紫外線センサ
【課題】本発明は、製造コストが安く、酸化物半導体の温度特性に応じて電圧(電流)値を適正に補正することが可能な紫外線センサを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る紫外線センサ1は、酸化物半導体で構成された基板2と、基板2内に形成された内部電極7と、基板2の第1面に形成された外部電極3と、内部電極7の一部が外部へ露出した基板2の第2面に形成され、外部電極3が形成された第1面及び端子電極5が形成された第2面と異なる基板2の第3面に形成された端子電極6とを備えている。紫外線センサ1は、外部電極3と端子電極6との間に印加する所定の電圧を、内部電極7で分圧する。
【解決手段】本発明に係る紫外線センサ1は、酸化物半導体で構成された基板2と、基板2内に形成された内部電極7と、基板2の第1面に形成された外部電極3と、内部電極7の一部が外部へ露出した基板2の第2面に形成され、外部電極3が形成された第1面及び端子電極5が形成された第2面と異なる基板2の第3面に形成された端子電極6とを備えている。紫外線センサ1は、外部電極3と端子電極6との間に印加する所定の電圧を、内部電極7で分圧する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線を検知する紫外線センサに関し、特に、紫外線を受光する部分に酸化物半導体を用いた紫外線センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紫外線を検知する紫外線センサでは、紫外線を受光する部分に紫外線光電管が用いられていた。しかし、紫外線光電管は、非常に高い駆動電圧が必要であり、紫外線センサ自体が大型化するという問題点があった。近年、斯かる問題点を解消するために、紫外線を受光する部分に酸化物半導体を用いた紫外線センサが開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、紫外線を受光する部分に酸化物半導体を用いた紫外線センサが開示されている。特許文献1に開示されている紫外線センサは、ZnOを含む酸化物半導体で構成されたZnO層と、ZnOがNiOに固溶してなる酸化物半導体で構成された(Ni,Zn)O層と、ZnO層に電気的に接続される第1の端子電極と、(Ni,Zn)O層に電気的に接続される第2の端子電極とを備えている。特許文献1に開示されている紫外線センサでは、ZnO層と(Ni,Zn)O層との接合部に紫外線が当たった場合、光電効果により接合部に光電子が生じることで第1の端子電極と第2の端子電極との間の抵抗値が低下する。したがって、第1の端子電極と第2の端子電極との間の電圧(電流)値の変化によって紫外線を検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3952076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
酸化物半導体は、温度により抵抗値が変化するという温度特性を有している。そのため、紫外線を受光する部分に酸化物半導体を用いた紫外線センサでは、使用される周辺環境の温度により酸化物半導体の抵抗値が変化し、測定する第1の端子電極と第2の端子電極との間の電圧(電流)値が変化する。したがって、酸化物半導体の温度特性に応じて、測定した第1の端子電極と第2の端子電極との間の電圧(電流)値を適正に補正しないと正しく紫外線を検知することができないという問題点があった。そこで、従来の紫外線センサでは、酸化物半導体の温度特性に応じて、測定した第1の端子電極と第2の端子電極との間の電圧(電流)値を、OPアンプ等を用いて補正していた。
【0006】
しかし、OPアンプ等を用いて第1の端子電極と第2の端子電極との間の電圧(電流)値を補正する場合、OPアンプ等を用いた補正回路の設計によっては、使用が予定される周辺環境の所定の温度範囲については適性に補正することができるものの、所定の温度範囲外については適正に補正することができない場合が生じるという問題点があった。また、従来の紫外線センサは、OPアンプ等の製品バラツキにより、測定した第1の端子電極と第2の端子電極との間の電圧(電流)値の補正自体にもバラツキが生じるという問題点があった。さらに、従来の紫外線センサは、OPアンプ等を用いた補正回路を備える必要があるため、製造コストが高くなるという問題点もあった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、製造コストが安く、酸化物半導体の温度特性に応じて電圧(電流)値を適正に補正することが可能な紫外線センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために第1発明に係る紫外線センサは、酸化物半導体で構成された基板と、該基板内に形成された内部電極と、前記基板の第1面に形成された外部電極と、前記内部電極の一部が外部へ露出した前記基板の第2面に形成され、前記内部電極と接続された第1端子電極と、前記外部電極が形成された前記第1面及び前記第1端子電極が形成された第2面と異なる前記基板の第3面に形成された第2端子電極とを備え、前記外部電極と前記第2端子電極との間に印加する所定の電圧を、前記内部電極で分圧する。
【0009】
また、第2発明に係る紫外線センサは、第1発明において、前記内部電極で分圧された、前記外部電極と前記内部電極との間の電圧及び/又は前記内部電極と前記第2端子電極との間の電圧を測定する。
【0010】
また、第3発明に係る紫外線センサは、第1又は第2発明において、前記酸化物半導体は、ZnOがNiOに固溶してなる。
【0011】
また、第4発明に係る紫外線センサは、第1乃至第3発明のいずれか一つにおいて、前記外部電極は、紫外線を透過する材料で形成してある。
【0012】
また、第5発明に係る紫外線センサは、第1乃至第4発明のいずれか一つにおいて、前記外部電極と、前記第1端子電極及び前記第2端子電極との間の前記基板の前記第1面に形成された絶縁層を備える。
【0013】
第1発明では、基板の第1面に形成された外部電極と、外部電極が形成された第1面及び第1端子電極が形成された第2面と異なる基板の第3面に形成された第2端子電極との間に印加する所定の電圧を、基板内に形成された内部電極で分圧することにより、使用される周辺環境の温度による外部電極と内部電極との間の酸化物半導体の抵抗値の変化と、内部電極と第2端子電極との間の酸化物半導体の抵抗値の変化とを相殺するので、酸化物半導体の温度特性に応じて適正に補正した電圧(電流)値を得ることができる。また、OPアンプ等を用いた補正回路を備える必要がないため、製造コストを安くすることができる。
【0014】
第2発明では、外部電極と内部電極との間の電圧及び/又は内部電極と第2端子電極との間の電圧を測定することにより、基板と外部電極とが接する部分で生じる光電子により外部電極と内部電極との間の抵抗値が低下したことを検知することで、紫外線を検知することができる。
【0015】
第3発明では、基板は、ZnOがNiOに固溶してなる酸化物半導体で構成することにより、酸化物半導体を焼成して形成する際に、ZnOがNiOに固溶されるので、揮発成分であるZnが揮発するのを抑制して、紫外線を安定した感度で検知することができる。
【0016】
第4発明では、外部電極は、紫外線を透過する材料を用いて形成することにより、基板と外部電極とが接する部分で光電効果により光電子を効率よく生じさせることができる。
【0017】
第5発明では、外部電極と、第1端子電極及び第2端子電極との間の基板の第1面に形成された絶縁層を備えることにより、外部電極と第1端子電極及び第2端子電極との間を流れるリーク電流を抑えることで、より広い周辺環境の温度範囲で酸化物半導体の温度特性に応じて適正に補正した電圧(電流)値を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る紫外線センサは、基板内に形成された内部電極と、基板の第1面に形成された外部電極と、内部電極の一部が外部へ露出した基板の第2面に形成され、内部電極と接続された第1端子電極と、外部電極が形成された第1面及び第1端子電極が形成された第2面と異なる基板の第3面に形成された第2端子電極とを備え、外部電極と第2端子電極との間に印加する所定の電圧を、内部電極で分圧することにより、使用される周辺環境の温度による外部電極と内部電極との間の酸化物半導体の抵抗値の変化と、内部電極と第2端子電極との間の酸化物半導体の抵抗値の変化とを相殺するので、酸化物半導体の温度特性に応じて適正に補正した電圧(電流)値を得ることができる。つまり、周辺環境の温度に依存することなく、紫外線を検知することができる。また、OPアンプ等を用いた補正回路を備える必要がないため、製造コストを安くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1に係る紫外線センサの構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る紫外線センサの基板を形成する方法を説明するための概略図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る紫外線センサの回路構成を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る紫外線センサの回路図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る紫外線センサの周辺環境の温度による外部電極と内部電極との間及び内部電極と端子電極との間の抵抗の変化、外部電極と内部電極との間の電圧の変化を示すグラフである。
【図6】本発明の実施の形態1に係る紫外線センサの周辺環境の温度による外部電極と内部電極との間の電圧の変化を示すグラフである。
【図7】本発明の実施の形態2に係る紫外線センサの構成を示す概略図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る紫外線センサの周辺環境の温度による外部電極と内部電極との間の電圧の変化を示すグラフである。
【図9】従来の紫外線センサの回路構成を示す模式図である。
【図10】従来の紫外線センサの回路図である。
【図11】抵抗を追加した従来の紫外線センサの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態における紫外線センサについて、図面を用いて具体的に説明する。以下の実施の形態は、特許請求の範囲に記載された発明を限定するものではなく、実施の形態の中で説明されている特徴的事項の組み合わせの全てが解決手段の必須事項であるとは限らないことは言うまでもない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る紫外線センサの構成を示す概略図である。図1(a)は、本発明の実施の形態1に係る紫外線センサの平面図である。図1(b)は、図1(a)に示す紫外線センサのA−A断面図である。図1(a)に示すように、紫外線センサ1は、酸化物半導体で構成された直方体形状の基板2のそれぞれ異なる面に形成された、外部電極3、端子電極4、端子電極5(第1端子電極)、端子電極6(第2端子電極)を備えている。外部電極3は、端子電極4と接続しているが、端子電極5及び端子電極6とは接続していない。端子電極4は、基板2の、外部電極3が形成されている面(第1面)に対して垂直な面に形成されている。端子電極5、6は、基板2の長手方向にある両端面(第2面、第3面)にそれぞれ形成されている。図1(b)に示すように、紫外線センサ1は、基板2内に、外部電極3と平行に形成された内部電極7を備えている。端子電極5は、基板2の端面(第2面)から外部へ露出した内部電極7の一部と接続している。
【0022】
基板2を構成する酸化物半導体は、20〜40モル%のZnOがNiOに固溶してなる(Ni,Zn)Oの酸化物半導体である。ただし、基板2を構成する酸化物半導体は、(Ni,Zn)Oに限定されるものではなく、NiO、ZnO、TiO2 等でも良い。なお、紫外線センサ1は、基板2を構成する酸化物半導体のバンドギャップ値によって検知することができる紫外線の波長領域が異なる。例えば、基板2を構成する酸化物半導体がNiOである紫外線センサ1は、波長が280nm以下の紫外線を検知することができ、酸化物半導体がZnOである紫外線センサ1は、波長が380nm以下の紫外線を検知することができる。また、基板2を構成する酸化物半導体が(Ni,Zn)Oである紫外線センサ1は、波長が400nm以下の紫外線を検知することができる。
【0023】
ここで、基板2を形成する方法について、以下に説明する。図2は、本発明の実施の形態1に係る紫外線センサ1の基板2を形成する方法を説明するための概略図である。まず、(Ni,Zn)Oの酸化物半導体からなるグリーンシート21を形成する。グリーンシート21の形成処理は、NiOとZnOとの割合が65モル%と35モル%となるように、原料のNiO及びZnOの無機粉末を秤量し、秤量した無機粉末に純水を加え、PSZ(安定化ジルコニア)ビーズをメディア(粉砕用ボール(球石))として、ボールミルにて平均粒径0.5μm以下となるように混合粉砕する。さらに、混合粉砕によりスラリーとなった無機粉末を、脱水乾燥し、50μm程度の粒径の粉末に造粒した後、1200℃の温度で2時間仮焼する。仮焼した無機粉末に、純水を加え、PSZビーズをメディアとしてボールミルにて平均粒径0.5μmになるまで混合粉砕する。混合粉砕した無機粉末は、脱水乾燥した後、有機溶剤及び分散剤を加えて混合し、さらにバインダ及び可塑剤を加えスラリーとし、ドクターブレード法を用いて、厚み10μmのシートに成形する。成形したシートを板状にカットし、複数枚のグリーンシート21として形成する。
【0024】
次に、形成した複数枚のグリーンシート21のいずれか1枚に、Pdペーストをスクリーン印刷し、60℃の温度で1時間乾燥して内部電極7を形成する。図2に示すように、内部電極7を形成したグリーンシート21は、内部電極7を形成した面側に他のグリーンシート21を1枚積層し、反対の面側に他のグリーンシート21を複数枚積層する。なお、積層したグリーンシート21の厚みが0.2mmとなるように、積層するグリーンシート21の枚数を20枚とする。
【0025】
次に、積層したグリーンシート21を、金型に入れて20MPaの圧力で圧着した後、所定の形状に合わせてカットする。カットしたグリーンシート21は、300℃の温度でゆっくりと、十分に脱脂した後、1250℃の温度で5時間焼成することにより、基板2を形成する。なお、積層したグリーンシート21を、後述するZnOシートに載せて焼成することで、焼成中に揮発成分であるZnOが揮発するのを抑制することもできる。
【0026】
形成した基板2は、3.2mm×1.6mm×0.2mmの直方体形状となる。さらに、基板2は、直径が3mmのアルミナビーズとともに塩化ビニル製のポットに入れ、遊星ミルを用いて端面に丸みを形成する。基板2の端面に丸みを形成することで、基板2の端面から外部へ露出した内部電極7の一部と端子電極5とを容易に接続することができる。
【0027】
図1に戻って、外部電極3は、スパッタ法によって、基板2の一面にZnO層を成膜することにより形成されている。ZnO層の厚みは、約0.5μmである。また、外部電極3は、端子電極4と接続しているが、端子電極5、6とは接続していない。なお、外部電極3を形成する材料は、特にZnOに限定されるものではなく、紫外線を透過する材料であればITO、TiO2 、Au−Ti合金、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン):PSS(ポリスチレンスルホン酸)等であっても良い。また、外部電極3の形成方法は、特にスパッタ法に限定されるものではなく、構成する材料によって蒸着法、塗布法等を用いても良い。
【0028】
ZnO層を成膜するスパッタ法に用いるスパッタターゲットを形成する処理について、以下に説明する。まず、ZnとGaとのモル比が95:5となるように、ZnO及びGa2 O3 の粉末を秤量し、秤量した粉末に純水を加え、PSZビーズをメディアとしてボールミルにて平均粒径0.5μm以下となるように混合粉砕する。さらに、混合粉砕によりスラリーとなった粉末を、脱水乾燥し、50μm程度の粒径の粉末に造粒した後、1200℃の温度で2時間仮焼する。仮焼した粉末に、純水を加え、PSZビーズをメディアとしてボールミルにて平均粒径0.5μmになるまで混合粉砕する。混合粉砕した粉末を、脱水乾燥した後、有機溶剤及び分散剤を加えて混合し、さらにバインダ及び可塑剤を加えスラリーとし、ドクターブレード法を用いて、厚み20μmのシートに成形する。成形したシートを板状にカットし、複数枚のZnOシートとして形成する。形成したZnOシートを、厚みが20mmとなるように、複数枚積層する。積層したZnOシートは、250MPaの圧力で5分間圧着した後、十分に脱脂して、1200℃の温度で1時間焼成することでスパッタターゲットを形成する。
【0029】
図1(a)に戻って、端子電極4は、基板2の、外部電極3が形成されている面(第1面)に対して垂直な面にAgペーストを塗布して、800℃の温度で10分間焼成して形成する。なお、端子電極4は、外部電極3が形成されている基板2の面(第1面)に形成した一部が外部電極3と接続している。端子電極5は、内部電極7の一部が外部へ露出した基板2の面(第2面)にAgペーストを塗布して、800℃の温度で10分間焼成して形成する。端子電極6は、端子電極5が形成してある基板2の面(第2面)と対向する面(第3面)にAgペーストを塗布して、800℃の温度で10分間焼成して形成する。さらに、端子電極4、5、6には、Ni、Snの順に電解メッキを施している。
【0030】
次に、本実施の形態1に係る紫外線センサ1の動作について、以下に説明する。図3は、本発明の実施の形態1に係る紫外線センサ1の回路構成を示す模式図である。図4は、本発明の実施の形態1に係る紫外線センサ1の回路図である。図3に示すように、紫外線センサ1は、電源11のプラス側が端子電極4に、電源11のマイナス側が端子電極6にそれぞれ接続されている。
【0031】
紫外線センサ1は、ZnO層の外部電極3と酸化物半導体((Ni,Zn)O)の基板2とが接する部分に紫外線が当たった場合、光電効果により当該部分に光電子が生じることで外部電極3と内部電極7との間の抵抗値が低下し、測定する外部電極3と内部電極7との間の電圧(電流)値が変化する。したがって、紫外線センサ1は、外部電極3と内部電極7との間の電圧(電流)の値を測定することで紫外線を検知することができる。紫外線センサ1は、電源11により端子電極4と端子電極6との間にバイアス電圧を印加した場合、端子電極4から外部電極3、内部電極7、端子電極6へ電流が流れることになるので、外部電極3と内部電極7との間に抵抗31、内部電極7と端子電極6との間に抵抗32を設けた回路構成とみなすことができる。
【0032】
つまり、紫外線センサ1は、図4に示すように、端子電極4(外部電極3)と端子電極6との間に、抵抗31、32を直列に接続した回路とみなすことができるため、端子電極4と端子電極6との間(外部電極3と端子電極6との間)に印加するバイアス電圧は、抵抗31、32により外部電極3と内部電極7との間の電圧、及び内部電極7と端子電極6との間の電圧に分圧される。なお、紫外線40が当たった場合、ZnO層の外部電極3と酸化物半導体((Ni,Zn)O)の基板2とが接する部分に生じた光電子により、抵抗31の抵抗値は低下するが、抵抗32の抵抗値は変化しない。
【0033】
ここで、従来の紫外線センサの回路構成について説明する。図9は、従来の紫外線センサの回路構成を示す模式図である。図10は、従来の紫外線センサの回路図である。図9に示すように、従来の紫外線センサ101は、電源111のプラス側が外部電極103に接続された端子電極106に、電源111のマイナス側が内部電極107に接続された端子電極105にそれぞれ接続されている。
【0034】
従来の紫外線センサ101も、ZnO層の外部電極103と酸化物半導体((Ni,Zn)O)の基板102とが接する部分に紫外線が当たった場合、光電効果により当該部分に光電子が生じることで外部電極103と内部電極107との間の抵抗値が低下する。したがって、従来の紫外線センサ101は、外部電極103と内部電極107との間の電流値を測定することで紫外線を検知することができる。従来の紫外線センサ101は、電源111により端子電極106と端子電極105との間にバイアス電圧を印加した場合、端子電極105から内部電極107、外部電極103、端子電極106へ電流が流れることになるので、外部電極103と内部電極107との間に抵抗131を設けた回路構成とみなすことができる。
【0035】
つまり、従来の紫外線センサ101は、図10に示すように、端子電極106と端子電極105との間に抵抗131を設けた回路とみなすことができるため、端子電極106と端子電極105との間に印加するバイアス電圧は、抵抗131に印加される。なお、従来の紫外線センサ101も、紫外線40が当たった場合、ZnO層の外部電極103と酸化物半導体((Ni,Zn)O)の基板102とが接する部分に生じた光電子により、抵抗131の抵抗値が低下し、端子電極105と端子電極106との間の電流値の変化によって紫外線を検知することができる。
【0036】
本実施の形態1に係る紫外線センサ1の回路は、図4に示す回路図と図10に示す回路図とを比較することで分かるように、従来の紫外線センサ101の回路に、内部電極7と端子電極6との間に抵抗32を追加してある。追加した抵抗32は、外部電極3と基板2とが接する部分に生じる光電子の影響を受けないが、図3に示すように基板2内に設けてあるので、抵抗31と同じように酸化物半導体の温度特性の影響を受ける。
【0037】
また、基板2は、3.2mm×1.6mm×0.2mm程度の大きさであるため、紫外線センサ1を使用する周辺環境の温度によって、抵抗31の温度と抵抗32の温度との間に差は生じないものと考えられる。したがって、周辺環境の温度による抵抗32の抵抗値の変化は、抵抗31の抵抗値の変化と略同じになるため、紫外線センサ1は、外部電極3と端子電極6との間に印加するバイアス電圧を、抵抗31と抵抗32とにより外部電極3と内部電極7との間の電圧、及び内部電極7と端子電極6との間の電圧に分圧することにより、抵抗31の抵抗値の変化と抵抗32の抵抗値の変化とを相殺するので、酸化物半導体の温度特性に応じて補正した外部電極3と内部電極7との間の電圧値を得ることができる。
【0038】
図5は、本発明の実施の形態1に係る紫外線センサ1の周辺環境の温度による外部電極3と内部電極7との間及び内部電極7と端子電極6との間の抵抗31、32の変化、外部電極3と内部電極7との間の電圧の変化を示すグラフである。特に、図5(a)は、周辺環境の温度による外部電極3と内部電極7との間の抵抗31の変化を示すグラフである。図5(b)は、周辺環境の温度による内部電極7と端子電極6との間の抵抗32の変化を示すグラフである。図5(c)は、周辺環境の温度による外部電極3と内部電極7との間の電圧の変化を示すグラフである。図5に示すように、抵抗31及び抵抗32は、周辺環境の温度が高くなるにつれて抵抗値が低下する。周辺環境の温度による抵抗31の抵抗値の変化と、抵抗32の抵抗値の変化とは略同じであるため、端子電極4と端子電極6との間に印加するバイアス電圧を抵抗31と抵抗32とで分圧した外部電極3と内部電極7との間の電圧は、周辺環境の温度による変化はなく略一定となる。従って、紫外線センサ1は、外部電極3と内部電極7との間の電圧を測定することで、酸化物半導体の温度特性に応じて適正に補正した電圧値を得ることができ、紫外線を検知することができる。なお、内部電極7と端子電極6との間の電圧を測定すれば、外部電極3と内部電極7との間の電圧を求めることができるので、測定する電圧は、特に外部電極3と内部電極7との間の電圧に限定されるものではなく、外部電極3と内部電極7との間の電圧及び/又は内部電極7と端子電極6との間の電圧を測定しても良い。
【0039】
図6は、本発明の実施の形態1に係る紫外線センサ1の周辺環境の温度による外部電極3と内部電極7との間の電圧の変化を示すグラフである。図6は、紫外線センサ1に紫外線が当たらない状態で、周辺環境の温度が0℃から80℃まで変化した場合の外部電極3と内部電極7との間の電圧の変化を示している。ここで、説明を簡単にするために、紫外線センサ1は、紫外線が当たらないときの抵抗31と抵抗32の抵抗値が同じになるように構成し、端子電極4と端子電極6との間に印加するバイアス電圧を3.0Vとする。紫外線が当たらない場合、外部電極3と内部電極7との間の電圧は約1.5Vになる。紫外線センサ1は、端子電極4と端子電極6との間に印加するバイアス電圧を内部電極7で分圧しているので、周辺環境の温度が変化しても、外部電極3と内部電極7との間の電圧は略一定となる。ただし、周辺環境の温度が50℃以上になると外部電極3と内部電極7(端子電極5)との間の抵抗値が低下するので、外部電極3と内部電極7との間の電圧が少し低下している。例えば、周辺環境の温度が0℃の時、波長が370nm、放射強度1mW/cm2 の紫外線を紫外線センサ1に当てると、抵抗31の抵抗値が低下し、外部電極3と内部電極7との間の電圧は約1.0Vまで低下し、紫外線を検知することができる。紫外線が当たったことにより低下した電圧は、周辺環境の温度が0℃から50℃まで変化しても、約1.0Vのままで略一定となるので、同様に紫外線を検知することができる。
【0040】
図11は、抵抗を追加した従来の紫外線センサの回路図である。図11に示す従来の紫外線センサ101は、紫外線が当たらないときの抵抗131と同程度の抵抗値を有する抵抗132を追加し、追加した抵抗132を抵抗131に対して直列に接続している。端子電極106と抵抗132の一端108との間に3.0Vのバイアス電圧を印加し、紫外線センサ101に紫外線が当たらない状態で、周辺環境の温度が0℃から80℃まで変化した場合の端子電極105と端子電極106との間の電圧の変化を図6のグラフに示す。紫外線が当たらない場合、端子電極105と端子電極106との間の電圧は約1.5Vになる。周辺環境の温度が高くなると、従来の紫外線センサ101の抵抗131は周辺環境の温度により抵抗値が低下するが、抵抗132は外付けの抵抗であるので周辺環境の温度が変化しても抵抗値は変化しない。周辺環境の温度が高くなると端子電極105と端子電極106との間の電圧は約1.5Vよりも低下し、周辺環境の温度が80℃の時、端子電極105と端子電極106との間の電圧は約1.1Vになる。例えば、周辺環境の温度が0℃の時、波長が370nm、放射強度1mW/cm2 の紫外線を紫外線センサ101に当てると、抵抗131の抵抗値が低下し、端子電極105と端子電極106との間の電圧は約1.0Vまで低下するが、該電圧の低下が紫外線を検知したことによるものか、周辺環境の温度が変化したことによるものかを判断することができない。
【0041】
以上のように、本発明の実施の形態1に係る紫外線センサ1は、基板2内に形成された内部電極7と、基板2の面(第1面)に形成された外部電極3と、内部電極7の一部が外部へ露出した基板2の面(第2面)に形成され、内部電極7と接続された端子電極5と、外部電極3が形成された基板2の面(第1面)及び端子電極5が形成された基板2の面(第2面)と異なる基板2の面(第3面)に形成された端子電極6とを備えているので、外部電極3と端子電極6との間に印加するバイアス電圧を、内部電極7で分圧する回路構成とすることができる。紫外線センサ1は、外部電極3と端子電極6との間に印加するバイアス電圧を、外部電極3と内部電極7との間の電圧、及び内部電極7と端子電極6との間の電圧に分圧することにより、使用される周辺環境の温度による外部電極3と内部電極7との間の抵抗31の抵抗値の変化と、内部電極7と端子電極6との間の抵抗32の抵抗値の変化とを相殺するので、酸化物半導体の温度特性に応じて補正した外部電極3と内部電極7との間の電圧値を得ることができる。つまり、紫外線センサ1は、周辺環境の温度に依存することなく、紫外線を検知することができる。また、紫外線センサ1は、OPアンプ等を用いた補正回路が不要なので、製造コストが安くなる。
【0042】
なお、紫外線センサ1は、特に紫外線が当たらないときの抵抗31と抵抗32の抵抗値が同じになるように構成する場合に限定されるものではなく、抵抗31と抵抗32の抵抗値が異なるように構成しても良い。また、紫外線センサ1は、紫外線を検知するために、外部電極3と内部電極7との間の電圧及び/又は内部電極7と端子電極6との間の電圧を測定する場合に限定されるものではなく、外部電極3と内部電極7との間の電流及び/又は内部電極7と端子電極6との間の電流を測定しても良い。
【0043】
さらに、内部電極7と端子電極6との間の抵抗32は、内部電極7の長さや端子電極6に内部電極を設ける等の設計変更で容易に抵抗値を変更することができる。
【0044】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2に係る紫外線センサ1の構成を示す概略図である。図7(a)は、本発明の実施の形態2に係る紫外線センサ1の平面図である。図7(b)は、図7(a)に示す紫外線センサ1のB−B断面図である。図7(a)に示すように、紫外線センサ1は、酸化物半導体で構成された直方体形状の基板2のそれぞれ異なる面に形成された外部電極3、端子電極4、端子電極5、端子電極6を備えている。さらに、紫外線センサ1は、外部電極3と、端子電極5及び端子電極6との間の基板2の面(第1面)に形成された絶縁層8を備えている。また、図7(b)に示すように、紫外線センサ1は、基板2内に、外部電極3と平行に形成された内部電極7を備えている。なお、実施の形態2に係る紫外線センサ1について、図1に示した実施の形態1に係る紫外線センサ1と同じ構成要素については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0045】
実施の形態1に係る紫外線センサ1は、図6で示したように、周辺環境の温度が50℃以上になると、外部電極3と内部電極7との間の電圧が低下する。外部電極3と内部電極7との間の電圧が低下するのは、実施の形態1の図3に示したように外部電極3から端子電極5、及び/又は外部電極3から端子電極6へリーク電流(基板2の表面を流れる電流)が流れているためと考えられる。そこで、本実施の形態2に係る紫外線センサ1では、外部電極3から端子電極5、6へ流れるリーク電流を低減するため、外部電極3と、端子電極5(第1端子電極)及び端子電極6(第2端子電極)との間の基板2の面(第1面)に形成した絶縁層8を備えている。
【0046】
絶縁層8を形成する方法は、端子電極4、5、6を形成する前に、すなわち端子電極4、5、6を形成する基板2の異なるそれぞれの面にAgペーストを塗布する前に、外部電極3を形成する基板2の面(第1面)にガラスペーストを塗布し、塗布したガラスペーストをAgペーストと同時に焼成して絶縁層8を形成する。なお、基板2の面(第1面)の外部電極3を形成する領域にはガラスペーストを塗布しないで、絶縁層8を形成後に、スパッタ法等を用いて外部電極3を形成する。
【0047】
図8は、本発明の実施の形態2に係る紫外線センサ1の周辺環境の温度による外部電極3と内部電極7との間の電圧の変化を示すグラフである。図8は、紫外線センサ1に紫外線が当たらない状態で、周辺環境の温度が0℃から80℃まで変化した場合の外部電極3と内部電極7との間の電圧の変化を示している。紫外線が当たらない場合、本発明の実施の形態1と同じように、外部電極3と内部電極7との間の電圧は約1.5Vになるが、本実施の形態2に係る紫外線センサ1は、外部電極3と、端子電極5及び端子電極6との間の基板2の面(第1面)に絶縁層8を形成して、外部電極3から端子電極5、6へ流れるリーク電流を低減しているので、周辺環境の温度が50℃以上でも外部電極3と内部電極7との間の電圧は略一定となる。例えば、周辺環境の温度が0℃の時、波長が370nm、放射強度1mW/cm2 の紫外線を紫外線センサ1に当てると、抵抗31の抵抗値が低下し、外部電極3と内部電極7との間の電圧は約1.0Vまで低下し、紫外線を検知することができる。紫外線が当たったことにより周辺環境の温度が50℃以上に変化しても、外部電極3と内部電極7との間の電圧は約1.0Vのままで略一定となるので、同様に紫外線を検知することができる。
【0048】
以上のように、本発明の実施の形態2に係る紫外線センサ1は、外部電極3と、端子電極5及び端子電極6との間の基板2の面(第1面)に絶縁層8を形成しているので、外部電極3から端子電極5、6へ流れるリーク電流(基板2の表面を流れる電流)を低減することができ、より広い周辺環境の温度範囲で酸化物半導体の温度特性に応じて補正した外部電極3と内部電極7との間の電圧値を得ることができる。つまり、本実施の形態2に係る紫外線センサ1は、より広い温度範囲で周辺環境の温度に依存することなく、紫外線を検知することができる。また、本実施の形態2に係る紫外線センサ1は、OPアンプ等を用いた補正回路が不要なので、製造コストが安くなる。
【符号の説明】
【0049】
1 紫外線センサ
2 基板
3 外部電極
4、5、6 端子電極
7 内部電極
8 絶縁層
11 電源
21 グリーンシート
31、32 抵抗
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線を検知する紫外線センサに関し、特に、紫外線を受光する部分に酸化物半導体を用いた紫外線センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の紫外線を検知する紫外線センサでは、紫外線を受光する部分に紫外線光電管が用いられていた。しかし、紫外線光電管は、非常に高い駆動電圧が必要であり、紫外線センサ自体が大型化するという問題点があった。近年、斯かる問題点を解消するために、紫外線を受光する部分に酸化物半導体を用いた紫外線センサが開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、紫外線を受光する部分に酸化物半導体を用いた紫外線センサが開示されている。特許文献1に開示されている紫外線センサは、ZnOを含む酸化物半導体で構成されたZnO層と、ZnOがNiOに固溶してなる酸化物半導体で構成された(Ni,Zn)O層と、ZnO層に電気的に接続される第1の端子電極と、(Ni,Zn)O層に電気的に接続される第2の端子電極とを備えている。特許文献1に開示されている紫外線センサでは、ZnO層と(Ni,Zn)O層との接合部に紫外線が当たった場合、光電効果により接合部に光電子が生じることで第1の端子電極と第2の端子電極との間の抵抗値が低下する。したがって、第1の端子電極と第2の端子電極との間の電圧(電流)値の変化によって紫外線を検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3952076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
酸化物半導体は、温度により抵抗値が変化するという温度特性を有している。そのため、紫外線を受光する部分に酸化物半導体を用いた紫外線センサでは、使用される周辺環境の温度により酸化物半導体の抵抗値が変化し、測定する第1の端子電極と第2の端子電極との間の電圧(電流)値が変化する。したがって、酸化物半導体の温度特性に応じて、測定した第1の端子電極と第2の端子電極との間の電圧(電流)値を適正に補正しないと正しく紫外線を検知することができないという問題点があった。そこで、従来の紫外線センサでは、酸化物半導体の温度特性に応じて、測定した第1の端子電極と第2の端子電極との間の電圧(電流)値を、OPアンプ等を用いて補正していた。
【0006】
しかし、OPアンプ等を用いて第1の端子電極と第2の端子電極との間の電圧(電流)値を補正する場合、OPアンプ等を用いた補正回路の設計によっては、使用が予定される周辺環境の所定の温度範囲については適性に補正することができるものの、所定の温度範囲外については適正に補正することができない場合が生じるという問題点があった。また、従来の紫外線センサは、OPアンプ等の製品バラツキにより、測定した第1の端子電極と第2の端子電極との間の電圧(電流)値の補正自体にもバラツキが生じるという問題点があった。さらに、従来の紫外線センサは、OPアンプ等を用いた補正回路を備える必要があるため、製造コストが高くなるという問題点もあった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、製造コストが安く、酸化物半導体の温度特性に応じて電圧(電流)値を適正に補正することが可能な紫外線センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために第1発明に係る紫外線センサは、酸化物半導体で構成された基板と、該基板内に形成された内部電極と、前記基板の第1面に形成された外部電極と、前記内部電極の一部が外部へ露出した前記基板の第2面に形成され、前記内部電極と接続された第1端子電極と、前記外部電極が形成された前記第1面及び前記第1端子電極が形成された第2面と異なる前記基板の第3面に形成された第2端子電極とを備え、前記外部電極と前記第2端子電極との間に印加する所定の電圧を、前記内部電極で分圧する。
【0009】
また、第2発明に係る紫外線センサは、第1発明において、前記内部電極で分圧された、前記外部電極と前記内部電極との間の電圧及び/又は前記内部電極と前記第2端子電極との間の電圧を測定する。
【0010】
また、第3発明に係る紫外線センサは、第1又は第2発明において、前記酸化物半導体は、ZnOがNiOに固溶してなる。
【0011】
また、第4発明に係る紫外線センサは、第1乃至第3発明のいずれか一つにおいて、前記外部電極は、紫外線を透過する材料で形成してある。
【0012】
また、第5発明に係る紫外線センサは、第1乃至第4発明のいずれか一つにおいて、前記外部電極と、前記第1端子電極及び前記第2端子電極との間の前記基板の前記第1面に形成された絶縁層を備える。
【0013】
第1発明では、基板の第1面に形成された外部電極と、外部電極が形成された第1面及び第1端子電極が形成された第2面と異なる基板の第3面に形成された第2端子電極との間に印加する所定の電圧を、基板内に形成された内部電極で分圧することにより、使用される周辺環境の温度による外部電極と内部電極との間の酸化物半導体の抵抗値の変化と、内部電極と第2端子電極との間の酸化物半導体の抵抗値の変化とを相殺するので、酸化物半導体の温度特性に応じて適正に補正した電圧(電流)値を得ることができる。また、OPアンプ等を用いた補正回路を備える必要がないため、製造コストを安くすることができる。
【0014】
第2発明では、外部電極と内部電極との間の電圧及び/又は内部電極と第2端子電極との間の電圧を測定することにより、基板と外部電極とが接する部分で生じる光電子により外部電極と内部電極との間の抵抗値が低下したことを検知することで、紫外線を検知することができる。
【0015】
第3発明では、基板は、ZnOがNiOに固溶してなる酸化物半導体で構成することにより、酸化物半導体を焼成して形成する際に、ZnOがNiOに固溶されるので、揮発成分であるZnが揮発するのを抑制して、紫外線を安定した感度で検知することができる。
【0016】
第4発明では、外部電極は、紫外線を透過する材料を用いて形成することにより、基板と外部電極とが接する部分で光電効果により光電子を効率よく生じさせることができる。
【0017】
第5発明では、外部電極と、第1端子電極及び第2端子電極との間の基板の第1面に形成された絶縁層を備えることにより、外部電極と第1端子電極及び第2端子電極との間を流れるリーク電流を抑えることで、より広い周辺環境の温度範囲で酸化物半導体の温度特性に応じて適正に補正した電圧(電流)値を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る紫外線センサは、基板内に形成された内部電極と、基板の第1面に形成された外部電極と、内部電極の一部が外部へ露出した基板の第2面に形成され、内部電極と接続された第1端子電極と、外部電極が形成された第1面及び第1端子電極が形成された第2面と異なる基板の第3面に形成された第2端子電極とを備え、外部電極と第2端子電極との間に印加する所定の電圧を、内部電極で分圧することにより、使用される周辺環境の温度による外部電極と内部電極との間の酸化物半導体の抵抗値の変化と、内部電極と第2端子電極との間の酸化物半導体の抵抗値の変化とを相殺するので、酸化物半導体の温度特性に応じて適正に補正した電圧(電流)値を得ることができる。つまり、周辺環境の温度に依存することなく、紫外線を検知することができる。また、OPアンプ等を用いた補正回路を備える必要がないため、製造コストを安くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1に係る紫外線センサの構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る紫外線センサの基板を形成する方法を説明するための概略図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る紫外線センサの回路構成を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る紫外線センサの回路図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る紫外線センサの周辺環境の温度による外部電極と内部電極との間及び内部電極と端子電極との間の抵抗の変化、外部電極と内部電極との間の電圧の変化を示すグラフである。
【図6】本発明の実施の形態1に係る紫外線センサの周辺環境の温度による外部電極と内部電極との間の電圧の変化を示すグラフである。
【図7】本発明の実施の形態2に係る紫外線センサの構成を示す概略図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る紫外線センサの周辺環境の温度による外部電極と内部電極との間の電圧の変化を示すグラフである。
【図9】従来の紫外線センサの回路構成を示す模式図である。
【図10】従来の紫外線センサの回路図である。
【図11】抵抗を追加した従来の紫外線センサの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態における紫外線センサについて、図面を用いて具体的に説明する。以下の実施の形態は、特許請求の範囲に記載された発明を限定するものではなく、実施の形態の中で説明されている特徴的事項の組み合わせの全てが解決手段の必須事項であるとは限らないことは言うまでもない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る紫外線センサの構成を示す概略図である。図1(a)は、本発明の実施の形態1に係る紫外線センサの平面図である。図1(b)は、図1(a)に示す紫外線センサのA−A断面図である。図1(a)に示すように、紫外線センサ1は、酸化物半導体で構成された直方体形状の基板2のそれぞれ異なる面に形成された、外部電極3、端子電極4、端子電極5(第1端子電極)、端子電極6(第2端子電極)を備えている。外部電極3は、端子電極4と接続しているが、端子電極5及び端子電極6とは接続していない。端子電極4は、基板2の、外部電極3が形成されている面(第1面)に対して垂直な面に形成されている。端子電極5、6は、基板2の長手方向にある両端面(第2面、第3面)にそれぞれ形成されている。図1(b)に示すように、紫外線センサ1は、基板2内に、外部電極3と平行に形成された内部電極7を備えている。端子電極5は、基板2の端面(第2面)から外部へ露出した内部電極7の一部と接続している。
【0022】
基板2を構成する酸化物半導体は、20〜40モル%のZnOがNiOに固溶してなる(Ni,Zn)Oの酸化物半導体である。ただし、基板2を構成する酸化物半導体は、(Ni,Zn)Oに限定されるものではなく、NiO、ZnO、TiO2 等でも良い。なお、紫外線センサ1は、基板2を構成する酸化物半導体のバンドギャップ値によって検知することができる紫外線の波長領域が異なる。例えば、基板2を構成する酸化物半導体がNiOである紫外線センサ1は、波長が280nm以下の紫外線を検知することができ、酸化物半導体がZnOである紫外線センサ1は、波長が380nm以下の紫外線を検知することができる。また、基板2を構成する酸化物半導体が(Ni,Zn)Oである紫外線センサ1は、波長が400nm以下の紫外線を検知することができる。
【0023】
ここで、基板2を形成する方法について、以下に説明する。図2は、本発明の実施の形態1に係る紫外線センサ1の基板2を形成する方法を説明するための概略図である。まず、(Ni,Zn)Oの酸化物半導体からなるグリーンシート21を形成する。グリーンシート21の形成処理は、NiOとZnOとの割合が65モル%と35モル%となるように、原料のNiO及びZnOの無機粉末を秤量し、秤量した無機粉末に純水を加え、PSZ(安定化ジルコニア)ビーズをメディア(粉砕用ボール(球石))として、ボールミルにて平均粒径0.5μm以下となるように混合粉砕する。さらに、混合粉砕によりスラリーとなった無機粉末を、脱水乾燥し、50μm程度の粒径の粉末に造粒した後、1200℃の温度で2時間仮焼する。仮焼した無機粉末に、純水を加え、PSZビーズをメディアとしてボールミルにて平均粒径0.5μmになるまで混合粉砕する。混合粉砕した無機粉末は、脱水乾燥した後、有機溶剤及び分散剤を加えて混合し、さらにバインダ及び可塑剤を加えスラリーとし、ドクターブレード法を用いて、厚み10μmのシートに成形する。成形したシートを板状にカットし、複数枚のグリーンシート21として形成する。
【0024】
次に、形成した複数枚のグリーンシート21のいずれか1枚に、Pdペーストをスクリーン印刷し、60℃の温度で1時間乾燥して内部電極7を形成する。図2に示すように、内部電極7を形成したグリーンシート21は、内部電極7を形成した面側に他のグリーンシート21を1枚積層し、反対の面側に他のグリーンシート21を複数枚積層する。なお、積層したグリーンシート21の厚みが0.2mmとなるように、積層するグリーンシート21の枚数を20枚とする。
【0025】
次に、積層したグリーンシート21を、金型に入れて20MPaの圧力で圧着した後、所定の形状に合わせてカットする。カットしたグリーンシート21は、300℃の温度でゆっくりと、十分に脱脂した後、1250℃の温度で5時間焼成することにより、基板2を形成する。なお、積層したグリーンシート21を、後述するZnOシートに載せて焼成することで、焼成中に揮発成分であるZnOが揮発するのを抑制することもできる。
【0026】
形成した基板2は、3.2mm×1.6mm×0.2mmの直方体形状となる。さらに、基板2は、直径が3mmのアルミナビーズとともに塩化ビニル製のポットに入れ、遊星ミルを用いて端面に丸みを形成する。基板2の端面に丸みを形成することで、基板2の端面から外部へ露出した内部電極7の一部と端子電極5とを容易に接続することができる。
【0027】
図1に戻って、外部電極3は、スパッタ法によって、基板2の一面にZnO層を成膜することにより形成されている。ZnO層の厚みは、約0.5μmである。また、外部電極3は、端子電極4と接続しているが、端子電極5、6とは接続していない。なお、外部電極3を形成する材料は、特にZnOに限定されるものではなく、紫外線を透過する材料であればITO、TiO2 、Au−Ti合金、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン):PSS(ポリスチレンスルホン酸)等であっても良い。また、外部電極3の形成方法は、特にスパッタ法に限定されるものではなく、構成する材料によって蒸着法、塗布法等を用いても良い。
【0028】
ZnO層を成膜するスパッタ法に用いるスパッタターゲットを形成する処理について、以下に説明する。まず、ZnとGaとのモル比が95:5となるように、ZnO及びGa2 O3 の粉末を秤量し、秤量した粉末に純水を加え、PSZビーズをメディアとしてボールミルにて平均粒径0.5μm以下となるように混合粉砕する。さらに、混合粉砕によりスラリーとなった粉末を、脱水乾燥し、50μm程度の粒径の粉末に造粒した後、1200℃の温度で2時間仮焼する。仮焼した粉末に、純水を加え、PSZビーズをメディアとしてボールミルにて平均粒径0.5μmになるまで混合粉砕する。混合粉砕した粉末を、脱水乾燥した後、有機溶剤及び分散剤を加えて混合し、さらにバインダ及び可塑剤を加えスラリーとし、ドクターブレード法を用いて、厚み20μmのシートに成形する。成形したシートを板状にカットし、複数枚のZnOシートとして形成する。形成したZnOシートを、厚みが20mmとなるように、複数枚積層する。積層したZnOシートは、250MPaの圧力で5分間圧着した後、十分に脱脂して、1200℃の温度で1時間焼成することでスパッタターゲットを形成する。
【0029】
図1(a)に戻って、端子電極4は、基板2の、外部電極3が形成されている面(第1面)に対して垂直な面にAgペーストを塗布して、800℃の温度で10分間焼成して形成する。なお、端子電極4は、外部電極3が形成されている基板2の面(第1面)に形成した一部が外部電極3と接続している。端子電極5は、内部電極7の一部が外部へ露出した基板2の面(第2面)にAgペーストを塗布して、800℃の温度で10分間焼成して形成する。端子電極6は、端子電極5が形成してある基板2の面(第2面)と対向する面(第3面)にAgペーストを塗布して、800℃の温度で10分間焼成して形成する。さらに、端子電極4、5、6には、Ni、Snの順に電解メッキを施している。
【0030】
次に、本実施の形態1に係る紫外線センサ1の動作について、以下に説明する。図3は、本発明の実施の形態1に係る紫外線センサ1の回路構成を示す模式図である。図4は、本発明の実施の形態1に係る紫外線センサ1の回路図である。図3に示すように、紫外線センサ1は、電源11のプラス側が端子電極4に、電源11のマイナス側が端子電極6にそれぞれ接続されている。
【0031】
紫外線センサ1は、ZnO層の外部電極3と酸化物半導体((Ni,Zn)O)の基板2とが接する部分に紫外線が当たった場合、光電効果により当該部分に光電子が生じることで外部電極3と内部電極7との間の抵抗値が低下し、測定する外部電極3と内部電極7との間の電圧(電流)値が変化する。したがって、紫外線センサ1は、外部電極3と内部電極7との間の電圧(電流)の値を測定することで紫外線を検知することができる。紫外線センサ1は、電源11により端子電極4と端子電極6との間にバイアス電圧を印加した場合、端子電極4から外部電極3、内部電極7、端子電極6へ電流が流れることになるので、外部電極3と内部電極7との間に抵抗31、内部電極7と端子電極6との間に抵抗32を設けた回路構成とみなすことができる。
【0032】
つまり、紫外線センサ1は、図4に示すように、端子電極4(外部電極3)と端子電極6との間に、抵抗31、32を直列に接続した回路とみなすことができるため、端子電極4と端子電極6との間(外部電極3と端子電極6との間)に印加するバイアス電圧は、抵抗31、32により外部電極3と内部電極7との間の電圧、及び内部電極7と端子電極6との間の電圧に分圧される。なお、紫外線40が当たった場合、ZnO層の外部電極3と酸化物半導体((Ni,Zn)O)の基板2とが接する部分に生じた光電子により、抵抗31の抵抗値は低下するが、抵抗32の抵抗値は変化しない。
【0033】
ここで、従来の紫外線センサの回路構成について説明する。図9は、従来の紫外線センサの回路構成を示す模式図である。図10は、従来の紫外線センサの回路図である。図9に示すように、従来の紫外線センサ101は、電源111のプラス側が外部電極103に接続された端子電極106に、電源111のマイナス側が内部電極107に接続された端子電極105にそれぞれ接続されている。
【0034】
従来の紫外線センサ101も、ZnO層の外部電極103と酸化物半導体((Ni,Zn)O)の基板102とが接する部分に紫外線が当たった場合、光電効果により当該部分に光電子が生じることで外部電極103と内部電極107との間の抵抗値が低下する。したがって、従来の紫外線センサ101は、外部電極103と内部電極107との間の電流値を測定することで紫外線を検知することができる。従来の紫外線センサ101は、電源111により端子電極106と端子電極105との間にバイアス電圧を印加した場合、端子電極105から内部電極107、外部電極103、端子電極106へ電流が流れることになるので、外部電極103と内部電極107との間に抵抗131を設けた回路構成とみなすことができる。
【0035】
つまり、従来の紫外線センサ101は、図10に示すように、端子電極106と端子電極105との間に抵抗131を設けた回路とみなすことができるため、端子電極106と端子電極105との間に印加するバイアス電圧は、抵抗131に印加される。なお、従来の紫外線センサ101も、紫外線40が当たった場合、ZnO層の外部電極103と酸化物半導体((Ni,Zn)O)の基板102とが接する部分に生じた光電子により、抵抗131の抵抗値が低下し、端子電極105と端子電極106との間の電流値の変化によって紫外線を検知することができる。
【0036】
本実施の形態1に係る紫外線センサ1の回路は、図4に示す回路図と図10に示す回路図とを比較することで分かるように、従来の紫外線センサ101の回路に、内部電極7と端子電極6との間に抵抗32を追加してある。追加した抵抗32は、外部電極3と基板2とが接する部分に生じる光電子の影響を受けないが、図3に示すように基板2内に設けてあるので、抵抗31と同じように酸化物半導体の温度特性の影響を受ける。
【0037】
また、基板2は、3.2mm×1.6mm×0.2mm程度の大きさであるため、紫外線センサ1を使用する周辺環境の温度によって、抵抗31の温度と抵抗32の温度との間に差は生じないものと考えられる。したがって、周辺環境の温度による抵抗32の抵抗値の変化は、抵抗31の抵抗値の変化と略同じになるため、紫外線センサ1は、外部電極3と端子電極6との間に印加するバイアス電圧を、抵抗31と抵抗32とにより外部電極3と内部電極7との間の電圧、及び内部電極7と端子電極6との間の電圧に分圧することにより、抵抗31の抵抗値の変化と抵抗32の抵抗値の変化とを相殺するので、酸化物半導体の温度特性に応じて補正した外部電極3と内部電極7との間の電圧値を得ることができる。
【0038】
図5は、本発明の実施の形態1に係る紫外線センサ1の周辺環境の温度による外部電極3と内部電極7との間及び内部電極7と端子電極6との間の抵抗31、32の変化、外部電極3と内部電極7との間の電圧の変化を示すグラフである。特に、図5(a)は、周辺環境の温度による外部電極3と内部電極7との間の抵抗31の変化を示すグラフである。図5(b)は、周辺環境の温度による内部電極7と端子電極6との間の抵抗32の変化を示すグラフである。図5(c)は、周辺環境の温度による外部電極3と内部電極7との間の電圧の変化を示すグラフである。図5に示すように、抵抗31及び抵抗32は、周辺環境の温度が高くなるにつれて抵抗値が低下する。周辺環境の温度による抵抗31の抵抗値の変化と、抵抗32の抵抗値の変化とは略同じであるため、端子電極4と端子電極6との間に印加するバイアス電圧を抵抗31と抵抗32とで分圧した外部電極3と内部電極7との間の電圧は、周辺環境の温度による変化はなく略一定となる。従って、紫外線センサ1は、外部電極3と内部電極7との間の電圧を測定することで、酸化物半導体の温度特性に応じて適正に補正した電圧値を得ることができ、紫外線を検知することができる。なお、内部電極7と端子電極6との間の電圧を測定すれば、外部電極3と内部電極7との間の電圧を求めることができるので、測定する電圧は、特に外部電極3と内部電極7との間の電圧に限定されるものではなく、外部電極3と内部電極7との間の電圧及び/又は内部電極7と端子電極6との間の電圧を測定しても良い。
【0039】
図6は、本発明の実施の形態1に係る紫外線センサ1の周辺環境の温度による外部電極3と内部電極7との間の電圧の変化を示すグラフである。図6は、紫外線センサ1に紫外線が当たらない状態で、周辺環境の温度が0℃から80℃まで変化した場合の外部電極3と内部電極7との間の電圧の変化を示している。ここで、説明を簡単にするために、紫外線センサ1は、紫外線が当たらないときの抵抗31と抵抗32の抵抗値が同じになるように構成し、端子電極4と端子電極6との間に印加するバイアス電圧を3.0Vとする。紫外線が当たらない場合、外部電極3と内部電極7との間の電圧は約1.5Vになる。紫外線センサ1は、端子電極4と端子電極6との間に印加するバイアス電圧を内部電極7で分圧しているので、周辺環境の温度が変化しても、外部電極3と内部電極7との間の電圧は略一定となる。ただし、周辺環境の温度が50℃以上になると外部電極3と内部電極7(端子電極5)との間の抵抗値が低下するので、外部電極3と内部電極7との間の電圧が少し低下している。例えば、周辺環境の温度が0℃の時、波長が370nm、放射強度1mW/cm2 の紫外線を紫外線センサ1に当てると、抵抗31の抵抗値が低下し、外部電極3と内部電極7との間の電圧は約1.0Vまで低下し、紫外線を検知することができる。紫外線が当たったことにより低下した電圧は、周辺環境の温度が0℃から50℃まで変化しても、約1.0Vのままで略一定となるので、同様に紫外線を検知することができる。
【0040】
図11は、抵抗を追加した従来の紫外線センサの回路図である。図11に示す従来の紫外線センサ101は、紫外線が当たらないときの抵抗131と同程度の抵抗値を有する抵抗132を追加し、追加した抵抗132を抵抗131に対して直列に接続している。端子電極106と抵抗132の一端108との間に3.0Vのバイアス電圧を印加し、紫外線センサ101に紫外線が当たらない状態で、周辺環境の温度が0℃から80℃まで変化した場合の端子電極105と端子電極106との間の電圧の変化を図6のグラフに示す。紫外線が当たらない場合、端子電極105と端子電極106との間の電圧は約1.5Vになる。周辺環境の温度が高くなると、従来の紫外線センサ101の抵抗131は周辺環境の温度により抵抗値が低下するが、抵抗132は外付けの抵抗であるので周辺環境の温度が変化しても抵抗値は変化しない。周辺環境の温度が高くなると端子電極105と端子電極106との間の電圧は約1.5Vよりも低下し、周辺環境の温度が80℃の時、端子電極105と端子電極106との間の電圧は約1.1Vになる。例えば、周辺環境の温度が0℃の時、波長が370nm、放射強度1mW/cm2 の紫外線を紫外線センサ101に当てると、抵抗131の抵抗値が低下し、端子電極105と端子電極106との間の電圧は約1.0Vまで低下するが、該電圧の低下が紫外線を検知したことによるものか、周辺環境の温度が変化したことによるものかを判断することができない。
【0041】
以上のように、本発明の実施の形態1に係る紫外線センサ1は、基板2内に形成された内部電極7と、基板2の面(第1面)に形成された外部電極3と、内部電極7の一部が外部へ露出した基板2の面(第2面)に形成され、内部電極7と接続された端子電極5と、外部電極3が形成された基板2の面(第1面)及び端子電極5が形成された基板2の面(第2面)と異なる基板2の面(第3面)に形成された端子電極6とを備えているので、外部電極3と端子電極6との間に印加するバイアス電圧を、内部電極7で分圧する回路構成とすることができる。紫外線センサ1は、外部電極3と端子電極6との間に印加するバイアス電圧を、外部電極3と内部電極7との間の電圧、及び内部電極7と端子電極6との間の電圧に分圧することにより、使用される周辺環境の温度による外部電極3と内部電極7との間の抵抗31の抵抗値の変化と、内部電極7と端子電極6との間の抵抗32の抵抗値の変化とを相殺するので、酸化物半導体の温度特性に応じて補正した外部電極3と内部電極7との間の電圧値を得ることができる。つまり、紫外線センサ1は、周辺環境の温度に依存することなく、紫外線を検知することができる。また、紫外線センサ1は、OPアンプ等を用いた補正回路が不要なので、製造コストが安くなる。
【0042】
なお、紫外線センサ1は、特に紫外線が当たらないときの抵抗31と抵抗32の抵抗値が同じになるように構成する場合に限定されるものではなく、抵抗31と抵抗32の抵抗値が異なるように構成しても良い。また、紫外線センサ1は、紫外線を検知するために、外部電極3と内部電極7との間の電圧及び/又は内部電極7と端子電極6との間の電圧を測定する場合に限定されるものではなく、外部電極3と内部電極7との間の電流及び/又は内部電極7と端子電極6との間の電流を測定しても良い。
【0043】
さらに、内部電極7と端子電極6との間の抵抗32は、内部電極7の長さや端子電極6に内部電極を設ける等の設計変更で容易に抵抗値を変更することができる。
【0044】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2に係る紫外線センサ1の構成を示す概略図である。図7(a)は、本発明の実施の形態2に係る紫外線センサ1の平面図である。図7(b)は、図7(a)に示す紫外線センサ1のB−B断面図である。図7(a)に示すように、紫外線センサ1は、酸化物半導体で構成された直方体形状の基板2のそれぞれ異なる面に形成された外部電極3、端子電極4、端子電極5、端子電極6を備えている。さらに、紫外線センサ1は、外部電極3と、端子電極5及び端子電極6との間の基板2の面(第1面)に形成された絶縁層8を備えている。また、図7(b)に示すように、紫外線センサ1は、基板2内に、外部電極3と平行に形成された内部電極7を備えている。なお、実施の形態2に係る紫外線センサ1について、図1に示した実施の形態1に係る紫外線センサ1と同じ構成要素については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0045】
実施の形態1に係る紫外線センサ1は、図6で示したように、周辺環境の温度が50℃以上になると、外部電極3と内部電極7との間の電圧が低下する。外部電極3と内部電極7との間の電圧が低下するのは、実施の形態1の図3に示したように外部電極3から端子電極5、及び/又は外部電極3から端子電極6へリーク電流(基板2の表面を流れる電流)が流れているためと考えられる。そこで、本実施の形態2に係る紫外線センサ1では、外部電極3から端子電極5、6へ流れるリーク電流を低減するため、外部電極3と、端子電極5(第1端子電極)及び端子電極6(第2端子電極)との間の基板2の面(第1面)に形成した絶縁層8を備えている。
【0046】
絶縁層8を形成する方法は、端子電極4、5、6を形成する前に、すなわち端子電極4、5、6を形成する基板2の異なるそれぞれの面にAgペーストを塗布する前に、外部電極3を形成する基板2の面(第1面)にガラスペーストを塗布し、塗布したガラスペーストをAgペーストと同時に焼成して絶縁層8を形成する。なお、基板2の面(第1面)の外部電極3を形成する領域にはガラスペーストを塗布しないで、絶縁層8を形成後に、スパッタ法等を用いて外部電極3を形成する。
【0047】
図8は、本発明の実施の形態2に係る紫外線センサ1の周辺環境の温度による外部電極3と内部電極7との間の電圧の変化を示すグラフである。図8は、紫外線センサ1に紫外線が当たらない状態で、周辺環境の温度が0℃から80℃まで変化した場合の外部電極3と内部電極7との間の電圧の変化を示している。紫外線が当たらない場合、本発明の実施の形態1と同じように、外部電極3と内部電極7との間の電圧は約1.5Vになるが、本実施の形態2に係る紫外線センサ1は、外部電極3と、端子電極5及び端子電極6との間の基板2の面(第1面)に絶縁層8を形成して、外部電極3から端子電極5、6へ流れるリーク電流を低減しているので、周辺環境の温度が50℃以上でも外部電極3と内部電極7との間の電圧は略一定となる。例えば、周辺環境の温度が0℃の時、波長が370nm、放射強度1mW/cm2 の紫外線を紫外線センサ1に当てると、抵抗31の抵抗値が低下し、外部電極3と内部電極7との間の電圧は約1.0Vまで低下し、紫外線を検知することができる。紫外線が当たったことにより周辺環境の温度が50℃以上に変化しても、外部電極3と内部電極7との間の電圧は約1.0Vのままで略一定となるので、同様に紫外線を検知することができる。
【0048】
以上のように、本発明の実施の形態2に係る紫外線センサ1は、外部電極3と、端子電極5及び端子電極6との間の基板2の面(第1面)に絶縁層8を形成しているので、外部電極3から端子電極5、6へ流れるリーク電流(基板2の表面を流れる電流)を低減することができ、より広い周辺環境の温度範囲で酸化物半導体の温度特性に応じて補正した外部電極3と内部電極7との間の電圧値を得ることができる。つまり、本実施の形態2に係る紫外線センサ1は、より広い温度範囲で周辺環境の温度に依存することなく、紫外線を検知することができる。また、本実施の形態2に係る紫外線センサ1は、OPアンプ等を用いた補正回路が不要なので、製造コストが安くなる。
【符号の説明】
【0049】
1 紫外線センサ
2 基板
3 外部電極
4、5、6 端子電極
7 内部電極
8 絶縁層
11 電源
21 グリーンシート
31、32 抵抗
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物半導体で構成された基板と、
該基板内に形成された内部電極と、
前記基板の第1面に形成された外部電極と、
前記内部電極の一部が外部へ露出した前記基板の第2面に形成され、前記内部電極と接続された第1端子電極と、
前記外部電極が形成された前記第1面及び前記第1端子電極が形成された第2面と異なる前記基板の第3面に形成された第2端子電極と
を備え、
前記外部電極と前記第2端子電極との間に印加する所定の電圧を、前記内部電極で分圧することを特徴とする紫外線センサ。
【請求項2】
前記内部電極で分圧された、前記外部電極と前記内部電極との間の電圧及び/又は前記内部電極と前記第2端子電極との間の電圧を測定することを特徴とする請求項1に記載の紫外線センサ。
【請求項3】
前記酸化物半導体は、ZnOがNiOに固溶してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の紫外線センサ。
【請求項4】
前記外部電極は、紫外線を透過する材料で形成してあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の紫外線センサ。
【請求項5】
前記外部電極と、前記第1端子電極及び前記第2端子電極との間の前記基板の前記第1面に形成された絶縁層を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の紫外線センサ。
【請求項1】
酸化物半導体で構成された基板と、
該基板内に形成された内部電極と、
前記基板の第1面に形成された外部電極と、
前記内部電極の一部が外部へ露出した前記基板の第2面に形成され、前記内部電極と接続された第1端子電極と、
前記外部電極が形成された前記第1面及び前記第1端子電極が形成された第2面と異なる前記基板の第3面に形成された第2端子電極と
を備え、
前記外部電極と前記第2端子電極との間に印加する所定の電圧を、前記内部電極で分圧することを特徴とする紫外線センサ。
【請求項2】
前記内部電極で分圧された、前記外部電極と前記内部電極との間の電圧及び/又は前記内部電極と前記第2端子電極との間の電圧を測定することを特徴とする請求項1に記載の紫外線センサ。
【請求項3】
前記酸化物半導体は、ZnOがNiOに固溶してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の紫外線センサ。
【請求項4】
前記外部電極は、紫外線を透過する材料で形成してあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の紫外線センサ。
【請求項5】
前記外部電極と、前記第1端子電極及び前記第2端子電極との間の前記基板の前記第1面に形成された絶縁層を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の紫外線センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−14710(P2011−14710A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157376(P2009−157376)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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