糸巻取装置及びロットチェンジ方法
【課題】 ロットチェンジに際し、ロットチェンジ前の給糸ボビンを取り除くためのオペレータの作業負担を軽減し得る糸巻取装置及びロットチェンジ方法を提供する。
【解決手段】 巻取ユニット1は、ボビン支持部10、ボビン供給部11、巻取部12、糸量判定部及び制御装置80を備える。支持部10は、給糸ボビン3を支持する。供給部11は、複数のボビン3を保持し、支持部10にボビン3を順次に供給する。巻取部12は、ボビン3の糸Yをパッケージ6として巻き取る。糸量判定部は、パッケージ6として巻き取られた糸Yの糸量を判定する。制御装置80は、ロットチェンジ情報が入力された場合において、糸量判定部によって判定された糸量がパッケージ6の満巻に相当する糸量となったきには、巻取部12に糸Yの巻取動作を停止させ、支持部10にボビン3の排出動作を実行させる。
【解決手段】 巻取ユニット1は、ボビン支持部10、ボビン供給部11、巻取部12、糸量判定部及び制御装置80を備える。支持部10は、給糸ボビン3を支持する。供給部11は、複数のボビン3を保持し、支持部10にボビン3を順次に供給する。巻取部12は、ボビン3の糸Yをパッケージ6として巻き取る。糸量判定部は、パッケージ6として巻き取られた糸Yの糸量を判定する。制御装置80は、ロットチェンジ情報が入力された場合において、糸量判定部によって判定された糸量がパッケージ6の満巻に相当する糸量となったきには、巻取部12に糸Yの巻取動作を停止させ、支持部10にボビン3の排出動作を実行させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給糸ボビンの糸を巻き取ってパッケージを形成する糸巻取装置、及び糸巻取装置において実施されるロットチェンジ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所定仕様のパッケージを生産するために、給糸ボビンの糸を巻き取ってパッケージを形成する糸巻取装置が知られている。そのような糸巻取装置への給糸ボビンの供給方式としては、給糸ボビンがトレーにセットされて精紡機から連続的に供給されるトレー式と称されるものや(例えば特許文献1参照)、複数の給糸ボビンを収容するマガジンから順次に給糸ボビンが供給されるマガジン式と称されるものがある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−49353号公報
【特許文献2】特開2009−18930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、巻取管に巻き取るべき糸の糸種(すなわち、形成すべきパッケージの糸種)を変更するロットチェンジに際しては、ロットチェンジ前のパッケージが満巻となってから巻取動作が停止させられる。しかしながら、マガジン式の供給方式を採用する糸巻取装置においては、ロットチェンジ前の糸種の給糸ボビンがマガジンやボビン支持部に残るため、オペレータがそれらの給糸ボビンを取り除く必要がある。ただし、ボビン支持部が糸巻取装置の底部でかつマガジンの後側に位置しているといった事情等から、ボビン支持部にアクセスしにくく、その結果、ボビン支持部から給糸ボビンを取り除くためのオペレータの作業負担は極めて大きい。
【0005】
そこで、本発明は、ロットチェンジに際し、ロットチェンジ前の給糸ボビンを取り除くためのオペレータの作業負担を軽減することができる糸巻取装置及びロットチェンジ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の糸巻取装置は、給糸ボビンの糸を巻き取ってパッケージを形成する糸巻取装置であって、給糸ボビンを支持するボビン支持部と、複数の給糸ボビンを保持し、ボビン支持部に給糸ボビンを順次に供給するボビン供給部と、ボビン支持部に支持された給糸ボビンの糸をパッケージとして巻き取る巻取部と、巻取部によってパッケージとして巻き取られた糸の糸量を判定する糸量判定部と、ロットチェンジ情報が入力された場合において、糸量判定部によって判定された糸量がパッケージの満巻に相当する糸量となったきには、巻取部に糸の巻取動作を停止させ、ボビン支持部に給糸ボビンの排出動作を実行させる制御部と、を備える。
【0007】
この糸巻取装置では、パッケージとして巻き取るべき糸の糸種を変更するロットチェンジを指示するロットチェンジ情報が入力されると、パッケージとして巻き取られた糸の糸量がパッケージの満巻に相当する糸量となってから、糸の巻取動作が停止され、給糸ボビンの排出動作が実行される。よって、この糸巻取装置によれば、ロットチェンジに際し、ロットチェンジ前の給糸ボビンを取り除くためのオペレータの作業負担を軽減することができる。
【0008】
また、本発明の糸巻取装置は、ボビン支持部がボビン供給部から給糸ボビンを受け取り、給糸ボビンを支持し、又は給糸ボビンを排出するように、ボビン支持部を駆動させる第1駆動源と、ボビン供給部がボビン支持部に給糸ボビンを順次に供給するように、ボビン供給部を駆動させる第2駆動源と、を更に備え、制御部は、ロットチェンジ情報が入力された場合において、糸量判定部によって判定された糸量がパッケージの満巻に相当する糸量となったきには、巻取部に糸の巻取動作を停止させ、第2駆動源による駆動を実行させずに第1駆動源による駆動を実行させることにより、ボビン支持部に給糸ボビンの排出動作を実行させてもよい。この構成によれば、ロットチェンジに際し、ボビン供給部からボビン支持部に給糸ボビンが供給されずに、ボビン支持部から給糸ボビンが排出されるので、給糸ボビンの排出動作を効率良く実施することができる。
【0009】
また、本発明の糸巻取装置においては、巻取部は、パッケージの回転量を検出するパッケージ回転量検出部を有し、糸量判定部は、パッケージ回転量検出部によって検出された回転量に基づいて糸量を判定してもよい。この構成によれば、簡易な構成で精度良く糸量を判定することができる。
【0010】
また、本発明の糸巻取装置においては、巻取部は、パッケージを回転させるための巻取ドラム、及び巻取ドラムの回転量を検出するドラム回転量検出部を有し、糸量判定部は、ドラム回転量検出部によって検出された回転量に基づいて糸量を判定してもよい。この構成によれば、簡易な構成で精度良く糸量を判定することができる。
【0011】
また、本発明の糸巻取装置は、ボビン支持部と巻取部との間において、糸の走行速度及び走行長さの少なくとも一方に相当する糸走行量を検出する糸走行量検出部を更に備え、糸量判定部は、糸走行量検出部によって検出された糸走行量に基づいて糸量を判定してもよい。この構成によれば、簡易な構成で精度良く糸量を判定することができる。
【0012】
また、本発明の糸巻取装置においては、巻取部は、パッケージを移動自在に支持するクレードル、及びクレードルの位置を検出する位置検出部を有し、糸量判定部は、位置検出部によって検出された位置に基づいて糸量を判定してもよい。この構成によれば、簡易な構成で精度良く糸量を判定することができる。
【0013】
また、本発明の糸巻取装置においては、巻取部は、パッケージとして巻き取られた糸の巻径を検出する巻径検出部を有し、糸量判定部は、巻径検出部によって検出された巻径に基づいて糸量を判定してもよい。この構成によれば、簡易な構成で精度良く糸量を判定することができる。
【0014】
また、本発明のロットチェンジ方法は、給糸ボビンを支持するボビン支持部と、複数の給糸ボビンを保持し、ボビン支持部に給糸ボビンを順次に供給するボビン供給部と、ボビン支持部に支持された給糸ボビンの糸をパッケージとして巻き取る巻取部と、巻取部によってパッケージとして巻き取られた糸の糸量を判定する糸量判定部と、を備える糸巻取装置において実施されるロットチェンジ方法であって、ロットチェンジ情報が入力された場合において、糸量判定部によって判定された糸量がパッケージの満巻に相当する糸量となったきに、給糸ボビンとパッケージとの間に渡る糸を切断し、巻取部に糸の巻取動作を停止させる第1工程と、第1工程の後に、ボビン支持部に給糸ボビンの排出動作を実行させる第2の工程と、を含む。
【0015】
このロットチェンジ方法では、パッケージとして巻き取るべき糸の糸種を変更するロットチェンジを指示するロットチェンジ情報が入力されると、パッケージとして巻き取られた糸の糸量がパッケージの満巻に相当する糸量となってから、糸の巻取動作が停止され、給糸ボビンの排出動作が実行される。よって、このロットチェンジ方法によれば、ロットチェンジに際し、ロットチェンジ前の給糸ボビンを取り除くためのオペレータの作業負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ロットチェンジに際し、ロットチェンジ前の給糸ボビンを取り除くためのオペレータの作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態の糸巻取装置である巻取ユニットを複数具備する自動ワインダの構成図である。
【図2】図1の巻取ユニットの側面図である。
【図3】図2の巻取ユニットの下部構造の拡大図である。
【図4】図1の巻取ユニットのボビン支持部の斜視図である。
【図5】給糸ボビン受取時のボビン支持部の側面図である。
【図6】給糸ボビン支持時のボビン支持部の側面図である。
【図7】給糸ボビン排出時のボビン支持部の側面図である。
【図8】図1の巻取ユニットのボビン供給部の爪車及びその周辺部の平面図である。
【図9】図1の巻取ユニットの巻取部及び糸量判定部のブロック図である。
【図10】図1の巻取ユニットにおいて実施されるロットチェンジ方法のフローチャートである。
【図11】本発明の他の実施形態の糸巻取装置である糸巻取ユニットの下部構造の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1に示されるように、自動ワインダ100は、水平方向に沿って一列に並設された複数の巻取ユニット(糸巻取装置)1と、巻取ユニット1の並設方向に沿って往復移動する玉揚装置4と、を具備している。各巻取ユニット1は、精紡機で形成された給糸ボビンから糸を解舒して巻取管に巻き取り、所定仕様(所定糸種、所定糸量、所定形状等)のパッケージを形成する。玉揚装置4は、巻取ユニット1で形成されたパッケージを巻取ユニット1から回収すると共に、巻取管を巻取ユニット1に装着する。なお、以下、本実施形態では、糸を巻くための管を巻取管7とし、糸が巻かれた巻取管7をパッケージ6とする。更に、製品として規定された量の糸が巻取管7に巻かれたパッケージ6を満巻のパッケージ6とする。
【0020】
図2に示されるように、巻取ユニット1は、ボビン支持部10と、ボビン供給部11と、巻取部12と、を備えている。ボビン支持部10は、筒状の給糸ボビン3を直立させた状態で支持する。ボビン供給部11は、複数の給糸ボビン3を保持し、ボビン支持部10に給糸ボビン3を順次に供給する。巻取部12は、ボビン支持部10に支持された給糸ボビン3から糸Yを解舒して、満巻に相当する糸量となるまで巻取管7に糸Yを巻き取る。
【0021】
ボビン支持部10から巻取部12に至る糸走行経路には、ボビン支持部10側から順に、解舒補助装置13、テンション付加装置14、糸継装置15、クリアラー(糸欠点検出装置)16、ワキシング装置17が設置されている。ボビン支持部10、ボビン供給部11、巻取部12、解舒補助装置13、テンション付加装置14、糸継装置15、クリアラー16及びワキシング装置17は、巻取ユニット1の機台2に取り付けられている。
【0022】
解舒補助装置13は、給糸ボビン3の上部に被さる筒体13a、及び筒体13aの内側において給糸ボビン3の上部の糸Yを検出する糸検出センサ13bを有している。解舒補助装置13は、糸検出センサ13bが給糸ボビン3の上部の糸Yを検出するように、給糸ボビン3からの糸Yの解舒に伴って筒体13aを下降させることにより、いわゆるバルーン抵抗を低減し、給糸ボビン3からの糸Yの解舒を補助する。糸検出センサ13bとしては、例えば、発光素子及び受光素子を有する光学式センサを使用することができる。
【0023】
テンション付加装置14は、走行する糸Yに所定テンションを付加する。テンション付加装置14としては、例えば、固定櫛歯、及び固定櫛歯に対して移動自在に配設された可動櫛歯を有するゲート式のものを使用することができる。
【0024】
糸継装置15は、クリアラー16が糸欠点を検出した際に行われる糸切断時、又は給糸ボビン3からの糸Yの解舒中に発生する糸切れ時に、ボビン支持部10側の下糸と巻取部12側の上糸とを糸継ぎする。糸継装置15としては、例えば、上糸端及び下糸端の撚り戻しを行う解撚ノズル、並びに解撚された両糸端に旋回空気流を作用させて撚り合わせを行う撚り掛けノズルを有するエアスプライサーを使用することができる。
【0025】
クリアラー16は、スラブ等の糸欠点を検出する。クリアラー16には、糸欠点を検出した際に糸Yを切断するためのカッターが付設されている。ワキシング装置17は、必要に応じて糸Yにワックスを塗布する。
【0026】
糸継装置15の上下には、給糸ボビン3側の下糸を吸引捕捉して糸継装置15へ案内する下糸捕捉案内部18と、巻取管7側の上糸を吸引捕捉して糸継装置15へ案内する上糸捕捉案内部19と、が設置されている。下糸捕捉案内部18は、パイプ状に構成されており、軸18aを中心に上下回動自在となっている。下糸捕捉案内部18の先端部には、吸引口18bが設けられている。同様に、上糸捕捉案内部19は、パイプ状に構成されており、軸19aを中心に上下回動自在となっている。上糸捕捉案内部19の先端部には、マウス19bが設けられている。下糸捕捉案内部18及び上糸捕捉案内部19には適宜の負圧源が接続されている。これにより、下糸捕捉案内部18は、吸引口18bから空気を吸引して下糸端を捕捉し、上糸捕捉案内部19は、マウス19bから空気を吸引して上糸端を捕捉する。
【0027】
巻取部12は、クレードル20及び巻取ドラム21を有している。クレードル20は、巻取管7、延いてはパッケージ6を回転自在かつ着脱自在に支持する一対のクレードルアームからなる。巻取ドラム21は、糸Yを綾振りするためのドラム溝を有しており、クレードル20に支持された巻取管7に巻き取られた糸Yの表面(パッケージ6の表面)に接触自在となっている。巻取部12は、巻取ドラム21をパッケージ6の表面に接触させた状態で、駆動モータを用いて巻取ドラム21を回転駆動させる。これにより、巻取部12は、糸Yを綾振りしながらパッケージ6を従動回転させ、給糸ボビン3の糸Yをパッケージ6として巻き取る。
【0028】
次に、ボビン支持部10について詳細に説明する。図3に示されるように、ボビン支持部10は、ボビン支持部フレーム30、ボビン支持排出機構31及び駆動モータ(第1駆動源)32を有している。ボビン支持部フレーム30は、機台2の下部に着脱自在に設けられている。ボビン支持排出機構31は、ボビン支持部フレーム30に設けられており、糸Yが所定量巻かれた給糸ボビン3(実ボビン)を支持する共に、不要な給糸ボビン3(糸のない空ボビン、又は糸が少しだけ残っている残糸ボビン)を排出する。駆動モータ32は、ボビン支持部フレーム30に取り付けられており、ボビン支持排出機構31を駆動させる。
【0029】
ボビン支持排出機構31は、ボビン保持ペッグ33及び跳ね板34を有している。ボビン保持ペッグ33は、筒状の給糸ボビン3に挿入されて、給糸ボビン3を直立させた状態で保持する。跳ね板34には、ボビン保持ペッグ33に保持された給糸ボビン3のボトムが接触する。
【0030】
図4、図5、図6及び図7に示されるように、ボビン保持ペッグ33は、突片状の第1保持片33a、及び第1保持片33aよりも短い突片状の第2保持片33bを有している。第1保持片33aは、軸42に対して相対回動自在となるように、軸42の端部に基部35を介して取り付けられている。第2保持片33bは、軸42と一体的に回動自在となるように、軸42に連結されている。軸42は、ボビン支持部フレーム30に回転自在に支持されている。
【0031】
更に、第1保持片33aは、図示しないバネによって、第2保持片33bと重なるように付勢されている。つまり、軸42に連結された第2保持片33bと、バネによって付勢されている第1保持片33aとは、軸42が回転することによって、互いに重なった状態でボビン支持部フレーム30に対して一体的に回動する。
【0032】
ただし、第1保持片33aは、直立した状態においては、図示しないストッパーによって、それ以上の後方(図5、図6及び図7における反時計回り方向)への回動が規制される。一方、第2保持片33bは、第1保持片33aとは異なり、直立した状態から後方への回動は規制されず、第1保持片33aよりも更に後方へ傾くように回動する。つまり、両保持片33a,33bは、重なって閉じた状態(図5及び図7の状態)、及び開いた状態(図6の状態)の2つの状態を取り得る。
【0033】
また、第2保持片33bは、軸42に固定された揺動片44を介して、略水平に延在する連結ロッド36に連結されている。連結ロッド36は、ボビン支持部フレーム30に揺動自在に設けられた揺動片37の一端(遊動端)に連結されている。揺動片37は、プーリ38及びベルト39を介して、駆動モータ32の出力軸に連結されている。
【0034】
跳ね板34は、ボビン保持ペッグ33の第1保持片33a及び第2保持片33bを軸42の延在方向両側から挟むように配設されている。跳ね板34は、軸40を介してボビン支持部フレーム30に回動自在に取り付けられている。軸40には揺動片41が固定されており、揺動片41は、連結ロッド45を介して揺動片44に連結されている。跳ね板34は、略水平なボビン支持位置(図6の位置)、ボビン支持位置から前方(図5、図6及び図7における時計回り方向)へ回動したボビン受取位置(図5の位置)、及びボビン受取位置よりも更に前方へ回動したボビン排出位置(図7の位置)に渡って、軸40を回動軸として回動自在となっている。
【0035】
駆動モータ32は、ステッピングモータからなり、後述するユニット制御装置80からのパルス信号によって制御される。駆動モータ32は、次のように、ボビン支持部10がボビン供給部11から給糸ボビン3を順次に受け取り、給糸ボビン3を支持し、又は給糸ボビン3を排出するように、ボビン支持部10を駆動させる。
【0036】
すなわち、駆動モータ32の回転駆動力は、揺動片37を介して連結ロッド36に伝達され、連結ロッド36が水平方向に移動することにより、ボビン保持ペッグ33の第2保持片33bが回動駆動する。また、このように第2保持片33bが回動駆動したときには、第2保持片33bに連結された第1保持片33aは、第2保持片33bと重なった状態で一体的に回動する。
【0037】
ただし、前述したように、第1保持片33aが直立している状態(図6の状態)で更に連結ロッド36が後方へ移動したときには、第1保持片33aは、図示しないストッパーによって、それ以上の後方への回動が規制されるため、第2保持片33bのみが後方へ回動することになる。その結果、両保持片33a,33bが開くことになり、両保持片33a,33bが筒状の給糸ボビン3に挿入されている状態(図3及び図6参照)でボビン内面に密着することから、ボビン保持ペッグ33から給糸ボビン3が抜けるのが防止される。
【0038】
また、ボビン保持ペッグ33は、ボビン供給部11からの給糸ボビン3の供給時、糸解舒中の給糸ボビン3の支持時、及び不要となった給糸ボビン3の排出時に、それぞれ、異なる3つの位置を取り得るように構成されている。すなわち、ボビン保持ペッグ33は、鉛直方向に対してやや前方へ傾いたボビン受取位置(図5の位置)、直立状態で両保持片33a,33bが開いたボビン支持位置(図6の位置)、及びボビン受取位置よりも更に前方へ傾いたボビン排出位置(図7の位置)に渡って、回動自在となっている。
【0039】
更に、駆動モータ32によって連結ロッド36が水平方向に駆動させられ、ボビン保持ペッグ33が回動するときには、駆動モータ32の駆動力が連結ロッド45及び揺動片41を介して跳ね板34にも伝達され、跳ね板34が回動駆動する。
【0040】
図6に示されるように、ボビン保持ペッグ33が、直立状態のボビン支持位置にあるときには、跳ね板34は略水平なボビン支持位置にあり、跳ね板34の上面に、ボビン保持ペッグ33に保持された給糸ボビン3のボトムが接触している。この状態から、図7に示されるように、跳ね板34が前方に回動すると、ボビン保持ペッグ33も前方に回動しつつ、両保持片33a,33bが閉じることになり、給糸ボビン3の抜け止め状態が解除される。更に、跳ね板34がボビン排出位置まで回動すると、給糸ボビン3は、跳ね板34により前方へ跳ね上げられつつ、ボビン保持ペッグ33から抜けることになり、給糸ボビン3がボビン支持部10外(前方)へ排出される。
【0041】
なお、ボビン支持部10を構成するボビン保持ペッグ33、跳ね板34、駆動モータ32等は、全て、機台2に着脱自在なボビン支持部フレーム30に取り付けられている。つまり、ボビン支持部10は、機台2に対して着脱自在に設けられている。そのため、交換や修理等のためにボビン支持部10を機台2から取り外すことが可能である。ボビン支持部フレーム30は、例えば、ネジ止めによって機台2に着脱自在に取り付けられている。
【0042】
次に、ボビン供給部11について説明する。図3に示すように、ボビン供給部11は、供給機構51及び駆動モータ(第2駆動源)52を有している。供給機構51は、給糸ボビン3をボビン支持部10に供給する。駆動モータ52は、供給機構51を駆動させる。
【0043】
供給機構51は、マガジン53及びガイドシュート54を有している。マガジン53は、精紡機で形成された複数の給糸ボビン3を収容することができる。ガイドシュート54は、マガジン53の下方に配置されており、マガジン53に収容された複数の給糸ボビン3のうちの1本をボビン支持部10へ向けて案内しながら落下させる。また、機台2には供給部フレーム50が、例えばネジ止めによって、着脱自在に設けられている。マガジン53及びガイドシュート54は、ボビン支持部10のボビン保持ペッグ33に向くように鉛直方向に対してやや傾いた姿勢で、供給部フレーム50に取り付けられている。
【0044】
マガジン53は、供給部フレーム50に支持された回転軸55を中心に回転自在となっている。マガジン53の内部には、糸Yが所定量巻かれた給糸ボビン3が収容される複数のボビン収容スペース56が周方向に配置されている。マガジン53の下側には、各ボビン収容スペース56に収容された給糸ボビン3を受けるボビン受け板57が設けられている。ボビン受け板57には、ガイドシュート54に対向するように、図示しない切欠部が形成されている。これにより、マガジン53が回動して給糸ボビン3が切欠部の上方に位置すると、その給糸ボビン3は、切欠部を介して、ガイドシュート54、延いてはボビン支持部10へ落下する。
【0045】
マガジン53の下部には、回転軸55に外装された筒部材58が固定されており、筒部材58の外周面には爪車59が固定されている。つまり、爪車59とマガジン53とは一体的に回転するようになっている。図8に示されるように、爪車59の外側には、爪車59に係合してその回転を規制するストップラッチ74、及び回転自在なローラ75が設けられている。ストップラッチ74とローラ75とは、連結部材76を介して連結されている。また、筒部材58には、旋回板60が筒部材58に対して旋回自在に設けられている。旋回板60には、ピン60a及び爪部60bが設けられている。これにより、駆動モータ52の駆動力が旋回板60に伝達されて、旋回板60が旋回動作をすると、旋回板60のピン60aがローラ75を押し出すことにより、ローラ75に連結されたストップラッチ74が爪車59から外れて、爪車59の回転規制が解除される。そして、旋回板60の爪部60bが爪車59を1ピッチ回動させることにより、マガジン53が回動する。
【0046】
図3に示されるように、ガイドシュート54は、一対の第1ガイド板61、一対の第2ガイド板62及び一対の第3ガイド板63を有している。一対の第1ガイド板61は、供給部フレーム50に固定されている。また、一対の第2ガイド板62は、第1ガイド板61に対して回動自在に設けられている。
【0047】
第1ガイド板61と第2ガイド板62とは、ロッド64を介して連結されており、第2ガイド板62は、第1ガイド板61に対して、ロッド64を中心に外側及び内側に回動自在となっている。また、ロッド64は、レバー66を介して軸部材67に連結されており、軸部材67は、プーリ68及びベルト69を介して、供給部フレーム50に固定された駆動モータ52の出力軸に連結されている。更に、軸部材67には、L字状のレバー70の一端が固定されており、レバー70の他端は、連結部材73を介して、マガジン53に設けられた旋回板60に連結されている。これにより、軸部材67が回転すると、レバー70が軸部材67を中心に上下に揺動し、更に、連結部材73が旋回板60と平行な平面に沿って回動する。そして、この連結部材73の回動によって、旋回板60が旋回する。
【0048】
第3ガイド板63は、第1ガイド板61及び第2ガイド板62よりも外側に配置されており、軸71を介して第1ガイド板61に回動自在に連結されている。また、第3ガイド板63は、軸71に設けられたねじりバネ72によって内側(閉じる方向)に付勢されて、第2ガイド板62に押し付けられている。
【0049】
駆動モータ52は、ステッピングモータからなり、後述するユニット制御装置80からのパルス信号によって制御される。駆動モータ52は、次のように、ボビン供給部11がボビン支持部10に給糸ボビン3を順次に供給するように、ボビン供給部11を駆動させる。
【0050】
すなわち、駆動モータ52の回転駆動力は、まず、ベルト69及びプーリ68を介して軸部材67に伝達される。そして、軸部材67の回転は、レバー70を介して旋回板60に伝達され、旋回板60のピン60aが爪車59のローラ75を押し出すことで、ストップラッチ74による爪車59の回転規制が解除される。更に、旋回板60の爪部60bが爪車59を1ピッチ回動させる。すると、爪車59と一体回転するマガジン53も回動することになり、これにより、ボビン収容スペース56が周方向に1つ分ずれる。このとき、ボビン受け板57の切欠部の上方に位置することとなった1本の給糸ボビン3が切欠部から下方に落下する。
【0051】
一方、ガイドシュート54においては、マガジン53から給糸ボビン3が供給されないときには、一対の第2ガイド板62及び一対の第3ガイド板63が第1ガイド板61に対して外側(開く方向)に回動した状態となっている。これは、本来の給糸ボビン3の供給時以外に、マガジン53から誤って落下した給糸ボビン3がガイドシュート54を介してボビン支持部10に達するのを防止すると共に、給糸ボビン3からの糸Yの解舒中に、糸Yのバルーンに接触しないように、一対の第2ガイド板62及び一対の第3ガイド板63を退避させるためである。
【0052】
この状態から、駆動モータ52により軸部材67が回転駆動させられると、その回転はレバー66及びロッド64を介して第2ガイド板62にも伝達され、第2ガイド板62が第1ガイド板61に対して内側(閉じる方向)に回動する。また、この第2ガイド板62の回動に伴って、第2ガイド板62にねじりバネ72によって押し付けられている第3ガイド板63も第1ガイド板61に対して内側に回動する。そして、一対の第2ガイド板62及び一対の第3ガイド板63が、それぞれ第1ガイド板61に対して開いた状態から内側に回動することにより、マガジン53からボビン支持部10へ向かう給糸ボビン3の供給通路が形成される。これにより、マガジン53から落下した給糸ボビン3が、ガイド板61,62,63によってボビン支持部10へ案内される。
【0053】
なお、ボビン供給部11を構成するマガジン53、ガイドシュート54、第2駆動モータ52等は、全て、機台2に着脱自在な供給部フレーム50に取り付けられている。つまり、ボビン供給部11は、機台2に対して着脱自在に設けられている。そのため、交換や修理等のためにボビン供給部11を機台2から取り外すことが可能である。供給部フレーム50は、例えば、ネジ止めによって機台2に着脱自在に取り付けられている。
【0054】
次に、巻取ユニット1の動作を制御するユニット制御装置(制御部)80、及びパッケージ6として巻き取られた糸Yの糸量を判定する糸量判定部85について説明する。
【0055】
図1及び図3に示されるように、ユニット制御装置80は、自動ワインダ100の全体動作の制御を司る制御装置101からの指令を受けて、ボビン支持部10、ボビン供給部11及び巻取部12を含む巻取ユニット1の各部を制御する。ユニット制御装置80は、演算処理装置であるCPU、CPUが実行するプログラム及びプログラムに使用されるデータを記憶するROM、プログラム実行時にデータを一時記憶するRAM等で構成されている。
【0056】
図9に示されるように、糸量判定部85は、パッケージ回転量検出部86によって検出されたパッケージ6の回転量に基づいて、巻取部12によってパッケージ6として巻き取られた糸Yの糸量を判定する。パッケージ回転量検出部86は、巻取部12に設けられており、パッケージ6の回転量を検出する。パッケージ回転量検出部86は、例えば、次のように構成される。すなわち、パッケージ回転量検出部86は、クレードル20の一方のクレードルアームに設けられている。この回転量検出部86は、ホールICと、周方向に多極着磁された円板状磁石と、を有している。円板状磁石は、パッケージ6の回転軸と一体的に回転するように構成されている。また、ホールICは、円板状磁石の周方向の端部に近接して配置されている。以上の構成により、パッケージ6が回転すると、円板状磁石も一体的に回転し、その円板状磁石の回転によって引き起こされる磁界の変化をホールICが検知する。そして、パッケージ6の1回転当たりのパルス信号の数をパッケージ回転量検出部86が出力する。
【0057】
ここで、ユニット制御装置80の制御による巻取ユニット1の巻取動作について説明する。まず、ユニット制御装置80は、ボビン支持部10に給糸ボビン3の受取動作を実行させる。すなわち、ユニット制御装置80は、ボビン支持部10において駆動モータ32を駆動させて、図5に示されるように、ボビン保持ペッグ33及び跳ね板34をボビン受取位置に位置させる。
【0058】
その一方で、ユニット制御装置80は、ボビン供給部11に給糸ボビン3の供給動作を実行させる。すなわち、ユニット制御装置80は、ボビン供給部11において駆動モータ52を駆動させて、マガジン53を回動させると共に、ガイドシュート54の第2ガイド板62及び第3ガイド板63を第1ガイド板61に対して内側に回動させる(すなわち、マガジン53からボビン支持部10へ向かう給糸ボビン3の供給通路を形成する)。
【0059】
これにより、マガジン53から給糸ボビン3が1本落下し、落下した給糸ボビン3がガイドシュート54に案内されてボビン支持部10に至る。そして、ボビン支持部10に至った給糸ボビン3に、ボビン保持ペッグ33の第1保持片33a及び第2保持片33bが挿入される。同時に、給糸ボビン3のボトムが跳ね板34に接触する。このように、給糸ボビン3は、ボビン供給部11からボビン支持部10に1本ずつ順次に供給される。
【0060】
なお、ユニット制御装置80は、ボビン保持ペッグ33による給糸ボビン3の保持が完了した後(給糸ボビン3にボビン保持ペッグ33が挿入された後)、駆動モータ52を駆動させて、ガイドシュート54の第2ガイド板62及び第3ガイド板63を第1ガイド板61に対して外側に回動させる(すなわち、ガイドシュート54を開放状態に戻す)。
【0061】
続いて、ユニット制御装置80は、ボビン支持部10に給糸ボビン3の支持動作を実行させる。すなわち、ユニット制御装置80は、ボビン支持部10において駆動モータ32を駆動させて、図6に示されるように、ボビン保持ペッグ33及び跳ね板34をボビン支持位置に位置させる。これにより、給糸ボビン3は、ボビン保持ペッグ33によって保持されて、ボビン支持部10に支持される。続いて、ユニット制御装置80は、巻取部12に糸Yの巻取動作を実行させるなど、巻取ユニット1の各部にパッケージ6の形成動作を実行させる。
【0062】
そして、ボビン支持部10に支持された給糸ボビン3の糸Yが全て巻き取られた場合(或いは、クリアラー16で頻繁に糸欠点が検出されるなど、給糸ボビン3の糸品質が悪いと判断された場合)には、ユニット制御装置80は、巻取部12に糸Yの巻取動作を一旦停止させ、ボビン支持部10に給糸ボビン3の排出動作を実行させる。すなわち、ユニット制御装置80は、ボビン支持部10において駆動モータ32を駆動させて、図7に示されるように、ボビン保持ペッグ33及び跳ね板34をボビン排出位置に位置させる。これにより、ボビン支持部10から前方に給糸ボビン3が排出される。
【0063】
以降、ユニット制御装置80は、給糸ボビン3の受取動作、給糸ボビン3の供給動作、給糸ボビン3の支持動作、糸Yの巻取動作及び給糸ボビン3の排出動作を、パッケージ6が満巻状態になるまで(すなわち、所定仕様のパッケージ6が形成されるまで)、巻取ユニット1の各部に繰り返し実行させる。ユニット制御装置80は、糸量判定部85によって判定された糸量がパッケージ6の満巻に相当する糸量となったときに、パッケージ6が満巻状態になったと判断する。なお、巻取ユニット1で形成された満巻のパッケージ6は、玉揚装置4によって回収され、巻取管7が玉揚装置4によって再び巻取ユニット1に装着される。
【0064】
次に、ユニット制御装置80の制御による巻取ユニット1のロットチェンジ動作(巻取ユニット1において実施されるロットチェンジ方法)について、図10のフローチャートを参照しつつ説明する。まず、オペレータによって制御装置101にロットチェンジ情報が入力されると、制御装置101から各巻取ユニット1にロットチェンジ情報が出力される。なお、ロットチェンジ情報とは、パッケージ6に巻き取るべき糸Yの糸種(すなわち、形成すべきパッケージ6の糸種)を変更するロットチェンジを指示する情報である。
【0065】
このとき、各巻取ユニット1のユニット制御装置80は、制御装置101からロットチェンジ情報が入力されたか否かを判断し(ステップS01)、ロットチェンジ情報が入力された場合には、その時点で仕掛かっているパッケージ6について、糸量判定部85によって判定された糸量がそのパッケージ6の満巻に相当する糸量となったか否かを判断する(ステップS02)。
【0066】
そして、ユニット制御装置80は、糸量判定部85によって判定された糸量がパッケージ6の満巻に相当する糸量となった場合には、クリアラー16に糸Yの切断動作を実行させる(ステップS03)。すなわち、ユニット制御装置80は、クリアラー16に付設されたカッターに、給糸ボビン3とパッケージ6との間に渡る糸Yを切断させる。更に、ユニット制御装置80は、巻取部12に糸Yの巻取動作を停止させる(ステップS04)。
【0067】
続いて、ユニット制御装置80は、ボビン支持部10に給糸ボビン3の排出動作を実行させる(ステップS05)。すなわち、ユニット制御装置80は、ボビン支持部10において駆動モータ32を駆動させて、ボビン保持ペッグ33及び跳ね板34をボビン排出位置に位置させる。これにより、ボビン支持部10から前方に給糸ボビン3が排出される。このとき、ユニット制御装置80は、ボビン供給部11に給糸ボビン3の供給動作を実行させない。すなわち、ユニット制御装置80は、ボビン供給部11において駆動モータ52を駆動させない。
【0068】
その後、巻取ユニット1で形成されたロットチェンジ前のパッケージ6は回収され、ロットチェンジ後の巻取管7が巻取ユニット1に装着される。一方、ボビン供給部11のマガジン53には、ロットチェンジ後の給糸ボビン3がオペレータによって投入される。そして、前述したように、ユニット制御装置80の制御による巻取ユニット1の巻取動作が実施される。
【0069】
なお、ユニット制御装置80は、ロットチェンジ情報が入力されたときに、その時点で仕掛かっているパッケージ6が満巻状態になるまでに必要な給糸ボビン3の本数を算出し、その必要本数を巻取ユニット1の表示部に表示させてもよい。ユニット制御装置80は、パッケージ6が満巻状態になるまでに必要な糸量を、ロットチェンジ前の給糸ボビン3の満巻1本当たりの糸量で除することで、上述した給糸ボビン3の必要本数を算出することができる。ここで、パッケージ6が満巻状態になるまでに必要な糸量は、糸量判定部85によって判定された糸量に基づいて算出される。また、ロットチェンジ前の給糸ボビン3の満巻1本当たりの糸量は予め入力されて記憶されている。
【0070】
これによれば、オペレータが必要本数を超えてロットチェンジ前の給糸ボビン3をマガジン53に投入するような無駄な作業の発生を抑制することができる。また、ロットチェンジ前の給糸ボビン3の残りの本数では、ロットチェンジ情報が入力された時点で仕掛かっていたパッケージ6を満巻状態にすることができないといったことを推測することができる。
【0071】
以上説明したように、巻取ユニット1、及びそれにおいて実施されるロットチェンジ方法では、ロットチェンジ情報が入力されると、パッケージ6として巻き取られた糸Yの糸量がパッケージ6の満巻に相当する糸量となってから、糸Yの巻取動作が停止され、給糸ボビン3の排出動作が実行される。よって、巻取ユニット1、及びそれにおいて実施されるロットチェンジ方法によれば、ロットチェンジに際し、ロットチェンジ前の給糸ボビン3を取り除くためのオペレータの作業負担を軽減することができる。特に、ボビン支持部10は、巻取ユニット1の底部でかつボビン供給部11の後側に位置しているといった事情等から、オペレータは、ボビン支持部10にアクセスしにくい。従って、ボビン支持部10から給糸ボビン3を取り除く作業を不要とする巻取ユニット1、及びそれにおいて実施されるロットチェンジ方法は、極めて有効なものである。
【0072】
また、ボビン支持部10が駆動モータ32によって駆動させられ、ボビン供給部11が駆動モータ52によって駆動させられるというように、ボビン支持部10とボビン供給部11とは、別個の駆動源によりそれぞれ独立して駆動させられる。そして、ユニット制御装置80は、ロットチェンジ情報が入力された場合において、糸量判定部85によって判定された糸量がパッケージ6の満巻に相当する糸量となったきには、巻取部12に糸Yの巻取動作を停止させ、駆動モータ52による駆動を実行させずに駆動モータ32による駆動を実行させることにより、ボビン支持部10に給糸ボビン3の排出動作を実行させる。これにより、ロットチェンジに際し、ボビン供給部11からボビン支持部10に給糸ボビン3が供給されずに、ボビン支持部10から給糸ボビン3が排出されるので、ボビン支持部10からの給糸ボビン3の排出動作を効率良く実施することができる。つまり、ボビン支持部10からの給糸ボビン3の排出後に、再びボビン供給部11からボビン支持部10に給糸ボビン3が供給されると、ボビン支持部10からの給糸ボビン3の排出動作をもう一度実行させるか、或いはオペレータがボビン支持部10から給糸ボビン3を取り除かなければならないが、そのような事態を防止して、ボビン支持部10からの給糸ボビン3の排出動作を効率良く完了させることができる。
【0073】
また、糸量判定部85は、パッケージ回転量検出部86によって検出されたパッケージ6の回転量に基づいて、巻取部12によってパッケージ6として巻き取られた糸Yの糸量を判定する。これにより、巻取部12によってパッケージ6として巻き取られた糸Yの糸量を簡易な構成で精度良く判定することができる。
【0074】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、ボビン支持部10及びボビン供給部11のそれぞれを駆動させる駆動源は、駆動モータ32,52に限定されず、エアシリンダ等の流体圧シリンダであってもよい。一例として、図11に示されたボビン支持部10Aでは、ボビン支持部フレーム30にエアシリンダ(第1駆動源)32Aが固定されており、エアシリンダ32Aのロッド先端が揺動片90に連結されている。揺動片90の揺動軸は、連結ロッド36に連結された揺動片37の揺動軸と共通である。従って、エアシリンダ32Aによって揺動片90が揺動駆動させられることで、揺動片37を介して連結ロッド36,45に駆動力が伝達され、ボビン保持ペッグ33及び跳ね板34が回動駆動する。
【0075】
また、図11に示されたボビン供給部11Aでは、供給部フレーム50にエアシリンダ(第2駆動源)52Aが固定されており、エアシリンダ52Aのロッド先端が揺動片91に連結されている。揺動片91は、軸部材67に連結されている。従って、エアシリンダ52Aによって揺動片91が揺動駆動させられることで、軸部材67が回転駆動し、マガジン53及びガイドシュート54が駆動する。
【0076】
このように、ボビン支持部10A及びボビン供給部11Aのそれぞれを駆動させる駆動源としてエアシリンダ32A,52Aを採用すれば、駆動モータ32,52を採用した場合と比較して、プーリ38,68やベルト39,69等を省略することができる。特に、ボビン支持部10Aにおいては、エアシリンダ32Aの往復直線運動を揺動運動に変換する揺動片90や、その揺動運動を連結ロッド36の往復直線運動に変換する揺動片37を省略し、エアシリンダ32Aによってボビン支持部10Aの連結ロッド36を直接水平方向に駆動させることも可能である。
【0077】
また、ボビン支持部10においては、ボビン保持ペッグ33と跳ね板34とが、別個の駆動源によりそれぞれ独立して駆動させられるように構成されてもよい。また、ボビン供給部11においては、マガジン53とガイドシュート54とが、別個の駆動源によりそれぞれ独立して駆動させられるように構成されてもよい。
【0078】
また、ユニット制御装置80の機能は、自動ワインダ100の全体の制御を司る制御装置101に持たせてもよい。また、ボビン支持部10(10A)とボビン供給部11(11A)とは、共通の駆動源によって連動して駆動させられてもよい。この場合、ユニット制御装置80は、ロットチェンジ情報が入力された場合において、糸量判定部85によって判定された糸量がパッケージ6の満巻に相当する糸量となったきには、まず、巻取部12に糸Yの巻取動作を停止させる。そして、ユニット制御装置80は、ボビン供給部11が保持するロットチェンジ前の給糸ボビン3が全て無くなるまで、ボビン支持部10に給糸ボビン3の排出動作を実行させる。
【0079】
また、巻取部12は、パッケージ回転量検出部86に代えて、巻取ドラム21の回転量を検出するドラム回転量検出部を有し、糸量判定部85は、ドラム回転量検出部によって検出された巻取ドラム21の回転量に基づいて、巻取部12によってパッケージ6として巻き取られた糸Yの糸量を判定してもよい。この場合にも、簡易な構成で精度良く糸量を判定することができる。ドラム回転量検出部としては、例えば、パッケージ回転量検出部86と同様に、ホールICと、周方向に多極着磁された円板状磁石と、を有するものを使用することができる。その場合、巻取ドラム21の1回転当たりのパルス信号の数をドラム回転量検出部が出力する。
【0080】
また、巻取ユニット1は、パッケージ回転量検出部86に代えて、ボビン支持部10と巻取部12との間において、糸Yの走行速度及び走行長さの少なくとも一方に相当する糸走行量を検出する糸走行量検出部を備え、糸量判定部85は、糸走行量検出部によって検出された糸走行量に基づいて、巻取部12によってパッケージ6として巻き取られた糸Yの糸量を判定してもよい。この場合にも、簡易な構成で精度良く糸量を判定することができる。糸走行量検出部としては、例えば、光電式定長装置や糸速センサを使用することができる。より具体的には、糸走行量検出部としては、光学式であり、無数の毛羽を有する糸Yを受光素子上に投影し、その投影された糸が走行する際に生じる光電流の変化をいわゆる空間フィルタ原理を用いて処理し、これを用いて糸Yの走行速度又は走行長さを算出するものがある。
【0081】
また、巻取部12は、パッケージ回転量検出部86に代えて、クレードル20の位置(例えば角度)を検出する位置検出部を有し、糸量判定部85は、位置検出部によって検出されたクレードル20の位置に基づいて、巻取部12によってパッケージ6として巻き取られた糸Yの糸量を判定してもよい。この場合にも、簡易な構成で精度良く糸量を判定することができる。位置検出部としては、例えばクレードル20の角度を検出するセンサを使用することができる。
【0082】
また、巻取部12は、パッケージ回転量検出部86に代えて、パッケージ6として巻き取られた糸Yの巻径を検出する巻径検出部を有し、糸量判定部85は、巻径検出部によって検出された巻径に基づいて、巻取部12によってパッケージ6として巻き取られた糸Yの糸量を判定するようにしてもよい。この場合にも、簡易な構成で精度良く糸量を判定することができる。巻径検出部としては、例えばパッケージ6として巻き取られた糸Yの巻径を検出するセンサを使用することができる。より具体的には、巻径検出部としては、クレードル20のクレードルアームに複数設けられた光電センサの反応によって、現在の巻取管7における糸Yの巻径を検知するものがある。このセンサは、一方のクレードルアームに投光センサを設けると共に他方のクレードルアームに受光センサを設けて、透過光を検知することにより巻径を検出するようにしてもよいし、或いは、一方のクレードルアームに投光センサ及び受光センサを設けて、反射光を検知することにより巻径を検出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…巻取ユニット(糸巻取装置)、3…給糸ボビン、7…巻取管、10…ボビン支持部、11…ボビン供給部、12…巻取部、20…クレードル、21…巻取ドラム、32…駆動モータ(第1駆動源)、32A…エアシリンダ(第1駆動源)、52…駆動モータ(第2駆動源)、52A…エアシリンダ(第2駆動源)、80…ユニット制御装置(制御部)、85…糸量判定部、86…パッケージ回転量検出部、Y…糸。
【技術分野】
【0001】
本発明は、給糸ボビンの糸を巻き取ってパッケージを形成する糸巻取装置、及び糸巻取装置において実施されるロットチェンジ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所定仕様のパッケージを生産するために、給糸ボビンの糸を巻き取ってパッケージを形成する糸巻取装置が知られている。そのような糸巻取装置への給糸ボビンの供給方式としては、給糸ボビンがトレーにセットされて精紡機から連続的に供給されるトレー式と称されるものや(例えば特許文献1参照)、複数の給糸ボビンを収容するマガジンから順次に給糸ボビンが供給されるマガジン式と称されるものがある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−49353号公報
【特許文献2】特開2009−18930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、巻取管に巻き取るべき糸の糸種(すなわち、形成すべきパッケージの糸種)を変更するロットチェンジに際しては、ロットチェンジ前のパッケージが満巻となってから巻取動作が停止させられる。しかしながら、マガジン式の供給方式を採用する糸巻取装置においては、ロットチェンジ前の糸種の給糸ボビンがマガジンやボビン支持部に残るため、オペレータがそれらの給糸ボビンを取り除く必要がある。ただし、ボビン支持部が糸巻取装置の底部でかつマガジンの後側に位置しているといった事情等から、ボビン支持部にアクセスしにくく、その結果、ボビン支持部から給糸ボビンを取り除くためのオペレータの作業負担は極めて大きい。
【0005】
そこで、本発明は、ロットチェンジに際し、ロットチェンジ前の給糸ボビンを取り除くためのオペレータの作業負担を軽減することができる糸巻取装置及びロットチェンジ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の糸巻取装置は、給糸ボビンの糸を巻き取ってパッケージを形成する糸巻取装置であって、給糸ボビンを支持するボビン支持部と、複数の給糸ボビンを保持し、ボビン支持部に給糸ボビンを順次に供給するボビン供給部と、ボビン支持部に支持された給糸ボビンの糸をパッケージとして巻き取る巻取部と、巻取部によってパッケージとして巻き取られた糸の糸量を判定する糸量判定部と、ロットチェンジ情報が入力された場合において、糸量判定部によって判定された糸量がパッケージの満巻に相当する糸量となったきには、巻取部に糸の巻取動作を停止させ、ボビン支持部に給糸ボビンの排出動作を実行させる制御部と、を備える。
【0007】
この糸巻取装置では、パッケージとして巻き取るべき糸の糸種を変更するロットチェンジを指示するロットチェンジ情報が入力されると、パッケージとして巻き取られた糸の糸量がパッケージの満巻に相当する糸量となってから、糸の巻取動作が停止され、給糸ボビンの排出動作が実行される。よって、この糸巻取装置によれば、ロットチェンジに際し、ロットチェンジ前の給糸ボビンを取り除くためのオペレータの作業負担を軽減することができる。
【0008】
また、本発明の糸巻取装置は、ボビン支持部がボビン供給部から給糸ボビンを受け取り、給糸ボビンを支持し、又は給糸ボビンを排出するように、ボビン支持部を駆動させる第1駆動源と、ボビン供給部がボビン支持部に給糸ボビンを順次に供給するように、ボビン供給部を駆動させる第2駆動源と、を更に備え、制御部は、ロットチェンジ情報が入力された場合において、糸量判定部によって判定された糸量がパッケージの満巻に相当する糸量となったきには、巻取部に糸の巻取動作を停止させ、第2駆動源による駆動を実行させずに第1駆動源による駆動を実行させることにより、ボビン支持部に給糸ボビンの排出動作を実行させてもよい。この構成によれば、ロットチェンジに際し、ボビン供給部からボビン支持部に給糸ボビンが供給されずに、ボビン支持部から給糸ボビンが排出されるので、給糸ボビンの排出動作を効率良く実施することができる。
【0009】
また、本発明の糸巻取装置においては、巻取部は、パッケージの回転量を検出するパッケージ回転量検出部を有し、糸量判定部は、パッケージ回転量検出部によって検出された回転量に基づいて糸量を判定してもよい。この構成によれば、簡易な構成で精度良く糸量を判定することができる。
【0010】
また、本発明の糸巻取装置においては、巻取部は、パッケージを回転させるための巻取ドラム、及び巻取ドラムの回転量を検出するドラム回転量検出部を有し、糸量判定部は、ドラム回転量検出部によって検出された回転量に基づいて糸量を判定してもよい。この構成によれば、簡易な構成で精度良く糸量を判定することができる。
【0011】
また、本発明の糸巻取装置は、ボビン支持部と巻取部との間において、糸の走行速度及び走行長さの少なくとも一方に相当する糸走行量を検出する糸走行量検出部を更に備え、糸量判定部は、糸走行量検出部によって検出された糸走行量に基づいて糸量を判定してもよい。この構成によれば、簡易な構成で精度良く糸量を判定することができる。
【0012】
また、本発明の糸巻取装置においては、巻取部は、パッケージを移動自在に支持するクレードル、及びクレードルの位置を検出する位置検出部を有し、糸量判定部は、位置検出部によって検出された位置に基づいて糸量を判定してもよい。この構成によれば、簡易な構成で精度良く糸量を判定することができる。
【0013】
また、本発明の糸巻取装置においては、巻取部は、パッケージとして巻き取られた糸の巻径を検出する巻径検出部を有し、糸量判定部は、巻径検出部によって検出された巻径に基づいて糸量を判定してもよい。この構成によれば、簡易な構成で精度良く糸量を判定することができる。
【0014】
また、本発明のロットチェンジ方法は、給糸ボビンを支持するボビン支持部と、複数の給糸ボビンを保持し、ボビン支持部に給糸ボビンを順次に供給するボビン供給部と、ボビン支持部に支持された給糸ボビンの糸をパッケージとして巻き取る巻取部と、巻取部によってパッケージとして巻き取られた糸の糸量を判定する糸量判定部と、を備える糸巻取装置において実施されるロットチェンジ方法であって、ロットチェンジ情報が入力された場合において、糸量判定部によって判定された糸量がパッケージの満巻に相当する糸量となったきに、給糸ボビンとパッケージとの間に渡る糸を切断し、巻取部に糸の巻取動作を停止させる第1工程と、第1工程の後に、ボビン支持部に給糸ボビンの排出動作を実行させる第2の工程と、を含む。
【0015】
このロットチェンジ方法では、パッケージとして巻き取るべき糸の糸種を変更するロットチェンジを指示するロットチェンジ情報が入力されると、パッケージとして巻き取られた糸の糸量がパッケージの満巻に相当する糸量となってから、糸の巻取動作が停止され、給糸ボビンの排出動作が実行される。よって、このロットチェンジ方法によれば、ロットチェンジに際し、ロットチェンジ前の給糸ボビンを取り除くためのオペレータの作業負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ロットチェンジに際し、ロットチェンジ前の給糸ボビンを取り除くためのオペレータの作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態の糸巻取装置である巻取ユニットを複数具備する自動ワインダの構成図である。
【図2】図1の巻取ユニットの側面図である。
【図3】図2の巻取ユニットの下部構造の拡大図である。
【図4】図1の巻取ユニットのボビン支持部の斜視図である。
【図5】給糸ボビン受取時のボビン支持部の側面図である。
【図6】給糸ボビン支持時のボビン支持部の側面図である。
【図7】給糸ボビン排出時のボビン支持部の側面図である。
【図8】図1の巻取ユニットのボビン供給部の爪車及びその周辺部の平面図である。
【図9】図1の巻取ユニットの巻取部及び糸量判定部のブロック図である。
【図10】図1の巻取ユニットにおいて実施されるロットチェンジ方法のフローチャートである。
【図11】本発明の他の実施形態の糸巻取装置である糸巻取ユニットの下部構造の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
図1に示されるように、自動ワインダ100は、水平方向に沿って一列に並設された複数の巻取ユニット(糸巻取装置)1と、巻取ユニット1の並設方向に沿って往復移動する玉揚装置4と、を具備している。各巻取ユニット1は、精紡機で形成された給糸ボビンから糸を解舒して巻取管に巻き取り、所定仕様(所定糸種、所定糸量、所定形状等)のパッケージを形成する。玉揚装置4は、巻取ユニット1で形成されたパッケージを巻取ユニット1から回収すると共に、巻取管を巻取ユニット1に装着する。なお、以下、本実施形態では、糸を巻くための管を巻取管7とし、糸が巻かれた巻取管7をパッケージ6とする。更に、製品として規定された量の糸が巻取管7に巻かれたパッケージ6を満巻のパッケージ6とする。
【0020】
図2に示されるように、巻取ユニット1は、ボビン支持部10と、ボビン供給部11と、巻取部12と、を備えている。ボビン支持部10は、筒状の給糸ボビン3を直立させた状態で支持する。ボビン供給部11は、複数の給糸ボビン3を保持し、ボビン支持部10に給糸ボビン3を順次に供給する。巻取部12は、ボビン支持部10に支持された給糸ボビン3から糸Yを解舒して、満巻に相当する糸量となるまで巻取管7に糸Yを巻き取る。
【0021】
ボビン支持部10から巻取部12に至る糸走行経路には、ボビン支持部10側から順に、解舒補助装置13、テンション付加装置14、糸継装置15、クリアラー(糸欠点検出装置)16、ワキシング装置17が設置されている。ボビン支持部10、ボビン供給部11、巻取部12、解舒補助装置13、テンション付加装置14、糸継装置15、クリアラー16及びワキシング装置17は、巻取ユニット1の機台2に取り付けられている。
【0022】
解舒補助装置13は、給糸ボビン3の上部に被さる筒体13a、及び筒体13aの内側において給糸ボビン3の上部の糸Yを検出する糸検出センサ13bを有している。解舒補助装置13は、糸検出センサ13bが給糸ボビン3の上部の糸Yを検出するように、給糸ボビン3からの糸Yの解舒に伴って筒体13aを下降させることにより、いわゆるバルーン抵抗を低減し、給糸ボビン3からの糸Yの解舒を補助する。糸検出センサ13bとしては、例えば、発光素子及び受光素子を有する光学式センサを使用することができる。
【0023】
テンション付加装置14は、走行する糸Yに所定テンションを付加する。テンション付加装置14としては、例えば、固定櫛歯、及び固定櫛歯に対して移動自在に配設された可動櫛歯を有するゲート式のものを使用することができる。
【0024】
糸継装置15は、クリアラー16が糸欠点を検出した際に行われる糸切断時、又は給糸ボビン3からの糸Yの解舒中に発生する糸切れ時に、ボビン支持部10側の下糸と巻取部12側の上糸とを糸継ぎする。糸継装置15としては、例えば、上糸端及び下糸端の撚り戻しを行う解撚ノズル、並びに解撚された両糸端に旋回空気流を作用させて撚り合わせを行う撚り掛けノズルを有するエアスプライサーを使用することができる。
【0025】
クリアラー16は、スラブ等の糸欠点を検出する。クリアラー16には、糸欠点を検出した際に糸Yを切断するためのカッターが付設されている。ワキシング装置17は、必要に応じて糸Yにワックスを塗布する。
【0026】
糸継装置15の上下には、給糸ボビン3側の下糸を吸引捕捉して糸継装置15へ案内する下糸捕捉案内部18と、巻取管7側の上糸を吸引捕捉して糸継装置15へ案内する上糸捕捉案内部19と、が設置されている。下糸捕捉案内部18は、パイプ状に構成されており、軸18aを中心に上下回動自在となっている。下糸捕捉案内部18の先端部には、吸引口18bが設けられている。同様に、上糸捕捉案内部19は、パイプ状に構成されており、軸19aを中心に上下回動自在となっている。上糸捕捉案内部19の先端部には、マウス19bが設けられている。下糸捕捉案内部18及び上糸捕捉案内部19には適宜の負圧源が接続されている。これにより、下糸捕捉案内部18は、吸引口18bから空気を吸引して下糸端を捕捉し、上糸捕捉案内部19は、マウス19bから空気を吸引して上糸端を捕捉する。
【0027】
巻取部12は、クレードル20及び巻取ドラム21を有している。クレードル20は、巻取管7、延いてはパッケージ6を回転自在かつ着脱自在に支持する一対のクレードルアームからなる。巻取ドラム21は、糸Yを綾振りするためのドラム溝を有しており、クレードル20に支持された巻取管7に巻き取られた糸Yの表面(パッケージ6の表面)に接触自在となっている。巻取部12は、巻取ドラム21をパッケージ6の表面に接触させた状態で、駆動モータを用いて巻取ドラム21を回転駆動させる。これにより、巻取部12は、糸Yを綾振りしながらパッケージ6を従動回転させ、給糸ボビン3の糸Yをパッケージ6として巻き取る。
【0028】
次に、ボビン支持部10について詳細に説明する。図3に示されるように、ボビン支持部10は、ボビン支持部フレーム30、ボビン支持排出機構31及び駆動モータ(第1駆動源)32を有している。ボビン支持部フレーム30は、機台2の下部に着脱自在に設けられている。ボビン支持排出機構31は、ボビン支持部フレーム30に設けられており、糸Yが所定量巻かれた給糸ボビン3(実ボビン)を支持する共に、不要な給糸ボビン3(糸のない空ボビン、又は糸が少しだけ残っている残糸ボビン)を排出する。駆動モータ32は、ボビン支持部フレーム30に取り付けられており、ボビン支持排出機構31を駆動させる。
【0029】
ボビン支持排出機構31は、ボビン保持ペッグ33及び跳ね板34を有している。ボビン保持ペッグ33は、筒状の給糸ボビン3に挿入されて、給糸ボビン3を直立させた状態で保持する。跳ね板34には、ボビン保持ペッグ33に保持された給糸ボビン3のボトムが接触する。
【0030】
図4、図5、図6及び図7に示されるように、ボビン保持ペッグ33は、突片状の第1保持片33a、及び第1保持片33aよりも短い突片状の第2保持片33bを有している。第1保持片33aは、軸42に対して相対回動自在となるように、軸42の端部に基部35を介して取り付けられている。第2保持片33bは、軸42と一体的に回動自在となるように、軸42に連結されている。軸42は、ボビン支持部フレーム30に回転自在に支持されている。
【0031】
更に、第1保持片33aは、図示しないバネによって、第2保持片33bと重なるように付勢されている。つまり、軸42に連結された第2保持片33bと、バネによって付勢されている第1保持片33aとは、軸42が回転することによって、互いに重なった状態でボビン支持部フレーム30に対して一体的に回動する。
【0032】
ただし、第1保持片33aは、直立した状態においては、図示しないストッパーによって、それ以上の後方(図5、図6及び図7における反時計回り方向)への回動が規制される。一方、第2保持片33bは、第1保持片33aとは異なり、直立した状態から後方への回動は規制されず、第1保持片33aよりも更に後方へ傾くように回動する。つまり、両保持片33a,33bは、重なって閉じた状態(図5及び図7の状態)、及び開いた状態(図6の状態)の2つの状態を取り得る。
【0033】
また、第2保持片33bは、軸42に固定された揺動片44を介して、略水平に延在する連結ロッド36に連結されている。連結ロッド36は、ボビン支持部フレーム30に揺動自在に設けられた揺動片37の一端(遊動端)に連結されている。揺動片37は、プーリ38及びベルト39を介して、駆動モータ32の出力軸に連結されている。
【0034】
跳ね板34は、ボビン保持ペッグ33の第1保持片33a及び第2保持片33bを軸42の延在方向両側から挟むように配設されている。跳ね板34は、軸40を介してボビン支持部フレーム30に回動自在に取り付けられている。軸40には揺動片41が固定されており、揺動片41は、連結ロッド45を介して揺動片44に連結されている。跳ね板34は、略水平なボビン支持位置(図6の位置)、ボビン支持位置から前方(図5、図6及び図7における時計回り方向)へ回動したボビン受取位置(図5の位置)、及びボビン受取位置よりも更に前方へ回動したボビン排出位置(図7の位置)に渡って、軸40を回動軸として回動自在となっている。
【0035】
駆動モータ32は、ステッピングモータからなり、後述するユニット制御装置80からのパルス信号によって制御される。駆動モータ32は、次のように、ボビン支持部10がボビン供給部11から給糸ボビン3を順次に受け取り、給糸ボビン3を支持し、又は給糸ボビン3を排出するように、ボビン支持部10を駆動させる。
【0036】
すなわち、駆動モータ32の回転駆動力は、揺動片37を介して連結ロッド36に伝達され、連結ロッド36が水平方向に移動することにより、ボビン保持ペッグ33の第2保持片33bが回動駆動する。また、このように第2保持片33bが回動駆動したときには、第2保持片33bに連結された第1保持片33aは、第2保持片33bと重なった状態で一体的に回動する。
【0037】
ただし、前述したように、第1保持片33aが直立している状態(図6の状態)で更に連結ロッド36が後方へ移動したときには、第1保持片33aは、図示しないストッパーによって、それ以上の後方への回動が規制されるため、第2保持片33bのみが後方へ回動することになる。その結果、両保持片33a,33bが開くことになり、両保持片33a,33bが筒状の給糸ボビン3に挿入されている状態(図3及び図6参照)でボビン内面に密着することから、ボビン保持ペッグ33から給糸ボビン3が抜けるのが防止される。
【0038】
また、ボビン保持ペッグ33は、ボビン供給部11からの給糸ボビン3の供給時、糸解舒中の給糸ボビン3の支持時、及び不要となった給糸ボビン3の排出時に、それぞれ、異なる3つの位置を取り得るように構成されている。すなわち、ボビン保持ペッグ33は、鉛直方向に対してやや前方へ傾いたボビン受取位置(図5の位置)、直立状態で両保持片33a,33bが開いたボビン支持位置(図6の位置)、及びボビン受取位置よりも更に前方へ傾いたボビン排出位置(図7の位置)に渡って、回動自在となっている。
【0039】
更に、駆動モータ32によって連結ロッド36が水平方向に駆動させられ、ボビン保持ペッグ33が回動するときには、駆動モータ32の駆動力が連結ロッド45及び揺動片41を介して跳ね板34にも伝達され、跳ね板34が回動駆動する。
【0040】
図6に示されるように、ボビン保持ペッグ33が、直立状態のボビン支持位置にあるときには、跳ね板34は略水平なボビン支持位置にあり、跳ね板34の上面に、ボビン保持ペッグ33に保持された給糸ボビン3のボトムが接触している。この状態から、図7に示されるように、跳ね板34が前方に回動すると、ボビン保持ペッグ33も前方に回動しつつ、両保持片33a,33bが閉じることになり、給糸ボビン3の抜け止め状態が解除される。更に、跳ね板34がボビン排出位置まで回動すると、給糸ボビン3は、跳ね板34により前方へ跳ね上げられつつ、ボビン保持ペッグ33から抜けることになり、給糸ボビン3がボビン支持部10外(前方)へ排出される。
【0041】
なお、ボビン支持部10を構成するボビン保持ペッグ33、跳ね板34、駆動モータ32等は、全て、機台2に着脱自在なボビン支持部フレーム30に取り付けられている。つまり、ボビン支持部10は、機台2に対して着脱自在に設けられている。そのため、交換や修理等のためにボビン支持部10を機台2から取り外すことが可能である。ボビン支持部フレーム30は、例えば、ネジ止めによって機台2に着脱自在に取り付けられている。
【0042】
次に、ボビン供給部11について説明する。図3に示すように、ボビン供給部11は、供給機構51及び駆動モータ(第2駆動源)52を有している。供給機構51は、給糸ボビン3をボビン支持部10に供給する。駆動モータ52は、供給機構51を駆動させる。
【0043】
供給機構51は、マガジン53及びガイドシュート54を有している。マガジン53は、精紡機で形成された複数の給糸ボビン3を収容することができる。ガイドシュート54は、マガジン53の下方に配置されており、マガジン53に収容された複数の給糸ボビン3のうちの1本をボビン支持部10へ向けて案内しながら落下させる。また、機台2には供給部フレーム50が、例えばネジ止めによって、着脱自在に設けられている。マガジン53及びガイドシュート54は、ボビン支持部10のボビン保持ペッグ33に向くように鉛直方向に対してやや傾いた姿勢で、供給部フレーム50に取り付けられている。
【0044】
マガジン53は、供給部フレーム50に支持された回転軸55を中心に回転自在となっている。マガジン53の内部には、糸Yが所定量巻かれた給糸ボビン3が収容される複数のボビン収容スペース56が周方向に配置されている。マガジン53の下側には、各ボビン収容スペース56に収容された給糸ボビン3を受けるボビン受け板57が設けられている。ボビン受け板57には、ガイドシュート54に対向するように、図示しない切欠部が形成されている。これにより、マガジン53が回動して給糸ボビン3が切欠部の上方に位置すると、その給糸ボビン3は、切欠部を介して、ガイドシュート54、延いてはボビン支持部10へ落下する。
【0045】
マガジン53の下部には、回転軸55に外装された筒部材58が固定されており、筒部材58の外周面には爪車59が固定されている。つまり、爪車59とマガジン53とは一体的に回転するようになっている。図8に示されるように、爪車59の外側には、爪車59に係合してその回転を規制するストップラッチ74、及び回転自在なローラ75が設けられている。ストップラッチ74とローラ75とは、連結部材76を介して連結されている。また、筒部材58には、旋回板60が筒部材58に対して旋回自在に設けられている。旋回板60には、ピン60a及び爪部60bが設けられている。これにより、駆動モータ52の駆動力が旋回板60に伝達されて、旋回板60が旋回動作をすると、旋回板60のピン60aがローラ75を押し出すことにより、ローラ75に連結されたストップラッチ74が爪車59から外れて、爪車59の回転規制が解除される。そして、旋回板60の爪部60bが爪車59を1ピッチ回動させることにより、マガジン53が回動する。
【0046】
図3に示されるように、ガイドシュート54は、一対の第1ガイド板61、一対の第2ガイド板62及び一対の第3ガイド板63を有している。一対の第1ガイド板61は、供給部フレーム50に固定されている。また、一対の第2ガイド板62は、第1ガイド板61に対して回動自在に設けられている。
【0047】
第1ガイド板61と第2ガイド板62とは、ロッド64を介して連結されており、第2ガイド板62は、第1ガイド板61に対して、ロッド64を中心に外側及び内側に回動自在となっている。また、ロッド64は、レバー66を介して軸部材67に連結されており、軸部材67は、プーリ68及びベルト69を介して、供給部フレーム50に固定された駆動モータ52の出力軸に連結されている。更に、軸部材67には、L字状のレバー70の一端が固定されており、レバー70の他端は、連結部材73を介して、マガジン53に設けられた旋回板60に連結されている。これにより、軸部材67が回転すると、レバー70が軸部材67を中心に上下に揺動し、更に、連結部材73が旋回板60と平行な平面に沿って回動する。そして、この連結部材73の回動によって、旋回板60が旋回する。
【0048】
第3ガイド板63は、第1ガイド板61及び第2ガイド板62よりも外側に配置されており、軸71を介して第1ガイド板61に回動自在に連結されている。また、第3ガイド板63は、軸71に設けられたねじりバネ72によって内側(閉じる方向)に付勢されて、第2ガイド板62に押し付けられている。
【0049】
駆動モータ52は、ステッピングモータからなり、後述するユニット制御装置80からのパルス信号によって制御される。駆動モータ52は、次のように、ボビン供給部11がボビン支持部10に給糸ボビン3を順次に供給するように、ボビン供給部11を駆動させる。
【0050】
すなわち、駆動モータ52の回転駆動力は、まず、ベルト69及びプーリ68を介して軸部材67に伝達される。そして、軸部材67の回転は、レバー70を介して旋回板60に伝達され、旋回板60のピン60aが爪車59のローラ75を押し出すことで、ストップラッチ74による爪車59の回転規制が解除される。更に、旋回板60の爪部60bが爪車59を1ピッチ回動させる。すると、爪車59と一体回転するマガジン53も回動することになり、これにより、ボビン収容スペース56が周方向に1つ分ずれる。このとき、ボビン受け板57の切欠部の上方に位置することとなった1本の給糸ボビン3が切欠部から下方に落下する。
【0051】
一方、ガイドシュート54においては、マガジン53から給糸ボビン3が供給されないときには、一対の第2ガイド板62及び一対の第3ガイド板63が第1ガイド板61に対して外側(開く方向)に回動した状態となっている。これは、本来の給糸ボビン3の供給時以外に、マガジン53から誤って落下した給糸ボビン3がガイドシュート54を介してボビン支持部10に達するのを防止すると共に、給糸ボビン3からの糸Yの解舒中に、糸Yのバルーンに接触しないように、一対の第2ガイド板62及び一対の第3ガイド板63を退避させるためである。
【0052】
この状態から、駆動モータ52により軸部材67が回転駆動させられると、その回転はレバー66及びロッド64を介して第2ガイド板62にも伝達され、第2ガイド板62が第1ガイド板61に対して内側(閉じる方向)に回動する。また、この第2ガイド板62の回動に伴って、第2ガイド板62にねじりバネ72によって押し付けられている第3ガイド板63も第1ガイド板61に対して内側に回動する。そして、一対の第2ガイド板62及び一対の第3ガイド板63が、それぞれ第1ガイド板61に対して開いた状態から内側に回動することにより、マガジン53からボビン支持部10へ向かう給糸ボビン3の供給通路が形成される。これにより、マガジン53から落下した給糸ボビン3が、ガイド板61,62,63によってボビン支持部10へ案内される。
【0053】
なお、ボビン供給部11を構成するマガジン53、ガイドシュート54、第2駆動モータ52等は、全て、機台2に着脱自在な供給部フレーム50に取り付けられている。つまり、ボビン供給部11は、機台2に対して着脱自在に設けられている。そのため、交換や修理等のためにボビン供給部11を機台2から取り外すことが可能である。供給部フレーム50は、例えば、ネジ止めによって機台2に着脱自在に取り付けられている。
【0054】
次に、巻取ユニット1の動作を制御するユニット制御装置(制御部)80、及びパッケージ6として巻き取られた糸Yの糸量を判定する糸量判定部85について説明する。
【0055】
図1及び図3に示されるように、ユニット制御装置80は、自動ワインダ100の全体動作の制御を司る制御装置101からの指令を受けて、ボビン支持部10、ボビン供給部11及び巻取部12を含む巻取ユニット1の各部を制御する。ユニット制御装置80は、演算処理装置であるCPU、CPUが実行するプログラム及びプログラムに使用されるデータを記憶するROM、プログラム実行時にデータを一時記憶するRAM等で構成されている。
【0056】
図9に示されるように、糸量判定部85は、パッケージ回転量検出部86によって検出されたパッケージ6の回転量に基づいて、巻取部12によってパッケージ6として巻き取られた糸Yの糸量を判定する。パッケージ回転量検出部86は、巻取部12に設けられており、パッケージ6の回転量を検出する。パッケージ回転量検出部86は、例えば、次のように構成される。すなわち、パッケージ回転量検出部86は、クレードル20の一方のクレードルアームに設けられている。この回転量検出部86は、ホールICと、周方向に多極着磁された円板状磁石と、を有している。円板状磁石は、パッケージ6の回転軸と一体的に回転するように構成されている。また、ホールICは、円板状磁石の周方向の端部に近接して配置されている。以上の構成により、パッケージ6が回転すると、円板状磁石も一体的に回転し、その円板状磁石の回転によって引き起こされる磁界の変化をホールICが検知する。そして、パッケージ6の1回転当たりのパルス信号の数をパッケージ回転量検出部86が出力する。
【0057】
ここで、ユニット制御装置80の制御による巻取ユニット1の巻取動作について説明する。まず、ユニット制御装置80は、ボビン支持部10に給糸ボビン3の受取動作を実行させる。すなわち、ユニット制御装置80は、ボビン支持部10において駆動モータ32を駆動させて、図5に示されるように、ボビン保持ペッグ33及び跳ね板34をボビン受取位置に位置させる。
【0058】
その一方で、ユニット制御装置80は、ボビン供給部11に給糸ボビン3の供給動作を実行させる。すなわち、ユニット制御装置80は、ボビン供給部11において駆動モータ52を駆動させて、マガジン53を回動させると共に、ガイドシュート54の第2ガイド板62及び第3ガイド板63を第1ガイド板61に対して内側に回動させる(すなわち、マガジン53からボビン支持部10へ向かう給糸ボビン3の供給通路を形成する)。
【0059】
これにより、マガジン53から給糸ボビン3が1本落下し、落下した給糸ボビン3がガイドシュート54に案内されてボビン支持部10に至る。そして、ボビン支持部10に至った給糸ボビン3に、ボビン保持ペッグ33の第1保持片33a及び第2保持片33bが挿入される。同時に、給糸ボビン3のボトムが跳ね板34に接触する。このように、給糸ボビン3は、ボビン供給部11からボビン支持部10に1本ずつ順次に供給される。
【0060】
なお、ユニット制御装置80は、ボビン保持ペッグ33による給糸ボビン3の保持が完了した後(給糸ボビン3にボビン保持ペッグ33が挿入された後)、駆動モータ52を駆動させて、ガイドシュート54の第2ガイド板62及び第3ガイド板63を第1ガイド板61に対して外側に回動させる(すなわち、ガイドシュート54を開放状態に戻す)。
【0061】
続いて、ユニット制御装置80は、ボビン支持部10に給糸ボビン3の支持動作を実行させる。すなわち、ユニット制御装置80は、ボビン支持部10において駆動モータ32を駆動させて、図6に示されるように、ボビン保持ペッグ33及び跳ね板34をボビン支持位置に位置させる。これにより、給糸ボビン3は、ボビン保持ペッグ33によって保持されて、ボビン支持部10に支持される。続いて、ユニット制御装置80は、巻取部12に糸Yの巻取動作を実行させるなど、巻取ユニット1の各部にパッケージ6の形成動作を実行させる。
【0062】
そして、ボビン支持部10に支持された給糸ボビン3の糸Yが全て巻き取られた場合(或いは、クリアラー16で頻繁に糸欠点が検出されるなど、給糸ボビン3の糸品質が悪いと判断された場合)には、ユニット制御装置80は、巻取部12に糸Yの巻取動作を一旦停止させ、ボビン支持部10に給糸ボビン3の排出動作を実行させる。すなわち、ユニット制御装置80は、ボビン支持部10において駆動モータ32を駆動させて、図7に示されるように、ボビン保持ペッグ33及び跳ね板34をボビン排出位置に位置させる。これにより、ボビン支持部10から前方に給糸ボビン3が排出される。
【0063】
以降、ユニット制御装置80は、給糸ボビン3の受取動作、給糸ボビン3の供給動作、給糸ボビン3の支持動作、糸Yの巻取動作及び給糸ボビン3の排出動作を、パッケージ6が満巻状態になるまで(すなわち、所定仕様のパッケージ6が形成されるまで)、巻取ユニット1の各部に繰り返し実行させる。ユニット制御装置80は、糸量判定部85によって判定された糸量がパッケージ6の満巻に相当する糸量となったときに、パッケージ6が満巻状態になったと判断する。なお、巻取ユニット1で形成された満巻のパッケージ6は、玉揚装置4によって回収され、巻取管7が玉揚装置4によって再び巻取ユニット1に装着される。
【0064】
次に、ユニット制御装置80の制御による巻取ユニット1のロットチェンジ動作(巻取ユニット1において実施されるロットチェンジ方法)について、図10のフローチャートを参照しつつ説明する。まず、オペレータによって制御装置101にロットチェンジ情報が入力されると、制御装置101から各巻取ユニット1にロットチェンジ情報が出力される。なお、ロットチェンジ情報とは、パッケージ6に巻き取るべき糸Yの糸種(すなわち、形成すべきパッケージ6の糸種)を変更するロットチェンジを指示する情報である。
【0065】
このとき、各巻取ユニット1のユニット制御装置80は、制御装置101からロットチェンジ情報が入力されたか否かを判断し(ステップS01)、ロットチェンジ情報が入力された場合には、その時点で仕掛かっているパッケージ6について、糸量判定部85によって判定された糸量がそのパッケージ6の満巻に相当する糸量となったか否かを判断する(ステップS02)。
【0066】
そして、ユニット制御装置80は、糸量判定部85によって判定された糸量がパッケージ6の満巻に相当する糸量となった場合には、クリアラー16に糸Yの切断動作を実行させる(ステップS03)。すなわち、ユニット制御装置80は、クリアラー16に付設されたカッターに、給糸ボビン3とパッケージ6との間に渡る糸Yを切断させる。更に、ユニット制御装置80は、巻取部12に糸Yの巻取動作を停止させる(ステップS04)。
【0067】
続いて、ユニット制御装置80は、ボビン支持部10に給糸ボビン3の排出動作を実行させる(ステップS05)。すなわち、ユニット制御装置80は、ボビン支持部10において駆動モータ32を駆動させて、ボビン保持ペッグ33及び跳ね板34をボビン排出位置に位置させる。これにより、ボビン支持部10から前方に給糸ボビン3が排出される。このとき、ユニット制御装置80は、ボビン供給部11に給糸ボビン3の供給動作を実行させない。すなわち、ユニット制御装置80は、ボビン供給部11において駆動モータ52を駆動させない。
【0068】
その後、巻取ユニット1で形成されたロットチェンジ前のパッケージ6は回収され、ロットチェンジ後の巻取管7が巻取ユニット1に装着される。一方、ボビン供給部11のマガジン53には、ロットチェンジ後の給糸ボビン3がオペレータによって投入される。そして、前述したように、ユニット制御装置80の制御による巻取ユニット1の巻取動作が実施される。
【0069】
なお、ユニット制御装置80は、ロットチェンジ情報が入力されたときに、その時点で仕掛かっているパッケージ6が満巻状態になるまでに必要な給糸ボビン3の本数を算出し、その必要本数を巻取ユニット1の表示部に表示させてもよい。ユニット制御装置80は、パッケージ6が満巻状態になるまでに必要な糸量を、ロットチェンジ前の給糸ボビン3の満巻1本当たりの糸量で除することで、上述した給糸ボビン3の必要本数を算出することができる。ここで、パッケージ6が満巻状態になるまでに必要な糸量は、糸量判定部85によって判定された糸量に基づいて算出される。また、ロットチェンジ前の給糸ボビン3の満巻1本当たりの糸量は予め入力されて記憶されている。
【0070】
これによれば、オペレータが必要本数を超えてロットチェンジ前の給糸ボビン3をマガジン53に投入するような無駄な作業の発生を抑制することができる。また、ロットチェンジ前の給糸ボビン3の残りの本数では、ロットチェンジ情報が入力された時点で仕掛かっていたパッケージ6を満巻状態にすることができないといったことを推測することができる。
【0071】
以上説明したように、巻取ユニット1、及びそれにおいて実施されるロットチェンジ方法では、ロットチェンジ情報が入力されると、パッケージ6として巻き取られた糸Yの糸量がパッケージ6の満巻に相当する糸量となってから、糸Yの巻取動作が停止され、給糸ボビン3の排出動作が実行される。よって、巻取ユニット1、及びそれにおいて実施されるロットチェンジ方法によれば、ロットチェンジに際し、ロットチェンジ前の給糸ボビン3を取り除くためのオペレータの作業負担を軽減することができる。特に、ボビン支持部10は、巻取ユニット1の底部でかつボビン供給部11の後側に位置しているといった事情等から、オペレータは、ボビン支持部10にアクセスしにくい。従って、ボビン支持部10から給糸ボビン3を取り除く作業を不要とする巻取ユニット1、及びそれにおいて実施されるロットチェンジ方法は、極めて有効なものである。
【0072】
また、ボビン支持部10が駆動モータ32によって駆動させられ、ボビン供給部11が駆動モータ52によって駆動させられるというように、ボビン支持部10とボビン供給部11とは、別個の駆動源によりそれぞれ独立して駆動させられる。そして、ユニット制御装置80は、ロットチェンジ情報が入力された場合において、糸量判定部85によって判定された糸量がパッケージ6の満巻に相当する糸量となったきには、巻取部12に糸Yの巻取動作を停止させ、駆動モータ52による駆動を実行させずに駆動モータ32による駆動を実行させることにより、ボビン支持部10に給糸ボビン3の排出動作を実行させる。これにより、ロットチェンジに際し、ボビン供給部11からボビン支持部10に給糸ボビン3が供給されずに、ボビン支持部10から給糸ボビン3が排出されるので、ボビン支持部10からの給糸ボビン3の排出動作を効率良く実施することができる。つまり、ボビン支持部10からの給糸ボビン3の排出後に、再びボビン供給部11からボビン支持部10に給糸ボビン3が供給されると、ボビン支持部10からの給糸ボビン3の排出動作をもう一度実行させるか、或いはオペレータがボビン支持部10から給糸ボビン3を取り除かなければならないが、そのような事態を防止して、ボビン支持部10からの給糸ボビン3の排出動作を効率良く完了させることができる。
【0073】
また、糸量判定部85は、パッケージ回転量検出部86によって検出されたパッケージ6の回転量に基づいて、巻取部12によってパッケージ6として巻き取られた糸Yの糸量を判定する。これにより、巻取部12によってパッケージ6として巻き取られた糸Yの糸量を簡易な構成で精度良く判定することができる。
【0074】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、ボビン支持部10及びボビン供給部11のそれぞれを駆動させる駆動源は、駆動モータ32,52に限定されず、エアシリンダ等の流体圧シリンダであってもよい。一例として、図11に示されたボビン支持部10Aでは、ボビン支持部フレーム30にエアシリンダ(第1駆動源)32Aが固定されており、エアシリンダ32Aのロッド先端が揺動片90に連結されている。揺動片90の揺動軸は、連結ロッド36に連結された揺動片37の揺動軸と共通である。従って、エアシリンダ32Aによって揺動片90が揺動駆動させられることで、揺動片37を介して連結ロッド36,45に駆動力が伝達され、ボビン保持ペッグ33及び跳ね板34が回動駆動する。
【0075】
また、図11に示されたボビン供給部11Aでは、供給部フレーム50にエアシリンダ(第2駆動源)52Aが固定されており、エアシリンダ52Aのロッド先端が揺動片91に連結されている。揺動片91は、軸部材67に連結されている。従って、エアシリンダ52Aによって揺動片91が揺動駆動させられることで、軸部材67が回転駆動し、マガジン53及びガイドシュート54が駆動する。
【0076】
このように、ボビン支持部10A及びボビン供給部11Aのそれぞれを駆動させる駆動源としてエアシリンダ32A,52Aを採用すれば、駆動モータ32,52を採用した場合と比較して、プーリ38,68やベルト39,69等を省略することができる。特に、ボビン支持部10Aにおいては、エアシリンダ32Aの往復直線運動を揺動運動に変換する揺動片90や、その揺動運動を連結ロッド36の往復直線運動に変換する揺動片37を省略し、エアシリンダ32Aによってボビン支持部10Aの連結ロッド36を直接水平方向に駆動させることも可能である。
【0077】
また、ボビン支持部10においては、ボビン保持ペッグ33と跳ね板34とが、別個の駆動源によりそれぞれ独立して駆動させられるように構成されてもよい。また、ボビン供給部11においては、マガジン53とガイドシュート54とが、別個の駆動源によりそれぞれ独立して駆動させられるように構成されてもよい。
【0078】
また、ユニット制御装置80の機能は、自動ワインダ100の全体の制御を司る制御装置101に持たせてもよい。また、ボビン支持部10(10A)とボビン供給部11(11A)とは、共通の駆動源によって連動して駆動させられてもよい。この場合、ユニット制御装置80は、ロットチェンジ情報が入力された場合において、糸量判定部85によって判定された糸量がパッケージ6の満巻に相当する糸量となったきには、まず、巻取部12に糸Yの巻取動作を停止させる。そして、ユニット制御装置80は、ボビン供給部11が保持するロットチェンジ前の給糸ボビン3が全て無くなるまで、ボビン支持部10に給糸ボビン3の排出動作を実行させる。
【0079】
また、巻取部12は、パッケージ回転量検出部86に代えて、巻取ドラム21の回転量を検出するドラム回転量検出部を有し、糸量判定部85は、ドラム回転量検出部によって検出された巻取ドラム21の回転量に基づいて、巻取部12によってパッケージ6として巻き取られた糸Yの糸量を判定してもよい。この場合にも、簡易な構成で精度良く糸量を判定することができる。ドラム回転量検出部としては、例えば、パッケージ回転量検出部86と同様に、ホールICと、周方向に多極着磁された円板状磁石と、を有するものを使用することができる。その場合、巻取ドラム21の1回転当たりのパルス信号の数をドラム回転量検出部が出力する。
【0080】
また、巻取ユニット1は、パッケージ回転量検出部86に代えて、ボビン支持部10と巻取部12との間において、糸Yの走行速度及び走行長さの少なくとも一方に相当する糸走行量を検出する糸走行量検出部を備え、糸量判定部85は、糸走行量検出部によって検出された糸走行量に基づいて、巻取部12によってパッケージ6として巻き取られた糸Yの糸量を判定してもよい。この場合にも、簡易な構成で精度良く糸量を判定することができる。糸走行量検出部としては、例えば、光電式定長装置や糸速センサを使用することができる。より具体的には、糸走行量検出部としては、光学式であり、無数の毛羽を有する糸Yを受光素子上に投影し、その投影された糸が走行する際に生じる光電流の変化をいわゆる空間フィルタ原理を用いて処理し、これを用いて糸Yの走行速度又は走行長さを算出するものがある。
【0081】
また、巻取部12は、パッケージ回転量検出部86に代えて、クレードル20の位置(例えば角度)を検出する位置検出部を有し、糸量判定部85は、位置検出部によって検出されたクレードル20の位置に基づいて、巻取部12によってパッケージ6として巻き取られた糸Yの糸量を判定してもよい。この場合にも、簡易な構成で精度良く糸量を判定することができる。位置検出部としては、例えばクレードル20の角度を検出するセンサを使用することができる。
【0082】
また、巻取部12は、パッケージ回転量検出部86に代えて、パッケージ6として巻き取られた糸Yの巻径を検出する巻径検出部を有し、糸量判定部85は、巻径検出部によって検出された巻径に基づいて、巻取部12によってパッケージ6として巻き取られた糸Yの糸量を判定するようにしてもよい。この場合にも、簡易な構成で精度良く糸量を判定することができる。巻径検出部としては、例えばパッケージ6として巻き取られた糸Yの巻径を検出するセンサを使用することができる。より具体的には、巻径検出部としては、クレードル20のクレードルアームに複数設けられた光電センサの反応によって、現在の巻取管7における糸Yの巻径を検知するものがある。このセンサは、一方のクレードルアームに投光センサを設けると共に他方のクレードルアームに受光センサを設けて、透過光を検知することにより巻径を検出するようにしてもよいし、或いは、一方のクレードルアームに投光センサ及び受光センサを設けて、反射光を検知することにより巻径を検出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…巻取ユニット(糸巻取装置)、3…給糸ボビン、7…巻取管、10…ボビン支持部、11…ボビン供給部、12…巻取部、20…クレードル、21…巻取ドラム、32…駆動モータ(第1駆動源)、32A…エアシリンダ(第1駆動源)、52…駆動モータ(第2駆動源)、52A…エアシリンダ(第2駆動源)、80…ユニット制御装置(制御部)、85…糸量判定部、86…パッケージ回転量検出部、Y…糸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給糸ボビンの糸を巻き取ってパッケージを形成する糸巻取装置であって、
前記給糸ボビンを支持するボビン支持部と、
複数の前記給糸ボビンを保持し、前記ボビン支持部に前記給糸ボビンを順次に供給するボビン供給部と、
前記ボビン支持部に支持された前記給糸ボビンの前記糸をパッケージとして巻き取る巻取部と、
前記巻取部によって前記パッケージとして巻き取られた前記糸の糸量を判定する糸量判定部と、
ロットチェンジ情報が入力された場合において、前記糸量判定部によって判定された前記糸量が前記パッケージの満巻に相当する糸量となったきには、前記巻取部に前記糸の巻取動作を停止させ、前記ボビン支持部に前記給糸ボビンの排出動作を実行させる制御部と、を備えることを特徴とする糸巻取装置。
【請求項2】
前記ボビン支持部が前記ボビン供給部から前記給糸ボビンを受け取り、前記給糸ボビンを支持し、又は前記給糸ボビンを排出するように、前記ボビン支持部を駆動させる第1駆動源と、
前記ボビン供給部が前記ボビン支持部に前記給糸ボビンを順次に供給するように、前記ボビン供給部を駆動させる第2駆動源と、を更に備え、
前記制御部は、前記ロットチェンジ情報が入力された場合において、前記糸量判定部によって判定された前記糸量が前記パッケージの満巻に相当する糸量となったきには、前記巻取部に前記糸の巻取動作を停止させ、前記第2駆動源による駆動を実行させずに前記第1駆動源による駆動を実行させることにより、前記ボビン支持部に前記給糸ボビンの排出動作を実行させることを特徴とする請求項1記載の糸巻取装置。
【請求項3】
前記巻取部は、前記パッケージの回転量を検出するパッケージ回転量検出部を有し、
前記糸量判定部は、前記パッケージ回転量検出部によって検出された前記回転量に基づいて前記糸量を判定することを特徴とする請求項1又は2記載の糸巻取装置。
【請求項4】
前記巻取部は、前記パッケージを回転させるための巻取ドラム、及び前記巻取ドラムの回転量を検出するドラム回転量検出部を有し、
前記糸量判定部は、前記ドラム回転量検出部によって検出された前記回転量に基づいて前記糸量を判定することを特徴とする請求項1又は2記載の糸巻取装置。
【請求項5】
前記ボビン支持部と前記巻取部との間において、前記糸の走行速度及び走行長さの少なくとも一方に相当する糸走行量を検出する糸走行量検出部を更に備え、
前記糸量判定部は、前記糸走行量検出部によって検出された前記糸走行量に基づいて前記糸量を判定することを特徴とする請求項1又は2記載の糸巻取装置。
【請求項6】
前記巻取部は、前記パッケージを移動自在に支持するクレードル、及び前記クレードルの位置を検出する位置検出部を有し、
前記糸量判定部は、前記位置検出部によって検出された前記位置に基づいて前記糸量を判定することを特徴とする請求項1又は2記載の糸巻取装置。
【請求項7】
前記巻取部は、前記パッケージとして巻き取られた前記糸の巻径を検出する巻径検出部を有し、
前記糸量判定部は、前記巻径検出部によって検出された前記巻径に基づいて前記糸量を判定することを特徴とする請求項1又は2記載の糸巻取装置。
【請求項8】
給糸ボビンを支持するボビン支持部と、複数の前記給糸ボビンを保持し、前記ボビン支持部に前記給糸ボビンを順次に供給するボビン供給部と、前記ボビン支持部に支持された前記給糸ボビンの糸をパッケージとして巻き取る巻取部と、前記巻取部によって前記パッケージとして巻き取られた前記糸の糸量を判定する糸量判定部と、を備える糸巻取装置において実施されるロットチェンジ方法であって、
ロットチェンジ情報が入力された場合において、前記糸量判定部によって判定された前記糸量が前記パッケージの満巻に相当する糸量となったきに、前記給糸ボビンと前記パッケージとの間に渡る前記糸を切断し、前記巻取部に前記糸の巻取動作を停止させる第1工程と、
前記第1工程の後に、前記ボビン支持部に前記給糸ボビンの排出動作を実行させる第2の工程と、を含むことを特徴とするロットチェンジ方法。
【請求項1】
給糸ボビンの糸を巻き取ってパッケージを形成する糸巻取装置であって、
前記給糸ボビンを支持するボビン支持部と、
複数の前記給糸ボビンを保持し、前記ボビン支持部に前記給糸ボビンを順次に供給するボビン供給部と、
前記ボビン支持部に支持された前記給糸ボビンの前記糸をパッケージとして巻き取る巻取部と、
前記巻取部によって前記パッケージとして巻き取られた前記糸の糸量を判定する糸量判定部と、
ロットチェンジ情報が入力された場合において、前記糸量判定部によって判定された前記糸量が前記パッケージの満巻に相当する糸量となったきには、前記巻取部に前記糸の巻取動作を停止させ、前記ボビン支持部に前記給糸ボビンの排出動作を実行させる制御部と、を備えることを特徴とする糸巻取装置。
【請求項2】
前記ボビン支持部が前記ボビン供給部から前記給糸ボビンを受け取り、前記給糸ボビンを支持し、又は前記給糸ボビンを排出するように、前記ボビン支持部を駆動させる第1駆動源と、
前記ボビン供給部が前記ボビン支持部に前記給糸ボビンを順次に供給するように、前記ボビン供給部を駆動させる第2駆動源と、を更に備え、
前記制御部は、前記ロットチェンジ情報が入力された場合において、前記糸量判定部によって判定された前記糸量が前記パッケージの満巻に相当する糸量となったきには、前記巻取部に前記糸の巻取動作を停止させ、前記第2駆動源による駆動を実行させずに前記第1駆動源による駆動を実行させることにより、前記ボビン支持部に前記給糸ボビンの排出動作を実行させることを特徴とする請求項1記載の糸巻取装置。
【請求項3】
前記巻取部は、前記パッケージの回転量を検出するパッケージ回転量検出部を有し、
前記糸量判定部は、前記パッケージ回転量検出部によって検出された前記回転量に基づいて前記糸量を判定することを特徴とする請求項1又は2記載の糸巻取装置。
【請求項4】
前記巻取部は、前記パッケージを回転させるための巻取ドラム、及び前記巻取ドラムの回転量を検出するドラム回転量検出部を有し、
前記糸量判定部は、前記ドラム回転量検出部によって検出された前記回転量に基づいて前記糸量を判定することを特徴とする請求項1又は2記載の糸巻取装置。
【請求項5】
前記ボビン支持部と前記巻取部との間において、前記糸の走行速度及び走行長さの少なくとも一方に相当する糸走行量を検出する糸走行量検出部を更に備え、
前記糸量判定部は、前記糸走行量検出部によって検出された前記糸走行量に基づいて前記糸量を判定することを特徴とする請求項1又は2記載の糸巻取装置。
【請求項6】
前記巻取部は、前記パッケージを移動自在に支持するクレードル、及び前記クレードルの位置を検出する位置検出部を有し、
前記糸量判定部は、前記位置検出部によって検出された前記位置に基づいて前記糸量を判定することを特徴とする請求項1又は2記載の糸巻取装置。
【請求項7】
前記巻取部は、前記パッケージとして巻き取られた前記糸の巻径を検出する巻径検出部を有し、
前記糸量判定部は、前記巻径検出部によって検出された前記巻径に基づいて前記糸量を判定することを特徴とする請求項1又は2記載の糸巻取装置。
【請求項8】
給糸ボビンを支持するボビン支持部と、複数の前記給糸ボビンを保持し、前記ボビン支持部に前記給糸ボビンを順次に供給するボビン供給部と、前記ボビン支持部に支持された前記給糸ボビンの糸をパッケージとして巻き取る巻取部と、前記巻取部によって前記パッケージとして巻き取られた前記糸の糸量を判定する糸量判定部と、を備える糸巻取装置において実施されるロットチェンジ方法であって、
ロットチェンジ情報が入力された場合において、前記糸量判定部によって判定された前記糸量が前記パッケージの満巻に相当する糸量となったきに、前記給糸ボビンと前記パッケージとの間に渡る前記糸を切断し、前記巻取部に前記糸の巻取動作を停止させる第1工程と、
前記第1工程の後に、前記ボビン支持部に前記給糸ボビンの排出動作を実行させる第2の工程と、を含むことを特徴とするロットチェンジ方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−224432(P2012−224432A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93047(P2011−93047)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
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