紙葉類処理装置及びこれに用いられるヘッダカード
【課題】簡便に検出し得る仕切りカードを用いて、紙葉類の取出し操作を制御する。
【解決手段】投入部、取出し機構、色検知部、取出し制御部、判別ユニット、集積部、及び排除部を有する紙葉類処理装置において、投入部に有色領域をもつ仕切りカードと、被処理媒体を投入する。
【解決手段】投入部、取出し機構、色検知部、取出し制御部、判別ユニット、集積部、及び排除部を有する紙葉類処理装置において、投入部に有色領域をもつ仕切りカードと、被処理媒体を投入する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば紙幣等を判別処理するための紙葉類処理装置、及び取り扱う紙葉類を区分するための情報及びカードの種類等が記録されたヘッダカードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙葉類処理装置では、小口のバッチ処理を行う目的で、ヘッダカード単体またはヘッダカードとトレーラカードを組み合わせ運用しているケースがある。通常、ヘッダカードには、カードの個別情報を示すバーコード、シリアル番号、顧客番号のほか、ヘッダカードであることを検知部に識別させるためのストライプや磁気パターン等が印刷されている。また、トレーラカードには、上記バーコードやシリアル番号はなく、ヘッダカードと区別するためのストライプや磁気パターンが印刷されている。さらにトレーラカードとして、オペレーターの視認性を高めるため、全面が着色されたものもある。
【0003】
従来の紙葉類処理装置におけるヘッダカード、及びトレーラカードは、着色されたり、それぞれのカードで異なるコードを印字されて、オペレータまたは判別装置内の判別部でそのカードの種類が検知されていたが、それら従来のカードでは、必要に応じてバッチごとに供給を停止したり、または再開したりすることができなかった(例えば、特許文献1参照)。そのため、例えばバッチの境目で作業を停止したい場合や、紙葉類処理装置の制約によりバッチ間で時間的なインターバルをおきたい場合には、オペレータがタイミングを計って手作業で操作していた。
【特許文献1】特表2000−503956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情を鑑みて成されたものであり、簡便に検出し得る仕切りカードを用いて、紙葉類の取出し操作を制御し得る紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の紙葉類処理装置は、作業単位毎に集積された紙葉類と、前記紙葉類上に重ねられ、両主面を有するカード状基材、及び前記カード基材の少なくとも一主面上に設けられた、カードを識別するための有色領域を含む仕切りカードとを有する1バッチ分の被処理媒体を、1または複数バッチ重ねて投入する投入部と、
前記被処理媒体を前記投入部から個々に取出す取出し機構と、
前記投入部の取り出し方向先端に配置された被処理媒体の色を検知する色検知部と、
前記色検知部からの検知情報に基づいて、取出し操作を制御する取出し制御部と、
前記被処理媒体の特徴を検知し、判別するための判別ユニットと、
前記判別ユニットにおける判別結果に基づいて前記紙葉類を集積する集積部と、
前記判別ユニットおける判別結果に基づいて前記集積部に集積されなかった前記紙葉類、及び前記仕切りカードを集積する排除部とを具備することを特徴とする。
【0006】
本発明のヘッダカードは、紙葉類を検出及び判別して集積するための紙葉類処理装置に紙葉類を投入する際に、集積された前記紙葉類の作業単位の先端に仕切りカードとして配置されるヘッダカードであって、両主面を有するカード状基材、一主面の中央部に設けられ、紙葉類の識別情報が記録されたバーコード領域、及び前記バーコード領域の周囲に設けられ、カードの種類を識別するための有色領域を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明を用いると、紙葉類の取出し操作を容易に制御し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。
【0009】
図1は、本発明に係る紙葉類処理装置の一例として、例えば、複数の銀行から送られた銀行券(紙葉類)を検査して再使用するため結束する銀行券処理装置1(以下、単に処理装置1と称する)の概略構成図を示す。
【0010】
処理装置1は、後述するヘッダカードを間に挟んだ集積状態の複数枚の銀行券を投入する投入部2を有する。ヘッダカードの表面および裏面には、そのカードに固有の機械読み可能な識別記号として全く同じ組み合わせの色パターンがそれぞれ印刷されている。
【0011】
処理装置1に銀行券を投入する前段の処理として、1処理単位(以下、バッチと称する)の被処理媒体例えば銀行の各支店から送られた1まとまりの同一金種の集積状態の銀行券の上に、上記1枚のヘッダカードを集積し得る。さらに、その上に次のバッチの被処理媒体として、銀行券およびヘッダカードを集積し得る。
【0012】
また運用によっては、バッチの先端にヘッダカード、バッチの後端にトレーラカードを挿入することができる。この例ではヘッダカードとトレーラカードの両方を使用する場合について説明する。なお、各バッチの銀行券の枚数は同じとは限らない。このようにして、処理装置1に、1回に投入可能なバッチ数の銀行券、及び1バッチ毎にその先端を仕切るヘッダカード、及び1バッチ毎にその後端を仕切るトレーラカードからなる被処理媒体11が集積して投入される。このとき、各バッチ毎に挿入したヘッダカードのバーコードに関連付けて、オペレータによって、各バッチの銀行券に関するデータとして、銀行名、支店名、銀行券の金種、枚数等が入力される。このようにして前処理時に入力されたバッチデータは、後段の処理装置1による計数結果との照合に用いられる。
【0013】
投入部2の後段には、投入部2に投入されたヘッダカード、銀行券、及びトレーラカード(以下、総称して被処理媒体とする場合もある)をその前端のものから1枚ずつ取出す取出し機構3が設けられている。取出し機構3は、例えば紙葉類を上下または左右から挟持し、モータからの駆動を受けて、被処理媒体を所定のピッチで取出すようになっている。
【0014】
なお、投入部2と取出し機構3との間には、投入部2前端に配置された被処理媒体の色を検知する色検知部12が設けられている。
【0015】
色検知部12は1または2以上の色検知器を有しており、取り出される度に更新される先頭の紙葉類の色情報を観測し、図示しない取出し制御部に1枚ごとの色情報を通信する。この装置例では、色検知部12には例えば2つの色検知器 色センサ12Aと色センサ12Bが搭載されているものとして説明する。
【0016】
取出し機構3の下流側には、吸着ローラ等により取出された被処理媒体を処理装置1内を通して搬送する搬送路4が延設されている。搬送路4上には、図示しない搬送ベルトや駆動プーリが配設され、図示しない駆動モータによって搬送ベルトを走行させることにより被処理媒体を搬送路4を介して一定速度で搬送させるようになっている。
【0017】
取出し機構3から延びた搬送路4上には、搬送路4を介して搬送されている被処理媒体の特徴を検知し、判別するための判別ユニット5が設けられている。判別ユニット5には、例えば被処理媒体の特性を検出する図示しない検出部、及び検出部からの被処理媒体の検出情報を処理する図示しない検出情報処理部等が設けられ得る。
【0018】
判別ユニット5の下流側の搬送路4上には、6つのゲートG1〜G7が順次配設されている。各ゲートG1〜G7は、判別ユニット5における検出結果に基づいて図示しない制御部による制御に従って切換えられ、当該被処理媒体を所定の処理部へ指向する。
【0019】
判別ユニット5の直後に配設されたゲートG1は、搬送路4を排除搬送路4aに分岐する位置に設けられ、判別ユニット5を介して正規の銀行券ではないことが検出された排除券やヘッダカードを排除搬送路4aへ分岐するように切換えられる。排除搬送路4aの終端には、取出し機構3にて取出した姿勢のまま、すなわち表裏を反転しないで、排除券やヘッダカードをその取出し、順序を変えずに集積する排除集積部8(排除部)が設けられている。例えば、投入部2に表面を上にして投入されて取出されたヘッダカードは、表面を上にして排除集積部8に集積される。排除集積部8には、この他に、銀行券を重ね取りしたもの、銀行券とヘッダカードを重ね取りしたもの、ヘッダカードを重ね取りしたもの、及びトレーラカードなどが集積される。
【0020】
判別ユニット5で正常と判断された紙葉類は搬送部4をさらに進み、判別ユニット5の方向の情報により、次のゲートG2にて反転部13へ行くか、あるいは反転部13を通らずにそのまま進むかのいずれかに区別される。反転部13は例えば紙葉類の表裏反転や正逆反転が可能な機構部であり、4つの異なる方向(表正、表逆、裏正、裏逆)で供給された紙葉類を1つの方向(例えば表正)、または2つの方向(例えば表正、表逆)に揃えることができる。この反転部13は、必要に応じて、省略することができる。
【0021】
また、ゲートG2の下流側の搬送路4に沿って設けられたゲートG3〜G7によって分岐された位置には、それぞれ集積・結束を行うための第1乃至第6の集積部9a〜9f(以下、必要に応じて、総称して集積部9とする)が配設されている。集積部9には、ゲートG1を介して導かれた排除券以外の銀行券のうち再使用可能な正券だけが集積されて結束される。例えば第1および第2の集積部9a、9bには、表面を上にした正券が100枚ずつ集積されて結束され、第3および第4の集積部9c、9dには、裏面を上にした正券が100枚ずつ集積されて結束される。集積部9で結束された正券は、図示しないコンベア等によって機外へ排出されて再使用に供される。
【0022】
図2及び図3に、本発明に使用されるヘッダカードとトレーラカードの第1の例を各々示す。
【0023】
この例では、被処理媒体は長方形であって、長辺と垂直の方向に搬送される。
【0024】
図2に示すように、このヘッダカード301では、例えば160×85cmの大きさの長方形を有するカード基材307の両主面の中央部に、紙葉類の識別情報が記録された例えば40×20cmの大きさのバーコード領域302が各々設けられている。また、この両主面上に、カード状基材307の長手方向の一端例えば図2中左端には、例えば40×60cmの大きさの長方形を有し、第1の色をもつ第1の有色領域303が設けられ、一方、カード状基材307の長手方向の他端例えば図2中右端には、同様の大きさを有し、かつ第2の色をもつ第2の有色領域304が設けられ、このように、この有色領域は、表裏同一となる配置で両主面上に設けられている。さらに、カードの上下を識別し得るように、図示しない例えばバーコードの数字等を記載し得る。また、ヘッダカードの厚さは、銀行券との識別を容易にするため、銀行券の厚さと異なる厚さになっている。
【0025】
なお、本発明に用いられる有色領域の色としては、色検知部で検知可能であれば、可視光領域に吸収を有する色に限るものではなく、紫外光、近赤外光、及び赤外光領域に吸収を有する色を適用し得る。また、第1の有色領域と第2の有色領域は、同じ色でも異なる色でも良い。
【0026】
また、図3に示すように、トレーラカード701は、バーコード領域302が設けられず、第1の有色領域303及び第2の有色領域304の代わりに、カード状基材707上に第1の色と第2の色の組み合わせとは異なる色の組み合わせをもつ第1の有色領域702及び第2の有色領域703を設けること以外は、上記ヘッダカード301と同様の構成を有する。
【0027】
ここでは、カード基材の両主面に有色領域を設けた例をあげたけれども、本発明では、上記有色領域は、カード基材の少なくとも一主面に設けられていれば良い。なお、カード基材の両主面に有色領域が形成されていると、表裏が逆になっても使用できるという利点がある。
【0028】
ヘッダカード及びトレーラカードの特徴となる色の選択の方法は、処理対象となる例えば有価証券等の媒体で使用されている色とは異なる色合いを使用することが望ましい。これはカードと有価証券との色の類似性を低くし、誤判定例えばヘッダカードを媒体と誤判定することなどを回避するためである。例えば有価証券の1種である紙幣を例に取ると、米国のドルにおいては、表面は黒インクを基調として緑色の印章が印刷された2色刷り、裏面は濃い緑色の1色刷りである。このような単調な紙幣を媒体するケースでは、ヘッダカード、トレーラカードの識別色の選択範囲は広く、赤、青等の原色でもかまわない。ただし、前述の通り赤や青の筆記具やインクは広く使用されているため、誤判定する可能性が高いと考えられる。そのため、黄色や紫色や橙色のような一般の筆記具や証印では使用されない色を使う方が望まれる。
【0029】
一方で、使用者の視認性を考慮して券種ごとに色合いを変えているケースも多々見られる。例えばユーロ紙幣においては、各紙幣の基調となる色は表1の通りである。
【表1】
【0030】
このようなケースでは、ヘッダカード、トレーラカードの色の選択に注意が必要であるが、色センサを複数持ち、かつそれぞれのセンサが異なる色を検知することで誤判定を回避することができる。例えば図2において第1の有色領域303を黄色、第2の有色領域304を橙色とすればほぼ間違いなくカードを検出できる。
【0031】
次に、カードの色情報の登録手順について説明する。
【0032】
まず登録するべきヘッダカードを投入部2にセットし、色センサ12Aおよび12Bでヘッダカードの色を登録する。色センサ12A,12Bは例えば3色の光源とフォトダイオード受光部との組み合わせで構成されており、ヘッダカード上の色の3色光源に対する反射率の比率でその色合いを登録する。また、色センサ12A,12Bは、各々、被処理媒体上の所定の領域すなわちヘッダカード及びトレーラカードの第1の有色領域と第2の有色領域に相当する領域の色を検知する位置に設けられている。また、色センサ12A,12Bは2つあるので、紙葉類の離散的な2箇所、または連続的な2箇所の色を検知できる。
【0033】
例えば図2を例に取り、有色領域303が黄色、有色領域304が橙色とすると、色センサ12A,12Bの3色光源に対する反射率は以下のようになる。
【表2】
【0034】
色の登録が終了したら次にヘッダカードと判断するための反射率の範囲を設定する。上記表2の登録時の反射率に対し、下記のような許容範囲を設定する。
【表3】
【0035】
カード検知センサ12A,12Bの各光源に対する反射率が表3の範囲にすべて入れば、ヘッダカードであると識別する。
【0036】
トレーラカードについても同様の登録作業を実施する。
【0037】
例えば図3に示すトレーラカードの場合、第1の有色領域を緑色に、第2の有色領域を青色にすることができる。
【0038】
このとき、色センサ12A,12Bの3色光源に対する反射率は以下のようになる。
【表4】
【0039】
色の登録が終了したら次にトレーラカードと判断するための反射率の範囲を設定する。上記表4の登録時の反射率に対し、下記のような許容範囲を設定する。
【表5】
【0040】
カード検知センサ12A,12Bの各光源に対する反射率が表5の範囲にすべて入れば、トレーラカードであると識別することができる。
【0041】
なお上記登録作業は、対象となる媒体が変更された場合、またはヘッダカード、トレーラカード自体のロットが変更された場合等に再度実施し得る。また、許容範囲についても、実際の運用におけるカードの劣化状況を確認しながら、最適な数値に変更し得る。このようにして、簡単かつ正確な登録作業が実行し得る。
【0042】
次に、図2に示すヘッダカードと図3に示すトレーラカードを用いたバッチ処理システムの一例について、図4に示す被処理媒体の色検知及び取り出しを行うためのフローチャート、図5に示す色検知部及び取出し機構のブロック図、及び図6及び図7に示す被処理媒体の識別を行うためのフローチャートを用いて説明する。
【0043】
まず、ヘッダカード、集積された紙葉類、及びトレーラーカードを1バッチとして、複数のバッチをひとまとめにして紙葉類処理装置1の投入部11に供給する(S1)。
【0044】
次に、オペレータが作業開始の操作を図示しない業務操作部から指示する(S2)。
【0045】
その後、この指示を受けて、投入部11の先頭の被処理媒体の識別を開始する(S3)。
【0046】
例えば第1の色センサ12Aにより検知された第1の有色領域の反射率を検知情報として媒体識別部101へ送り、図6に示すように、ヘッダカードを表す第1の信号であるかすなわち表3に示す許容範囲内であるか判別する(S21)。許容範囲に入らない場合は終了し、許容範囲に全て入る場合は第2の色センサ12Bにより検知された第2の有色領域の反射率情報を媒体識別部101へ送り、ヘッダカードを表す第1の信号であるかすなわち表3に示す許容範囲内であるか判別する(S22)。許容範囲に入らない場合は終了し、許容範囲に入る場合はヘッダカードと識別する(S23)。
【0047】
被処理媒体の識別結果に基づいて取出し制御部102にて先頭の被処理媒体がヘッダカードであるか判定する(S4)。
【0048】
ヘッダカードである場合、取出し機構3における被処理媒体の取出し開始を決定し、この決定結果を受けて、取出し制御部102から取出し機構3へ取出し開始を指示する(S5)。
【0049】
一方、ヘッダカードではない場合、ヘッダカード以外の媒体であることを確認し(S6)、セッティグミスあるいは検知センサの異常による取出し操作エラーを決定し、この決定結果を受けて、取出し制御部から表示部103にエラーメッセージを通信してその旨を表示する(S7)。
【0050】
取出が開始されると、色検知センサ12A,12Bは、被処理媒体が取出される毎に、投入部11の取り出し方向先端に位置する後続の被処理媒体の色検知を順次行って、次のように、後続の被処理媒体を識別する。
【0051】
例えば第1の色センサ12Aにより検知された第1の有色領域の反射率は検知情報として媒体識別部101へ送られて、図7に示すように、ヘッダカードを表す第1の信号であるかすなわち表3に示す許容範囲内であるか判別される(S31)。許容範囲に全て入る場合は、第2の色センサ12Bにより検知された第2の有色領域の反射率情報が、媒体識別部101にて、ヘッダカードを表す第1の信号であるかすなわち表3に示す許容範囲内であるか判別される(S32)。許容範囲に入る場合はヘッダカードと識別される(S33)。ヘッダカードを表す第1の信号に関する許容範囲に入らない場合と、第1の色センサ12Aにより検知された反射率情報が第1の信号ではないすなわち表3に示す許容範囲内でない場合には、媒体識別部101へ送られた第1の色センサ12Aの反射率情報がトレーラカードを表す第2の信号であるかすなわち表5に示す許容範囲であるか判別される(S34)。第2の信号でない場合は、紙幣と識別される(S35)。第2の信号である場合は、媒体識別部101へ送られた第2の色センサ12Bの反射率情報がトレーラカードを表す第2の信号であるかすなわち表5に示す許容範囲であるか判別される(S36)。そうでない場合は紙幣と識別し、そうである場合はトレーラカードと識別される(S37)。
【0052】
上述の後続の被処理媒体の識別の結果、後続の被処理媒体がヘッダカードである場合、1つ前がトレーラカードであるか判別する(S9)。
【0053】
1つ前がトレーラカードである場合、取り出しを開始する(S10)。
【0054】
1つ前がトレーラカードでない場合、カード順番異常であることを識別する(S11)。この識別結果を取出し制御部3に通知し、取出し制御部3から表示部103にエラーメッセージを通信してその旨を表示する(S12)。
【0055】
上述の後続の被処理媒体の識別の結果、後続の被処理媒体がヘッダカードでもトレーラカードでもないと判別された場合、取り出しを開始する(S13)。
【0056】
上述の後続の被処理媒体の識別の結果、後続の被処理媒体がトレーラカードであると判別された場合、トレーラカードの取り出しを開始する(S14)。続いて、次の被処理媒体があるかどうか確認して、取出し制御部102に通知する(S15)。次の被処理媒体が無ければ取出し制御部102にて取出し機構における被処理媒体の取出し停止を決定し、取出し制御部102から取出し機構3へ取出し停止を指示し、一連のバッチ処理を終了する。次の被処理媒体があれば、取出し制御部102にてX枚分の取出し停止を決定し、取出し機構における被処理媒体の取出しを例えばX枚分の取出しに相当する時間だけ停止した後、再開することを指示する(S16)。
【0057】
尚、上記バッチ処理システムの一例では、2つの色センサを用いた例を説明したが、本発明では、1つの色センサを使用することも可能である。
【0058】
図8に、1つの色センサを使用した場合の色検知部及び取出し機構のブロック図、図9に、1つの色センサを使用した場合の先頭の被処理媒体の識別を行うためのフローチャート、図10に、1つの色センサを使用した場合の後続の被処理媒体の識別を行うためのフローチャートを各々示す。
【0059】
図4の先頭の被処理媒体の識別(S3)において、図8及び図9に示すように、1つの色センサを使用した場合は、例えば色検知部12にて色センサにより検知された第1の有色領域の反射率を検知情報として媒体識別部101へ送り、ヘッダカードを表す第1の信号であるかすなわち表3に示す許容範囲内であるか判別する(S41)。許容範囲に入らない場合は終了し、許容範囲に全て入る場合はヘッダカードと識別することができる(S42)。
【0060】
また、図4の後続の媒体の識別(S8)において、図8及び図10に示すように、例えば色センサにより検知された第1の有色領域の反射率が、検知情報として媒体識別部101へ送られて、ヘッダカードを表す第1の信号であるかすなわち表3に示す許容範囲内であるか判別される(S51)。許容範囲に全て入る場合はヘッダカードと識別される(S52)。第1の有色領域の反射率がヘッダカードを表す第1の信号に関する許容範囲に入らない場合と、第1の色センサ12Aにより検知された反射率情報が第1の信号ではないすなわち表3に示す許容範囲内でない場合には、媒体識別部101へ送られた第1の色センサ12Aの反射率情報がトレーラカードを表す第2の信号であるかすなわち表5に示す許容範囲であるか判別される(S53)。第1の色センサ12Aの反射率情報が第2の信号でない場合は紙幣と識別され(S54)、第2の信号である場合は、トレーラカードと識別され得る(S55)。
【0061】
本発明の紙葉類処理装置を用いると、簡便に検知し得る仕切りカードを用いて、作業単位毎に紙葉類の取出し操作を制御し得る。例えば1つのバッチの開始をヘッダカードの検知により、及び1つのバッチの終了をトレーラカードの検知により終了することが可能である。紙葉類処理装置内でジャムが発生した場合など、異なるバッチ間での紙葉類の入り繰りを防止することができる。またヘッダカード、トレーラカードの色情報登録を自由に行うことができるため、紙葉類の種類の変更に伴いヘッダカード、トレーラカードが変更された場合にも迅速に対応ができる。
【0062】
以下に、本発明に係るヘッダカード、及びこのヘッダカードと併用し得るトレーラカードの他の例について説明する。
【0063】
図11及び図12は、本発明に使用されるヘッダカードとトレーラカードの第2の例を各々示す。
【0064】
この例では、被処理媒体は長方形であって、長辺と垂直の方向に搬送される。
【0065】
図11に示すように、このヘッダカード401は、第1の有色領域303の代わりに、図中、カード状基材407両主面の左端に、各々、第1の有色領域303を上下に2分割したパターンの有色領域を設け、その上部に第1の有色領域403,下部に第2の有色領域404を配置し、同様に第2の有色領域304の代わりに、図中右端に、第2の有色領域304を上下に2分割したパターンの有色領域を設け、その上部に第3の有色領域405,下部に第4の有色領域406が設けられること以外は、図2に示すヘッダカードと同様の構成を有する。このヘッダカード401では、第1の有色領域403、第2の有色領域404,第3の有色領域405、及び第4の有色領域406のパターンは、各々、点対称、かつ表裏同一に配置されている。例えば第1の色センサ及び第2の色センサを上部の有色領域を検知するように設定し、第1の有色領域403及び第4の有色領域406を同じ第1の色、第2の有色領域404及び第3の有色領域405を同じ第2の色にすることにより、ヘッダカードが上下逆転、及び表裏逆転した場合でも、常に、第1の色センサで第1の有色領域、第2の色センサで第2の有色領域を検知することができる。
【0066】
また、このヘッダカード401と好適に併用し得るトレーラカードの一例を図12に示す。
【0067】
図示するように、このトレーラカード805は、カード基材807の両主面上に、バーコード領域402がなく、第1の有色領域802,第2の有色領域803、第3の有色領域804,及び第4の有色領域805の色の組み合わせが、第1の有色領域403,第2の有色領域404,第3の有色領域405、及び第4の有色領域406の色の組み合わせと異なる色の組み合わせを有すること以外は図11と同様の構成を有する。
【0068】
尚、異なる色の組み合わせは、第1の色ないし第4の色の組み合わせと完全に一致しなければ良く、例えば1色のみが異なる色であったり、組み合わせの順番が異なる場合を含む。
【0069】
図13及び図14は、本発明に使用されるヘッダカードとトレーラカードの第3の例を各々示す。
【0070】
この例では、被処理媒体は長方形であって、長辺と平行な方向に搬送される。
【0071】
図13に示すように、このヘッダカード501は、例えば160×85cmの大きさの長方形を有するカード状基材507、カード状基材507の両主面の中央部に、紙葉類の識別情報が記録された例えば40×20cmの大きさのバーコード領域502が各々設けられている。また、この両主面上に、カード状基材507の幅方向の一端例えば図13中上端には、例えば140×20cmの大きさの長方形を有し、第1の色をもつ第1の有色領域503が設けられ、一方、カード状基材507の長手方向の他端すなわち図13中下端には、同様の大きさを有し、かつ第2の色をもつ第2の有色領域504が設けられる。このように、この有色領域は、表裏同一となる配置で両主面上に設けられている。さらに、カードの上下を識別し得るように、図示しない例えばバーコードの数字等を記載し得る。
【0072】
また、図14に示すように、トレーラカード901は、バーコード領域502が設けられず、第1の有色領域503及び第2の有色領域504の代わりに、カード状基材907上に第1の色と第2の色の組み合わせとは異なる色の組み合わせをもつ第1の有色領域902及び第2の有色領域903を設けること以外は、上記ヘッダカード501と同様の構成を有する。
【0073】
図15及び図16は、本発明に使用されるヘッダカードとトレーラカードの第4の例を各々示す。
【0074】
この例では、被処理媒体は長方形であって、長辺と平行な方向に搬送される。
【0075】
図15に示すように、このヘッダカード601は、図13の第1の有色領域502の代わりに、図中、カード状基材607両主面の上端に、各々、第1の有色領域502を左右に2分割したパターンの有色領域を設け、その左側に第1の有色領域603,右側に第3の有色領域605を配置し、同様に第2の有色領域504の代わりに、図中下端に、図13の第2の有色領域504を上下に2分割したパターンの有色領域を設け、その左側に第3の有色領域604,右側に第4の有色領域606が設けられること以外は、図13に示すヘッダカードと同様の構成を有する。このヘッダカード601では、第1の有色領域603、第2の有色領域604,第3の有色領域605、及び第4の有色領域606のパターンは、各々、点対称、かつ表裏同一に配置されている。例えば第1の色センサ及び第2の色センサを上部の有色領域を検知するように設定し、第1の有色領域603及び第4の有色領域606を同じ第1の色、第2の有色領域604及び第3の有色領域605を同じ第2の色にすることにより、ヘッダカードが上下逆転、及び表裏逆転した場合でも、常に、第1の色センサで第1の色、第2の色センサで第2の色を検知することができる。
【0076】
また、このヘッダカード601と好適に併用し得るトレーラカードの一例を図16に示す。
【0077】
図示するように、このトレーラカード1001は、カード基材1007の両主面上に、バーコード領域602がなく、第1の有色領域1002,第2の有色領域1003、第3の有色領域1004,及び第4の有色領域1005の色の組み合わせが、第1の有色領域603,第2の有色領域604,第3の有色領域605、及び第4の有色領域606の色の組み合わせと異なる色の組み合わせを有すること以外は図15と同様の構成を有する。
【0078】
なお、上記ヘッダカード、及びトレーラカード各例で、2色の有色領域を2つの色検知器で検知すると、被処理媒体が故意にまたは事故的に着色された場合に媒体をカードと誤判定することを回避することができる。例えば有価証券には、赤色ペンや青色ペンによる落書き(Graffiti)や把束に押印するべき印章が誤って押されたりするケースが見受けられる。このようなケースでは、同一の色が複数の箇所で観測されることはまれであるため、2箇所以上の検知領域は効果的である。
【0079】
また、色検知器12Aおよび12Bは、本発明の装置で処理可能な被処理媒体のうち、最小サイズの媒体を検知可能な位置に設置することが望ましい。そのようにしないと、小型の媒体が投入部の先端に配置されても、これを検知できずに、後続の媒体を検知するという問題が生じる傾向がある。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る紙葉類処理装置の一例の概略構成図
【図2】本発明に使用されるヘッダカードの第1の例を表す正面図
【図3】本発明に使用されるトレーラカードの第1の例を表す正面図
【図4】被処理媒体の色検知及び取り出しを行うためのフローチャート
【図5】色検知部及び取出し機構の一例のブロック図
【図6】被処理媒体の識別を行うためのフローチャート
【図7】被処理媒体の識別を行うためのフローチャート
【図8】色検知部及び取出し機構の他の例のブロック図
【図9】被処理媒体の識別を行うためのフローチャート
【図10】被処理媒体の識別を行うためのフローチャート
【図11】本発明に使用されるヘッダカードの第2の例を表す正面図
【図12】本発明に使用されるトレーラカードの第2の例を表す正面図
【図13】本発明に使用されるヘッダカードの第3の例を表す正面図
【図14】本発明に使用されるトレーラカードの第3の例を表す正面図
【図15】本発明に使用されるヘッダカードの第4の例を表す正面図
【図16】本発明に使用されるトレーラカードの第4の例を表す正面図
【符号の説明】
【0081】
1…紙葉類処理装置、2…投入部、3…取出し機構、5…判別ユニット、9…集積部、8…排除部、11…紙葉類、12…色検知部、102…取出し制御部、301,401,501,601…ヘッダカード、302,402,502,602…バーコード領域、307,407,507,607,707,807,907,1007…カード状基材、303,304,403,404,405,406,503,504,603,604,605,606,702,703,802,803,804,805,902,903,1002,1003,1004,1005…有色領域、701,801,901,1001…トレーラカード
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば紙幣等を判別処理するための紙葉類処理装置、及び取り扱う紙葉類を区分するための情報及びカードの種類等が記録されたヘッダカードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙葉類処理装置では、小口のバッチ処理を行う目的で、ヘッダカード単体またはヘッダカードとトレーラカードを組み合わせ運用しているケースがある。通常、ヘッダカードには、カードの個別情報を示すバーコード、シリアル番号、顧客番号のほか、ヘッダカードであることを検知部に識別させるためのストライプや磁気パターン等が印刷されている。また、トレーラカードには、上記バーコードやシリアル番号はなく、ヘッダカードと区別するためのストライプや磁気パターンが印刷されている。さらにトレーラカードとして、オペレーターの視認性を高めるため、全面が着色されたものもある。
【0003】
従来の紙葉類処理装置におけるヘッダカード、及びトレーラカードは、着色されたり、それぞれのカードで異なるコードを印字されて、オペレータまたは判別装置内の判別部でそのカードの種類が検知されていたが、それら従来のカードでは、必要に応じてバッチごとに供給を停止したり、または再開したりすることができなかった(例えば、特許文献1参照)。そのため、例えばバッチの境目で作業を停止したい場合や、紙葉類処理装置の制約によりバッチ間で時間的なインターバルをおきたい場合には、オペレータがタイミングを計って手作業で操作していた。
【特許文献1】特表2000−503956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情を鑑みて成されたものであり、簡便に検出し得る仕切りカードを用いて、紙葉類の取出し操作を制御し得る紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の紙葉類処理装置は、作業単位毎に集積された紙葉類と、前記紙葉類上に重ねられ、両主面を有するカード状基材、及び前記カード基材の少なくとも一主面上に設けられた、カードを識別するための有色領域を含む仕切りカードとを有する1バッチ分の被処理媒体を、1または複数バッチ重ねて投入する投入部と、
前記被処理媒体を前記投入部から個々に取出す取出し機構と、
前記投入部の取り出し方向先端に配置された被処理媒体の色を検知する色検知部と、
前記色検知部からの検知情報に基づいて、取出し操作を制御する取出し制御部と、
前記被処理媒体の特徴を検知し、判別するための判別ユニットと、
前記判別ユニットにおける判別結果に基づいて前記紙葉類を集積する集積部と、
前記判別ユニットおける判別結果に基づいて前記集積部に集積されなかった前記紙葉類、及び前記仕切りカードを集積する排除部とを具備することを特徴とする。
【0006】
本発明のヘッダカードは、紙葉類を検出及び判別して集積するための紙葉類処理装置に紙葉類を投入する際に、集積された前記紙葉類の作業単位の先端に仕切りカードとして配置されるヘッダカードであって、両主面を有するカード状基材、一主面の中央部に設けられ、紙葉類の識別情報が記録されたバーコード領域、及び前記バーコード領域の周囲に設けられ、カードの種類を識別するための有色領域を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明を用いると、紙葉類の取出し操作を容易に制御し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。
【0009】
図1は、本発明に係る紙葉類処理装置の一例として、例えば、複数の銀行から送られた銀行券(紙葉類)を検査して再使用するため結束する銀行券処理装置1(以下、単に処理装置1と称する)の概略構成図を示す。
【0010】
処理装置1は、後述するヘッダカードを間に挟んだ集積状態の複数枚の銀行券を投入する投入部2を有する。ヘッダカードの表面および裏面には、そのカードに固有の機械読み可能な識別記号として全く同じ組み合わせの色パターンがそれぞれ印刷されている。
【0011】
処理装置1に銀行券を投入する前段の処理として、1処理単位(以下、バッチと称する)の被処理媒体例えば銀行の各支店から送られた1まとまりの同一金種の集積状態の銀行券の上に、上記1枚のヘッダカードを集積し得る。さらに、その上に次のバッチの被処理媒体として、銀行券およびヘッダカードを集積し得る。
【0012】
また運用によっては、バッチの先端にヘッダカード、バッチの後端にトレーラカードを挿入することができる。この例ではヘッダカードとトレーラカードの両方を使用する場合について説明する。なお、各バッチの銀行券の枚数は同じとは限らない。このようにして、処理装置1に、1回に投入可能なバッチ数の銀行券、及び1バッチ毎にその先端を仕切るヘッダカード、及び1バッチ毎にその後端を仕切るトレーラカードからなる被処理媒体11が集積して投入される。このとき、各バッチ毎に挿入したヘッダカードのバーコードに関連付けて、オペレータによって、各バッチの銀行券に関するデータとして、銀行名、支店名、銀行券の金種、枚数等が入力される。このようにして前処理時に入力されたバッチデータは、後段の処理装置1による計数結果との照合に用いられる。
【0013】
投入部2の後段には、投入部2に投入されたヘッダカード、銀行券、及びトレーラカード(以下、総称して被処理媒体とする場合もある)をその前端のものから1枚ずつ取出す取出し機構3が設けられている。取出し機構3は、例えば紙葉類を上下または左右から挟持し、モータからの駆動を受けて、被処理媒体を所定のピッチで取出すようになっている。
【0014】
なお、投入部2と取出し機構3との間には、投入部2前端に配置された被処理媒体の色を検知する色検知部12が設けられている。
【0015】
色検知部12は1または2以上の色検知器を有しており、取り出される度に更新される先頭の紙葉類の色情報を観測し、図示しない取出し制御部に1枚ごとの色情報を通信する。この装置例では、色検知部12には例えば2つの色検知器 色センサ12Aと色センサ12Bが搭載されているものとして説明する。
【0016】
取出し機構3の下流側には、吸着ローラ等により取出された被処理媒体を処理装置1内を通して搬送する搬送路4が延設されている。搬送路4上には、図示しない搬送ベルトや駆動プーリが配設され、図示しない駆動モータによって搬送ベルトを走行させることにより被処理媒体を搬送路4を介して一定速度で搬送させるようになっている。
【0017】
取出し機構3から延びた搬送路4上には、搬送路4を介して搬送されている被処理媒体の特徴を検知し、判別するための判別ユニット5が設けられている。判別ユニット5には、例えば被処理媒体の特性を検出する図示しない検出部、及び検出部からの被処理媒体の検出情報を処理する図示しない検出情報処理部等が設けられ得る。
【0018】
判別ユニット5の下流側の搬送路4上には、6つのゲートG1〜G7が順次配設されている。各ゲートG1〜G7は、判別ユニット5における検出結果に基づいて図示しない制御部による制御に従って切換えられ、当該被処理媒体を所定の処理部へ指向する。
【0019】
判別ユニット5の直後に配設されたゲートG1は、搬送路4を排除搬送路4aに分岐する位置に設けられ、判別ユニット5を介して正規の銀行券ではないことが検出された排除券やヘッダカードを排除搬送路4aへ分岐するように切換えられる。排除搬送路4aの終端には、取出し機構3にて取出した姿勢のまま、すなわち表裏を反転しないで、排除券やヘッダカードをその取出し、順序を変えずに集積する排除集積部8(排除部)が設けられている。例えば、投入部2に表面を上にして投入されて取出されたヘッダカードは、表面を上にして排除集積部8に集積される。排除集積部8には、この他に、銀行券を重ね取りしたもの、銀行券とヘッダカードを重ね取りしたもの、ヘッダカードを重ね取りしたもの、及びトレーラカードなどが集積される。
【0020】
判別ユニット5で正常と判断された紙葉類は搬送部4をさらに進み、判別ユニット5の方向の情報により、次のゲートG2にて反転部13へ行くか、あるいは反転部13を通らずにそのまま進むかのいずれかに区別される。反転部13は例えば紙葉類の表裏反転や正逆反転が可能な機構部であり、4つの異なる方向(表正、表逆、裏正、裏逆)で供給された紙葉類を1つの方向(例えば表正)、または2つの方向(例えば表正、表逆)に揃えることができる。この反転部13は、必要に応じて、省略することができる。
【0021】
また、ゲートG2の下流側の搬送路4に沿って設けられたゲートG3〜G7によって分岐された位置には、それぞれ集積・結束を行うための第1乃至第6の集積部9a〜9f(以下、必要に応じて、総称して集積部9とする)が配設されている。集積部9には、ゲートG1を介して導かれた排除券以外の銀行券のうち再使用可能な正券だけが集積されて結束される。例えば第1および第2の集積部9a、9bには、表面を上にした正券が100枚ずつ集積されて結束され、第3および第4の集積部9c、9dには、裏面を上にした正券が100枚ずつ集積されて結束される。集積部9で結束された正券は、図示しないコンベア等によって機外へ排出されて再使用に供される。
【0022】
図2及び図3に、本発明に使用されるヘッダカードとトレーラカードの第1の例を各々示す。
【0023】
この例では、被処理媒体は長方形であって、長辺と垂直の方向に搬送される。
【0024】
図2に示すように、このヘッダカード301では、例えば160×85cmの大きさの長方形を有するカード基材307の両主面の中央部に、紙葉類の識別情報が記録された例えば40×20cmの大きさのバーコード領域302が各々設けられている。また、この両主面上に、カード状基材307の長手方向の一端例えば図2中左端には、例えば40×60cmの大きさの長方形を有し、第1の色をもつ第1の有色領域303が設けられ、一方、カード状基材307の長手方向の他端例えば図2中右端には、同様の大きさを有し、かつ第2の色をもつ第2の有色領域304が設けられ、このように、この有色領域は、表裏同一となる配置で両主面上に設けられている。さらに、カードの上下を識別し得るように、図示しない例えばバーコードの数字等を記載し得る。また、ヘッダカードの厚さは、銀行券との識別を容易にするため、銀行券の厚さと異なる厚さになっている。
【0025】
なお、本発明に用いられる有色領域の色としては、色検知部で検知可能であれば、可視光領域に吸収を有する色に限るものではなく、紫外光、近赤外光、及び赤外光領域に吸収を有する色を適用し得る。また、第1の有色領域と第2の有色領域は、同じ色でも異なる色でも良い。
【0026】
また、図3に示すように、トレーラカード701は、バーコード領域302が設けられず、第1の有色領域303及び第2の有色領域304の代わりに、カード状基材707上に第1の色と第2の色の組み合わせとは異なる色の組み合わせをもつ第1の有色領域702及び第2の有色領域703を設けること以外は、上記ヘッダカード301と同様の構成を有する。
【0027】
ここでは、カード基材の両主面に有色領域を設けた例をあげたけれども、本発明では、上記有色領域は、カード基材の少なくとも一主面に設けられていれば良い。なお、カード基材の両主面に有色領域が形成されていると、表裏が逆になっても使用できるという利点がある。
【0028】
ヘッダカード及びトレーラカードの特徴となる色の選択の方法は、処理対象となる例えば有価証券等の媒体で使用されている色とは異なる色合いを使用することが望ましい。これはカードと有価証券との色の類似性を低くし、誤判定例えばヘッダカードを媒体と誤判定することなどを回避するためである。例えば有価証券の1種である紙幣を例に取ると、米国のドルにおいては、表面は黒インクを基調として緑色の印章が印刷された2色刷り、裏面は濃い緑色の1色刷りである。このような単調な紙幣を媒体するケースでは、ヘッダカード、トレーラカードの識別色の選択範囲は広く、赤、青等の原色でもかまわない。ただし、前述の通り赤や青の筆記具やインクは広く使用されているため、誤判定する可能性が高いと考えられる。そのため、黄色や紫色や橙色のような一般の筆記具や証印では使用されない色を使う方が望まれる。
【0029】
一方で、使用者の視認性を考慮して券種ごとに色合いを変えているケースも多々見られる。例えばユーロ紙幣においては、各紙幣の基調となる色は表1の通りである。
【表1】
【0030】
このようなケースでは、ヘッダカード、トレーラカードの色の選択に注意が必要であるが、色センサを複数持ち、かつそれぞれのセンサが異なる色を検知することで誤判定を回避することができる。例えば図2において第1の有色領域303を黄色、第2の有色領域304を橙色とすればほぼ間違いなくカードを検出できる。
【0031】
次に、カードの色情報の登録手順について説明する。
【0032】
まず登録するべきヘッダカードを投入部2にセットし、色センサ12Aおよび12Bでヘッダカードの色を登録する。色センサ12A,12Bは例えば3色の光源とフォトダイオード受光部との組み合わせで構成されており、ヘッダカード上の色の3色光源に対する反射率の比率でその色合いを登録する。また、色センサ12A,12Bは、各々、被処理媒体上の所定の領域すなわちヘッダカード及びトレーラカードの第1の有色領域と第2の有色領域に相当する領域の色を検知する位置に設けられている。また、色センサ12A,12Bは2つあるので、紙葉類の離散的な2箇所、または連続的な2箇所の色を検知できる。
【0033】
例えば図2を例に取り、有色領域303が黄色、有色領域304が橙色とすると、色センサ12A,12Bの3色光源に対する反射率は以下のようになる。
【表2】
【0034】
色の登録が終了したら次にヘッダカードと判断するための反射率の範囲を設定する。上記表2の登録時の反射率に対し、下記のような許容範囲を設定する。
【表3】
【0035】
カード検知センサ12A,12Bの各光源に対する反射率が表3の範囲にすべて入れば、ヘッダカードであると識別する。
【0036】
トレーラカードについても同様の登録作業を実施する。
【0037】
例えば図3に示すトレーラカードの場合、第1の有色領域を緑色に、第2の有色領域を青色にすることができる。
【0038】
このとき、色センサ12A,12Bの3色光源に対する反射率は以下のようになる。
【表4】
【0039】
色の登録が終了したら次にトレーラカードと判断するための反射率の範囲を設定する。上記表4の登録時の反射率に対し、下記のような許容範囲を設定する。
【表5】
【0040】
カード検知センサ12A,12Bの各光源に対する反射率が表5の範囲にすべて入れば、トレーラカードであると識別することができる。
【0041】
なお上記登録作業は、対象となる媒体が変更された場合、またはヘッダカード、トレーラカード自体のロットが変更された場合等に再度実施し得る。また、許容範囲についても、実際の運用におけるカードの劣化状況を確認しながら、最適な数値に変更し得る。このようにして、簡単かつ正確な登録作業が実行し得る。
【0042】
次に、図2に示すヘッダカードと図3に示すトレーラカードを用いたバッチ処理システムの一例について、図4に示す被処理媒体の色検知及び取り出しを行うためのフローチャート、図5に示す色検知部及び取出し機構のブロック図、及び図6及び図7に示す被処理媒体の識別を行うためのフローチャートを用いて説明する。
【0043】
まず、ヘッダカード、集積された紙葉類、及びトレーラーカードを1バッチとして、複数のバッチをひとまとめにして紙葉類処理装置1の投入部11に供給する(S1)。
【0044】
次に、オペレータが作業開始の操作を図示しない業務操作部から指示する(S2)。
【0045】
その後、この指示を受けて、投入部11の先頭の被処理媒体の識別を開始する(S3)。
【0046】
例えば第1の色センサ12Aにより検知された第1の有色領域の反射率を検知情報として媒体識別部101へ送り、図6に示すように、ヘッダカードを表す第1の信号であるかすなわち表3に示す許容範囲内であるか判別する(S21)。許容範囲に入らない場合は終了し、許容範囲に全て入る場合は第2の色センサ12Bにより検知された第2の有色領域の反射率情報を媒体識別部101へ送り、ヘッダカードを表す第1の信号であるかすなわち表3に示す許容範囲内であるか判別する(S22)。許容範囲に入らない場合は終了し、許容範囲に入る場合はヘッダカードと識別する(S23)。
【0047】
被処理媒体の識別結果に基づいて取出し制御部102にて先頭の被処理媒体がヘッダカードであるか判定する(S4)。
【0048】
ヘッダカードである場合、取出し機構3における被処理媒体の取出し開始を決定し、この決定結果を受けて、取出し制御部102から取出し機構3へ取出し開始を指示する(S5)。
【0049】
一方、ヘッダカードではない場合、ヘッダカード以外の媒体であることを確認し(S6)、セッティグミスあるいは検知センサの異常による取出し操作エラーを決定し、この決定結果を受けて、取出し制御部から表示部103にエラーメッセージを通信してその旨を表示する(S7)。
【0050】
取出が開始されると、色検知センサ12A,12Bは、被処理媒体が取出される毎に、投入部11の取り出し方向先端に位置する後続の被処理媒体の色検知を順次行って、次のように、後続の被処理媒体を識別する。
【0051】
例えば第1の色センサ12Aにより検知された第1の有色領域の反射率は検知情報として媒体識別部101へ送られて、図7に示すように、ヘッダカードを表す第1の信号であるかすなわち表3に示す許容範囲内であるか判別される(S31)。許容範囲に全て入る場合は、第2の色センサ12Bにより検知された第2の有色領域の反射率情報が、媒体識別部101にて、ヘッダカードを表す第1の信号であるかすなわち表3に示す許容範囲内であるか判別される(S32)。許容範囲に入る場合はヘッダカードと識別される(S33)。ヘッダカードを表す第1の信号に関する許容範囲に入らない場合と、第1の色センサ12Aにより検知された反射率情報が第1の信号ではないすなわち表3に示す許容範囲内でない場合には、媒体識別部101へ送られた第1の色センサ12Aの反射率情報がトレーラカードを表す第2の信号であるかすなわち表5に示す許容範囲であるか判別される(S34)。第2の信号でない場合は、紙幣と識別される(S35)。第2の信号である場合は、媒体識別部101へ送られた第2の色センサ12Bの反射率情報がトレーラカードを表す第2の信号であるかすなわち表5に示す許容範囲であるか判別される(S36)。そうでない場合は紙幣と識別し、そうである場合はトレーラカードと識別される(S37)。
【0052】
上述の後続の被処理媒体の識別の結果、後続の被処理媒体がヘッダカードである場合、1つ前がトレーラカードであるか判別する(S9)。
【0053】
1つ前がトレーラカードである場合、取り出しを開始する(S10)。
【0054】
1つ前がトレーラカードでない場合、カード順番異常であることを識別する(S11)。この識別結果を取出し制御部3に通知し、取出し制御部3から表示部103にエラーメッセージを通信してその旨を表示する(S12)。
【0055】
上述の後続の被処理媒体の識別の結果、後続の被処理媒体がヘッダカードでもトレーラカードでもないと判別された場合、取り出しを開始する(S13)。
【0056】
上述の後続の被処理媒体の識別の結果、後続の被処理媒体がトレーラカードであると判別された場合、トレーラカードの取り出しを開始する(S14)。続いて、次の被処理媒体があるかどうか確認して、取出し制御部102に通知する(S15)。次の被処理媒体が無ければ取出し制御部102にて取出し機構における被処理媒体の取出し停止を決定し、取出し制御部102から取出し機構3へ取出し停止を指示し、一連のバッチ処理を終了する。次の被処理媒体があれば、取出し制御部102にてX枚分の取出し停止を決定し、取出し機構における被処理媒体の取出しを例えばX枚分の取出しに相当する時間だけ停止した後、再開することを指示する(S16)。
【0057】
尚、上記バッチ処理システムの一例では、2つの色センサを用いた例を説明したが、本発明では、1つの色センサを使用することも可能である。
【0058】
図8に、1つの色センサを使用した場合の色検知部及び取出し機構のブロック図、図9に、1つの色センサを使用した場合の先頭の被処理媒体の識別を行うためのフローチャート、図10に、1つの色センサを使用した場合の後続の被処理媒体の識別を行うためのフローチャートを各々示す。
【0059】
図4の先頭の被処理媒体の識別(S3)において、図8及び図9に示すように、1つの色センサを使用した場合は、例えば色検知部12にて色センサにより検知された第1の有色領域の反射率を検知情報として媒体識別部101へ送り、ヘッダカードを表す第1の信号であるかすなわち表3に示す許容範囲内であるか判別する(S41)。許容範囲に入らない場合は終了し、許容範囲に全て入る場合はヘッダカードと識別することができる(S42)。
【0060】
また、図4の後続の媒体の識別(S8)において、図8及び図10に示すように、例えば色センサにより検知された第1の有色領域の反射率が、検知情報として媒体識別部101へ送られて、ヘッダカードを表す第1の信号であるかすなわち表3に示す許容範囲内であるか判別される(S51)。許容範囲に全て入る場合はヘッダカードと識別される(S52)。第1の有色領域の反射率がヘッダカードを表す第1の信号に関する許容範囲に入らない場合と、第1の色センサ12Aにより検知された反射率情報が第1の信号ではないすなわち表3に示す許容範囲内でない場合には、媒体識別部101へ送られた第1の色センサ12Aの反射率情報がトレーラカードを表す第2の信号であるかすなわち表5に示す許容範囲であるか判別される(S53)。第1の色センサ12Aの反射率情報が第2の信号でない場合は紙幣と識別され(S54)、第2の信号である場合は、トレーラカードと識別され得る(S55)。
【0061】
本発明の紙葉類処理装置を用いると、簡便に検知し得る仕切りカードを用いて、作業単位毎に紙葉類の取出し操作を制御し得る。例えば1つのバッチの開始をヘッダカードの検知により、及び1つのバッチの終了をトレーラカードの検知により終了することが可能である。紙葉類処理装置内でジャムが発生した場合など、異なるバッチ間での紙葉類の入り繰りを防止することができる。またヘッダカード、トレーラカードの色情報登録を自由に行うことができるため、紙葉類の種類の変更に伴いヘッダカード、トレーラカードが変更された場合にも迅速に対応ができる。
【0062】
以下に、本発明に係るヘッダカード、及びこのヘッダカードと併用し得るトレーラカードの他の例について説明する。
【0063】
図11及び図12は、本発明に使用されるヘッダカードとトレーラカードの第2の例を各々示す。
【0064】
この例では、被処理媒体は長方形であって、長辺と垂直の方向に搬送される。
【0065】
図11に示すように、このヘッダカード401は、第1の有色領域303の代わりに、図中、カード状基材407両主面の左端に、各々、第1の有色領域303を上下に2分割したパターンの有色領域を設け、その上部に第1の有色領域403,下部に第2の有色領域404を配置し、同様に第2の有色領域304の代わりに、図中右端に、第2の有色領域304を上下に2分割したパターンの有色領域を設け、その上部に第3の有色領域405,下部に第4の有色領域406が設けられること以外は、図2に示すヘッダカードと同様の構成を有する。このヘッダカード401では、第1の有色領域403、第2の有色領域404,第3の有色領域405、及び第4の有色領域406のパターンは、各々、点対称、かつ表裏同一に配置されている。例えば第1の色センサ及び第2の色センサを上部の有色領域を検知するように設定し、第1の有色領域403及び第4の有色領域406を同じ第1の色、第2の有色領域404及び第3の有色領域405を同じ第2の色にすることにより、ヘッダカードが上下逆転、及び表裏逆転した場合でも、常に、第1の色センサで第1の有色領域、第2の色センサで第2の有色領域を検知することができる。
【0066】
また、このヘッダカード401と好適に併用し得るトレーラカードの一例を図12に示す。
【0067】
図示するように、このトレーラカード805は、カード基材807の両主面上に、バーコード領域402がなく、第1の有色領域802,第2の有色領域803、第3の有色領域804,及び第4の有色領域805の色の組み合わせが、第1の有色領域403,第2の有色領域404,第3の有色領域405、及び第4の有色領域406の色の組み合わせと異なる色の組み合わせを有すること以外は図11と同様の構成を有する。
【0068】
尚、異なる色の組み合わせは、第1の色ないし第4の色の組み合わせと完全に一致しなければ良く、例えば1色のみが異なる色であったり、組み合わせの順番が異なる場合を含む。
【0069】
図13及び図14は、本発明に使用されるヘッダカードとトレーラカードの第3の例を各々示す。
【0070】
この例では、被処理媒体は長方形であって、長辺と平行な方向に搬送される。
【0071】
図13に示すように、このヘッダカード501は、例えば160×85cmの大きさの長方形を有するカード状基材507、カード状基材507の両主面の中央部に、紙葉類の識別情報が記録された例えば40×20cmの大きさのバーコード領域502が各々設けられている。また、この両主面上に、カード状基材507の幅方向の一端例えば図13中上端には、例えば140×20cmの大きさの長方形を有し、第1の色をもつ第1の有色領域503が設けられ、一方、カード状基材507の長手方向の他端すなわち図13中下端には、同様の大きさを有し、かつ第2の色をもつ第2の有色領域504が設けられる。このように、この有色領域は、表裏同一となる配置で両主面上に設けられている。さらに、カードの上下を識別し得るように、図示しない例えばバーコードの数字等を記載し得る。
【0072】
また、図14に示すように、トレーラカード901は、バーコード領域502が設けられず、第1の有色領域503及び第2の有色領域504の代わりに、カード状基材907上に第1の色と第2の色の組み合わせとは異なる色の組み合わせをもつ第1の有色領域902及び第2の有色領域903を設けること以外は、上記ヘッダカード501と同様の構成を有する。
【0073】
図15及び図16は、本発明に使用されるヘッダカードとトレーラカードの第4の例を各々示す。
【0074】
この例では、被処理媒体は長方形であって、長辺と平行な方向に搬送される。
【0075】
図15に示すように、このヘッダカード601は、図13の第1の有色領域502の代わりに、図中、カード状基材607両主面の上端に、各々、第1の有色領域502を左右に2分割したパターンの有色領域を設け、その左側に第1の有色領域603,右側に第3の有色領域605を配置し、同様に第2の有色領域504の代わりに、図中下端に、図13の第2の有色領域504を上下に2分割したパターンの有色領域を設け、その左側に第3の有色領域604,右側に第4の有色領域606が設けられること以外は、図13に示すヘッダカードと同様の構成を有する。このヘッダカード601では、第1の有色領域603、第2の有色領域604,第3の有色領域605、及び第4の有色領域606のパターンは、各々、点対称、かつ表裏同一に配置されている。例えば第1の色センサ及び第2の色センサを上部の有色領域を検知するように設定し、第1の有色領域603及び第4の有色領域606を同じ第1の色、第2の有色領域604及び第3の有色領域605を同じ第2の色にすることにより、ヘッダカードが上下逆転、及び表裏逆転した場合でも、常に、第1の色センサで第1の色、第2の色センサで第2の色を検知することができる。
【0076】
また、このヘッダカード601と好適に併用し得るトレーラカードの一例を図16に示す。
【0077】
図示するように、このトレーラカード1001は、カード基材1007の両主面上に、バーコード領域602がなく、第1の有色領域1002,第2の有色領域1003、第3の有色領域1004,及び第4の有色領域1005の色の組み合わせが、第1の有色領域603,第2の有色領域604,第3の有色領域605、及び第4の有色領域606の色の組み合わせと異なる色の組み合わせを有すること以外は図15と同様の構成を有する。
【0078】
なお、上記ヘッダカード、及びトレーラカード各例で、2色の有色領域を2つの色検知器で検知すると、被処理媒体が故意にまたは事故的に着色された場合に媒体をカードと誤判定することを回避することができる。例えば有価証券には、赤色ペンや青色ペンによる落書き(Graffiti)や把束に押印するべき印章が誤って押されたりするケースが見受けられる。このようなケースでは、同一の色が複数の箇所で観測されることはまれであるため、2箇所以上の検知領域は効果的である。
【0079】
また、色検知器12Aおよび12Bは、本発明の装置で処理可能な被処理媒体のうち、最小サイズの媒体を検知可能な位置に設置することが望ましい。そのようにしないと、小型の媒体が投入部の先端に配置されても、これを検知できずに、後続の媒体を検知するという問題が生じる傾向がある。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る紙葉類処理装置の一例の概略構成図
【図2】本発明に使用されるヘッダカードの第1の例を表す正面図
【図3】本発明に使用されるトレーラカードの第1の例を表す正面図
【図4】被処理媒体の色検知及び取り出しを行うためのフローチャート
【図5】色検知部及び取出し機構の一例のブロック図
【図6】被処理媒体の識別を行うためのフローチャート
【図7】被処理媒体の識別を行うためのフローチャート
【図8】色検知部及び取出し機構の他の例のブロック図
【図9】被処理媒体の識別を行うためのフローチャート
【図10】被処理媒体の識別を行うためのフローチャート
【図11】本発明に使用されるヘッダカードの第2の例を表す正面図
【図12】本発明に使用されるトレーラカードの第2の例を表す正面図
【図13】本発明に使用されるヘッダカードの第3の例を表す正面図
【図14】本発明に使用されるトレーラカードの第3の例を表す正面図
【図15】本発明に使用されるヘッダカードの第4の例を表す正面図
【図16】本発明に使用されるトレーラカードの第4の例を表す正面図
【符号の説明】
【0081】
1…紙葉類処理装置、2…投入部、3…取出し機構、5…判別ユニット、9…集積部、8…排除部、11…紙葉類、12…色検知部、102…取出し制御部、301,401,501,601…ヘッダカード、302,402,502,602…バーコード領域、307,407,507,607,707,807,907,1007…カード状基材、303,304,403,404,405,406,503,504,603,604,605,606,702,703,802,803,804,805,902,903,1002,1003,1004,1005…有色領域、701,801,901,1001…トレーラカード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業単位毎に集積された紙葉類と、前記紙葉類上に重ねられ、両主面を有するカード状基材、及び前記カード基材の少なくとも一主面上に設けられた、カードを識別するための有色領域を含む仕切りカードとを有する1バッチ分の被処理媒体を、1または複数バッチ重ねて投入する投入部と、
前記被処理媒体を前記投入部から個々に取出す取出し機構と、
前記投入部の取り出し方向先端に配置された被処理媒体の色を検知する色検知部と、
前記色検知部からの検知情報に基づいて、取出し操作を制御する取出し制御部と、
前記被処理媒体の特徴を検知し、判別するための判別ユニットと、
前記判別ユニットにおける判別結果に基づいて前記紙葉類を集積する集積部と、
前記判別ユニットおける判別結果に基づいて前記集積部に集積されなかった前記紙葉類、及び前記仕切りカードを集積する排除部とを具備することを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記仕切りカードは、前記集積された紙葉類の取り出し方向前端に重ねられ、前記両主面を有するカード状基材、少なくとも一主面の中央部に設けられ、紙葉類の識別情報が記録されたバーコード領域、及び前記バーコード領域の周囲に設けられ、カードの種類を識別するための有色領域を含むヘッダカードであることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記仕切りカードとして、両主面を有するカード状基材、少なくともその一主面に設けられたカードの種類を識別するための有色領域を含むトレーラカードを前記集積された紙葉類の取り出し方向後端にさらに設けることを特徴とする請求項2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記有色領域は、第1の色を有する第1の有色領域、及び第2の色を有する第2の有色領域を含み、前記色検知部は、前記第1の色を検知するための第1の色検知部と、前記第2の色を検知するための第2の色検知部とを備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
紙葉類を検出及び判別して集積するための紙葉類処理装置に紙葉類を投入する際に、集積された前記紙葉類の作業単位の先端に仕切りカードとして配置されるヘッダカードであって、
両主面を有するカード状基材、一主面の中央部に設けられ、紙葉類の識別情報が記録されたバーコード領域、及び前記バーコード領域の周囲に設けられ、カードの種類を識別するための有色領域を含むことを特徴とするヘッダカード。
【請求項6】
前記有色領域は、第1の色を有する第1の有色領域、及び第2の色を有する第2の有色領域を含むことを特徴とする請求項5に記載のヘッダカード。
【請求項1】
作業単位毎に集積された紙葉類と、前記紙葉類上に重ねられ、両主面を有するカード状基材、及び前記カード基材の少なくとも一主面上に設けられた、カードを識別するための有色領域を含む仕切りカードとを有する1バッチ分の被処理媒体を、1または複数バッチ重ねて投入する投入部と、
前記被処理媒体を前記投入部から個々に取出す取出し機構と、
前記投入部の取り出し方向先端に配置された被処理媒体の色を検知する色検知部と、
前記色検知部からの検知情報に基づいて、取出し操作を制御する取出し制御部と、
前記被処理媒体の特徴を検知し、判別するための判別ユニットと、
前記判別ユニットにおける判別結果に基づいて前記紙葉類を集積する集積部と、
前記判別ユニットおける判別結果に基づいて前記集積部に集積されなかった前記紙葉類、及び前記仕切りカードを集積する排除部とを具備することを特徴とする紙葉類処理装置。
【請求項2】
前記仕切りカードは、前記集積された紙葉類の取り出し方向前端に重ねられ、前記両主面を有するカード状基材、少なくとも一主面の中央部に設けられ、紙葉類の識別情報が記録されたバーコード領域、及び前記バーコード領域の周囲に設けられ、カードの種類を識別するための有色領域を含むヘッダカードであることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類処理装置。
【請求項3】
前記仕切りカードとして、両主面を有するカード状基材、少なくともその一主面に設けられたカードの種類を識別するための有色領域を含むトレーラカードを前記集積された紙葉類の取り出し方向後端にさらに設けることを特徴とする請求項2に記載の紙葉類処理装置。
【請求項4】
前記有色領域は、第1の色を有する第1の有色領域、及び第2の色を有する第2の有色領域を含み、前記色検知部は、前記第1の色を検知するための第1の色検知部と、前記第2の色を検知するための第2の色検知部とを備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の紙葉類処理装置。
【請求項5】
紙葉類を検出及び判別して集積するための紙葉類処理装置に紙葉類を投入する際に、集積された前記紙葉類の作業単位の先端に仕切りカードとして配置されるヘッダカードであって、
両主面を有するカード状基材、一主面の中央部に設けられ、紙葉類の識別情報が記録されたバーコード領域、及び前記バーコード領域の周囲に設けられ、カードの種類を識別するための有色領域を含むことを特徴とするヘッダカード。
【請求項6】
前記有色領域は、第1の色を有する第1の有色領域、及び第2の色を有する第2の有色領域を含むことを特徴とする請求項5に記載のヘッダカード。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−79695(P2007−79695A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−263809(P2005−263809)
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月12日(2005.9.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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