組成物、及び該組成物を用いた貼付材、並びにこれらの製造方法
【課題】粘着剤用の組成物に必要な性質を飛躍的に向上し得る、全く新規な構造の組成物を提供すること。
【解決手段】疎水性物質と、親水性物質と、を含む組成物であって、前記疎水性物質で形成された連続相(1)と、前記親水性物質で形成された連続相(2)と、がマトリックス状に混在する組成物を提供する。該組成物は、疎水性物質で形成される連続相(1)と、親水性物質で形成される連続相(2)と、が複雑に絡み合ったマトリックス構造を呈するため、吸水力、透明性、保持力等の粘着剤用の組成物に必要な性質を飛躍的に向上させることができる。
【解決手段】疎水性物質と、親水性物質と、を含む組成物であって、前記疎水性物質で形成された連続相(1)と、前記親水性物質で形成された連続相(2)と、がマトリックス状に混在する組成物を提供する。該組成物は、疎水性物質で形成される連続相(1)と、親水性物質で形成される連続相(2)と、が複雑に絡み合ったマトリックス構造を呈するため、吸水力、透明性、保持力等の粘着剤用の組成物に必要な性質を飛躍的に向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性、透明性に優れた組成物に関する。より詳しくは、疎水生成物質と親水性物質からなる新規な構造を備えた組成物、及び該組成物を用いた貼付材、並びにこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、疎水性物質と親水性物質とを含む組成物は、様々な用途に使用されている。例えば、創傷、ストーマ、瘻孔、褥瘡等の保護、及びそこからの体液等の吸収のための被覆手段、褥瘡予防等のための保護や圧力緩和手段として使用されている。
【0003】
このように様々な分野で有効に活用されている組成物には、一般的に以下のような性質が求められる。
(1)皮膚から発生する汗や滲出液等に対して十分な吸水性が確保されていること。
(2)汗や滲出液等を吸収した後にも、十分な形状保持性を有すること。
(3)皮膚への刺激が少ないこと(低刺激性)。
(4)創傷等の目視を可能とするために、透明性を有すること。
【0004】
このような、前記性質を有する組成物は、皮膚等へ塗布し、他の貼付材等を用いて固定して用いられることもあるが、前記組成物自体に粘着付与剤等を加えることにより、粘着力を有する粘着組成物として使用されることもある。
【0005】
ここで、前記のような粘着組成物に用いる組成物に求められる性質を向上させる技術として、例えば、特許文献1には、特定のゴム系粘着組成物に水溶性高分子及び多価アルコールの脂肪酸エステルを所要量ずつ配合することで、粘着組成物に吸湿性を持たすことにより、粘着性を損なうことなく透湿性を付与した医療用粘着テープが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、連続する感圧接着剤マトリックスに、膨潤させた親水性ゲルを分散させることにより水蒸気透過度、及び剥離強さを向上させる技術が、特許文献3には、所定の条件で特定の複素弾性率及び位相差を示すようにハイドロコロイド材を調製することにより、接着性、汗や滲出液の吸収性、吸収後の形状保持性を維持する技術が、それぞれ開示されている。
【0007】
ところで、疎水性物質と親水性物質とを含む従来の組成物は、一般的に、図12に示すように、疎水性物質からなる連続相101に、親水性物質が分散102された構造を呈している。若しくは、図13に示すように、親水性物質からなる連続相102に、疎水性物質が分散101された構造を呈している。
【0008】
そして、その製造方法は、例えば、ヒドロコロイド(親水性物質)を膨潤剤を用いて、膨潤ヒドロコロイドゲル粒子を形成し、その後、溶媒に溶かした感圧接着剤組成物(疎水性物質)と混合及び攪拌して、疎水性物質からなる連続相101に、親水性物質102が分散された構造が形成されることにより製造される(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平06−16542号公報
【特許文献2】特表平05−503863号公報
【特許文献3】特開2004−305725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、前記の通り、疎水性物質と親水性物質とを含む従来の組成物は、その含有成分等を工夫することにより、様々な方向からその性質を向上させる技術が開発されつつある。
【0011】
しかしながら、前記組成物の含有成分等を工夫しても、疎水性物質と親水性物質との基本的な構造は類似しているため、上記(1)〜(4)の要件を満足する組成物はいまだなく、吸水力等の前記組成物に必要な性質を飛躍的に向上させるには限界があった。
【0012】
そこで、上記(1)〜(4)の要件をすべて満たし、なおかつ吸水力及び透明性が飛躍的に向上し得る、全く新規な構造の組成物を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明者らは、前記課題を解決するために、粘着組成物中の疎水性物質と親水性物質との構造に着目し、粘着組成物に必要な性質を飛躍的に向上させるための方法を鋭意研究した結果、疎水性物質からなる連続相に親水性物質が分散された一般的構造から発想を転換して、根本的に全く新規な構造を形成させることに成功し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
即ち、本発明では、まず、疎水性物質と、親水性物質と、を含む組成物であって、
前記疎水性物質で形成された連続相(1)と、前記親水性物質で形成された連続相(2)と、がマトリックス状に混在する組成物を提供する。
該組成物は、前記疎水性物質と前記親水性物質とを混合した後に、前記親水性物質を連続相化し、前記連続相(2)を形成することで、前記連続相(1)と前記連続相(2)と、がマトリックス状に混在する構造を形成して製造することができる。
本発明に係る組成物は、前記疎水性物質のみを溶解する溶媒のみに接触させた場合、及び、前記親水性物質のみを溶解する溶媒のみに接触させた場合には溶解又は崩壊はしないが、前記疎水性物質を溶解する溶媒及び前記親水性物質を溶解する溶媒を所定条件下において接触させた場合には溶解又は崩壊するという性質を有する。
本発明に係る組成物は、前記構造を呈するものであれば、その吸水率は特に限定されないが、1時間後の吸水率が120%以上であると好ましい。本発明に係る組成物の光透過度も特に限定されないが、波長550nmの光透過率が12%以上であると好ましい。
【0015】
以上説明した本発明に係る組成物は、例えば、支持層と、該支持層の少なくとも片面に粘着層と、を少なくとも備える貼付材の前記粘着層に好適に用いることができる。
【0016】
本発明では、次に、疎水性物質と、親水性物質と、を含む組成物の製造方法であって、
前記疎水性物質と前記親水性物質とを混合する混合工程と、
該混合工程を経た後に、混合物中の前記親水性物質を連続相化する工程と、
を少なくとも行う組成物の製造方法を提供する。
【0017】
本発明では、更に、支持層と、該支持層の少なくとも片面に粘着層と、を少なくとも備える貼付材の製造方法であって、
前記疎水性物質と前記親水性物質とを混合する混合工程と、
該混合工程を経た後に、混合物中の前記親水性物質を連続相化する工程と、
を少なくとも行うことにより組成物を作製し、
該組成物を前記支持層の少なくとも片面に設ける塗工工程と、
を行う貼付材の製造方法を提供する。
【0018】
ここで本発明で用いる技術用語を説明する。
【0019】
本発明で用いる「連続相」とは、所定の物質からなる相が他の相に完全に覆われて点状に存在する「分散相」あるいは「分散」とは異なる概念であり、所定の物質からなる相が他の相に完全に覆われることなく、少なくとも線状あるいは面状に連続的な広がりを呈する相をいう。
【0020】
「マトリックス状に混在する」とは、第1の相と第2の相とが絡みあって存在する状態をいい、第1の相を形成する物質が溶解する溶媒のみに接触させた場合、および、第2の相を形成する物質が溶解する溶媒のみに接触させた場合には、溶解又は崩壊しないが、両溶媒に所定条件下で接触させた場合にのみ、溶解又は崩壊する状態をいう。
【0021】
「連続相化」とは、所定の物質からなる相が他の相に完全に覆われて点状に存在する「分散」状態から、所定の物質からなる相が他の相に完全に覆われることなく、少なくとも線状あるいは面状に連続的な広がりを呈する連続状態へ変成させることをいう。
【0022】
「連続相化剤」とは、所定の物質からなる相が他の相に完全に覆われて点状に存在する「分散」状態において、前記物質を膨潤等させることにより、前記物質からなる相が他の相に完全に覆われることなく、少なくとも線状あるいは面状に連続的な広がりを呈する連続状態へ変成させ得る物質をいう。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る組成物は、疎水性物質と親水性物質とが共に連続相を形成し、これらの連続相がマトリックス状に存在するという全く新規な構造を呈するため、吸水力、透明性等の組成物に必要な性質を飛躍的に向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る組成物の構造を模式的に示す概念図である。
【図2】本発明に係る組成物における親水性物質で形成された連続相2の一実施形態を示す図面代用拡大写真(100倍、300倍)である。
【図3】本発明に係る組成物の構造的特徴を分析する方法のフロー図である。
【図4】本発明に係る貼付材の一実施形態を模式的に示す模式断面図である。
【図5】本発明に係る貼付材の図4とは異なる実施形態を示す斜視模式図である。
【図6】本発明に係る貼付材の図4及び図5とは異なる実施形態を示す斜視模式図である。
【図7】本発明に係る組成物及び貼付材の製造方法を示すフロー図である。
【図8】実施例1〜4の組成物を、疎水性物質のみを溶解する溶媒(トルエン)のみに接触させた場合の状態(図3中符号6における溶解又は崩壊の確認)を示す図面代用写真である。
【図9】比較例2、4〜7を疎水性物質のみを溶解する溶媒(トルエン)のみに接触させた場合の状態(図3中符号6における溶解又は崩壊の確認)を示す図面代用写真である。
【図10】実施例1〜4の組成物を、疎水性物質を溶解する溶媒(トルエン)及び親水性物質を溶解する溶媒(水)に接触させた場合の状態(図3中符号8における溶解又は崩壊の確認)を示す図面代用写真である。
【図11】図9において溶解又は崩壊しなかった比較例2を、疎水性物質を溶解する溶媒(トルエン)及び親水性物質を溶解する溶媒(水)に接触させた場合の状態(図3中符号8における溶解又は崩壊の確認)を示す図面代用写真である。
【図12】疎水性物質からなる連続相101に、親水性物質が分散102された構造の従来の組成物を示す概念図である。
【図13】親水性物質からなる連続相102に、疎水性物質が分散101された構造の従来の組成物を示す概念図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0026】
<組成物>
図1は、本発明に係る組成物の構造を模式的に示す概念図である。本発明に係る組成物は、大別すると連続相1と連続相2とからなる。連続相1は、疎水性物質で形成されており、連続相2は、親水性物質で形成されている。そして、連続相1と連続相2は、図1の概念図に示すように、絡みあって混在している。
なお、図1に示す実施形態では、連続相1及び連続相2は、それぞれが全て連続しているが、本発明の目的を損なわなければ、連続相1と連続相2がそれぞれ複数あってもよい。
【0027】
従来の組成物は、疎水性物質からなる連続相101に親水性物質が分散102された構造(図12参照)、若しくは、親水性物質からなる連続相102に、疎水性物質が分散101された構造(図13参照)を呈していたが、本発明では、疎水性物質及び親水性物質が両者ともそれぞれ連続相1及び連続相2を形成し、この連続相1及び連続相2と、がマトリックス状に混在した構造を呈していることに一つの特徴を有する。
【0028】
本発明に係る組成物の一例を図2に示す。図2は、本発明に係る組成物において、親水性物質が連続相2を形成する様子を見やすくするために、本発明に係る組成物に有機溶剤を加えて、疎水性物質を完全に溶かした状態で撮影した100倍および300倍の拡大写真である。即ち、図2中の符号1で示す部分が、疎水性物質が存在する部分である。図2に示す通り、本発明に係る組成物は、疎水性物質及び親水性物質が両者ともそれぞれ連続相1及び連続相2を形成し、この連続相1及び連続相2と、がマトリックス状に混在した構造を呈していることが分かる。
【0029】
本発明に係る組成物の構造を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、疎水性物質と親水性物質とを混合した後に、親水性物質を連続化することで形成することができる。より具体的に説明すると、疎水性物質と親水性物質とを単純に混合しただけでは、従来の組成物と同様に、疎水性物質からなる連続相1に親水性物質が分散した状態になってしまうが(図12参照)、その後、連続相化剤により親水性物質を膨潤等させることにより、分散状態の親水性物質が互いに繋がり、連続相1と複雑に絡み合った状態の連続相2を形成することができる。
【0030】
本発明に係る組成物は、疎水性物質のみを溶解する溶媒を単独で接触させた場合、組成物全体が溶解若しくは崩壊することはない。これは、この溶媒に溶解しない親水性物質も連続相2を形成し、この連続相2と疎水性物質で形成された連続相1が複雑に絡み合っているため、親水性の連続相2が疎水性物質を溶解する溶媒に溶けずに残るからと考えられる。一方、疎水性物質からなる連続相101に親水性物質が分散102された構造(図12参照)を呈する従来の組成物は、疎水性物質のみを溶解する溶媒に接触させた場合、親水性物質は分散された状態のため、疎水性物質からなる連続相1の溶解又は崩壊によって、組成物全体が崩壊してしまう。
【0031】
同様に、本発明に係る組成物は、親水性物質のみを溶解する溶媒を単独で接触させた場合、組成物全体が溶解若しくは崩壊することはない。これは、この溶媒に溶解しない疎水性物質も連続相1を形成し、この連続相1と親水性物質で形成された連続相2が複雑に絡み合っているため、疎水性の連続相1が親水性媒体に溶けずに残るからと考えられる。一方、親水性物質からなる連続相102に疎水性物質が分散101された構造(図13参照)を呈する従来の組成物は、親水性物質のみを溶解する溶媒に接触させた場合、疎水性物質は分散101された状態のため、親水性物質からなる連続相102の溶解又は崩壊によって、組成物全体が崩壊してしまう。
【0032】
しかし、本発明に係る組成物は、疎水性物質を溶解する溶媒、及び、親水性物質を溶解する溶媒を所定条件下において接触させた場合には、組成物全体が溶解又は崩壊する。これは、疎水性物質で形成された連続相1と親水性物質で形成された連続相2のいずれもが、各溶媒に触れた箇所から溶解していくからと考えられる。
【0033】
以上の特性を有するので、本発明に係る組成物の構造的特徴を、以下のように分析することができる。
【0034】
図3は、本発明に係る組成物の構造的特徴を分析する方法のフロー図である。まず、ステップIにおいて、試験片を親水性物質のみを溶解する溶媒に浸漬する(図3中符号3)。この時、予想される成分配合等に応じて浸漬時間や温度は適宜設定することができるが、一例としては、後述する実施例のように、37℃、168時間に設定することができる。また、浸漬した状態で静置してもよいが、後述する実施例のように、振盪させながら浸漬させてもよい。振盪させることで、分析時間の短縮化(効率化)及び分析精度の向上を実現させることができる。
【0035】
前記浸漬3後、溶解又は崩壊の確認を行う(図3中符号4)。溶解又は崩壊した試験片Aは、親水性物質からなる連続相102に疎水性物質が分散101された構造(図13参照)を呈する従来の組成物であると考えられる。
【0036】
次に、ステップIで溶解又は崩壊しなかった試験片Bを新たに用意し、疎水性物質のみを溶解する溶媒に浸漬する(図3中符号5)。この時、前記浸漬3と同様、予想される成分配合等に応じて浸漬時間や温度は適宜設定することができるが、一例としては、後述する実施例のように、37℃、72時間に設定することができる。また、浸漬した状態で静置してもよいが、後述する実施例のように、振盪させながら浸漬させてもよい。振盪させることで、分析時間の短縮化(効率化)及び分析精度の向上を実現させることができる。
【0037】
前記浸漬5後、溶解又は崩壊の確認を行う(図3中符号6)。溶解又は崩壊した試験片Cは、疎水性物質からなる連続相101に親水性物質が分散102された構造(図12参照)を呈する従来の組成物であると考えられる。
【0038】
前記確認6において、溶解又は崩壊しなかった試験片を、前記浸漬5に続けて、表面が固化する前に親水性物質のみを溶解する溶媒に浸漬する(図3中符号7)。この時、前記浸漬3及び前記浸漬5と同様、予想される成分配合等に応じて浸漬時間や温度は適宜設定することができるが、一例としては、後述する実施例のように、37℃、24時間に設定することができる。また、浸漬した状態で静置してもよいが、後述する実施例のように、振盪させながら浸漬させてもよい。振盪させることで、分析時間の短縮化(効率化)及び分析精度の向上を実現させることができる。
【0039】
前記浸漬7後、溶解又は崩壊の確認を行う(図3中符号8)。溶解又は崩壊した試験片Xが、疎水性物質で形成された連続相1と、親水性物質で形成された連続相2と、がマトリックス状に混在した構造を呈する組成物、即ち、本発明に係る組成物である。
【0040】
なお、前記浸漬7後に溶解又は崩壊しなかった試験片Dは、前記浸漬5において、疎水性物質に十分に溶媒が浸透せず、疎水性物質が溶解していない状態か、親水性物質の架橋型に疎水性物質が分散された構造を呈する組成物であると考えられる。
【0041】
ここで、図3においては、組成物が疎水性物質のみを溶解する溶媒に溶解するか確認する工程を符号5の工程前に新たに設けることで、疎水性物質のみ溶解する溶媒と親水性物質のみ溶解する溶媒とを混ぜたものを使用し、符号5〜8の工程を同時に行って確認することもできる。
【0042】
本発明に係る組成物は、その構造が全く新規なものであって、その具体的構成成分は特に限定されるものではないが、以下、本発明に係る組成物に好適に用いることができる成分を説明する。
【0043】
(1)疎水性物質
本発明に係る組成物の連続相1を形成する疎水性物質としては、連続相1を形成できればその種類は限定されないが、例えば、エラストマーを用いることができる。
【0044】
本発明に用いることが可能なエラストマーは、連続相1を形成できればその種類は特に限定されず、公知のものを1種又は2種以上自由に選択することが可能である。一例としては、スチレン系、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系ポリマー等が挙げられる。スチレン系ポリマーとしては、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、水添スチレン−ブタジエンラバー(HSBR)、スチレン−エチレン/ブチレン−オレフィン結晶ブロック共重合体(SEBC)、ウレタン系共重合体、アクリル系共重合体、オレフィン結晶−エチレン/ブチレン−オレフィン結晶ブロック共重合体(CEBC)、ポリイソブチレン、天然ゴム、ポリイソプレン、ニトリルゴムを挙げることができる。
【0045】
アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系のものは、それぞれ粘結組成物を合成する段階で適度の初期粘着力、粘着保持力等が得られるようにモノマーの選択、重合度の決定をして作ることができる。また必要に応じて合成された何種類かをブレンドすることも可能である。例えば、アクリル系の場合は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸の各種、さらには酢酸ビニル等の他のモノマーを用いて重合することができる。これらは個々に重合した後にブレンドすることも可能である。
【0046】
本発明においては、前記エラストマーの中でも、スチレン系エラストマーを用いることが好ましく、水添スチレン−ブタジエンラバー(HSBR)を用いるとより好ましい。
【0047】
本発明においては、組成物全重量に対し、エラストマーの範囲が4〜40重量%であることが好ましく、4〜30重量%であることがより好ましく、7〜20重量%であることがさらにより好ましい。
【0048】
ここで、本発明における疎水性物質として、必須ではないが、軟化剤、粘着付与剤、液状ゴムなどを含有させることもできる。
【0049】
軟化剤を加えることにより、疎水性物質の弾性を低下させて柔軟性を付与すると共に、粘着性を高める働きもする。軟化剤の種類は、本発明の目的を損なわなければ特に限定されず、公知の軟化剤を自由に選択することができる。一例としては、鉱油、植物油、動物油及び合成油から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
【0050】
鉱油としては、例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ナフテン油等を挙げる事ができる。
【0051】
植物油としては、例えば、オリーブ油、オリーブスクワラン、マカデミアナッツ油、ホホバ油、アーモンド油、落花生油、ひまし油、やし油、パーム油、サフラワー油、ひまわり油、綿実油、硬化やし油、硬化パーム油、アボガド油、杏仁油、グレープシード油等を挙げることができる。
【0052】
動物油としては、例えば、ラノリン、タートル油、ミツロウ、スクワレン、プリスタン等を挙げることができる。
【0053】
合成油としては、例えば、グリセリントリ−2−エチルヘキサノエート等の脂肪酸トリグリセライド;ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、アミノシリコン等のシリコーンオイル;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル等のエステル類等を挙げることができる。
【0054】
本発明においては、前記軟化剤の中でも、鉱油を用いることが好ましく、流動パラフィンを用いるとより好ましい。
【0055】
本発明においては、組成物全重量に対し、軟化剤の範囲が0〜20重量%であることが好ましく、1〜15重量%であることがより好ましく、1〜10重量%であることがさらにより好ましい。
【0056】
粘着付与剤の種類は、本発明の目的を損なわなければ特に限定されず、公知の粘着付与剤を自由に選択することができる。一例としては、天然ロジン誘導体、クマロン−インデン樹脂、テルペンオリゴマー、脂肪族石油樹脂、アルキル変性フェノール樹脂、ポリテルペン樹脂、ガムロジン、ロジンエステル、油性フェノール樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系炭化水素樹脂等を挙げることができる。
【0057】
本発明においては、前記粘着付与剤の中でも、石油系炭化水素樹脂等を用いることが好ましく、脂環族飽和炭化水素樹脂を用いるとより好ましい。
【0058】
本発明においては、組成物全重量に対し、粘着付与剤の範囲が0〜25重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがより好ましく、1〜15重量%であることがさらにより好ましい。
【0059】
液状ゴムの種類は、本発明の目的を損なわなければ特に限定されず、公知の液状ゴムを自由に選択することができる。一例としては、液状イソプレンゴム(LIR)、液状スチレン−イソプレンゴム(LSIR)、液状エチレン/プロピレンゴム(LEPR)、液状スチレン−エチレン/プロピレンゴム(LSEPR)、粘度平均分子量30000〜100000の液状ポリイソブチレン、液状ポリブテンを挙げることができる。
【0060】
前記液状ゴムは、疎水性物質の弾性を低下させて柔軟性を付与すると共に、粘着性を高める働きもする。相溶性の点から、スチレン系エラストマーと流動パラフィンの組み合わせとして好ましいのは、SISであればLIR及び/又はLSIR、SBSであれば液状ブタジエンゴム、SEPSであればLEPR及び/又はLSEPR、HSBRであればLEPR、LSEPR、液状ポリイソブチレン、液状ポリブテンのいずれか1種、もしくはこれらの混合物からなる液状ゴム、の組み合わせが考えられる。このような相溶性の良い組み合わせにすることで、液状ゴムの配合比を増やした場合、即ち柔軟性を高めようとする場合でも、液状ゴムのブリーディングや剥離時の糊残りを防ぐことができる。
【0061】
本発明においては、組成物全重量に対し、液状ゴムの範囲が0〜35重量%であることが好ましく、1〜30重量%であることがより好ましく、1〜25重量%であることがさらにより好ましい。
【0062】
本発明においては、前記疎水性物質としてHSBRを用い、液状ゴムとしてLEPR、LSEPR、液状ポリイソブチレン、液状ポリブテンのいずれか1種、もしくはこれらの混合物からなる液状ゴムを、組み合わせて用いることが好ましい。
【0063】
また、前記液状ゴムは架橋したものを用いることができ、凝集性を向上させる目的で適宜配合すると効果的である。更に、スチレン系エラストマーと流動パラフィンの重量比が1:2〜1:6の範囲に配合するのが好ましい。
【0064】
(2)親水性物質
本発明における親水性物質としては、親水性粒子と、該親水性粒子を連続相化するための連続相化剤を含むことを要する。
【0065】
本発明に係る組成物は親水性物質を含有するため、皮膚から発生する汗や滲出液等を吸収することができる。また、この親水性物質が連続相2を形成し、疎水性物質で形成される連続相1と絡み合った構造になっているため、従来の組成物に比べ、吸水性の顕著な向上を達成することに成功した。
【0066】
本発明に用いることが可能な親水性粒子は、連続相2を形成できればその種類は特に限定されず、公知のものを1種又は2種以上自由に選択することが可能である。一例としては、コーンスターチ、グアーガム、ローカストビーンガム、デンプン、アルギン酸塩、カラギーナン、寒天、ゼラチン、キチン、キトサンペクチン、カラヤガム、アラビアゴム、キサンタンガム、デキストラン、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、メチルセルロース、デンプンアセテート、デンプンフォスフェート、ヒドロキシエチル化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、酸化デンプン、デキストリン化デンプン、デンプン・アクリル酸グラフト重合体、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリN−ビニルピロリドン、カオリン、含硫ケイ酸アルミニウム、クオタニウム−18ヘクトライト、シリカ、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等を挙げることができる。
【0067】
本発明においては、前記親水性粒子の中でも、カルボキシメチルセルロース(CMC)を用いると好ましい。
【0068】
本発明においては、組成物全重量に対し、親水性粒子の範囲が、2〜30重量%であることが好ましく、2〜25重量%であることがより好ましく、5〜20重量%であることがさらにより好ましい。
なお、本発明においては、親水性粒子は、吸水性を示す物質であれば、水溶性であっても水不溶性であっても問題ない。
【0069】
本発明に係る組成物には、親水性粒子を連続相化するために連続相化剤を用いる。連続相化剤は、疎水性物質で形成された連続相1中に親水性粒子が分散した状態において、この親水性粒子を膨潤等させることにより、親水性粒子が、少なくとも線状あるいは面状に連続的な広がりを呈する連続状態(連続相2)へ変成させ得る物質であれば、その種類は特に限定されない。一例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等の多価アルコールが挙げられる。また、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール重合体を使用することもできる。
【0070】
本発明においては、前記連続相化剤の中でも、多価アルコールを用いることが好ましく、グリセリンを用いることがより好ましい。
本発明においては、組成物全重量に対し、連続相化剤の範囲が20〜50重量%であることが好ましく、20〜45重量%であることがより好ましく、25〜45重量%であることがさらにより好ましい。
【0071】
(3)その他
本発明に係る組成物には、必須ではないが、pH調整剤を含有させることも可能である。pH調整剤の種類は、本発明の目的を損なわなければ特に限定されず、公知のpH調整剤を自由に選択することができる。一例としては、無水クエン酸、アルカリ金属水酸化物、有機酸の緩衝液を挙げることができる。
【0072】
本発明においては、前記pH調整剤の中でも無水クエン酸を用いることが好ましい。また、正常な皮膚のpHに合わせ、pH4.0〜7.0の範囲に調整することが好ましい。
【0073】
本発明に係る組成物には、必須ではないが、薬効成分を含有させることも可能である。薬効成分の種類は、本発明の目的を損なわなければ特に限定されず、目的に応じて自由に選択することができる。一例としては、生理活性剤、抗菌剤、消炎鎮痛剤、ステロイド剤、麻酔剤、抗真菌剤、気管支拡張剤、鎮咳剤、冠血管拡張剤、抗高血圧剤、降圧利尿剤、抗ヒスタミン剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、ビタミン剤、性ホルモン剤、抗うつ剤、脳循環改善剤、制吐剤、抗腫瘍剤など、あらゆる薬剤を配合することができる。これらの薬剤は、経皮吸収により全身又は局所においてその効果を発揮したり、あるいは貼付された部位において、局所的に効果を発揮する。
【0074】
本発明に係る組成物には、前記薬効成分の中でも、皮膚の生理機能(皮膚バリア機能等)を保持又は向上させる目的で、局所的な効果を発揮する生理活性剤を添加することが好ましい。生理活性剤の具体例としてはスフィンゴ脂質、尿素、グリコール酸、アミノ酸(アルギニン、システイン、グリシン、リシン、プロリン、セリン等)及びその誘導体、タンパク質加水分解物(コラーゲン、エラスチン、ケラチン等)、ムコ多糖(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン等)及びその誘導体、ビタミンB群(チアミン、リボフラビン、ニコチン酸、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン、ビオチン、葉酸、シアノコバラミン等)、アスコルビン酸(ビタミンC及びその誘導体)、レチノイド(ビタミンA、レチナール、レチノイン酸等)、ビタミンD(D2、D3等)、ビタミンE及びその誘導体、カロチノイド(カロチン、リコピン、キサントフィル等)、酵素、補酵素等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
【0075】
以上説明した本発明に係る組成物は、前述した構造的特徴を呈しているため、従来の組成物に比べ、その吸水が最大に達するまでの時間(初期吸水速度)が著しく速い。これは、親水性物質も連続相2を形成するためと考えられる。
【0076】
本発明に係る組成物の具体的吸水力は特に限定されないが、1時間後の吸水率が120%以上であると好ましい。また、24時間後の吸水率が280%以上であると好ましい。
【0077】
本発明に係る組成物は、疎水性物質も親水性物質も共にそれぞれ連続相1及び連続相2を形成し、分散相を有しないため、従来の組成物に比べ、その透明性が著しく高い。これは、分散相による光の反射や散乱が起きないためであると考えられる。
【0078】
本発明に係る組成物の具体的光透過率は特に限定されないが、波長550nmの光透過率が12%以上であると好ましい。
【0079】
本発明に係る組成物は、従来の組成物に比べ、その保持力も著しく高い。これは、疎水性物質で形成される連続相1と、親水性物質で形成される連続相2と、が複雑に絡み合ったマトリックス構造を呈するためであると考えられる。
【0080】
本発明に係る組成物の具体的保持力も特に限定されないが、保持力が200分以上であると好ましい。なお、保持力については、界面破壊または投錨破壊したものを含んでいない。これは、界面破壊または投錨破壊したものは正確な値が測定できないためである。
【0081】
本発明に係る組成物は、親水性物質が連続相2を形成しているため、従来の組成物に比べ、柔軟性が著しく高い。そのため、皮膚等の凹凸に沿って組成物が変形し、皮膚に対する密着性も向上する。その結果、粘着付与剤を減量させることが可能となる。そして、剥離時の皮膚への負担(刺激)を大幅に低減させることができる。
【0082】
<貼付材>
本発明にかかる組成物は、粘着付与剤を加えて粘着層用組成物と使用することもできる。以下、本発明に係る組成物を粘着剤層に用いた貼付材について詳細に説明する。
【0083】
図4は、本発明に係る貼付材10を模式的に示す模式断面図である。本発明に係る貼付材は、大別すると、支持層11と、粘着層12と、を少なくとも備えている。本発明に係る貼付材の形態は、支持層11と、粘着層12と、を備えていれば特に限定されず、例えば、三角形、四角形、菱形等の多角形、円形、楕円形、又はこれらの形状を適宜組み合わせたシート状の形態、特定の方向に連続的に形成したテープ状、ロール状の形態等、自由な形態に形成することができる。また、貼付する部位に合わせて立体的に形成したり、切り込みやスリット等を設けるなど、自由に設計することができる。以下、各層の詳細をそれぞれ説明する。
【0084】
(1)支持層11
本発明に係る貼付材10の支持層11は、後述する粘着層12を支持する目的で備える。この支持層11は、粘着層12を支持できれば、その形態は特に限定されず、あらゆる材料を用いて自由に設計することができる。例えば、不織布、編布、織布等の繊維シート、プラスチックフィルム、フォームシート、紙等の形態が挙げられる。本発明においては、これらの中でも特に、柔軟性、伸縮性、適度の水蒸気透過性、菌バリヤー性等の観点からプラスチックフィルムが好ましい。
【0085】
本発明に係る貼付材10に、繊維シートからなる支持層11を採用する場合、その材料としては、例えば、綿、ビスコースレーヨン、ポリノジック、銅アンモニアレーヨン、リヨセル等のセルロース系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維、ビニロン繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維等を挙げることができる。なお、これらの材料は、単独で用いてもよいが、2種以上を混紡して用いることも自由である。
【0086】
本発明に係る貼付材10に、プラスチックフィルムからなる支持層11を採用する場合、その材料としては、例えば、ポリウレタン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン・メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン・メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン・メタクリル酸重合体(EMAA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)等のオレフィン系共重合体;ポリビニルアルコール;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン;シリコーン等を挙げることができる。本発明においては、これらの中でも特に、水蒸気透過性が良好で、不感蒸散等を妨げることが少ないポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド等が好ましい。なお、これらの材料は、単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いることも自由である。
【0087】
本発明に係る貼付材10に、フォームシートからなる支持層11を採用する場合、その材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリウレタン、アクリル、クロロプレンゴム、シリコーン等を挙げることができる。
【0088】
本発明に係る貼付材10に、紙からなる支持層11を採用する場合、その材料としては、例えば、上質紙、クラフト紙、グラシン紙、コート紙等を挙げることができる。
【0089】
本発明に係る貼付材10の支持層11は、単一の材料により単一の形態とすることもできるが、2種以上の材料を用いて、複合的な形態に形成することも可能である。また、同一又は異なる種類の形態の支持層をラミネートした積層構造の支持層11とすることもできる。
【0090】
本発明に係る貼付材10の支持層11の厚さは、本発明の目的を損なわなければ特に限定されないが、粘着層12の支持、貼付する際の操作性、及び皮膚に対する圧迫感等の観点から、15〜100μmが好ましい。
【0091】
(2)粘着層12
本発明に係る貼付材10の粘着層12は、貼付材10と皮膚との貼付を行うために前記支持層11の少なくとも片面に積層した状態で備える。この粘着層12は、前述した本発明に係る組成物に粘着付与剤等を添加した粘着組成物により形成される。該組成物の構造等の特性は、前述した組成物と同一のため、ここでは説明を割愛する。
【0092】
本発明に係る貼付材10の粘着層12の厚さは、本発明の目的を損なわなければ特に限定されないが、0.05〜50mmであることが好ましく、0.1〜1.5mmであることがより好ましい。貼付時に適度な粘着力を示し、皮膚に対して優れた密着性及び追従性を発揮するためである。
【0093】
(3)剥離シート13
本発明に係る貼付材10には、前記支持層11と前記粘着層12の他に、必須ではないが、剥離シート13を設けることができる。該剥離シート13を備えることにより、粘着層12を汚染等から保護し、貼付材10の取り扱い性を簡便にすることができる。
【0094】
本発明に係る貼付材10の剥離シート13は、合成樹脂フィルムや紙等、従来、この分野で使用されているあらゆる材料を用いることができる。例えば、紙やフィルムの表面にシリコーン樹脂処理やフッ素樹脂処理等を施したものが挙げられる。
【0095】
なお、この剥離シート13を設けずに、例えば、図5に示すように、支持層11の、接着剤層12が積層された面と逆の面(以下「背面111」と称する。)を剥離可能な素材で形成又は表面処理した形態の貼付材10を形成し(図5中(I)参照)、この貼付材10を複数枚、積層させた状態にして、1枚ずつ剥がしながら使用することも可能である(図5中(II)参照)。また、貼付材10を複数枚、積層させる方法の他に、図6に示すように、同様に形成した貼付材10をロール状にすることも可能である。
【0096】
このように剥離シート13を設けない場合には、前記背面111を、シリコーン樹脂処理やフッ素樹脂処理等を施すことで、支持層11が同時に剥離シート13の役割を果たすこととなる。
【0097】
<組成物の製造方法>
図7中符号20で示す部分は、本発明に係る組成物の製造方法のフロー図である。本発明に係る組成物の製造方法は、大別すると、混合工程21と、連続相化工程22と、を少なくとも行う方法である。以下、各工程をそれぞれ説明する。
【0098】
(1)混合工程21
混合工程21では、エラストマーと親水性粒子とを混合する。混合方法は、公知のあらゆる技術を自由に用いることができる。例えば、加圧ニーダ等を用いて混合を行うことができる。
【0099】
混合工程21での混合回数は特に限定されず、組成物の配合成分や配合比等に合わせて、適宜設定することができる。また、必要に応じて、加熱や冷却を行うことにより、温度条件も適宜設定することができる。
【0100】
なお、組成物に粘着性を付与するために、前述した軟化剤、粘着付与剤、液状ゴム等を含有させる場合には、エラストマーに予め混合させておいてもよく、この混合工程21において、一緒に混合してもよい。
【0101】
この混合工程21では、疎水性物質で形成された連続相1に、親水性粒子を分散させた構造を形成する。
【0102】
(2)連続相化工程22
連続相化工程22では、前記混合工程21で作成した混合物に前述した連続相化剤を加えて更に混合することにより、混合物中に分散した親水性粒子を膨潤等させて連続相化させる。なお、組成物に、前述したpH調整剤を含有させる場合には、親水性粒子に予め混合させておいてもよく、この混合工程21において、一緒に混合させてもよい。
【0103】
このように、本発明に係る組成物の製造方法では、エラストマーと親水性粒子とを混合して従来の組成物と同一の構造(図12参照)を一旦形成した後、連続相化剤を加えて、親水性粒子を膨潤等させることにより、疎水性物質で形成された連続相1に複雑に絡み合う状態の親水性物質からなる連続相2を形成することができる(図1参照)。
【0104】
<貼付材の製造方法>
図7中符号200で示す部分は、本発明に係る貼付材10の製造方法のフロー図である。本発明に係る組成物の製造方法は、大別すると、混合工程21と、連続相化工程22と、を少なくとも行う組成物製造方法20を行った後、塗工工程203を少なくとも行う方法である。組成物製造方法20は、前述と同様であるため、以下、塗工工程203についてのみ説明する。
【0105】
塗工工程203は、支持層11の少なくとも片面に組成物を設ける塗工工程である。塗工方法は、公知のあらゆる技術を自由に用いることができる。例えば、組成物製造方法20で製造した本発明に係る組成物を、圧力等をかけながら、適当な厚さになるように支持層11に圧延する方法が挙げられる。この際、必要に応じて加熱等を行ってもよい。
【0106】
また、他の一例としては、組成物製造方法20で製造した本発明に係る組成物を、剥離シート13に一旦塗工し、その後、支持層11に転写させることで粘着層12を形成することもできる。
【0107】
前記組成物の支持層11又は剥離シート13への具体的塗工方法は、特に限定されず、公知のあらゆる方法を自由に採用することができる。例えば、コンマダイレクト、ナイフコーター、グラビアダイレクト等の塗工方式を利用して、塗工パターンや厚さを目的に合わせて適宜、制御することができる。
【0108】
また、粘着層12の塗工パターンとしては、支持層11の表面を全面的に被覆しても良いが、部分的に被覆することも可能である。部分的に被覆する場合は、格子状、ネット状、粒状、唐草模様等の任意の形態を選択できる。このように、支持層11の片面に、部分的に粘着層12を設けることにより、通気性、透湿性等をより向上させることもでき、また、皮膚からの剥離時の刺激をより軽減することもできる。
【0109】
本発明に係る貼付材の製造時においては、支持層11と粘着層12との接着性を向上させるために、支持層11に表面処理又はプライマー処理を施すことも自由である。支持層11の表面処理としては、例えば、エンボス加工、サンドマット加工、コロナ放電処理、プラズマ処理、アルカリ処理等、公知のあらゆる処理方法を採用することができる。プライマー処理としては、例えば、シランカップリング剤等からなるプライマーを用いるなど、本発明に係る組成物に使用可能なプライマーであれば、公知のあらゆるプライマーを用いてプライマー処理を行うことが可能である。
【実施例】
【0110】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0111】
まず、以下に示す方法で、実施例1〜4、比較例1〜7に係る組成物を作製した。
【0112】
<実施例1>
エラストマーの一例としてHSBR(JSR株式会社製、以下同じ)10.0重量%と、液状ゴムの一例としてポリブテン(新日本石油化学株式会社製)3.0重量%、液状スチレン−エチレン/プロピレンゴム(株式会社クラレ製)10.0重量%と、ポリイソブチレン(新日本石油化学株式会社製)10.0重量%と、粘着付与剤の一例として脂環族飽和炭化水素樹脂(荒川化学工業株式会社製、以下同じ)10.0重量%とを加圧ニーダに仕込み、十分均一になるまで混合した。次に、親水性粒子の一例としてCMC−Na(ダイセル化学工業株式会社製、以下同じ)10.0重量%、アラビアガム(五協産業株式会社製)5.0重量%、カラヤガム(五協産業株式会社製、以下同じ)6.0重量%、ペクチン(三晶株式会社製)5.0重量%を加え、均等になるまで加圧混合した。その後、連続相化剤の一例としてグリセリン(三洋化成工業株式会社製、以下同じ)30.0重量%、pH調整剤として無水クエン酸1.0重量%を加え、更に混合し、実施例1に係る組成物を作製した。
【0113】
<実施例2>
エラストマーの一例としてHSBR10.0重量%と、液状ゴムの一例として流動パラフィン(カネダ株式会社製、以下同じ)5.0重量%と、ポリイソブチレン13.0重量%と、脂環族飽和炭化水素樹脂12.0重量%とを加圧ニーダに仕込み、十分均一になるまで混合した。次に、親水性粒子の一例としてCMC−Na15.0重量%を加え、均等になるまで加圧混合した。その後、連続相化剤の一例としてグリセリン45.0重量%を加え、更に混合し、実施例3に係る組成物を作製した。
【0114】
<実施例3>
エラストマーの一例としてHSBR7.0重量%と、液状ゴムの一例として流動パラフィン3.0重量%と、ポリイソブチレン25.0重量%と、脂環族飽和炭化水素樹脂14.0重量%とを加圧ニーダに仕込み、十分均一になるまで混合した。次に、親水性粒子の一例としてCMC−Na20.0重量%を加え、均等になるまで加圧混合した。その後、連続相化剤の一例としてグリセリン30.0重量%を加え、更に混合し、実施例1に係る組成物を作製した。
【0115】
<実施例4>
エラストマーの一例としてHSBR20.0重量%と、液状ゴムの一例として流動パラフィン10.0重量%と、ポリイソブチレン20.0重量%と、脂環族飽和炭化水素樹脂5.0重量%とを加圧ニーダに仕込み、十分均一になるまで混合した。次に、親水性粒子の一例としてCMC−Na5.0重量%、カラヤガム10.0重量%を加え、均等になるまで加圧混合した。その後、連続相化剤の一例としてグリセリン30重量%を加え、更に混合し、実施例1に係る組成物を作製した。
【0116】
<比較例1>
比較例1としては、市販品のTegasorb light(登録商標、スリーエム カンパニー製)を用いた。
【0117】
<比較例2>
比較例2としては、市販品のTegasorb(登録商標、スリーエム カンパニー製)を用いた。
【0118】
<比較例3>
比較例3としては、市販品のDuoactive ET(登録商標、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社製)を用いた。
【0119】
<比較例4>
比較例4としては、市販品のDuoactive(登録商標、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社製)を用いた。
【0120】
<比較例5>
比較例5としては、市販品のビジダーム(登録商標、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社製)を用いた。
【0121】
<比較例6>
比較例6としては、市販品のアブソキュアサージカル(登録商標、日東電工株式会社製)を用いた。
【0122】
<比較例7>
比較例7としては、市販品のコムフィールアルカス(登録商標、コロプラスト株式会社製)を用いた。
【0123】
実施例1〜4の配合組成を表1に示す。
【表1】
【0124】
次に、各実施例および各比較例における各特性の測定方法を説明する。
【0125】
[吸水率]
各実施例及び各比較例から直径30mmの試験片を3枚作成した。37℃にて、生理食塩液(0.9%NaCl溶液)150mlに浸漬した。浸漬後1時間、3時間、24時間ごとに1枚の試験片をピンセットで5回振って水切りを行った。試験片の重量を測定して吸水率を、下記数式1から求めた。
【0126】
【数1】
【0127】
[光透過率]
厚みが300〜400μmの検体から、幅25mm、長さ25mmの試験片を作成し、厚さ0.13〜0.17mmの透明なガラス板上に載置した。紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−1650PC)を使用し、このサンプルの波長550nmにおける光の透過率を測定して、この値を可視光透過率とした。
【0128】
[保持力]
検体から幅方向に幅25mm、長さ50mmの試験片を作成した。剥離紙面側に布テープ(積水化学工業株式会社製)を貼り付け、試験片を40℃の環境に1時間以上放置した。
【0129】
一方、保持力用のステンレス板を準備し、360番耐水研磨紙で試験板の幅方向に軽く指標をつけ、この指標が消えるまで長さ方向に均一に水をつけて研磨した。研磨後、水で綺麗に洗い流し、酢酸エチルで表面を清拭した。その後、検体と同様に40℃の環境に1時間以上放置した。
【0130】
ステンレス板の標線に合せて、試験片が25mm×25mmの面積で接するように貼付部分の剥離紙を剥した試験片を貼り付け、試験片の上から2kgのローラで5往復して貼り付けた。その後、余剰部分を折畳んで、摘み部を作り、摂氏40℃の雰囲気中に20分以上放置した。そして、同環境中で保持力試験機にセットし500gfの錘をつけ、落下するまでの時間を計測した。
【0131】
[ピクマタック(粘着力)]
JIS T9233 三橋法に準じて測定した。
検体から幅35mm、長さ20mmの試験片を15枚作成した。また、幅30mm、長さ120mmの両面テープ(日東電工株式会社製 No.5000NS)を3枚作成した。作成した両面テープ1枚あたり、5枚の試験片を剥離紙面側が上になる状態で貼り付け、2kgのローラで5往復して貼り付けた。その後、試験片を23℃、湿度50%の標準状態の雰囲気中で2時間以上放置した。
【0132】
一方、接着円盤(直径50mm、厚さ14mm、アルミニウム製)の表面を有機溶剤で清浄し、乾燥させた。その後、両面テープに固定された試験片の剥離紙を剥がし、粘着面を前記接着円盤に4.90N(500gf)で2秒間接触させ、30mm/minの速度で引き上げた。この接着円盤と試験片が離れるときの粘着力を測定した。
【0133】
[pH]
検体から直径30mmの試験片を作成した。37℃にて、生理食塩液(0.9%NaCl溶液)150mlに浸漬した。浸漬後24時間の検体のpHを表面pH試験機(株式会社堀場製作所製)にて測定した。
【0134】
[構造特性分析]
図3のフロー図に従って、構造特性を分析した。
まず、検体から直径20mm×20mmの試験片を作成し、親水性物質のみを溶解する溶媒として水を用いて、37℃、168時間にて浸漬した(図3中符号3)。
【0135】
前記浸漬3後、溶解又は崩壊の確認を行い(図3中符号4)、溶解又は崩壊しなかった検体について、新たに直径20mm×20mmの試験片Bを作成し、疎水性物質のみを溶解する溶媒としてトルエンを用いて、37℃、72時間、振盪させながら浸漬した(図3中符号5)。
【0136】
前記浸漬5後、溶解又は崩壊の確認を行い(図3中符号6)、溶解又は崩壊しなかった試験片を、前記浸漬5に続けて、表面が固化する前に親水性物質のみを溶解する溶媒として水を用いて、37℃、24時間、振盪させながら浸漬した(図3中符号7)。
【0137】
前記浸漬7後、溶解又は崩壊の確認を行った(図3中符号8)。
【0138】
各実施例および各比較例について、前記各特性の測定結果を表2に示す。
【0139】
【表2】
【0140】
表2に示すとおり、実施例1〜4の組成物は、比較例1〜7に比べ、吸水率が高いことが分かった。特に、浸漬後1時間、及び3時間における実施例1〜4の吸水率は、比較例1〜7に比べ、著しく高いことが分かった。例えば、実施例3の1時間後の吸水率は、比較例4に比べて約84倍の吸水率を示していた。また、24時間後の吸水率においても、最低でも1.5倍近い差があることが分かった。
【0141】
表2から明らかなように、本発明にかかる組成物において、24時間で吸水できる全割合の約60%以上が1時間以内に吸水されている。すなわち、初期段階における吸水速度(初期吸水速度)が速いことがわかる。従って、本実施例では、本発明に係る組成物は、大量の発汗時等に、すばやく吸水することが可能であり、汗などによって剥がれやすくなるのを防ぐことができることが分かった。また、皮膚上の水分をすばやく吸水することができるため、皮膚の浸軟を防ぐことができることが分かった。
【0142】
pHに関しては、実施例1〜4の組成物のすべてが、正常皮膚のpH範囲内であり、本発明に係る組成物は、皮膚刺激が少ないことが分かった。
【0143】
保持力に関しては、実施例1、2、3の組成物は、比較例1〜7に比べて高く、本発明に係る組成物は、糊残りを起こさず、形状保持性を有することが分かった。
なお、実施例4の保持力が低いのは界面破壊してしまい、測定できなかったためである。ただし、凝集力が低いわけではないため、実施例3の組成物も本発明に係る組成物の目的は十分に果たすことができると考えられる。
【0144】
粘着力に関しては、実施例1〜4の組成物は、従来の組成物(比較例1〜7)と同等に適度な粘着力を有することが分かった。
なお、粘着力は、粘着付与剤の配合量を調整することにより可能である。
【0145】
透明性に関しては、実施例1〜4の組成物は、比較例1〜7に比べ、高い透明性を有することが分かった。これは、疎水性物質と親水性物質とを混合した後に、親水性粒子を連続層化剤で膨潤等させることにより、親水性粒子の表面に凹凸が少なくなったためであると考える。先に親水性粒子を膨潤などさせ、所定の粒径に砕いた場合には、表面の凹凸が多くなり、光が乱反射してしまうためと推測される。
【0146】
構造特性に関しては、実施例1〜4の組成物は、全て、図3中符号8における溶解又は崩壊の確認により、溶解又は崩壊が確認できた。即ち、疎水性物質のみを溶解する溶媒のみに接触させた場合、及び、親水性物質のみを溶解する溶媒のみに接触させた場合には溶解又は崩壊はしないが、疎水性物質を溶解する溶媒及び親水性物質を溶解する溶媒を所定条件下において接触させた場合には溶解又は崩壊するという性質を有することが分かった。つまり、疎水性物質で形成された連続相と親水性物質で形成された連続相は、絡みあったマトリックス状に混在していることが分かった。
【0147】
一方、比較例1、2については、図3中符号8における溶解又は崩壊の確認においても、溶解又は崩壊が確認できなかった。即ち、図3中浸漬5において、疎水性物質に十分に溶媒が浸透せず、疎水性物質が溶解していない状態か、親水性物質の架橋型に疎水性物質が分散された構造を呈する組成物であると考えられる。
【0148】
比較例3〜7については、図3中符号6における溶解又は崩壊の確認により、溶解又は崩壊が確認できた。即ち、疎水性物質のみを溶解する溶媒のみに接触させた場合に、溶解又は崩壊する組成物であることが分かった。つまり、疎水性物質からなる連続相に親水性物質が分散された構造(図12参照)を呈する組成物であることが分かった。
【0149】
以上の構造特性分析における各実施例、各比較例の写真を図8〜10に示す。なお、比較例1と比較例2、比較例3と比較例4は、それぞれ検体の厚さ以外の基本構造は同一であるため、比較例1と比較例3についての写真撮影は行わなかった。
【0150】
図8は、実施例1〜4の組成物を、疎水性物質のみを溶解する溶媒(トルエン)のみに接触させた場合の状態(図3中符号6における溶解又は崩壊の確認)を、図9は、比較例2、4〜7を疎水性物質のみを溶解する溶媒(トルエン)のみに接触させた場合の状態(図3中符号6における溶解又は崩壊の確認)を、図10は、実施例1〜4の組成物を、疎水性物質を溶解する溶媒(トルエン)及び親水性物質を溶解する溶媒(水)に接触させた場合の状態(図3中符号8における溶解又は崩壊の確認)を、図11は、図9において溶解又は崩壊しなかった比較例2を、疎水性物質を溶解する溶媒(トルエン)及び親水性物質を溶解する溶媒(水)に接触させた場合の状態(図3中符号8における溶解又は崩壊の確認)を、それぞれ示している。なお、図9及び図11の比較例の状態を示す写真には、本発明と比較し易くするために、それぞれ実施例1を併撮した。
【符号の説明】
【0151】
1 疎水性物質で形成された連続相
2 親水性物質で形成された連続相
10 貼付材
11 支持層
12 粘着層
13 剥離シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性、透明性に優れた組成物に関する。より詳しくは、疎水生成物質と親水性物質からなる新規な構造を備えた組成物、及び該組成物を用いた貼付材、並びにこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、疎水性物質と親水性物質とを含む組成物は、様々な用途に使用されている。例えば、創傷、ストーマ、瘻孔、褥瘡等の保護、及びそこからの体液等の吸収のための被覆手段、褥瘡予防等のための保護や圧力緩和手段として使用されている。
【0003】
このように様々な分野で有効に活用されている組成物には、一般的に以下のような性質が求められる。
(1)皮膚から発生する汗や滲出液等に対して十分な吸水性が確保されていること。
(2)汗や滲出液等を吸収した後にも、十分な形状保持性を有すること。
(3)皮膚への刺激が少ないこと(低刺激性)。
(4)創傷等の目視を可能とするために、透明性を有すること。
【0004】
このような、前記性質を有する組成物は、皮膚等へ塗布し、他の貼付材等を用いて固定して用いられることもあるが、前記組成物自体に粘着付与剤等を加えることにより、粘着力を有する粘着組成物として使用されることもある。
【0005】
ここで、前記のような粘着組成物に用いる組成物に求められる性質を向上させる技術として、例えば、特許文献1には、特定のゴム系粘着組成物に水溶性高分子及び多価アルコールの脂肪酸エステルを所要量ずつ配合することで、粘着組成物に吸湿性を持たすことにより、粘着性を損なうことなく透湿性を付与した医療用粘着テープが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、連続する感圧接着剤マトリックスに、膨潤させた親水性ゲルを分散させることにより水蒸気透過度、及び剥離強さを向上させる技術が、特許文献3には、所定の条件で特定の複素弾性率及び位相差を示すようにハイドロコロイド材を調製することにより、接着性、汗や滲出液の吸収性、吸収後の形状保持性を維持する技術が、それぞれ開示されている。
【0007】
ところで、疎水性物質と親水性物質とを含む従来の組成物は、一般的に、図12に示すように、疎水性物質からなる連続相101に、親水性物質が分散102された構造を呈している。若しくは、図13に示すように、親水性物質からなる連続相102に、疎水性物質が分散101された構造を呈している。
【0008】
そして、その製造方法は、例えば、ヒドロコロイド(親水性物質)を膨潤剤を用いて、膨潤ヒドロコロイドゲル粒子を形成し、その後、溶媒に溶かした感圧接着剤組成物(疎水性物質)と混合及び攪拌して、疎水性物質からなる連続相101に、親水性物質102が分散された構造が形成されることにより製造される(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平06−16542号公報
【特許文献2】特表平05−503863号公報
【特許文献3】特開2004−305725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、前記の通り、疎水性物質と親水性物質とを含む従来の組成物は、その含有成分等を工夫することにより、様々な方向からその性質を向上させる技術が開発されつつある。
【0011】
しかしながら、前記組成物の含有成分等を工夫しても、疎水性物質と親水性物質との基本的な構造は類似しているため、上記(1)〜(4)の要件を満足する組成物はいまだなく、吸水力等の前記組成物に必要な性質を飛躍的に向上させるには限界があった。
【0012】
そこで、上記(1)〜(4)の要件をすべて満たし、なおかつ吸水力及び透明性が飛躍的に向上し得る、全く新規な構造の組成物を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明者らは、前記課題を解決するために、粘着組成物中の疎水性物質と親水性物質との構造に着目し、粘着組成物に必要な性質を飛躍的に向上させるための方法を鋭意研究した結果、疎水性物質からなる連続相に親水性物質が分散された一般的構造から発想を転換して、根本的に全く新規な構造を形成させることに成功し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
即ち、本発明では、まず、疎水性物質と、親水性物質と、を含む組成物であって、
前記疎水性物質で形成された連続相(1)と、前記親水性物質で形成された連続相(2)と、がマトリックス状に混在する組成物を提供する。
該組成物は、前記疎水性物質と前記親水性物質とを混合した後に、前記親水性物質を連続相化し、前記連続相(2)を形成することで、前記連続相(1)と前記連続相(2)と、がマトリックス状に混在する構造を形成して製造することができる。
本発明に係る組成物は、前記疎水性物質のみを溶解する溶媒のみに接触させた場合、及び、前記親水性物質のみを溶解する溶媒のみに接触させた場合には溶解又は崩壊はしないが、前記疎水性物質を溶解する溶媒及び前記親水性物質を溶解する溶媒を所定条件下において接触させた場合には溶解又は崩壊するという性質を有する。
本発明に係る組成物は、前記構造を呈するものであれば、その吸水率は特に限定されないが、1時間後の吸水率が120%以上であると好ましい。本発明に係る組成物の光透過度も特に限定されないが、波長550nmの光透過率が12%以上であると好ましい。
【0015】
以上説明した本発明に係る組成物は、例えば、支持層と、該支持層の少なくとも片面に粘着層と、を少なくとも備える貼付材の前記粘着層に好適に用いることができる。
【0016】
本発明では、次に、疎水性物質と、親水性物質と、を含む組成物の製造方法であって、
前記疎水性物質と前記親水性物質とを混合する混合工程と、
該混合工程を経た後に、混合物中の前記親水性物質を連続相化する工程と、
を少なくとも行う組成物の製造方法を提供する。
【0017】
本発明では、更に、支持層と、該支持層の少なくとも片面に粘着層と、を少なくとも備える貼付材の製造方法であって、
前記疎水性物質と前記親水性物質とを混合する混合工程と、
該混合工程を経た後に、混合物中の前記親水性物質を連続相化する工程と、
を少なくとも行うことにより組成物を作製し、
該組成物を前記支持層の少なくとも片面に設ける塗工工程と、
を行う貼付材の製造方法を提供する。
【0018】
ここで本発明で用いる技術用語を説明する。
【0019】
本発明で用いる「連続相」とは、所定の物質からなる相が他の相に完全に覆われて点状に存在する「分散相」あるいは「分散」とは異なる概念であり、所定の物質からなる相が他の相に完全に覆われることなく、少なくとも線状あるいは面状に連続的な広がりを呈する相をいう。
【0020】
「マトリックス状に混在する」とは、第1の相と第2の相とが絡みあって存在する状態をいい、第1の相を形成する物質が溶解する溶媒のみに接触させた場合、および、第2の相を形成する物質が溶解する溶媒のみに接触させた場合には、溶解又は崩壊しないが、両溶媒に所定条件下で接触させた場合にのみ、溶解又は崩壊する状態をいう。
【0021】
「連続相化」とは、所定の物質からなる相が他の相に完全に覆われて点状に存在する「分散」状態から、所定の物質からなる相が他の相に完全に覆われることなく、少なくとも線状あるいは面状に連続的な広がりを呈する連続状態へ変成させることをいう。
【0022】
「連続相化剤」とは、所定の物質からなる相が他の相に完全に覆われて点状に存在する「分散」状態において、前記物質を膨潤等させることにより、前記物質からなる相が他の相に完全に覆われることなく、少なくとも線状あるいは面状に連続的な広がりを呈する連続状態へ変成させ得る物質をいう。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る組成物は、疎水性物質と親水性物質とが共に連続相を形成し、これらの連続相がマトリックス状に存在するという全く新規な構造を呈するため、吸水力、透明性等の組成物に必要な性質を飛躍的に向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る組成物の構造を模式的に示す概念図である。
【図2】本発明に係る組成物における親水性物質で形成された連続相2の一実施形態を示す図面代用拡大写真(100倍、300倍)である。
【図3】本発明に係る組成物の構造的特徴を分析する方法のフロー図である。
【図4】本発明に係る貼付材の一実施形態を模式的に示す模式断面図である。
【図5】本発明に係る貼付材の図4とは異なる実施形態を示す斜視模式図である。
【図6】本発明に係る貼付材の図4及び図5とは異なる実施形態を示す斜視模式図である。
【図7】本発明に係る組成物及び貼付材の製造方法を示すフロー図である。
【図8】実施例1〜4の組成物を、疎水性物質のみを溶解する溶媒(トルエン)のみに接触させた場合の状態(図3中符号6における溶解又は崩壊の確認)を示す図面代用写真である。
【図9】比較例2、4〜7を疎水性物質のみを溶解する溶媒(トルエン)のみに接触させた場合の状態(図3中符号6における溶解又は崩壊の確認)を示す図面代用写真である。
【図10】実施例1〜4の組成物を、疎水性物質を溶解する溶媒(トルエン)及び親水性物質を溶解する溶媒(水)に接触させた場合の状態(図3中符号8における溶解又は崩壊の確認)を示す図面代用写真である。
【図11】図9において溶解又は崩壊しなかった比較例2を、疎水性物質を溶解する溶媒(トルエン)及び親水性物質を溶解する溶媒(水)に接触させた場合の状態(図3中符号8における溶解又は崩壊の確認)を示す図面代用写真である。
【図12】疎水性物質からなる連続相101に、親水性物質が分散102された構造の従来の組成物を示す概念図である。
【図13】親水性物質からなる連続相102に、疎水性物質が分散101された構造の従来の組成物を示す概念図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0026】
<組成物>
図1は、本発明に係る組成物の構造を模式的に示す概念図である。本発明に係る組成物は、大別すると連続相1と連続相2とからなる。連続相1は、疎水性物質で形成されており、連続相2は、親水性物質で形成されている。そして、連続相1と連続相2は、図1の概念図に示すように、絡みあって混在している。
なお、図1に示す実施形態では、連続相1及び連続相2は、それぞれが全て連続しているが、本発明の目的を損なわなければ、連続相1と連続相2がそれぞれ複数あってもよい。
【0027】
従来の組成物は、疎水性物質からなる連続相101に親水性物質が分散102された構造(図12参照)、若しくは、親水性物質からなる連続相102に、疎水性物質が分散101された構造(図13参照)を呈していたが、本発明では、疎水性物質及び親水性物質が両者ともそれぞれ連続相1及び連続相2を形成し、この連続相1及び連続相2と、がマトリックス状に混在した構造を呈していることに一つの特徴を有する。
【0028】
本発明に係る組成物の一例を図2に示す。図2は、本発明に係る組成物において、親水性物質が連続相2を形成する様子を見やすくするために、本発明に係る組成物に有機溶剤を加えて、疎水性物質を完全に溶かした状態で撮影した100倍および300倍の拡大写真である。即ち、図2中の符号1で示す部分が、疎水性物質が存在する部分である。図2に示す通り、本発明に係る組成物は、疎水性物質及び親水性物質が両者ともそれぞれ連続相1及び連続相2を形成し、この連続相1及び連続相2と、がマトリックス状に混在した構造を呈していることが分かる。
【0029】
本発明に係る組成物の構造を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、疎水性物質と親水性物質とを混合した後に、親水性物質を連続化することで形成することができる。より具体的に説明すると、疎水性物質と親水性物質とを単純に混合しただけでは、従来の組成物と同様に、疎水性物質からなる連続相1に親水性物質が分散した状態になってしまうが(図12参照)、その後、連続相化剤により親水性物質を膨潤等させることにより、分散状態の親水性物質が互いに繋がり、連続相1と複雑に絡み合った状態の連続相2を形成することができる。
【0030】
本発明に係る組成物は、疎水性物質のみを溶解する溶媒を単独で接触させた場合、組成物全体が溶解若しくは崩壊することはない。これは、この溶媒に溶解しない親水性物質も連続相2を形成し、この連続相2と疎水性物質で形成された連続相1が複雑に絡み合っているため、親水性の連続相2が疎水性物質を溶解する溶媒に溶けずに残るからと考えられる。一方、疎水性物質からなる連続相101に親水性物質が分散102された構造(図12参照)を呈する従来の組成物は、疎水性物質のみを溶解する溶媒に接触させた場合、親水性物質は分散された状態のため、疎水性物質からなる連続相1の溶解又は崩壊によって、組成物全体が崩壊してしまう。
【0031】
同様に、本発明に係る組成物は、親水性物質のみを溶解する溶媒を単独で接触させた場合、組成物全体が溶解若しくは崩壊することはない。これは、この溶媒に溶解しない疎水性物質も連続相1を形成し、この連続相1と親水性物質で形成された連続相2が複雑に絡み合っているため、疎水性の連続相1が親水性媒体に溶けずに残るからと考えられる。一方、親水性物質からなる連続相102に疎水性物質が分散101された構造(図13参照)を呈する従来の組成物は、親水性物質のみを溶解する溶媒に接触させた場合、疎水性物質は分散101された状態のため、親水性物質からなる連続相102の溶解又は崩壊によって、組成物全体が崩壊してしまう。
【0032】
しかし、本発明に係る組成物は、疎水性物質を溶解する溶媒、及び、親水性物質を溶解する溶媒を所定条件下において接触させた場合には、組成物全体が溶解又は崩壊する。これは、疎水性物質で形成された連続相1と親水性物質で形成された連続相2のいずれもが、各溶媒に触れた箇所から溶解していくからと考えられる。
【0033】
以上の特性を有するので、本発明に係る組成物の構造的特徴を、以下のように分析することができる。
【0034】
図3は、本発明に係る組成物の構造的特徴を分析する方法のフロー図である。まず、ステップIにおいて、試験片を親水性物質のみを溶解する溶媒に浸漬する(図3中符号3)。この時、予想される成分配合等に応じて浸漬時間や温度は適宜設定することができるが、一例としては、後述する実施例のように、37℃、168時間に設定することができる。また、浸漬した状態で静置してもよいが、後述する実施例のように、振盪させながら浸漬させてもよい。振盪させることで、分析時間の短縮化(効率化)及び分析精度の向上を実現させることができる。
【0035】
前記浸漬3後、溶解又は崩壊の確認を行う(図3中符号4)。溶解又は崩壊した試験片Aは、親水性物質からなる連続相102に疎水性物質が分散101された構造(図13参照)を呈する従来の組成物であると考えられる。
【0036】
次に、ステップIで溶解又は崩壊しなかった試験片Bを新たに用意し、疎水性物質のみを溶解する溶媒に浸漬する(図3中符号5)。この時、前記浸漬3と同様、予想される成分配合等に応じて浸漬時間や温度は適宜設定することができるが、一例としては、後述する実施例のように、37℃、72時間に設定することができる。また、浸漬した状態で静置してもよいが、後述する実施例のように、振盪させながら浸漬させてもよい。振盪させることで、分析時間の短縮化(効率化)及び分析精度の向上を実現させることができる。
【0037】
前記浸漬5後、溶解又は崩壊の確認を行う(図3中符号6)。溶解又は崩壊した試験片Cは、疎水性物質からなる連続相101に親水性物質が分散102された構造(図12参照)を呈する従来の組成物であると考えられる。
【0038】
前記確認6において、溶解又は崩壊しなかった試験片を、前記浸漬5に続けて、表面が固化する前に親水性物質のみを溶解する溶媒に浸漬する(図3中符号7)。この時、前記浸漬3及び前記浸漬5と同様、予想される成分配合等に応じて浸漬時間や温度は適宜設定することができるが、一例としては、後述する実施例のように、37℃、24時間に設定することができる。また、浸漬した状態で静置してもよいが、後述する実施例のように、振盪させながら浸漬させてもよい。振盪させることで、分析時間の短縮化(効率化)及び分析精度の向上を実現させることができる。
【0039】
前記浸漬7後、溶解又は崩壊の確認を行う(図3中符号8)。溶解又は崩壊した試験片Xが、疎水性物質で形成された連続相1と、親水性物質で形成された連続相2と、がマトリックス状に混在した構造を呈する組成物、即ち、本発明に係る組成物である。
【0040】
なお、前記浸漬7後に溶解又は崩壊しなかった試験片Dは、前記浸漬5において、疎水性物質に十分に溶媒が浸透せず、疎水性物質が溶解していない状態か、親水性物質の架橋型に疎水性物質が分散された構造を呈する組成物であると考えられる。
【0041】
ここで、図3においては、組成物が疎水性物質のみを溶解する溶媒に溶解するか確認する工程を符号5の工程前に新たに設けることで、疎水性物質のみ溶解する溶媒と親水性物質のみ溶解する溶媒とを混ぜたものを使用し、符号5〜8の工程を同時に行って確認することもできる。
【0042】
本発明に係る組成物は、その構造が全く新規なものであって、その具体的構成成分は特に限定されるものではないが、以下、本発明に係る組成物に好適に用いることができる成分を説明する。
【0043】
(1)疎水性物質
本発明に係る組成物の連続相1を形成する疎水性物質としては、連続相1を形成できればその種類は限定されないが、例えば、エラストマーを用いることができる。
【0044】
本発明に用いることが可能なエラストマーは、連続相1を形成できればその種類は特に限定されず、公知のものを1種又は2種以上自由に選択することが可能である。一例としては、スチレン系、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系ポリマー等が挙げられる。スチレン系ポリマーとしては、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、水添スチレン−ブタジエンラバー(HSBR)、スチレン−エチレン/ブチレン−オレフィン結晶ブロック共重合体(SEBC)、ウレタン系共重合体、アクリル系共重合体、オレフィン結晶−エチレン/ブチレン−オレフィン結晶ブロック共重合体(CEBC)、ポリイソブチレン、天然ゴム、ポリイソプレン、ニトリルゴムを挙げることができる。
【0045】
アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系のものは、それぞれ粘結組成物を合成する段階で適度の初期粘着力、粘着保持力等が得られるようにモノマーの選択、重合度の決定をして作ることができる。また必要に応じて合成された何種類かをブレンドすることも可能である。例えば、アクリル系の場合は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸の各種、さらには酢酸ビニル等の他のモノマーを用いて重合することができる。これらは個々に重合した後にブレンドすることも可能である。
【0046】
本発明においては、前記エラストマーの中でも、スチレン系エラストマーを用いることが好ましく、水添スチレン−ブタジエンラバー(HSBR)を用いるとより好ましい。
【0047】
本発明においては、組成物全重量に対し、エラストマーの範囲が4〜40重量%であることが好ましく、4〜30重量%であることがより好ましく、7〜20重量%であることがさらにより好ましい。
【0048】
ここで、本発明における疎水性物質として、必須ではないが、軟化剤、粘着付与剤、液状ゴムなどを含有させることもできる。
【0049】
軟化剤を加えることにより、疎水性物質の弾性を低下させて柔軟性を付与すると共に、粘着性を高める働きもする。軟化剤の種類は、本発明の目的を損なわなければ特に限定されず、公知の軟化剤を自由に選択することができる。一例としては、鉱油、植物油、動物油及び合成油から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
【0050】
鉱油としては、例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ナフテン油等を挙げる事ができる。
【0051】
植物油としては、例えば、オリーブ油、オリーブスクワラン、マカデミアナッツ油、ホホバ油、アーモンド油、落花生油、ひまし油、やし油、パーム油、サフラワー油、ひまわり油、綿実油、硬化やし油、硬化パーム油、アボガド油、杏仁油、グレープシード油等を挙げることができる。
【0052】
動物油としては、例えば、ラノリン、タートル油、ミツロウ、スクワレン、プリスタン等を挙げることができる。
【0053】
合成油としては、例えば、グリセリントリ−2−エチルヘキサノエート等の脂肪酸トリグリセライド;ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、アミノシリコン等のシリコーンオイル;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル等のエステル類等を挙げることができる。
【0054】
本発明においては、前記軟化剤の中でも、鉱油を用いることが好ましく、流動パラフィンを用いるとより好ましい。
【0055】
本発明においては、組成物全重量に対し、軟化剤の範囲が0〜20重量%であることが好ましく、1〜15重量%であることがより好ましく、1〜10重量%であることがさらにより好ましい。
【0056】
粘着付与剤の種類は、本発明の目的を損なわなければ特に限定されず、公知の粘着付与剤を自由に選択することができる。一例としては、天然ロジン誘導体、クマロン−インデン樹脂、テルペンオリゴマー、脂肪族石油樹脂、アルキル変性フェノール樹脂、ポリテルペン樹脂、ガムロジン、ロジンエステル、油性フェノール樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系炭化水素樹脂等を挙げることができる。
【0057】
本発明においては、前記粘着付与剤の中でも、石油系炭化水素樹脂等を用いることが好ましく、脂環族飽和炭化水素樹脂を用いるとより好ましい。
【0058】
本発明においては、組成物全重量に対し、粘着付与剤の範囲が0〜25重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがより好ましく、1〜15重量%であることがさらにより好ましい。
【0059】
液状ゴムの種類は、本発明の目的を損なわなければ特に限定されず、公知の液状ゴムを自由に選択することができる。一例としては、液状イソプレンゴム(LIR)、液状スチレン−イソプレンゴム(LSIR)、液状エチレン/プロピレンゴム(LEPR)、液状スチレン−エチレン/プロピレンゴム(LSEPR)、粘度平均分子量30000〜100000の液状ポリイソブチレン、液状ポリブテンを挙げることができる。
【0060】
前記液状ゴムは、疎水性物質の弾性を低下させて柔軟性を付与すると共に、粘着性を高める働きもする。相溶性の点から、スチレン系エラストマーと流動パラフィンの組み合わせとして好ましいのは、SISであればLIR及び/又はLSIR、SBSであれば液状ブタジエンゴム、SEPSであればLEPR及び/又はLSEPR、HSBRであればLEPR、LSEPR、液状ポリイソブチレン、液状ポリブテンのいずれか1種、もしくはこれらの混合物からなる液状ゴム、の組み合わせが考えられる。このような相溶性の良い組み合わせにすることで、液状ゴムの配合比を増やした場合、即ち柔軟性を高めようとする場合でも、液状ゴムのブリーディングや剥離時の糊残りを防ぐことができる。
【0061】
本発明においては、組成物全重量に対し、液状ゴムの範囲が0〜35重量%であることが好ましく、1〜30重量%であることがより好ましく、1〜25重量%であることがさらにより好ましい。
【0062】
本発明においては、前記疎水性物質としてHSBRを用い、液状ゴムとしてLEPR、LSEPR、液状ポリイソブチレン、液状ポリブテンのいずれか1種、もしくはこれらの混合物からなる液状ゴムを、組み合わせて用いることが好ましい。
【0063】
また、前記液状ゴムは架橋したものを用いることができ、凝集性を向上させる目的で適宜配合すると効果的である。更に、スチレン系エラストマーと流動パラフィンの重量比が1:2〜1:6の範囲に配合するのが好ましい。
【0064】
(2)親水性物質
本発明における親水性物質としては、親水性粒子と、該親水性粒子を連続相化するための連続相化剤を含むことを要する。
【0065】
本発明に係る組成物は親水性物質を含有するため、皮膚から発生する汗や滲出液等を吸収することができる。また、この親水性物質が連続相2を形成し、疎水性物質で形成される連続相1と絡み合った構造になっているため、従来の組成物に比べ、吸水性の顕著な向上を達成することに成功した。
【0066】
本発明に用いることが可能な親水性粒子は、連続相2を形成できればその種類は特に限定されず、公知のものを1種又は2種以上自由に選択することが可能である。一例としては、コーンスターチ、グアーガム、ローカストビーンガム、デンプン、アルギン酸塩、カラギーナン、寒天、ゼラチン、キチン、キトサンペクチン、カラヤガム、アラビアゴム、キサンタンガム、デキストラン、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、メチルセルロース、デンプンアセテート、デンプンフォスフェート、ヒドロキシエチル化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、酸化デンプン、デキストリン化デンプン、デンプン・アクリル酸グラフト重合体、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリN−ビニルピロリドン、カオリン、含硫ケイ酸アルミニウム、クオタニウム−18ヘクトライト、シリカ、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等を挙げることができる。
【0067】
本発明においては、前記親水性粒子の中でも、カルボキシメチルセルロース(CMC)を用いると好ましい。
【0068】
本発明においては、組成物全重量に対し、親水性粒子の範囲が、2〜30重量%であることが好ましく、2〜25重量%であることがより好ましく、5〜20重量%であることがさらにより好ましい。
なお、本発明においては、親水性粒子は、吸水性を示す物質であれば、水溶性であっても水不溶性であっても問題ない。
【0069】
本発明に係る組成物には、親水性粒子を連続相化するために連続相化剤を用いる。連続相化剤は、疎水性物質で形成された連続相1中に親水性粒子が分散した状態において、この親水性粒子を膨潤等させることにより、親水性粒子が、少なくとも線状あるいは面状に連続的な広がりを呈する連続状態(連続相2)へ変成させ得る物質であれば、その種類は特に限定されない。一例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等の多価アルコールが挙げられる。また、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等の多価アルコール重合体を使用することもできる。
【0070】
本発明においては、前記連続相化剤の中でも、多価アルコールを用いることが好ましく、グリセリンを用いることがより好ましい。
本発明においては、組成物全重量に対し、連続相化剤の範囲が20〜50重量%であることが好ましく、20〜45重量%であることがより好ましく、25〜45重量%であることがさらにより好ましい。
【0071】
(3)その他
本発明に係る組成物には、必須ではないが、pH調整剤を含有させることも可能である。pH調整剤の種類は、本発明の目的を損なわなければ特に限定されず、公知のpH調整剤を自由に選択することができる。一例としては、無水クエン酸、アルカリ金属水酸化物、有機酸の緩衝液を挙げることができる。
【0072】
本発明においては、前記pH調整剤の中でも無水クエン酸を用いることが好ましい。また、正常な皮膚のpHに合わせ、pH4.0〜7.0の範囲に調整することが好ましい。
【0073】
本発明に係る組成物には、必須ではないが、薬効成分を含有させることも可能である。薬効成分の種類は、本発明の目的を損なわなければ特に限定されず、目的に応じて自由に選択することができる。一例としては、生理活性剤、抗菌剤、消炎鎮痛剤、ステロイド剤、麻酔剤、抗真菌剤、気管支拡張剤、鎮咳剤、冠血管拡張剤、抗高血圧剤、降圧利尿剤、抗ヒスタミン剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、ビタミン剤、性ホルモン剤、抗うつ剤、脳循環改善剤、制吐剤、抗腫瘍剤など、あらゆる薬剤を配合することができる。これらの薬剤は、経皮吸収により全身又は局所においてその効果を発揮したり、あるいは貼付された部位において、局所的に効果を発揮する。
【0074】
本発明に係る組成物には、前記薬効成分の中でも、皮膚の生理機能(皮膚バリア機能等)を保持又は向上させる目的で、局所的な効果を発揮する生理活性剤を添加することが好ましい。生理活性剤の具体例としてはスフィンゴ脂質、尿素、グリコール酸、アミノ酸(アルギニン、システイン、グリシン、リシン、プロリン、セリン等)及びその誘導体、タンパク質加水分解物(コラーゲン、エラスチン、ケラチン等)、ムコ多糖(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン等)及びその誘導体、ビタミンB群(チアミン、リボフラビン、ニコチン酸、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン、ビオチン、葉酸、シアノコバラミン等)、アスコルビン酸(ビタミンC及びその誘導体)、レチノイド(ビタミンA、レチナール、レチノイン酸等)、ビタミンD(D2、D3等)、ビタミンE及びその誘導体、カロチノイド(カロチン、リコピン、キサントフィル等)、酵素、補酵素等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
【0075】
以上説明した本発明に係る組成物は、前述した構造的特徴を呈しているため、従来の組成物に比べ、その吸水が最大に達するまでの時間(初期吸水速度)が著しく速い。これは、親水性物質も連続相2を形成するためと考えられる。
【0076】
本発明に係る組成物の具体的吸水力は特に限定されないが、1時間後の吸水率が120%以上であると好ましい。また、24時間後の吸水率が280%以上であると好ましい。
【0077】
本発明に係る組成物は、疎水性物質も親水性物質も共にそれぞれ連続相1及び連続相2を形成し、分散相を有しないため、従来の組成物に比べ、その透明性が著しく高い。これは、分散相による光の反射や散乱が起きないためであると考えられる。
【0078】
本発明に係る組成物の具体的光透過率は特に限定されないが、波長550nmの光透過率が12%以上であると好ましい。
【0079】
本発明に係る組成物は、従来の組成物に比べ、その保持力も著しく高い。これは、疎水性物質で形成される連続相1と、親水性物質で形成される連続相2と、が複雑に絡み合ったマトリックス構造を呈するためであると考えられる。
【0080】
本発明に係る組成物の具体的保持力も特に限定されないが、保持力が200分以上であると好ましい。なお、保持力については、界面破壊または投錨破壊したものを含んでいない。これは、界面破壊または投錨破壊したものは正確な値が測定できないためである。
【0081】
本発明に係る組成物は、親水性物質が連続相2を形成しているため、従来の組成物に比べ、柔軟性が著しく高い。そのため、皮膚等の凹凸に沿って組成物が変形し、皮膚に対する密着性も向上する。その結果、粘着付与剤を減量させることが可能となる。そして、剥離時の皮膚への負担(刺激)を大幅に低減させることができる。
【0082】
<貼付材>
本発明にかかる組成物は、粘着付与剤を加えて粘着層用組成物と使用することもできる。以下、本発明に係る組成物を粘着剤層に用いた貼付材について詳細に説明する。
【0083】
図4は、本発明に係る貼付材10を模式的に示す模式断面図である。本発明に係る貼付材は、大別すると、支持層11と、粘着層12と、を少なくとも備えている。本発明に係る貼付材の形態は、支持層11と、粘着層12と、を備えていれば特に限定されず、例えば、三角形、四角形、菱形等の多角形、円形、楕円形、又はこれらの形状を適宜組み合わせたシート状の形態、特定の方向に連続的に形成したテープ状、ロール状の形態等、自由な形態に形成することができる。また、貼付する部位に合わせて立体的に形成したり、切り込みやスリット等を設けるなど、自由に設計することができる。以下、各層の詳細をそれぞれ説明する。
【0084】
(1)支持層11
本発明に係る貼付材10の支持層11は、後述する粘着層12を支持する目的で備える。この支持層11は、粘着層12を支持できれば、その形態は特に限定されず、あらゆる材料を用いて自由に設計することができる。例えば、不織布、編布、織布等の繊維シート、プラスチックフィルム、フォームシート、紙等の形態が挙げられる。本発明においては、これらの中でも特に、柔軟性、伸縮性、適度の水蒸気透過性、菌バリヤー性等の観点からプラスチックフィルムが好ましい。
【0085】
本発明に係る貼付材10に、繊維シートからなる支持層11を採用する場合、その材料としては、例えば、綿、ビスコースレーヨン、ポリノジック、銅アンモニアレーヨン、リヨセル等のセルロース系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維、ビニロン繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維等を挙げることができる。なお、これらの材料は、単独で用いてもよいが、2種以上を混紡して用いることも自由である。
【0086】
本発明に係る貼付材10に、プラスチックフィルムからなる支持層11を採用する場合、その材料としては、例えば、ポリウレタン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン・メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン・メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン・メタクリル酸重合体(EMAA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)等のオレフィン系共重合体;ポリビニルアルコール;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン;シリコーン等を挙げることができる。本発明においては、これらの中でも特に、水蒸気透過性が良好で、不感蒸散等を妨げることが少ないポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド等が好ましい。なお、これらの材料は、単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いることも自由である。
【0087】
本発明に係る貼付材10に、フォームシートからなる支持層11を採用する場合、その材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリウレタン、アクリル、クロロプレンゴム、シリコーン等を挙げることができる。
【0088】
本発明に係る貼付材10に、紙からなる支持層11を採用する場合、その材料としては、例えば、上質紙、クラフト紙、グラシン紙、コート紙等を挙げることができる。
【0089】
本発明に係る貼付材10の支持層11は、単一の材料により単一の形態とすることもできるが、2種以上の材料を用いて、複合的な形態に形成することも可能である。また、同一又は異なる種類の形態の支持層をラミネートした積層構造の支持層11とすることもできる。
【0090】
本発明に係る貼付材10の支持層11の厚さは、本発明の目的を損なわなければ特に限定されないが、粘着層12の支持、貼付する際の操作性、及び皮膚に対する圧迫感等の観点から、15〜100μmが好ましい。
【0091】
(2)粘着層12
本発明に係る貼付材10の粘着層12は、貼付材10と皮膚との貼付を行うために前記支持層11の少なくとも片面に積層した状態で備える。この粘着層12は、前述した本発明に係る組成物に粘着付与剤等を添加した粘着組成物により形成される。該組成物の構造等の特性は、前述した組成物と同一のため、ここでは説明を割愛する。
【0092】
本発明に係る貼付材10の粘着層12の厚さは、本発明の目的を損なわなければ特に限定されないが、0.05〜50mmであることが好ましく、0.1〜1.5mmであることがより好ましい。貼付時に適度な粘着力を示し、皮膚に対して優れた密着性及び追従性を発揮するためである。
【0093】
(3)剥離シート13
本発明に係る貼付材10には、前記支持層11と前記粘着層12の他に、必須ではないが、剥離シート13を設けることができる。該剥離シート13を備えることにより、粘着層12を汚染等から保護し、貼付材10の取り扱い性を簡便にすることができる。
【0094】
本発明に係る貼付材10の剥離シート13は、合成樹脂フィルムや紙等、従来、この分野で使用されているあらゆる材料を用いることができる。例えば、紙やフィルムの表面にシリコーン樹脂処理やフッ素樹脂処理等を施したものが挙げられる。
【0095】
なお、この剥離シート13を設けずに、例えば、図5に示すように、支持層11の、接着剤層12が積層された面と逆の面(以下「背面111」と称する。)を剥離可能な素材で形成又は表面処理した形態の貼付材10を形成し(図5中(I)参照)、この貼付材10を複数枚、積層させた状態にして、1枚ずつ剥がしながら使用することも可能である(図5中(II)参照)。また、貼付材10を複数枚、積層させる方法の他に、図6に示すように、同様に形成した貼付材10をロール状にすることも可能である。
【0096】
このように剥離シート13を設けない場合には、前記背面111を、シリコーン樹脂処理やフッ素樹脂処理等を施すことで、支持層11が同時に剥離シート13の役割を果たすこととなる。
【0097】
<組成物の製造方法>
図7中符号20で示す部分は、本発明に係る組成物の製造方法のフロー図である。本発明に係る組成物の製造方法は、大別すると、混合工程21と、連続相化工程22と、を少なくとも行う方法である。以下、各工程をそれぞれ説明する。
【0098】
(1)混合工程21
混合工程21では、エラストマーと親水性粒子とを混合する。混合方法は、公知のあらゆる技術を自由に用いることができる。例えば、加圧ニーダ等を用いて混合を行うことができる。
【0099】
混合工程21での混合回数は特に限定されず、組成物の配合成分や配合比等に合わせて、適宜設定することができる。また、必要に応じて、加熱や冷却を行うことにより、温度条件も適宜設定することができる。
【0100】
なお、組成物に粘着性を付与するために、前述した軟化剤、粘着付与剤、液状ゴム等を含有させる場合には、エラストマーに予め混合させておいてもよく、この混合工程21において、一緒に混合してもよい。
【0101】
この混合工程21では、疎水性物質で形成された連続相1に、親水性粒子を分散させた構造を形成する。
【0102】
(2)連続相化工程22
連続相化工程22では、前記混合工程21で作成した混合物に前述した連続相化剤を加えて更に混合することにより、混合物中に分散した親水性粒子を膨潤等させて連続相化させる。なお、組成物に、前述したpH調整剤を含有させる場合には、親水性粒子に予め混合させておいてもよく、この混合工程21において、一緒に混合させてもよい。
【0103】
このように、本発明に係る組成物の製造方法では、エラストマーと親水性粒子とを混合して従来の組成物と同一の構造(図12参照)を一旦形成した後、連続相化剤を加えて、親水性粒子を膨潤等させることにより、疎水性物質で形成された連続相1に複雑に絡み合う状態の親水性物質からなる連続相2を形成することができる(図1参照)。
【0104】
<貼付材の製造方法>
図7中符号200で示す部分は、本発明に係る貼付材10の製造方法のフロー図である。本発明に係る組成物の製造方法は、大別すると、混合工程21と、連続相化工程22と、を少なくとも行う組成物製造方法20を行った後、塗工工程203を少なくとも行う方法である。組成物製造方法20は、前述と同様であるため、以下、塗工工程203についてのみ説明する。
【0105】
塗工工程203は、支持層11の少なくとも片面に組成物を設ける塗工工程である。塗工方法は、公知のあらゆる技術を自由に用いることができる。例えば、組成物製造方法20で製造した本発明に係る組成物を、圧力等をかけながら、適当な厚さになるように支持層11に圧延する方法が挙げられる。この際、必要に応じて加熱等を行ってもよい。
【0106】
また、他の一例としては、組成物製造方法20で製造した本発明に係る組成物を、剥離シート13に一旦塗工し、その後、支持層11に転写させることで粘着層12を形成することもできる。
【0107】
前記組成物の支持層11又は剥離シート13への具体的塗工方法は、特に限定されず、公知のあらゆる方法を自由に採用することができる。例えば、コンマダイレクト、ナイフコーター、グラビアダイレクト等の塗工方式を利用して、塗工パターンや厚さを目的に合わせて適宜、制御することができる。
【0108】
また、粘着層12の塗工パターンとしては、支持層11の表面を全面的に被覆しても良いが、部分的に被覆することも可能である。部分的に被覆する場合は、格子状、ネット状、粒状、唐草模様等の任意の形態を選択できる。このように、支持層11の片面に、部分的に粘着層12を設けることにより、通気性、透湿性等をより向上させることもでき、また、皮膚からの剥離時の刺激をより軽減することもできる。
【0109】
本発明に係る貼付材の製造時においては、支持層11と粘着層12との接着性を向上させるために、支持層11に表面処理又はプライマー処理を施すことも自由である。支持層11の表面処理としては、例えば、エンボス加工、サンドマット加工、コロナ放電処理、プラズマ処理、アルカリ処理等、公知のあらゆる処理方法を採用することができる。プライマー処理としては、例えば、シランカップリング剤等からなるプライマーを用いるなど、本発明に係る組成物に使用可能なプライマーであれば、公知のあらゆるプライマーを用いてプライマー処理を行うことが可能である。
【実施例】
【0110】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0111】
まず、以下に示す方法で、実施例1〜4、比較例1〜7に係る組成物を作製した。
【0112】
<実施例1>
エラストマーの一例としてHSBR(JSR株式会社製、以下同じ)10.0重量%と、液状ゴムの一例としてポリブテン(新日本石油化学株式会社製)3.0重量%、液状スチレン−エチレン/プロピレンゴム(株式会社クラレ製)10.0重量%と、ポリイソブチレン(新日本石油化学株式会社製)10.0重量%と、粘着付与剤の一例として脂環族飽和炭化水素樹脂(荒川化学工業株式会社製、以下同じ)10.0重量%とを加圧ニーダに仕込み、十分均一になるまで混合した。次に、親水性粒子の一例としてCMC−Na(ダイセル化学工業株式会社製、以下同じ)10.0重量%、アラビアガム(五協産業株式会社製)5.0重量%、カラヤガム(五協産業株式会社製、以下同じ)6.0重量%、ペクチン(三晶株式会社製)5.0重量%を加え、均等になるまで加圧混合した。その後、連続相化剤の一例としてグリセリン(三洋化成工業株式会社製、以下同じ)30.0重量%、pH調整剤として無水クエン酸1.0重量%を加え、更に混合し、実施例1に係る組成物を作製した。
【0113】
<実施例2>
エラストマーの一例としてHSBR10.0重量%と、液状ゴムの一例として流動パラフィン(カネダ株式会社製、以下同じ)5.0重量%と、ポリイソブチレン13.0重量%と、脂環族飽和炭化水素樹脂12.0重量%とを加圧ニーダに仕込み、十分均一になるまで混合した。次に、親水性粒子の一例としてCMC−Na15.0重量%を加え、均等になるまで加圧混合した。その後、連続相化剤の一例としてグリセリン45.0重量%を加え、更に混合し、実施例3に係る組成物を作製した。
【0114】
<実施例3>
エラストマーの一例としてHSBR7.0重量%と、液状ゴムの一例として流動パラフィン3.0重量%と、ポリイソブチレン25.0重量%と、脂環族飽和炭化水素樹脂14.0重量%とを加圧ニーダに仕込み、十分均一になるまで混合した。次に、親水性粒子の一例としてCMC−Na20.0重量%を加え、均等になるまで加圧混合した。その後、連続相化剤の一例としてグリセリン30.0重量%を加え、更に混合し、実施例1に係る組成物を作製した。
【0115】
<実施例4>
エラストマーの一例としてHSBR20.0重量%と、液状ゴムの一例として流動パラフィン10.0重量%と、ポリイソブチレン20.0重量%と、脂環族飽和炭化水素樹脂5.0重量%とを加圧ニーダに仕込み、十分均一になるまで混合した。次に、親水性粒子の一例としてCMC−Na5.0重量%、カラヤガム10.0重量%を加え、均等になるまで加圧混合した。その後、連続相化剤の一例としてグリセリン30重量%を加え、更に混合し、実施例1に係る組成物を作製した。
【0116】
<比較例1>
比較例1としては、市販品のTegasorb light(登録商標、スリーエム カンパニー製)を用いた。
【0117】
<比較例2>
比較例2としては、市販品のTegasorb(登録商標、スリーエム カンパニー製)を用いた。
【0118】
<比較例3>
比較例3としては、市販品のDuoactive ET(登録商標、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社製)を用いた。
【0119】
<比較例4>
比較例4としては、市販品のDuoactive(登録商標、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社製)を用いた。
【0120】
<比較例5>
比較例5としては、市販品のビジダーム(登録商標、ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社製)を用いた。
【0121】
<比較例6>
比較例6としては、市販品のアブソキュアサージカル(登録商標、日東電工株式会社製)を用いた。
【0122】
<比較例7>
比較例7としては、市販品のコムフィールアルカス(登録商標、コロプラスト株式会社製)を用いた。
【0123】
実施例1〜4の配合組成を表1に示す。
【表1】
【0124】
次に、各実施例および各比較例における各特性の測定方法を説明する。
【0125】
[吸水率]
各実施例及び各比較例から直径30mmの試験片を3枚作成した。37℃にて、生理食塩液(0.9%NaCl溶液)150mlに浸漬した。浸漬後1時間、3時間、24時間ごとに1枚の試験片をピンセットで5回振って水切りを行った。試験片の重量を測定して吸水率を、下記数式1から求めた。
【0126】
【数1】
【0127】
[光透過率]
厚みが300〜400μmの検体から、幅25mm、長さ25mmの試験片を作成し、厚さ0.13〜0.17mmの透明なガラス板上に載置した。紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−1650PC)を使用し、このサンプルの波長550nmにおける光の透過率を測定して、この値を可視光透過率とした。
【0128】
[保持力]
検体から幅方向に幅25mm、長さ50mmの試験片を作成した。剥離紙面側に布テープ(積水化学工業株式会社製)を貼り付け、試験片を40℃の環境に1時間以上放置した。
【0129】
一方、保持力用のステンレス板を準備し、360番耐水研磨紙で試験板の幅方向に軽く指標をつけ、この指標が消えるまで長さ方向に均一に水をつけて研磨した。研磨後、水で綺麗に洗い流し、酢酸エチルで表面を清拭した。その後、検体と同様に40℃の環境に1時間以上放置した。
【0130】
ステンレス板の標線に合せて、試験片が25mm×25mmの面積で接するように貼付部分の剥離紙を剥した試験片を貼り付け、試験片の上から2kgのローラで5往復して貼り付けた。その後、余剰部分を折畳んで、摘み部を作り、摂氏40℃の雰囲気中に20分以上放置した。そして、同環境中で保持力試験機にセットし500gfの錘をつけ、落下するまでの時間を計測した。
【0131】
[ピクマタック(粘着力)]
JIS T9233 三橋法に準じて測定した。
検体から幅35mm、長さ20mmの試験片を15枚作成した。また、幅30mm、長さ120mmの両面テープ(日東電工株式会社製 No.5000NS)を3枚作成した。作成した両面テープ1枚あたり、5枚の試験片を剥離紙面側が上になる状態で貼り付け、2kgのローラで5往復して貼り付けた。その後、試験片を23℃、湿度50%の標準状態の雰囲気中で2時間以上放置した。
【0132】
一方、接着円盤(直径50mm、厚さ14mm、アルミニウム製)の表面を有機溶剤で清浄し、乾燥させた。その後、両面テープに固定された試験片の剥離紙を剥がし、粘着面を前記接着円盤に4.90N(500gf)で2秒間接触させ、30mm/minの速度で引き上げた。この接着円盤と試験片が離れるときの粘着力を測定した。
【0133】
[pH]
検体から直径30mmの試験片を作成した。37℃にて、生理食塩液(0.9%NaCl溶液)150mlに浸漬した。浸漬後24時間の検体のpHを表面pH試験機(株式会社堀場製作所製)にて測定した。
【0134】
[構造特性分析]
図3のフロー図に従って、構造特性を分析した。
まず、検体から直径20mm×20mmの試験片を作成し、親水性物質のみを溶解する溶媒として水を用いて、37℃、168時間にて浸漬した(図3中符号3)。
【0135】
前記浸漬3後、溶解又は崩壊の確認を行い(図3中符号4)、溶解又は崩壊しなかった検体について、新たに直径20mm×20mmの試験片Bを作成し、疎水性物質のみを溶解する溶媒としてトルエンを用いて、37℃、72時間、振盪させながら浸漬した(図3中符号5)。
【0136】
前記浸漬5後、溶解又は崩壊の確認を行い(図3中符号6)、溶解又は崩壊しなかった試験片を、前記浸漬5に続けて、表面が固化する前に親水性物質のみを溶解する溶媒として水を用いて、37℃、24時間、振盪させながら浸漬した(図3中符号7)。
【0137】
前記浸漬7後、溶解又は崩壊の確認を行った(図3中符号8)。
【0138】
各実施例および各比較例について、前記各特性の測定結果を表2に示す。
【0139】
【表2】
【0140】
表2に示すとおり、実施例1〜4の組成物は、比較例1〜7に比べ、吸水率が高いことが分かった。特に、浸漬後1時間、及び3時間における実施例1〜4の吸水率は、比較例1〜7に比べ、著しく高いことが分かった。例えば、実施例3の1時間後の吸水率は、比較例4に比べて約84倍の吸水率を示していた。また、24時間後の吸水率においても、最低でも1.5倍近い差があることが分かった。
【0141】
表2から明らかなように、本発明にかかる組成物において、24時間で吸水できる全割合の約60%以上が1時間以内に吸水されている。すなわち、初期段階における吸水速度(初期吸水速度)が速いことがわかる。従って、本実施例では、本発明に係る組成物は、大量の発汗時等に、すばやく吸水することが可能であり、汗などによって剥がれやすくなるのを防ぐことができることが分かった。また、皮膚上の水分をすばやく吸水することができるため、皮膚の浸軟を防ぐことができることが分かった。
【0142】
pHに関しては、実施例1〜4の組成物のすべてが、正常皮膚のpH範囲内であり、本発明に係る組成物は、皮膚刺激が少ないことが分かった。
【0143】
保持力に関しては、実施例1、2、3の組成物は、比較例1〜7に比べて高く、本発明に係る組成物は、糊残りを起こさず、形状保持性を有することが分かった。
なお、実施例4の保持力が低いのは界面破壊してしまい、測定できなかったためである。ただし、凝集力が低いわけではないため、実施例3の組成物も本発明に係る組成物の目的は十分に果たすことができると考えられる。
【0144】
粘着力に関しては、実施例1〜4の組成物は、従来の組成物(比較例1〜7)と同等に適度な粘着力を有することが分かった。
なお、粘着力は、粘着付与剤の配合量を調整することにより可能である。
【0145】
透明性に関しては、実施例1〜4の組成物は、比較例1〜7に比べ、高い透明性を有することが分かった。これは、疎水性物質と親水性物質とを混合した後に、親水性粒子を連続層化剤で膨潤等させることにより、親水性粒子の表面に凹凸が少なくなったためであると考える。先に親水性粒子を膨潤などさせ、所定の粒径に砕いた場合には、表面の凹凸が多くなり、光が乱反射してしまうためと推測される。
【0146】
構造特性に関しては、実施例1〜4の組成物は、全て、図3中符号8における溶解又は崩壊の確認により、溶解又は崩壊が確認できた。即ち、疎水性物質のみを溶解する溶媒のみに接触させた場合、及び、親水性物質のみを溶解する溶媒のみに接触させた場合には溶解又は崩壊はしないが、疎水性物質を溶解する溶媒及び親水性物質を溶解する溶媒を所定条件下において接触させた場合には溶解又は崩壊するという性質を有することが分かった。つまり、疎水性物質で形成された連続相と親水性物質で形成された連続相は、絡みあったマトリックス状に混在していることが分かった。
【0147】
一方、比較例1、2については、図3中符号8における溶解又は崩壊の確認においても、溶解又は崩壊が確認できなかった。即ち、図3中浸漬5において、疎水性物質に十分に溶媒が浸透せず、疎水性物質が溶解していない状態か、親水性物質の架橋型に疎水性物質が分散された構造を呈する組成物であると考えられる。
【0148】
比較例3〜7については、図3中符号6における溶解又は崩壊の確認により、溶解又は崩壊が確認できた。即ち、疎水性物質のみを溶解する溶媒のみに接触させた場合に、溶解又は崩壊する組成物であることが分かった。つまり、疎水性物質からなる連続相に親水性物質が分散された構造(図12参照)を呈する組成物であることが分かった。
【0149】
以上の構造特性分析における各実施例、各比較例の写真を図8〜10に示す。なお、比較例1と比較例2、比較例3と比較例4は、それぞれ検体の厚さ以外の基本構造は同一であるため、比較例1と比較例3についての写真撮影は行わなかった。
【0150】
図8は、実施例1〜4の組成物を、疎水性物質のみを溶解する溶媒(トルエン)のみに接触させた場合の状態(図3中符号6における溶解又は崩壊の確認)を、図9は、比較例2、4〜7を疎水性物質のみを溶解する溶媒(トルエン)のみに接触させた場合の状態(図3中符号6における溶解又は崩壊の確認)を、図10は、実施例1〜4の組成物を、疎水性物質を溶解する溶媒(トルエン)及び親水性物質を溶解する溶媒(水)に接触させた場合の状態(図3中符号8における溶解又は崩壊の確認)を、図11は、図9において溶解又は崩壊しなかった比較例2を、疎水性物質を溶解する溶媒(トルエン)及び親水性物質を溶解する溶媒(水)に接触させた場合の状態(図3中符号8における溶解又は崩壊の確認)を、それぞれ示している。なお、図9及び図11の比較例の状態を示す写真には、本発明と比較し易くするために、それぞれ実施例1を併撮した。
【符号の説明】
【0151】
1 疎水性物質で形成された連続相
2 親水性物質で形成された連続相
10 貼付材
11 支持層
12 粘着層
13 剥離シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性物質と、親水性物質と、を含む組成物であって、
前記疎水性物質で形成された連続相(1)と、
前記親水性物質で形成された連続相(2)と、
がマトリックス状に混在する組成物。
【請求項2】
前記疎水性物質と前記親水性物質とを混合した後に、前記親水性物質を連続相化することにより、前記連続相(2)を形成することを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記疎水性物質のみを溶解する溶媒のみに接触させた場合、及び、前記親水性物質のみを溶解する溶媒のみに接触させた場合には溶解又は崩壊せず、前記疎水性物質を溶解する媒及び前記親水性物質を溶解する溶媒を所定条件下において接触させた場合には溶解又
は崩壊する請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
1時間後の吸水率が120%以上である請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
波長550nmの光透過率が12%以上である請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
支持層と、該支持層の少なくとも片面に粘着層と、を少なくとも備える貼付材であって、
前記粘着層は、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物を少なくとも含む貼付材。
【請求項7】
疎水性物質と、親水性物質と、を含む組成物の製造方法であって、
前記疎水性物質と前記親水性物質とを混合する混合工程と、
該混合工程を経た後に、混合物中の前記親水性物質を連続相化する工程と、
を少なくとも行う組成物の製造方法。
【請求項8】
支持層と、該支持層の少なくとも片面に粘着層と、を少なくとも備える貼付材の製造方法であって、
疎水性物質と親水性物質とを混合する混合工程と、
該混合工程を経た後に、混合物中の前記親水性物質を連続相化する工程と、
を少なくとも行うことにより組成物を作製し、
該組成物を前記支持層の少なくとも片面に設ける塗工工程と、
を行う貼付材の製造方法。
【請求項1】
疎水性物質と、親水性物質と、を含む組成物であって、
前記疎水性物質で形成された連続相(1)と、
前記親水性物質で形成された連続相(2)と、
がマトリックス状に混在する組成物。
【請求項2】
前記疎水性物質と前記親水性物質とを混合した後に、前記親水性物質を連続相化することにより、前記連続相(2)を形成することを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記疎水性物質のみを溶解する溶媒のみに接触させた場合、及び、前記親水性物質のみを溶解する溶媒のみに接触させた場合には溶解又は崩壊せず、前記疎水性物質を溶解する媒及び前記親水性物質を溶解する溶媒を所定条件下において接触させた場合には溶解又
は崩壊する請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
1時間後の吸水率が120%以上である請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
波長550nmの光透過率が12%以上である請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
支持層と、該支持層の少なくとも片面に粘着層と、を少なくとも備える貼付材であって、
前記粘着層は、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物を少なくとも含む貼付材。
【請求項7】
疎水性物質と、親水性物質と、を含む組成物の製造方法であって、
前記疎水性物質と前記親水性物質とを混合する混合工程と、
該混合工程を経た後に、混合物中の前記親水性物質を連続相化する工程と、
を少なくとも行う組成物の製造方法。
【請求項8】
支持層と、該支持層の少なくとも片面に粘着層と、を少なくとも備える貼付材の製造方法であって、
疎水性物質と親水性物質とを混合する混合工程と、
該混合工程を経た後に、混合物中の前記親水性物質を連続相化する工程と、
を少なくとも行うことにより組成物を作製し、
該組成物を前記支持層の少なくとも片面に設ける塗工工程と、
を行う貼付材の製造方法。
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図1】
【図2】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図1】
【図2】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−24225(P2010−24225A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133723(P2009−133723)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000151380)アルケア株式会社 (88)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000151380)アルケア株式会社 (88)
【Fターム(参考)】
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