説明

組成物、光学異方性膜、液晶表示装置及び光学部材の製造方法

【課題】着色の少ない硬化膜の形成に有用な、新規なカチオン重合性組成物を提供する。
【解決手段】カチオン重合性基を有する液晶化合物の少なくとも1種と、一般式(1)で表されるカチオン重合開始剤の少なくとも1種とを含有する組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に用いられる光学異方性膜等の種々の光学部材の作製に有用な組成物、該組成物を利用して形成された光学異方性膜、ならびに該光学異方性膜を有する液晶表示装置に関する。また本発明は、液晶表示装置のセル用基板等の光学部材の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置の表示性能の改善に寄与する光学異方性膜を、液晶セル内に有する、いわゆるインセル型液晶表示装置が提案されている(例えば、特許文献1)。液晶セル内の光学異方性膜については、画素領域に応じて微小なドメインごとにその光学特性が最適化されていることが望まれる。また、半透過型液晶表示装置では、反射領域及び透過領域で必要な位相差が異なるので、セル内の光学異方性膜は、いずれか一方の領域にのみ形成されていること、又は各領域に必要な光学特性にそれぞれ最適化されていることが望まれる。より簡易な方法で、微小なドメインに分割された、又は微小なドメインごとに光学特性が異なる光学異方性膜を液晶セル内に形成できれば、インセル型液晶表示装置の表示性能の改善に有用である。
【0003】
一方、液晶表示装置等の部材の作製に有用な材料として、カチオン重合性液晶化合物が提案されている(特許文献2)。このカチオン重合性液晶化合物は重合による体積収縮が小さく、また酸素存在下でも重合が良好に進行することが知られている。
【特許文献1】特開2003−322857号公報
【特許文献2】特表2004−510785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、カチオン重合性液晶化合物を重合して得られる硬化膜の中には、高温焼成すると、黄変するものがあり、高い透過性が要求される用途に用いることの弊害になっている。
本発明は、着色の少ない硬化膜の形成に有用な、新規なカチオン重合性組成物を提供することを課題とする。
また、本発明は、液晶表示装置に用いられる光学異方性膜等の種々の光学部材の作製に有用な新規なカチオン重合性組成物、該組成物から形成された光学異方性膜、及び該光学異方性膜を有する液晶表示装置、を提供することを課題とする。
また、本発明は、互いに異なる光学特性を示す複数のドメインを含む光学部材(例えばインセル用液晶セル基板)の作製に有用な新規な方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
<1> カチオン重合性基を有する液晶化合物の少なくとも1種と、下記一般式(1)で表されるカチオン重合開始剤の少なくとも1種とを含有することを特徴とする組成物:
【化1】

式中、X1〜X3はそれぞれ、ハロゲン原子を表し;Y1及びY2はそれぞれ、水素原子又はハロゲン原子を表し、互いに結合し環構造を形成してもよく、互いに結合する場合は、直接又は酸素原子、イオウ原子、窒素原子もしくは炭素原子を介して結合して環構造を形成してもよく、窒素原子もしくは炭素原子を介して環構造を形成する場合は、窒素原子もしくは炭素原子は置換されていてもよく;Z1〜Z3はそれぞれ、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、又はアリールオキシカルボニル基を表し;n1〜n3及びm1〜m3はそれぞれ、0≦n1+m1≦4、0≦n2+m2≦4及び0≦n3+m3≦4をそれぞれ満足する整数を表し;Mは対アニオンを表す。
【0006】
<2> 前記カチオン重合性基が、ビニルエーテル基、オキセタニル基、及びエポキシ基のいずれかであることを特徴とする<1>の組成物。
<3> 前記液晶化合物が、さらにラジカル重合性基を有することを特徴とする<1>又は<2>の組成物。
<4> 前記ラジカル重合性基が、アクリル基又はメタクリル基であることを特徴とする<3>の組成物。
<5> <1>〜<4>のいずれかの組成物から形成されることを特徴とする光学異方性膜。
<6> 少なくとも次の[1]〜[3]の工程をこの順に含む光学部材の製造方法:
[1]基板上に<3>又は<4>の組成物を塗布した後、熱又は電離放射線を供与して光学異方性層を形成する工程
[2]光学異方性層をパターン露光する工程
[3]光学異方性層を80℃〜400℃で加熱する工程。
<7> <5>の光学異方性膜を有する液晶表示装置。
<8> 前記光学異方性膜を液晶セル内に有することを特徴とする<7>の液晶表示装置。
<9> 前記光学異方性膜が、面内レターデーションReが互いに異なる複数のドメインを含むことを特徴とする<7>又は<8>の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、着色の少ない硬化膜の形成に有用な、新規なカチオン重合性組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、液晶表示装置に用いられる光学異方性膜等の種々の光学部材の作製に有用な新規なカチオン重合性組成物、該組成物から形成された光学異方性膜、及び該光学異方性膜を有する液晶表示装置、を提供することができる。
また、本発明によれば、互いに異なる光学特性を示す複数のドメインを含む光学部材(例えばインセル用液晶セル基板)の作製に有用な新規な方法を提供することができる。
【発明の実施の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0009】
また、本明細書において、Re(λ)及びRth(λ)は各々、波長λにおける面内のリターデーション(nm)及び厚さ方向のリターデーション(nm)を表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定するができる。測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。 Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
【0010】
【数1】

注記:
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
式におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは膜厚を表す。
【0011】
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
【0012】
また、Rthの符号は面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+20°傾斜した方向から波長550nmの光を入射させて測定した位相差がReを超える場合を正とし、Reを下回る場合を負とする。但し、|Rth/Re|が9以上の試料では、回転自由台座付きの偏光顕微鏡を用いて、面内の進相軸を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して+40°傾斜した状態で、偏光板の検板を用いて決定できる試料の遅相軸がフィルム平面に平行にある場合を正とし、また遅相軸がフィルムの厚み方向にある場合を負とする。
本明細書における波長λは、R、G、Bに対してそれぞれ611±5nm、545±5nm、435±5nmを指し、特に色に関する記載がなければ545±5nm又は590±5nmを示す。
【0013】
本明細書において、角度について「実質的に」とは、厳密な角度との誤差が±5°未満の範囲内であることを意味する。さらに、厳密な角度との誤差は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましい。レターデーションについて「実質的に」とは、レターデーションが±5%以内の差であることを意味する。さらに、Reが0でないとは、Reの絶対値が5nm以上であることを意味する。また、屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域の任意の波長を指す。なお、本明細書において、「可視光」とは、波長が400〜700nmの光のことをいう。
【0014】
[組成物]
本発明は、カチオン重合性基を有する液晶化合物の少なくとも1種と、後述する一般式(1)で表されるカチオン重合開始剤の少なくとも1種とを含有する組成物に関する。本発明の組成物は、光照射によって、前記カチオン重合開始剤から酸が発生され、それによってカチオン重合性基を有する液晶化合物が重合し、硬化する。本発明の組成物は、液晶化合物の配向によって生じた光学異方性を有する光学異方性膜等の形成に有用である。通常、硬化膜は、高温処理されることが多いが、従来のカチオン重合組成物から形成された硬化膜は、高温処理時に着色することが多く、液晶表示装置の部材等のように、可視光域において高い透過性が要求される用途に用いるのに弊害があった。前記カチオン重合開始剤は、酸を発生する際にラジカルを経由しないので、高温時に着色するような副生成物を生じず、その結果、本発明の組成物を用いることにより、着色のない硬化膜を作製することができる。
以下、本発明の組成物に用いる種々の材料について詳細に説明する。
【0015】
・カチオン重合性基を有する液晶化合物
一般的に、液晶性化合物はその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、棒状液晶性化合物又は円盤状液晶性化合物、いずれの液晶性化合物を用いることもできる。2種以上の棒状または円盤状液晶性化合物、又は棒状液晶性化合物と円盤状液晶性化合物との混合物を用いてもよい。
【0016】
前記カチオン重合性基を有する液晶化合物の好ましい例には、下記一般式(I)で表される棒状液晶性化合物が含まれる。
【0017】
【化2】

式中、Q1はカチオン重合性基を表し、S1は二価の連結基を表し、Mはメソゲン基を表す。
1はカチオン重合性基であり、カチオン重合性基としては、特に限定はされないが具体的には下記カチオン重合性基を挙げることができる。
【0018】
【化3】

【0019】
中でも、Q−1〜Q−5のカチオン重合性基が好ましい。
【0020】
1は、好ましくは、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、2価の複素環残基、−CO−、−NR5−(R5は炭素数が1〜6のアルキル基又は水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる2価の連結基であることが好ましい。アルキレン基の炭素数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素数は、2〜12であることが好ましい。アリーレン基の炭素数は、6〜10であることが好ましい。アルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基は、可能であれば、置換基(アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基等)によって置換されていてもよいが、無置換であることが好ましい。
1としては、−O−、−CO−、−NR5−(R5は炭素数が1〜6のアルキル基又は水素原子)、アルキレン基又はアリーレン基を含んでいることが好ましく、−O−、−CO−、アルキレン基又はアリーレン基を含んでいることが特に好ましい。さらに、S1は、−O−、−CO−、アルキレン基又はアリーレン基から構成されていることが好ましい。
【0021】
Mで表されるメソゲン基の例には、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)などに記載の構造が含まれる。より好ましくは、下記一般式(II)で表されるメソゲン基である。
【0022】
【化4】

一般式(II)中、L1及びL2はそれぞれ、単結合又は二価の連結基を表し、Cy1、Cy2及びCy3は、それぞれ、環状基を表し、pは0〜2の整数を表す。pが2の場合、2つのL2は同じであっても異なっていてもよく、2つのCy2も同じであっても異なっていてもよい。
【0023】
一般式(II)中、L1又はL2は、好ましくは、それぞれ、−O−、−S−、−CO−、−NR4−、二価の鎖状基、二価の環状基及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基、又は、単結合である。上記R4は、炭素数1〜7のアルキル基又は水素原子であり、炭素数1〜4のアルキル基又は水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基又は水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。
二価の鎖状基は、アルキレン基、アルケニレン基又はアルキニレン基が好ましく、これらは、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子が好ましい。アルキレン基又はアルケニレン基が好ましく、無置換のアルキレン基又は無置換のアルケニレン基がさらに好ましい。アルキレン基は、分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は1〜12であることが好ましく、2〜10であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましい。アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素数は2〜12であることが好ましく、2〜10であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましい。
【0024】
アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。アルキニレン基の炭素数は2〜12であることが好ましく、2〜10であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましい。
二価の鎖状基の具体例としては、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、2−メチル−テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2−ブテニレン基、2−ブチニレン基などが挙げられる。
二価の環状基は、後述するCy1、Cy2及びCy3と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0025】
一般式(II)においてpは、0又は1であることが好ましい。
【0026】
一般式(II)において、Cy1、Cy2及びCy3は、それぞれ独立に環状基である。環状基に含まれる環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましく、6員環であることがさらに好ましい。環状基に含まれる環は、単環でも縮合環でもよく、単環が好ましい。環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環及び複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環及びナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環及びピリミジン環が含まれる。ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレン基が好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイル基及びナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレン基であることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジン−2,5−ジイル基が好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジン−2,5−ジイル基が好ましい。
環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルキルチオ基、炭素数2〜6のアシルオキシ基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素数2〜6のアルキル基で置換されたカルバモイル基及び炭素数が2〜6のアシルアミノ基が含まれる。
【0027】
以下に、前記一般式(I)で表される化合物の例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0028】
【化5】

【0029】
前記カチオン重合性基を有する液晶化合物のより好ましい例には、下記一般式(II)で表される棒状液晶性化合物が含まれる。
【0030】
【化6】

【0031】
式中、Q1はカチオン重合性基を表し、S1及びS2はそれぞれ独立して二価の連結基を表し、Mはメソゲン基を表し、Q2は反応性基を示す。
1は、前記一般式(I)中のQ1と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
1及びS2はそれぞれ、前記一般式(I)中のS1と同義であり、その好ましい範囲も同一である。
Mは、前記一般式(I)中のMと同義であり、その好ましい範囲も同一である。
2で表される反応性基は重合性基であることが好ましく、付加重合反応又は縮合重合反応が可能な反応性基であることが好ましい。重合性基としては、特に限定はされないが具体的には下記重合性基を挙げることができる。
【0032】
【化7】

【0033】
2は、Q−1〜Q−5、Q−9及びQ−10であることが好ましい。
また、前記一般式(II)中、Q2が、カチオン重合開始剤では重合を開始しない他の重合性基、例えばラジカル重合性基(Q−9及びQ−10)であると、後述する本発明の方法により、光学特性が互いに異なる微小なドメインを含む光学異方性膜を容易に形成できるので好ましい。
【0034】
以下に、前記一般式(II)で表される化合物の例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0035】
【化8】

【0036】
本発明の組成物は、カチオン重合性基を有する液晶化合物を2種以上含有していてもよい。また、カチオン重合性基を有さない液晶化合物を1種以上含有していてもよい。例えば、以下に示すラジカル重合性基を2つ以上有する棒状液晶性化合物を含有していてもよい。カチオン重合性基を有する液晶化合物以外の液晶化合物の添加比率は、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.1〜30質量%であることがより好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましい。
【0037】
【化9】

【0038】
【化10】

【0039】
【化11】

【0040】
【化12】

【0041】
【化13】

【0042】
前記カチオン重合性基を有する液晶化合物の他の態様として、カチオン重合性基を有する円盤状液晶性化合物が挙げられる。
前記ディスコティック(円盤状)化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physicslett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。上記ディスコティック(円盤状)化合物は、一般的にこれらを分子中心の円盤状の母核とし、直鎖のアルキル基やアルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等の基(L)が放射線状に置換された構造であり、液晶性を示し、一般的にディスコティック液晶とよばれるものが含まれる。ただし、このような分子の集合体が一様に配向した場合は負の一軸性を示すが、この記載に限定されるものではない。
【0043】
前記カチオン重合性基を有する液晶化合物の好ましい例には、下記一般式(IV)で表わされるディスコティック液晶化合物が含まれる。
一般式(IV): D(−L−P)n
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、少なくとも一つはカチオン重合性基であり、nは4〜12の整数である。
前記式(IV)中、円盤状コア(D)、及び二価の連結基(L)の好ましい具体例は、それぞれ、特開2001−4837号公報に記載の(D1)〜(D15)、及び(L1)〜(L25)が挙げられ、同公報に記載される円盤状コア(D)及び二価の連結基(L)に関する内容をここに好ましく適用することができる。
式(IV)中、Pで表されるカチオン重合性基の例には、前記式(I)及び(II)中のQ1の例と同様であり、好ましい範囲も同様である。また、式(IV)の化合物は、カチオ重合性基以外の重合性基を有していてもよく、その例には、特開2001−4837号公報に記載の(P1)〜(P18)が挙げられ、同公報に記載される重合性基(P)に関する内容をここに好ましく適用することができる。
【0044】
一般式(IV)で表されるディスコティック液晶性化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0045】
【化14】

【0046】
本発明の組成物中のカチオン重合性基を有する液晶化合物の含有量(塗布液として調製される場合は固形分として)は、2〜50質量%であるのが好ましく、10〜40質量%であるのがより好ましい。
液晶化合物を二種以上含有する態様では、その総量が前記範囲であるのが好ましい。
【0047】
・カチオン重合開始剤
本発明の組成物は、下記一般式(1)で表されるカチオン光重合開始剤の少なくとも1種を含有する。
【0048】
【化15】

【0049】
前記式中、X1〜X3はそれぞれ、ハロゲン原子を表し;Y1及びY2はそれぞれ、水素原子又はハロゲン原子を表し、互いに結合し環構造を形成してもよく、互いに結合する場合は、直接又は酸素原子、イオウ原子、窒素原子もしくは炭素原子を介して結合して環構造を形成してもよく、窒素原子もしくは炭素原子を介して環構造を形成する場合は、窒素原子もしくは炭素原子は置換されていてもよく;Z1〜Z3はそれぞれ、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、又はアリールオキシカルボニル基を表し;n1〜n3及びm1〜m3はそれぞれ、0≦n1+m1≦4、0≦n2+m2≦4及び0≦n3+m3≦4をそれぞれ満足する整数を表し;Mは対アニオンを表す。
【0050】
前記式中、X1〜X3はそれぞれ、ハロゲン原子を表し、具体的にはフッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子を表し、好ましくはフッ素、塩素、又は臭素原子を表す。
【0051】
前記式中、Y1及びY2はそれぞれ、水素原子又はハロゲン原子を表し、具体的には水素、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子を表し、好ましくは水素、フッ素、又は塩素原子を表す。
1及びY2は互いに結合し環構造を形成してもよい。互いに結合する場合は、直接結合して環構造を形成していてもよいし、又は酸素原子、イオウ原子、窒素原子もしくは炭素原子を介して結合して環構造を形成してもよい。窒素原子もしくは炭素原子を介して環構造を形成する場合は、窒素原子もしくは炭素原子は置換されていてもよい。
具体的には、以下の一般式(2)〜(5)の骨格が挙げられる。
【0052】
【化16】

【0053】
【化17】

【0054】
前記一般式(2)〜(5)において、X1〜X3、Y1、Y2、及びZ1〜Z3はそれぞれ、一般式(1)中のそれぞれと同義である。また、n1〜n3及びm1〜m3についても、前記一般式(1)中のそれぞれと同義である。
前記一般式(5)中、Rは、炭素数1〜12の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。
【0055】
前記式中、Z1〜Z3はそれぞれ、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、又はアリールオキシカルボニル基を表す。具体的には、アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。これらのアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子で置換されたものが好ましく、例えば、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基等が挙げられる。
アルコキシ基は好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。
アルコキシカルボニル基は好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。置換基としてはハロゲン原子で置換されたものが好ましく、例えば、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数1〜11の置換、無置換のアルコキシカルボニル基を表す。
アリールオキシカルボニル基としては、炭素数7〜18の置換、無置換のアリールオキシカルボニル基を表す。
【0056】
前記式中、Mは対アニオンを表す。具体的には、PF6、BF4、ClO4、スルホン酸、カルボン酸、スルホニルイミド、ビス(アルキルスルホニル)イミド、トリス(アルキルスルホニル)メチル等が挙げられる。対アニオンとしては、非求核性アニオンが好ましい。非求核性アニオンとしては、PF6、BF4、ClO4、スルホニルイミド、ビス(アルキルスルホニル)イミド、トリス(アルキルスルホニル)メチルが好ましく、有機酸の場合、フッ素原子で置換されたものが特に好ましい。
【0057】
前記式中、n1〜n3及びm1〜m3はそれぞれ、0≦n1+m1≦4、0≦n2+m2≦4及び0≦n3+m3≦4をそれぞれ満足する整数を表す。n1、n2及びn3はそれぞれ、0〜2であるのが好ましく、m1、m2及びm3はそれぞれ、0〜2であるのが好ましい。
【0058】
前記一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0059】
【化18】

【0060】
【化19】

【0061】
【化20】

【0062】
本発明の組成物中の前記カチオン重合開始剤の含有量(塗布液として調製される場合は固形分として)は、0.5〜10質量%であるのが好ましく、1〜6質量%であるのがより好ましい。
【0063】
本発明の組成物は、上記以外の成分を含有していてもよい。以下、所望により添加される他の成分について説明する。
・光増感剤
本発明の組成物は、所望により光増感剤を含有していてもよい。光増感剤は、重合効率の向上のために添加される。光増感剤は、併用される前記カチオン重合開始剤に開始種を発生させる活性放射線の波長に応じて、選択することができる。一般的な硬化反応に使用されることを考慮すれば、好ましい光増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、透明性を損なわない程度に、目的に応じて波長350nm〜450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
前記光増感剤は、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)スチリルベンゼン類、ジスチリルベンゼン類、ジフェニルブタジエン類などから選択することができる。
【0064】
本発明の組成物中の前記光増感剤の含有量(塗布液として調製される場合は固形分として)は、0.1〜10質量%であるのが好ましく、0.5〜5質量%であるのがより好ましい。
【0065】
・配向促進剤
本発明の組成物は、所望により種々の配向促進剤を含有していてもよい。配向促進剤は、液晶化合物の分子が所望の配向状態になるのを促進する機能を有する。その一例としては、液晶分子が水平配向するのを促進する水平配向剤が挙げられる。尚、本明細書において「水平配向」とは、棒状液晶の場合、分子長軸と層面が平行であることをいい、円盤状液晶の場合、円盤状液晶性化合物のコアの円盤面と層面が平行であることをいうが、厳密に平行であることを要求するものではなく、本明細書では、水平面とのなす傾斜角が10度未満の配向を意味するものとする。傾斜角は0〜5度が好ましく、0〜3度がより好ましく、0〜2度がさらに好ましく、0〜1度が最も好ましい。
水平配向剤の例としては、下記一般式(1a)〜(3a)で表される化合物、ならびに一般式(4a)のモノマーから誘導される繰り返し単位を有する含フッ素ホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。
【0066】
【化21】

【0067】
式中、R1、R2及びR3は各々独立して、水素原子又は置換基を表し、X1、X2及びX3は単結合又は二価の連結基を表す。R1〜R3で各々表される置換基としては、好ましくは置換もしくは無置換の、アルキル基(中でも、無置換のアルキル基又はフッ素置換アルキル基がより好ましい)、アリール基(中でもフッ素置換アルキル基を有するアリール基が好ましい)、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子である。X1、X2及びX3で各々表される二価の連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、二価の芳香族基、二価のヘテロ環残基、−CO−、−NRa−(Raは炭素原子数が1〜5のアルキル基又は水素原子)、−O−、−S−、−SO−、−SO2−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。二価の連結基は、アルキレン基、フェニレン基、−CO−、−NRa−、−O−、−S−及びSO2−からなる群より選ばれる二価の連結基又は該群より選ばれる基を少なくとも二つ組み合わせた二価の連結基であることがより好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2〜12であることが好ましい。二価の芳香族基の炭素原子数は、6〜10であることが好ましい
【0068】
【化22】

【0069】
式中、Rは置換基を表し、mは0〜5の整数を表す。mが2以上の整数を表す場合、複数個のRは同一でも異なっていてもよい。Rとして好ましい置換基は、R1、R2、及びR3で表される置換基の好ましい範囲として挙げたものと同じである。mは、好ましくは1〜3の整数を表し、特に好ましくは2又は3である。
【0070】
【化23】

【0071】
式中、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は各々独立して、水素原子又は置換基を表す。R4、R5、R6、R7、R8及びR9でそれぞれ表される置換基は、好ましくは一般式(1a)におけるR1、R2及びR3で表される置換基の好ましいものとして挙げたものである。本発明に用いられる水平配向剤については、特開2005−99248号公報の段落番号[0092]〜[0096]に記載の化合物を用いることができ、それら化合物の合成法も該明細書に記載されている。
【0072】
【化24】

【0073】
式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは酸素原子、硫黄原子を表し、Zは水素原子又はフッ素原子を表し、mは1以上6以下の整数、nは1〜12の整数を表す。一般式(4a)を含む含フッ素ポリマー以外にも、塗布におけるムラ改良ポリマーとして特開2005−206638号公報及び特開2006−91205号公報に記載の化合物を水平配向剤として用いることができ、それら化合物の合成法も該明細書に記載されている。
【0074】
本発明の組成物中の配向促進剤(水平配向剤)の添加量(塗布液として調製される場合は固形分)としては、液晶性化合物の質量の0.01〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.02〜1質量%が特に好ましい。なお、前記一般式(1a)〜(4a)で表される化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0075】
本発明の組成物は、種々の光学部材の作製に利用することができる。特に、液晶表示装置等に利用される光学異方性膜の形成材料として有用である。
以下、本発明の組成物を利用した光学異方性膜について説明する。
[光学異方性膜]
本発明は、本発明の組成物から形成された光学異方性膜にも関する。本発明の光学異方性膜の光学特性は、用途に応じて、所望の範囲に調整することができる。例えば、組成物中の液晶化合物の含有量、配向促進剤の種類及びその添加量、ならびに光学異方性膜の膜厚等によって調整することができる。本発明の光学異方性膜の膜厚は、特に制限されないが、一般的には、0.1〜20μm程度が好ましく、0.5〜10μm程度がさらに好ましい。
【0076】
[光学異方性膜の作製方法:第1の例]
本発明の光学異方性膜は種々の方法で作製することができる。以下、いくつかの作製方法について例を挙げて説明する。
本発明の光学異方性膜は、本発明の組成物(例えば塗布液)を、表面(好ましくは後述する配向層の表面)に塗布し、所望の液晶相を示す配向状態とした後、カチオン重合により硬化させて、該配向状態を固定することで作製することができる。
本発明の組成物を塗布液として調製する場合、用いる溶媒としては、有機溶媒が好ましい。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライド及びケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
【0077】
塗布方法については特に制限はない。ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)等、種々の方法が利用できる。
【0078】
次に、乾燥により塗膜中の溶媒を除去するとともに、前記液晶化合物の分子を所望の配向状態とする。水平配向、垂直配向、傾斜配向、及びねじれ配向のいずれの配向状態としてもよい。また、必要であれば、加熱してもよい。
【0079】
次に、熱又は電離放射線を供与してカチオン重合を進行させて硬化させ、液晶化合物の分子を、その配向状態を維持して固定する。電離放射線を照射するのが好ましく、紫外線を照射するのがより好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm2〜10J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることがさらに好ましい。照度は20〜1000mW/cm2であることが好ましく、50〜500mW/cm2であることがより好ましく、100〜350mW/cm2であることがさらに好ましい。照射波長としては300〜450nmにピークを有することが好ましく、350〜400nmにピークを有することがさらに好ましい。
【0080】
この方法により光学異方性膜を形成する場合は、一分子中に2以上のカチオン重合性基を有する液晶化合物を利用するのが、膜強度が高くなり、耐久性が改善されるので好ましい。
【0081】
本発明の光学異方性膜は、基板上に形成してもよい。例えば、液晶表示装置用基板上に形成してもよい。該基板は、透明であれば特に限定はなく、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板でも、ポリマーからなる透明基板でもよい。液晶表示装置用の場合、液晶表示装置用基板作製工程においてカラーフィルタや配向膜のベークのために180℃以上の高温プロセスを要するため、耐熱性を有することが好ましい。そのような耐熱性基板としては、ガラス板もしくはポリイミド、ポリエーテルスルホン、耐熱性ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、特に価格、透明性、耐熱性の観点からガラス板が好ましい。また、基板は、予めカップリング処理を施しておくことにより、転写接着層との密着を良好にすることができる。該カップリング処理としては、特開2000−39033号公報記載の方法が好適に用いられる。尚、特に限定されるわけではないが、基板の膜厚としては、100〜1200μmが一般的に好ましく、300〜1000μmが特に好ましい。また、前記基板は、上記のガラス基板上にカラーフィルタ層を有するカラーフィルタ基板であってもよい。
【0082】
上記した様に、光学異方性膜の形成には、配向膜を利用してもよい。配向膜は、一般に透明仮支持体上又は該透明仮支持体に塗設された下塗層上に設けられる。配向膜は、その上に設けられる液晶性化合物の配向方向を規定するように機能する。配向膜については、液晶分子に対して配向制御能を有する限り、特に制限はない。配向膜の好ましい例としては、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理された層、無機化合物の斜方蒸着層、及びマイクログルーブを有する層、さらにω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド及びステアリル酸メチル等のラングミュア・ブロジェット法(LB膜)により形成される累積膜、あるいは電場あるいは磁場の付与により誘電体を配向させた膜を挙げることができる。
【0083】
配向膜用の有機化合物の例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカーボネート等のポリマー及びシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。好ましいポリマーの例としては、ポリイミド、ポリスチレン、スチレン誘導体のポリマー、ゼラチン、ポリビニルアルコール及びアルキル基(炭素原子数6以上が好ましい)を有するアルキル変性ポリビニルアルコールを挙げることができる。
【0084】
配向膜の形成には、ポリマーを使用するのが好ましい。利用可能なポリマーの種類は、液晶性化合物の配向(特に平均傾斜角)に応じて決定することができる。例えば、液晶性化合物を水平に配向させるためには配向膜の表面エネルギーを低下させないポリマー(通常の配向用ポリマー)を用いる。具体的なポリマーの種類については液晶セル又は光学補償シートについて種々の文献に記載がある。例えば、ポリビニルアルコールもしくは変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸もしくはポリアクリル酸エステルとの共重合体、ポリビニルピロリドン、セルロースもしくは変性セルロース等が好ましく用いられる。配向膜用素材には液晶性化合物の反応性基と反応できる官能基を有してもよい。反応性基は、側鎖に反応性基を有する繰り返し単位を導入するか、あるいは、環状基の置換基として導入することができる。界面で液晶性化合物と化学結合を形成する配向膜を用いることがより好ましく、かかる配向膜としては特開平9−152509号公報に記載されており、酸クロライドやカレンズMOI(昭和電工(株)製)を用いて側鎖にアクリル基を導入した変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。配向膜の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜2μmであることがさらに好ましい。配向膜は酸素遮断膜としての機能を有していてもよい。
【0085】
また、LCDの配向膜として広く用いられているポリイミド膜(好ましくはフッ素原子含有ポリイミド)も有機配向膜として好ましい。これはポリアミック酸(例えば、日立化成工業(株)製のLQ/LXシリーズ、日産化学(株)製のSEシリーズ等)を支持体面に塗布し、100〜300℃で0.5〜1時間焼成した後、ラビングすることにより得られる。
【0086】
また、前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を利用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴムあるいはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
【0087】
また、無機斜方蒸着膜の蒸着物質としては、SiO2を代表とし、TiO2、ZnO2等の金属酸化物、あるいやMgF2等のフッ化物、さらにAu、Al等の金属が挙げられる。尚、金属酸化物は、高誘電率のものであれば斜方蒸着物質として用いることができ、上記に限定されるものではない。無機斜方蒸着膜は、蒸着装置を用いて形成することができる。フィルム(支持体)を固定して蒸着するか、あるいは長尺フィルムを移動させて連続的に蒸着することにより無機斜方蒸着膜を形成することができる。
【0088】
[光学異方性膜の作製方法:第2の例(本発明の方法)]
本発明の組成物が、カチオン重合性基とともに、ラジカル重合性基を有する液晶化合物を含有する態様では、以下の方法により、光学特性が互いに異なるドメインを含む光学異方性膜を容易に作製することができる。具体的には、少なくとも次の[1]〜[3]の工程をこの順に実施する。
[1]表面に本発明の組成物であって、カチオン重合性基とともにラジカル重合性基を有する液晶化合物を含有する組成物を塗布した後、熱又は電離放射線を供与して光学異方性膜を形成する工程、
[2]光学異方性膜をパターン露光する工程、
[3]光学異方性膜を80℃〜400℃で加熱する工程。
【0089】
図1にこの方法の流れを模式的に示した。
前記[1]の工程では、前記組成物がカチオン重合により硬化して、光学異方性膜12が基板11上に形成される。この工程については、前記第1の例で説明した通りである。但し、液晶分子がカチオン重合について単官能性であるため、形成された光学異方性膜の強度は低く、液晶分子も完全には固定されていない。
【0090】
次に、前記[2]の工程で、パターン露光を行うことによって、露光部のみにおいてラジカル重合が進行し、露光部12Aの膜強度が高くなり、液晶分子はその配向状態に固定される。一方、未露光部12Bの液晶分子は前記[1]工程が実施された後の状態からなんら変化しておらず、液晶分子の固定は完全ではない。なお、パターン露光の方法は、露光部と未露光部に必要とする露光量差及び解像度があれば、市販のレーザ描画装置などによる直接露光でもよいし、フォトマスクを介した露光でもよい。パターン露光の光源としては、露光部12Aをさらに硬化させるに必要な波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものであればいずれを用いてもよい。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量としては、通常5〜200mJ/cm2程度であり、好ましくは10〜100mJ/cm2程度である。照射は、不活性ガス置換していない雰囲気下で行っても、置換された雰囲気下(例えば酸素濃度0.5%以下の不活性ガス雰囲気下)で行ってもよい。後者が好ましい。
【0091】
前記[2]の工程において、ラジカル重合を進行させるためには、前記[1]の工程を実施した後、前記[2]の工程を実施する前に、光学異方性膜中にラジカル重合開始剤を存在させるのが好ましい。例えば、ラジカル開始剤を含有する塗布液を、前記[1]の工程の後に、前記[2]の工程の前に、光学異方性膜の表面に塗布して、光学異方性膜中に、ラジカル重合開始剤を浸透させてもよい。
【0092】
次に、[3]の工程により、露光部12Aと未露光部12Bとに光学特性の差が生じる。具体的には、露光部の液晶分子は、カチオン重合及びラジカル重合によって網目構造を形成し、加熱によっても配向状態が維持されるが、未露光部の液晶分子は、片末端のカチオン重合性基の結合によって、不完全に固定されているため、加熱によって液晶分子の配向が乱れ、位相差が変化、ほとんどの場合は低下もしくは消失する。その結果、露光部と未露光部とに位相差の大きさに差が生じる。加熱温度は、露光部12Aと未露光部12Bとに光学特性の差が生じる程度であれば特に制限されないが、一般的には、80〜400℃程度であり、好ましくは100〜350℃程度、及びより好ましくは100〜300℃程度である。この加熱工程[3]によって、未露光部12Bのレターデーションを80%以下程度低下させるのが好ましく、より好ましくは50%程度以下、さらに好ましくは20%程度以下、最も好ましくは実質的に0とする。
【0093】
この方法は、液晶セル基板内に光学異方性膜を形成するとともに、画素領域に応じて、又は半透過型液晶表示装置の反射領域及び透過領域などに応じて、光学異方性膜中に互いに異なる光学特性のドメインを形成するのに有用である。
【0094】
[光学異方性層の形成方法:第3の例(転写法の利用)]
本発明の光学異方性膜は、転写法を利用して、基板上に形成してもよい。この方法では、本発明の光学異方性膜を、一旦、仮支持体上に形成した転写材料を用いる。図2に本方法に利用される転写材料のいくつかの例について、断面模式図を示す。
図2(a)は転写材料の一例で、仮支持体21上に配向層22を介して光学異方性層(本発明の光学異方性膜)12が形成されている。光学異方性層12上には転写用接着層14が形成されており、転写材料を転写用接着層14を介して基板にラミネート転写することで他の基板表面、例えば液晶表示装置用基板の表面に、光学異方性を形成することができる。転写用接着層としては、十分な転写性を有していれば特に制限はなく、粘着剤による粘着層、感光性樹脂層、感圧性樹脂層、感熱性樹脂層などが挙げられるが、液晶表示装置用基板に必要な耐ベーク性から感光性もしくは感熱性樹脂層が望ましい。良好な転写性を持たせるために、光学異方性層12と配向層22の間の剥離性が高いことが望ましい。図2(b)は、転写工程における気泡混入防止や、被転写基板上の凹凸吸収のための力学特性制御層23を有する態様である。力学特性制御層としては、柔軟な弾性を示すもの、熱により軟化するもの、熱により流動性を呈するものなどが好ましい。図2(c)の転写材料は、光学異方性層12の下に感光性樹脂層15を有する。本態様の転写材料を作製するためには、感光性樹脂層15の上で液晶性化合物の分子を配向させることが必要となるが、通常感光性樹脂層上に有機溶媒を用いて液晶性化合物を含む塗布液を塗布すると、有機溶媒で感光性樹脂層が溶解してしまうため液晶性化合物を配向させるのは困難である。例えば、図2(d)に示すように、別の仮支持体21'上に、光学異方性層12を形成し、感光性樹脂層15が仮支持体21に対する転写接着層を兼ねて、光学異方性層12の上に転写用接着層14を形成することで作製することができる。
仮支持体表面上に光学異方性層を形成する方法は、上記第1の例における光学異方性膜の形成方法と同様である。
【0095】
例えば、図2(a)の転写材料を用いると、図3(a)に示す通り、基板11上に、転写用接着層14及び光学異方性層12を形成することができる。さらに、光学異方性層の形成にカチオン重合について単官能性であり、且つラジカル重合性基を有する液晶化合物を含有する組成物を用いた態様では、上記第2の例の[2]及び[3]の工程を実施することにより、図3(b)に示す通り、露光部12Aと未露光部12Bとで光学特性が異なる光学異方性層とすることができる。
【0096】
また、例えば、図2(c)の転写材料を用いると、図4(a)に示す通り、基板11上に、転写用接着層14、光学異方性層12及び感光性樹脂層15を形成することができる。さらに、光学異方性層の形成にカチオン重合について単官能性であり、且つラジカル重合性基を有する液晶化合物を用いた態様では、上記第2の例の[2]及び[3]の工程を実施し、その後、感光性樹脂層15を現像することにより、感光性樹脂層15がネガ型であれば、図4(b)に示す通り、露光部12A上にのみ感光性樹脂層15が残存する態様となり、感光性樹脂層15がポジ型であれば、図4(c)に示す通り、未露光部12B上にのみ感光性樹脂層15が残存する態様になる。
この方法は、図4(b)及び(c)の態様は、特開2003−322857号公報に開示されている半透過型液晶表示装置等、セル内の反射領域にのみ光学異方性層を形成し、しかも反射領域と透過領域とでセル内に厚みのギャップを形成する、いわゆるマルチギャップの液晶セルを製造するのに有用である。
【0097】
・感光性樹脂層
この方法に利用される感光性樹脂層は、感光性樹脂組成物よりなり、ポジ型でもネガ型でもよく特に限定はなく、市販のレジスト材料を用いることもできる。液晶表示装置用基板形成工程における環境上や防爆上の問題から、有機溶剤が5%以下の水系現像であることが好ましく、アルカリ現像であることが特に好ましい。前記感光性樹脂層は少なくとも(1)ポリマーと、(2)モノマー又はオリゴマーと、(3)光重合開始剤又は光重合開始剤系とを含む樹脂組成物から形成するのが好ましい。
以下、これら(1)〜(3)の成分について説明する。
【0098】
(1)ポリマー:
ポリマー(以下、単に「バインダ」ということがある。)としては、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーからなるアルカリ可溶性樹脂が好ましい。その例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができ、またこの他にも、水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく使用することができる。また、特に好ましい例として、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体や、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。これらの極性基を有するバインダポリマーは、単独で用いてもよく、或いは通常の膜形成性のポリマーと併用する組成物の状態で使用してもよい。全固形分に対するポリマーの含有量は20〜50質量%が一般的であり、25〜45質量%が好ましい。
【0099】
(2)モノマー又はオリゴマー:
前記感光性樹脂層に使用されるモノマー又はオリゴマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有し、光の照射によって付加重合するモノマー又はオリゴマーであることが好ましい。そのようなモノマー及びオリゴマーとしては、分子中に少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレートや多官能メタクリレートを挙げることができる。
【0100】
更に特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報及び特開昭51−37193号公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報及び特公昭52−30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレー卜やメタクリレートを挙げることができる。
これらの中で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合性化合物B」も好適なものとして挙げることができる。
これらのモノマー又はオリゴマーは、単独でも、2種類以上を混合して用いてもよく、感光性樹脂組成物の全固形分に対する含有量は5〜50質量%が一般的であり、10〜40質量%が好ましい。
【0101】
(3)光重合開始剤又は光重合開始剤系:
前記感光性樹脂層に使用される光重合開始剤又は光重合開始剤系としては、米国特許第2367660号明細書に開示されているビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第2448828号明細書に記載されているアシロインエーテル化合物、米国特許第2722512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3046127号明細書及び同第2951758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3549367号明細書に記載のトリアリールイミダゾール2量体とp−アミノケトンの組み合わせ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール化合物とトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されているトリハロメチルオキサジアゾール化合物等を挙げることができる。特に、トリハロメチル−s−トリアジン、トリハロメチルオキサジアゾール及びトリアリールイミダゾール2量体が好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合開始剤C」も好適なものとしてあげることができる。
これらの光重合開始剤又は光重合開始剤系は、単独でも、2種類以上を混合して用いてもよいが、特に2種類以上を用いることが好ましい。少なくとも2種の光重合開始剤を用いると、表示特性、特に表示のムラが少なくできる。
感光性樹脂組成物の全固形分に対する光重合開始剤又は光重合開始剤系の含有量は、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。
【0102】
感光性樹脂層は、ムラを効果的に防止するという観点から、適切な界面活性剤を含有させることが好ましい。前記界面活性剤は、感光性樹脂組成物と混ざり合うものであれば使用可能である。本発明に用いる好ましい界面活性剤としては、特開2003−337424号公報[0090]〜[0091]、特開2003−177522号公報[0092]〜[0093]、特開2003−177523号公報[0094]〜[0095]、特開2003−177521号公報[0096]〜[0097]、特開2003−177519号公報[0098]〜[0099]、特開2003−177520号公報[0100]〜[0101]、特開平11−133600号公報の[0102]〜[0103]、特開平6−16684号公報の発明として開示されている界面活性剤が好適なものとして挙げられる。より高い効果を得る為にはフッ素系界面活性剤、及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、又は、シリコン系界面活性剤、フッソ原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましく、フッ素系界面活性剤が最も好ましい。
【0103】
好ましいフッ素系界面活性剤の具体例としては、特開2004−163610号公報の段落番号[0054]〜[0063]に記載の化合物が挙げられる。また、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ(株)製)、サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、又は、シリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。本発明においては、一般式(a)で表されるモノマーを含まないフッ素系界面活性剤である、特開2004−331812号公報の段落番号[0046]〜[0052]に記載の化合物を用いることも好ましい。
【0104】
前記界面活性剤の含有量としては、感光性樹脂層の層全固形分に対して0.01〜10質量%が好ましく、特に0.1〜7質量%が好ましい。
【0105】
感光性樹脂層中に、ラジカル重合開始剤を含有させて、感光性樹脂層中のラジカル重合開始剤を光学異方性層中に浸透させ、前記[2]のパターン露光時に、層中に浸透したラジカル重合開始剤によって、ラジカル重合の進行を促進してもよい。
また、感光性樹脂層は、光学異方性層を基板上に転写した後に、光学異方性層上に形成してもよく、感光性樹脂層がラジカル重合開始剤を含有する場合は、基板上に光学異方性層を転写した後、その表面に形成するのが好ましい。
【0106】
・転写用接着層
転写材料は、転写用接着層を有することが好ましい。転写用接着層としては、透明で着色がなく、十分な転写性を有していれば特に制限はなく、粘着剤による粘着層、中でも感光性樹脂層、感圧性樹脂層、感熱性樹脂層などが挙げられるが、液晶表示装置用基板に必要な耐ベーク性から感光性もしくは感熱性樹脂層が望ましい。粘着剤としては、例えば、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性や接着性の粘着特性を示すものが好ましい。具体的な例としては、アクリル系ポリマーやシリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、合成ゴム等のポリマーを適宜ベースポリマーとして調製された粘着剤等が挙げられる。粘着剤層の粘着特性の制御は、例えば、粘着剤層を形成するベースポリマーの組成や分子量、架橋方式、架橋性官能基の含有割合、架橋剤の配合割合等によって、その架橋度や分子量を調節するというような、従来公知の方法によって適宜行うことができる。
【0107】
感圧性樹脂層としては、圧力をかけることによって接着性を発現すれば特に限定はなく、感圧性接着剤には、ゴム系,アクリル系,ビニルエーテル系,シリコーン系の各粘着剤が使用できる。粘着剤の製造段階,塗工段階の形態では、溶剤型粘着剤,非水系エマルジョン型粘着剤,水系エマルジョン型粘着剤,水溶性型粘着剤,ホットメルト型粘着剤,液状硬化型粘着剤,ディレードタック型粘着剤等が使用できる。ゴム系粘着剤は、新高分子文庫13「粘着技術」(株)高分子刊行会P.41(1987)に記述されている。ビニルエーテル系粘着剤は、炭素数2〜4のアルキルビニルエーテル重合物を主剤としたもの,塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体,酢酸ビニル重合体,ポリビニルブチラール等に可塑剤を混合したものがある。シリコーン系粘着剤は、フィルム形成と膜の凝縮力を与えるためゴム状シロキサンを使い、粘着性や接着性を与えるために樹脂状シロキサンを使ったものが使用できる。
【0108】
感熱性樹脂層としては、熱をかけることによって接着性を発現すれば特に限定はなく、感熱性接着剤としては、熱溶融性化合物、熱可塑性樹脂などを挙げることができる。前記熱溶融性化合物としては、例えば、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂の低分子量物、カルナバワックス、モクロウ、キャンデリラワックス、ライスワックス、及び、オウリキュリーワックス等の植物系ワックス類、蜜ロウ、昆虫ロウ、セラック、及び、鯨ワックスなどの動物系ワックス類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、エステルワックス、及び、酸化ワックスなどの石油系ワックス類、モンタンロウ、オゾケライト、及びセレシンワックスなどの鉱物系ワックス類等の各種ワックス類を挙げることができる。さらに、ロジン、水添ロジン、重合ロジン、ロジン変性グリセリン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性ポリエステル樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、及びエステルガム等のロジン誘導体、フェノール樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、シクロペンタジエン樹脂、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、及び脂環族系炭化水素樹脂などを挙げることができる。
【0109】
なお、これらの熱溶融性化合物は、分子量が通常10,000以下、特に5,000以下で融点もしくは軟化点が50〜150℃の範囲にあるものが好ましい。これらの熱溶融性化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、前記熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン系共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、及びセルロース系樹脂などを挙げることができる。これらのなかでも、特に、エチレン系共重合体等が好適に使用される。
【0110】
接着層に利用される感光性樹脂層としては、上述のパターン露光に利用される感光性樹脂層と同様である。
【0111】
・その他の層
転写材料は、仮支持体と光学異方性層との間に、力学特性や凹凸追従性をコントロールするために力学特性制御層を有しているのが好ましい。力学特性制御層としては、柔軟な弾性を示すもの、熱により軟化するもの、熱により流動性を呈するものなどが好ましく、熱可塑性樹脂層が特に好ましい。熱可塑性樹脂層に用いる成分としては、特開平5−72724号公報に記載されている有機高分子物質が好ましく、ヴイカーVicat法(具体的にはアメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235によるポリマー軟化点測定法)による軟化点が約80℃以下の有機高分子物質より選ばれることが特に好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニル或いはそのケン化物の様なエチレン共重合体、エチレンとアクリル酸エステル或いはそのケン化物、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニル及びそのケン化物の様な塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なスチレン共重合体、ポリビニルトルエン、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なビニルトルエン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体ナイロン、共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロン、N−ジメチルアミノ化ナイロンの様なポリアミド樹脂等の有機高分子が挙げられる。
【0112】
転写材料においては、複数の塗布層の塗布時、及び塗布後の保存時における成分の混合を防止する目的から、中間層を設けることが好ましい。該中間層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断膜や、前記光学異方性形成用の配向層を用いることが好ましい。これらの内、特に好ましいのは、ポリビニルアルコールもしくはポリビニルピロリドンとそれらの変性物の一つもしくは複数を混合してなる層である。前記熱可塑性樹脂層や前記酸素遮断膜、前記配向層を兼用することもできる。
【0113】
樹脂層の上には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護する為に薄い保護フィルムを設けることが好ましい。保護フィルムは仮支持体と同じか又は類似の材料からなってもよいが、樹脂層から容易に分離されねばならない。保護フィルム材料としては例えばシリコン紙、ポリオレフィンもしくはポリテトラフルオロエチレンシートが適当である。
【0114】
仮支持体上に、光学異方性層、ならびに所望により感光性樹脂層、転写接着層、配向層、熱可塑性樹脂層及び中間層等の各層を形成する方法としては、前第1の例と同様、種々の塗布方法を利用することができる。二以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書及び原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
【0115】
・仮支持体
転写材料に用いられる仮支持体は、透明でも不透明でもよく特に限定はない。仮支持体を構成するポリマーの例には、セルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート)、ポリオレフィン(例、ノルボルネン系ポリマー)、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエステル及びポリスルホン、ノルボルネン系ポリマーが含まれる。製造工程において光学特性を検査する目的には、透明支持体は透明で低複屈折の材料が好ましく、低複屈折性の観点からはセルロースエステル及びノルボルネン系が好ましい。市販のノルボルネン系ポリマーとしては、アートン(JSR(株)製)、ゼオネックス、ゼオノア(以上、日本ゼオン(株)製)などを用いることができる。また安価なポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート等も好ましく用いられる。
【0116】
転写材料中の光学異方性層等を仮支持体上から、基板上に転写する方法については特に制限されない。例えば、フィルム状に形成した転写材料を、転写接着層面を基板表面側にして、ラミネータを用いて加熱及び/又は加圧したローラー又は平板で圧着又は加熱圧着して、貼り付けることができる。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネータ及びラミネート方法が挙げられるが、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。その後、支持体は剥離してもよく、剥離によって露出した光学異方性層表面に、他の層、例えば電極層等を形成してもよい。
【0117】
転写材料が感光性樹脂層を有する態様では、パターン露光の後、通常、現像を行う。前記第2の例の[3]加熱工程を行う場合は、現像処理は、加熱工程前に行うのが好ましい。用いられる現像液としては特に制約はないが、環境上、防爆上の問題からアルカリ現像が好ましく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、公知の現像液を使用することができる。尚、現像液は樹脂層が溶解型の現像挙動をするものが好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05〜5mol/Lの濃度で含むものが好ましい。また、上記現像液には、更に公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。
【0118】
現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディップ現像等、公知の方法を用いることができる。露光後の樹脂層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、未硬化部分を除去することができる。尚、現像の前に樹脂層の溶解性が低いアルカリ性の液をシャワーなどにより吹き付け、熱可塑性樹脂層、中間層などを除去しておくことが好ましい。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。洗浄液としては公知のものを使用できるが、(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有、商品名「T−SD1(富士フイルム(株)製)」、或いは、炭酸ナトリウム・フェノキシオキシエチレン系界面活性剤含有、商品名「T−SD2(富士フイルム(株)製)」)が好ましい。現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましく、また、現像液のpHは8〜13が好ましい。
【0119】
[光学異方性膜の形成方法:第4の例(インクジェット法の利用)]
本発明の組成物を塗布液として調製した後、基板等の表面に塗布する際に、インクジェット法を利用すると、微小ドメインに分割された光学異方性膜を容易に形成できる。また、インクジェット法では、吐出量を厳密に調整することができるので、形成される光学異方性膜の厚みを領域ごとに変化させて、その結果、各領域の光学特性を最適化できる点でも有利である。例えば、光学異方性膜を、液晶セル内に、R、G及びBの各画素領域に応じて分割して形成するのに有用である。また、吐出量を制御し膜厚を調整することで、R、G及びBに応じて、光学特性を最適化することができる。
【0120】
図5に、インクジェット法を利用して、液晶セル用基板上に光学異方性膜を形成する流れを、模式的に示した。
ガラス等からなる透明基板11上へネガ型ブラックマトリクスレジスト材料を使用し、フォトリソ法を用いてドットパターンのブラックマトリクス31(隔壁)を形成し、隔壁31によって隔てられた複数の微細領域aを形成する(図5(a))。尚、ブラックマトリクス31の形成においては、ブラックマトリクスの形成材料及び形成プロセスについては特に限定はなく、レジスト材料によるフォトリソ法を利用する方法以外の方法であっても、ブラックマトリクスパターンが形成できれば問題ない。ブラックマトリックス31のパターンは、ドットパターンに限定されるものではなく、形成するカラーフィルタの配列については特に制限はなく、ドット配列、ストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列等いずれであってもよい。
【0121】
ブラックマトリクス31は、パターン形成後にF原子を含むガス(CF4等)でプラズマ処理され、その表面が撥インク化処理されるのが好ましい。ブラックマトリクス12の撥インク化処理は、上記プラズマ処理以外に、ブラックマトリクス材料中に撥インク剤を含有させてもよいし、ブラックマトリクスを、ガラス基板11に対して撥インク性を示す材料から形成してもよい。
【0122】
次に、所望により撥インク化処理したブラックマトリクス31で隔てられた微細領域aへ、本発明のカチオン重合性組成物の流体12'を、インクジェット装置を用いて吐出して、微細領域a内に前記流体からなる層(図5(b))を形成する。前記流体は、インクジェットにより吐出可能であればよく、液晶性化合物等の材料の一部又は全部が分散した分散液を用いてもよいが、溶液であるのが好ましい。前記溶液の吐出が完了した後、該溶液の層の乾燥を行い液晶相とし、露光することによって、カチオン重合を進行させて、光学異方性層12を形成する(図5(c))。液晶相とするために、所望により加熱してもよく、その場合は、加熱装置を使用してもよい。
【0123】
このようにして形成された1層目の光学異方性層12の上に、カラーフィルタ用インク液32'によって2回目のインク吐出を行い(図5(d))、これを乾燥、及び所望により露光等して、2層目のカラーフィルタ層32が形成される((e))。
【0124】
光学異方性層12及びカラーフィルタ層32を形成する際のインク等の射出条件については特に制限されないが、光学異方性層形成用の流体やカラーフィルタ層形成用のインクの粘度が高い場合は、室温あるいは加熱下(例えば、20〜70℃)において、インク粘度を下げて射出することが射出安定性の点で好ましい。インク等の粘度変動は、そのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク等の温度を一定に保つのが好ましい。
【0125】
[本発明の光学異方性膜の用途]
本発明の光学異方性膜は、種々の用途に利用することができる。特に、着色が少ないので、可視光域における透過性が重要な、液晶表示装置の部材として有用である。
本発明の光学異方性膜は、例えばAプレート等の一軸性フィルム、又は二軸性フィルムに要求される特性を満足し得る。
Aプレートは、一般的には、nx>ny=nzの光学特性を満足するものと理解されているが、本明細書では、Re(550)が20〜300nm程度であり、Nz値(但し、Nz=Rth(550)/Re(550)+0.5)が0.9〜1.1程度の特性を示すものは、Aプレートの範囲に含まれるものとする。本発明の光学異方性膜は、Aプレートして機能し得るので、例えば、従来用いられているAプレートの代替として、液晶表示装置の光学補償に利用することができ、特にVAモードの液晶表示装置の光学補償に用いるのに適する。本発明の光学異方性膜をAプレートして(例えば、VAモードの液晶表示装置の光学補償に)利用する場合は、Re(550)は、50〜200nmであるのが好ましく、70〜200nmであるのがより好ましい。
二軸性フィルムは、一般的には、nx、ny及びnzが全て異なるものと理解されている。一例としては、nx>ny>nzを満足する光学特性を示すものが挙げられる。本発明の光学異方性膜は、Re(550)が20〜300nm程度であり、Nz値(但し、Nz=Rth(550)/Re(550)+0.5)が、1.1〜7.0程度の特性を示す二軸性フィルムとして機能し得る。即ち、本発明の光学異方性膜は、従来用いられている二軸性フィルムの代替として、液晶表示装置の光学補償に利用することができ、特にVAモードの液晶表示装置の光学補償に用いるのに適する。本発明の光学異方性膜を二軸性フィルムとして(例えば、VAモードの液晶表示装置の光学補償に)利用する場合は、Nzは、1.5〜7.0であるのが好ましく、2.0〜6.0であるのが好ましい。また、Re(550)は、20〜300nmであることが好ましく、20〜200nmであるのがより好ましく、20〜100nmであるのがよりさらに好ましい。
【0126】
また、本発明の光学異方性膜は、正のc−プレートとして要求される光学特性を満足し得る。正のc−プレートは、IPSモードの光学補償に利用される。
【0127】
また、前記第2の例の方法によって本発明の光学異方性膜を作製すると、パターン露光後の露光部に相当する面内レターデーションRe1の領域と、未露光部に相当する面内レターデーションRe2の領域(ただしRe1>Re2)とを有する光学異方性膜が得られる。Re2はRe1の80%以下が好ましく、Re1の50%以下であることがさらに好ましい。例えば、前記第2の例の方法によって、液晶セル用基板(図3中の11)上に、面内レターデーションR1を示す微細なドメイン(図3中露光部12A)と、面内レターデーションR2を示す微細なドメインRe2(図3中未露光部12B)とからなる光学異方性膜を形成することができる。R1がλ/4程度の態様は、半透過型液晶セル用基板として好ましい。
図6に、前記第2の例の方法(本発明の方法)により作製される半透過型液晶表示装置用基板であってカラーフィルタ層を有する一例の概略断面図及び概略上面図を示す。図6に示す態様は、図2(a)に示す態様の転写材料を用いて作製できる。
図6の液晶セル用基板では、ガラスや低複屈折性ポリマー等からなる基板11上に、ブラックマトリクス31、及びその上にフォトリソ工程等により形成されたカラーフィルタ層32を有する。さらにその上に、転写材料から光学異方性層12及び接着層14を転写後、パターン露光(前記工程[2])及び加熱工程(前記工程[3])を経ることによって、Re1を示す露光部12AとRe2を示す未露光部12Bとがパターン状に形成される。半透過LCDの場合、RGBからなる一画素の中に透過部33と反射部34が設けられていて、Re1を示す露光部12Aは反射部34に、及びRe2を示す未露光部12Bは透過部33に相当している。反射部34に相当する露光部12Aの面内レターデーションRe1は、λ/4程度であり、これにより波長分散の影響を抑えて反射表示が可能となる。一方、透過部33では、λ/4板は本来不要であるので、それに相当する未露光部12Bの面内レターデーションRe2は、ほぼ0に近い値となっている。
【0128】
図7に、前記第2の例の方法(本発明の方法)により作製される半透過型液晶表示装置用基板であってカラーフィルタ層を有する他の例の概略断面図及び概略上面図を示す。図7に示す態様は、図2(c)に示す態様、即ち、感光性樹脂層15(但しネガ型)を有する転写材料を用いて作製できる。
図7の態様は、反射部34に相当する露光部12A上にのみ感光性樹脂層15が残存し、反射部34のセルギャップが、透過部33のセルギャップより小さくなっている、いわゆるマルチギャップの液晶セル用基板である。
【0129】
なお、図6及び図7では、カラーフィルタ層を有する基板側に、本発明の光学異方性膜を形成した態様を示したが、TFT層を有する基板側に形成しても勿論よい。その場合、光学異方性層はどの位置に形成されてもよいが、TFTアレイ工程はシリコン形成に通常300℃以上の高温プロセスを要することから、TFTを有するアクティブ駆動型の場合、光学異方性層はTFTのシリコン層よりも上であることが好ましい。
【0130】
図8に、図7に示す液晶セル用基板を、カラーフィルタ層を有する側の液晶表示装置用基板48として用いた半透過型液晶表示装置の一例の概略断面図を示す。
図8の半透過型液晶表示装置では、偏光層41を挟む保護フィルム42及び43からなる2枚の偏光板49が、粘着剤層44を介して、液晶セルの上下基板11にそれぞれ貼合されている。液晶セルの下側基板11にはTFTなどの駆動素子45が形成されており、半透過型の反射部にのみ、その上にアルミや誘電体多層膜などからなる反射板46が形成されている。液晶セル上下基板11の間には液晶47が満たされており、この液晶の配向が電圧印加で変化することにより液晶表示装置がスイッチングされる。上下の液晶表示装置用基板11の最表面には、液晶47の配向を決めるために配向膜(図中は省略)が形成され、その上をラビング処理されるのが一般的である。反射部には、反射板46と感光性樹脂層15が存在するので、透過部とは異なるセルギャップになっている。偏光層を挟む2枚の保護フィルムのうち、液晶セル側の保護フィルム43は、光学補償能を示すフィルムを用いてもよいし、保護フィルム42と同様のフィルムを用いてもよい。例えば、透過部について上下2枚の保護フィルム43のレターデーションによって視野角が制御され、反射部は上側保護フィルム43のレターデーションとセル内の光学異方性層12Aによって視野角が制御される。
【0131】
図9に比較例として、液晶セル内に本発明の光学異方性膜を有していない従来の半透過型LCDの一例を示す。43Aはλ/2板、43Bはλ/4板で、43Aと43Bとで広帯域λ/4となる。上下に広帯域λ/4板を配置し、反射部は上側補償シート43で反射型LCD表示を行い、透過型LCDには不要な上側の広帯域λ/4板を、下側偏光板でキャンセルする必要があり、補償シートとしては上下4枚必要となる。
【0132】
図10に、本発明の光学異方性膜を有する、液晶表示装置に利用可能な基板の他の例の概略断面図を示す。図10に示す液晶セル用基板は、例えば、前記第4の例、即ち、インクジェット法を利用した方法により作製することができる。
図10(a)に示す液晶セル用基板は、ガラスやポリマーフィルム等からなる基板11上に、隔壁としてブラックマトリクス31が形成され、隔壁で隔てられた微細領域内にインクジェット方式により吐出して形成された、光学異方性層12及びパターン状のカラーフィルタ層32が形成されている。さらにその上に透明電極層25と配向層26とを有する。図10(a)には、R、G、Bのカラーフィルタ層32を形成した態様を示したが、R、G、B、W(白)の層からなるカラーフィルタ層を形成してもよい。光学異方性層12はr、g、b領域に分割され、R、G、Bそれぞれのフィルタ層32の色相に対して、それぞれ最適な位相差特性を有している。
【0133】
図10(b)に示す態様は、さらに第2の光学異方性層24を有する。ベタの第2の光学異方性層24をパターニングされた光学異方性層12と同じカラーフィルタ側基板側に形成してもよいし、図は省略するが対向基板側に形成してもよい。対向基板側には一般にTFTアレイなどの駆動用電極が配置されていることが多く、対向基板上であればどの位置に形成されてもよいが、TFTを有するアクティブ駆動型の場合、光学異方性層の耐熱性からシリコン層よりも上であることが好ましい。
【0134】
図11(a)及び(b)の例はそれぞれ、図10(a)及び(b)の基板を上側基板として用い、TFT52付の透明電極層25及びその上に配向層26を有するガラス基板11を対向基板として配置し、その間に液晶51を挟んだ液晶セル57を有する液晶表示装置である。液晶セル57の両側には、セルロースアセテート(TAC)フィルム等からなる保護層54及び55に挟まれた偏光層53からなる偏光板56が配置されている。液晶セル側の保護層55は光学補償シートとしての光学特性を満足するTACフィルム等の高分子フィルムであってもよいし、保護層54と同一の高分子フィルムからなっていてもよい。図には示さないが、反射型液晶表示装置の態様では偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セルの背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろんフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。さらに、表示装置の1画素内に、透過部と反射部を設けた半透過型も可能である。表示モードは特に制限がなく、全ての透過型及び反射型液晶表示装置に用いることが可能である。中でも色視野角特性改良が望まれるVAモード及びIPSモードの態様が好ましい。
【実施例】
【0135】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
【0136】
[転写材料の作製:実施例1と2、及び比較例1]
(熱可塑性樹脂層用塗布液CU−1の調製)
下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、熱可塑性樹脂層用塗布液CU−1として用いた。
──────────────────────────────────―────
熱可塑性樹脂層用塗布液組成(%)
────────────────────────────────────────
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=55/30/10/5、重量平均分子量=10万、Tg≒70℃) 5.89
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)=65/35、重量平均分子量=1万、Tg≒100℃) 13.74
・BPE−500(新中村化学(株)製) 9.20
・メガファックF−780−F(大日本インキ化学工業(株)社製) 0.55
・メタノール 11.22
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 6.43
・メチルエチルケトン 52.97
──────────────────────────────────────―
【0137】
(配向層用塗布液AL−1の調製)
下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、中間層/配向層用塗布液AL−1として用いた。
──────────────────────────────────――
中間層/配向層用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────――
・ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製) 3.21
・ポリビニルピロリドン(Luvitec K30、BASF社製) 1.48
・蒸留水 52.1
・メタノール 43.21
──────────────────────────────────――
【0138】
(光学異方性層用塗布液LC−1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方性層用塗布液LC−1として用いた。
LC−1−1は特開2004−123882に記載の方法を基に合成した。
LC−1−2はTetrahedron Lett.誌、第43巻、6793頁(2002)に記載の方法に準じて合成した。
──────────────────────────────────────
光学異方性層用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────―───
・棒状液晶(LC−1−1) 20.0
・水平配向剤(LC−1−2) 0.02
・カチオン重合開始剤(P−1)
0.4
・増感剤(Z−1) 0.4
・メチルエチルケトン 79.18
──────────────────────────────────―───
【0139】
【化25】

【0140】
(感光性転写接着/樹脂層用塗布液AD−1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、感光性転写接着/樹脂層用塗布液AD−1として用いた。
──────────────────────────────────――
感光性転写接着/樹脂層用塗布液組成(質量%)
──────────────────────────────────――
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メタクリル酸メチル
=35.9/22.4/41.7モル比のランダム共重合物
(重量平均分子量3.8万) 8.05
・KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製) 4.83
・ラジカル光重合開始剤(2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルメチル)
1,3,4−オキサジアゾール) 0.12
・ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.002
・メガファックF−176PF(大日本インキ化学工業(株)製) 0.05
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 34.80
・メチルエチルケトン 50.538
・メタノール 1.61
──────────────────────────────────――
【0141】
(実施例1の転写材料の作製)
厚さ100μmの易接着ポリエチレンテレフタレートフィルム(コスモシャインA4100、東洋紡績(株)製)の仮支持体の上に、ワイヤーバーを用いて順に、熱可塑性樹脂層用塗布液CU−1、及び配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥した。乾燥膜厚はそれぞれ14.6μm、1.6μmであった。形成した配向層をラビング処理した後、ワイヤーバーを用いて光学異方性層用塗布液LC−1を塗布、膜面温度105℃で2分間乾燥し、液晶相状態とした後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度240mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射してその配向状態を固定化して、厚さ3.5μmの光学異方性層を形成した。その後、感光性転写接着層用塗布液AD−1を光学異方性層の表面に塗布、乾燥して1.0μmの感光性樹脂層を形成し転写材料を形成した。これを実施例1の転写材料として用いた。
【0142】
(実施例2の転写材料の作製)
光学異方性層の厚みを1.8μmとした以外は実施例1と同様にして、実施例2の転写材料を作製した。
【0143】
(比較例1の転写材料の作製)
光学異方性層用塗布液LC−1中のカチオン光重合開始剤(P−1)及び増感剤(Z−1)の代わりに、カチオン光重合開始剤(Cyracure UVI6974、ダウ・ケミカル)を用い、層の厚みを1.8μmとした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の転写材料を作製した。
【0144】
(位相差測定)
ファイバ型分光計を用いた平行ニコル法により、各転写材料の光学異方性層について、波長λにおける正面レターデーションRe(0)及び遅相軸を回転軸として±40度サンプルを傾斜させたときの545nmにおけるレターデーションRe(40)、Re(-40)を測定した。位相差測定結果を下記表に示す。
【0145】
【表1】

【0146】
[液晶表示装置用基板の作製:実施例3と4、及び比較例2]
小林駿介編著、カラー液晶ディスプレイ、240頁、産業図書(1994)に記載の一般的な方法で、ガラス基板上にブラックマトリクス及びRGBの3色のカラーフィルタを有するカラーフィルタ基板を作製した。
その上に、実施例1の転写材料を、ラミネータ((株)日立インダストリイズ製(LamicII型))を用い、前記100℃で2分間加熱した基板に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分でラミネートした。
仮支持体を剥離後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該感光性樹脂層の間の距離を200μmに設定し、露光量25mJ/cm2でパターン露光した。
次に、230℃のマッフル炉で1時間ベークして、レターデーションのパターンを有する図3(b)の態様の、液晶表示装置用基板を作製した。これを実施例3の液晶表示装置用基板として用いた。
【0147】
さらに、実施例1の転写材料に代えて、実施例2及び比較例1の転写材料を用いた以外は、実施例3と同様にして、実施例4及び比較例2の液晶表示装置用基板を作製した。
【0148】
[液晶表示装置用基板の作製:実施例5と6、及び比較例3]
実施例3の液晶表示装置用基板の作製に使用したものと同じカラーフィルタ基板上に、実施例1の転写材料を実施例3と同様にラミネートし、仮支持体を剥離した。その後、感光性樹脂層塗布液AD−1をスピンコート塗布し、厚さ2.0μmの感光性樹脂層を形成した。次いで、超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該感光性樹脂層の間の距離を200μmに設定し、露光量25mJ/cm2でパターン露光した。さらに、炭酸Na系現像液(0.06mol/Lの炭酸水素ナトリウム、同濃度の炭酸ナトリウム、1%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、安定剤含有、商品名:T−CD1、富士フイルム(株)製)を用い、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像して感光性樹脂層を現像し、段差層を得た。
引き続き洗浄剤(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有、商品名「T−SD1(富士フイルム(株)製)」を用い、コーン型ノズル圧力0.02MPaでシャワーとナイロン毛を有す回転ブラシにより残渣除去を行った後、230℃のマッフル炉で1時間ベークして、レターデーションをパターン状に有する図4(b)の態様の液晶表示装置用基板(実施例5)を作製した。
【0149】
また、実施例1の転写材料に代えて、実施例2及び比較例1の転写材料をそれぞれ用いた以外は、実施例5と同様にして実施例6及び比較例3の液晶表示装置用基板を作製した。
【0150】
実施例5と6、及び比較例3の各基板上に形成された光学異方性膜について、レターデーションを測定した結果を以下に示す。
また、各液晶表示装置用基板の透過部の410nmにおける透過率を紫外可視吸収スペクトル測定用装置UV−3100(島津製作所製)で測定した。
【0151】
【表2】

【0152】
[実施例7:半透過型LCDの作製]
実施例6の液晶表示装置用基板上に透明電極、ポリイミドからなる配向膜を形成し、対向の液晶表示装置用基板に反射板付きTFT基板を用いて、半透過型ECB−LCDを作製した。
[比較例4:半透過型LCDの作製]
比較例3の液晶表示装置用基板を用い、実施例7と同様にして比較例4の半透過型ECB−LCDを作製した。
実施例7及び比較例4の目視官能評価を表3に示す。
【0153】
【表3】

【0154】
[実施例8:VAモードLCDの作製]
(隔壁作製用黒色感光性組成物の製法)
黒色感光性組成物K1は、まず上記表に記載の量のK顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150RPM、10分間攪拌し、次いで、上記表に記載の量のメチルエチルケトン、バインダ2、ハイドロキノンモノメチルエーテル、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4'−(N,N−ジエトキシカルボニルメチルアミノ)−3'−ブロモフェニル]−s−トリアジン、界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150RPM30分間攪拌することによって得られる。なお、下記表に記載の量は質量部であり、詳しくは以下の組成となっている。
【0155】
<K顔料分散物1>
・カーボンブラック(デグッサ社製 Nipex35) 13.1%
・分散剤(下記化合物1) 0.65%
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、分子量3.7万) 6.72%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 79.53%
【0156】
【化26】

【0157】
<バインダ2>
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比のランダム共重合物、分子量3.8万) 27%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73%
<DPHA液>
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ 500ppm含有、日本化薬(株)製、商品名:KAYARAD DPHA) 76%
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 24%
<界面活性剤1>
・下記構造物1 30%
・メチルエチルケトン 70%
【0158】
【化27】

【0159】
【表4】

【0160】
(遮光性隔壁の形成)
無アルカリガラス基板を、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。基板を120℃3分熱処理して表面状態を安定化させた。
基板を冷却し23℃に温調後、スリット状ノズルを有するガラス基板用コーター(エフ・エー・エス・アジア社製、商品名:MH−1600)にて、上記表に記載の組成よりなる黒色感光性組成物K1を塗布した。引き続きVCD(真空乾燥装置、東京応化工業(株)製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布層の流動性を無くした後、120℃3分間プリベークして膜厚10μmの黒色感光層K1を得た。
【0161】
超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と黒色感光層K1の間の距離を200μmに設定し、窒素雰囲気下、露光量300mJ/cm2でパターン露光した。
【0162】
次に、純水をシャワーノズルにて噴霧して、黒色感光層K1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液(KOH、ノニオン界面活性剤含有、商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)にて23℃80秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像しパターニング画像を得た。引き続き、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で噴射して残渣除去を行い、大気下にて露光量2000mJ/cm2にてポスト露光を行って光学濃度3.9の黒色隔壁を得た。ガラス基板表面には、この黒色隔壁により隔てられた微細領域が形成された。
【0163】
(配向層用塗布液AL−1の調製)
下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、配向層用塗布液AL−1として用いた。
──────────────────────────────────――
配向層用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────――
ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製) 3.21
ポリビニルピロリドン(Luvitec K30、BASF社製) 1.48
蒸留水 52.1
メタノール 43.21
──────────────────────────────────――
【0164】
(光学異方性層用塗布液LC−2の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方性層用塗布液LC−2として用いた。

──────────────────────────────────――
光学異方性層用塗布液組成(%)
──────────────────────────────────――
棒状液晶(LC−3) 20.0
水平配向剤(LC−1−2) 0.02
カチオン重合開始剤(P−1)
0.4
増感剤(Z−1) 0.4
メチルエチルケトン 79.18
──────────────────────────────────――
【0165】
【化28】

【0166】
カラーフィルタ用組成物
下記表にそれぞれの各RGB画素用組成物の組成を示す。
【0167】
【表5】

【0168】
上記表中の組成物の組成は以下の通りである。
[R顔料分散物−1組成]
──────────────────────────────────――
R顔料分散物−1組成(%)
──────────────────────────────────――
C.I.ピグメント・レッド254 8.0
5−[3−オキソ−2−[4−[3,5−ビス(3−ジエチルアミノプロピルアミノカルボニル)フェニル]アミノカルボニル]フェニルアゾ]−ブチロイルアミノベンズイミダゾロン 0.8
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、(重量平均分子量3.7万) 8.0
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 83.2
──────────────────────────────────――
【0169】
[R顔料分散物−2組成]
──────────────────────────────────――
R顔料分散物−2組成(%)
──────────────────────────────────――
C.I.ピグメント・レッド177 18.0
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、
(重量平均分子量3.7万) 12.0
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 70.0
──────────────────────────────────――
【0170】
[G顔料分散物組成]
──────────────────────────────────――
G顔料分散物組成(%)
──────────────────────────────────――
C.I.ピグメント・グリーン36 18.0
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比のランダム共重合物、
(重量平均分子量3.7万) 12.0
シクロヘキサノン 35.0
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 35.0
──────────────────────────────────――
【0171】
[バインダ1組成]
──────────────────────────────────――
バインダ1組成(%)
──────────────────────────────────――
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比のランダム共重合物
(重量平均分子量4万) 27.0
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73.0
──────────────────────────────────――
【0172】
[バインダ2組成]
──────────────────────────────────――
バインダ2組成(%)
──────────────────────────────────――
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート=
38/25/37モル比のランダム共重合物(重量平均分子量3万)27.0
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73.0
──────────────────────────────────――
【0173】
[バインダ3組成]
──────────────────────────────────――
バインダ3組成(%)
──────────────────────────────────――
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート=
36/22/42モル比のランダム共重合物(重量平均分子量3万)27.0
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73.0
──────────────────────────────────――
【0174】
[DPHA組成]
──────────────────────────────────――
DPHA溶液組成(%)
──────────────────────────────────――
KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製) 76.0
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 24.0
──────────────────────────────────――
【0175】
(R層形成用液PP−R1の調製)
R層形成用液PP−R1は、まず上記表中に記載の量のR顔料分散物1、R顔料分散物2、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、表中に記載の量のメチルエチルケトン、バインダ2、DPHA溶液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルメチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチル)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン、フェノチアジンをはかり取り、温度24℃(±2℃)でこの順に添加して150rpm10分間攪拌し、次いで、上記表中に記載の量のED152をはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpm20分間攪拌し、更に、表中に記載の量のメガファックF−176PFをはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpm30分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得られた。
【0176】
(G層形成用液PP−G1の調製)
G層形成用液PP−G1は、まず上記表中に記載の量のG顔料分散物、CFイエローEX3393、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpm10分間攪拌し、次いで、表中に記載の量のメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、バインダ1、DPHA溶液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルメチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチル)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン、フェノチアジンをはかり取り、温度24℃(±2℃)でこの順に添加して150rpm30分間攪拌し、更に、表中に記載の量のメガファックF−176PFをはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpm5分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得られた。
【0177】
(B層形成用液PP−B1の調製)
B層形成用液PP−B1は、まず上記表中に記載の量のCFブルーEX3357、CFブルーEX3383、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpm10分間攪拌し、次いで、表中に記載の量のメチルエチルケトン、バインダ3、DPHA溶液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルメチル)−1,3,4−オキサジアゾール、フェノチアジンをはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpm30分間攪拌し、更に、表中に記載の量のメガファックF−176PFをはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpm5分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得られた。
【0178】
(配向層の作製)
上記で得られた配向層用塗布液AL−1をピエゾ方式のヘッドを用いて、遮光性隔壁に囲まれた凹部に打滴、乾燥した。配向層は1.6μmであった。続いて、形成した配向層をラビング処理した。
【0179】
(光学異方性層の作製)
R用光学異方性層R−1として、上記で得られた光学異方性層用塗布液LC−2をピエゾ方式のヘッドを用いて遮光性隔壁に囲まれた配向層AL−1を有する凹部に打滴し、95℃2分間加熱乾燥熟成して均一な液晶相を有する層を形成した。さらに熟成後、直ちにこの層に対して、UVを照射(照度200mW/cm2、照射量200mJ/cm2)して光学異方性層を固定化し、厚さ1.7μmの光学異方性層R−1を形成した。
同様にして打滴量を調節し、G用、B用光学異方性層G−1、B−1を形成した。G−1、B−1の光学異方性層はそれぞれ1.4μm、1.1μmであった。
【0180】
本実施例では、R、G、B各画素に対応する部分に、搬送速度、駆動周波数を制御し、所望するR、G、Bに対応する凹部に各光学異方性層用塗布液を打滴した。
【0181】
(カラーフィルタ層の作製)
上記で得られたR、G及びB層形成用液である、PP−R1、PP−G1及びPP−B1を、ピエゾ方式のヘッドを用いて遮光性隔壁に囲まれた凹部に、下記のように打滴を行った。
ヘッドは25.4mmあたり150のノズル密度で、318ノズルを有しており、これを2個ノズル列方向にノズル間隔の1/2ずらして固定することにより、基板上にはノズル配列方向に25.4mmあたり300滴打滴される。ヘッド及びインクは、ヘッド内に温水を循環させることにより吐出部分近辺が40±0.5℃となるように制御されている。
【0182】
ヘッドからのインク吐出は、ヘッドに付与されるピエゾ駆動信号により制御され、一滴あたり6〜42plの吐出が可能であって、本実施例ではヘッドの下1mmの位置でガラス基板が搬送されながらヘッドより打滴される。搬送速度は50〜200mm/sの範囲で設定可能である。またピエゾ駆動周波数は最大4.6KHzまでが可能であって、これらの設定により打滴量を制御することができる。
【0183】
本実施例では、R、G、B各画素に対応する部分にR、G、Bそれぞれ、顔料の塗設量が、1.1、1.8、0.75g/m2なるように、搬送速度、駆動周波数を制御し、所望するR、G、Bに対応する凹部に各R、G及びB層形成用液PP−R1、PP−G1及びPP−B1を打滴した。
その後、100℃にて乾燥させ、さらに240℃にて1時間熱処理を実施し、光学異方性層上にカラーフィルタ画素を形成した。
【0184】
R、G、Bに対して波長λはそれぞれ611nm、545nm、435nmとして、RGBそれぞれの上に形成されている光学異方性層のレターデーションをそれぞれ測定した。
【0185】
【表6】

【0186】
(透明電極の形成)
上で作製したカラーフィルタ上に透明電極膜(膜厚2000Å)をITOのスパッタリングにより形成した。
【0187】
(配向層の形成及び液晶セル形成)
更にその上にポリイミドの配向膜を設けた。次に粒子径5μmのガラスビーズを散布した。さらにカラーフィルタの画素群の周囲に設けられたブラックマトリックスの外枠に相当する位置に、スペーサ粒子を含有するエポキシ樹脂のシール剤を印刷し、カラーフィルタ基板を対向基板と10kg/cmの圧力で貼り合わせた。次いで、貼り合わされたガラス基板を150℃、90分で熱処理し、シール剤を硬化させ、2枚のガラス基板の積層体を得た。このガラス基板積層体を真空下で脱気し、その後大気圧に戻して2枚のガラス基板の間隙に液晶を注入し、液晶セルを得た。この液晶セルの上側偏光板(観察者側)には、特開2005−173567に記載の方法に従い作製した負のC−プレート付き偏光板を用いた。下側偏光板(バックライト側)には、サンリッツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。負のC−プレートのReは0nm、Rthは200nmであった。
【0188】
(VAモードLCDの作製)
カラー液晶表示装置用冷陰極管バックライトとしては、BaMg2Al1627:Eu,Mnと、LaPO4:Ce,Tbとを重量比50:50で混合した蛍光体を緑色(G)、Y23:Euを赤色(R)、BaMgAl1017:Euを青色(B)として、任意の色調を持つ白色の三波長蛍光ランプを作製した。このバックライト上に上記偏光板を付与した液晶セルを設置しVAモードLCDを作製した。
【0189】
[VAモードLCDの作製:比較例5]
光学異方性層形成用塗布液LC−2中のカチオン重合開始剤(P−1)及び増感剤(Z−1)の代わりにカチオン光重合開始剤(Cyracure UVI6974、ダウ・ケミカル)を用いて、実施例8と同様にしてVAモードLCDを作製した。
【0190】
(VAモードLCDの評価)
作製した各VAモード液晶表示装置の視野角特性を視野角測定装置(EZ Contrast 160D、ELDIM社製)で測定した。具体的には、黒表示(電圧無印加)時におけるLCD正面より右方向、右上45度方向、上方向に0〜80度だけ視野角を変化させたときの右斜め上45度方向について目視で評価した結果を下記表に示す。
【0191】
【表7】

【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】本発明の方法の一例を説明するために用いた模式図である。
【図2】本発明の方法に用いられる転写材料の一例の概略断面図である。
【図3】本発明の方法によって作製可能な光学部材の一例の概略断面図である。
【図4】本発明の方法によって作製可能な光学部材の他の例の概略断面図である。
【図5】本発明の光学異方性膜をインクジェット法を利用して作製する方法の一例を説明するために用いた模式図である。
【図6】本発明の光学異方性膜を有する半透過型液晶表示装置用基板の一例の概略断面図及び概略上面図である。
【図7】本発明の光学異方性膜を有する半透過型液晶表示装置用基板の他の例の概略断面図及び概略上面図である。
【図8】本発明の光学異方性膜を有する半透過型液晶表示装置の一例の概略断面図である。
【図9】従来の半透過型液晶表示装置の一例の概略断面図である。
【図10】本発明の光学異方性膜を有する液晶表示装置用基板の二例の概略断面図である。
【図11】本発明の光学異方性膜を有する液晶表示装置の二例の概略断面図である。
【符号の説明】
【0193】
11 基板
12 光学異方性層(本発明の光学異方性膜)
12' 本発明の組成物の流体
12A 光学異方性層の露光部
12B 光学異方性層の未露光部
13 配向層
14 転写用接着層
15 感光性樹脂層
21、21' 仮支持体
22 配向層(仮支持体上)
23 力学特性制御層
24 第2の光学異方性層
25 透明電極層
26 配向層
31 ブラックマトリクス
32 カラーフィルタ層
33 透過部
34 反射部
41 偏光層
42 偏光板保護フィルム
43 偏光板保護フィルム(又は光学補償シート)
43A λ/2板
43B λ/4板
44 粘着層
45 駆動素子
46 反射板
47 液晶
48 液晶表示装置用基板
49 偏光板
51 液晶
52 TFT
53 偏光層
54 偏光板保護フィルム
55 偏光板保護フィルム(又は光学補償シート)
56 偏光板
57 液晶セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン重合性基を有する液晶化合物の少なくとも1種と、下記一般式(1)で表されるカチオン重合開始剤の少なくとも1種とを含有することを特徴とする組成物:
【化1】

式中、X1〜X3はそれぞれ、ハロゲン原子を表し;Y1及びY2はそれぞれ、水素原子又はハロゲン原子を表し、互いに結合し環構造を形成してもよく、互いに結合する場合は、直接又は酸素原子、イオウ原子、窒素原子もしくは炭素原子を介して結合して環構造を形成してもよく、窒素原子もしくは炭素原子を介して環構造を形成する場合は、窒素原子もしくは炭素原子は置換されていてもよく;Z1〜Z3はそれぞれ、置換もしくは無置換の、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、又はアリールオキシカルボニル基を表し;n1〜n3及びm1〜m3はそれぞれ、0≦n1+m1≦4、0≦n2+m2≦4及び0≦n3+m3≦4をそれぞれ満足する整数を表し;Mは対アニオンを表す。
【請求項2】
前記カチオン重合性基が、ビニルエーテル基、オキセタニル基、及びエポキシ基のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記液晶化合物が、さらにラジカル重合性基を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ラジカル重合性基が、アクリル基又はメタクリル基であることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物から形成されることを特徴とする光学異方性膜。
【請求項6】
少なくとも次の[1]〜[3]の工程をこの順に含む光学部材の製造方法:
[1]基板上に請求項3又は4に記載の組成物を塗布した後、熱又は電離放射線を供与して光学異方性層を形成する工程
[2]光学異方性層をパターン露光する工程
[3]光学異方性層を80℃〜400℃で加熱する工程。
【請求項7】
請求項5に記載の光学異方性膜を有する液晶表示装置。
【請求項8】
前記光学異方性膜を液晶セル内に有することを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記光学異方性膜が、面内レターデーションReが互いに異なる複数のドメインを含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−145454(P2009−145454A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320567(P2007−320567)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】