説明

納豆容器及びその製造方法

【課題】特段のシール作業を要することなく煮豆の発酵を促進させる通気性を持たせるとともに、虫等の異物が収容部内に進入することを防止し、且つ安価な納豆容器及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】納豆容器1は、鍔部4に、鍔部4の外周側に外凹開口8、内周側に内凹開口8’、及び両凹開口8,8’を連通する所定長さの溝部7がそれぞれ形成されており、鍔部4にシール材3を当着させることで、シール材3、両凹開口8,8’、及び溝部7により、収容部2と外気とを通気する細幅の通気路が形成されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、納豆菌を接種した煮豆を収容する凹形状の収容部と、この収容部の周囲に沿って形成された鍔部とからなり、鍔部にシール材を貼着させ収容部を被覆して、煮豆を発酵させ納豆を生成するようにした納豆容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の納豆容器には、収容部の鍔部に形成された凸部を有しており、収容部内に納豆菌を接種した煮豆と調味料等を収容した後、シール材を鍔部の一部にシールすることで、凸部によりシール材の一部と鍔部の一部に、煮豆の発酵を促進させるための通気用の隙間が生じ、このシールした状態で煮豆を発酵させる工程、及び煮豆を熟成させる工程を行った後に、このシール材の周縁を鍔部の全面に亘って再度シールする作業を経て、顧客等に供するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−304843号公報(第3頁、第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の納豆容器にあっては、凸部により通気用の隙間が生じるため、煮豆の発酵を促進させることができるものの、煮豆を発酵させる工程において、この隙間から虫等の異物が容器内に進入する虞があるばかりか、シール材の再度のシール作業を要するために、納豆の生成工程が煩雑で手間がかかっていた。
【0005】
また従来、納豆容器の収容部を被覆するシール材には、全面に亘って通気部としての微小な孔部を備えた材質も採用されているが、このような材質のシール材は、一般に高価であった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、特段のシール作業を要することなく煮豆の発酵を促進させる通気性を持たせるとともに、虫等の異物が収容部内に進入することを防止し、且つ安価な納豆容器及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の納豆容器は、
納豆菌を接種した煮豆を収容する凹形状の収容部と、前記収容部の周囲に沿って形成された鍔部とからなり、前記鍔部にシール材を貼着させ前記収容部を被覆して、前記煮豆を発酵させ納豆を生成するようにした納豆容器であって、
前記鍔部に、該鍔部の外周側に外凹開口、内周側に内凹開口、及び前記両凹開口を連通する所定長さの溝部がそれぞれ形成されており、
前記鍔部の上部に前記シール材を貼着させることで、前記シール材、前記両凹開口、及び前記溝部により、前記収容部と外気とを通気する細幅の通気路が形成されるようになっていることを特徴としている。
この特徴によれば、納豆容器の鍔部に、鍔部の外周側に外凹開口、内周側に内凹開口、及び両凹開口を連通する所定長さの溝部がそれぞれ形成されており、鍔部の上部に、収容部の被覆に用いるシール材を貼着させるだけで、このシール材、両凹開口、及び溝部により、収容部と外気とを通気する細幅の通気路が形成できるため、安価な非通気性の材質のシール材を採用できるばかりか、シール材を貼着させるシール工程を一度行うだけで、虫等の異物の進入を防止した状態で収容部内の納豆を生成出来るとともに、他に特段のシール作業を要することなく、生成した納豆を提供することが出来る。
【0008】
本発明の請求項2に記載の納豆容器は、請求項1に記載の納豆容器であって、
前記溝部は、少なくとも一部に前記鍔部の周方向に延びる箇所を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、溝部が、少なくとも一部に鍔部の周方向に延びる箇所を有していることで、鍔部の外縁側と収容部との最短長さよりも長寸に形成されることになり、虫等の異物が収容部内に進入し難い。
【0009】
本発明の請求項3に記載の納豆容器は、請求項1または2に記載の納豆容器であって、
前記両凹開口は、周方向に互いに異なる箇所に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、両凹開口は、周方向に互いに異なる箇所に形成されていることで、溝部の距離を長く取ることができるため、虫等の異物が収容部内に進入することを確実に防止できる。
【0010】
本発明の請求項4に記載の納豆容器は、請求項1ないし3のいすれかに記載の納豆容器であって、
前記溝部は、前記鍔部の内外に複数条形成され、互いに隣接した前記溝部同士を連通する中凹開口が形成されており、内外に隣接した前記凹開口同士が、周方向に互いに異なる箇所に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、溝部は、鍔部の内外に複数条形成され、互いに隣接した溝部同士を連通する中凹開口が形成されており、内外に隣接した凹開口同士が、周方向に互いに異なる箇所に形成されているため、溝部の距離をより長く取ることができ、溝部の経路を複雑化できる。
【0011】
本発明の請求項5に記載の納豆容器は、請求項1ないし4のいずれかに記載の納豆容器であって、
前記鍔部は上面視略方形状を成し、前記両凹開口は、前記鍔部の各辺にそれぞれ形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、両凹開口が、上面視略方形状を成す鍔部の各辺にそれぞれ形成されているため、煮豆が収容された収容部と外気とが、四方にわたり通気されるため、収容部内の煮豆を均質に発酵させ納豆を生成できる。
【0012】
本発明の請求項6に記載の納豆容器の製造方法は、
納豆菌を接種した煮豆を収容する凹形状の収容部と、前記収容部の周囲に沿って形成された鍔部とからなり、前記鍔部にシール材を貼着させ前記収容部を被覆して、前記煮豆を発酵させ納豆を生成するようにした納豆容器の製造方法であって、
前記鍔部の上面に、周方向に所定間隔の隙間を残して配された所定長の突条を、該突条同士の間に所定幅の隙間を残して内外に複数条に形成し、
前記突条の上部に前記シール材を貼着させることを特徴としている。
この特徴によれば、鍔部の上面に、周方向に所定間隔の隙間を残して配された所定長の突条を、突条同士の間に所定幅の隙間を残して内外に複数条に形成し、突条の上部にシール材を貼着させるだけで、外周側の突条における隙間を外凹開口として機能させ、内周側の突条における隙間を内凹開口として機能させ、内外の突条同士の隙間を溝部として機能させて、両凹開口及び溝部として機能させた突条同士の隙間により、通気路を容易且つ自在に形成できる。また、突条の上部にシール材を貼着するので、シール量を抑えることができ、且つ、シール材を貼着する突条が内外に複数条に形成されているので、シール材の貼着箇所が一部剥れた場合でも異物進入の防止を維持し衛生上好ましい。
【0013】
本発明の請求項7に記載の納豆容器の製造方法は、請求項6に記載の納豆容器の製造方法であって、
内外に隣接した前記突条における周方向の前記隙間同士が、周方向に互いに異なる箇所に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、内外に隣接した突条における凹開口として機能する隙間同士が、周方向に互いに異なる箇所に形成されていることで、長い距離の通気路を容易に形成することができる。
【0014】
本発明の請求項8に記載の納豆容器の製造方法は、請求項6または7に記載の納豆容器の製造方法であって、
前記鍔部は、平面部上に突出部が形成された鋳型によりプレス加工されて成型されるようになっていることを特徴としている。
この特徴によれば、鍔部が、平面部上に突出部が形成された鋳型によりプレス加工されて成型されることで、突条を肉厚にすることなく軽量化でき、且つ鍔部に形成された突条により強度を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例】
【0016】
本発明の実施例を図面に基づいて説明すると、先ず図1は、本発明に係る納豆容器を示す斜視図である。図2は、納豆容器の上面図である。図3は、シール材が取付けられた納豆容器の上面図である。図4は、図3と同じく正面図である。図5(a)は、図3のA−A断面図であり、(b)は、図3のA’−A’断面図である。以下、図4の上下側を納豆容器の上下側として説明する。
【0017】
図1の符号1は、本発明の適用された、煮豆を発酵させ納豆を生成する納豆容器である。納豆容器1は、主に、納豆菌を接種した煮豆を収容する凹形状の収容部2と、該収容部2の周囲に亘って外方に平面状に延びて形成された鍔部4と、から構成され、煮豆が収容された収容部2をシール材3にて被覆(シール)して、煮豆を発酵させ納豆が生成されるようになっている。また納豆容器1は、図示しない鋳型を用いたプレス加工により略均一の薄厚に成型されることで、大量生産される。このように納豆容器1内で生成した納豆は、納豆容器1とともに顧客等に提供される場合が一般的である。
【0018】
シール材3は、プラスチックフィルム等の材質から成り、上面視略方形状、すなわち略四角形状に形成されており、本実施例のシール材3自体は、通気性を有さない比較的安価な材質が採用されている。またシール材3は、角部の1つが外方に若干張り出した張出部3a(図3参照)に形成され、張出部3aを引き上げることで、シール材3を剥がせるようになっている。
【0019】
図1及び図2に示されるように、納豆容器1は、プラスチック等の合成樹脂材から成り、図3に示されるように、鍔部4は、上面視略方形状、すなわち略四角形状に形成されている。また、鍔部4の上端には、内外に複数条(本実施例では、2条)の突条6,6’が、隣接した互いの突条6,6’との間に溝部7を形成するように、収容部2の周囲に環状に設けられており、この突条6,6’は、その上端にシール材3との貼着部5,5’を備えている。更に、各々の突条6,6’の適所に、貼着部5,5’よりも凹形状を成す凹開口8,8’が複数(本実施例では、凹開口8,8’は8個ずつ)形成されている。
【0020】
より具体的には、鍔部4に、鍔部4の外周側の突条6に外凹開口8、内周側の突条6’に内凹開口8’、及び両凹開口8,8’を連通する所定長さの溝部7がそれぞれ形成されている。溝部7は、鍔部4の周方向に延びている。
【0021】
納豆容器1の製造方法、特に鍔部4の成型については、平面部上に突条6,6’用の突出部が形成された図示しない鋳型をプレス加工することで成型されるようになっており、鍔部4の上面に、周方向に所定間隔の隙間を残して配された所定長の突条6,6’を、この突条6,6’同士の間に所定幅の隙間を残して内外に複数条に形成することで、外周側の突条6における隙間を外凹開口8として機能させ、内周側の突条6’における隙間を内凹開口8’として機能させ、内外の突条6,6’同士の隙間を溝部7として機能させている。
【0022】
また、突条6,6’及び凹開口8,8’は、図2の中心線Cに対称の略線対称形状に形成されている。また凹開口8,8’は、略四角形状の突条6,6’の角部を除いた各辺に2箇所ずつ形成され、且つ、外周側の突条6に形成された凹開口8が、内周側の突条6’に形成された凹開口8’よりも角部に近い箇所に形成されている。
【0023】
図3に示されるように、収容部2は、シール材3を突条6,6’の貼着部5,5’に貼着させることで、各々の凹開口8,8’と溝部7とを介し外気と通気する細幅の通気路が形成されるようになっている(図示黒塗矢印参照)。具体的には、各々の凹開口8,8’の開口幅寸法、及び溝部7の幅寸法は、本実施例では、1〜2mm程度であり、通気路としてこの程度の幅寸法を確保することで、虫等の異物が収容部2の外部から収容部2に進入することを防止し、かつ収容部2内と収容部2外との間で通気性を確保できるようになっている。
【0024】
更に、図2に示されるように、内外に互いに隣接した突条6,6’における凹開口8,8’同士は、周方向にずれた箇所、すなわち周方向に異なる箇所に形成されている。より具体的には、各々の凹開口8,8’は、外凹開口8(または内凹開口8’)を突条6(または突条6’)の延長方向と略直交して通過する仮想直線D(または仮想直線E)が、内外に隣接する内凹開口8’(または外凹開口8)を通過しない箇所に形成されている。
【0025】
次に、納豆を製造する工程について説明すると、先ず、図2において、収容部2に納豆菌を接種した煮豆と調味料等を収容した後、図3〜図5(a)、(b)に示されるように、シール材3の外周側部を、周方向に沿って突条6,6’の上端の貼着部5,5’に熱溶着により貼着する。この熱溶着により、図3の黒塗矢印及び図5(a)、(b)の黒塗矢印に示すように、通気性が確保された状態で、収容部2が被覆(シール)される。
【0026】
この収容部2が被覆(シール)された状態で、所定時間煮豆を発酵させる発酵工程を行う。前述したように、収容部2は外気と通気されているため、この発酵工程において煮豆の発酵を促進させることができる。図5(b)に示されるように、内凹開口8’の底面が、収容部2内に向けて下方に傾斜する傾斜面9に形成されており、このようにすることで、この傾斜面9を利用して、発酵工程において発生し内凹開口8’に付着した水滴を、収容部2内に向けて誘導することができ、内凹開口8’の通気性を維持できる。
【0027】
そして、この発酵工程が終了し、納豆容器1は、上述したシール材3のシール状態のまま、すなわちシール材3が突条6,6’の上端の貼着部5,5’に貼着した状態のまま、熟成工程を経て、他に特段のシール作業を行うことなく、顧客等に向けて出荷される。
【0028】
以上に説明したように、実施例の納豆容器1において、収容部2の周囲に沿って形成された鍔部4に、複数条の突条6,6’が、隣接した互いの突条6,6’との間に溝部7を形成するように、収容部2の周囲に設けられ、納豆容器1の収容部2が、シール材3を突条6,6’の上端の貼着部5,5’に貼着させるだけで、このシール材3、両凹開口8,8’、及び溝部7により、収容部2と外気とを通気する細幅の通気路が形成できるため、安価な非通気性の材質のシール材3を採用できるばかりか、凹開口8,8’が形成された突条6,6’の貼着部5,5’にシール材3を貼着させるシール工程を一度行うだけで、虫等の異物の進入を防止した状態で収容部2内の納豆を生成出来るとともに、他に特段のシール作業を要することなく、生成した納豆を提供することが出来る。
【0029】
また、鍔部4の上面に、周方向に所定間隔の隙間を残して配された所定長の突条6,6’を、突条6,6’同士の間に所定幅の隙間を残して内外に複数条に形成し、突条6,6’の上部にシール材3を貼着させるだけで、外周側の突条6における隙間を外凹開口8として機能させ、内周側の突条6’における隙間を内凹開口8’として機能させ、内外の突条6,6’同士の隙間を溝部7として機能させて、両凹開口8,8’及び溝部7として機能させた突条6,6’同士の隙間により、通気路を容易且つ自在に形成できる。また、突条6,6’の上部にシール材3を貼着するので、シール量を抑えることができ、且つ、シール材3を貼着する突条6,6’が内外に複数条に形成されているので、シール材3の貼着箇所が一部剥れた場合でも異物進入の防止を維持し衛生上好ましい。
【0030】
また、溝部7が、一部に鍔部4の周方向に延びる箇所を有していることで、鍔部4の外縁側と収容部2との最短長さよりも長寸に形成されることになり、虫等の異物が収容部内に進入し難い。
【0031】
また、上述したように、凹開口8,8’が周方向に異なる箇所に形成されていることで、溝部7の距離を長く取ることができ、長い距離の通気路を容易にを容易に形成することができる。更に、例えば図4に示されるように、外周側の突条6において形成された外凹開口8を介した内側に、内周側の突条6’の外周壁が面することになるため、異物が直線的に収容部2に進入することを防止できる。特に、両凹開口8,8’をできるだけ周方向に離間させて形成することが好ましく、このように凹開口8,8’同士が離間することで、異物の進入をより確実に防止することができる。
【0032】
また、凹開口8,8’が、上面視略方形状を成す突条6,6’の各辺にそれぞれ形成されているため、煮豆が収容された収容部2と外気とが、四方にわたり通気されるため、収容部2内の煮豆を均質に発酵させ納豆を生成できる。
【0033】
更に、上述した納豆容器1が、プレス加工により略均一の薄厚に成型されるようになっており、特に鍔部4が、平面部上に突出部が形成された鋳型によりプレス加工されて成型されるようになっているため、突条6,6’を肉厚にすることなく軽量化でき、且つ鍔部4に形成された突条6,6’により強度を確保できる。また、凹開口8,8’が形成された突条6,6’を、平面視略線対称形状に設けることで、納豆容器1成型用の鋳型を製作し易い。
【0034】
また、上述したように鍔部4に突条6,6’が設けられていることで、納豆容器1に一定のリブ効果を奏しているが、本実施例では凹開口8,8’が突条6,6’の角部を除いた箇所に形成されており、角部においては突条6,6’が延びているため、鍔部4に突設した突条6,6’による納豆容器1のリブ効果を、角部において維持できる。
【0035】
尚、凹開口は、突条の角部において形成されていてもよく、このようにすることで、シール材3が前記した角部では貼着することが無いため、納豆の被提供者が、収容部2を被覆したシール材3を、張出部3aを把持して前記した角部から剥がし易い。
【0036】
次に、本発明の溝部の変形例を図面に基づいて説明すると、図6(a)〜(d)は、それぞれ溝部の変形例を示す拡大上面図である。図7(a)は、溝部の別の変形例を示す拡大上面図であり、(b)は、(a)のB−B断面図である。上述した実施例と重複する構成及び効果については、説明を省略する。
【0037】
図6(a)に示されるように、鍔部14に若干幅広の1条の突条16が、収容部の周囲に設けられており、突条16には、外周側に外凹開口18a、内周側に内凹開口18b、及び両凹開口18a、18bを連通する溝部17が形成されている。溝部17は、より具体的には、外凹開口18aから径方向に僅かに延び、略直角に曲がり周方向に延びて、更に略直角に曲がり径方向に僅かに延びて内凹開口18bまで連通している。両凹開口18a、18bは、周方向に互いに異なる箇所に形成されている。
【0038】
図6(b)に示されるように、鍔部24に若干幅広の1条の突条26が、収容部の周囲に設けられており、突条26には、外周側に外凹開口28a、内周側に内凹開口28b、及び両凹開口28a、28bを連通する溝部27が形成されている。溝部27は、より具体的には、外凹開口28aから内凹開口28bまで、斜方向に比較的長い略直線状に連通している。両凹開口28a、28bは、周方向に互いに異なる箇所に形成されている。
【0039】
図6(c)に示されるように、鍔部34に若干幅広の1条の突条36が、収容部の周囲に設けられており、突条36には、外周側に外凹開口38a、内周側に内凹開口38b、及び両凹開口38a、38bを連通する溝部37が形成されている。溝部37は、より具体的には、外凹開口38aから径方向に僅かに延び、略直角に曲がり上面視略コ字状に延びて、更に略直角に曲がり径方向に僅かに延びて内凹開口38bまで連通している。このようにすることで、溝部37の距離をより長く取ることができ、溝部37の経路を複雑化できる。
【0040】
尚、本変形例では、外凹開口38aと内凹開口38bが、周方向に略同じ箇所に形成されているが、外凹開口と内凹開口が周方向に異なる箇所に形成されていてもよい。
【0041】
また、図6(d)に示されるように、鍔部44の内外に互いに隣接する3条の突条46a、46c、46bが、収容部の周囲に設けられており、外周側の突条46aに外凹開口48a、内周側の突条46bに内凹開口48b、中央の突条46cに中凹開口48c、及び凹開口48a、48b、48cを連通する2条の溝部47a、47bが形成されている。溝部47a、47bは、より具体的には、外凹開口48aから径方向に僅かに延び、略直角に曲がり中凹開口48cを介して上面視略コ字状に延びて、更に略直角に曲がり径方向に僅かに延びて内凹開口48bまで連通している。内外に互いに隣接する突条46a、46cにおける凹開口48a、48c同士、若しくは互いに隣接する突条46c、46bにおける凹開口48c、48b同士は、周方向に異なる箇所に形成されている。このようにすることで、溝部47a、47bの距離をより長く取ることができ、溝部47a、47bの経路を複雑化できる。
【0042】
尚、本変形例では、外凹開口48aと内凹開口48cが、中央の突条46cを挟んで周方向に略同じ箇所に形成されているが、外凹開口と内凹開口が周方向に異なる箇所に形成されていてもよい。
【0043】
更に尚、本変形例では、外周側の突条46a、内周側の突条46b、及び中央の突条46cの計3条形成されることで、2条の溝部47a、47bが形成されているが、例えば、外周側の突条と内周側の突条との間に、それぞれが凹開口を有する中央側の突条が複数条有する4条以上の突条を形成することで、3条以上の所定条数の溝部を形成するようにしてもよい。
【0044】
図7(a)、(b)に示されるように、鍔部54に、鍔部54の外周縁に外凹開口58a、内周縁に内凹開口58b、及び両凹開口58a、58bを連通する溝部57がそれぞれ形成されている。溝部57は、より具体的には、外凹開口58aから径方向に僅かに延び、略直角に曲がり周方向に延びて、更に略直角に曲がり径方向に僅かに延びて内凹開口58bまで連通している。両凹開口58a、58bは、周方向に互いに異なる箇所に形成されている。鍔部54の貼着部としての上面55にシール材3を貼着させることで、シール材3、両凹開口58a、58b、及び溝部57により、収容部2と外気とを通気する細幅の通気路が形成されるようになっている。
【0045】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0046】
例えば、前記実施例では、納豆容器1は、プラスチック等の合成樹脂材から成っているが、納豆容器の材質は合成樹脂材に限定されるものではなく、例えば、納豆容器は、紙材で構成されても良い。同様に、シール材3は、プラスチックフィルムから成っているが、シール材の材質は、プラスチック材に限定されるものではなく、例えば、シール材3は、ビニール材から構成されても良い。
【0047】
また、前記実施例では、両凹開口8,8’は8個ずつ形成されているが、内外に隣接した突条に形成された互いの凹開口が、収容部の周方向に異なる箇所に形成されていれば、互いの凹開口が形成される個数は、8個ずつに限定されるものではなく、例えば、互いの凹開口が1個以上の所定数ずつ形成されても良いし、凹開口の個数が互いに異なるように形成されても良い。
【0048】
また、前記実施例では、納豆容器1は、上面視略四角形状に形成されているが、納豆容器の形状は、上面視形状が略四角形状に形成されている形状に限定されるものでなく、例えば、納豆容器の形状は、上面視略円形状に形成されていても良い。また、上面視形状が略円形状に形成されている納豆容器において、突条は略円形状に鍔部に形成されるものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る納豆容器を示す斜視図である。
【図2】納豆容器の上面図である。
【図3】シール材が取付けられた納豆容器の上面図である。
【図4】図3と同じく正面図である。
【図5】(a)は、図3のA−A断面図であり、(b)は、図3のA’−A’断面図である。
【図6】(a)〜(d)は、それぞれ溝部の変形例を示す拡大上面図である。
【図7】(a)は、溝部の別の変形例を示す拡大上面図であり、(b)は、(a)のB−B断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 納豆容器
2 収容部
3 シール材
4 鍔部
5,5’ 貼着部
6,6’ 突条
7 溝部
8, 外凹開口
8’ 内凹開口
9 傾斜面
17 溝部
27 溝部
37 溝部
46a〜46c 突条
47a、47b 溝部
48a 外凹開口
48b 内凹開口
48c 中凹開口
57 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
納豆菌を接種した煮豆を収容する凹形状の収容部と、前記収容部の周囲に沿って形成された鍔部とからなり、前記鍔部にシール材を貼着させ前記収容部を被覆して、前記煮豆を発酵させ納豆を生成するようにした納豆容器であって、
前記鍔部に、該鍔部の外周側に外凹開口、内周側に内凹開口、及び前記両凹開口を連通する所定長さの溝部がそれぞれ形成されており、
前記鍔部の上部に前記シール材を貼着させることで、前記シール材、前記両凹開口、及び前記溝部により、前記収容部と外気とを通気する細幅の通気路が形成されるようになっていることを特徴とする納豆容器。
【請求項2】
前記溝部は、少なくとも一部に前記鍔部の周方向に延びる箇所を有していることを特徴とする請求項1に記載の納豆容器。
【請求項3】
前記両凹開口は、周方向に互いに異なる箇所に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の納豆容器。
【請求項4】
前記溝部は、前記鍔部の内外に複数条形成され、互いに隣接した前記溝部同士を連通する中凹開口が形成されており、内外に隣接した前記凹開口同士が、周方向に互いに異なる箇所に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の納豆容器。
【請求項5】
前記鍔部は上面視略方形状を成し、前記両凹開口は、前記鍔部の各辺にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の納豆容器。
【請求項6】
納豆菌を接種した煮豆を収容する凹形状の収容部と、前記収容部の周囲に沿って形成された鍔部とからなり、前記鍔部にシール材を貼着させ前記収容部を被覆して、前記煮豆を発酵させ納豆を生成するようにした納豆容器の製造方法であって、
前記鍔部の上面に、周方向に所定間隔の隙間を残して配された所定長の突条を、該突条同士の間に所定幅の隙間を残して内外に複数条に形成し、
前記突条の上部に前記シール材を貼着させることを特徴とする納豆容器の製造方法。
【請求項7】
内外に隣接した前記突条における周方向の前記隙間同士が、周方向に互いに異なる箇所に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の納豆容器の製造方法。
【請求項8】
前記鍔部は、平面部上に突出部が形成された鋳型によりプレス加工されて成型されるようになっていることを特徴とする請求項6または7に記載の納豆容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−149921(P2010−149921A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332929(P2008−332929)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(509004181)全容器株式会社 (1)
【Fターム(参考)】