説明

紙葉類取扱装置

【課題】
紙葉類の鑑別に使用される金種又は真偽判定のための判定値を適宜変更する。
【解決手段】
利用者が取引きしない時間に、収納庫に保管されている紙葉類を繰り出して鑑別し、鑑別結果から所定の演算を施した所定値をメモリに記憶する。この所定値を累積処理して頻度分布、平均値、標準偏差値を作成する。紙葉類取引装置の保守モードにおいて、保守員の操作に従い、累積処理された頻度分布、平均値、標準偏差値の情報を確認しながら金種又は真偽の判定値を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類取扱装置に係り、特に紙幣や有価証券等の紙葉類の印刷パターンを読み取り、読み取ったイメージデータから紙葉類の真偽を判定する紙葉類取扱装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣や有価証券等の印刷物を取り扱うATM(現金自動入出金装置)や金融機関の窓口に設置された窓口装置等の現金取引装置は、紙幣や有価証券の真偽を判定するための鑑別機能を備えている。
例えば、ATMにおける紙幣の鑑別では、所定方向へ搬送する紙幣に対して光源から光を照射して、単一または複数のセンサで走査し、紙幣の印刷パターンのイメージデータを読み取る。そして、紙幣の所望領域内にあるイメージデータに所定の演算を施して、複数の統計量を算出する。この統計量(算出値)が予め設定されている判定値(パラメータ)としての例えば上限値と下限値の許容範囲の中に入っているか否かをチェックする。チェックの結果、設定された許容範囲内に入っていれば本物、入っていなければ偽物と判定する。この上限値と下限値が判定値の閾値である。また、上記統計量には、例えば、紙幣の所望領域内にあるイメージデータの平均濃度値や積分濃度値等がある。
【0003】
ところで、鑑別部の光源のむらやセンサの感度バラツキ、温度湿度等の外乱の影響により、得られた紙幣のイメージ濃度レベルにバラツキが生じることがある。また、センサの経年劣化によってセンサ出力が変動したり、使い古された紙幣の汚損によりイメージ濃度レベルが時間経過と共に変動することがある。これらのバラツキや時間的変動を考慮して、判定値の上限値と下限値を広く設定すると、許容範囲の幅が拡大して偽物を本物と誤認識してしまう。そのために、金融システムの運用者は多大な損害を被るおそれがある。一方、許容範囲を狭く設定すると、本物を偽物と誤認識してしまうおそれがあり、利用者への正券返却率が増加し利用者の利便性が悪くなる。
【0004】
また、特開2005−208955号公報(特許文献1)には、センサ等のバラツキや環境等に合わせて、鑑別の基準となる判定値を変更して紙幣の判別を可能とする技術が開示されている。この技術は、毎回の取引時の統計量をヒストグラムで表示し、そのヒストグラムから判定値の上限値と下限値を設定できるようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−208955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術によれば、判定値を変更する際に毎回の取引時に記憶された平均濃度分布値の頻度分布を参照できるようにすることで、最適な判定値を設定しやすくしている。しかし、一般の顧客が入金する紙幣には、汚れたもの、皺があるもの、破れているものなども含まれており、それらの特異な紙幣から得られた平均濃度分布値を、判定値を変更する際に参照することは、返って誤った判定値を設定してしまうことになる。また、保守員が判定値を判断して設定しているので、ATMではそれを自動的に変更させることはできない。
【0007】
本発明の目的は、紙葉類の鑑別のための判定値を自動的に変更することができる紙葉類取扱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る紙葉類取扱装置は、好ましくは、紙葉のパターンから得られた情報を判定値と照合して金種又は真偽を判定する紙葉類取扱装置において、紙葉のパターンを検知して紙葉のイメージデータを得るセンサを有する鑑別部と、得られたイメージデータに対して所定の演算を施して所定値を求める処理手段と、処理手段によって求められた所定値を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された所定値から、紙葉の金種又は真偽を判定するための判定値の参照となる情報を算出する計算手段と、計算手段によって算出された参照情報を表示する表示手段と、表示手段に表示された参照情報に従い判定値を設定又は変更するための入力を行う入力手段と、入力手段によって指定された判定値を設定又は変更する変更手段と、を有し、鑑別部は変更手段によって変更された判定値に従って、紙葉の金種又は真偽の判定する紙葉類取扱装置として構成される。
好ましい例では、前記計算手段は、記憶部に記憶された所定値から紙葉に関する頻度分布、平均値、分散値を計算し、前記表示手段は、計算手段で算出された頻度分布、平均値、分散値に関する情報を参照情報として表示する。
また、好ましくは、紙葉類取扱装置は、更に、鑑別部の鑑別結果に従って利用者に紙葉を支払い又は入金するの取引所理を行なう機構と、前の利用者の取引終了からの経過時間を計測する休止状態計測手段と、装置の前に利用者が居るかを検知する利用者検知手段を有し、休止状態計測手段による計測及び利用者検知手段による検知の条件が整ったときに、前記処理手段による所定値を求める処理に移行する。
また、好ましくは、前記変更手段は、保守員によって予め設定された受付率になるように紙葉を判定するための閾値を自動的に設定する。
また、好ましくは、装置を保守する保守モードに変更する手段と、保守モードに変更されたとき、閾値の変更を自動的に行う自動更新のモード又はそれを手動で行う手動更新のモードのいずれかを選択できる選択手段を有する。
また、好ましくは、前記計算手段は、記憶部に記憶された所定値から前記参照情報として累積平均値、累積偏差値を求め、前記表示手段は累積平均値、累積偏差値から作成されたヒストグラムを表示すると共に、前記判定値の上限値及び又は下限値を変更するため入力項目を表示する。
また、好ましくは、前記処理手段は、所定値として紙葉の平均濃度値又は積分濃度値を含む統計量を算出する。
また、好ましくは、前記センサとして、紙葉の金種を判定するために紙葉の第1のイメージデータを得る第1のセンサと、紙葉の真偽を判定するために紙葉の第2のイメージデータを得る第2のセンサを有し、更に、前記記憶部は、紙葉の金種を判定する複数の第1の閾値と、紙葉の真偽を判定する複数の第2の閾値を記憶し、前記変更手段は、金種判定用の閾値と、真偽判定用の閾値とを独立的に変更する。
【0009】
また、本発明に係る紙葉類取扱方法は、好ましくは、紙葉のパターンから得られた情報を判定値と照合して金種又は真偽を判定する紙葉類取扱方法において、センサによって紙葉のパターンを検知して紙葉のイメージデータを得るステップと、得られたイメージデータに対して所定の演算を施して所定値を求める処理ステップと、求められた所定値を記憶部に記憶するステップと、記憶部に記憶された所定値から、紙葉の金種又は真偽を判定するための判定値の参照となる情報を算出する計算ステップと、算出された参照情報を表示器に表示するステップと、表示器に表示された参照情報に従い判定値を設定又は変更するための入力を行うステップと、入力によって指定された判定値を設定又は変更する変更するステップと、変更された判定値に従って、紙葉の金種又は真偽の判定するステップとを有する紙葉類取扱方法として構成される。
好ましい例では、前記判定値を変更する対象として、変更の対象となる紙葉の金種を選択するステップと、金種判定か又は真偽判定かの判定の種別を選択するステップと、変更の対象となる判定値に対応するセンサを選択するステップと、閾値の求め方を規定する演算の種別と選択するステップと、変更の対象となる複数の判定値を選択するステップと、の少なくとも1つを含む。
また、好ましくは、判定値の設定又は変更は、利用者による紙葉の取引が行なわれない期間に行なわれる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、紙葉類取扱装置において紙葉類の金種又は真偽を判定するための判定値を自動的に変更することができ、適格な判定値を設定することができる。
また、利用者が取引していない時間帯を利用して、現に紙葉類取扱装置内に保管されている紙葉類からその情報を収集して判定値の設定又は変更のために使用するので、現実的な紙葉類の情報に基づいて判定値を管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。以下の例では、紙葉類として紙幣を用いる。
図1は、紙葉類取扱装置の一例としてのATMの構成例を示す。図2は、図1の制御部109のうち、特に、鑑別部に係わる制御を示す制御ブロック図である。
【0012】
操作部101は、主に利用者が操作する部分であり、入力器及び表示器を有する。例えば、液晶(LCD)やCRTなどの表示部と一体となったタッチパネルにより構成される。表示器の表示画面には、入金や出金等の取引を選択する画面や取引時の案内画面が表示され、利用者は取引の選択に応じて、画面上のキーを選択して操作する。通常、操作部101の表示器には利用者に対して種々のガイダンス、取引項目が表示されるが、切替キー115を保守モードに切り替えることで、保守用のメッセージ、操作ガイダンスなどの各種の情報を表示することができる。後述する鑑別部の閾値の設定、変更も操作部101の操作によって行われる。ここで、切替キー115は保守員によって操作されるキーであり、通常取引モードと保守モードとを切り替える。
【0013】
なお、この操作部101を、利用者が使用するユニットと、銀行員や保守員等(以下単に保守員という)が使用するユニットに分離して構成しても良い。その場合、上記の切替キーは図1のようにATMの背後に実装せずに、保守員の専用のユニットに実装し、この専用ユニットを操作することでATMの保守のための種々の設定や変更ができる。
【0014】
ATM100は、利用者がATMの前に来たことを検知する利用者検知センサ116を備える。制御部109はセンサ116の検知結果に従って取引操作を促すためのガイダンスやメッセージの画面を操作部101の表示器に表示する。操作部101における利用者の取引選択指示に従い、利用者は入出金口103から紙幣を入金(預入)または出金(支払)することができる。なお、制御部109は紙幣の入出金なども含めた各部(各ユニットともいう)及び全体を制御する。
【0015】
操作部101の利用者による操作で入金取引が選択された場合、入出金口103に入金された紙幣は搬送ローラ106やベルトで構成される搬送路107により装置内部に搬送される。搬送路107上にはセンサ105を持った鑑別部104が配置され、紙幣がここを通過する時、センサ105によって紙幣のイメージデータや磁気データなど(紙幣データという)が検知される。検知された紙幣データはRAM201に送られて記憶される。鑑別部104は、検知した紙幣データと、RAM201に予め記憶して用意された紙幣の標準パターンデータとを照合することで、当該紙幣の金種及び真偽を判定する。
【0016】
鑑別部104で判定された紙幣は搬送路107を搬送されて、一時スタッカ108に保持される。この状態で、鑑別部104による紙幣の計数結果が操作部101の表示器に表示される。表示内容に対する利用者の確認が操作部101の入力器から入力されると、一時スタッカ108に保持された紙幣はそこから搬送路107に繰出されて鑑別部104で再び鑑別され、制御部109からの指示により、鑑別された金種に応じて対応する金種別収納庫110〜113に収納される。この入金時の紙幣の状態によりいずれの金種にも該当しなかった物は、正常でない券(リジェクト券)として扱われ、入出金口103に戻されるか、またはリジェクト収納庫114に収納される。
また、利用者が操作部101から出金取引を選択すると、出金額に応じた紙幣が収納庫110〜113から繰り出され、鑑別部104で鑑別されて入出金口103に放出される。なお、装填回収庫117は、保守員によって装填され、収納庫110〜113へ紙幣を補充し又はこれらの収納庫から紙幣を回収する。
【0017】
図2に示すように、制御部109は、主にCPU200とメモリ(RAM、ROM)201、202、及び通信部203を有し、ATM100全体を制御する。通信部203はモデムを具備し、専用回線や電話回線等の通信回線204を介して、外部のホストコンピュータ(以下、単にホストという)205との間でデータの送受信を行う。
【0018】
制御部109は、操作部101の利用者や保守員の操作に従って、ATM100の各部を制御し、入出金口103から投入された紙幣の搬送機能や鑑別部104による鑑別機能など、各種の機能を実行制御する。制御部109は、また、鑑別部104内のセンサ105が読み取った紙幣のイメージデータ2011をRAM201に記憶するように制御する。そして、紙幣イメージデータ2011から紙幣の金種判定や真偽判定に使用される算出値(例えば平均濃度値や積分濃度値等の統計量)を算出し、予めRAM201に記憶されている判定値の閾値(金種判定用閾値2012、真偽判定用閾値2013)と比較して紙幣の金種及び真偽を判定する。
【0019】
これらの計算や判定は、CPU200が、ROM202に記憶された鑑別装置制御プログラム2021、真偽判定制御プログラム2023、金種判定制御プログラム2026を実行することで行われる。この判定の結果、紙幣の金種、及び正券か不正券か真偽の判定結果が求められる。特に、ROM202に記憶されている閾値設定プログラム(広義では判定値設定プログラム)2022を実行して、後述の金種判定や真偽判定に使用される判定値の1つである閾値の設定や変更を行う。なお、RAM201及びROM202に記憶されるプログラム及び関連する種々のデータについては、更に後で詳述する。
【0020】
鑑別部104は、入金又は出金取引において、搬送路107を搬送される紙幣に対して、鑑別部内に備えられた光源から光を照射して、1又は複数のセンサ105で走査して、制御部109の制御に従い紙幣の印刷パターンのイメージ濃淡レベルを読み取る。そして、紙幣の所定領域内のイメージデータに所定の演算を施して、複数の統計量を得て、上述の算出値を計算する。鑑別部104のセンサとしては、一般的に光の反射光及び又は透過光を検出する光センサや、可視光、紫外線を使用した光センサが使用される。他にも鑑別部のセンサには紙幣から所定の演算を用いて磁気情報を得る磁気センサなど種々のセンサが含まれる。もちろん、これら各種センサによって算出値も異なるし、基準となる判定値も異なる。
【0021】
次に、RAM201及びROM202の記憶内容について詳細に説明する。
図2に示すように、ROM202には、鑑別に使用される閾値の設定、変更を行う閾値設定プログラム2022、鑑別部104の制御を行う鑑別部制御プログラム2021、紙幣の真偽判定に用いられる真偽判定制御プログラム2023、及び紙幣の金種判定に用いられる金種判定制御プログラム2026が記憶される。プログラムの他に、これらのプログラムで使用されるパラメータ(判定値)の初期値(即ち固定パラメータ)2025や初期閾値2024も記憶する。
【0022】
固定的パラメータ2025としては、ホスト側にて識別(特定)できる鑑別部の識別番号や、金種判定制御プログラム2026や真偽判定制御プログラム2023の識別番号などを記憶する。例えば、不正券が入金された場合、紙幣の所望領域数を増やす、又は新しい統計量を検討した後、金種判定プログラムや真偽判定制御プログラムは書き換えられるため、何れのATMで何れのプログラムが現在使用されているかを識別して管理するために、プログラムの識別(Revision)番号を記憶する。
【0023】
一方、RAM201には、現在実行されるプログラム、及び判定の基準となる判定値(パラメータ)、即ち、真偽判定用閾値2012、金種判定用閾値2013が記憶される。更に、鑑別部104のセンサ105で読み取られた紙幣のイメージデータ2011や、磁気センサなど他のセンサによって検知されて算出した値(算出値)も記憶される。以下の例では、センサとして光センサで検知したイメージデータを用い、そのパラメータとして概念的に理解し易い閾値の上限値と下限値を用いたものについて説明する。
【0024】
なお、RAM201に記憶される情報は、通信部203を介してホスト205に記憶するのが望ましい。光センサを例にとっても、紙幣イメージデータから算出された算出値(統計量)において、入金又は出金される全ての紙幣の算出値のデータ容量は相当大きくなるためである。なお、紙幣イメージデータ2011は一枚分のみ記憶することができ、一枚目の紙幣の鑑別が終了したら、次に搬送されてきた紙幣のイメージデータが上書きされて記憶されるようにするのが望ましい。
【0025】
また、RAM201内に記憶される判定値については、防犯上、ATM内のRAM201に記憶するよりもホスト205のメモリに記憶しておき、ATMの電源ON時、即ちATMを開局する時に、ホスト205に保持されている判定値を、通信部203を介してATM100で取得してRAM201に記憶するのが望ましい。ATMを閉局する時には、ATM100のRAM201の内容をホスト205へ送信し、RAM201内に記憶された判定値を消去するのがよい。これによりATMが盗難にあってもRAM内には判定値(パラメータ)が記憶されていないので、防犯上好ましい。
【0026】
ここで、紙幣の金種、真偽の判定プログラムで使用されるパラメータについて説明する。パラメータは、鑑別部104の種々の各センサから得られる算出値に対して、金種、真偽の判定で用いられる基準的な値であることから判定値とも言う。この判定値には、例えば、上限値と下限値という所定の範囲の閾値が設定され、その上限値と下限値の間に算出値があれば正券と判断し、上限値よりも算出値が大きい又は下限値よりも算出値が小さいときは不正券と判断する。また、閾値以外の判定値でも紙幣の金種、真偽を判定するが、不正券流通の誘発にもつながるため、これ以上の説明は省略するが、上述の通りこの判定値には種々の値がある。本実施例では判定値(パラメータ)として、上限、下限値が決められている閾値を用いる。図2にもその閾値を示している。
【0027】
この閾値には、ATMの導入当初、予めROM202に記憶されている書き換え不可能な閾値(初期閾値2024)と、RAM201に記憶されている書き換え可能な閾値(金種判定用閾値2013、真偽判定用閾値2012)がある。後者の閾値は、ATMの導入後、例えば、不正券の入金を防ぐために閾値の上限値と下限値の許容範囲を狭く設定する場合や、鑑別部104のセンサ105の経年劣化等によるセンサ出力変化が原因で、正券の返却率が高くなったために閾値の上限値と下限値の許容範囲を広く設定する場合に、逐次変更することができる閾値である。また、ATMの開局時、つまり、実際の取引時に使用される閾値でもある。
【0028】
一方、前者の初期閾値2024は、ATMの導入後、幾度も書き換えられRAMに記憶された閾値を、ATMの導入当初の閾値(初期閾値2024)にリセットする場合に使用される。閾値は紙幣の金種、真偽を決定付ける重要な要素であるので、保守員が操作部101に設けられたリセットキー押下でいつでも初期値に戻し、なぜ金種が判定できないかなどの原因の究明に役立つ。なお、ATMの導入当初は、ROM202に記憶されている閾値(初期閾値)と同じ閾値がRAM201にも記憶されている。
【0029】
また、閾値には、金種判定用の閾値2013と真偽判定用の閾値2012があり、それぞれ複数の異なる閾値を有する。鑑別部104は最終的に紙幣の真偽までを判別するが、金種の判定に使用するセンサと真偽の判定に使用するセンサはそれぞれ異なる。これは、それぞれ紙幣の特徴を見ている領域が異なり、或いは判定するアルゴリズムが異なる等の理由により、金種と真偽とではその閾値を分けて異ならしている。
【0030】
更に、金種判定や真偽判定においては、紙幣の所定領域内にあるイメージデータに所定の演算を施して、複数の統計量を算出しており、この複数の統計量(算出値)を使って、紙幣の金種や真偽を最終的に判定する複数の閾値と比較、判定して金種、真偽を特定する。よって、ROMとRAMにも金種判定用の複数個の閾値と真偽判定用の複数個の閾値が記憶されている。
従って、閾値の設定、変更時には、まず何れの金種に対して設定及び変更するかを選択し、次に、金種判定用の閾値か真偽判定用の閾値かを選択して、最後に、複数ある判定値の中から何れの判定値の閾値を設定及び変更するかを選択するのが望ましい。
【0031】
次に、図3を参照して、ATMにおいて紙幣の閾値の自動更新を行う為のデータの累積の処理動作について説明する。図3は、閾値の自動更新時の動作手順を示すフローチャートである。
先ず、ATMが起動されると、ATMの各ユニットへ電源が供給され、各ユニットの立ち上がりシーケンスに従い立ち上げ処理が実行される(S301)。制御部109が立ち上がった時点で、制御部109は先ず自動更新機能がONになっているかを判断する(S302)。自動更新モードになっていれば続いて累積値が有効か/無効かを判断する(S303)。累積値が有効か無効化の判断は、累積を行った紙幣の枚数が所定以上の枚数になっているかを確認することにより行う。累積値が有効である場合には予め保守員により設定された条件により判定値更新処理が実行され(S304)、各種判定値の閾値が更新される。保守員が行う設定条件については後述する。
【0032】
その後、ATM全体のイニシャライズ処理が実行され(S305)、通常運用モードの処理に入る(S306)。ATMが稼働している中で定期的なタイマ割り込みによりATMが休止状態にいるかを自己判断する(S307)。ATMが休止しているかどうかの判断は、例えば前の取引から30分間続いて利用者が訪れていないかを制御部109が持つ内蔵タイマで判断をする。また、電源断がなされたかどうかを同時に監視し(S308)、電源断があった場合には終了処理を実行し(S309)、ATMの機能を停止する。
【0033】
次に、ATMが休止状態になっている期間(S307:Yの場合)に行われる処理について説明する。本実施例では、ATMの休止期間、即ち利用者による取引きが行なわれていない期間を利用して、鑑別部109における紙幣の鑑別結果による計算情報を蓄積する。蓄積された情報は、鑑別部109の判定値を変更するために使用される。これについては、図4を参照して後述する。
【0034】
先ず、装填回収庫117に紙幣が入っているかを確認し(S310)、併せて、検知センサ116により利用者がATMの前に居るかを確認する(S311)。利用者が居なければ、装填回収庫117から紙幣を1枚繰り出し(S312)、鑑別部104で鑑別処理する(S313)。鑑別処理の結果、搬送による異常が無く鑑別処理が正常に終了したかを確認し(S314)、正常に終了すれば鑑別処理にて算出された算出値を累積処理し(S315)、累積された結果をメモリ(RAM109)に記憶する(S316)。ここで累積処理とは、各種算出値の平均値の計算、分散値の計算、頻度数の計算を行うことである。以降S310からS316までの処理動作を装填回収庫117が空になる迄又は利用者がATMの前に訪れる迄、繰り返し実行する。
【0035】
なお、装填回収庫117が無い場合でも、収納庫110〜113が保守員によりATMにセットされたタイミングから収納庫110〜113の紙幣の増減を監視することで、利用者により取り込まれた紙幣か元から収納庫110〜113に入っていた紙幣かを判別できるので、ATM内の構成に装填回収庫117が無い場合でも累積処理を行うことは可能である。
【0036】
次に、図4のフローチャートに従い、図5〜図7も参照して紙幣の真偽を判定する光センサによる閾値の設定、変更のための処理、動作手順について説明する。この処理は、制御部109のCPU200が閾値設定プログラム2022を実行することで行われる。以下の例では、種々の案内画面(図5,6)が引用されるが、これらの画面の情報は制御部109のRAM201又はHDDのような記憶装置(図示せず)に予め記憶して用意されているとする。なお、以下の例は、光センサによる閾値の設定、変更のための処理であるが、光センサ以外の閾値の設定、変更や閾値以外の判定値(パラメータ)にも適用できることは言うまでもない。
【0037】
保守員が鑑別部104で使用する閾値を設定、変更する場合、ATM100の切替キー115を「通常取引モード」から「保守モード」に切り替える(S401)。「通常取引モード」は、利用者が紙幣の入出金可能な状態であり、「保守モード」は、閾値の設定及び変更やセンサ検査を行う状態である。保守員が切替キー115にて「通常取引モード」から「保守モード」に切り替えることで、制御部109がそれを検知し、操作部101に保守用の画面(図5、画面A)を表示する。画面Aは判定値選択画面とも言う。
【0038】
ATM100の保守は一般の利用者に操作できないように、画面Aを表示する前に、保守員に暗証番号を入力させるためのガイダンス画面を表示することが好ましい。また、保守には鑑別部104以外に、収納ボックス、搬送路、カード機構など種々の保守を含むので、画面Aを表示する前に保守する対象のユニットを選択させるガイダンス画面を表示するようにしてもよい。
【0039】
画面Aは鑑別部104を保守する画面例であり、保守員が表示画面にて「5.判定値更新」キーを押下する(S402)。制御部109は操作部101よりそのキー押下を検知し、判定値を自動的に更新するか、保守員が手動で選択をするかのモード選択するための判定値更新選択メニューの画面(画面B)を操作部101に表示する(S403)。
ここで、保守員が「1.自動更新モード」キーを押下すると、制御部109はそのキーの押下を検知し、次に行われる「金種選択メニュー」の画面(画面C)を表示する(S404)。上述したように、紙幣の金種に応じて金種判定用又は真偽判定用の閾値が異なるためである。
【0040】
次に、画面Cの例えば「万円」キーが押下されると、金種判定用の閾値を変更するのか、または真偽判定用の閾値を変更するのかを選択させる金種真偽選択画面(図6、画面D)を操作部101に表示する(S405)。この画面Dにおいて「1.金種判定」を選択すると、制御部109は金種判定に用いられる閾値をRAM201、ROM202から読み出して表示する。また、「2.真偽判定」を選択すると、制御部109は真偽判定に用いられる閾値をRAM201、ROM202から読み出して表示する。さらに、鑑別部104に含まれるセンサの種類によっても閾値が異なることから、センサの種類を特定するセンサ種別選択画面(画面E)を表示する(S406)。また閾値の求め方(演算方法)によっても閾値が異なることから、演算方法の演算種選択画面(画面F)を操作部101に表示する(S407)のが好ましい。
【0041】
ここで、金種を特定する処理(S404)、判定種別の選択処理(S405)における選択を行わせるために、閾値設定プログラム2022は、図7に示す判定値の設定、変更用の画面を操作部101に表示する。
図7は、画面Dにおいて「真偽判定」が選択された場合に表示される画面例であり、図示のように、その各判定値に対応した閾値の上限値と下限値とをグラフ下部にあるバー(71,72)により視覚的に表示する。閾値の上限値と下限値には、ATMの導入当初、予めROM202に記憶されている「初期閾値」、つまり閾値上限値と閾値下限値が表示される。一方、RAM201に記憶されている「真偽判定用閾値」として閾値上限値と閾値下限値、つまり現在の取引時に使用されている上限値と下限値が表示される。保守員は、複数個ある判定値の中からどの判定値の閾値を設定、変更するかを選択するために、表示画面に表示された判定値番号を入力する(S408)。例えば、この判定値番号として、保守員が画面G(図6)の「判定値TS1」をキー押下すると、制御部109はそれを検知して、図7の表示画面を操作部101に表示する。即ち、ステップS408で選択された判定値番号に対する初期閾値71、現在使用中の閾値72を含む表示画面を表示する。
【0042】
保守員は、この画面から下限値と上限値をどう設定するかを画面下部にあるメニュー73の中から選択する。表示されるグラフ74は、累積がされた結果がRAM201に記憶されていれば、最新の累積平均値、累積偏差値からヒストグラム表示するが、RAM201に記憶されていなければ初期設定時の累積平均値、累積偏差値からヒストグラム表示する。
【0043】
ここで、メニュー内にある項目(緩く、標準、厳しく)は、累積平均値と累積分散値から予め設定された受け入れ率になるよう計算された複数の値である。例として、「緩く」は排除率10−3に設定、「標準」は排除率10−2に設定、「厳しく」は排除率10−1に設定したときの値を設定する。図7に示したように、上限値および下限値共に「標準」が選択された場合には、b〜e間が新しい閾値としてRAM201の真偽判定用閾値2012に上書して記憶される(S410)。次に、切替キー115によって「通常取引モード」に切り替える(S411)。以後、ATMにおける入金、出金等の取引において、鑑別部104はRAM201に新たに記憶された「真偽判定用閾値」「金種判定用閾値」に基づいて、紙幣の金種、真偽を判定する。
【0044】
なお、不正券などで問題となっている地域では自動更新による設定では、不正券を受け付けてしまうおそれがある。その場合には画面B(図5)の判定値更新選択メニューで「2.手動更新モード」を選択する。手動更新時は前述した自動更新時とは異なり、図8に示すような画面が操作部101に表示される。手動更新時は累積平均値以外に不正券の平均値グラフも同時に表示され、不正券を取り込まないように設定できる。また判定値選択項目も、「緩く」「標準」「厳しく」等の明示でなく、具体的な数字を入力できるようにする。ここで下限値のみは手動で保守員が設定を行い、上限値のみ自動更新モードに設定してもよいとする。
【0045】
また、上記実施例では、操作部101より閾値の設定、変更を行う場合、保守員がATM100の切替キー115を「保守モード」に切り替えて行うとした。しかし、ATM100の通信部203を介して、外部のホストやサーバが接続される構成では、切替キー115を操作しなくも、これら外部の装置からの遠隔操作により「保守モード」に切り替えることができる。
【0046】
以上説明したように、本実施例によれば、紙幣の鑑別で使用される金種のための判定値、真偽のための判定値など、種々の判定値の中から特定の判定値を選択し(実施例では真偽判定用で、イメージセンサを使用するケースの閾値としての上限、下限値)、その設定及び変更を個別、独立に行う手段を提供することができる。これにより、光源のむらやセンサ出力の変動、温度又は湿度による外乱影響による鑑別部の各センサのバラツキ、紙幣の汚損などに起因する統計量のバラツキなどに対応しながら、好適な紙幣の鑑別を行うことができる。
【0047】
また、金種、真偽の判定用のプログラムを読取専用のメモリに記憶し、そのプログラムで使用される判定値を読書可能なメモリに記憶する構成とした。ATMに不正券が入金されたことが判明した場合、通常は、紙幣の所望領域数を増やすなどして金種、真偽判定手法(アルゴリズム)を再検討し、ROMに書き込まれた金種、真偽プログラムの書き換え更新を行うのが望ましいが、この再検討やプログラムの書き換え更新を行うためには非常に長い時間を要する。その間、ATMに再び不正券が入金されるのを防ぐために、ATMの稼動をストップすれば、利用者に多大な迷惑をかけることになる。また、ATMの稼動を継続すれば、再び不正券が入金される危険性がある。そのため、ROMに記憶されたプログラムを変更しないで、RAMに記憶された判定値(上限値又は下限値)を変更することで、暫定的な不正券の入金を防ぐことが可能になる。
【0048】
また、金種、真偽用のそれぞれの判定値を分けてメモリに記憶している。紙幣の金種、真偽の判定手法がそれぞれ異なることに着目し、いずれか一方又は両方の判定値を設定、変更することで不正券が入金された場合や、ATMを設置する状況に合わせて柔軟に対応できる紙幣の鑑別が可能となる。
【0049】
また、判定値として閾値を選択するとき、その上限値、下限値を個々、独立に設定、変更することができる。上限値を固定して下限値のみ変更するなどでも対応できる。更に、判定値の設定、変更に際して、その設定画面と同時に、それまでに得た紙幣の統計量をグラフ化したものを表示する手段を提供できる。これにより保守員はどの位のレベルで判定値を調整するのが望ましいかが一目で分かる。
【0050】
また、紙幣の統計量は紙幣1枚1枚に備わる特徴事項を所定の演算で算出したものであり、上記実施例ではこれらの統計量をATM内の記憶部に記憶している。しかし、別案として、これらの統計量をATM内の記憶部に保管しないで、ATMと電気的に接続された上位装置例えばホストやサーバの記憶部に記憶させてもよい。これによれば、より安全であり、またATM内の記憶部の限られた容量を効率的に使用できる。
上位装置で管理する場合、ATMの鑑別部で取り込んだ紙幣の特徴(統計量、算出値)を上位装置へ送信するタイミングとしては、1取引の終了毎が望ましく、ATM内の記憶部に余裕が有る場合はATMの閉局時であっても良い。
【0051】
上述したように本実施例によれば、ATMにおける紙幣の金種判定、真偽判定のための判定値を自動的に変更することができ、最適な判定値を設定することができる。すなわち、正券の返却率が高くなってきた場合に、素性が明らかな紙幣の平均濃度分布値から、正券か不正券かを判別する為の判定値を自動的に変更することができるので、ATMが設置されている地域の流通紙幣に適合した安定的なATMの運用が可能となる。
なお、上記実施例では、ATMに適用した例について述べたが、本発明はATMに限定されず、ATM以外の例えば現金自動出金装置や銀行窓口装置、小切手取扱装置、宝くじ自動換金装置等の紙葉類取扱装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】一実施例が適用されるATMの構成を示す図。
【図2】一実施例によるATMの制御部109の構成を示すブロック図。
【図3】一実施例における紙幣データの累積処理時の動作フローチャートを示す図。
【図4】一実施例における閾値の設定、変更時の動作フローチャートを示す図。
【図5】一実施例における閾値の設定、変更時の表示画面を示す図。
【図6】一実施例における閾値の設定、変更時の表示画面を示す図。
【図7】一実施例における自動更新時の閾値設定、変更画面例を示す図。
【図8】一実施例における手動更新時の閾値設定、変更画面例を示す図。
【符号の説明】
【0053】
100:ATM、101:操作部、103:入出金口、104:鑑別部、105:センサ、106:搬送ローラ、107:搬送路、108:一時スタッカ、109:制御部、110 〜113:収納庫、114:リジェクト庫、115:切替キー、116:利用者検知センサ、117:装填回収庫、200:CPU 、201:RAM 、202:ROM 、203:通信部、204:通信回線、205:ホストコンピュータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉のパターンから得られた情報を判定値と照合して金種又は真偽を判定する紙葉類取扱装置において、
紙葉のパターンを検知して紙葉のイメージデータを得るセンサを有する鑑別部と、得られた該イメージデータに対して所定の演算を施して所定値を求める処理手段と、該処理手段によって求められた該所定値を記憶する記憶部と、該記憶部に記憶された所定値から、紙葉の金種又は真偽を判定するための判定値の参照となる情報を算出する計算手段と、該計算手段によって算出された参照情報を表示する表示手段と、該表示手段に表示された参照情報に従い該判定値を設定又は変更するための入力を行う入力手段と、該入力手段によって指定された該判定値を設定又は変更する変更手段と、を有し、該鑑別部は該変更手段によって変更された該判定値に従って、紙葉の金種又は真偽の判定することを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項2】
前記計算手段は、該記憶部に記憶された該所定値から紙葉に関する頻度分布、平均値、分散値を計算し、前記表示手段は、該計算手段で算出された該頻度分布、平均値、分散値に関する情報を該参照情報として表示することを特徴とする請求項1の紙葉類取扱装置。
【請求項3】
該紙葉類取扱装置は、更に、該鑑別部の鑑別結果に従って利用者に紙葉を支払い又は入金するの取引処理を行なう機構と、前の利用者の取引終了からの経過時間を計測する休止状態計測手段と、該装置の前に利用者が居るかを検知する利用者検知手段を有し、該休止状態計測手段による計測及び該利用者検知手段による検知の条件が整ったときに、前記処理手段による該所定値を求める処理に移行することを特徴とする請求項1又は2の紙葉類取扱装置。
【請求項4】
前記変更手段は、保守員によって予め設定された受付率になるように紙葉を判定するための閾値を自動的に設定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの紙葉類取扱装置。
【請求項5】
該装置を保守する保守モードに変更する手段と、該保守モードに変更されたとき、該閾値の変更を自動的に行う自動更新のモード又はそれを手動で行う手動更新のモードのいずれかを選択できる選択手段を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの紙葉類取扱装置。
【請求項6】
前記計算手段は、該記憶部に記憶された所定値から前記参照情報として累積平均値、累積偏差値を求め、前記表示手段は該累積平均値、累積偏差値から作成されたヒストグラムを表示すると共に、前記判定値の上限値及び又は下限値を変更するため入力項目を表示すること特徴とする請求項1乃至5のいずれかの紙葉類取扱装置。
【請求項7】
前記処理手段は、該所定値として紙葉の平均濃度値又は積分濃度値を含む統計量を算出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの紙葉類取扱装置。
【請求項8】
前記センサとして、紙葉の金種を判定するために紙葉の第1のイメージデータを得る第1のセンサと、紙葉の真偽を判定するために紙葉の第2のイメージデータを得る第2のセンサを有し、更に、前記記憶部は、紙葉の金種を判定する複数の第1の閾値と、紙葉の真偽を判定する複数の第2の閾値を記憶し、前記変更手段は、金種判定用の該閾値と、該真偽判定用の閾値とを独立的に変更することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかの紙葉類取扱装置。
【請求項9】
紙葉のパターンから得られた情報を判定値と照合して金種又は真偽を判定する紙葉類取扱方法において、センサによって紙葉のパターンを検知して紙葉のイメージデータを得るステップと、得られた該イメージデータに対して所定の演算を施して所定値を求める処理ステップと、求められた該所定値を記憶部に記憶するステップと、該記憶部に記憶された所定値から、紙葉の金種又は真偽を判定するための判定値の参照となる情報を算出する計算ステップと、算出された該参照情報を表示器に表示するステップと、該表示器に表示された参照情報に従い該判定値を設定又は変更するための入力を行うステップと、該入力によって指定された該判定値を設定又は変更する変更するステップと、変更された該判定値に従って、紙葉の金種又は真偽の判定するステップとを有することを特徴とする紙葉類取扱方法。
【請求項10】
前記判定値を変更する対象として、変更の対象となる紙葉の金種を選択するステップと、金種判定か又は真偽判定かの判定の種別を選択するステップと、変更の対象となる判定値に対応するセンサを選択するステップと、該閾値の求め方を規定する演算の種別と選択するステップと、変更の対象となる複数の判定値を選択するステップと、の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項9の紙葉類取扱方法。
【請求項11】
該判定値の設定又は変更は、利用者による紙葉の取引が行なわれない期間に行なわれることを特徴とする請求項9又は10の紙葉類取扱方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−15813(P2008−15813A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−186687(P2006−186687)
【出願日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】