説明

紫外光源点灯装置および紫外線照射装置

【課題】
細長い複数灯の紫外光源を隣接配置する構成において、細長い紫外光源の一部が点灯中に何らかの原因で不点になった場合に適切なバックアップを行う紫外光源点灯装置およびこれを用いた紫外線照射装置を提供する。
【解決手段】
紫外光源点灯装置UVOは、それぞれが放射した紫外光を合成して被照射面を照射するように隣接配置された細長い複数灯の紫外光源UVLと、複数灯の紫外光源をそれぞれ点灯する点灯回路OCと、複数灯の紫外光源の不点を検出する不点検出手段Dと、不点検出手段に連動して不点になった紫外光源に隣接する紫外光源の点灯回路を制御して紫外光出力を増加させる不点時バックアップ手段BAとを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細長い複数灯の紫外光源を点灯する紫外光源点灯装置およびこれを用いた紫外線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
細長い紫外光源としては、殺菌ランプ、メタルハライドランプおよびエキシマランプなどが知られている。紫外光源から放射される紫外光の応用は多岐にわたる。
【0003】
上記の紫外光源の中でもエキシマランプは、多様な形状およびサイズに製作しやすいために、照射面積の大きさに制限を受けにくいとともに、効果的な波長の放射を発生できるという特徴がある。すなわち、エキシマランプは、キセノンなどの希ガスまたは希ガスのハロゲン化物などを無声放電すなわち誘電体バリア放電を行わせて、固有の単色に近い放射を発生させるランプであり、数多くの文献に記載されて従来から知られている(例えば、特許文献1参照。)。誘電体バリア放電においては、パルス状の電流が流れる。このパルス状の電流は、高速の電子流を持ち、かつ、休止期間が多いため、キセノンなどの紫外線を出す物質を一時的に分子状態(エキシマ状態)に結合させ、それが基底状態に戻るときに再吸収の少ない短波長紫外線を効率よく放出する。なお、キセノンの場合、172nmを中心波長とする半値幅の広い分子発光を行う。波長172nmの紫外線は、そのエネルギーが低圧水銀ランプから得られる波長185nmや254nmの紫外線より大きいとともに、分解したい有機化合物の結合エネルギーより大きい。このため、波長172nmの紫外線を照射することによって、上記有機化合物の結合を切断し、分解して除去することができる。さらに、波長172nmの紫外線照射を大気雰囲気中で行うことにより、大気中の酸素が分解して活性酸素を生成し、結合が切断された有機化合物が活性酸素と反応して、炭酸ガス(CO)や水(HO)などを生成させるので、有機化合物の除去が容易になる。したがって、エキシマランプは、細長い紫外線光源として甚だ効果的である。特許文献1では、細長い管状の気密容器を用いている。そうして、有効長が1mを超えるものが用いられるようになった。このような長尺の細長いエキシマランプを用いると、例えば大面積液晶基板のアッシング、感光性樹脂の硬化および殺菌など多様な工業的応用が可能になる。
【0004】
ところで、細長い紫外光源の多くの用途においては、所望の照射面積および紫外線照射強度を得るために、その複数灯を隣接配置するように構成している。
【特許文献1】特開2003−197152号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、細長い複数灯の紫外光源を隣接配置する場合、その一部が点灯中に何らかの原因で不点になったときに、紫外光照射を続行すると、所要の照射強度が得られないために、紫外光照射工程に品質不良を生じる。そこで、このような非常時に適切なバックアップが要求されるが、従来技術においてはこれに応えることができなかった。
【0006】
本発明は、細長い複数灯の紫外光源を隣接配置する構成において、紫外光源の一部が点灯中に何らかの原因で不点になった場合に適切なバックアップを行う紫外光源点灯装置およびこれを用いた紫外線照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の紫外光源点灯装置は、それぞれが放射した紫外光を合成して被照射面を照射するように隣接配置された細長い複数灯の紫外光源と;複数灯の紫外光源をそれぞれ点灯する点灯回路と;複数灯の紫外光源の不点を検出する不点検出手段と;不点検出手段に連動して不点になった紫外光源に隣接する紫外光源の点灯回路を制御して紫外光出力を増加させる不点時バックアップ手段と;を具備していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、細長い複数灯の紫外光源の一部が点灯中に何らかの原因で不点になった場合に適切なバックアップを行うので、紫外光照射を続行しても所要の照射強度が得られるため、紫外光照射工程に品質不良を生じることが無くなり、信頼性の高い紫外光源点灯装置およびこれを用いた紫外線照射装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[第1の形態]
図1は、本発明の紫外光源点灯装置を実施するための第1の形態の回路ブロック図である。本形態において、紫外光源点灯装置UVOは、細長い紫外光源UVL、点灯回路OC、不点検出手段Dおよび不点時バックアップ手段BAを具備している。また、上記のうち紫外光源UVL、点灯回路OCおよび不点検出手段Dは、それぞれ複数組用いられ、図中それぞれの要素を示す符号の末尾に1、2、3、…nの数値が付記されている。
【0010】
〔細長い紫外光源UVLについて〕 細長い紫外光源UVLは、点灯により主として紫外光を発生する細長い発光部を有する光源であり、例えば水銀蒸気放電ランプ、メタルハライドランプおよびエキシマランプなどを適宜選択して用いることができる。なお、水銀蒸気放電ランプは、紫外線透過性バルブの内部に水銀および希ガスを封入し、水銀蒸気放電により主として水銀の特性スペクトルである波長254nmまたは360nmの紫外線を放射するように構成されたランプである。また、メタルハライドランプは、鉄(Fe)などの放電時に主として紫外線を放射する金属のハロゲン化物、希ガスおよび水銀などのランプ電圧形成金属または金属ハロゲン化物を封入したランプである。上記水銀蒸気放電ランプおよびメタルハライドランプは、一対の電極を放電容器内に封装した有電極形および放電容器の外部に励起コイルを巻装した無電極形のいずれであってもよい。さらに、エキシマランプは、既述のとおりである。
【0011】
図1に示す形態においては、細長い複数灯の紫外光源UVL1、UVL2、UVL3、…UVLnが隣接して配置され、かつ、並列接続され、それぞれ後述する点灯回路OC1、OC2、OC3、…OCnにより点灯される。
【0012】
〔点灯回路OCについて〕 点灯回路OCは、細長い紫外光源UVLを点灯させる回路手段であり、細長い紫外光源UVLの種類に応じて既知の各種点灯回路を用いることができる細長い紫外光源UVLが水銀蒸気放電ランプおよびメタルハライドランプであって、有電極形の場合には、バラストと称される限流インピーダンスを紫外光源UVLに対して直列接続して含んでいる必要がある。しかし、無電極形の場合には、バラストが不要である。また、エキシマランプの場合、その気密容器の壁面を誘電体とする誘電体バリア放電を利用するので、同様にバラストが不要である。
【0013】
また、点灯回路OCは、点灯する細長い紫外光源UVLの特性に応じて所要の周波数、波形および電圧値を有する電圧を当該紫外光源UVLに印加するために、電圧発生回路を備えている。この電圧発生回路は、電源をそのまま利用することもできるが、所望の電圧を発生させるために電圧変換回路を用いるのが好ましい。電圧変換回路としては、DC−DC変換回路およびDC−AC変換回路などを単独または組み合わせて用いることができる。比較的制御が容易な構成の一例を述べれば、直流チョッパおよびインバータを従属接続する態様である。この態様においては、直流チョッパで所望値の平滑化直流電圧を得て、この平滑化直流電圧をさらにインバータで所望周波数および波形の交流電圧またはパルス電圧に変換することができる。
【0014】
図1に示す形態において、点灯回路OCは、点灯主回路mcおよび制御回路ccにより構成されている。点灯主回路mcは、主として細長い紫外光源UVLへの印加電圧およびランプ電流を扱うパワー系回路である。制御回路ccは、点灯主回路mcの動作信号を発生してこれを点灯主回路mcに制御入力する制御系回路である。
【0015】
複数の点灯回路OC1、OC2、OC3、…OCnが低周波交流電源ACに並列接続する。
【0016】
〔不点検出手段Dについて〕 不点検出手段Dは、細長い紫外光源UVLの不点を検出する手段であり、細長い複数灯の紫外光源UVLの不点を個別に検出する。本発明において、不点の検出のための構成は特段限定されない。例えば、細長い紫外光源UVLから放射される紫外光や点灯回路における電流や電圧の変化により細長い紫外光源UVLの点灯状態を常時監視して、紫外光が途絶えたときや点灯回路における電流や電圧が消灯時に対応する変化を生じたときに、これらを不点現象として検出することで不点を検出できる。
【0017】
また、上記のように不点検出手段Dが細長い紫外光源UVLの点灯状態を常時監視するような構成の場合には、上記点灯状態を帰還制御することにより、細長い紫外光源UVLを定照度制御したり、所望レベルに調光したりすることもできる。さらに、細長い紫外光源UVLの不点検出時に点灯回路OCを制御してその出力を停止させて、安全のために保護を図ることもできる。
【0018】
図1に示す形態において、不点検出手段Dは、細長い複数灯の紫外光源UVL1、UVL2、UVL3、…UVLnの各々に対応してその複数がD1、D2、D3、…Dnとして配設される、また、それぞれが紫外線センサSUV1、SUV2、SUV3、…SUVnおよび判定回路J1、J2、J3、…Jnの組により構成されている。そして、紫外線センサSUVから得られる出力レベルを対応する判定回路Jが監視して紫外光源UVLの不点を個々に判定する。
【0019】
〔不点時バックアップ手段BAについて〕 不点時バックアップ手段BAは、細長い複数灯の紫外光源UVLの一部が不点になった際に、残余の紫外光源UVLのうち不点になった細長い紫外光源UVLに隣接する細長い紫外光源UVLの紫外光出力を増加させる回路手段である。細長い紫外光源UVLの紫外光出力の増加は、当該紫外光源UVLの点灯回路OCを制御して高出力化させることによりこれを行うことができる。
【0020】
また、不点時バックアップ手段BAは、上述した不点時バックアップを行うために、不点検出手段Dからの不点検出出力に応動する。そして、不点になった細長い紫外光源UVLに隣接する細長い紫外光源UVLに対して紫外光出力を増加させるための制御信号を送出する。なお、不点になった細長い紫外光源UVLとそれに隣接する細長い紫外光源UVLとの関係は、予めテーブルデータとして不点時バックアップ手段BA内に記憶させておき、必要時に当該テーブルデータを読み出して比較演算することにより、容易にこれを知ることができる。
【0021】
さらに、不点時バックアップ手段BAは、表示手段IDを備えていることが許容される。表示手段IDを備えていることにより、不点時バックアップを行うと同時にいずれかの紫外光源UVLが不点になったことを表示できる。
【0022】
〔紫外光源点灯装置UVOの動作について〕 紫外光源点灯装置UVOの電源を投入すると、細長い複数灯の紫外光源UVLが点灯して紫外光を放射する。これにより、照射面において紫外光を被照射物に照射して、被照射物に所要の照射処理を行うことができる。
【0023】
点灯中、細長い複数灯の紫外光源UVLの一部、例えば図中UVL2が何らかの原因で不点になったと仮定すると、不点になった細長い紫外光源UVL2に対応する不点検出手段D2が当該紫外光源UVL2の不点を検出する。そして、その検出出力は、不点時バックアップ手段BAに送出される。不点時バックアップ手段BAが不点の検出出力を不点検出手段D2から受信すると、不点になった細長い紫外光源UVL2に隣接する細長い紫外光源UVL1およびUVL3の点灯回路OC1およびOC3に対して増光制御信号を送出して紫外光出力を増加させる。
【0024】
その結果、細長い紫外光源UVL2が不点になったにもかかわらず被照射面における照度が隣接する細長い紫外光源UVL1およびUVL3の増光により補われるので、重ね合わせの理により同一照度ないし最低限の許容照度に維持される。また、配光特性も不点前のそれと大きく変化しない。このため、被照射物に対する照射処理中に細長い紫外光源UVLの一部の不点が発生したとしても、照射工程における品質不良の発生が防止される。
【0025】
なお、不点時バックアップ手段BAが表示手段IDを備えている場合には、いずれかの細長い紫外光源UVLが不点になったときに、その不点が発生したことを表示するので、作業者または管理者などに対して注意が喚起され、素早いランプ交換などの対応を行うことができる。
【0026】
以下、図2ないし図6を参照して本発明の紫外光源点灯装置を実施するためのその他の形態について説明する。なお、図1と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
[第2の形態]
図2ないし図4は、本発明の紫外光源点灯装置を実施するための第2の形態を示し、図2は要部概念図、図3は紫外光源の一部切欠断面正面図、図4は発光管の一部切欠正面図である。本形態において、紫外光源点灯装置UVOは、細長い紫外光源UVLがエキシマランプEXLからなり、図示しない点灯回路から出力される高周波パルス電圧が印加されて点灯する。その他の構成は、図示を省略しているが、図1に示す第1の形態と同様である。また、エキシマランプEXLは、その複数灯のうち、図2においては、3灯のみが図示されている。そして、上記に対応して不点検出手段Dが3灯のエキシマランプEXLにそれぞれ配設されている。
【0027】
エキシマランプEXLは、気密容器1、気密容器1内に封入されたエキシマ形成ガス、内部電極2および外部電極OEを具備し、高周波点灯回路HFIにより付勢されて点灯する。なお、図示の形態において、気密容器1、エキシマ形成ガスおよび内部電極2は、予め組み立てられて一体化された発光管LTを構成している。
【0028】
<発光管LTについて> 本形態において、発光管LTは、図3に示すように、上記の構成に加えてその両端に一対の給電部3A、3Bおよび一対の支持部5、5を有している。
【0029】
(気密容器1について) 気密容器1は、紫外線透過性の材料からなり、内部に細長い放電空間1aが形成されている。例えば、細長い管の両端が一対の封止部1b、1bによって封止されて内部に円柱状の放電空間1aが形成された構造とすることができる。また、2重の細長い管の両端を封止することによって内部に円筒状すなわち横断面がドーナッツ状の細長い放電空間が形成された構造とすることもできる。紫外線透過性の材料としては、一般的に合成石英ガラスを用いて製作される。しかし、利用しようとする波長の紫外線に対して透過性を有していればどのような材料で構成してもよい。
【0030】
また、気密容器1は、所要の紫外線量を確保するべく複数のエキシマランプEXLを比較的狭い間隔で並列に配置して使用するのを許容するために、直線性に優れた直管であるのが好ましいが、多少湾曲していても差し支えない。実際上、細長い管を形成する際に多少の湾曲が生じやすく、例えば全長約1200mmに対して最大1mm程度以下の湾曲が形成され得る。しかし、この程度の湾曲は、ほぼ直管であるとして許容される。
【0031】
(エキシマ生成ガスについて) エキシマ生成ガスとしては、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、アルゴン(Ar)またはヘリウム(He)などの希ガスの一種または複数種の混合あるいは希ガスハロゲン化物、例えばXeCl、KrClなどを用いることができる。なお、希ガスハロゲン化物を封入する場合、希ガスとフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨウ素(I)などのハロゲンを封入して、気密容器1の内部でハロゲン化物が生成さしれるようにてもよい。また、エキシマ生成ガスに加えてエキシマを生成しないガス、例えばネオン(Ne)などを混合することも場合によっては許容される。
【0032】
(内部電極2について) 内部電極2は、図4に示すように、気密容器1の壁面を挟んで外部電極OEと対向するように配設される。しかし、内部電極2は、気密容器1の放電空間1a内に露出するように封入されている態様および例えば気密容器1の内側において放電空間1aの外部に配設された態様のいずれでもよい。後者の態様の場合、例えば気密容器1が2重管構造であり、内部電極2は、気密容器1の中心軸側に形成された筒状の壁面に沿って配設される。したがって、本発明において、内部電極2とは、気密容器1を外部から見た場合に相対的に気密容器1の内側に配設される電極であることを意味すると理解すべきである。
【0033】
以上の説明から理解できるように、内部電極2は、気密容器1の内部に、その管軸方向のほぼ全長すなわちランプの有効長の全体にわたってエキシマ放電換言すれば誘電体バリア放電を生起するように配設された電極、好ましくは管軸方向に長い電極であれば、その余はどのような構成であってもよい。なお、図3において、内部電極2は図示を省略している。
【0034】
図4に示す内部電極2の好適な構成例について説明する。すなわち、この内部電極2は、多数の独立したメッシュ状部分2bが気密容器1の軸方向に分散配置され、かつ、周囲にそれぞれ空隙を介して配設された構成のメッシュ状をなしているとともに、連結部分2aを介して接続して一体化された構造となっていて、気密容器1の内部に挿入された状態で配設される構成を備えている。このような内部電極2を用いることにより、紫外線発生量を相対的に多くすることができる。なお、メッシュ状部分2bは、周方向に対して連続していてもよいし、分断していてもよい。
【0035】
したがって、、内部電極2がメッシュ状をなしている場合、そのメッシュ状部分2bは、具体的には例えばリング状、スパイラル状またはコイル状あるいは網目状などをなしていることが許容される。
【0036】
次に、内部電極2が石英ガラスからなる気密容器1の内部に配設される場合の支持構造および給電構造について説明する。内部電極2を気密容器1内に封着するには、図4に示すように、封着金属箔1b1を用いた封着構造を採用することができる。すなわち、内部電極2の連結部分2aの両端を引き延ばして形成された直線状の端部2cを封着金属箔1b1に溶接などにより接続して、内部電極2を気密容器1内に挿入してから、端部の石英ガラスを加熱して軟化状態にして封着金属箔1b1の上からピンチシールする。そうすれば、気密容器1の端部に封止部1bが形成されて内部電極2が所定の位置に支持される。
【0037】
(給電部3A、3B) 給電部3A、3Bは、内部電極2に対してエキシマ放電に必要な電流を供給するための給電端を構成するものである。そして、給電部3A、3Bは、それぞれ棒状をなしていて、内端が気密容器1の両端に形成された封止部1bに埋設されたモリブデン箔1b1に溶接され、基端が気密容器1の両端に形成された封止部1bから外部の管軸方向へ突出している。また、給電部3A、3Bは、後述する支持部5の内部において、それぞれ給電線4に加締め接続されている。なお、給電線4は、後述する高周波点灯回路HFIの出力端から延在している。
【0038】
(支持部5) 支持部5は、図3に示すように、有底円筒状のキャップ体5a、締付けリング5bおよび取付アーム5cを備えている。キャップ体5aは、発光管LTの端部を包囲する。そして、底部に給電線4の挿通孔5a1を有している。締付けリング5bは、キャップ体5aの開口端に配設されていて、気密容器1の端部に固定される。取付アーム5cは、キャップ体5aの側面から図において上方へ突出していて、発光管LTを図示しない位置出しアームにキャップ体5aの上面が当接した状態で取付アーム5cを用いて図示しない固定部分に取り付けられる。
【0039】
<外部電極OEについて> 外部電極OEは、少なくともエキシマランプEXLの有効長の部分において、気密容器1の外面にその管軸方向に沿って密接するか、または適度の間隙を保持して延在するように配設されているとともに、内部電極2に対向している。そして、外部電極OEおよび内部電極2の協働によって、少なくとも気密容器1の一つの壁面を誘電体とする誘電体バリア放電を気密容器1の放電空間1a内に生起するように作用する。
【0040】
また、外部電極OEは、剛性を備えた構成および可とう性を備えた構成のいずれであってもよい。剛性の場合、導電性金属からなる熱容量の大きなブロック状をなした図示のような外部電極OEとなる。したがって、従来、灯体と称していた部材を、所望によりそのまま外部電極として用いることが可能である。この場合、従来用いていたアルミニウム製の薄板からなる外部電極OEを灯体と気密容器1との間に挟持するような構造を採用する必要がなくなる。また、エキシマ放電が生起している領域の気密容器1部分を冷却するために、外部電極OEに冷却手段9を配設することができる。この場合、冷却手段9は、どのような構成であってもよいが、冷媒が内部に通流する冷却水路を外部電極OEに外付けしたり、または内部に一体に形成したりして付設するのが好ましい。さらに、外部電極OEは、連続した面状またはメッシュ状のいずれの状態をなしていてもよい。なお、メッシュ状とは、網目状、パンチング状、格子状などをなしていることをいう。
【0041】
図示の形態において、アルミニウムからなるブロック状をなした外部電極OEは、図2に示すように、その発光管LTの管軸方向の中間部に発光管LTから放射された紫外光を不点検出手段Dの紫外線センサーSUVに導くための透孔THを有している。
【0042】
<点灯回路> 点灯回路は、エキシマランプEXLの内部電極2と外部電極OEとの間に高周波パルス電圧を印加して、エキシマランプEXLを付勢して点灯する。また、点灯回路は、昇圧チョッパおよび並列インバータを主体として構成されており、その高周波パルス出力は、その高電位側が給電線4、4を介してエキシマランプEXLにおける発光管LTの一対の給電部3A、3Bに、また低電位側が外部電極OEに、それぞれ印加される。なお、上記昇圧チョッパは、上記並列インバータに対して直流電源として機能し、出力の直流電圧を所要に制御する。また、上記並列インバータは、高周波パルス電圧を発生する。
【0043】
<エキシマランプEXLの動作> エキシマランプEXLは、点灯回路OCの高周波出力端の一方、例えば高圧側出力端が給電線4、4を経由して内部電極2から外部へ導出された一対の給電部3A、3Bに接続され、他方、例えば低圧(接地)側出力端が外部電極OEの一端に接続されているので、点灯回路OCの図示しない入力電源が投入されると、高周波パルス電圧を発生し、内部電極2と、これに気密容器1の壁面を介して対向している外部電極OEとの間に印加される。その結果、誘電体バリア放電が気密容器1の内部に生起する。このエキシマ放電によってキセノンのエキシマにより172nmを中心波長とする真空紫外光を放射する。真空紫外光は、気密容器1の壁面を透過して外部へ導出されるので、これをそれぞれの目的に応じて利用することができる。
[第3の形態]
図5は、本発明の紫外光源点灯装置を実施するための第3の形態の回路ブロック図である。本形態は、細長い紫外光源UVLがエキシマランプEXLであり、点灯回路OCが定電圧直流電源CDCおよびDC−AC変換回路INVの従属接続回路を備えて構成されているとともに、回路動作状態に基づいてランプ動作状態を検出するように構成したランプ状態検出手段LODを備えている。
【0044】
紫外光源UVLは、第2の形態におけるのと同様なエキシマランプEXLからなる。
【0045】
点灯回路OCは、その定電圧直流電源CDCが直流チョッパなどの定電圧化されたDC−DC変換回路からなり、低周波交流電源電圧を所望値の直流電圧に変換する。また、定電圧直流電源CDCは、後述するランプ状態検出手段LODからの帰還によって出力電圧を可調整にすることができる。DC−AC変換回路INVは、インバータにより構成することができ、直流電圧を高周波パルス電圧に変換する。
【0046】
ランプ状態検出手段LODは、定電圧直流電源CDCの電流検出手段DIまたは/および電圧検出手段DVを備えてなり、その検出出力の値によりエキシマランプEXLの状態を判定するように構成されている。
【0047】
ランプ状態検出手段LODが定電圧直流電源CDCの電流検出手段DIにより構成される場合、エキシマランプEXLの定常点灯動作において負荷変動のときは出力電流の検出値が変動し、また不点の際には検出値が遮断される。さらに、エキシマランプEXLの気密容器が破損して異常放電が発生した際には、異常放電電流が定常点灯時のランプ電流と殆ど変わらなくても定電圧直流電源CDCの定電圧特性のために、ランプ電圧が極端に低下することに伴って電流検出値が小さくなる。したがって、図示を省略している判定手段において、電流検出手段DIの検出出力とランプ状態との関係を予め例えばテーブルデータとして記憶させておき、検出値と比較演算を行うことにより、エキシマランプEXLのランプ状態を的確に判定することが可能になる。
【0048】
また、ランプ状態検出手段LODが定電圧直流電源DCSの電流検出手段DIおよび電圧検出手段DVにより構成される場合、電流検出値および電圧検出値に基づいて出力電力を求め、その変化を検出すれば、エキシマランプEXLの定常点灯動作において負荷変動のときは出力電力が変動し、また不点の際には出力電力が遮断される。さらに、エキシマランプEXLの気密容器が破損して異常放電が発生した際には、検出電力が小さくなる。したがって、図示を省略している判定手段において、定電圧直流電源DCSによる検出電力値とランプ状態との関係を予め例えばテーブルデータを記憶させておき、検出値と比較演算を行うことによって、エキシマランプEXLのランプ状態を的確に判定することが可能になる。
【0049】
そうして、本形態によれば、エキシマランプEXLの状態を上記の構成により検出して、所望に応じてエキシマランプEXLの制御や保護を適切に行うことができる。また、複数灯のエキシマランプEXLの一部が不点した場合において、不点による照射面における照射照度の不足を補う際には、第1の形態におけるのと同様な構成を付加することにより、不点の際に隣接するエキシマランプEXLを増光させ、不点による照射照度の不足を所望の程度に補うことができる。
[第4の形態]
図6は、本発明の紫外光源点灯装置を実施するための第4の形態の回路ブロック図である。本形態は、図5に示す第3の形態との対比において、点灯回路OCの定電圧直流電源CDCの電流検出手段DI1およびその判定手段JC1に加えて、DC−AC変換回路INVの出力電流を検出する電流検出手段DI2およびその判定手段JC2を備えるとともに、さらにランプ状態判定手段JC3を備えている。
【0050】
電流検出手段DI1の検出出力は、エキシマランプEXLおよびDC−AC変換回路INVが異常になったときに小さくなるので、判定手段JC1でこれを判定することにより上記異常を判定できる。
【0051】
電流検出手段DI2の検出出力は、エキシマランプEXLが異常になったときに小さくなるので、判定手段JC2でこれを判定することにより上記異常を判定できる。
【0052】
ランプ状態判定手段JC3は、判定手段JC1およびJC2の判定結果を基に比較判定を行うことにより、エキシマランプEXLおよびDC−AC変換回路INVのいずれが異常であるかを特定することができる。
【0053】
図7は、本発明の紫外線照射装置を実施するための一形態の概念図である。図において、図2と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。本発明において、紫外線照射装置UVWは、誘電体バリア放電ランプEXLから発生する紫外線を利用するあらゆる装置を意味する。例えば、光洗浄装置、光硬化装置および光乾燥装置などである。紫外線照射装置UVWは、紫外光源点灯装置UVOおよび紫外線照射装置本体11を具備している。
【0054】
紫外光源点灯装置UVOは、図1および図2に示す構成を備えている。
【0055】
紫外線照射装置本体11は、紫外線照射装置UVWから紫外光源点灯装置UVOを除いた残余の部分であり、例えばシャッタSYおよび被照射物載置台12などを備えている。被照射物載置台12は、被照射物13を照射面に位置するように支持する。また、図示を省略しているが、所望により被照射物13を冷風で冷却する被照射物冷却手段を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の紫外光源点灯装置を実施するための第1の形態の回路ブロック図
【図2】本発明の紫外光源点灯装置を実施するための第2の形態を示す要部概念図
【図3】同じく紫外光源の一部切欠断面正面図
【図4】同じく発光管の一部切欠正面図
【図5】本発明の紫外光源点灯装置を実施するための第3の形態の回路ブロック図
【図6】本発明の紫外光源点灯装置を実施するための第4の形態の回路ブロック図
【図7】本発明の紫外線照射装置を実施するための一形態の概念図
【符号の説明】
【0057】
ACS…低周波交流電源、BA…不点時バックアップ手段、cc…制御回路、ID…表示手段、mc…点灯主回路、OC…点灯回路、SUV…紫外線センサ、UVL…細長い紫外光源、UVO…紫外光源点灯回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが放射した紫外光を合成して被照射面を照射するように隣接配置された細長い複数灯の紫外光源と;
複数灯の紫外光源をそれぞれ点灯する点灯回路と;
複数灯の紫外光源の不点を検出する不点検出手段と;
不点検出手段に連動して不点になった紫外光源に隣接する紫外光源の点灯回路を制御して紫外光出力を増加させる不点時バックアップ手段と;
を具備していることを特徴とする紫外光源点灯装置。
【請求項2】
誘電体バリヤ放電ランプを配設した紫外線照射装置本体と;
紫外線照射装置本体に配設された請求項1記載の紫外光源点灯装置と;
を具備していることを特徴とする紫外線照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−196370(P2006−196370A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−8097(P2005−8097)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】