説明

素子基板、記録ヘッド、ヘッドカートリッジ、記録装置

【課題】 記録ヘッドを故障させてしまう前に、電気的接続状態を確認することのできる素子基板を提供すること。
【解決手段】 複数の記録素子と、該記録素子を制御する論理回路と、前記記録素子を駆動するための駆動電圧が印加される電圧印加端子とを有する、記録装置に着脱可能な記録ヘッド用の素子基板であって、前記論理回路は前記駆動電圧よりも低い電圧で駆動され、前記駆動電圧に基いて、前記記録ヘッドと前記記録装置との電気的接続状態を反映した信号を出力する接続状態出力回路を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドと記録装置との電気的接続状態を反映した信号を出力する接続状態出力回路を有する記録ヘッド用の素子基板、記録ヘッド、ヘッドカートリッジ、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、いわゆるノンインパクト記録方式の記録装置であり、高速な記録が可能であること、様々な記録媒体に対して記録することが可能であること、記録の際の騒音が殆ど生じないことなどの特徴を持つ。このようなことから、インクジェット記録装置は、プリンター、複写機、ファクシミリ、ワードプロセッサ等の記録機構を担う装置として、広く採用されている。
【0003】
インクジェット記録装置に搭載される記録ヘッドの代表的なインク吐出方式として、ピエゾ素子などの電気機械変換体を用いたもの、電気熱変換素子(ヒータ)によってインクを加熱し、膜沸騰の作用によりインク滴を吐出させるもの等が知られている。
【0004】
上記のようなインクジェット記録ヘッドを備えた記録装置は、低コストで高品位な文字や画像が出力可能である。特に、膜沸騰の作用によりインク滴を吐出させるプリンターは、低価格でカラープリントを行うことができる利点から、市場の大半を占めている。
【0005】
一般に、記録ヘッドの吐出口数は、高画質化の傾向から、64個から128個、さらには256個等に増えており、1インチ当たりの吐出口数(dpi)で、300dpi、600dpi等、高密度に配置されている。これらの吐出口に対して配置される電気熱変換素子としてのヒータは、数μsecオーダーから10μsecオーダーのヒートパルスによって膜沸騰による気泡を形成する。このような高周波の駆動により、高速で、高画質なプリントを実現している。
【0006】
インクジェット記録装置における記録ヘッドを電気的に接続する手段は、記録ヘッドを装着して往復運動させるキャリッジに設けられている。具体的には、キャリッジに複数の接点を設け、記録ヘッドがキャリッジに装着された際に、記録ヘッド側に設けられた複数の接点と接するようにする。こうして、記録ヘッドとインクジェット記録装置との電気的な接続がなされる。
【0007】
この電気的接続状態を監視する手段が設けられた記録ヘッドが特許文献1に開示されている。具体的には、記録装置から記録ヘッドへ入力される記録データ、記録データを転送するためのクロック信号、記録データに応じた記録動作をさせるための論理信号の論理積を演算するAND回路と、演算結果を出力する出力端子とを、設けた記録ヘッドである。これによって、記録ドット抜けなどの記録不良や、接点不良が起因となる記録ヘッドの故障などを防止することができる。このような接続状態を確認する手段は、特にインクタンク一体型で、インクジェット記録装置本体に着脱可能な記録ヘッドにおいて重要となる。
【特許文献1】特開平8−252909号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来技術においては、論理信号(記録データ、クロック信号、制御信号など)を入力するための端子について接点の状態が正常であることを確認後、例えば24Vの高電圧を記録ヘッドに印加していた。これにより、端子同士がショートしている場合や高電圧がかかる配線部に接続異常がある場合、たとえ論理信号を入力するための端子の接点の状態が正常であるように見えても、記録ヘッドに故障を発生させる恐れがあった。
【0009】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものである。本発明の主たる目的は、記録素子を駆動するための電圧が記録ヘッドに正常に印加されているか否かの電気的接続状態を反映する信号を出力することが可能な記録ヘッド用の素子基板を提供することである。さらに記録ヘッドが故障する前に記録装置と記録ヘッドとの電気的接続状態を反映する信号を出力することが可能な記録ヘッド用の素子基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成させるための本発明は、複数の記録素子と、該記録素子を駆動するための駆動電圧が印加される電圧印加端子と、前記駆動電圧よりも低い電圧で駆動され前記記録素子を制御する論理回路とを有する、記録装置に着脱可能な記録ヘッド用の素子基板であって、
前記電圧印加端子に印加される電圧に基づいて、前記記録ヘッドと前記記録装置との電気的接続状態を反映した信号を出力する接続状態出力回路を有することを特徴とする。
【0011】
また、上記の目的を達成させるための別の本発明は、前記素子基板を有することを特徴とする記録ヘッド、ヘッドカートリッジ、記録装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、記録素子を駆動するための電圧を印加する場合に、記録装置と記録ヘッドとの電気的接続状態を反映する信号を出力することが可能な記録ヘッド用の素子基板を提供し、安価で信頼性の高い記録ヘッドを提供することを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
なお、この明細書において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。また、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。
【0015】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0016】
さらに、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理に供され得る液体を表すものとする。インクの処理としては、例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化させることが挙げられる。
【0017】
なお、説明に用いる「素子基板」とは、シリコン半導体からなる単なる基体を指し示すものではなく、各素子や配線等が設けられた基体を示すものである。
【0018】
「素子基板上」とは、単にヒータ基板の表面上を指し示すだけでなく、素子基板の表面上、表面近傍の素子基体内部側をも示すものである。また、本発明でいう「作り込み」とは、別体の各素子を単に基体上に配置することを指し示している言葉ではなく、各素子を半導体回路の製造工程等によってヒータ基板上に一体的に形成、製造することを示すものである。
【0019】
図4から図6は、本発明が実施または適用される好適な記録ヘッドを説明するための説明図である。以下、これらの図面を参照して各構成要素について説明する。
【0020】
本実施形態の記録ヘッドは、インクタンク一体型のものである。図4の(a)および(b)に示すような、ブラックインクが内包された第1の記録ヘッドH1000と、カラーインク(シアンインク、マゼンタインク、イエローインク)が内包された第2の記録ヘッドH1001(不図示)とからなる。これら記録ヘッドH1000、H1001は、インクジェット記録装置本体に搭載されているキャリッジ上に、位置決め手段および電気的接点によって固定支持されるとともに、キャリッジに対して着脱可能となっている。充填されているインクが消費されてなくなった場合は、記録ヘッドを交換することができる。
【0021】
以下、これら記録ヘッドH1000、H1001に関して、記録ヘッドを構成しているそれぞれの構成要素を詳細に説明する。
【0022】
(記録ヘッド)
第1の記録ヘッドH1000及び第2の記録ヘッドH1001は、いずれも電気信号に応じて膜沸騰をインクに対して生じせしめるための熱エネルギを生成する電気熱変換素子を用いたバブルジェット(登録商標)方式の記録ヘッドである。また、電気熱変換素子とインク吐出口とが対向するように配置された、いわゆるサイドシュータ型の記録ヘッドである。
【0023】
以下では第1の記録ヘッドH1000と、第2の記録ヘッドH1001とは、基本的な構成は同様であるので第1の記録ヘッドH1000を中心に説明する。
【0024】
(1−1)第1の記録ヘッドH1000
図5は、第1の記録ヘッドH1000の分解斜視図である。第1の記録ヘッドH1000は、第1の記録素子基板H1100、電気配線テープH1300、インク供給保持部材H1500、フィルタH1700、インク吸収体H1600、蓋部材H1900、およびシール部材H1800から構成されている。
【0025】
(1−1−1)第1の記録素子基板H1100
図6は、第1の記録素子基板H1100の構成を説明するための図で、一部破断して示す斜視図である。第1の記録素子基板H1100は、例えば、厚さ0.5mm〜1mmのSi基板H1110に、インク流路である長溝状の貫通口のインク供給口H1102を、Siの結晶方位を利用した異方性エッチングやサンドブラストなどの方法で形成したものである。
【0026】
Si基板H1110には、インク供給口H1102を挟んでその両側に、電気熱変換素子H1103が1列ずつ並べて配置されており、さらに電気熱変換素子H1103に電力を供給するAlなどからなる不図示の電気配線が形成されている。これら電気熱変換素子H1103と電気配線は、既存の成膜技術を利用して形成することができる。各列の電気熱変換素子H1103は、互いに千鳥状になるように配列されている。すなわち、各列の吐出口の位置が、その列方向に直交する方向に並ばないように少しずれて配置されている。
【0027】
また、Si基板H1110には、電気配線に電力を供給したり、電気熱変換素子H1103を駆動するための電気信号を供給したりするための電極部H1104が、電気熱変換素子H1103の列の両端に位置する側の辺部に沿って配列されている。それぞれの電極部H1104上にはAuなどからなるバンプH1105が形成されている。
【0028】
Si基板H1110上の、配線および抵抗素子などの記憶素子のパターンが形成された面上には、電気熱変換素子H1103ごとにインク流路を備える、樹脂材料からなる構造体がフォトリソ技術によって形成されている。この構造体は、各インク流路を区切るインク流路壁H1106とその上方を覆う天井部とを有し、天井部には吐出口H1107が開口されている。吐出口H1107は、電気熱変換素子H1103のそれぞれに対向して設けられており、これにより吐出口群H1108を形成している。
【0029】
上記のように構成された第1の記録素子基板H1100では、インク供給口H1102から供給されたインクは、各電気熱変換素子H1103の発熱により発生した気泡の圧力により、各電気熱変換素子H1103に対向する吐出口H1107から吐出される。
【0030】
(1−1−2)電気配線テープH1300
電気配線テープH1300は、第1の記録素子基板H1100に対してインクを吐出するための電気信号を印加する電気信号経路を形成するものであり、ポリイミドのベース基材上に銅箔の配線パターンを形成することで構成されている。また、第1の記録素子基板H1100を組み込むための開口部H1303が形成されており、この開口部の縁付近には、第1の記録素子基板H1100の電極部H1104に接続される電極端子H1304が形成されている。さらに、電気配線テープH1300には、本体装置からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1302が形成されており、この外部信号入力端子H1302と電極端子H1304が連続した銅箔の配線パターンでつながれている。
【0031】
電気配線テープH1300と第1の記録素子基板H1100の電気的接続は、第1の記録素子基板H1100のバンプH1105と、電気配線テープH1300の電極端子H1304とが熱超音波圧着法により電気接合されることでなされている。
【0032】
(1−1−3)インク供給保持部材H1500
図5に示すように、インク供給保持部材H1500は、内部にインクを保持し負圧を発生するためのインク吸収体H1600を有することでインクタンクの機能がある。また、記録素子基板H1100にそのインクを導くためのインク流路を形成することでインク供給の機能がある。
【0033】
インク流路の上流部に位置するインク吸収体H1600からのインクが供給される部分とインク流路との境界部には、第1の記録素子基板H1100内部へのゴミの進入を防ぐためのフィルタH1700が溶着により接合されている。
【0034】
インク流路の下流部には、第1の記録素子基板H1100にブラックのインクを供給するためのインク供給口H1200が形成されている。そして、第1の記録素子基板H1100のインク供給口H1102がインク供給保持部材H1500のインク供給口H1200に連通するよう、第1の記録素子基板H1100がインク供給保持部材H1500に対しての位置が精度良く接着、固定される。
【0035】
また、第1の記録素子基板H1100の接着面周囲の平面と、電気配線テープH1300の裏面の一部とが、接着剤により接着、固定される。第1の記録素子基板H1100と電気配線テープH1300との電気接続部分は、第1の封止剤H1307および第2の封止剤H1308により封止され、これにより電気接続部分をインクによる腐食や外的衝撃から保護している。第1の封止剤H1307は、主に電気配線テープH1300の外部信号入力端子H1302と第1の記録素子基板H1100のバンプH1105との接続部の裏側と、第1の記録素子基板H1100の外周部分とを封止している。また、第2の封止剤H1308は、上述の接続部の表側を封止している。そして、電気配線テープH1300の未接着部は折り曲げられ、インク供給保持部材H1500の第1の記録素子基板H1100の接着面にほぼ垂直な側面に接着等で固定される。
【0036】
(1−1−4)蓋部材H1900
蓋部材H1900は、インク供給保持部材H1500の上部開口部に溶着されることで、インク供給保持部材H1500内部を密閉する。蓋部材H1900には、インク供給保持部材H1500内部の圧力変動を逃がすための細口H1910とそれに連通した微細溝H1920が設けられている。細口H1910と微細溝H1920のほとんどをシール部材H1800で覆い、微細溝H1920の一端部を開口することで、大気連通口H1924を形成している。また、蓋部材H1900は、第1の記録ヘッドをインクジェット記録装置に固定するための係合部H1930を有している。
【0037】
(1−2)第2の記録ヘッドH1001
第2の記録ヘッドH1001はシアン、マゼンタ、イエローの3色のインクを吐出させるためのものである。
【0038】
次に、上述した記録ヘッドのインクジェット記録装置への装着について具体的に説明する。
【0039】
図4に示したように、第1の記録ヘッドH1000は、インクジェット記録装置本体のキャリッジの装着位置に案内するための装着ガイドH1560を備えている。また、ヘッドセットレバーによりキャリッジに装着固定するための係合部H1930を備えている。さらに、キャリッジの所定の装着位置に位置決めするためのキャリッジの走査方向の突き当て部H1570、記録媒体の搬送方向の突き当て部H1580、インク吐出方向の突き当て部H1590を備えている。これら突き当て部により位置決めされることで、電気配線テープH1300上の外部信号入力端子H1302とキャリッジ内に設けられた電気接続部のコンタクトピンとの正確な電気的接触が可能となっている。なお、第2の記録ヘッドH1001も第1の記録ヘッドH1000と同様である。
【0040】
<インクジェット記録装置>
次に、上述したようなカートリッジタイプの記録ヘッドを搭載可能な液体吐出記録装置について説明する。図7は、本発明のインクジェット記録ヘッドを搭載可能な記録装置の一例を示す説明図である。
【0041】
図7を参照すると、この記録装置は、図4に示した第1の記録ヘッドH1000、および第2の記録ヘッドH1001(不図示)が、位置決めされて、交換可能に搭載されるキャリッジ102を有する。キャリッジ102には、記録ヘッドH1000およびH1001上の論理信号入力端子や駆動電圧を印加するための端子を介して各吐出部に論理信号や駆動電圧等を伝達するための電気接続部が設けられている。
【0042】
キャリッジ102は、走査方向に延在して装置本体に設置されたガイドシャフト103に沿って往復移動可能に支持されている。そして、キャリッジ102は、走査モータ104によりモータプーリ105、従動プーリ106およびタイミングベルト107等の駆動機構を介して駆動されるとともに、その位置および移動が制御される。また、キャリッジ102にはホームポジションセンサ130が設けられている。キャリッジ102上のホームポジションセンサ130が遮蔽板136の位置を通過した際に、ホームポジションとなる位置が検出される。
【0043】
記録用紙やプラスチック薄板等の記録媒体108は、給紙モータ135がギアを介してピックアップローラ131を回転させることにより、記録媒体108がオートシートフィーダ(ASF)132から一枚ずつ分離され、給紙される。さらに、記録媒体108は、搬送ローラ109の回転により、記録ヘッドH1000及びH1001の吐出口面と対向する位置(プリント部)を通って搬送される。LFモータ134による駆動は、ギアを介して搬送ローラ109に伝達される。給紙されたかどうかの判定と給紙時の頭出し位置の確定は、記録媒体108がペーパエンドセンサ133を通過した時点で行われる。このペーパエンドセンサ133は、記録媒体108の後端が実際にどこに有り、実際の後端から現在の記録位置を最終的に割り出すためにも使用される。
【0044】
なお、記録媒体108は、プリント部において平坦なプリント面を形成するように、その裏面がプラテン(不図示)により支持される。この場合、キャリッジ102に搭載された記録ヘッドH1000及びH1001は、それらの吐出口面がキャリッジ102から下方へ突出して2組の搬送ローラ対の間で記録媒体108と平行になるように保持されている。
【0045】
記録ヘッドH1000及びH1001は、各吐出部における吐出口の並び方向がキャリッジ102の走査方向に対して交差する方向になるようにキャリッジ102に搭載され、これらの吐出口列から液体を吐出して記録を行う。
【0046】
また、記録ヘッドH1001と同じ構成で、内部のインクがライトマゼンタ、ライトシアン、ブラックで構成された記録ヘッドを記録ヘッドH1000と交換して使うことで高画質フォトプリンタとして使用することも可能である。
【0047】
<制御構成>
次に、上述したインクジェット記録装置の記録制御を実行するための制御構成について説明する。
【0048】
図8はインクジェット記録装置の制御回路の構成を示すブロック図である。
【0049】
図8において、1700は記録信号を入力するインタフェース、1701はMPU、1702はMPU1701が実行する制御プログラムを格納するROMである。また、1703は各種データ(上記記録信号や記録ヘッドH1000及びH1001に供給される記録データ等)を保存しておくDRAMである。1704は記録ヘッドH1000及びH1001に対する記録データの供給制御を行うゲートアレイ(G.A.)であり、インタフェース1700、MPU1701、RAM1703間のデータ転送制御も行う。1710は記録ヘッドH1000及びH1001を搬送するためのキャリアモータ、134は記録媒体搬送のためのLFモータである。1705は記録ヘッドH1000及びH1001を駆動するヘッドドライバ、1706は、LFモータ134を駆動するためのモータドライバ、1707は、キャリアモータ1710を駆動するためのモータドライバである。また、1708は、電気的接続が正常でない場合にこれを通知するために点灯する等の目的で備えられるLEDである。
【0050】
上記制御構成の動作を説明すると、インタフェース1700に記録信号が入るとゲートアレイ1704とMPU1701との間で記録信号がプリント用の記録データに変換される。そして、モータドライバ1706、モータドライバ1707が駆動されると共に、ヘッドドライバ1705に送られた記録データに従って記録ヘッドH1000及びH1001が駆動され、記録が行われる。
【実施例】
【0051】
図1は本発明の実施例における記録ヘッドH1001の回路構成を示す図である。なお、第1の記録素子基板H1100は、Si基板H1110の上に半導体素子と配線とを半導体プロセスで形成している。本実施例における記録ヘッドH1001には、インク供給口H1102に対して、一列あたりn個のノズルが備えられている。このノズル1つ1つに対応して、ノズル中のインクを加熱する記録素子としての電気熱変換素子H1103と、電気熱変換素子H1103を駆動する駆動素子ブロックH1116とが設けられている。駆動素子ブロックH1116は、電気熱変換素子H1103を駆動するための駆動素子としてのパワーMOSトランジスタ等のドライバ部H1127を有する。さらに、ドライバの能力を向上させるためにドライバのゲート電圧を論理回路の電圧(通常3.3V)よりも高くするための昇圧回路部H1128を有する。昇圧回路部H1128に入力する電圧は、電気熱変換素子H1103を駆動するための駆動電圧(VH、例えば24V)と同一である。また、駆動素子としてのパワーMOSトランジスタ等を駆動するため、インクジェット記録装置本体よりVHT端子H1125に供給する。そして、昇圧回路部H1128の耐圧等の理由より、素子基板内部に抵抗を設け分圧させることやバッファを設けること等により降圧している(14V程度)。
【0052】
この電気熱変換素子と駆動素子とインク吐出ノズルをあわせて記録要素と呼ぶ。
【0053】
また、記録ヘッドH1001は、記録装置本体との電気的接点として、記録データ(DATA)を入力する記録データ入力端子H1121と、記録データと同期しこれを入力するためのクロック(CLK)を入力するクロック信号入力端子H1120とを設ける。さらに、ラッチ回路H1117にラッチ信号(LT)を入力するラッチ信号入力端子H1123と、電気熱変換素子H1103を駆動する駆動素子H1116をイネーブル状態にするヒート信号(HE)を入力するヒート信号入力端子H1122とを設ける。また、図1の記録ヘッドH1001はn個の記録要素を複数のブロックに分割して駆動する分割駆動を採用している。
【0054】
このような記録ヘッドH1001の駆動は以下のような手順でなされる。
【0055】
記録データ入力端子H1121より記録データをクロック信号入力端子H1120から入力されるクロックに同期して入力し、記録データを順次シフトレジスタH1118に保持する。このようにして所定ビットの記録データがシフトレジスタH1118に保持されると、ラッチ信号入力端子H1123にラッチ信号を入力する。そして、シフトレジスタH1118の次段にあるラッチ回路H1117がラッチ信号の入力に従って記録データをラッチする。そして、AND回路H1119で、ヒート信号入力端子H1122に入力されるヒート信号と、ラッチ回路H1117より出力される記録データとの論理積が演算される。また、n個の電気熱変換素子H1103を分割して駆動するためのブロック選択信号(BLE)がデコーダ(不図示)から出力される。さらに、AND回路H1112で、前記ブロック選択信号と、AND回路H1119から出力された信号との論理積が演算される。こうして、AND回路H1112から出力された信号によって選択された記録要素に該当するノズルからインクが吐出し、記録が行われる。
【0056】
次に記録ヘッドH1001とインクジェット記録装置との電気的接続状態を確認するための手順について説明する。なお、本明細書における電気的接続状態が正常とは、記録ヘッドと記録装置とのコンタクト部における接触がなされており、かつ、接続端子、配線等でショートが生じていない状態を言う。
【0057】
記録ヘッドH1001は、図7に示す記録装置本体のキャリッジ102に装着される。キャリッジ102と記録ヘッドH1001との間には、互いの電気的接点の接続をするためのコンタクト部(不図示)が設けられている。従って、記録ヘッドH1001をキャリッジ102に装着すると、記録ヘッドH1001に設けられ、種々の電気信号を授受する電極部H1104に接触し、電気的な接続がなされる。この記録ヘッドH1001は、記録装置本体との電気的接続状態を確認する手段として、本発明の特徴部分である接続状態出力回路H1129と、この回路の演算結果を記録装置本体に出力する接続状態出力端子H1126(CNO)を設けている。なお、接続状態出力回路H1129からは、電気的接続状態を反映した論理信号(例えば3.3V程度の低電圧の信号)が出力される。
【0058】
なお、図1中のH1124は、電気熱変換素子H1103のグランド配線端子であり、H1113は、グランド配線端子H1124からの配線を示す。
【0059】
<接続状態出力回路>
図3(a)に、本発明の接続状態出力回路H1129の一例を示す。接続状態出力回路H1129は、第1のAND回路であるAND回路H1129cを有する。これは、LT,HE,CLK,DATAからなる複数入力される各論理信号と、VHT端子H1125から印加され、抵抗分圧部H1129aによって降圧され、インバータH1129bから出力される電圧との、論理積を演算する。なお、VHT端子H1125は、パワーMOSトランジスタ等を駆動するための駆動電圧が印加される第1の電圧印加端子である。また、第2のAND回路であるAND回路H1129eを有する。これは、VHT端子H1125から印加され前記抵抗分圧部H1129aで降圧した電圧と、VH端子H1130から印加され抵抗分圧部H1129dで降圧されインバータH1129g及びインバータH1129hを介して出力される電圧との論理積を演算する。なお、VH端子H1130は、電気熱変換素子を駆動するための駆動電圧が印加される第2の電圧印加端子である。また、ここでは、インバータH1129g、インバータH1129h及びインバータH1129bを、それぞれ、第1のインバータ、第2のインバータ及び第3のインバータであるとする。さらに、AND回路H1129cからの出力と、AND回路H1129eからの出力との、論理和を演算するOR回路H1129fを有する。
【0060】
インバータH1129b、H1129gは、入力がLowからHigh(出力がHighからLow)となる閾値の電圧が1.0Vから1.5V程度と低く、反転しやすいように構成されている。これは、接続状態出力回路に入力されるVHT端子及びVH端子からの電圧が、接続状態出力回路のAND回路を駆動する電圧(3.3V)に対してやや高い電圧(例えば4〜7V)になった際に、CNOからの出力信号が変化するようにセットするためである。また、VHT端子及びVH端子からの電圧が最終的な到達電圧(例えば24V)に到達した際に、接続状態出力回路のAND回路が耐えられる電圧(例えば7V以下)に収めるため、特定のインバータ(H1129b、H1129g)のみ閾値を下げるようにした。なお、閾値の変更は、インバータのNMOS、PMOSトランジスタのゲート幅、ゲート長を変える等により実現した。
【0061】
<接続状態確認の手順>
図3(b)は、記録ヘッドH1001と記録装置本体との接続状態を確認する場合に、記録装置から記録ヘッドへ入力される各信号と、接続状態出力端子H1126より出力される出力信号(CNO信号)を示すタイミング図である。
【0062】
T1〜T4では、LT,HE,CLK,DATAの各信号の入力端子が正しく接続されているかを確認している。T1〜T4の時点では、VHT端子から入力される電圧は、まだ入力されていない(VHT端子から入力される電圧が0Vの時は、インバータH1129bからの出力はHighとなっており、AND回路H1129cは動作可能)。
【0063】
まず、前記各信号の入力端子を一度すべてHighの状態として、CNOからの出力信号もHighの状態が出力されているとする。ただし、この時点でCNO出力がHighとならない場合はLT,HE,CLK,DATAのいずれかの端子の接続がすでに正常に行われていないということになる。ここで、時間帯T1に、記録装置本体からLT信号の入力端子のみLow信号を入力して、CNOからの出力信号がLT信号に同期してLowになれば正しく接続されていることになる。記録装置本体はCNOからの出力信号を確認することで、LT信号の入力端子の接続状態を判断する。
【0064】
同様にしてT2〜T4において各信号の入力端子が接続されているかどうかの確認を個別に行う。
【0065】
T1〜T4におけるCNOからの出力信号から、各信号の入力端子が正しく接続されていると記録装置が確認した後、接続状態出力回路を用いて、高電圧が印加される端子の接続確認を行う。この接続確認のポイントは高電圧を印加する電圧印加端子が接続されておらずオープン状態となっている場合だけでなく、なんらかの異常で他の端子とショートしている場合についても接続状態が正常か否かを確認できることにある。ここで、高電圧を印加する電圧印加端子とは、VHT端子、VH端子を表し、他の端子とは、低耐圧の論理信号用端子等を表す。まずは、駆動素子を駆動させるためのVHT端子から入力される電圧の印加を開始する。VHT端子及びVH端子から入力される電圧の立ち上がりは、論理回路の電圧変化スピード(nsecオーダー)に対して比較的ゆっくりとした立ち上がり(msecオーダー)である。これは、記録素子に安定した電圧を印加するために記録装置のキャリッジ102等に設けられた不図示のコンデンサへ充電するためである。仮に、VHT端子及びVH端子から入力される電圧が急峻に高電圧(24V)に到達するとすると、接続状態を確認した時点でショート等が発生していた場合は、すでに記録ヘッドや記録装置にダメージを加えてしまっている可能性がある。しかしながら、本実施例の装置では、前述したように比較的ゆっくりとした立ち上がりであることから、ショート等が発生していた場合でも記録ヘッドや記録装置に加えるダメージが少ない、比較的低い電圧でVHT端子及びVH端子の接続状態を確認する。このため、接続状態を確認した時点で異常が確認できれば、すぐに電源を落とすことでダメージから守ることが可能となる。ここで、VHT端子及びVH端子の接続状態の確認は、比較的低い電圧での確認が望ましい。しかし、これらの端子が各論理信号の入力端子等とショートしている場合、前記論理信号と同じ電圧では電位差が発生しないことにより確認が十分にできないケースが発生する。そこで本実施例では、各論理信号の電圧よりも一定の値だけ高い電圧が、VHT端子及びVH端子に入力された際に接続が正しくされていると判断することが可能な構成を採用した。具体的には、VHT端子及びVH端子から入力される電圧が、記録ヘッド用の素子基板における論理回路を駆動する電圧(例えば、3.3V)よりも高く、論理回路の一般的な耐圧(例えば、7〜8V)よりも低い電圧にて接続状態の確認ができるようにしている。詳しくは、VHT端子又はVH端子に正常に電圧が印加され始めた場合に、印加された電圧が例えば5Vに達する時に装置本体が接続状態の確認を行うように設定した。さらに、VHT端子又はVH端子から入力される電圧が記録素子を駆動する為に必要な最終的な高電圧(例えば24V)に到達した際、これら端子の接続状態を確認するための論理回路に分圧されて入力される電圧はその耐圧より低くなるよう分圧抵抗を決定した。
【0066】
ここで具体的にVHT端子及びVH端子の分圧抵抗について説明する。本実施例では、論理回路の電圧が3.3V、論理回路の耐圧が7V、記録素子を駆動する電圧を24Vとした。また、VHT端子及びVH端子に印加された電圧が接続状態出力回路に印加される時に1/4に降下するように分圧抵抗を設定した。
【0067】
1/4に降下させることでVHT端子及びVH端子に24Vの電圧が印加された時には6Vの電圧が接続状態確認用の論理回路に入力されることになるが、論理回路の耐圧である7Vを下回っており故障に至ることはない。以上の設定により、VHT端子又はVH端子に印加された電圧が5Vに達した時は、分圧抵抗により降圧された電圧は1.25Vとなる。そこで、接続状態出力回路におけるインバータH1129b及びH1129gの閾値を1.25Vに設定することで、正常な接続状態時は記録装置からヘッドカートリッジに5Vの電圧が印加されたタイミングで接続状態出力回路からの出力が変化する。このことで接続状態を判断できる。仮に、接続不良によりオープン状態になっている場合は記録装置側が出力した電圧が5Vに到達しても接続状態出力回路におけるインバータH1129b又はH1129gには電圧が印加されないため接続状態の異常を判断できる。さらにVHT端子又はVH端子がオープン状態で、そのオープン状態の端子といずれかの論理信号の入力端子がショートしている場合、インバータH1129b又はH1129gには3.3Vの1/4である0.825Vが印加される。この場合、インバータH1129b又はH1129gの閾値を1.25Vに設定しているため信号は反転されず、接続状態の異常を判断できる。また、オープン状態ではなくなんらかの異常で他の端子とショートしている場合においても、リーク電流が流れることにより電圧が5Vに到達しないこと、到達するタイミングが遅れること等により接続状態確認用の論理回路に閾値を超える電圧が印加されない。これらの理由により記録装置側にて接続状態の異常が判断できる。(接続確認の際にVH端子及びVHT端子に流せる電流を制限することができれば、ショート発生時と正常時とで、より電圧差が発生しやすいため望ましい)
図3(b)に、各論理信号の入力端子、VHT端子、VH端子の全ての接続がOKの場合、VHT端子の接続がNGの場合、VH端子の接続がNGの場合の3通りについてのタイミングを示した。ここで、各端子への入力の順番は、各論理信号の入力端子、VHT端子、VH端子の順番が望ましい。これは、まず論理信号(例えば3.3Vの低電圧)入力端子の接続を確認し、その後に記録素子を制御・駆動するために前記論理信号を昇圧したVHT電圧を入力することで記録素子が想定外に駆動されないようにするためである。また、その後に記録素子にエネルギーを供給するためのVH電圧を印加することで誤動作を防止できるためである。
【0068】
本実施例においては、VHT端子の接続,VH端子の接続の両方について記載したが、記録装置とヘッドカートリッジの電気的接点の位置関係によってはどちらか一方の確認だけでもヘッドカートリッジの装着時のダメージ防止には十分効果がある。このような位置関係として、例えば、ヘッドカートリッジの端子位置と記録装置の端子位置との関係から、ヘッドカートリッジの装着時に、どちらか一方の端子の接続状態が正常であれば他方の端子の接続も比較的確実に正常となる場合がある。また、記録素子を駆動するための電圧を入力するためのVHT端子がオープン状態となった場合、電気熱変換素子の駆動が不安定となり、電気熱変換素子の故障に繋がることからVHT端子のみの確認だけでもヘッドカートリッジ故障防止の効果がある。
【0069】
また、本実施例で示した論理は一例であり、論理信号入力端子及び電気熱変換素子を駆動するための電源端子や駆動素子を駆動するための電源端子まで含めた接続状態確認手段を有するものは本発明の範疇である。
【0070】
図2に本発明を採用した記録ヘッド用基板、記録ヘッド、記録装置において記録ヘッドの装着から記録完了までのフローを示した。
【0071】
ステップS10で記録ヘッドを記録装置のキャリッジに装着する。次に、ステップS20で記録装置の電源を入れる。次に、ステップS30で記録ヘッドが正常に接続されているかのチェックする。具体的には、ステップS40において記録ヘッドの各入力端子と記録装置との電気的接続が正常か異常かを確認する。電気的接続が正常でない場合は、ステップS50により記録ヘッドへの電圧印加を中止し、ステップS60により電気的接続が正常でないことの警告を行う。なお、この警告は、記録装置の利用者への電気的接続が正常でないことの通知であり、記録装置に設けられたLEDを点灯させることや、ホスト装置でのメッセージ表示等により行われる。電気的接続が正常である場合は、ステップS70により記録動作を開始し、所望の記録が行われた後、ステップS80により記録を終了する。
【0072】
また、本発明に係る記録装置の形態として、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体または別体に設けられるものの他、リーダ等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を取るものであっても良い。
【0073】
また、上記実施例はインクジェット記録ヘッド用の素子基板を例に説明したが、熱転写方式の記録ヘッド用、昇華型の記録ヘッド用等の素子基板に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明のインクジェット記録ヘッド用の素子基板の回路構成を示す図である。
【図2】本発明のインクジェット記録装置において接続状態を確認するフローを示す図である。
【図3】本発明の特徴である接続確認回路及び背と続状態を確認するタイミングを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態である第1の記録ヘッドを説明するための斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態である第1の記録ヘッドの分解斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態である第1の記録ヘッドを構成する第1の素子基板の一部を破断して示す斜視図である。
【図7】本発明のインクジェット記録装置の一例を示す模式図である。
【図8】本発明のインクジェット記録装置の制御構成を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
H1000 第1の記録ヘッド
H1001 第2の記録ヘッド
H1100 第1のインクジェット記録基板
H1103 電気熱変換素子
H1125 VHT端子
H1126 接続状態出力端子(CNO)
H1129 接続状態出力回路
H1130 VH端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記録素子と、該記録素子を駆動するための駆動電圧が印加される電圧印加端子と、前記駆動電圧よりも低い電圧で駆動され前記記録素子を制御する論理回路とを有する、記録装置に着脱可能な記録ヘッド用の素子基板であって、
前記電圧印加端子に印加される電圧に基づいて、前記記録ヘッドと前記記録装置との電気的接続状態を反映した信号を出力する接続状態出力回路を有することを特徴とする素子基板。
【請求項2】
前記電圧印加端子は、前記記録素子を駆動する駆動素子を駆動するための電圧が印加される第1の電圧印加端子と、前記記録素子を駆動するための電圧が印加される第2の電圧印加端子のうち少なくとも一方の電圧印加端子であることを特徴とする請求項1に記載の素子基板。
【請求項3】
前記接続状態出力回路は論理信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の素子基板。
【請求項4】
前記接続状態出力回路は、前記電圧印加端子に印加された電圧を分圧する分圧手段を有し、該分圧手段により分圧された電圧に基づいて、前記記録ヘッドと前記記録装置との電気的接続状態を反映した信号を出力することを特徴とする請求項2または3に記載の素子基板。
【請求項5】
前記接続状態出力回路は、
前記分圧手段により分圧された電圧が閾値を超える場合に該電圧を反転させる第1のインバータと、
前記第1のインバータからの出力信号を反転させる第2のインバータと、
前記論理回路に与えられる論理信号を複数入力して演算する論理積の演算結果を出力する第1のAND回路と、
を有することを特徴とする請求項4に記載の素子基板。
【請求項6】
前記接続状態出力回路は、
前記電気的接続状態を反映した信号として、前記第2のインバータからの出力信号と、前記第1のAND回路からの出力信号とに基づいた信号を出力することを特徴とする請求項5に記載の素子基板。
【請求項7】
前記素子基板が、前記論理回路に与えられる論理信号を入力する信号入力端子をさらに有し、
前記接続状態出力回路は、前記論理回路に与えられる論理信号に基づいて、前記記録ヘッドと前記記録装置との電気的接続状態を反映した信号を出力することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の素子基板。
【請求項8】
前記接続状態出力回路から出力された信号を前記記録装置に出力するための出力端子をさらに有し、
前記接続状態出力回路は、
前記分圧手段により分圧された電圧が閾値を超える場合に論理を反転させる第3のインバータと、
前記分圧手段により分圧された前記第2の電圧印加端子からの電圧が前記第1のインバータに入力され、前記第1のインバータからの出力信号が前記第2のインバータに入力され、前記分圧された第1の電圧印加端子からの出力信号と、前記第2のインバータから出力される信号との論理積の演算結果を出力する第2のAND回路と、
前記分圧手段により分圧された前記第1の電圧印加端子からの電圧が前記第3のインバータに入力され、前記第3のインバータからの出力信号と前記論理回路に与えられる論理信号との論理積の演算結果を出力する前記第1のAND回路からの出力信号と、前記第2のAND回路からの出力信号と、の論理和の演算結果を出力するOR回路と、
を有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の素子基板。
【請求項9】
インクジェット記録ヘッド用であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の素子基板。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項の素子基板を有することを特徴とする記録ヘッド。
【請求項11】
請求項10の記録ヘッドと、インクを内包したインクタンクとを有することを特徴とするヘッドカートリッジ。
【請求項12】
請求項10に記載の記録ヘッドまたは請求項11に記載のヘッドカートリッジを用いる記録装置であって、
前記記録ヘッドへ前記電圧印加端子から電圧を印加した場合に前記接続状態出力回路から出力された信号を入力する入力手段と、
前記入力手段に入力された信号から、電気的接続を判断する判断手段と、
前記判断手段により前記電気的接続状態が異常であると判断された場合には、記録装置から印加された電圧が前記論理回路の耐圧を超える前に前記記録ヘッドへの電圧の印加を中止するよう制御する制御手段と、
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項13】
前記判断手段により前記電気的接続が異常であると判断された場合には、前記電気的接続が異常であると通知する通知手段を有することを特徴とする請求項12に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−162272(P2008−162272A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312662(P2007−312662)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】