説明

紡績糸およびそれを用いてなる布帛

【課題】衣料用途に適するソフト性を有しながら耐フィブリル化を改善するセルロースエステル短繊維を紡績し、湿潤時の強度低下を抑えながらピリングを防止する紡績糸および布帛を提供すること。
【解決手段】少なくとも一部のアシル基が炭素数3以上のものであるセルロースエステルを主成分とする熱可塑性組成物からなり、伸度が5〜40%、繊維長が25〜50mmである熱可塑性セルロースエステル短繊維を有することを特徴とする紡績糸およびそれを用いた布帛。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースエステル短繊維を紡績して得られる紡績糸および布帛に関するものである。より詳しくは、少なくとも一部のアシル基が炭素数3以上のものであるセルロースエステルを主成分とする熱可塑性組成物を溶融紡糸して得られるセルロースエステル短繊維を有する紡績糸、好ましくは、該セルロースエステル短繊維と木綿(以下、「木綿」を単に「綿」と略称)とを混紡して得られる紡績糸および布帛に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セルロースエステルとして従来より用いられているセルロースアセテートは、衣料用フィラメント(長繊維)として用いられる他、ステープル(短繊維)としても使用されている。このような技術として、例えば、セルロースアセテートのステープルを用いたシガレットフィルターが提案されている(例えば、特許文献1参照)。本特許文献1には、「捲縮アセテートレイヨンの長さは、3〜10mmであるが、これは3mm以下では紙力が弱くまた10mm以上で分散、抄紙が困難であるからである」と記載されている。ところが、ここで開示されている短繊維は、たばこフィルター用途には好適に用いることができるものの、繊維長が短すぎるために紡績糸やクッション材などの用途に用いることはできないものであった。また、セルロースアセテートからなる繊維であるため、熱可塑性はほとんどなく、アセトンなどの溶媒を用いたポリマー溶液から溶液紡糸(乾式紡糸)によって製造せざるを得ないことに加えて、得られた繊維も、融着加工や、熱セット加工が困難であるという問題も有していた。また、セルロースアセテートからなる繊維は剛直なため、例えば紡績加工などの際には容易にフィブリル化してしまい、品位の良好な繊維製品を得ることができないものであった。
【0003】
また、無捲縮のセルロースエステル短繊維と叩解パルプとで構成されたたばこフィルター素材も提案されている(例えば、特許文献2参照)。この無捲縮のセルロースエステル短繊維は、平均繊維長が1〜10mmのものであって、セルロースエステルとしてはセルロースアセテートが主として用いられているが、セルロースエステルでもよいとの記載もみられる。ここで開示されている短繊維は、たばこフィルターとしては好適なものの、繊維長が短すぎるために紡績糸やクッション材などの用途に用いることができないものであった。また、セルロースアセテートやセルロースエステルも、本特許文献2に開示されている組成では熱可塑性がないため、本特許文献2に記載されているような単繊維繊度1.1〜11dtexの繊維を得るためには、溶融紡糸は採用することができず、アセトンなどの溶媒を用いたポリマー溶液から溶液紡糸(乾式紡糸)によって製造せざるを得ないものであるとともに、得られた繊維も、単繊維の融着加工や、熱セット加工が困難であるという問題も有していた。また、前記セルロースアセテート繊維は、フィブリルを有するものであり、たばこフィルターではなく繊維製品とするには適さないものであった。
【0004】
また、衣料用途として、竹を原料とするセルロースレーヨンを含む紡績糸も提案されている(例えば、特許文献3参照)、この特許文献3には、この竹を原料とするセルロースレーヨン繊維はアセテートでもよいと記載されている。しかしながら、セルロースアセテートやセルロースエステルも、本特許文献3に開示されている組成では熱可塑性がないため、本特許文献3に記載されているような単繊維繊度0.56〜22dtexの繊維を得るためには、溶融紡糸は採用することができず、アセトンなどの溶媒を用いたポリマー溶液から溶液紡糸(乾式紡糸)によって製造せざるを得ないものであるとともに、得られた繊維も、単繊維の融着加工や、熱セット加工が困難であるという問題も有していた。また、前記のセルロースアセテート短繊維は、フィブリルを有するものであった。
【0005】
一方、レーヨン100%の紡績糸やそれを用いた布帛も知られているが、一般にもっとも多く展開されている木材や竹パルプ、コットンリンターなどからビスコース法や銅アンモニア法によって製造されるレーヨンでも、同じ原料を上記のような方法で製造するアセテートであっても、湿潤時の強度が通常時のおよそ半分くらいになってしまう問題がある。これは汗をかいたときや洗濯時に破れやすくなることを示唆しており、このため、レーヨン100%での紡績糸や布帛は製造は出来てもとくに薄地では実用上において展開が難しい点があった。この解決には合繊を使用する方法もあるが、それではレーヨンが有する吸湿性を犠牲にすることにもなるし、合繊の強度がかえって災いしてピリングの問題を誘発してしまうとい問題がある。一方、綿は同じセルロースながら湿潤時には強度が1〜2割程度上がるほか、ピリングについてもいったん形成されても合繊のように残ったままにならずすぐに脱落する。したがって、セルロースエステル短繊維に綿を混ぜることで吸湿性も維持しながら湿潤時の強度低下を防ぎ、なおかつピリング発生防止もできることが本発明の意義である。
【特許文献1】特公昭44−1953号公報(第1頁)
【特許文献2】特開2003−119613号公報(第3頁)
【特許文献3】特開2001−115347号公報(第1頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明者らは、実用的なセルロースエステル紡績糸としての特性を保持しつつ衣料用途に適した布帛特性を向上すべく鋭意検討したところ本発明に至ったのである。すなわち、本発明の課題は、バイオマス系材料であるセルロースエステルを主成分としながら、適度なソフト性を有し、耐フィブリル化に優れた紡績糸およびそれを用いてなる布帛を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した本発明の課題を達成するため、本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
(1)少なくとも一部のアシル基が炭素数3以上であるセルロースエステルを主成分とする熱可塑性組成物からなり、伸度が5〜40%であり、かつ繊維長が25〜50mmである熱可塑性セルロースエステル短繊維と、木綿とを含有することを特徴とする紡績糸。
(2)該アシル基の炭素数が3以上、18以下であることを特徴とする請求項1に記載の紡績糸。
(3)溶融粘度が5〜500Pa・sの範囲であることを特徴とする(1)または(2)に記載の紡績糸。
(4)該セルロースエステル短繊維の熱可塑性組成物が、セルロースエステル70〜95wt%と環状オレフィン系ポリマー1〜10wt%とを含有するものであることを特徴とする(1)または(2)に記載の紡績糸。
(5)該環状オレフィン系ポリマーが、環状オレフィンと炭素数2以上のα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とする(4)に記載の紡績糸。
(6)該セルロースエステル短繊維のセルロースエステルが、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースプロピオネートブチレート、セルロースプロピオネート、およびセルロースブチレートからなる群から選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の紡績糸。
(7)該セルロースエステル短繊維の初期弾性率が10〜35cN/dtexであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の紡績糸。
(8)該セルロースエステル短繊維のガラス転移温度が100〜180℃であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の紡績糸。
(9)該セルロースエステル短繊維の強度が0.5〜2.0cN/dtexであることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の紡績糸。
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載の紡績糸を50wt%以上含むことを特徴とする布帛。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、繊維高次工程におけるフィブリル発生がなく、工程通過性に優れるとともに、衣料用途分野に適応できる適度なソフト性を有しながらも耐フィブリル性を有するセルロースエステル短繊維からなる紡績糸を得ることができる。また、このセルロースエステル短繊維を紡績して得られる紡績糸は、衣料用素材としての利用の他、熱可塑性を利用した資材用素材としても好適に用いることができる。
【0009】
また、混紡相手を綿混にすると、吸湿性能はそのままで、綿が湿潤時に強度が上がることを利用して強力低下を抑えることができる他、合繊混であるとその強度が災いしてピリングを誘発するうえに吸湿性能を低下させてしまうが、綿混の場合はそのどちらも防ぐことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明におけるセルロースエステルは、セルロースエステルのアシル基の少なくとも一部が、炭素数3以上のものであることが重要である。炭素数が2であるアセチル基のみによって置換されたセルロースアセテートでは、それ自身の熱可塑性が不十分であるため、得られたセルロースエステル短繊維は融着加工や熱セット加工が困難であり、また、剛直であるために容易にフィブリル化してしまうという問題がある。これに対し、例えば炭素数3のアシル基であるプロピオニル基を有するセルロースエステルを用いた場合には、可塑剤の配合によって組成物が良好な熱流動性を有するために、得られるセルロースエステル短繊維は融着加工や熱セット加工が可能であることに加え、溶融紡糸によって繊維化が可能であるという大きな利点を有している。
【0011】
また、セルロースエステルのアシル基の少なくとも一部の炭素数の上限値については特に限定されるものではないが、18以下であることが好ましい。少なくとも一部に導入されるアシル基の炭素数が18以下であれば、セルロースエステルの親水性が極端に失われることもなく、ヌメリ感を生ずることもない。
【0012】
本発明で用いられる少なくとも一部のアシル基が炭素数3以上のものであるセルロースエステルは、セルロース脂肪酸エステルであることが好ましい。具体的には、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースプロピオネートブチレートなどのセルロース混合エステルや、セルロースプロピオネート、セルロースブチレートなどのセルロースエステルが挙げられる。これらの中でも、得られる繊維の吸湿性が高く、ヌメリ感を生じないという観点から、セルロースアセテートプロピオネートあるいはセルロースアセテートブチレートが好ましく用いられる。
【0013】
本発明で用いられるセルロースエステルの製造方法については、特に限定されるものではなく、従来公知の製法で製造することができる。すなわち、セルロースに対して無水酢酸、無水プロピオン酸、無水絡酸などの酸無水物を反応させることによりエステル化し、必要に応じて加水分解を行うことにより置換度を制御する方法によって得ることができる。または、セルロースに対して酸クロライドを用いてエステル化する方法や、トリフルオロ酢酸を用いる方法などによって製造することができる。
【0014】
本発明の紡績糸では、用いるセルロースエステル短繊維の初期弾性率が10〜35cN/dtexであることが好ましい。初期弾性率が10cN/dtex以上であることによって、紡績糸の風合いが過度にソフトになりすぎることがなく、適度なハリコシを有することが可能となる。また、初期弾性率が35cN/dtex以下であることによって紡績工程および紡績糸を用いた最終製品の耐フィブリル性が良好となる。セルロースエステル短繊維の初期弾性率は12〜33cN/texであることがより好ましく、15〜30cN/dtexであることが最も好ましい。
【0015】
本発明で用いられるセルロースエステル短繊維の伸度は、5〜40%のものであることが重要である。伸度が5%以上であることによって、短繊維を用いた繊維加工工程における糸切れが少なくなる。また、40%以下であることによって、例えば綿などの伸度の低い他の短繊維と混紡した時における物性ばらつきが小さくなる。伸度は7%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。また、28%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。
【0016】
本発明で用いられるセルロースエステル短繊維の強度は、0.5〜2.0cN/dtexであることが好ましい。強度が0.5cN/dtex以上であれば、短繊維を用いた繊維加工工程において糸切れによる操業性低下が抑制される。強度は、0.7cN/dtex以上であることがより好ましく、1.0cN/dtex以上であることがさらに好ましい。また、強度は2cN/dtex以下であれば、短繊維を用いた紡績糸およびそれを用いてなる布帛のソフト感が良好なものとなる。
これら本発明で用いられるセルロースエステル短繊維の伸度、初期弾性率および強度は、用いられる熱可塑性組成物の可塑剤の含有率を1〜10wt%、溶融紡糸速度を500〜3000rpmに制御することで所望の値とすることができる。すなわち可塑剤量を増加させると柔軟性が増すが、可塑剤により繊維の配向が阻害されパッキング性が低下するため震度が向上し、初期弾性率および強度が低下する。また溶融紡糸速度を増加させると、紡糸応力が高くなり配向が促進するため、伸度が低下し、初期弾性率および強度が向上する。
【0017】
本発明で用いられるセルロースエステル短繊維の繊維長は、25〜50mmのものである。ここで繊維長とは短繊維の繊維長の平均値を意味しているが、繊維長が25mmに満たない場合には例えば紡績工程において糸切れが多発するなど繊維高次加工工程における操業性が悪化することになる。また、50mm以下であれば綿混において混紡ムラ・番手ムラなどを防止しやすくなる。繊維長は30mm以上であることが好ましく、35mm以上であることがより好ましい。また、45mm以下であることが好ましく、40mm以下であることがより好ましい。
【0018】
また、本発明の紡績糸は、セルロースエステル短繊維を少なくとも15wt%、好ましくは20wt%〜80wt%含有することが好ましい。
【0019】
本発明では、木綿と混紡するため、吸湿性能はそのままで、綿が湿潤時に強度が上がることを利用して強力低下を抑えることができ、また抗ピル性にも優れるという効果がある。
【0020】
複合紡績糸における複合方法は特に限定されるものではなく、一般に合繊との綿混に用いられる方法、たとえば混打綿からカード工程までにおいて、それぞれの原綿を別々の系列に投入して、練条工程で各スライバーを重ね合わせて複合する方法や、精紡工程で粗糸あるいはスライバーを複数本供給して精紡交撚(サイロスパン)を行う方法などが適用できる。
【0021】
また、精紡方法も特に限定されるものではなく、リング精紡方法、ローター式オープンエンド精紡法、結束紡績法などの方法を適用できる。
【0022】
本発明の紡績糸は、本発明の目的を損なわない範囲で、各種フィラメント糸との複合紡績糸、例えば、コアスパンヤーン、精紡交撚糸としてもよく、必要に応じて双糸加工や追撚加工を施しても良い。また、本発明の紡績糸と他の紡績糸、各種フィラメント糸、フィラメント加工糸と交撚したりしても良い。
【0023】
本発明で用いられるセルロースエステル短繊維は、溶融紡糸にて繊維化することが可能なため、今までのセルロースエステルでは溶液紡糸であり実現できなかった単繊維断面を、丸型だけでなく各種異形断面にすることも可能となる。たとえば、三角、Y型、扁平型(短辺に対する長辺の比率が1.3〜4程度でI型断面等)の断面にすることができ、また中空型の断面にすることも可能である。
【0024】
本発明の紡績糸は、少なくとも一部のアシル基が炭素数3以上のものであるセルロースエステルを主成分とする熱可塑性組成物よりなるが、この熱可塑性組成物中のセルロースエステルの含有量は、70〜95wt%であることが好ましい。セルロースエステルの含有量を70wt%以上とすることによって、強度を受け持つセルロースエステルの比率が十分高くなり、短繊維の機械的特性が向上する。熱可塑性組成物中のセルロースエステルの含有量は、75wt%以上であることがより好ましく、80wt%以上であることが最も好ましい。また、組成物の熱流動性を高めて溶融紡糸を可能にするという観点に加え、得られる短繊維の柔軟性を高めるためには、熱可塑性組成物中のセルロースエステルの比率は95wt%以下であることが好ましい。より好ましくは、90wt%以下であり、最も好ましくは85wt%以下である。
【0025】
本発明で用いられる熱可塑性組成物は、環状オレフィン系ポリマーを1〜10wt%含有するものであることが好ましい。本発明で用いられる熱可塑性組成物が1wt%以上の環状オレフィン系ポリマーを含有することで、組成物の熱流動性が良好となり、溶融紡糸によって繊維化することが可能となるとともに、得られたセルロースエステル短繊維は、環状オレフィン系ポリマーを含有しない場合に比べて柔軟性が高くなり、フィブリル発生などの工程トラブルを避けることができる。また、本発明で用いられる熱可塑性組成物において、10wt%以下の環状オレフィン系ポリマー量とすることで、短繊維表面への可塑剤のブリードアウトを抑制することができ、室温での膠着などのトラブルを回避することができる。熱可塑性組成物の環状オレフィン系ポリマー含有量は、フィブリル化を抑制する観点から、2wt%以上であることがより好ましく、また、ブリードアウトを抑制する観点からは、7wt%以下であることが最も好ましい。
【0026】
環状オレフィン系ポリマーは、環状オレフィンと炭素数2以上のα−オレフィンとの共重合体であることが好ましい。
【0027】
本発明のセルロース脂肪酸エステル組成物は、その流動性を高めることを目的に可塑剤を含んでもよい。可塑剤量としては、熱流動性の制御および得られる繊維がセルロース脂肪酸エステルとしての特性を維持する観点から組成物全体に対して5.0重量%〜25.0重量%の範囲であることが好ましい。可塑剤としては、セルロース脂肪酸エステルとの相溶性がよい多価アルコール系可塑剤が好ましく、グリセリン骨格を有したエステル化合物やポリアルキレングリコール、カプロラクトン系化合物などが特に好ましく用いられる。具体的なグリセリン骨格を有したエステル化合物としては、グリセリンアセテートステアレート、グリセリンアセテートパルミテート、グリセリンアセテートラウレート、グリセリンアセテートカプレート、グリセリンアセテートオレート、ジグリセリンテトラブチレート、ジグリセリンテトラカプリレートおよびジグリセリンテトララウレートなどがあげられるがこれらに限定されず、これらを単独もしくは併用して使用可能である。ポリアルキレングリコールの具体的な例としては、平均分子量が好ましくは200〜4000であるポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどがあげられるが、これらに限定されず、これらを単独もしくは併用して使用可能である。
【0028】
本発明におけるセルロースエステルを主成分とする熱可塑性組成物は、必要に応じて、着色防止用の安定剤を含有することができる。着色防止剤としては、ホスファイト化合物、ヒンダードフェノール化合物などを用いることができる。また、その他、滑剤、帯電防止剤、染料、顔料、紫外線吸収剤、抗菌剤、潤滑剤、艶消剤、および生分解促進剤などの添加剤についても、これらを単独もしくは併用して含有することができる。可塑剤以外の添加剤の含有量については、セルロースエステル短繊維の特性を損なわないため、組成物全体に対して0.5wt%以下であることが好ましく、より好ましくは0.2wt%以下であることが最も好ましい。
【0029】
本発明で用いられるセルロースエステルを主成分とする熱可塑性組成物は、260℃、120sec−1における溶融粘度が5〜500Pa・secであることが好ましい。溶融紡糸の際には260℃、120sec−1における溶融粘度が5Pa・sec以上であることで、口金背面圧が十分に得られるため、分配性が良好となり、繊度の均一性に優れた短繊維が得られるという利点を有している。一方、溶融粘度が500Pa・sec以下である場合には、紡出糸条の製糸性が良好であり、十分な配向が得られて力学特性の優れた繊維となる。繊維の優れた機械的特性の観点から、260℃、120sec−1における溶融粘度は10〜300Pa・secであることが好ましい。260℃、120sec−1での溶融粘度は、毛管形レオメーターで求める値であり、実施例で詳細に説明する。
【0030】
本発明で用いられるセルロースエステルと可塑剤、あるいは各種添加剤との混合に際しては、エクストルーダー、ニーダー、ロールミルおよびバンバリーミキサーなどの通常使用されている公知の混合機を特に制限なく用いることができる。
【0031】
本発明で用いられるセルロースエステル短繊維は、用いられるセルロースエステルを主成分とする熱可塑性樹脂の組成および可塑剤の含有率によって制御することができる。たとえば、ガラス転移温度を100℃以上にするためには、セルロースエステルの側鎖のアシル基炭素数を3以上とすることによって達成できる。また、可塑剤の含有率を高くすることによって単繊維のガラス転移温度をその含有率に応じて低下させることができる。なお、繊維のガラス転移温度の範囲は100〜180℃であることが好ましい。ガラス転移温度が100℃以上であれば熱水中においてもへたりが生じることがないため好ましい。耐熱軟化性の観点から、本発明のセルロースエステル短繊維のガラス転移温度は110℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることが最も好ましい。また、180℃以下であれば繊維を過度に加熱することなく、熱接着処理が可能となるため好ましい。優れた成形性の観点から、本発明のセルロースエステル短繊維のガラス転移温度は170℃以下であることがより好ましく、150℃以下であることが最も好ましい。
【0032】
本発明のセルロースエステル短繊維の強度は、0.5〜2.0cN/dtexであることが好ましい。強度が0.5cN/dtex以上であれば、短繊維を用いた繊維加工工程において糸切れによる操業性低下が抑制されるため好ましい。強度は、0.7cN/dtex以上であることがより好ましく、1.0cN/dtex以上であることがさらに好ましい。また、2.0cN/dtex以下であれば短繊維を用いた紡績糸およびそれを用いてなる布帛のソフト感が良好なものとなるため好ましい。
【0033】
本発明のセルロースエステル短繊維と綿との綿混紡績糸は、布帛としたときの張り腰の点からセルロースエステル短繊維の紡績糸に占める割合は20wt%以上にすることが好ましい。また混紡相手の綿については湿潤時のセルロースエステルの強度低下による紡績糸、布帛の強度低下を防止するために20wt%以上混紡することが好ましい。すなわち、本発明の綿混紡績糸においてセルロースエステル短繊維の紡績糸に占める割合は20〜80wt%の範囲であることが好ましい。
【0034】
本発明の紡績糸は、この紡績糸を100wt%用いて織編物などの布帛にすることはもちろん、他の繊維糸条と交織、交編して使用することができる。本発明の紡績糸を交編や交織して使用する場合においても、織編物の張り腰を満足させるためには織編物重量に対して、本発明の紡績糸を少なくとも50wt%以上を含むことが好ましい。
【0035】
本発明の紡績糸と布帛は適度なソフト性と風合いを有し、耐フィブリル化に優れているため婦人インナーおよびブラウスなどの衣料用途に好適である。
【実施例】
【0036】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。なお、絡合性、耐フィブリル性、光沢感および風合いについては、下記の方法で測定、評価を行ったが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)繊維長、強度、伸度、初期弾性率
繊維長はJIS L 1015(2001年度版)に基づいて測定を行った。250mgの試料を金くしで平行に引きそろえ、ペア型ソーターでステープルダイヤグラムをビロード板上に25cm幅に配列するものである。この上に目盛を刻んだセルロイド板をおいて、方眼紙上に図示し、この方法で図記したステープルダイヤグラムを50の繊維長群に等分し、各区分の境線および両端の繊維長を測定し、両端繊維長の平均に49の境界繊維長を加えて50で除し、平均繊維長(mm)を算出、これを2回くりかえした平均値を採用する。
【0037】
強度、伸度、初期弾性率はJIS L 1015(2001年度版)に基づいて測定を行った。オリエンテック社製テンシロンUCT−100型を用い、つかみ長20mm、引張速度20mm/minの条件で引張試験を行って、最大荷重の示す点の応力を繊度で除した値を繊維強度(cN/dtex)とした。また破断時の伸度を繊維の伸度(%)とした。測定回数は30回であり、その平均値を強度、伸度および初期弾性率とした。
(2)溶融粘度
東洋精機社製キャピログラフ1Bを用い、L=40mm、D=1mmのダイにて、温度260℃、120−1(ヘッドスピード10mm/min)で測定した値(Pa・s)をそのまま用いた。なお、樹脂は測定前に80℃の温度にて8hrの減圧乾燥を行い、測定時には熱劣化の影響を避けるため樹脂の充填開始後10min以内に測定を行った。
(3)ガラス転移温度
ガラス転移温度は、TA Instruments社製のDSC2920ModulatedDSCを用い、以下の条件にて行った。ガラス転移温度は、2nd runのチャートから算出した。
<共通条件>
・サンプル量:10mg
・雰囲気 :窒素
<1st run>
・昇温速度:50℃/分
・開始温度:20℃
・終了温度:220℃
・保持時間:5分
<冷却>
・急冷
<2nd run>
・昇温速度:2℃/min
・開始温度:20℃
・終了温度:250℃。
(4)耐フィブリル性
染色した織物を準備し、直径10cmおよび17.5cmの試料にそれぞれ3枚採取し、試験片を上下ホルダーにセットする。その時上部試験片を蒸留水で湿潤させたガーゼで完全に湿らす。その状態で押圧750g、10分間摩擦した後、上部の試験片を標準状態で4時間以上放置した後、摩耗部分の単繊維のフィブリル化状態を20倍の拡大鏡で観察し、フィブリル化の発生程度を1〜5級にランク付けし、数字が大きいほどフィブリル化発生が少ないことを示す。
(5)光沢感
染色した織物を用いて10人の被験者による官能試験を総合して光沢を評価した。美しい光沢を持つものを○、光沢の少ないものを△、光沢のないものを×とした。
(6)風合い特性
染色した織物を用いて触手による官能試験を実施した。ソフト感および品位について5人のパネラーにて評価し、「極めて優れている」は◎、「優れている」は○、「普通」は△、「劣っている」は×とし、「優れている」の○以上を合格とした。
(7)ピリング
JIS L 1076A法に従い、ICI型試験機で10時間操作後の布帛外観をピリング判定標準写真に照合して等級判定した。
(8)引裂強力
JIS L 1096D法に従い、エレメンドルフ型引裂試験機にて経、緯の強力を測定した。湿潤時については20℃×30分浸水処理後の布帛強力を測定した。
(9)吸湿率(△MR)
布帛から5cm×5cmの試験片として採取し、この試験片を20℃×65%の恒温恒湿器内で24時間調湿した後の重量を測定しこれをW1、次に30℃×90%の恒温恒湿器内部で24時間調湿した後の重量を測定しこれをW2、最後に試料を絶乾させ、このときの重量を測定しこれをW3とする。
【0038】
これらの重さから20℃×65%の吸湿率MR1と30℃×90%の吸湿率MR2を次式に従って算出し、両者の差を△MR=MR2−MR1の差として吸湿率とする。
【0039】
MR1=(W1−W3)/W3×100(%)
MR2=(W2−W3)/W3×100(%)
△MR=MR2−MR1
(実施例1)
セルロース(日本製紙ケミカル(株)製溶解パルプ、NDP−S)10.0kgに、酢酸24.0kgとプロピオン酸6.7kgを加え、50℃の温度で30分間攪拌した。得られた混合物を15℃の温度まで冷却した後、氷浴中で冷却した無水酢酸17.2kg、無水プロピオン酸16.8kgをエステル化剤としえ、硫酸を0.4kg触媒として加えて150分間撹拌を行い、エステル化反応を行った。エステル化反応において、温度が40℃を越える場合は水浴で冷却した。反応後、反応停止剤として酢酸33.0kgと水17.0kgの混合溶液を20分間かけて添加し、過剰の無水物を加水分解させた。その後酢酸33.0kgと水10.0kgを加えて80℃の温度で1時間加熱撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム0.6kgを含む水溶液を加えて、析出したセルロースアセテートを濾別し、続いて水で洗浄した後、60℃の温度で4時間乾燥した。
【0040】
得られたセルロースアセテートプロピオネートのアセチル置換度は1.9であり、プロピオニル置換度は0.6であった。
【0041】
このようにして得られたセルロースアセテートプロピオネート77.9wt%と、環状オレフィン系ポリマー(三井化学社製「APEL(登録商標)6015T」)5.0重量%および平均分子量600のポリエチレングリコール(三洋化成(株)製、PEG600)17wt%を、2軸エクストルーダーを用いて混練し、熱可塑性組成物のペレットを得た。得られたペレットの260℃、120sec−1における溶融融粘度は、260Pa・secであった。
【0042】
続いて前記のペレットを真空乾燥した後、エクストルーダー式溶融紡糸機で、紡糸温度260℃にて溶融し、0.20mmφ−0.30mmLの口金孔を72ホール有する口金より紡出した。紡出糸は25℃の温度のチムニー風により冷却した後、油剤を付与して集束し、1000m/minで回転するゴデットローラーにより引き取り、160dtex−72fil(単繊維繊度2.2dtex)の繊維を一旦ドラムに巻き取った。このドラムを10本準備して引き揃えを行い、1600dtex−720filのサブトウとし、さらにこのサブトウ30本を引き揃えて48000dtex−21600filのトウにした。
【0043】
得られたトウを延伸倍率を1.0としたステープル延伸機を使用し、スタッファーボックスで機械捲縮を付与した後、その後繊維長が38mmの長さとなるようにカッティングを行った。得られたセルロースエステル短繊維(単繊維繊度2.2dtex、繊維長38mm)の強度は1.0cN/dtexであり、伸度は25.3%であり、初期弾性率は23.6cN/dtexであり、ガラス転移温度は115℃であった。この得られたセルロースエステル短繊維を単独で投入して太さを400ゲレン/6ヤードに調整したスライバーをつくった。一方、米国産スーピマ綿(マイクロネヤー繊度3.6、平均繊維長0.55cm)を単独で投入して太さを360ゲレン/6ヤードに調整したスライバーをつくった。その後セルロースエステルからなるスライバーを5本、米綿からなるスライバーを3本同時に練条機に投入することにより混紡した後、通常のリング紡績法を用いて撚数8.2T/cmを付与し綿式番手30s、混率セルロースエステル65%/綿35%の紡績糸を得た。この紡績糸を生機経糸および緯糸側構成糸に用いて織密度134×26本/cm、2/1ツイル組織となる生機を製織した。この生機を通常の生機の染色法に準じ、リラックス・精練と染色および乾燥、仕上加工を行い、織物を得た。
【0044】
(実施例2)
実施例1と同様にして得られた紡績糸を生機緯糸側構成糸に用い、同様のリング紡績法を用いて得られた綿紡績糸30sを生機経糸側構成糸に用い、織密度134×26本/cm、2/1ツイル組織となる生機を製織した。この生機を通常の生機の染色法に準じ、リラックス・精練と染色および乾燥、仕上加工を行い、織物を得た。
【0045】
(比較例1)
アセトンを溶媒として乾式紡糸法により得られた市販のセルロースジアセテート繊維(84dtex−42fil)を30本引き揃えて2520dtex−1200filのサブトウとし、さらにこのサブトウ38本を引き揃えて95760dtex−45600dtex(単繊維繊度2.2dtex)のトウにした。
【0046】
得られたトウを延伸倍率を1.0としたステープル延伸機を使用し、スタッファーボックスで機械捲縮を付与した後、その後繊維長が38mmになるようにカッティングを行って得られたセルロースジアセテート短繊維(単繊維繊度2.2dtex、繊維長38mm、初期弾性率36.2cN/dtex)の強度は1.0cN/dtexであり、伸度は25.3%であり、初期弾性率は23.6cN/dtexであり、ガラス転移温度は115℃であった。この得られたセルロースエステル短繊維を単独で投入して太さを400ゲレン/6ヤードに調整したスライバーをつくった。一方、米国産スーピマ綿(マイクロネヤー繊度3.6、平均繊維長0.55cm)を単独で投入して太さを360ゲレン/6ヤードに調整したスライバーをつくった。その後セルロースエステルからなるスライバーを5本、米綿からなるスライバーを3本同時に練条機に投入することにより混紡した後、実施例1と同様の紡績条件を用いて綿式番手30s、混率セルロースエステル65%/綿35%の紡績糸を得た。この紡績糸を用いて実施例1と同様にして製織、染色工程にて布帛を作成し、織物を得た。
【0047】
セルロースジアセテートが炭素数3以上のアシル基を有するものでないこと、繊維の初期弾性率が36.2cN/dtexと高いことに起因して、紡績糸織物の耐フィブリル試験では著しいフィブリル化が見られ、評価は1〜2級であった。
【0048】
(比較例2)
塩化メチレンを溶媒として乾式紡糸法により得られた市販のセルロースジアセテート繊維(84dtex−20fil)を30本引き揃えて2520dtex−600filのサブトウとし、さらにこのサブトウ38本を引き揃えて75600dtex−22800dtex3(単糸繊度3.3dtex)のトウにした。
【0049】
得られたトウを延伸倍率を1.0としたステープル延伸機を使用し、スタッファーボックスで機械捲縮を付与した後、その後繊維長が38mmになるようにカッティングを行って得られたセルローストリアセテート短繊維(単繊維繊度2.2dtex、繊維長38mm、初期弾性率40.5cN/dtex)の強度は1.0cN/dtexであり、伸度は25.3%であり、初期弾性率は23.6cN/dtexであり、ガラス転移温度は115℃であった。この得られたセルロースエステル短繊維を単独で投入して太さを400ゲレン/6ヤードに調整したスライバーをつくった。一方、米国産スーピマ綿(マイクロネヤー繊度3.6、平均繊維長0.55cm)を単独で投入して太さを360ゲレン/6ヤードに調整したスライバーをつくった。その後セルロースエステルからなるスライバーを5本、米綿からなるスライバーを3本同時に練条機に投入することにより混紡した後、実施例1と同様の紡績条件を用いて綿式番手30s、混率セルロースエステル65%/綿35%の紡績糸を得た。この紡績糸を用いて実施例1と同様にして製織、染色工程にて布帛を作成し、織物を得た。
【0050】
セルローストリアセテートが炭素数3以上のアシル基を有するものでないこと、繊維の初期弾性率が40.5cN/dtexと高いことに起因して、紡績糸織物の耐フィブリル性試験では著しいフィブリル化が見られ、評価は1〜2級であった。
【0051】
(比較例3)
実施例1と同様にして得られたセルロースエステル短繊維(単繊維繊度2.2dtex、繊維長38mm)100wt%とした以外は、実施例1と同様の紡績条件を用いて綿式番手30sの紡績糸を得た。この紡績糸を用いて実施例1と同様にして製織、染色工程にて布帛を作成し、織物を得た。このとき耐フィブリル性は問題なかったが、湿潤時の引裂強力がやや低く、実用には不適なものであった。
【0052】
(比較例4)
実施例1と同様にして得られたセルロースエステル短繊維(単繊維繊度2.2dtex、繊維長38mm)65wt%とポリエチレンテレフタレート短繊維(単繊維繊度2.2dtex、繊維長38mm)35wt%を混紡し、実施例1と同様の紡績条件を用いて綿式番手30sの紡績糸を得た。この紡績糸を用いて実施例1と同様にして製織、染色工程にて布帛を作成し、織物を得た。このとき耐フィブリル性は問題なかったが、ピリング性がやや悪く実用には不適なものとなった。
【0053】
以上6点のスパン織物について評価した結果を表1に示す。
【0054】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の紡績糸は、繊維高次工程におけるフィブリル発生がなく、工程通過性に優れるとともに、衣料用途分野に適応できる適度なソフト性を有しながらも耐フィブリル化性を有し、衣料用素材としての利用の他、熱可塑性を利用した資材用素材としても好適に用いることができ、有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部のアシル基が炭素数3以上であるセルロースエステルを主成分とする熱可塑性組成物からなり、伸度が5〜40%であり、かつ繊維長が25〜50mmである熱可塑性セルロースエステル短繊維と、木綿とを含有することを特徴とする紡績糸。
【請求項2】
該アシル基の炭素数が3以上、18以下であることを特徴とする請求項1に記載の紡績糸。
【請求項3】
溶融粘度が5〜500Pa・sの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の紡績糸。
【請求項4】
該セルロースエステル短繊維の熱可塑性組成物が、セルロースエステル70〜95wt%と環状オレフィン系ポリマー1〜10wt%とを含有するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の紡績糸。
【請求項5】
該環状オレフィン系ポリマーが、環状オレフィンと炭素数2以上のα−オレフィンとの共重合体であることを特徴とする請求項4に記載の紡績糸。
【請求項6】
該セルロースエステルが、セルロース脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の紡績糸。
【請求項7】
該セルロースエステル短繊維のセルロースエステルが、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースプロピオネートブチレート、セルロースプロピオネート、およびセルロースブチレートからなる群から選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の紡績糸。
【請求項8】
該セルロースエステル短繊維の初期弾性率が10〜35cN/dtexであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の紡績糸。
【請求項9】
該セルロースエステル短繊維のガラス転移温度が100〜180℃であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の紡績糸。
【請求項10】
該セルロースエステル短繊維の強度が0.5〜2.0cN/dtexであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の紡績糸。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の紡績糸を50wt%以上含むことを特徴とする布帛。

【公開番号】特開2007−297730(P2007−297730A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−124898(P2006−124898)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】