説明

紙鋸刃及びその製造方法並びに製造装置

【課題】鋭利な刃先を備えた紙鋸刃を安価に製造すると共に、これにより得られた紙鋸刃をカートンの所定位置に容易に装着する方法とその装置を提案する。
【解決手段】紙鋸刃の鋸歯状部の各山部における左右の稜線の何れか一方に相当する箇所102’を平抜き刃3で平抜きした後、残る他方の稜線102”に相当する箇所を可動刃6と固定刃7で押切りし、前段で形成した一方の稜線102’と後段で形成した他方の稜線102”との交点で、鋸歯状部110の尖端101aを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品などを包装する包装用フィルム(以下「ラップフィルム」という)、アルミホイル又はクッキングシート等を収納する収納箱(以下「カートン」という)に取り付ける紙鋸刃に関し、詳しくは、該紙鋸刃を原反から製造する方法及び装置に関するものである。
本発明が対象とする紙鋸刃は、板紙に硬化性樹脂を塗布又は含浸して硬化させた「樹脂硬化紙刃」、バルカナイズドファイバーを素材とした「VF刃」を含むものである。また、本発明で硬化性樹脂とは、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂を含むものである。
【背景技術】
【0002】
ロール状に巻かれたラップフィルム、アルミホイル、クッキングシート(以下ラップフィルム類という)を収納するカートンは、その前板、底板または蓋板の端縁に鋸刃を備え、必要なときにそのラップフィルム類を任意の長さだけ引き出し、前記鋸刃を介して切断し所望の長さとして使用するようになっている。
このラップフィルム類を切断する鋸刃は、従来、金属製であることが多いが、取り扱い上の安全性や廃棄時の焼却などの点から、近年では、紙を素材とした紙鋸刃が用いられつつある。
この種紙鋸刃としては、板紙を素材としそれに硬化性樹脂を塗布又は含浸して硬化させた原反を鋸歯状に打ち抜いて鋸刃としたいわゆる「樹脂硬化紙刃」と、セルロース繊維からなる原料紙を塩化亜鉛の膨潤膠化作用を利用して一定の層厚に積層一体化した後、塩化亜鉛を抽出除去し乾燥成形して得られるバルカナイズドファイバーを原反とし、鋸歯状に打ち抜いて鋸刃としたいわゆる「VF刃」の2種が主に知られている。これら2種の紙鋸刃は、安全面、廃棄処理面の両方に優れている。
【0003】
また、この種紙鋸刃を製造する方法として、例えば、上刃と下刃がダイセット機構の動作に応じて互いに係合しあうことで、紙鋸刃を押切り(剪断)方式で原反から打ち抜く方法が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、この種紙鋸刃は金属刃に較べると切れ味が劣ることは否めないため、ラップフィルム類の切断が円滑に行われるようにするには、紙鋸刃100の山部101と谷部102が交互に連なる鋸歯状部110において、夫々の山部101の尖端101aが鋭いこと(刃先がシャープであること)が要求される(図13など参照)。
【0005】
しかし、特許文献1の方法では、上刃と下刃の係合による剪断方式で鋸歯状部を打ち抜くため、その剪断部分である鋸歯状部において原反の構成繊維が部分的にむしり取られた状態となったり、繊維がささくれ立つなどして、金属鋸刃に比べ刃先のシャープさに欠け、山部の尖端が丸くなる傾向がみられた。このような現象が起こる理由は、上刃と下刃の間の隙間に打ち抜かれる原反が引き込まれるからであり、よって、上刃と下刃の隙間を原反の引き込みが生じない程度に設定することが要求されるが、打ち抜きが適正になされ且つ原反の引き込みが生じない程度に設定するのは極めて困難である。
【0006】
図15(a)に、従来の方法で原反から打ち抜かれた紙鋸刃における鋸歯状部の各山部101の拡大写真を示す。この写真のものは、山部101の尖端101aが丸くなっており、尖端が角状である理想形に対し、実際の尖端101aが10%程度の割合で欠落している。このように、従来の方法で打ち抜かれた鋸歯状部の各山部は、一般的に10〜15%程度の欠落が見られる。
すなわち、図14(a)に図示するように、仮想底辺tから立ち上がる二本の稜線t,tの交点により形成される仮想尖端tが鋭角の二等辺三角形状となる理想形の山部tにおける高さ(仮想底辺tから仮想尖端tまでの距離)hに対し、実際の山部101における高さ(仮想底辺tから実際の尖端101aまでの距離)hが10%程度の割合で欠落し、丸くなった尖端101aとなって打ち抜かれており、刃先のシャープさに欠けた紙鋸刃となっている。
【0007】
このような問題点を解消するために、本願発明者等は、鋸歯状部における谷部または斜辺部につなぎを残した状態で、紙鋸刃の刃先となる部分(各山部の尖端)のみを鋭利にカットした後、つなぎカット用上刃と下刃とでそのつなぎ部を押切りする2段打ち抜き方式による紙鋸刃の製造方法を先に提案した(特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】特開平6−48428号公報
【特許文献2】特開平8−276517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献2に開示された方法は、鋸歯状部における谷部または斜辺部につなぎを残した状態で紙鋸刃の刃先となる部分(各山部の尖端)のみを鋭利にカットするためのナイフ刃の作製が困難であり、結果として、刃先のシャープさに欠けたり紙鋸刃の製造コストが高くなるという不具合があった。
【0010】
本発明はこのような従来事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鋭利な刃先を備えた紙鋸刃を容易且つ安価に製造し得る方法及び該方法で得られた紙鋸刃をカートンの所定位置に容易に装着し得る方法、並びにこれら方法を実施する装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る紙鋸刃は、山部と谷部が交互に連なる鋸歯状部を備え、該鋸歯状部における各山部の形状が、尖端が角状である理想形に対し、該尖端の欠落割合が5%以下であることを特徴とする(請求項1)。
ここで、鋸歯状部における各山部の形状が、尖端が角状である理想形tとは、例えば図14(b)に示すように、各山部における仮想底辺tから立ち上がる二本の稜線t,tを滑らかに延長してその交点を求めたものであり、これにより形成される仮想尖端tは丸くならず、鋭角状の形状である。
また、前記理想形に対し尖端の欠落割合が5%以下とは、前記仮想底辺(山部の左右の谷底同士を結ぶ辺)tから仮想尖端tまでの距離(高さh)に対する実際の山部の高さhの欠落割合が5%以下であることを言う。すなわち、下記式で表される関係になる。
【0012】
【数1】

【0013】
上記理想形に近い紙鋸刃を得るための方法として、少なくとも、前記鋸歯状部の各山部における左右の稜線の何れか一方に相当する箇所と、残る他方の稜線に相当する箇所とを別工程で打ち抜き、前段で形成した一方の稜線と、後段で形成した他方の稜線との交点で前記鋸歯状部における各山部の尖端を形成する、複数段打ち抜き式の製造方法をあげることができる(請求項2)。
このような方法によれば、各山部における一方の稜線と他方の稜線を別々に抜き、それら稜線の交点で各山部の尖端を形成するので、鋭利な刃先を備えた鋸歯状部を有する紙鋸刃を得ることが出来る。
【0014】
前記複数段打ち抜き式の製造方法の態様として、前記鋸歯状部の各山部における左右の稜線の何れか一方に相当する箇所を平抜き刃で平抜きした後、残る他方の稜線に相当する箇所を可動刃と固定刃で押切りして、前段の平抜き工程で形成した一方の稜線と、後段の押切り工程で形成した他方の稜線との交点で前記鋸歯状部における各山部の尖端を形成すると共に、後段の押切り工程で前記原反から紙鋸刃を切り離すことを特徴とする二段打ち抜き式の方法をあげることができる(請求項3)。
このような方法によれば、平抜き刃により平抜きした一方の稜線と、可動刃と固定刃により押切り(剪断)した他方の稜線との交点で各山部の尖端を形成するので、鋭利な刃先を備えた鋸歯状部を有する紙鋸刃を得ることが出来ると共に、可動刃と固定刃による押切りで紙鋸刃を原反から迅速に打ち抜くことができる。
但し、他方の稜線を押切りで形成するので、打ち抜かれる原反が可動刃と固定刃の間の隙間に引き込まれ、各山部の先端が鋭利にならない虞れがあると共に、原反の送りピッチに誤差が生じるなどして双方の稜線の交点がずれた場合、各山部の尖端形状にバラツキが生じる虞れがある。
【0015】
よって、前記複数段打ち抜き式の製造方法のより好ましい態様として、前記鋸歯状部の各山部における左右の稜線の何れか一方に相当する箇所を第一の平抜き刃で平抜きした後、残る他方の稜線に相当する箇所を第二の平抜き刃で平抜きし、しかる後、前記各平抜き工程で残されたつなぎ部を可動刃と固定刃で押切りして、前段の平抜き工程で形成した一方の稜線と、後段の平抜き工程で形成した他方の稜線との交点で前記鋸歯状部における各山部の尖端を形成すると共に、最後の押切り工程で前記原反から紙鋸刃を切り離すことを特徴とする三段打ち抜き式の方法をあげることができる(請求項4)。
このような方法によれば、第一の平抜き刃で平抜きした一方の稜線と、第二の平抜き刃で平抜きした他方の稜線により、各山部の尖端が鋭利である紙鋸刃をより確実に得ることができる。
【0016】
本発明において、紙鋸刃の鋸歯状部の谷部の形状は、半円形である場合(図5参照)、台形である場合(図7参照)、V字形である場合(図13参照)などを含むものである。
【0017】
例えば、谷部がV字形である紙鋸刃を製造する場合、各山部における片側の斜辺を平抜きした後、残る片側の斜辺を押切り又は平抜きして、鋭利な刃先を備えた鋸歯状部を有する紙鋸刃を得ることが出来る。
但し、このような方法では、原反の素材や厚みなどにもよるが、例えば、右側の稜線に相当する形状の平抜き刃を原反に押し当てて、該右側の稜線に相当する箇所を切り込んだとき、その平抜き刃が原反に食い込んだ状態になり、該平抜き刃を原反から引き抜くことが困難になる虞れがある。
【0018】
よって、前段で形成する一方の稜線が前記鋸歯状部の各谷部の一つおきに相当する箇所であり、後段で形成する他方の稜線が前段で切り込まなかった残る谷部に相当する箇所であることが好ましい(請求項5)。尚、本発明における谷部は、隣り合う山部の尖端間を結ぶ稜線を意味する。
すなわち、各谷部の一つおきに相当する箇所の稜線を切り込んだ後、切り込まなかった残る谷部に相当する箇所の稜線を切り込み、前段で形成した一つおきの稜線と後段で形成した残る稜線との交点で、鋭利な刃先を備えた鋸歯状部を形成することができる(図4、図6、図9、図10参照)。
この場合、平抜き刃を原反に押し当てて切り込んだ後に該平抜き刃を引き抜くとき、その平抜き箇所がめくれて該平抜き刃を原反から容易に引き抜くことできる。
原反における前記平抜き箇所のめくれ性を考慮すれば、谷部が半円形である紙鋸刃であることが、平抜き刃を原反からより容易に引き抜くことできるため好ましい。
【0019】
また、谷部が台形である紙鋸刃の製造方法の好ましい態様として、前段の平抜きで形成する一方の稜線が前記各山部における同一方向の片側の斜辺を含む部分であり、後段の平抜きで形成する他方の稜線が前段で切り込まなかった残る同一方向の片側の斜辺を含む部分であり、最終段の押切り工程で押切るつなぎ部が隣り合う山部の斜辺を繋ぐ底辺の一部を含む部分であることを特徴とする三段打ち抜き方式の方法をあげることができる(請求項6)。
尚、前記前段、後段の平抜きによる「斜辺を含む部分」とは、斜辺以外に、隣り合う山部の斜辺を繋ぐ底辺の一部を含む場合があることを意味する。
【0020】
また、前記のようにして原反から切り離された紙鋸刃を、カートンの所定箇所に取り付けて紙鋸刃付きカートンを得る場合、前記紙鋸刃用原反として、表面に熱可溶性皮膜が設けられた原反を用い、前記押切り工程で原反から切り離された紙鋸刃をカートンの所定位置に重ねると共に、前記熱可溶性皮膜を介して前記紙鋸刃を前記カートンに溶着する工程を有することが好ましい(請求項7)。
この場合、紙鋸刃の打ち抜きとカートンへの装着を一連の作業で行うことができる。
【0021】
本発明に係る製造方法を実施する装置の一例として、前記鋸歯状部における各谷部の一つおきに相当する形状の平抜き刃と、該平抜き刃を垂直方向から押し当てる受け台を有する前段側平抜き手段、
前記鋸歯状部の各谷部における前記平抜き刃で平抜きしない箇所に相当する形状の可動刃と、前記鋸歯状部に相当する形状の固定刃を有する後段側押切り手段、
前記原反を前記前段側平抜き手段から後段側押切り手段にわたって定量ピッチで送る送り手段を備え、
前記原反を支持した受け台に前記平抜き刃を押し当てて、該原反の前記鋸歯状部における各谷部の一つおきに相当する箇所を平抜きした後、該原反を送り手段で定量ピッチ送りし、次に、前記鋸歯状部の各谷部における前記平抜き刃で平抜きしなかった箇所に前記可動刃を押し当てて前記固定刃とで押切りし、前段側平抜き手段で形成した稜線と後段側押切り手段で形成した稜線との交点で前記鋸歯状部における各山部の尖端を形成すると共に、前記原反から紙鋸刃を切り離すことを特徴とする二段打ち抜き式の製造装置をあげることができる(請求項8)。
【0022】
また、前記鋸歯状部における各谷部の一つおきに相当する形状の第一の平抜き刃と、該平抜き刃を垂直方向から押し当てる受け台を有する前段側平抜き手段、
前記鋸歯状部の各谷部における前記平抜き刃で平抜きしない箇所に相当する形状の第二の平抜き刃と、該平抜き刃を垂直方向から押し当てる受け台を有する後段側平抜き手段、
前記鋸歯状部に相当する形状の固定刃と、該固定刃と雄雌係合関係になる可動刃を有する最終段の押切り手段、
前記原反を前記前段側平抜き手段から最終段の押切り手段にわたって定量ピッチで送る送り手段を備え、
前記原反を支持した受け台に前記第一の平抜き刃を押し当てて、該原反の前記鋸歯状部における各谷部の一つおきに相当する箇所を平抜きした後、該原反を送り手段で定量ピッチ送りし、
次に、前記鋸歯状部の各谷部における前記第一の平抜き刃で平抜きしなかった箇所に前記第二の平抜き刃を押し当てて平抜きした後、該原反を送り手段で定量ピッチ送りし、
さらに、前記各平抜き手段で残されたつなぎ部を前記可動刃と固定刃で押切りして、
前段側平抜き手段で形成した稜線と後段側平抜き手段で形成した稜線との交点で前記鋸歯状部における各山部の尖端を形成すると共に、最終段の押切り手段で前記原反から紙鋸刃を切り離すことを特徴とする三段打ち抜き式の製造装置をあげることができる(請求項9)。
【0023】
また、前記鋸歯状部における各山部の同一方向の片側の斜辺を含む形状の第一の平抜き刃と、該平抜き刃を垂直方向から押し当てる受け台を有する前段側平抜き手段、
前記鋸歯状部の各山部における残る同一方向の片側の斜辺を含む形状の第二の平抜き刃と、該平抜き刃を垂直方向から押し当てる受け台を有する後段側平抜き手段、
前記鋸歯状部に相当する形状の固定刃と、該固定刃と雄雌係合関係になる可動刃を有する最終段の押切り手段、
前記原反を前記前段側平抜き手段から最終段の押切り手段にわたって定量ピッチで送る送り手段を備え、
前記原反を支持した受け台に前記第一の平抜き刃を押し当てて、該原反の前記鋸歯状部における各山部の同一方向の片側の斜辺を含む部分を平抜きした後、該原反を送り手段で定量ピッチ送りし、
次に、前記鋸歯状部の各山部における前記第一の平抜き刃で平抜きしなかった残る同一方向の片側の斜辺を含む部分を前記第二の平抜き刃で平抜きした後、該原反を送り手段で定量ピッチ送りし、
さらに、前記各平抜き手段で残されたつなぎ部を前記可動刃と固定刃で押切りして、
前段側平抜き手段で形成した同一方向の片側斜辺と、後段側平抜き手段で形成した残る同一方向の片側斜辺との交点で前記鋸歯状部における各山部の尖端を形成すると共に、最終段の押切り手段で前記原反から紙鋸刃を切り離すことを特徴とする三段打ち抜き式の製造装置をあげることができる(請求項10)。
尚、前記第一、第二の平抜き刃で平抜きする「斜辺を含む部分」とは、斜辺以外に、隣り合う山部の斜辺を繋ぐ底辺の一部を含む場合があることを意味する。
【0024】
また、前記原反から切り離された紙鋸刃を、カートンの所定箇所に取り付けて紙鋸刃付きカートンを得るための装置として、前記紙鋸刃用原反として、表面に熱可溶性皮膜が設けられた原反を用いると共に、前記紙鋸刃をカートンの所定位置に溶着する溶着手段をさらに備え、前記押切り手段で前記紙鋸刃を原反から切り離すと共に、該紙鋸刃をカートンの所定位置に重ね、前記溶着手段で該紙鋸刃をカートンに溶着することを特徴とする製造装置をあげることができる(請求項11)。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明は、鋸歯状部の山部における左右の稜線のうちの一方に相当する箇所と、他方の稜線に相当する箇所を別々に切り込むので、前段で形成した一方の稜線と後段で形成した他方の稜線により、刃先が鋭い紙鋸刃を得ることができる。
また、鋸歯状部の各山部における左右の稜線のうちの一方又は他方に相当する形状の刃により、平抜き又は押切りを行うだけであって、夫々の刃は容易に作製可能であるから、紙鋸刃の製造コストを抑制しながら、前述の効果を得ることができる。
【0026】
また、一方の稜線を平抜きし、他方の稜線も平抜きして、最後につなぎ部を押切りする三段打ち抜き式とした場合、一方の稜線と他方の稜線の交点がバラツキなくより安定して形成されると共に、押切り方式でないので刃先が鋭い紙鋸刃をより確実に得ることができる。
【0027】
また、可動刃と固定刃により原反から切り離した紙鋸刃を可動刃によりカートンに重ねて溶着するようにした場合は、紙鋸刃の打ち抜き作業に続いてカートンへの装着作業までを一貫して連続的に行うことができ、処理時間が短縮可能となる等、多くの効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態例を図面を参照しながら説明する。
図1〜図3は、本発明に係る二段打ち抜き式の方法を実施する装置の一例を概念的に示す模式図である。図中の符号1はシート状の紙鋸刃用原反を示し、本例では、厚み0.35〜0.25mmの樹脂硬化板紙またはバルカナイズドファイバーまたはその防湿加工品を材料とするものを用いている。符号2はニップロールで、紙鋸刃用原反1をダイセット機構部10に定量ピッチ送りするための送り手段である。
【0029】
符号3はダイセット機構10における平抜き用の平抜き刃であり、上下可動に構成されていると共に、固定の受け台4とで前段側平抜き手段を構成している。該平抜き手段は、平抜き刃3を受け台4の受け面に対して垂直方向から弾性的に押し当てて圧接させる支持手段5を備えている。平抜き刃3に対向する受け台4には刃先を保護するための溝を形成したり、柔軟材(図示省略)を取り付けても良い。
【0030】
符号6は平抜き刃3の下流側(後段側)に設けた上下動可能な可動刃(上刃)であり、この可動刃6は、前記受け台4の端縁に形成した固定刃(下刃)7と対応して、後段側押切り手段を構成している。この可動刃6と固定刃7との間に原反1が、受け台4の縁より突き出るように定量ピッチ送りされるように構成されていて、片持ちはり形に支えた原反1から、紙鋸刃100を可動刃6の1回の往復運動で固定刃7の縁より押切りできるようになっている。
可動刃6の下動はダイセット機構部10により前記平抜き刃3と同時に行われるようになっており、支持手段5のばね5aで、平抜き刃3の下降ストロークと可動刃6の下動ストロークの差を吸収するようになっている。
【0031】
符号100は製品たる紙鋸刃で、本例の紙鋸刃100は図5(a)に示すように、山部101と谷部102が交互に連なる鋸歯状部110を備え、且つ夫々の谷部102が半円形のものである。この紙鋸刃100は、前記可動刃6の下動により例えば30cm×0.8cmのサイズでもって原反1から切り離され、ロールフィルムを収容する箱材料であるカートンブランク8の所定位置に載承される。
紙鋸刃用原反1の表面にはポリプロピレン等の熱可溶性皮膜が設けられており、可動刃6の下方対応位置に設けた溶着手段としての超音波溶着装置(ホーン)9を介して、可動刃6と固定刃7による押切り作業に続いて、可動刃6で紙鋸刃100をカートンブランク8へ押し付け、カートンブランク8への溶着作業まで一貫して連続的に行えるようになっている。
【0032】
平抜き刃3の刃先形状の概略を図4(a)に、可動刃6と固定刃7の刃先形状の概略を図4(b)に夫々示す。
平抜き刃3は、前記鋸歯状部110における各谷部102の一つおきに相当する箇所の稜線102’を平抜きすることが可能なよう、円弧状の刃先部3aを所定間隔毎に備える形状に形成されている。
可動刃6は、前記鋸歯状部110の各谷部102における前記平抜き刃3で平抜きされない箇所の稜線102”を、固定刃7と共に押切りすることが可能なよう、円弧状の刃先部6aを所定間隔毎に備える形状に形成されている。尚、可動刃6は、円弧状の刃先部6aと前記刃先部3aが交互に連なる形状に形成されていても構わない。
固定刃7は、前記可動刃6と共に前記稜線102”を押切りすると共に、前記平抜き刃3で平抜きされた稜線102’,102”の外側を分断して、紙鋸刃100を原反1から切り離すことができるよう、前記鋸歯状部110に相当する形状(山部7aと谷部7bが交互に連なる形状)に形成されている。
【0033】
送り手段2は、平抜き刃3と受け台4による前段の平抜き作業がなされた後、可動刃6と固定刃7による後段の押切り作業がなされるよう、ダイセット機構部10における平抜き刃3と受け台4との間、可動刃6と固定刃7の間に、紙鋸刃用原反1を順次定ピッチで供給し得るようになっている。
【0034】
以上の構成になる本例の製造装置による紙鋸刃100の製造及びカートンへの取り付け作業を説明すれば、まず、送り手段2を介して、紙鋸刃用原反1を平抜き刃3と受け台4の間に定量ピッチ送りし、平抜き刃3を下降させて、受け台4で支持された紙鋸刃用原反1における、製品たる紙鋸刃100の鋸歯状部110の各谷部102の一つおきに相当する箇所の稜線102’を平抜きし(図1、図4(a)参照)、その後、製品たる紙鋸刃100の幅分だけ受け台4の縁より突き出るよう、原反1を送り手段2により定量ピッチ送りする(図2参照)。
【0035】
次に、前段において、前記平抜き刃3で平抜きをしなかった箇所の稜線102”に相当する箇所に、可動刃6を押し当てて固定刃7とで押切り(剪断)を行い、前段で形成した稜線102’と後段で形成した稜線102”とで鋸歯状部110を形成すると共に、製品たる紙鋸刃100を原反1から切り離す。さらに可動刃6の下降により、得られた紙鋸刃100をカートンブランク8の所定箇所に載承し、該紙鋸刃100を、超音波溶着装置9を介してカートンブランク8に溶着する。またこの時、前段平抜き手段において平抜き刃3が下降し、次の紙鋸刃100に対する前段の平抜き作業が行われる(図3参照)。
【0036】
このような作業を順次繰り返すことで、原反1から紙鋸刃100を二段式で順次打ち抜くと共に、その紙鋸刃100をカートンブランク8に順次装着する作業を連続して行うことができる。また、得られた紙鋸刃100は、前段で平抜きされた稜線102’と、後段で押切りされた稜線102”との交点により形成される鋭利な刃先(尖端101a)を備えたものであり、ラップフィルム類200を確実且つ迅速に切断することが可能な紙鋸刃付きカートンを得ることができる(図5(a)参照)。
【0037】
万一、原反1の送りピッチがずれるなどして、前段で形成される稜線102’と、後段で形成される稜線102”とにズレが生じたとしても、各山部101の尖端101aの高さがズレるだけで、鋭利な刃先(尖端101a)を備えたものであることに変わりはない。また、各山部101の尖端101aの高さがズレた場合、ラップフィルム類を切断する際に、まず高い尖端101a’がラップフィルム類にあたると共に隣り合わせる高い尖端101a’,101a’間にラップフィルム類200が緊張状に支持され、次いで低い尖端101a”がラップフィルム類200にあたるので、フィルム類の切断には何等支障が無い(図5(b)参照)。
【0038】
図6には、前記した平抜き刃3、可動刃6、固定刃7の変形例を示す。すななち、この例では、図7(a)に示すように、鋸歯状部110の各谷部102が台形である紙鋸刃100を製造するもので、その各谷部102の形状に合せて、台形状の刃先部3a’,刃先部6a’、山部7a’と谷部7b’の形状が変更されている。それ以外の構成と作用、効果は前記形態例と同様のため、重複する説明及び図示は省略する。
尚、図13(a)に示すように、鋸歯状部110の各谷部102がV字形である紙鋸刃100を製造する場合は、その各谷部102の形状に合せて、V字状の刃先部に変更された平抜き刃3,可動刃6、V字形の山部と谷部に変更された固定刃7を用いることは言うまでもない。
【0039】
次に、本発明に係る三段打ち抜き式の方法を実施する装置の一例を図8を参照しながら説明する。この装置は、基本的には図1〜図3に示す装置と同様の構成であり、前記装置と同一の構成要素については図中に同一の符号を付して重複する説明、図示を省略し、相違点のみ以下に述べる。
【0040】
すなわち、この例の装置は、前述の平抜き刃3を、前記鋸歯状部110における各谷部102の一つおきに相当する形状の第一の平抜き刃3Aとすると共に、該平抜き刃3Aを垂直方向から押し当てる前述の受け台4で前段側平抜き手段を構成し、その下流側(後段)に、前記鋸歯状部110の各谷部102における前記平抜き刃3Aで平抜きしない箇所に相当する形状の第二の平抜き刃3Bと、該平抜き刃3Bを垂直方向から押し当てる受け台4とで後段側平抜き手段を構成し、さらにその下流側に、前記鋸歯状部110に相当する形状の固定刃7と、該固定刃7と雄雌係合関係になる可動刃6で押切り手段を構成している。
【0041】
またこの例の装置は、鋸歯状部110における各谷部102が半円形である紙鋸刃100を製造するもので、ここで用いる第一の平抜き刃3の刃先形状の概略を図9(a)に、第二の平抜き刃3Bの刃先形状の概略を図9(b)に、可動刃6、固定刃7の刃先形状の概略を図9(c)に夫々示す。
【0042】
第一の平抜き刃3Aは、前記鋸歯状部110における各谷部102の一つおきに相当する箇所の稜線102’を平抜きすると共に、該稜線102’の所定箇所(この例では谷部102の中央部位)につなぎ部130を残すことが可能な形状で円弧状の刃先部3aを所定間隔毎に備えている。すなわち、各刃先部3aの中央部位に前記つなぎ部130を残すための隙間3a−1を有する形状に形成されている。
【0043】
第二の平抜き刃3Bは、前記鋸歯状部110の各谷部102における前記平抜き刃3Aで平抜きされない箇所の稜線102”を平抜きすると共に、該稜線102”の所定箇所(この例では谷部102の中央部位)につなぎ部131を残すことが可能な形状で円弧状の刃先部3bを所定間隔毎に備えている。すなわち、各刃先部3bの中央部位に前記つなぎ部131を残すための隙間3b−1を有する形状に形成されている。
【0044】
可動刃6は、前記つなぎ部130,131を固定刃7と共に押切りすることが可能なよう、円弧状の刃先部6aを所定間隔毎に備える形状に形成されている。固定刃7は、前記可動刃6と共に前記つなぎ部130,131を押切りすると共に、前記平抜き刃3A,3Bで平抜きされた稜線102’,102”の外側を分断して、紙鋸刃100を原反1から切り離すことができるよう、前記鋸歯状部110に相当する形状(山部7aと谷部7bが交互に連なる形状)に形成されている。
尚、可動刃6は、前記つなぎ部130,131に相当する箇所のみの形状の刃先部を備えたものであっても構わない。
【0045】
送り手段2は、第一の平抜き刃3Aと受け台4による前段の平抜き作業がなされた後、第二の平抜き刃3Bと受け台4による後段の平抜き作業がなされ、しかる後、可動刃6と固定刃7による最終の押切り作業がなされるよう、ダイセット機構部10における平抜き刃3Aと受け台4との間、平抜き刃3Bと受け台4の間、可動刃6と固定刃7の間に、紙鋸刃用原反1を順次定ピッチで供給し得るようになっている。
【0046】
以上の構成になる本例の製造装置による紙鋸刃100の製造及びカートンへの取り付け作業を説明すれば、まず、送り手段2を介して、紙鋸刃用原反1を第一の平抜き刃3Aと受け台4の間に定量ピッチ送りし、第一の平抜き刃3Aを下降させて、受け台4で支持された紙鋸刃用原反1における、製品たる紙鋸刃100の鋸歯状部110の各谷部102の一つおきに相当する箇所の稜線102’を平抜きし、その後、製品たる紙鋸刃100の幅分だけ受け台4上で原反1を送り手段2により定量ピッチ送りする。
【0047】
次に、前段において、前記平抜き刃3Aで平抜きをしなかった箇所の稜線102”に相当する箇所に、第二の平抜き刃3Bを下降させてその稜線102”を平抜きし、前段で形成した稜線102’と後段で形成した稜線102”とで鋸歯状部110を形成する。
またこの時、前段平抜き手段において平抜き刃3Aが下降し、次の紙鋸刃100に対する前段の平抜き作業が行われる。
【0048】
次に、製品たる紙鋸刃100の幅分だけ受け台4の縁より突き出るよう、原反1を送り手段2により定量ピッチ送りし、その後、前記各平抜き工程で平抜きしなかった箇所のつなぎ部130,131に可動刃6を押し当てて固定刃7とで押切り(剪断)を行い、製品たる紙鋸刃100を原反1から切り離す。さらに可動刃6の下降により、得られた紙鋸刃100をカートンブランク8の所定箇所に載承し、該紙鋸刃100を、超音波溶着装置9を介してカートンブランク8に溶着する。
またこの時、平抜き刃3A,3Bが下降し、次の紙鋸刃100に対する前段と後段の平抜き作業が行われる。
【0049】
このような作業を順次繰り返すことで、原反1から紙鋸刃100を三段式で順次打ち抜くと共に、その紙鋸刃100をカートンブランク8に順次装着する作業を連続して行うことができる。また、得られた紙鋸刃100は、前段で平抜きされた稜線102’と、後段で平抜きされた稜線102”との交点によって安定的に形成される、より鋭利な刃先(尖端101a)を備えたものであり、ラップフィルム類200をより確実且つ迅速に切断することが可能な紙鋸刃付きカートンを得ることができる。
【0050】
図10には、前記した平抜き刃3A,3B、可動刃6、固定刃7の変形例を示す。すなわち、この例では、鋸歯状部110の各谷部102が台形である紙鋸刃100を製造するもので、その各谷部102の形状に合せて、台形状の刃先部3a’,3b’、刃先部6a’、山部7a’と谷部7b’の形状が変更されている。また、各刃先部3a’,3b’において、つなぎ部130,131を残すための隙間3a’−1,3b’−1を、谷部102における片側の斜辺102aと底辺102bの間に形成している。それ以外の構成と作用、効果は前記形態例と同様のため、重複する説明及び図示は省略する。
【0051】
図11,図12には、図10における第一,第二の平抜き刃3A,3Bの変更例を示す。
図11の例では、第一の平抜き刃3Aの刃先3a”が、前記鋸歯状部110における各谷部(山部)の同一方向の片側の斜辺102aに相当する形状であり、第二の平抜き刃3Bの刃先3b”が、前記各谷部(山部)における残る同一方向の片側の斜辺102cに相当する形状であり、これら平抜き刃3A,3Bで残されたつなぎ部としての底辺102bを、前記可動刃6と固定刃7で押切りするものである。それ以外の構成と作用、効果は前記形態例と同様のため、重複する説明及び図示は省略する。
【0052】
図12の例では、第一の平抜き刃3Aの刃先3a”が、前記鋸歯状部110における各谷部(山部)の同一方向の片側の斜辺102aに相当する形状であり、第二の平抜き刃3Bの刃先3b”が、前記各谷部(山部)における残る同一方向の片側の斜辺102cと底辺102bに相当する形状であり、これら平抜き刃3A,3Bで残されたつなぎ部130,131を、前記可動刃6と固定刃7で押切りするものである。それ以外の構成と作用、効果は前記形態例と同様のため、重複する説明及び図示は省略する。
【0053】
また、図13に示すような、鋸歯状部110の各谷部102がV字形である紙鋸刃100を製造する場合は、その各谷部102の形状に合せて、V字状の刃先部に変更された平抜き刃3A,3B、V字形の山部と谷部に変更された可動刃6,固定刃7を用いることは言うまでもない。
【0054】
図15(a)に、従来法で得られた紙鋸刃(VF刃)の刃先の拡大写真を、(b)に、本発明で得られた紙鋸刃(VF刃)の刃先の拡大写真を夫々示す。これら写真は、マイクロスコープによる撮影8倍のものである。両写真の比較から、本発明で得られた紙鋸刃(VF刃)の刃先が、従来法で得られた紙鋸刃(VF刃)の刃先よりも鋭利であることが確認できた。
【0055】
尚、上述した実施形態においては、押切り工程として可動刃と固定刃を用いる形態を説明したが、押切り用の刃は可動刃と固定刃に限定されず、例えば可動刃を二枚用いるなど、原反の両側から二枚の刃で切断する方式であれば実施可能である。
【0056】
以上、本発明の実施形態例を図面を参照して説明したが、本発明は図示例に限定されるものではなく、特許請求範囲の各請求項に記載された技術的思想の範疇において種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の二段打ち抜き式製造方法を実施する装置の一例に係る模式図で、前段の平抜き状態を示す。
【図2】図1における前段平抜き後の定量ピッチ送り状態を示す。
【図3】図1における後段押切り後の紙鋸刃をカートンブランクに装着する状態を示す。
【図4】図1における、谷部が円形状である紙鋸刃の製造に用いる刃を模式的に示す平面図で、(a)は平抜き刃を、(b)は可動刃及び固定刃を夫々表す。
【図5】図1における、谷部が円形状である紙鋸刃の拡大図で、(a)は刃先の高さが揃っている場合、(b)は刃先の高さが不揃いの場合を夫々示す。
【図6】図1における、谷部が台形状である紙鋸刃の製造に用いる刃を模式的に示す平面図で、(a)は平抜き刃を、(b)は可動刃及び固定刃を夫々表す。
【図7】図1における、谷部が台形状である紙鋸刃の拡大図で、(a)は刃先の高さが揃っている場合、(b)は刃先の高さが不揃いの場合を夫々示す。
【図8】本発明の三段打ち抜き式製造方法を実施する装置の一例に係る模式図で、後段の平抜き状態を示す。
【図9】図8における、谷部が円形状である紙鋸刃の製造に用いる刃を模式的に示す平面図で、(a)は前段の平抜き刃を、(b)は後段の平抜き刃を、(c)は可動刃及び固定刃を夫々表す。
【図10】図8における、谷部が台形状である紙鋸刃の製造に用いる刃を模式的に示す平面図で、(a)は前段の平抜き刃を、(b)は後段の平抜き刃を、(c)は可動刃及び固定刃を夫々表す。
【図11】図8における、谷部が台形状である紙鋸刃の製造に用いる刃を模式的に示す平面図で、(a)は前段の平抜き刃を、(b)は後段の平抜き刃を夫々表す。
【図12】図8における、谷部が台形状である紙鋸刃の製造に用いる刃を模式的に示す平面図で、(a)は前段の平抜き刃を、(b)は後段の平抜き刃を夫々表す。
【図13】(a)は谷部がV字形状である紙鋸刃の平面図、(b)は山部と谷部の拡大図を夫々示す。
【図14】(a)は従来法で得られた紙鋸刃(VF刃)の刃先の拡大図、(b)は本発明で得られた紙鋸刃(VF刃)の刃先の拡大図を夫々示す。
【図15】(a)は従来法で得られた紙鋸刃(VF刃)の刃先の拡大写真、(b)本発明で得られた紙鋸刃(VF刃)の刃先の拡大写真を夫々示す。
【符号の説明】
【0058】
1:紙鋸刃用原反
2:ニップロール(送り手段)
3,3A,3B:平抜き刃(平抜き手段)
4:受け台(平抜き手段)
6:可動刃(押切り手段)
7:固定刃(押切り手段)
8:カートンブランク
9:超音波溶着装置(溶着手段)
100:紙鋸刃
110:鋸歯状部
101:山部
101a:尖端
102:谷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品などを包装する包装用フィルム、アルミホイル、クッキングシート等のラップフィルム類を収納するカートンに取り付ける紙鋸刃であって、山部と谷部が交互に連なる鋸歯状部を備え、該鋸歯状部における各山部の形状が、尖端が角状である理想形に対し、該尖端の欠落割合が5%以下であることを特徴とするラップフィルム類収納カートン用紙鋸刃。
【請求項2】
紙鋸刃用原反を用いて、山部と谷部が交互に連なる鋸歯状部を備えた紙鋸刃を製造する方法であって、少なくとも、前記鋸歯状部の各山部における左右の稜線の何れか一方に相当する箇所と、残る他方の稜線に相当する箇所とを別工程で打ち抜き、前段で形成した一方の稜線と、後段で形成した他方の稜線との交点で前記鋸歯状部における各山部の尖端を形成することを特徴とする複数段打ち抜き式の紙鋸刃の製造方法。
【請求項3】
前記鋸歯状部の各山部における左右の稜線の何れか一方に相当する箇所を平抜き刃で平抜きした後、残る他方の稜線に相当する箇所を可動刃と固定刃で押切りして、前段の平抜き工程で形成した一方の稜線と、後段の押切り工程で形成した他方の稜線との交点で前記鋸歯状部における各山部の尖端を形成すると共に、後段の押切り工程で前記原反から紙鋸刃を切り離す二段打ち抜き式としたことを特徴とする請求項2記載の紙鋸刃の製造方法。
【請求項4】
前記鋸歯状部の各山部における左右の稜線の何れか一方に相当する箇所を第一の平抜き刃で平抜きした後、残る他方の稜線に相当する箇所を第二の平抜き刃で平抜きし、しかる後、前記各平抜き工程で残されたつなぎ部を可動刃と固定刃で押切りして、前段の平抜き工程で形成した一方の稜線と、後段の平抜き工程で形成した他方の稜線との交点で前記鋸歯状部における各山部の尖端を形成すると共に、最後の押切り工程で前記原反から紙鋸刃を切り離す三段打ち抜き式としたことを特徴とする請求項2記載の紙鋸刃の製造方法。
【請求項5】
前段の平抜きで形成する一方の稜線が前記鋸歯状部の各谷部の一つおきに相当する箇所であり、後段の平抜きで形成する他方の稜線が前段で切り込まなかった残る谷部に相当する箇所であることを特徴とする請求項2〜4の何れか記載の紙鋸刃の製造方法。
【請求項6】
前段の平抜きで形成する一方の稜線が前記各山部における同一方向の片側の斜辺を含み、後段の平抜きで形成する他方の稜線が前段で切り込まなかった残る同一方向の片側の斜辺を含み、最終段の押切り工程で押切るつなぎ部が隣り合う山部の斜辺を繋ぐ底辺の一部を含むことを特徴とする請求項4記載の紙鋸刃の製造方法。
【請求項7】
前記紙鋸刃用原反の表面に熱可溶性皮膜が設けられており、該原反から切り離された紙鋸刃をカートンの所定位置に重ねると共に、前記熱可溶性皮膜を介して前記紙鋸刃を前記カートンに溶着する工程をさらに有することを特徴とする請求項3〜6の何れか記載の紙鋸刃の製造方法。
【請求項8】
紙鋸刃用原反を用いて、山部と谷部が交互に連なる鋸歯状部を備えた紙鋸刃を製造する装置であって、
前記鋸歯状部における各谷部の一つおきに相当する形状の平抜き刃と、該平抜き刃を垂直方向から押し当てる受け台を有する前段側平抜き手段、
前記鋸歯状部の各谷部における前記平抜き刃で平抜きしない箇所に相当する形状の可動刃と、前記鋸歯状部に相当する形状の固定刃を有する後段側押切り手段、
前記原反を前記前段側平抜き手段から後段側押切り手段にわたって定量ピッチで送る送り手段を備え、
前記原反を支持した受け台に前記平抜き刃を押し当てて、該原反の前記鋸歯状部における各谷部の一つおきに相当する箇所を平抜きした後、該原反を送り手段で定量ピッチ送りし、次に、前記鋸歯状部の各谷部における前記平抜き刃で平抜きしなかった箇所に前記可動刃を押し当てて前記固定刃とで押切りし、前段側平抜き手段で形成した稜線と後段側押切り手段で形成した稜線との交点で前記鋸歯状部における各山部の尖端を形成すると共に、前記原反から紙鋸刃を切り離すことを特徴とする二段打ち抜き式の紙鋸刃の製造装置。
【請求項9】
紙鋸刃用原反を用いて、山部と谷部が交互に連なる鋸歯状部を備えた紙鋸刃を製造する装置であって、
前記鋸歯状部における各谷部の一つおきに相当する形状の第一の平抜き刃と、該平抜き刃を垂直方向から押し当てる受け台を有する前段側平抜き手段、
前記鋸歯状部の各谷部における前記平抜き刃で平抜きしない箇所に相当する形状の第二の平抜き刃と、該平抜き刃を垂直方向から押し当てる受け台を有する後段側平抜き手段、
前記鋸歯状部に相当する形状の固定刃と、該固定刃と雄雌係合関係になる可動刃を有する最終段の押切り手段、
前記原反を前記前段側平抜き手段から最終段の押切り手段にわたって定量ピッチで送る送り手段を備え、
前記原反を支持した受け台に前記第一の平抜き刃を押し当てて、該原反の前記鋸歯状部における各谷部の一つおきに相当する箇所を平抜きした後、該原反を送り手段で定量ピッチ送りし、
次に、前記鋸歯状部の各谷部における前記第一の平抜き刃で平抜きしなかった箇所に前記第二の平抜き刃を押し当てて平抜きした後、該原反を送り手段で定量ピッチ送りし、
さらに、前記各平抜き手段で残されたつなぎ部を前記可動刃と固定刃で押切りして、
前段側平抜き手段で形成した稜線と後段側平抜き手段で形成した稜線との交点で前記鋸歯状部における各山部の尖端を形成すると共に、最終段の押切り手段で前記原反から紙鋸刃を切り離すことを特徴とする三段打ち抜き式の紙鋸刃の製造装置。
【請求項10】
紙鋸刃用原反を用いて、山部と谷部が交互に連なる鋸歯状部を備えた紙鋸刃を製造する装置であって、
前記各山部における同一方向の片側の斜辺を含む形状の第一の平抜き刃と、該平抜き刃を垂直方向から押し当てる受け台を有する前段側平抜き手段、
前記各山部における残る同一方向の片側の斜辺を含む形状の第二の平抜き刃と、該平抜き刃を垂直方向から押し当てる受け台を有する後段側平抜き手段、
前記鋸歯状部に相当する形状の固定刃と、該固定刃と雄雌係合関係になる可動刃を有する最終段の押切り手段、
前記原反を前記前段側平抜き手段から最終段の押切り手段にわたって定量ピッチで送る送り手段を備え、
前記原反を支持した受け台に前記第一の平抜き刃を押し当てて、該原反の前記鋸歯状部における各山部の同一方向の片側の斜辺を含む部分を平抜きした後、該原反を送り手段で定量ピッチ送りし、
次に、前記鋸歯状部の各山部における前記第一の平抜き刃で平抜きしなかった残る同一方向の片側の斜辺を含む部分を前記第二の平抜き刃で平抜きした後、該原反を送り手段で定量ピッチ送りし、
さらに、前記各平抜き手段で残されたつなぎ部を前記可動刃と固定刃で押切りして、
前段側平抜き手段で形成した同一方向の片側斜辺と、後段側平抜き手段で形成した残る同一方向の片側斜辺との交点で前記鋸歯状部における各山部の尖端を形成すると共に、最終段の押切り手段で前記原反から紙鋸刃を切り離すことを特徴とする三段打ち抜き式の紙鋸刃の製造装置。
【請求項11】
前記紙鋸刃用原反として、表面に熱可溶性皮膜が設けられた原反を用いると共に、前記紙鋸刃をカートンの所定位置に溶着する溶着手段をさらに備え、前記押切り手段で前記紙鋸刃を原反から切り離すと共に、該紙鋸刃をカートンの所定位置に重ね、前記溶着手段で該紙鋸刃をカートンに溶着することを特徴とする請求項8〜10の何れか記載の紙鋸刃の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−21292(P2006−21292A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−203338(P2004−203338)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【出願人】(500104059)王子パッケージング株式会社 (21)
【Fターム(参考)】