説明

紙面予備吐出方法およびインクジェット記録装置

【課題】 インクジェット記録装置において記録紙上に予備吐出をする場合に、その予備吐出による不必要なインク消費を抑制する。
【解決手段】 紙面予備吐出を行わない場合の、非吐出状態が続いてその後記録を開始したときに良好に記録を行うことができる、上記非吐出状態の最長時間は、シアンインクのみが、往復記録に要する時間1.6秒より短いことから、このインクの記録ヘッドについてのみ紙面予備吐出を行うようにする。これにより、他のインクについては紙面予備吐出が行われず、総てのインクについて一律に紙面予備吐出が行われることによる不必要なインク消費を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙面予備吐出方法およびインクジェット記録装置に関し、詳しくは、記録ヘッドから記録に関与しないインク吐出を行う、いわゆる予備吐出を画像の記録とともに行うインクジェット記録方法およびインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
また、本発明は、紙、糸、繊維、布、金属、プラスチック、ゴム、ガラス、木材、セラミックなどの被記録媒体に対して記録を行う、プリンター、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンター部を有するワードプロセッサなどの装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わされた産業用記録装置に適用することができるものである。
【0003】
なお、本明細書における「記録」とは、文字や図形などのように意味を持つ画像を記録媒体に対して付与することだけではなく、パターンなどの様に意味を持たない画像を付与する事も意味するものである。
【背景技術】
【0004】
予備吐出は、そのインク吐出によって記録ヘッドのインク吐出口内の増粘したインクや塵埃を排出して記録ヘッドの吐出性能を良好に維持するものである。また、染料や顔料などの色材の濃度が増したインクを排出して記録画像における濃度むらなどを防止するためにも行われる。このような予備吐出の一般的な構成は、記録ヘッドを走査させて記録を行うシリアル方式の場合、その走査範囲の一端に設けられたインク受けに対して予備吐出のためのインク吐出を行う。また、記録媒体の幅に対応してインク吐出口を配列した記録ヘッドに対して記録媒体を移動させて記録を行うフルライン方式の場合、インク受けを記録ヘッドに対して相対移動して対向させ、これにインク吐出を行うものである。
【0005】
これに対し、記録媒体中に記録する画像とともに予備吐出のためのインク吐出を行うものも知られている。例えば、特許文献1には、記録のためのインク吐出とともに一定の周期で予備吐出を行うことが記載されている。このような予備吐出によれば、記録装置に設けられた所定のインク受けに予備吐出する場合のように、予備吐出のための記録ヘッドの移動などを必要としないことから、その分スループットの低下を防ぐことが可能となる。また、この記録媒体に対して予備吐出を行う方式(本明細書では、「紙面予備吐出」ともいう)は、基本的に、画像記録のためのインク吐出に伴って行われることから、記録データとの関係で記録中に吐出が行われない吐出口が存在する場合でも、その吐出口について予備吐出を行うことができる。すなわち、記録の際には、記録ヘッドがキャップなどによって覆われずに吐出口の部分が露出した状態で記録が行われるが、この場合に、記録データによってインク吐出が行われない吐出口が存在しても、その吐出口について予備吐出によるインク吐出を行うことができ、露出状態による吐出不良などを効果的に防止することができる。
【0006】
特に、比較的大きなサイズの記録媒体に記録を行う場合に紙面予備吐出は効果的である。すなわち、大きなサイズの記録媒体に記録を行う場合、記録ヘッドの走査にそれだけ時間を要するためスループットが低下する傾向にあるが、紙面予備吐出は、装置の一定の場所で行われる通常の予備吐出の一部に代替して、あるいはこの予備吐出に代わって行うことができ、その分通常予備吐出の時間を削減してスループットの低下を防止する方式である。また、記録ヘッドのある吐出口に着目してみたとき、記録データが“非吐出”を示してインクが吐出されない状態が続き、走査の途中で記録データが“吐出”を示してインク吐出が行われるとき、大サイズの記録媒体に記録を行う場合は、それだけ吐出口がインクが吐出されない状態で露出した時間が長くなる。これに対し、それまでに紙面予備吐出が行われていることによって、その最初の吐出も良好に行うことができる。
【0007】
【特許文献1】特開昭55−139269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、異なる色のインクを用いる場合に、これらについて一律に紙面予備吐出を行う場合は、不必要な予備吐出を行いそれによってインクが無駄に消費されている場合がある。すなわち、インクの色によって、増粘の程度など記録ヘッドの吐出に及ぼす特性が異なるのが一般的である。その場合に、一定の周期の紙面予備吐出を複数の色のインクの総てについて一律に行うと、その周期では特に吐出不良を生じさせるような増粘などが生じないインクについても紙面予備吐出が行われ、その分のインクが不必要に消費されることになる。
【0009】
特に、記録装置の一定の場所で予備吐出を行う通常の予備吐出と紙面予備吐出を併用する場合、インクの色によっては、通常の予備吐出を行うだけでその記録ヘッドの吐出性能が良好に維持されることも多い。この場合、このようなインクを吐出する記録ヘッドについては、インク消費低減の点で紙面予備吐出を行わないことが望ましいといえる。このようにインクの色によって増粘など、インク吐出特性に及ぼす性質が異なるのは、染料や顔料など用いる色材や同じ色の色材でもその色材含有量によって上記性質が異なり、さらにはその他の溶剤の成分によっても異なることがあるからである。
【0010】
また、以上の点は、記録ヘッドごとに吐出量が異なる場合にも当てはまることである。一般に、1回の吐出量(インク滴の体積)が多いほど、増粘など吐出不良の要因を生じるまでの時間が長い。このため、一定の周期で複数色のインクについて一律に紙面予備吐出を行うと、このような吐出量の多い記録ヘッドについては無駄にインクを消費していることがある。
【0011】
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、不必要なインク消費を抑制した紙面予備吐出を行うことが可能な紙面予備吐出方法およびインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのために本発明では、複数種類のインクを吐出するための記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出し当該記録媒体上に画像を記録するインクジェット記録装置における、前記記録媒体に対し前記記録すべき画像には関与しないインク吐出を行うための紙面予備吐出方法であって、前記記録すべき画像に対応した画像データに基づき、前記記録ヘッドからインク吐出して画像を記録する工程と、前記予備吐出に関する条件に基づき、前記記録ヘッドから記録媒体に予備吐出する工程とを有し、前記予備吐出に関する条件は、前記複数種類のインクそれぞれについて個別に定められ、前記複数種類のインクのうち、あるインクと別のインクそれぞれについて定められる前記条件は異なることを特徴とする。
【0013】
他の形態では、複数種類のインクを吐出する記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行うためのインクジェット記録装置における、記録媒体に記録に関与しないインク吐出を行うための紙面予備吐出方法であって、複数種類のインクそれぞれについて、紙面予備吐出をしないことを最低頻度とする紙面予備吐出の複数の頻度ごとに、記録ヘッドからのインク排出動作から当該頻度で紙面予備吐出を行いつつ所定時間が到来して所定画像の記録を開始したとき所定の記録品位低下がない前記所定時間の情報を求める工程と、
前記複数種類のそれぞれのインクについての前記複数の頻度ごとの所定時間と、前記記録ヘッドからのインク排出から次のインク排出までの時間とをそれぞれ比較し、当該所定時間が前記次の排出までの時間より短いときは、当該インクについて当該頻度より高い頻度の紙面予備吐出を行う工程と、を有したことを特徴とする。
【0014】
また、複数種類のインクを吐出するための記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出し、当該記録媒体上に画像を記録するインクジェット記録装置であって、前記記録媒体に対して前記記録すべき画像には関与しないインクを吐出するための予備吐出に関する条件に基づき、前記予備吐出を実行する手段を有し、前記予備吐出に関する条件は、前記複数種類のインクそれぞれについて個別に定められ、前記複数種類のインクのうち、第1のインクと第2のインクそれぞれについて定められる前記条件は異なること特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数種類のインクのそれぞれについて紙面予備吐出条件が個別に設定される。これにより、それぞれのインクについて必要最低限の紙面予備吐出を行うことができる。
【0016】
この結果、不必要なインク消費を抑制した紙面予備吐出を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態では、インクジェット記録装置としてプリンターを例に挙げ説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態にかかるインクジェットプリンタの概略構成を示す外観斜視図である。図示されるように、このプリンターは、記録ヘッドとインクを貯留するインクタンクとが一体となったヘッドカートリッジを着脱可能に搭載するキャリッジ11が往復移動(この移動方向を主走査方向という)することにより記録ヘッドの記録媒体に対する走査を行い、この走査の間に記録用紙などの記録媒体にインクを吐出して記録を行う。キャリッジモータ12は、上記のキャリッジ11の移動の駆動源となり、その駆動力はベルト4およびプーリ5a、5bを介してキャリッジ11に伝達される。また、ガイドシャフト6は、キャリッジ11が主走査方向に移動する際にこれを案内支持する。記録ヘッドのインク吐出のための吐出信号などは、図4にて後述される制御部から電気信号として記録ヘッドに転送されるが、フレキシブルケーブル13はその転送を媒介する。キャップ141およびワイパブレード143は、それぞれ記録ヘッドに対するキャッピングおよびワイピングを行い、吐出回復処理に用いられるものである。カセット15は、記録媒体(例えば、記録紙)を積層状態で蓄え、また、エンコーダセンサ16およびエンコーダフィルムは、キャリッジ11の移動位置を光学的に読み取る。
【0019】
図2は、図1に示したインクジェットプリンタのキャリッジ近傍の構成を詳細に示す斜視図である。図2において、記録ヘッド22は、本実施形態では、上述したようにインクタンクと一体に構成されるとともに、キャリッジ11に対して着脱自在に搭載されるものである。そして、この記録ヘッド22は、ブラック(K)、濃シアン(C)、濃マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)のインクの他に、上記濃インクより色剤濃度が薄い淡インクである、淡シアン(LC)、淡マゼンタ(LM)の各インクを加えた計6色のインクをそれぞれ吐出する6つの記録ヘッド22K、22C、22M、22Y、22LCおよび22LMから構成され。また、インクタンク21は、記録ヘッド22K、22LC、22C、22LM、22M、22Yの夫々に供給する対応する色のインクを貯蔵する6つのインクタンク21K、21LC、21C、21LM、21M、21Yから構成される。そして、それぞれの記録ヘッドとインクタンクは対応する色のインクごとに一体に形成されヘッドカートリッジを構成する。これらのカートリッジを搭載したキャリッジ11の移動範囲の一方の端部近傍のホームポジションには、6色のインクに対応したキャップ141が設けられる。すなわち、キャップ141は、6つの記録ヘッド夫々のインク吐出面を覆うべく、6つのキャップ141K、141LC、141C、141LM、141M、及び141Yで構成されている。なお、これらの記録ヘッドやインクタンクを別個に参照するときは、夫々に付された参照番号を用い、包括的に参照するときは総称的な参照番号として、記録ヘッドは「22」、インクタンクは「21」、キャップは「141」を用いる。また、上記の例では、記録ヘッドとインクタンクが一体のヘッドカートリッジを構成するものとしたが、夫々が個別にキャリッジに対して着脱できるものでもよいことはもちろんである。
【0020】
図3は、記録ヘッド22を吐出口側から見た図である。図3に示されるように、記録ヘッド22K、22LC、22C、22LM、22M、22Yは、それぞれ1200dpiの密度で1280個の吐出口を主走査方向に略直交する方向に配列している。そして、これら6つの記録ヘッドは主走査方向に配列するようにキャリッジ11に搭載されている。それぞれの吐出口23から1回の吐出で吐出されるインク量は約4ngである。
【0021】
以上、図1〜図3を参照して説明した本実施形態のインクジェットプリンタの記録動作の概略は次のとおりである。
【0022】
記録が開始されると、カセット15に積層された記録紙1が給紙ローラ(不図示)によって一枚ずつ記録領域へ供給される。そして、記録領域では、記録ヘッド22が走査するとともに、この記録ヘッド22が対向する領域に設けられたプラテン(不図示)上を、搬送ローラ対3などによって所定量ずつ搬送される。一方、インクはインクタンク21より記録ヘッド22へ供給され、記録ヘッド22は、図2の矢印B方向(往路走査方向)に走査しながら、記録データに応じて記録紙1にインクを吐出し、記録ヘッド22の吐出口の所定数に対応した幅で記録を行う。この記録におけるインク吐出は、エンコーダ16の読み取りタイミングに従い記録ヘッド駆動することによって行う。そして、矢印B方向(往路走査方向)の1走査分の記録が終了すると、記録ヘッド22は元のホームポジションに戻り、再び矢印B方向(往路走査方向)への記録を行う。一方向に向かう1回の記録動作(1走査)が終了してから次回の記録動作が開始される前に、搬送ローラ対3を駆動して記録紙1を、上記吐出口の所定数に対応した幅である所定量矢印A方向に搬送する。このように1走査分の記録動作と所定量の記録紙搬送とを繰り返すことによって、記録紙1に画像の記録を行うことができる。
【0023】
記録開始前など所定のタイミングで、記録ヘッド22はホームポジションに戻り、回復機構により吐出回復動作を行う。すなわち、キャップ141を記録ヘッド22の吐出口面に対してキャッピングを行い、吐出口23内のインクを吸引する動作を行う。また、非記録時には上記のキャッピングを行い、インクの乾燥を防止する。さらに、ワイパブレード143によって記録ヘッド22の吐出口23面を矢印C方向に移動しながらワイピングして吐出口面に付着したインクなどを除去する動作を行う。
【0024】
また、図7以降で後述されるように、本発明の実施形態では、予備吐出として記録動作に伴い記録紙中にインクを吐出する、いわゆる紙面予備吐出を行うが、本実施形態では、これと併用して、記録開始前や記録ヘッドの走査の所定回数ごとに予備吐出を行うべく、ホームポジションに隣接した位置にインク受けが設けられており、所定のタイミングでこのインク受けに予備吐出が行われる(以下、通常予備吐出ともいう)。
【0025】
図4は、以上示した本実施形態のインクジェットプリンタにおける制御系の構成を示すブロック図である。図4において、イメージコントローラ210は、ホスト装置200やプリンターの操作部(不図示)からの処理命令信号に従って、プリントエンジン制御部制御部220に制御コマンドを通知する。また、記録中は、ホスト装置200からの受信した記録データを解析、展開して各色2値の画像データへの変換を行う。プリントエンジン制御部制御部220は、イメージコントローラ210から送られた制御コマンドおよび画像データを基に記録動作を行う。イメージコントローラ210とプリントエンジン制御部制御部220の間は専用のインターフェースで接続され、イメージコントローラ210からプリントエンジン制御部制御部220へ制御コマンドを通知するコマンド送信、プリントエンジン制御部制御部220からイメージコントローラ210の状態変化を通知するステータス送信からなる通信と、イメージコントローラ210からプリントエンジン制御部制御部220へ画像データ転送とを行うことができる。
【0026】
プリントエンジン制御部220では、MPU(MicroProcessorUnit)221がROM227に格納されたプログラムに従い、各種動作を実行する。RAM228はMPU221の作業領域や一時データ保存領域として利用される。MPU221は、ASIC(ApplicationSpecificIntegratedCircuit)222を介して、キャリッジ駆動系223、搬送駆動系224、回復駆動系225、およびヘッド駆動系226の制御を行う。また、MPU221はASIC222から読み書き可能なプリントバッファ229、マスクバッファ230への読み書きが可能な構成になっている。
【0027】
プリントバッファ229は、記録ヘッドへ転送する形式に変換された画像データを一時保管する。マスクバッファ230は、記録ヘッドに転送する際にプリントバッファ229から転送される際に、マルチパス記録のためにデータに必要に応じてアンド処理を施す所定のマスクパターンを一時的に保持する。なお、パス数の異なるマルチパス記録のための複数組のマスクパターンがROM227内に用意され、実際の記録時に該当するマスクパターンがROM227から読み出されてマスクバッファ230に格納される。マスクバッファ229とのアンド処理は、1パス記録のように必要のない場合には行われない構成としている。
【0028】
上記の構成において、ホスト装置200からイメージコントローラ210に画像データが送られることにより記録動作が開始される。イメージコントローラ210は、ホスト装置200から受信した画像データを解析し、記録品位、マージン情報等の記録に必要な情報を生成し、さらに画像データを解析、展開して各色2値の画像データへの変換を開始する。この画像データの展開処理とともに、記録品位、マージン情報等の、プリントエンジン制御部220での記録に必要な情報に関しては、プリントエンジン制御部220に通知される。そして、プリントエンジン制御部220では、この通知された情報は、ASIC222を介してMPU221で処理され、RAM228に保持される。この情報は、その後、必要なときに参照され、処理の切り分けに利用される。さらに、必要に応じてマスクバッファ230へのマスクパターンの書き込みを行う。
【0029】
必要な情報の通知が終了すると、イメージコントローラ210は、画像データから変換した各色2値の記録データのプリントエンジン制御部220への転送を開始する。プリントエンジン制御部220では転送された記録データをプリントバッファ229に書き込む。そして、図7以降で後述されるように、この書き込まれた記録データと、予め生成した紙面予備吐出データとのオア(論理和)がとられ、新たな記録データが生成される。この予備吐出データが付加された記録データに基づいて記録を行うことにより、記録を行う際、紙面予備吐出行うことができる。このような、イメージコントローラ210からの記録データ転送を繰り返すことにより、プリントエンジン制御部220では、プリントバッファ229に次々に記録ヘッドに転送する記録データが保持されていく。
【0030】
プリントバッファ229に保持された記録データが、実際のバンドデータの記録が可能な量まで溜まった段階で、MPU221は、ASIC222を介して搬送駆動系224により用紙の搬送を行うとともに、キャリッジ駆動系223によりキャリッジ11を移動させる。また、回復駆動系225により回復系を駆動して記録動作前に必要な回復動作を行う。さらに、ASIC222に対して、画像の出力位置等の設定を行い、キャリッジ11を駆動して記録動作を開始する。キャリッジ11が移動して、ASIC222に設定した記録開始位置に到達すると、吐出タイミングに合わせて、上述した紙面予備吐出パターンが付加された記録データが順次プリントバッファ229から読み出される。また、必要に応じてマスクバッファ230から対応するマスクパターンが読み出される。そして、読み出された記録データとマスクデータのアンド(論理積)がとられ、記録ヘッドに転送される。ヘッド駆動系226の制御により、記録ヘッドでは、転送された記録データに従って記録ヘッドを駆動して吐出を行う。このように、イメージコントローラ210からの記録データ受信以降の処理を繰り返すことにより、例えば、1ページ分の記録が行われる。
【0031】
図5は、図4にて上述したホスト装置200およびプリンター240におけるデータ処理について説明する図である。
【0032】
ホスト装置200では、プリンタドライバ250が600dpi×600dpiのRGB(レッド,グリーン,ブルー)もしくはKCMY(ブラック,シアン,マゼンタ,イエロー)形式の多値画像データ(ここでは、各8ビット)を生成して、プリンターに転送する。イメージコントローラ210では、受信した画像データがRGB形式の場合には、プリンターにマッチした色空間にするためにRGBからR’G’B’への色変換処理500を行う。次に、プリンターで用いるインク色に合わせるためにR’G’B’の8ビットデータから600dpi×600dpiのそれぞれK,LC,LM,C,M,Yの多値データ(ここでは、各8ビット)への色分解処理510を行う。一方、イメージコントローラ210が受信したデータがKCMY形式の場合には、色変換処理500を行わずに色分解処理510を行う。色変換処理500および色分解処理510では、予め決められた色変換用のルックアップテーブルを用いて色変換を行う。ルックアップテーブルは予めプリンター本体のROMデータに保持しておいても良いし、記録データとともにホスト装置200から転送したテーブルに基づいて処理を行っても良い。
【0033】
続いて、K,LC,LM,C,M,Yの8ビット(255階調)データから各色4ビット(5階調)への量子化処理520を行う。量子化処理520としては、公知の誤差拡散法あるいはディザ法を用いて行う。量子化されたK,LC,LM,C,M,Yの4ビット(5階調)データは、図6にて後述されるインデックス展開処理530が施され、K,LC,LM,C,M,Yの各色1ビット(2階調)の記録データに変換される。変換された記録データは、プリントエンジン制御部220に転送される。
【0034】
図6は、上記のインデックス展開を説明する図である。一般に、インデックス展開はRGB多値データ段階での処理負荷を低減しかつ階調性を向上させることを目的とするものであり、これにより、処理速度と画質の両立を図ることができる。本実施形態においては、イメージコントローラ210が600dpiの4ビット(5階調)データを1200dpiの1ビット(2階調)データにインデックス展開する。従って、展開するマトリクスサイズは2(横)×2(縦)となる。図に示すように5階調分の4ビットデータ(”0000”、”0001”、”0010”、”0011”、”0100”)には、予めそれによって展開するパターンが設定されている。この設定パターンは、プリンター内のROMに保持しておくか、あるいは、画像データとともにホスト装置からダウンロードしても良い。600dpiの4ビットデータは、上記設定した各階調レベルのパターンに基づいて画素単位で展開され、1200dpiの1ビット(2階調)データが生成される。そして、プリントエンジン制御部220では、このように展開されたK,LC,LM,C,M,Yの各色1ビット(2階調)のデータに対して、オア(論理和)により後述の予め生成した紙面予備吐出としての予備吐出データを付加する。
【0035】
図7は、付加する紙面予備吐出の記録データを画素において配置されたパターンで示す図である。
【0036】
このパターンは、1色のインクについて基本パターンを示している。すなわち、図8等で後述されるように、本実施形態では、その記録装置で用いるインクの総てについて紙面予備吐出を行なわず、通常予備吐出が行われる一定の周期の間に増粘などを生じて、吐出不良を生じさせるおそれのあるインクについて紙面予備吐出を行う。なお、図7では、説明のために記録ヘッドの吐出口の数は実際より少なく16としている。また、記録ヘッド22における、符号310〜325は16個それぞれの吐出口を示している。
【0037】
紙面予備吐出パターンの解像度は、2値化データの解像度と等しく、本実施形態では、Y方向の解像度は記録ヘッドの解像度に等しい1200dpiとし、X方向は1200dpiとしている。360は着目画素の原点(X0,Y0)を示している。この着目画素に予備吐出の付加ドットを形成する場合には、吐出口310から吐出されるインクが付与されることになる。原点360からX方向にX1画素、Y方向に1画素移動した座標(X0+X1、1)は、吐出口311によってインクが付与される着目画素361である。同様に、吐出口311によってインクが付与される着目画素361からX方向にX1画素、Y方向に1画素移動した座標(X0+2×X1、2)は、吐出口312によってインクが付与される着目画素362である。さらに、着目画素362からX方向にX1画素、Y方向に1画素移動した座標(X0+3×X1、3)が、吐出口313によってインクが付与される着目画素363である。パターンは、Y0+3=Y1−1となると、次の吐出口314によってインクが付与される着目画素364は、(X0+1、Y1)として同様に繰り返す。このようにして、1つの色のインクについて、16の吐出口全てに対して紙面予備吐出が行われるパターンの単位である、X方向に4×X1画素、Y方向に4×Y1画素のサイズの紙面予備吐出パターンを繰り返すことにより、記録領域の全体に渡って予備吐出のためのインク吐出を行う画素を決定することができる。
【0038】
なお、紙面予備吐出を実施するインクの色が複数ある場合は、それらの紙面予備吐出パターンは、色ごとに、原点X0、Y0、ドット間距離X1、Y1の4つのパラメータで記述することが可能である。もちろん、上述した紙面予備吐出パターンは一例であって、他の紙面予備吐出パターンを実現するために他の形態のパラメータであってもよく、また、パラメータを用いないでパターンを表現してもよい。
【0039】
(第1実施形態)
本発明の第1の実施形態は、記録装置で用いるシアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)、ブラック(Black)、淡シアン(LightCyan)、淡マゼンタ(LightMgenta)のうち、シアンインクについてのみ紙面予備吐出を行うよう設定したものである。すなわち、本実施形態は、記録ヘッドの1回の往復走査ごとにホームポジション近傍のインク受けに予備吐出を行う、いわゆる通常予備吐出を行うように設定する。この場合に、以下で説明するように、この1回の往復走査ごとに通常予備吐出を行う設定では、その往復走査の間に1度も吐出が行われない場合には増粘などによって吐出不良を生じるおそれがあるインクが存在することがあり、本実施形態ではシアンインクがそのインクに該当する。このため、このシアンインクだけについて紙面予備吐出を行う。換言すれば、上記の通常予備吐出を実行する間隔がより長く設定された装置では、紙面予備吐出を実施することが必要なインクの色がより多くなる可能性があり、その場合にはそれらのインクについても本発明に従って紙面予備吐出を行うことはもちろんである。このように本実施形態の適用は、通常予備吐出を実行する間隔に対して相対的なものであり、この間隔に応じて紙面予備吐出が必要なインクが定められる。
【0040】
図8は本実施形態の記録動作を時間軸に沿って示す図である。本実施形態では、キャリッジ11(図1参照)が12inch/secの速度で移動して記録ヘッドの走査を行い、その双方向の走査で記録を行う。そして、1回の往復走査が終了する度に記録ヘッドをホームポジション近傍のインク受けまで移動し、通常予備吐出を行う。図8に示すように、記録動作の1サイクルは、通常予備吐出の後、時間的に、(1)1往方向記録、(2)2走査方向変更、(3)3復方向記録、(4)4通常予備吐出を順次行い、これらを繰り返すことによって1ページ分など所定量の記録を行う。なお、この所定量の記録の開始時には、所定の記録開始動作を行う。この記録開始動作には、通常予備吐出あるいは吸引処理など記録ヘッドからインクを排出する動作が含まれている。以上の記録動作では、図8に示すように、通常予備吐出あるいは記録開始動作が行われてから次の通常予備吐出が行われるまでの時間間隔を1.6secに設定している。すなわち、本実施形態のプリンタの設計上、通常予備吐出を1回の往復走査ごとに実行するようにしている。
【0041】
ここで、通常予備吐出の後走査を開始してから、“非吐出”を示す画像データが続き、その後“吐出”を示す最初の画像データのインク吐出において吐出不良を生じない状態を維持できる最長の時間(以下、休止時間ともいう)を定義し、この時間を紙面予備吐出の有無あるいは紙面予備吐出の頻度に対する評価に用いることを考える。ここで、吐出不良を生じない状態とは、ノズルからインクが吐出しない不吐出現象や、インク吐出は一応行われるがその吐出インクの着弾位置が正規の位置からずれてしますヨレ現象、インクのリフィル不足によるしぶきながら吐出現象等が発生しない状態をいう。
【0042】
なお、上記のように定義される休止時間は、下記表1に示されるように紙面予備吐出の有無や頻度で異なり、紙面予備吐出を行わない場合に比べ、紙面予備吐出を行う場合は休止時間が長くなる。
【0043】
さて、休止時間の定義は、紙面予備吐出が行われない場合でも紙面予備吐出が行われる場合でも当てはまる。まず、紙面予備吐出が行われないときの休止時間について表1のシアンを例にとって説明する。ここで、休止時間が1.1秒ということは、通常予備吐出後の非吐出期間が1.1秒以内であれば最初の吐出について吐出不良が発生しない、という意味である。言い換えれば、通常予備吐出からの非吐出期間が1.1秒以上になる吐出不良を生じる。
【0044】
また、紙面予備吐出が行われるとき、休止時間は次のように説明することができる。一般に、紙面予備吐出はそれによる記録媒体上のインクドットが記録画像に対して目立たないよう、紙面予備吐出の頻度が記録時や通常予備吐出時のインク吐出の頻度と比べて極めて小さく設定される。このため、単に紙面予備吐出をある一定周期で行ってもインクの種類によっては吐出不良を生じる場合がある。表1のシアンにおいて休止時間が2.7秒ということは、1回吐出/8inchで紙面予備吐出を行っても、非吐出期間が2.7秒以上になると吐出不良を生じる、という意味である。言い換えれば、通常予備吐出からの非吐出期間が2.7秒以内であれば吐出不良を発生させずに済む。これによれば、紙面予備吐出無しよりも良好な記録状態を維持できる時間が長くなり、高品位化に有利である。
【0045】
【表1】

【0046】
表1は、ブラック、淡シアン、シアン、淡マゼンタ、マゼンタ、イエローの各インクを、それぞれの記録ヘッド22K、22LC、22C、22LM、22M、22Y(図1参照)の吐出口23から吐出する場合の、紙面予備吐出の有無、および紙面予備吐出の頻度に応じた休止時間を示している。なお、表1では、ブラックインクについては記載を省略している。
【0047】
表1から明らかなように、紙面予備吐出を行わない場合のシアンインクの休止時間は、1.1秒であり、図8に示した、通常予備吐出から次の通常予備吐出までの時間1.6秒より短い。このため、シアンインクを吐出する記録ヘッド22Cは、上記の往復走査による記録時間である1.6秒の間で1.1秒より長い時点、例えば、1.5秒の時点で記録が開始されると、吐出不良を生じ記録品位が低下する。このため、シアンインクの記録ヘッド22Cについてのみ所定の紙面予備吐出を行う。この紙面予備吐出によって、シアンインクに関する休止時間は2.7秒となり、連続する2つの通常予備吐出の間の時間間隔である1.6秒の間に記録が開始されたとしても、その際に吐出不良を生じるおそれはなくなる。
【0048】
換言すれば、表1から明らかなように、紙面予備吐出が行われない場合の休止時間は、シアンインクのみが1.6秒より短いことから(本実施形態のブラックインクも他のインクと同様、1.6秒より長い)、このインクの記録ヘッドについてのみ紙面予備吐出を行うようにする。これにより、他のインクについては紙面予備吐出が行われず、総てのインクについて一律に紙面予備吐出が行われることによる不必要なインク消費を防止することができる。
【0049】
ここで、上記表1に示す休止時間を求めた際の紙面予備吐出の頻度は、1回吐出/8inch(従って、上述したキャリッジの移動速度より、1.5回吐出/sec=3回吐出/2sec)、および1回吐出/4inch(同様に、3回吐出/sec=6回吐出/2sec)である。なお、1回吐出/8inchで紙面予備吐出を行うのであれば、主走査方向の8inch毎に1回だけ、図7に示したパターンに基づく紙面予備吐出を行えばよい。また、1回吐出/4inchで紙面予備吐出を行うのであれば、主走査方向の4inch毎に1回だけ、図7に示したパターンに基づく紙面予備吐出を行えばよい。なお、本実施形態のシアンインクの休止時間は紙面予備吐出の頻度が1回吐出/8inchの場合と1回吐出/4inch場合とで変わらない。これは、主にインクの特性が比較的増粘し易いものであり、このようなインクは紙面予備吐出の頻度を増しても休止時間は増えない。本実施形態では、シアンインクの紙面予備吐出について、それによるドットが目立たないよう、より頻度の少ない1回吐出/8inchの頻度を採用する。なお、紙面予備吐出の頻度は、1回吐出/8inch、および1回吐出/4inchについて示したが、吐出頻度はこれに限られないことはもちろんである。この吐出頻度は、記録媒体上に形成される予備吐出のインクドットが目立たない範囲で定めることができる。
【0050】
(第2実施形態)
本発明の第2の実施形態は、紙面予備吐出が必要なインクの色が複数あって、それらのインクの色によって紙面予備吐出の頻度が異なる場合の例である。
【0051】
【表2】

【0052】
表2は、本実施形態について、紙面予備吐出の有無、および紙面予備吐出の頻度に応じた休止時間を示している。表2に示すように、紙面予備吐出を行わない場合の休止時間は、シアンインクについて1.1秒、マゼンタインクについて1.5秒、イエローインクについて1.3秒であり、これらのインクについては、図8に示した、連続する2つの通常予備吐出の間の時間間隔である1.6秒より短い。このため、紙面予備吐出を行うことが必要となる。しかし、シアンインクについては、1回吐出/8inchの頻度の紙面予備吐出では、休止時間が1.5秒であり、上記時間間隔1.6秒の間で1.5秒より後に記録が開始されたとき、吐出不良を生じるおそれがある。このため、シアンインクについては、1回吐出/4inchの頻度の紙面予備吐出を行い、マゼンタとイエローのインクについては、1回吐出/8inchの頻度の紙面予備吐出を行う。これにより、いずれのインクについても休止時間が1.6秒以上となり、連続する2つの通常予備吐出の間隔、すなわち、往復走査の時間である1.6秒の間に記録が開始されてもその際に吐出不良を生じるようなことはない。また、インクの色に応じて必要最低限の頻度で紙面予備吐出を行うので、不必要に頻度の高い紙面予備吐出を行わずに済み、これにより、紙面予備吐出で消費されるインクの量を抑制することができる。
【0053】
(第3実施形態)
本発明の第3の実施形態は、1つの色のインクについて2種類の吐出量(インク滴の体積)を吐出できる記録ヘッドを用いた場合の紙面予備吐出の適用に関するものである。
【0054】
上述した第1実施形態では、それぞれの吐出口から吐出されるインク滴の1滴の体積(吐出量)は4plの場合である。これに対し、本実施形態は、それぞれのインクについて、4plと8plを吐出する2種類の吐出口を具えた記録ヘッドを用いる。
【0055】
図9は、その記録ヘッドの各インク色の吐出口配列を示す図である。同図に示すように、吐出量8plの吐出口1202と、吐出量4plの吐出口1203が、各色インクの記録ヘッド1201K、1201LC、1201C、1201LM、1201M、1201Yにそれぞれ配列されている。
【0056】
【表3】

【0057】
表3は、本実施形態について、紙面予備吐出の有無、および紙面予備吐出の頻度に応じた休止時間を、吐出量ごとに示している。
【0058】
表3に示すように、図8に示した時間間隔1.6秒の間に記録が開始された場合に、吐出不良を生じるおそれがあるのは、シアンインクについて、吐出量4plの吐出口からインクを吐出する場合だけである。このため、本実施形態では、紙面予備吐出を、シアンインクの吐出量4plの吐出口からのみ、1回吐出/8inchの頻度で行う。このように、インクごとの吐出量に応じて、必要な吐出口のみについて紙面予備吐出を行うので、不必要な紙面予備吐出を行わずに済み、これにより、紙面予備吐出で消費されるインクの量を抑制することができる。
【0059】
(他の実施形態)
以上の各実施形態では、インデックス展開後の2値化された記録データに対し、2値の紙面予備吐出パターンを付加するものとしたが、インデックス形式の記録データについて紙面予備吐出パターンデータの付加を行ってもよい。
【0060】
図10は、このインデックス形式で予備吐出データを付加する場合の、ホスト装置200およびプリンター240におけるデータ処理を示すブロック図であり、上記で説明した図5と同様の図である。すなわち、ホスト装置200から転送されたデータをプリンター240で量子化処理520をするまでは同様の処理を実施する。
【0061】
量子化されたK,LC,LM,C,M,Yの4ビット(5階調)データには、紙面予備吐出パターンを付加する処理540が下記のように実施される。すなわち、量子化されたK,LC,LM,C,M,Yの4ビット(5階調)データは、図6で説明したように”0000”、”0001”、”0010”、”0011”、”0100”のうちのいずれかの値を有している。”0001”、”0010”、”0011”、”0100”の値を有する場合、その画素にインクが吐出されることになるため、紙面予備吐出データの付加は行わない。一方、”0000”である場合には、図11に示されるような紙面予備吐出データの付加を行う。
そして、予備吐出データが付加された記録データはインデックス展開処理530を行うことでK,LC,LM,C,M,Yの各色1ビット(2階調)の記録データに変換され、紙面予備吐出データが含まれた記録データとしてプリンタエンジン220に転送される。
【0062】
図11は、予備吐出に用いるインデックス展開パターンを示す図である。同図に示すように、紙面予備吐出データとして用いる”0001”の4ビットデータに対応するインデックス展開パターンとして、パターン900とパターン910に示すように、2種類のパターンを用意しておく。これら2種類のパターンを交互に切り換えて用いることにより、紙面予備吐出を行う吐出口の偏りを防ぐことが可能となる。
【0063】
また、本発明は、ホスト装置のプリンタドライバにおいて画像処理を行う構成にも適応できる。図13は、その構成の一例を示す図であり、図4と同様の図である。この場合、主に画像処理を受け持つイメージコントローラを搭載する必要が無く、コストを抑えたプリンターとなる。
【0064】
この構成では、ホスト装置200からプリントエンジン制御部220の受信バッファ250に画像データが送られることにより記録動作が開始される。プリントエンジン制御部220は、ホスト装置200から受信した画像データを解析し、記録データ、記録品位、マージン情報等の記録に必要な情報を生成する。このとき、記録データ、記録品位、マージン情報等は、ASIC222を介してMPU221で処理され、RAM228に保持される。この情報は、その後、必要な状況で参照され、処理の切り分けに利用される。さらに、マスクバッファ230へのマスクパターンの書き込みを行う。そして、記録データには、予め生成した予備吐出のデータとの論理輪(オア)をとることにより、紙面予備吐出のデータが付加された記録データを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態にかかるインクジェットプリンタの概略構成を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示したインクジェットプリンタのキャリッジ近傍の構成を詳細に示す斜視図である。
【図3】図2に示す記録ヘッドを吐出口側から見た図である。
【図4】本実施形態のインクジェットプリンタにおける制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】図4にて上述したホスト装置200およびプリンター240におけるデータ処理について説明する図である。
【図6】図5に示すインデックス展開を説明する図である。
【図7】本発明の実施形態で付加する紙面予備吐出の記録データを画素において配置されたパターンで示す図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかる記録動作における、特に、通常予備吐出から次の通常予備吐出までの時間を説明する図である。
【図9】本発明の第3の実施形態にかかる記録ヘッドの吐出口配列を示す図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係わり、インデックス形式で予備吐出データを付加する場合の、ホスト装置200およびプリンター240におけるデータ処理を示すブロック図である。
【図11】予備吐出に用いるインデックス展開パターンを示す図である。
【図12】本発明のさらに他の実施形態に係わり、ホスト装置のプリンタドライバにおいて画像処理を行う構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
11 キャリッジ
21 インクタンク
22 記録ヘッド
23 吐出口
200 ホスト装置
210 イメージコントローラ
220 プリントエンジン制御部
221 MPU
227 ROM
228 RAM
229 プリントバッファ
230 マスクバッファ
240 プリンター
250 プリンタドライバー
310〜325 吐出口
360〜375 画素
500 色変換処理
510 色分解処理
520 量子化処理
530 インデックス展開処理
540 紙面予備吐出付加処理


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のインクを吐出するための記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出し当該記録媒体上に画像を記録するインクジェット記録装置における、前記記録媒体に対し前記記録すべき画像には関与しないインク吐出を行うための紙面予備吐出方法であって、
前記記録すべき画像に対応した画像データに基づき、前記記録ヘッドからインク吐出して画像を記録する工程と、
前記予備吐出に関する条件に基づき、前記記録ヘッドから記録媒体に予備吐出する工程とを有し、
前記予備吐出に関する条件は、前記複数種類のインクそれぞれについて個別に定められ、
前記複数種類のインクのうち、あるインクと別のインクそれぞれについて定められる前記条件は異なることを特徴とする紙面予備吐出方法。
【請求項2】
前記予備吐出に関する条件は、前記予備吐出の有無に関する条件、前記予備吐出の頻度に関する条件の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の紙面予備吐出方法。
【請求項3】
複数種類のインクを吐出する記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出して記録を行うためのインクジェット記録装置における、記録媒体に記録に関与しないインク吐出を行うための紙面予備吐出方法であって、
複数種類のインクそれぞれについて、紙面予備吐出をしないことを最低頻度とする紙面予備吐出の複数の頻度ごとに、記録ヘッドからのインク排出動作から当該頻度で紙面予備吐出を行いつつ所定時間が到来して所定画像の記録を開始したとき所定の記録品位低下がない前記所定時間の情報を求める工程と、
前記複数種類のそれぞれのインクについての前記複数の頻度ごとの所定時間と、前記記録ヘッドからのインク排出から次のインク排出までの時間とをそれぞれ比較し、当該所定時間が前記次の排出までの時間より短いときは、当該インクについて当該頻度より高い頻度の紙面予備吐出を行う工程と、
を有したことを特徴とする紙面予備吐出方法。
【請求項4】
前記複数の種類のインクは、インクの色が異なることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の紙面予備吐出方法。
【請求項5】
前記複数の種類のインクは、インクの吐出体積が異なることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の紙面予備吐出方法。
【請求項6】
前記所定時間が前記次の排出までの時間より短いインクの前記頻度は、前記最低頻度であることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の紙面予備吐出方法。
【請求項7】
前記所定時間が前記次の排出までの時間より短いインクの前記頻度は、前記最低頻度より高い頻度であることを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載の紙面予備吐出方法。
【請求項8】
複数種類のインクを吐出するための記録ヘッドから記録媒体にインクを吐出し、当該記録媒体上に画像を記録するインクジェット記録装置であって、
前記記録媒体に対して前記記録すべき画像には関与しないインクを吐出するための予備吐出に関する条件に基づき、前記予備吐出を実行する手段を有し、
前記予備吐出に関する条件は、前記複数種類のインクそれぞれについて個別に定められ、
前記複数種類のインクのうち、第1のインクと第2のインクそれぞれについて定められる前記条件は異なることを特徴とする記録装置。
【請求項9】
前記予備吐出に関する条件は、前記予備吐出の有無に関する条件、前記予備吐出の頻度に関する条件に関する条件の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記第1のインクについては前記予備吐出が行われ、且つ前記第2のインクについては前記予備吐出が行われないように、前記予備吐出に関する条件が定められていることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
前記第1のインクについては所定の頻度で前記予備吐出が行われ、且つ前記第2のインクについては前記所定の頻度とは異なる頻度で前記予備吐出が行われるように、前記予備吐出に関する条件が定められていることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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