組付部の位置算出方法、及び、組付部の位置算出システム
【課題】部品を組付けた状態や完成車の状態で組付部が内部に隠れていたり、ボデーや他の部品によって遮られていたりする場合でも、前記組付部の実際の位置を定量的に把握することにより、前記部品の組付精度を簡易かつ迅速に計測することができる、組付部の位置算出方法、及び、組付部の位置算出システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る組付部の位置算出方法は、各部品の連結前における外形形状をそれぞれ測定する第一測定工程と、組付構造の連結部の外形形状を測定する第二測定工程と、第一外形データ51及び第二外形データ52と、連結部外形データ53とのそれぞれの外形線が重なるように位置合わせを行う整合工程と、設計データ61と、組付構造外形データ54との、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行う位置算出工程と、を備える。
【解決手段】本発明に係る組付部の位置算出方法は、各部品の連結前における外形形状をそれぞれ測定する第一測定工程と、組付構造の連結部の外形形状を測定する第二測定工程と、第一外形データ51及び第二外形データ52と、連結部外形データ53とのそれぞれの外形線が重なるように位置合わせを行う整合工程と、設計データ61と、組付構造外形データ54との、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行う位置算出工程と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組付部の位置算出方法、及び、組付部の位置算出システムに関し、より詳しくは、二つの部品を組付部により連結して構成する組付構造において前記組付部の位置を算出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、足廻り部品や内外装部品等の自動車部品を、前記部品が備える組付部を用いて自動車本体(ボデー)に組付ける技術が用いられている。その際に、自動車本体に対する前記部品の組付異常が生じている場合は早期に修正を行う必要があるため、前記組付部の実際の位置を定量的に把握することにより、組付けた前記部品の組付精度を計測することが重要になる。
【0003】
上記の如く、組付部品の組付精度を計測する技術として、非接触の測定手段を用いる技術が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
また、非接触で外観形状を計測する技術として、測定手段により計測した形状データと、予め得られている形状データとを重ね合わせる技術も用いられている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
しかし、前記組付部を用いて部品を組付ける際には、部品を組付けた状態や完成車の状態では組付部が内部に隠れていたり、ボデーや他の部品によって遮られていたりすることがある。これにより、前記従来技術における測定手段によっては組付部の計測を行うことが困難な場合がある。このため、組付部の周辺を削ったり、シム調整をしたりすることによる外観形状の変化から組付精度を予測していたが、この方法では時間がかかる上に予測精度も低かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−2566号公報
【特許文献2】特開2003−279333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記の現状の問題に鑑み、部品を組付けた状態や完成車の状態で組付部が内部に隠れていたり、ボデーや他の部品によって遮られていたりする場合でも、前記組付部の実際の位置を定量的に把握することにより、前記部品の組付精度を簡易かつ迅速に計測することができる、組付部の位置算出方法、及び、組付部の位置算出システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、組付部を備え、該組付部の位置形状を示す設計データが既知である第一の部品と、被組付部を備える第二の部品とを、前記組付部を前記被組付部に挿入することにより連結した組付構造における、前記組付部の位置算出方法であって、前記第一の部品及び前記第二の部品の連結前における外形形状をそれぞれ測定し、第一外形データ及び第二外形データを生成する、第一測定工程と、前記第一の部品と前記第二の部品とを連結した状態の組付構造における、前記第一の部品と前記第二の部品との連結部の外形形状を測定し、連結部外形データを生成する、第二測定工程と、前記第一測定工程で生成した、前記第一外形データ及び前記第二外形データと、前記第二測定工程で生成した前記連結部外形データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、組付構造外形データを生成する、整合工程と、既知である前記設計データと、前記整合工程で生成した組付構造外形データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、前記組付部の前記第二の部品に対する位置形状を示す組付部位置データを生成する、位置算出工程と、を備えるものである。
【0009】
請求項2においては、前記整合工程の前に、前記第一測定工程で生成した前記第一外形データから、前記第二の部品との連結部以外の外形データを除去した、修正第一外形データを生成する、修正工程を備え、前記整合工程において、前記第一外形データに代えて、前記修正工程で生成した前記修正第一外形データを用いて、組付構造外形データを生成するものである。
【0010】
請求項3においては、前記第一の部品には、検出マーカーが配設され、前記第一測定工程で生成する前記第一外形データは前記検出マーカーの形状データを含み、前記第二測定工程で生成する前記連結部外形データは前記検出マーカーの形状データを含み、前記整合工程においては、前記第一外形データにおける前記検出マーカーの形状データと、前記連結部外形データにおける前記検出マーカーの形状データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、組付構造外形データを生成するものである。
【0011】
請求項4においては、測定対象の外形形状を測定する、測定手段と、前記測定手段で測定した前記測定対象の外形形状より外形データを生成及び加工する、データ操作手段と、を備え、組付部を備え、該組付部の位置形状を示す設計データが既知である第一の部品と、被組付部を備える第二の部品とを、前記組付部を前記被組付部に挿入することにより連結した組付構造において前記組付部の位置を算出する、組付部の位置算出システムであって、前記測定手段により、前記第一の部品及び前記第二の部品の連結前における外形形状をそれぞれ測定し、前記第一の部品と前記第二の部品とを連結した状態の組付構造における、前記第一の部品と前記第二の部品との連結部の外形形状を測定し、前記データ操作手段により、前記第一の部品及び前記第二の部品の連結前における外形形状に基づいて第一外形データ及び第二外形データを生成し、前記第一の部品と前記第二の部品との連結部の外形形状に基づいて連結部外形データを生成し、前記第一外形データ及び第二外形データと、前記前記連結部外形データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、組付構造外形データを生成し、既知である前記設計データと、前記組付構造外形データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、前記組付部の前記第二の部品に対する位置形状を示す組付部位置データを生成するものである。
【0012】
請求項5においては、前記データ操作手段により、前記第一外形データから、前記第二の部品との連結部以外の外形データを除去した、修正第一外形データを生成し、前記第一外形データに代えて、前記修正第一外形データを用いて、組付構造外形データを生成するものである。
【0013】
請求項6においては、前記第一の部品には、検出マーカーが配設され、前記第一外形データは前記検出マーカーの形状データを含み、前記連結部外形データは前記検出マーカーの形状データを含み、前記データ操作手段により、前記第一外形データにおける前記検出マーカーの形状データと、前記連結部外形データにおける前記検出マーカーの形状データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、組付構造外形データを生成するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
本発明により、部品を組付けた状態や完成車の状態で組付部が内部に隠れていたり、ボデーや他の部品によって遮られていたりする場合でも、前記組付部の実際の位置を定量的に把握することにより、前記部品の組付精度を簡易かつ迅速に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る組付部の位置算出システムを示した図。
【図2】同じく組付部の位置算出システムにおいて組付部の位置を算出する対象である組付構造を示した図。
【図3】第一実施形態に係る組付部の位置算出方法のフローチャートを示した図。
【図4】組付部を備える第一の部品の外形形状を測定する、第一測定工程を示した図。
【図5】被組付部を備える第二の部品の外形形状を測定する、第一測定工程を示した図。
【図6】第一の部品と第二の部品とを連結した組付構造の外形形状を測定する、第二測定工程を示した図。
【図7】第一実施形態に係る組付構造外形データを生成する、整合工程を示した図。
【図8】組付部位置データを生成する、位置算出工程について示した図。
【図9】第二実施形態に係る組付部の位置算出方法のフローチャートを示した図。
【図10】第二実施形態に係る組付構造外形データを生成する、整合工程を示した図。
【図11】(a)は第三実施形態に係る第一測定工程を示した図、(b)は同じく第二測定工程を示した図。
【図12】第三実施形態に係る組付構造外形データを生成する、整合工程を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、発明の実施の形態を説明する。
なお、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
【0018】
[組付部の位置算出システム10]
まず始めに、本発明の一実施形態に係る組付部の位置算出システム10について、図1を用いて説明をする。
図1に示す如く、本実施形態に係る組付部の位置算出システム10は、測定対象の外形形状を測定する測定手段である、レーザー式測定機11と、前記レーザー式測定機11で測定した前記測定対象の外形形状より、外形データを生成及び加工するデータ操作手段である、データ処理端末19とを備える。
【0019】
前記レーザー式測定機11は主に、基台12、支柱13、第一支持部14a、第二支持部14b、及び、レーザー式センサ15で構成される。そして、各部材をそれぞれの連結部分で駆動することによりレーザー式センサ15を所定の方向及び位置に移動させ、同時にレーザー式センサ15の先端に配設された照射部から測定対象に沿って測定レーザーを照射するのである。そして、測定レーザーの測定対象における反射光を同じくレーザー式センサ15に配設された受光部で受光することにより、測定対象の外形形状を測定可能に構成されているのである。
なお、本実施形態においては、前記測定手段として非接触型のレーザー式測定機11を用いるが、例えばプローブ式等の接触型の測定手段を用いることも可能である。
【0020】
前記データ処理端末19は、記憶手段、演算手段、入力手段、出力手段等を備えた、いわゆる電子計算機であり、前記レーザー式測定機11と電気的に接続されている。そして、データ処理端末19がレーザー式測定機11に指令することによってレーザー式センサ15の姿勢や動作を制御するとともに、レーザー式測定機11から入力される、レーザー式センサ15で測定した前記測定対象の外形形状より、外形データを生成し、加工するのである。
【0021】
次に、本実施形態に係る組付部の位置算出システム10における、組付部の位置の算出対象である組付構造について、図2を用いて説明をする。
図2に示す如く、本実施形態に係る組付構造は、自動車のサスペンションにおいて、第一の部品であるサスペンションアーム30の一端と、第二の部品であるステアリングナックル25の下端と、を連結して構成されている。
【0022】
前記サスペンションアーム30は、アーム31とスタッド33とを組み合わせてなる部材である。アーム31は柱状部であるアーム部31aと、該アーム部31aの一端において内部が球状の空洞に形成されたソケット部31bと、で構成されている。また、スタッド33は前記ソケット部31bに対して所定範囲で回動可能に収納された球状部33aと、該球状部33aから延出するボルト部33bと、で構成されている。即ち、サスペンションアーム30は、アーム31の一端に形成されたソケット部31bに球状部33aを回動可能に収納することにより、スタッド33のボルト部33bをアーム31に対して回動可能に構成した、いわゆるボールジョイントを備えるのである。
【0023】
前記ステアリングナックル25は自動車のボデー21とタイヤ23とを連結する部材である。具体的には図2に示す如く、ボデー21にステアリングナックル25の上端部が固定され、ステアリングナックル25の中途部にタイヤ23が回動可能に連結されているのである。そして、ステアリングナックル25の下端部には、前記ボルト部33bを挿入可能な孔が開口された被組付部25aが形成されている。
【0024】
上記の構成において、サスペンションアーム30とステアリングナックル25とを連結する際は、前記ボルト部33bを被組付部25aの孔に挿入し、ナット41をボルト部33bに螺合させて締付けるのである。即ち、サスペンションアーム30におけるスタッド33は、サスペンションアーム30とステアリングナックル25とで構成される組付構造における組付部として配設されているのである。そして、本実施形態に係る組付構造は、組付部であるスタッド33を備えるサスペンションアーム30と、被組付部25aを備えるステアリングナックル25とを、スタッド33のボルト部33bを被組付部25aに挿入し、ナット41で締結することにより構成しているのである。
【0025】
なお、本実施形態においては、組付部の位置の算出対象である組付構造として前記の如くサスペンションアーム30とステアリングナックル25とを連結した場合について説明するが、本発明を適用する対象である組付構造は他の構成とすることも可能である。例えば、サスペンション近傍の他の足廻り部品についての組付構造や、インストルメントパネル近傍の部品とボデー21との組付構造等に対して本発明を適用することもできる。
【0026】
そして、本実施形態に係る組付部の位置算出システム10は、上記の如く構成された組付構造において、後述するように組付部であるスタッド33の位置を算出するのである。具体的には、ボデー21やタイヤ23、又はステアリングナックル25に対する、図2に示す球状部33aの中心Cの座標を算出するのである。即ち、ステアリングナックル25はボデー21やタイヤ23との相対的な位置関係が固定されているので、球状部33aの中心Cのステアリングナックル25に対する座標が算出できれば、球状部33aのボデー21やタイヤ23に対する位置関係も算出できるのである。なお、球状部33aの中心Cの座標としてはそれぞれ主として、ボデー21については、ボデー21に開口された基準となる孔に対する座標が、タイヤ23については、タイヤ23の回動軸に対する座標が用いられる。
【0027】
また、本実施形態に係る組付部の位置算出システム10においては、前記サスペンションアーム30は、前記組付部であるスタッド33における、球状部33aの位置形状を示す設計データ61が既知であるものが用いられる(図8参照)。即ち、サスペンションアーム30はその設計段階において、アーム31及び内部部品であるスタッド33の形状、詳細には、球状部33aの中心Cの座標についての詳細な設計データ61がCAD(Computer Aided Design)データとして得られているものを用いるのである。
【0028】
[組付部の位置算出方法]
次に、上記の如く構成された組付部の位置算出システム10において、組付部であるスタッド33の位置を算出する方法の概略を、図3を用いて説明する。
図3に示す如く、本実施形態に係る組付部の位置算出方法においては、まず、第一の部品であるサスペンションアーム30及び第二の部品であるステアリングナックル25をレーザー式測定機11の測定対象とし、前記サスペンションアーム30及びステアリングナックル25の連結前における外形形状をそれぞれレーザー式測定機11により測定し、サスペンションアーム30の外形データである第一外形データ51、及びステアリングナックル25の外形データである第二外形データ52を生成する、第一測定工程(ステップS01)を備える。
【0029】
その後、サスペンションアーム30とステアリングナックル25とを連結した状態の組付構造をレーザー式測定機11の測定対象とし、前記組付構造における、サスペンションアーム30とステアリングナックル25との連結部の外形形状をレーザー式測定機11により測定し、該連結部の外形データである連結部外形データ53を生成する、第二測定工程(ステップS02)を備える。
【0030】
その後、前記第一測定工程で生成した、前記第一外形データ51及び前記第二外形データ52と、前記第二測定工程で生成した前記連結部外形データ53との、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、組付構造外形データ54を生成する、整合工程(ステップS03)を備える。
【0031】
その後、前記の如く予め得られている設計データ61と、前記整合工程で生成した組付構造外形データ54との、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、前記スタッド33のステアリングナックル25に対する位置形状を示す組付部位置データ71を生成する、位置算出工程(ステップS04)を備えるのである。
【0032】
前記の如く構成された組付部の位置算出方法における各工程について、図4から図8を用いて順に説明をする。
まず、第一測定工程(ステップS01)においては図4に示す如く、サスペンションアーム30の連結前における外形形状を測定する。具体的には、レーザー式測定機11におけるレーザー式センサ15が、図4中の矢印Aに示すようにサスペンションアーム30の周囲を1周することにより、サスペンションアーム30の外形形状を測定するのである。
そして、レーザー式センサ15で測定したサスペンションアーム30の外形形状を、レーザー式測定機11からデータ処理端末19に入力する。さらに、該データ処理端末19においてサスペンションアーム30の外形形状を加工することにより、サスペンションアーム30の外形データである第一外形データ51を生成するのである。
【0033】
また、第一測定工程(ステップS01)においては図5に示す如く、ステアリングナックル25の連結前における外形形状も測定する。具体的にはサスペンションアーム30と同様に、レーザー式測定機11におけるレーザー式センサ15が、図5中の矢印Bに示すようにステアリングナックル25の周囲を1周することにより、ステアリングナックル25の外形形状を測定するのである。
そして、レーザー式センサ15で測定したステアリングナックル25の外形形状を、レーザー式測定機11からデータ処理端末19に入力する。さらに、該データ処理端末19においてステアリングナックル25の外形形状を加工することにより、ステアリングナックル25の外形データである第二外形データ52を生成するのである。
【0034】
次に第二測定工程(ステップS02)においては図6に示す如く、サスペンションアーム30とステアリングナックル25との連結部の外形形状を測定する。具体的には、レーザー式測定機11におけるレーザー式センサ15が、図6中の矢印Cに示すように、サスペンションアーム30とステアリングナックル25との連結部に沿って、該連結部の外形形状を測定するのである。
そして、レーザー式センサ15で測定したサスペンションアーム30とステアリングナックル25との連結部の外形形状を、レーザー式測定機11からデータ処理端末19に入力する。さらに、該データ処理端末19において前記外形形状を加工することにより、前記連結部の外形データである連結部外形データ53を生成するのである。
【0035】
次に整合工程(ステップS03)においては図7に示す如く、データ処理端末19において、前記第一測定工程(ステップS01)で生成した、前記第一外形データ51及び前記第二外形データ52と、前記第二測定工程(ステップS02)で生成した前記連結部外形データ53との、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行う。これにより、サスペンションアーム30とステアリングナックル25とを連結した状態の組付構造における、組付構造外形データ54を生成するのである。
【0036】
次に位置算出工程(ステップS04)においては図8に示す如く、データ処理端末19において、前記の如く既知である設計データ61と、前記整合工程(ステップS03)で生成した組付構造外形データ54との、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うのである。これにより、前記スタッド33のステアリングナックル25に対する位置形状を示す組付部位置データ71を生成するのである。具体的には、球状部33aの中心Cの座標に関する設計データ61と、組付構造外形データ54とを組み合わせることにより、球状部33aの中心Cのステアリングナックル25に対する座標を算出するのである。さらに前述の如く、球状部33aの中心Cのステアリングナックル25に対する座標を算出した後は、ボデー21やタイヤ23との位置関係も算出することも可能となる。
【0037】
上記の如く、本実施形態に係る組付部の位置算出システム10においては、レーザー式測定機11におけるレーザー式センサ15により、サスペンションアーム30及びステアリングナックル25の連結前における外形形状をそれぞれ測定する。また、同じくレーザー式センサ15により、前記サスペンションアーム30とステアリングナックル25とを連結した状態の組付構造における、サスペンションアーム30とステアリングナックル25との連結部の外形形状を測定するのである。
そして、データ処理端末19により、サスペンションアーム30及びステアリングナックル25の連結前における外形形状に基づいて第一外形データ51及び第二外形データ52を生成する。また、同じくデータ処理端末19により、サスペンションアーム30とステアリングナックル25との連結部の外形形状に基づいて連結部外形データ53を生成するのである。
【0038】
さらに、データ処理端末19において、前記第一外形データ51及び第二外形データ52と、前記前記連結部外形データ53との、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、組付構造外形データ54を生成するのである。
【0039】
さらに、同じくデータ処理端末19において、前記設計データ61と、前記組付構造外形データ54との、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、前記スタッド33のステアリングナックル25に対する位置形状を示す組付部位置データ71を生成するのである。
【0040】
本実施形態に係る組付部の位置算出方法、及び、組付部の位置算出システム10においては上記の如く構成することにより、組付部であるスタッド33の球状部33aがソケット部31bに覆われていても、球状部33aの中心Cのステアリングナックル25に対する座標を算出することが可能となる。
具体的には、球状部33aの位置形状が予め得られている設計データ61と、測定した外形形状に基づいて生成した組付構造外形データ54と、を用いて位置合わせを行うことにより、前記スタッド33のステアリングナックル25に対する位置形状を反映した組付部位置データ71を得ることができるのである。
【0041】
つまり、本実施形態に係る組付部の位置算出方法によれば、部品を組付けた状態や完成車の状態で組付部が内部に隠れていたり、ボデーや他の部品によって遮られていたりする場合でも、前記組付部の実際の位置を定量的に把握することができる。これにより、前記部品の組付精度を簡易かつ迅速に計測することが可能となるのである。
【0042】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る組付部の位置算出方法について、図9及び図10を用いて説明する。なお、以下の実施形態に係る組付部の位置算出方法の説明において、既出の実施形態と共通する部分については、同符号を付してその説明を省略する。
【0043】
図9に示す如く、本実施形態に係る組付部の位置算出方法においては、前記実施形態と同様に、第一測定工程(ステップS11)、第二測定工程(ステップS13)、整合工程(ステップS14)、及び、位置算出工程(ステップS15)を備える。
【0044】
さらに、本実施形態に係る組付部の位置算出方法は、第一測定工程(ステップS11)の後で第二測定工程(ステップS13)の前に、第一測定工程で生成したサスペンションアーム130の第一外形データ151から、ステアリングナックル25との連結部以外の外形データ151aを除去した、修正第一外形データ151bを生成する、修正工程(ステップS12)を備える。そして、整合工程(ステップS14)においては、前記実施形態における第一外形データ51に代えて、前記修正工程(ステップS12)で生成した前記修正第一外形データ151bを用いて、組付構造外形データを生成するのである。
【0045】
具体的には修正工程(ステップS12)においては図10に示す如く、データ処理端末19において、第一測定工程(ステップS11)で生成した第一外形データ151から、ステアリングナックル25との連結部以外の外形データ151aを除去した、修正第一外形データ151bを生成するのである。
そして、第二測定工程(ステップS13)においては、図10中の矢印Dに示すように、サスペンションアーム30とステアリングナックル25との連結部の外形形状をレーザー式センサ15測定し、連結部外形データ153を生成する。この際、サスペンションアーム130が組付時において変形しているものとする。詳細には、図10に示す如く、アーム部131aが組付前よりも上方に反った形状に変形しているのである。
【0046】
次に整合工程(ステップS14)においては、データ処理端末19において、第一測定工程(ステップS11)で生成した第二外形データ52と、前記修正工程(ステップS12)で生成した前記修正第一外形データ151bと、第二測定工程(ステップS13)で生成した連結部外形データ153との、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行う。これにより、サスペンションアーム130とステアリングナックル25とを連結した状態の組付構造における、組付構造外形データを生成するのである。
【0047】
なお、修正工程(ステップS12)は、前記整合工程(ステップS14)の前に行われていれば差し支えない。即ち、第二測定工程(ステップS13)を修正工程(ステップS12)よりも先に行う構成にすることも可能である。
【0048】
上記の如く、本実施形態に係る組付部の位置算出システム10においては、データ処理端末19により、前記第一外形データ151から、ステアリングナックル25との連結部以外の外形データ151aを除去した、修正第一外形データ151bを生成し、前記第一外形データ151に代えて、前記修正第一外形データ151bを用いて、組付構造外形データを生成するのである。
【0049】
本実施形態に係る組付部の位置算出方法、及び、組付部の位置算出システム10においては上記の如く構成することにより、球状部33aの中心Cのステアリングナックル25に対する座標を算出する際の算出精度を向上させることが可能になる。
具体的には、図10に示す如くサスペンションアーム130が組付時において変形している場合でも、修正工程(ステップS12)において第一外形データ151からステアリングナックル25との連結部以外の外形データ151aを除去することにより、整合工程(ステップS14)において連結部外形データ153と位置合わせを行う際にサスペンションアーム130の形状変形の影響を受けないようにすることができる。
換言すれば、サスペンションアーム130において形状が変形する部分の外形データ151aを削除し、形状が変形しない部分である修正第一外形データ151bのみを用いて組付構造外形データを生成する。これにより、球状部33aの中心Cのステアリングナックル25に対する座標を算出する際に前記形状変形によって生じる組付誤差を低減することができるのである。
【0050】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る組付部の位置算出方法について、図11及び図12を用いて説明する。
図11に示す如く、本実施形態に係る組付部の位置算出方法においては、第一実施形態の構成に加えて、サスペンションアーム230のアーム部31aに突起部である検出マーカー236が配設されている。
【0051】
そして、第一実施形態と同様に、第一測定工程(ステップS01)において、レーザー式センサ15が図11(a)中の矢印Eに示す如くサスペンションアーム230の周囲を1周することにより、検出マーカー236を含んだサスペンションアーム230の外形形状を測定するのである。
さらに、レーザー式センサ15で測定したサスペンションアーム230の外形形状を、データ処理端末19において加工することにより、サスペンションアーム230の外形データである第一外形データ251を生成する。その際、第一外形データ251には、図12に示す如く、サスペンションアーム230に配設されている検出マーカー236の形状データ251aをも含むことになるのである。
【0052】
また、第二測定工程(ステップS02)において、レーザー式センサ15が図11(b)中の矢印Fに示す如く、検出マーカー236を含んだサスペンションアーム30とステアリングナックル25との連結部に沿って、該連結部の外形形状を測定するのである。
さらに、レーザー式センサ15で測定したサスペンションアーム30とステアリングナックル25との連結部の外形形状を、データ処理端末19において加工することにより、前記連結部の外形データである連結部外形データ253を生成する。その際、連結部外形データ253には、図12に示す如く、サスペンションアーム230に配設されている検出マーカー236の形状データ253aをも含むことになるのである。
【0053】
次に整合工程(ステップS03)においては図12に示す如く、データ処理端末19において、第一測定工程(ステップS01)で生成した、第一外形データ251及び第二外形データ52と、第二測定工程(ステップS02)で生成した連結部外形データ253との、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行い、組付構造外形データ254を生成する。
この際、第一外形データ251における前記検出マーカー236の形状データ251aと、連結部外形データ253における検出マーカー236の形状データ253aとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うのである。
【0054】
上記の如く、本実施形態に係る組付部の位置算出システムにおいては、サスペンションアーム230のアーム部31aに突起部である検出マーカー236が配設されている。そして、第一外形データ251は検出マーカー236の形状データ251aを含み、連結部外形データ253は検出マーカー236の形状データ253aを含み、データ処理端末19により、第一外形データ251における検出マーカー236の形状データ251aと、連結部外形データ253における検出マーカー236の形状データ253aとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うのである。
【0055】
本実施形態に係る組付部の位置算出方法、及び、組付部の位置算出システムにおいては上記の如く構成することにより、整合工程(ステップS03)における、第一外形データ251及び第二外形データ52と、連結部外形データ253との位置合わせを行う際の精度を向上させることが可能となる。
具体的には、サスペンションアーム230のアーム部31aに、形状に特徴のある突起部である検出マーカー236が配設されているため、第一外形データ251及び連結部外形データ253においても、それぞれに特徴のある形状データ251a及び形状データ253aが含まれることとなるのである。そして、第一外形データ251及び第二外形データ52と、連結部外形データ253との位置合わせを行う際には、特徴のある形状データ251aと形状データ253aとの位置を合わせることにより、位置合わせが容易となり、位置合わせの精度を向上させることが可能となるのである。
【符号の説明】
【0056】
10 組付部の位置算出システム
11 レーザー式測定機
19 データ処理端末
25 ステアリングナックル
30 サスペンションアーム
51 第一外形データ
52 第二外形データ
53 連結部外形データ
54 組付構造外形データ
61 設計データ
71 組付部位置データ
【技術分野】
【0001】
本発明は、組付部の位置算出方法、及び、組付部の位置算出システムに関し、より詳しくは、二つの部品を組付部により連結して構成する組付構造において前記組付部の位置を算出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、足廻り部品や内外装部品等の自動車部品を、前記部品が備える組付部を用いて自動車本体(ボデー)に組付ける技術が用いられている。その際に、自動車本体に対する前記部品の組付異常が生じている場合は早期に修正を行う必要があるため、前記組付部の実際の位置を定量的に把握することにより、組付けた前記部品の組付精度を計測することが重要になる。
【0003】
上記の如く、組付部品の組付精度を計測する技術として、非接触の測定手段を用いる技術が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
また、非接触で外観形状を計測する技術として、測定手段により計測した形状データと、予め得られている形状データとを重ね合わせる技術も用いられている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
しかし、前記組付部を用いて部品を組付ける際には、部品を組付けた状態や完成車の状態では組付部が内部に隠れていたり、ボデーや他の部品によって遮られていたりすることがある。これにより、前記従来技術における測定手段によっては組付部の計測を行うことが困難な場合がある。このため、組付部の周辺を削ったり、シム調整をしたりすることによる外観形状の変化から組付精度を予測していたが、この方法では時間がかかる上に予測精度も低かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−2566号公報
【特許文献2】特開2003−279333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記の現状の問題に鑑み、部品を組付けた状態や完成車の状態で組付部が内部に隠れていたり、ボデーや他の部品によって遮られていたりする場合でも、前記組付部の実際の位置を定量的に把握することにより、前記部品の組付精度を簡易かつ迅速に計測することができる、組付部の位置算出方法、及び、組付部の位置算出システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、組付部を備え、該組付部の位置形状を示す設計データが既知である第一の部品と、被組付部を備える第二の部品とを、前記組付部を前記被組付部に挿入することにより連結した組付構造における、前記組付部の位置算出方法であって、前記第一の部品及び前記第二の部品の連結前における外形形状をそれぞれ測定し、第一外形データ及び第二外形データを生成する、第一測定工程と、前記第一の部品と前記第二の部品とを連結した状態の組付構造における、前記第一の部品と前記第二の部品との連結部の外形形状を測定し、連結部外形データを生成する、第二測定工程と、前記第一測定工程で生成した、前記第一外形データ及び前記第二外形データと、前記第二測定工程で生成した前記連結部外形データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、組付構造外形データを生成する、整合工程と、既知である前記設計データと、前記整合工程で生成した組付構造外形データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、前記組付部の前記第二の部品に対する位置形状を示す組付部位置データを生成する、位置算出工程と、を備えるものである。
【0009】
請求項2においては、前記整合工程の前に、前記第一測定工程で生成した前記第一外形データから、前記第二の部品との連結部以外の外形データを除去した、修正第一外形データを生成する、修正工程を備え、前記整合工程において、前記第一外形データに代えて、前記修正工程で生成した前記修正第一外形データを用いて、組付構造外形データを生成するものである。
【0010】
請求項3においては、前記第一の部品には、検出マーカーが配設され、前記第一測定工程で生成する前記第一外形データは前記検出マーカーの形状データを含み、前記第二測定工程で生成する前記連結部外形データは前記検出マーカーの形状データを含み、前記整合工程においては、前記第一外形データにおける前記検出マーカーの形状データと、前記連結部外形データにおける前記検出マーカーの形状データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、組付構造外形データを生成するものである。
【0011】
請求項4においては、測定対象の外形形状を測定する、測定手段と、前記測定手段で測定した前記測定対象の外形形状より外形データを生成及び加工する、データ操作手段と、を備え、組付部を備え、該組付部の位置形状を示す設計データが既知である第一の部品と、被組付部を備える第二の部品とを、前記組付部を前記被組付部に挿入することにより連結した組付構造において前記組付部の位置を算出する、組付部の位置算出システムであって、前記測定手段により、前記第一の部品及び前記第二の部品の連結前における外形形状をそれぞれ測定し、前記第一の部品と前記第二の部品とを連結した状態の組付構造における、前記第一の部品と前記第二の部品との連結部の外形形状を測定し、前記データ操作手段により、前記第一の部品及び前記第二の部品の連結前における外形形状に基づいて第一外形データ及び第二外形データを生成し、前記第一の部品と前記第二の部品との連結部の外形形状に基づいて連結部外形データを生成し、前記第一外形データ及び第二外形データと、前記前記連結部外形データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、組付構造外形データを生成し、既知である前記設計データと、前記組付構造外形データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、前記組付部の前記第二の部品に対する位置形状を示す組付部位置データを生成するものである。
【0012】
請求項5においては、前記データ操作手段により、前記第一外形データから、前記第二の部品との連結部以外の外形データを除去した、修正第一外形データを生成し、前記第一外形データに代えて、前記修正第一外形データを用いて、組付構造外形データを生成するものである。
【0013】
請求項6においては、前記第一の部品には、検出マーカーが配設され、前記第一外形データは前記検出マーカーの形状データを含み、前記連結部外形データは前記検出マーカーの形状データを含み、前記データ操作手段により、前記第一外形データにおける前記検出マーカーの形状データと、前記連結部外形データにおける前記検出マーカーの形状データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、組付構造外形データを生成するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
本発明により、部品を組付けた状態や完成車の状態で組付部が内部に隠れていたり、ボデーや他の部品によって遮られていたりする場合でも、前記組付部の実際の位置を定量的に把握することにより、前記部品の組付精度を簡易かつ迅速に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る組付部の位置算出システムを示した図。
【図2】同じく組付部の位置算出システムにおいて組付部の位置を算出する対象である組付構造を示した図。
【図3】第一実施形態に係る組付部の位置算出方法のフローチャートを示した図。
【図4】組付部を備える第一の部品の外形形状を測定する、第一測定工程を示した図。
【図5】被組付部を備える第二の部品の外形形状を測定する、第一測定工程を示した図。
【図6】第一の部品と第二の部品とを連結した組付構造の外形形状を測定する、第二測定工程を示した図。
【図7】第一実施形態に係る組付構造外形データを生成する、整合工程を示した図。
【図8】組付部位置データを生成する、位置算出工程について示した図。
【図9】第二実施形態に係る組付部の位置算出方法のフローチャートを示した図。
【図10】第二実施形態に係る組付構造外形データを生成する、整合工程を示した図。
【図11】(a)は第三実施形態に係る第一測定工程を示した図、(b)は同じく第二測定工程を示した図。
【図12】第三実施形態に係る組付構造外形データを生成する、整合工程を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、発明の実施の形態を説明する。
なお、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではなく、本明細書及び図面に記載した事項から明らかになる本発明が真に意図する技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
【0018】
[組付部の位置算出システム10]
まず始めに、本発明の一実施形態に係る組付部の位置算出システム10について、図1を用いて説明をする。
図1に示す如く、本実施形態に係る組付部の位置算出システム10は、測定対象の外形形状を測定する測定手段である、レーザー式測定機11と、前記レーザー式測定機11で測定した前記測定対象の外形形状より、外形データを生成及び加工するデータ操作手段である、データ処理端末19とを備える。
【0019】
前記レーザー式測定機11は主に、基台12、支柱13、第一支持部14a、第二支持部14b、及び、レーザー式センサ15で構成される。そして、各部材をそれぞれの連結部分で駆動することによりレーザー式センサ15を所定の方向及び位置に移動させ、同時にレーザー式センサ15の先端に配設された照射部から測定対象に沿って測定レーザーを照射するのである。そして、測定レーザーの測定対象における反射光を同じくレーザー式センサ15に配設された受光部で受光することにより、測定対象の外形形状を測定可能に構成されているのである。
なお、本実施形態においては、前記測定手段として非接触型のレーザー式測定機11を用いるが、例えばプローブ式等の接触型の測定手段を用いることも可能である。
【0020】
前記データ処理端末19は、記憶手段、演算手段、入力手段、出力手段等を備えた、いわゆる電子計算機であり、前記レーザー式測定機11と電気的に接続されている。そして、データ処理端末19がレーザー式測定機11に指令することによってレーザー式センサ15の姿勢や動作を制御するとともに、レーザー式測定機11から入力される、レーザー式センサ15で測定した前記測定対象の外形形状より、外形データを生成し、加工するのである。
【0021】
次に、本実施形態に係る組付部の位置算出システム10における、組付部の位置の算出対象である組付構造について、図2を用いて説明をする。
図2に示す如く、本実施形態に係る組付構造は、自動車のサスペンションにおいて、第一の部品であるサスペンションアーム30の一端と、第二の部品であるステアリングナックル25の下端と、を連結して構成されている。
【0022】
前記サスペンションアーム30は、アーム31とスタッド33とを組み合わせてなる部材である。アーム31は柱状部であるアーム部31aと、該アーム部31aの一端において内部が球状の空洞に形成されたソケット部31bと、で構成されている。また、スタッド33は前記ソケット部31bに対して所定範囲で回動可能に収納された球状部33aと、該球状部33aから延出するボルト部33bと、で構成されている。即ち、サスペンションアーム30は、アーム31の一端に形成されたソケット部31bに球状部33aを回動可能に収納することにより、スタッド33のボルト部33bをアーム31に対して回動可能に構成した、いわゆるボールジョイントを備えるのである。
【0023】
前記ステアリングナックル25は自動車のボデー21とタイヤ23とを連結する部材である。具体的には図2に示す如く、ボデー21にステアリングナックル25の上端部が固定され、ステアリングナックル25の中途部にタイヤ23が回動可能に連結されているのである。そして、ステアリングナックル25の下端部には、前記ボルト部33bを挿入可能な孔が開口された被組付部25aが形成されている。
【0024】
上記の構成において、サスペンションアーム30とステアリングナックル25とを連結する際は、前記ボルト部33bを被組付部25aの孔に挿入し、ナット41をボルト部33bに螺合させて締付けるのである。即ち、サスペンションアーム30におけるスタッド33は、サスペンションアーム30とステアリングナックル25とで構成される組付構造における組付部として配設されているのである。そして、本実施形態に係る組付構造は、組付部であるスタッド33を備えるサスペンションアーム30と、被組付部25aを備えるステアリングナックル25とを、スタッド33のボルト部33bを被組付部25aに挿入し、ナット41で締結することにより構成しているのである。
【0025】
なお、本実施形態においては、組付部の位置の算出対象である組付構造として前記の如くサスペンションアーム30とステアリングナックル25とを連結した場合について説明するが、本発明を適用する対象である組付構造は他の構成とすることも可能である。例えば、サスペンション近傍の他の足廻り部品についての組付構造や、インストルメントパネル近傍の部品とボデー21との組付構造等に対して本発明を適用することもできる。
【0026】
そして、本実施形態に係る組付部の位置算出システム10は、上記の如く構成された組付構造において、後述するように組付部であるスタッド33の位置を算出するのである。具体的には、ボデー21やタイヤ23、又はステアリングナックル25に対する、図2に示す球状部33aの中心Cの座標を算出するのである。即ち、ステアリングナックル25はボデー21やタイヤ23との相対的な位置関係が固定されているので、球状部33aの中心Cのステアリングナックル25に対する座標が算出できれば、球状部33aのボデー21やタイヤ23に対する位置関係も算出できるのである。なお、球状部33aの中心Cの座標としてはそれぞれ主として、ボデー21については、ボデー21に開口された基準となる孔に対する座標が、タイヤ23については、タイヤ23の回動軸に対する座標が用いられる。
【0027】
また、本実施形態に係る組付部の位置算出システム10においては、前記サスペンションアーム30は、前記組付部であるスタッド33における、球状部33aの位置形状を示す設計データ61が既知であるものが用いられる(図8参照)。即ち、サスペンションアーム30はその設計段階において、アーム31及び内部部品であるスタッド33の形状、詳細には、球状部33aの中心Cの座標についての詳細な設計データ61がCAD(Computer Aided Design)データとして得られているものを用いるのである。
【0028】
[組付部の位置算出方法]
次に、上記の如く構成された組付部の位置算出システム10において、組付部であるスタッド33の位置を算出する方法の概略を、図3を用いて説明する。
図3に示す如く、本実施形態に係る組付部の位置算出方法においては、まず、第一の部品であるサスペンションアーム30及び第二の部品であるステアリングナックル25をレーザー式測定機11の測定対象とし、前記サスペンションアーム30及びステアリングナックル25の連結前における外形形状をそれぞれレーザー式測定機11により測定し、サスペンションアーム30の外形データである第一外形データ51、及びステアリングナックル25の外形データである第二外形データ52を生成する、第一測定工程(ステップS01)を備える。
【0029】
その後、サスペンションアーム30とステアリングナックル25とを連結した状態の組付構造をレーザー式測定機11の測定対象とし、前記組付構造における、サスペンションアーム30とステアリングナックル25との連結部の外形形状をレーザー式測定機11により測定し、該連結部の外形データである連結部外形データ53を生成する、第二測定工程(ステップS02)を備える。
【0030】
その後、前記第一測定工程で生成した、前記第一外形データ51及び前記第二外形データ52と、前記第二測定工程で生成した前記連結部外形データ53との、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、組付構造外形データ54を生成する、整合工程(ステップS03)を備える。
【0031】
その後、前記の如く予め得られている設計データ61と、前記整合工程で生成した組付構造外形データ54との、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、前記スタッド33のステアリングナックル25に対する位置形状を示す組付部位置データ71を生成する、位置算出工程(ステップS04)を備えるのである。
【0032】
前記の如く構成された組付部の位置算出方法における各工程について、図4から図8を用いて順に説明をする。
まず、第一測定工程(ステップS01)においては図4に示す如く、サスペンションアーム30の連結前における外形形状を測定する。具体的には、レーザー式測定機11におけるレーザー式センサ15が、図4中の矢印Aに示すようにサスペンションアーム30の周囲を1周することにより、サスペンションアーム30の外形形状を測定するのである。
そして、レーザー式センサ15で測定したサスペンションアーム30の外形形状を、レーザー式測定機11からデータ処理端末19に入力する。さらに、該データ処理端末19においてサスペンションアーム30の外形形状を加工することにより、サスペンションアーム30の外形データである第一外形データ51を生成するのである。
【0033】
また、第一測定工程(ステップS01)においては図5に示す如く、ステアリングナックル25の連結前における外形形状も測定する。具体的にはサスペンションアーム30と同様に、レーザー式測定機11におけるレーザー式センサ15が、図5中の矢印Bに示すようにステアリングナックル25の周囲を1周することにより、ステアリングナックル25の外形形状を測定するのである。
そして、レーザー式センサ15で測定したステアリングナックル25の外形形状を、レーザー式測定機11からデータ処理端末19に入力する。さらに、該データ処理端末19においてステアリングナックル25の外形形状を加工することにより、ステアリングナックル25の外形データである第二外形データ52を生成するのである。
【0034】
次に第二測定工程(ステップS02)においては図6に示す如く、サスペンションアーム30とステアリングナックル25との連結部の外形形状を測定する。具体的には、レーザー式測定機11におけるレーザー式センサ15が、図6中の矢印Cに示すように、サスペンションアーム30とステアリングナックル25との連結部に沿って、該連結部の外形形状を測定するのである。
そして、レーザー式センサ15で測定したサスペンションアーム30とステアリングナックル25との連結部の外形形状を、レーザー式測定機11からデータ処理端末19に入力する。さらに、該データ処理端末19において前記外形形状を加工することにより、前記連結部の外形データである連結部外形データ53を生成するのである。
【0035】
次に整合工程(ステップS03)においては図7に示す如く、データ処理端末19において、前記第一測定工程(ステップS01)で生成した、前記第一外形データ51及び前記第二外形データ52と、前記第二測定工程(ステップS02)で生成した前記連結部外形データ53との、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行う。これにより、サスペンションアーム30とステアリングナックル25とを連結した状態の組付構造における、組付構造外形データ54を生成するのである。
【0036】
次に位置算出工程(ステップS04)においては図8に示す如く、データ処理端末19において、前記の如く既知である設計データ61と、前記整合工程(ステップS03)で生成した組付構造外形データ54との、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うのである。これにより、前記スタッド33のステアリングナックル25に対する位置形状を示す組付部位置データ71を生成するのである。具体的には、球状部33aの中心Cの座標に関する設計データ61と、組付構造外形データ54とを組み合わせることにより、球状部33aの中心Cのステアリングナックル25に対する座標を算出するのである。さらに前述の如く、球状部33aの中心Cのステアリングナックル25に対する座標を算出した後は、ボデー21やタイヤ23との位置関係も算出することも可能となる。
【0037】
上記の如く、本実施形態に係る組付部の位置算出システム10においては、レーザー式測定機11におけるレーザー式センサ15により、サスペンションアーム30及びステアリングナックル25の連結前における外形形状をそれぞれ測定する。また、同じくレーザー式センサ15により、前記サスペンションアーム30とステアリングナックル25とを連結した状態の組付構造における、サスペンションアーム30とステアリングナックル25との連結部の外形形状を測定するのである。
そして、データ処理端末19により、サスペンションアーム30及びステアリングナックル25の連結前における外形形状に基づいて第一外形データ51及び第二外形データ52を生成する。また、同じくデータ処理端末19により、サスペンションアーム30とステアリングナックル25との連結部の外形形状に基づいて連結部外形データ53を生成するのである。
【0038】
さらに、データ処理端末19において、前記第一外形データ51及び第二外形データ52と、前記前記連結部外形データ53との、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、組付構造外形データ54を生成するのである。
【0039】
さらに、同じくデータ処理端末19において、前記設計データ61と、前記組付構造外形データ54との、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、前記スタッド33のステアリングナックル25に対する位置形状を示す組付部位置データ71を生成するのである。
【0040】
本実施形態に係る組付部の位置算出方法、及び、組付部の位置算出システム10においては上記の如く構成することにより、組付部であるスタッド33の球状部33aがソケット部31bに覆われていても、球状部33aの中心Cのステアリングナックル25に対する座標を算出することが可能となる。
具体的には、球状部33aの位置形状が予め得られている設計データ61と、測定した外形形状に基づいて生成した組付構造外形データ54と、を用いて位置合わせを行うことにより、前記スタッド33のステアリングナックル25に対する位置形状を反映した組付部位置データ71を得ることができるのである。
【0041】
つまり、本実施形態に係る組付部の位置算出方法によれば、部品を組付けた状態や完成車の状態で組付部が内部に隠れていたり、ボデーや他の部品によって遮られていたりする場合でも、前記組付部の実際の位置を定量的に把握することができる。これにより、前記部品の組付精度を簡易かつ迅速に計測することが可能となるのである。
【0042】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る組付部の位置算出方法について、図9及び図10を用いて説明する。なお、以下の実施形態に係る組付部の位置算出方法の説明において、既出の実施形態と共通する部分については、同符号を付してその説明を省略する。
【0043】
図9に示す如く、本実施形態に係る組付部の位置算出方法においては、前記実施形態と同様に、第一測定工程(ステップS11)、第二測定工程(ステップS13)、整合工程(ステップS14)、及び、位置算出工程(ステップS15)を備える。
【0044】
さらに、本実施形態に係る組付部の位置算出方法は、第一測定工程(ステップS11)の後で第二測定工程(ステップS13)の前に、第一測定工程で生成したサスペンションアーム130の第一外形データ151から、ステアリングナックル25との連結部以外の外形データ151aを除去した、修正第一外形データ151bを生成する、修正工程(ステップS12)を備える。そして、整合工程(ステップS14)においては、前記実施形態における第一外形データ51に代えて、前記修正工程(ステップS12)で生成した前記修正第一外形データ151bを用いて、組付構造外形データを生成するのである。
【0045】
具体的には修正工程(ステップS12)においては図10に示す如く、データ処理端末19において、第一測定工程(ステップS11)で生成した第一外形データ151から、ステアリングナックル25との連結部以外の外形データ151aを除去した、修正第一外形データ151bを生成するのである。
そして、第二測定工程(ステップS13)においては、図10中の矢印Dに示すように、サスペンションアーム30とステアリングナックル25との連結部の外形形状をレーザー式センサ15測定し、連結部外形データ153を生成する。この際、サスペンションアーム130が組付時において変形しているものとする。詳細には、図10に示す如く、アーム部131aが組付前よりも上方に反った形状に変形しているのである。
【0046】
次に整合工程(ステップS14)においては、データ処理端末19において、第一測定工程(ステップS11)で生成した第二外形データ52と、前記修正工程(ステップS12)で生成した前記修正第一外形データ151bと、第二測定工程(ステップS13)で生成した連結部外形データ153との、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行う。これにより、サスペンションアーム130とステアリングナックル25とを連結した状態の組付構造における、組付構造外形データを生成するのである。
【0047】
なお、修正工程(ステップS12)は、前記整合工程(ステップS14)の前に行われていれば差し支えない。即ち、第二測定工程(ステップS13)を修正工程(ステップS12)よりも先に行う構成にすることも可能である。
【0048】
上記の如く、本実施形態に係る組付部の位置算出システム10においては、データ処理端末19により、前記第一外形データ151から、ステアリングナックル25との連結部以外の外形データ151aを除去した、修正第一外形データ151bを生成し、前記第一外形データ151に代えて、前記修正第一外形データ151bを用いて、組付構造外形データを生成するのである。
【0049】
本実施形態に係る組付部の位置算出方法、及び、組付部の位置算出システム10においては上記の如く構成することにより、球状部33aの中心Cのステアリングナックル25に対する座標を算出する際の算出精度を向上させることが可能になる。
具体的には、図10に示す如くサスペンションアーム130が組付時において変形している場合でも、修正工程(ステップS12)において第一外形データ151からステアリングナックル25との連結部以外の外形データ151aを除去することにより、整合工程(ステップS14)において連結部外形データ153と位置合わせを行う際にサスペンションアーム130の形状変形の影響を受けないようにすることができる。
換言すれば、サスペンションアーム130において形状が変形する部分の外形データ151aを削除し、形状が変形しない部分である修正第一外形データ151bのみを用いて組付構造外形データを生成する。これにより、球状部33aの中心Cのステアリングナックル25に対する座標を算出する際に前記形状変形によって生じる組付誤差を低減することができるのである。
【0050】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る組付部の位置算出方法について、図11及び図12を用いて説明する。
図11に示す如く、本実施形態に係る組付部の位置算出方法においては、第一実施形態の構成に加えて、サスペンションアーム230のアーム部31aに突起部である検出マーカー236が配設されている。
【0051】
そして、第一実施形態と同様に、第一測定工程(ステップS01)において、レーザー式センサ15が図11(a)中の矢印Eに示す如くサスペンションアーム230の周囲を1周することにより、検出マーカー236を含んだサスペンションアーム230の外形形状を測定するのである。
さらに、レーザー式センサ15で測定したサスペンションアーム230の外形形状を、データ処理端末19において加工することにより、サスペンションアーム230の外形データである第一外形データ251を生成する。その際、第一外形データ251には、図12に示す如く、サスペンションアーム230に配設されている検出マーカー236の形状データ251aをも含むことになるのである。
【0052】
また、第二測定工程(ステップS02)において、レーザー式センサ15が図11(b)中の矢印Fに示す如く、検出マーカー236を含んだサスペンションアーム30とステアリングナックル25との連結部に沿って、該連結部の外形形状を測定するのである。
さらに、レーザー式センサ15で測定したサスペンションアーム30とステアリングナックル25との連結部の外形形状を、データ処理端末19において加工することにより、前記連結部の外形データである連結部外形データ253を生成する。その際、連結部外形データ253には、図12に示す如く、サスペンションアーム230に配設されている検出マーカー236の形状データ253aをも含むことになるのである。
【0053】
次に整合工程(ステップS03)においては図12に示す如く、データ処理端末19において、第一測定工程(ステップS01)で生成した、第一外形データ251及び第二外形データ52と、第二測定工程(ステップS02)で生成した連結部外形データ253との、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行い、組付構造外形データ254を生成する。
この際、第一外形データ251における前記検出マーカー236の形状データ251aと、連結部外形データ253における検出マーカー236の形状データ253aとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うのである。
【0054】
上記の如く、本実施形態に係る組付部の位置算出システムにおいては、サスペンションアーム230のアーム部31aに突起部である検出マーカー236が配設されている。そして、第一外形データ251は検出マーカー236の形状データ251aを含み、連結部外形データ253は検出マーカー236の形状データ253aを含み、データ処理端末19により、第一外形データ251における検出マーカー236の形状データ251aと、連結部外形データ253における検出マーカー236の形状データ253aとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うのである。
【0055】
本実施形態に係る組付部の位置算出方法、及び、組付部の位置算出システムにおいては上記の如く構成することにより、整合工程(ステップS03)における、第一外形データ251及び第二外形データ52と、連結部外形データ253との位置合わせを行う際の精度を向上させることが可能となる。
具体的には、サスペンションアーム230のアーム部31aに、形状に特徴のある突起部である検出マーカー236が配設されているため、第一外形データ251及び連結部外形データ253においても、それぞれに特徴のある形状データ251a及び形状データ253aが含まれることとなるのである。そして、第一外形データ251及び第二外形データ52と、連結部外形データ253との位置合わせを行う際には、特徴のある形状データ251aと形状データ253aとの位置を合わせることにより、位置合わせが容易となり、位置合わせの精度を向上させることが可能となるのである。
【符号の説明】
【0056】
10 組付部の位置算出システム
11 レーザー式測定機
19 データ処理端末
25 ステアリングナックル
30 サスペンションアーム
51 第一外形データ
52 第二外形データ
53 連結部外形データ
54 組付構造外形データ
61 設計データ
71 組付部位置データ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組付部を備え、該組付部の位置形状を示す設計データが既知である第一の部品と、被組付部を備える第二の部品とを、前記組付部を前記被組付部に挿入することにより連結した組付構造における、前記組付部の位置算出方法であって、
前記第一の部品及び前記第二の部品の連結前における外形形状をそれぞれ測定し、第一外形データ及び第二外形データを生成する、第一測定工程と、
前記第一の部品と前記第二の部品とを連結した状態の組付構造における、前記第一の部品と前記第二の部品との連結部の外形形状を測定し、連結部外形データを生成する、第二測定工程と、
前記第一測定工程で生成した、前記第一外形データ及び前記第二外形データと、前記第二測定工程で生成した前記連結部外形データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、組付構造外形データを生成する、整合工程と、
既知である前記設計データと、前記整合工程で生成した組付構造外形データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、前記組付部の前記第二の部品に対する位置形状を示す組付部位置データを生成する、位置算出工程と、を備える、
ことを特徴とする、組付部の位置算出方法。
【請求項2】
前記整合工程の前に、前記第一測定工程で生成した前記第一外形データから、前記第二の部品との連結部以外の外形データを除去した、修正第一外形データを生成する、修正工程を備え、
前記整合工程において、前記第一外形データに代えて、前記修正工程で生成した前記修正第一外形データを用いて、組付構造外形データを生成する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の組付部の位置算出方法。
【請求項3】
前記第一の部品には、検出マーカーが配設され、
前記第一測定工程で生成する前記第一外形データは前記検出マーカーの形状データを含み、
前記第二測定工程で生成する前記連結部外形データは前記検出マーカーの形状データを含み、
前記整合工程においては、前記第一外形データにおける前記検出マーカーの形状データと、前記連結部外形データにおける前記検出マーカーの形状データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、組付構造外形データを生成する、
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の組付部の位置算出方法。
【請求項4】
測定対象の外形形状を測定する、測定手段と、
前記測定手段で測定した前記測定対象の外形形状より外形データを生成及び加工する、データ操作手段と、を備え、
組付部を備え、該組付部の位置形状を示す設計データが既知である第一の部品と、被組付部を備える第二の部品とを、前記組付部を前記被組付部に挿入することにより連結した組付構造において前記組付部の位置を算出する、組付部の位置算出システムであって、
前記測定手段により、
前記第一の部品及び前記第二の部品の連結前における外形形状をそれぞれ測定し、
前記第一の部品と前記第二の部品とを連結した状態の組付構造における、前記第一の部品と前記第二の部品との連結部の外形形状を測定し、
前記データ操作手段により、
前記第一の部品及び前記第二の部品の連結前における外形形状に基づいて第一外形データ及び第二外形データを生成し、
前記第一の部品と前記第二の部品との連結部の外形形状に基づいて連結部外形データを生成し、
前記第一外形データ及び第二外形データと、前記前記連結部外形データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、組付構造外形データを生成し、
既知である前記設計データと、前記組付構造外形データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、前記組付部の前記第二の部品に対する位置形状を示す組付部位置データを生成する、
ことを特徴とする、組付部の位置算出システム。
【請求項5】
前記データ操作手段により、
前記第一外形データから、前記第二の部品との連結部以外の外形データを除去した、修正第一外形データを生成し、
前記第一外形データに代えて、前記修正第一外形データを用いて、組付構造外形データを生成する、
ことを特徴とする、請求項4に記載の組付部の位置算出システム。
【請求項6】
前記第一の部品には、検出マーカーが配設され、
前記第一外形データは前記検出マーカーの形状データを含み、
前記連結部外形データは前記検出マーカーの形状データを含み、
前記データ操作手段により、前記第一外形データにおける前記検出マーカーの形状データと、前記連結部外形データにおける前記検出マーカーの形状データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、組付構造外形データを生成する、
ことを特徴とする、請求項4又は請求項5に記載の組付部の位置算出システム。
【請求項1】
組付部を備え、該組付部の位置形状を示す設計データが既知である第一の部品と、被組付部を備える第二の部品とを、前記組付部を前記被組付部に挿入することにより連結した組付構造における、前記組付部の位置算出方法であって、
前記第一の部品及び前記第二の部品の連結前における外形形状をそれぞれ測定し、第一外形データ及び第二外形データを生成する、第一測定工程と、
前記第一の部品と前記第二の部品とを連結した状態の組付構造における、前記第一の部品と前記第二の部品との連結部の外形形状を測定し、連結部外形データを生成する、第二測定工程と、
前記第一測定工程で生成した、前記第一外形データ及び前記第二外形データと、前記第二測定工程で生成した前記連結部外形データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、組付構造外形データを生成する、整合工程と、
既知である前記設計データと、前記整合工程で生成した組付構造外形データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、前記組付部の前記第二の部品に対する位置形状を示す組付部位置データを生成する、位置算出工程と、を備える、
ことを特徴とする、組付部の位置算出方法。
【請求項2】
前記整合工程の前に、前記第一測定工程で生成した前記第一外形データから、前記第二の部品との連結部以外の外形データを除去した、修正第一外形データを生成する、修正工程を備え、
前記整合工程において、前記第一外形データに代えて、前記修正工程で生成した前記修正第一外形データを用いて、組付構造外形データを生成する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の組付部の位置算出方法。
【請求項3】
前記第一の部品には、検出マーカーが配設され、
前記第一測定工程で生成する前記第一外形データは前記検出マーカーの形状データを含み、
前記第二測定工程で生成する前記連結部外形データは前記検出マーカーの形状データを含み、
前記整合工程においては、前記第一外形データにおける前記検出マーカーの形状データと、前記連結部外形データにおける前記検出マーカーの形状データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、組付構造外形データを生成する、
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の組付部の位置算出方法。
【請求項4】
測定対象の外形形状を測定する、測定手段と、
前記測定手段で測定した前記測定対象の外形形状より外形データを生成及び加工する、データ操作手段と、を備え、
組付部を備え、該組付部の位置形状を示す設計データが既知である第一の部品と、被組付部を備える第二の部品とを、前記組付部を前記被組付部に挿入することにより連結した組付構造において前記組付部の位置を算出する、組付部の位置算出システムであって、
前記測定手段により、
前記第一の部品及び前記第二の部品の連結前における外形形状をそれぞれ測定し、
前記第一の部品と前記第二の部品とを連結した状態の組付構造における、前記第一の部品と前記第二の部品との連結部の外形形状を測定し、
前記データ操作手段により、
前記第一の部品及び前記第二の部品の連結前における外形形状に基づいて第一外形データ及び第二外形データを生成し、
前記第一の部品と前記第二の部品との連結部の外形形状に基づいて連結部外形データを生成し、
前記第一外形データ及び第二外形データと、前記前記連結部外形データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、組付構造外形データを生成し、
既知である前記設計データと、前記組付構造外形データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、前記組付部の前記第二の部品に対する位置形状を示す組付部位置データを生成する、
ことを特徴とする、組付部の位置算出システム。
【請求項5】
前記データ操作手段により、
前記第一外形データから、前記第二の部品との連結部以外の外形データを除去した、修正第一外形データを生成し、
前記第一外形データに代えて、前記修正第一外形データを用いて、組付構造外形データを生成する、
ことを特徴とする、請求項4に記載の組付部の位置算出システム。
【請求項6】
前記第一の部品には、検出マーカーが配設され、
前記第一外形データは前記検出マーカーの形状データを含み、
前記連結部外形データは前記検出マーカーの形状データを含み、
前記データ操作手段により、前記第一外形データにおける前記検出マーカーの形状データと、前記連結部外形データにおける前記検出マーカーの形状データとの、それぞれの外形線が重なるように位置合わせを行うことにより、組付構造外形データを生成する、
ことを特徴とする、請求項4又は請求項5に記載の組付部の位置算出システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−95065(P2011−95065A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248199(P2009−248199)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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