説明

紙容器

【課題】 胴体構成面を三角形が天地交互に隣り合う形状とすることで強度が増して胴膨れの発生を抑え、不用意に外圧が加えられても内容物が飛び出すことが無く、さらに使用に際して把持し易い形状とするとともに、商品展示では、これまで画一的平面的であった四角筒胴体形状に比べ立体的デザイン表現が可能で立体意匠性に優れ、かつ生産性に優れた紙容器を提供する。
【解決手段】 正方形の底部構成板と、該底部構成板の各辺から立設される四枚の上向き二等辺三角形状胴部構成板と、隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板間に設けられた二つの斜辺と隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板の頂点間を結び前記底部構成板の一辺と同一寸法の上辺とで構成される四枚の下向き二等辺三角形状胴部構成板と、それぞれの下向き二等辺三角形状胴部構成板の各上辺を稜線とする正方形の天部構成板とで構成される紙容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙容器に関し、更に詳しくは容器本体の強度ならびに外観意匠性に優れ、かつ使用に際し把持し易い紙容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、牛乳、果汁飲料、清酒等各種の液体を収納するための簡便な容器としてゲーベルトップ型(切妻屋根型)およびフラットトップ型と呼ばれるカートンが定着しており、最近ではシャンプー、リンス、洗剤等の非食品分野の製品にも用いられている。また、注出できる内容物として粉末洗剤、食塩や米など、粉末状、顆粒状、粒状固形物にまで用いられている。
【0003】
通常、この種のカートンは角筒状の胴体部を有しており、整列載置性が良好で輸送性にも優れたものであるが、その反面、胴体各面の強度が弱く胴膨れ現象を起こしたり、手指による外圧のため充填された液体が誤って飛び出すなどの現象も見られた。また販売時における展示では、一般的に一面の平面デザイン部分の展示のみとなり、一般の紙箱の展示との差別化できない欠点が有った。さらに使用時点では、角張っているので持ち辛く、角部分が手指に食い込む等の支障も生じていた。
【0004】
上記の問題を解決するものとして、紙容器の胴体部分で、各側壁が作る稜線上に容器内方に向かって、予め一定の形状で凹部を作る折目を所定の形状に設けることを特徴とした考案が開示されている。当該考案は、高温での充填密封後の冷却に伴う減圧で、紙容器がへこむ等の変形防止のためになされたものであるが、その実施例に見られるように各角部分に凹部が形成されることで、外観意匠を保持すると共に、使用時の指掛かりが良好となる実用的にも効果を有するものである。しかしながら当該考案では、冷却による減圧に対しては効果を奏するが、常温充填の大容量の紙容器では、胴膨れ現象による外観意匠の悪化が避けられず、当該考案の紙容器は胴体幅が拡大するという特徴により持ち辛いという欠点があった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭61−183811号公報
【0006】
さらに、この種の紙容器において、通常四面で構成される胴部周壁を下方テーパ状に形成させた有底容器体が提案されており、積重ね保管ならびに運搬に便利な容器である。しかしながら、胴部周壁は四面のみで構成されている為、胴膨れ現象による外観意匠の悪化が避けられず、手指による外圧のため充填された液体が誤って飛び出すなどの現象も解決されるものではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記問題を解決するためになしたものであって、牛乳、果汁飲料、清酒等各種の飲料やシャンプー、リンス等非食品の液状物、食塩や米、粉末洗剤等の粉末状、顆粒状或いは粒状固形物を充填、収納する紙容器において、胴体構成面を三角形が天地交互に隣り合う形状とすることで強度が増して胴膨れの発生を抑え、不用意に外圧が加えられても内容物が飛び出すことが無く、さらに使用に際して把持し易い形状とするとともに、商品展示では、これまで画一的平面的であった四角筒胴体形状に比べ立体的デザイン表現が可能で立体意匠性に優れ、かつ生産性に優れた紙容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、正方形の底部構成板と、該底部構成板の各辺から立設される四枚の上向き二等辺三角形状胴部構成板と、隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板間に設けられた二つの斜辺と隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板の頂点間を結び前記底部構成板の一辺と同一寸法の上辺とで構成される四枚の下向き二等辺三角形状胴部構成板と、それぞれの下向き二等辺三角形状胴部構成板の各上辺を稜線とする正方形の天部構成板とで構成されることを特徴とする紙容器であって、胴部構成面を三角形が天地交互に隣り合う形状とすることで強度が増し、胴膨れの発生を抑え、かつ不用意に外圧が加えられても内容物が飛び出すことが無く、さらに使用にあたっては把持し易い形状とするとともに、商品展示にあたっては、これまで画一的平面的であった四角筒胴体形状に比べ立体的デザイン表現が可能で立体意匠性に優れた紙容器を提供する。
【0009】
また、請求項2の発明は、正方形の底部構成板と、該底部構成板の各辺から立設される四枚の上向き二等辺三角形状胴部構成板と、隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板間に設けられた二つの斜辺と隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板の頂点間を結び前記底部構成板の一辺と同一寸法の上辺とで構成される四枚の下向き二等辺三角形状胴部構成板と、それぞれの下向き二等辺三角形状胴部構成板の各上辺を稜線として上部延長上に延設され切妻屋根状に密封される天部構成板とで構成されることを特徴とする紙容器であって、一般に使用される液体用紙容器の形状すなわち切妻屋根状紙容器とすることで、これまで利用されている製函充填機等を一部変更することで実施が可能であり、切妻屋根状紙容器の場合、頂部での開封及び使用を行なうことが常態であるので、本発明のように把持し易い形状とすることで、使用感の向上が期待できる。
【0010】
また、請求項3の発明は、正方形の底部構成板と、該底部構成板の各辺から立設される四枚の上向き二等辺三角形状胴部構成板と、隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板間に設けられた二つの斜辺と隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板の頂点間を結び前記底部構成板の一辺に対し√2を乗じた寸法を持つ上辺とで構成される四枚の下向き二等辺三角形状胴部構成板と、それぞれの下向き二等辺三角形状胴部構成板の各上辺を稜線とする正方形の天部構成板とで構成されることを特徴とする紙容器であって、頂部構成板の各辺の長さを底部構成板の各辺の長さに√2を乗じた長さとすることにより、それぞれの下向き二等辺三角形状胴部構成板は略垂直な面を構成することとなり、また同様に、請求項4の発明は、前記頂部構成板の各辺の長さを、前記底部構成板各辺長さの1.35〜1.55倍の長さとすることで、それぞれの下向き二等辺三角形状胴部構成板は略垂直な面を実質上維持した構成となって、前述の如く、胴部構成面を三角形が天地交互に隣り合う形状とすることで強度が増し、胴膨れの発生を抑え、かつ不用意に外圧が加えられても内容物が飛び出すことが無く、さらに使用にあたっては把持し易い形状とするとともに、商品展示にあたっては、これまで画一的平面的であった四角筒胴体形状に比べ立体的デザイン表現が可能で立体意匠性に優れており、かつ容器の集合状態において垂直面の並行による整列性が維持され、移送ならびに保管時の取り扱いが容易である。
【0011】
また、請求項5の発明は、正方形の底部構成板と、該底部構成板の各辺から立設される四枚の上向き二等辺三角形状胴部構成板と、隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板間に設けられた二つの斜辺と隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板の頂点間を結び前記底部構成板の一辺に対し√2を乗じた寸法を持つ上辺とで構成される四枚の下向き二等辺三角形状胴部構成板と、それぞれの下向き二等辺三角形状胴部構成板の各上辺を稜線として上部延長上に延設され切妻屋根状に密封される天部構成板とで構成されることを特徴とする紙容器であって、一般に使用される液体用紙容器の形状すなわち切妻屋根状紙容器とすることで、これまで利用されている製函充填機等を一部変更することで実施が可能であり、切妻屋根状紙容器の場合、頂部での開封及び使用を行なうことが常態であるので、本発明の仕上がり状態のように頂部から底部にわたって先細に形成される胴部は、使用者の把持しやすい形状となり使用感の向上が期待できる。また頂部構成板の各辺の長さを底部構成板の各辺の長さに√2を乗じた長さとすることにより、それぞれの下向き二等辺三角形状胴部構成板は略垂直な面を構成することとなり、また請求項6の発明は、前記頂部構成板の各辺の長さを、前記底部構成板各辺長さの1.35〜1.55倍の長さとすることで、それぞれの下向き二等辺三角形状胴部構成板は略垂直な面を実質上維持した構成となって、前述の如く、胴部構成面を三角形が天地交互に隣り合う形状とすることで強度が増し、胴膨れの発生を抑え、かつ不用意に外圧が加えられても内容物が飛び出すことが無く、さらに使用にあたっては把持し易い形状とするとともに、商品展示にあたっては、これまで画一的平面的であった四角筒胴体形状に比べ立体的デザイン表現が可能で立体意匠性に優れており、かつ容器の集合状態において垂直面の並行による整列性が維持され、移送ならびに保管時の取り扱いが容易である。
【0012】
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6記載の紙容器用ブランク板であって、前記四枚の上向き二等辺三角形状胴部構成板の各下辺を稜線として下部延長上に延設される底部構成板のうち、紙容器として立体としたとき対向する一対の底部構成板の下端辺が他の一対の対向する底部構成板の下端辺よりも突出するよう形成されるとともに、前記四枚の下向き二等辺三角形状胴部構成板の各上辺を稜線として上部延長上に延設される天部構成板のうち、紙容器として立体としたとき対向する一対の天部構成板の上端辺が他の一対の対向する天部構成板の上端辺よりも突出するよう形成され、且つ前記上向き二等辺三角形状胴部構成板のうち、一対の対向する上向き二等辺三角形状胴部構成板をそれぞれ垂直二等分する補助折線が刻設されたことを特徴とする紙容器用ブランク板であって、容器製造の貼り合せ工程において、前記補助折線を用いて折り畳まれ胴部左右側端を溶着貼合された扁平な筒状体は、貼合されたそれぞれの上下端から対向する天部構成板および底部構成板がそれぞれ突出するため、製函工程の取り出し部において、各胴部構成板の立体化を行うための手掛り部分として機能し、スムーズな起函操作により生産性を高めることが出来る。
【0013】
また、請求項8の発明は、請求項2、5および6記載の紙容器用ブランク板であって、前記四枚の下向き二等辺三角形状胴部構成板の各上辺を稜線として上部延長上に延設され切妻屋根状に密封され上端に折込合掌溶着部を形成する天部構成板のうち、前記折込合掌溶着部に折り込まれ重合溶着される天部構成板の少なくとも一方の上端辺あるいは合掌部を構成する天部構成板の一方の上端辺に頂部切欠が穿設され、且つ前記下向き二等辺三角形状胴部構成板のうち、一対の対向する下向き二等辺三角形状胴部構成板をそれぞれ垂直二等分する補助折線が刻設されたことを特徴とする紙容器用ブランク板であって、容器製造の貼り合せ工程において、前記補助折線を用いて折り畳まれ胴部左右側端を溶着貼合された扁平な筒状体は、貼合された正面側の折込合掌溶着部を形成する天部構成板の上端辺あるいは合掌部を構成する天部構成板の一方の上端辺に穿設された頂部切欠から対向する天部構成板の上端辺の一部が露出するため、製函工程の取り出し部において、各胴部構成板の立体化を行うための手掛り部分として機能し、スムーズな起函操作により生産性を高めることが出来る。
【0014】
また、請求項9の発明は、前記天部構成板の一部に注出口を取り付けてなることを特徴とする請求項1乃至8記載の紙容器であって、上方に注出口を設けた紙容器本体を傾斜或いは水平状態に維持して注出操作を行う際、本発明の紙容器は胴部強度に優れており、把持し易くしかも異常な変形が起こりにくいため正常な注出操作を行うことが出来る。
【発明の効果】
【0015】
本発明の紙容器は、天地部分が矩形の平面形状を有し、かつそれぞれの矩形の平面が所定の角度で回転されて異なる位置にあり、前記天部矩形の各頂点から対向する底部矩形の各辺の両端を結んだ線で形成される立体である紙容器とし、胴体構成面を三角形が天地交互に隣り合う形状とすることで強度が増し、胴膨れの発生を抑え、かつ不用意に外圧が加えられても内容物が飛び出すことが無いという効果が得られる。さらに形状変更による強度増加は、使用材料の軽減を図ることが出来る為、材料費の低下を図れるという効果を有する。また天部構成板に頂部切欠を穿設すること或いは補助折線の刻設位置を変更することにより、扁平な筒状体の上下端に、起函のための手掛かり部分が形成され、スムーズな起函操作が可能となり、生産性を向上させることができる。
【0016】
また胴部構成面を三角形が天地交互に隣り合う形状としたことで、酒類など高温充填される内容物の場合、放熱面が増加することにより、充填後の冷却が効率的に行えるという副次的効果が得られ、生産効率が上がることで原価低減の効果が得られる。
【0017】
さらに、商品展示にあたっては、どのような角度に回転されて展示されても、三面以上の面を見せることが可能で、これまで画一的平面的であった四角筒胴体形状に比べ、立体的デザイン表現が可能で意匠的に優れた効果を有するので、特に液体用紙容器として、差別化を要求される商品の包装に有効である。また前述のごとく並列展示の際に、容器相互間に空隙が存在する為、冷蔵展示を行う牛乳や清涼飲料等の場合、冷気接触面が大きい本発明の紙容器は、冷蔵効率を上げる効果がある。さらに他の実施形態では、下向き二等辺三角形状胴部構成板を略垂直に形成し、容器相互間を略平行とすることも可能であるので、移送および保管に関して無駄な空隙を造りだすことなく、かつ上向き二等辺三角形状胴部構成板は上向きに傾斜することで、前記の如く冷気接触面が大きくなり、冷蔵効率を上げる効果がある。
【0018】
消費者の容器使用においては、対向する二等辺三角形状の胴部構成面が上下方向にテーパがついた状態となる為、手の大きさに応じて把持し易い位置が選べるというユニバーサルデザイン的効果とともに、把持する面が八角形の断面角度で形成されている為、通常の液体容器の四角形で形成される直角断面角度に比べソフトな感触で把持できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明にかかる紙容器の第1実施例の展開平面図。
【図2】同じく第1実施例の完成状態を示す斜視図。
【図3】同じく第1実施例の展示状態を示す正面図。
【図4】同じく第1実施例の使用状態を示す側面図。
【図5】本発明にかかる紙容器の第2実施例の展開平面図。
【図6】同じく第2実施例の折り畳み貼り合せ状態を示す説明図。
【図7】本発明にかかる紙容器の第3実施例の要部展開平面図。
【図8】同じく第3実施例の折り畳み貼り合せ状態を示す要部説明図。
【図9】本発明にかかる紙容器の第4実施例の展開平面図。
【図10】同じく第4実施例の展示状態を示す正面図。
【図11】本発明にかかる紙容器の第5実施例の展開平面図。
【図12】同じく第5実施例の折り畳み貼り合せ状態を示す説明図。
【図13】本発明にかかる紙容器の第6実施例の展開平面図。
【図14】同じく第6実施例の完成状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。図1は本発明にかかる紙容器の第1実施例の展開平面図。図2は同じく第1実施例の完成状態を示す斜視図。図3は同じく第1実施例の展示状態を示す正面図。図4は同じく第1実施例の使用状態を示す側面図。図5は本発明にかかる紙容器の第2実施例の展開平面図。図6は同じく第2実施例の折り畳み貼り合せ状態を示す説明図。図7は本発明にかかる紙容器の第3実施例の要部展開平面図。図8は同じく第3実施例の折り畳み貼り合せ状態を示す要部説明図。図9は本発明にかかる紙容器の第4実施例の展開平面図。図10は同じく第4実施例の展示状態を示す正面図。図11は本発明にかかる紙容器の第5実施例の展開平面図。図12は同じく第5実施例の折り畳み貼り合せ状態を示す説明図。図13は本発明にかかる紙容器の第6実施例の展開平面図。図14は同じく第6実施例の完成状態を示す斜視図である。
【0021】
図1は本発明にかかる紙容器の第1実施例の展開平面図で、紙を基材とし、その表裏面に熱可塑性合成樹脂等の加工を施したシート状物を打ち抜いてなるブランク板Rであって、幅狭のL30´と、略等幅のL27、L28、L29、L30に連続する略水平の下辺横折線と、略等幅のL11、L12、L13、L14と幅狭のL11´に連続する略水平の上辺横折線と、両側を垂直の切断線で囲まれる胴部において、前記上辺横折線L11の両端からはそれぞれ胴部傾斜折線L1、L2が垂下して、先端は前記下辺横折線L30´とL27の交点に到達して下向き二等辺三角形状胴部構成板1を区画形成する。その左側には前記下辺横折線L27を下辺とし、胴部傾斜折線L2、L3を斜辺として、先端が前記上辺横折線L11とL12の交点に到達する上向き二等辺三角形状胴部構成板2を区画形成している。同様に前記上辺横折線L12、L13、L14からは下向き二等辺三角形状胴部構成板3、5、7が区画形成され、前記下辺横折線L28、L29からは上向き二等辺三角形状胴部構成板4、6が区画形成され、前記下辺横折線L30は胴部構成時点で連続する前記幅狭の下辺横折線L30´とを下辺とし、上向き二等辺三角形状胴部構成板8を区画形成する設計とされている。前記下向き二等辺三角形状胴部構成板1の右側には胴部傾斜折線L1を斜辺とし、下辺横折線L30´を下辺とし、右側垂直切断線で囲まれた補助胴部構成板8´が連設されている。また、左側幅狭の上辺横折線L11´を上辺とし胴部傾斜折線L1に重合する胴部傾斜折線L1´を斜辺とし、左側切断線を垂直辺として、前記下向き二等辺三角形状胴部構成板1に内面で重合する補助胴部構成板1´が、前記上向き二等辺三角形状胴部構成板8の左側に連設している。
【0022】
前記上辺横折線L11、L12、L13、L14とL11´の上方にはそれぞれ頂部構成板(すなわち天部構成板、以下頂部構成板と記述する)9、13、10、14、11、15、12、16、9´、13´が連設されるとともに、前記下辺横折線L30´とL27、L28、L29、L30の下方にはそれぞれ底部構成板17´、18、19、20、17が連設されており、さらに前記下向き二等辺三角形状胴部構成板3および7を垂直二等分する補助折線L9およびL10が、それぞれ頂部構成折線L44およびL45から頂部構成板10および12を横切り、底部構成折線L41およびL43に渉って延設されている。尚、頂部構成板11には注出口取付孔Pが穿設されている。
【0023】
図2は前記第1実施例の完成状態を示す斜視図であるが、本発明の紙容器の製造にあたって、貼り合せ工程において前記ブランク板Rの補助折線L9およびL10を折り曲げることにより、平板な状態で胴部左右側端を溶着貼合し、平板に折り畳まれた筒状体とし、次に製函工程において、胴部傾斜折線L1からL8を用いて各胴部構成板の筒状の立体化を行い、胴部八面体を形成する。このとき各胴部構成板が二等辺三角形状であるため、上辺横折線L11、L12、L13、L14で形成される四角形と、下辺横折線L27、L28、L29、L30で形成される四角形とは、45度回転対称位置に位置することとなる。次に下辺横折線L27からL30および底部構成折線L31からL43を用いて所定の底部製函並びに溶着を行い、次いで注出口Qを、頂部構成板11に穿設された注出口取付孔Pに溶着する。次に所定の充填包装機により、内容物を紙容器の上方開口部より充填し、しかる後に上辺横折線L11からL14および頂部横折線L15からL18並びに頂部構成折線L19からL26、L44、L45を用いて所定の頂部製函を行い、最上端に折込合掌溶着部を持つ切妻屋根状(ゲーベルトップ状)の頂部を形成溶着して完成する。尚、頂部については本実施形態に限定されるものではなく、例えば通常フラットトップ型と呼ばれる平坦な頂部を持つ形状としても良い。
【0024】
本発明の紙容器として使用されるシート状物としては、公知のもの、例えば、容器の外側から内側に向かって、(1)ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層/アルミニウム箔/ポリエチレン樹脂層からなる積層材、(2)ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層/アルミニウム蒸着膜を有する樹脂フィルム層/ポリエチレン樹脂層からなる積層材、(3)ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層/二軸延伸ポリアミドフィルム層または二軸延伸ポリエステル系樹脂層/ポリエチレン樹脂層からなる積層材、(4)ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層/エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層/ポリエチレン樹脂層からなる積層材、(5)ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層/エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物層/二軸延伸ポリアミドフィルム層/ポリエチレン樹脂層からなる積層材、(6)ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層/ナイロンMXD6樹脂層/ポリエチレン樹脂層からなる積層材およびその他等を使用することができる。
【0025】
尚、本発明に係る紙容器を製造する際に、胴部、底部、あるいは頂部を溶着するときに、フレームシールあるいはホットエアーシール等のシール方式を採用することが出来るし、上記の溶着に際しては、必要に応じてブランク板Rの端面を保護すべく、例えば単に折り込み加工する折り込みヘミング方式、端面を切削して折り込み加工するスカイブヘミング方式、端面にプラスチックフィルム等を貼り合わせるテープ貼り加工方式等種々の端面処理方式を採用することが出来る。
【0026】
図3は本発明の前記第1実施例の展示状態を示す正面図で、一般的に注出口が取り付けられた頂部構成板11の下方に位置する下向き二等辺三角形状胴部構成板5を正面展示位置とするが、本発明によれば下向き二等辺三角形状胴部構成板5の左右にそれぞれ上向き二等辺三角形状胴部構成板6および4が視認出来ることとなり、市場で販売されている一般的胴部四面体の紙容器に比し、立体的なデザイン表現を行うことが出来る。また図3にも明らかなように、並列展示された本発明の紙容器は、その上辺付近において容器相互間に空隙が現出する為、消費者が取出し易いものとなる。かつ容器相互間に空隙が存在する為、例えば牛乳や清涼飲料などの冷蔵展示の際、天方向からの冷気が遮られることが少なく、胴部構成各面で冷気を受けることが出来るので、冷蔵効果を上げることが出来るものである。
【0027】
図4は本発明の前記第1実施例の使用状態を示す側面図で、保持する手指は点線表示で示した。本発明の紙容器は、胴部構成板の対向する二等辺三角形が上辺から下辺にわたってテーパ状となるので、保持する位置を消費者が自分の手指のサイズにより、自由に選択できるものであり、かつ把持する面の角度が八角形で形成される面角度となる為、ソフトな感触で把持できる。
【0028】
図5は本発明にかかる紙容器の第2実施例の展開平面図で、前述した第1実施例と略同様に構成されているが、第1実施例において下向き二等辺三角形状胴部構成板3および7を垂直二等分する補助折線L9およびL10が、それぞれ頂部構成折線L44およびL45から頂部構成板10および12を横切り、底部構成折線L41およびL43に渉って延設されているのに対し、第2実施例では上向き二等辺三角形状胴部構成板2および6を垂直二等分する補助折線L9´およびL10´が、それぞれ頂部構成折線L23およびL25から底部構成板18および20を横切り、底部構成折線L38およびL39に渉って延設されている。また本実施例において、前記頂部構成板13および15は、その上端辺が前記頂部構成板14および16の上端辺よりも突出するように形成されるとともに、前記底部構成板17は、その下端辺が前記底部構成板19の下端辺よりも突出するよう形成されている。
【0029】
前記本発明の第2実施例の製造にあたっては、貼り合せ工程において前記ブランク板Rの補助折線L9´およびL10´を折り曲げることにより、胴部左右側端を溶着貼合し、平板に折り畳まれた筒状体となる。図6に示すように、頂部構成板15が図には現れない頂部構成板16の上端より突出し、同じく頂部構成板13が頂部構成板14の上端より突出した状態となるとともに、底部構成板17が底部構成板19の下端より突出した状態で筒状体に貼合される。扁平に折り畳まれた筒状体の表裏面からそれぞれ突出する頂部構成板および底部構成板を設けることは、製函工程のフィーダー部すなわち前記平板に折り畳まれた筒状体の取り出し部において、起函すなわち各胴部構成板による立体化を行うための手掛かり部分として有効に機能し、スムーズな起函操作を可能にする。尚、製函工程における各構成板の折り曲げおよび立体化ならびに溶着に関しては、第1実施例と略同様であるので説明を省略する。また、製函完了後の形状ならびに展示状態に関しても、第1実施例と略同様であるので説明を省略する。
【0030】
図7(a)、(b)、(c)はそれぞれ本発明にかかる紙容器の第3実施例の要部展開平面図で、前述した第1実施例と基本的に同様の構成を有するブランク板Rの略上部半分を示したものであり、図8(a)、(b)、(c)はそれぞれ同じく第3実施例の折り畳み貼り合せ状態を示す要部説明図であって、図7(a)は、製函完了状態で切妻屋根型頂部の最上端に折込合掌溶着部を形成する頂部構成板13、14、15、16、13´のうち、折り込まれる頂部構成板14および16のそれぞれの頂部構成板15側上端辺すなわち頂部構成板14においては折線L9と折線L24間の上端辺、頂部構成板16においては折線L10と折線L25間の上端辺で、それぞれ頂部構成板15の両側に接し且つ折線L16およびL18から適当な間隔を隔てて折線L9およびL10に達する位置に横長な略矩形状の頂部切欠SおよびS´が穿設された状態を示している。図8(a)は、貼り合せ工程において前記ブランク板Rの補助折線L9およびL10を折り曲げることにより、胴部左右側端を溶着貼合し、扁平に折り畳まれた筒状体の表面側略上半分の要部で、頂部構成板14および16はそれぞれ半分に折り畳まれた状態であって、表面側の頂部構成板14および16の上端辺にそれぞれ穿設した頂部切欠SおよびS´から背面側の頂部構成板14および16の一部が露出した状態を示している。前記扁平に折り畳まれた筒状体で、表面側の頂部構成板14および16の上端辺にそれぞれ穿設した頂部切欠SおよびS´から背面側の頂部構成板14および16の一部が露出することにより、製函工程のフィーダー部すなわち前記平板に折り畳まれた筒状体の取り出し部において、起函すなわち各胴部構成板による立体化を行うための手掛かり部分として有効に機能し、スムーズな起函操作を可能にする。尚、製函工程における各構成板の折り曲げおよび立体化ならびに溶着に関しては、第1実施例と略同様であるので説明を省略する。また、製函完了後の形状ならびに展示状態に関しても、第1実施例と略同様であるので説明を省略する。
【0031】
同様に、図7(b)は、折り込まれる頂部構成板14および16のそれぞれの頂部構成板15側上端辺において、横長な略矩形状の頂部切欠S1およびS1´がそれぞれ頂部構成板15の両側に接し且つ折線L16およびL18並びに折線L9およびL10から適当な間隔を隔てた位置に穿設され、図8(b)に示すように、扁平に折り畳まれた筒状体において、前記表面側の頂部構成板14および16の上端辺にそれぞれ穿設した頂部切欠S1およびS1´から背面側の頂部構成板14および16の一部が露出している。前記頂部切欠S1およびS1´を折線L9およびL10から適当な間隔を隔てた位置に穿設することにより、図7(a)の実施形態に比べて頂部構成板14および16部分の溶着面積を大きくすることが出来る為、折り込まれた部分の溶着状態を安定させることが出来る。
また、図7(c)は、折り込まれる頂部構成板14および16のそれぞれの頂部構成板15側上端辺略中央部に、略半円状の頂部切欠S2およびS2´が穿設され、図8(c)に示すように、扁平に折り畳まれた筒状体において、前記表面側の頂部構成板14および16の上端辺辺略中央部に穿設された略半円状の頂部切欠S2およびS2´部分から、折り畳まれた背面側の頂部構成板14および16が露出している。前記頂部切欠S2およびS2´を頂部構成板14および16の上端辺略中央部に略半円状に穿設することにより、頂部構成板14および16部分の溶着面積をさらに大きく確保することが出来る為、折り込まれた部分の溶着状態をさらに安定させることが出来る。頂部切欠の位置および形状並びに大きさは前記構成に限定されるものではなく、製函工程のフィーダー部(取り出し部)に設けられたピン(爪部)に引っ掛かる面積を有するものであれば良いが、前述のように折り込まれる頂部構成板14および16の溶着状態を安定させる為に、頂部構成板14および16の上端辺から下辺すなわち折線L16およびL18間の寸法の4/5以内に穿設することが望ましい。
さらに、図示は省略するが、頂部切欠を頂部構成板15もしくは13の上端辺に穿設することにより、製函工程のフィーダー部すなわち前記平板に折り畳まれた筒状体の取り出し部において、起函すなわち各胴部構成板による立体化を行うための手掛かり部分として有効に機能し、スムーズな起函操作を行うこともできる。また前記構成によれば製函状態で合掌溶着部分の片方の面に凹部が形成できるため、例えば目の不自由な方への内容物告知手段として用いることが可能である。
【0032】
図9は本発明にかかる紙容器の第4実施例の展開平面図で、紙を基材とし、その表裏面に熱可塑性合成樹脂等の加工を施したシート状物を打ち抜いてなるブランク板Rであって、幅狭のL30´と円弧に内接する略等幅のL27、L28、L29、L30に連続する下辺横折線と、前記円弧に同心を持つ円弧に内接し前記下辺横折線を形成する略等幅のL27、L28、L29、L30の一辺に対し√2を乗じた長さで略等幅のL11、L12、L13、L14と幅狭のL11´に連続する上辺横折線と、両側を前記円弧の中心点を通る傾斜した切断線で囲まれる胴部において、前記上辺横折線L11の両端からはそれぞれ胴部傾斜折線L1、L2が垂下して、先端は前記下辺横折線L30´とL27の交点に到達して下向き二等辺三角形状胴部構成板1を区画形成する。その左側には前記下辺横折線L27を下辺とし、胴部傾斜折線L2、L3を斜辺として、先端が前記上辺横折線L11とL12の交点に到達する上向き二等辺三角形状胴部構成板2を区画形成している。同様に前記上辺横折線L12、L13、L14からは下向き二等辺三角形状胴部構成板3、5、7が区画形成され、前記下辺横折線L28、L29からは上向き二等辺三角形状胴部構成板4、6が区画形成され、前記下辺横折線L30は胴部構成時点で連続する前記幅狭の下辺横折線L30´とを下辺とし、上向き二等辺三角形状胴部構成板8を区画形成する設計とされている。前記下向き二等辺三角形状胴部構成板1の右側には胴部傾斜折線L1を斜辺とし、下辺横折線L30´を下辺とし、右側を前記傾斜切断線で囲まれた補助胴部構成板8´が連設されている。また、左側幅狭の上辺横折線L11´を上辺とし胴部傾斜折線L1に重合する胴部傾斜折線L1´を斜辺とし、左側の前記傾斜切断線の一部を前記幅狭の上辺横折線L11´に対して垂直な辺として、前記下向き二等辺三角形状胴部構成板1に内面で重合する補助胴部構成板1´が、前記上向き二等辺三角形状胴部構成板8の左側に連設している。
【0033】
前記上辺横折線L11、L12、L13、L14とL11´の上方にはそれぞれ頂部構成板9、13、10、14、11、15、12、16、9´、13´が連設されるとともに、前記下辺横折線L30´とL27、L28、L29、L30の下方にはそれぞれ底部構成板17´、18、19、20、17が連設されており、さらに前記下向き二等辺三角形状胴部構成板3および7を垂直二等分する補助折線L9およびL10が、それぞれ頂部構成折線L44およびL45から頂部構成板10および12を横切り、底部構成折線L41およびL43に渉って延設されている。尚、頂部構成板11には注出口取付孔Pが穿設されている。
【0034】
前記本発明の第4実施例の製造にあたっては、貼り合せ工程において前記ブランク板Rの補助折線L9およびL10を折り曲げることにより、胴部左右側端を溶着貼合し、扁平に折り畳まれたテーパ付き筒状体とし、次に製函工程において、胴部傾斜折線L1からL8を用いて各胴部構成板の筒状の立体化を行い、胴部八面体を形成する。このとき各胴部構成板が二等辺三角形状であるため、上辺横折線L11、L12、L13、L14で形成される四角形と、下辺横折線L27、L28、L29、L30で形成される四角形とは、45度回転対称位置に位置することとなるとともに、下辺横折線の一辺の長さに対し√2を乗じた長さを上辺横折線の一辺の長さとしたことにより内接することとなり、前記下向き二等辺三角形状胴部構成板1、3、5および7は、ほぼ垂直に形成される。次に下辺横折線L27からL30および底部構成折線L31からL43を用いて所定の底部製函並びに溶着を行い、次いで注出口Qを、頂部構成板11に穿設された注出口取付孔Pに溶着する。次に所定の充填包装機により、内容物を紙容器の上方開口部より充填し、しかる後に上辺横折線L11からL14および頂部横折線L15からL18並びに頂部構成折線L19からL26、L44、L45を用いて所定の頂部製函を行いゲーベルトップ状の頂部を形成溶着して完成する。尚、本実施形態は展開形状がテーパ状からなり、頂部および底部の製函部分の折り込み角度が変化するため、成形の不具合や見栄えの悪さが生じる場合が有るが、内側に折り込まれる頂部構成板10および12に設けられた傾斜折線L19、L20、L21、L22と、同じく内側に折り込まれる底部構成板18および20に設けられた傾斜折線L34、L35、L36、l37とを、容器中心方向へ僅かに湾曲する折線とすることが望ましい。
【0035】
図10は前記第4実施例の展示状態を示す正面図であるが、前述の如く組み立てられた形状は、下向き二等辺三角形状胴部構成板1、3、5および7が、ほぼ垂直に形成されるとともに、上向き二等辺三角形状胴部構成板2、4、6および8は底部に向かって先細に形成された胴部で、展示にあたっては図に示す如く、ほぼ垂直に形成された下向き二等辺三角形状胴部構成板が、容器間相互に向かい合う形式でほぼ密着して展示されるが、正面からは下向き二等辺三角形状胴部構成板5の左右にそれぞれ上向き二等辺三角形状胴部構成板6および4が目視出来ることとなる。
【0036】
図11は本発明にかかる紙容器の第5実施例の展開平面図で、前述した第4実施例と略同様に構成されているが、第4実施例において下向き二等辺三角形状胴部構成板3および7を垂直二等分する補助折線L9およびL10が、それぞれ頂部構成折線L44およびL45から頂部構成板10および12を横切り、底部構成折線L41およびL43に渉って延設されているのに対し、第5実施例では上向き二等辺三角形状胴部構成板2および6を垂直二等分する補助折線L9´およびL10´が、それぞれ頂部構成折線L23およびL25から底部構成板18および20を横切り、底部構成折線L38およびL39に渉って延設されている。
【0037】
前記本発明の第5実施例の製造にあたっては、貼り合せ工程において前記ブランク板Rの補助折線L9´およびL10´を折り曲げることにより、胴部左右側端を溶着貼合し、扁平に折り畳まれたテーパ付き筒状体となる。図12に示すように、頂部構成板15が図には現れない頂部構成板16の上端より突出し、同じく頂部構成板13が頂部構成板14の上端より突出した状態となるとともに、底部構成板17が底部構成板19の下端より突出した状態でテーパ付き筒状体に貼合される。平板に折り畳まれたテーパ付き筒状体の表裏面からそれぞれ突出する頂部構成板および底部構成板を設けることは、製函工程のフィーダー部すなわち前記平板に折り畳まれたテーパ付き筒状体の取り出し部において、起函すなわち各胴部構成板による立体化を行うための手掛かり部分として有効に機能し、スムーズな起函操作を可能にする。尚、製函工程における各構成板の折り曲げおよび立体化ならびに溶着に関しては、第4実施例と略同様であるので説明を省略する。また、製函完了後の形状ならびに展示状態に関しても、第4実施例と略同様であるので説明を省略する。
【0038】
図13は本発明に係る紙容器の第6実施例の展開平面図で、紙を基材とし、その表裏面に熱可塑性合成樹脂等の加工を施したシート状物を打ち抜いてなるブランク板Rであって、幅狭のL30´と円弧に内接する略等幅のL27、L28、L29、L30に連続する下辺横折線と、前記円弧に同心を持つ円弧に内接し前記下辺横折線を形成する略等幅のL27、L28、L29、L30の一辺に対し√2を乗じた長さで略等幅のL11、L12、L13、L14と幅狭のL11´に連続する上辺横折線と、両側を前記円弧の中心点を通る傾斜した切断線で囲まれる胴部において、前記上辺横折線L11の両端からはそれぞれ胴部傾斜折線L1、L2が垂下して、先端は前記下辺横折線L30´とL27の交点に到達して下向き二等辺三角形状胴部構成板1を区画形成する。その左側には前記下辺横折線L27を下辺とし、胴部傾斜折線L2、L3を斜辺として、先端が前記上辺横折線L11とL12の交点に到達する上向き二等辺三角形状胴部構成板2を区画形成している。同様に前記上辺横折線L12、L13、L14からは下向き二等辺三角形状胴部構成板3、5、7が区画形成され、前記下辺横折線L28、L29からは上向き二等辺三角形状胴部構成板4、6が区画形成され、前記下辺横折線L30は胴部構成時点で連続する前記幅狭の下辺横折線L30´とを下辺とし、上向き二等辺三角形状胴部構成板8を区画形成する設計とされている。前記下向き二等辺三角形状胴部構成板1の右側には胴部傾斜折線L1を斜辺とし、下辺横折線L30´を下辺とし、右側を前記傾斜切断線で囲まれた補助胴部構成板8´が連設されている。また、左側幅狭の上辺横折線L11´を上辺とし胴部傾斜折線L1に重合する胴部傾斜折線L1´を斜辺とし、左側の前記傾斜切断線の一部を前記幅狭の上辺横折線L11´に対して垂直な辺として、前記下向き二等辺三角形状胴部構成板1に内面で重合する補助胴部構成板1´が、前記上向き二等辺三角形状胴部構成板8の左側に連設している。
【0039】
前記上辺横折線L11、L12、L13、L14とL11´の上方にはそれぞれ頂部構成板9、13、10、14、11、15、12、16、9´、13´が連設されるとともに、前記下辺横折線L30´とL27、L28、L29、L30の下方にはそれぞれ底部構成板17´、18、19、20、17が連設されており、さらに前記下向き二等辺三角形状胴部構成板3および7を垂直二等分する補助折線L9およびL10が、それぞれ頂部構成折線L44およびL45から頂部構成板10および12を横切り、底部構成折線L41およびL43に渉って延設されている。
【0040】
なお、第4〜第6実施例において、上辺横折線の一辺の長さを、下辺横折線の一辺の長さに対し√2を乗じた長さとしているが、展示状態で、容器間相互に向かい合う形式でほぼ密着させて展示されるためには、必ずしも√2を乗じた長さである必要はなく、下記に示すように、好ましくは1.30〜1.70倍が良く、さらに好ましくは1.35〜1.55倍の長さとするのが良い。
【0041】
【表1】

【0042】
前記本発明の第6実施例の製造にあたっては、貼り合せ工程において前記ブランク板Rの補助折線L9およびL10を折り曲げることにより、胴部左右側端を溶着貼合し、平板に折り畳まれたテーパ付き筒状体とし、次に製函工程において、胴部傾斜折線L1からL8を用いて各胴部構成板の筒状の立体化を行い、胴部八面体を形成する。このとき各胴部構成板が二等辺三角形状であるため、上辺横折線L11、L12、L13、L14で形成される四角形と、下辺横折線L27、L28、L29、L30で形成される四角形とは、45度回転対称位置に位置することとなるとともに、下辺横折線の一辺の長さに対し√2を乗じた長さを上辺横折線の一辺の長さとしたことにより内接することとなり、前記下向き二等辺三角形状胴部構成板1、3、5および7は、ほぼ垂直に形成される。次に下辺横折線L27からL30および底部構成折線L31からL43を用いて所定の底部製函並びに溶着を行い、次に所定の充填包装機により、内容物を紙容器の上方開口部より充填し、しかる後に上辺横折線L11からL14および頂部横折線L15からL18並びに頂部構成折線L19からL26、L44、L45を用いて所定の頂部製函を行い、図14に示すようにフラットトップ型と呼ばれる平坦な頂部を持つ形状を形成する。このとき頂部構成板14、10および16、12がそれぞれ折り畳まれ溶着され頂部から折り出されて形成される略三角形状耳片部は、それぞれ下向き二等辺三角形状胴部構成板3および7に固着されて完成する。
【0043】
本発明の第6実施例は、比較的小容量の紙容器として使用され、前述のごとく平坦に形成された頂部に閉鎖具を有するストロー投入孔を設けることにより、ストローによる注出を行ったり、同じく前述した略三角形状耳片部を起立させ、一部を切り欠いて注出する等の既存の注出方法を用いることで使用できる。尚、頂部を平坦な形状としたことにより、容器同士の積み上げが可能となり、集積、移送、保管等の処理空間の効率化を図ることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1、3、5、7 下向き二等辺三角形状胴部構成板
2、4、6、8 上向き二等辺三角形状胴部構成板
1´、8´ 補助胴部構成板
9〜16 頂部構成板
17〜20 底部構成板
L1〜L8 胴部傾斜折線
L9、L10、L9´、L10´ 補助折線
L11〜L14 上辺横折線
L15〜L18 頂部横折線
L19〜L26、L44、L45 頂部構成折線
L27〜L30 下辺横折線
L31〜L43 底部構成折線
P 注出口取付孔
Q 注出口
R ブランク板
S、S´、S1、S1´、S2、S2´ 頂部切欠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正方形の底部構成板と、該底部構成板の各辺から立設される四枚の上向き二等辺三角形状胴部構成板と、隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板間に設けられた二つの斜辺と隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板の頂点間を結び前記底部構成板の一辺と同一寸法の上辺とで構成される四枚の下向き二等辺三角形状胴部構成板と、それぞれの下向き二等辺三角形状胴部構成板の各上辺を稜線とする正方形の天部構成板とで構成されることを特徴とする紙容器。
【請求項2】
正方形の底部構成板と、該底部構成板の各辺から立設される四枚の上向き二等辺三角形状胴部構成板と、隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板間に設けられた二つの斜辺と隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板の頂点間を結び前記底部構成板の一辺と同一寸法の上辺とで構成される四枚の下向き二等辺三角形状胴部構成板と、それぞれの下向き二等辺三角形状胴部構成板の各上辺を稜線として上部延長上に延設され切妻屋根状に密封される天部構成板とで構成されることを特徴とする紙容器。
【請求項3】
正方形の底部構成板と、該底部構成板の各辺から立設される四枚の上向き二等辺三角形状胴部構成板と、隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板間に設けられた二つの斜辺と隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板の頂点間を結び前記底部構成板の一辺に対し√2を乗じた寸法を持つ上辺とで構成される四枚の下向き二等辺三角形状胴部構成板と、それぞれの下向き二等辺三角形状胴部構成板の各上辺を稜線とする正方形の天部構成板とで構成されることを特徴とする紙容器。
【請求項4】
正方形の底部構成板と、該底部構成板の各辺から立設される四枚の上向き二等辺三角形状胴部構成板と、隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板間に設けられた二つの斜辺と隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板の頂点間を結び前記底部構成板の一辺に対し1.35〜1.55倍の寸法を持つ上辺とで構成される四枚の下向き二等辺三角形状胴部構成板と、それぞれの下向き二等辺三角形状胴部構成板の各上辺を稜線とする正方形の天部構成板とで構成されることを特徴とする紙容器。
【請求項5】
正方形の底部構成板と、該底部構成板の各辺から立設される四枚の上向き二等辺三角形状胴部構成板と、隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板間に設けられた二つの斜辺と隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板の頂点間を結び前記底部構成板の一辺に対し√2を乗じた寸法を持つ上辺とで構成される四枚の下向き二等辺三角形状胴部構成板と、それぞれの下向き二等辺三角形状胴部構成板の各上辺を稜線として上部延長上に延設され切妻屋根状に密封される天部構成板とで構成されることを特徴とする紙容器。
【請求項6】
正方形の底部構成板と、該底部構成板の各辺から立設される四枚の上向き二等辺三角形状胴部構成板と、隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板間に設けられた二つの斜辺と隣り合う前記上向き二等辺三角形状胴部構成板の頂点間を結び前記底部構成板の一辺に対し1.35〜1.55倍の寸法を持つ上辺とで構成される四枚の下向き二等辺三角形状胴部構成板と、それぞれの下向き二等辺三角形状胴部構成板の各上辺を稜線として上部延長上に延設され切妻屋根状に密封される天部構成板とで構成されることを特徴とする紙容器。
【請求項7】
請求項1乃至6記載の紙容器用ブランク板であって、前記四枚の上向き二等辺三角形状胴部構成板の各下辺を稜線として下部延長上に延設される底部構成板のうち、紙容器として立体としたとき対向する一対の底部構成板の下端辺が他の一対の対向する底部構成板の下端辺よりも突出するよう形成されるとともに、前記四枚の下向き二等辺三角形状胴部構成板の各上辺を稜線として上部延長上に延設される天部構成板のうち、紙容器として立体としたとき対向する一対の天部構成板の上端辺が他の一対の対向する天部構成板の上端辺よりも突出するよう形成され、且つ前記上向き二等辺三角形状胴部構成板のうち、一対の対向する上向き二等辺三角形状胴部構成板をそれぞれ垂直二等分する補助折線が刻設されたことを特徴とする紙容器用ブランク板。
【請求項8】
請求項2、5および6記載の紙容器用ブランク板であって、前記四枚の下向き二等辺三角形状胴部構成板の各上辺を稜線として上部延長上に延設され切妻屋根状に密封され上端に折込合掌溶着部を形成する天部構成板のうち、前記折込合掌溶着部に折り込まれ重合溶着される天部構成板の少なくとも一方の上端辺あるいは合掌部を構成する天部構成板の一方の上端辺に頂部切欠が穿設され、且つ前記下向き二等辺三角形状胴部構成板のうち、一対の対向する下向き二等辺三角形状胴部構成板をそれぞれ垂直二等分する補助折線が刻設されたことを特徴とする紙容器用ブランク板。
【請求項9】
前記天部構成板の一部に注出口を取り付けてなることを特徴とする請求項1乃至8記載の紙容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−286499(P2009−286499A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208827(P2009−208827)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【分割の表示】特願2004−40545(P2004−40545)の分割
【原出願日】平成16年2月17日(2004.2.17)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】