説明

紫外線硬化型インキ組成物、および、それを用いた車両用室内表示物

【課題】 アフターベーク処理を施すことなく、シックハウス対象の揮発性有機化合物(VOC)の放散量が少ない紫外線硬化型インキ組成物、および、それを用いた車両用室内表示物を提供する。
【解決手段】 硬化成分として、N−ビニルカプロラクタムを含有しない紫外線硬化型インキ組成物、および、それを用いた車両用室内表示物であって、かつ、硬化成分として、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーを含むウレタンアクリレートオリゴマー混合物と、フェノキシエチルアクリレートモノマーを含む(メタ)アクリレートモノマー混合物と、アクリルアミド化合物と、熱可塑性樹脂のアクリル樹脂と、を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型インキ組成物、および、それを用いた車両用室内表示物に関し、特に、アフターベーク処理を施すことなく、シックハウス対象の揮発性有機化合物(以下、VOCと記す)の放散量等が少ない紫外線硬化型インキ組成物、および、それを用いた車両用室内表示物に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線硬化型インキは、溶剤を実質的に含まないため、溶剤型インキと比べて、労働安全、環境汚染、火災予防等に優れており、また、硬化反応が速いことから、盛んに利用されている。
【0003】
このような紫外線硬化型インキとして、硬化性に優れ、各種プラスチック基材に対する密着性に優れ、化粧合板等に適当な放射線硬化性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
より具体的には、ポリカーボネートジオール、ジイソシアネート化合物、および、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートと、所定のヒドロキシル基を有するポリオール、ジイソシアネート化合物、および、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートと、の反応物であるウレタン(メタ)アクリレートと、カルボキシル含有(メタ)アクリレートと、光重合開始剤と、からなる光硬化型樹脂組成物であって、所望により、N−ビニルカプロラクタム等をさらに含む光硬化型樹脂組成物である。
【0004】
また、幅広い温度域(−40℃〜60℃)において、所定の弾性率を有する光ファイバー用被覆材として、ポリカーボネートジオール変性ウレタンプレポリマーを含む光硬化型樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
より具体的には、ポリカーボネートジオール、水酸基を有する(メタ)アクリレート、および、ポリイソシアネートの反応物であるエチレン性不飽和基を有するポリカーボネートジオール変性ウレタンプレポリマーと、反応性希釈剤としてのN−ビニルカプロラクタム等と、光重合開始剤と、からなる光硬化型樹脂組成物である。
【0005】
一方、VOCに対応した紫外線硬化型インキの開発が産業界から望まれており、例えば、厚生労働省が、所謂シックハウス対策として、VOCとしての規制対象物(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン)の室内濃度を測定する旨を指示しており、産業界のユーザーやメーカーは、VOC量(放散量)の基準値を設けて、それを削減する手段を講じる必要が生じている。
そのため、自動車産業界においては、VOC放散量の測定方法に「JASO M−902自動車部品―内装材―揮発性有機化合物放散測定法」を採用して、VOC放散量の削減する手段を講じている。
【0006】
そこで、かかるVOC対策に適合しつつも、粘着シート特性に優れた光硬化性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平8−92342号公報
【特許文献2】特表2006−502425号公報
【特許文献3】特開平11−189762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1,2に記載された光硬化型樹脂組成物は、任意成分ながら、基材に対する密着性等の改良のために、N−ビニルカプロラクタムを含んでおり、それが、加水分解されて、VOCとしてのアセトアルデヒドが放散しやすいという問題が見られた。
また、特許文献3は、確かに、従来のポリエチレン等の熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート等のエンジニアリングプラスチック等と比較した場合であれば、製造工程等におけるVOCの放散を抑制することができる。しかしながら、特許文献3においては、ウレタンアクリレート及び反応性希釈剤を含有する粘着シート基材用樹脂組成物であって、所望により反応性希釈剤としてN−ビニルカプロラクタム等をさらに含む粘着シート基材用樹脂組成物が記載されているものであり、この点、経時的に放散されるVOCを抑制することについては、何ら考慮されておらず、VOC規制に適合しているとは言い難い技術であった。
そのため、紫外線照射によって形成した塗膜に対して、例えば、80〜100℃、1時間以上のアフターベーク処理を施すことにより、VOC量を低下させる試みがなされている。
しかしながら、アフターベーク処理がばらついて、VOC量の低下が不十分となったり、基材に熱損傷を与えたり、あるいは、特別なアフターベーク処理装置が必要になったりする等のさらなる問題が見られた。
【0008】
本発明者らは、従来の問題を鋭意検討した結果、N−ビニルカプロラクタムを含有せずに、特定重量平均分子量のポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーを含むウレタンアクリレートオリゴマー混合物と、フェノキシエチルアクリレートモノマーを含む(メタ)アクリレートモノマー混合物と、アクリルアミド化合物と、熱可塑性樹脂のアクリル樹脂と、を用いることにより、アフターベーク処理を施すことなく、基材に対する密着性と、VOC量の調整という相反しやすい特性をそれぞれ満足できることを見出し、本発明を完成させたものである。
また、本発明者らは、特定の光重合開始剤を用いることにより、硬化速度、および、基材に対する密着性と、VOC量の調整という相反しやすい特性をさらにバランス良く満足できることを見出したものである。
すなわち、本発明は、アフターベーク処理を施すことなく、シックハウス対象のVOCの放散量が少なく、かつ、基材に対する密着性等に優れた紫外線硬化型インキ組成物、および、それを用いた車両用室内表示物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、硬化成分として、N−ビニルカプロラクタムを含有しない紫外線硬化型インキ組成物であって、硬化成分として、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーを含むウレタンアクリレートオリゴマー混合物と、フェノキシエチルアクリレートモノマーを含む(メタ)アクリレートモノマー混合物と、アクリルアミド化合物と、熱可塑性樹脂のアクリル樹脂と、を含有する紫外線硬化型インキ組成物が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、N−ビニルカプロラクタムを含有せずに、所定オリゴマーを含むウレタンアクリレートオリゴマー混合物と、所定モノマーを含む(メタ)アクリレートモノマー混合物と、アクリルアミド化合物と、熱可塑性樹脂のアクリル樹脂と、を用いることにより、アフターベーク処理を施すことなく、基材に対する密着性と、VOC量の調整という相反しやすい特性をそれぞれ満足させることができる。
【0010】
また、本発明の紫外線硬化型インキ組成物を構成するにあたり、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーの重量平均分子量が2,500〜10,000であることが好ましい。
このように構成することにより、硬化速度を効果的に保持しつつも、基材との密着性を向上させることができる。
【0011】
また、本発明の紫外線硬化型インキ組成物を構成するにあたり、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマー以外のウレタンアクリレートオリゴマーとして、重量平均分子量が2,000〜15,000であるポリカプロラクトン骨格ウレタンアクリレートオリゴマーを含むことが好ましい。
このように構成することにより、基材との密着性を効果的に保持しつつも、硬化速度を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の紫外線硬化型インキ組成物を構成するにあたり、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーの添加量を、全体量に対して、5〜45重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、硬化速度を効果的に保持しつつも、基材に対する密着性を向上させることができる。
【0013】
また、本発明の紫外線硬化型インキ組成物を構成するにあたり、(メタ)アクリレートモノマーとして、ジシクロペンテニルアクリレートをさらに含むことが好ましい。
このように構成することにより、密着性、および、硬化速度を、さらに向上させることができる。
【0014】
また、本発明の紫外線硬化型インキ組成物を構成するにあたり、(メタ)アクリレートモノマーの添加量を、全体量に対して、5〜50重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、硬化速度を効果的に保持しつつも、基材との密着性を向上させることができるばかりか、硬化塗膜としての所定の硬度を容易に得ることができる。
【0015】
また、本発明の紫外線硬化型インキ組成物を構成するにあたり、アクリルアミド化合物の添加量を、全体量に対して、1〜20重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、基材に対する密着性をさらに向上させることができる。
【0016】
また、本発明の紫外線硬化型インキ組成物を構成するあたり、熱可塑性樹脂として、アクリル樹脂の添加量を、全体量に対して、1〜10重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、硬化速度を効果的に保持しつつも、印刷層としての層間密着性、および、硬化塗膜の可撓性を向上させることができる。
【0017】
また、本発明の紫外線硬化型インキ組成物を構成するにあたり、紫外線硬化型インキ組成物の光重合開始剤として、2種類以上の光重合開始剤を含有するとともに、当該光重合開始剤の含有量を、全体量に対して、0.5〜20重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、上述したオリゴマー成分、および、モノマー成分混合物を、より効率的に反応させて、硬化速度を容易に促進させることができる。
【0018】
また、本発明の紫外線硬化型インキ組成物を構成するにあたり、光重合開始剤として、アシルフォスフィンオキサイド系化合物に、ケトスルフォン系化合物、または、α−ヒドロキシケトン系化合物のいずれか一方を含み組み合わせて用いることが好ましい。
このように構成することにより、硬化速度が促進され、VOCの放散をさらに効果的に低減させることができる。
【0019】
また、本発明の別の態様は、上述した紫外線硬化型インキ組成物から印刷を施して得られてなる印刷層を含むことを特徴とする車両用室内表示物である。
【発明の効果】
【0020】
本発明にかかる紫外線硬化型インキ組成物によれば、車両用室内表示物において、アフターベーク処理を施すことなく、基材に対する密着性と、VOC量の調整という相反しやすい特性をそれぞれ満足させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、硬化成分として、N−ビニルカプロラクタムを含有しない紫外線硬化型インキ組成物であって、硬化成分として、重量平均分子量が2,500〜10,000であるポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーを含むウレタンアクリレートオリゴマー混合物と、フェノキシエチルアクリレートモノマーを含む(メタ)アクリレートモノマー混合物と、アクリルアミド化合物と、熱可塑性樹脂のアクリル樹脂と、を含有する紫外線硬化型インキ組成物である。
【0022】
以下、第1の実施形態の各構成要件について、詳しく述べる。
【0023】
1.ウレタンアクリレートオリゴマー混合物
(1)ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマー
第1の実施形態に使用するウレタンアクリレートオリゴマーは、構成成分が骨格の異なるウレタンアクリレートオリゴマー混合物を使用し、その1種が、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーであることを特徴とする。
この理由は、このようなポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーを含むウレタンアクリレートオリゴマー混合物を使用することにより、N−ビニルカプロラクタムを用いなくとも、硬化速度を効果的に保持しつつも、基材に対する密着性や、硬化塗膜としての所定の硬さを容易に得ることできるためである。
なお、ウレタンアクリレートオリゴマー混合物として、重量平均分子量、あるいは、構成単位の構造が異なる複数のポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマー混合物を用いた場合であっても、所定の効果を得ることができる。
【0024】
ここで、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーは、ポリカーボネート骨格ポリオールと、有機ポリイソシアネート化合物、および、ヒドロキシアクリレートと、の反応物である。
また、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーの重量平均分子量を2,500〜10,000の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかるポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーの重量平均分子量が2,500未満の値になると、硬化速度が過度に増大し、基材との密着不良を起こしやすくなって、取り扱いが困難となる場合があるためである。一方、かかるポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーの重量平均分子量が10,000を超えると、硬化速度が過度に低下し、VOCの放散を効果的に抑制することが困難となる場合があるためである。
したがって、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーの重量平均分子量を3,000〜8,000の範囲内の値とすることよりが好ましく、3,500〜6,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0025】
また、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートを得るためのポリカーボネート骨格ポリオールの種類については、特に制限されるものではないが、工業的に容易に入手でき、比較的安価であることから、ポリカーボネート骨格ジオール化合物であることが好ましい。
【0026】
また、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートを得るための有機ポリイソシアネート化合物の種類としては、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の無黄変型のものが好ましい。
【0027】
また、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートを得るためのヒドロキシアクリレートとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、カプロラクトン変性−2−ヒドロキシエチルアクリレート等が好ましい。
【0028】
また、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーの添加量を、全体量に対して、5〜45重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、硬化速度をより効果的に保持しつつも、基材に対する密着性を向上させることができるためである。
すなわち、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーの添加量が5重量%未満の値となると、硬化速度が過度に低下し、VOCの放散を効果的に抑制することが困難となる場合があるためである。一方、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーの添加量が45重量%を超えた値となると、硬化速度が過度に増大し、基材との密着不良を起こしやすくなって、取り扱いが困難となる場合があるためである。
したがって、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーの添加量を、全体量に対して、8〜40重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜35重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0029】
(2)他のウレタンアクリレートオリゴマー
ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマー以外の他のウレタンアクリレートオリゴマーとして、ポリエステル系ウレタンアクリレート、ポリカプロラクトン系ウレタンアクリレート、ポリエーテル系ウレタンアクリレート等が挙げられる。
特に、他のウレタンアクリレートオリゴマーとして、ポリカプロラクトン骨格ウレタンアクリレートオリゴマーをポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーと混合して使用することを特徴とする。
この理由は、基材との密着性を効果的に保持しつつも、硬化速度を向上することができるためである。
【0030】
また、ポリカプロラクトン骨格ウレタンアクリレートオリゴマーの重量平均分子量を2,000〜15,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるポリカプロラクトン骨格ウレタンアクリレートオリゴマーの重量平均分子量が2,000未満の値になると、硬化速度が過度に増大し、基材との密着不良を起こしやすくなって、取り扱いが困難となる場合があるためである。一方、かかるポリカプロラクトン骨格ウレタンアクリレートオリゴマーの重量平均分子量が15,000を超えると、硬化速度が過度に低下し、VOCの放散を効果的に抑制することが困難となる場合があるためである。
したがって、ポリカプロラクトン骨格ウレタンアクリレートオリゴマーの重量平均分子量を2,500〜8,000の範囲内の値とすることよりが好ましく、3,500〜6,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0031】
また、ポリカプロラクトン骨格ウレタンアクリレートオリゴマーの配合比率を、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマー100重量部に対し、20〜150重量部の範囲内の値とすることが好ましく、30〜100重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0032】
2.(メタ)アクリレートモノマー混合物
紫外線硬化型インキ組成物の粘度や硬化物の特性を調整するために、フェノキシエチルアクリレートモノマーを含む(メタ)アクリレートモノマー混合物を用いることを特徴とする。
すなわち、反応性希釈剤として、例えば、アミノ基やヒドロキシル基を含む化合物と、アクリル酸とのアミド化反応、または、エステル化反応により得られる(メタ)アクリレートモノマー、カルボキシル基や酸無水物基を有する化合物と、ヒドロキシル基を有するアクリレートとのエステル化反応により得られる(メタ)アクリレートモノマー等が含まれる。
【0033】
より具体的には、(メタ)アクリレートモノマーとしては、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、トリフルオロエチルアクリレート、ジシクロペンタジエンアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシアルキルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリシクロデカニルオキシエチルアクリレート等の1種単独、または、2種以上の組み合わせが挙げられる。
この中でも、密着性が良好であって、硬化速度が適当なことから、(メタ)アクリレートモノマーとして、フェノキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、および、ジシクロペンテニルアクリレートを使用することが好ましい。
特に、ジシクロペンテニルアクリレートモノマーは、密着性、および、硬化速度を、さらに向上させることができることから、特に好ましい(メタ)アクリレートモノマーである。
【0034】
また、(メタ)アクリレートモノマーの添加量を、全体量に対して、5〜50重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、硬化速度を効果的に保持しつつも、基材との密着性を向上させることができるばかりか、さらに硬化塗膜として所定の硬度を容易に得ることができるためである。
なお、(メタ)アクリレートモノマーの添加量とは、フェノキシエチルアクリレートと、その他の(メタ)アクリレートモノマーと、の混合物の添加量を意味する。
すなわち、(メタ)アクリレートモノマーの添加量が5重量%未満の値となると、硬化速度が過度に増大し、基材との密着不良を起こしやすくなって、取り扱いが困難となる場合があるためである。一方、(メタ)アクリレートモノマーの添加量が50重量%を超えた値となると、硬化速度が過度に低下し、VOCの放散を効果的に抑制することが困難となる場合があるためである。
したがって、(メタ)アクリレートモノマーの添加量を、全体量に対して10〜45重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、20〜40重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0035】
3.アクリルアミド化合物
本発明の紫外線硬化型インキ組成物は、少なくとも1種以上のアクリルアミド化合物を含むことを特徴とする。
この理由は、所定量のアクリルアミド化合物を含むことにより、基材との密着性をさらに向上させることができるためである。
【0036】
ここで、かかるアクリルアミド化合物としては、ジアセトンアクリルアミド、イソブトキシメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、t−オクチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ブトキシメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等の1種単独、または、2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0037】
また、アクリルアミド化合物の添加量を、全体量に対して、1〜20重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、アクリルアミド化合物の添加量が1重量%未満の値となると、硬化速度が過度に増大し、基材に対する密着不良が起こしやすくなったり、取り扱いが困難となったりするためである。一方、アクリルアミド化合物の添加量が20重量%を超えた値となると、硬化速度が過度に低下し、VOCの放散が多くなる場合があるためである。
したがって、アクリルアミド化合物の添加量を、全体量に対して、3〜15重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜10重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0038】
4.アクリル樹脂
本発明の紫外線硬化型インキ組成物は、熱可塑性樹脂のアクリル樹脂を含むことを特徴とする。
この理由は、所定量のアクリル樹脂を用いることにより、硬化速度を効果的に保持しつつも、印刷層としての層間密着性、および、硬化塗膜の可撓性を向上させることができるためである。
なお、印刷層とは、積層数が2層以上であれば、特に限定されるものではなく、かかる印刷層の積層数は、通常3〜10層の複数層である。
さらに、層間密着性とは、上述した印刷層と印刷層との層間での硬化塗膜の密着性を意味する。
【0039】
熱可塑性樹脂の具体例としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、セルロース系樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂等が挙げられる。
この中でも、硬化速度を効果的に保持しつつも、(メタ)アクリレートモノマーとの溶解性が適当なことから、アクリル樹脂を使用することが好ましい。
特に、重量平均分子量が80,000〜100,000であるアクリル樹脂は、印刷層としての層間密着性、および、硬化塗膜の可撓性を向上させることができることから、特に好ましいアクリル樹脂である。
【0040】
また、アクリル樹脂の添加量を、全体量に対して、1〜10重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、アクリル樹脂の添加量が1重量%未満の値となると、硬化速度が過度に増大し、層間密着性の密着不良が起こしやすくなったり、取り扱いが困難となったりするためである。一方、アクリル樹脂の添加量が10重量%を超えた値となると、硬化速度が過度に低下し、ブロッキングが起こしやすくなって、VOCの放散が多くなる場合があるためである。
したがって、アクリル樹脂の添加量を、全体量に対して、1.5〜8重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、2〜4重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0041】
5.光重合開始剤
本発明に使用する光重合開始剤は、紫外線により、ラジカルを発生し、そのラジカルが
ウレタンアクリレートオリゴマー混合物や、(メタ)アクリレートモノマー混合物等を
重合反応させるものであればよい。
このような光重合開始剤の具体例としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンジルジメチルケタール系化合物;オリゴ〔2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノン〕、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ヒドロキシケトン系合物; 2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェ二ル)−ブタノン−1等のα−アミノケトン系化合物; ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物;1−〔4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル〕−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパン−1−オン等のケトスルフォン系化合物; ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等のメタロセン系化合物; 2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オン−メソクロライド等のチオキサントン系化合物等が挙げられる。
【0042】
また、上述した光重合開始剤の中でも、フェニル基を有するアシルフォスフィンオキサイド系化合物、ケトスルフォン系化合物、α−ヒドロキシケトン系化合物は紫外線によりラジカルを発生し、そのラジカルが光重合オリゴマー、および、光重合モノマー混合物と効率的に反応することにより硬化反応が促進される。
【0043】
また、チオキサントン系化合物等の水素を引き抜いてラジカルを生成するものは、水素供与体と組合せることによって硬化反応が促進される。
水素供与体としては、例えば、メルカプト化合物、および、アミン化合物等が挙げられ、中でもアミン化合物が好ましい。アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミノエチルアクリレート、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、ペンチル4−ジメチルアミノベンゾエート等が挙げられる。
【0044】
また、光重合開始剤は、少なくとも2種類以上を混合使用することが好ましい。
特に、硬化速度や耐候性が適当であって、VOC量を効果的に低減させることができることから、アシルフォスフィンオキサイド系化合物に、ケトスルフォン系化合物、またはα−ヒドロキシケトン系化合物を混合して使用することが好ましい。
なお、顔料等を含有させず、着色顔料を使用しない、無色の紫外線硬化型インキ組成物として構成する場合には、紫外線硬化塗膜の着色の影響を回避するため、光重合開始剤としてα−ヒドロキシケトン系化合物のみを使用することが好ましい。
【0045】
また、光重合開始剤の添加量は、全体量に対して、通常、0.5〜20重量%の範囲内の値とすることが好ましく、1〜15重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、3〜10重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、光重合開始剤の添加量が0.5重量%未満の値となると、硬化速度が過度に低下し、VOCの放散が多くなる場合があるためである。一方、光重合開始剤の添加量が20重量%を超えた値となると、硬化速度が過度に増大し、基材に対する密着不良を起こしやすくなったり、取り扱いが困難になったりするためである。
【0046】
6.顔料
紫外線硬化型印刷用インキを構成するにあたり、顔料として、無機系着色顔料、有機系着色顔料、有機系体質顔料、無機系艶消粉末顔料、有機系艶消粉末顔料等を添加することが好ましい。
すなわち、好ましい顔料として、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、クナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料等、フタロシアニン系顔料の有機系着色顔料等、および、チタン系顔料、硫化亜鉛系顔料、カーボンブラック系顔料、酸化鉄系顔料等の無機系着色顔料等が挙げられる。
また、体質顔料としては、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等、および、各種樹脂系ビーズ等が挙げられる。
なお、顔料は、インキの使用目的、例えば、艶消色等の目的により、1種、または、2種以上の配合によって構成される。
また、顔料の添加量は、紫外線硬化速度を阻害させず、本発明の目的を低下させない範囲で決められ、通常、全体量に対して、1〜50重量%の範囲で使用される。
【0047】
7.添加剤
紫外線硬化型印刷用インキの中に、インキ、および、印刷適性を調整する目的で、消泡剤、レベリング剤、顔料湿潤剤、分散剤、流動調整剤、熱重合禁止剤、酸化重合防止剤等が添加使用できる。
【0048】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態は、硬化成分として、N−ビニルカプロラクタムを含有しない紫外線硬化型インキ組成物であって、硬化成分として、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーを含むウレタンアクリレートオリゴマー混合物と、フェノキシエチルアクリレートモノマーを含む(メタ)アクリレートモノマー混合物と、アクリルアミド化合物と、熱可塑性樹脂のアクリル樹脂と、を含有する紫外線硬化型インキ組成物から印刷を施して得られてなる印刷層を含むことを特徴とする車両用室内表示物である。
【0049】
以下、本発明の第2に実施形態について、詳しく述べる。
【0050】
1.印刷層
紫外線硬化型印刷用インキからなる車両用室内表示物の印刷層としては、印刷によって得られる文字、図形、記号等の組み合わせからなる層であって、デザイン上複数の着色インキを使用するために、装飾層、加飾層、遮光層、保護層等が該当する。特に、黒色においては、遮光性を持たせるために印刷層の積層を設ける必要性がある。
また、車両用室内表示物の単層の厚さは、通常10±2μmであり、さらに、かかる印刷層の積層数は、用途や機能にもよるが、3〜10層から構成されることが好ましい。
【0051】
2.基材
紫外線硬化型インキからなる車両用室内表示物に適用される基材としては、通常、熱可塑性樹脂シートであり、特に、ポリカーボネート板が挙げられる。
【0052】
3.製法
車両用室内表示物、例えば、車両用計器装置の文字板の製法としては、例えば、ポリカーボネート板の基材に対して、紫外線硬化型インキを用いてスクリーン印刷等の手法によって前記文字板が製造される。このように印刷が施された前記文字板を前記車両用計器装置の計器ケースの内部に配置し、その前面開放側には前記文字板の上面側から塵埃等が入らないように透視可能な合成樹脂製基板(例えば、アクリル透明樹脂板)で覆って構成している。
なお、印刷法としてはスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、インクジェット等が挙げられるが、かかる文字板は、印刷インキの多色印刷層であることから、スクリーン印刷が、特に好ましい印刷法である。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を、実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0054】
図1,2は、基材の表面上に本発明の紫外線硬化型インキを使用して重ね印刷した車両用計器装置の一例であるエンジン回転計の文字板を示しており、図1は正面図であり、図2は図1のA−A線の一部を拡大断面で表した模式図である。
【0055】
同図において、文字板Pは、透光性のシート材料、例えば、ポリカーボネート樹脂による基材(シート板)を用いて、その表面には、エンジン回転計の指針POの回動軌道に沿って円弧状に配列されて、指針POの指示対象となる目盛P1(白色)と、数字P2(白色)が形成されるとともに、エンジン回転計の表示単位である「x1000RPM」の表示文字P3(白色)、および、エンジン回転計の過回転の領域を示すレッドゾーン領域に対応する警報表示領域表示部P4(赤色)が形成され、それ以外の文字板Pの表面部分は、地色部P5(黒色)が形成されている。なお、本実施例における文字板Pは、自動車やオートバイ等のエンジン回転計を示しており、警報表示領域表示部P4は、エンジン回転計が、8000〜10000RPM領域における目盛P1内に設けられている。
【0056】
本実施例の場合、図2に示すように、文字板Pの表面に施される紫外線硬化型インキを用いる印刷工程では、最初に文字板Pとなる前記基材の表面に、少なくとも前記レッドゾーン領域に対応する警報表示領域表示部P4箇所に透過可能な紫外線硬化型インキを印刷してなる赤色インキ層Rが印刷層として形成され、その警報表示領域表示部P4を除く、文字板P4の全面に透過可能な紫外線硬化型インキを印刷してなる白色インキ層Wが印刷層として形成される。この場合、白色インキ層Wは、透過率が高いために第1の白色インキ層W1の上に第2の白色インキ層W2を重ねて印刷が施されている。また、この白色インキ層W(第1の白色インキ層W1と第2の白色インキ層W2)の印刷時において、赤色インキ層Rによるレッドゾーン領域に対応する警報表示領域表示部P4の形状にほぼ沿うように赤色インキ層Rの上に、2回の印刷工程からなる白色インキ層W(第1の白色インキ層W1と第2の白色インキ層W2)の一部が重ね印刷される。
【0057】
続いて、白色インキ層W(第1の白色インキ層W1と第2の白色インキ層W2)の上には、目盛P1、数字P2、表示文字P3、および、警報表示領域表示部P4の領域を除くように地色部P5である紫外線硬化型インキを印刷してなる黒色インキ層Bが印刷層として形成される。この場合、黒色インキ層Bは、遮光性の黒色インキ層Bが用いられているが、印刷膜厚が薄いため遮光性を高めるために、第1の黒色インキ層B1の上に第2の黒色インキ層B2を重ねて印刷が施されている。また、かかる黒色インキ層B(第1の黒色インキ層B1と第2の黒色インキ層B2)の印刷時において、赤色インキ層Rによるレッドゾーン領域に対応する警報表示領域表示部P4の輪郭が明確となるように、赤色インキ層Rの上に2回の印刷工程からなる黒色インキ層B(第1の黒色インキ層B1と第2の黒色インキ層B2)の一部が重ね印刷されるものであり、上述した印刷層の文字板Pにおいては、赤色インキ層Rによるレッドゾーン領域に対応する警報表示領域表示部P4の一部の箇所では、赤色インキ層R、第1の白色インキ層W1と第2の白色インキ層W2、第1の黒色インキ層B1と第2の黒色インキ層B2とが積層されて5層からなる印刷層が施されている。
【0058】
また、文字板P上の各インキ層R,W,Bの表面には、表面側を保護するためのオーバーコート層となる透明なクリアーインキ層Cが文字板Pの全面に施されている。
【0059】
このように印刷形成された文字板Pにあっては、通常の地色部P5による黒色箇所ではクリアーインキ層Cを含んで5層(第1の白色インキ層W1と第2の白色インキ層W2、第1の黒色インキ層B1と第2の黒色インキ層B2、および、クリアーインキ層C)にて形成され、目盛P1、数字P2、および、表示文字P3等の白色箇所ではクリアーインキ層Cを含んで3層(第1の白色インキ層W1と第2の白色インキ層W2、および、クリアーインキ層C)にて形成され、レッドゾーン領域である警報表示領域表示部P4による赤色箇所ではクリアーインキ層Cを含んで2層(赤色インキ層R、および、クリアーインキ層C)にて形成され、さらに、そのレッドゾーン領域の回りの一部の箇所ではクリアーインキ層Cを含んで6層(赤色インキ層R、第1の白色インキ層W1と第2の白色インキ層W2、第1の黒色インキ層B1と第2の黒色インキ層B2、および、クリアーインキ層C)にて形成されている。
【0060】
したがって、夜間等の視認しづらい環境において文字板Pを照明表示する場合、文字板Pの背後側に配設されたLED等の光源によって目盛P1や数字P2及び表示文字P3は白色インキ層Wの色合いにて透過照明されるとともに、レッドゾーン領域である警報表示領域表示部P4は赤色インキ層Rの色合いにて透過照明される。
【0061】
本発明による紫外線硬化型インキ組成物を用いて、車両用室内表示物、例えば、車両用計器装置の一例であるエンジン回転計の文字板の多色印刷層を作製し、上述した実施例と同様の評価を行った。図3は、本発明の紫外線硬化型インキを使用して、重ね印刷した前記エンジン回転計の前記文字板を断面で表した模式図である。この場合、上述した実施例のエンジン回転計の文字板Pを想定し各印刷層を積層して構成している。図3における文字板Pとなる前記基材の表面に、本発明からなる紫外線硬化型インキが積層されるものであり、先ず赤色インキ層Rが文字板Pとなる前記基材の表面に印刷され、その上に白色インキ層W(第1の白色インキ層W1と第2の白色インキ層W2)が2層積層され、次いで黒色インキ層B(第1の黒色インキ層B1と第2の黒色インキ層B2)が白色インキ層Wと同様に2層積層され、最後に表面を保護するためのクリアーインキ層Cが印刷され、この各インキ層R,W1,W2,B1,B2,Cによる積層状態にて実施試験を行った。
【0062】
1.紫外線硬化型インキ組成物の作成
容器内に、以下の重量比率となるようにウレタンアクリレートオリゴマー等を添加し、均一になるまで混合し、黒色1(配合例1)の紫外線硬化型インキ組成物を作成した。
ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマー :16重量%
(重量平均分子量5,000)
ポリカプロラクトン系ウレタンアクリレートオリゴマー :6重量%
(重量平均分子量5,500)
フェノキシエチルアクリレート :15重量%
ジシクロペンテニルアクリレート :9重量%
N,N−ジメチルアクリルアミド :6重量%
アクリル樹脂 :2重量%
光重合開始剤1 :3重量%
光重合開始剤2 :3重量%
顔料(カーボンブラック/酸化鉄) :20重量%
体質顔料 :16重量%
消泡剤(シリコン系) :1重量%
レベリング剤(シリコン系) :0.5重量%
分散剤(カルボン酸系) :2.5重量%
【0063】
なお、上述した光重合開始剤1〜3の詳細は、以下に示す通りである。
(光重合開始剤1)
化学名:ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド/アシルフォスフィンオキサイド系化合物
商品名:BASF(株)製ルシリンTPO
【0064】
(光重合開始剤2)
化学名:1−〔4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル〕−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパン−1−オン/ケトスルフォン系化合物
商品名:LAMBERTI(株)製ESACURE1001M
【0065】
(光重合開始剤3)
化学名:オリゴ〔2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノン〕/α−ヒドロキシケトン系化合物
商品名:LAMBERTI(株)製ESACURE KIP150
なお、実施例にて作成した黒色(配合例1〜7、および、比較配合例1〜7)の紫外線硬化型インキ組成物の組成割合(重量%)を、表1,2に示す。
【0066】
また、以下の重量比率となるようにウレタンアクリレートオリゴマー等を添加し、均一になるまで混合し、白色1(配合例8)の紫外線硬化型インキ組成物を作成した。
ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマー :16重量%
(重量平均分子量5,000)
ポリカプロラクトン系ウレタンアクリレートオリゴマー :6重量%
(重量平均分子量5,500)
フェノキシエチルアクリレート :15重量%
ジシクロペンテニルアクリレート :8重量%
N,N−ジメチルアクリルアミド :6重量%
アクリル樹脂 :2重量%
光重合開始剤1 :3重量%
光重合開始剤2 :3重量%
顔料(酸化チタン、無機顔料) :26重量%
体質顔料 :11重量%
消泡剤(シリコン系) :1重量%
レベリング剤(シリコン系) :0.5重量%
分散剤(カルボン酸系) :2.5重量%
なお、実施例にて作成した白色(配合例8〜14、および、比較配合例8〜14)の紫外線硬化型インキ組成物の組成割合(重量%)を、表3,4に示す。
【0067】
また、以下の重量比率となるようにウレタンアクリレートオリゴマー等を添加し、均一になるまで混合し、赤色1(配合例15)の紫外線硬化型インキ組成物を作成した。
ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマー :17重量%
(重量平均分子量5,000)
ポリカプロラクトン系ウレタンアクリレートオリゴマー :7重量%
(重量平均分子量5,500)
フェノキシエチルアクリレート :20重量%
ジシクロペンテニルアクリレート :13重量%
N,N−ジメチルアクリルアミド :8重量%
アクリル樹脂 :2重量%
光重合開始剤1 :3重量%
光重合開始剤2 :3重量%
顔料(有機赤色顔料) :6重量%
体質顔料 :17重量%
消泡剤(シリコン系) :1重量%
レベリング剤(シリコン系) :0.5重量%
分散剤(カルボン酸系) :2.5重量%
なお、実施例にて作成した赤色(配合例15〜21、および、比較配合例15〜21)の紫外線硬化型インキ組成物の組成割合(重量%)を、表5,6に示す。
【0068】
また、赤色インキ以外の青色インキ、および、紅色インキ等の着色紫外線硬化型インキ組成物は、有機系着色顔料のみの変更から構成できるため、ここでの説明を省略する。
【0069】
また、以下の重量比率となるようにウレタンアクリレートオリゴマー等を添加し、均一になるまで混合し、着色顔料を使用しない、無色のクリアー1(配合例22)の紫外線硬化型インキ組成物を作成した。
ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマー :22重量%
(重量平均分子量5,000)
ポリカプロラクトン系ウレタンアクリレートオリゴマー :10重量%
(重量平均分子量5,500)
フェノキシエチルアクリレート :24重量%
ジシクロペンテニルアクリレート :16重量%
N,N−ジメチルアクリルアミド :8重量%
アクリル樹脂 :2重量%
光重合開始剤4 :4重量%
体質顔料 :10重量%
消泡剤(シリコン系) :1重量%
レベリング剤(シリコン系) :0.5重量%
分散剤(カルボン酸系) :2.5重量%
【0070】
なお、上述した光重合開始剤4の詳細は、以下に示す通りである。
(光重合開始剤4)
化学名:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン/α−ヒドロキシケトン系化合物
商品名:CIBA(株)製IRGACURE184
なお、実施例にて作成した着色顔料を使用しない、無色のクリアー(配合例22〜25、および、比較配合例22〜25)の紫外線硬化型インキ組成物の組成割合(重量%)を、表7,8に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
【表3】

【0074】
【表4】

【0075】
【表5】

【0076】
【表6】

【0077】
【表7】

【0078】
【表8】

【0079】
2.紫外線硬化型インキ組成物の評価
表1〜8に示される紫外線硬化型インキ組成物を、以下の評価方法によって物性評価を行った。得られた結果を黒色インキは、表9,10、白色インキは、表11,12、赤色インキは、表13,14、クリアーインキは、表15,16に示す。
(1)紫外線硬化性
0.5mm厚さの透明ポリカーボネート板(ユーピロンNF2000)に、下記印刷条件にて、紫外線硬化型インキ組成物を印刷した後、UV照射機(ジーエス・ユアサライティング(株)製CS−60)にて、下記硬化条件にて紫外線硬化させて、紫外線硬化性を評価した。
【0080】
(印刷条件)
刷版:ポリエステルスクリーン300メッシュ
乳剤膜厚:8μm
硬化塗膜:10μm
【0081】
(硬化条件)
メタルハライドランプ:120W/cm2 2灯
ランプ高さ:100mm
コンベアー速度:7m/min
ランプピーク強度:1.18W/cm2
ランプ積算光量:0.88J/cm2
【0082】
すなわち、得られた硬化塗膜につき、「JIS K−5600 5.4」に準じて鉛筆硬度を測定し、以下の基準から、紫外線硬化性を評価した。
◎:鉛筆硬度がF以上である。
○:鉛筆硬度がHB以上、F未満である。
△:鉛筆硬度がB以上、HB未満である。
×:鉛筆硬度がB未満である。
【0083】
(2)密着性
紫外線硬化性の評価と同様の条件で得られた硬化塗膜につき、「JIS K−5600 5.6」に準じて碁盤目セロテープ(登録商標)剥離試験により、密着性を評価した。
すなわち、硬化塗膜上に、隙間間隔1mmのカッターガイドを用いて100目の碁盤目を作製し、テープ法でその密着性を、以下の基準に照らして評価した。なお、評価結果は、剥がれなかった碁盤目の数を%で表して示した。
◎:剥がれなかった碁盤目数が99%以上
○:剥がれなかった碁盤目数が95〜99%未満
△:剥がれなかった碁盤目数が75〜95%未満
×:剥がれなかった碁盤目数が75%未満
【0084】
(3)層間密着性
紫外線硬化性の評価と同様の条件で得られた硬化塗膜につき、碁盤目セロテープ(登録商標)剥離試験により、層間密着性を評価した。
すなわち、重ね印刷により硬化塗膜の印刷層を形成し、その硬化塗膜層上に、隙間間隔1mmのカッターガイドを用いて100目の碁盤目を作製し、テープ法でその層間密着性を、以下の基準に照らして評価した。なお、評価結果は、剥がれなかった印刷層の積層数で示した。
◎:剥がれなかった印刷層の積層数が5層以上
○:剥がれなかった印刷層の積層数が4〜5層未満
△:剥がれなかった印刷層の積層数が3〜4層未満
×:印刷層の積層数が3層未満
【0085】
(4)耐温水性
紫外線硬化性の評価と同様の条件で得られた硬化塗膜につき、碁盤目セロテープ(登録商標)剥離試験により、耐温水性を評価した。
すなわち、硬化塗膜上に、隙間間隔1mmのカッターガイドを用いて100目の碁盤目を作製し、耐温水試験(40℃温水中に24時間浸漬する)を行い、以下の基準に照らして評価した。
◎:剥がれなかった碁盤目数が99%以上
○:剥がれなかった碁盤目数が95〜99%未満
△:剥がれなかった碁盤目数が75〜95%未満
×:剥がれなかった碁盤目数が75%未満
【0086】
(5)耐衝撃性
紫外線硬化性の評価と同様の条件で得られた硬化塗膜につき、「JIS K−56005.3」に準じてデュポン衝撃試験機を用いて、耐衝撃性を評価した。
すなわち、得られた硬化塗膜につき、デュポン衝撃試験機により500gの重りを50cmの高さから落下させた衝撃性試験を測定し、以下の基準に照らして評価した。
◎:割れ、および、クラックの発生が全くない。
○:割れ、および、クラックの発生がほとんどない。
△:割れ、および、クラックが少々発生した。
×:硬化塗膜の剥離が発生した。
【0087】
(6)総合評価
上述した紫外線硬化性、密着性、層間密着性、耐温水性、および、耐衝撃性を総合して評価した。
すなわち、これらの試験項目における各評価を、以下の基準に照らして評価した。
◎:全てが◎の評価である。
○:全てが○以上の評価であり、かつ、○の評価が少なくとも1つ以上存在する。
△:△以下の評価が少なくとも1つ以上存在し、かつ、×の評価が1つ以下である。
×:×の評価が2つ以上存在する。
【0088】
【表9】

【0089】
【表10】

【0090】
【表11】

【0091】
【表12】

【0092】
【表13】

【0093】
【表14】

【0094】
【表15】

【0095】
【表16】

【0096】
表9〜16から、特定重量平均分子量のポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーを含むウレタンアクリレートオリゴマー混合物と、フェノキシエチルアクリレートモノマーを含む(メタ)アクリレートモノマー混合物と、アクリルアミド化合物と、熱可塑性樹脂のアクリル樹脂と、を使用することにより、所定構成の紫外線硬化型インキからは、黒色、白色、赤色、クリアーインキともに、優れた物性評価を得ることができる。
【0097】
3.多色印刷層の評価
表1〜8に示される紫外線硬化型インキ組成物を用いて、車両用室内表示物の多色印刷層を作製し、上述した実施例と同様の評価を行った。
【0098】
[実施例1〜14]
実施例1〜14においては、表1,3,5,7に示す各紫外線硬化型インキを用いて、重ね印刷を行った。
すなわち、印刷工程を赤色インキ→白色インキ→白色インキ→黒色インキ→黒色インキ→クリアーインキの順に行い、上述した印刷、および、硬化条件にて多色印刷品を作製するとともに、評価した。得られた結果を表17,18に示す。
【0099】
【表17】

【0100】
【表18】

【0101】
[比較例1〜14]
比較例1〜14においては、表2,4,6,8に示す各紫外線硬化型インキを用いて、重ね印刷を行った。
すなわち、印刷工程を赤色インキ→白色インキ→白色インキ→黒色インキ→黒色インキ→クリアーインキの順に行い、上述した印刷、および、硬化条件にて多色印刷品を作製するとともに、評価した。得られた結果を表19,20に示す。
【0102】
【表19】

【0103】
【表20】

【0104】
4.VOC放散量
得られた硬化塗膜につき、アフターベーク処理を施さない場合におけるVOCの規制対象物質の放散量を測定した。
すなわち、印刷基材に対して、100mm×100mmの上述した車両用室内表示物の多色印刷品を作製した。
次いで、得られた多色印刷品を「JASO M902自動車部品−内装材−揮発性有機化合物放散測定法」に準じて、窒素ガス5リットルとともに、バック容量10リットルの密閉バック中に入れ、65℃に加熱した状態を2時間保持した。
最後に、ガスクロマトグラフィー質量分析計(日本電子(株)製 JMSシリーズ)、および、高速液体クロマトグラフィー(GLサイエンス(株)製 GL−7000シリーズ)を用いて、密閉バック中におけるホルムアルデヒド、および、アセトアルデヒドの放散量(μg/100cm2)を測定し、以下の基準に照らして評価した。また、その他のVOC規制対象物質であるトルエン、キシレン、エチルベンゼン、および、スチレンの放散量についても、それぞれホルムアルデヒド、および、アセトアルデヒドの放散量と同様にして測定し、得られた結果を表21〜24に示す。
なお、VOC規制対象物質の放散量としては、ホルムアルデヒド0.7μg/100cm2、アセトアルデヒド0.7μg/100cm2、トルエン2.5μg/100cm2、キシレン0.7μg/100cm2、エチルベンゼン3.0μg/100cm2未満の値が望ましく、低ければ低いほどよい。
◎:ホルムアルデヒド、および、アセトアルデヒドの放散量の放散量が0.7μg/100cm2未満の値であり、その他のVOC規制対象物質の放散量も前記記載値未満の値である。
○:ホルムアルデヒド、または、アセトアルデヒドの放散量が0.7〜2.0μg/100cm2未満の値であり、その他のVOC規制対象物質の放散量が前記記載値未満の値である。
△:ホルムアルデヒド、または、アセトアルデヒドの放散量が2.0〜4.0μg/100cm2未満の値であり、その他のVOC規制対象物質の放散量が前記記載値未満の値である。
×:ホルムアルデヒド、または、アセトアルデヒドの放散量が4.0μg/100cm2以上の値であるか、または、その他のVOC規制対象物質の放散量が前記記載値を超える値である。
【0105】
【表21】

【0106】
【表22】

【0107】
【表23】

【0108】
【表24】

【0109】
表17〜24から、所定構成の紫外線硬化型インキを使用し、形成される車両用室内表示物の多色印刷品は、硬化速度、基材に対する密着性、層間密着性、耐水性、および、耐衝撃性に優れるとともに、アフターベーク処理を施すことなく、シックハウス対象のVOCの放散量を少なくできることが確認できる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明の紫外線硬化型インキ組成物を使用することにより、スクリーン印刷用紫外線硬化型インキに適用することができ、基材に対する密着性、および、紫外線硬化速度に優れており、紫外線硬化により得られた印刷層を含む車両用室内表示物に対して、アフターベーク処理を施すことなく、製造工程、および、消防法、あるいは、労働安全衛生法の環境保全に配慮した、シックハウス対策のVOCの放散を少なくした紫外線硬化型インキ組成物を提供することができる。なお、実施例においては、車両用室内表示物として車両用計器装置の文字板に本発明の紫外線硬化型インキ組成物を印刷した例を説明したが、他にも、車両室内に設けられるエアコンの操作板やインパネの化粧板等に印刷する等、種々の表示物に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施例にかかるエンジン回転計の文字板の正面図である。
【図2】図1のA−A線の一部を拡大断面で表した模式図である。
【図3】エンジン回転計の文字板の表面に本発明の紫外線硬化型インキを重ね印刷したものを断面で表した模式図である。
【符号の説明】
【0112】
P 文字板
P1 目盛
P2 数字
P3 表示文字
P4 警報表示領域表示部(レッドゾーン領域)
P5 地色部
B 黒色インキ層
B1 第1の黒色インキ層
B2 第2の黒色インキ層
W 白色インキ層
W1 第1の白色インキ層
W2 第2の白色インキ層
R 赤色インキ層
C クリアーインキ層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化成分としてN−ビニルカプロラクタムを含有しない紫外線硬化型インキ組成物であって、ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーを含むウレタンアクリレートオリゴマー混合物と、フェノキシエチルアクリレートモノマーを含む(メタ)アクリレートモノマー混合物と、アクリルアミド化合物と、熱可塑性樹脂のアクリル樹脂と、を含有することを特徴とする紫外線硬化型インキ組成物。
【請求項2】
前記ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーの重量平均分子量が2,500〜10,000であることを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化型インキ組成物。
【請求項3】
前記ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマー以外の前記ウレタンアクリレートオリゴマー混合物として、重量平均分子量が2,000〜15,000であるポリカプロラクトン骨格ウレタンアクリレートオリゴマーを含むことを特徴とする請求項1、または、請求項2に記載の紫外線硬化型インキ組成物。
【請求項4】
前記ポリカーボネート骨格ウレタンアクリレートオリゴマーの添加量を、全体量に対して、5〜45重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3に記載の紫外線硬化型インキ組成物。
【請求項5】
前記(メタ)アクリレートモノマー混合物として、ジシクロペンテニルアクリレートモノマーをさらに含むことを特徴とする請求項1〜4に記載の紫外線硬化型インキ組成物。
【請求項6】
前記(メタ)アクリレートモノマー混合物の添加量を、全体量に対して、5〜50重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5に記載の紫外線硬化型インキ組成物。
【請求項7】
前記アクリルアミド化合物の添加量を、全体量に対して、1〜20重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6に記載の紫外線硬化型インキ組成物。
【請求項8】
前記熱可塑性樹脂のアクリル樹脂の添加量を、全体量に対して、1〜10重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜7に記載の紫外線硬化型インキ組成物。
【請求項9】
前記紫外線硬化型インキ組成物の光重合開始剤として、2種類以上の光重合開始剤を含有するとともに、当該光重合開始剤の含有量を、全体量に対して、0.5〜20重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜8に記載の紫外線硬化型インキ組成物。
【請求項10】
前記光重合開始剤として、アシルフォスフィンオキサイド系化合物に、ケトスルフォン系化合物、または、α−ヒドロキシケトン系化合物のいずれか一方を含むことを特徴とする請求項1〜9に記載の紫外線硬化型インキ組成物。
【請求項11】
請求項1〜10に記載の紫外線硬化型インキ組成物から印刷を施して得られてなる印刷層を含むことを特徴とする前記紫外線硬化型インキ組成物を用いた車両用室内表示物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−132780(P2010−132780A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310347(P2008−310347)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【出願人】(392008024)十条ケミカル株式会社 (10)
【Fターム(参考)】