説明

紙幣搬送装置

【課題】本発明は、開閉ケースを開放する機会を極力減らすと共に、玉貸機からの投入紙幣を確実に搬送通路部に搬送する紙幣搬送装置を提供する。
【解決手段】
紙幣を挟持した状態で上流側から下流側へ搬送する搬送通路部と、玉貸機に投入された紙幣を前記搬送通路部に合流させると共に駆動源を有する合流搬送駆動部とを備え、前記合流搬送駆動部のフレーム内に受け入れ、該フレーム内に設けられた駆動軸と従動軸のうち、該駆動軸を、前記フレームの外側に取付けられたモータの駆動軸に固定された歯車が、前記フレームから外方へ突出した前記駆動軸の先端の歯車と噛み合うようにして紙幣を複数配列した遊技台に沿った方向に搬送する紙幣搬送装置であって、前記駆動軸と従動軸は、中間部に駆動ローラと、フレームの上壁の上方に歯車を設け、前記駆動軸の歯車と、前記従動軸の歯車は、互いに噛み合って逆方向に同一速度で回転して玉貸機からの紙幣を搬送するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の遊技台(例えばパチンコ台など)の背面側に於て、紙幣投入機に投入された紙幣を搬送(回収)する紙幣搬送装置に関し、更に詳しくは紙幣の搬送通路を構成し、且つ紙幣の搬送通路の一部を開閉可能に成した紙幣搬送ユニットを複数連結して構成する紙幣搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既に紙幣、硬貨兼用の台間玉貸機(以下、玉貸機と記す)が公知なものとして知られている。その中にあって、近年では千円紙幣はもとより、五千円、一万円紙幣が使用できる玉貸機も出現している。このような背景の中でそれら紙幣を確実に回収する紙幣搬送装置の果たす役割は大きい。
【0003】
従来、この種の紙幣搬送装置としては、紙幣の挟持方向の一方に開口する基体ケースと、この基体ケースの開口を閉鎖する開閉自在な開閉ケースとから構成され、前記基体ケースに搬送用の無端丸ベルトが、前記開閉ケースには無端丸ベルトとの協働により紙幣を挟持して搬送する複数のローラがそれぞれ取り付けられている。そして、紙幣詰まりが発生した場合には、店員が前記紙幣搬送装置の開閉ケースを基体ケースに対して開放操作することにより、紙幣の挟持状態が解除され、挟持搬送通路内に詰まった紙幣の除去等が敏速に行える構造となっている。これは、例えばカールした紙幣や折れ曲がった紙幣など、種々いろいろな癖の紙幣が玉貸機に投入されるため、その紙幣詰まり時の作業性を考慮したが故である。
【0004】
そして、紙幣投入機から供給される紙幣を複数配列した遊技台に沿って形成した搬送通路において挟持搬送する紙幣搬送装置は、従来から知られている(例えば、特許文献1、2、3参照。)。
【0005】
【特許文献1】実願昭63−34761号(実開平1−138489号)のマイクロフィルム
【特許文献2】特開平1−261139号公報
【特許文献3】実願平3−10843号(実開平4−100144号)のマイクロフィルム
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、営業中において紙幣詰りが生じた場合、島端に設置された島管理機等の表示部に紙幣詰りのトラブル中であることを表示し、店員が直ちに修復作業を行なう。特に紙幣詰りのトラブルは営業中頻繁に発生するため最寄りにいる店員がその作業にあたるが、誰にでも簡単に開閉ケースを基体ケースに対して開放できる構造のため、搬送されてくる千円紙幣はもとより五千円や一万円の高額紙幣を容易に抜きとることができ、また、抜きとるような不正行為をしても誰が抜きとったかわからないため店員に出来心を抱かせるものであり、早期にその不正防止対策されたものが望まれていた。即ち、従来の紙幣搬送装置は、作業性(短時間で修復可能)を重視したものであって、開閉ケースの開放中に行われる動作(修復作業)までは管理がいきとどかない構造であった。
【0007】
そこで、開閉ケースを開けると上流側に連結されている紙幣搬送装置の搬送が全て停止して店員が紙幣を抜き取る不正行為を防止するようにしたものも開示されているが、紙幣搬送装置が停止している間は玉貸機の貸出も中止となるため上流側の客はその間、貸玉の購入ができなくなり、客に多大な迷惑をかけてしまうと共に、店側にとっても売上減となっていた。また、開閉ケースを開けるとその旨を報知する構造も考えられるが、構造が大掛かりなものとなり、コストアップを招くものである。
【0008】
本発明の目的は店員のモラルの向上、並びに出来心を防止し、客へのサービスの低下、コストアップの抑制を図った紙幣搬送装置を提供するものである。また、本発明は、開閉ケースを開放する機会を極力減らすと共に、搬送通路、合流受入口、ユニット間受け渡し箇所での紙幣詰まりを起こし難い紙幣搬送装置を提供することを目的とする。更に、本発明は、遊技店の島へ取り付け易い紙幣搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記に鑑み提案されたものであって、請求項1に記載した発明は、紙幣を挟持した状態で上流側から下流側へ搬送する搬送通路部と、玉貸機に投入された紙幣を前記搬送通路部に合流させると共に駆動源を有する合流搬送駆動部とを備え、前記合流搬送駆動部のフレーム内に受け入れ、該フレーム内に設けられた駆動軸と従動軸のうち、該駆動軸を、前記フレームの外側に取付けられたモータの駆動軸に固定された歯車が、前記フレームから外方へ突出した前記駆動軸の先端の歯車と噛み合うようにして紙幣を複数配列した遊技台に沿った方向に搬送する紙幣搬送装置であって、前記駆動軸と従動軸は、中間部に駆動ローラと、フレームの上壁の上方に歯車を設け、前記駆動軸の歯車と、前記従動軸の歯車は、互いに噛み合って逆方向に同一速度で回転して玉貸機からの紙幣を搬送するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、合流搬送駆動部に於いて、紙幣詰まりを起こすことなく、玉貸機からの投入紙幣を確実に搬送通路部に搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の隔台タイプ(遊技台2台置きに台間にあるいは台の上方に玉貸機が配置されている)の紙幣搬送装置(紙幣搬送ユニット)10の一実施形態を示している。図2は全台タイプ(遊技台1台置きに台間にあるいは台の上方に玉貸機が配置されている)の紙幣搬送装置(紙幣搬送ユニット)10の一実施形態を示している。尚、以下の説明において、紙幣搬送装置10と称した場合、複数連結して紙幣搬送装置全体を構成するための紙幣搬送ユニットを示すものとする。
【0012】
これらの実施形態の紙幣搬送装置10は、合流搬送駆動部100と搬送通路部200とから構成されている。搬送通路部200は、基体ケース210と開閉ケース220とから成り、その先端にはジョイント部材300が取り付けられている。そして、上記紙幣搬送装置10を複数連結して遊技店の島に配設される紙幣搬送装置全体が構成される。
【0013】
図3に示すように、各紙幣搬送装置10、10、……は、2列の遊技台1、1、……の背面側の空間に水平方向に、且つ、その合流搬送駆動部100が両側の玉貸機2、2に投入された紙幣S2を受け入れられる位置になるように配置され、ジョイント部材300を介して隣りの紙幣搬送装置10に連結する。そして、遊技店の島の長さに対応する長さになるように複数連結されている。尚、各紙幣搬送装置10の島に対する取付については後述する。
【0014】
合流搬送駆動部100は、上流側の紙幣搬送装置10から送り出された紙幣S1、並びに玉貸機2に投入された紙幣S2を取り込んで搬送通路部200へ送り出すものであって、図1ないし図4に示すように、中空長方形状のフレーム110の対向する側壁111a、111bの縦方向の長穴112の上流側縁部に、第1の受入れガイド部材120の取付部121が固定され、長穴112の下流側縁部に第2の受入れガイド部材130の取付部131が固定されている。
【0015】
図4及び図5に示すように、第1の受入れガイド部材120は、上流側の紙幣搬送装置10からの紙幣S1を受け入れてガイドする第1の通路Aを形成するための第1通路形成板122と、この第1通路形成板122の中間部において連設された、側方の玉貸機2からの紙幣S2を受け入れてガイドする第2の通路Bを形成するための、湾曲した第2通路形成板123とを備えていて、前記したように、この第2通路形成板123の先端の取付部121に於て長穴112の縁部に固定されている。第1通路形成板122の水平方向の前端側及び後端側に切欠き124及び125が設けられている。
【0016】
第1の受入れガイド部材120は、第1通路形成板122の上流側端部に、上流側に向かって僅かに開くように傾斜したテーパー部122aを有している。また、このテーパー部122aの上下端は、上流側に向かって上下の幅が漸減する傾斜切欠部122bを備えている。さらにテーパー部122aの先端からは屈曲部122cが側方へ屈曲されていて、フレーム110の側壁111a、111bの上流端部側の内側に嵌まり込んでいる。
【0017】
このように、第1通路形成板122の上流側端部を、従来のように大きく半円形にカールして開いた形状にする代わりに、図4に示すように小さく開くテーパー部122aの形状にしたのは、次の理由からである。
【0018】
即ち、図6に点線で示すように、従来の大きく半円形にカールして開いた受入口201の場合には、先端にシワやカールのある紙幣S1が来ると、紙幣S1の先端がW方向へ逸れて受入口201で紙幣詰まりを生じる恐れがあるのに対し、図6で実線で示すように僅かに開くテーパー形状の場合には、紙幣S1のカールした先端が当たってもそのまま矢印Rの正しい方向へ案内されるため受入口201付近で紙幣詰まりが生じることがなくなる。
【0019】
また、第1通路形成板122の上流側先端を、図7に一点鎖線で示すように水平とせずに、上下端に斜めの傾斜切欠部122bを設けたのは次の理由からである。即ち、上下端が水平であると、上下角部がカールまたは角折れした紙幣が来ると、そのまま受入口201から進入して紙幣詰まりを生じ易いが、実線で示すように斜めの斜辺としたことで、この斜辺によって上下角部のカールまたは角折れした部分が起こされて平らになり、その結果、紙幣詰まりが生じなくなる。
【0020】
第2の受入れガイド部材130は、図4、図8に示すように取付部131と、第1の受入れガイド部材120の第2通路形成板123に沿って湾曲した通路形成板132とから成り、水平方向の切欠133を備えている。このように、第1の受入れガイド部材120の第1通路形成板122とによって、上流側の紙幣搬送装置10からの紙幣S1を受け入れてガイドする第1の通路Aが形成され、第1の受入れガイド部材120の第2通路形成板123と、第2の受入れガイド部材130の通路形成板132とによって、玉貸機2からの紙幣S2を受け入れてガイドする第2の通路Bが形成されている。
【0021】
そして、図4に示すように、第2の受入れガイド部材130の通路形成板132は下流側へ長く延びて、搬送通路部200内へ突出していると共に、第1の受入れガイド部材120の下流側先端部120aは、第2の受入れガイド部材130の下流側の奥深くまで延設された延設部を構成している。
【0022】
このように、下流側先端部120aが奥深く延設され、且つ、極めて狭くなっているため、第2の通路B内に玉貸機2から通路形成板132の先端に達するまで進入したまま待機している紙幣S2に、第1の通路Aから来た紙幣S1が干渉されて紙幣詰まりを生じる恐れがなくなる。また、狭い第1の通路Aを進むため、紙幣S1にシワなどがあっても、そのまま、まっすぐに紙幣詰まりを生じることなく進行できる。更に、第2の通路Bに於て、第2の受入れガイド部材130の通路形成板132には、後述する駆動ローラ160a、160b、無端丸ベルト161、摩擦リング162が進入できる切欠き133が設けられている。
【0023】
フレーム110の底壁には、図10に示すようなにモータユニット140が固定されている。モータユニット140は配線ボックス141とモータ142とから成る。配線ボックス141はモータ142の駆動軸143を水平方向に受け入れる通路部144と、その下面にモータ142の取付板145の角部145a、145bを水平方向に受け入れて支持する支持部146a、146bを有している。従って、モータ142は、その取付板145を水平方向に支持部146a、146bに差し込んで取付板145の前側の角部145a、145bを支持部146a、146bにて支持し、また取付板145の後側の角部145c、145dを配線ボックス141の下面から、固定板147を用いてネジ149で固定する。
【0024】
このため、図示の実施形態では、固定板147に起立片147aを形成すると共に、取付板145の取付穴145c′及び145d′に対応する突起147c及び147dが形成してある。そして、取付板145の前側の角部145a、145bを支持部146a、146bに差し込んで支持させ、また、固定板147の突起147c及び147dを取付穴145c′及び145d′に夫々嵌合させると共に、起立片147aの上端を通路部144の内面に形成した溝部(図示せず)に挿入し、固定板147の通孔147e,147fに通したネジ149を配線ボックス141に締着して固定している。このため、起立片147aが通路部144の開口部を塞ぐと共に、モータ142を固定板147全体で強固に保持し、また位置決めも行なわれ、作業性がきわめて良い。しかも、モータ142が故障した場合には、前記ネジ149を緩めて搬送路方向に引き出すことによって、遊技台1の背面側の狭い島内部の空間であっても容易に修理あるいは交換を短時間で済ますことができる。尚、前記ネジ149を所謂化粧ネジにすれば、ドライバー等の工具を用いることなく作業ができる。
【0025】
フレーム110の底面と上壁110a間には1つの駆動軸170(図11参照)が垂直方向に回転自在に取り付けられている。底壁の下方に於て、駆動軸170の下端に歯車(図示せず)が固定されていて、モータ142の駆動軸143に固定された歯車148がこの歯車に噛み合って、モータ142の回転は駆動軸170に伝達される。
【0026】
また、図11に示すようにフレーム110の上壁110aと底壁間には、同様に垂直に2つの従動軸171、172が回動自在に取り付けられていて、フレーム110の上壁110aの上方に於て、駆動軸170、従動軸171に固定された同一径のプーリ173、174間に装着されたベルト175によって駆動軸170と同一方向に同一速度で従動軸171は回転する。また、駆動軸170と従動軸172には互いに噛み合った同一歯数の歯車176、177が固定されていて、従動軸172は逆方向に同一速度で回転する。
【0027】
従動軸171は、図4に示すように、第1の受入れガイド部材120より僅かに側壁111a側に位置して、中間部に、即ち、第1の受入れガイド部材120の第1通路形成板122の水平方向の切欠き124に対応した位置に於て、プーリ150が固定されている。プーリ150は、上下方向の中央に於て環状溝を有し、この環状溝にゴムなどの摩擦体からなる無端丸ベルト151が外方に突出した状態で取り付けられていて、第1の通路A内に僅かに突出している。尚、全台タイプの紙幣搬送装置10にあっては、プーリ150には環状リングなどが取り付けられる。
【0028】
これに対向して、フレーム110の側壁111bに固定されたローラベース152に、外周に摩擦体を有する圧接ローラ153が回転自在に軸154によって取り付けられている。この軸154はバネ(図示せず)によってプーリ150側へ付勢されているため、第1の通路Aに於て回転駆動するプーリ150の無端丸ベルト151に圧接ローラ153は圧接して回転する。このため、上流側の紙幣搬送装置10から送り出された紙幣S1は、第1の通路Aに於てプーリ150の無端丸ベルト151と圧接ローラ153との間に狭持されて取り込まれる。
【0029】
駆動軸170には、第2の通路Bの第2の受入れガイド部材130の通路形成板132より僅かに外方に位置していて、その上下方向の中間部、即ち、通路形成板132の切欠き134に対応した位置に於て、駆動ローラ160aが第2の通路B内突出した状態で固定されている。この駆動ローラ160aには、後述する基体ケース210の複数のプーリ間に架け渡される無端丸ベルト161が装着されている。そして前記駆動ローラ160aの無端丸ベルト161に対向して、板バネ163の先端に送りローラ164が第1の受入れガイド部材120の前端側切欠き124より突出した状態で取り付けられている(図9参照)。
【0030】
従来の搬送装置では、このような送りローラ164がなく、紙幣の搬送力が弱かった。従って、従来装置では、第2の通路B内の紙幣S2が取り込まれない場合があり、特に腰のない紙幣やシワになってアコーデオン状になった紙幣等が詰まり易く、トラブルの原因になっていた。
【0031】
そこで、本実施形態は、合流受入口での紙幣詰まりをなくすことを目的としたもので、上流からの紙幣S1を挟持搬送する第1の搬送通路Aと、玉貸機2からの紙幣S2を搬送する第2の搬送通路Bとが合流する合流搬送駆動部100に於て、駆動源に連絡した駆動ローラ160aに対して、付勢手段を備える送りローラ164を揺動可能に圧接させている。即ち、前記したように駆動ローラ160aに巻装した無端丸ベルト161に圧接する送りローラ164を設けて、上記のような紙幣であっても確実にキャッチ可能とした。そして、本実施形態では、玉貸機2から第2の通路Bへ送り出された紙幣S2は、上記送りローラ164によって無端丸ベルト161に押し付けられ、挟持搬送されるため、取り込みが確実となる。尚、無端丸ベルト161に代えて平ベルト等を使用してもよい。
【0032】
また、図示の実施形態では、上流からの紙幣S1を挟持搬送する第1の搬送通路Aと、玉貸機2からの紙幣S2を搬送する第2の搬送通路Bとが合流する合流搬送駆動部100に於て、第2の搬送通路Bの終端を、駆動源に連絡した駆動ローラ160aに対して接近させる受入ガイド126を設けた。即ち、本実施形態では、上記送りローラ164の外周面と無端丸ベルト161の接点に向けてリブ状に突出する受入ガイド126が設けてある。この受入ガイド126は、図5,図9に示すように、第1の受入れガイド部材120に一体的に設けられ、送りローラ164の上下に位置すると共に、駆動ローラ160aに対向して一対に設けてある。
【0033】
上記のような受入ガイド126によれば、玉貸機2から第2の搬送通路Bへ送り出された紙幣S2の先端がたとえカールしていても紙幣S2の先端が折れることなく、当該紙幣S2を送りローラ164と無端丸ベルト161との接点方向に確実に誘導して送りローラ164の食いつきを良好にすることができる。即ち、玉貸機2から送り込まれた紙幣S2を、搬送通路部200へ確実に合流させることができる。
【0034】
また前記と同様に第2従動軸172は、第2の通路Bの第2の受入れガイド部材130の通路形成板132より僅かに外方に位置していて、第1の従動軸171と同一高さに第2の通路Bに突出した状態で駆動ローラ160bが固定されている。そして駆動ローラ160bの環状溝にはゴムなどの摩擦体から成る摩擦リング162が嵌着されていて、摩擦リング162は第2の通路Bに突出している。そして摩擦リング162に対向して、送りローラ164が板バネ163を介して第1の受入れガイド部材120の前端側切欠き124より突出した状態で取り付けられている。このため、玉貸機2から送り出された紙幣S2は送りローラ164と摩擦リング162とで上記と全く同様の原理で確実に挟持されて取り込まれる。
【0035】
フレーム110の上壁110aには、ギヤカバー180が取り付けられている。このギヤカバー180の上流側には、上流側の紙幣搬送装置10の開閉ケース220の開放を抑止する後述する旋錠装置500の係止部510が突出して設けられ、本体部520の係止穴501と係脱する(図23参照)。また、図22のように、下流側先端には開閉ケース220の上流側端部の上面を押さえ、該開閉ケース220の取り外しを規制するように成した係止片181が形成されている。尚、図1に示す隔台タイプ用紙紙幣搬送装置10にあっては、係止片510が係止片181と同様、上流側の搬送通路部200の開閉ケース220の上面を押さえ、該開閉ケース220の着脱を規制している。
【0036】
合流搬送駆動部100のフレーム110を構成する側壁111aには、図4に示すように屈曲板114が突設されていて、この屈曲板114に搬送通路部200を構成する断面がほぼコ字状の第1基体ケース210aが固定されている。
【0037】
搬送通路部200は、図13で示すように、第1基体ケース210aと、この第1基体ケース210aに揺動自在に取り付けられる第2基体ケース210bとから成る基体ケース210と、該基体ケース210に上方側に開閉自在に取り付けられた開閉ケース220とから成る。
【0038】
第1基体ケース210aの側壁211aの内面には、プーリレール230が水平方向に固定され、このプーリレール230を構成する上板230aと下板230bとの間には、上下方向の軸232によって複数のプーリ231が回転自在に取り付けられていて、前記合流搬送駆動部100に於ける駆動軸170のプーリ160a及びテンションローラ190と、第1基体ケース210aの各プーリ231とに、前記無端丸ベルト161が架け渡されている。
【0039】
また、本実施形態は、搬送通路での紙幣詰まりをなくすことを目的としたもので、紙幣を挟持搬送する搬送通路をローラレール260と協働して構成するプーリレール230の搬送通路側の少なくとも上角部を面取して搬送通路の上側を拡幅させた。即ち、上記プーリレール230の搬送通路側の角部、即ちプーリレール230を構成する上板230aの自由端側の上角部、及び下板230bの自由端の側下角部を面取して傾斜案内面233が形成してある。このため、プーリレール230は、高さ方向のほゞ中央部分が膨出した形状になっている。そこで、このプーリレール230がローラレール260との間に形成する紙幣の搬送通路は、上端部分が広く、中央で一旦狭まり、下端部分で再び広がるようにしたのは、次の理由からである。
【0040】
後述するように、開閉ケース220を開放して、詰まり紙幣を除去した場合、この紙幣を搬送通路に戻さなければならない。即ち、この紙幣を戻さないと、玉貸機2が記憶する売り上げデータ(入金データ)と紙幣搬送装置10の端部に設置した島管理機内のスタッカで保管する現金とが一致しなくなってしまう。
【0041】
そこで、除去した紙幣を再び搬送通路に戻す訳であるが、従来装置にあっては、プーリレール230の角部がほゞ矩形に形成されていたので、紙幣の再挿入が困難であった。しかも、挿入時に無端丸ベルト161の裏側に入ってしまうことが多く、紙幣を痛めてしまう事故が多発していた。
【0042】
一方、本実施形態によれば、上記プーリレール230の角部を面取して傾斜案内面233が形成してあるので、この傾斜案内面233によって紙幣を搬送通路である無端丸ベルト161の外側へ案内することができ、復旧作業(再挿入)が容易であると共に、紙幣を痛めることがなくなる。尚、図示の実施形態でプーリレール230の下側も面取してあるのは、製作上、上下対称と成し、どちら側でも使えるようにしたためである。
【0043】
第1基体ケース210aの底壁212に取り付けた第1金具240の係合孔240aに、第2基体ケース210bの側壁211bの下縁に取り付けた第2金具250の係合突起250aを嵌脱自在に係合させて、この係合孔240aに係合させた係合突起250aを支点にして、第2基体ケース210bがこの係合孔240aを中心に第1基体ケース210aに対して回動自在となっている。
【0044】
尚、前記した第1金具240は、図示していないケーブルの受具を兼ねている。即ち、前記合流搬送駆動部100に設けたモータ142に電力を供給する電源ケーブルや種々の制御信号を中継する信号ケーブル等を束ねて散乱しないように紙幣搬送装置10に沿って止着処理する受具になっている。
【0045】
このような受具を別体の第1金具240として設け、従来装置のように切起により形成していないのは、次のような理由による。即ち、この種の装置は、一般に軽量化を図るためアルミニウム板が利用されている。従って、従来の切起部に於てケーブルの止着処理を数回繰り返すと、切起部が折れてしまい使いものにならなくなっていたためである。
【0046】
一方、本実施形態のように、切起ではなく別体として設けておけば、繰り返し止着処理を行なっても、破損することがない。しかも、万一破損しても交換が可能である。また、別体であるので、自由な形状に形成することができ、ケーブルKの入口部分241を狭めておくことにより、ケーブルKの外れも防止可能となる。
【0047】
また、この実施形態においては、第1金具240に穿設した係合孔240aを大きく形成すると共に、係合突起250aを途中で折り曲げている。このため係合突起250aの係合作業が容易になると共に、半開き状態で係止させておくこともできるし、抜き差しもでき、セット完了後の位置決めも正確になり、作業性が著しく向上する。
【0048】
第2基体ケース210bの側壁211bの内面には、第1基体ケース210aのプーリレール230と対向する高さに於て、ローラレール260が固定され、このローラレール260に各プーリ231に対向して各圧接ローラ261が軸262によって回動自在に、且つ、バネ263によってプーリ231側へ付勢されて取り付けられている。
【0049】
このように第1基体ケース210a側の各プーリ231の無端丸ベルト161に、第2基体ケース210b側の圧接ローラ261が圧接されている。このため、合流搬送駆動部100から送り出された紙幣は厚さ方向から無端丸ベルト161と圧接ローラ261に挟持されてスムーズに搬送されている。
【0050】
そして、合流搬送駆動部100側に最も近いプーリ231a及び圧接ローラ261aは、図12(B)に示すように、玉貸機2から送り出されて待機状態の紙幣S2の先端位置より僅かに下流側に位置するように配置されている。このため、待機状態の玉貸機2からの紙幣S2によって最上流側のプーリ231aの無端丸ベルト161及び圧接ローラ261aが覆われた状態にならない。従って、第1の通路Aから搬送された紙幣S1が上記無端丸ベルト161と圧接ローラ261aで確実に挟持されるため、紙幣詰まりが生じることがない。
【0051】
また、上記ローラレール260には、搬送通路での紙幣詰まりをなくすことを目的とした種々の工夫が施されている。例えば、従来のローラレールにあっては、搬送面が平坦に形成されており、搬送面と圧接ローラ261aの外周面との間に段差が生じていた。このため、従来の搬送面を有するローラレールにより紙幣を搬送する場合は、紙幣が搬送面に接触した状態で搬送されるので、圧接ローラ261aに乗り上げるときに巻き込まれることがあり、紙幣詰まりの原因となっていた。また、新札のように腰のある紙幣のときは乗り越えるときに大きな音が発生して耳障りであった。
【0052】
そこで、本実施形態では、ローラレール260の搬送面260dを、圧接ローラ261の軸着位置に於て、拡幅させると共に、緩やかな曲面形状を備える波型を適宜間隔をおいて形成すると共に、圧接ローラ261を越えた位置において急激な段部260eを介して縮幅させた。このため、先端がカールして圧接ローラ261側を向いた紙幣であっても、圧接ローラ261に巻き込まれることがなく、この圧接ローラ261を乗り越えるときに、騒音が発生しなくなる。
【0053】
また、従来のローラレールに於ける受入部、即ちローラレールの後端部分は、長く滑らかな傾斜形状に形成してある(図14(D)の一点鎖線参照)。しかし、この従来の形状では、紙幣S2の受渡しの際に、紙幣S2の先端がカールしていると、このカール部分が滑らかな傾斜面264によって逆方向へ誘導されるため、先端が隙間に入り込んで紙幣詰まりを起こしていた。
【0054】
そこで、本実施形態は、搬送通路での紙幣詰まりをなくすことを目的としたもので、図14に示すように、端部を比較的鋭角なカット面260aとし、このカット面260aに続く誘導面260bをローラレール260の基端面260cとほゞ平行に形成し、前記した搬送面260dに連絡した。
【0055】
上記のようなローラレール260の受入部によれば、先端がカールした紙幣であっても隙間に入り込んで詰まることがない。また、隣接する紙幣搬送装置10のジョイント部材300とオーバーラップしている距離が短くても、紙幣を確実に搬送通路部200に誘導することができるので紙幣詰まりが発生しない。しかも、オーバーラップさせるためにジョイント部材300に設ける突出片301a,301bを小さく形成できるので、突出量が少なく、取り扱いが容易である。一方、従来装置のように、オーバーラップを大きく取るために突出片を大きく形成すると、大きく出っぱるので破損する危険が高く、取り扱いに細心の注意が必要で面倒であった。
【0056】
また、本実施形態では、上記圧接ローラ261を付勢するバネ263を比較的弾性力の強いものとしてある。このため、新札を二つ折りにした場合のように、腰が強く且つ山形が圧接ローラ261に向いて搬送されても、圧接ローラ261の押圧が紙幣の腰に負けることがなく、このために起きる紙幣詰まりがない。
【0057】
図13に示すように第1基体ケース210aの側壁211a及び第2基体ケース210bの側壁211bの下部内面には、互いに対向して紙幣の下縁部をガイドする下側搬送レール270a,270bがそれぞれ固定されている。
【0058】
下側搬送レール270a,270bはそれぞれ上板271a、271b及び下板272a、272bを有し、図15(A)に示すように下流側端部には次第に狭くなるように内方へ傾斜した傾斜部275a、275bを有している。また、この下側搬送レール270a、270bは透明部材で構成され、且つ、第1基体ケース210aの側壁211a及び第2基体ケース210bの側壁211bの下部に設けた紙幣確認用窓217a,217bを通して、搬送通路部200に於ける紙幣下部を外部から透視できるように構成している。
【0059】
また、下側搬送レール270a、270bの上流側に、後述するジョイント部材300が連結される場合にあっては、その上流側端部に修正板280a、280bが固定される。
【0060】
上記修正板280a,280bは、図12(B)や図15(B)に示すように、上流側の紙幣搬送装置10からの紙幣S1を受け入れてガイドするためのもので、上流側に向かって僅かに開くように傾斜したテーパー部281を有し、更にテーパー部281の下縁は、上流側に向かって上下の幅が漸減する傾斜切欠部282を備えたのは次の理由からである。
【0061】
即ち、テーパー部281及び傾斜切欠部282部分が水平であると、上下角部にカールまたは角折れした紙幣が来ると、そのまま受入口から進入して紙幣詰まりを生じやすいが、この斜辺によって紙幣のカールまたは角折れした部分が起こされて平らにされ、その結果、紙幣詰まりが生じることがない。
【0062】
上流側に、ジョイント部材300が連結される場合にあって、下側搬送レール270a、270bに修正板280a、280bを設けたのは、遊技店(パチンコホール)ごとに搬送通路部200、即ち、下側搬送レール270a、270bの長さが異なるため、その都度、テーパー部281及び傾斜切欠部282を備えた下側搬送レール270a、270bを製作するのは、時間的にも、また費用的にも大変である。そこで、ストート形状の長めの下側搬送レール270a、270bを用意しておき、必要な長さに切断して使用することができるようにしたためである。
【0063】
図13,図16において、基体ケース210の上面には、開閉ケース220が着脱自在に取り付けられている。開閉ケース220の下縁部220aには、複数のピン221が設けられていて、第1基体ケース210aの上壁213aの穴214a及び第2基体ケース210bの上壁213bの穴214bに上方から嵌入係合される。また、開閉ケース220の内側には、搬送通路部200を搬送される紙幣の上縁部をガイドするガイド壁220bが設けられている。このガイド壁220bの形状は、図15(A)に示した下側搬送レール270a,270bと同一の形状となっている。
【0064】
また、開閉ケース220は透明材で形成されているため、外部から搬送通路内の紙幣の正常な流れや紙幣詰まりなどの状況が開閉ケース220を開けなくても見える。
【0065】
下側搬送レール270a,270bの各上板271a、271bと下板272a、272bとを連結する各垂直板273a,273bの下流側に開口された水平方向のガイド用切欠き274a,274bがそれぞれ設けられている(図12参照)。また、第1基体ケース210a、第2基体ケース210bの側壁211a、211bの下流側の端部にも、前記ガイド用切欠き274a,274bと同一高さに於て下流側に開口された水平方向の切欠き215a、215bが設けられている。
【0066】
また、搬送通路部200の下流側には、ジョイント部材300が移動自在に取り付けられている。ジョイント部材300は、図18ないし図21に示すように、第1ジョイント部材310aと、第2ジョイント部材310bと、ジョイント蓋320とから成っている。
【0067】
第1ジョイント部材310a、第2ジョイント部材310bは対向するように側壁311a、311bと底壁312a、312bとを有する。側壁311a及び311bの内面から、紙幣を案内するための通路Cを形成する水平な上部ガイド板313a、313bと、下部ガイド板314a、314bが対向して突設されている。
【0068】
上部ガイド板313a、313b、下部ガイド板314a、314bは、図19に示すように、上流側に大きく開口したテーパー部315、316を有して、紙幣を受け入れ易くすると共に、紙幣の受渡しがスムーズに行われるように、通路Cは下流側に向かって次第に幅を狭くしており、更に下部ガイド板314a、314bは下流側にくちばし状の突出片301a、301bを有している。この突出片301a、301bによって下流側の紙幣搬送装置10とオーバーラップして紙幣を保持するため、確実に下流側の紙幣搬送装置10に取り込ませることができる。
【0069】
前記上部ガイド板313a、313bは、第1基体ケース210a及び第2基体ケース210bの上壁213a、213bに位置し、下部ガイド板314a、314bは、前記第1基体ケース210aの側壁211a、第2基体ケース210bの側壁211bの各切欠き215a、215b及び第1基体ケース210aの下側搬送レール270aの垂直板273aの水平方向のガイド用切欠き274a、第2基体ケース210bの下側搬送レール270bの垂直板273bの水平方向のガイド用切欠き274b内に位置し、固定された第1ジョイント部材310a、第2ジョイント部材310bは搬送方向に一定の範囲内で摺動自在に、且つ着脱自在に取り付けられている。
【0070】
第1ジョイント部材310a、第2ジョイント部材310bの下流側の端面には、隔台タイプにあっては下流側の紙幣搬送装置10の搬送通路部200の穴216a、216bまた全台タイプにあってはフレーム110の側壁111a、111bの穴113に挿入するための複数の接続ピン317a、317bが水平方向に突設されている。
【0071】
また、図19に示すように、ジョイント部材300の第1ジョイント部材310a、第2ジョイント部材310bの各側壁311a、311bの上流側には、下部ガイド板314a、314bと同一高さに於て、対向して一対の投光器400aと受光器400bが取り付けられていて、搬送されて来た紙幣で遮光されると、受光器400bから紙幣検知信号が出力される。この紙幣検知信号が出力されると、前記第2の通路Bに進入した紙幣S2がそれ以上進入しないように紙幣S2を玉貸機2の紙幣識別機内で挟持している。このため、駆動ローラ160a、160b、送りローラ164が回転していても、紙幣S2は搬送されず、紙幣S1が通過するまで一定時間待機するようになっているため、重なって搬送されない。
【0072】
このようにジョイント部材300の第1ジョイント部材310a、第2ジョイント部材310bに投光器400a、受光器400bを取り付けると、隣り合う2台の玉貸機2、2間の間隔が異なっても、その間隔に応じてジョイント部材300を摺動させるから、上流側の紙幣搬送装置10から送られて来る紙幣S1は常に一定の距離で検知され、玉貸機2からの紙幣S2の待機を常に一定のタイミングで行わせることができる。また、図18に示すように、ジョイント部材300の第1ジョイント部材310a、第2ジョイント部材310bの底壁312a,312bの下流側端部には、上方に向けて傾斜した傾斜部318が設けられている。また、ジョイント部材300の第1ジョイント部材310a、第2ジョイント部材310bの上端面には、ジョイント蓋320を摺動自在に取り付けるための係合突片319a、319bが突設されている。
【0073】
ジョイント蓋320は、図20,図21に示すように、側壁321と上壁322とを有し、側壁321の下端には、前記第1ジョイント部材310a、第2ジョイン部材310bの係合突片319a、319bにそれぞれ摺動自在に係合する係合爪323が突設されている。
【0074】
ジョイント蓋320の側壁321の内面からは、対向した水平なガイド片324が突設されている。このガイド片324が、前記開閉ケース220の切欠き222に位置している。また、ジョイント蓋320の上壁322には搬送方向に沿ってガイド長穴325が設けられ、このガイド長穴325には、開閉ケース220の下流側の端部に設けられたストッパ223が位置して、開閉ケース220に対してジョイント蓋320は、このストッパ223で制限される範囲で摺動自在に取り付けられている。
【0075】
従って、第1ジョイント部材310a、第2ジョイント部材310b及びジョイント蓋320は、一体的に基体ケース210(第1基体ケース210a、第2基体ケース210b)及び開閉ケース220の端部に対して摺動できると共に、ジョイント蓋320の係合爪323が第1ジョイント部材310a、第2ジョイント部材310bの係合突片319a,319bから外れるまで摺動させることによって、開閉ケース220を基体ケース210から取り外すことができる。
【0076】
ジョイント蓋320の上壁322の内面で下流側端部には、下方に向かって傾斜した傾斜部326が設けてある。この傾斜部326及び前記した第1ジョイント部材310a、第2ジョイント部材310bにそれぞれ設けた傾斜部318により、下流側の紙幣搬送装置10の搬送通路部200もしくは合流搬送駆動部100とが完全に水平にならずに多少の高さの差がある場合でも、下流側の紙幣搬送装置10の受入口方向に紙幣をガイドすることができ、連結部に於て紙幣が引っ掛ったりすることがなく、その結果、紙幣詰まりを生じることなく円滑に紙幣の搬送が行われる。
【0077】
そして、本発明に係る紙幣搬送装置10は、図23のように、ジョイント蓋320の下流側先端には該ジョイント蓋320を含めた開閉ケース220を固定または解放操作自在に成す旋錠装置500の本体部520を設ける。この本体部520には鍵穴521が設けられており、この鍵穴521に抜き差し自在な鍵530を操作することにより、本体部520と前記ギヤカバー180に設けた係止部510との係止状態に於いて、開閉ケース220の解放が抑止される。即ち、ジョイント蓋320の上流側への摺動が規制されると同時に、この状態にて隣合う紙幣搬送装置10,10同士が連結される。
【0078】
施錠装置500の本体部520には、係止部510を受け入れると共に、係合可能な係合切欠522を設けたスライド部材523が収設してある。このスライド部材523はバネ524によって一方向に付勢してあり、挿入した係止部510の係合段部511に係合切欠522の係合爪522aが係合する。また、上記スライド部材523は、図示していないロック部材によって、鍵530を用いてロック可能に構成してある。即ち、鍵530を鍵穴521に挿入して旋回すると、ロック部材がスライド部材523の摺動を不能にし、開閉ケース220の開放を抑止する。
【0079】
この抑止状態が解除されると、開閉ケース220の取り外しが可能となり、搬送通路部200の一部が解放される。尚、鍵530を使用せず、ロック部材によるスライド部材523の摺動を許可した状態では、係止部510と本体部520が係止されていても、本体部520を矢印X方向にスライドさせれば、係止状態は簡単に解除される。
【0080】
以上は、図2に示すように全台タイプの紙幣搬送装置10にて、説明を行ったが、隔台タイプに於いては、図22のようにギヤカバー180に設けた係止部510を上流側の搬送通路部200の開閉ケース220に設けてある。
【0081】
図25,図26に他の旋錠装置600の実施形態を示す。この実施形態は、搬送通路部200を外側から挟み込む挟持片610、620と、少なくともどちらか一方の挟持片610、620を、鍵700の操作と連動して動くカム片630によって所定範囲、回動自在に成し、着脱自在な旋錠装置600を構成したものである。
【0082】
更に詳細に説明すると、挟持片610、620の下端部は鈎状に折れ曲がった、屈曲部611、621が形成されており、この屈曲部611、621が前記搬送通路部200内の紙幣の正常な流れや、紙幣詰まりなどを外部から確認するために、基体ケース210の第1基体ケース210a、第2基体ケース210bに設けた紙幣確認用窓217a,217bに係止する。従って、この係止状態に於いて、開閉ケース220はその解放を抑止される。この時、どの紙幣確認用窓217a,217bに旋錠装置600をセットしても良い。即ち、遊技台1の背面にセットされた各紙幣搬送装置10の搬送通路部200の任意の位置に、作業性の良い位置を選んでこの旋錠装置600をセットすることができる。尚、図示の実施形態では、屈曲部611、612を紙幣確認用窓217a,217bに係止させているが、屈曲部611、612を基体ケース210の下縁角部に直接係止させるようにしてもよい。この場合も任意の位置にセットできる。
【0083】
次に、開閉ケース220を取り外す時、即ち詰まり紙幣を回収するために搬送通路部200を解放する場合は、鍵700の操作にて連動するカム片630を回動させる。この操作にて該カム片630の突部630aが蝶番640に固定されている挟持片620の内面620aに当接し、該挟持片620を所定範囲、上方に押し上げ、挟持片620の屈曲部621と紙幣確認用窓217bとの係止状態を解除する。この結果、この旋錠装置600は着脱が可能となり、開閉ケース220を取り外して、詰まり紙幣を除去できる。
【0084】
尚、上記のような施錠装置600は、特に必要がない遊技店にあっては、購買する必要が無く、設備費の削減が可能である。
【0085】
本発明に於ける施錠装置は、上述した図23及び図24の旋錠装置500や図25及び図26の旋錠装置600の旋錠装置に限定されるものではない。例えば、島端の端部に設けた旋錠システム装置の操作により各紙幣搬送装置に設けた旋錠装置が自動開放するように構成することもできる。つまり、旋錠システム装置には各紙幣搬送装置の番号が決められており、開閉したい番号を開操作すると、その紙幣搬送装置の旋錠装置に指令が伝達され、その指定した紙幣搬送装置のみが開放するようになっていることで、一々鍵をもたず楽に開放操作を行うことができる。尚、鍵を掛ける際も、上記施錠システム装置によって鍵をもたずに行なう。
【0086】
また、旋錠装置500について、先の実施形態の説明では、各紙幣搬送装置10の端部に当該施錠装置500を設け、この旋錠装置500をそれぞれ鍵530により開閉するようになっているが、鍵530による開閉操作は面倒である。そこで、施錠装置500の本体部520にリモコン操作により解錠及び施錠可能にするための受光部(図示せず)を設け、リモコン操作で解錠したり、施錠すると、鍵530による操作の手間が除ける。尚、このようなリモコン操作は、前記した旋錠装置600についても同様に可能である。
【0087】
次に、紙幣搬送装置10の島への取付方法について説明する。紙幣搬送装置10は、図3或は図29に示すように、背中合わせに列設した遊技台1及び各遊技台1の間に配置した玉貸機2が構成する島に配置する。
【0088】
島には、遊技台1を載せる載置台800が形成されると共に、玉貸機2を取り付けるための取付フレーム801が設けてある。そして、この取付フレーム801に対して紙幣搬送装置10を取り付ける。このため、本発明に係る紙幣搬送装置10には、取付金具810がビス811によって止着してある。尚、この取付金具810は、図32に示すように、紙幣搬送装置10の合流搬送駆動部100を玉貸機の紙幣投入機21に臨ませるための連通窓812が開設してある。
【0089】
そして、上記取付金具810に対して取付フレーム801に通して止めネジ802を締着することによって、紙幣搬送装置10を島内に固定する。ところで、島の幅は、遊技店の設計によって個々に変化する。そこで、従来から取付金具810と取付フレーム801との間にスペーサを介在させている。
【0090】
しかしながら、従来のスペーサは、単に厚さの異るものを重ねているだけであるので、取り扱いが不便で作業性が悪かった。また、スペーサの一端面に係止爪を設けると共に他端面に係止穴を設け、これらの係止爪と係止穴とを係止させて連結するようにしたものがあるが、連結時に係止爪が破損し易く、取り扱いに気を使わなければならず、作業性が悪いばかりではなく、とても実用にならないものであった。
【0091】
そこで、図面に示す実施形態においては、遊技店の島内に取り付け易い紙幣搬送装置を提供することを目的として、スペーサ830の一端面に、先端に係止爪831を有する一対の脚部832を延設すると共に、他端面に上記脚部832を挿通可能な係止穴833を開設した。また、上記係止爪831が係止する係止面834、即ちスペーサ830の内端面を徐々に厚肉になるテーパー形状とした(図33参照)。
【0092】
上記のような構成のスペーサ830を連結するには、脚部832を係止穴833に挿入して係止爪831が係止面834を登る方向に回転させる。すると、係止爪831がテーパー状の係止面834に圧接して当該スペーサ830が連結される。尚、図示のスペーサ830は、外周面の一部に滑り止めの溝835が形成してあり、回転させるときに握り易くなっている。
【0093】
一方、スペーサ830の連結を外すには、上記と逆方向に回転させて係止爪831と係止面834との圧接を解き、係止穴833から脚部832を引き抜けばよい。
【0094】
上記のような構造を有する厚さの異る複数種類のスペーサ830a,830b,830cを用意し、所望の間隔になるように連結する。このようなスペーサ830…によれば、連結分解が容易であるばかりではなく、連結したスペーサ830…を一体のスペーサとして取り扱えるので、作業性が著しく向上する。尚、図示の実施形態では、3種類のスペーサ830…を用意しているが、更に多くのスペーサを用意してもよい。
【0095】
また、前記した取付金具810には、上記スペーサ830の脚部832を挿入可能あると共に、接合面をスペーサ830の係止面834と同様なテーパー形状にした一対の連結穴841が開設してある。そして、図示の取付金具810は、上方に設けた連結穴841及び中央のネジ穴842を上下二段に形成し、取付フレーム801に開設した取付穴の間隔が異る場合にも対応できるようになっている。また、図29には、紙幣搬送装置10の下方に、硬貨を搬送する硬貨搬送装置90が描いてある。
【0096】
尚、本発明の紙幣搬送装置の構成は、硬貨を含めた貨幣、遊技媒体としてのメダル、或は有価価値を記憶させた所謂プリペイドカード等の搬送装置として容易に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の隔台タイプの紙幣搬送装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の全台タイプの紙幣搬送装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】図1の実施形態の使用状態を示す概略平面図である。
【図4】図1の実施形態に於ける合流搬送駆動部を示す説明図である。
【図5】図4に示す合流搬送駆動部の第1の受入れガイド部材を示す正面図である。
【図6】図4に示す合流搬送駆動部に於ける第1の通路の動作説明図である。
【図7】図4に示す合流搬送駆動部の第1の受入れガイド部材の機能を示す正面図である。
【図8】図4に示す合流搬送駆動部の第2の受入れガイド部材を示す正面図である。
【図9】図4に示す合流搬送駆動部に於ける第2の通路の動作説明図である。
【図10】モータユニットを示す分解斜視図である。
【図11】本発明の隔台タイプの紙幣搬送装置の一実施形態を示す平面図である。
【図12】本発明の隔台タイプの紙幣搬送装置の一実施形態を示し、(A)は平面図、(B)は開放状態の正面図である。
【図13】搬送通路部の断面図である。
【図14】(A)はローラレールの斜視図、(B)は第2基体ケースを開いた状態の正面図、(C)は受入部の拡大図、(D)は接続状態の平面図である。
【図15】(A)は下側搬送レールを示す説明図、(B)は修正板を示す平面図である。
【図16】開閉ケースを示す側面図である。
【図17】開閉ケースを示す底面図である。
【図18】ジョイント部材を示す側面図である。
【図19】ジョイント部材の第1ジョイント部材、第2ジョイント部材の平面図である。
【図20】ジョイント部材のジョイント蓋の平面図である。
【図21】ジョイント部材のジョイント蓋の底面図である。
【図22】ギヤカバーを示す斜視図である。
【図23】旋錠装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図24】同上の施錠装置の一部を欠截した平面図である。
【図25】旋錠装置の他の実施形態を示す分解斜視図である。
【図26】(A)は図25の旋錠装置の組立状態の斜視図、(B)は取付状態の斜視図である。
【図27】図1に示す紙幣搬送装置の連結状態を示す斜視図である。
【図28】図2に示す紙幣搬送装置の連結状態を示す斜視図である。
【図29】紙幣搬送装置を設けた島の説明図である。
【図30】紙幣搬送装置の島に対する取付状態を示す概略説明図である。
【図31】紙幣搬送装置の取付部分の正面図である。
【図32】(A)は取付金具の斜視図、(B)はスペーサを取り付けた状態の斜視図である。
【図33】スペーサの説明図で、(A)は左側面図、(B)は正面図、(C)は右側面図、(D)は連結状態の断面図である。
【符号の説明】
【0098】
10 紙幣搬送装置
100 合流搬送駆動部
110 中空長方形フレーム
120 第1の受入れガイド部材
126 受入ガイド
130 第2の受入れガイド部材
140 モータユニット
160a 駆動ローラ
164 送りローラ
180 ギヤカバー
200 搬送通路部
210 基体ケース
220 開閉ケース
230 プーリレール
260 ローラレール
300 ジョイント部材
500、600 旋錠装置
830 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を挟持した状態で上流側から下流側へ搬送する搬送通路部と、
玉貸機に投入された紙幣を前記搬送通路部に合流させると共に駆動源を有する合流搬送駆動部とを備え、
前記合流搬送駆動部のフレーム内に受け入れ、
該フレーム内に設けられた駆動軸と従動軸のうち、
該駆動軸を、前記フレームの外側に取付けられたモータの駆動軸に固定された歯車が、前記フレームから外方へ突出した前記駆動軸の先端の歯車と噛み合うようにして紙幣を複数配列した遊技台に沿った方向に搬送する紙幣搬送装置であって、
前記駆動軸と従動軸は、中間部に駆動ローラと、フレームの上壁の上方に歯車を設け、
前記駆動軸の歯車と、前記従動軸の歯車は、互いに噛み合って逆方向に同一速度で回転して玉貸機からの紙幣を搬送することを特徴とする紙幣搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2006−124183(P2006−124183A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379875(P2005−379875)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【分割の表示】特願2002−262394(P2002−262394)の分割
【原出願日】平成6年6月30日(1994.6.30)
【出願人】(000162906)狭山精密工業株式会社 (162)
【Fターム(参考)】