説明

紙葉類判定装置

【課題】テープ13等が一部に貼られた媒体12でも正しい厚さを検出できるようにする。
【解決手段】基準ローラ2に対向しベアリングシャフト15に固着され当該基準ローラ2から離れる方向に変位可能に支持ブラケット4により支持された複数の厚み検知ベアリング1と、を備え、前記基準ローラ2と前記複数の厚み検知ベアリング1間の隙間に媒体12を搬送させ、前記支持ブラケット4の変位を変位検出手段6により測定して媒体12が正常か否かを判定する紙葉類判定装置において、前記複数の厚み検知ベアリング1は、前記複数の厚み検知ベアリング1の外輪間にスペーサ16を設け、前記複数の厚み検知ベアリング1の内輪間に所定の圧力をかけて前記ベアリングシャフト15に固着するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体の厚さを検知する厚み検知装置に係り、例えば、自動紙葉処理機、印刷装置、OCR等のように媒体搬送を行う機器に用いられる厚み検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行等の金融機関で使用される自動取引装置の紙葉重送検知方式としてはメカ2重検知方式が一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4ないし図6は上記従来のメカ2重検知方式の厚み検知装置の概略図である。図4は正面図、図5は図4の上面図を、図6は図4の側面図を示す。同図において、1aおよび1bは厚み検知ベアリングであり、2は基準ローラである。
【0004】
8は、基準ローラ2を回転可能に支持しかつ装置のフレームに固定されたベアリングであり、省略した基準ローラ2の左端にも同様のベアリングが設けられている。5はスプリングであり、4は支持ブラケットである。
【0005】
支持ブラケット4は支点7により揺動可能に支持され、支点7は装置のフレームに固定されている。これらのスプリング5および支持ブラケット4は、厚み検知ベアリング1と基準ローラ2とが突き当たるように、厚み検知ベアリング1をベアリングシャフト3を介して支持する。変位検出部6は渦電流式の非接触式などの変位センサであり、支持ブラケット4の微小変位を検出する。
【0006】
厚み検知ベアリング1は紙幣の幅方向全体の厚み検出を網羅するために複数個設けられており、厚み検知ベアリング1を支持する前記構成部品、および変位検出部6もそれぞれ設けられている。
【0007】
図7に従来のブラケットアッセンブリの構成図を示す。同図に示したように、厚み検知ベアリング1aと1b間はスペーサ9により所定の隙間が保たれ、支持ブラケット4はスペーサ10a、10bにより厚み検知ベアリング1aと1bと所定の隙間が保たれ、互いに接触することなく滑らかに回転することができるっている。そして、ベアリングシャフト3には両端に雌ネジが切ってあり、皿ネジ11a、11bを両端から締め付けることにより回転軸方向が固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−259822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の構成では図8に示すように媒体12の上に貼られたテープ13が厚み検知ベアリング1の一部に乗り上げた場合、ベアリングの角すきまにより厚み検知ベアリング1の外輪1abに角度θ1が発生する。
【0010】
このため、本来、媒体12の厚みt0とテープ13の厚みt1の合計t2が支持ブラケット4の変位量となるはずが、支持ブラケット4の変位量が少なくなりt3(<t2)が測定され、テープの厚さt1が薄いなどの場合はテープ検出不可能となってしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、回転可能に支持された基準ローラと、当該基準ローラに対向しベアリングシャフトに固着され当該基準ローラから離れる方向に変位可能にブラケットにより支持された複数のベアリングとを備え、前記基準ローラと前記複数のベアリング間の隙間に媒体を搬送させ、前記ブラケットの変位を変位検出手段により測定して媒体が正常か否かを判定する紙葉類判定装置において、前記複数のベアリングは、前記複数のベアリングの外輪間にスペーサを設け、前記複数のベアリングの内輪間に所定の圧力をかけて前記ベアリングシャフトに固着するようにした。
【発明の効果】
【0012】
本発明の紙葉類判定装置によれば、回転可能に支持された基準ローラと、当該基準ローラに対向しベアリングシャフトに固着され当該基準ローラから離れる方向に変位可能にブラケットにより支持された複数のベアリングとを備え、前記基準ローラと前記複数のベアリング間の隙間に媒体を搬送させ、前記ブラケットの変位を変位検出手段により測定して媒体が正常か否かを判定する紙葉類判定装置において、前記複数のベアリングは、前記複数のベアリングの外輪間にスペーサを設け、前記複数のベアリングの内輪間に所定の圧力をかけて前記ベアリングシャフトに固着して角すきまをなくすようにしたので、媒体にテープが貼り付けられた場合でも、媒体およびテープの厚みを正しく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1の紙葉類判定装置のシャフトアッセンブリの構成図である。
【図2】実施例1の紙葉類判定装置のブラケットアセンブリの構成図である。
【図3】実施例1の紙葉類判定装置の動作説明図である。
【図4】従来の紙葉類判定装置の要部構成図(正面図)である。
【図5】従来の紙葉類判定装置のシャフトアッセンブリの構成図(上面図)である。
【図6】従来の紙葉類判定装置のブラケットアッセンブリの構成図(側面図)である。
【図7】従来の紙葉類判定装置のブラケットアセンブリの構成図である。
【図8】従来の紙葉類判定装置の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0015】
(構成)
実施例1の紙葉類判定装置のシャフトアッセンブリ14の構成のほかは図4ないし図6を用いて説明した従来の紙葉類判定装置の構成と同様であるので、簡略化のために同様の構成についてはその詳細な説明は省略する。以下、実施例1の紙葉類判定装置のシャフトアッセンブリの構成およびブラケットアセンブリの構成を図1および図2を用いて詳細に説明する。
【0016】
図1および図2に示したように、15はベアリングシャフトで、厚み検知ベアリング内輪1baに接するように段付部があり、厚み検知ベアリング1bの抜け止めとし、厚み検知ベアリングの各内輪を貫通している。
【0017】
16はベアリング1aと1bの隙間を確保するスペーサで、スペーサ凸部16aがあり、検知ベアリング外輪1ab、1bbの内径と嵌めあいで位置決めされている。そして、媒体12が厚み検知ベアリング1を通過した時に、検知ベアリングよりも先にスペーサ16が媒体に接触することがないように、スペーサ16の外径は厚み検知ベアリング1の外径より小さくなっている。
【0018】
そして、ベアリングシャフト15とベアリング1は接着により固定される。この接着の際に、ベアリング内輪1aaへ図1の白抜き矢印A1、A2の方向へ予圧力をかけて接着し、後述の図3の角すきまθ1が0となるようにする。
【0019】
ベアリングシャフト15の両端には雌ネジが切ってあり、図2に示すように皿ネジ11で支持ブラケット4と両端から固定され、検知ベアリングの軸方向、半径方向ともに位置決めされる。
【0020】
(動作)
以上の構成による実施例1の紙葉類判定装置は以下のように動作する。この動作を、図3を用いて説明する。
【0021】
なお、従来の紙葉類判定装置にて説明した図8と同様に、媒体12にはテープ13が厚み検知ベアリング1aの一部に重なっている位置に貼り付けられており、当該媒体12が基準ローラ2と厚み検知ベアリング1の間を通過する場合を一例として説明する。
【0022】
媒体12が基準ローラ2と厚み検知ベアリング1の間を通過すると、従来の紙葉類判定装置の図8と同様に、検知ベアリング外輪1abは角度θ1傾くような力が働くが、検知ベアリング内輪1aa、1baは常に互いに近づく方向で予圧力がかかって位置固定されているため、検知ベアリング外輪1abと1bbは常にスペーサ16を挟んで常に互いに近づく方向に力がかかり角すきまがなくなり、検知ベアリング外輪1abは傾かずにθ1=0となる。
【0023】
したがって、支持ブラケット4の変位量t4は媒体12の厚みt0とテープ13の厚みt1の合計t2に等しくなり、すなわちt4=t2となり、テープ厚みt1を正しく測定できることになる。
【0024】
(実施例1の効果)
以上のように、実施例1の紙葉類判定装置によれば、回転可能に支持された基準ローラと、当該基準ローラに対向しベアリングシャフトに固着され当該基準ローラから離れる方向に変位可能に支持ブラケットにより支持された複数の厚み検知ベアリングとを備え、前記基準ローラと前記複数の厚み検知ベアリング間の隙間に媒体を搬送させ、前記支持ブラケットの変位を変位検出手段により測定して媒体が正常か否かを判定する紙葉類判定装置において、前記複数の厚み検知ベアリングは、前記複数の厚み検知ベアリングの外輪間にスペーサを設け、前記複数の厚み検知ベアリングの内輪間に所定の圧力をかけて前記ベアリングシャフトに固着して角すきまをなくすようにしたので、媒体にテープが貼り付けられた場合でも、媒体およびテープの厚みを正しく測定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上述べたように、本発明は、銀行等の金融機関で使用される自動取引装置など、媒体の厚みの変位量を検知して媒体を処理する媒体処理装置に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
1、1a、1b 厚み検知ベアリング
1aa、1ba 内輪
1ab、1bb 外輪
2 基準ローラ
3 ベアリングシャフト
4 支持ブラケット
6 変位検出部
7 支点
8 ベアリング
11 皿ネジ
12 媒体
13 テープ
14 シャフトアッセンブリ
3、15 ベアリングシャフト
16 スペーサ
16a スペーサ凸部
θ1 角すきま
t0 媒体厚さ
t1 テープ厚さ
t2 媒体およびテープの厚さ
t3 従来の変位
t4 実施例1の変位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持された基準ローラと、当該基準ローラに対向しベアリングシャフトに固着され当該基準ローラから離れる方向に変位可能にブラケットにより支持された複数のベアリングと、を備え、前記基準ローラと前記複数のベアリング間の隙間に媒体を搬送させ、前記ブラケットの変位を変位検出手段により測定して媒体が正常か否かを判定する紙葉類判定装置であって、
前記複数のベアリングは、前記複数のベアリングの外輪間にスペーサを設け、前記複数のベアリングの内輪間に所定の圧力をかけて前記ベアリングシャフトに固着するようにしたことを特徴とする紙葉類判定装置。
【請求項2】
前記スペーサは、前記複数のベアリングの外輪の内径と嵌めあいで位置決めされる凸部を備えたことを特徴とする請求項1記載の紙葉類判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−34362(P2011−34362A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180202(P2009−180202)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】