説明

紙幣搬送ユニット

【課題】本流搬送路に沿って紙幣送出具が移動可能に設けられた紙幣搬送ユニットにおいて、一定の紙幣引き込み動作を可能にするとともに紙幣識別装置のエラー発生を解消する。
【解決手段】紙幣Pの本流搬送路Sに沿って二対のプーリ1,2が並んで配置され、一対のプーリ1には無端ベルト3が掛架され、もう一対のプーリ2には無端ベルト4が掛架されている。紙幣Pは無端ベルト3,4の間に挟持されながら、下流へ搬送される。本流搬送路Sに沿って、無端ベルト3,4の外側に隣接して配置され、無端ベルト3,4の下流の本流搬送路Sに合流するように形成された紙幣引き込み通路5,6が形成されている。紙幣引き込み通路5,6に沿って移動可能であって、紙幣識別装置7A,7Bを通された紙幣を紙幣引き込み通路5,6へ送出する紙幣送出具8A,8Bが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコホール等の遊技店舗に設置される紙幣搬送ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコホール等の遊技店舗において、遊技機(パチンコ台やスロットマシーン)と台間機(パチンコ玉貸機やメダル貸機)とが交互に背合わせで並設されて島を形成している。そして、島の内側の隙間に、島の長手方向に沿って紙幣搬送装置が配設されている。
【0003】
この紙幣搬送装置は、台間機に対応して設けられた紙幣搬送ユニットを複数連結して本流搬送路を構成している。各紙幣搬送ユニットには、紙幣識別装置(ビルバリー)を通された紙幣を前記本流搬送路に合流させるための紙幣送出具が取り付けられている。 前記紙幣送出具は、紙幣搬送ユニットに固定されていたため、隣接する紙幣搬送ユニットの紙幣送出具間のピッチも固定されていた。(特許文献1,2参照)
【0004】
一方、台間機のピッチは、例えば遊技機の種類に応じて、遊技店舗毎に異なるため、前記紙幣送出具間のピッチも台間機のピッチに合わせる必要が生じる。そこで、紙幣搬送装置のメーカー側では、遊戯店舗からの注文を受けてから、紙幣送出具間のピッチの仕様に合わせて、多品種の紙幣搬送ユニットの設計・製造を行わなければならないという問題があった。
【0005】
そこで、近年では紙幣送出具を本流搬送路に沿って移動可能に構成することで、紙幣搬送ユニットの生産性の向上が図られている。そのような紙幣搬送ユニットについて、図6を参照して説明する。
【0006】
この紙幣搬送ユニットでは、紙幣Pの本流搬送路Sに沿って二対のプーリ101,102が並んで配置され、一対のプーリ101には1本の無端ベルト103が掛架され、もう一対のプーリ102にはもう1本の無端ベルト104が掛架されている。二対のプーリ101,102は互いに逆方向に回転駆動され、本流搬送路Sの上流から搬送されて来る紙幣は、無端ベルト103,104の間に挟持されながら、下流へ搬送される。そして、紙幣送出具105は本流搬送路Sに沿って移動可能に構成されている。紙幣送出具105には紙幣識別装置110が連結されており、紙幣識別装置110を通された紙幣Pは、一対の無端ベルト103,104にその上流側から巻き込まれるようにして本流搬送路Sに合流する。
【0007】
この紙幣搬送ユニットを用いれば、遊技店舗において紙幣搬送装置を設置する際に、紙幣送出具間105のピッチを台間機のピッチに合わせて調整することが可能となるので、紙幣搬送装置のメーカー側では紙幣搬送ユニットの設計・製造仕様を統一して生産性向上を図ることができる。
【特許文献1】特開2002−83341号公報
【特許文献1】特開2002−114398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図6の紙幣搬送装置では、紙幣送出具105の位置によっては紙幣Pにかかる保持力が異なり、本流搬送路Sへの一定の引き込み動作ができないという問題があった。すなわち、紙幣送出具105が一対の無端ベルト103,104から遠い所に位置する場合には、紙幣Pは紙幣識別装置110の一対のローラ111,111の間にだけ保持されながら、本流搬送路Sへ送出されるのに対して、紙幣送出具105が一対の無端ベルト103,104に近い所に位置する場合には、紙幣Pは紙幣識別装置110の一対のローラ111,111で保持されると共に、その先端部分は一対のローラ101,102の間で保持されながら、本流搬送路Sへ送出される。
【0009】
特に、紙幣送出具105が一対の無端ベルト103,104に近い所に位置する場合には、紙幣識別装置110のエラーが生じることがあった。すなわち、紙幣識別装置110側の一対のローラ111,111の回転を止めて紙幣Pをその間に保持している状態において、紙幣Pの先端部が一対のローラ101,102へ到達すると、ローラ111,111の保持力が弱ければ、紙幣Pは一対のローラ101,102に巻き込まれる。すると、紙幣識別装置110側では紙幣Pを停止状態で保持しなければならないのに、紙幣Pが送出され不在状態となるため、エラーが生じるのである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の紙幣搬送ユニットは上述した課題に鑑みてなされたものであり、本流搬送路に沿って配置された二対の第1の回転体と、各対の第1の回転体に掛架され、紙幣を挟持しながら、該紙幣を前記本流搬送路の上流から下流へ搬送する一対の第1の無端ベルトと、前記本流搬送路に沿って、かつ前記第1の無端ベルトの外側に隣接して配置され、前記第1の無端ベルトの下流の本流搬送路に合流するように形成された紙幣引き込み通路と、前記紙幣引き込み通路に沿って移動可能に設けられ、紙幣識別装置を通された紙幣を前記紙幣引き込み通路へ送出する紙幣送出具とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の紙幣搬送ユニットによれば、本流搬送路とは別個に、本流搬送路の下流に合流する紙幣引き込み通路を設け、この紙幣引き込み通路に沿って紙幣搬送具を移動可能に設けたので、紙幣は第1の無端ベルトに巻き込まれることが無くなり、紙幣識別装置による一定の保持力が加わることで、本流搬送路への一定の引き込み動作が可能になるとともに、上述したような紙幣識別装置のエラー発生が解消される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態に係る紙幣搬送ユニットについて詳細に説明する。まず、本発明の基本原理について図1を参照して説明する。
【0013】
紙幣Pの本流搬送路Sに沿って二対のプーリ1,2が並んで配置され、一対のプーリ1には1本の無端ベルト3が掛架され、もう一対のプーリ2にはもう1本の無端ベルト4が掛架されている。二対のプーリ1,2は互いに逆方向に回転駆動され、本流搬送路Sの上流から搬送されて来る紙幣Pは、無端ベルト3,4の間に挟持されながら、下流へ搬送される。本流搬送路Sに沿って、かつ無端ベルト3,4のそれぞれ外側に隣接して配置され、無端ベルト3,4の下流の本流搬送路Sに合流地点Gで合流するように形成された紙幣引き込み通路5,6が形成されている。
【0014】
そして、紙幣引き込み通路5に沿って移動可能であって、紙幣識別装置7Aを通された紙幣を紙幣引き込み通路5へ送出する紙幣送出具8Aが設けられている。同様に、紙幣引き込み通路6に沿って移動可能であって、紙幣識別装置7Bを通された紙幣Pを紙幣引き込み通路6へ送出する紙幣送出具8Bが設けられている。
【0015】
本発明によれば、本流搬送路Sとは別個に、本流搬送路Sの下流に合流する紙幣引き込み通路5,6を設け、この紙幣引き込み通路5,6のそれぞれに沿って紙幣搬送具8A,8Bを移動可能に設けたので、紙幣Pは無端ベルト3,4に巻き込まれることが無くなり、紙幣識別装置7A、7Bにそれぞれ内蔵されたローラ9A,9Bによる一定の保持力が加わることで、本流搬送路Sへの一定の引き込み動作が可能になるとともに、紙幣識別装置7A,7Bのエラー発生が解消される。
【0016】
次に、本発明の実施形態に係る紙幣搬送ユニットについて、図2〜図5を参照しながら更に詳しく説明する。図2はこの紙幣搬送ユニットの正面図、図3はその平面図、図4はその右側面図、図5は紙幣搬送ユニットの内部構造を示す平面図である。
【0017】
紙幣Pの本流搬送路Sに沿って二対の第1のプーリ11,12が並んで配置され、一対の第1のプーリ11には1本の第1の無端ベルト13が掛架され、もう一対の第1のプーリ12にはもう1本の第1の無端ベルト14が掛架されている。二対の第1のプーリ11,12は互いに逆方向に回転駆動され、本流搬送路Sの上流から搬送されて来る紙幣Pは、第1の無端ベルト13,14の間に挟持されながら、下流へ搬送される。また、本流搬送路Sに沿って、かつ第1の無端ベルト13,14のそれぞれ外側に隣接して配置され、第1の無端ベルト13,14の下流の本流搬送路Sに合流地点Gで合流するように形成された紙幣引き込み通路15,16が形成されている。
【0018】
また、紙幣引き込み通路15に沿って一対の第2のプーリ17が配置され、この一対の第2のプーリ17に第2の無端ベルト18が掛架されている。第2の無端ベルト18の外側ベルトは紙幣引き込み通路15内に入り込んでいる。同様に、紙幣引き込み通路16に沿って一対の第2のプーリ19が配置され、この一対の第2のプーリ19に第2の無端ベルト20が掛架されている。第2の無端ベルト20の外側ベルトは紙幣引き込み通路16内に入り込んでいる。
【0019】
そして、紙幣引き込み通路15に沿って移動可能であって、紙幣識別装置を通された紙幣Pを紙幣引き込み通路15へ送出する紙幣送出具30Aが設けられている。同様に、紙幣引き込み通路16に沿って移動可能であって、紙幣識別装置を通された紙幣Pを紙幣引き込み通路16へ送出する紙幣送出具30Bが設けられている。
【0020】
紙幣送出具30Aには、紙幣引き込み通路15に連通すると共に下流方向へ湾曲した紙幣送出通路31Aと、この紙幣送出通路31Aの紙幣送出側の端部に出没自在な紙幣送出用ローラ32Aが設けられている。また、紙幣送出用ローラ32Aに第2の無端ベルト18を間に挟んで対向し、第2の無端ベルト18に当接した対向ローラ34Aが設けられている。紙幣送出用ローラ32Aは、固定軸33Aの中心として回転可能に取り付けられており、紙幣Pの引き込み動作時には、紙幣送出用ローラ32Aが第2の無端ベルト18に当接する。
【0021】
これにより、紙幣送出通路31Aを通過して来た紙幣Pは第2の無端ベルト18と紙幣送出用ローラ32Aの間に挟持されながら、紙幣引き込み通路15Bに送出される。紙幣引き込み通路15Bに送出された紙幣Pは第2の無端ベルト18によって下流へ搬送されてゆき、紙幣引き込み通路15の終端部(合流地点Gの手前)に設けられた羽根車35によって合流地点Gから本流搬送路Sへ叩き出される。
【0022】
同様に、紙幣送出具30Bには、紙幣引き込み通路16に連通すると共に下流方向へ湾曲した紙幣送出通路31B、この紙幣送出通路31Bの紙幣送出側の端部に出没自在な紙幣送出用ローラ32B、対向ローラ34Bが設けられており、紙幣送出具30Aと同様の動作を行う。図5では、紙幣送出用ローラ32Bは紙幣Pの引き込み動作停止状態となっている。
【0023】
なお、図2及び図4に示すように、紙幣搬送ユニットの下流側の端部にはローラの駆動源であるモータ40が取り付けられており、駆動伝達ギア41〜47を介して、各種ローラ、羽根車35を回転駆動している。
【0024】
上述の紙幣搬送ユニットによれば、本流搬送路Sとは別個に、本流搬送路Sの下流に合流する紙幣引き込み通路15,16を設け、この紙幣引き込み通路15,16のそれぞれに沿って紙幣送出具30A,30Bを移動可能に設けたので、紙幣Pは無端ベルト13,14に巻き込まれることが無くなり、紙幣送出用ローラ32A,32Bによる一定の保持力が加わることで、本流搬送路Sへの一定の引き込み動作が可能になるとともに、紙幣識別装置のエラー発生も解消される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る紙幣搬送ユニットの基本原理を説明する平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る紙幣搬送ユニットの正面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る紙幣搬送ユニットの平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る紙幣搬送ユニットの右側面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る紙幣搬送ユニットの内部構造を示す平面図である。
【図6】従来の紙幣搬送ユニットの平面図である。
【符号の説明】
【0026】
1、2 プーリ 3、4 無端ベルト 5、6 紙幣引き込み通路
7A、7B 紙幣識別装置 8A、8B 紙幣送出具
9A、9B ローラ 11、12 第1のプーリ
13、14 第1の無端ベルト 15、16 紙幣引き込み通路
17、19 第2のプーリ 18、20 第2の無端ベルト
30A、30B 紙幣送出具 31A、31B 紙幣送出通路
32A、32B 紙幣送出用ローラ 33A、33B 固定軸
34A、34B 対向ローラ
35 羽根車 40 モータ 41〜47 駆動伝達ギア
G 合流地点 P 紙幣 S 本流搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本流搬送路に沿って配置された二対の第1の回転体と、各対の第1の回転体に掛架され、紙幣を挟持しながら、該紙幣を前記本流搬送路の上流から下流へ搬送する一対の第1の無端ベルトと、前記本流搬送路に沿って、かつ前記第1の無端ベルトの外側に隣接して配置され、前記第1の無端ベルトの下流の本流搬送路に合流するように形成された紙幣引き込み通路と、前記紙幣引き込み通路に沿って移動可能に設けられ、紙幣識別装置を通された紙幣を前記紙幣引き込み通路へ送出する紙幣送出具とを備えることを特徴とする紙幣搬送ユニット。
【請求項2】
前記紙幣引き込み通路に沿って配置された一対の第2の回転体と、前記一対の第2の回転体に掛架され、前記紙幣引き込み通路内に入り込んだ第2の無端ベルトを備えることを特徴とする請求項1に記載の紙幣搬送ユニット。
【請求項3】
前記紙幣送出具は、前記紙幣引き込み通路に連通すると共に下流方向
へ湾曲した紙幣送出通路と、この紙幣送出通路の送出側の端部に出没自在な紙幣送出
用回転体とを備え、紙幣引き込み動作時には、前記紙幣送出用回転体が前記第2の無
端ベルトに当接して、前記紙幣送出通路を通過して来た紙幣を挟持しながら、前記紙
幣引き込み通路に送出することを特徴とする請求項2に記載の紙幣搬送ユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−128142(P2007−128142A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318182(P2005−318182)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(592097934)産電子工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】