説明

納豆発酵乳及びその製造方法

【課題】納豆発酵乳製品の機能性価値を向上すること。
【解決手段】適切な配合の豆乳原液を利用して、適切な制御条件に組み合わせて、納豆菌を好ましい環境下で成長、発酵させ、風味、食感が独特な新規食品となる納豆発酵乳を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、納豆発酵乳及びその製造方法に関し、特に、品質が安定し、ナットウキナーゼ活性を有する発酵乳及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
台湾と日本において、「納豆」は最も人気があり売れ行きの良い健康食品の一つである。主に、多くの科学データでナットウキナーゼが強力な血栓溶解物質であることが証明されたため、納豆が唯一の血栓を溶解できる食品となっている。
【0003】
納豆は、台湾においてすでにある程度の期間に渡り流行してきたため、市場上の納豆製品の種類もいろいろとある。まとめると、伝統的な納豆の以外に、現在納豆と関係する健康食品の多くは、ナットウキナーゼを含有するカプセル剤があり、一部が粉末納豆菌を含有するものをお湯で溶かすタイプの包装或いは豆乳飲料がある。このほか、特許文献1では、液体培養方法で従来の固体培養に代替して大豆利用効率を向上し、以って高菌量の納豆菌液を得、そして納豆菌液を果汁等の飲料中に添加して健康飲料としている。また特許文献2では、納豆菌発酵飲料を製造する方法が開示され、これは豆乳に納豆菌を加え豆乳が半流動性の状態になるまで充分発酵させることで納豆菌発酵飲料を得る。特許文献3でも、納豆菌(Bacillus natton)を豆乳、牛乳の中に接種して発酵し、その後更に調味料を加えることで呈味性に優れ、或いは直接市販の豆乳に粉末納豆菌を加えて発酵させて納豆菌発酵飲料にする。
【0004】
しかしながら、これら調合方法は、実際の実施上、発酵条件の制御が困難で、汚染が発生しやすい。そのほかにもナットウキナーゼの安定性が高くないため、分解速度が速く、この中に含まれるナットウキナーゼ及び栄養成分が不安定となる。このため、納豆発酵乳中のナットウキナーゼの安定性を維持し、並びに納豆発酵乳の品質を向上するため、改良された納豆発酵乳の調合方法が必要となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−234343号
【特許文献2】特開2004−267180号
【特許文献3】台湾特許公開200814938号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、納豆発酵乳を製造する方法を提供することにある。これには、少なくとも次の工程を含む。
【0007】
原液工程:少なくとも原料混合、均質化、殺菌、発酵のステップを含む。
【0008】
調味液工程:少なくとも原料混合、殺菌のステップを含み、及び、
【0009】
混合工程:少なくとも原液と調味液の混合及び均質化のステップを含む。
【0010】
本発明の方法において、該原液工程の原料混合ステップ内に該原料が少なくとも豆乳原乳を含み、好ましくは少なくとも砂糖、大豆たん白、豆乳原乳を含む。該大豆たん白が該原料の約2.4〜約5.1%(w/v)占め、豆乳原乳が該原料の約55〜約75%(w/v)占め、且つ砂糖が該原料の約4.2〜約5.1%(w/v)占める。
【0011】
本発明の方法において、該原液工程における均質化ステップ内の均質化圧を約130±5barとする。発酵ステップ内に納豆菌を用いて発酵させる発酵温度を約38〜約45℃とし、40℃が好ましい。
【0012】
本発明の方法において、該調味液工程の原料混合ステップ内の該原料が特に限定されるものではなく、各種調合したい味及びとろみ食感によって調製できる。果糖、砂糖、トレハロース等のその他糖類及びペクチン、グアーガム等のその他食用増粘剤類のうちの1種類或いは2種類以上の組合せから選択されることが好ましい。また他の食品添加物も含むことができ、例えば香料、調味料、栄養添加剤、品質改良剤等である。ペクチンの添加量が0.4〜2.0%、グアーガムの添加量を0.04〜0.2%とする。果糖及び砂糖の添加量について特に限定されないため、欲する甘味度によって添加できる。次に、トレハロースの添加量についても特に限定するものではなく、その働きが風味を調整するため、必要性によって添加又は不添加を選択できる。
【0013】
本発明の方法において、該混合工程の混合ステップ内の原液と調味液の比率により調合したい製品種類を変化させて液状及びゼリー状等の各種製品を調製できる。本発明の1つの具体的な実施例において、液状納豆発酵乳を調製する状態において、納豆発酵乳の原液と納豆発酵乳の調味液の比率として、約1:3が好ましい。
【0014】
本発明の方法において、該混合工程における均質化ステップ内の均質化圧を約80±10barとする。
【0015】
本発明の別の目的は、納豆発酵乳を製造する方法を提供することにある。これは、少なくとも原料混合、均質化、殺菌、発酵のステップを含み、該原料には少なくとも水、砂糖、大豆たん白及び豆乳原乳を含有する。
【0016】
本発明の方法において、該原料の大豆たん白が該原料の約2.4〜約5.1%(w/v)占め、豆乳原乳が該原料の約55〜約75%(w/v)占め、且つ砂糖が該原料の約4.2〜約5.1%(w/v)占める。好ましくは、該原料が更に安定剤を含み、且つ該安定剤が該原料の約2〜約3%(w/v)占める。
【0017】
本発明の方法において、該均質化ステップにおける均質化圧が約130±5barとする。発酵ステップ内の納豆菌を用いて発酵させる発酵温度を約38〜約45℃とし、好ましくは40℃とする。
【0018】
本発明の方法において、各種調合したい味及びとろみ食感によって調製できる。果糖、砂糖、トレハロース等のその他糖類及びペクチン、グアーガム等のその他食用増粘剤類のうちの1種類或いは2種類以上の組合せから選択されることが好ましい。また他の食品添加物も含むことができ、例えば香料、調味料、栄養添加剤、品質改良剤等である。ペクチンの添加量が0.4〜2.0%、グアーガムの添加量を0.04〜0.2%とする。果糖及び砂糖の添加量について特に限定されないため、欲する甘味度によって添加できる。次に、トレハロースの添加量についても特に限定するものではなく、その働きが風味を調整するため、必要性によって添加又は不添加を選択できる。
【0019】
上記方法において、各工程内における各ステップの順序は特に限定されるものではなく、且つ各工程内に他のステップを含むことができ、例えば、攪拌、ろ過、冷却、品質管理検査等のステップであり、必要性及び工程設備によって増加と変化させることができる。
【0020】
本発明の別の目的は、上記方法により調合した納豆発酵乳を提供することにある。
【0021】
本発明の納豆発酵乳によれば、ナットウキナーゼを含有し、該ナットウキナーゼ活性を3〜5FU/mLに維持でき、及び/或いは納豆生菌を含有し、該納豆生菌の数量範囲を107〜108CFU/mLの間にする。
【0022】
本発明の納豆発酵乳を、液状からゼリー状などまでの各種製品として調合できる。
【0023】
本発明の製造方法によれば、ナットウキナーゼ活性を3〜5FU/mLに維持できる納豆発酵乳を提供できる。日本の健康補助食品は、ナットウキナーゼについて定める推奨摂取量が1日当たり2000FU(ナットウキナーゼ活性単位)で、このため、消費者が1日に500mLの納豆発酵乳を飲用した場合、1500〜2500FU近くのナットウキナーゼ活性を得ることができ、1日当たりの推奨摂取量に近づく。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、適切な原料配合を利用して適切な制御条件を組み合わせて、納豆菌が好ましい環境において成長、発酵させ、従来の技術の欠陥を克服し、製品内の高いナットウキナーゼ活性の要求を満たすことができる。この他、本製品は、公知のナットウキナーゼを含有する以外に、この中に含まれる納豆生菌も乳酸菌の腸に対する健康維持のプロバイオティクス効果に類似するため、更に本製品の機能性価値を増加する。これにより、本発明は、飲用の便利性、美味しさを増す以外に、配合の改善、適切な条件制御を利用して製品のナットウキナーゼ活性及び安定性を向上し、長期間の保管期間でもナットウキナーゼ活性を維持でき、以って納豆発酵乳の品質及び生理活性価値をアップできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】納豆発酵乳の原液を調合するフローチャートである。
【図2】納豆発酵乳の糖液(調味液)を調合するフローチャートである。
【図3】納豆発酵乳の完成品を調合するフローチャートである。
【図4】ゼリー状納豆発酵乳の完成品を調合するフローチャートである。
【図5A】納豆発酵乳をフィブリンの含有する溶液に加えて反応している様子である。
【図5B】水をフィブリンの含有する溶液に加えて反応している様子である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に関連図面を参照にしながら本発明の実施例を説明する。実施例は、例示のみに用い、且つ本発明に限定されるものではない。
【実施例1】
【0027】
納豆発酵乳の原液の調合
図1は、納豆発酵乳の原液を調合するフローチャートである。図1を参照にしながら説明する。まず、攪拌において砂糖、大豆たん白、豆乳原乳を75〜85℃の熱湯と混ぜ、砂糖が4.7%(w/v)、大豆たん白が5.1%(w/v)、豆乳原乳が65.0%(w/v)を占める。該豆乳原乳とは、大豆を水に漬け、煮て、磨り潰し、ろ過ステップを経てから得た濾液をいう。該混合液を検査し、その糖度が17°Brixを下回ると、砂糖:大豆たん白が1:1の方法で砂糖と大豆たん白を添加して糖度を補足する。
【0028】
ろ過孔径が80メッシュ(mesh)のろ過器でろ過し、以って不溶物を除去する。その後の接種する納豆菌の成長及び発酵を図るため、得られた濾液を130±5barの圧力で均質化する。135℃の高温で5秒間殺菌した後、40℃までに冷却する。2×105CFU/mLの接種菌量を粉末納豆菌に投入すると共に15分間緩速攪拌して均一に混合する。
【0029】
38〜45℃において静置発酵させ、並びに発酵液の酸度をモニタリングする。酸度が0.45%〜0.55%に下がった時、発酵の終点となる。発酵終了の発酵液を冷却すると、高い大豆たん白の納豆発酵乳の原液を得ると共に10℃以下に保管する。
【実施例2】
【0030】
納豆発酵乳の原液の調合
実施例1に類似する方法により、本実施例の納豆発酵乳の原液を調合する。図1を参照にしながら説明する。まず、攪拌において砂糖、大豆たん白、豆乳原乳を75〜85℃の熱湯と混ぜ、砂糖が4.7%(w/v)、大豆たん白が2.4%(w/v)、豆乳原乳が65.0%(w/v)を占める。該豆乳原乳とは、大豆を水に漬け、煮て、磨り潰し、ろ過ステップを経てから得た濾液をいう。該混合液を検査し、その糖度が12°Brixを下回ると、砂糖:大豆たん白が1:2の方法で砂糖と大豆たん白を添加して糖度を補足する。
【0031】
ろ過孔径が80メッシュのろ過器でろ過し、以って不溶物を除去する。その後の接種する納豆菌の成長及び発酵を図るため、得られた濾液を130±5barの圧力で均質化する。135℃の高温で5秒間殺菌した後、40℃までに冷却する。2×105CFU/mLの接種菌量を粉末納豆菌に投入すると共に15分間緩速攪拌して均一に混合する。
【0032】
38〜45℃において静置発酵させ、並びに発酵液の酸度をモニタリングする。酸度が0.45%〜0.55%に下がった時、発酵の終点となる。発酵終了の発酵液を冷却すると、低い大豆たん白の納豆発酵乳の原液を得ると共に10℃以下に保管する。
【実施例3】
【0033】
納豆発酵乳の糖液(調味液)の調合
図2は、納豆発酵乳の糖液(調味液)を調合するフローチャートである。図2を参照にしながら説明する。まず果糖、砂糖、ペクチン、グアーガム、トレハロースを60℃以上の熱湯と攪拌して均一に混合する。果糖が2.8%(w/v)、砂糖が2.9%(w/v)、ペクチンが1.2%(w/v)、グアーガムが0.12%(w/v)、トレハロースが2.4%(w/v)を占める。果糖、砂糖が甘味を増加でき、ペクチン、グアーガムが製品の安定性を向上でき、トレハロースは納豆菌から生じた苦味を減らすことができる。
【0034】
ろ過孔径を100メッシュとするろ過器でろ過し、以って不溶物を除去する。得られた濾液を110±5℃で5秒間殺菌し、その後15℃以下にまで冷却して保管する。
【実施例4】
【0035】
液状納豆発酵乳の完成品の調合
図3は、納豆発酵乳の完成品を調合するフローチャートである。図3を参照にしながら説明する。まず実施例1或いは実施例2で調合した納豆発酵乳の原液と実施例3で調合した納豆発酵乳の糖液とを均一に混合し、原液と糖液の比率を3:1とする。納豆発酵乳の原液は、発酵を経た後凝集、塊状になる現象があり、このため80±10barの圧力で均質化して混合液を渾然一体にさせる。一般品質管理により該混合液の糖度、pH値、酸度、粘度等を検査する。調製完成品の必要性によって適切な香料を添加し、並びにろ過孔径を80メッシュのろ過器でろ過し、以って均質化ステップ内のバラバラに分解されていない部分のたん白質粒子を除去し、製品にざらつき食感が残ることを避ける。得られた濾液を10℃以下で充填して、液状納豆発酵乳の完成品とする。
【実施例5】
【0036】
ゼリー状納豆発酵乳の完成品の調合
図4は、ゼリー状納豆発酵乳の完成品を調合するフローチャートである。図4を参照にしながら説明する。まず、攪拌において砂糖、大豆たん白、安定剤(Meyprogen JO-747)、豆乳原乳を90〜100℃の熱湯と混ぜ、また50℃において継続して攪拌する。砂糖が4.7%(w/v)、大豆たん白が5.1%(w/v)、安定剤が3%(w/v)、豆乳原乳が65.0%(w/v)を占める。該豆乳原乳とは、大豆を水に漬け、煮て、磨り潰し、ろ過ステップを経てから得た濾液をいう。該混合液を検査し、その糖度が17°Brixを下回ると、砂糖:大豆たん白が1:1の方法で同時に砂糖と大豆たん白を添加して糖度を補足する。ろ過孔径が80メッシュのろ過器でろ過し、以って不溶物を除去する。その後の接種する納豆菌の成長及び発酵を図るため、得られた濾液を130±5barの圧力で均質化する。135℃の高温で5秒間殺菌した後、40℃までに冷却する。2×105CFU/mLの接種菌量を粉末納豆菌に投入すると共に15分間緩速攪拌して均一に混合する。
【0037】
40℃において静置発酵させ、並びに発酵液の酸度をモニタリングする。酸度が0.45%〜0.55%に下がった時、発酵の終点とする。製品が塊状になることを避けるため、発酵後低温で均質化(加圧しない)することで、ゼリー状納豆発酵乳を得る。10℃以下に冷却した後、調香すると共に充填包装した後に保管する。
【実施例6】
【0038】
納豆発酵乳のナットウキナーゼ活性測定
ナットウキナーゼ活性の分析方法は、「台湾ナットウキナーゼ協会」が提供した日本食品分析センター(Japan Food Research Laboratories)のナットウキナーゼ活性分析方法(第104022640号)で分析する。
【0039】
まず、280μLのBSB緩衝液(0.17Mホウ酸ナトリウム,0.01M NACl,pH7.8)と80μLのフィブリノゲン(Fibrinogen;20U/mL)溶液とを震盪し、また37℃で5分間作用させる。更に20μLのトロンビン(Thrombin;7.2mg/mL)溶液を加えて震盪し、また37℃で10分間作用させる。フィブリン(Fibrin)が形成されてから、20μLの納豆発酵乳(震盪)を加え、37℃で60分間作用させる。
【0040】
その後、0.2M 400μLのトリクロロ酢酸(Trichloroacetic acid)を加え、震盪して混合し、37℃で20分間作用させ、以って反応を終了する。遠心(15000rpm、10分、10℃)を経て、上澄み液を採取し、分光光度計でAr値(OD.275nm)を測定する。
【0041】
空試験は、フィブリンが形成された後、400μLのトリクロロ酢酸を加えて震盪して混合し、以って反応を終了する。その後、更に20μLの納豆豆乳を加え、震盪して混合し、また37℃で20分間作用させる。遠心(15000rpm、10分、10℃)を経て、上澄み液を採取し、また分光光度計でAC値(OD.275nm)を測定する。
【0042】
ナットウキナーゼ活性は、次の式で計算する。
【0043】
【数1】

その結果は、次の表1の通りとなる。
【0044】
【表1】

【0045】
表1から分かるように、液状或いはゼリー状の配合を問わず、3ロットの独立実験テストを経たところ、このナットウキナーゼ活性が3〜5FU/mLの間にあり、本発明の方法で調合した納豆発酵乳は十分な安定度を有することが明らかである。
【0046】
このほか、次の表2から分かるように、本発明の納豆発酵乳を7℃以下で冷蔵して14日間保存して、上記の同じ方法で測定したところ、ナットウキナーゼ活性が全て3FU/mL以上に維持できた。
【0047】
【表2】

【実施例7】
【0048】
納豆発酵乳が試験管の中で血栓を溶解する測定
上記実施例6のステップに類似し、まず、280μLのBSB緩衝液(0.17Mホウ酸ナトリウム,0.01M NACl,pH7.8)と80μLのフィブリノゲン(Fibrinogen;20U/mL)溶液とを震盪し、また37℃で5分間作用させる。更に20μLのトロンビン(Thrombin;7.2mg/mL)溶液を加えて震盪し、また37℃で10分間作用させる。フィブリン(Fibrin)を形成させてから、20μLの3倍希釈した納豆豆乳を加えて震盪し、37℃で60分間作用させる。該フィブリンは、血管中の血栓をシミュレーションでき、対照群が同じ体積の無菌水で納豆発酵乳を代替し、その結果は図5A及び図5Bに示す通りである。
【0049】
図5Aは、納豆発酵乳をフィブリンの含有する溶液に加えて反応している様子であり、且つ図5Bは、無菌水をフィブリンの含有する溶液に加えて反応している対照群であり、比較すると、本発明の納豆発酵乳は確実に溶液内のフィブリンを溶解できることがはっきりと分かる。
【実施例8】
【0050】
納豆生菌数の測定
納豆生菌数の測定を輔仁大学生命科学学部の実驗室に依頼して測定した。
【0051】
まず、本発明の納豆発酵乳試料を0.85%NACl溶液で105、106、107
【0052】
び108倍に希釈し、その後それぞれ50μLを分取してTS培地に塗抹接種する。37
【0053】
℃で培養し、16時間後観察すると共にコロニーを計数し、その結果が次の表3通りであった。
【0054】
【表3】

【0055】
表3から分かるように、液状或いはゼリー状の配合を問わず、その完成品の納豆菌生菌数もいずれも107〜108CFU/mLの間にあり、本発明の方法で調合した納豆発酵乳が十分な生菌数を含有することが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
納豆発酵乳を製造する方法であって、少なくとも、
少なくとも原料混合、均質化、殺菌、発酵のステップを包括する原液工程と、
少なくとも原料混合、殺菌のステップを包括する調味液工程、及び、
少なくとも原液と調味液の混合、及び、均質化ステップを包括する混合工程とを、含むことを特徴とする納豆発酵乳を製造する方法。
【請求項2】
前記原液工程の原料混合ステップにおいて、前記原料が少なくとも砂糖、大豆たん白、豆乳原乳を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記大豆たん白が前記原料の約2.4〜約5.1%(w/v)占めることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記豆乳原乳が前記原料の約55〜約75%(w/v)占めることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記砂糖が前記原料の約4.2〜約5.1%(w/v)占めることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記原液工程の均質化ステップにおいて均質化圧が約130±5barとすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記原液工程の発酵ステップにおいて、発酵温度が約38〜約45℃とすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記調味液工程の原料混合ステップにおいて、前記原料には果糖、砂糖、ペクチン、グアーガム、トレハロース、及び、安定剤からなる群のうちの1種類、或いは、2種類以上から選択した組合せを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記混合工程の混合ステップにおいて、原液と調味液の比率が約3:1とすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記混合工程の均質化ステップにおいて、均質化圧が約80±10barとすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
納豆発酵乳を製造する方法であって、少なくとも原料混合、均質化、殺菌、発酵のステップを含み、前記原料が少なくとも水、砂糖、大豆たん白、及び、豆乳原乳を含有することを特徴とする納豆発酵乳を製造する方法。
【請求項12】
前記大豆たん白が前記原料の約2.4〜約5.1%(w/v)占めることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記豆乳原乳が前記原料の約55〜約75%(w/v)占めることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記砂糖が前記原料の約4.2〜約5.1%(w/v)占めることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記原料には、更に果糖、砂糖、ペクチン、グアーガム、トレハロース、及び、安定剤からなる群のうちの1種類、或いは、2種類以上から選択した組合せを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記原料には、更に安定剤を含み、且つ、前記安定剤が前記原料の約2〜約3%(w/v)占めることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
ステップ1の均質化圧が約130±5barとすることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項18】
ステップ2の発酵温度が約38〜約45℃とすることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜10のいずれかの方法で調合した納豆発酵乳であって、発酵で生じるナットウキナーゼ活性を約3〜5FU/mLに維持できることを特徴とする納豆発酵乳。
【請求項20】
その中に含有する納豆生菌数の範囲が少なくとも約107〜108CFU/mLとすることを特徴とする請求項19に記載の納豆発酵乳。
【請求項21】
液状、或いは、ゼリー状とすることを特徴とする請求項19に記載の納豆発酵乳。
【請求項22】
請求項11〜18のいずれかの方法で調合した納豆発酵乳であって、発酵で生じるナットウキナーゼ活性を約3〜5FU/mLに維持できることを特徴とする納豆発酵乳。
【請求項23】
その中に含有する納豆生菌数の範囲が少なくとも約107〜108CFU/mLとすることを特徴とする請求項22に記載の納豆発酵乳。
【請求項24】
ゼリー状とすることを特徴とする請求項22に記載の納豆発酵乳。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2010−259435(P2010−259435A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101186(P2010−101186)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(503333740)光泉牧場股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】