説明

紙媒体、電子媒体の管理システム

【課題】安定な読取性を示し、既存の金属製の棚等にも簡単に導入・設置することができる紙媒体、電子媒体の管理システムを提供する。
【解決手段】管理システムは、FRIDタグ、通信用シート、RFIDリーダライタ、管理装置からなり、前記RFIDタグは、紙媒体、電子媒体の識別情報を含む管理情報を有し、紙媒体、電子媒体に備えられており、前記通信シートは、その表面から発生する電磁波を用いて、前記RFIDタグから管理情報を読み取って前記通信シートを通じて伝達し、前記RFIDリーダライタは、伝達された前記電磁波から前記管理情報を読み取り、前記管理装置は、読み取られた前記管理情報と予め管理装置に登録された管理情報に基づき前記紙媒体、電子媒体の存在の有無を継続的に記録することによって、紙媒体、電子媒体の、貸出、返却状況、存在場所、又は、利用頻度及び時間を管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次元的な広がりを持つ通信用シートを用いた紙媒体、電子媒体の管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、公共の図書館や学校の図書館において、コンピュータを用いた図書管理システムが採用されている。例えば、磁気ストライプを貼付した利用者識別のためのIDカードと、図書に貼付された図書識別のためのバーコードラベルと、図書貸出窓口に設置された端末装置と、を備えた図書管理システムが実用化されている。かかる図書管理システムにおいては、図書館係員が、IDカードのデータと図書のバーコードデータを読み込むことにより、図書の貸出又は返却を行っている。
【0003】
また、図書の貸出又は返却を行う図書館係員の作業を軽減する目的で、利用者自身により貸出又は返却を行うことができる自動図書貸出・返却システムが提案されている。例えば、利用者が直接キー操作できるデータ処理装置と、利用者が自己のIDカードを挿入できるIDカード読取装置と、利用者が図書をセットすると自動的に図書の搬送を開始する図書搬送装置と、搬送中の図書に貼付されたバーコードラベルを自動的に読み取るバーコード読取装置と、を備え自動図書貸出・返却システムが提案されている。
【0004】
また、近年においては、RFID(Radio Frequency IDentification)と呼ばれる無線認証技術を用いた図書館システムが提案されている。例えば、利用者を識別し利用履歴の記録・更新を非接触方式で行う非接触伝達機構を組み込んだ非接触IDカードと、非接触IDカードのデータの読取・書込を行う装置と、集積回路チップを有し図書に貼付されるRFID図書分類ラベルと、RFID図書分類ラベルのデータを非接触方式に読み取る装置と、図書の無断持出し等の予防目的で使用する入退出ゲート装置と、を備える図書館システムが提案されている。RFIDと呼ばれる無線認証技術を用いた図書館システムは、13.56MHz帯の周波数帯を利用されていることが多い。13.56MHzの場合、タグの構造が複雑であるため価格が高く、読取距離が短い。そのため、今後、RFIDの主流は952MHzになると考えられている。しかし、952MHzは、読取距離が長いものの、電波が飛びすぎることから、図書館の書架に用いた場合、電波干渉によってタグの情報を読取出来ないといった問題や、必要ではない別の棚のタグ情報を読み取れてしまうという問題がある。また、電波を反射する金属棚での使用は制限がある。
【0005】
一方、持出しや貸出しを禁止されている図書禁帯本コーナーにおいては、バーコード読取による貸出処理を行わないため、利用傾向や利用頻度が把握できていないという実態がある。これに対し、近年、図書館サービスの向上や効率よい運用のためにも、禁帯本の利用傾向や利用頻度を把握することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−210446号公報
【特許文献2】特開2007−82178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、安定な読取性を示し、既存の金属製の棚等にも簡単に導入・設置することができる紙媒体、電子媒体の管理システムを提供することにある。また、紙媒体、電子媒体、特に把握が難しい禁帯本コーナー等の持出し禁止の紙媒体、電子媒体の利用実績を容易に把握できる紙媒体、電子媒体の管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため検討した結果、次の通信用シートを用いた紙媒体、電子媒体の管理システムによって解決することを見出した。
【0009】
かくして、本発明によれば、紙媒体、電子媒体の、貸出、返却、蔵書管理、又は、利用状況に係る管理を行う、紙媒体、電子媒体の管理システムにおいて、
前記管理システムは、FRIDタグ、通信用シート、RFIDリーダライタ、管理装置からなり、
前記RFIDタグは、紙媒体、電子媒体の識別情報を含む管理情報を有し、紙媒体、電子媒体に備えられており、
前記通信シートは、その表面から発生する電磁波を用いて、前記RFIDタグから管理情報を読み取って前記通信シートを通じて伝達し、
前記RFIDリーダライタは、伝達された前記電磁波から前記管理情報を読み取り、
前記管理装置は、読み取られた前記管理情報と予め管理装置に登録された管理情報に基づき前記紙媒体、電子媒体の存在の有無を継続的に記録することによって、紙媒体、電子媒体の、貸出、返却状況、存在場所、又は、利用頻度及び時間を管理することを特徴とする紙媒体、電子媒体の管理システムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の通信用シートを用いた紙媒体、電子媒体の管理システムとすることで、図書館、レンタル品、オフィス、製造現場等の既存の棚に簡単かつ安価に導入・設置することができ、紙媒体、電子媒体の貸出・返却及び蔵書点検時の効率化に役立つ。また、図書館の禁帯本、持出し禁止ビデオ、CD、DVD利用状況を把握、管理することにより、サービスの向上や効率化が図れたり、オフィス、製造現場等の持出し禁止書類、電子媒体の管理のセキュリティ強化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の図書管理システムの全体構成の一例を示す概略図である。
【図2】本発明においてRFIDタグを図書に貼付する一例を示す概略図である。
【図3】本発明において複数枚の通信用シートをRFIDリーダライタと接続する一例を示す概略図である。
【図4】本発明において複数枚の通信用シートをRFIDリーダライタと接続する他の一例を示す概略図である。
【図5】本発明において図書の利用状況を管理するフローチャートの一例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、紙媒体、電子媒体の、貸出、返却、蔵書管理、又は、利用状況に係る管理を行う、紙媒体、電子媒体の管理システムにおいて、
前記管理システムは、FRIDタグ、通信用シート、RFIDリーダライタ、管理装置からなり、
前記RFIDタグは、紙媒体、電子媒体の識別情報を含む管理情報を有し、紙媒体、電子媒体に備えられており、
前記通信シートは、その表面から発生する電磁波を用いて、前記RFIDタグから管理情報を読み取って前記通信シートを通じて伝達し、
前記RFIDリーダライタは、伝達された前記電磁波から前記管理情報を読み取り、
前記管理装置は、読み取られた前記管理情報と予め管理装置に登録された管理情報に基づき前記紙媒体、電子媒体の存在の有無を継続的に記録することによって、紙媒体、電子媒体の、貸出、返却状況、存在場所、又は、利用頻度及び時間を管理することを特徴とする紙媒体、電子媒体の管理システムである。
ここで紙媒体とは、書籍、書類等をいい、電子媒体とは、ビデオ、CD、DVD等をいう。
【0013】
本発明の実施の形態に係る紙媒体、電子媒体の管理システム(以下、単に管理システムと称することがある)について、図1から図5を用いて具体的に説明する。
図1は、本実施の形態に係る管理システムの全体構成の一例を示す概略図である。この管理システムは、RFIDタグ、通信用シート、RFIDリーダライタ(以下R/Wと称することがある)、管理装置である、管理用PCとこれを制御する上位PCを備えて構成されている。但し、上位PCは、必要に応じて設置すればよい。
【0014】
RFIDタグは、半導体集積回路及びアンテナから構成された微小なタグであり、非接触方式での電子情報の読取及び書込を可能とするものである。本発明の実施形態においては、図2に示すように、RFIDタグを図書の表紙の見開きに貼付している。RFIDタグの半導体集積回路のメモリには、ID番号等の識別情報を含む管理情報が書き込まれており、管理用PC内のソフトウェアを用い、外部デバイスで授受した識別情報と紐付けられている。ここで、本発明における識別情報とは、それぞれの紙媒体、電子媒体毎に与えられた管理コードで、各媒体を識別したり、各媒体の利用者を識別したりするために用いられる情報である。
【0015】
本発明においては、通信用シートは、そのシート表面から発生した電磁波を用いて、RFIDタグに書き込まれている管理情報を電磁波信号として取り込み、R/Wに伝達する機能を有している。本実施の形態においては、通信用シートは、紙媒体、電子媒体を配置する書架の棚の上に設置し、さらにその上に紙媒体、電子媒体を配置している。周波数が800MHzから10GHz、特に今後主流となる952MHzの電磁波を利用する場合、無線通信では電波が飛びすぎて電波干渉が起こりRFIDタグの情報を読み取れない、別の棚の図書管理情報まで読み取ってしまうといった問題が起きるのに対し、上記方法では、RFIDタグを備える紙媒体、電子媒体は通信用シート上に配置されるため、管理情報を含む電磁波は極めて短い距離で通信用シートに取り込まれるため、こうした問題が発生しない。また、無線通信を利用した従来の方法では、電波を反射する金属棚やキャビネットでは制限を受けるが、通信用シートを用いた場合は、こうした問題が起こらない。
【0016】
また、通信用シートは、RFIDタグに記録された管理情報を読み取るためのアンテナ材であり、R/Wと接続されている。1台のR/Wに対しては、複数枚の通信用シートを接続することができ、図3と図4には、8枚の通信用シートを接続する例を示している。接続方法としては、図3に示すような、各通信用シート(アンテナ材)の終端のターミネートが未接続となる場合と、図4に示すような、各通信用シート(アンテナ材)の終端のターミネートが別のチャンネル接続となる場合がある。なお、R/Wに接続する通信用シートの枚数は、これらの図に限定されず、8枚より多くてもよく、逆に少なくてもよい。
【0017】
R/Wは、管理用PCの制御の下、通信用シートを通じて伝達された電磁波から管理情報を読み取る装置である。すなわち、R/Wは、本発明におけるRFID読取装置である。R/Wは、ケーブルによって管理用PCに接続されている。R/Wによって、図書のRFIDタグに記録された管理情報を読み取ることにより、管理用PCにて外部デバイスで予め登録された管理情報と照会され、管理用PCあるいは管理用PCと上位PCとで紙媒体、電子媒体を管理することができる。R/Wは書架等の空いたスペースに設置することができる。
【0018】
管理用PCは、R/Wの読取動作等を制御するとともに、RFIDタグから読み取られた管理情報に基づいて紙媒体、電子媒体の管理を行う装置である。すなわち、管理用PCは、本発明における管理装置である。管理用PCは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、表示部、入力部等を備えている。
【0019】
本発明の管理システムでは、利用者が退館、退室する際に、利用者が所持する紙媒体、電子媒体のRFIDタグの管理情報を読み取り、その紙媒体、電子媒体の貸出処理や返却処理がなされているか否かを監視して、紙媒体、電子媒体の盗難(無断持出)を防止することが可能となる。また、オフィス、製造現場等においては、持出し禁止書類、電子媒体の管理のセキュリティ強化を図ることができる。
【0020】
また、従来、持出しや貸出しを禁止されている図書禁帯本コーナー等においては、バーコード読取による貸出処理を行わないため、利用傾向や利用頻度が把握できないという実態がある。これに対し、本発明の管理システムでは、書架の棚から紙媒体、電子媒体を持ち出す頻度や時間を管理することができる。このため、サービスの向上や効率よい運用のため、禁帯本に関する利用状況を把握することができる。また、上記の持出しが禁止されている紙媒体、電子媒体に限らず、一般の書籍、レンタル品においても、消費者のニーズを把握したり、オフィス、製造現場等において書類の管理をするのに有効に用いることができる。
【0021】
なお、上記の紙媒体、電子媒体の管理においては、管理用PCあるいは、管理用PCと上位PCを用い、R/Wから送信された管理情報と、前記管理用PCに予め登録された管理情報を照合し、前記紙媒体、電子媒体の存在の有無を継続的に記録することによって、貸出、返却状況のみならず、利用頻度や利用時間を把握し、管理することによって行うことができる。「前記紙媒体、電子媒体の存在の有無」とは、通信用シートに送信する電磁波の強さ(電流)によっても調整できるが、FRIDタグを備えた紙媒体、電子媒体が通信用シート上あるいは通信用シートからの最短距離が20cm以内の空間に存在するか否かをいう。
【0022】
本実施形態においては、通信用シートは少なくとも下記の導電体A層、基材層、導電体B層の3層から構成されている。2次元で通信を行うには、かかる通信用シート構成にて、シート媒体内に電磁エネルギーを閉じ込め、そのエネルギーを利用する。
【0023】
導電体A層:
導電性能を有する層であり、該層には導電部と非導電部が存在し、導電部の電気抵抗値が1Ω/□以下である必要があり、これにより、良好な通信状態を保つことができる。導電体A層の導電部の電気抵抗値が1Ω/□以下を超える場合、シート内に電磁エネルギーを伝播、内在させることができないため、2次元での通信ができなくなってしまう。
【0024】
導電体A層に上記のような導電性能を付与するには、導電部を構成する導電体Aに導電性を有する素材を使用すれば良く、銅、銀、アルミニウム、ステンレス、ニッケルなどの金属を含んだもの、カーボンブラックを含んだものなどが特に良い。
なお、上記導電部の電気抵抗値は、好ましくは0.001Ω/□から0.5Ω/□である。
【0025】
導電体A層の導電部の形状は特に限定されないが、通信用シート製造時の加工性を考えた場合、格子状や蜂の巣状であることが好ましい。その中でも、格子状であり、格子線幅が0.5mmから1.5mm、格子線間隔が5mmから10mmであることが特に好ましい。
【0026】
また、導電体A層の厚みは、通信用シートを伝播する電磁波の周波数に対応する導電体表皮深さよりも厚いことが好ましく、これにより電磁波を通信シート内に閉じ込めやすくなる。導電体Aの厚みは、好ましくは0.0001μmから50μmであり、より好ましくは1μmから25μmである。
【0027】
基材層:
基材層は、周波数800MHzから10GHzでの比誘電率が1.0から5.0であり、より好ましくは1.0から3.0である樹脂成形体または繊維構造体の基材からなる。上記特性をもつ基材とすることで、通信用シートは、シート内に伝播する電磁波の減衰を少なくすることができ、きわめて優れた二次元通信性能を発揮する。
【0028】
上記基材を構成する比誘電率を満足する素材としては、オレフィン樹脂(TPO)やスチレン樹脂(SBC)、塩ビ樹脂(TPVC)、ウレタン樹脂(PU)、エステル樹脂(TPE)、アミド樹脂(TPAE)、フッ素化樹脂(PTFE)などが挙げられる。中でも、比誘電率や加工性を考慮し、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)といったポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)といったポリエステル、ポリイミド(PI)が好ましく、特にポリエステル、ポリオレフィンが好ましい。
【0029】
また、基材が、特に樹脂成形体の場合は、多孔質素材であることが好ましい。例えば、発泡ポリエチレンや発泡ポリプロピレンなどが挙げられる。基材が多孔質素材であることにより、基材の空隙率が上がり、安定した通信性能を得ることができる。多孔質な素材であれば、連続発泡でも独立発泡でも構わない。前記基材の空隙率は50%から85%であることが好ましい。
【0030】
前記繊維構造体は、具体的には、織物、編物、不織布などが挙げられる。この場合、1本のフィラメントの繊度が、0.5dtexから30dtexであることが好ましく、0.5dtexから10dtexであることがより好ましい。また、基材が織物、編物の場合は、総繊度が好ましくは30dtexから1500dtex、より好ましくは30dtexから800dtexのマルチフィラメント糸を用いることが好ましい。さらに、基材が織物の場合は、織物密度が、経糸密度、緯糸密度が共に、15本/inchから200本/inchであることが好ましく、15本/inchから150本/inchであることがより好ましい。なお、経糸密度と緯糸密度は、同じであっても異なっていてもよい。
【0031】
また、基材はエラスティックな性質を持つ基材であることが好ましい。例えば、合成ゴムシート、エラストマー繊維構造体などが挙げられる。合成ゴムシートとしては、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、エチレン・プロピレンゴム(EPM・EPDM)、天然ゴム(NR)、ウレタンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴムを例示することができる。
【0032】
上記のエラスティックな性質を持つ基材としては、エラストマー繊維を使用した織物や編物、不織布などが挙げられるが、空隙率の高い不織布が好ましい。中でも、0.1μmから20μmのエラストマー繊維を使用することが好ましい。エラスティックな性質を持つ合成ゴムシートやエラストマー繊維構造体を使用した通信用フレキシブルシートは、通常の樹脂シート等を使用した通信用フレキシブルシートに比べて柔軟性や屈曲疲労性に優れ、収納時や運搬時に、繰り返し折り曲げたり丸めたりすることができる。
【0033】
なお、基材の厚みは、好ましくは0.2mmから10mm、より好ましくは0.5mmから2.0mmである。また、基材の目付けは、好ましくは50g/mから800g/m、より好ましくは80g/mから300g/mである。
【0034】
導電体B層:
導電体B層は、90%以上、好ましくは95%以上に亘り導電部が存在している必要があり、これにより良好な通信状態を保つことができる。
上記導電部を構成する導電体Bの電気抵抗値としては、好ましくは1Ω/□以下、より好ましくは0.001Ω/□から0.5Ω/□であればよい。ここで、電気抵抗値を0.5Ω/□以下とし、通信用シート製造時の加工性を考えた場合、導電体Bとして、金、銀、銅、アルミニウム、ステンレス、ニッケルを含んだ素材を使用することが好ましい。
【0035】
導電体B層に上記のような導電性能を付与する手法としては、該層を構成する導電性を有する素材(導電体B)をプリント、めっき、蒸着、ラミネートすれば良い。特に銅、銀、アルミニウム、ニッケルなどの金属を含んだものをめっきもしくはラミネートすれば、金属膜を厚く作製することができるため良い。
なお、導電体Bの厚みは、通常、好ましくは0.00001μmから50μmより好ましくは1μmから25μmである。
【0036】
本発明においては、通信用シートの耐久性を向上させるため、一方の面において、導電体A及び基材が、保護層Aによって覆われているか、または、他方の面において、少なくとも導電体Bが、保護層Bによって覆われていることが好ましい。
【0037】
保護層AまたはBは、樹脂、シート、フィルムであってもよい。PETやPENなどのポリエステルフィルム、PEやPPなどのポリオレフィンフィルム、ポリイミドフィルム、エチレン−ビニルアルコールフィルムなどのフィルムや、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂などの樹脂が含まれる。
【0038】
また、保護層AまたはBは、織物、編物、不織布等の繊維構造体であってよい。該繊維の構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)などのポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンテレフタルアミドなどの芳香族ポリアミド、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)を例示することができる。
【0039】
前述したようにエラストマー樹脂やエラストマー不織布であってもよい。また、保護層AとBとは、同じものであっても異なっていても良い。
このように、保護層Aを設ける場合は、前述したように、基材に直接導電体Aを、形成し、さらに保護層Aをその上から被覆してもよいが、基材と接合する面に導電体Aが形成された保護層Aと、基材とを接合して成形してもよい。
一方、保護層Bを設ける際にも、基材と接合する面に導電体Bが形成された保護層Bを作成しておき、これと基材とを接合し、通信用シートを製造してもよい。
【0040】
また、通信用シートは、伝達する電磁波の進行方向に長辺を有し、前記進行方法に対して垂直方向に短辺を有する帯状であることが好ましく、さらに、伝達する電磁波の進行方向に対して垂直方向の幅の長さが、電磁波の波長の半分の自然数倍に略等しくし、電磁波の波長の半分に略等しいことがより好ましい。これにより、幅方向で電磁波を効率よく共振させるので、高効率かつ低損失な電磁波の伝達を行うことが可能となり、格子状の導電体A層から浸出する電磁波の強度が全体として増大する。格子状の導電体A層から浸出する電磁波の強度が増大するため、RFIDに用いる通信用シートとして用いることができ、通信用シート上に配置された図書に備えられたFRIDタグと通信することができる。
【0041】
上記通信用シートは、前記伝達する電磁波を、所定の進行方向に伝達するように入力する入力インターフェースを備えることができる。また、前記入力インターフェースにW/Rを接続する。
次に、本発明の管理システムにおいて、紙媒体、電子媒体の利用状況を管理する場合について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0042】
まず、上位PCにより、入手した管理情報を管理用PCへ取り込みを行う。管理用PCの管理情報とRFIDタグの管理情報(ID番号等)を紐付けする処理を行う。RFID登処理が済んだ紙媒体、電子媒体を棚に設置し継続的に貸し出し状況を確認する。紙媒体、電子媒体が、貸し出し中の場合「貸出中」と画面表示され、棚に置かれている場合「未貸出」と画面表示される。管理用PCには、予め管理用PCに登録された管理情報に基づき、1秒毎に該当する紙媒体、電子媒体が棚にあるか否かが記録されていく。上位PCは、管理用PCに継続的に記録された紙媒体、電子媒体が持ち出された時間、返却された時間等の情報から、利用時間や利用頻度を集約することができる。また、夫々の通信用シートから伝送される管理情報によって媒体の存在場所を把握することもできる。こうして集約された情報から、図書館等では、紙媒体、電子媒体の利用状況を把握し、図書館サービスの向上や効率よい運用(例えば、紙媒体、電子媒体、特に禁帯本等の持出し禁止の紙媒体、電子媒体の購入、廃棄)を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の紙媒体、電子媒体の管理システムによれば、図書館、オフィス、工場等における紙媒体、電子媒体の利用管理に用いることができる。また、図書館、レンタル店等において、貸出、返却、蔵書管理にも有効に利用することができる。特に、蔵書管理等においては、1冊づつ登録情報との照会し確認を行う必要があるが、本発明の管理システムを用いれば、瞬時に蔵書の有無を把握することができ、また、日常的にこれを行うことができるようになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙媒体、電子媒体の、貸出、返却、蔵書管理、又は、利用状況に係る管理を行う、紙媒体、電子媒体の管理システムにおいて、
前記管理システムは、FRIDタグ、通信用シート、RFIDリーダライタ、管理装置からなり、
前記RFIDタグは、紙媒体、電子媒体の識別情報を含む管理情報を有し、紙媒体、電子媒体に備えられており、
前記通信シートは、その表面から発生する電磁波を用いて、前記RFIDタグから管理情報を読み取って前記通信シートを通じて伝達し、
前記RFIDリーダライタは、伝達された前記電磁波から前記管理情報を読み取り、
前記管理装置は、読み取られた前記管理情報と予め管理装置に登録された管理情報に基づき前記紙媒体、電子媒体の存在の有無を継続的に記録することによって、紙媒体、電子媒体の、貸出、返却状況、存在場所、又は、利用頻度及び時間を管理することを特徴とする紙媒体、電子媒体の管理システム。
【請求項2】
前記通信用シートを、紙媒体、電子媒体を配置する棚の上に配置し、かつ前記通信用シートの上に前記紙媒体、電子媒体を配置する請求項1記載の紙媒体、電子媒体の管理システム。
【請求項3】
前記通信用シートが、少なくとも下記の導電体A層、基材層、および、導電体B層の3層から構成されている請求項1に記載の紙媒体、電子媒体の管理システム。
導電体A層:導電性能を有する層であり、該層には導電部と非導電部が存在し、導電部の電気抵抗値が1Ω/□以下である層
基材層:周波数800MHzから10GHzにおける比誘電率が1.0から5.0である樹脂成形体または繊維構造体の基材からなる層
導電体B層:90%以上に亘って導電部が存在し、導電部の電気抵抗値が1Ω/□以下である層
【請求項4】
前記通信用シートが、前記伝達する電磁波の進行方向に長辺を有し、垂直方向に短辺を有する帯状である請求項3に記載の紙媒体、電子媒体の管理システム。
【請求項5】
前記伝達する電磁波の進行方向に対して垂直方向の幅の長さが、前記伝達する電磁波が平面波となるように、前記伝達する電磁波の波長の半分に略等しい請求項4に記載の紙媒体、電子媒体の管理システム。
【請求項6】
前記導電体A層の導電部が格子状であり、格子の線幅が0.5mmから1.5mm、線間隔が5mmから10mmである請求項3に記載の紙媒体、電子媒体の管理システム。
【請求項7】
前記基材層が空隙率50%から85%の、発泡ポリプロピレン樹脂または発泡ポリエチレン樹脂からなる請求項3に記載の紙媒体、電子媒体の管理システム。
【請求項8】
前記伝達する電磁波を、所定の進行方向に伝達するように入力する入力インターフェースを備える請求項1に記載の紙媒体、電子媒体の管理システム。
【請求項9】
入力インターフェースにRFIDリーダライタが接続されて電磁波を伝達する請求項8に記載の紙媒体、電子媒体の管理システム。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−3318(P2012−3318A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135093(P2010−135093)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 電気通信回線を通じた発表 平成22年5月18日掲載 http://www.teijin.co.jp/news/2010/jbd100518.html
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】