説明

糖尿病の治療のためのエクセナチド及びダラルギンに基づく医薬、その使用及び治療方法

本発明は医薬分野、特に内分泌学、特に糖尿病の治療のための医薬に関する。有効量のダラルギンとの組み合わせにおける有効量のエクセナチドエクセナチドの投与による治療効果の増強のための方法を供する。本発明の有利な治療効果は、糖尿病を患う患者における血中グルコース及びコレステロールの病的に上昇したレベルの低下を含む。本発明は、有効量のダラルギンとの組み合わせにおける有効量のエクセナチドエクセナチドの投与による糖尿病の治療方法を供する。本発明は、糖尿病の治療のための医薬の調整のためのエクセナチドとダラルギンの組み合わせの使用を供する。本発明は、有効量のエクセナチド、有効量のダラルギン及び医薬的に許容される媒体又は希釈剤を含有する、糖尿病の治療のための医薬製剤、ならびに該製剤の調製方法を供する。本発明は、エクセナチド医薬製剤及びダラルギン医薬製剤を含むキットの形態における糖尿病の治療のための医薬製剤、ならびに該製剤の調製方法を供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬分野、特に内分泌学、特に糖尿病の治療のための医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、インスリン分泌、インスリン作用の異常又はその両方の異常によって生じる血中グルコースの病的に上昇したレベルにより特徴付けられる代謝病群である。1999年末において、世界中で糖尿病を患っている患者の数は1億2千万〜1億4千万人に達し、この数は2025年までに2倍になるものと考えられている。Deabetus mellitus, WHO information, Fact Sheet No.138, Reviewed November (1999)を参照のこと。糖尿病の診断基準は、一晩絶食後における静脈及び毛細血管の血漿中のグルコースの上昇濃度が>7.8mmol/lであるか、あるいは全静脈又は毛細血管におけるグルコース濃度が>6.7mmol/l;75gのグルコースの取り込みから2時間後において、静脈血の血漿中のグルコースレベル>11.1mmol/l(200mg/100ml)及び末梢血の血漿中>12.2mmol/l(220mg/100ml);全静脈血中>10.0mmol/l(180mg/100ml)及び全末梢血中>11.1mmol/l(200mg/100ml)である。糖尿病治療の主な目的は、正常な血中グルコースレベルを維持することである。この目的のために、多様な医薬、例えばスルホニル尿素、メトホルミン及びインスリンが使用される。エクセナチドは医薬の1つであり、ヒトにおける臨床試験によって、インスリン依存性及びインスリン非依存性の両方の糖尿病の治療における有効性が証明されている。
【0003】
エクセナチドは、エクセンジン−4の名称においても知られるポリペプチドであり、1992年4月に、トカゲ ホロデルマ・サスペクツム(Heloderma suspectum)の毒からの単離技術及びアミノ酸配列HGEGTFTSDL SKQMEEEAVR LFIEWLKNGG PSSGAPPPが最初に公表された(Eng, J. et al., Isolation and Characterization of Exendin-4, and Exendin-3 Analogue, from Heloderma suspectum Venom, J. Biol. Chem., Vol 267, Issue 11, 7402-7405, Apr, 1992)。
【0004】
1993年5月24の優先日を伴う米国特許第5424286号は、請求項6において、インクレチンホルモンGLP−1よりも優れた有効性を有するインスリン分泌を刺激するためのエクセナチド(エクセンジン−4)の使用を開示する。発明の詳細な説明には、エクセナチドが2型糖尿病(インスリン非依存性)及び1型糖尿病(インスリン依存性)の治療に有効であることが記載されている。
【0005】
その後、ほかのエクセナチドの治療効果が発見された。米国特許第2005043238号には、体重を減少するためのエクセナチドの使用が記載されている。国際公開第WO9805351号及び米国特許第6858576号は、治療的及び診断的目的における胃運動性及び胃内容排出を抑制するためのエクセナチドの使用を開示する。US2005037958、US6703359、WO9940788は、エクセナチドの変力作用及び利尿作用を開示する。WO3061362、WO2004052390及びUS2004266678号は、多嚢胞性卵巣疾患の治療のためのエクセナチドの使用について記載する。WO2004056317号及びUS2004209803は、ネフロパシーの治療及び予防のためのエクセナチドの使用について開示する。WO2004056313は、心不整脈の予防及び治療のためのエクセナチドの使用を開示する。WO2004035623は、液の安定化された組み合わせを記載する。WO2004016747は、骨髄細胞を文化するためのエクセナチドの使用を開示する。WO0073331及びUS2004023871は、エキセンジンの使用及び妊娠時における糖尿病の治療のためのアゴニストを開示する。US2003087821号は、エキセンジン、エキセンジンアゴニストの新たな使用を開示する。WO0151078及びUS2003036504号は、トリグリセリドのレベルを制御するため及び脂質異常症を治療するためのエクセナチドの使用を開示する。WO0054148及びRU2247575は、グルカゴンを抑制するためのエクセナチドの使用を開示する。WO0009666は、インスリン産生において非インスリン細胞を分化するためのエクセナチドの使用を開示する。EP1419783は、エキセンジンの新たな使用を開示する。WO9907404は、エクセナチド、エクセナチドアゴニスト及び中枢神経系に影響を与えるためのアゴニストを開示する。WO9830231及びUS2002137666号は、食事吸収を低下するためのエクセナチド及びそのアゴニストの使用を開示する。
【0006】
エクセナチドは、インスリン非依存性及びインスリン依存性の両方の糖尿病の治療のために主に使用される。しかしながら、このような使用は、一連の本質的な欠点、例えば注射の形態における高頻度の適用(1日に複数回の毎日の注射)、巨大なトカゲの毒からエクセナチドを単離することにより生じる多くの副作用及びエクセナチドの高いコストが付随する。エクセナチド治療の副作用は、例えば個々における不耐性及び嘔吐である。さらに、エクセナチドの治療効果はその高い毒性によって制限されており、そして血中グルコースの効率の減少(標準化)の達成、すなわち糖尿病の治療の一番の主要な目的は、エクセナチドの高い毒性の投与量においてその使用ができないために制限される。したがって、より高い有効性を有し、より低コストで、かつエクセナチドの副作用を伴わない、新たなエクセナチド製剤を作成する必要がある。この課題を解決するために主に2つの方法が存在する。
【0007】
第1の方法は、エクセナチドの新規なペプチド類似体及び改変エクセナチドの調製物及び使用に関する。WO03099314、AU20033239910、JP2004506838は、新規なエクセナチド(エキセンジン)アゴニストを記載する。WO00066629及びCN1372570は、改変エキセンジン及びエキセンジンアゴニストを記載する。WO0041546及びCN1284755は、エキセンジンの新規な組み合わせを記載する。US2004242853は、Glp-1の新規なペプチド類似体及びエクセナチドを記載する。WO02090388及びUS2004142866は、インスリン分泌性ペプチドエキセンジン−4(エクセナチド)の新規な誘導体を記載する。US2004092443は、延長された効果を有するエキセンジン及びエキセンジンアゴニストを記載する。US2004106547は、GLP−1及びエクセナチドペプチドの新規な類似体を記載する。US2003087820は、エキセンジンアゴニストの新規な医薬の組み合わせを記載するCN1381271はエクセナチドの新規な類似体を記載する。WO0216430及びUS2002115605は、脳作用を有するエクセナチドの新規な類似体を記載する。EP1196444は、血中グルコースレベルを低下させるために使用されるエクセナチドの類似体を開示する。EA3922は、新規な延長作用のインスリン分泌性ペプチド、エクセナチド類似体を記載する。EP1076066は血中グルコースレベルを低下するために使用される新規なペプチド、エクセナチド類似体を記載する。US6767887は、糖尿病の治療のためのエクセナチドの新規な類似体を記載する。EP1056775はエクセナチドの新規な誘導体を記載する。KR2000016389はエクセナチドの新規な類似体を記載する。WO9925728、WO9925727は、エクセナチドアゴニストの新規な組み合わせを記載する。DE19637230は、糖尿病の治療のためのエクセナチドの新規な変異体を記載する。
【0008】
第2の方法は、治療の効率を上昇させること、エクセナチドの有効投与量を低下させること、及び高投与量のエクセナチドを使用する場合に付随する副作用を減少させること、並びに治療のコストを低下させることを目的とする、医薬組成物中のエクセナチドと他の活性成分の新規な医薬的な組み合わせの発見及び使用に関する。WO2005000222は、粘膜を介するエクセナチドを含むペプチド及びタンパク質の改善された送達のための新規な方法及び組成物を開示する。US204266692は、エクセンジンの新規な医薬組成物を開示する。WO2004050115及びUS2004180824は、チアゾリジンジオンとの組み合わせにおける治療のためのエクセナチドの使用を開示する。RU2242244は、糖尿病の治療のためのエクセナチド組成物の使用、摂食量の胃内容排出又は減少の抑制を開示する。CA2389462は、糖尿病の予防のためのエクセナチドの新規な組成物を開示する。
【0009】
出願人は、エクセナチド及びアミノ酸配列−チロジル−2−アラニル−グリシル−フェニルアラニル−ロイシル−アルギニン−を有するダラルギンオリゴペプチドの哺乳類に対する連結投与が、本発明の目的である、同時に副作用を減少させ、改善された治療効果を有する医薬を製造する、という課題を解決することを確立した。
【0010】
前記組み合わせにおいて、ダラルギンはエクセナチドの治療効果を増強する。すなわちより少量のエクセナチドによって所望の治療効果を達成し、これにより上記組み合わせは多量のエクセナチドの使用に付随する副作用を減少させ、さらには医薬のコストを削減する。また、上記組み合わせは、エクセナチド単独で使用することによって達成される場合と比較して、より優れた制約のない効果を達成することができる。なぜなら、優れた効果を達成はエクセナチド毒性により制限され、またエクセナチドの医薬的に許容される毒性の投与量を超えて用いられる可能性があるためである。したがって、上記組み合わせを使用することにより、エクセナチドを単独で使用する場合と比較して、血中グルコースの標準レベルを維持することにおいてより優れた結果が達成される。
【0011】
これまでに、エクセナチドとの組み合わせにおけるダラルギンの使用は知られていない。
【0012】
先行技術において、病的に上昇した血中グルコースレベルを低下するため、これは糖尿病の治療のための主要な目的である、の手段としてのダラルギンの使用は開示されていない。主に知られているダラルギンの特性は、例えば多様な疾患等の好ましくない状態における損傷から身体の細胞を保護するプロテクターとしての有効性に関する。ダラルギンは、糖尿病合併症の治療のために使用されることが知られている。RU2270025は、糖尿病性網膜症の治療のためのダラルギンの使用を記載する。RU2144831は、糖尿病性足症候群の治療のためのダラルギンの使用を開示する。糖尿病合併症の治療は、糖尿病の治療とは異なり、糖尿病の存在により損傷された器官及組織の治療を目的とするのに対し、糖尿病の治療は、何よりもまず、血中グルコースレベルにおける最善の制御の達成を目的とすることは明らかである。したがって、糖尿病性網膜症や糖尿病性足症候群の治療でのダラルギンの使用は先行技術において知られているが、糖尿病の治療にダラルギンが使用できること、あるいはすでに使用されていることについては何ら開示されていない。
【0013】
ダラルギンの使用は、主にダラルギンの保護効果に関係し、これは本発明の新規性及び進歩性を否定するものではない。
【0014】
RU2266130は、進行性狭心症における不整脈症候群の治療のためのダラルギンの使用を開示する。RU2261713は、多発性硬化症を有する患者における急性視神経炎の重症型の治療のためのダラルギンの使用を開示する。
【0015】
RU2261722は、胎児死亡症候群を有する女性における陰部ヘルペスの潜在形の治療のためのダラルギンの使用を開示する。RU2254890は、脊柱外傷を有する患者における胃運動性を刺激するためのダラルギンの使用を開示する。RU2261721は、脳動脈瘤を有する患者における術中神経防護のためのダラルギンの使用を開示する。RU225829は、II及びIII度出血性ショックの早期治療のためのダラルギンの使用を開示する。RU2004100992は、出血により複雑となった胃十二指腸潰瘍の内視鏡的止血のためのダラルギンの使用を開示する。UA7497Uは、興奮しやすい性格の患者における一次診断十二指腸潰瘍の治療のためのダラルギンの使用を開示する。UA2829Uは、急性実験的膵炎の治療のためのダラルギンの使用を開示する。UA6826Uは、急性実験的膵炎の治療のためのダラルギンの使用を開示する。UA6823Uは、急性実験的膵炎の治療のためのダラルギンの使用を開示する。UA6576Uは、アヘン中毒を有する患者における沈静の安定化のためのダラルギンの使用を開示する。UA67632Uは、慢性膵炎の実験モデルにおけるストレスの是正のためのダラルギンの使用を開示する。UA67631は、L-アルギニンにより誘発された急逝膵炎の実験モデルにおけるストレスの是正のためのダラルギンの使用を開示する。UA67630は、急性付属器炎の実験モデルにおけるストレスの是正のためのダラルギンの使用を開示する。UA67629は、腹膜炎の実験モデルにおけるストレスの是正のためのダラルギンの使用を開示する。UA67626は、実験性慢性ストレスの是正のためのダラルギンの使用を開示する。RU2241488は、注射用溶液の調製のためのダラルギンの使用を開示する。UA67601は、骨折における接着を刺激するためのダラルギンの使用を開示する。RU2228762は、胃腸出血の早期治療のためのダラルギンの使用を開示する。UA61455は、手術後の腹腔内癒着の早期形成の予防のためのダラルギンの使用を開示する。UA61449は、手術後の腹腔内癒着の早期形成の予防のためのダラルギンの使用を開示する。RU228148は、複数のプログラムしたサネーションレラパロトミーの操作によるオメントバーソストマ(omentobursostoma)後の壊死性膵炎を有する患者の術後の麻酔のためのダラルギンの使用を開示する。RU2218896は、炎症後水疱性角膜症の治療のためのダラルギンの使用を開示する。RU2217139は、胃運動性を刺激するためのダラルギンの使用を開示する。RU2217186は、子宮頸部に対する良性病変の治療のためのダラルギンの使用を開示する。RU2230549は、アレルギー性皮膚病の治療のためのダラルギンの使用を開示する。MD1963Fは、慢性再発性アフタ性口内炎の治療のためのダラルギンの使用を開示する。RU2200026は、抗狭心症手段としてのダラルギンの使用を開示する。RU2180598は、慢性薬物中毒を有する患者における中毒性肝炎の治療のためのダラルギンの使用を開示する。RU2185176は、角膜のジストロフィー疾患及び角膜移植疾患の治療のためのダラルギンの使用を開示する。MD1610Fは、慢性アフタ性口内炎の治療のためのダラルギンの使用を開示する。RU2164153は、ダンピング症候群の治療のためのダラルギンの使用を開示する。RU2196603は、火傷の治療のためのダラルギンの使用を開示する。RU2188675は、中枢起源の無月経を有する患者の治療のためのダラルギンの使用を開示する。RU2185849は、アヘン自制症候群の治療のためのダラルギンの使用を開示する。RU2180591は、男性における性機能障害の治療のためのダラルギンの使用を開示する。RU2167671は、ダニ脳炎を有する患者の治療のためのダラルギンの使用を開示する。MD1413Fは、粘膜及び扁平苔癬を有する患者の治療のためのダラルギンの使用を開示する。RU2198641は、眼疾患の治療のためのダラルギンの使用を開示する。RU2181564は、血行性ショックの併用集中治療における代謝改善のためのダラルギンの使用を開示する。RU2146530は、脳における外科手術における麻酔のためのダラルギンの使用を開示する。CZ9602751、CZ9602627は、ダラルギンのグリコール化類似体の使用を開示する。RU2142814は、コレリトリティック作用を伴う手段としてのダラルギンの使用を開示する。RU2122415は、外傷性ショックを有する患者の集中治療のためのダラルギンの使用を開示する。RU2104717は、ルリィシュ症候群を有する患者における手術における麻酔のためのダラルギンの使用を開示する。CZ9301718は、N-メチル化ペプチド結合を有するダラルギン類似体を開示する。RU2113856は、心筋梗塞における狭心痛の再発を予防するためのダラルギンの使用を開示する。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、エクセナチドの治療効果の増強のための方法であって、治療を必要とする哺乳が有効量のダラルギンとの組み合わせにおいて有効量のエクセナチドを受けることを特徴とする方法に関する。
【0017】
「治療効果の増強」の用語は、有効量のダラルギンとの組み合わせにおいて哺乳類に対するエクセナチドの投与により達成される治療効果が、ダラルギンを伴わずに他の条件が全て同じである同量のエクセナチドの投与により達成される治療効果よりも優れていることを意味する。
【0018】
エクセナチドとダラルギンを含む組み合わせのポジティブ効果は、ダラルギンの保護作用による膵臓の改善された機能に関係し、これは出願人により実験的に証明されている。膵臓のより優れた機能による血中グルコースの有効な制御は、ダラルギンとの併用においてエクセナチドを使用した場合より少量のエクセナチドで達成される。
【0019】
本発明の最も近い類似体は、WO2004050115に記載される組み合わせであり、ここで2つの活性剤としてエクセナチドとチアゾリジンジオン類の製剤を含む組み合わせの使用によって、糖尿病を患う患者における血中グルコースレベルの改善された制御が達成されたことが記載されている。両活性成分は、糖尿病を患う患者における病的に上昇した血中グルコースレベルを減少する製剤として知られているが、これらの製剤の組み合わせは個々の組み合わせの各成分と比較してグルコースのより優れた制御を達成することができる。しかしながら、膵臓細胞に関するこの組み合わせの保護効果は知られていない。
【0020】
ダラルギンとの組み合わせにおけるエクセナチドの治療効果は、エクセナチドの治療効果との相乗作用によって、通常の治療的投与量と比較してより少量のエクセナチドで達成することができる。したがって、本発明の使用は、多量のエクセナチドの治療投与量に付随する潜在的な副作用を最小にし、そして同時により低コストの治療で治療効果を達成することを可能にする。エクセナチドの治療効果の例は先行技術から周知であり、そしてこれは、糖尿病を患う患者の病的に上昇した血中グルコースレベルの減少、体重減少、治療及び診断目的における胃運動性及び胃内容排出の抑制、エクセナチドの変力作用及び利尿作用、骨髄細胞の改善された分化、トリグリセリドレベルの改変及び脂質異常症の治療、グルカゴンの抑制、非インスリン産生細胞のインスリン産生細胞への分化、中枢神経系における効果及び食事吸収の減少を含む。
【0021】
本発明のエクセナチドの有利な治療効果は、糖尿病を患う患者の血中の病的に上昇したグルコース及びコレステロールレベルを減少することを含む。
【0022】
さらに、本発明は、糖尿病の治療方法であって、治療を必要とする哺乳類が、有効量のダラルギンとの組み合わせにおいて有効量のエクセナチドを受けることを特徴とする方法を供する。好ましくは哺乳類はヒトである。
【0023】
「有効量」の用語は、このような治療を必要とする哺乳類、好ましくはヒトにおいて、所望の治療効果を達成するためには十分であるが、副作用を生じるには不十分なエクセナチド及びダラルギンの量を意味する。「有効量」は、哺乳類の状態、治療期間、使用される特定の剤形等の要因により変化するものと考えられる。好ましくは、エクセナチドの有効量は、哺乳類の体重1kgあたり0.03〜7.5mcgであり、より好ましくは哺乳類の体重1kgあたり0.07〜0.36mcgである。好ましくは、医薬の単回剤形におけるダラルギンの有効量は、哺乳類の体重1kgあたり0.14〜14.3mcgであり、より好ましくは哺乳類の体重1kgあたり0.14〜0.71mcgである。
【0024】
本発明にしたがう有効量のダラルギンとの組み合わせにおける有効量のエクセナチドは、多様な経路、例えば皮下注射、筋肉内注射、肺経路、鼻腔内及び舌下において哺乳類に投与することができる。好ましくは、有効量のダラルギンとの組み合わせにおける有効量のエクセナチドは、非経口、例えば皮下投与される。
【0025】
さらに、本発明は、治療を必要とする哺乳類における糖尿病の治療のための医薬を産生するために、エクセナチドとダラルギンの組み合わせが使用されることを示唆する。
【0026】
さらに、本発明は、治療を必要とする哺乳類における糖尿病の治療のためのエクセナチドとダラルギンの組み合わせに基づく医薬を供する。
【0027】
さらに、本発明は、糖尿病の治療のための剤形における医薬製剤であって、有効量のエクセナチド及び医薬的に許容される媒体又は希釈剤を含有し、そしてさらに有効量のダラルギンを含有することを特徴とする医薬製剤を供する。
【0028】
本発明にしたがう医薬製剤は剤形において産生される。好ましくは、単回投与量におけるエクセナチドの有効量は2〜100mcgであり、より好ましくは5〜25mcgである。好ましくは、単回投与量におけるダラルギンの有効量は10〜1000mcgであり、より好ましくは10〜50mcgである。好ましくは該剤形は60単回投与量を含有する。
【0029】
「単回投与」の用語は、医薬の一定の量が治療を必要とする哺乳類に対して単発で(single shot)で投与されることを意味する。
【0030】
本発明にしたがう上記医薬は医薬的に許容される媒体又は希釈剤を含有する。「医薬的に許容される媒体又は希釈剤」の用語は、哺乳類、好ましくはヒトに対する投与に好適である1又は複数の相溶性の液体又は固体の賦形剤を意味する。「相溶性」の用語は、該溶媒又は希釈剤が、医薬の治療効果を減少するようないずれの相互作用も誘発することなく、エクセナチド、ダラルギン及び医薬の補助成分と混合できることを意味する。医薬的に許容される媒体又は希釈剤としての薬剤の例は、注射用水、塩の等張液、リン酸緩衝液、ラクトース、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビット、マンニット、着色料、乳化剤、防腐剤、安定化剤、及び抗酸化剤を含む。注射用水が本発明の好ましい媒体又は希釈剤である。
【0031】
本発明にしたがい、医薬製剤は、多様な剤形、例えば、非経口、経鼻、経口、粘膜又は肺性投与に好適な液体、固体又は気体において調製することができる。液体剤形の例は、溶液、懸濁液、乳液及び液滴を含む。固体剤形の例は、錠剤、粉末及びカプセルを含む。気体剤形の例はエアロゾルを含む。本発明の好ましい剤形は、注射用水である。
【0032】
本発明は、糖尿病の治療のための医薬製剤の調製方法であって、エクセナチド及びダラルギンが医薬的に許容される媒体又は希釈剤と混合され、そして該混合物を使用に適した形態にすることを特徴とする方法を供する。好ましくはエクセナチド及びダラルギンは、補助成分、例えば緩衝液、安定化剤、浸透圧調節剤、及び防腐剤と一緒に注射用水に溶解され、そして殺菌条件下においてアンプルに注がれ、ここで各々のアンプルは、治療を必要とする哺乳類に対する単回投与のために治療的有効量のエクセナチド及びダラルギンを含有する。
【0033】
本発明の医薬製剤は、多様な経路により投与することができる。このような経路のいくつかの例は、筋肉内、皮下又は静脈内注射、ならびに経鼻、経皮、舌下、直腸又は経口投与を含む。皮下注射は、治療を必要とする哺乳類に対する医薬の投与の好ましい経路を供する。
【0034】
さらに、本発明は、糖尿病の治療のためのキットを供する医薬製剤であって、(a)有効量のエクセナチドの凍結乾燥粉末及び医薬的に許容される固形媒体又は希釈剤を含有する剤形における第1医薬製剤;及び(b)注射用の有効量のダラルギン溶液を含有する剤形における第2医薬製剤、を含有することを特徴とする医薬製剤を供する。
【0035】
好ましくは、第1医薬製剤の単回投与量におけるエクセナチドの有効量は2〜100mcgであり、よりこのましくは5〜25mcgである。好ましくは第2医薬製剤の単回投与量におけるダラルギンの有効量は10〜1000mcgであり、より好ましくは10〜50mcgである。好ましくは、第1及び第2医薬製剤の剤形は、60単回投与量を含有する。
【0036】
本発明は、糖尿病の治療のためのキットを供する医薬製剤の使用方法であって、(a)有効量のエクセナチドの凍結乾燥粉末及び医薬的に許容される固形媒体又は希釈剤を含有する剤形における第1医薬製剤;及び(b)注射用の有効量のダラルギン溶液を含有する剤形における第2医薬製剤、を含有することを特徴とする、使用方法を供する。好ましくは、第2医薬製剤は、医薬的に許容される防腐剤であるメタクレソールを含有する。上記使用方法は、単回投与量の第1医薬製剤を単回投与量の第2医薬製剤と混合し、均一な溶液を形成させ、そして得られた溶液を治療を必要とする哺乳類に皮下投与することにより特徴付けられる。
【0037】
本発明は、糖尿病を治療するためのキットを提供する1又は複数の医薬製剤の使用方法を供する。上記使用方法は、第1医薬製剤の60単回投与量を第2医薬製剤の60単回投与量と混合させ、均一な溶液を形成させ、そして得られた溶液の1/60を、治療を必要とする哺乳類に対して1日に2回30日間投与することにより特徴付けられる。
【0038】
好ましくは、上記哺乳類はヒトである。
【0039】
以下の実施例は本発明を実証する。実施例は説明のためだけに供され、特許請求の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0040】
実施例1
本実施例は、エクセナチドの治療効果の増強のための方法、及び糖尿病の治療のための方法を実証するものである。
【0041】
135mg/kgの投与量におけるアロキサンの単回の腹腔内投与によりホワイトマウスにおいて糖尿病を誘発させた。7.5mcg/kgの投与量におけるエクセナチド、8.8mcg/kgの投与量におけるダラルギン、又は7.5mcg/kgの投与量におけるエクセナチドと8.8mcg/kgの投与量におけるダラルギンの組み合わせを、1日に2回30日間皮下投与した。対照動物には生理食塩水を注射した。実験から31日目において、一晩絶食後の血中のグルコース及びコレステロールのレベルを測定した。データは、グルコース又はコレステロールの測定レベルの平均値±標準偏差(n=5)として供する。治療効果Δは、実験動物において観察されたパラメーターの平均値と対照動物における同パラメーターの平均値の差として評価した。グルコースレベルを低下させる治療効果を測定するために以下の式を用いた:
Δグルコース=グルコース薬剤−グルコース対照
コレステロールレベルを低下させる治療効果を測定するために以下の式を用いた:
Δコレステロール=コレステロール薬剤−コレステロール対照
【0042】
得られた結果の統計的差異は学生実験により評価した。データは表1及び2に与えられる。
【0043】
表1
【表1】

【0044】
アロキサン糖尿病を有するマウスは、未処理のマウスと比較して一晩絶食後有意に上昇した血中グルコースレベルを有した(11.5±0.9対5.3±0.3mmol/l、p<0.05)。エクセナチド及び「エクセナチド+ダラルギン」の組み合わせは、アロキサン糖尿病を有するマウスにおける一晩絶食後の血中グルコースレベルを有意に低下させた。しかしながら、該組み合わせの効果(7.3mmol/l減少)は、ダラルギンが存在しないこと以外全て同じ条件の「エクセナチド+ダラルギン」の組み合わせと同量におけるエクセナチドの効果(4.0mmol/l減少)よりも本質的に優れていた。「エクセナチド+ダラルギン」の組み合わせと同量を別に与えたダラルギンは、アロキサン糖尿病を有するマウスにおける血中グルコースレベルの低下において効果はなかった。したがって、ダラルギンは、血中グルコースの病的に上昇したレベルを低下させることに関するエクセナチドの治療効果を増強する。同様に、有効量のエクセナチド及びダラルギンの関節投与による糖尿病の治療は、エクセナチドの投与による糖尿病の単剤療法よりも有利である。
【0045】
表2
【表2】

【0046】
アロキサン糖尿病を有するマウスは、未処理のマウスと比較して一晩絶食後有意に上昇した血中コレステロールレベルを有した(2.61±0.25対1.02±0.37mmol/l、p<0.05)。エクセナチド及び「エクセナチド+ダラルギン」の組み合わせは、アロキサン糖尿病を有するマウスにおける一晩絶食後の血中コレステロールレベルを有意に低下させた。しかしながら、該組み合わせの効果(1.15mmol/l減少)は、ダラルギンが存在しないこと以外全て同じ条件における「エクセナチド+ダラルギン」の組み合わせと同量を与えたエクセナチド(0.46mmol/l減少)よりも本質的に優れていた。「エクセナチド+ダラルギン」の組み合わせと同量を別に与えたダラルギンは、アロキサン糖尿病を有するマウスにおける血中コレステロールレベルの低下において効果はなかった。したがって、ダラルギンは血中コレステロールの病的に上昇したレベルを低下させることに関する、エクセナチドの治療効果を増強する。
【0047】
実験マウス中の膵臓のβ細胞の病変及び死を形態計測学的に評価した。対照群におけるマウス、エクセナチドで処理したマウス、及びエクセナチドとダラルギンの組み合わせで処理したマウス中の正常な未処理細胞のシェアは、各々約8、40及び60%であった。したがって、エクセナチドとダラルギンの組み合わせは、全て同じ条件において、組み合わせと同量で単独投与したエクセナチドと比較して、膵臓細胞の生存率及び機能を本質的に改善する。
【0048】
実施例2
本実施例は、糖尿病の治療方法を実証する。実施例1と同じようにマウスにおいて糖尿病を誘発させた。多様な投与量におけるエクセナチド、多様な投与量におけるダラルギン、又はエクセナチドとダラルギンの組み合わせをマウスに1日2回30日間皮下投与した。対照動物には生理食塩水を注射した。実験から31日目において、一晩絶食後の血中グルコースレベルを測定した。データは表3において、エクセナチドとダラルギンの組み合わせで処理したアロキサン糖尿病を有するマウス(n=5)の実験の31日目における一晩絶食後のグルコースレベルの、同じ投与量かつ同じ条件においてエクセナチド単独で処理した動物と比較した平均低下を示す。グルコースレベルの平均低下を測定するために、以下の式を用いた:
Δグルコース=グルコースエクセナチド−グルコースエクセナチド+ダラルギン
【0049】
表3
有効量のエクセナチドとダラルギンの組み合わせで処理したアロキサン糖尿病を有するマウスにおける血中グルコースレベル(Δグルコース)の平均低下
【表3】

【0050】
上記表は、0.03mcg/kgの投与量のエクセナチドと14.3mcg/kgの投与量のダラルギンの組み合わせにより30日間処理したアロキサン糖尿病を有するマウスにおける一晩絶食後の血中グルコースレベルが、0.03mcg/kgの投与量のエクセナチド単独により処理したマウスの血中指数と比較して5.3mmol/l低下したことを示す(Δグルコース=−5.3mmol/l)。1.4mcg/kgの投与量のエクセナチドと0.14mcg/kgの投与量のダラルギンの組み合わせを用いて30日間処理したアロキサン糖尿病を有するマウスにおける一晩絶食後の血中グルコースレベルは、1.4mcg/kgの投与量のエクセナチド単独により処理したマウスの血中指数と比較して2.8mmol/l低下した。7.5mcg/kgの投与量のエクセナチドと8.8mcg/kgの投与量のダラルギンの組み合わせを用いて30日間処理したアロキサン糖尿病を有するマウスにおける一晩絶食後の血中グルコースレベルは、7.5mcg/kgの投与量のエクセナチド単独により処理したマウスの血中指数と比較して3.3mmol/l低下した。したがって、エクセナチドとダラルギンの組み合わせは、エクセナチドがダラルギンを伴わずに別々に用いられる場合、上記組み合わせと同じ投与量のエクセナチドによる場合と比較して、糖尿病の治療について本質的により有効である。
【0051】
実施例3
本実施例は、糖尿病の治療のための医薬及び医薬製剤を調製するための、エクセナチドとダラルギンを含む組み合わせの使用を実証する。
【0052】
750mlの注射用水、マンニット40.15g、メタ−クレゾール3.3gを攪拌器を伴うフラスコに入れ、この混合物を攪拌し、pH4.7〜7.0の緩衝液10ml及びエクセナチド2〜100mgとダラルギン10〜1000mgを含有する組み合わせを添加する。該溶液を攪拌し、体積が1lとなるように注射用水を添加する。その後、該溶液を殺菌濾過を使用して0.45μm及び0.22μmの細孔径を有するフィルターを通過させる。得られた注射用溶液を殺菌条件下において1mlずつアンプルに入れ、950本のアンプルを得る。該溶液は、米国薬局方XI及び注射用医薬製剤についての基準書の要件に適合する。該製剤の組成を表4に示す。
【0053】
表4
【表4】

【0054】
注射用製剤を伴うアンプルを適当なパーケージにパッキングする。各々のパッケージは10本のアンプルと糖尿病の治療のための医薬製剤の使用についての取扱説明書を含む。
【0055】
使用方法:アンプルの内容物(糖尿病の治療のための製剤の単回投与量)を、治療が必要なヒトに皮下投与する。投与は24時間の間に繰り返すことができる。治療コースは1日又はそれ以上であってよい。
【0056】
実施例4
本実施例は、糖尿病の治療のための医薬製剤を実証する。エクセナチド及びダラルギンを含む注射用溶液を実施例3に記載するとおり調製する。60単回投与量を含有する注射用溶液を複数の投与に適当なフラスコに入れる。
【0057】
実施例5
本実施例は、糖尿病の治療のためのキットにおける医薬製剤及びその使用方法を実証する。
【0058】
第1医薬製剤の調製。1000mlの注射用水、40rのマンニット、2〜100mgのエクセナチドを注ぎ、該混合物を攪拌し、均一な溶液を形成させる。該溶液を殺菌濾過を使用して0.45μm及び0.22μmの細孔径を有するフィルターを通過させる。得られた注射用溶液を殺菌条件下においてフラスコ中に注ぎ、そして凍結乾燥させ、950本のフラスコを得る。1本のフラスコは、2〜100mcgのエクセナチドと医薬的に許容される固体媒体又は希釈剤として20mgのマンニットの凍結乾燥粉末を含有する。
【0059】
第2医薬製剤の調製。1000mlの注射用水、10〜1000mgのダラルギン、150mgのメタ−クレゾール、830mgのコハク酸を注ぎ、ナトリウムハイドレートを使用してpHを4.9〜5.3にし、該混合物を攪拌し、均一な溶液を形成させる。該溶液を殺菌濾過を使用して0.45μm及び0.22μmの細孔径を有するフィルターを通過させる。得られた注射用溶液を、殺菌条件下においてフラスコ中に注ぎ、そして凍結乾燥させ、950本のフラスコを得る。1本のフラスコは、10〜1000mcgのダラルギンを含有する注射用溶液を含む。
【0060】
第1及び第2医薬調製物を適当なパックにパッキングする。各々のパックは、それぞれ10本のフラスコ及び糖尿病の治療のための医薬製剤の使用についての取扱説明書を含む。
【0061】
使用方法:第1フラスコの内容物を第2フラスコの内容物中に溶かし、そして得られた均一の溶液を、糖尿病を患うヒトに対して単発で皮下投与する。
【0062】
実施例6
本実施例は、糖尿病の治療のためのキットの医薬製剤及びその使用方法を実証する。
【0063】
第1医薬製剤の調製。10mlの注射用水、50mgのマンニット、0.12〜6.0mgのエクセナチドをフラスコに注ぎ、該混合物を攪拌し、均一な溶液を形成させる。該溶液を殺菌濾過を使用して0.45μm及び0.22μmの細孔径を有するフィルターを通過させる。得られた注射用溶液を、殺菌条件下においてフラスコ中に注ぎ、そして凍結乾燥させる。1本のフラスコは、0.12〜6mgのエクセナチドと医薬的に許容される固体媒体又は希釈剤としての50mgのマンニットの凍結乾燥粉末を含有する。
【0064】
第2医薬製剤の調製。3mlの注射用水、0.6〜60mgのダラルギン、9mgのメタ−クレゾール、50mgのコハク酸を注ぎ、ナトリウムハイドレートを使用してpHを4.9〜5.3にし、該混合物を攪拌し、均一な溶液を形成させる。該溶液を殺菌濾過を使用して0.45μm及び0.22μmの細孔径を有するフィルターを通過させる。得られた注射用溶液を、殺菌条件下においてフラスコ中に注ぐ。1本のフラスコは、0.6〜60mgのダラルギンを含有する注射用溶液を含む。
【0065】
第1及び第2医薬調製物を適当なパックにパッキングする。各々のパックは、それぞれ1本のフラスコ及び糖尿病の治療のための医薬製剤の使用についての取扱説明書を含む。
【0066】
使用方法:第1フラスコの内容物を第2フラスコの内容物中に溶かし、そして得られた均一の溶液の1/60を、糖尿病を患うヒトに対して1日2回30日間皮下投与する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エクセナチドの治療効果を増強するための方法であって、治療を必要とする哺乳類が有効量のダラルギンとの組み合わせにおいて有効量のエクセナチドを受けることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記治療効果が病的に上昇した血中グルコースレベルの低下を供することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記治療効果が病的に上昇した血中コレステロールレベルの低下を供することを特徴する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
糖尿病の治療方法であって、治療を必要とする哺乳類が有効量のダラルギンとの組み合わせにおいて有効量のエクセナチドを受けることを特徴とする方法。
【請求項5】
有効量のエクセナチドが、哺乳類の体重1kgあたり0.03〜7.5mcgであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
有効量のダラルギンが、哺乳類の体重1kgあたり0.14〜14.3mcgであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
有効量のダラルギンとの組み合わせにおいて有効量のエクセナチドが非経口投与されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記哺乳類がヒトであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
治療を必要とする哺乳類における糖尿病の治療のための医薬の製造のためのエクセナチドとダラルギンを含む組み合わせの使用。
【請求項10】
治療を必要とする哺乳類における糖尿病の治療のためのエクセナチドとダラルギンに基づく医薬。
【請求項11】
有効量のエクセナチド及び医薬的に許容される媒体又は希釈剤を含む糖尿病の治療のための剤形における医薬製剤であって、さらに有効量のダラルギンを含有することを特徴とする医薬製剤。
【請求項12】
単回投与量における有効量のエクセナチドが2〜100mcgであることを特徴とする、請求項11に記載の医薬製剤。
【請求項13】
単回投与量における有効量のダラルギンが10〜1000mcgであることを特徴とする、請求項11に記載の医薬製剤。
【請求項14】
剤形が60単回投与量を含有することを特徴とする請求項11に記載の医薬製剤。
【請求項15】
注射用水が医薬的に許容される媒体又は希釈剤であることを特徴とする、請求項11に記載の医薬製剤。
【請求項16】
糖尿病を治療するための医薬製剤の調製方法であって、エクセナチド及びダラルギンを医薬的に許容される媒体又は希釈剤と混合し、そして該混合物が適当な使用形態にすることを特徴とする方法。
【請求項17】
糖尿病の治療のためのキットを供する医薬製剤であって、
(a)有効量のエクセナチドの凍結乾燥粉末及び医薬的に許容される固形媒体又は希釈剤を含有する剤形における第1医薬製剤;及び
(b)有効量のダラルギン注射用溶液を含有する剤形における第2医薬製剤、
を含むことを特徴とする医薬製剤。
【請求項18】
前記第1医薬製剤の単回投与量における有効量のエクセナチドが2〜100mcgであることを特徴とする、請求項17に記載の医薬製剤。
【請求項19】
前記第2医薬製剤の単回投与量における有効量のダラルギンが10〜1000mcgであることを特徴とする、請求項17に記載の医薬製剤。
【請求項20】
前記第1医薬製剤の剤形が60単回投与量を含有することを特徴とする、請求項17に記載の医薬製剤。
【請求項21】
前記第2医薬製剤の剤形が60単回投与量を含有することを特徴とする、請求項17に記載の医薬製剤。
【請求項22】
請求項17に記載の医薬製剤の使用方法であって、第1医薬製剤の単回投与量を第2医薬製剤の単回投与量と混合し、均一な溶液を形成させ、そして得られた溶液を治療が必要な哺乳類に対して1回皮下投与することを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項17に記載の医薬製剤の使用方法であって、第1医薬製剤の60単回投与量を第2医薬製剤の60単回投与量と混合し、均一な溶液を形成させ、そして得られた溶液の1/60を、治療が必要な哺乳類に対して1日に2回、30日間投与することを特徴とする方法。
【請求項24】
前記哺乳類がヒトであることを特徴とする、請求項22又は23に記載の使用方法。

【公表番号】特表2010−516671(P2010−516671A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546338(P2009−546338)
【出願日】平成19年7月16日(2007.7.16)
【国際出願番号】PCT/RU2007/000387
【国際公開番号】WO2008/091177
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(509203278)
【Fターム(参考)】