説明

糖尿病の治療

【課題】必要な患者における糖尿病を処理するための組成物が提供される。
【解決手段】ガストリン/CCK受容体リガンド、たとえばガストリン及び/又は上皮成長因子(EGF )受容体リガンド、たとえば TGF−αを、膵島前駆体細胞の成熟インスリン−分泌細胞への分化をもたらすのに十分な量、付与する組成物を患者に投与することを包含する。前記組成物は、ガストリン/CCK受容体リガンド遺伝子、たとえばプレプロガストリンペプチド遺伝子、及びEGF 受容体リガンド遺伝子、たとえば TGF−α遺伝子の1つ又は両者により、トランスジェニック的に補充された細胞により全身的に投与され、又は現場発現され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膵島前駆体細胞の成熟インスリン−分泌細胞への分化を、効果的に促進する、ガストリン/CCK受容体リガンド及び/ 又はEGF 受容体リガンドを含んで成る生成物を、その必要な個人に投与することによって、その個人における糖尿病を処理するための方法に関する。前記方法は、通常のストレプトゾトシン(STZ )誘発された糖尿病及び遺伝的に前処理された糖尿病Zuckerラットへの、ガストリン及び形質転換成長因子α(TGF −α)の単独での又は組合しての投与により例示される。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、すべての年齢グループ及び集団を通して最も共通する内分泌疾病の1つである。臨床学的罹病率及び死亡率の他に、糖尿病の経済的費用は、莫大であり、アメリカ合衆国のみでも1年当たり900 億ドルを越え、そして糖尿病の流行は2010年までに2倍以上に上昇することが予測される。
【0003】
2種の次の主要形の糖尿病が存在する:すべての糖尿病の5〜10%を占めるインスリン−依存性(I型)糖尿病(IDDM)、及びおよそ90%を占める非インスリン−依存性(II型)糖尿病(NIDDM)。II型糖尿病は年齢の上昇に関連しているが、しかしながら、NIDDM として診断される、いわゆる若い人々の成長と共に開始する糖尿病(MODY)の数の上昇傾向がある。I型及びII型の両者においては、膵臓におけるβ−細胞の破壊又はインスリンの欠陥分泌又は生成のいずれかを通してのインスリン分泌の損失が存在する。NIDDM においては、患者は、典型的には、最適な食事のレジメ、体重の減量及び運動に従って、治療を開始する。
【0004】
薬物治療は、それらの程度がもはや、適切な代謝調節を提供しない場合に開始される。初期薬物治療は、β−細胞インスリン分泌を刺激するスルホニルウレアを包含するが、またビグアニド、α−グルコシダーゼインヒビター、チアゾリデンジオン及び組み合わせ治療も包含する。しかしながら、II型糖尿病において作動する疾病機構の進行性性質は制御するのに困難であることは注目すべきである。すべての薬物−処理された糖尿病の内50%以上は、投与される薬物に関係なく、6年以内に不良な糖制御を示す。インスリン治療はII型糖尿病の処理において最後の頼りとして強く見なされており、そしてインスリンの使用に対する患者の耐性が存在する。
【0005】
膵島は、外分泌膵臓に成長する多能性幹細胞を含む。胎児性小管膵臓内皮に依存する内皮幹細胞から進化する。Teitelman and Lee, Development Biology, 121: 454-466(1987); Pictet and Rutter, Development of the embryonic endocrine pancreas, in Endocrinology, handbook of Physiology, ed. R.O.Greep and E.B.Astwood(1972), American Physiological Society; Washington, D.C., P.25-66を参照のこと。膵島の成長は、劇的な変化により強調される胎児妊娠の間、別の成長段階を通して進行する。
【0006】
その初期期間は、前分化された細胞によるインスリン及びグリコーゲンの発現により明らかなように、多能性幹細胞の膵島細胞系への傾倒により特徴づけられる前分化段階であるそれらの前分化された細胞は、低レベルの膵島特異的遺伝子生成物を発現し、そして成熟膵島細胞の細胞分化を欠いている傾倒された膵島前駆体細胞の集団を含んで成る。Pictet and Rutter,前記を参照のこと。マウス妊娠のおよそ16日目、前分化された膵臓は、膵島細胞の細胞分化及び膵島遺伝子発現の数百倍の上昇により特徴づけられる急速な増殖及び分化の相を開始する。
【0007】
組織学的には、膵島形成(新生)は、膵臓管からの増殖性膵島芽として明らかになる(島芽細胞形成)。出産の直前、膵島増殖の速度は遅く、そして膵島新生及び島芽細胞形式はほとんど明らかになっていない。これと同時に、膵島は最大レベルの膵遺伝子発現を伴って、十分に分化された状態を達成する。従って、多くの器官と同じように、細胞分化の完結は低められた再生能力に関係しており;分化された成人膵臓は成長する膵臓と同じ再生能力又は分化能力を有さない。
【0008】
前分化された前駆体の分化は膵臓の後期胎児成長の間に生じるので、膵島分化を調節する因子はたぶん、この期間、膵臓において発現される。膵島発生の間に発現される遺伝子の1つは、胃腸ペプチドすなわちガストリンをコードする。ガストリン胃ホルモン調節酸分泌として成人において作用するが、胎児におけるガストリン発現の主要部位は、膵島である。Brand and Fuller, J.Biol Chem., 263: 5341-5347 (1988) を参照のこと。膵島におけるガストリンの発現は過渡的である。膵島発生における膵臓ガストリンの有意性は未知であるが、いくつかの臨床学的観察は、次のように、この膵島発生におけるガストリンについての規則を示唆する。
【0009】
たとえば、ガストリン−発現膵島細胞腫瘍及び萎縮性胃炎により引き起こされるハイパーガストリネミア(hypergastrinemia)は、分化する胎児膵島に見出される島芽細胞形成に類似するその島芽細胞形成に関連する。Sacchiなど., Virchows Archiv B, 48: 261-176 (1985); 及びHeitz など., Diabetes, 26: 632-642 (1977) を参照のこと。さらに、膵臓ガストリンの異常存続が乳児性島芽細胞の形成の場合に記録されている。Holland など., Gastroenterology, 71: 251-262 (1976) を参照のこと。いずれの観察においても、島芽細胞形成とガストリン刺激との間で確立する原因関係は存在しない。
【0010】
従って、初期IDDMの処理において及びNIDDN におけるβ−細胞欠失の防止において価値あるものである膵島細胞再性を刺激する剤を同定することが興味あることである。
本明細書における文献の引用は、そのような文献が従来技術である、本発明の容認としては構成されてはいない。
【0011】
関連文献
次の3種の成長因子が胎児性膵臓の発生に包含される:ガストリン、形質転換成長因子α(TGF−α)及び上皮成長因子(EGF)(Brand and Fuller, J.Biol.Chem. 263: 5341-5437)。TGF −α又はガストリンのみを過剰発現するトランスジェニックマウスは、活性ランゲルハンス島細胞増殖を示さなかったが、しかしながら、両トランスジーンを発現するマウスは有意に高められた膵島細胞量を示した(Wangなど, (1993) J.Clin.Invest. 92: 1349-1356 )。
【0012】
Bouwens and Pipeleers (1998) Diabetoligia 41: 629-633 は、正常な成人ヒト膵臓に高い割合の発芽性β−細胞が存在し、そしてすべてのβ−細胞の15%が単一単位として見出されたことを報告している。単一のβ−細胞中心部分は通常、成長した(刺激されていない)ラット膵臓には見出されておらず;Wangなど((1995) Diabetologia 38: 1405-141)は、合計のβ−細胞数の約1%の頻度を報告する。
カプセルに封入された膵島移植の後、I型糖尿病患者におけるインスリン非依存性がSoon-Shiong など (1994) Lancet 334: 950-51に記載されている。
【0013】
また、次の文献も参照のこと:Sasakiなど (1998 Jun 15) Transplantation 65(11): 1510-1512; Zhouなど (1998 May) Am J Physiol 274 (5 Pt 1): C1356-1362; Soon-Shiongなど (1990 Jun) Postgrad Med 87(8): 133-134; Kendallなど (1996 Jun) Diabetes Metab 22(3): 157-163; Sandlerなど (1997 Jun) Transplantation 63(12): 1712-1718; Suzuki など (1998 Jan) Cell Transplant 7(1): 47-52; Soon-Shiongなど (1993 Jun) Proc Natl Acad Sci USA 90(12); 5843-5847; Soon-Shiong など (1992 Nov) Transuplantation 54(4): 769-774; Soon-Shion など (1992 Oct) ASAIO J 38(4): 851-854; Benhamouなど (1998 Jun) Diabetes Metab 24(3): 215-224; Christiansen など (1994 Dec) J Clin Endocrinol Metab 79(6): 1561-1569; Fraga など (1998 Apr) Transplantation 65(8): 1060-1066; Korsgrenなど (1993) Ups J Med Sci 98(1): 39-52: Newgard など(1997 Jul) Diaberologiz 40 Suppl 2: S42-S47。
【発明の開示】
【0014】
本発明は、患者の膵島前駆体細胞の成熟インスリン−分泌細胞への分化をもたらすのに十分な量、ガストリン/CCK受容体リガンド、EGF 受容体リガンド、又はそれらの組み合わせを提供する組成物を投与することによって、その必要な患者における糖尿病を処理するための方法を提供する。前記組成物は、全身的に投与され、又は発現ベクターに核酸構造体を含む宿主細胞により現場発現され得、ここで前記核酸構造体はガストリンCCK 受容体リガンドのためのコード配列、又はEGF 受容体リガンドのためのコード配列、及び膵島前駆体細胞において機能的な転写及び翻訳調節領域を含んでなる。
【0015】
また、膵島における膵臓β細胞の数を高めるために、十分な量のガストリン/CCK受容体リガンド及びEGF 受容体リガンドに培養において暴露された膵細胞を、糖尿病患者に移植することによって、その必要な患者における糖尿病を処理するための方法及び組成物も提供され;任意には、膵島β−細胞の集団が、移植の前、β−細胞の集団を拡張するのに十分な時間、培養物において増殖せしめられ得る。前記方法及び組成物は、糖尿病を有する患者の処理に使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、ガストリンなどのガストリン/CCK受容体リガンド、TGF-αなどのEGF受容体リガンド、または両者の組合せを、膵島前駆細胞の成熟インスリン分泌細胞への分化に有効な量で提供する組成物を投与することによる、それを必要とする患者において真性糖尿病を治療する方法を提供する。該組成物を全身投与する場合は一般には、生理学上許容される担体にて注射、好ましくは静脈により提供される。
【0017】
該組成物がin situで発現させる場合、膵島前駆細胞をex vivoまたはin vivoのいずれかで、膵島前駆細胞で所望の受容体リガンドを発現させる発現ベクター中の1以上の核酸発現構築体で形質転換する。一例として、発現構築体は、発現後にガストリンへとプロセッシングされるプレプロガストリンペプチド前駆体コード配列などのCCK受容体リガンドのコード配列、またはTGF-αなどのEGF受容体リガンドのコード配列を、膵島前駆細胞での発現を提供する転写および翻訳調節領域とともに含む。
【0018】
該転写調節領域は構成的であっても、または例えばインスリン遺伝子由来の転写調節領域など、細胞内のグルコース濃度の上昇により誘導されるものであってもよい。形質転換は好適な発現ベクター、例えばアデノウイルス発現ベクターを用いて行う。形質転換をex vivoで行う場合、形質転換細胞を、例えば腎臓カプセルを用いて糖尿病患者に埋植する。あるいは、膵島細胞をex vivoにおいて十分量のガストリン/CCK受容体リガンドおよび/またはEGF受容体リガンドで処理して、糖尿病患者への埋植に先立ち膵島の膵β細胞の数を増やす。要すれば、それらを同受容体リガンドと接触させることにより、埋植に先立ち膵β細胞集団を培養で拡張する。
【0019】
本発明は、糖尿病患者のための既存の治療計画に優る利点を与える。成熟膵を刺激して再生させる手段を提供することにより、従来の薬物療法(2型)またはインスリン療法(1型および2型)の必要性は少なくなる、またはなくなりさえするばかりか、正常血中グルコースグルコースレベルを維持することもまた、衰弱性の高い糖尿病の合併症をいくらか軽減し得る。糖尿病合併症には網膜、腎臓および神経の小血管を侵すもの(微小血管合併症)と心臓、脳、下肢に供給される大血管を侵すもの(大血管合併症)がある。
【0020】
糖尿病性微小血管合併症は、20〜74歳の患者に新たに失明にする主要な原因であり、末期の腎臓病のすべての新症例の35%を占める。60%を超える糖尿病患者誘導体が神経障害侵されている。米国では、主として糖尿病性大血管障害の結果として、糖尿病はすべての非外傷的切断の50%を占めており、糖尿病患者の冠状動脈疾患からの死亡率は非糖尿病患者の2.5倍である。高血糖症は糖尿病性微小血管合併症の進行を開始させ、加速化すると考えられている。現行の種々の治療計画を用いても高血糖症の制御は十分にはできず、従って糖尿病性合併症の進行を妨げるまたは遅くすることはできない。
【0021】
本明細書において「ガストリン/CCK受容体リガンド」は、ガストリン/CCK受容体を刺激する化合物を包含する。かかるガストリン/CCK受容体リガンドの例としては、ガストリン34(大ガストリン)、ガストリン17(小ガストリン)およびガストリン8(ミニガストリン)などの種々の形態のガストリン;CCK58、CCK33、CCK22、CCK12およびCCK8などの種々の形態のコレシストキニン;および単独またはEGF受容体リガンドと組み合わせて成熟膵の細胞の分化を誘導しインスリン分泌膵島細胞を形成するその他のガストリン/CCK受容体リガンドが挙げられる。
【0022】
有効な類似体、断片および前記のその他の改変型も考えられる。かかるリガンドとしては、内生ガストリン、コレシストキニン、または組織貯蔵部位由来の類似の有効なペプチドの分泌を高める化合物もまた含まれる。これらの例としては、胃酸分泌を阻害するオメプラゾールおよびCCK刺激を高めるダイズトリプシン阻害剤が挙げられる。
【0023】
本明細書において「EGF受容体リガンド」は、同組織または隣接する組織において、あるいは同個体においてもガストリン/CCK受容体を刺激した際にインスリン産生膵島細胞の再生が誘導されるようにEGF受容体を刺激する化合物を包含する。かかるEGF受容体リガンドの例としては、EGFI-48、EGFI-52、EGFI-49をはじめとする、EGFI-53ならびにその断片および有効類似体が挙げられる。例えばUSPN5,434,135を参照。
【0024】
その他の例としては、1-48、1-47をはじめとするTGF-α受容体リガンド(1-50)ならびにその断片および有効類似体、およびアンフィレグリンおよびポックスウイルス増殖因子などのその他のEGF受容体リガンド、ならびにガストリン/CCK受容体リガンドによる同一の相乗活性を示すその他のEGF受容体リガンドが挙げられる。これらには有効留自体、断片および前記の改変型が含まれる。さらなる背景としては、Carpenter and Wahl, Chapter 4 in Peptide Growth Factors (Eds. Sporm and Roberts), Springer Verlag, (1990)を参照。
【0025】
本発明の主要な態様は、ガストリン/CCK受容体リガンドおよび/またはEGF受容体リガンドを含む組成物を、膵島前駆細胞を成熟インスリン分泌細胞へ分化させるに十分な量で個体に投与することにより、それを必要とする個体において真性糖尿病を治療する方法である。このように分化した細胞は膵管の残存潜伏膵島前駆細胞となる。1つの具体例は、ガストリン/CCK受容体リガンドおよびEGF受容体リガンド、好ましくはTGF-αの分化再生上の量を単独または組み合わせて個体へ投与、好ましくは全身投与することを含んでなる。
【0026】
もう1つの具体例は、ガストリン/CCK受容体リガンドおよび/またはEGF受容体リガンドを、哺乳類の外植した膵組織の膵島前駆細胞へ与え、このように刺激した膵組織を哺乳類へ再導入することを含んでなる。
さらに本発明は、ガストリン/CCK受容体リガンドおよび/またはEGF受容体リガンドを哺乳類由来の外植膵組織の膵島前駆細胞へ与えてβ細胞集団を拡張することを含んでなる。
【0027】
もう1つの具体例では、ガストリン/CCK受容体リガンド刺激は、かかる前駆細胞に導入された、インスリンプロモーター-ガストリン融合遺伝子キメラ構築体の一時的発現により達成される。もう1つの具体例では、EGF受容体リガンド刺激は、該哺乳類に導入された、EGF受容体リガンド遺伝子の一時的発現により達成される。EGF遺伝子の配列はUSPN5,434,135に示されている。
もう1つの具体例では、ガストリン/CCK受容体リガンドおよびEGF受容体リガンドによる刺激は、哺乳類に安定的に導入された(i)プレプロガストリンペプチド前駆体遺伝子および(ii)EGF受容体リガンド遺伝子の同時発現により達成される。
【0028】
もう1つの具体例では、本発明は、哺乳類の膵島前駆細胞をガストリン/CCK受容体リガンドおよびEGF受容体リガンドの組合せで刺激することにより、かかる細胞の分化を果たす方法に関する。この態様の好ましい具体例では、ガストリン刺激は哺乳類に安定的に導入されたプレプロガストリンペプチド前駆体遺伝子の発現により達成される。発現はインスリンプロモーターの制御下にある。EGF受容体リガンド、例えばTGF-α刺激は哺乳類に一時的に導入されたEGF受容体リガンドの発煙により達成される。前記の促進においては、ガストリンおよびTGF-αによる刺激は好ましくは哺乳類に導入された(i)プレプロガストリンペプチド前駆体遺伝子および(ii)EGF受容体リガンドの同時発現により達成される。
【0029】
該遺伝子の転写を指示することができる適当なプロモーターとしては、ウイルスプロモーターおよび細胞プロモーターの双方がある。ウイルスプロモーターとしては、前初期サイトメガロウイルス(CMV)(Boshart et al (1985) Cell 41:521-530)、SV40プロモーター(Subramani et al (1981) Mol. Cell. Biol. 1;854-864)およびアデノウイルス2由来の主要後期プロモーター(kaufman and Sharp (1982) Mol. Cell. Biol. 2:1304-13199)が挙げられる。ガストリン/CCK受容体リガンド遺伝子およびEGF受容体リガンド遺伝子の一方または双方の発現はインスリンプロモーターの制御下にあることが好ましい。
【0030】
本発明のもう1つの態様は形質転換構築体である。この構築体は、プレプロガストリンペプチド前駆体をコードする核酸配列およびインスリン転写調節配列が含まれ、これは5'方向であって、プレプロガストリンペプチド前駆体をコードする配列の転写を助けるに有効なものである。インスリン転写調節配列は少なくともインスリンプロモーターを含んでいることが好ましい。好ましい具体例では、プレプロガストリンペプチド前駆体をコードする核酸配列は、ヒトガストリン遺伝子のエキソン2および3を含み、所望によりイントロン1および2も含むポリヌクレオチド配列を含んでなる。
【0031】
本発明のもう1つの具体例は、(i)哺乳類EGF受容体リガンド、例えばTGF-αをコードする核酸配列およびその転写調節配列、ならびに(ii)プレプロガストリンペプチド前駆体をコードする核酸配列およびその転写調節配列を含んでなる発現カセットである。EGF受容体リガンドの転写調節配列はメタロチオネインプロモーターなどの強力な非組織特異的プロモーターであるのが好ましい。プレプロガストリンペプチド前駆体の転写調節配列はインスリンプロモーターであるのが好ましい。この具体例の好ましい形態は、プレプロガストリンペプチド前駆体をコードする核酸配列が、ヒトガストリン遺伝子のイントロン1および2、ならびにエキソン2および3を含むポリヌクレオチド配列を含んでなるものである。
【0032】
本発明のもう1つの態様は、プレプロガストリンペプチド前駆体コード配列を含んでなる発現カセットを含むベクターに関する。このベクターはpGem1などのプラスミドであってもよいし、またはインスリンプロモーターを含む転写調節配列を有するファージであってもよい。
【0033】
本発明のもう1つの態様は、(1) 強力な非組織特異的プロモーター、例えばメタロチオネインプロモーターの制御下にある、哺乳類EGF受容体リガンド、例えばTGF-αをコードする核酸配列、およびインスリンプロモーターの制御下にあるプレプロガストリンペプチド前駆体コード配列を含むベクター組成物に関する。各ベクターはプラスミドpGem1などのプラスミドであってもよいし、またはこの態様におけるファージであってもよい。
【0034】
あるいは、該発現カセットまたはベクターはまた、適当な組織trophismを有するウイルスベクターに挿入できる。ウイルスベクターの例としてはアデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、レチノウイルスなどが挙げられる。Blomer et al (1996) Human Molecular Genetics 5 Spec. No:1397-404;およびRobbins et al (1998) Trends in Biotechnology 16:35-40を参照。アデノウイルスを介する遺伝子治療は嚢胞性繊維症患者の鼻の上皮における塩化物輸送欠陥を首尾よく一時的に修復した。Zabner et al. (1993) Cell 75:207-216を参照。
【0035】
本発明のもう1つの態様は、安定的に組み込まれたプレプロガストリンをコードする遺伝子を発現させることができる非ヒト哺乳類または細胞を含めその哺乳類組織である。この態様のもう1つの具体例は、非ヒト哺乳類、哺乳類組織または細胞に安定的に組み込まれた(i)プレプロペプチド前駆体遺伝子および/または(ii)EGF受容体リガンド、例えばTGF-α遺伝子を同時発現することができる非ヒト哺乳類である。該哺乳類組織または細胞はヒト組織または細胞であり得る。
【0036】
療法上の投与および組成物
投与モードは下記のものを包含するが、これらに限定されない:経皮、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、および経口の経路。組成物は、任意の好都合な経路により、例えば、注入またはボーラス注射、上皮または粘膜皮膚内層(例えば、口腔粘膜、直腸および腸の粘膜、およびその他)を通る吸収により投与することができ、そして他の生物学的に活性な成分と一緒に投与することができる。
【0037】
本発明は、また、医薬組成物を提供する。このような組成物は治療的に有効な量の療法上および薬学上許容される担体または賦形剤を含んでなる。このような担体は下記のものを包含するが、これらに限定されない:生理食塩水、緩衝液、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、およびそれらの組合わせ。処方物は投与モードに適合すべきである。本発明において使用する薬学上許容される担体および処方物は、下記の文献に記載されている:Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、ペンシルベニア州フィラデルフィア、第17版(1985)、これは引用することによって本明細書の一部とされる。薬剤送出法の簡単な概観については、下記の文献を参照のこと:Langer(1990)Science 249:1527-1533、これは引用することによって本明細書の一部とされる。
【0038】
本発明の医薬組成物の製造において、本発明の組成物を変性して、それらの薬物速度論および成体内分布を変更することが望ましいことがある。薬物速度論の一般的論考については、下記の文献を参照のこと:Remington's Pharmaceutical Sciences、supra、Chapters 37-39。薬物速度論および成体内分布を変更する多数の方法はこの分野において知られている(例えば、Langer、supra、参照)。このような方法の例は、基質、例えば、タンパク質(例えば、リポソーム)、炭水化物、または合成ポリマーから構成された小胞中の活性成分の保護を包含する。
【0039】
例えば、本発明の活性成分をリポソームの中に取込んで、薬物速度論および成体内分布の特性を増強することができる。リポソームを製造する種々の方法は、例えば、下記の文献に記載されているように、入手可能である:Szokal他(1980)Ann.Rev.Biohys.Bioeng.9:467、米国特許第4,235,871号、米国特許第4,501,728号および米国特許第4,837,028号、これらすべては引用することによって本明細書の一部とされる。種々の他の送出系は既知であり、そして本発明の治療剤、例えば、微小粒子、マイクロカプセルおよびその他を投与するために使用することができる。
【0040】
組成物は、必要に応じて、また、少量の湿潤剤または乳化剤、またはpH緩衝化剤を含有することができる。組成物は、液体の溶液、懸濁液、乳濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、持続放出性処方物、または粉剤であることができる。組成物は、伝統的結合剤および担体、例えば、トリグリセリドを使用して、坐剤として処方することができる。経口処方物は、標準的担体、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、炭酸マグネシウム、およびその他を含むことができる。
【0041】
好ましい態様において、組成物、例えば、人間に静脈内投与のために適合する医薬組成物は日常的手順に従い処方される。典型的には、静脈内投与のための組成物は無菌の等張水性緩衝液中の溶液である。必要に応じて、組成物は、また、可溶化剤および注射部位の疼痛を改善するために局所麻酔剤を含むことができる。一般に、成分は別々にまたは一緒に混合して単位投与形態で、例えば、気密密閉された容器、例えば、活性成分の量を示すアンプルまたは袋中の乾燥した凍結乾燥粉末または無水濃厚物として供給される。組成物を注入により投与する場合、それは無菌の薬学的等級の水または生理食塩水を含有する注入びんで小出しすることができる。組成物を注射により投与する場合、成分を投与前に混合できるように、注射用の無菌の水または生理食塩水のアンプルを準備することができる。
【0042】
本発明の治療剤は中性または塩の形態で処方することができる。薬学上許容される塩は、遊離アミノ基で形成された塩、例えば、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、およびその他から誘導された塩、および遊離カルボキシル基で形成された塩、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムおよび他の2価のカチオン、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン、およびその他から誘導された塩を包含する。
【0043】
特定の障害または症状の治療において有効である本発明の治療剤の量は、障害または症状の特質に依存し、そして標準的臨床的技術により決定することができる。処方物において使用すべき正確な投与量は、また、投与経路、および疾患または障害の程度に依存し、実施者の判断および各患者の環境に従い決定されるべきである。しかしながら、静脈内投与に適当な投与量の範囲は、一般に約20〜500μgの活性化合物/kg体重である。鼻内投与に適当な投与量の範囲は、一般に約0.01pg/kg体重である。有効投与量はin vitroまたは動物モデルの試験系から誘導された投与量-応答曲線から外挿することができる。坐剤は一般に活性成分を0.5〜10重量%の範囲で含有する;経口処方物は好ましくは10〜95%の活性成分を含有する。
【0044】
本発明の遺伝子療法において、療法上の転写または発現ベクターを哺乳動物の宿主に、脂質担体、特にカチオン性脂質担体に対して複合化された、またはウイルスベクター、例えば、組換えアデノウイルスの中に導入された、裸DNAとして、導入することによって、in vivoトランスフェクションは得られる。哺乳動物の宿主の中への導入は、いくつかの経路、例えば、静脈内または腹腔内注射、気管内、胞膜内、非経口、動脈内、鼻内、筋肉内、局所的、経皮、粘膜表面への適用、角膜点滴注入、およびその他によることができる。療法上の発現ベクターを循環体液または体の開口部または腔の中に導入することは、特に重要である。
【0045】
こうして、ベクターはこのような投与経路後広く散在されうるので、静脈内投与および胞膜内投与は特に重要であり、そして体の開口部または腔の中への導入にエーロゾル投与が使用される。投与経路および投与部位に依存して、特定の細胞および組織をターゲットすることができる。例えば、任意の特定のターゲッティングの非存在において、血流方向における注射部位に最も近い組織をトランスフェクトすることができる。脂質担体を使用する場合、部位特異的化合物を使用して、複合体を特定の型の細胞ので向けるように、脂質担体を変性することができる。こうして、特定の表面タンパク質に関連するターゲット細胞とともに、特定のレセプターまたは他の細胞表面のタンパク質に対する抗体またはリガンドを使用することができる。
【0046】
DNA、組換えウイルスベクターまたは脂質担体を投与するために、医薬組成物について前述したように、投与経路に依存して、任意の生理学上許容される媒質、例えば、脱イオン水、生理食塩水、リン酸塩緩衝生理食塩水、水中の5%デキストロース、およびその他を使用することができる。他の成分、例えば、緩衝剤、安定剤、生物致死剤、およびその他を添加することができる。これらの成分は文献において広範に例示されており、特にここで記載する必要はないであろう。複合体を凝集させる希釈剤または希釈剤の成分、例えば、強い塩、キレート化剤、およびその他を回避すべきである。
【0047】
使用する療法上のベクターの量は、ターゲット組織において療法的レベルの発現を提供するために十分な量であろう。療法的レベルの発現は、正常レベルに向かう血糖を減少させるために十分な量である。さらに、使用する核酸の投与量は影響を受けた組織中のin vivoのトランスジーンの所望の発現レベルを産生するために十分な量である。他のDNA配列、例えば、アデノウイルスVA遺伝子を投与媒質に添加し、問題の遺伝子と共トランスフェクトすることができる。アデノウイルスVA遺伝子をコードする遺伝子の存在は、発現カセットを望む場合、これから転写されたmRNAの翻訳を有意に増強することができる。
【0048】
多数の因子はトランスフェクトされた組織中の発現量に影響を与えので、特定の目的に適合するように発現レベルを変更するために、これらの因子を使用することができる。高い発現レベルを望む場合、すべての因子を最適化することができ、低い発現レベルを望む場合、所望の発現レベルが達成されるように、1またはそれ以上のパラメーターを変更することができる。例えば、高い発現が療法的ウィンドウを超える場合、最適より低い条件を使用することができる。
【0049】
組換え遺伝子のレベルおよび組織の発現レベルを、前述したように、mRNAレベルにおいて、および/またはポリペプチドまたはタンパク質のレベルにおいて決定することができる。遺伝子産物の組織における生物学的活性を測定することによって、遺伝子産物を定量することができる。例えば、前述したイムノアッセイにより、生物学的アッセイ、例えば、血糖のアッセイにより、または免疫染色技術によるトランスフェクトされた細胞中の遺伝子産物の同定、例えば、発現カセットの中に存在する遺伝子産物またはリポーター遺伝子産物を特異的に認識する抗体を使用するプロービングにより、タンパク質の活性を測定することができる。
【0050】
典型的には、療法的カセットは患者のゲノムの中に組込まれない。必要に応じて、達成された結果に依存して、治療を特別に反復することができる。治療を反復する場合、悪い免疫または治療に対する他の応答が存在しないこと保証するために、患者をモニターすることができる。
【0051】
本発明は、また、in vitroにおける膵臓β-細胞の集団を拡張する方法を提供する。適当なドナーから膵臓を単離し、細胞を単離し、in vitroで増殖させる。使用する細胞は哺乳動物のドナー、例えば、ヒトの死体、ブタ胎児または他の適当な膵臓細胞源からの試料から得る。ヒト細胞を使用する場合、可能ならば細胞は受容体に対して主として組織適合性である。単離された膵臓の酵素的(例えば、コラゲナーゼ)消化により、細胞を精製することができる。精製された細胞を培地中で増殖させる。
【0052】
この培地は細胞の生き残りを可能とするために十分な栄養素を含有し、かつインスリン分泌膵臓β-細胞の形成を可能とするために十分な量において、ガストリン/CCKレセプターリガンドおよびEGFレセプターリガンドを含有するβ-細胞増殖誘導組成物を含有する。本発明によれば、刺激後、インスリン分泌膵臓β-細胞を培養により直接的に拡張した後、それを必要とする患者に移植するか、あるいはβ-細胞誘導組成物で治療した後、直接的に移植することができる。
【0053】
移植法は、得られたインスリン分泌膵臓β-細胞を、免疫抑制剤、例えば、サイクロスポリンと組み合わせて、それを必要とする患者に移植することを含む。また、移植前に、インスリン産生細胞を半透過性膜の中にカプセル封入することができる。このような膜はカプセル封入された細胞からのインスリンの分泌を可能とすると同時に、免疫攻撃から細胞を保護する。移植すべき細胞の数は、10,000〜20,000のインスリン産生β-細胞/kgの患者であると推定される。必要に応じて、インスリン分泌細胞の療法的に有効な数を維持するために、移植の反復が必要であることがある。また、本発明によれば、移植されたインスリン分泌β-細胞の増殖を誘導するために十分な量のガストリン/CCKレセプターリガンドおよびEGFレセプターリガンドを移植受容体に投与することができる。
【0054】
次のようにして糖尿病の治療効果を評価することができる。可能ならば、治療の理学療法の生物学的効能ならびに臨床的効能の両方を評価する。例えば、疾患は血糖の増加によりそれ自体発現し、したがって、治療の生物学的効能は、例えば、評価された血糖が正常に向かって戻ることを観測することによって、評価することができる。臨床的効能、すなわち、根元的な効果を有する治療が疾患過程の変更において有効であるかどうか、は、測定がいっそう困難であることがある。生物学的効能の評価は臨床的効能についての変わりの終点として大いに役立つが、決定的ではない。こうして、例えば、6カ月期間後、β-細胞の再生を示すことができる、臨床的終点の測定は、治療養生法の臨床的効能を示すことができる。
【0055】
本発明の組成物は、1またはそれ以上の手順においてに使用するためのキットとして提供することができる。遺伝子療法のキットは、通常、ミトコンドリアターゲッティング配列のペプチドを含むか、あるいは含まない裸DNAとして、組換えウイルスベクターとしてまたは脂質担体に対して複合化された、療法上のDNA構築物を含むであろう。さらに、準備されたDNAと複合化するために、脂質担体は別の容器の中に入れて提供することができる。キットは濃厚物として有効な因子からなる組成物(凍結乾燥された組成物を包含する)を含み、この濃厚物は使用前にさらに希釈することができるか、あるいは使用する濃度で提供することができ、ここでバイアルは1またはそれ以上の投与量を含むことができる。
【0056】
好都合には、キットにおいて、医師がバイアルを直接使用できるように、単一投与量を無菌バイアルの中に提供することができ、ここでバイアルは所望の量および濃度の薬剤を有するであろう。バイアルが直接的使用のための処方物を含有する場合、通常、この方法とともに使用する他の試薬を必要としないであろう。このようなキットに、薬剤または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関により規定された警告を添付することができ、このような警告はヒトへの投与のための製造、使用または販売の政府機関による承認を反映する。
下記の実施例は本発明の例示であるが、本発明を限定するものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0057】
材料および方法
特記しない限り、下記の実施例において報告される研究において、下記材料および方法を使用した。
動物
マウス、FVBおよびCD系統をタコニック・ファームズ・インコーポレーテッド(Taconic Farms,Inc.、ニューヨーク州ジャーマンタウン)から入手した。TGF-αトランスジェニック系統MT-42を使用し、これは高いレベルのTGF-αをメタロチオネインプロモーターから発現し、Jhappan他、Cell、61:1137-1146(1990)に記載されている。正常ウィスター(Wistar)およびズッカー(Zucker)ラットに水へ自由にアクセスできるようにして通常の食物を任意に与え、各研究の開始前にラットを1週間順化させた。
【0058】
糖尿病の誘導後5〜7日間新しく製造されたストレプトゾトシンを80mg/kg体重の投与量で静脈内投与により投与し、ラットを引き続く処置のためにグループにランダムに割り当てた。0.1%のBSAを含有する無菌の通常の生理食塩水中で、ホルモン、TGF-αおよびラットガストリンを再構成した。異なる研究のために前もって決定したスケジュールに従い、各動物にTGF-αまたはガストリン単独(4.0μg/kg体重)または1:1(w/w)の組合わせ(合計8.0μg/kg)またはPBSを10日間1日1回腹腔内注射した。
【0059】
INSGASトランスジーン構築物
ラットインスリンI遺伝子のヌクレオチド-370〜+38からなるPvulI-RsaIフラグメント(Cordell、B.G.他、Cell、18:533-543(1979))をpGem1(Promega Corp.、ウイスコンシン州マディソン)の中に結合した。プレプロガストリンペプチド前駆体をコードするヒトガストリン遺伝子の1.5kbのイントロン1および2およびエクソン2および3を含有する4.4kbのBamHI−EcoRIフラグメントを単離し、pGem1(Promega)中のラットインスリンIフラグメントの下流にサブクローニングした。このフラグメントは下記の文献に記載されている:Wiborg、O.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:1067-1069(1984)およびIto、R.他、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)、81:4662-4666(1984)。インスリンプロモーター-プレプロガストリンINSGASトランスジーン構築物を4.8kbのXbaI-EcoRIフラグメントとして切除した。
【0060】
トランスジェニックマウスの世代および特性決定
前述したように作ったフラグメントを次のようにしてマイクロインジェションのために調製した。それをアガロースゲル電気泳動により単離し、CsCl勾配精製により精製し、注射緩衝液(5mMのNaCl;0.1mMのEDTA;5mMのTris-HCl、pH7.4)に対して広範に透析した。FVB同系交配マウスからの受精卵母細胞(Taconic Farms,Inc.、supra)を単細胞段階において標準的技術に従いマイクロインジェクトした。下記の文献を参照のこと:Hogan、B.他、Manipulating the mouse embryo:A laboratory manual.、Cold Spring Harbor、NY(1986)。次いでHogan他の手順に従い、生存する胚をCD1(Charles River Laboratories,Inc.、マサチュセッツ州ウィルミントン)乳母の輸卵管の中に移植した。
【0061】
個々のマウスの尾から単離したDNAおよびランダムプライミングにより32dCTPで標識化したヒトガストリンのエクソン2プローブを使用してDNAブロット技術により、トランスジェニックファウンダー(founder)マウスを同定した。F1マウスおよびそれらの子孫を同様に同定した。
CD-1マウス系統(Jhappan、supra)に由来するMT-TGF-αトランスジーンを含有するホモ接合MT-42マウスを、ヘテロ接合INSGASマウスと交雑させた。離乳後、メタロチオネインプロモーターを誘導するために前述したように酸性化50mMのZnCl2上に子孫を配置した(Jhappan、supra)。
【0062】
ノザンブロットハイブリダイゼーションアッセイ
ノザンアッセイのために、Cathala他、DNA 2:329-335(1983)の方法により、全体のRNAを組織から抽出した。20μgの全体のRNAの試料を1%のアガロース変性ゲル上で分割し、ニトロセルロースに移した。内因的マウスガストリンmRNAと交差ハイブリダイゼーションしなかったヒトガストリンの32P標識化TGF-αリボプローブと、RNAブロットはハイブリダイゼーションした。
【0063】
ガストリンのペプチドラジオイムノアッセイ
組織を抽出し、下記の文献に記載されているように、ガストリンラジオイムノアッセイにおいて生物学的に活性なC末端がアミド化されたガストリンに対して特異的である抗2604を使用して、前述したように、ラジオイムノアッセイによりガストリン免疫学的に反応性についてアッセイした:Rehfeld、J.F.、Scan.J.Clin.Lab.Invest.30:361-368(1972)。チロシンモノヨード化ヒトガストリン17トレーサーをすべてのアッセイにおいて使用し、そして合成ヒトガストリン17を標準として使用した。
【0064】
TGF-αのペプチドラジオイムノアッセイ
下記の文献に記載されているように、組織を液体窒素中で凍結させ、乳鉢および乳棒で粉末に粉砕し、酸-エタノール抽出した:Todaro、G.J.他、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)、77:5258-5262(1980)。抽出物を水で再構成し、クーマッシーブルー色素結合アッセイによりタンパク質濃度を測定した(Bio-Rad Laboratories、カリフォルニア州ハーキュレス)。膵臓からのアリコートをTGF-αラジオイムノアッセイにおいて二重反復実験し、これによりラットTGF-αのC末端に対して発生させた固相ウサギ抗体に対する結合について125ITGF-αとの競合を測定した(Bio Tope、ワシントン州シアトル、からのキット)。
【0065】
血糖
一夜の断食後またはIPGTT後に、グルコースオキシダーゼ法により血糖を測定した。
組織インスリン分析
各研究の終わりにおいて、動物を殺し、膵臓を取出した。免疫組織化学、タンパク質、およびインスリンの測定のために、膵臓全体を通して別々の代表的な部位から、小さいバイオプシーを取り、直ちに液体窒素中でスナップ凍結させた。スナップ凍結させた膵臓試料(n=5)を急速融解し、脱イオン水中で超音波処理により崩壊させ、アリコートをタンパク質測定のために取り、ホモジネートを酸/エタノール抽出しした後、RIAによりインスリンを測定した。
【0066】
組織学的分析
膵臓を取出し、秤量し、同様にカセット中で配向させ、ブアン溶液中で固定し、慣用手順によりパラフィンの中に埋め込んだ。
組織の調製および免疫組織化学
新しく切除した膵臓を解剖し、脂肪およびリンパ節を除去し、ブアン固定液中で固定し、次いで切断のためのパラフィンの中に埋め込んだ。日常的切片を標準的方法に従いヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。成体の17週齢のMT-TGF-α(MT-42)トランスジェニックマウスからの膵臓組織をインスリンについて免疫染色して、小島発育に対するTGF-αの過剰発現の作用を検査した。
【0067】
免疫ペルオキシダーゼ染色モルモット抗ヒトインスリン血清(Linco、ミゾリー州フレカ)を使用して、TGF-α誘導メタプラスチック(metaplastic)小管におけるインスリン陽性細胞を同定した;前免疫モルモット血清を対照として使用した。モノクローナルウサギ抗ガストリン抗体を使用するSternbergerのペルオキシダーゼ/抗ペルオキシダーゼ法により、5μパラフィン切片について免疫組織化学を実施した。下記の文献を参照のこと:Sternberger、L.A.、Immunocytochemistry、第2版(1979)NY:Wiley、104-170。
【0068】
点計数形態測定
下記の文献に記載されている点計数法を使用して、小島、管、または腸の細胞の相対体積を定量した:Weibel、E.R.、Lab.Investig.12:131-155(1963)。400×の倍率で、切片の1つの角におけるランダムな点において開始して、25点の眼の格子を使用してすべての他の場にスコアを付けた。段階的マイロメーターのマーキングを使用して、場のバイアスされていないが、系統的選択を達成した。血管、脂肪、管、リンパ節、または葉間の空間にわたる切片(intercepts)を減じて総膵臓面積を得た。
【0069】
108の場における最小5000の点(段階的マイロメーターを使用して系統的に選択した)を各ブロックにおいて計数し、相対的小島体積は小島組織にわたる切片の数/膵臓組織にわたる数である。絶対小島質量または小島を相対的小島体積×膵臓重量として計算した。下記の文献を参照のこと:Lee、H.C.他、Endocrinology 124:1571-1575(1989)。
統計学的解析
不対データのスチューデントのt検定を使用して、平均の間の差を有意差について比較した。
【0070】
実施例1.TGFトランスジェニック膵臓におけるインスリン産生についてのアッセイ
免疫ペルオキシダーゼ染色において、TGF-αトランスジェニック膵臓からのメタプラスチック管において多数のインスリン染色細胞が示された(第1A図)、インスリン染色細胞は非トランスジェニック管から事実上存在しなかった(6.1%より低い)。少なくとも600の小管細胞/動物を最終400×の倍率でスコアを付けたとき、インスリン陽性細胞はTGF-αトランスジェニックマウスのメタプラスチック小管において6.0+/-0.9%(n=5)の頻度で見られた。
【0071】
時々小管細胞は隣接小島と同一強度のインスリン染色で染色されたが、大部分は低い染色であった(第1B図)。小管細胞のインスリン染色の低いレベルは、発育する膵臓の管において報告されたプロト分化(protodifferentiated)細胞のそれに類似する。Pictet、R.およびW.J.Rutter、Development of the embryonic endocrine pancreas、in Endocrinology、Handbook of Physiology、R.O.GreepおよびE.B.Astwood編(1972)American Physiological Society;ワシントンD.C.25-66:およびAlpert、S.他、Cell、53:295-308(1988)。
【0072】
しかしながら、メタプラスチック管におけるインスリン陽性細胞の数の増加にかかわらず、TGF-αトランスジェニックマウスの小島質量は増加しなかった。点計数形態測定により定量された小島質量は、TGF-αトランスジェニック膵臓において2.14mg+/-0.84(n=5)であり、これに対して非トランスジェニック同腹子の質量は1.93mg+/-0.46(n=5)であった。
【0073】
こうして、TGF-αの過剰発現単独はこれらのプロト分化管細胞の完全に分化した小島への移行を行わなかった。これが意味するように、小島の分化はTGF-αトランスジェニックマウスの成体膵臓に存在しない他の因子を必要とする。プロト分化小島前駆体の分化は後期の胎児発育の間に起こるので、この移行を調節する因子はこの期間の間に小島において発現されるようである。発育する小島において発現された因子の中には、胃腸管のペプチド、すなわち、ガストリンが存在する。
【0074】
実施例2.INSGASトランス遺伝子からの膵臓ガストリンの発現
島分化の制御に於けるガストリンの可能な役割を検討するために、インシュリンプロモーターがガストリントランス遺伝子の膵臓特異的発現を誘導するキメラインシュリンプロモーター−ガスとリン(INSGAS)トランス遺伝子を発現するトランスジェニックマウスを作製した(図2A)。ガストリン遺伝子とは異なり、インシュリン遺伝子の発現はbの後も切れない。即ち、INSGASトランス遺伝子は成体の膵臓中に持続的なガストリン発現を起こす。
【0075】
INSGASトランス遺伝子は5'フランキングDNA及びラットインシュリンI遺伝子の最初の非コーディングエクソンの370bpを含む。Cordell ,B., ら、Cell 18;533-543(1979)。これはプロガストリンペプチド前駆体をコードするヒトガストリン遺伝子のイントロン1及びエクソン2と3の1.5kbを含むをBamH1-EcoR1断片に連結されている。Wiborg, O.,ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:1067-1069(1984);及びItoら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:4662-4666(1984)。4.8kbのINSGAS断片が分離され、近交系FVBの1細胞マウス胚の中にマイクロインジェクションされた。Hogan, B.ら、Manipulating the mouse embryo; A laboratory manual, (1986)NY: Cold Spring Harbor.
【0076】
トランスジェニック及び非トランスジェニックマウスの膵臓及び胃抽出物中のガストリン免疫反応性を,ガストリンの生体活性アミド化C末端に特異的である抗血清2604(Rehfeld, J.,ら、Scand. J. Clin. Lab. Invest., 30:361-368(1972))を用いた放射性免疫アッセイによりアッセイした。
INSGASトランス遺伝子からのベータ細胞特異的なガストリン発現が、ガストリンモノクローナル抗体による膵臓組織の免疫染色に基づき観察された。
【0077】
8週齢のINSGASトランスジェニックマウスの各種組織から分離されたRNAのノーザンブロットをヒトガストリンエクソン2のプローブとハイブリダイズした。膵臓では高いレベルのガストリントランス遺伝子mRNAが認められたが、その他の組織では認められなかった。このプローブはヒトガストリン遺伝子に特異的である;INSGASの洞部RNAではハイブリダイゼーションは観察され、又非トランスジェニックFVBマウスは高いレベルのマウスガストリンmRNAを発現した。INSGASトランスジェニックマウスからの得た膵臓抽出物の放射免疫アッセイは、内因性のマウス遺伝子から発現された胃腔内のガストリン含有量を超える高いレベルのガストリン免疫活性を示した(図2B)。
【0078】
非トランスジェニックのコントロールマウス抽出物についてはガスとリン性の免疫活性は検出されなかった(図2B)。ガストリン放射免疫アッセイはカルボキシルアミド化前駆体に特異的であることから、ガストリンペプチド前駆体は転写後効率的に生体活性型ペプチドに処理されることが示された。ガスとリンモノクローナル抗体による免疫組織学は、膵臓β島細胞特異的なガストリンの発現を示す。
【0079】
INSGASトランスジェニックマウスは出産後膵臓において高いガストリン発現を示すが(図2B)、INSGASトランスジェニックマウスはコントロールと同じ膵臓組織を有していた。点計測形態計測法(Weibel, E.R., Lab Investig. 12:131-155(1963))により定量化した島容積は、5-6週齢のINSGASマウス(1.78±0.21mg、n=11)及び年齢を合わせた非トランスジェニックコントロール(1.74±0.18mg、n=11)に同じであった。即ち、出産後膵臓中のガストリンの持続発現のみでは島細胞の成長を促進しない。
【0080】
実施例3.TGF-α及びTGF-α/INSGAS膵臓の組織学的検査
ガスとリンによる島成長の促進は、細胞集団の反応性を創造する別の成長因子による刺激を必要とするだろう。従ってガストリン刺激の効果を、原分化島前駆体に似たインシュリン発現細胞を含む化生性管を持つTGF-αトランスジェニックマウスについて研究した。ガストリンとTGF-α間の相互作用を調べるために、3グループのマウスを遺伝的背景が等しいFVB/CD1系統:非トランスジェニックコントロール、TGF-α単独トランスジェニック、及びINSGAS/TGF-α二重トランスジェニックと交配した。
【0081】
いずれの3マウスグループも3週齢時に50mM ZnCl2上に置いた。17週齢時に動物を屠殺し、膵臓を取り出し組織検査にかけた。TGF-α及びINSGAS/TGF-αマウスの膵臓は似た大きさの形態学的外観を示した;柔らかく広がったコントロールの膵臓に対し、弾性のある固く、コンパクトなものであった。ノーザンブロット分析(データ未提示)及び放射免疫アッセイで測定したところ、TGF-αの発現は、TGF-α及びINSGAS/TGF-αグループで等しかった。膵臓のTGF-α免疫反応性ペプチドのレベルは、TGF-α及びINSGAS/TGF-αマウスそれぞれについて12.2±1及び18.9±8ng/mgタンパク質(平均±SD)であった。
【0082】
これら試験した3グループ(A: INSGAS/TGF-α;B:FVB/CD1コントロール;及びC:TGF-α)のマウスの膵臓のヘマトキシリン染色パラフィン切片の光学顕微鏡像を作製した。INSGAS/TGF-α膵臓は、小管複合体増加域と間質細胞充実性の僅かな増加域を有した;示した像(図3A)には5匹の動物の中に見られた最も重症な異常形態が見られる;大部分の膵臓はコントロールと区別できなかった(図3B)。これに対し、TGF-α膵臓像は典型例であり、上記Jhappanら、が記した病勢盛んな管状異形成を伴う間質細胞充実性と繊維化を示した。
【0083】
膵臓ガストリンはTGF-αと相乗的に相互作用し、島質量を増加し、TGF-α過剰発現により誘導された管性異形成を阻害する。ホモ接合体MT-TGF-α(MT-42)マウス(TGF-α)をヘテロ接合体INSGASマウスと交配させ、ヘテロ接合性TGF-α単独トランスジェニック体と、INSGASとTGF-αトランス遺伝子の両方を持つ二重トランスジェニック体(INSGAS/TGF-α)を得た。INSGASはFVB系統であり、TGF-αはCD1系統であることから、TGF-αホモ接合体とCD1コントロール(CON)を共にFVBと交配させ、3マウスグループに関するバックグランドとなるFVB/CD1系統を作製した。マウスを3週齢から50mMのZnCl2で処理し、17週齢までに屠殺した。
【0084】
膵臓を取り出し、重量を測定し、カセットの中に同方向に配置、Bouin's液で固定し、パラフィンに包埋した。各動物から無作為に1μ切片を選び利用し、点測定形態測量法を用いて管部及び島部の相対容積を定量かした(Weibel, E.R., Lab Investig., 12:131-155(1963))。170倍の倍率で、50ポイントグリッドの交点として組織全体で少なくとも2000点を測定した:全切片は重複しないようにカバーされた。管部又は島部の質量は、相対容積に動物の膵臓重量をかけて計算した。体重の違いを正規化するために、質量はμg/g体重で表した。結果はスチューデントのt試験(p<0.05)により決定した、各グループ当たり5-6匹の動物の平均値と標準誤差である。
【0085】
INSGASトランス遺伝子からのガストリンの発現は、TGF-αの過剰発現による管異形成を軽減した。17週時では、INSGAS/TGF-αマウスの膵臓組織(図3A)は、TGF-αマウス(図3C)よりもコントロールの膵臓(図3B)により似ていた。
これはTGF-α及びINSGAS/TGF-αトランスジェニックマウス及びFVB/CD1コントロールに於ける膵臓管部質量を、点測定形態測量法により定量し、確認された(図4A)。INSGAS/TGF-α膵臓に於けるガストリンとTGF-αの共発現もコントロールに比べる島質量を有意に増加した(図4B)が、TGF-α又はガスとリントランス遺伝子単独の発現では島質量は増加しなかった。血液グルコース濃度について3マウスグループ間に有意な差は無かった。
【0086】
実施例4.正常ラットに於ける膵臓インシュリン含有量に及ぼすTGF-α及びガストリンの効果
本実験はTGF-α、ガストリン又はTGF-αとガストリンの組合せが非糖尿病動物に於ける膵臓インシュリン含有量に及ぼす作用を、コントロール動物(未処理)と比較研究するために計画された。正常ウイスターラットグループ(n=5)を以下の4処理グループの何れかに割り付けた。
【0087】
グループI:TGF-α:組換え体ヒトTGF-αを0.1%BSAを含む滅菌生理食塩水で調製し、0.8μg/日の用量で10日間皮下投与した。
グループII:ガストリン:合成ラットガストリンIを極めて薄い水酸化アンモニア液に溶解し、0.1%BSAを含む滅菌生理食塩水で調製した。これを0.8μg/日の用量で10日間皮下投与した。
グループIII:TGF-α+ガストリン:上記調剤の組合せを上記投与レベルにて10日間皮下投与した。
グループIV:賦形剤のみを10日間皮下注射したコントロール動物。
【0088】
試験期間(10日間)終了時、全ての動物を屠殺し、膵臓サンプルを以下の様にして取り出した:各ラット膵臓の離れた場所から膵臓組織の生検検体(1〜2mg)を5検体採取し、インシュリン含有量分析の為にすぐに液体窒素内で凍結した。膵臓インシュリン含有量の分析に際しては、凍結膵臓サンプルを速やかに解凍し、蒸留水中に超音波処理して破壊し、タンパク質測定の為にその一部を取り出し、インシュリン放射免疫アッセイ前に酸/エタノール抽出した(Greenら、(1983)Diabete 32:685-690)。膵臓インシュリン含有量は蛋白含有量で補正され、最終的にはμgインシュリン/mg膵臓タンパク質として表された。全ての値は平均値±SEMとして計算され、統計有意差はスチューデント2サンプルt-試験により検証された。
【0089】
表1
TGF-α及びガストリンによる正常ラットの処理
処理 膵臓インシュリン含有量
(μgインシュリン/mgタンパク質)
コントロール 20.6±6.0
TGF-α 30.4±7.4*
ガストリン 51.4±14.0**
TGF-α+ガストリン 60.6±9.7***
*TGF-α対コントロール、p=0.34;
**ガスとリン対コントロール、p=0.11;
***TGF-αとガストリンの組合せ、p=0.007。
【0090】
上記表1に示すように、膵臓インシュリン含有量はコントロール動物に比べるとTGF-α+ガストリン処理動物で有意に増加していた(P=0.007);コントロール動物に比べると、膵臓インシュリン含有量は約3倍に増加していた。これらのデータは、TFG-αとガスとリンの組合せが機能的島β細胞の容積を増加させるという仮説を支持するものである。この増加は、β細胞の肥大化(個々のβ細胞の大きさの増加)というよりも、β細胞の過形成(数の増加)にある全体状態を反映している。
【0091】
実施例5.糖尿病動物における膵臓インシュリン濃度に及ぼすTGF-αおよびガストリンの組合せの影響
糖尿病動物におけるインシュリン濃度
TGF-αおよびガストリンの組合せが、糖尿病動物(ストレプトゾトシン(STZ)処置)の膵臓インシュリン濃度を通常(非STZ処置)動物の濃度に相当するレベルまで減少できるかどうかを決定するために、第2の実験を計画した。
【0092】
通常のウィスターラットに、STZを体重1Kgあたり80mgの用量で単回静脈注射した。STZのこの用量は、実験動物が糖尿病になるが、機能を保つ一方でβ細胞量が減少するように決めた。STZを、氷冷した10Mmクエン酸緩衝液に投与の直前に溶解した。動物は毎日観察したが、持続的な糖尿病が糖尿により示され、非絶食時血中グルコース測定により確認された。糖尿病の誘起の1週間後に、ラットを以下のとおり2群(n=6)に無作為に割り付けた。
【0093】
第1群:TGF-α+ガストリン:STZ糖尿病ラットを、組換え型ヒトTGF-αおよび合成ラットガストリン1の組合せの単回腹膜注射により処置した。両製剤とも、0.8μg/日の用量で10日間投与した。
第2群:対照:STZ糖尿病ラットに、溶媒のみの腹膜注射を10日間行った。
実験期間の終わりに、全動物を屠殺し、実施例4と同様に膵臓のサンプルをとって分析し、その結果を表2に示す。
【0094】
表2
TGF-αおよびガストリンによるストレプトゾトシンラットの処置
処置 膵臓インシュリン濃度
(μgインシュリン/mgタンパク)
対照(STZのみ) 6.06±2.1
STZおよびTGF-αおよびガストリン 26.7±8.9
STZによる糖尿病の誘起は成功し、重度ではないが持続した過血糖症を引き起こした。実験動物が機能を有するがβ細胞量は減少したことを確実にするため全insulinopaeniaを求めた。
【0095】
上記の表2に示されるとおり、対照ストレプトゾトシン処置ラットの膵臓インシュリン濃度は、STZによるβ細胞の破壊の結果、通常のラット(20.6±6.0mgインシュリン/mgタンパク、上記表1参照)の3分の1未満であった。TGF-αおよびガストリンの組合せで処置したSTZ動物では、膵臓インシュリン濃度はSTZのみを投与された動物の4倍を超え、統計的に通常ラットと同じであった。
【0096】
糖尿病は、背後にある生理学的な欠陥が、自己免疫系によるβ細胞の破壊または高いグルコース循環濃度から生じる慢性的な刺激によるβ細胞が分裂する能力の消耗の結果としてのβ細胞の不足である病気である。後者は、最後には、β細胞の再生および/または置換プロセスが、全体的なβ細胞の減少およびそれに伴う膵臓のインシュリン濃度の低下が見られる程度にまで損なわれる状況になる。上記の結果は、TGF-αおよびガストリンの組合せが、成熟β細胞の生産を刺激して膵臓インシュリン濃度を非糖尿病レベルに戻すことにより、糖尿病の治療に利用できることを示している。
【0097】
実施例6.STZ誘起糖尿病動物中のIPGTTに及ぼすTGF-αおよびガストリンの影響
2群(平均体重103g)のSTZ誘起糖尿病ウィスターラット(n=6/群)を、TGF-αおよびガストリンの組合せまたはPBSのいずれかの毎日の腹膜注射により10日間処置した。0,6,10日に全ラットについて絶食時血中グルコースを測定した。このインシュリンが分泌され機能性であることを立証するため、IPGTT試験を実施した。10日に、終夜の絶食の後、腹膜内ブドウ糖負荷試験(IPGTT)を行った。
【0098】
体重1Kgあたり2gの用量での腹膜内グルコース注射の投与の前および30,60および120分後に、血液サンプルを尾の静脈から採取した。血中グルコース測定は上記のとおり行った。血中グルコース濃度は、時間0では両実験群で似ていたが、TGF-αおよびガストリン処置ラットでは、腹膜内グルコース投与の後30,60および120分後で、対照ラットに比較し、血中グルコース値は50%の減少を示した(図5参照)。
【0099】
実施例7.糖尿病になりやすい動物における体重増加およびインシュリン濃度に及ぼすTGF-αおよびガストリンの影響
ツッカーラットを生後30日、肥満の発生10〜15日前に入手した。糖尿病になりやすいツッカーラット(遺伝子型fa/fa、肥満および糖尿病の常染色体劣性突然変異)の他に、細身の非糖尿病同腹子(遺伝子型+/+)を以下のとおり実験に含めた。体重および血中グルコースを測定することにより肥満および糖尿病の発生がないか、ラットを毎日観察した。ツッカーラットの糖尿病の発症は通常45〜50日であり、同齢の細身の対照のレベルと比較して血中グルコース濃度の著しい上昇により確認した。
【0100】
実験は、表3に示すとおりそれぞれ5匹のラット5群により行った。第1群および第2群(細身で非糖尿病)は、TGF-αおよびガストリンの組合せまたはPBSのいずれかで0日から10日までそれぞれ処置され、第3群、第4群および第5群は、肥満で初期糖尿病ツッカーラット、遺伝子型fa/faを用いた。第3群には、糖尿病の発症前に15日間(-15日から0日)および糖尿病発症後引き続きさらに10日間(0日から10日)組合せ前処置を与えた。第4群は、糖尿病発症後10日間TGF−αおよびガストリンの組合せにより処置し、第5群は同じ期間PBSで処置した。実験の終わりに、ラットを屠殺し膵臓を取り出した。小さな生検材料を、上記のとおり別々な代表的な部位から採取し、タンパクおよびインシュリン測定に供した。
【0101】
前処置、処置のみまたは食塩水を与えた(表3の第3,4,5群の)肥満の糖尿病ツッカーラットの体重増加は、群の間で有意な差を示さなかった。TGF-αおよびガストリンで長期の処置(25日、第3群)を行っても、通常の体重増加に対する影響がなかったことは興味深い。誤差限界内で、体重増加は全ての群で同じであった。
【0102】
肥満ツッカーラットにおける絶食時血中グルコースに及ぼす、TGF-αおよびガストリン処置の影響を、相当するPBS対照と比較した。絶食時血中グルコースは、最初に15日までに著しく上昇し(4.0±0.6対5.0±0.2)、この時期がPBS対照またはTGF-αおよびガストリンによる10日間処置期間の開始時間として選ばれた。絶食時血中グルコースレベルは、TGF-αおよびガストリン処置またはPBS処置により有意に変化していなかった。絶食時血中グルコース値は、発育因子またはPBSによる処置にかかわらず、肥満のラットと比較して細身のラットの方が低かった。
【0103】
【表1】

2型糖尿病ツッカーラットモデルにおけるTGF-αおよびガストリン処置の結果は、おそらく長時間(18時間)の絶食のあとの一時的な低血糖効果を反映して、処置と対照群の血中グルコースレベルの間に有意な差を示さなかった。免疫組織化学的な実験は、対照動物に比べて、TGF-αおよびガストリンで処置された動物中でインシュリン含有細胞の単一病巣の数が著しく減少することを明らかにした。これらの知見は、TGF−αおよびガストリン処置の後の成体ラット膵臓の単β細胞の増加を示している。興味深いことに、そのような単β細胞病巣は、(刺激を受けていない)成体ラット膵臓には通常見られない。治療はβ細胞の新生および複製を目標としているので、これらの知見は1型および2型糖尿病におけるTGF-αおよびガストリンの治療上の役割を支持する。
【0104】
本発明は、部分的に、TGF-α誘起化生小管中に多くのインシュリン染色細胞を示した研究に基づいている。化生管細胞における低レベルの外分泌および内分泌遺伝子発現は、胎児の膵臓発生の初期に見られる初期分化管細胞のそれに類似していた。小島の形成(新生)は、これらの初期分化されたインシュリン発現細胞の増殖と分化による。組織学的には、膵管から発芽するように出現する小島(島細胞症)として、これは明らかである。MT-42TGF-αトランスジェニックマウスでは、小管化生は出生直後には見られず生後4週で見られる。
【0105】
これは、TGF-α過発現が、胎児の膵管に見られる小島前駆体の残留を長引かせるよりも管上皮でインシュリン発現を誘起したことを表している。化生小管はインシュリン陽性細胞を数多く含んでいるが、TGF-αトランスジェニックマウスの小島質量は、対照に比べて増えていなかった。上記で報告した研究は、完全な小島細胞新生が、ガストリンなどのガストリン/CCKレセプターリガンドおよび/またはTGF-αなどのEGFレセプターリガンドの刺激により、成体膵臓の小管上皮において哺乳類でin vivoに再活性化されることを示している。
【0106】
膵臓内のTGF-αおよびガストリンのトランスジェニックな過発現に関する研究が報告されているが、それらは小島発生における膵臓ガストリン発現の役割を解明し、TGF-αおよびガストリンがそれぞれ小島発生を制御する役割を果たしていることを示している。したがって、残された多能性膵管細胞の成熟したインシュリン分泌細胞への再生分化は、膵臓中でそれらのin situ発現を提供する因子または組成物のこの組合せの治療上の投与による糖尿病治療の重要な方法である。
本発明は、本明細書に記載した特定の実施態様により限定されない。上記の記載および添付する図より明らかになる変更は、特許請求範囲の範囲内にある。
様々な出版物が本明細書に引用されたが、その開示は参照により全部組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1A】図1Aは、イムノペルオキシダーゼ染色に基づいて、 TGF−αトランスジェニック膵臓からの化生管における細胞を染色する多くのインスリンを示す像である。
【図1B】図1Bは、ほとんどの小管細胞はインスリンに対して低い強度で染色されるが、ところが時々、小管は、隣接するランゲルハンス島と同じ強度のインスリン染色で染色されたことを示す像である。
【0108】
【図2A】図2Aは、キメラインスリンプロモーター−ガステリン(INSGAS)トランスジーンの構造を図的に示す。
【図2B】図2Bは、INSGASトランスジェニックからの膵臓抽出物のラジオイムノアッセイが、内因性ネズミ遺伝子から発現された噴門端におけるガストリン含有率を超える高いレベルのガストリン免疫反応性を示すことを例示する。INSGASトランスジェニックマウスは、生後膵臓におけるガストリンの高い発現を有した。
【0109】
【図3A】図3Aは、例3により報告される研究に使用されるINSGAS/IGF−αマスクの膵臓組織学の像である。INSGAS/IGF−α膵臓は、高められた小管複合体のわずかに高められた介在細胞性のいくつかの領域を有した。そこに示される部分は、使用される5匹の動物において最も強い異常組織学を有した。
【図3B】図3Bは、例3からの対照マウスの膵臓組織学の像である。
【図3C】図3Cは、例3からの TGF−αマウスの膵臓組織学の像である。例3に報告される研究からの TGF−αマウス膵臓のこの部分は典型的であり、そしてJhappan,など.前記により記載される病勢盛んな小管化生と組み合わされた介在細胞性及び線維増多を示した。
【0110】
【図4A】図4Aは、例3に報告される研究に基づいて、17週で、INSGAS/TGF−αマウスの膵臓が TGF−αマウスの膵臓よりも低い管塊状物を有したことを確証した点=計数体型測定データをグラフ的に示すヒストグラムである。
【図4B】図4Bは、対応する非トランスジェニック対照マウスのランゲルハンス島塊状物に比較して、INSGAS/TGF−α膵臓におけるガストリン及び TGF−αの同時発現がランゲルハンス島塊状物を有意に高められたことを示す点=計数体系測定データをグラフ的に示すヒストグラムである。さらに、 TGF−αは単独で、ランゲルハンス島塊状物を高めない。それらのデータは、例3に示される研究に基づかれている。
【0111】
【図5】図5は、PBS(空白の丸)又は TGF−α及びガストリンの組み合わせ(空白の四角)により、10日間、毎日、i.p.処理された、ストレプトゾトシンにより誘発された糖尿病Wistarラットにおけるグルコース耐性に対する TGF−α及びガストリン効果を示す。
【0112】
【図6】図6は、例7に記載のような3種のグループの処理されたZuckerラット、及びそれらの対応するPBS 対照(n=6/グループ)におけるβ−細胞新生に対する TGF−α及びガストリン処理の効果を示す。1によりラベルされる棒はlean TFG+ガストリンを表し、4によりラベルされる棒はob TGF+ガストリンを表し、5によりラベルされる棒はob PBS対照を表し、3によりラベルされる棒はpre TGH+ガストリンを表し、そして2によりラベルされる棒はlean PBS対照を表す。 TGF−α及びガストリンは、 PBS−処理された対照動物に比較して、研究されたすべてのグループにおける単一のβ−細胞の相対的割合を有意に高めた。グループ4及び5は、グループ1及び2(p<0.0041)と同じように、有意に異なっている(p<0.0015)。
【0113】
【図7A】図7Aは、lean及びobese Zuckerラットにおけるβ−細胞新生に対する、 TGF−α及びガストリン処理の効果を示す。β−細胞新生は、合計のβ細胞及び新しく生成されたβ−細胞の示差計数により定量化され、そして計数された合計のβ−細胞の%として示される。成長因子の組み合わせにより処理されたlean Zuckerラットにおける単一のβ細胞の%は、その対応するPBS 対照における3.9 ±1.1(P=0.004 )に比較して、10±0.9 であった。
【0114】
【図7B】図7Bは、lean及びobese Zuckerラットにおけるβ−細胞新生に対する、 TGF−α及びガストリン処理の効果を示す。β−細胞新生は、合計のβ細胞及び新しく生成されたβ−細胞の示差計数により定量化され、そして計数された合計のβ−細胞の%として示される。成長因子の組み合わせにより処理されたlean Zuckerラットにおける単一のβ細胞の%は、その対応するPBS 対照における3.9 ±1.1(P=0.004 )に比較して、10±0.9 であった。
【0115】
【図7C】obese Zuckerラットにおいては、前処理グループにおける単一のβ−細胞の%は、対応する対照グループにおける4.2 ±1.1(p=0.0015)に対して8.7 ±1.3 であった。
【図7D】obese Zuckerラットにおいては、前処理グループにおける単一のβ−細胞の%は、対応する対照グループにおける4.2 ±1.1(p=0.0015)に対して8.7 ±1.3 であった。
【図7E】図7Eは、図7Cの小管領域の400 の倍率であり(矢印により示される)、そしてβ−細胞新生の特徴を示す小管上皮細胞からのインスリン−含有β−細胞の発芽の明白な証拠を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人における糖尿病を治療するための方法であって、ガストリン/CCK受容体リガンド及びEGF 受容体リガンドから成る群から選択された少なくとも1つの受容体を付与する組成物を、ランゲルハンス島前駆体細胞の成熟インスリン−分泌細胞への分化をもたらすのに十分な量、前記個人に投与することを含んで成る方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの受容体リガンドが、EGF1-53,EGF1-48,又はそのEGF1-47 又はEGF1-49 コンジェナーから成る群から選択されたEGF 受容体リガンドである請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記EGF1-53, EGF1-48, 又はそのEGF1-47 又はEGF1-49 コンジェナーが、ヒトEGF1-53, EGF1-48, 又はそのEGF1-47 又はEGF1-49,又はそのコンジェナーである請求項2記載の方法。
【請求項4】
成熟インスリン−分泌β細胞の集団を、糖尿病を有する患者に供給するための方法であって、ガストリン/CCK受容体リガンド及び上皮成長因子受容体リガンドから成る群から選択された少なくとも1つの受容体リガンドの十分な量を、移植の前、ランゲルハンス島の成熟インスリン−分泌β細胞の増殖を誘発するために供給されている、培養されたランゲルハンス島を前記患者に移植することを含んで成る方法。
【請求項5】
前記糖尿病がII型糖尿病である請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記ガストリン/CCK受容体リガンドがガストリンである請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記上皮成長因子受容体リガンドが、TGF −α、又はEGF1-53, EGF1-48, 又はそのEGF1-47 又はEGF1-49 コンジェナーから成る群から選択されたEGF である請求項4記載の方法。
【請求項8】
膵臓β細胞の集団を拡張するための方法であって、
前記膵臓β細胞の増殖を誘発するのに十分な量のガストリン/CCK受容体リガンド及び上皮成長因子受容体リガンドを、前記膵臓β細胞に供給し、それにより、膵臓β細胞の拡張された集団を得ることを含んで成る方法。
【請求項9】
膵臓β細胞の増殖を誘発するのに十分な量のガストン受容体アゴニスト及び上皮成長因子受容体アゴニストを、ランゲルハンス島に供給することによって得られる膵臓β細胞を含んで成る組成物。
【請求項10】
個人における糖尿病を処理するための方法であって、タンパク質性ガストリン/CCK受容体リガンド及びタンパク質性EGF 受容体リガンドから成る群から選択された少なくとも1つの受容体を付与する組成物を、ランゲルハンス島前駆体細胞の成熟インスリン−分泌細胞への分化をもたらすのに十分な量、前記個人に全身的に投与することを含んで成る方法。
【請求項11】
前記タンパク質性ガストリン/CCK受容体リガンドがガストリンである請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記タンパク質性EGF 受容体リガンドがTFG −αである請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記糖尿病がII型糖尿病である請求項10記載の方法。
【請求項14】
個人におけるランゲルランス島細胞新生を刺激するための方法であって、ガストリン/CCK受容体リガンド及びEGF 受容体リガンドから成る群から選択された少なくとも1つの受容体を付与する組成物を、ランゲルハンス島前駆体細胞の成熟インスリン−分泌細胞への分化をもたらすのに十分な量、前記個人に全身的に投与することを含んで成る方法。
【請求項15】
前記個人である請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記ガストリン/CCK受容体リガンド及び前記EGF 受容体リガンドの両者が投与される請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記ガストリン/CCK受容体リガンド及び前記EGF 受容体リガンドの少なくとも1つが、タンパク質性受容体リガンドである請求項16記載の方法。
【請求項18】
個人における糖尿病を処理するための方法であって、ガストリン/CCK受容体リガンド及びEGF 受容体リガンドを付与する組成物を、ランゲルハンス島前駆体細胞の成熟インスリン−分泌細胞への分化をもたらすのに十分な量、前記個人に投与することを含んで成る方法。

【図2A】
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【図2B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図1A】
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【図1B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【公開番号】特開2008−94854(P2008−94854A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−115(P2008−115)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【分割の表示】特願2000−595702(P2000−595702)の分割
【原出願日】平成11年10月27日(1999.10.27)
【出願人】(500510559)ワラター ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド (1)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】