説明

紙パックの臭気遮断用カバー

【課題】牛乳や果汁類を収容する紙パックは、開封口を折り畳んだ際、開封面は再度密着しないので、隙間から臭いが拡散し、また、開封面に付着した残渣に起因するさらに強い臭いが発散した。これらの不都合を解消するために、紙パックの開封口から角胴部の上部までを密閉する、紙パックの臭気遮断用カバーを提供する。
【解決手段】紙パックの開封口から角胴部の上部までを被覆し、天蓋7をとうして内部を観察できるようにした一体型カバー1で、該カバーの下端は下部枠体9を介して、紙パックの角胴部に嵌合している。紙パック側へ湾曲した弾性側板8の復元力を利用して、該側板を紙パックの角胴部へ密着させることで、紙パックから発散する臭気を大気から遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は牛乳や果汁類を収容する紙パック(2)において、開封口(3)および開封口周辺に付着した残渣から発散する臭気を遮断するための臭気遮断用カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、開封後の使用途上にある紙パック飲料は、開封口を折り畳んで、そのまま冷蔵庫に保管するか、あるいは書類止めクリップや洗濯バサミを利用して開封口を挟んでから保管していた。本発明に目的が類似していると思われる技術として「紙パック容器の口止キャップ」という発明がある。これは紙パックの開封口に門型のキャップを装着し、開封口の封止と開封を行うものであるが、本発明とは解決の手段、実施の形態が異なるものである。(例えば特許文献1参照)。即ち、特許文献1にあっては、開封口を自在に開閉させるために、嵌合部材と該部材に嵌合する滑動部材から成るキャップであって、キャップを紙パックに確実に係止するために、嵌合部材にフック部を形成した、紙パック容器の口止キャップの技術が開示されている。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−58825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上述の従来例では次のような欠点があった。
(イ)紙パック(2)の開封口(3)は、開封直後は剛性があるため、特許文献1におけるキャップは円滑に摺動するが、開封、封止を繰り返しているうちに、開封面は水分を吸収してふやけ、剛性を失うので、キャップは摺動しにくくなり、遂には開封口を封止できなくなる。
(ロ)該キャップは、紙パック(2)の内容物からの臭いは略封止できるが、開封口(3)周辺に付着した残渣から発生する臭いは、ほとんど阻止できない。
(ハ)該キャップで開封口(3)を封止する際、開封口周辺に指が接触することを避けられず、不衛生である。
(ニ)該キャップを開封口(3)に装着する作業が煩わしく、利便性に欠ける。
本発明は上記の欠点を解決するため成されたものである。
【課題を解決する手段】
【0005】
紙パック(2)の開封口(3)から角胴部(4)の上部までを被覆し、天蓋(7)をとうして内部を観察できるようにした一体型カバー(1)で、該カバーの下端は下部枠体(9)を介して、紙パックの角胴部に嵌合している。紙パック側へ湾曲した弾性側板(8)の復元力を利用して、該側板を紙パックの角胴部へ密着させることで、紙パックから発散する臭気を大気から遮断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、紙パック(2)開封後の使用途上において、開封口(3)を大気から略完全に遮断できるため、紙パックの内容物からの臭いと開封口周辺に付着した残渣に起因する臭いの両方を防止できる。一体型カバー(1)は、紙パックに無作為に被せることができるため、煩わしさがない。装着方法は、至極簡単で、ただ被せるだけで完了し、しかも開封口に指を触れる必要がないので衛生的である。また、一体型カバーの内面には突出物が何も無いので、洗浄が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一部を切り欠いた斜視図である。
【図2】本発明の主要構成要素である湾曲角筒を示す斜視図である。
【図3】本発明の図1におけるA−A断面図である。
【図4】本発明の図2におけるB−B断面図である。
【図5】本発明において使用する紙パックの斜視図である。
【図6】本発明を紙パックに装着した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、(イ)〜(ル)の順に説明する。
(イ)図1は、本発明の一部を切り欠いた斜視図であるが、一体型カバー(1)は上部枠体(6)、天蓋(7)、弾性側板(8)、下部枠体(9)および貼合薄板(10)から構成されている。4枚の弾性側板を貼合薄板によって接合することによって、本発明の主要構成要素である湾曲角筒(11)を形成し、該角筒に上部枠体、天蓋および下部枠体を設置して、一体型カバーを完成させる。尚、一体型カバーを紙パック(2)へ装着する面の形状と寸法は、4面全て同一なので、該カバーの任意の面を、紙パックの任意の面へ無作為に被せることができる。
(ロ)図2は、本発明の主要構成要素である湾曲角筒を示す斜視図であるが、弾性側板(8)は長方形で柔軟性があり、且つ復元力に富む部材で、短辺側が湾曲し、長辺側は直線である。4枚の弾性側板の短辺側を天と地に向け、且つ凸側を紙パック(2)側に向けた状態で、該側板の長辺側を貼合薄板(10)によって互いに接合させ、湾曲角筒(11)を形成する。貼合薄板は柔軟な素材で、湾曲角筒が撓むことを可能にしている。次に、湾曲角筒の上端内周面を上部枠体(6)の外周面に、湾曲角筒の下端外周面を下部枠体(9)の内周面に、それぞれ正方形に矯正して固着させる。そして、湾曲角筒の下端は、下部枠体を介して紙パックの角胴部(4)に嵌合させるが、嵌合部はできるだけ隙間をなくし、しかも摺動できる寸法に設定する。また、湾曲角筒の高さは、紙パックの開封口(3)から角胴部の上部までをカバーし、しかも紙パックを把持しやすい適切な寸法に設定する。尚、湾曲角筒は一体成型でも良い。
(ハ)上部枠体(6)は正方形で、一体型カバー(1)を紙パック(2)に着脱する際、把持する部材であり、同時に湾曲角筒の上端を正方形に矯正し、且つ固着する部材なので、剛性を必要とする。
(ニ)天蓋(7)は、上部枠体(6)の上面に設置し、透明または半透明の素材を用い、一体型カバー(1)の内部を観察できるようにする。
(ホ)下部枠体(9)は正方形で、湾曲角筒の下端を正方形に矯正し、且つ固着する部材なので、剛性があり、しかも冷蔵庫に保管中邪魔にならない程度に薄くなければならない。尚、下部枠体の四隅は直角に固定されたものではなく、多少撓む構造にして、一体型カバー(1)を紙パックに装着する際、該パックの形状に倣って、僅かに歪むことを可能にするものとする。
(ヘ)図3は、本発明の図1におけるA−A断面図であるが、湾曲角筒(11)の上、下端が正方形に矯正されたため、弾性側板(8)に歪が発生し、天地方向にも湾曲していることを示している。
(ト)図4は、本発明の図2におけるB−B断面図であるが、紙パック(2)側へ湾曲した4枚の弾性側板(8)が、貼合薄板(10)によって接合され、湾曲角筒(11)を形成した状態を示している。
(チ)本発明の材質についてである。上部枠体(6)は、硬質で剛性のある合成樹脂である。天蓋(7)は、硬質で、透明または半透明の合成樹脂である。また、弾性側板(8)は、弾力があり、且つ復元力に富む合成樹脂で、ポリプロピレンが適している。下部枠体(9)は、剛性があり、しかも薄い合成樹脂である。そして、貼合薄板(10)は、柔軟で、しかも耐折性に富む合成樹脂である。
(リ)図5は、本発明において使用する紙パック(2)の斜視図であるが、開封口(3)を開封後、折り畳んだ状態を示している。
(ヌ)図6は、本発明を紙パック(2)に装着した状態を示す斜視図であるが、一体型カバー(1)は、開封口(3)から紙パックの角胴部(4)の上部までをすっぽりと被覆し、且つ密閉している。天蓋(7)は透明または半透明にしてあり、開封口(3)との距離を把握しながら装着できるようにしている。即ち、天蓋を開封口に接触させないための考慮である。また、弾性側板(8)が紙パックの角胴部に密着しているので、一体型カバーの上から紙パックを把持しても、該パックは脱落しない。尚、一体型カバーは、紙パックに無作為に装着できる。
(ル)一体型カバー(1)の装着方法であるが、該カバーを無作為に紙パック(2)に被せ、屋根部(5)の淵に沿って滑らせながら角胴部(4)に嵌合させ、押し込むだけであるが、押し込むにしたがって、弾性側板(8)の湾曲度が強くなるため、該側板が角胴部をさらに圧迫し、両者間の密着度は上昇する。
【符号の説明】
【0009】
1 一体型カバー
2 紙パック
3 開封口
4 角胴部
5 屋根部
6 上部枠体
7 天蓋
8 弾性側板
9 下部枠体
10 貼合薄板
11 湾曲角筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙パック(2)の開封口(3)から角胴部(4)の上部までを被覆する一体型カバー(1)で、該カバーの下端は下部枠体(9)を介して、紙パックの角胴部に嵌合し、紙パック側へ湾曲した弾性側板(8)を紙パックの角胴部へ密着させることで、紙パックから発散する臭気を大気から遮断することを特徴とする紙パックの臭気遮断用カバー。
【請求項2】
天蓋(7)をとうして一体型カバー(1)の内部を観察できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の紙パックの臭気遮断用カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−126453(P2012−126453A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294645(P2010−294645)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(503159715)
【Fターム(参考)】