説明

系列生成装置、無線通信装置、系列生成方法および系列生成プログラム

【課題】直交変換が必要な所定の系列生成を簡単な処理で行えること。
【解決手段】信号系列生成部110は、系列番号u、系列e-j・(nの2次式)のリファレンス系列(周波数の軸方向)の直交変換を行う。系列生成に使用される初期値として、少なくとも系列番号u毎の1次微分値を系列番号数格納する漸化式初期値テーブル201と、入力された前記系列番号uに対応する初期値を漸化式初期値テーブル201から読み出し、系列の要素数分、所定の漸化式を用いた更新処理により、直交変換値を位相角として算出する漸化式更新部202と、漸化式更新部202により算出された直交変換値をsin,cos値に変換するsin,cos変換部203とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動体通信システムにおいて(基地局、および端末で)使用されるPRACHの系列生成処理を行う系列生成装置、無線通信装置、系列生成方法および系列生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話等の移動体通信システム(W−CDMA)では、リンク通信時の無線アクセス方法としてランダムアクセスチャネル(RACH:Random Access Channel)が用いられている。端末は、RACHを用いてプリアンブルと呼ばれる信号を基地局に送信し、基地局側で端末を検知して通信が開始される。そして、他の端末との衝突等で基地局が端末を検知できない場合、端末側がプリアンブルの送信を繰り返すようになっている。
【0003】
また、現在の3GPP(3rd Generation Partnership Project)の通信規格では、RACHにMポイントのFFT(高速フーリエ変換:Fast Fourier Transform)を用いて時間・周波数変換し、サブキャリアにマッピングするDFTスプレッドOFDM(直交周波数分割多重方式:Orthogonal Frequency−Division Multiplexing)方式がある(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0004】
また、FFTにおける位相角を漸化式により計算してテーブルに格納し、このテーブルを用いてフーリエ変換し、周波数方向のデータを得るフーリエ変換プログラムが開示されている(例えば、下記特許文献2参照。)。
【0005】
現在、携帯電話等の移動体通信システムでは3GPPのLTE(Long Term Evolution)の仕様に基づき、基地局および端末では、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH:Physical Random Access Channel)の系列生成処理を行っている。
【0006】
図7は、従来の系列生成を行う基地局装置の構成を示すブロック図である。基地局1000の受信部は、端末からの無線信号をアンテナで受信した後、変換されたベースバンド信号が順次DFT1001に入力され、離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)されたI,Qデータがレプリカ乗算部1002に出力される。一方、定義を時間の軸としたリファレンス系列を発生させる信号系列生成部1003を有し、このリファレンス系列側においても、系列番号uがDFT1004、レプリカ乗算部1002に入力される。レプリカ乗算部1002は、リファレンス系列の入力によりベースバンド信号の系列除去を行う。この後、IDFT1005による逆離散フーリエ変換が施されて信号出力され、ピーク検出部1006により信号に含まれるピーク値の波長が検出される。
【0007】
図8は、図7におけるDFTの内部構成を示すブロック図である。リファレンス系列における信号系列生成部1003の後段には、リファレンス系列側のDFT1004として、第1メモリ1100、Nzc点DFT1101、第2メモリ1102、順次読み出し部1103を備えている。
【0008】
信号系列生成部1003では周波数偏差推定のために、系列番号uを入力とし、系列番号uのZadoff−Chu系列xu(n)を生成する。xu(n)は下式(1)に従って生成される。
【0009】
【数1】

【0010】
Nzcは系列の要素数であり、nは系列の要素のゼロ始まりの要素番号である。xuは系列番号uの系列、xu(n)は系列番号uの系列のn番目の要素である。また、系列番号uのとり得る値の範囲は、1以上Nzc−1以下の整数値である。
【0011】
第1メモリ1100は、信号系列生成部1003で生成した系列xu(n)を格納するためのメモリであり、Nzc個の要素を格納する。
【0012】
Nzc点DFT1101は、下式(2)に従い系列xu(n)に離散フーリエ変換(DFT)を施して周波数軸方向に直交変換された系列yu(k)を生成する。
【0013】
【数2】

【0014】
第2メモリ1102は、DFTの結果を格納するためのメモリであり、Nzc個の結果を格納する。順次読み出し部1103は、第2メモリ1102から順次読み出し制御を行い、I,Qデータを出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2007−124493号公報
【特許文献2】特開2005−202911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記のような構成では、周波数の軸方向に直交変換した系列を生成するために、例えば、Nzc=839の場合、839^2≒70万MAC程度の膨大な積和能力が要求される。特に、組込用途でこのような処理をリアルタイムで実現する場合、装置に相応の演算能力が要求され、回路規模およびコストが増大する。
【0017】
また、組込向けに、必要十分なDFT計算精度を得ようとする場合、計算処理部分の調整や検証のために膨大な開発工数を要する。また、リアルタイム処理や計算精度の問題を避けるために、あらかじめ、全系列番号分の変換後の系列をメモリ上に用意しておく構成とした場合、Nzc×(Nzc−1)≒70万ワード分という、多大なメモリ領域が必要になり、コスト増大を招いた。
【0018】
上述した従来技術による問題点を解消するため、所定の系列生成をDFTを用いずに簡単な処理でメモリ量を取らずに行える系列生成装置、無線通信装置、系列生成方法および系列生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、開示技術は、系列番号u、系列e-j・(nの2次式)の系列の直交変換を行う系列生成装置であって、系列生成に使用される初期値として、少なくとも系列番号u毎の1次微分値を系列番号数格納する記憶部と、入力された前記系列番号uに対応する前記初期値を前記記憶部から読み出し、系列の要素数分、所定の漸化式を用いた更新処理により、直交変換値を位相角として算出する漸化式更新部と、
前記漸化式更新部により算出された直交変換値をsin,cos値に変換する変換部と、を備えたことを要件とする。
【発明の効果】
【0020】
開示の系列生成装置、無線通信装置、系列生成方法および系列生成プログラムによれば、直交変換を行う所定の系列生成を簡単な処理で行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】系列生成を行う基地局装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の信号系列生成部の内部構成例を示すブロック図である。
【図3】系列生成の処理内容の一例を示すフローチャートである。
【図4】漸化式初期値テーブルの内容の一例を示す図表である。
【図5】sin,cos変換部のテーブル内容の一例を示す図表である。
【図6】端末における信号系列生成部の内部構成例を示すブロック図である。
【図7】従来の系列生成を行う基地局装置の構成を示すブロック図である。
【図8】図7におけるDFTの内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施の形態)
以下に添付図面を参照して、この系列生成装置、無線通信装置、系列生成方法および系列生成プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
図1は、系列生成を行う基地局装置の構成例を示すブロック図である。この図に示す基地局装置100の受信部の構成のうち、DFT101、レプリカ乗算部102、IDFT105、ピーク検出部106については、上述した従来の基地局装置の構成(図7参照)と同じある。図1における信号系列生成部110では、要素番号n(後述する系列番号uに該当)、系列がe-j・(nの2次式)である系列の直交変換をDFTを用いずに実現する。すなわち、
【0024】
【数3】

【0025】
(nは系列の要素のゼロ始まりの要素番号、Nは系列の要素数(サンプル数)、kは受信信号のDFT後の要素番号)になることから、周波数の軸方向のリファレンス系列をDFTを行わずに直接生成する。kの2次式で求められる系列の位相角は漸化式を用いて順次計算し、位相角w(k)からI,Qデータを求めるsin,cos変換には、テーブルまたはCORDIC法を用いる。これらの構成により、PRACHの系列全体を保持するための膨大な記憶容量のメモリや乗算器を不要とし、DFT同等の処理を簡易に実現する。
【0026】
図2は、図1の信号系列生成部の内部構成を示すブロック図である。信号系列生成部110は、漸化式初期値テーブル201と、漸化式更新部202と、sin,cos変換部203の3つのブロックを備えている。漸化式初期値テーブル201と、sin,cos変換部203は、それぞれテーブルを構成するデータを記憶する所定容量のメモリを備えている。漸化式更新部202は、CPU等により構成でき、漸化式による系列生成の処理を実行する。
【0027】
漸化式初期値テーブル201には、系列番号uが入力され、位相角の初期値、位相角の一次微分値の初期値、位相角の二次微分値を漸化式更新部202へ出力する。漸化式更新部202は、漸化式初期値テーブル201に格納された位相角の初期値、位相角の1次微分の初期値、位相角の2次微分値を基に、漸化式の更新処理を行う。sin,cos変換部203は、漸化式更新部202における漸化式の演算によって出力された位相角のsin,cos変換を行う。
【0028】
図3は、系列生成の処理内容の一例を示すフローチャートである。図3には漸化式更新部202および203が行う処理を記載してある。漸化式更新部202は、周波数の軸方向に直交変換した系列
【0029】
【数4】

【0030】
の要素を、k=0,1,…,Nzc−1の順に順次計算する。以下、w(k)が整数値+1/2の場合について説明する。
【0031】
各端末に相当する系列番号uが入力されると(ステップS301)、漸化式処理部202は、漸化式初期値テーブル201から、所望のuに対応する初期値をテーブル引きする(ステップS302)。ここでは、入力された系列番号uを基に位相角wの初期値と、位相角の1次微分の初期値dwと、位相角の2次微分値aを取り出す。
【0032】
漸化式の処理では、まずw,dwの初期値を0とし、
w(0)=w0
dw(0)=dw0
とする(ステップS303)。
【0033】
以後、順次、kが1〜Nzcに至るまでの間、漸化式の更新処理を繰り返す(ステップS304)。具体的には、k=1,2,…,Nzc−1の間(ステップS307:Noのループの間)、位相角w(k)の1次微分および2次微分を導出する。
w(k)=w(k−1)+dw(k−1)
dw(k)=dw(k−1)+a
if(w(k)>=2・Nzc)then
w(k)=w(k)−2・Nzc …(mod処理1)
if(dw(k)>=2・Nzc)then
dw(k)=dw(k)−2・Nzc …(mod処理2)の計算を行う(ステップS305)。
【0034】
この後、漸化式の演算結果を基に、sin,cos変換部203により、出力された位相角w(k)のsin,cos値変換を行い(ステップS306)、kがNzc−1となれば(ステップS307:Yes)、処理を終了する。
【0035】
上記の処理では、w(k−1),dw(k−1),aがいずれも0以上2Nzc−1以下の値であるため、w(k−1)+dw(k−1),dw(k−1)+aは、いずれも、0以上4Nzc−2以下の値になり、ぞれぞれ、mod処理1とするかあるいはmod処理2とするかの条件判定と、1回の減算処理だけで2Nzcでモジュロをとる処理の代用ができる。さらに、2・Nzcは、あらかじめ定数として計算して用意しておくことができ、上記の条件判定や減算時には、2×Nzcの計算は行わずに済む。w(k)が整数値の場合も同様の処理になる。
【0036】
図4は、漸化式初期値テーブルの内容を示す図表である。図中上から下の順に系列番号u(0〜Nzc)であり、各列に上記のw0,dw0,aがそれぞれ格納される。
【0037】
-j・(nの2次式)のDFTは、
【0038】
【数5】

【0039】
がe-j・(kノ2次式)になることから、
【0040】
【数6】

【0041】
で表すことにする。ここで、
【0042】
【数7】

【0043】
であることから、w(k)はNzc,uで一意に決まり、0≦w(k)≦2・Nzcの範囲を巡回する下式(3)で表すことができる。
【0044】
w(k)=(kの2次式)mod(2・Nzc) …(3)
【0045】
次に、w(k)の計算を漸化式更新部202による加減算のみで簡単に実施するために、下記の漸化式
w(0)=w0
dw(0)=dw0
dw(k)=(dw(k−1)+a)mod(2・Nzc)
w(k)=(w(k)−1)+dw(k−1)mod(2・Nzc)
【0046】
を用い、w(k),k=0,1,…,Nzc−1を順次処理で計算する。なお、この漸化式から、w(k)は、
【0047】
【数8】

【0048】
となる。初期値w0,dw0,aは、Nzc,uで一意に決まることから、あらかじめ、u=1,2,…,Nzc−1について初期値を求めて漸化式初期値テーブル201に格納しておく。初期値は、関係式、
【0049】
【数9】

【0050】
より、
w(k)=((Nzc/π)・Arg(yu(k)))mod(2・Nzc)
w0=w(0)
dw0=(w(1))−w(0))mod(2・Nzc)
a=((w(2)−w(1))−(w(1)−w(0)))mod(2・Nzc)=(w(2)+w(0))mod(2・Nzc)
を用いて求めることができる。
【0051】
図4には、Nzc=839の場合の初期値を例示している。Nzc=839の場合、dw0,aは整数値になり、w0は整数値+1/2になることから、
【0052】
【数10】

【0053】
として、w0,dw0,aの代わりに、W0,dW0,aのセットを初期値としている。
また、W(k)の漸化式は、上記のw(k)の漸化式と同様に、
W(0)=W0
dW(0)=dW0
dW(k)=(dW(k−1)+a)mod(2・Nzc)
W(k)=(W(k)−1)+dW(k−1)mod(2・Nzc)
となる。
【0054】
そして、Nzcが少なくとも7から1009の間の素数の場合、初期値w0は整数値、または、整数値+1/2となり、dw0,aは整数値となる。また、初期値w0が整数値の場合、w(k)は常に整数値になり、初期値w0が整数値+1/2の場合、w(k)は常に整数値+1/2になる。よって、Nzcの値に従って、
【0055】
【数11】

【0056】
のw(k)またはW(k)のいずれかを適切に選ぶことで、漸化式を整数値のみで計算することができる。これに限らず、
【0057】
【数12】

【0058】
なるv(k)を使用することにより、漸化式を整数値のみで計算することもできる。
【0059】
次に、sin,cos変換部203では、
【0060】
【数13】

【0061】
の算出を、sin,cosテーブルを用いて行う。これに限らず、汎用のCORDIC法を使用してもよく、いずれにおいても単純なテーブル引きと加減算とシフトのみで実現できる。
【0062】
sin,cos変換部203のテーブルは、w(k)が常に整数値の場合は、
【0063】
【数14】

【0064】
に従って、オフセットゼロ、2π/2Nzcステップのテーブルを用意し、
w(k)が常に整数値+1/2の場合は、
【0065】
【数15】

【0066】
に従って、2π/4Nzcのオフセットで、2π/2Nzcステップのテーブルを用意すればよい。
【0067】
図5は、sin,cos変換部のテーブル内容を示す図表である。この図には、Nzc=839の場合のテーブルの一部を図示してある。
【0068】
【数16】

【0069】
に示されるように、I,Qについて、値を2^15倍し、−(2^15−1)から+(2^15−1)の範囲を有して、値を丸め、飽和を行って整数化した値を、I[0],Q[0],I[1],Q[1],…の順で一つのテーブル上にテーブル化している。上記のテーブルは、位相角からI,Qを取り出す構成であるが、CODEC法によるデータのシフト、ラダーを行う構成でも実現可能である。いずれのテーブルであっても乗算は不要であり、演算を簡素化できる。
【0070】
以上の説明では、基地局装置におけるPRACHの系列生成について説明したが、基地局に限らず、端末の送信部における系列生成にも同様に適用することができる。図6は、端末の送信部における信号系列生成部の内部構成を示すブロック図である。端末600の送信部には、系列番号uの入力に基づき上述したPRACHの信号系列生成を行う信号系列生成部601を備えればよい。この出力は、周波数リソースマッピング部602に入力され、その後IDFT603を介して送信ベースバンド信号が出力される。この構成によれば、周波数リソースマッピング部602の前段にDFTを設けなくともよい。
【0071】
以上説明した構成によれば、DFTを行わずにPRACHの系列生成を行うことができるため、計算量やメモリを大幅に削減でき、回路規模、消費電力および開発工数を削減できる。例えば、本実施例によれば、比較や加減算を6×839≒5千回程度で周波数軸方向の系列生成が行える。例えば、1フレーム10msec、PRACHの期間が先頭の1msecであるが、図3に示す簡易な処理により、能力が小さなCPUであっても十分に処理が可能である。また、系列全体を保持せずに、系列1サンプルごとの順次計算で周波数の軸方向の系列を生成できるため、PRACHの系列生成に限らず、他の系列生成の装置に対しても容易に適用できる。
【0072】
そして、上記の構成によれば、下記の利点を有している。
1)乗算や剰余算を必要とせず、加減算や比較等の簡単な計算で実現できる。
2)1サンプル点あたりの計算回数も従来方式と比べて、サンプル数分の1程度で実現できる。
3)1サンプル点ごとの順次処理で系列生成できる。
4)位相角を誤差の発生しない方法で直接求めていることから、計算精度の確保が容易である。
【0073】
以上説明したように、系列生成装置、無線通信装置、系列生成方法および系列生成プログラムによれば、漸化式を用いて簡易な処理で系列生成することができる。この際、系列番号に対応した位相角の初期値、位相角の1次微分の初期値、位相角の2次微分値が格納された漸化式初期値テーブル201を用意しておき、系列番号ごとにこのテーブルを読み出すことで、漸化式を用いて系列を生成することができる。系列の生成は、漸化式更新部202により、漸化式を用いた処理を順次繰り返し値を更新するだけで容易に得ることができる。また、漸化式で得られる位相角は、sin,cos変換部203によりsin,cos値に変換することができる。
【0074】
なお、本実施の形態で説明した系列生成方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【0075】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0076】
(付記1)系列番号u、系列e-j・(nの2次式)の系列の直交変換を行う系列生成装置であって、
系列生成に使用される初期値として、少なくとも系列番号u毎の1次微分値を系列番号数格納する記憶部と、
入力された前記系列番号uに対応する前記初期値を前記記憶部から読み出し、系列の要素数分、所定の漸化式を用いた更新処理により、直交変換値を位相角として算出する漸化式更新部と、
前記漸化式更新部により算出された直交変換値をsin、cos値に変換する変換部と、
を備えたことを特徴とする系列生成装置。
【0077】
(付記2)前記漸化式更新部は、前記漸化式による一度の計算結果を次の要素の計算に用いることを加減算のみで当該要素数分繰り返し行い、前記直交変換値を算出することを特徴とする付記1に記載の系列生成装置。
【0078】
(付記3)前記漸化式更新部は、
w(0)=w0
dw(0)=dw0
dw(k)=(dw(k−1)+a)mod(2・Nzc)
w(k)=(w(k)−1)+dw(k−1)mod(2・Nzc)
(ただし、w:位相角、dw:位相角の1次微分値、a:位相角の2次微分値、Nzc:要素数、w(k):要素別の位相角)
を用い、k=0,1,…,Nzc−1の要素数だけ前回値を用いたシフトおよび加減算を順次行うことにより、位相角を2π/2・Nzcステップで表現する整数インデックス値として得ることを特徴とする付記2に記載の系列生成装置。
【0079】
(付記4)前記変換部は、
前記漸化式更新部により算出された位相角に対応する直交変換値のsin、cos値が予め前記記憶部に格納されていることを特徴とする付記3に記載の系列生成装置。
【0080】
(付記5)付記1〜4のいずれか一つに記載の系列生成装置を、基地局装置における受信信号の周波数の軸方向の物理ランダムアクセスチャネルの系列生成を行うリファレンス系列に用いたことを特徴とする無線通信装置。
【0081】
(付記6)付記1〜4のいずれか一つに記載の系列生成装置を、端末装置における送信信号の周波数の軸方向の物理ランダムアクセスチャネルの系列生成に用いたことを特徴とする無線通信装置。
【0082】
(付記7)系列番号u、系列e-j・(nの2次式)の系列の直交変換を行う系列生成方法であって、
系列生成に使用される初期値として、少なくとも系列番号u毎の1次微分値を系列番号数、記憶部に格納しておく初期値設定工程と、
入力された前記系列番号uに対応する前記初期値を前記記憶部から読み出し、系列の要素数分、所定の漸化式を用いた更新処理により、直交変換値を位相角として算出する漸化式更新工程と、
前記漸化式更新工程により算出された直交変換値をsin、cos値に変換する変換工程と、
を含むことを特徴とする系列生成方法。
【0083】
(付記8)系列番号u、系列e-j・(nの2次式)の系列の直交変換を行う系列生成プログラムであって、
コンピュータに、
系列生成に使用される初期値として、少なくとも系列番号u毎の1次微分値を系列番号数、記憶部に格納しておく初期値設定工程と、
入力された前記系列番号uに対応する前記初期値を前記記憶部から読み出し、系列の要素数分、所定の漸化式を用いた更新処理により、直交変換値を位相角として算出する漸化式更新工程と、
前記漸化式更新工程により算出された直交変換値をsin、cos値に変換する変換工程と、
を実行させることを特徴とする系列生成プログラム。
【符号の説明】
【0084】
102 レプリカ乗算部
106 ピーク検出部
110 信号系列生成部
201 漸化式初期値テーブル
202 漸化式更新部
203 sin,cos変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
系列番号u、系列e-j・(nの2次式)の系列の直交変換を行う系列生成装置であって、
系列生成に使用される初期値として、少なくとも系列番号u毎の1次微分値を系列番号数格納する記憶部と、
入力された前記系列番号uに対応する前記初期値を前記記憶部から読み出し、系列の要素数分、所定の漸化式を用いた更新処理により、直交変換値を位相角として算出する漸化式更新部と、
前記漸化式更新部により算出された直交変換値をsin,cos値に変換する変換部と、
を備えたことを特徴とする系列生成装置。
【請求項2】
前記漸化式更新部は、前記漸化式による一度の計算結果を次の要素の計算に用いることを加減算のみで当該要素数分繰り返し行い、前記直交変換値を算出することを特徴とする請求項1に記載の系列生成装置。
【請求項3】
前記漸化式更新部は、
w(0)=w0
dw(0)=dw0
dw(k)=(dw(k−1)+a)mod(2・Nzc)
w(k)=(w(k)−1)+dw(k−1)mod(2・Nzc)
(ただし、w:位相角、dw:位相角の1次微分値、a:位相角の二次微分値、Nzc:要素数、w(k):要素別の位相角)
を用い、k=0,1,…,Nzc−1の要素数だけ前回値を用いたシフトおよび加減算を順次行うことにより、位相角を2π/2・Nzcステップで表現する整数インデックス値として得ることを特徴とする請求項2に記載の系列生成装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の系列生成装置を、基地局装置における受信信号の周波数の軸方向のPRACH系列生成を行うリファレンス系列に用いたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の系列生成装置を、端末装置における送信信号の周波数の軸方向のPRACH系列生成に用いたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項6】
系列番号u、系列e-j・(nの2次式)の系列の直交変換を行う系列生成方法であって、
系列生成に使用される初期値として、少なくとも系列番号u毎の1次微分値を系列番号数、記憶部に格納しておく初期値設定工程と、
入力された前記系列番号uに対応する前記初期値を前記記憶部から読み出し、系列の要素数分、所定の漸化式を用いた更新処理により、直交変換値を位相角として算出する漸化式更新工程と、
前記漸化式更新工程により算出された直交変換値をsin,cos値に変換する変換工程と、
を含むことを特徴とする系列生成方法。
【請求項7】
系列番号u、系列e-j・(nの2次式)の系列の直交変換を行う系列生成プログラムであって、
コンピュータに、
系列生成に使用される初期値として、少なくとも系列番号u毎の1次微分値を系列番号数、記憶部に格納しておく初期値設定工程と、
入力された前記系列番号uに対応する前記初期値を前記記憶部から読み出し、系列の要素数分、所定の漸化式を用いた更新処理により、直交変換値を位相角として算出する漸化式更新工程と、
前記漸化式更新工程により算出された直交変換値をsin、cos値に変換する変換工程と、
を実行させることを特徴とする系列生成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−199497(P2011−199497A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62838(P2010−62838)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】