説明

紙製品の破断用罫線構造および包装箱

【課題】製造時に位置ズレが生じても破断機能が損なわれないとともに、目的の方向へ確実に破断する。
【解決手段】隣接する第1および第2壁部(側壁12A,12Bおよび上側外フラップ16A,16B)の境界に折曲線19aを設け、この折曲線19aに沿って第1および第2壁部(12A,12Bおよび16A,16B)を破断するための破断用罫線構造であって、折曲線19aに対して斜めに交差するように第1および第2壁部(12A,12Bおよび16A,16B)にかけて傾斜して延び、互いに所定間隔をもって平行に位置する複数の斜行切断部27と、隣接する斜行切断部27,27の両端間に位置し、斜行切断部27に対して逆向きに傾斜して延びる破止切断部28a,28bと、を備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製品の破断用罫線構造およびこの罫線構造を用いた包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
包装箱などの紙製品は、複数の壁部により構成されている。隣接する壁部の境界には、肉厚を圧縮するように罫を入れて形成した折曲線が設けられている。また、包装箱の場合には、開封時の作業性を向上するために、外周壁を構成する壁部(端壁や側壁)と、蓋壁を構成する壁部(フラップ)との間に、折曲線に沿って破断手段を設けたものがある。
【0003】
この破断手段としては、特許文献1に記載された所謂片ジッパーからなる破断用罫線構造が広く採用されている。この破断用罫線は、折曲線に沿ってミシン目状をなすように所定間隔をもって設けた複数の直行切断部と、この直行切断部の一端から傾斜して延びる斜行切断部とからなる。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の破断用罫線は、安価に大量生産することが可能な汎用機械であるフレキソグルアでの製造に適していない。即ち、フレキソグルアは、長方形状をなす原紙を一枚づつ搬送しながら、所定位置に折曲線を形成するとともに溝を打ち抜いて、各壁部を区画する。その後、引き続いて破断用罫線を部分型によって所定位置に形成する。この際、少しでも位置ズレがあると、直行切断部が折曲線上に位置しない。
【0005】
この場合、折曲線に沿って隣接する壁部を折り曲げると、折曲線と平行な直行切断部の切断面が離間して開いた状態になる。その結果、紙製品の外観が悪くなるという問題がある。また、破断用罫線に沿った破断作業性が悪くなるうえ、最悪の場合には破断用罫線を除く意図しない方向に破断が進むという問題がある。
【0006】
特許文献2には、破断手段として、折曲線に対して直交方向に交差するように第1および第2壁部にかけて湾曲して延びる複数の曲行切断部からなる破断用罫線構造が記載されている。また、特許文献3には、破断手段として、折曲線を境界として略横V字形状に延びる複数の斜行切断部からなる破断用罫線構造が記載されている。
【0007】
これら特許文献2,3に記載の破断用罫線は、切断部が折曲線を境界として両側に延びるため、フレキソグルアによって製造する際の位置ズレを吸収できる。しかしながら、特許文献2,3の破断用罫線は、隣接する曲行切断部間または斜行切断部間を破断する際に、やはり意図しない方向に破断が進むという問題がある。
【0008】
また、特許文献4には、破断手段として、折曲線に対して斜めに交差するように第1および第2壁部にかけて延びる複数の斜行切断部と、斜行切断部の両端に連続するとともに折曲線に対して平行に延びる平行切断部とからなる破断用罫線構造が記載されている。
【0009】
この特許文献4に記載の破断用罫線は、特許文献2,3と同様に、フレキソグルアによって製造する際の位置ズレを吸収できる。しかしながら、特許文献4の破断用罫線は、第1および第2壁部を折曲線に沿って折り曲げると、平行切断部の切断面が離間して開いた状態になる。その結果、紙製品の外観が悪くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開昭60−184828号公報
【特許文献2】米国特許第4511042号明細書
【特許文献3】特開平9−193925号公報
【特許文献4】米国特許第4676430号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、製造時に位置ズレが生じても破断機能が損なわれないとともに、目的の方向へ確実に破断することが可能な紙製品の破断用罫線構造および包装箱を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、本発明の紙製品の破断用罫線構造は、隣接する第1および第2壁部の境界に折曲線を設け、この折曲線に沿って前記第1および第2壁部を破断するための破断用罫線構造であって、前記折曲線に対して斜めに交差するように前記第1および第2壁部にかけて傾斜して延び、互いに所定間隔をもって平行に位置する複数の斜行切断部と、隣接する前記斜行切断部の両端間に位置し、前記斜行切断部に対して逆向きに傾斜して延びる破止切断部と、を備える構成としている。
【0013】
また、この破断用罫線構造を用いた包装箱は、3以上の壁部からなる外周壁と、この外周壁と一体または別体に設けた壁部からなり前記外周壁の開口を閉塞する蓋壁とを備え、隣接する壁部を折曲線によって区画するとともに、隣接する所定の第1および第2壁部を前記折曲線に沿って破断可能とした包装箱であって、前記第1壁部に、前記第2壁部との境界に位置する前記折曲線上に端部が位置する第1破断手段を設けるとともに、この第1破断手段の端部から前記折曲線に沿って延びる第2破断手段を設け、この第2破断手段を、前記破断用罫線構造としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の紙製品の破断用罫線構造では、折曲線に沿って設ける破断用罫線は、斜行切断部が折曲線を跨って第1および第2壁部にかけて延びるため、その寸法分の許容領域がある。よって、確実に折曲線上に破断用罫線を形成することができる。
【0015】
また、破断用罫線は、折曲線に平行に延びる切断部がない。よって、この破断用罫線を採用した包装箱は、折曲線に沿って第1および第2壁部を折り曲げることで、切断面が離間して開いた状態になることはない。その結果、包装箱の外観が悪くなることはない。
【0016】
さらに、破断用罫線に沿って第1および第2壁部を破断する際には、隣接する斜行切断部間に、逆向きに傾斜する破止切断部を設けているため、意図しない方向への破断を止めて、斜行切断部へ破断方向を修正できる。よって、確実に折曲線に沿って破断できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の破断用罫線構造を採用した紙製品である包装箱のブランクを示す平面図である。
【図2】包装箱の封緘状態を示す斜視図である。
【図3】第1破断手段によって破断した第1破断状態を示す斜視図である。
【図4】第2破断手段に沿って破断する際の一例を示す斜視図である。
【図5】第2および第3破断手段によって破断した開封状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の破断用罫線構造を採用した包装箱の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0019】
図1乃至図5は、本発明の実施形態に係る破断用罫線構造を用いた紙製品である包装箱10を示す。この包装箱10は、図2に示すように、外周壁の壁部を構成する各一対の端壁11A,11Bおよび側壁12A,12Bを備え、これらの上下端縁にそれぞれ蓋壁の壁部を構成するフラップ15A,15B〜18A,18Bを連設したものである。そして、本実施形態の包装箱10は、第1〜第3の破断用罫線20,26,29を設けて図5に示すように上部を分離可能とし、そのうちの第2破断用罫線26を、本発明の破断用罫線構造としている。
【0020】
この包装箱10は、表ライナおよび裏ライナの間に波状の中しんを配設した周知の段ボール紙を、周知の紙器打抜装置であるフレキソグルア(図示せず)によって図1に示す連続した一枚のブランクとして打ち抜き、所定部位を糊付けにより貼着して成形される。
【0021】
包装箱10のブランクは、図1に示すように、各一対の端壁11A,11Bおよび側壁12A,12Bが交互かつ横方向に直線的に連続するように設けられている。これらのうち、左側端部に位置する側壁12Aの側縁には、右側端部に位置する端壁11Bに貼着するための糊代部13が連設されている。そして、側壁12Aと端壁11Aの境界部分、端壁11Aと側壁12Bの境界部分、側壁12Bと端壁11Bの境界部分、および、側壁12Aと糊代部13の境界部分には、それぞれ肉厚を圧縮するように罫を入れて形成した第1折曲線14a〜14dが設けられている。
【0022】
端壁11A,11Bの上端縁には上側内フラップ15A,15Bが連設されるとともに、側壁12A,12Bの上端縁には上側外フラップ16A,16Bが連設されている。同様に、端壁11A,11Bの下端縁には下側内フラップ17A,17Bが連設されるとともに、側壁12A,12Bの下端縁には下側外フラップ18A,18Bが連設されている。そして、各上側フラップ15A,15B,16A,16Bと端壁11A,11Bおよび側壁12A,12Bの境界部分、および、各下側フラップ17A,17B,18A,18Bと端壁11A,11Bおよび側壁12A,12Bの境界部分には、それぞれ前記と同様に第2折曲線19a,19bが設けられている。
【0023】
本実施形態では、端壁11Aから両側の側壁12A,12Bにかけて第1破断用罫線20が設けられ、その両端に連続するように第2破断用罫線26,26が設けられ、その各端部間に位置するように第3破断用罫線29が設けられている。
【0024】
第1破断手段である第1破断用罫線20は、端壁11Aの下側に横向きに延びるように設けた第1破断部21a,21bと、側壁12A,12Bに斜め上向きに延びるように設けた第2破断部23a,23bとを備えている。端壁11Aの中央である第1破断部21a,21bの境界には、把持用端部を形成するために、非連続の横H字形状をなす始端切断部22が設けられている。第2破断部23a,23bは、第1折曲線14a,14b上に位置する第1破断部21a,21bの両側端部から、側壁12A,12Bと上側外フラップ16A,16Bとの境界である第2折曲線19aにかけて所定角度で傾斜して延びるように設けられている。なお、破断部21a,23aは、破断方向が図中左側であり、破断部21b,23bは、破断方向が図中右側である。第1破断用罫線20は、対称に位置する直行切断部24a,24bと、直行切断部24a,24bの一端に連続する斜行切断部25a,25bとを備えたジッパー構造のものである。直行切断部24a,24bは、破断方向に沿って直線的に位置するように設けられている。斜行切断部25a,25bは、直行切断部24a,24bにおいて破断方向後側の端部から破断方向に対して逆向きで、かつ、互いに接近する方向に傾斜して設けられている。
【0025】
第2破断手段である第2破断用罫線26は、隣接する側壁(第1壁部)12A,12Bおよび上側外フラップ(第2壁部)16A,16Bを、境界である第2折曲線19aに沿って破断するためのものである。この第2破断用罫線26は、第2折曲線19aに対して斜めに交差する複数の斜行切断部27と、隣接する斜行切断部27の両端間に位置する破止切断部28a,28bとを備えている。これら切断部27,28a,28bは、いずれも第2折曲線19aとは平行に位置しない非平行線からなる。
【0026】
各斜行切断部27は、互いに所定間隔をもって平行に位置するように設けられている。また、斜行切断部27は、側壁12A,12Bから上側外フラップ16A,16Bにかけて、破断方向に対して逆向きに傾斜して延びるように設けられている。言い換えれば、斜行切断部27は、破断方向に沿って下向きに傾斜するように設けられている。この斜行切断部27の上下端間(図1中薄墨を付した領域)は、第2破断用罫線26を形成する際の位置ズレを吸収可能な許容領域(幅)となる。
【0027】
破止切断部28a,28bは、斜行切断部27に対して逆向きに傾斜して延びるように設けられている。即ち、破断方向に沿って上向きに傾斜するように設けられている。これら破止切断部28a,28bは、許容領域の外側に設けられている。また、側壁12A,12Bに形成する破止切断部28aは、破断方向後側の端部28a−1が、許容領域から離れて位置するとともに、破断方向前側の斜行切断部27の破断方向後側の端部27aと縦方向に一致するように設けられている。そして、破止切断部28aの破断方向前側の端部28a−2は、破断方向後側の斜行切断部27の破断方向前側の端部27bと横方向に一致するように設けられている。さらに、上側外フラップ16A,16Bに形成する破止切断部28bは、破断方向後側の端部28b−1が、破断方向前側の斜行切断部27の破断方向後側の端部27aと横方向に一致するように設けられている。そして、破止切断部28bの破断方向前側の端部28b−2は、許容領域から離れて位置するとともに、破断方向後側の斜行切断部27の破断方向前側の端部27bと縦方向に一致するように設けられている。
【0028】
第3破断手段である第3破断用罫線29は、端壁11Bと上側内フラップ15Bを境界である第2折曲線19aに沿って破断するためのものである。この第3破断用罫線29は、互いに所定間隔をもって平行に位置する第1斜行切断部30および第2斜行切断部31とを備えている。これら斜行切断部30,31は交互に設けられ、端壁11Bから上側内フラップ15Bにかけて互いに逆向きに傾斜して設けられている。
【0029】
この包装箱10のブランクをフレキソグルアで製造する場合、まず、連続した広幅のロール状の段ボール紙が、中しんの延び方向と直交する方向に供給する。そして、外周壁(端壁11A,11Bおよび側壁12A,12B)を形成する領域と、上蓋壁(上側フラップ15A,15B,16A,16B)を形成する領域と、下蓋壁(下側フラップ17A,17B,18A,18B)を形成する領域とを区画するために、第2折曲線19a,19bを連続的に設けるとともに上下端縁で切断する。ついで、切断装置によって糊代部13から端壁11Bまでの寸法で切断した後、第2折曲線19a,19bのみを形成した矩形状のシートを1列に纏めて積み上げる。
【0030】
次に、矩形状シートを中しんの延び方向に沿って供給し、各矩形状シートの表ライナに所定の印刷(図示せず)を施した後、中しんの延び方向と平行な第1折曲線14a〜14dを形成する。また、隣接する上側フラップ15A,15B,16A,16Bの間、下側フラップ17A,17B,18A,18Bの間、および、糊代部13の上下の不要部分を切断して除去する。
【0031】
その後、部分型を配設した打抜装置により、第1から第3の破断用罫線20,26,29を形成する。この際、矩形状シートの搬送タイミングと部分型の回転タイミングとは、勿論同期されているが、搬送方向に沿った僅かな位置ズレは避けられない。しかし、本実施形態では、第2折曲線19a上に沿って設ける必要がある第2および第3の破断用罫線26,29は、斜行切断部27,30,31が第2折曲線19aを跨って両側の壁部にかけて延びるように構成されているため、その高さ方向の寸法分の許容領域がある。よって、確実に第2折曲線19a上に第2および第3の破断用罫線26,29を形成することができる。なお、この許容領域内であれば、第2折曲線19aに対して位置ズレが生じていても、破断機能が損なわれることはない。
【0032】
最後に、糊代部13の表面に酢酸ビニルエマルジョン系などの接着剤を塗布し、端壁11Aに対して側壁12Aを折り曲げるとともに、側壁12Bに対して端壁11Bを折り曲げ、重畳した糊代部13と端壁11Bの縁とをプレスにより糊付けする。そして、この状態で所定の製造メーカに納品する。
【0033】
製造メーカでは、まず、端壁11A,11Bおよび側壁12A,12Bが矩形状をなすように広げて、下側内フラップ17A,17Bを内向きに折り曲げた後、下側外フラップ18A,18Bを内向きに折り曲げる。そして、例えば互いに付き合わさった下側外フラップ18A,18Bの先端を粘着テープで貼着することにより閉塞する。この状態で内部に商品を収容させ、同様にして上側内フラップ15A,15Bを折り曲げた後、上側外フラップ16A,16Bを折り曲げて、上側の開口を封緘する。
【0034】
このように封緘した包装箱10は、図2に示すように、各破断用罫線20,26,29のうち、第1破断用罫線20の直行切断部24a,24bを除き、折曲線14a〜14d,19a,19bに対して平行に延びる切断部はない。また、第2折曲線19a,19bに対して平行に延びる直行切断部24a,24bは、第2折曲線19a,19bから離れて位置しているため、連続する内フラップ15A,17Aの折り曲げによる張力の影響は受けない。よって、封緘状態の包装箱10は、各破断用罫線20,26,29を構成する切断部の切断面が離間して開いた状態になることはない。その結果、包装箱10の外観が悪くなることはない。
【0035】
一方、包装箱10に収容した商品を納品された販売業者などは、内部の商品を取り出す際に包装箱10を開封する。この際、本実施形態の包装箱10は、第1から第3の破断用罫線20,26,29により上部を分離して開放できる。
【0036】
具体的には、まず、第1破断用罫線20の始端切断部22に指を押し込んで帯状の把持用端部を把持する。そして、第1破断部21aは左向きに引っ張り、第1破断部21bは右向きに引っ張る。これにより、図3に示すように、端壁11Aを第1破断部21a,21bに沿って破断した後、引き続いて側壁12A,12Bを第2破断部23a,23bに沿って斜めに破断する。なお、この第1破断用罫線20による端壁11Aおよび側壁12A,12Bの破断は、側壁12A,12Bと上側外フラップ16A,16Bとの境界である第2折曲線19a、具体的には、第2破断用罫線26の端部に達することにより、停止する。
【0037】
その後、例えば図4に示すように、第1破断用罫線20の両端間で上側外フラップ16A,16Bを折り曲げる。この折り曲げ作業は、上側外フラップ16A,16Bに何ら折曲線を設けていないが、中しんの延び方向と一致するため、容易に行うことができる。そして、この状態で、上側内フラップ15Bと一緒に上側外フラップ16A,16Bを、端壁11Bの側上向きに引っ張る。これにより、図5に示すように、第2破断用罫線26に沿って側壁12A,12Bと上側外フラップ16A,16Bとを破断する。この際、隣接する斜行切断部27,27間の破断時には、許容領域(破断領域)から外側に外れた方向に破断が進むことがある。しかし、本発明の第2破断用罫線26には、隣接する斜行切断部27,27間に、逆向きに傾斜する破止切断部28a,28bを設けているため、意図しない方向への破断を止めて、斜行切断部27へ破断方向を修正できる。よって、確実に第2折曲線19aに沿って破断できる。
【0038】
第2破断用罫線26に沿った破断が完了すると、引き続いて第3破断用罫線29に沿って端壁11Bと上側内フラップ15Bを破断する。そして、この第3破断用罫線29は、逆向きに傾斜する第1斜行切断部30と第2斜行切断部31を交互に設けているため、上側内フラップ15Bのいずれの側縁を把持して引っ張っても、確実に第2折曲線19aに沿って破断することができる。
【0039】
このように、本発明の破断用罫線構造では、第2折曲線19aに沿って設ける第2破断用罫線26は、斜行切断部27が第2折曲線19aを跨って側壁12a,12bおよび上側外フラップ16A,16Bにかけて延びるため、その寸法分の許容領域を形成できる。よって、確実に第2折曲線19a上に第2破断用罫線26を形成することができる。そして、この第2破断用罫線26は、第2折曲線19aに対して平行に延びる切断部がない。よって、この第2破断用罫線26を採用した包装箱10は、第2折曲線19aに沿って側壁12a,12bおよび上側外フラップ16A,16Bを折り曲げることで、切断面が離間して開いた状態になることはない。その結果、包装箱10の外観が悪くなることはない。さらに、第2破断用罫線26に沿って側壁12a,12bおよび上側外フラップ16A,16Bを破断する際には、隣接する斜行切断部27,27間に、逆向きに傾斜する破止切断部28a,28bを設けているため、意図しない方向への破断を止めて、斜行切断部27へ破断方向を修正できる。よって、確実に第2折曲線19aに沿って破断できる。
【0040】
なお、本発明の紙製品の破断用罫線構造は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、第2折曲線19aに対して斜めに交差するように延び、互いに所定間隔をもって平行に位置する複数の斜行切断部27と、隣接する斜行切断部27,27の両端間に位置し、斜行切断部27に対して逆向きに傾斜して延びる破止切断部28a,28bと、を有する構成であればよい。
【0041】
また、第2破断用罫線26を設ける包装箱10も前記実施形態の構成に限定されるものではなく、3以上の壁部からなる外周壁と、この外周壁と一体または別体に設けた壁部からなる蓋壁とを備えた構成であればよい。即ち、外周壁は、壁部を各一対の端壁11A,11Bおよび側壁12A,12Bで構成するものに限られず、3つの壁部で構成してもよいうえ、5以上の壁部で構成してもよい。また、蓋壁は、一体に形成したフラップ15A,15B〜18A,18Bに限られず、別体の蓋部で構成してもよい。
【0042】
さらに、包装箱10は、第1壁部に、第2壁部との境界に位置する折曲線上に端部が位置する第1破断用罫線20を設け、この第1破断用罫線20の端部から折曲線に沿って延びる第2破断用罫線26を設ける構成であればよい。特に、第1破断用罫線20は、前記実施形態の構成に限られず、図6に示すように、第2折曲線19aから半円形状をなすようにミシン目状に切断部を設けた構成であってもよい。
【0043】
そして、本発明の破断用罫線構造を採用可能な紙製品は包装箱10に限られず、隣接する第1および第2壁部間に折曲線を設け、この折曲線に沿って破断する紙製品であれば、いずれでも適用可能であり、同様の作用および効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0044】
10…包装箱(紙製品)
11A,11B…端壁(壁部)
12A,12B…側壁(第1壁部)
13…糊代部
14a〜14d…第1折曲線
15A,15B…上側内フラップ(壁部)
16A,16B…上側外フラップ(第2壁部)
17A,17B…下側内フラップ(壁部)
18A,18B…下側外フラップ(壁部)
19a,19b…第2折曲線
20…第1破断用罫線(第1破断手段)
26…第2破断用罫線(第2破断手段)
27…斜行切断部
28a,28b…破止切断部
29…第3破断用罫線(第3破断手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する第1および第2壁部の境界に折曲線を設け、この折曲線に沿って前記第1および第2壁部を破断するための破断用罫線構造であって、
前記折曲線に対して斜めに交差するように前記第1および第2壁部にかけて傾斜して延び、互いに所定間隔をもって平行に位置する複数の斜行切断部と、
隣接する前記斜行切断部の両端間に位置し、前記斜行切断部に対して逆向きに傾斜して延びる破止切断部と、
を備えることを特徴とする破断用罫線構造。
【請求項2】
3以上の壁部からなる外周壁と、この外周壁と一体または別体に設けた壁部からなり前記外周壁の開口を閉塞する蓋壁とを備え、隣接する壁部を折曲線によって区画するとともに、隣接する所定の第1および第2壁部を前記折曲線に沿って破断可能とした包装箱であって、
前記第1壁部に、前記第2壁部との境界に位置する前記折曲線上に端部が位置する第1破断手段を設けるとともに、この第1破断手段の端部から前記折曲線に沿って延びる第2破断手段を設け、
前記第2破断手段を、請求項1に記載した破断用罫線構造としたことを特徴とする包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−255897(P2011−255897A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129164(P2010−129164)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】