説明

組み立てキット、組み立てキットの製造方法、及び組み立てキット情報提供装置

【課題】 様々な要求・要望に応え得る多種多様の彩色が容易且つ安価に施された組み立てキットを提供する。
【解決手段】 ユーザが組み立てて完成態様を得るべく、複数のパーツを備えてなる組み立てキットであって、前記各パーツ2、3a、3b及び4の表面に印刷により彩色が施されている。印刷はインクジェットプリンタを用いるが、前記各パーツは、彩色が施されている表面が順テーパ状で外方に突出する形状となるように成形されてなるため、各パーツの全ての表面に対して容易に印刷が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプラスチックモデル等の組み立てキット、組み立てキットの製造方法及び組み立てキット情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが組み立てて完成態様を得る、複数のパーツを備えてなる組み立てキットは一般に親しまれている。組み立てキットの代表的なものには、例えばプラスチックモデル(以下、プラモデルと称す)がある。
【0003】
プラモデルは、ユーザの好みや製造の煩雑性を鑑みて、通常、その各パーツには着色がされていない状態で製品化されている。そのため、ユーザは自らプラモデルの各パーツに所望の彩色を施すのが一般的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザが自ら彩色を行う場合には、ユーザの望むものに近づけるには相当な技術が必要となる。しかもこの場合、彩色に要する塗料や各種の彩色用具のような比較的高価なものが必要となる。
【0005】
本発明は係る実情に鑑みて、様々な要求・要望に応え得る多種多様の彩色が容易且つ安価に施された組み立てキット、その製造方法、及びその情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の組み立てキットは、ユーザが組み立てて完成態様を得るべく、複数のパーツを備えてなる組み立てキットであって、前記複数のパーツのうちの少なくとも1つの表面に印刷により彩色が施されていることを特徴とする。
また、本発明の組み立てキットの製造方法は、ユーザが組み立てて完成態様を得るべく、複数のパーツを備えてなる組み立てキットの製造方法であって、下地材料の表面に印刷より彩色を施し、前記各パーツを形成することを特徴とする。
また、本発明の組み立てキット情報提供装置は、ユーザが組み立てて完成態様を得るべく、複数のパーツを備えてなる組み立てキットの情報を提供する組み立てキット情報提供装置であって、ネットワークを介して接続されたユーザ端末装置に提供する画面に表示する前記組み立てキットの情報を格納する情報格納手段と、前記情報格納手段に格納された前記組み立てキットの情報を用いて、前記組み立てキットの完成態様の形状の一部又は全部を表示する画像表示領域と、前記画像表示領域に表示された前記組み立てキットの完成態様の形状の一部又は全部に対して彩色を設定する彩色設定領域と、を含む画面をネットワークを介して接続されたユーザ端末装置に提供する画面提供手段と、前記画面提供手段において提供した前記画面を用いてユーザによって彩色の設定をされた前記組み立てキットの彩色に係るユーザ設定情報を前記ユーザ端末装置より受信するユーザ設定情報受信手段と、前記ユーザ設定情報受信手段において受信した前記ユーザ設定情報を含む印刷情報を印刷装置に出力し、印刷を要求する印刷情報出力手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、様々な要求・要望に応え得る多種多様の彩色が容易且つ安価に施された組み立てキットを実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係るプラスチックモデル(以下、プラモデルと称す)ついて説明する。なお、図1〜図6を用いて本発明の実施形態に係るプラモデルが製造される過程を説明し、図7に彩色が施されて完成したプラモデルを示す。
【0009】
図1は後述するプラモデルに彩色が施される前の下地材料1の平面図であり、図2は側面断面図である。詳細には、下地材料1はユーザが組み立てて完成態様を得るためのプラモデルに彩色を施す前の下地となるもので、複数のパーツを備えるようにして射出成形等で成形される。なお、本実施形態において、下地材料1は略矩形の枠体1aから複数に分岐した枝体1bを介して複数のパーツを備えるように一体成形される。
【0010】
なお、本実施形態において、彩色とは、色彩、模様、文字又はそれらの結合をいう。
【0011】
下地材料1は彩色塗料の発色性を良好のものとするために白色又は透明無色のいずれかのプラスチック成形原料を用いて成形することが好ましい。
【0012】
2、3a、3b及び4は、下地材料1の備えた彩色が施される前のパーツであり、枠体1aから枝体1bを介して連結されている。ユーザは、これらパーツを例えばニッパ等の工具を用いて枝体1bから取り外すことができ、取り外したパーツをそれぞれ所定のパターンに沿って組み付けることにより例えば自動車や飛行機等の模型の完成態様を得ることができる。
【0013】
図2の側面断面図に示すように、パーツ2、3a、3b及び4はそれぞれ表面を外方(ここでは、上方)に向けるようにして成形されている。即ち、本実施形態に係るパーツは、全てその表面が順テーパ状で外方に突出する形状となるように成形されている。
【0014】
なお、本実施形態において、順テーパ状の形状とは、枠体1aに対して垂直となる形状のもの及びオーバーハング状(逆テーパ状)となる形状のものを除外して、枠体1aから外方に向けて先細となるような形状を意味する。なお、パーツ2のように外方に突出した後、平面(A)が形成されているものや、パーツ4のように半球状に外方に突出したものも含むものとする。また、ここで例示したパーツに関して、図示のようにパーツ2、3a及び3bを殻状、即ちパーツ内部にプラスチック成形原料を充填せずに成形し、パーツ4を半球体状、即ちパーツ内部にプラスチック成形原料を充填して成形しているが、パーツ4を殻状、即ち球殻状に形成してよいし、プラスチック成形原料をブロック状に成形してパーツ2、3a及び3bを形成してもよい。
【0015】
次に、上記のように成形された下地材料1のパーツに、例えば図3に示すインクジェットプリンタ5を用いて印刷を行う。以下、その詳細について説明する。
【0016】
図3において、5は下地材料1のパーツにインクジェット法を用いた印刷により彩色を施すためのインクジェットプリンタである。インクジェットプリンタ5は、紙等の薄く形成された印刷対象物の他、厚みを有するものに対しても印刷可能で、例えばプラスチック、ガラス又は金属等で形成された厚みを有する印刷対象物や凹凸形状を有する印刷対象物等に対してノズルから直接インクを噴射することで印刷することが可能である。
【0017】
6はインクジェットプリンタ5の動作を制御し、また印刷したい模様や色彩及び印刷対象物の形状をインプットして設定することが可能なコンピュータである。インクジェットプリンタ5は、コンピュータ6に接続され、その動作が制御される。詳細には、後述のインクを噴射するためのノズル10をその内部に備えた可動部7を長手方向(図中、矢印)に移動させるとともに、内部のノズル10を幅方向に移動するように制御されて、インクジェットプリンタ本体8の上部側に設けられた設置部9に設置された印刷対象物に対して印刷を行う。
【0018】
次に、図4を用いて、下地材料1のパーツに対するインクジェットプリンタ5の印刷動作について説明する。図4において、10はインク11を噴射するノズルである。ノズル10は可動部7の移動速度や印刷対象物の幅に応じ、インクジェットプリンタ5の幅方向に移動しながら、設置部9に設置された下地材料1の各パーツに対してインク11を噴射して順次印刷を行う。
【0019】
インクジェットプリンタ5による印刷の際、パーツ2等は上述したようにその表面が順テーパ状で外方に突出する形状、即ちその全ての表面をノズル10側に向けられて成形されているため、ノズル10から直進方向(ここでは、下方)に噴射されるインク11が直接噴射され、コンピュータ6で設定された模様や色彩等が好適に印刷される。これにより、下地材料1に備えられた複数のパーツに対し、印刷によって容易に彩色を施すことが可能となる。ここで、11aは、各パーツの表面に塗布された状態のインクを示す。
【0020】
ここで、パーツの一例として、パーツ3a及び3bについて図5を用いて説明する。図5(a)に示すようにパーツ3a及び3bはそれぞれ組み付けられて中空の角柱を形成するパーツである。
【0021】
従来であれば、パーツの配置の効率や成形の容易さ等を考慮して、パーツ3a及び3bに相当するパーツについて1パーツで成形したり、容易な形状となるように、例えば図5(b)に示すようなパーツ3c及び3dとして分けて成形したりしていた。しかしながら、パーツ3cのように成形されたパーツにインクジェットプリンタ5を用いて印刷を行おうとした場合、図6に示すように、パーツ3cのノズル10の噴射方向と平行に位置する面B及びC(即ち枠体1aに対して垂直に位置する面)については、インク11を直接噴射することができないため、印刷が不可能である。
【0022】
そこで、本発明においては、上述したように全てのパーツの表面に対して、確実に印刷を行うことができるようにするため、下地材料1が備えたパーツ全てを上記順テーパ状で外方に突出した形状となるように成形している。
【0023】
以上のように複数のパーツに印刷が施された下地材料1は、図7に示すような各パーツに見合った所望の彩色が施されたプラモデル12となる。図7に示すような彩色は一例に過ぎないが、インクジェットプリンタ5を利用してコンピュータ6で印刷したい模様や色彩を設定することができるため、多種多様な彩色を施すことが可能であり、例えば画像データをコンピュータ6にインプットさえすれば、エアブラシを用いて塗装したようなものや、写真画像についても高精細でパーツに印刷を行うことができる。
【0024】
また、印刷を行うことで彩色が施されるため、工程は煩雑となることなく、安価且つ容易に彩色が施されたプラモデルの提供が可能となる。
【0025】
なお、本実施形態におけるパーツ2等の形状は一例に過ぎず、これら限定されるものでないことは言うまでもない。パーツの形状と印刷の対象となる面又は部位の形状を考慮して適宜設計して金型を制作すれば、一部又は全てが順テーパ状で外方に突出した形状のパーツを備えた組み立てキットを成形することができる。
【0026】
以下、上記で説明したプラモデル12のような組み立てキットをインターネットを介して提供するシステムの一例について説明する。
【0027】
上記で説明したように、本発明の彩色が施された組み立てキットは、インクジェットプリンタ5で印刷を行うことで実現される。
【0028】
インクジェットプリンタ5のようなプラスチック、ガラス又は金属等で形成された厚みを有する印刷対象物や凹凸形状を有する印刷対象物等に対しても印刷可能なプリンタを製造者が有し、インターネットを介してユーザ側の多様な彩色の好みの情報を把握が可能となれば、ユーザの多様な好みに対応した組み立てキットを効率よく提供することができる。
【0029】
図8は、組み立てキットの提供システム(以下、提供システムと略す)のシステム構成の一例を示す図である。図8に示されるように、提供システムは、ネットワーク81を介して、組み立てキット情報提供装置82と、印刷装置83と、複数のユーザ端末84と、が接続されている。
【0030】
図9は、組み立てキット情報提供装置82のハードウェア構成の一例を示す図である。図8に示されるように、組み立てキット情報提供装置82は、ハードウェア構成として、入力装置91と、表示装置92と、記憶媒体ドライブ装置93と、ROM(Read Only Memory)95と、RAM(Random Access Memory)96と、CPU(Central Processing Unit)97と、インタフェース装置98と、HD(Hard Disk)99と、を含む。
【0031】
入力装置91は、組み立てキット情報提供装置82の操作者、即ち製造者が操作するキーボード及びマウス等で構成され、組み立てキット情報提供装置82に製造者の販売する組み立てキットの情報等を入力するのに用いられる。表示装置92は、該製造者が利用するディスプレイ等で構成され、各種情報(又は画面)等を表示するのに用いられる。
【0032】
インタフェース装置98は、組み立てキット情報提供装置82をネットワーク等に接続するインタフェースである。
後述する組み立てキット情報提供装置82の機能等に係るプログラムは、例えば、CD−ROM等の記憶媒体94によって組み立てキット情報提供装置82に提供されるか、ネットワーク等を通じてダウンロードされる。記憶媒体94は、記憶媒体ドライブ装置93にセットされ、プログラムが記憶媒体94から記憶媒体ドライブ装置93を介してHD99にインストールされる。なお、プログラムは、始めからHD99等にインストールされていてもよい。
【0033】
ROM95は、組み立てキット情報提供装置82の電源投入時に最初に読み込まれるプログラム等を記録する。RAM96は、組み立てキット情報提供装置82のメインメモリである。CPU97は、必要に応じて、HD99よりプログラムを読み出して、RAM96に格納し、プログラムを実行する。
【0034】
なお、ユーザ端末84のハードウェア構成は図9で説明したものの構成と同様である。また、印刷装置83は、上記説明したインクジェットプリンタ5とし、それが有するコンピュータ6も図9で説明したものと同様の構成であり、組み立てキット情報提供装置82と通信可能である。
【0035】
以下、組み立てキット情報提供装置82のROM95、RAM96、CPU97及びHD99等から構成される組み立てキット情報提供装置82の機能構成の一例を図10に示す。図10は、組み立てキット情報提供装置82の一例の機能構成図である。
【0036】
図10に示されるように、組み立てキット情報提供装置82は、機能構成として、Webページ提供部101(画面提供手段)と、情報格納部102と、ユーザ設定情報受信部103と、印刷情報出力部104と、を含む。
【0037】
Webページ提供部101は、ユーザ端末84からの要求に応じて、例えば、後述する図11(a)に示されるようなWebページ(又は画面)を、ユーザ端末84に提供する。
【0038】
情報格納部102は、Webページ提供部101が例えばインターネット上に公開するWebページに用いる情報、より具体的には、組み立てキットの画像等を格納している。なお、Webページ提供部101は、ユーザの操作に応じて、情報格納部102から適宜組み立てキットの画像等を呼び出して、上述したようなWebページをユーザ端末84に提供する。
【0039】
ユーザ設定情報受信部103は、ユーザの設定情報を受信する。より詳細な説明は後述するが、Webページ提供手段101が提供するWebページには、ユーザがユーザ端末84を介してWebページ上で組み立てキットに対して各種設定が可能な画像表示領域が含まれており、ユーザ設定情報受信部103は、そのWebページにおいてユーザが設定したユーザ設定情報を受信する。
【0040】
印刷情報出力部104は、ユーザ設定情報受信部103が受信したユーザ設定情報を含む印刷情報(印刷ジョブ)を印刷装置83に出力する。
【0041】
図11(a)にWebページ提供部101がインターネット上に公開するWebページの一例を示す。Webページ110は、当該Webページ110上に表示された組み立てキットに対してユーザがユーザ端末84を介して彩色を施す、即ち、彩色の設定を行うことが可能なWebページの一例である。
【0042】
Webページ110において、製品番号111は、ユーザに指定された組み立てキットの型式番号を示す。表示領域112には組み立てキットの完成態様に彩色の施されていない状態、即ち、組み立てキットの完成態様の形状のみの斜視画像(全体画像)が表示されている。
【0043】
また、上記の組み立てキットの完成態様の形状の斜視画像に対応するように、表示領域113には対応する正面画像、表示領域114には対応する右側面画像、表示領域115には対応する左側面画像、表示領域116には対応する背面画像、表示領域117には対応する上面画像がそれぞれ表示されている。ユーザはこれら組み立てキットの完成態様の形状の特定部位が表示された表示領域113〜117を、ユーザ端末84を介して選択することで、彩色を施す部位を選択することができる。
【0044】
カラープルダウンメニュー118、パターンプルダウンメニュー119及びフリーハンドツールボックス120はそれぞれWebページ110上の所定領域に表示された組み立てキットに対して彩色を施すためのツールである。
【0045】
カラープルダウンメニュー118は、例えば赤、青、黄等の色を組み立てキットの特定部位に対して色を付すためのツールである。ユーザが、ユーザ端末84を用いてカラープルダウンメニュー118内の「▽」の表示のされたボタンを押下することで複数種類の色が表示され、これを基に色を選択して設定することができる。
【0046】
パターンプルダウンメニュー119は、例えばストライプ、迷彩柄等の模様のパターンを組み立てキットの特定部位に対して模様を付すためのツールである。ユーザが、ユーザ端末84を用いて上述したのと同様に、パターンプルダウンメニュー119内の「▽」の表示のされたボタンを押下することで複数種類の模様が表示され、これを基に模様を選択して設定することができる。
【0047】
フリーハンドツールボックス120は、組み立てキットの特定部位に対して、手書きで描画を行ったり、テキストを挿入したりするツールである。
【0048】
ユーザはWebページ110を用いて組み立てキットに対して彩色を施す際、まず表示領域113〜117の少なくともいずれか1つを選択して彩色を施す特定部位を選択する。次に、Webページ110上に配されたカラープルダウンメニュー118、パターンプルダウンメニュー119及びフリーハンドツールボックス120を操作して前記選択した特定部位に対して任意の彩色を施すように設定する。
【0049】
ユーザが設定した彩色に係る情報は、Webページ110の所定領域に表示された送信アイコン121を押下されることでユーザ設定情報受信部103に図11(b)で示すようなデータテーブルの構造を以って送信される。
【0050】
ユーザ設定情報受信部103が受信する彩色に係る情報のデータテーブルの一例を図11(b)に示す。図11(b)において、モデルID122は組み立てキットの製品番号を特定するもので、本実施形態においては、製品番号111に相当する。彩色対象ID123は組み立てキットの彩色対象部位を特定するもので、本実施形態においては表示領域113〜117に表示された部位を特定している。
【0051】
カラーID124は、カラープルダウンメニュー118を用いて設定され、パーツID123で特定された部位に対して付された色を特定するものである。本実施形態においては「3」に相当する色(例えば緑等)が設定されている。
【0052】
パターンID125は、パターンプルダウンメニュー119を用いて設定され、パーツID123で特定された部位に対して付された模様を特定するものである。本実施形態においては「1」に相当する模様(例えば迷彩柄等)が設定されている。
【0053】
フリーハンド情報126は、フリーハンドツールボックス120を用いて設定され、パーツID123で特定された部位に対して付された描画等を特定するものである。本実施形態においては、設定なしの状態である。
【0054】
上記のような構造を有するデータテーブルをユーザ設定情報受信部103は受信する。そして、印刷情報出力部104は、このデータテーブルを含む印刷情報(印刷ジョブ)を生成し、印刷装置83に出力し、印刷を要求する。印刷装置83は印刷情報出力部104から受け取った情報を基に、上述した下地材料に対し印刷を行い、ユーザから要求された彩色を施した組み立てキットを提供する。
【0055】
以上説明した組み立てキットの提供システムは、情報格納部102に格納された製造者の扱う組み立てキットの情報を用いて、Webページ提供部101によって、彩色を施されていない完成態様の形状の一部又は全部を表示する表示領域112〜117(画像表示領域)と、その完成態様の一部又は全部に対してユーザがユーザ端末84を介して彩色の設定をすることが可能な例えばカラープルダウンメニュー118等の彩色設定領域と、を含むWebページ110をネットワークを介してユーザ端末84の画面上に提供する。ユーザは提供されたWebページ110を用いて、彩色を設定して、その彩色に関する情報を製造者側のユーザ設定情報受信部103に送信して、製造者は受信したその情報を印刷情報出力部104から印刷装置83に出力して、組み立てキットの下地材料に対して印刷を行う。このようなインターネットを介した組み立てキットの提供システムを構築すれば、ユーザの多様なニーズに個別に対応したプラモデル等の組み立てキットを提供することが可能となる。
【0056】
なお、上記図11(a)で示した画面例は一例であり、説明の簡略化のため、表示領域113〜117に正面画像、右側面画像、左側面画像、背面画像、上面画像を表示するように説明を行っているが、より詳細に表示した画像を表示させるようにしてもよい。その場合、ユーザはユーザ端末84を用いてWebページ上でより詳細に彩色を施すことができるようになる。また、彩色の設定に用いるための選択領域であるカラープルダウンメニュー118等も一例であり、その表示態様や機能も限定されるものではない。例えば、予め色彩と模様とが組み合わされた複数の彩色のパターンをユーザが画面上で選択するようにしてもよい。
【0057】
また、本実施形態においては、プラスチック成形原料から射出成形で成形されたプラモデルを例にとって説明したが、本発明の組み立てキットはプラモデルに限定されるものではない。例えば、成形原料として、ゴムを用いて射出成形したり、成形原料として、金属等の粉体を用いて圧縮成形したりして、本発明の組み立てキットを成形してもよい。即ち、本発明の組み立てキットは、ゴムから成形され、組み立てにより完成態様を得る人形模型や、金属材料から成形され、組み立てにより完成態様を得る簡易な構成のロボット様のキット、又はロボットの一部等においても好適に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係る組み立てキットの下地材料を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る組み立てキットの下地材料を示す側面断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る下地材料に印刷を行うインクジェットプリンタを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る下地材料に印刷を行うインクジェットプリンタの印刷動作を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態に係る組み立てキットのパーツの一例を示す平面図である。
【図6】従来の下地材料に印刷を行うインクジェットプリンタの印刷動作を説明するための図である。
【図7】本発明の実施形態に係る組み立てキットを示す平面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る組み立てキット提供システムのシステム構成例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る組み立てキット情報提供装置の内部構成を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る組み立てキット情報提供装置の機能構成を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る組み立てキット情報提供装置の提供する画面の一例及び画面上において設定されたユーザ設定情報の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 下地材料
1a 枠体
1b 枝体
2、3a、3b、4 パーツ
5 インクジェットプリンタ
6 コンピュータ
7 可動部
8 インクジェットプリンタ本体
9 設置部
10 ノズル
11 インク
11a インク
12 プラスチックモデル(プラモデル)
81 ネットワーク
82 組み立てキット情報提供装置
83 印刷装置
84 ユーザ端末
101 Webページ提供部
102 情報格納部
103 ユーザ設定情報受信部
104 印刷情報出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが組み立てて完成態様を得るべく、複数のパーツを備えてなる組み立てキットであって、
前記複数のパーツのうちの少なくとも1つの表面に印刷により彩色が施されていることを特徴とする組み立てキット。
【請求項2】
全ての前記パーツに、それぞれ前記彩色が施されていることを特徴とする請求項1に記載の組み立てキット。
【請求項3】
前記各パーツは、白色又は透明無色のいずれかの下地材料に前記彩色が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の組み立てキット。
【請求項4】
前記各パーツがそれぞれ取り外し可能に一体成形されてなるプラスチックモデルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の組み立てキット。
【請求項5】
前記各パーツは、前記彩色が施されている前記表面が順テーパ状で外方に突出する形状となるように成形されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の組み立てキット。
【請求項6】
前記彩色は、インクジェット法で印刷されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の組み立てキット。
【請求項7】
ユーザが組み立てて完成態様を得るべく、複数のパーツを備えてなる組み立てキットの製造方法であって、
下地材料の表面に印刷より彩色を施し、前記各パーツを形成することを特徴とする組み立てキットの製造方法。
【請求項8】
全ての前記下地材料に、それぞれ前記彩色を施すことを特徴とする請求項7に記載の組み立てキットの製造方法。
【請求項9】
前記下地材料は、白色又は透明無色のいずれかの材料であることを特徴とする請求項7又は8に記載の組み立てキットの製造方法。
【請求項10】
前記パーツがそれぞれ取り外し可能に一体成形されてなるプラスチックモデルであることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の組み立てキットの製造方法。
【請求項11】
前記下地材料は、その表面が順テーパ状で外方に突出する形状となるように成形されてなることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の組み立てキットの製造方法。
【請求項12】
前記印刷をインクジェット法で行うことを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の組み立てキットの製造方法。
【請求項13】
ユーザが組み立てて完成態様を得るべく、複数のパーツを備えてなる組み立てキットの情報を提供する組み立てキット情報提供装置であって、
ネットワークを介して接続されたユーザ端末装置に提供する画面に表示する前記組み立てキットの情報を格納する情報格納手段と、
前記情報格納手段に格納された前記組み立てキットの情報を用いて、前記組み立てキットの完成態様の形状の一部又は全部を表示する画像表示領域と、前記画像表示領域に表示された前記組み立てキットの完成態様の形状の一部又は全部に対して彩色を設定する彩色設定領域と、を含む画面をネットワークを介して接続されたユーザ端末装置に提供する画面提供手段と、
前記画面提供手段において提供した前記画面を用いてユーザによって彩色の設定をされた前記組み立てキットの彩色に係るユーザ設定情報を前記ユーザ端末装置より受信するユーザ設定情報受信手段と、
前記ユーザ設定情報受信手段において受信した前記ユーザ設定情報を含む印刷情報を印刷装置に出力し、印刷を要求する印刷情報出力手段と、を有することを特徴とする組み立てキット情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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