説明

紐状体のホルダ

【課題】紐状体の先端を引出孔に確実に止めておくことができ、次に使うときに紐状体の先端を楽に引き出すことのできる紐状体のホルダを提供する。
【解決手段】紐の巻き玉100を収容するケース1と、紐の先端101を引き出すためにケースに設けられた引出孔3と、引出孔の周縁壁に設けられた先端係止スリット5と、ケースに開閉自在に設けられ、閉じたときに引出孔と先端係止スリットとを上から覆い、それにより先端係止スリットに係止された紐の先端部分を上から押さえるカッタ部10とを具備する。カッタ部には、切断スリット12とカッタ13が設けられている。カッタ部10は、ヒンジ11により凹部4の一側部に回動自在に設けられ、ケースの表面に、カッタ部を収まる凹部4が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玉巻きまたはロール巻きした紐状体を収容して、必要時に紐状体の先端を楽に引き出すことのできる紐状体のホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製のテープ紐や紙紐などの紐状体は、家庭内整理整頓、園芸用、荷造り等の用途に利用され、たいへん便利なものである。一般に、この種の紐状体は長尺物であるため、巻き玉や巻きロールの形でユーザーに提供されており、この状態で先端を引出し適当な長さに切断して使用している。
【0003】
しかし時折、先端が玉の中に落ち込んだり、ロールが転がったりして、取り扱いにくいため、巻き玉やロールを収容するホルダが提供されている。
【0004】
この種のホルダの従来例として、家庭用テープ紐玉用のケースが特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された家庭用テープ紐玉用のケースは、テープ紐を巻き上げた玉を収納すると共に、テープ紐を、その先端から引き出しやすくする孔を設けたものである。
【特許文献1】特開平8−133298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のものは、単にケースにテープ紐の先端を引き出しやすくする孔を設けただけのものであるため、せっかくその孔に紐状体の先端を引っ掛けておいても、また中に落ち込みやすいという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情を考慮し、紐状体の先端を引出孔に確実に止めておくことができ、次に使うときに紐状体の先端を楽に引き出すことのできる紐状体のホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、玉巻きまたはロール巻きした紐状体を収容するケースと、前記紐状体の先端を引き出すために前記ケースに設けられた引出孔と、前記引出孔の周縁壁に設けられた、前記紐状体の先端を係止するための先端係止スリットと、前記ケースに開閉自在に設けられ、閉じたときに前記引出孔と前記先端係止スリットとを上から覆い、それにより前記先端係止スリットに係止された紐状体の先端部分を上から押さえる孔カバーと、を具備することを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の紐状体のホルダであって、前記孔カバーに、前記紐状体を切断するとき紐状体の切断予定部を挿入する切断スリットと、該切断スリットの奥部に位置する紐状体の切断用のカッタと、が設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載の紐状体のホルダであって、前記孔カバーがヒンジによりケースに回動自在に設けられると共に、前記ケースの表面に、前記孔カバーを閉じた状態にしたときに該孔カバーの収まる凹部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、孔カバーを閉じることにより、引出孔の周縁の先端係止スリットに係止された紐状体の先端部分を上から押さえることができるので、紐状体の先端を引出孔に確実に止めておくことができ、次に使うときに紐状体の先端を楽に引き出すことができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、孔カバーに切断スリットとカッタを設けたので、ハサミやカッタなどを別に用意する必要がない。また、引出孔の周縁に直接にカッタを設けず、引出孔を覆うよう開閉自在に設けた孔カバーにカッタを設けているので、孔カバーを使いやすい姿勢に開いた状態で、切断スリットに紐状体を挿入するだけで、紐状体を適当な位置で切断することができ、使い勝手がよい。
【0012】
請求項3の発明によれば、孔カバーを回動自在に設け、閉じたときにケース表面の凹部に収まるようにしたので、不使用時に孔カバーが邪魔にならず、他の部材とぶつけて壊すおそれもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1〜図4は第1実施形態の紐状体のホルダを示し、図1は外観斜視図、図2(a)は上面図、(b)は(a)のIIb−IIb矢視断面図、図3はカッタ部で紐を切断しようとしている状態を示す斜視図、図4は切断後に先端係止スリットに紐の先端を係止した状態を示す斜視図である。
【0014】
このホルダM1は、ビニール紐(紐状体)の巻き玉100を収容するケース1を有しており、ケース1は、上端が開口した有底円筒状のケース本体1Aと、ケース本体1Aの上端開口を塞ぐようにケース本体1Aに装着固定される円板状の蓋2とからなる。ケース本体1Aと蓋2は、例えば、樹脂の成形品や金属のプレス成形品よりなる。
【0015】
円板状の蓋2の中央には、ケース本体1Aに収納された巻き玉100から紐の先端101を引き出すための引出孔3が設けられている。引出孔3は、蓋2の中央領域に設けられた凹部4の中央に設けられており、引出孔3の周縁壁には、紐の先端101を差し込んで係止するための先端係止スリット5が設けられている。
【0016】
また、蓋2には、開閉自在のカッタ部(孔カバー)10が設けられている。カッタ部10は、閉じたときに引出孔3と先端係止スリット5とを上から覆い、それにより、先端係止スリット5に係止された紐の先端101部分を上から押さえ付けるものである。このカッタ部10は、ヒンジ11により凹部4の内周縁の一側部に回動自在に取り付けられており、閉じた状態のときに凹部4にちょうど嵌ってがたつかないようになっている。
【0017】
なお、カッタ部10を開く際にカッタ部10のヒンジ11と反対側の部分に指がかかるように、凹部4はヒンジ11と反対側の部分がカッタ部10の大きさよりも大きめに形成されており、その部分4Aが更に深くなっていて、その深くなった部分4Aに指を入れられるようになっている。また、先端係止スリット5は、ヒンジ11と反対側に設けられている。
【0018】
また、カッタ部10には、紐を切断するとき紐の切断予定部を挿入する切断スリット12と、切断スリット12の奥部に位置する紐切断用のカッタ13とが設けられている。切断スリット12は、カッタ部10の側縁部からカッタ部10の中心部に向かって形成されており、切断スリット12と先端係止スリット5は、互いに交差する関係にある。また、蓋2の周縁には引っ掛け孔の付いた取っ手9が設けられており、蓋2の開け閉めの際に、取っ手9を摘んで蓋2の開閉ができるようになっている。
【0019】
次に上記構成のホルダM1の作用を説明する。
使用するに際しては、まず、空芯状の紐の巻き玉100をケース本体1Aの中に入れ、蓋2をして、紐の先端101を引出孔3から引き出す。そして、図3に示すように、紐を必要な長さだけ引き出したら、適当な角度に開いたカッタ部10の切断スリット12に、切断しようとする部分を入れて、カッタ13に当たるように紐を引く。そうすると、カッタ13の位置で紐が切断される。その結果、図4に示すように、カッタ部10の下側に切断された紐の先端101が残るので、次にその紐の先端101を先端係止スリット5に差し込んで係止させる。その後、カッタ部10を閉じて凹部4に嵌め込む。
【0020】
そうすることにより、先端係止スリット5に係止された紐の先端101部分を上からカッタ部10で押さえることができ、紐の先端101を引出孔3に確実に止めておくことができて、次に使うときに紐の先端101を楽に引き出すことができるようになる。
【0021】
また、このホルダM1では、カッタ部10に切断スリット12とカッタ13を設けているので、ハサミやカッタなどを別に用意する必要がない。また、引出孔3の周縁に直接カッタを設けずに、引出孔3を覆うカッタ部10にカッタ13を設けているので、カッタ部10を使いやすい姿勢に開いた状態で、切断スリット12に紐を挿入するだけで、紐を適当な位置で切断することができ、使い勝手がよい。
【0022】
また、このホルダM1では、カッタ部10を蓋2に回動自在に設け、閉じたときに蓋2の表面の凹部4に収まるようにしているので、不使用時にカッタ部10が邪魔になることがなく、他の部材とぶつけて壊すおそれもない。
【0023】
次に第2実施形態の紐状体のホルダについて説明する。
図5〜図9は第2実施形態の紐状体のホルダを示し、図5は外観斜視図、図6(a)は上面図、(b)は(a)のVIb−VIb矢視断面図、図7は下面蓋を外してテープ紐のロールを収容した状態を示す斜視図、図8はカッタ部でテープ紐を切断しようとしている状態を示す斜視図、図9は切断後に先端係止スリットにテープ紐の先端を係止した状態を示す斜視図である。
【0024】
このホルダM2は、テープ紐(紐状体)の巻きロール200を収容するケース21を有しており、ケース21は、下端が開口した角形キャップ状のケース本体21Aと、ケース本体21Aの下端開口を塞ぐようにケース本体21Aに装着固定される矩形板状の下面蓋22とからなる。ケース本体21Aと下面蓋22は、例えば、樹脂の成形品や金属のプレス成形品よりなる。
【0025】
ケース本体21Aは、フラットな長方形状の上面壁21aと、上面壁21aの4辺より垂下する前後左右の側面壁21b、21cとを有し、左右の側面壁21cの下部にはテープ紐の残量を確認するための窓21dが開いている。また、前後の側面壁21bの下端と下面蓋22とには、下面蓋22をロックするためのロック爪29とそのロック爪29の係合するロック孔28とが設けられている。
【0026】
また、ケース本体21Aの上面壁21aには、ケース21の内部に収納された巻きロール200からテープ紐の先端201を引き出すための引出孔23が設けられている。引出孔23は、ケース本体21Aの上面壁21aに形成した凹部24の中央に設けられており、引出孔23の周縁壁には、テープ紐の先端201を差し込んで係止するための先端係止スリット25が設けられている。
【0027】
また、ケース本体21Aの上面壁21aには、開閉自在のカッタ部(孔カバー)30が設けられている。カッタ部30は、閉じたときに引出孔23と先端係止スリット25とを上から覆い、それにより先端係止スリット25に係止されたテープ紐の先端201部分を上から押さえ付けるものである。このカッタ部30は、ヒンジ31により凹部24の内周縁の一側部に回動自在に取り付けられており、閉じた状態のときに凹部24にちょうど嵌ってがたつかないようになっている。
【0028】
なお、カッタ部30を開く際にカッタ部30のヒンジ31と反対側の部分に指がかかるように、凹部24はヒンジ31と反対側の部分がカッタ部30の大きさよりも大きめに形成されており、その部分24Aに指を入れられるようになっている。また、先端係止スリット25は、ヒンジ31と同じ側に設けられている。
【0029】
また、カッタ部30には、テープ紐を切断するときテープ紐の切断予定部を挿入する切断スリット32と、切断スリット32の奥部に位置するテープ紐の切断用のカッタ33とが設けられている。切断スリット32は、カッタ部30の先端縁からカッタ部30の中心に向かって形成されており、切断スリット32と先端係止スリット25は、互いに平行な関係にある。
【0030】
次に上記構成のホルダM2の作用を説明する。
使用するに際しては、まず、図7に示すように、テープ紐の巻きロール200をケース本体21Aの内部に入れ、下面蓋22を装着して、テープ紐の先端201を引出孔23から引き出す。そして、図8に示すように、テープ紐を必要な長さだけ引き出したら、適当な角度に開いたカッタ部30の切断スリット32に、切断しようとする部分を入れて、カッタ33に当たるようにテープ紐を引く。そうすると、カッタ33の位置でテープ紐が切断される。その結果、図9に示すように、カッタ部30の下側に切断された紐の先端201が残るので、次にそのテープ紐の先端201を先端係止スリット25に差し込んで係止させる。その後、カッタ部30を閉じて凹部24に嵌め込む。
【0031】
そうすることにより、先端係止スリット25に係止されたテープ紐の先端201部分を上から押さえることができ、テープ紐の先端201を引出孔23に確実に止めておくことができて、次に使うときに紐の先端201を楽に引き出すことができるようになる。
【0032】
また、このホルダM2では、カッタ部30に切断スリット32とカッタ33を設けているので、ハサミやカッタなどを別に用意する必要がない。また、引出孔23の周縁に直接カッタを設けずに、引出孔23を覆うカッタ部30にカッタ33を設けているので、カッタ部30を使いやすい姿勢に開いた状態で、切断スリット32にテープ紐を挿入するだけで、テープ紐を適当な位置で切断することができ、使い勝手がよい。
【0033】
また、このホルダM2では、カッタ部30をケース本体21Aに回動自在に設け、閉じたときにケース本体21Aの表面の凹部24に収まるようにしているので、不使用時にカッタ部30が邪魔になることがなく、他の部材とぶつけて壊すおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態の紐状体のホルダの外観斜視図である。
【図2】(a)は同ホルダの上面図、(b)は(a)のIIb−IIb矢視断面図である。
【図3】同ホルダのカッタ部で紐を切断しようとしている状態を示す斜視図である。
【図4】同ホルダにおいて、切断後に先端係止スリットに紐の先端を係止した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態の紐状体のホルダの外観斜視図である。
【図6】(a)は同ホルダの上面図、(b)は(a)のVIb−VIb矢視断面図である。
【図7】同ホルダの下面蓋を外してテープ紐のロールを収容した状態を示す斜視図である。
【図8】同ホルダのカッタ部でテープ紐を切断しようとしている状態を示す斜視図である。
【図9】同ホルダにおいて、切断後に先端係止スリットにテープ紐の先端を係止した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
M1 紐状体のホルダ
100 巻き玉
101 紐の先端
1 ケース
3 引出孔
4 凹部
5 先端係止スリット
10 カッタ部(孔カバー)
11 ヒンジ
12 切断スリット
13 カッタ
M2 紐状体のホルダ
200 巻きロール
201 テープ紐の先端
21 ケース
23 引出孔
24 凹部
25 先端係止スリット
30 カッタ部(孔カバー)
31 ヒンジ
32 切断スリット
33 カッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玉巻きまたはロール巻きした紐状体を収容するケースと、
前記紐状体の先端を引き出すために前記ケースに設けられた引出孔と、
前記引出孔の周縁壁に設けられた、前記紐状体の先端を係止するための先端係止スリットと、
前記ケースに開閉自在に設けられ、閉じたときに前記引出孔と前記先端係止スリットとを上から覆い、それにより前記先端係止スリットに係止された紐状体の先端部分を上から押さえる孔カバーと、
を具備することを特徴とする紐状体のホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載の紐状体のホルダであって、
前記孔カバーに、前記紐状体を切断するとき紐状体の切断予定部を挿入する切断スリットと、該切断スリットの奥部に位置する紐状体の切断用のカッタと、が設けられていることを特徴とする紐状体のホルダ。
【請求項3】
請求項2に記載の紐状体のホルダであって、
前記孔カバーがヒンジによりケースに回動自在に設けられると共に、前記ケースの表面に、前記孔カバーを閉じた状態にしたときに該孔カバーの収まる凹部が設けられていることを特徴とする紐状体のホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−184162(P2008−184162A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16618(P2007−16618)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(390020019)スルガ株式会社 (49)
【Fターム(参考)】