゾリルである、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
が、ジメチルプロピル、tert-ブチル、シクロプロピル、メチルシクロプロピル、(メチルシクロプロピル)メチル、フェニル、置換フェニル、1H−ピラゾリル又は置換1H−ピラゾリルであり、ここで、置換フェニルが、メチル、フッ素、塩素及びトリフルオロメチルから独立して選択される置換基1〜3個で置換されているフェニルであり、そして置換1H−ピラゾリルが、メチル、tert−ブチル及びフェニルから独立して選択される置換基1〜3個で置換されている1H−ピラゾリルである、請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
が、ジメチルプロピル、tert-ブチル、シクロプロピル、メチルシクロプロピル、(メチルシクロプロピル)メチル、フェニル、メチルで置換されているフェニル、トリフルオロメチルで置換されているフェニル、フルオロ及びトリフルオロメチルで置換されているフェニル、クロロ及びトリフルオロメチルで置換されているフェニル、クロロ及びフルオロで置換されているフェニル、メチル及びフェニルで置換されている1H−ピラゾリル、又はtert-ブチル及びメチルで置換されている1H−ピラゾリルである、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
(5’RS,8’SR)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’R,8’S)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’S,8’R)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−tert−ブチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’R,8’S)−3’−tert−ブチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’S,8’R)−3’−tert−ブチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−(1−メチルシクロプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−シクロプロピル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’R,8’S)−3’−シクロプロピル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’S,8’R)−3’−シクロプロピル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−シクロプロピル−4’−メチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
3−シクロプロピル−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン;
3−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン;
3−(2,2−ジメチルプロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン;
3−tert−ブチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン;
(5’RS,8’SR)−3’−(1−メチルシクロプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−tert−ブチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−シクロプロピル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5RS,8SR)−9,9−ジメチル−3−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−メタノシンノリン;
(5R,8S)−8,9,9−トリメチル−3−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−メタノシンノリン;
(5RS,8SR)−3−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−メタノシンノリン;
(5’RS,8’SR)−3’−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−(5−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−(1−tert−ブチル−5−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−[5−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
3−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン;
(5’RS,8’SR)−3’−(2−メチルフェニル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−(2−メチルフェニル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−(5−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−(1−tert−ブチル−5−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];及び
(5’RS,8’SR)−3’−[5−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロペンタン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン]
から選択される、請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
(5’RS,8’SR)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’R,8’S)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’S,8’R)−3’−(2,2−ジメチルプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−tert−ブチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’R,8’S)−3’−tert−ブチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’S,8’R)−3’−tert−ブチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−(1−メチルシクロプロピル)−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
(5’RS,8’SR)−3’−シクロプロピル−4’−メチル−5’,6’,7’,8’−テトラヒドロスピロ[シクロプロパン−1,9’−[1’,2’]ジアザ[5’,8’]メタノシンノリン];
3−シクロプロピル−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン;
3−[(1−メチルシクロプロピル)メチル]−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン;
3−(2,2−ジメチルプロピル)−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン;及び
3−tert−ブチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−5,8−エタノシンノリン
から選択される、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
以下の工程の一つ:
a)式(IIa)もしくは(IIb):
【化12】


で示される化合物をヒドラジンの存在下で反応させて、請求項1〜10のいずれか1項記載の式(I)で示される化合物を得る工程;又は
b)式(VIII):
【化13】


(式中、A、R、R及びRは、請求項1に定義されたとおりである)で示される化合物を酸化剤の存在下で反応させて、請求項1〜10のいずれか1項記載の式(I)で示される化合物を得る工程、
を含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物の製造方法。
【請求項12】
治療活性物質として使用される、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
酵素11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1が関連する障害により誘発される疾病の予防及び治療用の医薬を製造するための、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか1項記の化合物、及び治療上不活性な担体を含む医薬組成物。
【請求項15】
糖尿病、肥満症、摂食障害又は脂質代謝異常症の治療又は予防用の医薬を製造するための、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項16】
II型糖尿病の治療又は予防用の医薬を製造するための、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項17】
糖尿病、肥満症、摂食障害又は脂質代謝異常症の治療又は予防用の医薬として使用される、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項18】
II型糖尿病の治療又は予防用の医薬として使用される、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項19】
請求項11記載の方法により製造される、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項20】
請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物を有効量投与することを含む、糖尿病、肥満症、摂食障害及び脂質代謝異常症の治療又は予防の方法。
【請求項21】
請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物を有効量投与することを含む、II型糖尿病の治療又は予防の方法。
【請求項22】
本明細書の先に記載された発明。

【公表番号】特表2011−528003(P2011−528003A)
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517854(P2011−517854)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058470
【国際公開番号】WO2010/006940
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】