説明

紙葉類取扱装置

【課題】静電気が帯電していない状態の紙葉類を顧客に受け渡すことができ、また、顧客が紙葉類を取り忘れてしまうことを防止することができる紙葉類取扱装置を提供する。
【解決手段】紙幣入出金部2内部から外部へと排出される紙幣の排出口となると共に、外部から紙幣入出金部2内部へと投入される紙幣を受け入れる受け入れ口となるプール部11を備えた紙幣入出金部2において、プール部11近傍に配置され、プール部11へと搬送される紙幣に向かってマイナスイオンを放出するイオン発生装置10を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内部から外部へと排出される紙葉類の排出口となると共に、外部から装置内部へと投入される紙葉類を受け入れる受け入れ口となるプール部を備えた紙葉類取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関等に設置されている自動取引装置に内蔵されている紙幣入出金部は、前面上部に接客ユニットを備えている。この接客ユニットは、顧客に対して紙幣を排出する、あるいは顧客から投入される紙幣を受け入れるユニットであり、紙幣入出金部内部から外部へと排出される紙幣の排出口となると共に、外部から紙幣入出金部内部へと投入される紙幣を受け入れる受け入れ口となるプール部と、該プール部を覆い、外部から遮断するシャッターが設けられている。プール部には紙幣が搬送される搬送路が接続されており、プール部近傍の搬送路には、紙幣に触れることで、該紙幣から除電を行う除電ブラシが設けられている。そして入金時には搬送前の紙幣を除電ブラシに接触させることで除電し、除電した状態の紙幣を装置内部に取り込んでいる。また出金時にはプール部の手前で紙幣を除電ブラシに接触させることで除電し、除電した状態の紙幣をプール部に集積している。
【0003】
また、除電剤を含み、定期的に交換される除電ブラシを入金口部と紙幣搬送部との間に設け、入金紙幣からの静電気の除電、及び異物の除去を行う紙幣入金処理装置がある。このような装置においては、搬送された入金紙幣が除電ブラシを通過するときに入金紙幣をブラッシングする事により電気を逃がし除電させる。このように、入金口部の出口で紙幣に帯電されている静電気の除電を行うことにより入金紙幣の搬送障害を未然に防止している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−011232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の除電ブラシを紙幣に接触させることで紙幣の除電を行う方法では、除電ブラシが紙幣との接触により磨耗するので、除電ブラシを装置に実装してから時間が経つにつれて、除電効果が低下するという問題点があった。
【0005】
そして、出金時、除電効果が低下した状態の除電ブラシが紙幣に接触し、除電が十分に行われず静電気を帯びた状態の紙幣がプール部に集積されると、顧客の手が静電気を帯びた状態の紙幣に触れた際に放電し、顧客が驚いて手をプール部から引っ込める際に、腕を自動取引装置に当ててしまう可能性があるという問題点があった。
【0006】
また、複数枚の紙幣が出金される場合、除電が十分に行われず静電気を帯びた状態の紙幣がプール部に集積されると、集積不良が発生してしまう可能性があるという問題点があった。更に静電気により一部の紙幣がプール部の側壁に張り付いてしまう可能性があり、該側壁に張り付いた状態の紙幣を顧客が取り忘れてしまう可能性があった。そしてその場合、取り忘れ紙幣が発生してしまうという問題点があった。
【0007】
また、入金時、除電効果が低下した状態の除電ブラシが紙幣に接触し、除電が十分に行われず静電気を帯びた状態の紙幣が装置内部に取り込まれると、紙幣の搬送障害が発生してしまう可能性があるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明で設けた解決手段は、装置内部から外部へと排出される紙葉類の排出口となると共に、外部から装置内部へと投入される紙葉類を受け入れる受け入れ口となるプール部を備えた紙葉類取扱装置において、前記プール部近傍に配置され、該プール部へと搬送される紙葉類に向かってマイナスイオンを放出するイオン発生手段を設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プール部へと搬送される紙葉類に静電気が帯電していても、イオン発生装置から放出されるマイナスイオンにより静電気を除去することができる。マイナスイオンは紙葉類に接触せずに静電気を除去することができるので、除電ブラシのように磨耗により除電効果が低下することがない。その結果、常時、一定レベルの除電を行うことができ、プール部には静電気が帯電していない状態の紙葉類を集積させることができる。これにより、静電気が帯電していない状態の紙葉類を顧客に受け渡すことができる。
【0010】
また、複数枚の紙葉類が排出される場合、あるいは投入された紙葉類を顧客に返却する場合であっても、プール部には静電気が帯電していない状態の紙葉類を集積させることができるので、集積不良を防止することができ、更に静電気により一部の紙葉類がプール部の側壁に張り付いてしまうことを防止することができる。その結果、顧客が紙葉類を取り忘れてしまうことを防止することができ、取り忘れ紙葉類の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。なお、各図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0012】
始めに自動取引装置の構成について説明する。図1は実施例1の紙幣入出金部の構成を示す説明図、図2は実施例1の紙幣入出金部のイオン発生装置の配置を示す説明図である。
【0013】
図1において、自動取引装置1には、紙葉類取扱装置である紙幣入出金部2と、主制御部3と、図示せぬ顧客操作部と、硬貨入出金部と、カード処理部と、通帳記帳部と、明細票処理部と、音声案内部と、電源部と、接近検知器と、記憶部と、インターフェース部とが設けられている。なお、主制御部3は、前記紙幣入出金部2と、顧客操作部と、硬貨入出金部と、カード処理部と、通帳記帳部と、明細票処理部と、音声案内部と、電源部と、接近検知器と、記憶部と、インターフェース部と接続されており、各部を制御している。
【0014】
紙幣入出金部2には、前面上部に接客ユニット4が設けられている。この接客ユニット4は、顧客に対して紙幣を排出する、あるいは顧客から投入される紙幣を受け入れるユニットであり、紙幣入出金部2内部から外部へと排出される紙幣の排出口となると共に、外部から紙幣入出金部2内部へと投入される紙幣を受け入れる受け入れ口となるプール部11と、該プール部11を覆い、外部から遮断するシャッター9が設けられている。なお、プール部11内部には図2に示す、紙幣が集積される接客ドラム15が回動自在に設けられており、接客ドラム15は受渡し・受取りポジションと、分離ポジションと、集積ポジションの3つの停止ポジションで停止する。
【0015】
接客ドラム15が受渡し・受取りポジションで停止した場合には、シャッター9が開き、顧客による紙幣の投入や顧客へ受け渡す出金紙幣の排出が可能となる。また分離ポジションで停止した場合には、プール部11に投入された紙幣を1枚ずつ装置内に送り出す。更に集積ポジションで停止した場合には、搬送路6を搬送されてきた紙幣を受け取る。このように、接客ドラム15は図示せぬ軸を中心として3つの任意の位置に、処理内容により選択停止できるようになっている。
【0016】
また、プール部11には、後述する制御部と接続され、接客ドラム15に集積された紙幣を検知する紙幣検知センサが設けられており、該紙幣検知センサは接客ドラム15に紙幣が存在するか否かに応じて制御部に送信する情報を変化させる。
【0017】
プール部11には更に、図示せぬ紙幣繰出し機構と、図示せぬ紙幣集積機構が設けられている。紙幣繰出し機構は接客ドラム15内の紙幣に接触し、該紙幣を繰出す繰出しローラと、紙幣を後述する搬送路へと搬送する搬送ローラ対と、該搬送ローラ対の一方のローラに圧接し、繰出しローラにより複数枚の紙幣が繰出された場合、最下位の1枚のみが搬送路へと繰出されるように残りの紙幣と分離する分離ローラとから構成されており、プール部11内に投入された紙幣を1枚ずつ分離して搬送路6へと繰出す。一方、紙幣集積機構は排出ローラ対により構成されており、搬送路6を搬送されてきた紙幣をプール部11内に排出する。
【0018】
図1に示すように、紙幣入出金部2の底部には、金種別に紙幣を貯留する金種別金庫である紙幣カセット5が複数(本実施例では3個)と、五千円券、あるいは搬送異常券等、出金不可能な紙幣を収納する図示せぬリジェクトカセットが設けられており、接客ユニット4から紙幣カセット5(5a、5b、5c)、及びリジェクトカセットまで、紙幣が搬送される搬送路6が形成されている。
【0019】
なお、本実施例では紙幣カセットとして、万円券を貯留する万円券カセット5a、5bと、千円券を貯留する千円券カセット5cがそれぞれ設けられている。更に、紙幣入出金部3の後部には、金種別金庫へ補充する紙幣、あるいは金種別金庫から回収された紙幣を集積する紙幣補充/回収カセット18が設けられており、搬送路37により搬送路6に接続されている。
【0020】
図2に示すように、搬送路6は紙幣を搬送する搬送ローラ13と、該搬送ローラに巻装された搬送ベルト14により構成されており、プール部11近傍の搬送路6にはイオン発生手段であるイオン発生装置10が配設されている。このイオン発生装置10はマイナスイオンを発生させるイオン発生部と、駆動されることで回転し、空気の流れを作り、マイナスイオンを外部へと送り出すファンとから構成されている。このように構成されたイオン発生装置10は、駆動時、イオン発生部がマイナスイオンを発生させ、ファンが回転することで、発生したマイナスイオンを含んだ空気を搬送路6に向かって放出する。
【0021】
なお、ファンによる送風により、イオン発生装置10から発生したマイナスイオンを効率良くイオン発生装置10から放出させることができ、除電効果を高くすることができる。また、イオン発生装置10は搬送路6を挟み込む状態で1対配設されているので、マイナスイオンを紙幣の表面側と裏面側それぞれに対して吹き付けることができる。なお、イオン発生装置10は必ずしも1対とする必要はなく、1個でもよい。
【0022】
また、図1に示すように、接客ユニット4と紙幣カセット5との間の搬送路6には、紙幣を一時的に集積する一時保留部7と、送り込まれた紙幣の真偽、正損、表裏、2枚以上の重なり、及び斜行等を鑑別、検知する鑑別部8が設けられている。更に紙幣入出金部2には、紙幣入出金部2全体を制御する制御部20が設けられている。なお、前記一時保留部7は上段部と下段部の2層構造となっており、上段部は、鑑別部8が偽券、あるいは搬送異常券であると鑑別した紙幣を一時的に集積し、一方、下段部は、鑑別部8が真券であると鑑別した紙幣を一時的に集積する。
【0023】
次に上記構成の紙幣入出金部2の制御系について説明する。図3は実施例1の紙幣入出金部の制御系を示すブロック図である。
【0024】
図3において、制御部20にはイオン発生装置駆動回路部21と、シャッター駆動回路部22と、第1のモータ駆動回路部23と、第2のモータ駆動回路部24と、第3のモータ駆動回路部25と、第4のモータ駆動回路部26と、第5のモータ駆動回路部27と、第6のモータ駆動回路部28と、紙幣検知センサ12と、鑑別部8が接続されている。イオン発生装置駆動回路部21はイオン発生装置10と接続されており、イオン発生部を駆動してマイナスイオンを発生させると共に、ファンを回転させて発生したマイナスイオンを含んだ空気を搬送路6に向かって放出させる制御を行う。あるいはイオン発生部の駆動を停止させてマイナスイオンの発生を停止させると共に、ファンの回転を停止させてマイナスイオンの放出を停止させる制御を行う。
【0025】
シャッター駆動回路部22は、シャッター9を開閉動作させるシャッター駆動モータ35と接続されており、シャッター9の開閉を制御する。第1のモータ駆動回路部23は、万円券カセット5aに設けられた受け入れ繰り出しローラを駆動する第1のモータ29と接続されており、該受け入れ繰り出しローラの回転を制御する。第2のモータ駆動回路部24は、万円券カセット5bに設けられた受け入れ繰り出しローラを駆動する第2のモータ30と接続されており、該受け入れ繰り出しローラの回転を制御する。第3のモータ駆動回路部25は、千円券カセット5cに設けられた受け入れ繰り出しローラを駆動する第3のモータ31と接続されており、該受け入れ繰り出しローラの回転を制御する。
【0026】
第4のモータ駆動回路部26は、搬送路6を構成する搬送ローラ対を駆動する第4のモータ32と接続されており、該搬送ローラの回転を制御する。第5のモータ駆動回路部27は、紙幣繰出し機構を構成する繰出しローラと、搬送ローラ対を駆動する第5のモータ33と接続されており、該繰出しローラと、搬送ローラ対の回転を制御する。第6のモータ駆動回路部28は、紙幣集積機構を構成する排出ローラ対を駆動する第6のモータ34と接続されており、該排出ローラ対の回転を制御する。
【0027】
紙幣検知センサ12は接客ドラム15に設けられ、発光素子であるLEDと、受光素子である受光センサと、LEDに接続された図示せぬ発光回路と、受光センサに接続された図示せぬ受光回路とから構成され、プール部11に投入された紙幣の検出を行っている。
【0028】
このような紙幣検知センサ12においては、受光回路は発光センサから受光量に応じた値をアナログ値で受信し、該アナログ値をデジタル値に変換して制御部20に対して送信する。制御部20は受光回路から受光量として受信した数値を予め決められた規定値と比較し、該受光量として受信した数値が規定値以上であれば「明」状態である、すなわち紙幣は存在していないと判断し、一方制御部20は受光回路から受光量として受信した数値を予め決められた規定値と比較した際に、該受光量として受信した数値が規定値未満であれば投入された紙幣により発光素子からの光が遮られて「暗」状態となっている、すなわちプール部11に紙幣が存在していると判断する。
【0029】
次に入金取引時の紙幣入出金部2の動作について説明する。
図1、図2、図3において、自動取引装置1で取引を行おうとする顧客が、自動取引装置1の顧客操作部に表示されている顧客誘導画面の中から「ご入金」を選択すると、主制御部3は入金取引処理を実行する。従って、主制御部3は通帳の挿入案内とIDカードの挿入案内を行う。これに従って顧客はIDカードをカード処理装置のカード挿入排出口に挿入する。カード処理部ではIDカードから口座番号を読み取り、主制御部3に送信する。主制御部3は図示せぬインターフェース部と通信回線を介してホストコンピュータに所定の問い合わせを行う。
【0030】
ホストコンピュータは問題の有無を確認する。そして問題が無く入金可能であれば、取引を了解することを示す信号を通信回線とインターフェース部を介して自動取引装置1へと送信する。そして主制御部3は取引を了解することを示す信号を受信すると、紙幣入出金部2に対して紙幣受け入れの指示を行う。
【0031】
これを受けて紙幣入出金部2の制御部20はシャッター駆動部22にシャッター9を開状態とする指示を送信する。この指示を受けてシャッター駆動部22はシャッター駆動モータ35を介してシャッター9を駆動して開状態とし、制御部20は受渡し・受取りポジションに位置付けられている接客ドラム15内に紙幣が投入されるのを待つ。顧客により紙幣が投入されたことが接客ドラム15に設けられた紙幣検知センサ12により検知されると、紙幣検知センサ12から制御部20に送信される情報が変化する。ここで、紙幣検知センサ12から送信されてくる情報の変化により制御部20がプール部11に紙幣が存在していると判断すると、制御部20はシャッター駆動部22にシャッター9を閉状態とする指示を送信する。この指示を受けてシャッター駆動部22はシャッター駆動モータ35を駆動してシャッター9を閉状態とし、プール部11を覆い、外部から遮断する。
【0032】
そして制御部20は接客ドラム15を回動させて分離ポジションに位置付けると共に、第5のモータ駆動回路部25を介して第5のモータ33を駆動し、紙幣繰出し機構を構成する繰出しローラと、搬送ローラ対を回転させて1枚ずつ搬送路6へと繰出すと共に、第4のモータ駆動回路部26を介して第4のモータ32を駆動し、搬送ローラ対13を回転させて、プール部11から繰出された紙幣を搬送ベルト14で挟み込んで鑑別部8へと搬送させる。
【0033】
鑑別部8は紙幣の真偽、正損、表裏、2枚以上の重なり、及び斜行等を鑑別する。そして鑑別部8で偽券、搬送異常券と判定した紙幣があった場合、鑑別部8は制御部20に対して今回鑑別した紙幣は偽券、あるいは搬送異常券であることを示すデータを送信する。
【0034】
制御部20は、鑑別部8から今回鑑別した紙幣は偽券、あるいは搬送異常券であることを示すデータを受信すると、イオン発生装置駆動回路部21にマイナスイオンを放出する指示を送信する。この指示を受けてイオン発生装置駆動回路部21はイオン発生装置10を駆動させる。これによりイオン発生装置10は、イオン発生部がマイナスイオンを発生させ、またファンが回転し、マイナスイオンを含んだ空気を搬送路6に向かって放出する。
【0035】
それと共に制御部20は顧客に返却する紙幣をプール部11に戻すための搬送制御を行い、始めに一時保留部7の上段部へと紙幣を搬送させ、一時的に集積する。そして、プール11から全ての紙幣が繰り出されると、制御部20は接客ドラム15を回動させて集積ポジションに位置付け、また一時保留部7の上段部に設けられた図示せぬ繰出しローラと、搬送路6に複数設けられた搬送ローラ対と、排出ローラ対を回転させて紙幣を1枚ずつ搬送路6へと繰出し、搬送路6を集積ポジションに位置付けられている接客ドラム15へと搬送させる。なお、プール部11に集積される直前に、紙幣はマイナスイオンを含んだ空気を搬送路6に向かって放出している状態のイオン発生装置10に挟まれた箇所を通過する。これにより、イオン発生装置10からマイナスイオンを含んだ空気が紙幣に吹き付けられ、マイナスイオンが紙幣に帯電している静電気を中和して除去する。これにより、静電気が除去された状態の紙幣が集積ポジションに位置付けられている接客ドラム15へと排出され、集積される。その結果、静電気による集積不良を防止することができる。
【0036】
このようにして偽券、あるいは搬送異常券と判断された紙幣がプール部11へと戻されると、紙幣入出金部2は主制御部3に対して顧客に返却する紙幣があることを示すデータを送信する。主制御部3はこのデータを受信すると顧客操作部の図示せぬ表示画面に入金不可能な紙幣を返却することを表示させる。また紙幣入出金部2の制御部20は接客ドラム15を回動させて受渡し・受取りポジションに位置付けると共に、シャッター駆動回路部22を介してシャッター駆動モータ35を駆動して接客ユニット4に設けられたシャッター9を開状態とし、紙幣が受け取られるのを待つ。なお、このとき、紙幣はマイナスイオンにより、帯電した静電気が除去された状態となっている。従って、顧客の手が紙幣に触れた際に放電することはない。制御部20は顧客により紙幣が受け取られたことをプール部11に設けられた紙幣検知センサ12から受信する情報の変化により認識すると、シャッター駆動回路部22を介してシャッター駆動モータ35を駆動してシャッター9を閉状態とし、プール部11を覆い、外部から遮断する。
【0037】
なお、このように静電気が除去された状態で返却された紙幣が、再び顧客により紙幣入出金部1内に投入された場合、該紙幣は静電気による紙幣の重なりが防止された状態で投入される。その結果、前回鑑別時に紙幣の重なりにより受け入れ不可と判断して顧客に返却した紙幣を、入金可能紙幣として受け入れることができる可能性が増加することになる。
【0038】
一方、鑑別部8で真券と判断された紙幣は一時保留部7の下段部へと搬送する。そして顧客により投入された紙幣の入金計数処理が完了すると、紙幣入出金部2は主制御部3に入金計数終了のレスポンスと金種別に正券として計数した枚数を送信する。主制御部3はこのデータを受信すると、図示せぬ記憶部に記憶し、顧客操作部の表示画面に入金金額を表示させる。
【0039】
ここで顧客が顧客操作部に設けられた表示画面に表示されている入金金額を確認し、取消キーを押下すると、主制御部3の指示により紙幣入出金部2の制御部20は一時保留部7の下段部に設けられた図示せぬ繰出しローラと、搬送路6に複数設けられた搬送ローラ対と、排出ローラ対を回転させて紙幣を1枚ずつ搬送路6へと繰出し、搬送路6を集積ポジションに位置付けられている接客ドラム15へと搬送させる。紙幣が接客ドラム15に到達すると、制御部20は接客ドラム15を回動させて受渡し・受取りポジションに位置付けると共に、シャッター駆動回路部22を介してシャッター駆動モータ35を駆動してシャッター9を開状態とし、紙幣が受け取られるのを待つ。
【0040】
制御部20は顧客により紙幣が受け取られたことをプール部11に設けられた紙幣検知センサ12から受信する情報の変化により認識すると、シャッター駆動回路部22を介してシャッター駆動モータ35駆動してシャッター9を閉状態とし、プール部11を外部から遮断する。
【0041】
一方、顧客が確認キーを押下すると、制御部20は一時保留部7の下段部に設けられた図示せぬ繰出しローラを駆動させると共に、第4のモータ駆動回路部26を介して第4のモータ32を駆動し、搬送路6に複数設けられた搬送ローラ対13を回転させて紙幣を1枚ずつ搬送路6へと繰出し、鑑別部8で金種の確認を行うと共に、第1のモータ駆動回路部23、第2のモータ駆動回路部24、第3のモータ駆動回路部25を介して第1のモータ29、第2のモータ30、第3のモータ31を駆動し、万円券カセット5a、5b、千円券カセット5cにそれぞれ設けられた受け入れ繰出しローラを紙幣受け入れ方向に回転させて、図示せぬ切替えブレードの切替え動作に応じて搬送されてくる紙幣を各紙幣カセット5に収納する。
【0042】
また主制御部3はIDカードの排出を行わせる。従って、カード処理部はIDカードのカード挿入排出口への移動を行い、取引内容を印字した明細票と共にIDカードの排出を行う。これにより、顧客はIDカードを自動取引装置1から受け取る。これで今回の取引は終了となる。なお、図示せぬ記憶部に記憶された入金金額は口座番号と共にインターフェース部と通信回線を介してホストコンピュータに送信される。
【0043】
次に出金取引時の紙幣入出金部2の動作について図1、図2、図3を参照し、図4に示すフローチャートに従って説明する。図4は実施例1の紙幣入出金部の出金時の動作を示すフローチャートである。
【0044】
自動取引装置1で取引を行おうとする顧客が、自動取引装置1の顧客操作部に表示されている顧客誘導画面の中から「ご出金」を選択すると、主制御部3は出金取引処理を実行する。従って、主制御部3は通帳の挿入案内とIDカードの挿入案内を行う。これに従って顧客はIDカードをカード処理装置のカード挿入排出口に挿入する。そしてカード処理部ではIDカードから口座番号を読み取る。続いて暗証番号の入力案内と、出金金額の入力案内が行われ、これに従って顧客が顧客操作部から暗証番号、及び出金金額を入力すると、出金取引が行われることと、IDカードから読み取った口座番号と、暗証番号と、出金金額がインターフェース部と通信回線を介してホストコンピュータへ送られて、出金に必要な処理と本人確認が行われる。
【0045】
ホストコンピュータは暗証番号の照会により取引を行おうとする顧客が取引口座の所有者本人であることを確認し、また取引口座の残高の照会と出金に必要な処理を行うと、取引を了解することを示す信号を通信回線とインターフェース部を介して自動取引装置1へと送信する。そして主制御部3は取引を了解することを示す信号を受信すると、紙幣入出金部2に対して出金の指示を行う。なお、今回は万円券のみ出金されることとする。
【0046】
これを受けて、ステップS1で制御部20はイオン発生装置駆動部21にマイナスイオンを放出する指示を送信する。この指示を受けてイオン発生装置駆動回路部21はイオン発生装置10を駆動させる。これによりイオン発生装置10は、イオン発生部がマイナスイオンを発生させ、またファンが回転し、マイナスイオンを含んだ空気を搬送路6に向かって放出する。
【0047】
ステップS2で紙幣入出金部2の制御部20は第1のモータ駆動回路部23を介して第1のモータ29を駆動し、万円券カセット5aに設けられた受け入れ繰出しローラを紙幣繰出し方向に回転させて、紙幣を1枚ずつ搬送路6に繰出し、鑑別部8へと搬送させる。
【0048】
ステップS3で鑑別部8は紙幣の真偽、正損、表裏、2枚以上の重なり、及び斜行等を鑑別する。そしてステップS4で鑑別の結果に基づき判断を行う。すなわち、鑑別した紙幣が繰出すべき金種の紙幣であり、且つ出金可能紙幣であると判断した場合には、ステップS4からステップS5へと進み、一方「否」、すなわち鑑別の結果、鑑別した紙幣が千円券、五千円券、あるいは搬送異常券等、出金不可能な紙幣であると判定した場合には、ステップS13へと進む。なお、ステップS13へと進んだ場合、制御部20は図示せぬブレードの切り替えを行うと共に、図示せぬリジェクトカセットに設けられた受け入れ繰出しローラを紙幣受け入れ方向に回転させて、前記切替えブレードの切替え動作に応じて搬送されてくる紙幣をリジェクトカセットに収納する。そしてステップS2へと戻る。
【0049】
上記ステップS4からステップS5へと進んだ場合、制御部20は図示せぬカウンタのカウント値を1アップする。すなわち制御部20は鑑別部8が鑑別した紙幣が出金可能な紙幣であると判断すると該当する金種のカウント値を1アップする。ステップS6で制御部20は出金紙幣をプール部11へと搬送させる搬送制御を行い、一時保留部7を通過させて紙幣を集積ポジションに位置付けられているプール部11に集積させる。なお、プール部11に集積される直前に、紙幣はマイナスイオンを含んだ空気を搬送路6に向かって放出している状態のイオン発生装置10に挟まれた箇所を通過する。これにより、イオン発生装置10からマイナスイオンを含んだ空気が紙幣に吹き付けられ、マイナスイオンが紙幣に帯電している静電気を中和して除去する。これにより、静電気が除去された状態の紙幣がプール部11へと排出され、集積される。その結果、静電気による集積不良を防止することができる。
【0050】
またステップS7で制御部20は、前記ステップS5でカウントしたカウント値に基づき、出金金額分の紙幣が紙幣カセット5から繰り出されたか否かを判断し、繰り出されたと判断した場合にはステップS8へと進み、一方「否」の場合にはステップS2へと戻る。
【0051】
ステップS7からステップS8へと進んだ場合、制御部20は第1のモータ駆動回路部23を介して第1のモータ29の駆動を停止させて、万円券カセット5aからの紙幣の繰り出しを停止させる。そしてステップS9で制御部20はプール部11に出金金額分の紙幣が集積されたことを確認後、接客ドラム15を回動させて受渡し・受取りポジションに位置付けると共に、シャッター駆動回路部22を介してシャッター駆動モータ35を駆動して接客ユニット4に設けられたシャッター9を開状態とし、紙幣を排出する。これにより顧客は紙幣を受け取る。なお、このとき、紙幣はマイナスイオンにより、帯電した静電気が除去された状態となっている。
【0052】
なお、ステップS8で紙幣入出金部2のシャッター9を開く前に主制御部3はIDカードの排出を行わせる。従って、カード処理部はIDカードのカード挿入排出口への移動を行い、取引内容を印字した明細票と共にIDカードの排出を行う。これにより顧客はIDカードを自動取引装置1から受け取る。続いてステップS10で制御部20は紙幣検知センサ12から送信されてくる情報に基づき、プール部11に紙幣が存在しているか否かを判断する。そして紙幣検知センサ12から受信した情報から、プール部11に紙幣が存在していないと判断した場合には、ステップS11へと進む。なお、ステップS11に進んだ場合、制御部20はシャッター駆動回路部22を介してシャッター駆動モータ35を駆動してシャッター9を閉状態とし、プール部11を覆い、外部から遮断する。そしてステップS12で制御部20はイオン発生装置駆動回路部21を介してイオン発生装置10の駆動を停止させて、マイナスイオンの放出を停止させる。そして全ての処理を終了とする。
【0053】
以上本発明の実施例1においては、プール部11近傍に配置され、該プール部11へと搬送される紙幣に向かってマイナスイオンを放出するイオン発生装置10を設けたことにより、プール部11へと搬送される紙幣に静電気が帯電していても、イオン発生装置10から放出されるマイナスイオンにより静電気を除去することができる。マイナスイオンは紙幣に接触せずに静電気を除去することができるので、除電ブラシのように磨耗により除電効果が低下することがない。その結果、常時、一定レベルの除電を行うことができ、プール部11には静電気が帯電していない状態の紙幣を集積させることができる。これにより、静電気が帯電していない状態の紙幣を顧客に受け渡すことができる。
【0054】
また、複数枚の紙幣が出金される場合、あるいは入金された紙幣を顧客に返却する場合であっても、プール部11には静電気が帯電していない状態の紙幣を集積させることができるので、静電気により一部の紙幣がプール部の側壁に張り付いてしまうことを防止することができる。その結果、顧客が紙幣を取り忘れてしまうことを防止することができ、取り忘れ紙幣の発生を防止することができる。
【0055】
また、紙幣がイオン発生装置10に挟まれた箇所を通過する直前にイオン発生装置10からマイナスイオンを含んだ空気を放出させる動作を開始させ、一方、紙幣がイオン発生装置10の間を通過すると直ちに、マイナスイオンを含んだ空気を放出させる動作を停止させる制御としてもよい。これによりイオン発生装置10は、紙幣が、マイナスイオン発生装置10から放出されたマイナスイオンが届く範囲に存在するときにのみ、マイナスイオンを含んだ空気を放出することになるので、電力を無駄にすることなく、効率良く静電気を除去することができる。
【0056】
更に、イオン発生装置10を、図2に示す位置に加えて更に、図5に示すように紙幣カセット5の入出金口近傍にもまた設けてもよい。このようにイオン発生装置10をプール部11近傍と、紙幣カセット5近傍の2箇所に配置することにより、入金時、出金時、それぞれにおいて、イオン発生装置10を、紙幣入出金部2内部に設けられた、紙幣検知センサ36のような各種センサ、及び鑑別部8といった各種電子部品よりも紙幣搬送方向上流側となる位置に配設することができる。
【0057】
そして、出金取引時、制御部20は紙幣を紙幣カセット5から搬送路6へと繰り出すときに、紙幣カセット5の入出金口近傍に設けられたイオン発生装置10からマイナスイオンを含んだ空気を、ステージ43上に載置され、受け入れ繰り出しローラ41により紙幣カセット5から繰出された紙幣に吹き付け、紙幣から静電気を除去する。また、入金取引時においても、制御部20は紙幣をプール部11から搬送路6へと繰り出すときに、プール部11近傍の搬送路6に設けられたイオン発生装置10からマイナスイオンを含んだ空気を紙幣に吹き付け、紙幣から静電気を除去する。
【0058】
このように、紙幣入出金部2内部の搬送路6に沿って設けられた各種電子部品よりも紙幣搬送方向上流側にイオン発生装置10を配設することにより、入金時、出金時共に、紙幣は、搬送路6に設けられた各種センサに対向する位置や、鑑別部8を通過するときには、静電気が除去された状態となっている。その結果、紙幣からの静電気の放電により、各種センサや、鑑別部8等が誤動作してしまうことを防止することができる。なお、図5は実施例1の紙幣入出金部のイオン発生装置の配置を示す説明図である。
【0059】
更に、イオン発生装置10はマイナスイオンのみでなく、プラスイオンもまた発生可能とし、所定のタイミングでマイナスイオンとプラスイオンを同時に発生させて、マイナスイオンとプラスイオンの両方を含んだ空気を放出するようにしてもよい。これにより、マイナスイオンとプラスイオンを同時に紙幣入出金部2内部に行き渡らせることができ、紙幣入出金部2内部の空気を電気的に中和状態に保持することができる。その結果、紙幣を搬送する搬送ベルト14が帯電してしまうことを防止することができ、静電気に起因する紙幣の搬送障害を防止することができる。なお、マイナスイオンとプラスイオンを同時に発生させるのではなく、交互に発生させてもよい。
【0060】
また、イオン発生装置10を自動取引装置1内部各所に設置すれば、静電気に起因する不具合の発生を防止することができる。
【実施例2】
【0061】
次に本発明の実施例2について説明する。なお、上記実施例1と同様の箇所の説明は省略する。図6は実施例2の紙幣入出金部の紙幣集積時のプール部の状態を示す説明図、図7は実施例2の紙幣入出金部の紙幣集積後のプール部の状態を示す説明図、図8は実施例2の紙幣入出金部のシャッター開状態のプール部の状態を示す説明図である。
【0062】
実施例2の紙幣入出金部2においては、図6に示すようにイオン発生装置40が搬送路6上ではなく、プール部11内部に向かってマイナスイオンを含んだ空気を放出することができる位置、すなわちプール部11内部に設けられている。なお、これによりマイナスイオン発生装置40から放出される、マイナスイオンを含んだ空気はプール部11内部の紙幣17に向かって吹き付けられる。また、イオン発生装置40には、イオン発生部に加えて更に、オゾンを発生させるオゾン発生部が設けられており、イオン発生装置40からはマイナスイオンのみでなくオゾンもまた放出することができる。なお、その他の構成は実施例1と同様であるので説明は省略する。
【0063】
次にイオン発生装置40からマイナスイオンを含んだ空気、及びオゾンを含んだ空気を放出するときの紙幣入出金部2の動作について説明する。
【0064】
出金取引時において、ホストコンピュータが取引を了解することを示す信号を通信回線とインターフェース部を介して自動取引装置1へと送信し、主制御部3が取引を了解することを示す信号を受信し、これにより紙幣入出金部2が主制御部3から出金の指示を受信すると、図6に示すように制御部20はイオン発生装置40に対してマイナスイオンを含んだ空気を放出させる指示を送信する。この指示を受けて、イオン発生装置40はイオン発生部からマイナスイオンを発生させ、またファンを回転させて、マイナスイオンを含んだ空気をプール部11内部に向かって放出する。集積ポジションに位置付けられている接客ドラム15には順次出金紙幣17が排出され、イオン発生装置40からマイナスイオンを含んだ空気が紙幣17に吹き付けられ、マイナスイオンが紙幣17に帯電している静電気を中和して除去する。
【0065】
そして、図7に示すように出金金額分の紙幣17がプール部11に集積され、全ての紙幣17にマイナスイオンを含んだ空気が吹き付けられた状態となると、制御部20はイオン発生装置40に対してオゾンを含んだ空気を放出させる指示を送信する。この指示を受けて、イオン発生装置40はイオン発生部からマイナスイオンを発生させることを停止させて、代わりにオゾン発生部からオゾンを発生させてオゾンを含んだ空気をプール部11内部に向かって放出する。これによりイオン発生装置40からオゾンを含んだ空気が紙幣に吹き付けられ、オゾンがプール部11に集積された紙幣の消毒、及び除菌を行う。そして制御部20はこの制御を、接客ドラム15を回動させて受渡し・受取りポジションに位置付け、シャッター9を開状態とするまで継続する。
【0066】
そして顧客に受け渡すために図8に示すように接客ドラム15を回動させて受渡し・受取りポジションに位置付けると共に、シャッター9を開状態とすると、制御部20はイオン発生装置40に対してマイナスイオンを含んだ空気を放出させる指示を送信する。この指示を受けて、イオン発生装置40はオゾン発生部からオゾンを発生させることを停止させて、代わりにイオン発生部からマイナスイオンを発生させてマイナスイオンを含んだ空気をプール部11内部に向かって放出する。これによりイオン発生装置40からマイナスイオンを含んだ空気が紙幣に吹き付けられると共に、マイナスイオンを含んだ空気が紙幣入出金部2外へと放出され、顧客、及びオペレータに対してマイナスイオンを供給することができる。その結果、顧客、及びオペレータはマイナスイオンを吸い、快適に自動取引装置1の操作を行うことができる。
【0067】
また、入金時においても、顧客、及びオペレータから投入される紙幣を受け入れるためにシャッター9が開状態となっている間、イオン発生装置40からマイナスイオンを含んだ空気を放出させるようにしてもよい。これにより、入金取引時においても、顧客、及びオペレータにマイナスイオンを供給することができ、顧客、及びオペレータはマイナスイオンを吸い、快適に自動取引装置の操作を行うことができる。なお、このとき、プール部11に集積された紙幣には、イオン発生装置40からマイナスイオンを含んだ空気が吹き付けられているので、マイナスイオンにより搬送路6に取り込む前の紙幣から静電気を除去することができる。その結果、プール部5から搬送路6へと繰出される紙幣は静電気が除去された状態となり、静電気による紙幣の重なり、及び搬送不良を防止することができる。
【0068】
以上本発明の実施例2においては、プール部11がシャッター9により外部から遮断された状態であり、且つプール部11に、外部へと排出される紙幣17が全て揃うまではイオン発生装置40からマイナスイオンを含んだ空気を放出し、プール部11がシャッター9により外部から遮断された状態であり、且つ外部へと排出される紙幣17が全てプール部11に揃った状態ではイオン発生装置40からオゾンを含んだ空気を放出する。そしてプール部11からシャッター9が退避した状態、すなわち開状態ではイオン発生装置40からマイナスイオンを含んだ空気を放出することにより、実施例1と同様にマイナスイオンにより紙幣から静電気を除去することができると共に、オゾンにより紙幣の消毒、及び除菌を行うことができる。更に顧客、及びオペレータにマイナスイオンを供給することができる。
【0069】
また、入金時、紙幣入出金部2内部に取り込まれる紙幣17は静電気が除去された状態で搬送路6を搬送されるので、静電気による紙幣の重なり、及び搬送不良といった搬送障害を防止することができる。
【0070】
なお、本実施例においても、イオン発生装置40を、図6に示す位置に加えて更に、紙幣カセット5の入出金口近傍にもまた設けてもよい。このようにイオン発生装置10を複数箇所に設けることにより、実施例2においても、入金時、出金時、それぞれにおいて、イオン発生装置40を、紙幣入出金部2内部に設けられた、各種センサ、及び鑑別部といった各種電子部品よりも紙幣搬送方向上流側となる位置に配設することができる。
【0071】
また、上記実施例1、及び実施例2においては、紙幣入出金部2内部にイオン発生装置10、40を設けたが、自動取引装置に設けられている通帳記帳部内の頁捲り部にイオン発生装置を設け、通帳の改頁動作を行うときに通帳に向かってマイナスイオンを放出するようにしてもよい。これにより通帳の中紙に帯電している静電気を除去し、静電気による2枚捲り等が発生してしまうことを防止することができる。その結果、安定した改頁時動作を行うことができる。
【0072】
更に、自動取引装置がワンタイムインクリボン(薄いフィルム製の転写リボン)を内蔵したインクリボンカセットを装着する装置であれば、該インクリボンカセットのインクリボンに向かってマイナスイオンを放出することができる位置に、イオン発生装置を設けてもよい。前記薄いフィルム製の転写リボンは静電気が帯電すると埃が付着しやすくなり、また装置内の金属部分に密着しやすくなる。そしてインクリボンが前記金属部分に密着した状態であれば、交換時にインクリボンを破損させてしまう可能がある。そこで、イオン発生装置から所定のタイミングでマイナスイオンを放出することにより、インクリボンに帯電している静電気を除去し、静電気による埃の付着、及び金属部分への密着を防止することができる。その結果、薄いフィルム製の転写リボンを利用して印字を行う場合であっても、安定した印字動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施例1の紙幣入出金部の構成を示す説明図である。
【図2】実施例1の紙幣入出金部のイオン発生装置の配置を示す説明図である。
【図3】実施例1の紙幣入出金部の制御系を示すブロック図である。
【図4】実施例1の紙幣入出金部の出金時の動作を示すフローチャートである。
【図5】実施例1の紙幣入出金部のイオン発生装置の配置を示す説明図である。
【図6】実施例2の紙幣入出金部の紙幣集積時のプール部の状態を示す説明図である。
【図7】実施例2の紙幣入出金部の紙幣集積後のプール部の状態を示す説明図である。
【図8】実施例2の紙幣入出金部のシャッター開状態のプール部の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0074】
2 紙幣入出金部
6 搬送路
9 シャッター
10 イオン発生装置
11 プール部
40 イオン発生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置内部から外部へと排出される紙葉類の排出口となると共に、外部から装置内部へと投入される紙葉類を受け入れる受け入れ口となるプール部を備えた紙葉類取扱装置において、
前記プール部近傍に配置され、該プール部へと搬送される紙葉類に向かってマイナスイオンを放出するイオン発生手段を設けたことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項2】
前記イオン発生手段は、紙葉類が該マイナスイオン発生手段から放出されたマイナスイオンが届く範囲に存在するときにのみ、マイナスイオンを放出する請求項1記載の紙葉類取扱装置。
【請求項3】
前記イオン発生手段は、プラスイオンもまた放出可能であり、所定のタイミングでマイナスイオンとプラスイオンを放出する請求項1記載の紙葉類取扱装置。
【請求項4】
装置内部から外部へと排出される紙葉類の排出口となると共に、外部から装置内部へと投入される紙葉類を受け入れる受け入れ口となるプール部を備えた紙葉類取扱装置において、
前記プール部内部に向かってマイナスイオンを放出するイオン発生手段を設けたことを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項5】
前記プール部を覆い、該プール部を外部から遮断するシャッターを備えると共に、前記イオン発生手段は、オゾンもまた放出可能であり、
前記プール部が前記シャッターにより外部から遮断された状態であり、且つ前記プール部に、外部へと排出される紙葉類が全て揃うまでは前記イオン発生手段からマイナスイオンを放出し、前記プール部が前記シャッターにより外部から遮断された状態であり、且つ外部へと排出される紙葉類が全て前記プール部に揃った状態では前記イオン発生手段からオゾンを放出し、前記プール部から前記シャッターが退避した状態では前記イオン発生手段からマイナスイオンを放出する請求項4記載の紙葉類取扱装置。
【請求項6】
紙葉類が搬送される搬送路中に電子部品を備えた紙葉類取扱装置において、
電子部品が配設された箇所よりも紙葉類搬送方向上流側に、マイナスイオンを放出するイオン発生手段を設けたことを特徴とする紙葉類取扱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−241706(P2007−241706A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63920(P2006−63920)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】