説明

紙容器

【課題】ストロー孔の開口が容易で開口片が紙容器内に落下するのを防止するストロー孔を有する紙容器を提供する。
【解決手段】容器本体の頂面2に設ける直径Sの円形のストロー孔8は易破断部12と不易破断部13で形成され、不易破断部13は外側層、紙基材、二層の内側層で形成され、易破断部12は紙基材を除く外側層と二層の内側層だけで形成される。易破断部12はストロー孔8の外周部8aとこの外周部8aに平行な内周部8bとで囲まれて平面視C字形状の環状に形成される領域であり、平面視C字形状の両先端部8cは平面視曲線で凸状に形成され、両先端部8c間の隙間W1である。不易破断部13は、易破断部12で囲まれた内部領域13aと、易破断部12のC字形状の環状の対向する両先端部8cとで挟まれ内部領域13aと頂面2を連結する連結部13bとで形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体を充填する紙容器に関し、詳しくは、ストローでストロー孔を開口して内容液を吸飲する際に、ストロー孔の開口片がストロー内に挿入することを防止するストロー孔を有する紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ストロー孔を有する紙容器は、屋内外活動時等に手軽に持運んで内容液をストローで吸飲することができるので利便性に優れる(特許文献1参照)。ところが、図9に示すように、ストロー50で紙容器51の熱可塑性樹脂で成るストロー孔52を開口する際に、稀にストロー孔52の開口片52aがストロー50内に挿入することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−362548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同様に、稀であるが、ストロー50でストロー孔52を開口する際に、ストロー孔52の開口片52aが紙容器51内部に落下して紛れ込むことがあり、消費者が内容液を飲用する際に開口片52aを吸い込むことがあった。ストロー孔52の開口片52aが紙容器51内部に落下する理由として、図10(a)に示すように、ストロー50の先端部50aをストロー孔52の中央部52b付近に押込むと、図10(b)に示すように、ストロー孔52が伸びて下降するだけで容易にストロー孔52が破断できない場合があり、最終的に10(c)に示すように、ストロー孔52の両周縁52cで破断して開口片52aが紙容器51内に落下する。
【0005】
本発明は、かかる従来技術に鑑みなされたものであって、前記従来の問題点を解決して、ストロー孔が容易に開口できてストロー孔の開口片が消費者の口内に吸い込まれることのないストロー孔構造を有する紙容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、紙基材と熱可塑性樹脂で形成し内溶液を充填する紙容器に設ける円形のストロー孔であって、前記ストロー孔は易破断部と不易破断部で形成される。そして、前記不易破断部は前記紙基材の表面と裏面に熱可塑性樹脂を備え、前記易破断部は前記紙基材を除く前記表面と裏面の熱可塑性樹脂から成り、前記易破断部が前記ストロー孔の外周部とこの外周部に平行な内周部で囲まれて平面視C字形環状に形成されることを特徴としている。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のストロー孔構造であって、前記易破断部の対向する両先端部は平面視凸状曲線で形成されることを特徴としている。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の紙容器のストロー孔構造であって、前記紙容器は、帯状包材を縦線シールで筒状にして内容液を充填し、横線シールで密封且つ切断して連続的に原型容器を形成し、前記帯状包材に備える折り目線を介して前記原型容器の一対の前記横線シールの両端部を折って頂面と底面を形成するとともに四側面を形成して成ることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、前記ストロー孔は前記紙基材を除き前記表面と裏面の熱可塑性樹脂から成る易破断部を備え、前記易破断部が前記ストロー孔の外周部とこの外周部に平行な内周部で囲まれて平面視C字形環状に形成される。そして、前記ストロー孔において前記易破断部を除いて内周部で囲まれた内部領域は紙基材を含む不易破断部であり、この不易破断部は容易にストローを突き刺せない領域である。このため、ストローはストロー孔の中心から離れた前記易破断部に突き刺さるため、ストロー孔の中心を突き刺す場合に比べて前記易破断部の熱可塑性樹脂が伸びる余裕がないので容易に破断できる。
【0010】
さらに、前記易破断部が前記ストロー孔の外周部とこの外周部に平行な内周部で囲まれて平面視C字形環状に形成されるので、C字形環状の環状不連続領域は内周部で囲まれる内部領域とともに不易破断部として紙容器の頂面に一体的に連結している。このため、ストローで前記易破断部を開口した場合に内部領域は容器内部に落下しないので、ストロー孔の開口片としての内部領域がストローの内部に入り込むこともなく消費者の口内に吸い込まれることもない。
【0011】
請求項2の発明によれば、前記の対向する両先端部は平面視凸状曲線で形成されるので易破断部の周囲全周は曲線形状であり、紙容器の包材製造工程における易破断部の型打抜き時のバリ発生が防止できる。このため、熱可塑性樹脂のピンホールを防ぎ内容液の品質保持に貢献できるので前記環状不連続領域の強度が損なわれず前記ストロー孔の品質が保持できて請求項1の効果が向上する。
【0012】
請求項3の発明によれば、帯状包材を縦線シールで筒状にして内容液を充填し、横線シールで密封且つ切断して連続的に原型容器を形成し、前記帯状包材に備える折り目線を介して前記原型容器の一対の前記横線シールの両端部を折って頂面と底面を形成するとともに四側面を形成して成る紙容器の前記ストロー孔に対して請求項1又は請求項2の効果と同じ効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態における、二重管伸縮式のストロー9を備える紙容器1の頂面2にストロー孔8が形成された状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態における、ストロー孔8の詳細を示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態における、図2のA−A断面図でストロー孔8の易破断部12と不易破断部13の状態を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態における、帯状の包材11に形成される折り目15とストロー孔8の状態を示す平面図である。
【図5】本発明の実施形態における、ストロー孔8の易破断部12にストロー9の内管9aの最先端部9dを挿入する状態を示す平面図である。
【図6】本発明の実施形態における、図5のB−B矢視垂直断面図である。
【図7】本発明の実施形態における、ストロー孔8の易破断部12がストローの最先端部9dで突き刺されると同時に先端部9cによって剪断される状態を示す垂直断面図である。
【図8】本発明の実施形態における、ストロー孔8の易破断部12がストロー9の先端部9cによって剪断され、外管9bがストロー孔8に挿入完了した状態を示す垂直断面図である。
【図9】従来例における、ストロー孔52を開口する際にストロー孔52の開口片52aがストロー50内に挿入した状態を示す断面図である。
【図10】従来例における、(a)は、ストロー孔52の中央部にストロー50を押し込む直前の状態、(b)はストロー孔52がストロー50に押し込まれて伸びる状態、(c)はストロー孔52がその周縁52cで破断した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<本発明の実施形態>
以下に、本発明の実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。
<紙容器のストロー構造の構成>
【0015】
図1、図2、図3に示すように、牛乳、清涼飲料水等の内溶液Qを充填する紙容器1は、包材11を折り曲げて頂面2、底面3、四側面(正面4、裏面5、二側面6、7)で外観直方体に形成される容器本体1aの頂面2にストロー孔8が設けられる。裏面5にはストロー孔8を開ける為の内管9aと外管9bから成る二重管伸縮式のストロー9を収納したストロー収納袋10を備え、飲用時にはストロー収納袋10からストロー9を取出し二重管をスライドして引き伸ばし、内管9aの先端部9cをストロー孔8に突刺して内容液Qを飲用することができる。
【0016】
紙容器1を形成する包材11は外側層11a、紙基材11b、二層の内側層11cで形成され、外側層11a、内側層11cに低密度ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いる。紙基材11bの外側面にはデザイン等11dが印刷される。
【0017】
円形で直径Sのストロー孔8は易破断部12と不易破断部13で形成され、不易破断部13は外側層11a、紙基材11b、二層の内側層11cで形成される。易破断部12は紙基材11bを除く外側層11aと二層の内側層11cだけで形成され、外側層11aが紙基材11bの開口端部12aを回り込むように覆って内側層11cに溶着する。
【0018】
より詳しくは、易破断部12はストロー孔8の外周部8aとこの外周部8aに沿って平行な内周部8bとで囲まれて平面視C字形状の環状に形成される領域であり、外周部8aと内周部8b間の幅Wである。平面視C字形状の両先端部8cは平面視曲線で角の無い凸状に形成され、両先端部8c間の隙間W1である。
【0019】
不易破断部13は、易破断部12で囲まれる内部領域13aと、両先端部8cで挟まれて頂面2に連結する連結部13bと、で形成される。なお、図3において、各構成を判り易く示すため乱尺で示しているが、実際は紙基材11bの厚さに比べて外側層1a、内側層1cの厚さはかなり薄いので、包材11と紙基材11bは略同じ厚さDである。
【0020】
「紙容器1の製造工程の説明」
図4に示すように、紙容器本体1aを連続に製造するため帯状の包材11に紙容器本体1aを成型容易とするための複数の折り目15が形成され、紙容器一個分に該当する領域Pにおいて、縦方向の折り目15a、15b、15c、15dが両端面Y1、Y2に囲まれて形成され、横方向に折り目16a、16b、16c、16d、斜め方向に折り目17a、17bが形成される。紙容器本体1aの頂面2に該当する領域にストロー孔8が形成される。
【0021】
図示しない充填機において、包材11を下方に搬送しながら両端面Y1、Y2を重ねて筒状に縦線シールして内容液を充填した後に、横線シールして紙容器一個分に該当する領域Pを切離して原型容器を形成する。そして、原型容器を、縦方向の折り目15a、15b、15c、15d、横方向の折り目16a、16b、16c、16d、及び斜め方向の折り目17a、17bを折り曲げて、各矩形の頂面2、底面3、四側面(正面4、裏面5、二側面6、7)から成る外観直方体形状の紙容器本体1aが連続形成される。
<紙容器のストロー孔の構造の作用>
【0022】
図5に示すように、ストロー9の内管9aは直径T≒4.3mmで管厚W2≒0.2mm、トロー孔8は外径S=6mmで易破断部12の外周部8aと内周部8b間の幅W≒1mmである。傾斜する先端部9cの最先端部9dが易破断部12内の連結部13bから一番遠い位置F近傍に挿入される。
【0023】
図6、図7に示すように、ストロー9を最先端部9dで易破断部12を破断しながら下降すると、先端部9cによって易破断部12は位置Fから破断が開始すると同時に、先端部9cによって内部領域13aが連結部13bを中心に回転しながら押下げられる。そして、内部領域13aが連結部13bを中心に回転しながら押下げられる動きに連動して、先端部9cが直接当たらない易破断部12においても位置Fからの破断が連続して進行する。このように、易破断部12がストロー孔8の中心から離れた位置に設けられ、且つ易破断部12の面積が小さいので、ストローの刺す位置がより明確に限定されるため、消費者がストローの最先端部9dを外周部8aに沿って刺しやすく、易破断部12は伸びる余裕なく容易に破断される。
【0024】
易破断部12で囲まれた内部領域13aは連結部13bを介して紙容器1の頂面2に連続しているので、最終的に図8に示すように、ストロー9の外管9bによって略垂直に折り曲げられる。このように、連結部13bは紙基材11bが残っているので強度が保持されているため紙容器内部にストロー孔8の開口片が落下しないので飲用時にストロー9内部に紛れ込むこともなく、ストロー孔8の開口時に開口片がストロー9に挿入することもないので、消費者が内容液を飲用する際にストロー孔8の開口片を吸い込む恐れがなくなる。
【0025】
なお、内管9aの内径が内部領域13aの直径より大きい場合でも、連結部13bの抵抗によって内部領域13aが内管9aに挿入することを防止できる。さらに、万一、連結部13bが破断したと仮定しても内部領域13aが紙基材11bを含む外側層11a、二層の内側層11cで成る構成なので、異物感が大きいため誤飲を未然に防ぐことができる。
【0026】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。例えば、包材11は紙容器本体1aの紙基材11bと二層の内側層11eの間にアルミ箔等のバリヤー層が挿入される構成でも適用できる。内側層11cは一層で形成される場合もある。使用ストローは三段伸縮式、一本管、紙容器に装着せず別途用意される各種ストロー等、様々なストローに対して適用できる。本発明のトロー孔8は外観直方体以外に6角柱状やプリズマと称される頂面および底面が4角形で胴体部が8角形の柱状紙容器等々色んな形状の紙容器に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
この発明は、液体食品などを包装充填する包装容器の製造に適用することができる。
【符号の説明】
【0028】
1a 容器本体
2 頂面
8 ストロー孔
8a 外周部
8b 内周部
8c 先端部
11a 外側層
11b 紙基材
11c 内側層
12 易破断部
13 不易破断部
13a 内部領域
13b 連結部
S 直径
W1 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材と熱可塑性樹脂で形成し内溶液を充填しストロー孔を有する紙容器であって、
前記ストロー孔は易破断部と不易破断部で形成され、前記不易破断部は前記紙基材の表面と裏面に熱可塑性樹脂を備え、前記易破断部は前記紙基材を除く前記表面と裏面の熱可塑性樹脂から成り、前記易破断部が前記ストロー孔の外周部とこの外周部に平行な内周部で囲まれて平面視C字形環状に形成されることを特徴とする紙容器。
【請求項2】
前記易破断部の対向する両先端部は平面視凸状曲線で形成される、請求項1に記載の紙容器。
【請求項3】
前記紙容器は、帯状包材を縦線シールで筒状にして内容液を充填し、横線シールで密封且つ切断して連続的に原型容器を形成し、前記帯状包材に備える折り目線を介して前記原型容器の一対の前記横線シールの両端部を折って頂面と底面を形成するとともに四側面を形成して成る、請求項1又は請求項2に記載の紙容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−121607(P2011−121607A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279852(P2009−279852)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】