説明

紙幣確認方法および紙幣確認システム

【課題】
自動紙幣取扱装置により蓄積された紙幣を回収し、その移送の完了まで当該紙幣を確実に管理し、盗難等の発見と被害にあった紙幣の特定を行うことが可能な紙幣確認方法およびシステムを提供する。
【解決手段】
紙幣番号を読取る自動紙幣取扱装置10と紙幣番号を読み取る紙幣処理装置30とを通信ネットワーク20を介して接続して紙幣確認システムを構成する。係員により自動紙幣取扱装置10から回収した紙幣を紙幣処理装置まで移送して回収紙幣を確認する際、自動紙幣取扱装置は記録した紙幣番号データを紙幣の回収の際に紙幣処理装置へ送信し、紙幣処理装置は受信した自動紙幣取扱装置からの紙幣番号データを記録し、且つ移送された回収紙幣について紙幣番号の読み取りを行って得た紙幣番号データを記録し、且つ、前記夫々の紙幣番号データを比較照合して不一致となった紙幣番号を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣確認方法および紙幣確認システムに関し、特に、自動販売機等の自動紙幣取扱装置から回収した紙幣を、移送先において紙幣番号に基づき確認可能な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人手を介さずに通貨による取引を扱う装置として、例えば、自動販売機、自動発券機、自動両替機、現金自動払出機などがある。これらは人手をかけずに、ジュース、たばこ、食券、乗車券などの各種販売や、或いは金融窓口などのサービスを行なう手段として普及している。これらの装置は、硬貨だけでなく紙幣も扱うものが多くなっている。以下、上述の装置のうち紙幣を扱うものについて、ここでは自動紙幣取扱装置と記す。
紙幣の取扱をする場合、おのずと装置内に蓄積される合計額面が大きくなり、犯罪のターゲットになる危険が増してくる。
【0003】
そこで、自動紙幣取扱装置内に存在する紙幣の紙幣番号を記録し、不正に抜き取られた紙幣を特定しようとする提案がなされている。
例えば、特開平9−274677号公報には、自動紙幣入出金装置に紙幣番号を記録する記録手段を設け、操作手段の操作により紙幣の格納時は該紙幣の紙幣番号を記録し、取り出し時は記録した該紙幣番号を消去することにより紙幣格納部に格納されている紙幣の紙幣番号を常時記録しておく手段を設けたことにより、紙幣格納部が壊されて盗難に遭ったとしても当該紙幣の紙幣番号を特定できるとする技術が記載されている。
また、特開2003−303367号公報には、紙幣の偽造により複数の同じ紙幣番号の紙幣が出回った場合に、その偽造紙幣を検出することを目的として、複数の紙幣取扱装置とコンピュータサーバとを通信ネットワークで接続し、紙幣取扱装置に入金されている紙幣の番号を、コンピュータサーバ側のデータベースに登録しておくと共に、紙幣取扱装置は入金された紙幣の番号をコンピュータサーバに送信し、コンピュータサーバは送信された紙幣番号とデータベースの紙幣番号とを照合し、紙幣の問題の有無を送信先の紙幣取扱装置に通知するものが開示されている。
【特許文献1】特開平09−274677号公報
【特許文献2】特開2003−303367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した先行文献に記載のものにおいては、何れも以下に示すような問題点があった。つまり、自動紙幣取扱装置等から不正ではない状態にて紙幣が回収されると、回収された紙幣に関する紙幣番号の記録が消去される。そのため、回収後の移送途中にて全部或いは一部の紙幣が盗まれるといったことが生じた場合、もはや被害にあった紙幣を特定する手がかりがなくなってしまう。
仮に、回収時に回収される紙幣の紙幣番号データをジャーナルとして紙等に印字したり、或いは電子記憶媒体に記録を移して、回収紙幣と共にジャーナルを移送したとしても、そのジャーナルごと盗まれたり、或いは、電子記憶媒体内のデータを改竄されてしまえば、やはり紙幣を特定することはできない。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、自動紙幣取扱装置により蓄積された紙幣を回収し、その移送の完了までについても当該紙幣を確実に管理し、盗難等の発見と被害にあった紙幣の特定を行うことが可能な紙幣確認方法および紙幣確認システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係わる紙幣確認方法の請求項1の発明は、利用者から入金された紙幣より画像情報を取得し、該画像情報から紙幣番号データを読み取りこれを第1の記憶手段に保持すると共に、紙幣を収納保持する自動紙幣取扱装置と、該自動紙幣取扱装置から管理者が回収した紙幣より画像情報を取得し、該画像情報から紙幣番号データを読み取りこれを第2の記憶手段に保持する紙幣処理装置と、前記自動紙幣取扱装置と紙幣処理装置とを繋ぐ通信ネットワークと、を備えたシステムを用いて紙幣を確認する方法であって、前記自動紙幣取扱装置が前記第1の記憶手段から読み出した前記紙幣番号データを前記通信ネットワークを介して前記紙幣処理装置に送信する送信工程と、前記紙幣処理装置が前記自動紙幣取扱装置から送信された前記紙幣番号データを受信する受信工程と、前記紙幣処理装置が受信した前記紙幣番号データを第3の記憶手段に記憶する記録工程と、前記紙幣処理装置が前記第2の記憶手段より読み出した前記紙幣番号データを第3の記憶手段より読み出した前記紙幣番号データと比較する比較工程と、前記紙幣処理装置が前記比較工程にて紙幣番号データの不一致を検知したとき当該不一致となった紙幣の紙幣番号データを含む不一致情報を生成する不一致情報生成工程と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係わる紙幣確認方法の請求項2の発明は、利用者から入金された紙幣より画像情報を取得し、該画像情報から紙幣番号データを読み取りこれを第1の記憶手段に保持すると共に、紙幣を収納保持する自動紙幣取扱装置と、該自動紙幣取扱装置から管理者が回収した紙幣より画像情報を取得し、該画像情報から紙幣番号データを読み取りこれを第2の記憶手段に保持する紙幣処理装置と、前記自動紙幣取扱装置と紙幣処理装置とを繋ぐ通信ネットワークと、前記紙幣処理装置と接続された管理装置と、を備えたシステムを用いて紙幣を確認する方法であって、前記自動紙幣取扱装置が前記第1の記憶手段から読み出した前記紙幣番号データを前記通信ネットワークを介して前記紙幣処理装置に送信する送信工程と、前記紙幣処理装置が前記自動紙幣取扱装置から送信された前記紙幣番号データを受信する受信工程と、前記紙幣処理装置が受信した前記紙幣番号データを第3の記憶手段に記憶する記録工程と、前記紙幣処理装置が前記第2の記憶手段より読み出した前記紙幣番号データを第3の記憶手段より読み出した前記紙幣番号データと比較する比較工程と、前記紙幣処理装置が前記比較工程にて紙幣番号データの不一致を検知したとき当該紙幣番号データを前記管理装置に出力する不一致通知工程と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係わる紙幣確認システムの請求項3の発明は、利用者から入金された紙幣より画像情報を取得し、該画像情報から紙幣番号データを読み取りこれを保持すると共に、紙幣を収納保持する自動紙幣取扱装置と、該自動紙幣取扱装置から管理者が回収した紙幣より画像情報を取得し、該画像情報から紙幣番号データを読み取りこれを保持する紙幣処理装置と、前記自動紙幣取扱装置と紙幣処理装置とを繋ぐ通信ネットワークと、を備えた紙幣確認システムであって、前記自動紙幣取扱装置は、入金された紙幣より画像情報を取得するための画像取得手段と、取得した画像情報から紙幣番号を読み取る文字認識手段と、読み取った紙幣番号を紙幣番号データとして保持する第1の記憶手段と、通信ネットワークに接続するための通信手段と、を備えており、前記紙幣処理装置は、回収した紙幣より画像情報を取得するための画像取得手段と、取得した画像情報から紙幣番号を読み取る文字認識手段と、読み取った紙幣番号を紙幣番号データとして保持する第2の記憶手段と、通信ネットワークに接続するための通信手段と、前記自動紙幣取扱装置から通信ネットワークを介して受信した紙幣番号データを保持するための第3の記憶手段と、第2の記憶手段から読み出した紙幣番号データと第3の記憶手段から読み出した紙幣番号データとを比較する比較手段と、前記比較手段による比較の結果が不一致であったときに当該不一致となった紙幣番号を含む不一致情報を生成する不一致情報生成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係わる紙幣確認システムの請求項4の発明は、請求項3に記載の紙幣確認システムにおいて、前記紙幣処理装置は、更に、前記不一致情報生成手段が生成する不一致情報を表示する表示手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係わる紙幣確認システムの請求項5の発明は、利用者から入金された紙幣より画像情報を取得し、該画像情報から紙幣番号データを読み取りこれを保持すると共に、紙幣を収納保持する自動紙幣取扱装置と、該自動紙幣取扱装置から管理者が回収した紙幣より画像情報を取得し、該画像情報から紙幣番号データを読み取りこれを保持する紙幣処理装置と、前記自動紙幣取扱装置と紙幣処理装置とを繋ぐ通信ネットワークと、前記紙幣処理装置と接続された管理装置と、を備えた紙幣確認システムであって、前記自動紙幣取扱装置は、入金された紙幣より画像情報を取得するための画像取得手段と、取得した画像情報から紙幣番号を読み取る文字認識手段と、読み取った紙幣番号を紙幣番号データとして保持する第1の記憶手段と、通信ネットワークに接続するための通信手段と、を備えており、前記紙幣処理装置は、回収した紙幣より画像情報を取得するための画像取得手段と、取得した画像情報から紙幣番号を読み取る文字認識手段と、読み取った紙幣番号を紙幣番号データとして保持する第2の記憶手段と、通信ネットワークに接続するための通信手段と、前記自動紙幣取扱装置から通信ネットワークを介して受信した紙幣番号データを保持するための第3の記憶手段と、第2の記憶手段から読み出した紙幣番号データと第3の記憶手段から読み出した紙幣番号データとを比較する比較手段と、前記管理装置に紙幣番号データを伝送するためのインタフェース手段と、を備えており、前記管理装置は、前記紙幣処理装置から紙幣番号データを受け取るためのインタフェース手段を備えたコンピュータであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の紙幣確認方法及び紙幣確認システムは、自動紙幣取扱装置において紙幣番号を読み取り管理し、紙幣の回収にあたり通信ネットワークを通じて回収移送先の紙幣処理装置へ当該紙幣番号データを送信するため、紙幣処理装置の側において回収移送された紙幣の紙幣番号と通信ネットワークを通じて受信した紙幣番号データとを比較照合して不一致があるか否かを確認することができるので、移送途中に盗難等が発生した場合にも被害にあった紙幣を特定できるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図示した実施の形態例に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は本発明に係わる紙幣確認システムの実施の形態例を示すシステム構成図である。
この図に示す紙幣確認システムは、自動販売機や自動券売機等の複数の自動紙幣取扱装置10a〜10dが通信ネットワーク20(例えば、電話回線、専用線、インターネット、VPN(Virtual Private Network)等)を介して紙幣カウンタや入金機等の紙幣処理装置30と接続して構成する。
なお、自動紙幣取扱装置と紙幣処理装置の用語の区別としては、自動紙幣取扱装置は店頭、店内、或いは道路に面した箇所等に配置され、お客との間の取引に対応して商品やサービスの提供を自動(無人)で行うものであるのに対し、紙幣処理装置は回収員により回収された現金などを集中的に管理する拠点、例えば当該システムの提供を行う事業者の事務所内等に配置され、専ら事業者側の人員が利用するものである。
図示する例にあっては、自動紙幣取扱装置10として自動券売機を、紙幣処理装置30として紙幣カウンタを挙げており、また、紙幣処理装置30にはホストコンピュータ40(管理装置)が接続されている。
ホストコンピュータ40は、データベース機能及びシステムコンソール機能を、ソフトウェアを用いて構成している。ここでは、紙幣処理装置30とホストコンピュータ40とを別体としているが、ホストコンピュータ40が有する機能を紙幣処理装置30に入れ込むことで一体として構成しても良いことは言うまでもない。
【0013】
このように構成される紙幣確認システムは、通常の運用において、図示を省略した監視局により各自動紙幣取扱装置10a〜10dの状態を、通信ネットワーク20を介してオンライン監視されており、障害の発生等を検知したり、遠隔操作等ができるようになっている。
こうして運用される自動紙幣取扱装置10は、高額面通貨が蓄積されると共に少額面通貨が減少していくため、売上げ金の回収や釣銭の補充といったメンテナンスが必要であり、このメンテナンスサイクルの適正化を図るために自動紙幣取扱装置内の金庫を環流式とつつ、オンライン監視による金種別の有り高を管理することが行われている。なお、日々の出納集計はオンライン監視により監視局にて行うようにしてもよい。
そして、適正なタイミングにて回収員が自動紙幣取扱装置10へ出向き、売上げ金の回収や釣銭の補充が行われる。回収員により回収された現金は所定の紙幣処理装置30が配置される場所まで移送され、回収紙幣について紙幣処理装置30の処理を受けることになる。
【0014】
次に、図2は本発明に係る自動紙幣取扱装置の内部構成例を示す機能ブロック図である。なお、ここでは自動券売機を例にして説明する。
この例に示す自動紙幣取扱装置10は、通貨受渡部11aと、メニューボタン等で構成する操作部12と、液晶ディスプレイ等で構成する表示部13と、CCDカメラや赤外線センサ等で構成する利用者検出部14と、発券口15aとを接客面(ユーザ・インタフェース)に設けており、自動紙幣取扱装置10の内部には、前記通貨受渡部11aに結合した通貨取扱部11bと、前記発券口15aに結合しプリンタ、用紙から構成される印字部15bと、後述する紙幣番号データを記録しておくための認識文字記憶部16と、通信インタフェース部17と、この自動紙幣取扱装置10を総合的に制御する制御部18と、係員(保守員や回収員など)のみが操作可能な係員操作部19とを備えて構成されている。
【0015】
通貨受渡部11aは、紙幣やプリペイドカードの挿入・排出を行う紙幣入出口、硬化投入口、釣銭払出口、返却レバー、投入金額表示部から構成され、通貨取扱部11bは、紙幣取扱部、硬化取扱部、プリペイドカード取扱部、金庫から構成されており、通貨受渡部11a及び通貨取扱部11bの協働により利用者(お客)との間で金銭の授受の処理を行う。ここで本発明に関して特に重要となる紙幣取扱部について説明する。
【0016】
図3は、本発明に係る自動紙幣取扱装置に用いる紙幣取扱部の構成図であり、(a)は入金時の機能動作を示し、(b)は金庫からの出金時、及び、金庫内紙幣のセルフチェック時の機能動作を示す。
この図に示す紙幣取扱部1は、搬送方向の上下それぞれにコンベアベルトが張られた搬送手段2と、紙幣4の表面の図柄を捉えるためのイメージセンサ3(画像取得手段)とを備えている。このイメージセンサ3が捉えた図柄から紙幣番号を抽出する訳であるが、紙幣番号は紙幣の片面にのみ表記(印刷)されているため、ここでは紙幣搬送路を挟んで両側にイメージセンサ3を設け、紙幣4の表裏を同時に捉えるようにしていることを前提として説明する。なお、紙幣4の挿入方向によっても文字の正逆が生じるが、紙幣番号抽出の際の画像処理において処理した上で文字認識(パターン認識)を行うようになっている。また、イメージセンサ3は、紙幣4の金種判別や真贋判別における用途を兼ね備えても良いことは言うまでもない。
【0017】
同図(a)に示すように紙幣4が入金されると、紙幣取扱部1は搬送手段2により紙幣4を移動させつつイメージセンサ3が紙幣の図柄を捉え、その信号はディジタル化されて自動紙幣取扱装置の制御部18へ送られ、画像処理により紙幣番号を抽出して認識文字記憶部16(第1の記憶手段)へ記録される。
また、同図(b)に示すように金庫からの出金にあっては、金庫から送り出される紙幣4について、紙幣取扱部1は、搬送手段2により紙幣4を移動させつつイメージセンサ3が紙幣の図柄を捉え、その信号はディジタル化されて自動紙幣取扱装置の制御部18へ送られ、画像処理により紙幣番号を抽出し、認識文字記憶部16に記録されていた当該紙幣の紙幣番号を消去した上で払い出しがなされる。なお、金庫内紙幣のセルフチェック機能とは、金庫の初期セット時において、金庫内に存在する各金種の紙幣全てについて順次、紙幣取扱部1と金庫との間を一巡させることで金庫内紙幣の紙幣番号を把握するために行う機能である。
【0018】
再び図2に戻って自動紙幣取扱装置についての説明を続ける。
通信インタフェース部17は、無線あるいは有線により通信ネットワーク20に接続しており、通信ネットワーク20を介して紙幣処理装置30及びその他(図示しない監視局等)と通信する。
認識文字記憶部16(第1の記憶手段)は、各種情報を蓄積するものであるが、特に、本発明において重要となる情報として、自己の自動紙幣取扱装置に格納されている紙幣についての紙幣番号データが記録される。
係員操作部19は、状態表示画面や機能操作スイッチと共に“回収ボタン”を備えている。この回収ボタンが押されることをトリガとして自動紙幣取扱装置が運用モードから保守モードに移り、後述する回収時処理が開始される。
【0019】
図4は、自動紙幣取扱装置の紙幣番号処理に関わる手順例を示すフローチャート図であり、(a)は初期セット時のセルフチェック手順、(b)は入金時処理手順、(c)は出金時処理手順、(d)は回収時処理手順を示す。
まず、同図(a)のセルフチェック手順では、係員により金庫への紙幣格納カセットが挿着される(st1)。この段階では通常、釣銭用の紙幣が入れられており、その紙幣格納カセット内の紙幣について紙幣取扱部が紙幣番号の読み取りを順次、自動的に行う(st2)。そして読み取った紙幣番号データを認識文字記憶部16に記録する(st3)。
【0020】
また、同図(b)の入金時処理手順では、利用者(お客)により紙幣の投入が行われる(st4)と、紙幣取扱部が当該紙幣の紙幣番号を読み取る(st5)。ここで読み取った紙幣番号について既存記録番号との比較照合が行われる(st6)。即ち、既存記録番号に合致しない紙幣番号であった場合には“問題無し”と判断して投入紙幣を受付し、当該紙幣の紙幣番号を認識文字記憶部16に記録する(st7)。
他方、既存記録番号に合致する紙幣番号であった場合には、同一紙幣番号の贋札が使用されたものとみなして“問題有り”と判断し、当該紙幣番号と共に予め用意された警報種別を問題関連情報として、通信ネットワーク20を介して所定の監視局などへ通報する(st8)。この場合、利用者検出部により検出される画像や音声を同時に送るようにしても良い。また、“問題有り”と判断された紙幣はリジェクトされ利用者に戻される(st9)。
【0021】
また、同図(c)の出金時処理手順では、紙幣格納カセット(金庫)から紙幣取扱部まで紙幣を引き出し(st10)、紙幣取扱部が当該紙幣の紙幣番号を読み取る(st11)。そして、その紙幣番号を認識文字記憶部16から削除(st12)した後に、利用者へ紙幣が払い出される(st13)。
【0022】
また、同図(b)の回収時処理手順では、係員が係員操作部19の“回収ボタン”を押下する操作を行うことで回収が開始され(st14)、係員は回収金の移送先(紙幣処理装置を指す)を指定する(st15)。移送先が一箇所しかないならば、固定値としておき、ここでの指定は省略する。移送先が定まると、認識文字記憶部16に記録されているカセット内の紙幣番号データを読み出して、その移送先へ宛てて送信する(st16)。
そして、紙幣格納カセットが脱却される(st17)。
【0023】
次に、紙幣処理装置30について説明する。
図5は、本発明に係る紙幣処理装置の構成例を示す機能ブロック図である。ここでは紙幣カウンタを例にして説明する。
この例に示す紙幣処理装置30は、ホッパーに置かれた紙幣束を一枚づつ搬送し、少なくとも当該紙幣束の紙幣枚数を数えた上でスタッカーに再び堆積するという紙幣カウンタの基本機能を備えると共に、更に、紙幣搬送路中に設けられ紙幣の図柄を捉えるイメージセンサ31(画像取得手段)と、イメージセンサ31からの信号をディジタル信号に変換するA/D変換部32と、ディジタル化されたイメージ信号から画像処理を行って紙幣番号を抽出すると共に紙幣処理装置30を統括的に司る制御部33と、抽出された紙幣番号データを記録する認識文字記憶部34(第2の記憶手段)と、外部との通信を行う通信インタフェース部35と、通信インタフェース部35により受信される受信データを記録する受信データ記憶部36(第3の記憶手段)と、ホストコンピュータ40とのインタフェースを図り紙幣処理装置30のデータを読み出すためのデータ読出部37とを備えている。なお、この例において制御部33は、ソフトウェアにより、紙幣番号の認識のための“文字認識”機能と、紙幣番号照合のための“比較”機能と、照合結果の報告のための“不一致情報生成”機能とを担っている。
即ち、係員(回収員)によって自動紙幣取扱装置10から回収された紙幣について、この紙幣処理装置30により回収紙幣の全ての紙幣番号を読み取り、得られた紙幣番号データを認識文字記憶部34に記録する一方、紙幣処理装置30は、当該自動紙幣取扱装置10が回収時に送信した紙幣番号データを通信ネットワーク20を介して受信し受信データ記憶部36に記録するのである。そして、認識文字記憶部34と受信データ記憶部36とに記録されたそれぞれの紙幣番号データを照らし合わせることで紙幣の確認を行う。つまり、紙幣番号データが一致していれば、紙幣については正常に回収移送が行われたと判断することができる。
【0024】
図6は、本発明に係る紙幣処理装置における紙幣番号確認処理手順の例を示すフローチャートである。なお、ホストコンピュータを紙幣処理装置に接続し、ホストコンピュータと紙幣処理装置との間のシーケンスが有る場合を例にして説明する。
まず前提として、紙幣処理装置30は、紙幣の回収元である自動紙幣取扱装置10からの紙幣番号データを受信しており、且つ、回収された紙幣についての紙幣番号の読み取りが完了しているものとする。
この状態にあって、ホストコンピュータ40側からデータの読み出し要求(比較照合実行命令)がなされると紙幣処理装置30は認識文字記憶部34と受信データ記憶部36との夫々に記録されている紙幣番号データを読み出して制御部33によりこれらの比較照合を行う(Step1)。
その照合結果が一致している場合(Yes)には、紙幣処理装置30は、一致した旨の信号をホストコンピュータ40に送出する(一致報告)と共に、一致した紙幣番号データについて、認識文字記憶部34と受信データ記憶部36の夫々から削除を行う(Step2)。
他方、その照合結果が一致していない場合(No)には、紙幣処理装置30は、一致していない旨の信号と共に当該不一致となった紙幣番号データ(不一致詳細報告)をホストコンピュータ40に送出する(Step2)。
なお、不一致詳細報告を受けたホストコンピュータ40は、その不一致となった紙幣番号を、表示、記憶、印字、或いは報知する等の所定の処理を行う。
【0025】
このように構成した紙幣確認システムによれば、例えば、店頭に配置された自動紙幣取扱装置10aから委託警備会社の係員が売上げを回収し、所定の事務所まで移送して紙幣処理装置30により紙幣の確認を行なうといった手順を想定したとき、仮に、輸送中に1枚の紙幣を紛失した場合に、紙幣処理装置30は自動紙幣取扱装置10aの回収時に通信ネットワークを介して予め転送される紙幣番号データと、実際に手元に有る回収紙幣の紙幣番号とを比較するので、紛失した1枚に該当する紙幣番号が不一致として報告される。したがって、盗難や紛失の発見と同時に、何れの紙幣番号を有する紙幣が無くなったのかを特定することができる。
【0026】
また、ホストコンピュータ40における表示装置には、例えば、次の図7に示すような表示形態により、紙幣処理装置30が配置された事務所の係員などが紙幣番号データを把握することができるような表示がなされるようになっている。
図7は、本発明に係る紙幣確認システムにより収集される紙幣番号データを表示した例を示すイメージ図であり、(a)は通信ネットワークを経由して紙幣処理装置が受信するデータを表示した“回収データ表示”を示し、(b)は“回収データ表示”から更に“回収紙幣番号表示”へ移行した場面を示す。
“紙幣番号データ”には、何れの自動紙幣取扱装置による紙幣番号データであるかを示す「装置識別ID」と、何時の時点で回収された時の紙幣番号データであるかを示す「回収実行日時」とが含まれており、“回収データ表示”或いは“回収紙幣番号表示”の際に表示される。
同図(a)は、5万円分の釣銭を初期値としてセットした当該自動紙幣取扱装置の稼働を時系列的に全金員の遷移を記録した情報の状態表示であり、最終項が回収時となっている。ここでは回収時の紙幣格納状況として、一万円札が1枚、五千円札が1枚、千円札が17枚の例とする。そして次に、“回収紙幣番号表示”にすると同図(b)の如く、各紙幣についての紙幣番号を一覧表示することもできる。
【0027】
以上説明した本発明の実施の形態例においては、複数の自動紙幣取扱装置10a〜10dに対し1箇所(1台)の紙幣処理装置30を設けて対応するという例を図示したが、本発明の実施にあってはこの例に限らず、例えば、複数の自動紙幣取扱装置に対し複数箇所(複数台)の紙幣処理装置を設け、自動紙幣取扱装置の回収操作時に回収(移送)先となる箇所の紙幣処理装置を指定して当該回収される紙幣の紙幣番号データを送信するように構成しても良い。これによれば、回収ルートを多様化したり大規模なシステム構成とする場合にも柔軟に対処することができる。
また、将来、紙幣の紙幣番号の付与形態が変更され、現在の英数字の印刷による表記から、例えば、バーコード(二次元バーコード)やICタグ(RF−ID)等による付与形態となった場合には、それに応じて紙幣番号を読み取るセンサ部分を変更しさえすれば良いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係わる紙幣確認システムの実施の形態例を示すシステム構成図である。
【図2】本発明に係る自動紙幣取扱装置の内部構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明に係る自動紙幣取扱装置に用いる紙幣取扱部の構成図であり、(a)は入金時の機能動作を示し、(b)は金庫からの出金時、及び、金庫内紙幣のセルフチェック時の機能動作を示す。
【図4】自動紙幣取扱装置の紙幣番号処理に関わる手順例を示すフローチャート図であり、(a)は初期セット時のセルフチェック手順、(b)は入金時処理手順、(c)は出金時処理手順、(d)は回収時処理手順を示す。
【図5】本発明に係る紙幣処理装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図6】本発明に係る紙幣処理装置における紙幣番号確認処理手順の例を示すフローチャート図である。
【図7】本発明に係る紙幣確認システムにより収集される紙幣番号データを表示した例を示すイメージ図である。
【符号の説明】
【0029】
1・・・紙幣取扱部
2・・・搬送手段
3・・・イメージセンサ (画像取得手段)
4・・・紙幣
10、10a〜10d・・・自動紙幣取扱装置
11a・・・通貨受渡部
11b・・・通貨取扱部
12・・・操作部
13・・・表示部
14・・・利用者検出部
15a・・・発券口
15b・・・印字部
16・・・認識文字記憶部 (第1の記憶手段)
17・・・通信インタフェース (通信手段)
18・・・制御部 (文字認識手段)
19・・・係員操作部
20・・・通信ネットワーク
30・・・紙幣処理装置
31・・・イメージセンサ (画像取得手段)
32・・・A/D変換部
33・・・制御部 (文字認識手段)(比較手段)(不一致情報生成手段)
34・・・認識文字記憶部 (第2の記憶手段)
35・・・通信インタフェース部 (通信手段)
36・・・受信データ記憶部 (第3の記憶手段)
37・・・データ読出部
38・・・表示部 (表示手段)
40・・・ホストコンピュータ (管理装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者から入金された紙幣より画像情報を取得し、該画像情報から紙幣番号データを読み取りこれを第1の記憶手段に保持すると共に、紙幣を収納保持する自動紙幣取扱装置と、該自動紙幣取扱装置から管理者が回収した紙幣より画像情報を取得し、該画像情報から紙幣番号データを読み取りこれを第2の記憶手段に保持する紙幣処理装置と、前記自動紙幣取扱装置と紙幣処理装置とを繋ぐ通信ネットワークと、を備えたシステムを用いて紙幣を確認する方法であって、
前記自動紙幣取扱装置が前記第1の記憶手段から読み出した前記紙幣番号データを前記通信ネットワークを介して前記紙幣処理装置に送信する送信工程と、
前記紙幣処理装置が前記自動紙幣取扱装置から送信された前記紙幣番号データを受信する受信工程と、前記紙幣処理装置が受信した前記紙幣番号データを第3の記憶手段に記憶する記録工程と、
前記紙幣処理装置が前記第2の記憶手段より読み出した前記紙幣番号データを第3の記憶手段より読み出した前記紙幣番号データと比較する比較工程と、
前記紙幣処理装置が前記比較工程にて紙幣番号データの不一致を検知したとき当該不一致となった紙幣の紙幣番号データを含む不一致情報を生成する不一致情報生成工程と、を備えていることを特徴とする紙幣確認方法。
【請求項2】
利用者から入金された紙幣より画像情報を取得し、該画像情報から紙幣番号データを読み取りこれを第1の記憶手段に保持すると共に、紙幣を収納保持する自動紙幣取扱装置と、該自動紙幣取扱装置から管理者が回収した紙幣より画像情報を取得し、該画像情報から紙幣番号データを読み取りこれを第2の記憶手段に保持する紙幣処理装置と、前記自動紙幣取扱装置と紙幣処理装置とを繋ぐ通信ネットワークと、前記紙幣処理装置と接続された管理装置と、を備えたシステムを用いて紙幣を確認する方法であって、
前記自動紙幣取扱装置が前記第1の記憶手段から読み出した前記紙幣番号データを前記通信ネットワークを介して前記紙幣処理装置に送信する送信工程と、
前記紙幣処理装置が前記自動紙幣取扱装置から送信された前記紙幣番号データを受信する受信工程と、前記紙幣処理装置が受信した前記紙幣番号データを第3の記憶手段に記憶する記録工程と、
前記紙幣処理装置が前記第2の記憶手段より読み出した前記紙幣番号データを第3の記憶手段より読み出した前記紙幣番号データと比較する比較工程と、
前記紙幣処理装置が前記比較工程にて紙幣番号データの不一致を検知したとき当該紙幣番号データを前記管理装置に出力する不一致通知工程と、を備えていることを特徴とする紙幣確認方法。
【請求項3】
利用者から入金された紙幣より画像情報を取得し、該画像情報から紙幣番号データを読み取りこれを保持すると共に、紙幣を収納保持する自動紙幣取扱装置と、該自動紙幣取扱装置から管理者が回収した紙幣より画像情報を取得し、該画像情報から紙幣番号データを読み取りこれを保持する紙幣処理装置と、前記自動紙幣取扱装置と紙幣処理装置とを繋ぐ通信ネットワークと、を備えた紙幣確認システムであって、
前記自動紙幣取扱装置は、
入金された紙幣より画像情報を取得するための画像取得手段と、
取得した画像情報から紙幣番号を読み取る文字認識手段と、
読み取った紙幣番号を紙幣番号データとして保持する第1の記憶手段と、
通信ネットワークに接続するための通信手段と、を備えており、
前記紙幣処理装置は、
回収した紙幣より画像情報を取得するための画像取得手段と、
取得した画像情報から紙幣番号を読み取る文字認識手段と、
読み取った紙幣番号を紙幣番号データとして保持する第2の記憶手段と、
通信ネットワークに接続するための通信手段と、
前記自動紙幣取扱装置から通信ネットワークを介して受信した紙幣番号データを保持するための第3の記憶手段と、
第2の記憶手段から読み出した紙幣番号データと第3の記憶手段から読み出した紙幣番号データとを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較の結果が不一致であったときに当該不一致となった紙幣番号を含む不一致情報を生成する不一致情報生成手段と、を備えたことを特徴とする紙幣確認システム。
【請求項4】
前記紙幣処理装置は、更に、前記不一致情報生成手段が生成する不一致情報を表示する表示手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の紙幣確認システム。
【請求項5】
利用者から入金された紙幣より画像情報を取得し、該画像情報から紙幣番号データを読み取りこれを保持すると共に、紙幣を収納保持する自動紙幣取扱装置と、該自動紙幣取扱装置から管理者が回収した紙幣より画像情報を取得し、該画像情報から紙幣番号データを読み取りこれを保持する紙幣処理装置と、前記自動紙幣取扱装置と紙幣処理装置とを繋ぐ通信ネットワークと、前記紙幣処理装置と接続された管理装置と、を備えた紙幣確認システムであって、
前記自動紙幣取扱装置は、
入金された紙幣より画像情報を取得するための画像取得手段と、
取得した画像情報から紙幣番号を読み取る文字認識手段と、
読み取った紙幣番号を紙幣番号データとして保持する第1の記憶手段と、
通信ネットワークに接続するための通信手段と、を備えており、
前記紙幣処理装置は、
回収した紙幣より画像情報を取得するための画像取得手段と、
取得した画像情報から紙幣番号を読み取る文字認識手段と、
読み取った紙幣番号を紙幣番号データとして保持する第2の記憶手段と、
通信ネットワークに接続するための通信手段と、
前記自動紙幣取扱装置から通信ネットワークを介して受信した紙幣番号データを保持するための第3の記憶手段と、
第2の記憶手段から読み出した紙幣番号データと第3の記憶手段から読み出した紙幣番号データとを比較する比較手段と、
前記管理装置に紙幣番号データを伝送するためのインタフェース手段と、を備えており、
前記管理装置は、前記紙幣処理装置から紙幣番号データを受け取るためのインタフェース手段を備えたコンピュータであることを特徴とする紙幣確認システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−72918(P2006−72918A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258550(P2004−258550)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(305027456)東洋ネットワークシステムズ株式会社 (200)
【Fターム(参考)】