説明

紙幣整理装置

【課題】設定された枚数でない紙幣束の作成を防止し、設定された枚数の紙幣束を作成する。
【解決手段】投入された紙幣を1枚ずつ分離して繰り出す投入部と、投入部から繰り出された紙幣を搬送する紙幣搬送路と、紙幣搬送路上に配設され、搬送される紙幣を設定された枚数に達するまで計数する鑑別部と、鑑別部で計数された紙幣を集積する一時集積部と、一時集積部に集積された紙幣を挟持して施封部10へ移送する移送部とを有し、施封部10で結束された紙幣の枚数の過不足を検知する紙幣束検査部45a、45bを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計数した紙幣を設定された枚数毎に結束する施封部を有する紙幣整理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紙幣整理装置は、例えば4つの一時集積部を備え、オペレータが4金種の紙幣の金種毎の施封あるいは任意の2金種の正券と損券別の施封を指定して、紙幣を投入部にセットすると、セットした紙幣を鑑別部に搬送して金種等の鑑別及び計数を行い、計数した紙幣を金種毎あるいは正損に分けて複数の一時集積部に集積する。
【0003】
そして、紙幣が一時集積部に予め設定された一定枚数(例えば100枚)集積されると、その紙幣を移送手段により施封部へ移送し、この施封部により紙幣をテープで施封して紙幣束として結束して放出し、紙幣束を作成するようにしているものがある(例えば、特許文献1参照)。なお、施封部では、移送された紙幣が設定された一定枚数であることの確認は行なっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−42938号公報(段落「0039」〜段落「0045」、図1、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術においては、一時集積部から施封部への移送の際に紙幣が落下した場合、落下した紙幣が除かれた一定枚数よりも少ない状態で施封が行われてしまい、また別の移送紙幣から落下した紙幣が混入した場合、一定枚数よりも多い状態で施封が行われてしまい、設定された一定枚数でない紙幣束を作成し、装置外へ排出してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、設定された枚数でない紙幣束の作成を防止し、設定された枚数の紙幣束を作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、本発明は、計数した紙幣を設定された枚数毎に結束する施封部を有する紙幣整理装置において、投入された紙幣を1枚ずつ分離して繰り出す投入部と、前記投入部から繰り出された紙幣を搬送する紙幣搬送路と、前記紙幣搬送路上に配設され、搬送される紙幣を前記設定された枚数に達するまで計数する鑑別部と、前記鑑別部で計数された紙幣を集積する一時集積部と、前記一時集積部に集積された紙幣を挟持して前記施封部へ移送する移送部と、前記施封部で結束された紙幣の枚数の過不足を検知する紙幣束検査部とを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このようにした本発明は、設定された枚数でない紙幣束の作成を防止し、設定された枚数の紙幣束を確実に作成することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施例における施封部の構成を示す概略側面図
【図2】第1の実施例における紙幣整理装置の外観を示す斜視図
【図3】第1の実施例における紙幣整理装置の構成を示す概略側面図
【図4】第1の実施例における施封処理を示すフローチャート
【図5】第2の実施例における施封部の構成を示す概略側面図
【図6】第2の実施例における施封処理を示すフローチャート
【図7】第3の実施例における施封部の構成を示す概略側面図
【図8】第3の実施例における施封処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明による紙幣整理装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
図2は第1の実施例における紙幣整理装置の外観を示す斜視図、図3は第1の実施例における紙幣整理装置の構成を示す概略側面図である。
【0012】
図2および図3において、1は紙幣の投入部であり、紙幣整理装置(以下、「装置」という。)100の正面上部に設けられている。この投入部1では、投入された紙幣を1枚ずつ分離して繰出す。
【0013】
3は紙幣を搬送する紙幣搬送路であり、投入部1から1枚ずつ繰り出された紙幣をローラやベルト等で挟持して搬送する。
【0014】
2は紙幣搬送路3上に配設され、搬送される紙幣の真偽、金種、表裏等の鑑別、及び計数を行うと共に、搬送異常の検出を行う鑑別部であり、装置100内に設けられている。この鑑別部2は、CCD(Charge Coupled Device)センサ等で構成され、搬送される紙幣の表裏両面のイメージデータを読取ることができ、また読取った紙幣のイメージデータから紙幣毎に印刷された紙幣識別情報としてのシリアルナンバを文字として認識することができるようになっている。
【0015】
ここで、シリアルナンバは、紙幣毎に付与されてその紙幣の一面に印刷された英数字等で構成されたものであり、本実施例では、シリアルナンバが印刷された紙幣の面を「おもて面」といい、その反対面を「裏面」という。
【0016】
4は紙幣搬送路3に配設され、搬送される紙幣の表裏反転を行う表裏反転部であり、装置100内の鑑別部2の後段(下流側)に位置するように設けられている。この表裏反転部4は、鑑別部2での紙幣の表裏の鑑別結果に基づいて搬送された紙幣の表裏を反転することができるようになっている。
【0017】
5は結束(施封)対象外の金種の紙幣を集積するオープンポケットであり、装置100の上面に設けられており、このオープンポケット5に集積された紙幣はオペレータが直接的にアクセスできるものとなっている。
【0018】
6は集積機構であり、紙幣搬送路3により搬送された紙幣を順次積層して集積するものである。本実施例においては、この集積機構6には縦1列に4個の集積部(以下、「一時集積部」という。)6a〜6dが並べて装置100内に設けられており、その一時集積部6a〜6dにそれぞれ予め設定された枚数(以下、「一定枚数」といい、例えば本実施例では100枚である。)の紙幣が集積できるようになっており、紙幣搬送路3で最初に搬送された紙幣を最下位とし、その紙幣の上に後続する紙幣を順次集積するようになっている。したがって、紙幣搬送路3で最後に搬送された紙幣が集積された紙幣の最上位になる。なお、一時集積部は4個に限らず1個以上であればよい。
【0019】
7は投入部1の右側に設けられた操作部であり、この操作部7には紙幣の計数を指示する計数開始ボタン7a、計数及び結束処理の完了を指示する完了ボタン、装置100の障害復旧時等に再稼動させるためのリセットボタン、状態表示ランプが設けられている。なお、状態表示ランプは、装置の稼動時は緑色、装置の異常等の装置障害が発生した時には赤色に発光し、その旨を操作者へ報知する。
【0020】
8は鑑別部2で金種不明と鑑別、あるいは搬送異常が検知されたリジェクト紙幣を集積するリジェクトポケットであり、投入部1の上方に設けられ、このリジェクトポケット8に集積されたリジェクト紙幣にオペレータが直接的にアクセスできるものとなっている。
【0021】
9は一時集積部6に集積した一定枚数の紙幣を一括して挟持して施封部10に移送するための移送部としての移送機構であり、10は移送された紙幣を結束するための施封部としての紙幣結束機構である。なお、施封部10の詳細は後述する。
【0022】
本実施例では、移送機構9は一時集積部6に積層して集積した紙幣をアーム等の部材で挟持し、積層された紙幣の上下関係を入れ替えることなく、その上下関係を保持したまま施封部10へ移送する。したがって、一時集積部6に集積された最下位の紙幣は移送後も最下位であり、一時集積部6に集積された最上位の紙幣は移送後も最上位である。
【0023】
11は装置100の正面に設けられた紙幣束の放出口であり、施封部10で結束された紙幣束を装置外へ排出する部位である。
【0024】
12は装置100の正面に設けられた扉であり、この扉12を開けることでオペレータは集積機構6にアクセスできるものになっている。
【0025】
13は装置100上面においてオープンポケット5の後方に位置するように設けられた操作表示部で、液晶ディスプレイとその表面に配置したタッチパネルによって構成されており、オペレータはこの操作表示部13を操作して動作モードの指定や、一時集積部6a〜6dに集積する紙幣の枚数、金種、集積順序等の設定を行う。また、この操作表示部13には鑑別部2で鑑別された紙幣の金種や正損及び計数結果等の表示も行われる。
【0026】
このように構成された紙幣整理装置100は、図示しないメモリ等の記憶部に記憶された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて図示しないCPU(Central Processing Unit)等の演算手段および制御手段としての制御部によって全体の動作が制御される。
【0027】
図1は第1の実施例における施封部の構成を示す概略側面図である。
【0028】
図1において、施封部としての紙幣結束機構10は、ローラ及びベルト等から成る搬送手段40と、紙テープ等による結束用のテープ41と、テープ41に文字を印字する印字手段42と、テープ41を供給するテープ供給手段43と、テープ41を所定の長さに切断するカッタ44と、切断されたテープ41を紙幣束に巻き付ける図示しない結束手段と、紙幣に印刷されたシリアルナンバを読取る画像読取部45とを備えている。
【0029】
紙幣束検査部としての画像読取部45は、結束された紙幣束の紙幣の枚数が一定枚数に対して過不足があるか否かを検知するものであり、結束手段と放出口との間の搬送手段40の上方にセンサ45a、下方にセンサ45bが配設されて構成され、結束手段で結束された紙幣束の最上位の紙幣および最下位の紙幣に印刷されたシリアルナンバをそれぞれ読取る。なお、このセンサ45a、45bは、CCDセンサ等で構成され、紙幣のイメージデータを読取ることができ、また制御部により、読取った紙幣のイメージデータの認識処理が行われ、紙幣に印刷されたシリアルナンバを文字として認識することができるようになっている。
【0030】
なお、搬送手段40を構成するローラ及びベルトは矢印Hが示す方向に図示しない手段により昇降可能となっていて、施封する紙幣の枚数が変更となった場合でも搬送可能に構成されている。
【0031】
紙幣結束機構10は、以下のようにして紙幣を結束する。
【0032】
まず、搬送手段40が図3に示す移送機構9の紙幣クランプ部から(図1中の矢印Iが示す方向)100枚の紙幣を一括して受け取り、ローラ及びベルトを矢印Kが示す方向に回転させ、紙幣を矢印Kが示す方向に移動させ、結束位置まで搬送する。
【0033】
続けて、テープ供給手段43はテープ41を矢印Lが示す方向に供給し、図示しない結束手段は供給されたテープ41を紙幣に巻き付けて施封する。その際、印字手段42はインクリボンを介してテープ41にて結束される紙幣の情報を印字し、印字されたテープ41は所定の長さにカッタ44で切断され、この切断されたテープ41aを結束手段が結束位置に搬送された100枚の紙幣に巻きかけて結束することにより紙幣束を作る。
【0034】
こうして作られた紙幣束は、更に搬送手段40により矢印Nが示す方向に搬送され、センサ45a、45bにより紙幣束の表、裏に印刷された紙幣のシリアルナンバが読み取られる。その後も更に、搬送手段40により矢印Nが示す方向に搬送され、図3に示す放出口11に送られる。
【0035】
上述した構成の作用について説明する。
【0036】
紙幣整理装置が行う紙幣の施封処理を、図4の第1の実施例における施封処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図1、図2および図3を参照しながら説明する。
【0037】
なお、以下の第1から第3の実施例では、紙幣束を形成する紙幣の枚数(一定枚数)は、100枚として設定され、記憶部に記憶されているものとする。
【0038】
S1a:まず、操作者は操作表示部13より、施封する金種を設定する。本実施例においては一時集積部6aを使用して施封するように設定する。紙幣整理装置100の制御部は、操作表示部13で操作者の操作を受付け、施封する金種、すなわち一時集積部6aを使用して施封することを記憶部に記憶させる。
【0039】
S2a:次に、操作者は、紙幣を投入部1にセットし、操作部7の計数開始ボタン7aを押下して計数を開始する。紙幣整理装置100の制御部は、計数開始ボタン7aの押下を検知すると、投入部1に投入された紙幣を1枚ずつ分離して紙幣搬送路3へ送り出し、紙幣の計数動作を開始する。
【0040】
S3a:計数開始により紙幣搬送路3に取り込まれ、搬送される1枚目の紙幣(最先の紙幣)が鑑別部2を通過した際に、鑑別部2はその紙幣の金種の鑑別とその紙幣のシリアルナンバの読み取りを行う。
【0041】
ここで、投入部1から紙幣搬送路3へ送り出した1枚目の紙幣は、一時集積部6aに最初に集積され、紙幣束にしたときその最下位に位置するため、その紙幣のシリアルナンバがセンサ45bで読み取ることができるように紙幣のおもて面が下方になるように表裏反転部4で表裏反転をして搬送する。
【0042】
S4a:制御部は、鑑別部2により読み取った1枚目の紙幣のシリアルナンバを記憶部に記憶させるとともに1枚目の紙幣を、そのおもて面が下方になるようにして一時集積部6aに集積する。
【0043】
S5a:制御部は、鑑別部2により計数された紙幣が100枚に達するまで計数動作を継続し、紙幣搬送路3により搬送される100枚目の紙幣(最後の紙幣)が鑑別部2を通過した際に、鑑別部2はその紙幣の金種の鑑別とその紙幣のシリアルナンバの読み取りを行う。
【0044】
ここで、投入部1から紙幣搬送路3へ送り出した100枚目の紙幣は、一時集積部6aに最後に集積され、紙幣束にしたときその最上位に位置するため、その紙幣のシリアルナンバがセンサ45aで読み取ることができるように紙幣のおもて面が上方になるように表裏反転部4で表裏反転をして搬送する。
【0045】
なお、1枚目の紙幣のおもて面が下方、100枚目の紙幣のおもて面が上方であれば、1枚目の紙幣のみ、おもて面を下方とし、2枚目から100枚目の紙幣のおもて面を上方となるようにしてもよいし、1枚目から99枚目の紙幣のおもて面を下方とし、100枚目の紙幣のみ、おもて面を上方となるようにしてもよい。また2枚目から99枚目の紙幣は、印刷されたシリアルナンバが読み取られないため、おもて面を上方または下方のどちらにしてもよい。
【0046】
S6a:制御部は、鑑別部2により読み取った100枚目の紙幣のシリアルナンバを記憶部に記憶させるとともに100枚目の紙幣を、そのおもて面が上方になるようにして一時集積部6aに集積する。
【0047】
S7a:一時集積部6aに100枚の紙幣を集積すると制御部は、移送機構9により一時集積部6aから施封部10へ100枚の紙幣を移送する。
【0048】
S8a:制御部は、施封部10により100枚の紙幣を施封する。
【0049】
S9a:制御部は、施封した紙幣束を搬送手段40により図1に示す矢印Nが示す方向へ搬送し、紙幣束の表裏の紙幣のシリアルナンバを読取るため、センサ45aにより紙幣束の最上位の紙幣に印刷されたシリアルナンバを読取り、またセンサ45bにより紙幣束の最下位の紙幣に印刷されたシリアルナンバを読取る。
【0050】
S10a:制御部は、センサ45bにより読取った紙幣束の最下位の紙幣(紙幣束の裏の紙幣)のシリアルナンバと、S4aにおいて鑑別部2により読み取った1枚目の紙幣のシリアルナンバとを比較し、一致するか否かを判定する。その判定の結果、一致すると判定すると処理をS11aへ移行し、一方一致しないと判定すると処理をS13aへ移行する。
【0051】
S11a:次に、制御部は、センサ45aにより読取った紙幣束の最上位の紙幣(紙幣束の表の紙幣)のシリアルナンバと、S6aにおいて鑑別部2により読み取った100枚目の紙幣のシリアルナンバとを比較し、一致するか否かを判定する。その判定の結果、一致すると判定すると処理をS12aへ移行し、一方一致しないと判定すると処理をS13aへ移行する。
【0052】
S12a:紙幣束の最下位の紙幣のシリアルナンバと、鑑別部2により読み取った1枚目の紙幣のシリアルナンバとが一致し、かつ紙幣束の最上位の紙幣のシリアルナンバと、鑑別部2により読み取った100枚目の紙幣のシリアルナンバとが一致した場合、制御部は、施封部10への移送の際に紙幣が落下、または別の移送紙幣から落下した紙幣が混入していないと判定し、紙幣束を紙幣整理装置100の外へ排出する。
【0053】
S13a:紙幣束の最下位の紙幣のシリアルナンバと、鑑別部2により読み取った1枚目の紙幣のシリアルナンバとが一致せず、または紙幣束の最上位の紙幣のシリアルナンバと、鑑別部2により読み取った100枚目の紙幣のシリアルナンバとが一致しない場合、制御部は、施封部10への移送の際に紙幣が落下、または別の移送紙幣から落下した紙幣が混入したものと判定し、その紙幣束を排出せずに状態表示ランプを装置障害状態にして紙幣束が100枚でないことを操作者に報知する。
【0054】
このように、投入部から一時集積部までに搬送される際に鑑別部で読取った1枚目および100枚目の紙幣のシリアルナンバと、施封部で結束した紙幣束の最下位の紙幣のシリアルナンバおよび最上位の紙幣のシリアルナンバとをそれぞれ比較し、双方が一致することを確認するようにしたことにより、設定された一定枚数でない紙幣束が装置外へ排出されてしまうことを防止することができる。
【0055】
これは、一時集積部に集積された紙幣を施封部へ移送する際に、一時集積部に集積された紙幣を移送機構のアーム等で挟持するため、落下する紙幣には、集積された紙幣の最下位または最上位の紙幣が含まれると考えられ、また混入する紙幣は、最下位または最上位の紙幣と移送機構のアーム等との間に入り込むと考えられるからである。
【0056】
以上説明したように、第1の実施例では、紙幣束の最下位の紙幣および最上位の紙幣のシリアルナンバを読み取る機構を施封部に設け、投入部から一時集積部までに搬送される際に鑑別部で読取った1枚目および100枚目の紙幣のシリアルナンバと、施封部で結束した紙幣束の最下位の紙幣のシリアルナンバおよび最上位の紙幣のシリアルナンバとをそれぞれ比較し、双方が一致することを確認するようにしたことにより、設定された一定枚数でない紙幣束が作成され、装置外へ排出されてしまうことを防止し、装置の厳格性を確保することができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0057】
第2の実施例の構成は、第1の実施例の施封部の紙幣のシリアルナンバを読取るセンサに替えて紙幣束の厚さを検知する厚さ検知部を設けたものとしている。その施封部の構成を図5の第2の実施例における施封部の構成を示す概略側面図に基づいて説明する。
【0058】
なお、紙幣整理装置の構成および厚さ検知部を除いた施封部の構成は、上述した第1の実施例と同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0059】
図5において、施封部としての紙幣結束機構10は、ローラ及びベルト等から成る搬送手段40と、紙テープ等による結束用のテープ41と、テープ41に文字を印字する印字手段42と、テープ41を供給するテープ供給手段43と、テープ41を所定の長さに切断するカッタ44と、切断されたテープ41を紙幣束に巻き付ける図示しない結束手段と、紙幣束の厚さを測定する厚さ検知部46とを備えている。
【0060】
紙幣束検査部としての厚さ検知部46は、結束された紙幣束の紙幣の枚数が一定枚数に対して過不足があるか否かを検知するものであり、結束手段と放出口との間の搬送手段40の上方に押圧部材46a、下方に支持部材46bが配設され、図示しない駆動手段により押圧部材46aを矢印Pが示す方向へ移動させて支持部材46bとの間で挟んだ紙幣束の厚さを図示しないセンサにより測定する。
【0061】
なお、本実施例では、搬送手段40の上方に押圧部材を配設したものとして説明するが、押圧部材は下方、または上方および下方の両方に配設するようにしてもよい。
【0062】
紙幣結束機構10は、以下のようにして紙幣を結束する。
【0063】
まず、搬送手段40が図3に示す移送機構9の紙幣クランプ部から(図5中の矢印Iが示す方向)100枚の紙幣を一括して受け取り、ローラ及びベルトを矢印Kが示す方向に回転させ、紙幣を矢印Kが示す方向に移動させ、結束位置まで搬送する。
【0064】
続けて、テープ供給手段43はテープ41を矢印Lが示す方向に供給し、図示しない結束手段は供給されたテープ41を紙幣に巻き付けて施封する。その際、印字手段42はインクリボンを介してテープ41にて結束される紙幣の情報を印字し、印字されたテープ41は所定の長さにカッタ44で切断され、この切断されたテープ41aを結束手段が結束位置に搬送された100枚の紙幣に巻きかけて結束することにより紙幣束を作る。
【0065】
こうして作られた紙幣束は、更に搬送手段40により矢印Nが示す方向に搬送され、紙幣束の厚さ検知部46a、46bにより紙幣束をプレスして紙幣束の厚さが検出される。その後も更に、搬送手段40により矢印Nが示す方向に搬送され、図3に示す放出口11に送られる。
【0066】
上述した構成の作用について説明する。
【0067】
紙幣整理装置が行う紙幣の施封処理を、図6の第2の実施例における施封処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図5、図2および図3を参照しながら説明する。
【0068】
S1b:まず、操作者は操作表示部13より、施封する金種を設定する。本実施例においては一時集積部6aを使用して施封するように設定する。紙幣整理装置100の制御部は、操作表示部13で操作者の操作を受付け、施封する金種、すなわち一時集積部6aを使用して施封することを記憶部に記憶させる。
【0069】
S2b:次に、操作者は、紙幣を投入部1にセットし、操作部7の計数開始ボタン7aを押下して計数を開始する。紙幣整理装置100の制御部は、計数開始ボタン7aの押下を検知すると、投入部1に投入された紙幣を1枚ずつ分離して紙幣搬送路3へ送り出し、紙幣の計数動作を開始する。
【0070】
S3b:計数開始により紙幣搬送路3に取り込まれた紙幣が鑑別部2を通過した際に、鑑別部2はその紙幣の金種の鑑別と計数を行い、制御部は、鑑別部2により計数された紙幣が100枚に達するまで計数動作を継続し、100枚目の紙幣が一時集積部6aへ集積されるまで監視する。
【0071】
S4b:一時集積部6aに100枚の紙幣を集積すると制御部は、移送機構9により一時集積部6aから施封部10へ100枚の紙幣を移送する。
【0072】
S5b:制御部は、施封部10により100枚の紙幣を施封する。
【0073】
S6b:制御部は、施封した紙幣束を搬送手段40により図5に示す矢印Nが示す方向へ搬送し、厚さ検知部46a、46bにより紙幣束をプレスして紙幣束の厚さを測定する。
【0074】
S7b:制御部は、厚さ検知部46a、46bにより測定した紙幣束の厚さと、記憶部に予め記憶された紙幣100枚の厚さとを比較し、測定した紙幣束の厚さが紙幣100枚分に相当するか否か(測定した紙幣束の厚さが記憶部に予め記憶された紙幣100枚の厚さの所定の範囲内にあるか否か)を判定し、相当すると判定すると処理をS8bへ移行し、一方相当しないと判定すると処理をS9bへ移行する。
【0075】
S8b:測定した紙幣束の厚さが紙幣100枚分に相当する(測定した紙幣束の厚さが記憶部に予め記憶された紙幣100枚の厚さの所定の範囲内にある)と判定した制御部は、施封部10への移送の際に紙幣が落下、または別の移送紙幣から落下した紙幣が混入していないと判定し、紙幣束を紙幣整理装置100の外へ排出する。
【0076】
S9b:測定した紙幣束の厚さが紙幣100枚分に相当しない(測定した紙幣束の厚さが記憶部に予め記憶された紙幣100枚の厚さの所定の範囲内にない)と判定した制御部は、施封部10への移送の際に紙幣が落下、または別の移送紙幣から落下した紙幣が混入したものと判定し、その紙幣束を排出せずに状態表示ランプを装置障害状態にして紙幣束が100枚でないことを操作者に報知する。
【0077】
以上説明したように、第2の実施例では、作成した紙幣束の厚さを検出する厚さ検知部を設け、作成された紙幣束が設定された一定枚数の厚さであるか否かを判定するようにしたことにより、設定された一定枚数でない紙幣束が装置外へ排出されてしまうことを防止し、装置の厳格性を確保することができるという効果が得られる。
【実施例3】
【0078】
第3の実施例の構成は、第1の実施例の施封部の紙幣のシリアルナンバを読取るセンサに替えて施封された紙幣束の側面の凹凸数を測定して紙幣の枚数を算出する凹凸数検知部を設けたものとしている。その施封部の構成を図7の第3の実施例における施封部の構成を示す概略側面図に基づいて説明する。
【0079】
なお、紙幣整理装置の構成および凹凸数検知部を除いた施封部の構成は、上述した第1の実施例と同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0080】
図7において、施封部としての紙幣結束機構10は、ローラ及びベルト等から成る搬送手段40と、紙テープ等による結束用のテープ41と、テープ41に文字を印字する印字手段42と、テープ41を供給するテープ供給手段43と、テープ41を所定の長さに切断するカッタ44と、切断されたテープ41を紙幣束に巻き付ける図示しない結束手段と、紙幣束の凹凸数を測定する凹凸数検知部47とを備えている。
【0081】
紙幣束検査部としての凹凸数検知部47は、結束された紙幣束の紙幣の枚数が一定枚数に対して過不足があるか否かを検知するものであり、結束手段と放出口との間の搬送手段40の側方に配設され、紙幣束の紙幣間に生じる凹凸数をセンサにより測定し、紙幣束の紙幣の枚数を算出する。
【0082】
この凹凸数検知部47は、積層された紙幣束に側方から光を照射する発光部と、その反射光を受光する受光部とからなり、紙幣束の側部のイメージデータを取得し、そのイメージデータから紙幣の段差により生じた凹部(紙幣と紙幣との間隙であり、照射された光を反射しないためイメージデータでは暗部となる)および凸部(紙幣の側部であり、照射された光を反射するため明部となる)の数を計測して紙幣束の紙幣の枚数を算出するものである。
【0083】
紙幣結束機構10は、以下のようにして紙幣を結束する。
【0084】
まず、搬送手段40が図3に示す移送機構9の紙幣クランプ部から(図7中の矢印Iが示す方向)100枚の紙幣を一括して受け取り、ローラ及びベルトを矢印Kが示す方向に回転させ、紙幣を矢印Kが示す方向に移動させ、結束位置まで搬送する。
【0085】
続けて、テープ供給手段43はテープ41を矢印Lが示す方向に供給し、図示しない結束手段は供給されたテープ41を紙幣に巻き付けて施封する。その際、印字手段42はインクリボンを介してテープ41にて結束される紙幣の情報を印字し、印字されたテープ41は所定の長さにカッタ44で切断され、この切断されたテープ41aを結束手段が結束位置に搬送された100枚の紙幣に巻きかけて結束することにより紙幣束を作る。
【0086】
こうして作られた紙幣束は、更に搬送手段40により矢印Nが示す方向に搬送され、紙幣束の凹凸数検知部47により紙幣束の凹凸数が検出される。その後も更に、搬送手段40により矢印Nが示す方向に搬送され、図3に示す放出口11に送られる。
【0087】
上述した構成の作用について説明する。
【0088】
紙幣整理装置が行う紙幣の施封処理を、図8の第3の実施例における施封処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップにしたがって図7、図2および図3を参照しながら説明する。
【0089】
S1c〜S5c:図6におけるS1b〜S5bの処理と同様なので説明を省略する。
【0090】
S6c:制御部は、施封した紙幣束を搬送手段40により図7に示す矢印Nが示す方向へ搬送し、凹凸数検知部47により紙幣束の凹凸数を測定し、紙幣束の紙幣の枚数を算出する。
【0091】
S7c:制御部は、凹凸数検知部47により測定した紙幣束の凹凸数から算出した紙幣束の紙幣の枚数が100枚であるか否かを判定し、100枚であると判定すると処理をS8cへ移行し、一方100枚でないと判定すると処理をS9cへ移行する。
【0092】
S8c:算出した紙幣束の紙幣の枚数が100枚分であると判定した制御部は、施封部10への移送の際に紙幣が落下、または別の移送紙幣から落下した紙幣が混入していないと判定し、紙幣束を紙幣整理装置100の外へ排出する。
【0093】
S9c:算出した紙幣束の紙幣の枚数が100枚分でないと判定した制御部は、施封部10への移送の際に紙幣が落下、または別の移送紙幣から落下した紙幣が混入したものと判定し、その紙幣束を排出せずに状態表示ランプを装置障害状態にして紙幣束が100枚でないことを操作者に報知する。
【0094】
以上説明したように、第3の実施例では、作成した紙幣束の凹凸数を検出する凹凸数検知部を設け、作成された紙幣束の紙幣の枚数を計数するようにしたことにより、設定された一定枚数でない紙幣束が装置外へ排出されてしまうことを防止し、装置の厳格性を確保することができるという効果が得られる。
【0095】
なお、第1の実施例から第3の実施例では、本発明を紙幣整理装置に適用した実施例を説明したが、紙幣束を作成するその他の装置、例えば金融機関の営業店後方において現金の出し入れを管理する元方現金処理装置にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 投入部
2 鑑別部
3 紙幣搬送路
4 表裏反転部
5 オープンポケット
6 一時集積部
7 操作部
8 リジェクトポケット
9 移送機構
10 施封部(紙幣結束機構)
11 放出口
12 扉
13 操作表示部
40 搬送手段
41 テープ
42 印字手段
43 テープ供給手段
44 カッタ
45 画像読取部
46 厚さ検知部
47 凹凸数検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計数した紙幣を設定された枚数毎に結束する施封部を有する紙幣整理装置において、
投入された紙幣を1枚ずつ分離して繰り出す投入部と、
前記投入部から繰り出された紙幣を搬送する紙幣搬送路と、
前記紙幣搬送路上に配設され、搬送される紙幣を前記設定された枚数に達するまで計数する鑑別部と、
前記鑑別部で計数された紙幣を集積する一時集積部と、
前記一時集積部に集積された紙幣を挟持して前記施封部へ移送する移送部と、
前記施封部で結束された紙幣の枚数の過不足を検知する紙幣束検査部とを設けたことを特徴とする紙幣整理装置。
【請求項2】
請求項1の紙幣整理装置において、
前記鑑別部は、搬送される最先の紙幣および最後の紙幣に印刷された識別情報を読み取り、
前記施封部は、前記最先の紙幣を最下位、前記最後の紙幣を最上位として紙幣を結束し、
前記紙幣束検査部は、結束された紙幣束の最下位の紙幣および最上位の紙幣に印刷された識別番号を読取るセンサを備え、前記最下位の紙幣の識別番号が前記最先の紙幣の識別番号と一致しないこと、または前記最上位の紙幣の識別番号が前記最後の紙幣の識別番号と一致しないことを検知して紙幣の枚数の過不足を検知することを特徴とする紙幣整理装置。
【請求項3】
請求項2の紙幣整理装置において、
前記一時集積部は、搬送された紙幣を順次積層して集積し、
前記移送部は、前記一時集積部に積層された紙幣の上下関係を保持したまま前記施封部へ移送し、
前記鑑別部は、搬送される紙幣の表裏を鑑別し、
前記鑑別部の下流の紙幣搬送路に、前記鑑別部の鑑別結果に基づいて紙幣の表裏を反転する表裏反転部を設け、
前記最先の紙幣の識別番号が印刷された面を下方、前記最後の紙幣の識別番号が印刷された面を上方にして前記一時集積部に集積することを特徴とする紙幣整理装置。
【請求項4】
請求項1の紙幣整理装置において、
前記紙幣束検査部は、前記施封部で結束された紙幣束の厚さを検知して紙幣の枚数の過不足を検知することを特徴とする紙幣整理装置。
【請求項5】
請求項1の紙幣整理装置において、
前記紙幣束検査部は、前記施封部で結束された紙幣束の側部のイメージデータを読取り、そのイメージデータから紙幣の枚数を算出して過不足を検知することを特徴とする紙幣整理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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