説明

細胞培養培地への金属依存性プロテアーゼ又はキモトリプシンの阻害物質の添加を含む組換えポリペプチドの製造法

【課題】組換えヒトタンパク質の製造において、組換えヒトタンパク質及びポリペプチド分子に対するある種のプロテアーゼの有害な影響の減少方法を提供する。
【解決手段】細胞培養培地に金属依存性プロテアーゼもしくはキモトリプシンの阻害物質を加えることを特徴とする組換えタンパク質製造方法。金属依存性プロテアーゼもしくはキモトリプシンの阻害物質又はそれらの組合せを含む、生物活性組換えヒトポリペプチドの発現分泌細胞の培養用細胞培養培地。該細胞培養培地で生産された組換え第VIII因子の使用。該細胞培養培地で製造された治療有効量の組換え第VIII因子の投与を特徴とする血友病Aの治療方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、組換えヒトタンパク質とポリペプチドの製造法及び該製造において使用するための細胞培養培地に関する。より詳細には、本発明は、金属依存性プロテアーゼもしくはキモトリプシンの阻害物質又はそれらの組合せを含有する細胞培養培地での細胞培養に関する。
【0002】
発明の背景
タンパク質分解酵素は全ての身体機能に関わり、それらの大部分は天然の調節性の片われ、即ちプロテアーゼ阻害物質を有する。酵素国際委員会はタンパク質分解酵素の組織的分類と命名法を確立した。即ち、1)セリンプロテイナーゼ、2)システインプロテイナーゼ、3)アスパラギン酸プロテイナーゼ、4)メタロプロテイナーゼ、これらは全て活性部位における必須基に基づいて分類される、最後に5)触媒機構が未だ不明のプロテイナーゼのサブクラス(Borivoj Keil, “Specificity of Proteolysis”, Springer-Verlag NY, 1992, p.336)。この分類の目的は機能性にあるのではなく、問題である酵素の生物源に関連するものでもない。タンパク質分解酵素(しばしばプロテアーゼと略称される)の分類の問題点は、序章に記載されている:“酵素命名法における酵素の分類(1200)は、酵素が触媒する反応に基づき作製されている。この規則は、エンドペプチダーゼにほとんど適用できない。この大きな群の酵素によって触媒される全体反応は本質的にいつも同一である:即ち、ペプチド結合の切断。しかし、タンパク質は古典的用語で基質と考えることはできない。タンパク質は、幾百の基質としての可能性のあるもの、即ち、一セットの、種々の量的表現をもつ質的に異なるペプチド結合タイプを包含する。更に、これらの結合の利用のされ易さは、ポリペプチド鎖の全体のコンフォメーションにより異なる。それ故、酵素命名法では、エンドペプチダーゼはその規則の例外となる。即ち、触媒反応による分類の代わりに、エンドペプチダーゼは活性部位の型により分類される。従って、完全に異なる特異性のある酵素(トリプシン、キモトリプシン及びプロリルペプチダーゼのような)が同一群に見出される。”同じ参考文献で更に説明されているように、基質と阻害物質の特異性は、酵素の5分類に対する単純な関係よりもずっと複雑である。それにも関わらず、この分類は、例えばタンパク質分解の種々の効果を記載すべきときに、文献で広く使用されている。
【0003】
セリンプロテアーゼでは、セリン部分は活性、即ち切断機能に必須である。異なるセリンプロテアーゼの特異性は、対応する基質の構造に適合する空洞の性質に基づく。深い割れ目によって、芳香族と他のかさの大きい疎水性側鎖に対するキモトリプシンの特異性は説明される(L.Stryer, Biochemistry, W.H.Freeman and Co., San Fransisco, CA, USA, 1981, pp.157-166)。
【0004】
多くのプロテアーゼは、それらの活性にアルカリ土類金属又は金属(後述の金属)を必要とする。金属依存性プロテアーゼは、金属活性化プロテアーゼ(活性のために、これに金属イオンが付加されなければならない)又はメタロプロテアーゼ(構造の必須部分として金属を含有する)のどちらかであると考えられる。第1群に関し、金属による酵素の活性化と安定化がしばしば、幾つかのクラスのプロテアーゼ、例えばセリンプロテアーゼとシステインプロテアーゼで起る。
【0005】
ある代謝産物の分泌のための培養内皮細胞におけるメタロプロテアーゼの重要性が、R.Ikegawaら(Biochem. Biophys. Res. Comm. 171(2), p.669-675(1990)によって示された。このことは、メタロプロテアーゼ特異的阻害物質の添加によって認められるこの分泌に対する抑制効果によって示された。しかし、酵素は細胞内スペースに限局されているのは明白であった。というのは、阻害物質の効果は無細胞調整培地では得られなかったからである。
【0006】
しかし、プロテアーゼの影響は、問題のタンパク質の分解の危険の可能性という文脈でずっとしばしば述べられている。
【0007】
CHO細胞の培養におけるプロテアーゼの影響は、M.Satohら(In Vitro Cell Dev Biol 26, 1101-1104(1990))によって研究された。種々の阻害物質を用い、存在するタンパク質分解活性を分類した。ホスホラミドンの添加による阻害の欠如から、プロテアーゼはメタロプロテアーゼに属さない、少なくともこの薬剤によって阻害されることが一般的に知られるものに属さないことが推察された。加えた他の阻害物質の影響から、細胞外タンパク質分解活性はシステインプロテアーゼ由来であることが示された。
【0008】
別の研究では、BHK細胞培養とハイブリドーマ細胞培養のそれぞれのタンパク質分解の性質が記載される(R B Kratjeら,J Biotechnol. 32,107-125(1994))。メタロプロテアーゼの活性は、これらの細胞型のいずれでも見出されなかった。しかし、幾つかのセリンプロテアーゼに対応する活性が同定された。プロテアーゼの存在は、使用する細胞のタイプばかりではなく培養条件と培養時間にも依存することも開示された。
【0009】
上記論文から、細胞培養でのポリペプチドの安定な分泌は、種々のタンパク質分解酵素によって損なわれうることは明白である。これらの分解力の効率的制御のために、万能の道具が必要である。このような制御によって、標的タンパク質の均一性はより良好に保持されるであろう。更に、タンパク質分解という攻撃に感受性の、細胞によって内因性に産生される付加的タンパク質又は物質は保護されよう。全て合わせて、全体として方法の高性能と一貫性が達成されよう。
【0010】
Tokunagaら,Yeast, vol.9(1993), p.379-387は、培養培地に分泌されるα−アミラーゼを消化する、Schizosaccharomyces pombeの培養培地におけるキモスタチン感受性プロテアーゼ活性に関するものである。Tokunagaらは、マウスα−アミラーゼを開示するのみである。更に、Schizosaccharomyces pombeは分裂酵母であり、α−アミラーゼは酵素、より詳細には炭水化物分解酵素である。
【0011】
Zymogeneticsの欧州特許出願公開第319944号は、真核細胞での、所望のタンパク質、例えばt−PA、第VII因子又は第IX因子と、該所望タンパク質をプロセシングする又は安定化するタンパク質、例えばプロテアーゼ阻害物質の共発現に関する。それ故、この場合には、プロテアーゼ阻害物質はin-situに産生される。このためには、所望タンパク質をコードする第1のDNA配列と安定化タンパク質をコードする少なくとも一つの更なるDNA配列の導入が必要となる。
【0012】
Novo-NordiskのWO−A−9002175は、種々のプロテアーゼ阻害物質の存在下、真核細胞を培養することによるポリペプチド製造法を開示する。特定の例には、ポリペプチドとして第VIII因子があるが、プロテアーゼ阻害物質は全てセリンプロテアーゼとシステインプロテアーゼに関するものである。
【0013】
Chemo-Sero-Therapeutic Res. Inst. 及びテイジンの欧州特許出願公開第306968号では、第VIII因子の欠失誘導体を産生するために使用される細胞培養培地でアプロチニンを使用する。100〜10,000KIU/mLの添加後の発現レベルは、アプロチニン添加無しの対照よりも2〜3倍高いと記載された。
【0014】
種々のタンパク質の生産において金属依存性プロテアーゼ及びキモトリプシンで問題となる点は、特に哺乳動物細胞培養を包含する文献で、システインプロテアーゼとセリンプロテアーゼの役割よりもずっと少ししか研究されていない。より詳細には、金属依存性プロテアーゼ及びキモトリプシンでの特別の問題は従来、第VIII因子に関したものではなかった。
【0015】
タンパク質及びポリペプチド、例えば血漿由来及び組換え第VIII因子分子のプロテアーゼによる分解を減少させるために、種々の解決策が提案された。これらの解決策は一般的に、セリンとシステインプロテアーゼの影響を減少させることに関するものであった。セリンプロテアーゼとシステインプロテアーゼは、血液血漿と細胞培養における最も有害なものであると考えられている。JohnsonらのWO−A−9310143は、第VIII因子を含有する生物サンプルを少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤又はプロテアーゼ除去剤と接触させることによる精製され安定化されたタンパク質の回収法を開示する。この方法はトロンビンを阻害又は除去することに関するものである。というのは、第VIII因子は血漿に天然に存在する微量のこのセリンプロテアーゼに非常に感受性であると言われているからである。該プロテアーゼの阻害物質には、例えばベンズアミジン、アンチトロンビンIII、ヘパリン及びヒルジンがある。この方法の効果は、血漿由来第VIII因子の場合にのみ示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】欧州特許出願公開第319944号公報
【特許文献2】国際公開第90/02175号パンフレット
【特許文献3】欧州特許出願公開第306968号公報
【特許文献4】国際公開第93/10143号パンフレット
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Borivoj Keil, “Specificity of Proteolysis”, Springer-Verlag NY, 1992, p.336
【非特許文献2】L.Stryer, Biochemistry, San Fransisco, CA, USA, W.H.Freeman and Co., (1981) p.157-166
【非特許文献3】R.Ikegawaら, "Biochem. Biophys. Res. Comm." (1990) 171(2), p. 669-675
【非特許文献4】M.Satohら, "In Vitro Cell Dev Biol" (1990) 26, p. 1101-1104
【非特許文献5】R B Kratjeら, "J Biotechnol." (1994) 32, p. 107-125
【非特許文献6】Tokunagaら, "Yeast", (1993) vol.9, p.379-387
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、組換えタンパク質とポリペプチド、特に第VIII因子を製造するために使用される細胞培養培地における一般的にはプロテアーゼ、より詳細には金属依存性プロテアーゼ及びキモトリプシンに関する問題の解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
一般的に、プロテアーゼは、分子を分解することによってタンパク質とポリペプチドの活性を減少させがちである。本発明は、細胞培養培地に金属依存性プロテアーゼ又はキモトリプシンの阻害物質を添加することによる、ある種のプロテアーゼの組換えタンパク質及びポリペプチドに対する有害な影響の減少法に関する。本発明の特別のプロテアーゼ阻害物質の存在から、取得期間の延長及びタンパク質及びポリペプチド活性を本質的に保ったままでかなりの高収率が可能となる。本発明は、金属依存性プロテアーゼもしくはキモトリプシンの阻害物質又はそれらの組合せを含有する、生物活性組換えポリペプチドの発現及び分泌する細胞の細胞培養培地にも関する。本発明は更に、血友病Aの症状を有する患者に投与するための医薬の製造のための本発明の細胞培養培地で産生された組換え第VIII因子の使用に関する。また、本発明は、本発明の細胞培養培地で産生された治療有効量の組換え第VIII因子の投与による血友病Aの治療法に関する。
【0020】
発明の詳細な説明
本発明の一つの目的は、組換えポリペプチド産生のために宿主細胞を培養するときに金属依存性プロテアーゼ及びキモトリプシンの影響を減少させることである。
【0021】
本発明のもう一つの目的は、組換えポリペプチドの活性を本質的に保持する効率的培養条件を提供することである。
【0022】
本発明の更なる目的は、細胞培養培地に加えられるタンパク質性補充物、及び細胞によって産生され、培養培地に分泌される他のタンパク質の半減期を増加させることである。
【0023】
上記目的は、生物活性組換えヒトポリペプチドの発現と分泌を可能とする、細胞培養培地中での該ポリペプチドの製造方法であって、金属依存性プロテアーゼもしくはキモトリプシンの阻害物質又はそれらの組合せを細胞培養培地に加えることを特徴とする該方法に関する本発明によって満たされる。
【0024】
本発明は更に、生物活性組換えヒトポリペプチドを発現分泌する細胞の培養用細胞培養培地であって、金属依存性プロテアーゼもしくはキモトリプシンの阻害物質又はそれらの組合せを含むことを特徴とする該培地に関する。
【0025】
本発明は、細胞培養培地中で組換えヒトポリペプチドを発現する細胞の培養方法であって、細胞培養培地が金属依存性プロテアーゼもしくはキモトリプシンの阻害物質又はそれらの組合せを含むことを特徴とする該方法にも関する。本発明は更に、組換えヒトポリペプチドの製造方法であって、金属依存性プロテアーゼもしくはキモトリプシンの阻害物質又はそれらの組合せを含む細胞培養培地で組換えヒトポリペプチドの発現細胞を培養し、該ポリペプチドを回収することを特徴とする該方法に関する。
【0026】
本発明者らは、ある種のプロテアーゼ阻害物質は、組換えポリペプチド発現宿主細胞の培養中、ポリペプチドの活性に対し驚くべきほど正の影響を与えることを見出した。これらの阻害物質の存在により、より高い生産性が得られる。そのため、活性及び/又は均一性を本質的に保持したポリペプチドの収量がかなり増加しうる。
【0027】
金属依存性プロテアーゼ及びキモトリプシンの阻害物質は適切には、疎水性部分を含む化合物である。キモトリプシンは、活性部位の深い割れ目の存在で他のセリンプロテアーゼとは異なる。この深い割れ目によって、キモトリプシンに関する基質特異性が説明される。それ故、適切には疎水性部分は、芳香族基、複素環芳香族基、又は別のかさの大きい側鎖基である。複素環芳香族側鎖基は、炭素以外の元素が芳香族環に存在する芳香族化合物に関連する。例として、ピリジン、ピロール、フラン及びチオペンがある。更に、本発明では、疎水性のかさの大きい側鎖基という用語は、モノシクロアルカン、例えばシクロヘキサン、ジシクロアルカン、及びポリシクロアルカンのような種々の他の非極性環構造、又はこれらの構造のいずれもの置換誘導体に関連する。
【0028】
金属依存性プロテアーゼは、金属活性化プロテアーゼ(活性のために、これに金属イオンが付加されねばならない)又はメタロプロテアーゼ(構造の必須部分として金属を含有する)であると考えられる。第1群に関し、金属による酵素の活性化と安定化はしばしば、セリンプロテアーゼ及びシステインプロテアーゼのような幾つかのクラスのプロテアーゼで起る。例えば、血液機能、特に凝固、線溶、及び補体活性化の分野では、一群のビタミンK依存性カルシウム結合ドメインが共通である(例えばLaszlo Patthy,Methods in Enzymology, 222,P.10-21(1993)参照)。後者のメタロプロテアーゼに関し、このプロテアーゼクラスの重要なサブクラスである哺乳動物メタロエンドペプチダーゼの総説が、Bondら,Int.J.Biochem., 17, No.5, p.565-574(1985)に記載されている。これらの著者らは、キャラクタリゼーションが行われた哺乳動物メタロプロテアーゼの全てで、Zn2+は必須金属であるようであると推定する。より最近の総説(D.A.Auld, Methods in Enzymology, 248, p.229-242(1995))で、このイオンは、メタロプロテアーゼの圧倒的多数の活性イオンであると依然として考えられている。このことは、Cu2+、Fe2+、Fe3+、Mn2+、Co2+及びCd2+のような他の金属の構造的及び機能的役割を除外しない(Auld, 上記参照)。Zn2+とCa2+依存性酵素は、Butlerら, Biochem.J., 241,p.229-235(1987)に記載されている。
【0029】
本発明では、金属依存性プロテアーゼの阻害物質は、該プロテアーゼの天然基質に構造的関連を有し、負電荷部分を有する化合物でありうる。このような化合物は適切には、天然基質の部分、好ましくはホスホルアミデート(phosphoramidate)、ヒドロキサメート(hydroxamate)及びカルボキシレート(carboxylate)からなる群から選択される天然基質の部分に似ているペプチド、ペプチドアナログ又は他の化合物である。例えばホスホルアミデート、ヒドロキサメート、又はカルボニル基で官能化しているペプチド又はペプチドアナログによるメタロプロテアーゼの阻害機構は十分に明白ではない。しかし、文献では、それらの効果はキレート機能のためであると考えられている(特に、Birkedal-Hansenら,Critical Review in Oral Biology and Medicine, 4(2), p.197-250(1993)p.221-222参照)。
【0030】
構造的に関連した化合物は、ホスホラミドンの場合のように天然、又は合成でありうる。このような合成阻害物質の設計は、Bondら(上記参照)によって概説されている。N.Nishino and J.C.Powers, Biochemistry, 17(14),p.2846-2850(1978)によって記載されている一例は、亜鉛メタロエンドペプチダーゼであるサーモライシンの合成阻害物質の合成である。この場合に、阻害物質ペプチドアナログの特異性は、酵素の活性部位で対応するポケットとの相互作用のために意図した疎水性アミノ酸、及び亜鉛原子との相互作用のためのヒドロキサム酸残基を含むことによって達成された。この現象の説明が,B.Roquesら,Methods in Enzymology, 248, p.263-283, 特にp.268-269及びp.272(1995)に記載されている。ヒドロキサム酸の更なる例がWO 90/05719に開示されている。
【0031】
本発明での使用に適したホスホルアミデートは天然又は合成でありうる。ホスホラミドンは、好ましくは本発明で使用される天然ホスホルアミデートである。ホスホラミドンは、メタロエンドペプチダーゼであるサーモライシンの作用を阻害する。このホスホルアミデートの構造は、Rha−P−Leu−Trpと略されるN−(α−L−ラムノピラノシルオキシヒドロキシホスフィニル)−L−ロイシルーL−トリプトファン)である。
【0032】
ホスホラミドンに存在する残基P−ロイシン−トリプトファンは幾つかのホスホルアミデートの共通の特徴である。種々の源からのデータによると、この残基は、例えばホスホラミドンの活性基を構成する。それ故、本発明では、適切には残基P−ロイシン−トリプトファンを含む化合物を使用する。
【0033】
金属依存性プロテアーゼの阻害物質の濃度は、約5nM〜約5mMの範囲、適切には0.5μM〜2mMの範囲、好ましくは1μM〜1mMの範囲でありうる。
【0034】
キモトリプシンはセリンプロテアーゼである。本発明では、キモトリプシンは、キモトリプシン及びキモトリプシン様プロテアーゼと関連する。本明細書でキモトリプシン様プロテアーゼとは、キモトリプシンの機能及び/又は化学構造に密接に類似するそれを有するプロテアーゼに関連する。以下において、キモトリプシンは、キモトリプシン及びキモトリプシン様プロテアーゼを命名するために用いる。キモトリプシンとメタロプロテアーゼの関連は、Borivoj Keil, “Specificity of Proteolysis”(上記参照),表11,p.36-39に記載されている。切断部位におけるアミノ酸の好適配列による分類では、キモトリプシンはLYL(ロイシン、チロシン、ロイシン)で切断する他のプロテアーゼと共にグループ分けされる。このグループの他の酵素には、通常メタロプロテアーゼと言われる酵素であるコラゲナーゼがある。
【0035】
キモトリプシンの阻害物質は天然又は合成でありえ、該プロテアーゼの天然基質に構造的に関連しうる。キモトリプシンの阻害物質は適切には、疎水性部分を含む。疎水性部分の機能性は、上記の節で記載の亜鉛メタロエンドペプチダーゼであるサーモライシンの特異的阻害物質と共有の性質である。キモトリプシンの阻害物質は適切には、キモスタチンA、キモスタチンBもしくはキモスタチンC、又はそれらの任意の混合物から選択される。通常、キモスタチンは3種全てのキモスタチンを含む混合物であり、キモスタチンAが大部分である。全てのキモスタチンは、異常アミノ酸α−(2−イミノヘキサヒドロ−4(S)−ピリミジル)−S−グリシン残基を含む。これらの天然化合物の構造は、N−[(S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル]−カルバモイル−α−N−[2−イミノヘキサヒドロ−4(S)−ピリミジル]−S−グリシル−L−ロイシル−フェニルアラニナール(キモスタチンA)、N−[(S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル]−カルバモイル−α−N−[2−イミノヘキサヒドロ−4(S)−ピリミジル]−S−グリシル−L−バリル−フェニルアラニナール(キモスタチンB)、及びN−[(S)−1−カルボキシ−2−フェニルエチル]−カルバモイル−α−N−[2−イミノヘキサ−ヒドロ−4(S)−ピリミジル]−S−グリシル−L−イソロイシル−フェニルアラニナール(キモスタチンC)である。
【0036】
キモトリプシンの阻害化合物の濃度は、約0.001μg/L〜約100mg/Lの範囲、適切には0.01μg/L〜25mg/Lの範囲、好ましくは0.1μg/L〜100μg/Lの範囲でありうる。上記の数字は、約1.67pM〜約167μMの範囲、適切には16.7pM〜41.7μMの範囲、好ましくは167pM〜167nMの範囲のキモトリプシン阻害化合物の濃度に等しい。
【0037】
本発明で使用する宿主細胞は原核細胞又は真核細胞、適切には真核細胞でありうる。本発明で使用する宿主細胞は、哺乳動物細胞、細菌細胞、真菌細胞又は昆虫細胞でありうる。適切には、細胞は哺乳動物細胞又は昆虫細胞、好ましくは哺乳動物細胞である。昆虫細胞はSF−9細胞又はSF−21細胞でありうる。哺乳動物細胞はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、COS細胞又はハイブリドーマ細胞、好ましくはCHO細胞でありうる。
【0038】
細胞培養培地は血清を含みうる。しかし、適切には細胞培養培地は低血清培地、好ましくは血清非含有培地である。細胞培養培地は更に1種以上の付加的タンパク質、例えばヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)、インシュリン、増殖因子、IGF−1、IGF−2、成長ホルモン、ニュートロフィン、レプチン、トランスフェリン及びvon Willebrand 因子(vWf)を含みうる。タンパク質を本発明の細胞培養培地に加える場合、このようなタンパク質は組換えDNA技術で製造するのが好ましい。好ましくは細胞培養培地はタンパク質非含有培地、即ち添加したタンパク質性物質を含まない培地である。このことにより、非常に高い比活性のポリペプチドの製造が可能となる。このようにして、培地は十分に規定され、マイコプラズマ、バクテリオファージ、ウイルス及び毒素のような夾雑物の入る危険性はほとんど無くなるであろう。更に、ポリペプチド分子の下流の精製が容易になろう。
【0039】
細胞培養培地は、完全培地、又は幾つかの成分を補充した栄養基礎培地に基づきうる。適切な完全培地の例は、日本の味の素が市販の種々のASF培地、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、イーグル最少必須培地、ハム培地F−12及びRPMI−1640培地である。DMEMとハムF−12(両方ともスコットランドのRenfrewshireのGIBCOが市販)の種々の組合せも、本発明で使用される適切な完全培地である。補充基礎培地は、細胞培養培地製造の標準的方法により、栄養基礎培地に成分を添加して製造しうる。
【0040】
細胞培養培地に加える補充物は本発明に決定的ではなく、問題の細胞に適した当業界公知のものの組合せでありうる。使用できる補充物の例には、インシュリン、トランスフェリン、アスコルビン酸、エタノールアミン、グルタミン、亜セレン酸ナトリウムがある。
【0041】
プロテアーゼ阻害物質は、培養期間中一度、数回、又は連続的に細胞培養培地に加えうる。本発明の阻害物質は培地の交換で、細胞培養培地に加えるのが適切である。プロテアーゼ阻害物質は、金属依存性プロテアーゼの阻害物質とキモトリプシンの阻害物質の混合物でありうる。プロテアーゼ阻害物質は、金属依存性プロテアーゼの阻害物質とキモトリプシンの阻害物質を任意の順序で加える組合せでもありうる。
【0042】
本発明では、ポリペプチドとは、鎖長が最低20個のアミノ酸のタンパク質及びオリゴペプチドを指す。本発明で製造されるポリペプチドのアミノ酸数は適切には30〜4,500個のアミノ酸の範囲、好ましくは40〜3,000個のアミノ酸の範囲である。本発明で製造できるポリペプチドには、凝固活性、抗凝固活性及び線溶活性を示すポリペプチド、膜結合レセプターと核レセプター、及び代謝調節液性因子(ホルモン)などがある。本発明で製造できるポリペプチドの特別の例は、第VIII因子、第V因子、第VII因子、第IX因子、tPA、プロスタグランジンレセプター、グルココルチコイドレセプター、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)、細胞増殖促進因子と細胞生存促進因子、インターロイキン、インターフェロン及びIGF結合タンパク質(IGFBP)である。ポリペプチドは完全長でありうる。即ち、アミノ酸の配列は、一般的には哺乳動物、特にヒトで見出される対応する配列と同一である。ポリペプチドは、1個以上のアミノ酸を欠く完全長ポリペプチドの欠失誘導体でもありうる。本発明では、好ましくはポリペプチドは第VIII因子である。
【0043】
本発明では、組換えDNA技術によって製造される第VIII因子は完全長第VIII因子、好ましくは凝固活性を有する完全長第VIII因子の欠失誘導体でありうる。本明細書では、欠失誘導体とは、Bドメインの全部又は一部を欠くが、凝固活性を保持している凝固第VIII因子を指す。残りのドメインはアミノ酸リンカーで結合しているのが適切である。種々のリンカー構築体の例は、P.Lindら,Eur.J.Biochem., vol.232(1995), pp.19-27に記載されている。全般的に組換え第VIII因子産物の構造及び生化学は、Kaufman, Trends in Biotechnology, 9, p.353-359(1991)及びHematology,63,p.155-65(1991)に記載されている。
【0044】
ヒト血漿中に存在する完全長第VIII因子は分子量約300kDaを有する。このような血漿から得られる第VIII因子濃縮物は、Andersonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 83,p.2979-83(1986年5月)記載のように幾つかのフラグメント化された十分に活性のある第VIII因子型を含む。最小の活性型は分子量約170kDaを有し、約90kDaと約80kDaの二本の鎖からなり、その二本の鎖は金属イオンで結合している。欧州特許出願公開第0197901号(Pharmacia AB)を参照されたい。それ故、本発明で製造される生物活性のある第VIII因子は適切には約170kDa〜約300kDaの範囲の分子量を有する。
【0045】
スエーデン、ストックホルムのPharmacia ABは、治療用第VIII因子濃縮物中の約170kDaの血漿第VIII因子に対応する組換え第VIII因子産物を開発した。短縮組換え第VIII因子分子はr-VIIISQと命名し、それは、血清非含有培地中で細胞培養法によりチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で製造される。r−VIIISQの構造と生化学は、WO−A−9109122(Pharmacia AB)に記載されている。本発明では、より好ましくは欠失誘導体は組換え第VIII因子SQ(r−VIIISQ)である。
【0046】
本発明の細胞培養培地で製造される組換え第VIII因子は、血友病Aの症状を有する患者に投与するための医薬の製造で使用できる。また、本発明は、血友病Aの治療方法であって、本発明の方法で細胞培養培地で製造された治療有効量の組換え第VIII因子を投与することを特徴とする該方法に関する。
【0047】
細胞培養培地のpHは適切には、約6〜約8の範囲である。細胞培養培地の浸透圧は適切には、約280〜約400ミリオスモルの範囲である。
【0048】
細胞培養技術は、懸濁培養、ローラーボトル・ミクロキャリア・又は中空ファイバーなどの単層培養、好ましくは懸濁培養技術でありうる。
【0049】
本発明の操作の型は、連続又はバッチ型でありうる。
【0050】
以下の実施例は例示のためにのみ記載し、請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するものとは決して考えるべきではない。
【0051】
実験の部
組換え第VIII因子の製造
組換え第VIII因子SQ(r−VIIISQ)の製造は、Pharmacia & Upjohnの特許WO−A−9109122の実施例1〜3に記載のように行った。DHFR欠失CHO細胞系(DG44)に、r−VIIISQ遺伝子とジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子含有発現ベクターを含む発現ベクターでエレクトロポレーションを行った。選別培地での選別後、生存するコロニーを、段階的に増加していく量のメトトレキセート中での増殖により増殖させた。得られたコロニーの上清を個々に、第VIII因子活性についてスクリーニングした。生産クローンを選別し、次いでこれを規定培地中での血清非含有懸濁増殖に順応させた。
【0052】
材料
実験で使用したキモスタチンは、キモスタチンA、キモスタチンB及びキモスタチンCを含んでいたが、キモスタチンAが大部分である。プロテアーゼ阻害物質は全て分析グレードであり、米国、セントルイスのSigmaから得た。
【0053】
分析方法
凝固第VIII因子の活性は、色素産生基質アッセイ(Coatest Factor VIII, Chromogenix AB, Molndal, スエーデン)で評価した。活性化第X(Xa)因子を、第VIII因子が補因子として作用する固有の経路で産生させる。次いで、トロンビンによる基質の加水分解を防止するためにトロンビン阻害物質I−2581の存在下、第Xa因子を色素産生合成基質S−2222を用いて測定する。反応を酸で停止させ、pNA(パラ−ニトロアニリン)の放出に比例するVIII:Cを、試薬ブランクに対して測光法で450nmで測定する。第VIII:C因子の単位は、WHOが確立した現在のInternational Concentrate Standard(IS)によって定められた国際単位(IU)で表す。
【0054】
加えた阻害物質が、全製造期間中細胞生存に負の効果を有しないことを確かめるために、表I〜IVに記載したように、幾つかの場合に細胞生存率を測定した。Burkerチャンバー又はフローサイトメトリーで、エリスロシンBによって細胞を染色後、分析を行った。生存細胞の割合は、細胞総数に対し計算した(%)。
【実施例1】
【0055】
この実施例は、種々の他のプロテアーゼ阻害物質と比較したときの本発明の効率を示すために企画した。
【0056】
CHO細胞は、ASF又はDMEMとハム培地F−12の混合物などの完全培養培地を有するスピナーフラスコ中で増殖条件下、培養した。最初は、温度は37℃で、細胞含量は約0.7×10細胞/(細胞培養培地mL)であった。0日を生産開始日と定めた。温度は34℃に下げた。3日に、培養培地を、0.5mM酪酸を含む新鮮培地に置き換え、細胞含量を約3×10細胞/(細胞培養培地mL)に調整した。4日に、生産中の細胞懸濁液を連続培養用のポリプロピレンチューブに分注し、プロテアーゼ阻害物質を加えた。5日に培地を置き換え、プロテアーゼ阻害物質を加えた。培地の置き換えは、6日、7日、10日(72時間後に蓄積した値)に行った。11日に、実験を終了した。ウエスタンブロット分析によると、生産された因子の質は本質的に影響を受けなかった。生存率は一般的に高い。生産11日に、最小値90%が対照とアプロチニンで得られた。
結果を以下の表に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
【表3】

【0060】
【表4】

【0061】
表Iから明白なように、本発明のプロテアーゼ阻害物質の存在は、第VIII:C因子の維持の可能性を劇的に増加させる。表IIから明白なように、種々の他のプロテアーゼ阻害物質の存在は、第VIII:C因子に非常に小さい効果、又は負の効果さえ有する。表IIIから、表Iで示した第VIII因子の生産の増加は、細胞生存率の増加又は減少のためではないことは明白である。更に、表IVから、表IIで示した第VIII因子の生産に対する効果の欠如は、細胞生存率の減少の影響を消す効果ではないことは明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物活性組換えヒト凝固第VIII因子の発現と分泌を可能とする細胞培養培地での該凝固第VIII因子の製造方法であって、α−(2−イミノヘキサヒドロ−4(S)−ピリミジル)−S−グリシンを含むキモトリプシンの阻害物質を細胞培養培地に加えることを特徴とする前記方法。
【請求項2】
前記キモトリプシンの阻害物質が、キモスタチンA、キモスタチンB、キモスタチンC、又はそれらの任意の混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キモトリプシンの阻害物質の濃度が、0.001μg/L〜100mg/Lの範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記濃度が、0.1μg/L〜100μg/Lの範囲であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記細胞が、哺乳動物細胞、細菌細胞又は昆虫細胞であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記細胞が、哺乳動物細胞であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記哺乳動物細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、COS細胞及びハイブリドーマ細胞からなる群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記細胞培養培地が、血清非含有培地であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記組換え凝固第VIII因子が、凝固活性を保持した完全長第VIII因子の欠失誘導体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
第VIII因子の欠失誘導体は欠失誘導体組換え第VIII因子SQ(r−VIIISQ)であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
生物活性組換えヒト凝固第VIII因子の発現・分泌細胞の培養用細胞培養培地であって、該細胞培養培地がα−(2−イミノヘキサヒドロ−4(S)−ピリミジル)−S−グリシンを含むキモトリプシンの阻害物質を含むことを特徴とする前記培地。
【請求項12】
前記キモトリプシンの阻害物質が、キモスタチンA、キモスタチンB、キモスタチンC、又はそれらの任意の混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項11に記載の培地。
【請求項13】
前記キモトリプシンの阻害物質の濃度が、0.001μg/L〜100mg/Lの範囲であることを特徴とする請求項11又は12のいずれかに記載の培地。
【請求項14】
前記細胞が哺乳動物細胞であることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の培地。
【請求項15】
前記哺乳動物細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、COS細胞及びハイブリドーマ細胞からなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載の培地。
【請求項16】
前記細胞培養培地が血清非含有培地であることを特徴とする請求項11〜15のいずれかに記載の培地。
【請求項17】
前記組換え凝固第VIII因子が凝固活性を保持した完全長第VIII因子の欠失誘導体であることを特徴とする請求項11〜16のいずれかに記載の培地。
【請求項18】
前記第VIII因子の欠失誘導体が、欠失誘導体組換え第VIII因子SQ(r−VIIISQ)であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
細胞培養培地で組換えヒト凝固第VIII因子を発現する細胞の培養方法であって、該細胞培養培地は、α−(2−イミノヘキサヒドロ−4(S)−ピリミジル)−S−グリシンを含むキモトリプシンの阻害物質を含むことを特徴とする前記方法。
【請求項20】
前記組換えヒト凝固第VIII因子の製造方法であって、請求項19に記載の方法によって該凝固第VIII因子を発現する細胞を培養し、該凝固第VIII因子を回収することを特徴とする前記方法。
【請求項21】
血友病Aの症状を有する患者に投与するための医薬の製造のための請求項1〜10のいずれかに記載の方法によって製造される組換え第VIII因子の使用。
【請求項22】
請求項1〜10のいずれかに記載の方法で製造された治療有効量の組換え第VIII因子を含む血友病Aの治療用医療組成物。

【公開番号】特開2009−148271(P2009−148271A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1597(P2009−1597)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【分割の表示】特願平9−540800の分割
【原出願日】平成9年5月13日(1997.5.13)
【出願人】(509008754)
【Fターム(参考)】