紙幣真贋判定装置及び方法、紙幣表面特徴登録装置及び方法、紙幣真贋判定システム、カード印刷装置及び方法、カード真贋判定装置及び方法、カード真贋判定システム、及び、カード
【課題】紙幣の真贋判定の信頼性を向上する。
【解決手段】データベース405から真贋判定対象の紙幣の予め登録された複数箇所の表面特徴を取得する。画像入力部401は、紙幣の複数箇所の表面特徴を読み取る。画像照合部408は、前記取得された複数箇所の表面特徴と前記読み取られた複数箇所の表面特徴とを照合し、真贋判定部409は、紙幣の真贋を判定する。このように、真贋判定対象の紙幣の予め登録された複数箇所の表面特徴を取得する共に、前記紙幣の複数箇所の表面特徴と読み取り、取得された複数箇所の表面特徴と読み取られた複数箇所の表面特徴とに基づいて、紙幣の真贋を判定するので、判定の信頼性を向上させることができる。
【解決手段】データベース405から真贋判定対象の紙幣の予め登録された複数箇所の表面特徴を取得する。画像入力部401は、紙幣の複数箇所の表面特徴を読み取る。画像照合部408は、前記取得された複数箇所の表面特徴と前記読み取られた複数箇所の表面特徴とを照合し、真贋判定部409は、紙幣の真贋を判定する。このように、真贋判定対象の紙幣の予め登録された複数箇所の表面特徴を取得する共に、前記紙幣の複数箇所の表面特徴と読み取り、取得された複数箇所の表面特徴と読み取られた複数箇所の表面特徴とに基づいて、紙幣の真贋を判定するので、判定の信頼性を向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣やカードの真贋を判定する紙幣真贋判定装置及び方法、紙幣表面特徴登録装置及び方法、紙幣真贋判定システム、カード印刷装置及び方法、カード真贋判定装置及び方法、カード真贋判定システム、及び、カードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣の真贋判定方法に関して、種々の発明が提案されている。
【0003】
紙幣の検出ラインに沿って微小スポット光を照射し、反射微小スポット光を受光部で受光し、受光部に於ける受光位置の変位により、検出ライン上の微小盛り上がりの有無を順次検出し、検出された微小盛り上がりの全並びパターンを真正紙幣のそれと比較し、全並びパターンの内のいずれかの部分で10mm以上連続して真正紙幣に於ける対応部分のそれと一致していれば、対象紙幣を真正と判定し、それ以外は非真正と判定する装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、搬送される紙幣に照射する光を可視光及び不可視光の復数種とし、受光素子を紙幣の搬送方向に沿って縦列に配置し、不可視光により透かし、エンボス、図柄印刷から外れたエッジ部を、可視光により印刷されたインク含量、色彩をチェックする装置が提案されている(特許文献2参照)。なお、このチェックは、予め記憶された真正データとの合成波形のレベル差をみる。
【0005】
さらに、紙幣の諸データを採取するデータ採取装置と識別/鑑定用の装置とを独立した構成とすると共に、識別/鑑定処理に係るデータ及びプログラムをホストコンピュータから配信して提供する構成とする装置が提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
また、従来、プリペイドカードの真贋判定方法に関して次の発明が提案されている。
【0007】
プリペイドカード主表面に予め印字されたプリペイドカードを特定する情報と、プリペイドカードの記憶領域にあらかじめ記憶された特定情報とを比較照合し、照合結果に基づいて、プリペイドカードが偽造カードであるか否かを判断する(特許文献4参照)。
【0008】
また、残金額のデータが記憶された磁気テープを備えたプリペイドカードに、最初の残金額に対応する複数個の2次元コードを印刷し、磁気リーダライタにより読取った残金額のデータとCCDリーダにより読取った残金額のデータとが一致しない場合に偽造カードと判断する装置が判定されている(特許文献5参照)。
【特許文献1】特開平6-301840号公報
【特許文献2】特開2000-67298号公報
【特許文献3】特開2001-195628号公報
【特許文献4】特開平4-77983号公報
【特許文献5】特開平10-63922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記第1乃至第3の特許文献に開示の発明では、いずれもカラー複写機やオフセット印刷により製造された印刷状態が粗悪な偽札に対しては有効であるが、特種用紙・凹版印刷の超精密な偽札に対して対処することが困難であり、真贋判定の信頼性が悪い。また、真贋判定方法や手順が暴露されると、偽札を真札と誤判定する危険性があり、真贋判定の信頼性が悪い。そのために真贋判定装置の管理が重要となり、客や店員が容易に真贋判定を行うことができない。
【0010】
本発明は、上記事実に鑑み成されたもので、紙幣の真贋判定の信頼性を向上することの可能な紙幣真贋判定装置及び方法、紙幣表面特徴登録装置及び方法、及び紙幣真贋判定システムを提供することを第1の目的とする。
【0011】
また、上記第4及び第5の特許文献に開示の発明では、表面に予め印字された情報(2次元コード)及びプリペイドカードの記憶領域にあらかじめ記憶された特定情報を偽造されてしまう恐れがある。
【0012】
本発明は、上記事実に鑑み成されたもので、カードが偽造されても真贋を判定することの可能なカード印刷装置及び方法、カード真贋判定装置及び方法、カード真贋判定システム、及び、カードを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明は、真贋判定対象の紙幣の予め登録された複数箇所の表面特徴を取得する取得手段と、前記紙幣の複数箇所の表面特徴と読み取る読取手段と、前記取得された複数箇所の表面特徴を前記読み取られた複数箇所の表面特徴とに基づいて、紙幣の真贋を判定する判定手段と、を備えている。
【0014】
即ち、取得手段は、真贋判定対象の紙幣の予め登録された複数箇所の表面特徴を取得する。
【0015】
ここで、取得手段による取得方法は種々可能である。
【0016】
例えば、紙幣表面登録装置から取得する。
【0017】
ここで、紙幣表面登録装置は、請求項6のように、紙幣の複数箇所の表面特徴と読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られた前記紙幣の複数箇所の表面特徴を登録する登録手段と、を備えている。なお、登録手段は、請求項7のように、前記表面特徴を暗号化した状態で登録するようにしてもよい。
【0018】
このように、紙幣表面特徴登録装置に複数箇所の表面特徴が登録されている場合には、取得手段は、請求項2のように、前記複数箇所の表面特徴の情報を、紙幣表面特徴登録装置から受信するようにしてもよい。なお、紙幣真贋判定装置が、受信した表面特徴を記憶する記憶手段を備え、上記のように受信した表面特徴を記憶手段に一旦記憶し、取得手段は、この記憶手段から表面特徴を取得するようにしてもよい。
【0019】
また、上記のように受信などをせず、紙幣の複数箇所の表面特徴を記憶した記憶手段を備え、取得手段は、該記憶手段から紙幣の予め登録された複数箇所の表面特徴を取得するようにしてもよい。
【0020】
また、請求項4のように、紙幣の複数箇所の表面特徴の情報を暗号化された状態で登録するようにしてもよい。
【0021】
読取手段は、紙幣の複数箇所の表面特徴を読み取る。
【0022】
ここで、請求項3のように、前記読取手段による前記紙幣の表面特徴を読み取る複数箇所の数は、前記紙幣の表面特徴を読み取る候補個所の数より少ない場合、前記読取手段は、前記候補個所の中からランダムに前記紙幣の表面特徴を読み取るようにしてもよい。
【0023】
また、請求項5のように、前記読取手段により読み取られる個所の面積は、前記紙幣の予め登録された表面特徴の箇所の面積より大きくするようにしてもよい。
【0024】
そして、判定手段は、前記取得された複数箇所の表面特徴と前記読み取られた複数箇所の表面特徴とに基づいて、紙幣の真贋を判定する。
【0025】
このように、真贋判定対象の紙幣の予め登録された複数箇所の表面特徴を取得する共に、前記紙幣の複数箇所の表面特徴と読み取り、取得された複数箇所の表面特徴と読み取られた複数箇所の表面特徴とに基づいて、紙幣の真贋を判定するので、判定の信頼性を向上させることができる。
【0026】
請求項8記載の発明の紙幣真贋判定装置は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の紙幣真贋判定装置と、請求項6または請求項7記載の紙幣表面特徴登録装置と、を備えている。なお、各装置は前述した発明と同様であるので、その説明を省略する。
【0027】
請求項9記載の発明は、真贋判定対象の紙幣の予め登録された複数箇所の表面特徴を取得するステップと、前記紙幣の複数箇所の表面特徴を読み取るステップと、前記取得された複数箇所の表面特徴と前記読み取られた複数箇所の表面特徴とに基づいて、紙幣の真贋を判定するステップと、を備えている。
【0028】
請求項10記載の発明は、紙幣の複数箇所の表面特徴を読み取るステップと、前記読み取られた前記紙幣の複数箇所の表面特徴を登録するステップと、を備えている。
【0029】
なお、請求項9記載の発明は前述した請求項1記載の発明と、また、請求項10記載の発明は前述した請求項6記載の発明と、同様の作用・効果を奏するので、その説明を省略する。
【0030】
請求項11記載の発明のカード印刷装置は、価値情報を記憶するカードの所定個所の表面特徴を読み取る読取手段と、前記読み取られた前記所定個所の表面特徴の情報を、前記カードの前記所定箇所以外の箇所に印刷する印刷手段と、を備えている。
【0031】
ここで、価値情報を記憶するカードには、例えば、代金情報等の情報を記憶したプリペイドカードや、預金・貯金の情報等を記憶したキャッシュカードや、クレジットカード等を含む。
【0032】
読取手段は、価値情報を記憶するカードの所定個所の表面特徴を読み取り、印刷手段は、前記読み取られた前記所定個所の表面特徴の情報を、前記カードの前記所定箇所以外の箇所に印刷する。
【0033】
ここで、前記印刷手段は、請求項12のように、前記表面特徴の情報を、前記カードの発行の際に印刷したり、請求項13のように、前記表面特徴の情報を暗号化した状態で印刷するようにしたり、してもよい。
【0034】
これにより、請求項14のように、所定個所の表面特徴の情報が、該所定箇所以外の箇所に印刷された、価値情報を記憶するカードが得られる。
【0035】
このように、価値情報を記憶するカードに、所定個所の表面特徴の情報が、該所定箇所以外の箇所に印刷されると、価値情報が不正に入手されカードが偽造されても、次のように真贋が判定されると、偽造のカードであると判定される。
【0036】
即ち、請求項15記載の発明は、価値情報を記憶するカードの所定個所と該所定箇所以外の箇所とを読み取る読取手段と、前記読取られた所定個所と該所定箇所以外の箇所の情報に基づいて、前記カードの真贋を判定する判定手段と、を備えている。
【0037】
読取手段は、価値情報を記憶するカードの所定個所と該所定箇所以外の箇所とを読み取る。なお、読取手段は、請求項16のように、前記所定箇所を読取る際は、該所定箇所を含み該所定箇所よりも大きい領域を読み取るようにしてもよい。
【0038】
そして、判定手段は、前記読取られた所定個所と該所定箇所以外の箇所の情報に基づいて、前記カードの真贋を判定する。
【0039】
このように、カードの所定個所と該所定箇所以外の箇所とを読み取り、読取られた所定個所と該所定箇所以外の箇所の情報に基づいて、前記カードの真贋を判定するので、上記のようにカードの所定個所の表面特徴の情報を、該所定箇所以外の箇所に印刷しておけば、偽造されたカードでは所定箇所と該所定箇所以外の箇所の情報が対応しないので、偽造のカードであると判定することができる。
【0040】
請求項17記載の発明のカード真贋判定システムは、請求項11乃至請求項13の何れか1項に記載のカード印刷装置と、請求項15又は請求項16記載のカード真贋判定装置と、を備えている。なお、各装置は前述した発明と同様であるので、その説明を省略する。
【0041】
請求項18記載の発明は、価値情報を記憶するカードの所定個所の表面特徴を読み取るステップと、前記読み取られた前記所定個所の表面特徴の情報を、前記カードの前記所定箇所以外の箇所に印刷するステップと、を備えている。
【0042】
請求項19記載の発明は、価値情報を記憶するカードの所定個所と該所定箇所以外の箇所を読み取るステップと、前記読取られた所定個所と該所定箇所以外の箇所の情報に基づいて、前記カードの真贋を判定するステップと、を備えている。
【0043】
なお、請求項18、19記載の発明は前述した請求項11、15記載の発明と同様であるので、その説明を省略する。
【発明の効果】
【0044】
本発明は、真贋判定対象の紙幣の予め登録された複数箇所の表面特徴を取得する共に、前記紙幣の複数箇所の表面特徴と読み取り、取得された複数箇所の表面特徴と読み取られた複数箇所の表面特徴とに基づいて、紙幣の真贋を判定するので、判定の信頼性を向上させることができる。
【0045】
また、本発明は、カードの所定個所と該所定箇所以外の箇所とを読み取り、読取られた所定個所と該所定箇所以外の箇所の情報に基づいて、前記カードの真贋を判定するので、カードの所定個所の表面特徴の情報を、該所定箇所以外の箇所に印刷しておけば、偽造されたカードでは所定箇所と該所定箇所以外の箇所の情報が対応しないので、偽造のカードであると判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施の形態を詳細に説明する。
【0047】
図1には、紙幣情報登録装置100が示されている。紙幣情報登録装置100は、紙幣の一部から紙幣特徴画像を読取る紙幣特徴画像入力部101を備えている。紙幣特徴画像入力部101は、図2に示すような紙幣200の無地な部分から紙幣を形成する繊維質材料の絡み具合のランダム性に起因する表面凹凸の変化を読取るために、例えば、紙幣の隅201または透かしが入る部分の透かし以外の領域202またはその他の無地な部分に光を照射したときの反射光を光学的に読取る。流通する過程での紙幣が劣化し、表面凹凸の変化が読取ることができなくなることに対応するために、複数の領域の特徴を読取って登録することとする。例えば、図2に示すように紙幣の隅201は1つの隅が201(1〜8)の8領域、4隅の合計で201(1〜32)の32領域から表面凹凸の変化を読取る。また、同様に、透かしが入る部分の透かし以外の領域202も202(1〜8)の8領域から表面凹凸の変化を読取ることとすると、1枚の紙幣からは合計で201(1〜32)と202(1〜8)の40領域から表面凹凸の変化を読取ることとなる。それぞれの領域は、例えば図2の下に示す201(1〜8)や202(1〜8)のようにそれぞれ番号が振られており、201(1〜32)は1番から32番、202(1〜8)は33番から40番と、番号と領域が1対1に対応している。1番から40番までの40個の領域全てを登録してもよいが、紙幣1枚に対する登録情報量が大きくなることと、照合する時に照合時間が掛かることが問題となる場合には、登録領域を選択してもよい。登録領域の選択は、偽造に対応するために、ランダムであることが望ましい。
【0048】
紙幣情報登録装置100は、登録する紙幣の特徴を読取る領域を選択する登録領域選択部106を備え、登録領域選択部106は、例えば、1番から40番までの40個の領域から7つの領域をランダムに選択する。このとき、紙幣の折れや汚れに対応するために、領域201(1〜8)、201(9〜16)、201(17〜24)、201(25〜32)、202(1〜8)の各領域から1領域を必ず選択するようにしてもよく、その場合、残りの2個は全体からランダムに選ばれるものとしてもよい。選択された登録領域の番号は秘密鍵で暗号化されてもよい。
【0049】
紙幣情報登録装置100は、読取った紙幣特徴画像の中から選択された領域の画像を紙幣固有情報に変換する紙幣固有情報変換部102を備え、紙幣固有情報変換部102は、紙幣特徴画像入力部101から出力された信号をデジタルデータに変換して出力する図示しない信号処理回路を備えており、所定の解像度(例えば400dpi)かつ所定の階調(例えば8ビットグレイスケール)のデジタルデータに変換する。変換されたデジタルデータはさらに秘密鍵で暗号化されてもよい。
【0050】
紙幣情報登録装置100は、紙幣の記番号を読取る紙幣記番号入力部103を備え、固有情報を読取った紙幣200の記番号(203および204)を光学的に読取る。
【0051】
紙幣情報登録装置100は、読取った紙幣の記番号を簡便に照合可能な情報に変換する紙幣記番号変換部104を備え、紙幣記番号変換部104は、紙幣記番号入力部101から出力された信号をデジタルデータに変換して出力する図示しない信号処理回路を備えており、紙幣200の記番号(203および204)が示す英数字列のデジタルデータに変換する。変換されたデジタルデータはさらに秘密鍵で暗号化されてもよい。
【0052】
紙幣情報登録装置100は、紙幣固有情報登録データベース105を備え、紙幣固有情報変換部102から出力された複数の領域の紙幣固有情報と、紙幣記番号変換部104から出力された紙幣記番号と、登録領域選択部106から出力された登録領域番号を関連付けて記憶する。
【0053】
紙幣特徴画像入力部101は例えば、図3(a)に示すようなフラットベッド型スキャナでもよく、フラットベッドスキャナに用いられているようなCCDラインセンサと原稿の読取り位置を走査するライン状の照明でもよい。また、図3(b)に示すようなCCDエリアセンサとCCDエリアセンサの視野に照射する照明との組み合わせでもよく、図2に示すような領域を読取る場合には201(1〜8)が撮影できるCCDエリアセンサとCCDエリアセンサの視野に照射する照明との組み合わせが5台必要となる。登録領域選択部106と紙幣固有情報変換部102は、例えば、マイクロコンピュータを含んで構成した専用の信号処理回路(図示せず)でもよく、または、図4に示すようなパーソナルコンピュータ(PC)でもよく、または、その双方がそれぞれの入出力ポートを介して接続されて構成されていてもよい。紙幣記番号入力部103及び紙幣記番号変換部104はそれぞれ紙幣特徴画像入力部101及び紙幣固有情報変換部102と同様に構成され、紙幣記番号入力部103と紙幣特徴画像入力部101、及び、紙幣記番号変換部104と紙幣固有情報変換部102はお互いを兼ねていてもよい。紙幣固有情報登録データベース105は例えば、光や磁気などで記録可能な媒体でもよく、PCの場合には入出力ポートに接続されているハードディスクドライブ(HDD)でもよい。
【0054】
次に、紙幣の固有情報の登録を説明する。
【0055】
図1に示す紙幣情報登録装置100の具体的装置である、紙幣の固有情報と記番号を読取り、データベースに登録する登録装置300(図5参照)は、紙幣200を図の右側から左側に送る駆動ローラ301a、301b、紙幣200の送りをガイドするガイドローラ302a、302b、紙幣200の表面をライン状に照射するライン光源303、紙幣200の表面状態の濃淡を電気信号に変換するCCDラインセンサ305、及び、ライン光源303により照射された紙幣200の表面状態の画像をCCDラインセンサ305上に結像させる結像レンズ304を備えている。
【0056】
本登録装置300は、例えば、紙幣の製造工程における裁断されたお札を検査する工程の直前、または、工程中に、紙幣200の移動に伴って刻々と表面状態を読取っていき、CCDラインセンサ305から入力されるライン画像が入力される画像処理回路(図示せず)によってデジタル化され、バスを介してPC(図示せず)に入力されて、予めPCに記憶されている紙幣固有情報登録プログラムに従って紙幣の固有情報と記番号を登録する。
【0057】
すなわち、紙幣200が自動送り装置(図示せず)とそのガイド(図示せず)に沿って登録装置300に挿入されると、駆動ローラ301bとガイドローラ302b及びガイド(図示せず)によって図5の右側から左側に一定の速度で送られる。CCDラインセンサ305及び画像処理回路(図示せず)は刻々と画像をPC(図示せず)に送る。PCでは紙幣200の201(1〜8)、201(9〜16)、201(17〜24)、201(25〜32)、202(1〜8)の各領域からランダムに1領域ずつを選択し、さらに、全体の領域からランダムに2領域を選択した合計7領域を選択する。さらに、PCでは記番号を切り出して処理する。これにより、紙幣200の7領域の表面状態、例えば、400dpiの場合32×32dotで約2mm×約2mmが、所定の解像度(400dpi)かつ所定の階調(8ビットグレイスケール)で読取られ、得られた画像データが秘密鍵で暗号化されて、PCの記憶装置(例えばHDD)に記憶される。読取解像度が400dpi、読取りの階調を8ビットグレイスケール、読取対象の領域を32×32dotとしているので、1つの領域のデータサイズは1024バイトとなり、個々の画素(ドット)の階調値(明度値)は0〜255の範囲内の整数値となる。上記の読取りによって得られたデータが表す画像を可視化(目視が容易なようにコントラスト補正)した画像の一例を図6に示す。また、紙幣200の201(1〜8)、201(9〜16)、201(17〜24)、201(25〜32)、202(1〜8)の領域の大きさは、約5mm×約5mmであり、読取る表面状態は領域のほぼ中心部分からの約2mm×約2mmであるとする。同時に、紙幣200の記番号がOCR(Optical Character Reader)などによってデジタルコードに変換され、選択された登録領域の番号と共に、表1に示すようなデータベースとして紙幣の固有情報(データファイル)と関連付けられてPCの記憶装置(例えばHDD)に記憶される。
【0058】
【表1】
【0059】
データベースには記番号と固有情報の他に、ランダムに選択された領域の番号も付加されており、照合する時に実際の紙幣から読取る領域を指示することができる。これら、記番号とランダムに選択された領域の番号も秘密鍵で暗号化されていてもよい。さらに、データベースには、紙幣の種類、製造日などの情報を付加してもよい。登録したデータベースを紙幣真贋判定装置の基準データとして用いるために、PCがインターネットに接続されている場合は、インターネットに接続されている紙幣固有情報管理用のサーバにデータを転送してもよい。また、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-R、DVD-R、リムーバブルHDDなどのように、光や磁気でデジタル情報を記録する媒体にデータを記録し、その媒体を介して紙幣真贋判定装置の基準データとして用いてもよい。また、その媒体を介して、別途、インターネットに接続されているPCから紙幣固有情報管理用のサーバにデータを転送してもよい。
【0060】
また、例えば、紙幣の製造工程における記号と番号を印刷する工程の直後、または、工程中に紙幣の固有情報を読取り、データベースに登録するのであれば、紙幣の記番号は印刷するデジタルデータを直接渡してもらうことにより、記番号の切り出しとOCRなどの処理を省くことができる。
【0061】
本実施の形態では、移動している紙幣上の画像データを取り込むためにCCDラインセンサを用いたが、紙幣の移動速度、結像レンズの明るさ、シャッタースピードによってはエリアセンサ(CCD、CMOSなど)を用いてもよく、また、紙幣が静止した状態で画像データを取り込んでもよく、その場合、結像レンズの明るさやシャッタースピードの条件が緩和される。
【0062】
続いて、紙幣の真贋判定について説明する。
【0063】
図7は紙幣の真贋判定装置400を示している。真贋判定装置400は、それぞれ図1の入力部101、変換部102と同じ構成の紙幣特徴画像入力部401及び紙幣固有情報変換部402、及び、図1の紙幣固有情報登録データベース105と同じ又は複製された紙幣固有情報登録データベース405を備えている。
【0064】
入力部401は、紙幣情報登録装置100で読取った紙幣200の登録領域選択部106で選択された一つ一つの領域に対し、登録領域を含み、かつ、その領域よりも広い領域(例えば、400dpiの場合64×64dotで約4mm×約4mmの第ニの領域)の特徴を読取る。紙幣固有情報登録データベース405から、登録に使用された紙幣の領域の情報を登録領域選択部410に取り込み、登録領域選択部410に登録された複数の領域の特徴をデジタルデータに変換する。選択されたデータは、例えば、紙幣200の201(1〜8)、201(9〜16)、201(17〜24)、201(25〜32)、202(1〜8)の各領域からの1領域と、全体の領域からの2領域の合計7領域である。領域の大きさは、約5mm×約5mmであるので、読取る表面状態は領域のほぼ中心部分からの約4mm×約4mmであるとする。第1の記憶部403は、変換したデジタルデータを一時的に保存、例では、7つの領域におけるそれぞれの照合データが記録されている。
【0065】
真贋判定装置400は、紙幣の記番号を読取る紙幣記番号入力部404を備え、固有情報を読取った紙幣200の記番号(203および204)を光学的に読取るか、他の手段で入力する。真贋判定装置400は、紙幣記番号入力部404から入力された記番号に関連付けて記憶されていた複数の紙幣固有情報を紙幣固有情報登録データベース405から検索し、紙幣固有情報変換部102で暗号化に使用された秘密鍵と対になっている公開鍵で復号化する紙幣固有情報変換部406と、復号化した紙幣固有情報を一時的に保存しておく第ニの記憶部407と、を備えている。第二の記憶部407には、登録領域選択部106で選択された7つの領域におけるそれぞれの登録データが記録されている。
【0066】
真贋判定装置400は、画像照合部408を備え、第一の記憶部403に記憶されている7つの紙幣固有情報の画像と、対応する第二の記憶部407に記憶されている紙幣固有情報登録データベース405に登録されていた7つの紙幣固有情報の画像を一つ一つ比較照合していく。また、真贋判定装置400は、真贋判定部409を備え、第一の記憶部403に記憶されている紙幣固有情報の画像の中に、第二の記憶部407に記憶されている対応する紙幣固有情報の画像が含まれているかどうかを、7つの領域について一つ一つ判定する。例えば、7つの領域のうち、4つの領域について第一の記憶部403に記憶されている紙幣固有情報の画像の中に、第二の記憶部407に記憶されている対応する紙幣固有情報の画像が含まれていれば、国が発行した真の紙幣であるとする。また、例えば、7つの領域のうち、3つの領域についてしか第一の記憶部403に記憶されている紙幣固有情報の画像の中に、第二の記憶部407に記憶されている対応する紙幣固有情報の画像が含まれていなければ贋の紙幣の可能性があると判定する。真贋判定装置400は、図1で説明した紙幣情報登録装置と同様の機器で構成されており、紙幣固有情報の変換、画像の照合、真贋の判定は、例えば、PCに予め記憶させておいたプログラムによって行う。
【0067】
次に、紙幣の真贋判定をより具体的に説明する。
【0068】
例えば、銀行など紙幣を扱う機関において、フラットベッド型スキャナ(図3のa)やCCDエリアセンサの機能を持った光学的な画像読取装置と光学的画像読取装置に接続されているパーソナルコンピュータ(PC)(図4)が設置されており、予めPCに記憶されている紙幣真贋判定プログラムに従って紙幣の真贋判定を行う。まず、光学的画像読取装置の光学的画像読取部分に紙幣を乗せて、紙幣真贋判定プログラムが起動されているPCのディスプレイの指示に従って紙幣真贋判定開始命令をPCに出力する(例えば、ディスプレイ上に現れている紙幣真贋判定開始ボタンをマウスでクリックする)。これにより、登録された紙幣の固有情報領域候補の表面状態が、所定の解像度(400dpi)かつ所定の階調(8ビットグレイスケール)で読取られ、得られた画像データがスキャナからPCに転送され、PCの記憶装置(例えばHDD)に記憶される。紙幣の固有情報一つにつき、読取解像度が400dpi、読取りの階調を8ビットグレイスケール、読取対象の基準領域を64×64dot(約4mm×約4mm)としているので、画像データのサイズは2048バイトとなり、個々の画素(ドット)の階調値(明度値)は0〜255の範囲内の整数値となる。例えば、紙幣の固有情報領域候補として40の画像データがあるとする。それと同時に、紙幣の記番号が読取られ、OCRなどによってデジタルコードに変換される。
【0069】
次に、PCとインターネットを介して接続されている紙幣固有情報管理用のサーバへ記番号を転送し、記番号と関連付けられている紙幣の固有情報画像データと選択された領域データ(例えば、紙幣200の201(1〜8)、201(9〜16)、201(17〜24)、201(25〜32)、202(1〜8)の各領域からの1領域と、全体の領域からの2領域の合計7領域)をPCに取り込み、公開鍵によって復号化する。復号化された、例えば7つの紙幣の固有情報画像データ(1つにつき400dpiの場合32×32dotで約2mm×約2mmの第一の特徴)と、対応する先に記憶した紙幣固有情報画像データの中での選択された7つ領域データ(1つにつき400dpiの場合64×64dotで約4mm×約4mmの第ニの特徴)とを一つ一つ比較し、例えば、7つの領域のうち、4つ以上の領域について第ニの特徴領域の中に、第一の特徴が含まれているかどうかを照合する。照合には相関値の最大値と相関最大値のノーマライズド・スコアで判定する手法を用いる。
【0070】
本実施の形態では、光学的画像読取装置への紙幣の設置について述べていないが、手動で設置してもよく、また、自動原稿送り装置にて自動的に設置してもよい。また、紙幣の真贋判定装置のコストを考慮して、市販のPCと光学的画像読取装置で説明したが、真贋判定速度を上げるために、紙幣自動送り、紙幣表面状態読取り、真贋判定用に、特別なハードウェアを用意してもよい。特に、2次元CCDカメラのような光学的画像読取装置の場合は、図2の4隅と中心部分のように紙幣全体ではなく部分的に読取れるような位置にカメラを設置してもよい。また、紙幣の記番号を自動で読取る構成としたが、例えば、PCに接続されているキーボードなどの外部入力装置にて手動入力すると、効率は落ちるが紙幣の真贋判定装置のコストはさらに下がる。また、PCとインターネットを介して接続されている紙幣固有情報管理用のサーバから記番号と関連付けられている紙幣の固有情報画像データをPCに取り込む構成としたが、銀行など紙幣を扱う機関に配布されたDVDなどの媒体から紙幣の固有情報画像データを取り込んでもよい。その場合、新しい紙幣が製造されるたびに、新しいデータベースが配布されることとする。さらに、古くなった紙幣が市場から回収されたときにはデータベースから回収された紙幣のデータを削除することも必要である。
【0071】
紙幣表面のランダムな特徴を偽造することはほぼ不可能であり、超精密な偽札に対しても対処することが可能である。また、紙幣製造時に登録されたデータの管理さえしておけば、真贋判定方法を一般に公開してもよい。さらに、特殊な装置を必要とせず、お客や店員が容易に真贋判定を行うことができる。さらに、紙幣が折れたり汚れたりした場合においても照合が可能となると共に、特徴を切り取って偽造紙幣を作ることにも対処可能となる。
【0072】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。なお、本願発明者等は、価値情報を記憶したカード、例えば、ハイウェイカードやパスネットカードに代表される、裏面が灰色のプリペイドカードにおける感熱記録面に、個々のカード固有の特徴(製造時に制御できないランダムな凹凸)が分布しており、この特徴は読取り可能で真贋判定に利用可能であることを実験で確認している。
【0073】
図8は偽造防止プリペイドカード生成装置1100を、図9は偽造防止プリペイドカード生成装置1100により生成された偽造防止プリペイドカード1110を示す。偽造防止プリペイドカード生成装置1100は偽造防止プリペイドカードの第一の領域における感熱記録面を形成するランダムな凹凸を読取る画像入力部1101を備え、プリペイドカードに光を照射したときの反射光を光学的に読取る。偽造防止プリペイドカード生成装置1100は読取った画像情報を固有情報に変換する画像変換部1102を備え、画像入力部1101からの信号をデジタルデータに変換して出力する信号処理回路を備えており、所定の解像度(例えば400dpi)かつ所定の階調(例えば8ビットグレイスケール)のデジタルデータに変換する。変換されたデジタルデータはさらに秘密鍵で暗号化されてもよい。偽造防止プリペイドカード生成装置1100は、固有情報を2次元コード(QRコードなど)または濃度パッチなどのコードに符号化する画像符号化部1103と、符号を印刷する符号化画像印刷部である1104と、を備えている。
【0074】
画像入力部1101は、例えば、CCDラインセンサとプリペイドカードの第一の領域を走査するライン状の照明でもよく、また、CCDエリアセンサとCCDエリアセンサの視野に照射する照明との組み合わせでもよい。画像変換部1102、画像符号化部1103は例えば、マイクロコンピュータを含んで構成した専用の信号処理回路でもよく、または、パーソナルコンピュータ(PC)でもよく、または、その双方がそれぞれの入出力ポートを介して接続されて構成されていてもよい。符号化画像印刷部1104はプリントヘッドとその制御装置から構成されている。
【0075】
次に、プリペイドカードの固有情報の登録について説明する。
【0076】
例えば、プリペイドカード販売(発行)時に、販売装置の中に設置されている図11に示すような登録装置1300によってプリペイドカードの固有情報を読取り、読取ったプリペイドカードの固有情報を符号化し、符号化されたプリペイドカードの固有情報をプリペイドカードの表面に記録する。
【0077】
図11は登録装置1300の側面図であり、登録装置1300は、プリペイドカード1110を図の右側から左側に送る駆動ローラ1301a、1301b、プリペイドカード1110の送りをガイドするガイドローラ1302a、1302b、プリペイドカード1110表面をライン状に照射するライン光源1303、ライン光源1303が照射されたプリペイドカード1110の表面状態の画像をCCDラインセンサ1305上に結像させる結像レンズ1304、及びプリペイドカード1110の表面状態の濃淡を電気信号に変換するCCDラインセンサ1035を備え、プリペイドカード1110の移動に伴って刻々と表面状態を読取っていき、CCDラインセンサ1305から入力されるライン画像が入力される画像処理回路(図示せず)によってデジタル化され、バスを介してコンピュータ(図示せず)に入力されて、予めコンピュータに記憶されているプログラムに従って符号化され、符号化されたコードをプリントヘッド1306によってプリペイドカードの表面に印刷される。
【0078】
すなわち、プリペイドカード1110が自動送り装置(図示せず)とそのガイド(図示せず)に沿って登録装置1300に挿入されると、駆動ローラ1301bとガイドローラ1302b及びガイド(図示せず)によって図11の右側から左側に一定の速度で送られる。CCDラインセンサ1305及び画像処理回路(図示せず)は刻々と画像をコンピュータ(図示せず)に送り、コンピュータでは予め定めてあるプリペイドカード1110の領域の固有情報を切り出して処理する。これにより、プリペイドカード1110の無地のある領域、例えば、図9に示す第一の領域1120(400dpiの場合32×32dotで約2mm×約2mm)の表面の状態が、所定の解像度(400dpi)かつ所定の階調(8ビットグレイスケール)で読取られる。読取解像度が400dpi、読取りの階調を8ビットグレイスケール、読取対象の領域を32×32dotとしているので、データのサイズは1024バイトとなり、個々の画素(ドット)の階調値(明度値)は0〜255の範囲内の整数値となる。上記の読取りによって得られたデータが表す画像を可視化(目視が容易なようにコントラスト補正)した画像の一例を図5に示す。得られた画像データは、圧縮などの処理を経て、秘密鍵で暗号化され、例えば、図12にあるような符号化画像1140に変換される。変換された符号化画像は、例えはプリペイドカードの使用状況などが印字される感熱面に、感熱プリントヘッド1306によって印刷される。印刷される符号化画像1140はプリペイドカードの固有情報を読取った第一の領域1120とは別の領域であることが望ましい。また、第一の領域とは反対の面に印刷されてもよく、また、印刷領域の状態に合わせた印刷方式のプリントヘッドであることは言うまでもない。
【0079】
本実施の形態では、移動しているプリペイドカード上の画像データを取り込むためにCCDラインセンサを用いたが、プリペイドカードの移動速度、結像レンズの明るさ、シャッタースピードによってはエリアセンサ(CCD、CMOSなど)を用いてもよく、また、プリペイドカードが静止した状態で画像データを取り込んでもよく、その場合、結像レンズの明るさやシャッタースピードの条件が緩和される。
【0080】
図10に示すプリペイドカードの真贋判定装置1200は、偽造防止プリペイドカードの符号化画像を読取る符号画像入力部1201、秘密鍵によって暗号化された場合は、対となる公開鍵によって固有情報(所定の解像度かつ所定の階調のデジタルデータ)に複合化画像複合化部1202、第一の記憶部1203、造防止プリペイドカードの第ニの領域(第一の領域を含み、かつ、第一の領域よりも広い)における感熱記録面を形成するランダムな凹凸を読取る第二の領域画像入力部1204、固有情報(所定の解像度かつ所定の階調のデジタルデータ)に変換する画像変換部1205、第ニの記憶部1206、第一の記憶手段1203に記憶された固有情報と第二の記憶手段1206に記憶された第二の領域の中で第一の領域と同じ大きさの領域の固有情報を移動しながら比較照合する画像照合部1207、第二の領域中に第一の領域と相関の高い該個体の固有情報が存在するかどうかを判断して真贋判定する真贋判定部1208を備えている。入力部1201、1204は例えばCCDラインセンサとプリペイドカードの第ニの領域を走査するライン状の照明でもよく、また、CCDエリアセンサとCCDエリアセンサの視野に照射する照明との組み合わせでもよい。後の処理は、マイクロコンピュータを含んで構成した専用の信号処理回路でもよく、または、パーソナルコンピュータ(PC)でもよく、または、その双方がそれぞれの入出力ポートを介して接続されて構成されている装置で行ってもよい。
【0081】
次に、プリペイドカードの真贋判定をより具体的に説明する。
【0082】
例えば、遊技場、高速道路の料金所、小売店のレジなどプリペイドカードを扱う機関において、フラットベッド型スキャナ(図3)とフラットベッド型スキャナに接続されているPC(図4)、(または、同様の機能を持った専用機器など)が設置されており、予めPCに記憶されているプリペイドカード真贋判定プログラムに従ってプリペイドカードの真贋判定を行う。まず、フラットベッド型スキャナに紙幣を乗せて、プリペイドカード真贋判定プログラムが起動されているPCのディスプレイの指示に従ってプリペイドカード真贋判定開始命令をPCに出力する(例えば、ディスプレイ上に現れているプリペイドカード真贋判定開始ボタンをマウスでクリックする)。これにより、プリペイドカードの固有情報が登録されたと思われる領域(400dpiの場合64×64dotで約4mm×約4mm)の表面の状態が、所定の解像度(400dpi)かつ所定の階調(8ビットグレイスケール)で読取られ、得られた画像データがスキャナからPCに転送され、PCの記憶装置(例えばHDD)に記憶される。読取解像度が400dpi、読取りの階調を8ビットグレイスケール、読取対象の基準領域を64×64dotとしているので、画像データのサイズは4096バイトとなり、個々の画素(ドット)の階調値(明度値)は0〜255の範囲内の整数値となる。それと同時に、プリペイドカードに印刷されてある符号化画像を読取り、秘密鍵によって暗号化された場合は、対となる公開鍵によって復号化される。復号化されたプリペイドカードの固有情報画像データ(400dpiの場合32×32dotで約2mm×約2mmの第一の特徴)と、先に記憶したプリペイドカード固有情報画像データ(400dpiの場合64×64dotで約4mm×約4mmの第ニの特徴)と比較し、第ニの特徴領域の中に、第一の特徴が含まれているかどうかを照合する。照合には、第1の実施の形態と同様に相関値の最大値と相関最大値のノーマライズド・スコアで判定する手法を用いる。
【0083】
本実施の形態では、フラットベッド型スキャナへのプリペイドカードの設置について述べていないが、手動で設置してもよく、また、自動送り装置にて自動的に設置してもよい。また、プリペイドカードの真贋判定装置のコストを考慮して、市販のPCとPC用フラットベッドスキャナで説明したが、真贋判定速度を上げるために、プリペイドカード自動送り、プリペイドカード表面状態読取り、真贋判定用に、特別なハードウェアを用意してもよく、その場合は、CCDラインセンサに限らずに、エリアセンサを備えたデジタルカメラでプリペイドカード表面状態を読取ってもよい。また、プリペイドカードの磁気記録を読取る装置と一体化してもよく、プリペイドカードが真正であると判断されたときにのみ、磁気記録情報を有効にしてもよい。
【0084】
プリペイドカード表面のランダムな特徴を偽造することはほぼ不可能であるため、本発明によるプリペイドカード偽造対策は強固である。また、サーバなどに情報を記憶させておく必要がないために通信にかかわる時間、コストを削減することができ、さらに、特殊な装置を必要とせず、安価な装置で、短時間で真贋判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】紙幣情報登録装置のブロック図である。
【図2】紙幣における読取の対象の領域を示した図である。
【図3】紙幣特徴画像入力部の具体例を示した図である。
【図4】紙幣特徴画像入力部の他の具体例を示した図である。
【図5】登録装置のブロック図である。
【図6】紙幣の所定領域の読取りによって得られたデータが表す画像を可視化した画像の一例を示す図である。
【図7】真贋判定装置のブロック図である。
【図8】偽造防止プリペイドカード生成装置のブロック図である。
【図9】偽造防止プリペイドカードを示す図である。
【図10】プリペイドカードの真贋判定装置のブロック図である。
【図11】登録装置のブロック図である。
【図12】プリペイドカードの読取りによって得られたデータが表す画像
【符号の説明】
【0086】
100 紙幣情報登録装置(紙幣表面特徴登録装置)
300 登録装置(紙幣表面特徴登録装置)
400 真贋判定装置(紙幣真贋判定装置)
1100 偽造防止プリペイドカード生成装置(カード印刷装置)
1110 偽造防止プリペイドカード(カード)
1200 プリペイドカードの真贋判定装置(カード真贋判定装置)
1300 登録装置(カード印刷装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣やカードの真贋を判定する紙幣真贋判定装置及び方法、紙幣表面特徴登録装置及び方法、紙幣真贋判定システム、カード印刷装置及び方法、カード真贋判定装置及び方法、カード真贋判定システム、及び、カードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣の真贋判定方法に関して、種々の発明が提案されている。
【0003】
紙幣の検出ラインに沿って微小スポット光を照射し、反射微小スポット光を受光部で受光し、受光部に於ける受光位置の変位により、検出ライン上の微小盛り上がりの有無を順次検出し、検出された微小盛り上がりの全並びパターンを真正紙幣のそれと比較し、全並びパターンの内のいずれかの部分で10mm以上連続して真正紙幣に於ける対応部分のそれと一致していれば、対象紙幣を真正と判定し、それ以外は非真正と判定する装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、搬送される紙幣に照射する光を可視光及び不可視光の復数種とし、受光素子を紙幣の搬送方向に沿って縦列に配置し、不可視光により透かし、エンボス、図柄印刷から外れたエッジ部を、可視光により印刷されたインク含量、色彩をチェックする装置が提案されている(特許文献2参照)。なお、このチェックは、予め記憶された真正データとの合成波形のレベル差をみる。
【0005】
さらに、紙幣の諸データを採取するデータ採取装置と識別/鑑定用の装置とを独立した構成とすると共に、識別/鑑定処理に係るデータ及びプログラムをホストコンピュータから配信して提供する構成とする装置が提案されている(特許文献3参照)。
【0006】
また、従来、プリペイドカードの真贋判定方法に関して次の発明が提案されている。
【0007】
プリペイドカード主表面に予め印字されたプリペイドカードを特定する情報と、プリペイドカードの記憶領域にあらかじめ記憶された特定情報とを比較照合し、照合結果に基づいて、プリペイドカードが偽造カードであるか否かを判断する(特許文献4参照)。
【0008】
また、残金額のデータが記憶された磁気テープを備えたプリペイドカードに、最初の残金額に対応する複数個の2次元コードを印刷し、磁気リーダライタにより読取った残金額のデータとCCDリーダにより読取った残金額のデータとが一致しない場合に偽造カードと判断する装置が判定されている(特許文献5参照)。
【特許文献1】特開平6-301840号公報
【特許文献2】特開2000-67298号公報
【特許文献3】特開2001-195628号公報
【特許文献4】特開平4-77983号公報
【特許文献5】特開平10-63922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記第1乃至第3の特許文献に開示の発明では、いずれもカラー複写機やオフセット印刷により製造された印刷状態が粗悪な偽札に対しては有効であるが、特種用紙・凹版印刷の超精密な偽札に対して対処することが困難であり、真贋判定の信頼性が悪い。また、真贋判定方法や手順が暴露されると、偽札を真札と誤判定する危険性があり、真贋判定の信頼性が悪い。そのために真贋判定装置の管理が重要となり、客や店員が容易に真贋判定を行うことができない。
【0010】
本発明は、上記事実に鑑み成されたもので、紙幣の真贋判定の信頼性を向上することの可能な紙幣真贋判定装置及び方法、紙幣表面特徴登録装置及び方法、及び紙幣真贋判定システムを提供することを第1の目的とする。
【0011】
また、上記第4及び第5の特許文献に開示の発明では、表面に予め印字された情報(2次元コード)及びプリペイドカードの記憶領域にあらかじめ記憶された特定情報を偽造されてしまう恐れがある。
【0012】
本発明は、上記事実に鑑み成されたもので、カードが偽造されても真贋を判定することの可能なカード印刷装置及び方法、カード真贋判定装置及び方法、カード真贋判定システム、及び、カードを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明は、真贋判定対象の紙幣の予め登録された複数箇所の表面特徴を取得する取得手段と、前記紙幣の複数箇所の表面特徴と読み取る読取手段と、前記取得された複数箇所の表面特徴を前記読み取られた複数箇所の表面特徴とに基づいて、紙幣の真贋を判定する判定手段と、を備えている。
【0014】
即ち、取得手段は、真贋判定対象の紙幣の予め登録された複数箇所の表面特徴を取得する。
【0015】
ここで、取得手段による取得方法は種々可能である。
【0016】
例えば、紙幣表面登録装置から取得する。
【0017】
ここで、紙幣表面登録装置は、請求項6のように、紙幣の複数箇所の表面特徴と読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られた前記紙幣の複数箇所の表面特徴を登録する登録手段と、を備えている。なお、登録手段は、請求項7のように、前記表面特徴を暗号化した状態で登録するようにしてもよい。
【0018】
このように、紙幣表面特徴登録装置に複数箇所の表面特徴が登録されている場合には、取得手段は、請求項2のように、前記複数箇所の表面特徴の情報を、紙幣表面特徴登録装置から受信するようにしてもよい。なお、紙幣真贋判定装置が、受信した表面特徴を記憶する記憶手段を備え、上記のように受信した表面特徴を記憶手段に一旦記憶し、取得手段は、この記憶手段から表面特徴を取得するようにしてもよい。
【0019】
また、上記のように受信などをせず、紙幣の複数箇所の表面特徴を記憶した記憶手段を備え、取得手段は、該記憶手段から紙幣の予め登録された複数箇所の表面特徴を取得するようにしてもよい。
【0020】
また、請求項4のように、紙幣の複数箇所の表面特徴の情報を暗号化された状態で登録するようにしてもよい。
【0021】
読取手段は、紙幣の複数箇所の表面特徴を読み取る。
【0022】
ここで、請求項3のように、前記読取手段による前記紙幣の表面特徴を読み取る複数箇所の数は、前記紙幣の表面特徴を読み取る候補個所の数より少ない場合、前記読取手段は、前記候補個所の中からランダムに前記紙幣の表面特徴を読み取るようにしてもよい。
【0023】
また、請求項5のように、前記読取手段により読み取られる個所の面積は、前記紙幣の予め登録された表面特徴の箇所の面積より大きくするようにしてもよい。
【0024】
そして、判定手段は、前記取得された複数箇所の表面特徴と前記読み取られた複数箇所の表面特徴とに基づいて、紙幣の真贋を判定する。
【0025】
このように、真贋判定対象の紙幣の予め登録された複数箇所の表面特徴を取得する共に、前記紙幣の複数箇所の表面特徴と読み取り、取得された複数箇所の表面特徴と読み取られた複数箇所の表面特徴とに基づいて、紙幣の真贋を判定するので、判定の信頼性を向上させることができる。
【0026】
請求項8記載の発明の紙幣真贋判定装置は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の紙幣真贋判定装置と、請求項6または請求項7記載の紙幣表面特徴登録装置と、を備えている。なお、各装置は前述した発明と同様であるので、その説明を省略する。
【0027】
請求項9記載の発明は、真贋判定対象の紙幣の予め登録された複数箇所の表面特徴を取得するステップと、前記紙幣の複数箇所の表面特徴を読み取るステップと、前記取得された複数箇所の表面特徴と前記読み取られた複数箇所の表面特徴とに基づいて、紙幣の真贋を判定するステップと、を備えている。
【0028】
請求項10記載の発明は、紙幣の複数箇所の表面特徴を読み取るステップと、前記読み取られた前記紙幣の複数箇所の表面特徴を登録するステップと、を備えている。
【0029】
なお、請求項9記載の発明は前述した請求項1記載の発明と、また、請求項10記載の発明は前述した請求項6記載の発明と、同様の作用・効果を奏するので、その説明を省略する。
【0030】
請求項11記載の発明のカード印刷装置は、価値情報を記憶するカードの所定個所の表面特徴を読み取る読取手段と、前記読み取られた前記所定個所の表面特徴の情報を、前記カードの前記所定箇所以外の箇所に印刷する印刷手段と、を備えている。
【0031】
ここで、価値情報を記憶するカードには、例えば、代金情報等の情報を記憶したプリペイドカードや、預金・貯金の情報等を記憶したキャッシュカードや、クレジットカード等を含む。
【0032】
読取手段は、価値情報を記憶するカードの所定個所の表面特徴を読み取り、印刷手段は、前記読み取られた前記所定個所の表面特徴の情報を、前記カードの前記所定箇所以外の箇所に印刷する。
【0033】
ここで、前記印刷手段は、請求項12のように、前記表面特徴の情報を、前記カードの発行の際に印刷したり、請求項13のように、前記表面特徴の情報を暗号化した状態で印刷するようにしたり、してもよい。
【0034】
これにより、請求項14のように、所定個所の表面特徴の情報が、該所定箇所以外の箇所に印刷された、価値情報を記憶するカードが得られる。
【0035】
このように、価値情報を記憶するカードに、所定個所の表面特徴の情報が、該所定箇所以外の箇所に印刷されると、価値情報が不正に入手されカードが偽造されても、次のように真贋が判定されると、偽造のカードであると判定される。
【0036】
即ち、請求項15記載の発明は、価値情報を記憶するカードの所定個所と該所定箇所以外の箇所とを読み取る読取手段と、前記読取られた所定個所と該所定箇所以外の箇所の情報に基づいて、前記カードの真贋を判定する判定手段と、を備えている。
【0037】
読取手段は、価値情報を記憶するカードの所定個所と該所定箇所以外の箇所とを読み取る。なお、読取手段は、請求項16のように、前記所定箇所を読取る際は、該所定箇所を含み該所定箇所よりも大きい領域を読み取るようにしてもよい。
【0038】
そして、判定手段は、前記読取られた所定個所と該所定箇所以外の箇所の情報に基づいて、前記カードの真贋を判定する。
【0039】
このように、カードの所定個所と該所定箇所以外の箇所とを読み取り、読取られた所定個所と該所定箇所以外の箇所の情報に基づいて、前記カードの真贋を判定するので、上記のようにカードの所定個所の表面特徴の情報を、該所定箇所以外の箇所に印刷しておけば、偽造されたカードでは所定箇所と該所定箇所以外の箇所の情報が対応しないので、偽造のカードであると判定することができる。
【0040】
請求項17記載の発明のカード真贋判定システムは、請求項11乃至請求項13の何れか1項に記載のカード印刷装置と、請求項15又は請求項16記載のカード真贋判定装置と、を備えている。なお、各装置は前述した発明と同様であるので、その説明を省略する。
【0041】
請求項18記載の発明は、価値情報を記憶するカードの所定個所の表面特徴を読み取るステップと、前記読み取られた前記所定個所の表面特徴の情報を、前記カードの前記所定箇所以外の箇所に印刷するステップと、を備えている。
【0042】
請求項19記載の発明は、価値情報を記憶するカードの所定個所と該所定箇所以外の箇所を読み取るステップと、前記読取られた所定個所と該所定箇所以外の箇所の情報に基づいて、前記カードの真贋を判定するステップと、を備えている。
【0043】
なお、請求項18、19記載の発明は前述した請求項11、15記載の発明と同様であるので、その説明を省略する。
【発明の効果】
【0044】
本発明は、真贋判定対象の紙幣の予め登録された複数箇所の表面特徴を取得する共に、前記紙幣の複数箇所の表面特徴と読み取り、取得された複数箇所の表面特徴と読み取られた複数箇所の表面特徴とに基づいて、紙幣の真贋を判定するので、判定の信頼性を向上させることができる。
【0045】
また、本発明は、カードの所定個所と該所定箇所以外の箇所とを読み取り、読取られた所定個所と該所定箇所以外の箇所の情報に基づいて、前記カードの真贋を判定するので、カードの所定個所の表面特徴の情報を、該所定箇所以外の箇所に印刷しておけば、偽造されたカードでは所定箇所と該所定箇所以外の箇所の情報が対応しないので、偽造のカードであると判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施の形態を詳細に説明する。
【0047】
図1には、紙幣情報登録装置100が示されている。紙幣情報登録装置100は、紙幣の一部から紙幣特徴画像を読取る紙幣特徴画像入力部101を備えている。紙幣特徴画像入力部101は、図2に示すような紙幣200の無地な部分から紙幣を形成する繊維質材料の絡み具合のランダム性に起因する表面凹凸の変化を読取るために、例えば、紙幣の隅201または透かしが入る部分の透かし以外の領域202またはその他の無地な部分に光を照射したときの反射光を光学的に読取る。流通する過程での紙幣が劣化し、表面凹凸の変化が読取ることができなくなることに対応するために、複数の領域の特徴を読取って登録することとする。例えば、図2に示すように紙幣の隅201は1つの隅が201(1〜8)の8領域、4隅の合計で201(1〜32)の32領域から表面凹凸の変化を読取る。また、同様に、透かしが入る部分の透かし以外の領域202も202(1〜8)の8領域から表面凹凸の変化を読取ることとすると、1枚の紙幣からは合計で201(1〜32)と202(1〜8)の40領域から表面凹凸の変化を読取ることとなる。それぞれの領域は、例えば図2の下に示す201(1〜8)や202(1〜8)のようにそれぞれ番号が振られており、201(1〜32)は1番から32番、202(1〜8)は33番から40番と、番号と領域が1対1に対応している。1番から40番までの40個の領域全てを登録してもよいが、紙幣1枚に対する登録情報量が大きくなることと、照合する時に照合時間が掛かることが問題となる場合には、登録領域を選択してもよい。登録領域の選択は、偽造に対応するために、ランダムであることが望ましい。
【0048】
紙幣情報登録装置100は、登録する紙幣の特徴を読取る領域を選択する登録領域選択部106を備え、登録領域選択部106は、例えば、1番から40番までの40個の領域から7つの領域をランダムに選択する。このとき、紙幣の折れや汚れに対応するために、領域201(1〜8)、201(9〜16)、201(17〜24)、201(25〜32)、202(1〜8)の各領域から1領域を必ず選択するようにしてもよく、その場合、残りの2個は全体からランダムに選ばれるものとしてもよい。選択された登録領域の番号は秘密鍵で暗号化されてもよい。
【0049】
紙幣情報登録装置100は、読取った紙幣特徴画像の中から選択された領域の画像を紙幣固有情報に変換する紙幣固有情報変換部102を備え、紙幣固有情報変換部102は、紙幣特徴画像入力部101から出力された信号をデジタルデータに変換して出力する図示しない信号処理回路を備えており、所定の解像度(例えば400dpi)かつ所定の階調(例えば8ビットグレイスケール)のデジタルデータに変換する。変換されたデジタルデータはさらに秘密鍵で暗号化されてもよい。
【0050】
紙幣情報登録装置100は、紙幣の記番号を読取る紙幣記番号入力部103を備え、固有情報を読取った紙幣200の記番号(203および204)を光学的に読取る。
【0051】
紙幣情報登録装置100は、読取った紙幣の記番号を簡便に照合可能な情報に変換する紙幣記番号変換部104を備え、紙幣記番号変換部104は、紙幣記番号入力部101から出力された信号をデジタルデータに変換して出力する図示しない信号処理回路を備えており、紙幣200の記番号(203および204)が示す英数字列のデジタルデータに変換する。変換されたデジタルデータはさらに秘密鍵で暗号化されてもよい。
【0052】
紙幣情報登録装置100は、紙幣固有情報登録データベース105を備え、紙幣固有情報変換部102から出力された複数の領域の紙幣固有情報と、紙幣記番号変換部104から出力された紙幣記番号と、登録領域選択部106から出力された登録領域番号を関連付けて記憶する。
【0053】
紙幣特徴画像入力部101は例えば、図3(a)に示すようなフラットベッド型スキャナでもよく、フラットベッドスキャナに用いられているようなCCDラインセンサと原稿の読取り位置を走査するライン状の照明でもよい。また、図3(b)に示すようなCCDエリアセンサとCCDエリアセンサの視野に照射する照明との組み合わせでもよく、図2に示すような領域を読取る場合には201(1〜8)が撮影できるCCDエリアセンサとCCDエリアセンサの視野に照射する照明との組み合わせが5台必要となる。登録領域選択部106と紙幣固有情報変換部102は、例えば、マイクロコンピュータを含んで構成した専用の信号処理回路(図示せず)でもよく、または、図4に示すようなパーソナルコンピュータ(PC)でもよく、または、その双方がそれぞれの入出力ポートを介して接続されて構成されていてもよい。紙幣記番号入力部103及び紙幣記番号変換部104はそれぞれ紙幣特徴画像入力部101及び紙幣固有情報変換部102と同様に構成され、紙幣記番号入力部103と紙幣特徴画像入力部101、及び、紙幣記番号変換部104と紙幣固有情報変換部102はお互いを兼ねていてもよい。紙幣固有情報登録データベース105は例えば、光や磁気などで記録可能な媒体でもよく、PCの場合には入出力ポートに接続されているハードディスクドライブ(HDD)でもよい。
【0054】
次に、紙幣の固有情報の登録を説明する。
【0055】
図1に示す紙幣情報登録装置100の具体的装置である、紙幣の固有情報と記番号を読取り、データベースに登録する登録装置300(図5参照)は、紙幣200を図の右側から左側に送る駆動ローラ301a、301b、紙幣200の送りをガイドするガイドローラ302a、302b、紙幣200の表面をライン状に照射するライン光源303、紙幣200の表面状態の濃淡を電気信号に変換するCCDラインセンサ305、及び、ライン光源303により照射された紙幣200の表面状態の画像をCCDラインセンサ305上に結像させる結像レンズ304を備えている。
【0056】
本登録装置300は、例えば、紙幣の製造工程における裁断されたお札を検査する工程の直前、または、工程中に、紙幣200の移動に伴って刻々と表面状態を読取っていき、CCDラインセンサ305から入力されるライン画像が入力される画像処理回路(図示せず)によってデジタル化され、バスを介してPC(図示せず)に入力されて、予めPCに記憶されている紙幣固有情報登録プログラムに従って紙幣の固有情報と記番号を登録する。
【0057】
すなわち、紙幣200が自動送り装置(図示せず)とそのガイド(図示せず)に沿って登録装置300に挿入されると、駆動ローラ301bとガイドローラ302b及びガイド(図示せず)によって図5の右側から左側に一定の速度で送られる。CCDラインセンサ305及び画像処理回路(図示せず)は刻々と画像をPC(図示せず)に送る。PCでは紙幣200の201(1〜8)、201(9〜16)、201(17〜24)、201(25〜32)、202(1〜8)の各領域からランダムに1領域ずつを選択し、さらに、全体の領域からランダムに2領域を選択した合計7領域を選択する。さらに、PCでは記番号を切り出して処理する。これにより、紙幣200の7領域の表面状態、例えば、400dpiの場合32×32dotで約2mm×約2mmが、所定の解像度(400dpi)かつ所定の階調(8ビットグレイスケール)で読取られ、得られた画像データが秘密鍵で暗号化されて、PCの記憶装置(例えばHDD)に記憶される。読取解像度が400dpi、読取りの階調を8ビットグレイスケール、読取対象の領域を32×32dotとしているので、1つの領域のデータサイズは1024バイトとなり、個々の画素(ドット)の階調値(明度値)は0〜255の範囲内の整数値となる。上記の読取りによって得られたデータが表す画像を可視化(目視が容易なようにコントラスト補正)した画像の一例を図6に示す。また、紙幣200の201(1〜8)、201(9〜16)、201(17〜24)、201(25〜32)、202(1〜8)の領域の大きさは、約5mm×約5mmであり、読取る表面状態は領域のほぼ中心部分からの約2mm×約2mmであるとする。同時に、紙幣200の記番号がOCR(Optical Character Reader)などによってデジタルコードに変換され、選択された登録領域の番号と共に、表1に示すようなデータベースとして紙幣の固有情報(データファイル)と関連付けられてPCの記憶装置(例えばHDD)に記憶される。
【0058】
【表1】
【0059】
データベースには記番号と固有情報の他に、ランダムに選択された領域の番号も付加されており、照合する時に実際の紙幣から読取る領域を指示することができる。これら、記番号とランダムに選択された領域の番号も秘密鍵で暗号化されていてもよい。さらに、データベースには、紙幣の種類、製造日などの情報を付加してもよい。登録したデータベースを紙幣真贋判定装置の基準データとして用いるために、PCがインターネットに接続されている場合は、インターネットに接続されている紙幣固有情報管理用のサーバにデータを転送してもよい。また、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-R、DVD-R、リムーバブルHDDなどのように、光や磁気でデジタル情報を記録する媒体にデータを記録し、その媒体を介して紙幣真贋判定装置の基準データとして用いてもよい。また、その媒体を介して、別途、インターネットに接続されているPCから紙幣固有情報管理用のサーバにデータを転送してもよい。
【0060】
また、例えば、紙幣の製造工程における記号と番号を印刷する工程の直後、または、工程中に紙幣の固有情報を読取り、データベースに登録するのであれば、紙幣の記番号は印刷するデジタルデータを直接渡してもらうことにより、記番号の切り出しとOCRなどの処理を省くことができる。
【0061】
本実施の形態では、移動している紙幣上の画像データを取り込むためにCCDラインセンサを用いたが、紙幣の移動速度、結像レンズの明るさ、シャッタースピードによってはエリアセンサ(CCD、CMOSなど)を用いてもよく、また、紙幣が静止した状態で画像データを取り込んでもよく、その場合、結像レンズの明るさやシャッタースピードの条件が緩和される。
【0062】
続いて、紙幣の真贋判定について説明する。
【0063】
図7は紙幣の真贋判定装置400を示している。真贋判定装置400は、それぞれ図1の入力部101、変換部102と同じ構成の紙幣特徴画像入力部401及び紙幣固有情報変換部402、及び、図1の紙幣固有情報登録データベース105と同じ又は複製された紙幣固有情報登録データベース405を備えている。
【0064】
入力部401は、紙幣情報登録装置100で読取った紙幣200の登録領域選択部106で選択された一つ一つの領域に対し、登録領域を含み、かつ、その領域よりも広い領域(例えば、400dpiの場合64×64dotで約4mm×約4mmの第ニの領域)の特徴を読取る。紙幣固有情報登録データベース405から、登録に使用された紙幣の領域の情報を登録領域選択部410に取り込み、登録領域選択部410に登録された複数の領域の特徴をデジタルデータに変換する。選択されたデータは、例えば、紙幣200の201(1〜8)、201(9〜16)、201(17〜24)、201(25〜32)、202(1〜8)の各領域からの1領域と、全体の領域からの2領域の合計7領域である。領域の大きさは、約5mm×約5mmであるので、読取る表面状態は領域のほぼ中心部分からの約4mm×約4mmであるとする。第1の記憶部403は、変換したデジタルデータを一時的に保存、例では、7つの領域におけるそれぞれの照合データが記録されている。
【0065】
真贋判定装置400は、紙幣の記番号を読取る紙幣記番号入力部404を備え、固有情報を読取った紙幣200の記番号(203および204)を光学的に読取るか、他の手段で入力する。真贋判定装置400は、紙幣記番号入力部404から入力された記番号に関連付けて記憶されていた複数の紙幣固有情報を紙幣固有情報登録データベース405から検索し、紙幣固有情報変換部102で暗号化に使用された秘密鍵と対になっている公開鍵で復号化する紙幣固有情報変換部406と、復号化した紙幣固有情報を一時的に保存しておく第ニの記憶部407と、を備えている。第二の記憶部407には、登録領域選択部106で選択された7つの領域におけるそれぞれの登録データが記録されている。
【0066】
真贋判定装置400は、画像照合部408を備え、第一の記憶部403に記憶されている7つの紙幣固有情報の画像と、対応する第二の記憶部407に記憶されている紙幣固有情報登録データベース405に登録されていた7つの紙幣固有情報の画像を一つ一つ比較照合していく。また、真贋判定装置400は、真贋判定部409を備え、第一の記憶部403に記憶されている紙幣固有情報の画像の中に、第二の記憶部407に記憶されている対応する紙幣固有情報の画像が含まれているかどうかを、7つの領域について一つ一つ判定する。例えば、7つの領域のうち、4つの領域について第一の記憶部403に記憶されている紙幣固有情報の画像の中に、第二の記憶部407に記憶されている対応する紙幣固有情報の画像が含まれていれば、国が発行した真の紙幣であるとする。また、例えば、7つの領域のうち、3つの領域についてしか第一の記憶部403に記憶されている紙幣固有情報の画像の中に、第二の記憶部407に記憶されている対応する紙幣固有情報の画像が含まれていなければ贋の紙幣の可能性があると判定する。真贋判定装置400は、図1で説明した紙幣情報登録装置と同様の機器で構成されており、紙幣固有情報の変換、画像の照合、真贋の判定は、例えば、PCに予め記憶させておいたプログラムによって行う。
【0067】
次に、紙幣の真贋判定をより具体的に説明する。
【0068】
例えば、銀行など紙幣を扱う機関において、フラットベッド型スキャナ(図3のa)やCCDエリアセンサの機能を持った光学的な画像読取装置と光学的画像読取装置に接続されているパーソナルコンピュータ(PC)(図4)が設置されており、予めPCに記憶されている紙幣真贋判定プログラムに従って紙幣の真贋判定を行う。まず、光学的画像読取装置の光学的画像読取部分に紙幣を乗せて、紙幣真贋判定プログラムが起動されているPCのディスプレイの指示に従って紙幣真贋判定開始命令をPCに出力する(例えば、ディスプレイ上に現れている紙幣真贋判定開始ボタンをマウスでクリックする)。これにより、登録された紙幣の固有情報領域候補の表面状態が、所定の解像度(400dpi)かつ所定の階調(8ビットグレイスケール)で読取られ、得られた画像データがスキャナからPCに転送され、PCの記憶装置(例えばHDD)に記憶される。紙幣の固有情報一つにつき、読取解像度が400dpi、読取りの階調を8ビットグレイスケール、読取対象の基準領域を64×64dot(約4mm×約4mm)としているので、画像データのサイズは2048バイトとなり、個々の画素(ドット)の階調値(明度値)は0〜255の範囲内の整数値となる。例えば、紙幣の固有情報領域候補として40の画像データがあるとする。それと同時に、紙幣の記番号が読取られ、OCRなどによってデジタルコードに変換される。
【0069】
次に、PCとインターネットを介して接続されている紙幣固有情報管理用のサーバへ記番号を転送し、記番号と関連付けられている紙幣の固有情報画像データと選択された領域データ(例えば、紙幣200の201(1〜8)、201(9〜16)、201(17〜24)、201(25〜32)、202(1〜8)の各領域からの1領域と、全体の領域からの2領域の合計7領域)をPCに取り込み、公開鍵によって復号化する。復号化された、例えば7つの紙幣の固有情報画像データ(1つにつき400dpiの場合32×32dotで約2mm×約2mmの第一の特徴)と、対応する先に記憶した紙幣固有情報画像データの中での選択された7つ領域データ(1つにつき400dpiの場合64×64dotで約4mm×約4mmの第ニの特徴)とを一つ一つ比較し、例えば、7つの領域のうち、4つ以上の領域について第ニの特徴領域の中に、第一の特徴が含まれているかどうかを照合する。照合には相関値の最大値と相関最大値のノーマライズド・スコアで判定する手法を用いる。
【0070】
本実施の形態では、光学的画像読取装置への紙幣の設置について述べていないが、手動で設置してもよく、また、自動原稿送り装置にて自動的に設置してもよい。また、紙幣の真贋判定装置のコストを考慮して、市販のPCと光学的画像読取装置で説明したが、真贋判定速度を上げるために、紙幣自動送り、紙幣表面状態読取り、真贋判定用に、特別なハードウェアを用意してもよい。特に、2次元CCDカメラのような光学的画像読取装置の場合は、図2の4隅と中心部分のように紙幣全体ではなく部分的に読取れるような位置にカメラを設置してもよい。また、紙幣の記番号を自動で読取る構成としたが、例えば、PCに接続されているキーボードなどの外部入力装置にて手動入力すると、効率は落ちるが紙幣の真贋判定装置のコストはさらに下がる。また、PCとインターネットを介して接続されている紙幣固有情報管理用のサーバから記番号と関連付けられている紙幣の固有情報画像データをPCに取り込む構成としたが、銀行など紙幣を扱う機関に配布されたDVDなどの媒体から紙幣の固有情報画像データを取り込んでもよい。その場合、新しい紙幣が製造されるたびに、新しいデータベースが配布されることとする。さらに、古くなった紙幣が市場から回収されたときにはデータベースから回収された紙幣のデータを削除することも必要である。
【0071】
紙幣表面のランダムな特徴を偽造することはほぼ不可能であり、超精密な偽札に対しても対処することが可能である。また、紙幣製造時に登録されたデータの管理さえしておけば、真贋判定方法を一般に公開してもよい。さらに、特殊な装置を必要とせず、お客や店員が容易に真贋判定を行うことができる。さらに、紙幣が折れたり汚れたりした場合においても照合が可能となると共に、特徴を切り取って偽造紙幣を作ることにも対処可能となる。
【0072】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。なお、本願発明者等は、価値情報を記憶したカード、例えば、ハイウェイカードやパスネットカードに代表される、裏面が灰色のプリペイドカードにおける感熱記録面に、個々のカード固有の特徴(製造時に制御できないランダムな凹凸)が分布しており、この特徴は読取り可能で真贋判定に利用可能であることを実験で確認している。
【0073】
図8は偽造防止プリペイドカード生成装置1100を、図9は偽造防止プリペイドカード生成装置1100により生成された偽造防止プリペイドカード1110を示す。偽造防止プリペイドカード生成装置1100は偽造防止プリペイドカードの第一の領域における感熱記録面を形成するランダムな凹凸を読取る画像入力部1101を備え、プリペイドカードに光を照射したときの反射光を光学的に読取る。偽造防止プリペイドカード生成装置1100は読取った画像情報を固有情報に変換する画像変換部1102を備え、画像入力部1101からの信号をデジタルデータに変換して出力する信号処理回路を備えており、所定の解像度(例えば400dpi)かつ所定の階調(例えば8ビットグレイスケール)のデジタルデータに変換する。変換されたデジタルデータはさらに秘密鍵で暗号化されてもよい。偽造防止プリペイドカード生成装置1100は、固有情報を2次元コード(QRコードなど)または濃度パッチなどのコードに符号化する画像符号化部1103と、符号を印刷する符号化画像印刷部である1104と、を備えている。
【0074】
画像入力部1101は、例えば、CCDラインセンサとプリペイドカードの第一の領域を走査するライン状の照明でもよく、また、CCDエリアセンサとCCDエリアセンサの視野に照射する照明との組み合わせでもよい。画像変換部1102、画像符号化部1103は例えば、マイクロコンピュータを含んで構成した専用の信号処理回路でもよく、または、パーソナルコンピュータ(PC)でもよく、または、その双方がそれぞれの入出力ポートを介して接続されて構成されていてもよい。符号化画像印刷部1104はプリントヘッドとその制御装置から構成されている。
【0075】
次に、プリペイドカードの固有情報の登録について説明する。
【0076】
例えば、プリペイドカード販売(発行)時に、販売装置の中に設置されている図11に示すような登録装置1300によってプリペイドカードの固有情報を読取り、読取ったプリペイドカードの固有情報を符号化し、符号化されたプリペイドカードの固有情報をプリペイドカードの表面に記録する。
【0077】
図11は登録装置1300の側面図であり、登録装置1300は、プリペイドカード1110を図の右側から左側に送る駆動ローラ1301a、1301b、プリペイドカード1110の送りをガイドするガイドローラ1302a、1302b、プリペイドカード1110表面をライン状に照射するライン光源1303、ライン光源1303が照射されたプリペイドカード1110の表面状態の画像をCCDラインセンサ1305上に結像させる結像レンズ1304、及びプリペイドカード1110の表面状態の濃淡を電気信号に変換するCCDラインセンサ1035を備え、プリペイドカード1110の移動に伴って刻々と表面状態を読取っていき、CCDラインセンサ1305から入力されるライン画像が入力される画像処理回路(図示せず)によってデジタル化され、バスを介してコンピュータ(図示せず)に入力されて、予めコンピュータに記憶されているプログラムに従って符号化され、符号化されたコードをプリントヘッド1306によってプリペイドカードの表面に印刷される。
【0078】
すなわち、プリペイドカード1110が自動送り装置(図示せず)とそのガイド(図示せず)に沿って登録装置1300に挿入されると、駆動ローラ1301bとガイドローラ1302b及びガイド(図示せず)によって図11の右側から左側に一定の速度で送られる。CCDラインセンサ1305及び画像処理回路(図示せず)は刻々と画像をコンピュータ(図示せず)に送り、コンピュータでは予め定めてあるプリペイドカード1110の領域の固有情報を切り出して処理する。これにより、プリペイドカード1110の無地のある領域、例えば、図9に示す第一の領域1120(400dpiの場合32×32dotで約2mm×約2mm)の表面の状態が、所定の解像度(400dpi)かつ所定の階調(8ビットグレイスケール)で読取られる。読取解像度が400dpi、読取りの階調を8ビットグレイスケール、読取対象の領域を32×32dotとしているので、データのサイズは1024バイトとなり、個々の画素(ドット)の階調値(明度値)は0〜255の範囲内の整数値となる。上記の読取りによって得られたデータが表す画像を可視化(目視が容易なようにコントラスト補正)した画像の一例を図5に示す。得られた画像データは、圧縮などの処理を経て、秘密鍵で暗号化され、例えば、図12にあるような符号化画像1140に変換される。変換された符号化画像は、例えはプリペイドカードの使用状況などが印字される感熱面に、感熱プリントヘッド1306によって印刷される。印刷される符号化画像1140はプリペイドカードの固有情報を読取った第一の領域1120とは別の領域であることが望ましい。また、第一の領域とは反対の面に印刷されてもよく、また、印刷領域の状態に合わせた印刷方式のプリントヘッドであることは言うまでもない。
【0079】
本実施の形態では、移動しているプリペイドカード上の画像データを取り込むためにCCDラインセンサを用いたが、プリペイドカードの移動速度、結像レンズの明るさ、シャッタースピードによってはエリアセンサ(CCD、CMOSなど)を用いてもよく、また、プリペイドカードが静止した状態で画像データを取り込んでもよく、その場合、結像レンズの明るさやシャッタースピードの条件が緩和される。
【0080】
図10に示すプリペイドカードの真贋判定装置1200は、偽造防止プリペイドカードの符号化画像を読取る符号画像入力部1201、秘密鍵によって暗号化された場合は、対となる公開鍵によって固有情報(所定の解像度かつ所定の階調のデジタルデータ)に複合化画像複合化部1202、第一の記憶部1203、造防止プリペイドカードの第ニの領域(第一の領域を含み、かつ、第一の領域よりも広い)における感熱記録面を形成するランダムな凹凸を読取る第二の領域画像入力部1204、固有情報(所定の解像度かつ所定の階調のデジタルデータ)に変換する画像変換部1205、第ニの記憶部1206、第一の記憶手段1203に記憶された固有情報と第二の記憶手段1206に記憶された第二の領域の中で第一の領域と同じ大きさの領域の固有情報を移動しながら比較照合する画像照合部1207、第二の領域中に第一の領域と相関の高い該個体の固有情報が存在するかどうかを判断して真贋判定する真贋判定部1208を備えている。入力部1201、1204は例えばCCDラインセンサとプリペイドカードの第ニの領域を走査するライン状の照明でもよく、また、CCDエリアセンサとCCDエリアセンサの視野に照射する照明との組み合わせでもよい。後の処理は、マイクロコンピュータを含んで構成した専用の信号処理回路でもよく、または、パーソナルコンピュータ(PC)でもよく、または、その双方がそれぞれの入出力ポートを介して接続されて構成されている装置で行ってもよい。
【0081】
次に、プリペイドカードの真贋判定をより具体的に説明する。
【0082】
例えば、遊技場、高速道路の料金所、小売店のレジなどプリペイドカードを扱う機関において、フラットベッド型スキャナ(図3)とフラットベッド型スキャナに接続されているPC(図4)、(または、同様の機能を持った専用機器など)が設置されており、予めPCに記憶されているプリペイドカード真贋判定プログラムに従ってプリペイドカードの真贋判定を行う。まず、フラットベッド型スキャナに紙幣を乗せて、プリペイドカード真贋判定プログラムが起動されているPCのディスプレイの指示に従ってプリペイドカード真贋判定開始命令をPCに出力する(例えば、ディスプレイ上に現れているプリペイドカード真贋判定開始ボタンをマウスでクリックする)。これにより、プリペイドカードの固有情報が登録されたと思われる領域(400dpiの場合64×64dotで約4mm×約4mm)の表面の状態が、所定の解像度(400dpi)かつ所定の階調(8ビットグレイスケール)で読取られ、得られた画像データがスキャナからPCに転送され、PCの記憶装置(例えばHDD)に記憶される。読取解像度が400dpi、読取りの階調を8ビットグレイスケール、読取対象の基準領域を64×64dotとしているので、画像データのサイズは4096バイトとなり、個々の画素(ドット)の階調値(明度値)は0〜255の範囲内の整数値となる。それと同時に、プリペイドカードに印刷されてある符号化画像を読取り、秘密鍵によって暗号化された場合は、対となる公開鍵によって復号化される。復号化されたプリペイドカードの固有情報画像データ(400dpiの場合32×32dotで約2mm×約2mmの第一の特徴)と、先に記憶したプリペイドカード固有情報画像データ(400dpiの場合64×64dotで約4mm×約4mmの第ニの特徴)と比較し、第ニの特徴領域の中に、第一の特徴が含まれているかどうかを照合する。照合には、第1の実施の形態と同様に相関値の最大値と相関最大値のノーマライズド・スコアで判定する手法を用いる。
【0083】
本実施の形態では、フラットベッド型スキャナへのプリペイドカードの設置について述べていないが、手動で設置してもよく、また、自動送り装置にて自動的に設置してもよい。また、プリペイドカードの真贋判定装置のコストを考慮して、市販のPCとPC用フラットベッドスキャナで説明したが、真贋判定速度を上げるために、プリペイドカード自動送り、プリペイドカード表面状態読取り、真贋判定用に、特別なハードウェアを用意してもよく、その場合は、CCDラインセンサに限らずに、エリアセンサを備えたデジタルカメラでプリペイドカード表面状態を読取ってもよい。また、プリペイドカードの磁気記録を読取る装置と一体化してもよく、プリペイドカードが真正であると判断されたときにのみ、磁気記録情報を有効にしてもよい。
【0084】
プリペイドカード表面のランダムな特徴を偽造することはほぼ不可能であるため、本発明によるプリペイドカード偽造対策は強固である。また、サーバなどに情報を記憶させておく必要がないために通信にかかわる時間、コストを削減することができ、さらに、特殊な装置を必要とせず、安価な装置で、短時間で真贋判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】紙幣情報登録装置のブロック図である。
【図2】紙幣における読取の対象の領域を示した図である。
【図3】紙幣特徴画像入力部の具体例を示した図である。
【図4】紙幣特徴画像入力部の他の具体例を示した図である。
【図5】登録装置のブロック図である。
【図6】紙幣の所定領域の読取りによって得られたデータが表す画像を可視化した画像の一例を示す図である。
【図7】真贋判定装置のブロック図である。
【図8】偽造防止プリペイドカード生成装置のブロック図である。
【図9】偽造防止プリペイドカードを示す図である。
【図10】プリペイドカードの真贋判定装置のブロック図である。
【図11】登録装置のブロック図である。
【図12】プリペイドカードの読取りによって得られたデータが表す画像
【符号の説明】
【0086】
100 紙幣情報登録装置(紙幣表面特徴登録装置)
300 登録装置(紙幣表面特徴登録装置)
400 真贋判定装置(紙幣真贋判定装置)
1100 偽造防止プリペイドカード生成装置(カード印刷装置)
1110 偽造防止プリペイドカード(カード)
1200 プリペイドカードの真贋判定装置(カード真贋判定装置)
1300 登録装置(カード印刷装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真贋判定対象の紙幣の予め登録された複数箇所の表面特徴を取得する取得手段と、
前記紙幣の複数箇所の表面特徴を読み取る読取手段と、
前記取得された複数箇所の表面特徴と前記読み取られた複数箇所の表面特徴とに基づいて、紙幣の真贋を判定する判定手段と、
を備えた紙幣真贋判定装置。
【請求項2】
前記取得手段は、前記複数箇所の表面特徴の情報を受信することを特徴とする請求項1記載の紙幣真贋判定装置。
【請求項3】
前記読取手段による前記紙幣の表面特徴を読み取る複数箇所の数は、前記紙幣の表面特徴を読み取る候補個所の数より少なく、
前記読取手段は、前記候補個所の中からランダムに前記紙幣の表面特徴を読み取る
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の紙幣真贋判定装置。
【請求項4】
前記紙幣の複数箇所の表面特徴の情報は暗号化された状態で登録されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の紙幣真贋判定装置。
【請求項5】
前記読取手段により読み取られる個所の面積は、前記紙幣の予め登録された表面特徴の箇所の面積より大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の紙幣真贋判定装置。
【請求項6】
紙幣の複数箇所の表面特徴と読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた前記紙幣の複数箇所の表面特徴を登録する登録手段と、
を備えた紙幣表面特徴登録装置。
【請求項7】
前記登録手段は前記表面特徴を暗号化した状態で登録することを特徴とする請求項6記載の紙幣表面特徴登録装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の紙幣真贋判定装置と、
請求項6または請求項7記載の紙幣表面特徴登録装置と、
を備えた紙幣真贋判定システム。
【請求項9】
真贋判定対象の紙幣の予め登録された複数箇所の表面特徴を取得するステップと、
前記紙幣の複数箇所の表面特徴を読み取るステップと、
前記取得された複数箇所の表面特徴と前記読み取られた複数箇所の表面特徴とに基づいて、紙幣の真贋を判定するステップと、
を備えた紙幣真贋判定方法。
【請求項10】
紙幣の複数箇所の表面特徴を読み取るステップと、
前記読み取られた前記紙幣の複数箇所の表面特徴を登録するステップと、
を備えた紙幣表面特徴登録方法。
【請求項11】
価値情報を記憶するカードの所定個所の表面特徴を読み取る読取手段と、
前記読み取られた前記所定個所の表面特徴の情報を、前記カードの前記所定箇所以外の箇所に印刷する印刷手段と、
を備えたカード印刷装置。
【請求項12】
前記印刷手段は、前記表面特徴の情報を、前記カードの発行の際に印刷することを特徴とする請求項11記載のカード印刷装置。
【請求項13】
前記印刷手段は、前記表面特徴の情報を暗号化した状態で印刷することを特徴とする請求項11又は請求項12記載のカード印刷装置。
【請求項14】
所定個所の表面特徴の情報が、該所定箇所以外の箇所に印刷された、価値情報を記憶するカード。
【請求項15】
価値情報を記憶するカードの所定個所と該所定箇所以外の箇所とを読み取る読取手段と、
前記読取られた所定個所と該所定箇所以外の箇所の情報に基づいて、前記カードの真贋を判定する判定手段と、
を備えたカード真贋判定装置。
【請求項16】
前記読取手段は、前記所定箇所を読取る際は、該所定箇所を含み該所定箇所よりも大きい領域を読み取ることを特徴とするを請求項15記載のカード真贋判定装置。
【請求項17】
請求項11乃至請求項13の何れか1項に記載のカード印刷装置と、
請求項15又は請求項16記載のカード真贋判定装置と、
を備えたカード真贋判定システム。
【請求項18】
価値情報を記憶するカードの所定個所の表面特徴を読み取るステップと、
前記読み取られた前記所定個所の表面特徴の情報を、前記カードの前記所定箇所以外の箇所に印刷するステップと、
を備えたカード印刷方法。
【請求項19】
価値情報を記憶するカードの所定個所と該所定箇所以外の箇所を読み取るステップと、
前記読取られた所定個所と該所定箇所以外の箇所の情報に基づいて、前記カードの真贋を判定するステップと、
を備えたカード真贋判定方法。
【請求項1】
真贋判定対象の紙幣の予め登録された複数箇所の表面特徴を取得する取得手段と、
前記紙幣の複数箇所の表面特徴を読み取る読取手段と、
前記取得された複数箇所の表面特徴と前記読み取られた複数箇所の表面特徴とに基づいて、紙幣の真贋を判定する判定手段と、
を備えた紙幣真贋判定装置。
【請求項2】
前記取得手段は、前記複数箇所の表面特徴の情報を受信することを特徴とする請求項1記載の紙幣真贋判定装置。
【請求項3】
前記読取手段による前記紙幣の表面特徴を読み取る複数箇所の数は、前記紙幣の表面特徴を読み取る候補個所の数より少なく、
前記読取手段は、前記候補個所の中からランダムに前記紙幣の表面特徴を読み取る
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の紙幣真贋判定装置。
【請求項4】
前記紙幣の複数箇所の表面特徴の情報は暗号化された状態で登録されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の紙幣真贋判定装置。
【請求項5】
前記読取手段により読み取られる個所の面積は、前記紙幣の予め登録された表面特徴の箇所の面積より大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の紙幣真贋判定装置。
【請求項6】
紙幣の複数箇所の表面特徴と読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた前記紙幣の複数箇所の表面特徴を登録する登録手段と、
を備えた紙幣表面特徴登録装置。
【請求項7】
前記登録手段は前記表面特徴を暗号化した状態で登録することを特徴とする請求項6記載の紙幣表面特徴登録装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の紙幣真贋判定装置と、
請求項6または請求項7記載の紙幣表面特徴登録装置と、
を備えた紙幣真贋判定システム。
【請求項9】
真贋判定対象の紙幣の予め登録された複数箇所の表面特徴を取得するステップと、
前記紙幣の複数箇所の表面特徴を読み取るステップと、
前記取得された複数箇所の表面特徴と前記読み取られた複数箇所の表面特徴とに基づいて、紙幣の真贋を判定するステップと、
を備えた紙幣真贋判定方法。
【請求項10】
紙幣の複数箇所の表面特徴を読み取るステップと、
前記読み取られた前記紙幣の複数箇所の表面特徴を登録するステップと、
を備えた紙幣表面特徴登録方法。
【請求項11】
価値情報を記憶するカードの所定個所の表面特徴を読み取る読取手段と、
前記読み取られた前記所定個所の表面特徴の情報を、前記カードの前記所定箇所以外の箇所に印刷する印刷手段と、
を備えたカード印刷装置。
【請求項12】
前記印刷手段は、前記表面特徴の情報を、前記カードの発行の際に印刷することを特徴とする請求項11記載のカード印刷装置。
【請求項13】
前記印刷手段は、前記表面特徴の情報を暗号化した状態で印刷することを特徴とする請求項11又は請求項12記載のカード印刷装置。
【請求項14】
所定個所の表面特徴の情報が、該所定箇所以外の箇所に印刷された、価値情報を記憶するカード。
【請求項15】
価値情報を記憶するカードの所定個所と該所定箇所以外の箇所とを読み取る読取手段と、
前記読取られた所定個所と該所定箇所以外の箇所の情報に基づいて、前記カードの真贋を判定する判定手段と、
を備えたカード真贋判定装置。
【請求項16】
前記読取手段は、前記所定箇所を読取る際は、該所定箇所を含み該所定箇所よりも大きい領域を読み取ることを特徴とするを請求項15記載のカード真贋判定装置。
【請求項17】
請求項11乃至請求項13の何れか1項に記載のカード印刷装置と、
請求項15又は請求項16記載のカード真贋判定装置と、
を備えたカード真贋判定システム。
【請求項18】
価値情報を記憶するカードの所定個所の表面特徴を読み取るステップと、
前記読み取られた前記所定個所の表面特徴の情報を、前記カードの前記所定箇所以外の箇所に印刷するステップと、
を備えたカード印刷方法。
【請求項19】
価値情報を記憶するカードの所定個所と該所定箇所以外の箇所を読み取るステップと、
前記読取られた所定個所と該所定箇所以外の箇所の情報に基づいて、前記カードの真贋を判定するステップと、
を備えたカード真贋判定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図6】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図6】
【図12】
【公開番号】特開2007−213148(P2007−213148A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30006(P2006−30006)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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