紙葉媒体整列機構および紙葉媒体処理装置
【課題】搬送されてきた紙葉媒体を揃えて集積することが可能な、新規かつ改良された紙葉媒体整列機構を提供する。
【解決手段】本発明の紙葉媒体集積機構は、搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、を備える。かかる紙葉媒体集積機構において、回転軸に固定された各回転部材の羽根の数は異なることを特徴とする。
【解決手段】本発明の紙葉媒体集積機構は、搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、を備える。かかる紙葉媒体集積機構において、回転軸に固定された各回転部材の羽根の数は異なることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉媒体整列機構および紙葉媒体処理装置に関し、より詳細には、現金自動入出金機等の紙葉媒体処理装置に使用され、集積された紙葉媒体を紙葉媒体長手方向に整列させる紙葉媒体整列機構および紙葉媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関等に設置されている現金自動入出金機(ATM)等の紙葉媒体処理装置には、当該装置に投入された紙葉媒体、例えば紙幣を集積する紙幣集積装置が備えられている(例えば、特許文献1、2)。従来の紙幣集積装置の集積機構を図11〜図13に示す。図11は、従来の紙幣集積装置の集積機構を示す概略斜視図である。図12は、従来の紙幣集積装置の集積機構を示す概略側面図である。図13は、従来の紙幣集積装置の集積機構を示す概略平面図である。
【0003】
図11に示すように、従来の紙幣集積装置の集積機構は、駆動系(図示せず。)によって所定方向(A方向)に回転するシャフト1と、シャフト1に固定され、ゴム等の弾性を有する材質からなる羽根車2と、シャフト1に固定された一対のプーリ3a、3bとを備える。プーリ3aの、シャフト1の長手方向両側には、羽根車2aおよび2bが、プーリ3bの、シャフト1の長手方向両側には、羽根車2cおよび2dが、所定間隔を置いてそれぞれ配置されている。プーリ3a、3bの上方(z軸正方向)には、それぞれプーリ6a、6bが対向して配置されている。プーリ6a、6bは、保持機構(図示せず。)によって回転自在に保持されており、ばね等の弾性部材(図示せず。)によってプーリ3a、3bに向かって押圧されている。
【0004】
プーリ3a、3bから紙幣搬送方向(B方向)に所定距離だけ離隔した位置には、保持機構(図示せず。)によって回転自在に保持された一対のプーリ4a、4bが設けられている。また、プーリ4a、4bの上方(z軸正方向)には、それぞれプーリ7a、7bが対向して配置されている。プーリ7a、7bは、保持機構(図示せず。)によって回転自在に保持されており、ばね等の弾性部材(図示せず。)によってプーリ4a、4bに向かって押圧されている。
【0005】
プーリ3aとプーリ4aとの間にはベルト5aが架けられており、プーリ3bとプーリ4bとの間にはベルト5bが架けられている。また、プーリ6aとプーリ7aとの間にはベルト8aが架けられており、プーリ6bとプーリ7bとの間にはベルト8bが架けられている。ベルト5aとベルト8a、ベルト5bとベルト8bとは、対向する面が接している。なお、符号9は紙幣であり、符号10は搬送されてきた紙幣9を集積する集積部である。
【0006】
シャフト1が駆動系(図示せず。)によってA方向に回転されると、シャフト1に固定されている羽根車2a〜2dおよびプーリ3a、3bもシャフト1とともにA方向に回転する。これに伴って、プーリ3a、3bに向かって押圧されているプーリ6a、6bは図12に示すようにC方向に回転する。また、プーリ4a、4bはベルト5a、5bを介してA’方向に回転し、プーリ7a、7bはベルト8a、8bを介してC’方向に回転する。このとき、紙幣9が搬送路(図示せず。)を介して搬送され、ベルト5aとベルト8aとの間およびベルト5bとベルト8bとの間に挿入されると、紙幣9は図11に示すようにB方向に搬送される。
【0007】
図14に、従来の紙幣集積装置の集積機構に搬送された紙幣9が集積部10に放出された状態の概略側面図を示す。図14に示すように、紙幣9がB方向に搬送され、紙幣9の後端部がプーリ3aと6aとの間、およびプーリ3bと6bとの間から離れると、紙幣9aの状態となり、集積部10に向かって放出される。そして、紙幣9の後端部が羽根車2a〜2dに叩かれて、下方(z軸負方向、D方向)に向かって紙幣9は強制的に落下させられる(紙幣9bの状態)。その後、紙幣9は自重によって落下し、集積部10に収容される(紙幣9cの状態)。
【0008】
ここで、図15に、搬送された紙幣9が集積部10に放出された状態の概略正面図を示す。集積部10の長手方向(y方向)の幅をE、紙幣9の長手方向(y方向)の長さをFとすると、集積部10の幅Eは、E>Fを満たすように設計されている。また、E/2の位置を紙幣9の紙幣走行センタラインCLとし、羽根車2a〜2d、プーリ3a、3b、4a、4b、6a、6b、7a、7b、ベルト5a、5b、8a、8bは紙幣走行センタラインCLに対してそれぞれ対称の位置に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−290850号公報
【特許文献2】特開2004−137015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、集積部10に搬送・放出された紙幣9は、羽根車2a〜2dによりその後端部を叩かれて落下するが、羽根車2a〜2dは紙幣走行センタラインCLに対して対称に配置されており、紙幣9が落下するときの紙幣9の長手方向の位置をコントロールしてはいない。このため、集積部10に落下した紙幣9は、図15に示すように、符号9c−1に位置することもあれば、符号9c−2に位置することもある。
【0011】
このように、従来の紙幣集積装置の集積機構の構成では、集積部10に落下して集積した紙幣9の長手方向(y方向)における位置が不定であるため、集積部10に集積した紙幣9の長手方向における位置は集積部10の幅Eいっぱいにばらつく可能性がある。そうすると、集積された紙幣を顧客に払い出す際に見た目が悪くなるという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、搬送されてきた紙葉媒体を揃えて集積することが可能な、新規かつ改良された紙葉媒体整列機構および紙葉媒体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、を備え、回転軸に固定された各回転部材の羽根の数は異なることを特徴とする、紙葉媒体集積機構が提供される。
【0014】
本発明によれば、回転軸に固定された各回転部材の羽根の数が異なるように構成することで、各回転部材がそれに設けられている羽根により紙葉媒体の移動方向を変化させるタイミングを異なるようにすることができる。
【0015】
回転軸に固定された各回転部材の羽根の数は、回転軸の長手方向の一側から他側に向かうにつれて少なくなるようにしてもよい。これにより、紙葉媒体を一側から他側に傾いた状態とすることができ、集積部の一方に寄せて紙葉媒体を積層させることができる。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、を備え、回転軸に固定された各回転部材の回転方向における羽根の厚さは異なることを特徴とする、紙葉媒体集積機構が提供される。
【0017】
本発明によれば、回転軸に固定された各回転部材の回転方向における羽根の厚さが異なるように構成することで、各回転部材がそれに設けられている羽根により紙葉媒体に加えられる力を異なるようにすることができる。
【0018】
各回転部材の回転方向における羽根の厚さは、回転軸の長手方向の一側から他側に向かうにつれて薄くなるようにしてもよい。これにより、紙葉媒体を一側から他側に傾いた状態とすることができ、集積部の一方に寄せて紙葉媒体を積層させることができる。
【0019】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、を備え、回転軸に固定された各回転部材の径方向における羽根の長さは異なることを特徴とする、紙葉媒体集積機構が提供される。
【0020】
本発明によれば、回転軸に固定された各回転部材の径方向における羽根の長さが異なるように構成することで、各回転部材がそれに設けられている羽根により紙葉媒体に加えられる力を異なるようにすることができる。
【0021】
各回転部材の径方向における羽根の長さは、回転軸の長手方向の一側から他側に向かうにつれて短くなるようにしてもよい。これにより、紙葉媒体を一側から他側に傾いた状態とすることができ、集積部の一方に寄せて紙葉媒体を積層させることができる。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、を備え、回転軸の回転に伴って回転部材は回転し、回転する各回転部材の羽根によって紙葉媒体の移動方向を変化させるタイミングが異なるように、各回転部材の羽根が設けられていることを特徴とする、紙葉媒体集積機構が提供される。
【0023】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、を備え、回転軸の回転に伴って回転部材は回転し、回転する各回転部材の羽根によって紙葉媒体に加えられる力の大きさが異なるように、各回転部材の羽根が設けられていることを特徴とする、紙葉媒体集積機構が提供される。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、上記の紙葉媒体集積機構を備え、紙葉媒体として紙幣の入出金が可能であることを特徴とする、紙葉媒体処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明によれば、搬送されてきた紙葉媒体を揃えて集積することが可能な、新規かつ改良された紙葉媒体整列機構および紙葉媒体処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略斜視図である。
【図2】同実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略側面図である。
【図3】同実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略平面図である。
【図4】同実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構に搬送された紙幣が集積部に放出された状態を示す概略側面図である。
【図5】搬送された紙幣が集積部に放出された状態を示す概略正面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略斜視図である。
【図7】同実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略側面図である。
【図8】同実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略平面図である。
【図9】同実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構に搬送された紙幣が集積部に放出された状態を示す概略側面図である。
【図10】搬送された紙幣が集積部に放出された状態を示す概略正面図である。
【図11】従来の紙幣集積装置の集積機構を示す概略斜視図である。
【図12】従来の紙幣集積装置の集積機構を示す概略側面図である。
【図13】従来の紙幣集積装置の集積機構を示す概略平面図である。
【図14】従来の紙幣集積装置の集積機構に搬送された紙幣が集積部に放出された状態を示す概略側面図である。
【図15】搬送された紙幣が集積部に放出された状態を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0028】
<1.第1の実施形態>
[紙幣集積装置の集積機構の構成]
まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構の構成について説明する。なお、図1は、第1の実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略斜視図である。図2は、本実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略側面図である。図3は、本実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略平面図である。なお、以下において、図11〜図15に示した従来の構成と同一の部材については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、以下の説明においては、紙葉媒体の一例として、紙幣を取り上げ説明する。
【0029】
本実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構は、従来の集積機構の構成と比較して、シャフト1に固定されている羽根車の構成が相違する。図1に示すように、本実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構は、駆動系(図示せず。)によって所定方向(A方向)に回転するシャフト1と、シャフト1に固定され、ゴム等の弾性を有する材質からなる羽根車20〜23と、シャフト1に固定された一対のプーリ3a、3bとを備える。プーリ3aの、シャフト1の長手方向両側には、羽根車20および21が、プーリ3bの、シャフト1の長手方向両側には、羽根車22および23が、所定間隔を置いてそれぞれ配置されている。プーリ3a、3bの上方(z軸正方向)には、それぞれプーリ6a、6bが対向して配置されている。プーリ6a、6bは、保持機構(図示せず。)によって回転自在に保持されており、ばね等の弾性部材(図示せず。)によってプーリ3a、3bに向かって押圧されている。
【0030】
プーリ3a、3bから紙幣搬送方向(B方向)に所定距離だけ離隔した位置には、保持機構(図示せず。)によって回転自在に保持された一対のプーリ4a、4bが設けられている。また、プーリ4a、4bの上方(z軸正方向)には、それぞれプーリ7a、7bが対向して配置されている。プーリ7a、7bは、保持機構(図示せず。)によって回転自在に保持されており、ばね等の弾性部材(図示せず。)によってプーリ4a、4bに向かって押圧されている。
【0031】
プーリ3aとプーリ4aとの間にはベルト5aが架けられており、プーリ3bとプーリ4bとの間にはベルト5bが架けられている。また、プーリ6aとプーリ7aとの間にはベルト8aが架けられており、プーリ6bとプーリ7bとの間にはベルト8bが架けられている。ベルト5aとベルト8a、ベルト5bとベルト8bとは、対向する面が接している。なお、符号9は紙幣であり、符号10は搬送されてきた紙幣9を集積する集積部である。
【0032】
本実施形態の羽根車20〜23は、各羽根車に設けられる羽根の数が異なっている。例えば、図1に示すように、羽根車20には8つの羽根20aが設けられており、羽根車21には4つの羽根21aが設けられている。また、羽根車22には2つの羽根22aが設けられており、羽根車23には1つの羽根23aが設けられている。羽根車20〜22については、複数の羽根は等間隔に配置されている。
【0033】
シャフト1が駆動系(図示せず。)によってA方向に回転されると、シャフト1に固定されている羽根車20〜23およびプーリ3a、3bもシャフト1とともにA方向に回転する。これに伴って、プーリ3a、3bに向かって押圧されているプーリ6a、6bは図2に示すようにC方向に回転する。また、プーリ4a、4bはベルト5a、5bを介してA’方向に回転し、プーリ7a、7bはベルト8a、8bを介してC’方向に回転する。このとき、紙幣9が搬送路(図示せず。)を介して搬送され、ベルト5aとベルト8aとの間およびベルト5bとベルト8bとの間に挿入されると、紙幣9は図1に示すようにB方向に搬送される。
【0034】
図4に、本実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構に搬送された紙幣9が集積部10に放出された状態の概略側面図を示す。また、図5に、搬送された紙幣9が集積部10に放出された状態の概略正面図を示す。図4に示すように、紙幣9がB方向に搬送され、紙幣9の後端部がプーリ3aと6aとの間、およびプーリ3bと6bとの間から離れると、紙幣9aの状態となり、集積部10に向かって放出される。そして、紙幣9の後端部が羽根車20〜23に叩かれて、下方(z軸負方向、G方向)に向かって紙幣9は強制的に落下させられる(紙幣9fの状態)。
【0035】
このとき、羽根車20〜23に設けられた羽根の数は、上述したように、羽根車20>羽根車21>羽根車22>羽根車23となっている。したがって、紙幣9の後端部が下方(G方向)へ強制的に移動させられるとき、最も早く移動されるが羽根の数が最も多い羽根車20に対応する部分である。次いで、羽根車21に対応する部分、羽根車22に対応する部分、の順に移動され、最も遅く移動されるのが羽根車23に対応する部分となる。すなわち、集積部10に放出された紙幣9は、図4の紙幣9fの状態のようにx軸負方向側がより早くG方向に移動し、紙幣9の長手方向の一側から他側に傾いた斜めの状態となる。
【0036】
その後、紙幣9は自重によって落下するが、紙幣9は斜めになっているために、図5に示すように紙幣9は自重落下しながらH方向に移動し、集積部10の側面に突き当たる(紙幣9gの状態)。さらに紙幣9が自重落下すると、I方向に移動して紙幣9は集積部10に収容される(紙幣9hの状態)。このように、紙幣9が搬送される度にかかる動作が繰り返され、集積部10に集積された紙幣9は、集積部10の一方向(図5に示す例ではy軸負方向)側に寄せられた状態で積層するようになる。
【0037】
以上、本発明の第1の実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構について説明した。本実施形態に係る集積機構は、紙幣9を集積部10に落下させる羽根車20〜23の羽根の数が、シャフト1の長手方向の一側から他側に向かって少なくなるように意図的に変化させた構成となっている。これにより、各羽根車20〜23が搬送されてきた紙幣9を叩くタイミングがずれ、紙幣9のうち羽根の数が多い羽根車に対応する部分ほど早く叩かれて落下する。この結果、紙幣9は斜めに落下し、一方に寄って集積部10に積層される。このように集積部10に放出された紙幣9の挙動を意図的に変化させて集積することで、紙幣9の長手方向に対して一定方向に動作させることが可能となり、集積部10に集積される紙幣9の長手方向を揃えることができる。これにより、顧客に紙幣9を払い出す際に紙幣9を揃えて差し出すことも可能となり、見た目に良い状態とすることができる。
【0038】
なお、本実施形態の集積機構には4つの羽根車を設け、羽根車の羽根の数はそれぞれ8つ、4つ、2つ、1つとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、集積機構には2以上の羽根車が設置されていればよい。また、羽根車に設けられる羽根の数は少なくとも1つあればよく、各羽根車の羽根の数がシャフト1の長手方向の一側から他側に向かって少なくなるようにすればよい。さらに、本実施形態では羽根車の羽根は等間隔に配置されていたが、本発明はかかる例に限定されない。羽根車に設けられる羽根は等間隔に設けられていなくてもよく、羽根の数が多い羽根車ほど最小の羽根間隔が小さくなるようにすればよい。
【0039】
<2.第2の実施形態>
[紙幣集積装置の集積機構の構成]
次に、図6〜図8は参照して、本発明の第2の実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構の構成について説明する。なお、図6は、第2の実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略斜視図である。図7は、本実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略側面図である。図8は、本実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略平面図である。なお、以下においては、第1の実施形態と同様、図11〜図15に示した従来の構成と同一の部材については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0040】
本実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構は、従来の集積機構の構成と比較して、シャフト1に固定されている羽根車の構成が相違する。第1の実施形態は、各羽根車に設けられている羽根の数を変化させたが、本実施形態では、各羽根車に設けられている羽根の厚みを変化させる。本実施形態に係る集積機構は第1の実施形態の集積機構と同様に機能するため、その構成と作用についての説明は省略し、以下、羽根車の構成とそれによる作用について詳細に説明する。
【0041】
本実施形態に係る集積機構のシャフト1には、図6に示すように、4つの羽根車30、31、32、33がシャフト1の長手方向(y方向)に順に固定されている。プーリ3aの、シャフト1の長手方向両側には、羽根車30および31が、プーリ3bの、シャフト1の長手方向両側には、羽根車32および33が、所定間隔を置いてそれぞれ配置されている。羽根車30〜33には、8つの羽根が等間隔にそれぞれ設けられている。ここで、羽根車30の羽根30aの厚さをt1、羽根車31の羽根31aの厚さをt2、羽根車32の羽根32aの厚さをt3、羽根車33の羽根33aの厚さをt4とすると、各羽根30a〜33aの厚さは、t1>t2>t3>t4を満たすように設定されている。
【0042】
シャフト1が駆動系(図示せず。)によってA方向に回転されると、シャフト1に固定されている羽根車30〜33およびプーリ3a、3bもシャフト1とともにA方向に回転する。これに伴って、プーリ3a、3bに向かって押圧されているプーリ6a、6bは図7に示すようにC方向に回転する。また、プーリ4a、4bはベルト5a、5bを介してA’方向に回転し、プーリ7a、7bはベルト8a、8bを介してC’方向に回転する。このとき、紙幣9が搬送路(図示せず。)を介して搬送され、ベルト5aとベルト8aとの間およびベルト5bとベルト8bとの間に挿入されると、紙幣9は図6に示すようにB方向に搬送される。
【0043】
図9に、本実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構に搬送された紙幣9が集積部10に放出された状態の概略側面図を示す。また、図10に、搬送された紙幣9が集積部10に放出された状態の概略正面図を示す。図9に示すように、紙幣9がB方向に搬送され、紙幣9の後端部がプーリ3aと6aとの間、およびプーリ3bと6bとの間から離れると、紙幣9aの状態となり、集積部10に向かって放出される。そして、紙幣9の後端部が羽根車30〜33に叩かれて、下方(z軸負方向、G方向)に向かって紙幣9は強制的に落下させられる(紙幣9fの状態)。
【0044】
このとき、羽根車30〜33に設けられた羽根の厚さは、上述したように、羽根車30>羽根車31>羽根車32>羽根車33となっている。したがって、紙幣9の後端部が下方(G方向)へ強制的に移動させられるとき、最も早く移動されるが羽根の厚さが最も厚い羽根車30に対応する部分である。次いで、羽根車31に対応する部分、羽根車32に対応する部分、の順に移動され、最も遅く移動されるのが羽根車33に対応する部分となる。すなわち、集積部10に放出された紙幣9は、図10の紙幣9fの状態のようにx軸負方向側がより早くG方向に移動し、紙幣9の長手方向の一側から他側に傾いた斜めの状態となる。
【0045】
その後、紙幣9は自重によって落下するが、紙幣9は斜めになっているために、図10に示すように紙幣9は自重落下しながらH方向に移動し、集積部10の側面に突き当たる(紙幣9gの状態)。さらに紙幣9が自重落下すると、I方向に移動して紙幣9は集積部10に収容される(紙幣9hの状態)。このように、紙幣9が搬送される度にかかる動作が繰り返され、集積部10に集積された紙幣9は、集積部10の一方向(図10に示す例ではy軸負方向)側に寄せられた状態で積層するようになる。
【0046】
以上、本発明の第2の実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構について説明した。本実施形態に係る集積機構は、紙幣9を集積部10に落下させる羽根車30〜33の羽根の厚さが、シャフト1の長手方向の一側から他側に向かって薄くなるように意図的に変化させた構成となっている。これにより、各羽根車30〜33が搬送されてきた紙幣9を叩くタイミングがずれ、紙幣9のうち羽根の厚さが厚い羽根車に対応する部分ほど早く叩かれて落下する。この結果、紙幣9は斜めに落下し、一方に寄って集積部10に積層される。このように集積部10に放出された紙幣9の挙動を意図的に変化させて集積することで、紙幣9の長手方向に対して一定方向に動作させることが可能となり、集積部10に集積される紙幣9の長手方向を揃えることができる。これにより、顧客に紙幣9を払い出す際に紙幣9を揃えて差し出すことも可能となり、見た目に良い状態とすることができる。
【0047】
なお、本実施形態の集積機構には4つの羽根車を設け、羽根車の羽根の数はそれぞれ8つとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、集積機構には複数の羽根車が設置さていればよい。また、羽根車に設けられる羽根の数は少なくとも1つあればよく、各羽根車の羽根の厚さがシャフト1の長手方向の一側から他側に向かって薄くなるようにすればよい。さらに、本実施形態では羽根車の羽根は等間隔に配置されていたが、本発明はかかる例に限定されない。羽根車に設けられる羽根は等間隔に設けられていなくてもよい。
【0048】
<3.変形例>
第1の実施形態および第2の実施形態のように、本発明の一実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構は、紙幣9の搬送方向(B方向、x方向)に対して直交する方向(y方向)において、紙幣9を集積部10に放出する際に羽根車により叩くタイミング(周期)を変化させたり、紙幣9に加える力を変化させたりしている。これにより、複数の羽根車によって紙幣9を叩くバランスを変化させ、紙幣9を集積部10の一方に寄せることで、集積部10に積層された紙幣9の長手方向を揃えることができる。
【0049】
上記実施形態の構成以外にも、例えば、シャフトに設けられた複数の羽根車に設けられた羽根の径方向における長さをそれぞれ変化させることで、同様に作用する集積機構を構成することができる。すなわち、例えば図6に示す集積機構を用いて説明すると、羽根車30〜33に設けられる羽根の数は同一とし、シャフト1の長手方向(y方向)において一側から他側に向かって順に羽根の長さを変化させるようにする。例えば、羽根車30の羽根の長さをl1、羽根車31の羽根の長さをl2、羽根車32の羽根の長さをl3、羽根車33の羽根の長さをl4、としたとき、各羽根車30〜33の羽根の長さは、l1>l2>l3>l4を満たすように設定されている。
【0050】
これは、羽根の長さが長いほど、紙幣9に接触したときに加える力が大きくなることに基づく。従来は、各羽根車により一定のバランスで紙幣9を叩くように構成されていたが、かかる例では意図的に紙幣9を叩く力のバランスを変化させることにより、図10に示すように、大きな力で叩かれた部分がより早く落下して斜めになった状態で紙幣9を落下させ、一側に寄った状態で紙幣9を積層させることができる。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0052】
例えば、上記実施形態では、ATM等に使用されるスタッカやカセットに紙葉媒体集積装置を備えた例について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、レジに設置される釣銭機や金券を扱う装置等にも上記紙葉媒体集積装置を適用してもよい。また、上記実施形態では、紙葉媒体が紙幣である場合について説明したが、本発明はかかる例に限定されず、例えば、金券や証券等についても適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 シャフト
20、21、22、23、30、31、32、33 羽根車
20a、21a、22a、23a、30a、31a、32a、33a 羽根
3a、3b、4a、4b、6a、6b、7a、7b プーリ
5a、5b、8a、8b ベルト
9 紙幣
10 集積部
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉媒体整列機構および紙葉媒体処理装置に関し、より詳細には、現金自動入出金機等の紙葉媒体処理装置に使用され、集積された紙葉媒体を紙葉媒体長手方向に整列させる紙葉媒体整列機構および紙葉媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関等に設置されている現金自動入出金機(ATM)等の紙葉媒体処理装置には、当該装置に投入された紙葉媒体、例えば紙幣を集積する紙幣集積装置が備えられている(例えば、特許文献1、2)。従来の紙幣集積装置の集積機構を図11〜図13に示す。図11は、従来の紙幣集積装置の集積機構を示す概略斜視図である。図12は、従来の紙幣集積装置の集積機構を示す概略側面図である。図13は、従来の紙幣集積装置の集積機構を示す概略平面図である。
【0003】
図11に示すように、従来の紙幣集積装置の集積機構は、駆動系(図示せず。)によって所定方向(A方向)に回転するシャフト1と、シャフト1に固定され、ゴム等の弾性を有する材質からなる羽根車2と、シャフト1に固定された一対のプーリ3a、3bとを備える。プーリ3aの、シャフト1の長手方向両側には、羽根車2aおよび2bが、プーリ3bの、シャフト1の長手方向両側には、羽根車2cおよび2dが、所定間隔を置いてそれぞれ配置されている。プーリ3a、3bの上方(z軸正方向)には、それぞれプーリ6a、6bが対向して配置されている。プーリ6a、6bは、保持機構(図示せず。)によって回転自在に保持されており、ばね等の弾性部材(図示せず。)によってプーリ3a、3bに向かって押圧されている。
【0004】
プーリ3a、3bから紙幣搬送方向(B方向)に所定距離だけ離隔した位置には、保持機構(図示せず。)によって回転自在に保持された一対のプーリ4a、4bが設けられている。また、プーリ4a、4bの上方(z軸正方向)には、それぞれプーリ7a、7bが対向して配置されている。プーリ7a、7bは、保持機構(図示せず。)によって回転自在に保持されており、ばね等の弾性部材(図示せず。)によってプーリ4a、4bに向かって押圧されている。
【0005】
プーリ3aとプーリ4aとの間にはベルト5aが架けられており、プーリ3bとプーリ4bとの間にはベルト5bが架けられている。また、プーリ6aとプーリ7aとの間にはベルト8aが架けられており、プーリ6bとプーリ7bとの間にはベルト8bが架けられている。ベルト5aとベルト8a、ベルト5bとベルト8bとは、対向する面が接している。なお、符号9は紙幣であり、符号10は搬送されてきた紙幣9を集積する集積部である。
【0006】
シャフト1が駆動系(図示せず。)によってA方向に回転されると、シャフト1に固定されている羽根車2a〜2dおよびプーリ3a、3bもシャフト1とともにA方向に回転する。これに伴って、プーリ3a、3bに向かって押圧されているプーリ6a、6bは図12に示すようにC方向に回転する。また、プーリ4a、4bはベルト5a、5bを介してA’方向に回転し、プーリ7a、7bはベルト8a、8bを介してC’方向に回転する。このとき、紙幣9が搬送路(図示せず。)を介して搬送され、ベルト5aとベルト8aとの間およびベルト5bとベルト8bとの間に挿入されると、紙幣9は図11に示すようにB方向に搬送される。
【0007】
図14に、従来の紙幣集積装置の集積機構に搬送された紙幣9が集積部10に放出された状態の概略側面図を示す。図14に示すように、紙幣9がB方向に搬送され、紙幣9の後端部がプーリ3aと6aとの間、およびプーリ3bと6bとの間から離れると、紙幣9aの状態となり、集積部10に向かって放出される。そして、紙幣9の後端部が羽根車2a〜2dに叩かれて、下方(z軸負方向、D方向)に向かって紙幣9は強制的に落下させられる(紙幣9bの状態)。その後、紙幣9は自重によって落下し、集積部10に収容される(紙幣9cの状態)。
【0008】
ここで、図15に、搬送された紙幣9が集積部10に放出された状態の概略正面図を示す。集積部10の長手方向(y方向)の幅をE、紙幣9の長手方向(y方向)の長さをFとすると、集積部10の幅Eは、E>Fを満たすように設計されている。また、E/2の位置を紙幣9の紙幣走行センタラインCLとし、羽根車2a〜2d、プーリ3a、3b、4a、4b、6a、6b、7a、7b、ベルト5a、5b、8a、8bは紙幣走行センタラインCLに対してそれぞれ対称の位置に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−290850号公報
【特許文献2】特開2004−137015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、集積部10に搬送・放出された紙幣9は、羽根車2a〜2dによりその後端部を叩かれて落下するが、羽根車2a〜2dは紙幣走行センタラインCLに対して対称に配置されており、紙幣9が落下するときの紙幣9の長手方向の位置をコントロールしてはいない。このため、集積部10に落下した紙幣9は、図15に示すように、符号9c−1に位置することもあれば、符号9c−2に位置することもある。
【0011】
このように、従来の紙幣集積装置の集積機構の構成では、集積部10に落下して集積した紙幣9の長手方向(y方向)における位置が不定であるため、集積部10に集積した紙幣9の長手方向における位置は集積部10の幅Eいっぱいにばらつく可能性がある。そうすると、集積された紙幣を顧客に払い出す際に見た目が悪くなるという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、搬送されてきた紙葉媒体を揃えて集積することが可能な、新規かつ改良された紙葉媒体整列機構および紙葉媒体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、を備え、回転軸に固定された各回転部材の羽根の数は異なることを特徴とする、紙葉媒体集積機構が提供される。
【0014】
本発明によれば、回転軸に固定された各回転部材の羽根の数が異なるように構成することで、各回転部材がそれに設けられている羽根により紙葉媒体の移動方向を変化させるタイミングを異なるようにすることができる。
【0015】
回転軸に固定された各回転部材の羽根の数は、回転軸の長手方向の一側から他側に向かうにつれて少なくなるようにしてもよい。これにより、紙葉媒体を一側から他側に傾いた状態とすることができ、集積部の一方に寄せて紙葉媒体を積層させることができる。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、を備え、回転軸に固定された各回転部材の回転方向における羽根の厚さは異なることを特徴とする、紙葉媒体集積機構が提供される。
【0017】
本発明によれば、回転軸に固定された各回転部材の回転方向における羽根の厚さが異なるように構成することで、各回転部材がそれに設けられている羽根により紙葉媒体に加えられる力を異なるようにすることができる。
【0018】
各回転部材の回転方向における羽根の厚さは、回転軸の長手方向の一側から他側に向かうにつれて薄くなるようにしてもよい。これにより、紙葉媒体を一側から他側に傾いた状態とすることができ、集積部の一方に寄せて紙葉媒体を積層させることができる。
【0019】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、を備え、回転軸に固定された各回転部材の径方向における羽根の長さは異なることを特徴とする、紙葉媒体集積機構が提供される。
【0020】
本発明によれば、回転軸に固定された各回転部材の径方向における羽根の長さが異なるように構成することで、各回転部材がそれに設けられている羽根により紙葉媒体に加えられる力を異なるようにすることができる。
【0021】
各回転部材の径方向における羽根の長さは、回転軸の長手方向の一側から他側に向かうにつれて短くなるようにしてもよい。これにより、紙葉媒体を一側から他側に傾いた状態とすることができ、集積部の一方に寄せて紙葉媒体を積層させることができる。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、を備え、回転軸の回転に伴って回転部材は回転し、回転する各回転部材の羽根によって紙葉媒体の移動方向を変化させるタイミングが異なるように、各回転部材の羽根が設けられていることを特徴とする、紙葉媒体集積機構が提供される。
【0023】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、を備え、回転軸の回転に伴って回転部材は回転し、回転する各回転部材の羽根によって紙葉媒体に加えられる力の大きさが異なるように、各回転部材の羽根が設けられていることを特徴とする、紙葉媒体集積機構が提供される。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、上記の紙葉媒体集積機構を備え、紙葉媒体として紙幣の入出金が可能であることを特徴とする、紙葉媒体処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明によれば、搬送されてきた紙葉媒体を揃えて集積することが可能な、新規かつ改良された紙葉媒体整列機構および紙葉媒体処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略斜視図である。
【図2】同実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略側面図である。
【図3】同実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略平面図である。
【図4】同実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構に搬送された紙幣が集積部に放出された状態を示す概略側面図である。
【図5】搬送された紙幣が集積部に放出された状態を示す概略正面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略斜視図である。
【図7】同実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略側面図である。
【図8】同実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略平面図である。
【図9】同実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構に搬送された紙幣が集積部に放出された状態を示す概略側面図である。
【図10】搬送された紙幣が集積部に放出された状態を示す概略正面図である。
【図11】従来の紙幣集積装置の集積機構を示す概略斜視図である。
【図12】従来の紙幣集積装置の集積機構を示す概略側面図である。
【図13】従来の紙幣集積装置の集積機構を示す概略平面図である。
【図14】従来の紙幣集積装置の集積機構に搬送された紙幣が集積部に放出された状態を示す概略側面図である。
【図15】搬送された紙幣が集積部に放出された状態を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0028】
<1.第1の実施形態>
[紙幣集積装置の集積機構の構成]
まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構の構成について説明する。なお、図1は、第1の実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略斜視図である。図2は、本実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略側面図である。図3は、本実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略平面図である。なお、以下において、図11〜図15に示した従来の構成と同一の部材については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、以下の説明においては、紙葉媒体の一例として、紙幣を取り上げ説明する。
【0029】
本実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構は、従来の集積機構の構成と比較して、シャフト1に固定されている羽根車の構成が相違する。図1に示すように、本実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構は、駆動系(図示せず。)によって所定方向(A方向)に回転するシャフト1と、シャフト1に固定され、ゴム等の弾性を有する材質からなる羽根車20〜23と、シャフト1に固定された一対のプーリ3a、3bとを備える。プーリ3aの、シャフト1の長手方向両側には、羽根車20および21が、プーリ3bの、シャフト1の長手方向両側には、羽根車22および23が、所定間隔を置いてそれぞれ配置されている。プーリ3a、3bの上方(z軸正方向)には、それぞれプーリ6a、6bが対向して配置されている。プーリ6a、6bは、保持機構(図示せず。)によって回転自在に保持されており、ばね等の弾性部材(図示せず。)によってプーリ3a、3bに向かって押圧されている。
【0030】
プーリ3a、3bから紙幣搬送方向(B方向)に所定距離だけ離隔した位置には、保持機構(図示せず。)によって回転自在に保持された一対のプーリ4a、4bが設けられている。また、プーリ4a、4bの上方(z軸正方向)には、それぞれプーリ7a、7bが対向して配置されている。プーリ7a、7bは、保持機構(図示せず。)によって回転自在に保持されており、ばね等の弾性部材(図示せず。)によってプーリ4a、4bに向かって押圧されている。
【0031】
プーリ3aとプーリ4aとの間にはベルト5aが架けられており、プーリ3bとプーリ4bとの間にはベルト5bが架けられている。また、プーリ6aとプーリ7aとの間にはベルト8aが架けられており、プーリ6bとプーリ7bとの間にはベルト8bが架けられている。ベルト5aとベルト8a、ベルト5bとベルト8bとは、対向する面が接している。なお、符号9は紙幣であり、符号10は搬送されてきた紙幣9を集積する集積部である。
【0032】
本実施形態の羽根車20〜23は、各羽根車に設けられる羽根の数が異なっている。例えば、図1に示すように、羽根車20には8つの羽根20aが設けられており、羽根車21には4つの羽根21aが設けられている。また、羽根車22には2つの羽根22aが設けられており、羽根車23には1つの羽根23aが設けられている。羽根車20〜22については、複数の羽根は等間隔に配置されている。
【0033】
シャフト1が駆動系(図示せず。)によってA方向に回転されると、シャフト1に固定されている羽根車20〜23およびプーリ3a、3bもシャフト1とともにA方向に回転する。これに伴って、プーリ3a、3bに向かって押圧されているプーリ6a、6bは図2に示すようにC方向に回転する。また、プーリ4a、4bはベルト5a、5bを介してA’方向に回転し、プーリ7a、7bはベルト8a、8bを介してC’方向に回転する。このとき、紙幣9が搬送路(図示せず。)を介して搬送され、ベルト5aとベルト8aとの間およびベルト5bとベルト8bとの間に挿入されると、紙幣9は図1に示すようにB方向に搬送される。
【0034】
図4に、本実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構に搬送された紙幣9が集積部10に放出された状態の概略側面図を示す。また、図5に、搬送された紙幣9が集積部10に放出された状態の概略正面図を示す。図4に示すように、紙幣9がB方向に搬送され、紙幣9の後端部がプーリ3aと6aとの間、およびプーリ3bと6bとの間から離れると、紙幣9aの状態となり、集積部10に向かって放出される。そして、紙幣9の後端部が羽根車20〜23に叩かれて、下方(z軸負方向、G方向)に向かって紙幣9は強制的に落下させられる(紙幣9fの状態)。
【0035】
このとき、羽根車20〜23に設けられた羽根の数は、上述したように、羽根車20>羽根車21>羽根車22>羽根車23となっている。したがって、紙幣9の後端部が下方(G方向)へ強制的に移動させられるとき、最も早く移動されるが羽根の数が最も多い羽根車20に対応する部分である。次いで、羽根車21に対応する部分、羽根車22に対応する部分、の順に移動され、最も遅く移動されるのが羽根車23に対応する部分となる。すなわち、集積部10に放出された紙幣9は、図4の紙幣9fの状態のようにx軸負方向側がより早くG方向に移動し、紙幣9の長手方向の一側から他側に傾いた斜めの状態となる。
【0036】
その後、紙幣9は自重によって落下するが、紙幣9は斜めになっているために、図5に示すように紙幣9は自重落下しながらH方向に移動し、集積部10の側面に突き当たる(紙幣9gの状態)。さらに紙幣9が自重落下すると、I方向に移動して紙幣9は集積部10に収容される(紙幣9hの状態)。このように、紙幣9が搬送される度にかかる動作が繰り返され、集積部10に集積された紙幣9は、集積部10の一方向(図5に示す例ではy軸負方向)側に寄せられた状態で積層するようになる。
【0037】
以上、本発明の第1の実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構について説明した。本実施形態に係る集積機構は、紙幣9を集積部10に落下させる羽根車20〜23の羽根の数が、シャフト1の長手方向の一側から他側に向かって少なくなるように意図的に変化させた構成となっている。これにより、各羽根車20〜23が搬送されてきた紙幣9を叩くタイミングがずれ、紙幣9のうち羽根の数が多い羽根車に対応する部分ほど早く叩かれて落下する。この結果、紙幣9は斜めに落下し、一方に寄って集積部10に積層される。このように集積部10に放出された紙幣9の挙動を意図的に変化させて集積することで、紙幣9の長手方向に対して一定方向に動作させることが可能となり、集積部10に集積される紙幣9の長手方向を揃えることができる。これにより、顧客に紙幣9を払い出す際に紙幣9を揃えて差し出すことも可能となり、見た目に良い状態とすることができる。
【0038】
なお、本実施形態の集積機構には4つの羽根車を設け、羽根車の羽根の数はそれぞれ8つ、4つ、2つ、1つとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、集積機構には2以上の羽根車が設置されていればよい。また、羽根車に設けられる羽根の数は少なくとも1つあればよく、各羽根車の羽根の数がシャフト1の長手方向の一側から他側に向かって少なくなるようにすればよい。さらに、本実施形態では羽根車の羽根は等間隔に配置されていたが、本発明はかかる例に限定されない。羽根車に設けられる羽根は等間隔に設けられていなくてもよく、羽根の数が多い羽根車ほど最小の羽根間隔が小さくなるようにすればよい。
【0039】
<2.第2の実施形態>
[紙幣集積装置の集積機構の構成]
次に、図6〜図8は参照して、本発明の第2の実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構の構成について説明する。なお、図6は、第2の実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略斜視図である。図7は、本実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略側面図である。図8は、本実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構を示す概略平面図である。なお、以下においては、第1の実施形態と同様、図11〜図15に示した従来の構成と同一の部材については同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0040】
本実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構は、従来の集積機構の構成と比較して、シャフト1に固定されている羽根車の構成が相違する。第1の実施形態は、各羽根車に設けられている羽根の数を変化させたが、本実施形態では、各羽根車に設けられている羽根の厚みを変化させる。本実施形態に係る集積機構は第1の実施形態の集積機構と同様に機能するため、その構成と作用についての説明は省略し、以下、羽根車の構成とそれによる作用について詳細に説明する。
【0041】
本実施形態に係る集積機構のシャフト1には、図6に示すように、4つの羽根車30、31、32、33がシャフト1の長手方向(y方向)に順に固定されている。プーリ3aの、シャフト1の長手方向両側には、羽根車30および31が、プーリ3bの、シャフト1の長手方向両側には、羽根車32および33が、所定間隔を置いてそれぞれ配置されている。羽根車30〜33には、8つの羽根が等間隔にそれぞれ設けられている。ここで、羽根車30の羽根30aの厚さをt1、羽根車31の羽根31aの厚さをt2、羽根車32の羽根32aの厚さをt3、羽根車33の羽根33aの厚さをt4とすると、各羽根30a〜33aの厚さは、t1>t2>t3>t4を満たすように設定されている。
【0042】
シャフト1が駆動系(図示せず。)によってA方向に回転されると、シャフト1に固定されている羽根車30〜33およびプーリ3a、3bもシャフト1とともにA方向に回転する。これに伴って、プーリ3a、3bに向かって押圧されているプーリ6a、6bは図7に示すようにC方向に回転する。また、プーリ4a、4bはベルト5a、5bを介してA’方向に回転し、プーリ7a、7bはベルト8a、8bを介してC’方向に回転する。このとき、紙幣9が搬送路(図示せず。)を介して搬送され、ベルト5aとベルト8aとの間およびベルト5bとベルト8bとの間に挿入されると、紙幣9は図6に示すようにB方向に搬送される。
【0043】
図9に、本実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構に搬送された紙幣9が集積部10に放出された状態の概略側面図を示す。また、図10に、搬送された紙幣9が集積部10に放出された状態の概略正面図を示す。図9に示すように、紙幣9がB方向に搬送され、紙幣9の後端部がプーリ3aと6aとの間、およびプーリ3bと6bとの間から離れると、紙幣9aの状態となり、集積部10に向かって放出される。そして、紙幣9の後端部が羽根車30〜33に叩かれて、下方(z軸負方向、G方向)に向かって紙幣9は強制的に落下させられる(紙幣9fの状態)。
【0044】
このとき、羽根車30〜33に設けられた羽根の厚さは、上述したように、羽根車30>羽根車31>羽根車32>羽根車33となっている。したがって、紙幣9の後端部が下方(G方向)へ強制的に移動させられるとき、最も早く移動されるが羽根の厚さが最も厚い羽根車30に対応する部分である。次いで、羽根車31に対応する部分、羽根車32に対応する部分、の順に移動され、最も遅く移動されるのが羽根車33に対応する部分となる。すなわち、集積部10に放出された紙幣9は、図10の紙幣9fの状態のようにx軸負方向側がより早くG方向に移動し、紙幣9の長手方向の一側から他側に傾いた斜めの状態となる。
【0045】
その後、紙幣9は自重によって落下するが、紙幣9は斜めになっているために、図10に示すように紙幣9は自重落下しながらH方向に移動し、集積部10の側面に突き当たる(紙幣9gの状態)。さらに紙幣9が自重落下すると、I方向に移動して紙幣9は集積部10に収容される(紙幣9hの状態)。このように、紙幣9が搬送される度にかかる動作が繰り返され、集積部10に集積された紙幣9は、集積部10の一方向(図10に示す例ではy軸負方向)側に寄せられた状態で積層するようになる。
【0046】
以上、本発明の第2の実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構について説明した。本実施形態に係る集積機構は、紙幣9を集積部10に落下させる羽根車30〜33の羽根の厚さが、シャフト1の長手方向の一側から他側に向かって薄くなるように意図的に変化させた構成となっている。これにより、各羽根車30〜33が搬送されてきた紙幣9を叩くタイミングがずれ、紙幣9のうち羽根の厚さが厚い羽根車に対応する部分ほど早く叩かれて落下する。この結果、紙幣9は斜めに落下し、一方に寄って集積部10に積層される。このように集積部10に放出された紙幣9の挙動を意図的に変化させて集積することで、紙幣9の長手方向に対して一定方向に動作させることが可能となり、集積部10に集積される紙幣9の長手方向を揃えることができる。これにより、顧客に紙幣9を払い出す際に紙幣9を揃えて差し出すことも可能となり、見た目に良い状態とすることができる。
【0047】
なお、本実施形態の集積機構には4つの羽根車を設け、羽根車の羽根の数はそれぞれ8つとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、集積機構には複数の羽根車が設置さていればよい。また、羽根車に設けられる羽根の数は少なくとも1つあればよく、各羽根車の羽根の厚さがシャフト1の長手方向の一側から他側に向かって薄くなるようにすればよい。さらに、本実施形態では羽根車の羽根は等間隔に配置されていたが、本発明はかかる例に限定されない。羽根車に設けられる羽根は等間隔に設けられていなくてもよい。
【0048】
<3.変形例>
第1の実施形態および第2の実施形態のように、本発明の一実施形態に係る紙幣集積装置の集積機構は、紙幣9の搬送方向(B方向、x方向)に対して直交する方向(y方向)において、紙幣9を集積部10に放出する際に羽根車により叩くタイミング(周期)を変化させたり、紙幣9に加える力を変化させたりしている。これにより、複数の羽根車によって紙幣9を叩くバランスを変化させ、紙幣9を集積部10の一方に寄せることで、集積部10に積層された紙幣9の長手方向を揃えることができる。
【0049】
上記実施形態の構成以外にも、例えば、シャフトに設けられた複数の羽根車に設けられた羽根の径方向における長さをそれぞれ変化させることで、同様に作用する集積機構を構成することができる。すなわち、例えば図6に示す集積機構を用いて説明すると、羽根車30〜33に設けられる羽根の数は同一とし、シャフト1の長手方向(y方向)において一側から他側に向かって順に羽根の長さを変化させるようにする。例えば、羽根車30の羽根の長さをl1、羽根車31の羽根の長さをl2、羽根車32の羽根の長さをl3、羽根車33の羽根の長さをl4、としたとき、各羽根車30〜33の羽根の長さは、l1>l2>l3>l4を満たすように設定されている。
【0050】
これは、羽根の長さが長いほど、紙幣9に接触したときに加える力が大きくなることに基づく。従来は、各羽根車により一定のバランスで紙幣9を叩くように構成されていたが、かかる例では意図的に紙幣9を叩く力のバランスを変化させることにより、図10に示すように、大きな力で叩かれた部分がより早く落下して斜めになった状態で紙幣9を落下させ、一側に寄った状態で紙幣9を積層させることができる。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0052】
例えば、上記実施形態では、ATM等に使用されるスタッカやカセットに紙葉媒体集積装置を備えた例について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、レジに設置される釣銭機や金券を扱う装置等にも上記紙葉媒体集積装置を適用してもよい。また、上記実施形態では、紙葉媒体が紙幣である場合について説明したが、本発明はかかる例に限定されず、例えば、金券や証券等についても適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 シャフト
20、21、22、23、30、31、32、33 羽根車
20a、21a、22a、23a、30a、31a、32a、33a 羽根
3a、3b、4a、4b、6a、6b、7a、7b プーリ
5a、5b、8a、8b ベルト
9 紙幣
10 集積部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、
紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、前記複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、
前記回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、
を備え、
前記回転軸に固定された前記各回転部材の羽根の数は異なることを特徴とする、紙葉媒体集積機構。
【請求項2】
前記回転軸に固定された前記各回転部材の羽根の数は、前記回転軸の長手方向の一側から他側に向かうにつれて少なくなることを特徴とする、請求項1に記載の紙葉媒体集積機構。
【請求項3】
搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、
紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、前記複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、
前記回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、
を備え、
前記回転軸に固定された前記各回転部材の回転方向における羽根の厚さは異なることを特徴とする、紙葉媒体集積機構。
【請求項4】
前記各回転部材の回転方向における羽根の厚さは、前記回転軸の長手方向の一側から他側に向かうにつれて薄くなることを特徴とする、請求項3に記載の紙葉媒体集積機構。
【請求項5】
搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、
紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、前記複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、
前記回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、
を備え、
前記回転軸に固定された前記各回転部材の径方向における羽根の長さは異なることを特徴とする、紙葉媒体集積機構。
【請求項6】
前記各回転部材の径方向における羽根の長さは、前記回転軸の長手方向の一側から他側に向かうにつれて短くなることを特徴とする、請求項5に記載の紙葉媒体集積機構。
【請求項7】
搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、
紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、前記複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、
前記回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、
を備え、
前記回転軸の回転に伴って前記回転部材は回転し、
回転する前記各回転部材の羽根によって前記紙葉媒体の移動方向を変化させるタイミングが異なるように、前記各回転部材の羽根が設けられていることを特徴とする、紙葉媒体集積機構。
【請求項8】
搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、
紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、前記複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、
前記回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、
を備え、
前記回転軸の回転に伴って前記回転部材は回転し、
回転する前記各回転部材の羽根によって前記紙葉媒体に加えられる力の大きさが異なるように、前記各回転部材の羽根が設けられていることを特徴とする、紙葉媒体集積機構。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の紙葉媒体集積機構を備え、前記紙葉媒体として紙幣の入出金が可能であることを特徴とする、紙葉媒体処理装置。
【請求項1】
搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、
紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、前記複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、
前記回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、
を備え、
前記回転軸に固定された前記各回転部材の羽根の数は異なることを特徴とする、紙葉媒体集積機構。
【請求項2】
前記回転軸に固定された前記各回転部材の羽根の数は、前記回転軸の長手方向の一側から他側に向かうにつれて少なくなることを特徴とする、請求項1に記載の紙葉媒体集積機構。
【請求項3】
搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、
紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、前記複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、
前記回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、
を備え、
前記回転軸に固定された前記各回転部材の回転方向における羽根の厚さは異なることを特徴とする、紙葉媒体集積機構。
【請求項4】
前記各回転部材の回転方向における羽根の厚さは、前記回転軸の長手方向の一側から他側に向かうにつれて薄くなることを特徴とする、請求項3に記載の紙葉媒体集積機構。
【請求項5】
搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、
紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、前記複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、
前記回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、
を備え、
前記回転軸に固定された前記各回転部材の径方向における羽根の長さは異なることを特徴とする、紙葉媒体集積機構。
【請求項6】
前記各回転部材の径方向における羽根の長さは、前記回転軸の長手方向の一側から他側に向かうにつれて短くなることを特徴とする、請求項5に記載の紙葉媒体集積機構。
【請求項7】
搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、
紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、前記複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、
前記回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、
を備え、
前記回転軸の回転に伴って前記回転部材は回転し、
回転する前記各回転部材の羽根によって前記紙葉媒体の移動方向を変化させるタイミングが異なるように、前記各回転部材の羽根が設けられていることを特徴とする、紙葉媒体集積機構。
【請求項8】
搬送された紙葉媒体の移動方向を変化させる少なくとも1つの羽根を備える複数の回転部材と、
紙葉媒体の搬送方向に対して直交する方向に延びるように設けられ、前記複数の回転部材が長手方向に固定された回転軸と、
前記回転部材の羽根によって移動方向が変化された紙葉媒体を積層させて収容する集積部と、
を備え、
前記回転軸の回転に伴って前記回転部材は回転し、
回転する前記各回転部材の羽根によって前記紙葉媒体に加えられる力の大きさが異なるように、前記各回転部材の羽根が設けられていることを特徴とする、紙葉媒体集積機構。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の紙葉媒体集積機構を備え、前記紙葉媒体として紙幣の入出金が可能であることを特徴とする、紙葉媒体処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−211009(P2012−211009A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78209(P2011−78209)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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