素子基板、記録ヘッド及び記録装置
【課題】検知素子を配置する際の駆動素子を含めた構造、機能及び性能へ与える影響を抑制できるようにした技術を提供する。
【解決手段】素子基板は、それぞれが第1端子および第2端子を有し、互いに並列に配置された第1抵抗素子および第2抵抗素子と、前記第1抵抗素子が通電され、かつ、前記第2抵抗素子が通電されていない状態において、前記第1抵抗素子の第1端子の電圧と、前記第2抵抗素子の第1端子の電圧を検出する検出手段と、を含み、前記第1抵抗素子及び第2抵抗素子の第1端子は、これらに電流を流す第1ラインに選択的に接続され、前記第1抵抗素子及び第2抵抗素子の第2端子は、これらに電流を流す第2ラインに共通に接続されている。
【解決手段】素子基板は、それぞれが第1端子および第2端子を有し、互いに並列に配置された第1抵抗素子および第2抵抗素子と、前記第1抵抗素子が通電され、かつ、前記第2抵抗素子が通電されていない状態において、前記第1抵抗素子の第1端子の電圧と、前記第2抵抗素子の第1端子の電圧を検出する検出手段と、を含み、前記第1抵抗素子及び第2抵抗素子の第1端子は、これらに電流を流す第1ラインに選択的に接続され、前記第1抵抗素子及び第2抵抗素子の第2端子は、これらに電流を流す第2ラインに共通に接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子基板、記録ヘッド及び記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱、機械的、磁気又は光(電磁波)エネルギーを発生する駆動素子を複数備えた素子基板(駆動ヘッド)が知られている。素子基板においては、駆動によって生じた現象を直接的又は間接的に検査して駆動制御にフィードバックすることが必要とされる場合がある。
【0003】
ここで、一例として、このような素子基板が、インクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドと呼ぶ)に適用された場合について考えてみる。記録ヘッドにおいては、異物によるノズルの目詰まり、インク供給経路内に混入した気泡やノズル表面の濡れ性の変化等により、全体又は一部のノズルで吐出不良が発生する場合がある。このような場合、駆動によって生じた現象として吐出不良の発生したノズルを特定し、画像補完や記録ヘッドの回復作業に反映させる必要がある。
【0004】
このような技術を実現するため、特許文献1には、電気熱変換する記録素子の各々に絶縁膜を介して薄膜抵抗体で形成される温度検知素子を設け、ノズル毎の温度情報を検出し、その温度変化に基づいて吐出不良のノズルを検査する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−023987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
検知素子とそれに付帯する回路とを各々の駆動素子近傍に設ける場合、駆動素子を含めた構造、機能及び性能に影響を与えないようにする必要がある。また、その配置場所には制約もある。例えば、特許文献1に記載された記録ヘッドに温度検知回路を設ける場合には、記録素子とその配線、インク供給路及びノズル構造を変えないようにする必要がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、検知素子を配置する際の駆動素子を含めた構造、機能及び性能へ与える影響を抑制できるようにした技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの側面は素子基板にかかり、前記素子基板は、それぞれが第1端子および第2端子を有し、互いに並列に配置された第1抵抗素子および第2抵抗素子と、前記第1抵抗素子が通電され、かつ、前記第2抵抗素子が通電されていない状態において、前記第1抵抗素子の第1端子の電圧と、前記第2抵抗素子の第1端子の電圧を検出する検出手段と、を含み、前記第1抵抗素子及び第2抵抗素子の第1端子は、これらに電流を流す第1ラインに選択的に接続され、前記第1抵抗素子及び第2抵抗素子の第2端子は、これらに電流を流す第2ラインに共通に接続されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検知素子を配置する際の駆動素子を含めた構造、機能及び性能へ与える影響を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】素子基板101を配して構成した装置の一例を示す図。
【図2】図1に示す素子基板101の結線図。
【図3】各種信号のタイミングの一例を示す図。
【図4】記録装置10の制御系の構成の一例を示す図。
【図5】実施形態2に係わる記録ヘッドの構成の一例を示す図。
【図6】実施形態2に係わる記録ヘッドの構成の一例を示す図。
【図7】実施形態2に係わる記録素子基板の結線図。
【図8】実施形態3に係わる記録ヘッドの構成の一例を示す図。
【図9】従来構成の一例を示す図。
【図10】実施形態3に係わる記録素子基板の結線図。
【図11】実施形態3に係わる記録素子基板の構成の一例を示す図。
【図12】実施形態4に係わる記録素子基板の結線図。
【図13】実施形態5に係わる記録素子基板の結線図。
【図14】実施形態6に係わる記録素子基板の結線図。
【図15】実施形態7に係わる記録ヘッドの構成の一例を示す図。
【図16】実施形態7に係わる記録素子基板の結線図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。更に人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かも問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン、構造物等を形成する、又は媒体の加工を行なう場合も表す。
【0012】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、樹脂、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表す。
【0013】
更に、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきものである。従って、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成又は記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば、記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表す。
【0014】
また更に、「記録素子」(「ノズル」という場合もある)とは、特に断らない限りインク吐出口乃至これに連通する液路及びインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括していうものとする。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係わる素子基板101を配して構成した装置の一例を示す図である。
【0016】
ここで、コントローラ80は、素子基板(検知回路)101に対して各種信号を送信し、素子基板101の動作を統括制御する。コントローラ80から素子基板101に対して送られる信号としては、例えば、イネーブル信号(EN)、ラッチ信号(LT)、シリアルデータ信号(D_D、D_S)、クロック信号(CLK_D、CLK_S)等が挙げられる。
【0017】
ここで、図2を用いて、図1に示す素子基板101の構成の一例について説明する。ここでは、4セグメント分の駆動素子と検知素子とを配した構成を例に挙げて説明する。なお、検知素子は、例えば、上述した特許文献1のように、測温抵抗体を用いた温度検知回路、サーミスタを用いた温度検知回路、熱電対を用いた温度検知回路、Cds(光電効果)を用いた光検知回路などに適用される。検知素子は、上記例示に限られず、2端子素子であり、非選択時に定電流源で生成された定電流が導通された(通電された)としても、直流電圧を通す(すなわち、電圧降下を生じない)構成であれば何でも良い。
【0018】
素子基板101には、複数の検知素子(第1抵抗素子、第2抵抗素子などの抵抗素子)が設けられている。複数の検知素子は、複数の駆動素子(第1駆動素子、第2駆動素子など)それぞれの近傍に対応して設けられている。ここで、Seg1の駆動素子115の一方の端子は、駆動素子115へ駆動電圧を供給するVDの配線(第1ライン)に(並列に)共通接続され、他方の端子は、駆動スイッチ116に接続されている。駆動スイッチ116の他方の端子は、VDのリターン(回収)先となるGND配線(第2ライン)に接続されている。
【0019】
駆動スイッチ116は、駆動素子選択回路117に接続されており、当該回路117からの選択信号(検知素子の選択を指示する信号)D1に従ってオン/オフ制御される。Seg2〜Seg4の駆動素子115においても、上述したSeg1と同様の構成が設けられている。
【0020】
Seg1の検知素子102は、一方の端子(第1の端子/第1端子)が定電流源から供給される定電流ISの配線(定電流共通配線)に共通接続されている。他方の端子(第2の端子/第2端子:抵抗体を介して第1の端子の反対側に設けられる端子)は、選択スイッチ103及び第2の読出スイッチ104に接続されている。選択スイッチ103は、検知素子102を選択し、検知素子102(の抵抗体)に定電流源からの電流を選択的に導通させて検知動作を行なわせる選択ユニットとしての役割を果たす。第2の読出スイッチ104は、端子電圧を読み出し、第2の共通配線112に入力する役割を果たす。第2の読出スイッチ104の他方の端子は、第2の共通配線112に接続され、選択スイッチ103の他方の端子は、定電流ISのリターン先となるVSSの配線に接続されている。すなわち、選択スイッチ103のオン/オフにより検知素子(の抵抗体)へ定電流ISが導通されることになる。なお、定電流源(定電流を生成する生成手段)は、例えば、記録ヘッド制御部25に設けられている。
【0021】
検知素子102の端子のうち定電流ISの配線に接続された端子は、定電流ISの配線及びSeg2の検知素子106を介して第1の読出スイッチ105に接続されている。第1の読出スイッチ105の他方の端子は、第1の共通配線111に接続されている。第1の読出スイッチ105は、端子電圧を読み出し、第1の共通配線111に入力する役割を果たす。
【0022】
Seg2〜Seg4の検知素子においても、上述したSeg1と同様に結線されており、検知素子の端子のうち、定電流ISの配線で共通接続されている端子は、隣接する検知素子を介して第1の読出スイッチ105に接続されている。なお、Seg4は、回路端部に設けられているため、定電流ISの配線がそのまま第1の読出スイッチ110に接続されている。これらSeg1〜Seg4の選択スイッチ及び読出スイッチは、検知素子選択回路114の選択信号S1〜S4に従ってオン/オフ制御される。
【0023】
差動増幅器113には、選択された検知素子の端子電圧となるV1信号及びV2信号が共通配線111及び112を介して入力される。差動増幅器113は、V1信号及びV2信号(2つの端子電圧)を受けて、その電圧差に従った差動信号VSを発生する。この差動信号VSが検知素子の端子間電圧を示す検知情報となる。なお、差動増幅器113は、検知素子へ供給される電流が読出スイッチと共通配線111及び112との経路に流れ込まないように十分に高い入力抵抗としている。つまり、差動増幅器113のV1、V2信号の入力部は、ハイインピーダンスに設定されている。
【0024】
駆動素子選択回路117は、4ビットシフトレジスタと2ラインデコーダとを含んで構成されており、2x2時分割駆動する。駆動素子選択回路117は、駆動素子をオン/オフする行データとブロックを指定する列データとを受けて選択信号D1〜D4を発生する。一方、検知素子選択回路114は、4ビットシフトレジスタを含んで構成され、シフトクロックとスタートパルスとを受けて選択信号S1〜S4を発生する。
【0025】
ここで、上述した素子基板101における動作について説明する。ここでは、Seg1の検知素子102が選択される場合を例に挙げて説明する。
【0026】
まず、検知素子選択回路114からの選択信号S1に従って選択スイッチ103及び読出スイッチ(104、105)がオンする。Seg1の検知素子102には、選択スイッチ103がオンされることにより定電流ISが供給される。このとき、選択スイッチ107はオフされている。Seg2の検知素子106には、定電流ISは供給されていない。これにより、Seg1の検知素子102は、選択状態となり、検知量に応じた端子電圧を発生する。
【0027】
検知素子102の選択スイッチ103側の端子電圧V2信号は、第2の読出スイッチ104を介して差動増幅器113に入力される。また、検知素子102の定電流ISの配線側の端子電圧V1信号(厳密には、Seg2の検知素子106の定電流ISの配線側の端子電圧)は、Seg2の検知素子106及び第1の読出スイッチ105を介して差動増幅器113に入力される。選択スイッチ103がオンされることにより、定電流ISがISの端子→a→b→c→VSSの端子と流れた状態である。一方、選択スイッチ107がオフされることにより、ad間やde間には電流は流れていない状態である。それゆえ、位置aの電圧は、位置dの電圧や位置eの電圧と等しい。従って、位置eの電圧が読出スイッチ105を介してV1信号として差動増幅器113に入力されることは、位置aの電圧をV1信号として差動増幅器113に入力されることと等しい。なお、位置bの電圧が読出スイッチ104を介してV2信号として差動増幅器113に入力される。
【0028】
差動増幅器113は、V1信号及びV2信号を受けて検知素子102の端子間電圧となる差動信号VSを出力する。以下、Seg2〜Seg4においても、同様の動作で検知素子が順次選択されて各セグメントの温度情報が読み出される。
【0029】
次に、図3(a)を用いて、コントローラ80から駆動素子選択回路117へ供給される各種信号と、駆動素子選択回路117から出力される各種信号とについて説明する。ここでは、Seg1の駆動素子115に対応する選択信号D1を選択した場合について例を挙げて説明する。
【0030】
コントローラ80においては、転送クロック信号CLK_Dに同期して、2bitの行データD0及びD1と、ブロックデータB0及びB1とをシリアルデータ信号D_Dに含めて素子基板101側に転送する。素子基板101においては、コントローラ80からラッチ信号LTが転送されてきたタイミングでシリアルデータ信号をラッチに保持する。その直後に、コントローラ80は、イネーブル信号ENを素子基板101側に転送する。これにより、駆動素子115へ印加パルスが供給される。
【0031】
次に、図3(b)を用いて、こうしたデータ転送タイミングのもと、駆動素子を1つずつ順次選択するとともに、それに同期して検知素子を選択するタイミングについて説明する。
【0032】
まず、コントローラ80は、タイミングt1において、シフトクロック信号CLK_Sにシフトクロックと、シリアルデータ信号D_Sにスタートパルスとを与える。これにより、検知素子選択回路114から出力される選択信号S1をオンする。その結果、Seg1の検知素子102が選択状態になる。
【0033】
タイミングt2において、駆動素子選択回路117は、選択信号D1をオンし、Seg1の駆動素子115を駆動させる。検知素子102は、駆動オン/オフの前後に渡る選択期間で端子電圧V1信号及びV2信号を出力する。これにより、差動増幅器113から差動信号VSが出力される。
【0034】
タイミングt3においては、上記同様にして、Seg2の検知素子106が選択される。そして、タイミングt4において、Seg2の駆動素子が駆動する。これにより、Seg2の検知情報が出力される。以下同様に、Seg3及びSeg4が順次選択され、全セグメントの検知情報が読み出される。
【0035】
なお、ここでのV1信号及びV2信号の波形は、駆動素子を発熱体とし、検知素子を温度検知素子とした場合の波形の一例を示している。この波形は、あくまでも一例であり、駆動素子や検知素子に応じて変化する。
【0036】
以上説明したように実施形態1によれば、検知素子において、定電流ISの配線で共通接続されている端子は、隣接する検知素子の配線を利用して第1の共通配線111に接続される。すなわち、検知素子に設けられる2つの端子の読出配線のうちの一方が不要になる。
【0037】
これにより、検知素子自体を配線として利用するため、素子基板(検知回路)の構成が簡素化される。また、駆動素子を含めた構造、機能及び性能に影響を与えない又は影響を軽減して、検知素子を基板上に設けることができる。
【0038】
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。実施形態2においては、特許文献1で提案されるインクジェット記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドと呼ぶ)に対して、上述した素子基板を記録素子基板として適用する場合について説明する。
【0039】
ここで、まず、図4を用いて、記録装置10の制御系の構成の一例について説明する。
【0040】
記録装置10は、ホスト装置40と接続されている。ホスト装置40は、画像データの供給源となるコンピュータ(或いは、画像読取用のリーダやデジタルカメラなど)で実現される。ホスト装置40と記録装置10との間では、インタフェース(以下、I/Fと呼ぶ)11を介して画像データ、コマンド等の授受が行なわれる。
【0041】
記録装置10は、インクジェット方式に従ってインクを吐出して記録を行なうインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドと呼ぶ)301をキャリッジ(不図示)に搭載し、キャリッジを所定方向に往復移動させて記録を行なう。すなわち、記録ヘッドを記録媒体に対して相対移動させながら、記録媒体上に画像を記録する。
【0042】
ここで、コントローラ部20は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、画像処理部24と、記録ヘッド制御部25とを具備して構成される。
【0043】
CPU(Central Processing Unit)21は、コントローラ部20における処理を統括制御する。ROM(Read Only Memory)22は、プログラムや各種データを記憶する。RAM(RandomAccess Memory)23は、CPU21によるプログラムの実行時にワークエリアとして使用され、各種演算結果等を一時的に記憶する。
【0044】
画像処理部24は、ホスト装置40からI/F11を介して受信した画像データに対して各種画像処理を行なう。
【0045】
記録ヘッド制御部25は、記録ヘッド301を制御する。記録ヘッド制御部25は、各種信号を生成し、当該生成した信号を記録ヘッド301へ向けて転送する。この信号により、記録ヘッド301による時分割駆動を制御する。記録ヘッド301へ転送される信号としては、例えば、ヒートイネーブル信号(HE)、ラッチ信号(LT)、シリアルデータ信号(D_H、D_S)、クロック信号(CLK_H、CLK_S)等が挙げられる。
【0046】
記録ヘッド301は、記録ヘッド制御部25から転送されてきた信号に基づいて記録ヘッド301内の各吐出口からインクを吐出させる。記録ヘッド301には、記録素子基板(以下、基板と略す場合もある)302が設けられており、当該基板上には、複数のノズル列が配列される。記録ヘッド301は、例えば、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット方式により構成される。そのため、記録ヘッド301には、ヒータ等で構成される記録素子や、ヒータの駆動制御を行なう制御回路が設けられる。ヒータは、各ノズル(吐出口)に対応して設けられ、記録信号に応じて対応するヒータにパルス電圧が印加される。
【0047】
次に、図5(a)及び図5(b)を用いて、実施形態2に係わる記録ヘッドの構成の一例について説明する。図5(a)は、実施形態2に係わる記録ヘッドの斜視図であり、図5(b)は、図5(a)に示すA−A’の断面構成の一例を示す図である。
【0048】
記録素子基板302には、記録ヘッド301の裏面から表面に貫通してインクを供給するインク供給口303が形成されている。記録素子基板302には、駆動素子として電気熱変換(熱エネルギーを発生)を行なう記録素子305と、検知素子として薄膜抵抗体で形成された温度検知素子304とが設けられている。
【0049】
オリフィスプレート307上には、記録素子305に対応してノズル308が設けられている。ノズルN0〜N7は、インク供給口303を挟んでノズル配列方向に沿って交互に2列で配置されている。電極端子306は、外部配線との接続のために設けられている。
【0050】
図5(b)に示すように、記録素子305及び温度検知素子304は、一対を成して設けられており、一対の記録素子305及び温度検知素子304は、インク供給口303を挟んでそれぞれ配置される。オリフィスプレート307には、記録素子に対応して、インク供給口303と連通した圧力室309と、ノズル308とが形成されている。
【0051】
図6は、記録素子基板302の平面構成及び断面構成の一例を示す図である。ここでは、ノズルの図示については省略している。
【0052】
シリコン基板401上には、SiO2等のフィールド酸化膜402と、絶縁膜403とが積層されており、その上には、Al、Pt、Ti、Ta等の薄膜抵抗体の温度検知素子405と、接続配線するアルミ等のAL1配線404とが形成される。更にその上には、SiO等の層間絶縁膜406が積層されており、TaSiN等の電気熱変換する記録素子407と、シリコン基板に形成された駆動回路を接続するアルミ等のAL2配線408とが形成される。更にその上には、SiN等の保護膜409と記録素子上の耐キャビテーション性を高めるTa等の耐キャビテーション膜410とが積層される。
【0053】
図6上部に示す平面図には、記録素子407及び駆動回路と接続するAL2配線408、太線枠で描かれた温度検知素子405、温度検知素子405の個別配線のAL1配線404A及び共通配線のAL1配線404Bが示されている。ここでの温度検知素子405の形状は、蛇行形状となっている。これは、抵抗値を大きくして検出信号を大きくすることで温度情報を精度良く検出できるようにするためである。温度検知素子405は、AL1配線層において、成膜、パターニングすることで従来の記録素子基板の構造を変えることなく作製される。
【0054】
図7は、記録素子基板302の構成の一例を示す図である。ここでは、4セグメントの2列の記録素子と温度検知素子とを配した構成を例に挙げて説明する。なお、回路とインク供給口との配置関係が分かるように、インク供給口515も図示している。
【0055】
Seg0の記録素子513の一方の端子は、記録素子513へ駆動電圧を供給するVH_Eの配線に接続され、他方の端子は、駆動スイッチ514に接続されている。駆動スイッチ514の他方の端子は、VH_Eのリターン先であるGND_E配線に接続されている。駆動スイッチ514は、記録素子選択回路(不図示)の選択信号H0に従ってオン/オフ制御される。以下、Seg2、Seg4、Seg6も、上記Seg0同様に結線されている。また、Seg0、Seg2、Seg4、Seg6とインク供給口515を挟んで対向する位置に設けられているSeg1〜Seg7も、上記同様に結線されている。
【0056】
Seg0の温度検知素子501の一方の端子は、温度検知素子501に給電を行なう定電流ISの配線で共通接続されている。他方の端子は、選択スイッチ502及び端子電圧を読み出す第2の読出スイッチ503に接続されている。第2の読出スイッチ503の他方の端子は、第2の共通配線511に接続されている。
【0057】
選択スイッチ502の他方の端子は、定電流ISのリターン先であるVSSの配線に接続されている。温度検知素子501に設けられる端子のうち、定電流ISの配線に接続された端子は、定電流ISの配線及びSeg2の温度検知素子505を介して第1の読出スイッチ504に接続されている。第1の読出スイッチ504の他方の端子は、第1の共通配線510に接続されている。Seg2、Seg4、Seg6の温度検知素子にも、上記Seg0同様に結線されている。
【0058】
このように温度検知素子の端子のうち、定電流ISの配線で共通接続されている端子は、隣接する温度検知素子を介して第1の読出スイッチに接続されている。なお、Seg6は、回路端部に設けられているため、定電流ISの配線がそのまま読出スイッチ509に接続されている。これにより、Seg6の温度検知素子の一方の端子は、共通配線510に接続されることになる。
【0059】
共通配線510及び511は、差動増幅器512に接続されている。Seg0〜Seg6の選択スイッチ及び読出スイッチは、温度検知素子選択回路(不図示)の選択信号S0〜S6に従ってオン/オフ制御される。また、インク供給口515を挟んで対向するSeg1〜Seg7においても、上記同様に結線されている。
【0060】
なお、記録素子基板302には、記録素子選択回路や温度検知素子選択回路も設けられているが、これら回路は、実施形態1で説明した駆動素子選択回路117及び検知素子選択回路114と構成や動作が同様である。そのため、ここでは、図示や詳細な説明については省略している。
【0061】
次に、上述した記録素子基板302における動作について説明する。ここでは、Seg0を例に挙げて説明する。
【0062】
まず、温度検知素子選択回路(不図示)は、選択信号S0をオンにし、選択スイッチ502、読出スイッチ503及び504をオンする。これにより、Seg0の温度検知素子501が選択状態になる。
【0063】
選択スイッチ502がオンになり、温度検知素子501に定電流ISが供給されると、温度検知素子501は、温度に応じた端子電圧を出力する。温度検知素子501の選択スイッチ502側の端子電圧V2信号は、第2の読出スイッチ503を介して差動増幅器512に入力される。一方、温度検知素子501の定電流ISの配線側の端子電圧V1信号は、Seg2の温度検知素子505及び第1の読出スイッチ504を介して差動増幅器512に入力される。
【0064】
差動増幅器512は、V1信号及びV2信号を受けて温度検知素子501の端子間電圧となる差動信号VSを出力する。以下同様に、Seg2、Seg4、Seg6も順次選択され、各セグメントの検知情報(温度情報)が読み出される。また、Seg1〜Seg7も同様の動作で温度情報が読み出される。なお、複数の駆動素子における時分割駆動は、Seg0、Seg2、Seg4、Seg6を単位としたグループと、Seg1、Seg3、Seg5、Seg7を単位としたグループとでそれぞれ行なわれる。
【0065】
以上説明したように実施形態2によれば、温度検知素子501において、定電流ISの配線で共通接続された端子は、隣接する温度検知素子を利用して第1の共通配線510に接続される。すなわち、温度検知素子に設けられる2つの端子の読出配線のうちの一方が不要になる。
【0066】
これにより、温度検知素子自体を配線として利用するため、記録素子基板の構成が簡素化される。また、記録素子を含めた構造、機能及び性能に影響を与えない又は影響を軽減して、温度検知素子を設けることができる。
【0067】
(実施形態3)
次に、実施形態3について説明する。実施形態3においては、特開2010−201921号公報で提案される流路構造を有する記録ヘッドに対して、上述した温度検知回路を記録素子基板として適用する場合について説明する。
【0068】
ここで、特開2010−201921号公報には、吐出口に対してインク流路が対称的に配置されている。また、複数の独立供給口に挟まれたインク流路で吐出周波数を高め、更に吐出口間の圧力クロストークを軽減して安定吐出する構成について示されている。なお、記録装置10の制御系の構成は、実施形態2で説明した図4と同様となるため、その説明については省略する。
【0069】
ここで、まず、図8(a)〜図8(c)を用いて、実施形態3に係わる記録ヘッドの構成の一例について説明する。図8(a)は、実施形態3に係わる記録ヘッドの斜視図であり、図8(b)は、図8(a)に示すA−A’の断面構成の一例を示す図であり図8(c)は、図8(a)に示すB−B’の断面構成の一例を示す図である。
【0070】
記録ヘッド601の内部には、共通供給口603が形成されており、複数の独立供給口604は、この共通供給口603を介してインクの供給を受ける。複数の独立供給口604は、記録素子基板602上に形成されており、電気熱変換を行なう駆動素子である記録素子606と、検知素子である薄膜抵抗体で形成された温度検知素子605とが設けられている。電極端子607は、外部配線との接続のために設けられている。
【0071】
図8(c)に示すように、記録素子606及び温度検知素子605は、一対を成して独立供給口の間の梁部に配置されている。オリフィスプレート608には、記録素子に対応して、独立供給口604と連通した圧力室611と、ノズル609とが形成されている。
【0072】
記録ヘッド601の内部には、記録素子基板602に形成された共通供給口603と、独立供給口604と、オリフィスプレート608の液室610とが連通したインク供給路が形成されている。
【0073】
ここで、実施形態3に係わる温度検知回路の比較例として、従来の温度検知回路の構成の一例について説明する。
【0074】
図9(a)には、記録素子と温度検知素子とを配した温度検知回路の構成の一例が示される。ここでは、回路と独立供給口との配置関係が分かるように、独立供給口811及び812も図示している。
【0075】
記録素子809は、独立供給口811及び812の間の梁部に配置されている。記録素子809の一方の端子は、VHの配線に接続され、他方の端子は、駆動スイッチ810に接続されている。駆動スイッチ810の他方の端子は、VHのリターン先であるGND配線に接続されている。駆動スイッチ810は、記録素子選択回路(不図示)の選択信号Hに従ってオン/オフ制御される。
【0076】
温度検知素子801の一方の端子は、温度検知素子801に給電を行なう定電流ISの配線に共通接続されるとともに、また、端子電圧を読み出す第1の読出スイッチ804に接続されている。温度検知素子801の他方の端子は、選択スイッチ802及び端子電圧を読み出す第2の読出スイッチ803に接続されている。
【0077】
読出スイッチ804の他方の端子は、独立供給口811及び812を跨ぐ配線805を介して第1の共通配線807に接続されている。読出スイッチ803の他方の端子は、第2の共通配線808に接続されている。
【0078】
共通配線807及び808は、差動増幅器(不図示)に接続されている。なお、共通配線807及び808は、他配線との間での静電結合や誘導結合による同相雑音が重畳されても差動増幅器によりキャンセルされるように隣接して平行配線されている。温度検知素子をオン/オフ制御する選択信号Sの配線806は、選択スイッチ802、読出スイッチ803、及び読出スイッチ804に接続されている。
【0079】
ここで、図9(b)は、独立供給口811及び812の周りに配置された記録素子809及び温度検知素子801の回路構成の一例を示す図である。ここでは、ポリシリコン等のPOL配線、アルミ等のAL1配線及びAL2配線の3つの配線層が配置され、また、スイッチをMOSトランジスタとした場合のレイアウトの一例を示す。
【0080】
記録素子809は、一方の端子がAL2配線でVHに接続されている。記録素子809の他方の端子は、AL2配線及びスルーホールTHを介して駆動スイッチ810のドレイン電極のAL1配線に接続されている。駆動スイッチ810のソース電極のAL1配線は、スルーホールTHを介してAL2配線のGND配線に接続され、ゲート電極のPOL配線は、選択信号Hに接続されている。
【0081】
温度検知素子801の一方の端子は、定電流ISのAL1配線及び第1の読出スイッチ804のソース電極となるAL1配線に接続されている。温度検知素子801の他方の端子は、AL1配線で選択スイッチ802のドレイン電極となるAL1配線及び第2の読出スイッチ803のソース電極となるAL1配線に接続されている。
【0082】
選択スイッチ802のソース電極のAL1配線は、AL1配線のVSSと接続されている。第1の読出スイッチ804のドレイン電極は、AL1配線805で独立供給口間の梁部を跨いでコンタクトCNTを介してPOL配線に接続されている。また、コンタクトCNTを介してAL1配線の第1の共通配線V1に接続されている。
【0083】
第2の読出スイッチ803のドレイン電極は、AL1配線からコンタクトCNTを介してPOL配線に接続されている。また、コンタクトCNTを介してAL1配線の第2の共通配線V2に接続されている。読出スイッチ803及び804のゲート電極のPOL配線は、独立供給口間の梁部を跨いで配線されている。この配線は、選択スイッチ802のゲート電極に接続されており、温度検知素子を選択するための選択信号Sが転送される。
【0084】
図9(c)は、図9(b)に示すA−A’の断面構成の一例を示す図である。すなわち、供給口縁Eから記録素子809の中心Cにかけての記録素子基板の断面を示す図である。
【0085】
シリコン基板813上に酸化膜が設けられている。その上には、第1配線層POLのポリシリコン配線806、絶縁層、第2配線層AL1のアルミ配線805及び温度検知素子801が形成されている。更にその上には、絶縁層、記録素子809、絶縁層、耐キャビテーション層が形成されている。なお、耐キャビテーション層の上には、不図示ではあるが、ノズル材で流路が形成されている。記録素子809と独立供給口縁Eとの間には、配線領域Mが設けられており、この配線領域Mには、AL1配線805及びPOL配線806があり、独立供給口811及び812を跨いで配線される。
【0086】
ここで、上述した従来の構成においては、AL1配線805及びPOL配線806は、独立供給口811及び812を跨ぐ必要がある。そのため、配線領域Mが必要となり、独立供給口縁Eから記録素子809の中心Cにかけての流路長Lがこの分長くなってしまう。
【0087】
このように流路長が長くなってしまうと、特開2010−201921号公報で述べられている吐出周波数を高める効果が妨げられ、また、ノズル間の間隔も広がり、解像度アップに制約が生じてしまう。解像度を維持する場合は、ノズル列方向の供給口幅を小さく必要があるので、流抵抗を等価にするために供給口の長さ方向を増やさなければならず、記録素子基板が大きくなってしまう。
【0088】
ここで、上述した従来構成の課題を解決するための構成について説明する。すなわち、実施形態3に係わる構成について説明する。まず、図10を用いて、記録素子基板701の結線図の一例について説明する。ここでは、4セグメント分の記録素子と温度検知素子とを配した構成を例に挙げて説明する。なお、回路と独立供給口の配置関係が分かるように独立供給口718及び719も図示している。
【0089】
Seg1の記録素子715は、独立供給口718及び719の間の梁部に配置されている。Seg1の記録素子715の一方の端子は、記録素子715に電圧を供給するVHの配線に接続されており、他方の端子は、駆動スイッチ716に接続されている。駆動スイッチ716の他方の端子は、VHのリターン先であるGND配線に接続されている。
【0090】
駆動スイッチ716は、記録素子選択回路717の選択信号H1に従ってオン/オフ制御される。Seg2〜Seg4も、上記Seg1同様に結線されている。記録素子選択回路717は、実施形態1で説明した駆動素子選択回路117と同様の機能を果たすため、ここではその詳細な説明については省略する。
【0091】
Seg1の温度検知素子702の一方の端子は、温度検知素子702へ供給される定電流ISの配線で共通接続されている。Seg1の温度検知素子702の他方の端子は、選択スイッチ703及び端子電圧を読み出す第2の読出スイッチ704に接続されている。第2の読出スイッチ704の他方の端子は、第2の共通配線712に接続されている。また、選択スイッチ703の他方の端子は、定電流ISのリターン先であるVSSの配線に接続されている。温度検知素子702の定電流ISの配線に接続された端子は、定電流ISの配線及びSeg2の温度検知素子706を介して第1の読出スイッチ705に接続されている。第1の読出スイッチ705の他方の端子は、第1の共通配線711に接続されている。Seg2〜Seg4の温度検知素子も、上記Seg1同様に結線されている。
【0092】
このように温度検知素子のうち、定電流ISの配線で共通接続されている端子は、隣接する温度検知素子を介して第1の読出スイッチに接続されている。なお、Seg4は、回路端部に設けられているため、定電流ISの配線がそのまま読出スイッチ710に結線されている。これにより、Seg4の温度検知素子の一方の端子は、共通配線711に接続されることになる。
【0093】
共通配線711及び712は、差動増幅器713に接続されている。Seg1〜Seg4の選択スイッチ及び読出スイッチは、温度検知素子選択回路714から出力される選択信号S1〜S4に従ってオン/オフ制御される。温度検知素子選択回路714は、実施形態1で説明した検知素子選択回路114と同様の機能を果たすため、ここではその詳細な説明については省略する。
【0094】
図11(a)は、図10の領域Aに示す回路のレイアウトの一例を示す図である。すなわち、独立供給口719の周りに配置された記録素子715及び温度検知素子702の回路構成のレイアウトの一例を示す。ここでは、ポリシリコン等のPOL配線、アルミ等のAL1配線及びAL2配線の3つの配線層が配置され、また、スイッチをMOSトランジスタとした場合のレイアウトの一例を示す。
【0095】
記録素子715は、一方の端子がAL2配線でVHの配線に接続されている。記録素子715の他方の端子は、AL2配線及びスルーホールTHを介して駆動スイッチ716のドレイン電極のAL1配線に接続されている。駆動スイッチ716のソース電極のAL1配線は、スルーホールTHを介してAL2配線のGND配線と接続され、ゲート電極のPOL配線は、記録素子選択回路717の選択信号H1と接続されている。
【0096】
温度検知素子702は、一方の端子が定電流ISのAL1配線で共通接続されている。温度検知素子702の他方は、AL1配線で選択スイッチ703のドレイン電極のAL1配線と、第2の読出スイッチ704のソース電極となるAL1配線とに接続されている。選択スイッチ703のソース電極のAL1配線は、AL1配線のVSS配線と接続されている。第2の読出スイッチ704のドレイン電極は、AL1配線からコンタクトCNTを介してPOL配線に接続されている。また、コンタクトCNTを介してAL1配線の第2の共通配線V2に接続されている。
【0097】
温度検知素子702の端子のうち、定電流ISのAL1配線に接続された端子は、定電流ISのAL1配線及びSeg2の温度検知素子706を介したAL1配線で、第1の読出スイッチ705のソース電極に接続されている。読出スイッチ705のドレイン電極は、AL1配線からコンタクトCNTを介してPOL配線に接続されている。また、コンタクトCNTを介してAL1配線の第1の共通配線V1に接続されている。
【0098】
図11(b)は、図11(a)に示すA−A’の断面構成の一例を示す図である。すなわち独立供給口縁Eから記録素子715の中心Cにかけての記録素子基板701の断面を示す図である。
【0099】
上述した図9(c)に示す従来構成と比べると、図11(b)に示す構成では、記録素子715と温度検知素子702とがレイアウトされるだけとなり、温度検知回路に関わる配線領域Mは不要となる。その結果、流路長Lを延長する必要がなくなる。
【0100】
次に、図10、図11(a)及び図11(b)で説明した実施形態3に係わる記録素子基板701における動作について説明する。ここでは、Seg1を例に挙げて説明する。
【0101】
まず、温度検知素子選択回路714は、選択信号S1をオンにし、選択スイッチ703、読出スイッチ704及び705をオンする。これにより、Seg1の温度検知素子702が選択状態になる。
【0102】
選択スイッチ703がオンになり、温度検知素子702に定電流ISが供給されると、温度検知素子702は、温度に応じた端子電圧を出力する。温度検知素子702の選択スイッチ703側の端子電圧V2信号は、読出スイッチ704を介して差動増幅器713に入力される。一方、温度検知素子702の定電流ISの配線側の端子電圧V1信号は、Seg2の温度検知素子706及び読出スイッチ705を介して差動増幅器713に入力される。
【0103】
差動増幅器713は、V1信号及びV2信号を受けて温度検知素子702の端子間電圧となる差動信号VSを出力する。以下同様に、Seg2〜Seg4も順次選択され、各セグメントの検知情報(温度情報)が読み出される。なお、記録素子選択回路717及び温度検知素子選択回路714は、実施形態1で説明した駆動素子選択回路117及び検知素子選択回路114と同様の構成や動作を行なうため、ここでは、その説明については省略する。
【0104】
以上説明したように実施形態3によれば、温度検知素子において、定電流ISの配線で共通接続された端子は、隣接する温度検知素子を配線として利用して第1の共通配線に接続される。そのため、独立供給口を跨ぐ配線がなくなる。その結果として、流路長や独立供給口の流路領域に影響を与えずに、温度検知回路を設けることができる。
【0105】
(実施形態4)
次に、実施形態4について説明する。上述した実施形態1〜3においては、隣接する温度検知素子を介して温度検知素子の結線を行なう場合について説明したが、これに限られない。例えば、2セグメント以上隔てた温度検知素子を介した結線も可能である。すなわち、選択スイッチにより選択された検知素子以外の検知素子であれば、いずれかの検知素子を介して温度検知素子の結線を行なっても良い。ここでは、その一例として、2つ隣の温度検知素子を介した結線構成の一例について説明する。なお、記録装置10の制御系の構成は、実施形態2で説明した図4と同様となるため、その説明については省略する。
【0106】
図12は、実施形態4に係わる記録素子基板の結線図の一例を示す。ここでは、回路と独立供給口の配置関係が分かるように、独立供給口920及び921も図示している。
【0107】
Seg1の温度検知素子901の一方の端子は、温度検知素子に給電する定電流ISの配線で共通接続されている。Seg1の温度検知素子901の他方の端子は、選択スイッチ902及び端子電圧を読み出す第2の読出スイッチ903に接続され、読出スイッチ903の他方の端子は、第2の共通配線914に接続されている。選択スイッチ902の他方の端子は、定電流ISのリターン先であるVSSの配線に接続されている。
【0108】
温度検知素子901の共通接続された端子は、定電流ISの配線及びSeg3の温度検知素子910を介して第1の読出スイッチ908に接続され、第1の読出スイッチ908の他方の端子は、第1の共通配線913に接続されている。
【0109】
共通配線913及び914は、差動増幅器915に接続されている。温度検知素子選択回路(不図示)から出力される選択信号S1は、選択スイッチ902、第2の読出スイッチ903、及び第1の読出スイッチ908に供給される。
【0110】
Seg2の温度検知素子905も、上記Seg1同様に、2つ隣りのSeg4の温度検知素子911を介して第1の読出スイッチ909に接続されている。Seg3の温度検知素子910においては、定電流ISの配線がそのまま第1の読出スイッチ912に接続されている。これにより、Seg3の温度検知素子910の一方の端子は、第1の共通配線913に接続されている。Seg4の温度検知素子911においては、Seg2の温度検知素子905を介して第1の読出スイッチ904に接続されている。これにより、Seg4の温度検知素子911の一方の端子は、第1の共通配線913に接続されている。
【0111】
次に、上述した記録素子基板における動作について説明する。ここでは、Seg1を例に挙げて説明する。
【0112】
まず、温度検知素子選択回路(不図示)は、選択信号S1をオンにし、選択スイッチ902、読出スイッチ903及び908をオンする。これにより、Seg1の温度検知素子901が選択状態になる。
【0113】
選択スイッチ902がオンになり、温度検知素子901に定電流ISが供給されると、温度検知素子901は、温度に応じた端子電圧を出力する。温度検知素子901の選択スイッチ902側の端子電圧V2信号は、第2の読出スイッチ903を介して差動増幅器915に入力される。一方、温度検知素子901の定電流ISの配線側の端子電圧V1信号は、Seg3の温度検知素子910及び第1の読出スイッチ908を介して差動増幅器915に入力される。
【0114】
差動増幅器915は、V1信号及びV2信号を受けて温度検知素子901の端子間電圧となる差動信号VSを出力する。以下同様に、Seg2〜Seg4も順次選択され、各セグメントの検知情報(温度情報)が読み出される。
【0115】
以上説明したように実施形態4によれば、選択信号S1〜S4の読出スイッチへの結線を変えることにより、隔たった温度検知素子を介して選択された温度検知素子の温度情報を読み出すことができる。これにより、2セグメント以上隔てた温度検知素子を介して第1の共通配線に接続するような構成にした場合であっても、上述した実施形態1〜3同様の効果が得られる。
【0116】
(実施形態5)
次に、実施形態5について説明する。上述した実施形態1〜4においては、1つの温度検知素子を介して温度検知素子の結線を行なう場合について説明したが、これに限られない。ここでは、その構成の一例として、図13に示す構成について説明する。なお、記録装置10の制御系の構成は、実施形態2で説明した図4と同様となるため、その説明については省略する。
【0117】
図13は、実施形態5に係わる記録素子基板の結線図の一例を示す。ここでは、回路と独立供給口の配置関係が分かるように、独立供給口1013及び1014も図示している。
【0118】
Seg1の温度検知素子1001の一方の端子(第1の端子)は、温度検知素子1001に電流を供給する定電流ISの配線に接続されている。Seg1の温度検知素子1001の他方の端子(第2の端子)は、選択スイッチ1002及び端子電圧を読み出す読出スイッチ1003に接続されている。読出スイッチ1003の他方の端子は、第2の共通配線1009に接続されている。選択スイッチ1002の他方の端子は、定電流ISのリターン先であるVSSの配線に接続されている。
【0119】
温度検知素子1001の定電流ISの配線に共通接続された端子は、定電流ISの配線と配線1007(すなわち、他の全ての温度検知素子)とを介して第1の共通配線1008に接続されている。共通配線1008及び1009は、差動増幅器1010に接続されている。
【0120】
温度検知素子選択回路(不図示)から選択信号S1が出力されると、選択スイッチ1002及び読出スイッチ1003がオンされる。Seg2〜Seg4の温度検知素子も、上記Seg1と同様にして結線される。
【0121】
次に、上述した記録素子基板における動作について説明する。ここでは、Seg1を例に挙げて説明する。
【0122】
まず、温度検知素子選択回路(不図示)は、選択信号S1をオンにし、選択スイッチ1002、読出スイッチ1003をオンする。これにより、Seg1の温度検知素子1001が選択状態になる。
【0123】
選択スイッチ1002がオンになり、温度検知素子1001に定電流ISが供給されると、温度検知素子1001は、温度に応じた端子電圧を出力する。温度検知素子1001の選択スイッチ1002側の端子電圧V2信号は、読出スイッチ1003を介して差動増幅器1010に入力される。一方、温度検知素子1001の定電流ISの配線側の端子電圧V1信号は、Seg2〜Seg4の温度検知素子を介して差動増幅器1010に入力される。差動増幅器1010は、V1信号及びV2信号を受けて温度検知素子1001の端子間電圧となる差動信号VSを出力する。以下、Seg2〜Seg4も順次選択され、各セグメントの検知情報(温度情報)が読み出される。
【0124】
以上説明したように実施形態5によれば、各温度検知素子の一方の端子を第1の共通配線1008に直接接続する。これにより、温度検知素子に設けられる2つの端子の読出配線のうちの一方の個別配線が不要になる。
【0125】
(実施形態6)
次に、実施形態6について説明する。実施形態6においては、複数の温度検知素子を直列に接続する結線構成について説明する。なお、記録装置10の制御系の構成は、実施形態2で説明した図4と同様となるため、その説明については省略する。
【0126】
図14は、2列の独立供給口に挟まれる梁部に記録素子と温度検知素子とを配置した記録素子基板の結線図の一例を示す。ここでは、回路と独立供給口の配置関係が分かるように、独立供給口1114及び1115も図示している。
【0127】
Seg1の記録素子1112は、独立供給口1114及び1115の間の梁部に配置されている。Seg1の記録素子1112の一方の端子は、記録素子1112に電圧を供給するVHの配線に接続され、Seg1の記録素子1112の他方の端子は、駆動スイッチ1113に接続されている。駆動スイッチ1113の他方の端子は、VHのリターン先であるGND配線に接続されている。駆動スイッチ1113は、記録素子選択回路(不図示)から出力される選択信号H1に従ってオン/オフ制御される。Seg2〜Seg4も、上記Seg1同様に結線されている。
【0128】
Seg1の温度検知素子1101の一方の端子(第1の端子)は、温度検知素子1101に供給される定電流ISの(上流側の)配線及び読出スイッチ1105に接続されている。Seg1の温度検知素子1101の他方の端子(第2の端子)は、定電流ISの(下流側の)配線に接続されるとともに、Seg1の選択スイッチ1103、Seg2の温度検知素子1106、及びSeg2の読出スイッチ1104に接続されている。選択スイッチ1103の他方の端子は、定電流ISのリターン先であるVSSの配線に接続され、読出スイッチ1105及び1104の他方の端子は、第1の共通配線1109に接続されている。
【0129】
Seg1〜Seg4の温度検知素子が直列に接続されており、終端となるSeg4の温度検知素子の一方の端子及び第1の共通配線1109は、差動増幅器1111に接続されている。また、Seg1及びSeg2の間には、分岐点1102が設けられており、これと同様に、Seg2及びSeg3、Seg3及びSeg4においても、分岐点が設けられている。読出スイッチ1104は、各分岐点からVSSの配線までの経路上に設けられている。
【0130】
次に、上述した記録素子基板における動作について説明する。ここでは、Seg1を例に挙げて説明する。
【0131】
まず、温度検知素子選択回路(不図示)は、選択信号S1をオンにし、選択スイッチ1103、読出スイッチ1105をオンする。これにより、Seg1の温度検知素子1101が選択状態になる。
【0132】
選択スイッチ1103がオンになり、温度検知素子1101に定電流ISが供給されると、温度検知素子1101は、温度に応じた端子電圧を出力する。温度検知素子1101の読出スイッチ1105側の端子電圧V1信号は、読出スイッチ1105を介して差動増幅器1111に入力される。一方、温度検知素子1101における分岐点1102側の端子電圧V2信号は、直列接続されたSeg2〜Seg4の温度検知素子及び配線1110を介して差動増幅器1111に入力される。
【0133】
差動増幅器1111は、V1信号及びV2信号を受けて温度検知素子1101の端子間電圧となる差動信号VSを出力する。以下、Seg2〜Seg4も順次選択され、各セグメントの検知情報(温度情報)が読み出される。
【0134】
以上説明したように実施形態6によれば、温度検知素子列の直接接続の分岐各々の端子電圧と、温度検知素子列の終端(最下流側)の端子電圧とを読み出す。これにより、選択された温度検知素子の温度情報を複数の他の温度検知素子を介して読み出すことができる。
【0135】
(実施形態7)
次に、実施形態7について説明する。上述した実施形態3〜6において、独立供給口の配列方向と平行した列方向の梁部に記録素子を配列するとともに、それに平行して回路を配置する場合について説明した。
【0136】
これに対して、実施形態7においては、独立供給口の配列方向と直交した行方向の梁部に記録素子を配列し、また、回路も直交した位置関係に配置する場合について説明する。なお、記録装置10の制御系の構成は、実施形態2で説明した図4と同様となるため、その説明については省略する。
【0137】
図15(a)〜図15(c)を用いて、実施形態7に係わる記録ヘッドの構成の一例について説明する。図15(a)は、実施形態7に係わる記録ヘッドの斜視図であり、図15(b)は、図15(a)に示すA−A’の断面構成の一例を示す図であり図15(c)は、図15(a)に示すB−B’の断面構成の一例を示す図である。
【0138】
記録ヘッド1201の内部には、共通供給口1203が形成されている。記録素子基板1202には、複数の独立供給口1204が共通供給口1203に連通されるように形成されている。
【0139】
記録素子基板1202には、一対を成して記録素子1206と温度検知素子1205とが設けられている。一対の記録素子1206及び温度検知素子1205は、独立供給口と独立供給口との間の梁部に配置されている。オリフィスプレート1208には、記録素子に対応するように、独立供給口1204と連通した圧力室1211と、ノズル1209が形成されている。この場合、オリフィスプレート1208には、N1〜N4及びN5〜N8の2行×4列のノズルが配列されている。電極端子1207は、外部配線に接続されている。
【0140】
図15(b)に示すように、記録素子基板1202には、共通供給口1203と、独立供給口1204と、オリフィスプレート1208の液室1210とが連通したインク供給路が形成される。
【0141】
ここで、図16を用いて、図15(a)〜図15(c)に示す記録素子基板1202の結線図の一例について説明する。ここでは、8セグメント分の記録素子と温度検知素子とを配した構成を例を挙げて説明する。なお、回路と独立供給口の配置関係が分かるように、独立供給口1314及び1315も図示している。
【0142】
Seg1の記録素子1312は、独立供給口1314及び1315の間の梁部に配置されている。Seg1の記録素子1312の一方の端子は、記録素子1312へ駆動電圧を供給するVHの配線に接続され、Seg1の記録素子1312の他方の端子は、駆動スイッチ1313に接続されている。駆動スイッチ1313の他方の端子は、VHのリターン先であるGND1配線に接続されている。
【0143】
駆動スイッチ1313は、記録素子選択回路(不図示)から出力される選択信号H1に従ってオン/オフ制御される。Seg2、Seg5、Seg6も、上記Seg1同様に結線されている。Seg3、Seg4、Seg7、Seg8は、中央の独立供給口を挟んで対向に配置されている。これらセグメントも、Seg1、Seg2、Seg5、Seg6側と同様に結線されている。なお、記録素子選択回路(不図示)は、実施形態1で説明した駆動素子選択回路117と同様の役割を果たし、Seg1、Seg2、Seg5、Seg6側とSeg3、Seg4、Seg7、Seg8側とに個別にそれぞれ設けられる。
【0144】
Seg2の温度検知素子1305の一方の端子は、温度検知素子1305に供給される定電流ISの配線で共通接続される。Seg2の温度検知素子1305の他方の端子は、選択スイッチ1306及び第2の読出スイッチ1307に接続され、読出スイッチ1307の他方の端子は、第2の共通配線1310に接続されている。
【0145】
第1の読出スイッチ1308の一方の端子は、Seg1の温度検知素子1301を介して定電流ISの配線に接続され、第1の読出スイッチ1308の他方の端子は、第1の共通配線1309に接続されている。
【0146】
Seg1の温度検知素子1301は、一方の端子が温度検知素子に電流を供給する定電流ISの配線に接続されるとともに、読出スイッチ1304に接続される。これにより、読出スイッチ1304を介して第1の共通配線1309に接続されている。Seg1の温度検知素子1301の他方の端子は、選択スイッチ1302及び読出スイッチ1303に接続され、読出スイッチ1303の他方の端子は、第2の共通配線1310に接続されている。共通配線1309及び1310は、差動増幅器1311に接続されている。
【0147】
温度検知素子選択回路(不図示)から出力される選択信号S2は、選択スイッチ1306、読出スイッチ1307及び1308に供給される。2行目のSeg5、Seg6も同様に結線されている。対向する位置に配置されたSeg3、Seg4、Seg7、Seg8も、Seg1、Seg2、Seg5、Seg6と同様に結線されている。
【0148】
なお、温度検知素子選択回路(不図示)は、実施形態1で説明した検知素子選択回路114と同様の役割を果たし、Seg1、Seg2、Seg5、Seg6側とSeg3、Seg4、Seg7、Seg8側とに個別にそれぞれ設けられる。
【0149】
次に、上述した記録素子基板における動作について説明する。ここでは、Seg2を例に挙げて説明する。
【0150】
まず、温度検知素子選択回路(不図示)は、選択信号S2をオンにし、選択スイッチ1306、読出スイッチ1307及び1308をオンする。これにより、Seg2の温度検知素子1305が選択状態になる。
【0151】
選択スイッチ1306がオンになり、温度検知素子1305に定電流ISが供給されると、温度検知素子1305は、温度に応じた端子電圧を出力する。温度検知素子1305の選択スイッチ1306側の端子電圧V2信号は、読出スイッチ1307を介して差動増幅器1311に入力される。一方、温度検知素子1305の定電流ISの配線側の端子電圧V1信号は、Seg1の温度検知素子1301及び読出スイッチ1308を介して差動増幅器1311に入力される。
【0152】
差動増幅器1311は、V1信号及びV2信号を受けて温度検知素子1305の端子間電圧となる差動信号VSを出力する。以下同様に、他のセグメントも順次選択され、各セグメントの検知情報(温度情報)が読み出される。
【0153】
以上説明したように実施形態7によれば、独立供給口の配列方向と直交した行方向の梁部に記録素子を配列するとともに、回路を直交した位置関係に配置した場合であっても、選択された温度検知素子の温度情報を他の温度検知素子を介して読み出すことができる。
【0154】
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子基板、記録ヘッド及び記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱、機械的、磁気又は光(電磁波)エネルギーを発生する駆動素子を複数備えた素子基板(駆動ヘッド)が知られている。素子基板においては、駆動によって生じた現象を直接的又は間接的に検査して駆動制御にフィードバックすることが必要とされる場合がある。
【0003】
ここで、一例として、このような素子基板が、インクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドと呼ぶ)に適用された場合について考えてみる。記録ヘッドにおいては、異物によるノズルの目詰まり、インク供給経路内に混入した気泡やノズル表面の濡れ性の変化等により、全体又は一部のノズルで吐出不良が発生する場合がある。このような場合、駆動によって生じた現象として吐出不良の発生したノズルを特定し、画像補完や記録ヘッドの回復作業に反映させる必要がある。
【0004】
このような技術を実現するため、特許文献1には、電気熱変換する記録素子の各々に絶縁膜を介して薄膜抵抗体で形成される温度検知素子を設け、ノズル毎の温度情報を検出し、その温度変化に基づいて吐出不良のノズルを検査する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−023987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
検知素子とそれに付帯する回路とを各々の駆動素子近傍に設ける場合、駆動素子を含めた構造、機能及び性能に影響を与えないようにする必要がある。また、その配置場所には制約もある。例えば、特許文献1に記載された記録ヘッドに温度検知回路を設ける場合には、記録素子とその配線、インク供給路及びノズル構造を変えないようにする必要がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、検知素子を配置する際の駆動素子を含めた構造、機能及び性能へ与える影響を抑制できるようにした技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの側面は素子基板にかかり、前記素子基板は、それぞれが第1端子および第2端子を有し、互いに並列に配置された第1抵抗素子および第2抵抗素子と、前記第1抵抗素子が通電され、かつ、前記第2抵抗素子が通電されていない状態において、前記第1抵抗素子の第1端子の電圧と、前記第2抵抗素子の第1端子の電圧を検出する検出手段と、を含み、前記第1抵抗素子及び第2抵抗素子の第1端子は、これらに電流を流す第1ラインに選択的に接続され、前記第1抵抗素子及び第2抵抗素子の第2端子は、これらに電流を流す第2ラインに共通に接続されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検知素子を配置する際の駆動素子を含めた構造、機能及び性能へ与える影響を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】素子基板101を配して構成した装置の一例を示す図。
【図2】図1に示す素子基板101の結線図。
【図3】各種信号のタイミングの一例を示す図。
【図4】記録装置10の制御系の構成の一例を示す図。
【図5】実施形態2に係わる記録ヘッドの構成の一例を示す図。
【図6】実施形態2に係わる記録ヘッドの構成の一例を示す図。
【図7】実施形態2に係わる記録素子基板の結線図。
【図8】実施形態3に係わる記録ヘッドの構成の一例を示す図。
【図9】従来構成の一例を示す図。
【図10】実施形態3に係わる記録素子基板の結線図。
【図11】実施形態3に係わる記録素子基板の構成の一例を示す図。
【図12】実施形態4に係わる記録素子基板の結線図。
【図13】実施形態5に係わる記録素子基板の結線図。
【図14】実施形態6に係わる記録素子基板の結線図。
【図15】実施形態7に係わる記録ヘッドの構成の一例を示す図。
【図16】実施形態7に係わる記録素子基板の結線図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。更に人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かも問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン、構造物等を形成する、又は媒体の加工を行なう場合も表す。
【0012】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、樹脂、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表す。
【0013】
更に、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきものである。従って、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成又は記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば、記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表す。
【0014】
また更に、「記録素子」(「ノズル」という場合もある)とは、特に断らない限りインク吐出口乃至これに連通する液路及びインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括していうものとする。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係わる素子基板101を配して構成した装置の一例を示す図である。
【0016】
ここで、コントローラ80は、素子基板(検知回路)101に対して各種信号を送信し、素子基板101の動作を統括制御する。コントローラ80から素子基板101に対して送られる信号としては、例えば、イネーブル信号(EN)、ラッチ信号(LT)、シリアルデータ信号(D_D、D_S)、クロック信号(CLK_D、CLK_S)等が挙げられる。
【0017】
ここで、図2を用いて、図1に示す素子基板101の構成の一例について説明する。ここでは、4セグメント分の駆動素子と検知素子とを配した構成を例に挙げて説明する。なお、検知素子は、例えば、上述した特許文献1のように、測温抵抗体を用いた温度検知回路、サーミスタを用いた温度検知回路、熱電対を用いた温度検知回路、Cds(光電効果)を用いた光検知回路などに適用される。検知素子は、上記例示に限られず、2端子素子であり、非選択時に定電流源で生成された定電流が導通された(通電された)としても、直流電圧を通す(すなわち、電圧降下を生じない)構成であれば何でも良い。
【0018】
素子基板101には、複数の検知素子(第1抵抗素子、第2抵抗素子などの抵抗素子)が設けられている。複数の検知素子は、複数の駆動素子(第1駆動素子、第2駆動素子など)それぞれの近傍に対応して設けられている。ここで、Seg1の駆動素子115の一方の端子は、駆動素子115へ駆動電圧を供給するVDの配線(第1ライン)に(並列に)共通接続され、他方の端子は、駆動スイッチ116に接続されている。駆動スイッチ116の他方の端子は、VDのリターン(回収)先となるGND配線(第2ライン)に接続されている。
【0019】
駆動スイッチ116は、駆動素子選択回路117に接続されており、当該回路117からの選択信号(検知素子の選択を指示する信号)D1に従ってオン/オフ制御される。Seg2〜Seg4の駆動素子115においても、上述したSeg1と同様の構成が設けられている。
【0020】
Seg1の検知素子102は、一方の端子(第1の端子/第1端子)が定電流源から供給される定電流ISの配線(定電流共通配線)に共通接続されている。他方の端子(第2の端子/第2端子:抵抗体を介して第1の端子の反対側に設けられる端子)は、選択スイッチ103及び第2の読出スイッチ104に接続されている。選択スイッチ103は、検知素子102を選択し、検知素子102(の抵抗体)に定電流源からの電流を選択的に導通させて検知動作を行なわせる選択ユニットとしての役割を果たす。第2の読出スイッチ104は、端子電圧を読み出し、第2の共通配線112に入力する役割を果たす。第2の読出スイッチ104の他方の端子は、第2の共通配線112に接続され、選択スイッチ103の他方の端子は、定電流ISのリターン先となるVSSの配線に接続されている。すなわち、選択スイッチ103のオン/オフにより検知素子(の抵抗体)へ定電流ISが導通されることになる。なお、定電流源(定電流を生成する生成手段)は、例えば、記録ヘッド制御部25に設けられている。
【0021】
検知素子102の端子のうち定電流ISの配線に接続された端子は、定電流ISの配線及びSeg2の検知素子106を介して第1の読出スイッチ105に接続されている。第1の読出スイッチ105の他方の端子は、第1の共通配線111に接続されている。第1の読出スイッチ105は、端子電圧を読み出し、第1の共通配線111に入力する役割を果たす。
【0022】
Seg2〜Seg4の検知素子においても、上述したSeg1と同様に結線されており、検知素子の端子のうち、定電流ISの配線で共通接続されている端子は、隣接する検知素子を介して第1の読出スイッチ105に接続されている。なお、Seg4は、回路端部に設けられているため、定電流ISの配線がそのまま第1の読出スイッチ110に接続されている。これらSeg1〜Seg4の選択スイッチ及び読出スイッチは、検知素子選択回路114の選択信号S1〜S4に従ってオン/オフ制御される。
【0023】
差動増幅器113には、選択された検知素子の端子電圧となるV1信号及びV2信号が共通配線111及び112を介して入力される。差動増幅器113は、V1信号及びV2信号(2つの端子電圧)を受けて、その電圧差に従った差動信号VSを発生する。この差動信号VSが検知素子の端子間電圧を示す検知情報となる。なお、差動増幅器113は、検知素子へ供給される電流が読出スイッチと共通配線111及び112との経路に流れ込まないように十分に高い入力抵抗としている。つまり、差動増幅器113のV1、V2信号の入力部は、ハイインピーダンスに設定されている。
【0024】
駆動素子選択回路117は、4ビットシフトレジスタと2ラインデコーダとを含んで構成されており、2x2時分割駆動する。駆動素子選択回路117は、駆動素子をオン/オフする行データとブロックを指定する列データとを受けて選択信号D1〜D4を発生する。一方、検知素子選択回路114は、4ビットシフトレジスタを含んで構成され、シフトクロックとスタートパルスとを受けて選択信号S1〜S4を発生する。
【0025】
ここで、上述した素子基板101における動作について説明する。ここでは、Seg1の検知素子102が選択される場合を例に挙げて説明する。
【0026】
まず、検知素子選択回路114からの選択信号S1に従って選択スイッチ103及び読出スイッチ(104、105)がオンする。Seg1の検知素子102には、選択スイッチ103がオンされることにより定電流ISが供給される。このとき、選択スイッチ107はオフされている。Seg2の検知素子106には、定電流ISは供給されていない。これにより、Seg1の検知素子102は、選択状態となり、検知量に応じた端子電圧を発生する。
【0027】
検知素子102の選択スイッチ103側の端子電圧V2信号は、第2の読出スイッチ104を介して差動増幅器113に入力される。また、検知素子102の定電流ISの配線側の端子電圧V1信号(厳密には、Seg2の検知素子106の定電流ISの配線側の端子電圧)は、Seg2の検知素子106及び第1の読出スイッチ105を介して差動増幅器113に入力される。選択スイッチ103がオンされることにより、定電流ISがISの端子→a→b→c→VSSの端子と流れた状態である。一方、選択スイッチ107がオフされることにより、ad間やde間には電流は流れていない状態である。それゆえ、位置aの電圧は、位置dの電圧や位置eの電圧と等しい。従って、位置eの電圧が読出スイッチ105を介してV1信号として差動増幅器113に入力されることは、位置aの電圧をV1信号として差動増幅器113に入力されることと等しい。なお、位置bの電圧が読出スイッチ104を介してV2信号として差動増幅器113に入力される。
【0028】
差動増幅器113は、V1信号及びV2信号を受けて検知素子102の端子間電圧となる差動信号VSを出力する。以下、Seg2〜Seg4においても、同様の動作で検知素子が順次選択されて各セグメントの温度情報が読み出される。
【0029】
次に、図3(a)を用いて、コントローラ80から駆動素子選択回路117へ供給される各種信号と、駆動素子選択回路117から出力される各種信号とについて説明する。ここでは、Seg1の駆動素子115に対応する選択信号D1を選択した場合について例を挙げて説明する。
【0030】
コントローラ80においては、転送クロック信号CLK_Dに同期して、2bitの行データD0及びD1と、ブロックデータB0及びB1とをシリアルデータ信号D_Dに含めて素子基板101側に転送する。素子基板101においては、コントローラ80からラッチ信号LTが転送されてきたタイミングでシリアルデータ信号をラッチに保持する。その直後に、コントローラ80は、イネーブル信号ENを素子基板101側に転送する。これにより、駆動素子115へ印加パルスが供給される。
【0031】
次に、図3(b)を用いて、こうしたデータ転送タイミングのもと、駆動素子を1つずつ順次選択するとともに、それに同期して検知素子を選択するタイミングについて説明する。
【0032】
まず、コントローラ80は、タイミングt1において、シフトクロック信号CLK_Sにシフトクロックと、シリアルデータ信号D_Sにスタートパルスとを与える。これにより、検知素子選択回路114から出力される選択信号S1をオンする。その結果、Seg1の検知素子102が選択状態になる。
【0033】
タイミングt2において、駆動素子選択回路117は、選択信号D1をオンし、Seg1の駆動素子115を駆動させる。検知素子102は、駆動オン/オフの前後に渡る選択期間で端子電圧V1信号及びV2信号を出力する。これにより、差動増幅器113から差動信号VSが出力される。
【0034】
タイミングt3においては、上記同様にして、Seg2の検知素子106が選択される。そして、タイミングt4において、Seg2の駆動素子が駆動する。これにより、Seg2の検知情報が出力される。以下同様に、Seg3及びSeg4が順次選択され、全セグメントの検知情報が読み出される。
【0035】
なお、ここでのV1信号及びV2信号の波形は、駆動素子を発熱体とし、検知素子を温度検知素子とした場合の波形の一例を示している。この波形は、あくまでも一例であり、駆動素子や検知素子に応じて変化する。
【0036】
以上説明したように実施形態1によれば、検知素子において、定電流ISの配線で共通接続されている端子は、隣接する検知素子の配線を利用して第1の共通配線111に接続される。すなわち、検知素子に設けられる2つの端子の読出配線のうちの一方が不要になる。
【0037】
これにより、検知素子自体を配線として利用するため、素子基板(検知回路)の構成が簡素化される。また、駆動素子を含めた構造、機能及び性能に影響を与えない又は影響を軽減して、検知素子を基板上に設けることができる。
【0038】
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。実施形態2においては、特許文献1で提案されるインクジェット記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドと呼ぶ)に対して、上述した素子基板を記録素子基板として適用する場合について説明する。
【0039】
ここで、まず、図4を用いて、記録装置10の制御系の構成の一例について説明する。
【0040】
記録装置10は、ホスト装置40と接続されている。ホスト装置40は、画像データの供給源となるコンピュータ(或いは、画像読取用のリーダやデジタルカメラなど)で実現される。ホスト装置40と記録装置10との間では、インタフェース(以下、I/Fと呼ぶ)11を介して画像データ、コマンド等の授受が行なわれる。
【0041】
記録装置10は、インクジェット方式に従ってインクを吐出して記録を行なうインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドと呼ぶ)301をキャリッジ(不図示)に搭載し、キャリッジを所定方向に往復移動させて記録を行なう。すなわち、記録ヘッドを記録媒体に対して相対移動させながら、記録媒体上に画像を記録する。
【0042】
ここで、コントローラ部20は、CPU21と、ROM22と、RAM23と、画像処理部24と、記録ヘッド制御部25とを具備して構成される。
【0043】
CPU(Central Processing Unit)21は、コントローラ部20における処理を統括制御する。ROM(Read Only Memory)22は、プログラムや各種データを記憶する。RAM(RandomAccess Memory)23は、CPU21によるプログラムの実行時にワークエリアとして使用され、各種演算結果等を一時的に記憶する。
【0044】
画像処理部24は、ホスト装置40からI/F11を介して受信した画像データに対して各種画像処理を行なう。
【0045】
記録ヘッド制御部25は、記録ヘッド301を制御する。記録ヘッド制御部25は、各種信号を生成し、当該生成した信号を記録ヘッド301へ向けて転送する。この信号により、記録ヘッド301による時分割駆動を制御する。記録ヘッド301へ転送される信号としては、例えば、ヒートイネーブル信号(HE)、ラッチ信号(LT)、シリアルデータ信号(D_H、D_S)、クロック信号(CLK_H、CLK_S)等が挙げられる。
【0046】
記録ヘッド301は、記録ヘッド制御部25から転送されてきた信号に基づいて記録ヘッド301内の各吐出口からインクを吐出させる。記録ヘッド301には、記録素子基板(以下、基板と略す場合もある)302が設けられており、当該基板上には、複数のノズル列が配列される。記録ヘッド301は、例えば、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット方式により構成される。そのため、記録ヘッド301には、ヒータ等で構成される記録素子や、ヒータの駆動制御を行なう制御回路が設けられる。ヒータは、各ノズル(吐出口)に対応して設けられ、記録信号に応じて対応するヒータにパルス電圧が印加される。
【0047】
次に、図5(a)及び図5(b)を用いて、実施形態2に係わる記録ヘッドの構成の一例について説明する。図5(a)は、実施形態2に係わる記録ヘッドの斜視図であり、図5(b)は、図5(a)に示すA−A’の断面構成の一例を示す図である。
【0048】
記録素子基板302には、記録ヘッド301の裏面から表面に貫通してインクを供給するインク供給口303が形成されている。記録素子基板302には、駆動素子として電気熱変換(熱エネルギーを発生)を行なう記録素子305と、検知素子として薄膜抵抗体で形成された温度検知素子304とが設けられている。
【0049】
オリフィスプレート307上には、記録素子305に対応してノズル308が設けられている。ノズルN0〜N7は、インク供給口303を挟んでノズル配列方向に沿って交互に2列で配置されている。電極端子306は、外部配線との接続のために設けられている。
【0050】
図5(b)に示すように、記録素子305及び温度検知素子304は、一対を成して設けられており、一対の記録素子305及び温度検知素子304は、インク供給口303を挟んでそれぞれ配置される。オリフィスプレート307には、記録素子に対応して、インク供給口303と連通した圧力室309と、ノズル308とが形成されている。
【0051】
図6は、記録素子基板302の平面構成及び断面構成の一例を示す図である。ここでは、ノズルの図示については省略している。
【0052】
シリコン基板401上には、SiO2等のフィールド酸化膜402と、絶縁膜403とが積層されており、その上には、Al、Pt、Ti、Ta等の薄膜抵抗体の温度検知素子405と、接続配線するアルミ等のAL1配線404とが形成される。更にその上には、SiO等の層間絶縁膜406が積層されており、TaSiN等の電気熱変換する記録素子407と、シリコン基板に形成された駆動回路を接続するアルミ等のAL2配線408とが形成される。更にその上には、SiN等の保護膜409と記録素子上の耐キャビテーション性を高めるTa等の耐キャビテーション膜410とが積層される。
【0053】
図6上部に示す平面図には、記録素子407及び駆動回路と接続するAL2配線408、太線枠で描かれた温度検知素子405、温度検知素子405の個別配線のAL1配線404A及び共通配線のAL1配線404Bが示されている。ここでの温度検知素子405の形状は、蛇行形状となっている。これは、抵抗値を大きくして検出信号を大きくすることで温度情報を精度良く検出できるようにするためである。温度検知素子405は、AL1配線層において、成膜、パターニングすることで従来の記録素子基板の構造を変えることなく作製される。
【0054】
図7は、記録素子基板302の構成の一例を示す図である。ここでは、4セグメントの2列の記録素子と温度検知素子とを配した構成を例に挙げて説明する。なお、回路とインク供給口との配置関係が分かるように、インク供給口515も図示している。
【0055】
Seg0の記録素子513の一方の端子は、記録素子513へ駆動電圧を供給するVH_Eの配線に接続され、他方の端子は、駆動スイッチ514に接続されている。駆動スイッチ514の他方の端子は、VH_Eのリターン先であるGND_E配線に接続されている。駆動スイッチ514は、記録素子選択回路(不図示)の選択信号H0に従ってオン/オフ制御される。以下、Seg2、Seg4、Seg6も、上記Seg0同様に結線されている。また、Seg0、Seg2、Seg4、Seg6とインク供給口515を挟んで対向する位置に設けられているSeg1〜Seg7も、上記同様に結線されている。
【0056】
Seg0の温度検知素子501の一方の端子は、温度検知素子501に給電を行なう定電流ISの配線で共通接続されている。他方の端子は、選択スイッチ502及び端子電圧を読み出す第2の読出スイッチ503に接続されている。第2の読出スイッチ503の他方の端子は、第2の共通配線511に接続されている。
【0057】
選択スイッチ502の他方の端子は、定電流ISのリターン先であるVSSの配線に接続されている。温度検知素子501に設けられる端子のうち、定電流ISの配線に接続された端子は、定電流ISの配線及びSeg2の温度検知素子505を介して第1の読出スイッチ504に接続されている。第1の読出スイッチ504の他方の端子は、第1の共通配線510に接続されている。Seg2、Seg4、Seg6の温度検知素子にも、上記Seg0同様に結線されている。
【0058】
このように温度検知素子の端子のうち、定電流ISの配線で共通接続されている端子は、隣接する温度検知素子を介して第1の読出スイッチに接続されている。なお、Seg6は、回路端部に設けられているため、定電流ISの配線がそのまま読出スイッチ509に接続されている。これにより、Seg6の温度検知素子の一方の端子は、共通配線510に接続されることになる。
【0059】
共通配線510及び511は、差動増幅器512に接続されている。Seg0〜Seg6の選択スイッチ及び読出スイッチは、温度検知素子選択回路(不図示)の選択信号S0〜S6に従ってオン/オフ制御される。また、インク供給口515を挟んで対向するSeg1〜Seg7においても、上記同様に結線されている。
【0060】
なお、記録素子基板302には、記録素子選択回路や温度検知素子選択回路も設けられているが、これら回路は、実施形態1で説明した駆動素子選択回路117及び検知素子選択回路114と構成や動作が同様である。そのため、ここでは、図示や詳細な説明については省略している。
【0061】
次に、上述した記録素子基板302における動作について説明する。ここでは、Seg0を例に挙げて説明する。
【0062】
まず、温度検知素子選択回路(不図示)は、選択信号S0をオンにし、選択スイッチ502、読出スイッチ503及び504をオンする。これにより、Seg0の温度検知素子501が選択状態になる。
【0063】
選択スイッチ502がオンになり、温度検知素子501に定電流ISが供給されると、温度検知素子501は、温度に応じた端子電圧を出力する。温度検知素子501の選択スイッチ502側の端子電圧V2信号は、第2の読出スイッチ503を介して差動増幅器512に入力される。一方、温度検知素子501の定電流ISの配線側の端子電圧V1信号は、Seg2の温度検知素子505及び第1の読出スイッチ504を介して差動増幅器512に入力される。
【0064】
差動増幅器512は、V1信号及びV2信号を受けて温度検知素子501の端子間電圧となる差動信号VSを出力する。以下同様に、Seg2、Seg4、Seg6も順次選択され、各セグメントの検知情報(温度情報)が読み出される。また、Seg1〜Seg7も同様の動作で温度情報が読み出される。なお、複数の駆動素子における時分割駆動は、Seg0、Seg2、Seg4、Seg6を単位としたグループと、Seg1、Seg3、Seg5、Seg7を単位としたグループとでそれぞれ行なわれる。
【0065】
以上説明したように実施形態2によれば、温度検知素子501において、定電流ISの配線で共通接続された端子は、隣接する温度検知素子を利用して第1の共通配線510に接続される。すなわち、温度検知素子に設けられる2つの端子の読出配線のうちの一方が不要になる。
【0066】
これにより、温度検知素子自体を配線として利用するため、記録素子基板の構成が簡素化される。また、記録素子を含めた構造、機能及び性能に影響を与えない又は影響を軽減して、温度検知素子を設けることができる。
【0067】
(実施形態3)
次に、実施形態3について説明する。実施形態3においては、特開2010−201921号公報で提案される流路構造を有する記録ヘッドに対して、上述した温度検知回路を記録素子基板として適用する場合について説明する。
【0068】
ここで、特開2010−201921号公報には、吐出口に対してインク流路が対称的に配置されている。また、複数の独立供給口に挟まれたインク流路で吐出周波数を高め、更に吐出口間の圧力クロストークを軽減して安定吐出する構成について示されている。なお、記録装置10の制御系の構成は、実施形態2で説明した図4と同様となるため、その説明については省略する。
【0069】
ここで、まず、図8(a)〜図8(c)を用いて、実施形態3に係わる記録ヘッドの構成の一例について説明する。図8(a)は、実施形態3に係わる記録ヘッドの斜視図であり、図8(b)は、図8(a)に示すA−A’の断面構成の一例を示す図であり図8(c)は、図8(a)に示すB−B’の断面構成の一例を示す図である。
【0070】
記録ヘッド601の内部には、共通供給口603が形成されており、複数の独立供給口604は、この共通供給口603を介してインクの供給を受ける。複数の独立供給口604は、記録素子基板602上に形成されており、電気熱変換を行なう駆動素子である記録素子606と、検知素子である薄膜抵抗体で形成された温度検知素子605とが設けられている。電極端子607は、外部配線との接続のために設けられている。
【0071】
図8(c)に示すように、記録素子606及び温度検知素子605は、一対を成して独立供給口の間の梁部に配置されている。オリフィスプレート608には、記録素子に対応して、独立供給口604と連通した圧力室611と、ノズル609とが形成されている。
【0072】
記録ヘッド601の内部には、記録素子基板602に形成された共通供給口603と、独立供給口604と、オリフィスプレート608の液室610とが連通したインク供給路が形成されている。
【0073】
ここで、実施形態3に係わる温度検知回路の比較例として、従来の温度検知回路の構成の一例について説明する。
【0074】
図9(a)には、記録素子と温度検知素子とを配した温度検知回路の構成の一例が示される。ここでは、回路と独立供給口との配置関係が分かるように、独立供給口811及び812も図示している。
【0075】
記録素子809は、独立供給口811及び812の間の梁部に配置されている。記録素子809の一方の端子は、VHの配線に接続され、他方の端子は、駆動スイッチ810に接続されている。駆動スイッチ810の他方の端子は、VHのリターン先であるGND配線に接続されている。駆動スイッチ810は、記録素子選択回路(不図示)の選択信号Hに従ってオン/オフ制御される。
【0076】
温度検知素子801の一方の端子は、温度検知素子801に給電を行なう定電流ISの配線に共通接続されるとともに、また、端子電圧を読み出す第1の読出スイッチ804に接続されている。温度検知素子801の他方の端子は、選択スイッチ802及び端子電圧を読み出す第2の読出スイッチ803に接続されている。
【0077】
読出スイッチ804の他方の端子は、独立供給口811及び812を跨ぐ配線805を介して第1の共通配線807に接続されている。読出スイッチ803の他方の端子は、第2の共通配線808に接続されている。
【0078】
共通配線807及び808は、差動増幅器(不図示)に接続されている。なお、共通配線807及び808は、他配線との間での静電結合や誘導結合による同相雑音が重畳されても差動増幅器によりキャンセルされるように隣接して平行配線されている。温度検知素子をオン/オフ制御する選択信号Sの配線806は、選択スイッチ802、読出スイッチ803、及び読出スイッチ804に接続されている。
【0079】
ここで、図9(b)は、独立供給口811及び812の周りに配置された記録素子809及び温度検知素子801の回路構成の一例を示す図である。ここでは、ポリシリコン等のPOL配線、アルミ等のAL1配線及びAL2配線の3つの配線層が配置され、また、スイッチをMOSトランジスタとした場合のレイアウトの一例を示す。
【0080】
記録素子809は、一方の端子がAL2配線でVHに接続されている。記録素子809の他方の端子は、AL2配線及びスルーホールTHを介して駆動スイッチ810のドレイン電極のAL1配線に接続されている。駆動スイッチ810のソース電極のAL1配線は、スルーホールTHを介してAL2配線のGND配線に接続され、ゲート電極のPOL配線は、選択信号Hに接続されている。
【0081】
温度検知素子801の一方の端子は、定電流ISのAL1配線及び第1の読出スイッチ804のソース電極となるAL1配線に接続されている。温度検知素子801の他方の端子は、AL1配線で選択スイッチ802のドレイン電極となるAL1配線及び第2の読出スイッチ803のソース電極となるAL1配線に接続されている。
【0082】
選択スイッチ802のソース電極のAL1配線は、AL1配線のVSSと接続されている。第1の読出スイッチ804のドレイン電極は、AL1配線805で独立供給口間の梁部を跨いでコンタクトCNTを介してPOL配線に接続されている。また、コンタクトCNTを介してAL1配線の第1の共通配線V1に接続されている。
【0083】
第2の読出スイッチ803のドレイン電極は、AL1配線からコンタクトCNTを介してPOL配線に接続されている。また、コンタクトCNTを介してAL1配線の第2の共通配線V2に接続されている。読出スイッチ803及び804のゲート電極のPOL配線は、独立供給口間の梁部を跨いで配線されている。この配線は、選択スイッチ802のゲート電極に接続されており、温度検知素子を選択するための選択信号Sが転送される。
【0084】
図9(c)は、図9(b)に示すA−A’の断面構成の一例を示す図である。すなわち、供給口縁Eから記録素子809の中心Cにかけての記録素子基板の断面を示す図である。
【0085】
シリコン基板813上に酸化膜が設けられている。その上には、第1配線層POLのポリシリコン配線806、絶縁層、第2配線層AL1のアルミ配線805及び温度検知素子801が形成されている。更にその上には、絶縁層、記録素子809、絶縁層、耐キャビテーション層が形成されている。なお、耐キャビテーション層の上には、不図示ではあるが、ノズル材で流路が形成されている。記録素子809と独立供給口縁Eとの間には、配線領域Mが設けられており、この配線領域Mには、AL1配線805及びPOL配線806があり、独立供給口811及び812を跨いで配線される。
【0086】
ここで、上述した従来の構成においては、AL1配線805及びPOL配線806は、独立供給口811及び812を跨ぐ必要がある。そのため、配線領域Mが必要となり、独立供給口縁Eから記録素子809の中心Cにかけての流路長Lがこの分長くなってしまう。
【0087】
このように流路長が長くなってしまうと、特開2010−201921号公報で述べられている吐出周波数を高める効果が妨げられ、また、ノズル間の間隔も広がり、解像度アップに制約が生じてしまう。解像度を維持する場合は、ノズル列方向の供給口幅を小さく必要があるので、流抵抗を等価にするために供給口の長さ方向を増やさなければならず、記録素子基板が大きくなってしまう。
【0088】
ここで、上述した従来構成の課題を解決するための構成について説明する。すなわち、実施形態3に係わる構成について説明する。まず、図10を用いて、記録素子基板701の結線図の一例について説明する。ここでは、4セグメント分の記録素子と温度検知素子とを配した構成を例に挙げて説明する。なお、回路と独立供給口の配置関係が分かるように独立供給口718及び719も図示している。
【0089】
Seg1の記録素子715は、独立供給口718及び719の間の梁部に配置されている。Seg1の記録素子715の一方の端子は、記録素子715に電圧を供給するVHの配線に接続されており、他方の端子は、駆動スイッチ716に接続されている。駆動スイッチ716の他方の端子は、VHのリターン先であるGND配線に接続されている。
【0090】
駆動スイッチ716は、記録素子選択回路717の選択信号H1に従ってオン/オフ制御される。Seg2〜Seg4も、上記Seg1同様に結線されている。記録素子選択回路717は、実施形態1で説明した駆動素子選択回路117と同様の機能を果たすため、ここではその詳細な説明については省略する。
【0091】
Seg1の温度検知素子702の一方の端子は、温度検知素子702へ供給される定電流ISの配線で共通接続されている。Seg1の温度検知素子702の他方の端子は、選択スイッチ703及び端子電圧を読み出す第2の読出スイッチ704に接続されている。第2の読出スイッチ704の他方の端子は、第2の共通配線712に接続されている。また、選択スイッチ703の他方の端子は、定電流ISのリターン先であるVSSの配線に接続されている。温度検知素子702の定電流ISの配線に接続された端子は、定電流ISの配線及びSeg2の温度検知素子706を介して第1の読出スイッチ705に接続されている。第1の読出スイッチ705の他方の端子は、第1の共通配線711に接続されている。Seg2〜Seg4の温度検知素子も、上記Seg1同様に結線されている。
【0092】
このように温度検知素子のうち、定電流ISの配線で共通接続されている端子は、隣接する温度検知素子を介して第1の読出スイッチに接続されている。なお、Seg4は、回路端部に設けられているため、定電流ISの配線がそのまま読出スイッチ710に結線されている。これにより、Seg4の温度検知素子の一方の端子は、共通配線711に接続されることになる。
【0093】
共通配線711及び712は、差動増幅器713に接続されている。Seg1〜Seg4の選択スイッチ及び読出スイッチは、温度検知素子選択回路714から出力される選択信号S1〜S4に従ってオン/オフ制御される。温度検知素子選択回路714は、実施形態1で説明した検知素子選択回路114と同様の機能を果たすため、ここではその詳細な説明については省略する。
【0094】
図11(a)は、図10の領域Aに示す回路のレイアウトの一例を示す図である。すなわち、独立供給口719の周りに配置された記録素子715及び温度検知素子702の回路構成のレイアウトの一例を示す。ここでは、ポリシリコン等のPOL配線、アルミ等のAL1配線及びAL2配線の3つの配線層が配置され、また、スイッチをMOSトランジスタとした場合のレイアウトの一例を示す。
【0095】
記録素子715は、一方の端子がAL2配線でVHの配線に接続されている。記録素子715の他方の端子は、AL2配線及びスルーホールTHを介して駆動スイッチ716のドレイン電極のAL1配線に接続されている。駆動スイッチ716のソース電極のAL1配線は、スルーホールTHを介してAL2配線のGND配線と接続され、ゲート電極のPOL配線は、記録素子選択回路717の選択信号H1と接続されている。
【0096】
温度検知素子702は、一方の端子が定電流ISのAL1配線で共通接続されている。温度検知素子702の他方は、AL1配線で選択スイッチ703のドレイン電極のAL1配線と、第2の読出スイッチ704のソース電極となるAL1配線とに接続されている。選択スイッチ703のソース電極のAL1配線は、AL1配線のVSS配線と接続されている。第2の読出スイッチ704のドレイン電極は、AL1配線からコンタクトCNTを介してPOL配線に接続されている。また、コンタクトCNTを介してAL1配線の第2の共通配線V2に接続されている。
【0097】
温度検知素子702の端子のうち、定電流ISのAL1配線に接続された端子は、定電流ISのAL1配線及びSeg2の温度検知素子706を介したAL1配線で、第1の読出スイッチ705のソース電極に接続されている。読出スイッチ705のドレイン電極は、AL1配線からコンタクトCNTを介してPOL配線に接続されている。また、コンタクトCNTを介してAL1配線の第1の共通配線V1に接続されている。
【0098】
図11(b)は、図11(a)に示すA−A’の断面構成の一例を示す図である。すなわち独立供給口縁Eから記録素子715の中心Cにかけての記録素子基板701の断面を示す図である。
【0099】
上述した図9(c)に示す従来構成と比べると、図11(b)に示す構成では、記録素子715と温度検知素子702とがレイアウトされるだけとなり、温度検知回路に関わる配線領域Mは不要となる。その結果、流路長Lを延長する必要がなくなる。
【0100】
次に、図10、図11(a)及び図11(b)で説明した実施形態3に係わる記録素子基板701における動作について説明する。ここでは、Seg1を例に挙げて説明する。
【0101】
まず、温度検知素子選択回路714は、選択信号S1をオンにし、選択スイッチ703、読出スイッチ704及び705をオンする。これにより、Seg1の温度検知素子702が選択状態になる。
【0102】
選択スイッチ703がオンになり、温度検知素子702に定電流ISが供給されると、温度検知素子702は、温度に応じた端子電圧を出力する。温度検知素子702の選択スイッチ703側の端子電圧V2信号は、読出スイッチ704を介して差動増幅器713に入力される。一方、温度検知素子702の定電流ISの配線側の端子電圧V1信号は、Seg2の温度検知素子706及び読出スイッチ705を介して差動増幅器713に入力される。
【0103】
差動増幅器713は、V1信号及びV2信号を受けて温度検知素子702の端子間電圧となる差動信号VSを出力する。以下同様に、Seg2〜Seg4も順次選択され、各セグメントの検知情報(温度情報)が読み出される。なお、記録素子選択回路717及び温度検知素子選択回路714は、実施形態1で説明した駆動素子選択回路117及び検知素子選択回路114と同様の構成や動作を行なうため、ここでは、その説明については省略する。
【0104】
以上説明したように実施形態3によれば、温度検知素子において、定電流ISの配線で共通接続された端子は、隣接する温度検知素子を配線として利用して第1の共通配線に接続される。そのため、独立供給口を跨ぐ配線がなくなる。その結果として、流路長や独立供給口の流路領域に影響を与えずに、温度検知回路を設けることができる。
【0105】
(実施形態4)
次に、実施形態4について説明する。上述した実施形態1〜3においては、隣接する温度検知素子を介して温度検知素子の結線を行なう場合について説明したが、これに限られない。例えば、2セグメント以上隔てた温度検知素子を介した結線も可能である。すなわち、選択スイッチにより選択された検知素子以外の検知素子であれば、いずれかの検知素子を介して温度検知素子の結線を行なっても良い。ここでは、その一例として、2つ隣の温度検知素子を介した結線構成の一例について説明する。なお、記録装置10の制御系の構成は、実施形態2で説明した図4と同様となるため、その説明については省略する。
【0106】
図12は、実施形態4に係わる記録素子基板の結線図の一例を示す。ここでは、回路と独立供給口の配置関係が分かるように、独立供給口920及び921も図示している。
【0107】
Seg1の温度検知素子901の一方の端子は、温度検知素子に給電する定電流ISの配線で共通接続されている。Seg1の温度検知素子901の他方の端子は、選択スイッチ902及び端子電圧を読み出す第2の読出スイッチ903に接続され、読出スイッチ903の他方の端子は、第2の共通配線914に接続されている。選択スイッチ902の他方の端子は、定電流ISのリターン先であるVSSの配線に接続されている。
【0108】
温度検知素子901の共通接続された端子は、定電流ISの配線及びSeg3の温度検知素子910を介して第1の読出スイッチ908に接続され、第1の読出スイッチ908の他方の端子は、第1の共通配線913に接続されている。
【0109】
共通配線913及び914は、差動増幅器915に接続されている。温度検知素子選択回路(不図示)から出力される選択信号S1は、選択スイッチ902、第2の読出スイッチ903、及び第1の読出スイッチ908に供給される。
【0110】
Seg2の温度検知素子905も、上記Seg1同様に、2つ隣りのSeg4の温度検知素子911を介して第1の読出スイッチ909に接続されている。Seg3の温度検知素子910においては、定電流ISの配線がそのまま第1の読出スイッチ912に接続されている。これにより、Seg3の温度検知素子910の一方の端子は、第1の共通配線913に接続されている。Seg4の温度検知素子911においては、Seg2の温度検知素子905を介して第1の読出スイッチ904に接続されている。これにより、Seg4の温度検知素子911の一方の端子は、第1の共通配線913に接続されている。
【0111】
次に、上述した記録素子基板における動作について説明する。ここでは、Seg1を例に挙げて説明する。
【0112】
まず、温度検知素子選択回路(不図示)は、選択信号S1をオンにし、選択スイッチ902、読出スイッチ903及び908をオンする。これにより、Seg1の温度検知素子901が選択状態になる。
【0113】
選択スイッチ902がオンになり、温度検知素子901に定電流ISが供給されると、温度検知素子901は、温度に応じた端子電圧を出力する。温度検知素子901の選択スイッチ902側の端子電圧V2信号は、第2の読出スイッチ903を介して差動増幅器915に入力される。一方、温度検知素子901の定電流ISの配線側の端子電圧V1信号は、Seg3の温度検知素子910及び第1の読出スイッチ908を介して差動増幅器915に入力される。
【0114】
差動増幅器915は、V1信号及びV2信号を受けて温度検知素子901の端子間電圧となる差動信号VSを出力する。以下同様に、Seg2〜Seg4も順次選択され、各セグメントの検知情報(温度情報)が読み出される。
【0115】
以上説明したように実施形態4によれば、選択信号S1〜S4の読出スイッチへの結線を変えることにより、隔たった温度検知素子を介して選択された温度検知素子の温度情報を読み出すことができる。これにより、2セグメント以上隔てた温度検知素子を介して第1の共通配線に接続するような構成にした場合であっても、上述した実施形態1〜3同様の効果が得られる。
【0116】
(実施形態5)
次に、実施形態5について説明する。上述した実施形態1〜4においては、1つの温度検知素子を介して温度検知素子の結線を行なう場合について説明したが、これに限られない。ここでは、その構成の一例として、図13に示す構成について説明する。なお、記録装置10の制御系の構成は、実施形態2で説明した図4と同様となるため、その説明については省略する。
【0117】
図13は、実施形態5に係わる記録素子基板の結線図の一例を示す。ここでは、回路と独立供給口の配置関係が分かるように、独立供給口1013及び1014も図示している。
【0118】
Seg1の温度検知素子1001の一方の端子(第1の端子)は、温度検知素子1001に電流を供給する定電流ISの配線に接続されている。Seg1の温度検知素子1001の他方の端子(第2の端子)は、選択スイッチ1002及び端子電圧を読み出す読出スイッチ1003に接続されている。読出スイッチ1003の他方の端子は、第2の共通配線1009に接続されている。選択スイッチ1002の他方の端子は、定電流ISのリターン先であるVSSの配線に接続されている。
【0119】
温度検知素子1001の定電流ISの配線に共通接続された端子は、定電流ISの配線と配線1007(すなわち、他の全ての温度検知素子)とを介して第1の共通配線1008に接続されている。共通配線1008及び1009は、差動増幅器1010に接続されている。
【0120】
温度検知素子選択回路(不図示)から選択信号S1が出力されると、選択スイッチ1002及び読出スイッチ1003がオンされる。Seg2〜Seg4の温度検知素子も、上記Seg1と同様にして結線される。
【0121】
次に、上述した記録素子基板における動作について説明する。ここでは、Seg1を例に挙げて説明する。
【0122】
まず、温度検知素子選択回路(不図示)は、選択信号S1をオンにし、選択スイッチ1002、読出スイッチ1003をオンする。これにより、Seg1の温度検知素子1001が選択状態になる。
【0123】
選択スイッチ1002がオンになり、温度検知素子1001に定電流ISが供給されると、温度検知素子1001は、温度に応じた端子電圧を出力する。温度検知素子1001の選択スイッチ1002側の端子電圧V2信号は、読出スイッチ1003を介して差動増幅器1010に入力される。一方、温度検知素子1001の定電流ISの配線側の端子電圧V1信号は、Seg2〜Seg4の温度検知素子を介して差動増幅器1010に入力される。差動増幅器1010は、V1信号及びV2信号を受けて温度検知素子1001の端子間電圧となる差動信号VSを出力する。以下、Seg2〜Seg4も順次選択され、各セグメントの検知情報(温度情報)が読み出される。
【0124】
以上説明したように実施形態5によれば、各温度検知素子の一方の端子を第1の共通配線1008に直接接続する。これにより、温度検知素子に設けられる2つの端子の読出配線のうちの一方の個別配線が不要になる。
【0125】
(実施形態6)
次に、実施形態6について説明する。実施形態6においては、複数の温度検知素子を直列に接続する結線構成について説明する。なお、記録装置10の制御系の構成は、実施形態2で説明した図4と同様となるため、その説明については省略する。
【0126】
図14は、2列の独立供給口に挟まれる梁部に記録素子と温度検知素子とを配置した記録素子基板の結線図の一例を示す。ここでは、回路と独立供給口の配置関係が分かるように、独立供給口1114及び1115も図示している。
【0127】
Seg1の記録素子1112は、独立供給口1114及び1115の間の梁部に配置されている。Seg1の記録素子1112の一方の端子は、記録素子1112に電圧を供給するVHの配線に接続され、Seg1の記録素子1112の他方の端子は、駆動スイッチ1113に接続されている。駆動スイッチ1113の他方の端子は、VHのリターン先であるGND配線に接続されている。駆動スイッチ1113は、記録素子選択回路(不図示)から出力される選択信号H1に従ってオン/オフ制御される。Seg2〜Seg4も、上記Seg1同様に結線されている。
【0128】
Seg1の温度検知素子1101の一方の端子(第1の端子)は、温度検知素子1101に供給される定電流ISの(上流側の)配線及び読出スイッチ1105に接続されている。Seg1の温度検知素子1101の他方の端子(第2の端子)は、定電流ISの(下流側の)配線に接続されるとともに、Seg1の選択スイッチ1103、Seg2の温度検知素子1106、及びSeg2の読出スイッチ1104に接続されている。選択スイッチ1103の他方の端子は、定電流ISのリターン先であるVSSの配線に接続され、読出スイッチ1105及び1104の他方の端子は、第1の共通配線1109に接続されている。
【0129】
Seg1〜Seg4の温度検知素子が直列に接続されており、終端となるSeg4の温度検知素子の一方の端子及び第1の共通配線1109は、差動増幅器1111に接続されている。また、Seg1及びSeg2の間には、分岐点1102が設けられており、これと同様に、Seg2及びSeg3、Seg3及びSeg4においても、分岐点が設けられている。読出スイッチ1104は、各分岐点からVSSの配線までの経路上に設けられている。
【0130】
次に、上述した記録素子基板における動作について説明する。ここでは、Seg1を例に挙げて説明する。
【0131】
まず、温度検知素子選択回路(不図示)は、選択信号S1をオンにし、選択スイッチ1103、読出スイッチ1105をオンする。これにより、Seg1の温度検知素子1101が選択状態になる。
【0132】
選択スイッチ1103がオンになり、温度検知素子1101に定電流ISが供給されると、温度検知素子1101は、温度に応じた端子電圧を出力する。温度検知素子1101の読出スイッチ1105側の端子電圧V1信号は、読出スイッチ1105を介して差動増幅器1111に入力される。一方、温度検知素子1101における分岐点1102側の端子電圧V2信号は、直列接続されたSeg2〜Seg4の温度検知素子及び配線1110を介して差動増幅器1111に入力される。
【0133】
差動増幅器1111は、V1信号及びV2信号を受けて温度検知素子1101の端子間電圧となる差動信号VSを出力する。以下、Seg2〜Seg4も順次選択され、各セグメントの検知情報(温度情報)が読み出される。
【0134】
以上説明したように実施形態6によれば、温度検知素子列の直接接続の分岐各々の端子電圧と、温度検知素子列の終端(最下流側)の端子電圧とを読み出す。これにより、選択された温度検知素子の温度情報を複数の他の温度検知素子を介して読み出すことができる。
【0135】
(実施形態7)
次に、実施形態7について説明する。上述した実施形態3〜6において、独立供給口の配列方向と平行した列方向の梁部に記録素子を配列するとともに、それに平行して回路を配置する場合について説明した。
【0136】
これに対して、実施形態7においては、独立供給口の配列方向と直交した行方向の梁部に記録素子を配列し、また、回路も直交した位置関係に配置する場合について説明する。なお、記録装置10の制御系の構成は、実施形態2で説明した図4と同様となるため、その説明については省略する。
【0137】
図15(a)〜図15(c)を用いて、実施形態7に係わる記録ヘッドの構成の一例について説明する。図15(a)は、実施形態7に係わる記録ヘッドの斜視図であり、図15(b)は、図15(a)に示すA−A’の断面構成の一例を示す図であり図15(c)は、図15(a)に示すB−B’の断面構成の一例を示す図である。
【0138】
記録ヘッド1201の内部には、共通供給口1203が形成されている。記録素子基板1202には、複数の独立供給口1204が共通供給口1203に連通されるように形成されている。
【0139】
記録素子基板1202には、一対を成して記録素子1206と温度検知素子1205とが設けられている。一対の記録素子1206及び温度検知素子1205は、独立供給口と独立供給口との間の梁部に配置されている。オリフィスプレート1208には、記録素子に対応するように、独立供給口1204と連通した圧力室1211と、ノズル1209が形成されている。この場合、オリフィスプレート1208には、N1〜N4及びN5〜N8の2行×4列のノズルが配列されている。電極端子1207は、外部配線に接続されている。
【0140】
図15(b)に示すように、記録素子基板1202には、共通供給口1203と、独立供給口1204と、オリフィスプレート1208の液室1210とが連通したインク供給路が形成される。
【0141】
ここで、図16を用いて、図15(a)〜図15(c)に示す記録素子基板1202の結線図の一例について説明する。ここでは、8セグメント分の記録素子と温度検知素子とを配した構成を例を挙げて説明する。なお、回路と独立供給口の配置関係が分かるように、独立供給口1314及び1315も図示している。
【0142】
Seg1の記録素子1312は、独立供給口1314及び1315の間の梁部に配置されている。Seg1の記録素子1312の一方の端子は、記録素子1312へ駆動電圧を供給するVHの配線に接続され、Seg1の記録素子1312の他方の端子は、駆動スイッチ1313に接続されている。駆動スイッチ1313の他方の端子は、VHのリターン先であるGND1配線に接続されている。
【0143】
駆動スイッチ1313は、記録素子選択回路(不図示)から出力される選択信号H1に従ってオン/オフ制御される。Seg2、Seg5、Seg6も、上記Seg1同様に結線されている。Seg3、Seg4、Seg7、Seg8は、中央の独立供給口を挟んで対向に配置されている。これらセグメントも、Seg1、Seg2、Seg5、Seg6側と同様に結線されている。なお、記録素子選択回路(不図示)は、実施形態1で説明した駆動素子選択回路117と同様の役割を果たし、Seg1、Seg2、Seg5、Seg6側とSeg3、Seg4、Seg7、Seg8側とに個別にそれぞれ設けられる。
【0144】
Seg2の温度検知素子1305の一方の端子は、温度検知素子1305に供給される定電流ISの配線で共通接続される。Seg2の温度検知素子1305の他方の端子は、選択スイッチ1306及び第2の読出スイッチ1307に接続され、読出スイッチ1307の他方の端子は、第2の共通配線1310に接続されている。
【0145】
第1の読出スイッチ1308の一方の端子は、Seg1の温度検知素子1301を介して定電流ISの配線に接続され、第1の読出スイッチ1308の他方の端子は、第1の共通配線1309に接続されている。
【0146】
Seg1の温度検知素子1301は、一方の端子が温度検知素子に電流を供給する定電流ISの配線に接続されるとともに、読出スイッチ1304に接続される。これにより、読出スイッチ1304を介して第1の共通配線1309に接続されている。Seg1の温度検知素子1301の他方の端子は、選択スイッチ1302及び読出スイッチ1303に接続され、読出スイッチ1303の他方の端子は、第2の共通配線1310に接続されている。共通配線1309及び1310は、差動増幅器1311に接続されている。
【0147】
温度検知素子選択回路(不図示)から出力される選択信号S2は、選択スイッチ1306、読出スイッチ1307及び1308に供給される。2行目のSeg5、Seg6も同様に結線されている。対向する位置に配置されたSeg3、Seg4、Seg7、Seg8も、Seg1、Seg2、Seg5、Seg6と同様に結線されている。
【0148】
なお、温度検知素子選択回路(不図示)は、実施形態1で説明した検知素子選択回路114と同様の役割を果たし、Seg1、Seg2、Seg5、Seg6側とSeg3、Seg4、Seg7、Seg8側とに個別にそれぞれ設けられる。
【0149】
次に、上述した記録素子基板における動作について説明する。ここでは、Seg2を例に挙げて説明する。
【0150】
まず、温度検知素子選択回路(不図示)は、選択信号S2をオンにし、選択スイッチ1306、読出スイッチ1307及び1308をオンする。これにより、Seg2の温度検知素子1305が選択状態になる。
【0151】
選択スイッチ1306がオンになり、温度検知素子1305に定電流ISが供給されると、温度検知素子1305は、温度に応じた端子電圧を出力する。温度検知素子1305の選択スイッチ1306側の端子電圧V2信号は、読出スイッチ1307を介して差動増幅器1311に入力される。一方、温度検知素子1305の定電流ISの配線側の端子電圧V1信号は、Seg1の温度検知素子1301及び読出スイッチ1308を介して差動増幅器1311に入力される。
【0152】
差動増幅器1311は、V1信号及びV2信号を受けて温度検知素子1305の端子間電圧となる差動信号VSを出力する。以下同様に、他のセグメントも順次選択され、各セグメントの検知情報(温度情報)が読み出される。
【0153】
以上説明したように実施形態7によれば、独立供給口の配列方向と直交した行方向の梁部に記録素子を配列するとともに、回路を直交した位置関係に配置した場合であっても、選択された温度検知素子の温度情報を他の温度検知素子を介して読み出すことができる。
【0154】
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが第1端子および第2端子を有し、互いに並列に配置された第1抵抗素子および第2抵抗素子と、
前記第1抵抗素子が通電され、かつ、前記第2抵抗素子が通電されていない状態において、前記第1抵抗素子の前記第1端子の電圧および前記第2抵抗素子の前記第1端子の電圧を検出する検出手段と、
前記第1抵抗素子および前記第2抵抗素子に電流を流すための第1ラインおよび第2ラインと、を含み、
前記第1抵抗素子の前記第1端子および前記第2抵抗素子の前記第1端子は、前記第1ラインに選択的に接続され、前記第1抵抗素子の前記第2端子および前記第2抵抗素子の前記第2端子は、前記第2ラインに共通に接続されている、
ことを特徴とする素子基板。
【請求項2】
前記第2抵抗素子に通電するための電流の経路の長さは、前記第1抵抗素子に通電するための電流の経路の長さよりも長い、
ことを特徴とする請求項1に記載の素子基板。
【請求項3】
前記第2抵抗素子に通電するための前記第1ラインの長さおよび前記第2ラインの長さの和は、前記第1抵抗素子に通電するための前記第1ラインの長さおよび前記第2ラインの長さの和よりも長い、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の素子基板。
【請求項4】
前記第1抵抗素子に対応して設けられた第1駆動素子と、前記第2抵抗素子に対応して設けられた第2駆動素子と、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の素子基板。
【請求項5】
前記第1抵抗素子および前記第2抵抗素子は定電流が供給されて通電される、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の素子基板。
【請求項6】
前記定電流を供給する抵抗素子として、前記第1抵抗素子および第2抵抗素子のいずれか1つを選択する選択ユニットを、さらに含む、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の素子基板。
【請求項7】
前記第1抵抗素子および前記第2抵抗素子に対応して設けられ、前記第1抵抗素子および前記第2抵抗素子の通電された状態と通電されていない状態とを切り替えるためのスイッチを、さらに含む、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の素子基板。
【請求項8】
前記検出手段は、前記第1端子の電圧を入力するための入力部を有し、前記入力部の入力抵抗は、前記入力部に電流が流れ込まないように設定されている、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の素子基板。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の素子基板と、
インクを吐出するノズルと、を有する、
ことを特徴とする記録ヘッド。
【請求項10】
請求項9に記載の記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する定電流を生成する生成手段と、
前記素子基板の動作を制御する制御手段と、を具備する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項1】
それぞれが第1端子および第2端子を有し、互いに並列に配置された第1抵抗素子および第2抵抗素子と、
前記第1抵抗素子が通電され、かつ、前記第2抵抗素子が通電されていない状態において、前記第1抵抗素子の前記第1端子の電圧および前記第2抵抗素子の前記第1端子の電圧を検出する検出手段と、
前記第1抵抗素子および前記第2抵抗素子に電流を流すための第1ラインおよび第2ラインと、を含み、
前記第1抵抗素子の前記第1端子および前記第2抵抗素子の前記第1端子は、前記第1ラインに選択的に接続され、前記第1抵抗素子の前記第2端子および前記第2抵抗素子の前記第2端子は、前記第2ラインに共通に接続されている、
ことを特徴とする素子基板。
【請求項2】
前記第2抵抗素子に通電するための電流の経路の長さは、前記第1抵抗素子に通電するための電流の経路の長さよりも長い、
ことを特徴とする請求項1に記載の素子基板。
【請求項3】
前記第2抵抗素子に通電するための前記第1ラインの長さおよび前記第2ラインの長さの和は、前記第1抵抗素子に通電するための前記第1ラインの長さおよび前記第2ラインの長さの和よりも長い、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の素子基板。
【請求項4】
前記第1抵抗素子に対応して設けられた第1駆動素子と、前記第2抵抗素子に対応して設けられた第2駆動素子と、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の素子基板。
【請求項5】
前記第1抵抗素子および前記第2抵抗素子は定電流が供給されて通電される、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の素子基板。
【請求項6】
前記定電流を供給する抵抗素子として、前記第1抵抗素子および第2抵抗素子のいずれか1つを選択する選択ユニットを、さらに含む、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の素子基板。
【請求項7】
前記第1抵抗素子および前記第2抵抗素子に対応して設けられ、前記第1抵抗素子および前記第2抵抗素子の通電された状態と通電されていない状態とを切り替えるためのスイッチを、さらに含む、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の素子基板。
【請求項8】
前記検出手段は、前記第1端子の電圧を入力するための入力部を有し、前記入力部の入力抵抗は、前記入力部に電流が流れ込まないように設定されている、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の素子基板。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の素子基板と、
インクを吐出するノズルと、を有する、
ことを特徴とする記録ヘッド。
【請求項10】
請求項9に記載の記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに供給する定電流を生成する生成手段と、
前記素子基板の動作を制御する制御手段と、を具備する、
ことを特徴とする記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−99938(P2013−99938A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−226332(P2012−226332)
【出願日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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